説明

燃料タンク構造

【課題】 タンク本体の外板の剛性を適正化できると共に、燃料配管継手部を小型化し、かつカバー部材の材料費を低減できる燃料タンク構造を提供する。
【解決手段】 燃料ポンプ31を内側に臨むタンク開口部34と、該タンク開口部34に設けられるタンク側結合座部52と、該タンク側結合座部52に対応してポンプホルダ35に設けられるホルダ側結合座部51とを備え、タンク側結合座部52がフランジ部54を有し、該フランジ部54にホルダ側結合座部51が溶着される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両用の燃料タンク構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両用の樹脂製燃料タンクにおいて、そのタンク本体の開口部にカバー部材(例えば燃料ポンプを保持するポンプホルダ等)を配置し、該カバー部材の結合座部を開口部外周の結合座部に溶着したものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2004−11419号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記従来の燃料タンク構造においては、タンク本体とカバー部材との溶着時の押し付け荷重(圧着荷重)が、タンク本体の外板に入力されることとなり、該外板の剛性を圧着荷重支持用に高めなければならないことがあった。
また、前記カバー部材は、内外周層の材料が異なる二層構造とされ、タンク本体に溶着可能な外周層が前記結合座部を形成すると共に、耐燃料性を有する内周層が燃料導出部(例えば燃料配管用の継手部)の内側まで延びて燃料通路を形成しているが、このような構成に対し、前記継手部を二層とすることなくその小型化を図り、かつカバー部材の材料費を低減できるようなものが期待されている。
そこでこの発明は、タンク本体の外板の剛性を適正化できると共に、燃料配管継手部を小型化し、かつカバー部材の材料費を低減できる燃料タンク構造を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題の解決手段として、請求項1に記載した発明は、内燃機関(例えば実施例のエンジン16)に燃料を送る燃料ポンプ(例えば実施例の燃料ポンプ31)をポンプホルダ(例えば実施例のポンプホルダ35,63)によって内部に保持する樹脂製の燃料タンク(例えば実施例の燃料タンク30,60)の構造において、前記燃料ポンプを内側に臨むタンク開口部(例えば実施例のタンク開口部34,62)と、該タンク開口部に設けられるタンク側結合座部(例えば実施例のタンク側結合座部52,67)と、該タンク側結合座部に対応して前記ポンプホルダに設けられるホルダ側結合座部(例えば実施例のホルダ側結合座部51,69)とを備え、前記タンク側結合座部がフランジ部(例えば実施例のフランジ部54,68)を有し、該フランジ部に前記ホルダ側結合座部が溶着されることを特徴とする。
【0005】
この構成によれば、フランジ部を治具等で支持した状態で燃料タンクとポンプホルダとを溶着することが可能となり、該溶着時の燃料タンク外板への圧着荷重が小さくなるため、燃料タンク外板に圧着荷重支持用の補強等を設けることなく、その剛性を適正化して設計の合理化を図ることができる。
【0006】
請求項2に記載した発明は、前記各結合座部の少なくとも一方が、これらの溶着部の外周を覆う障立部(例えば実施例の障立部55,70)を有することを特徴とする。
【0007】
この構成によれば、各結合座部同士の溶着部を隠すことができるため、外観性を向上させることができる。
【0008】
請求項3に記載した発明は、前記ポンプホルダにコネクタジョイント(例えば実施例のコネクタジョイント49)が差し込まれて溶着されると共に、その差込溶着部(例えば実施例の差込溶着部58)がテーパ形状を有することを特徴とする。
【0009】
この構成によれば、コネクタジョイントをポンプホルダに差し込む際、テーパ形状の差込溶着部がガイドになってコネクタジョイントのセンタリングがなされると共に、コネクタジョイントをポンプホルダ側に押し込むことで、差込溶着部とポンプホルダとの間に圧着荷重が有効に作用するため、均一でシール性の良好な溶着を容易に行うことができる。また、燃料配管継手部としてのコネクタジョイントを別体構成とすることで、ポンプホルダを単層にして材料費の減少を図ると共にコネクタジョイントの小型化を図ることができる。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載した発明によれば、燃料タンク外板に圧着荷重支持用の補強等を設けることなく、その剛性を適正化して設計の合理化を図ることができる。
請求項2に記載した発明によれば、各結合座部同士の溶着部を隠して外観性を向上させることができる。
請求項3に記載した発明によれば、差込溶着部とポンプホルダとの間において均一でシール性の良好な溶着を容易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、この発明の実施例について図面を参照して説明する。なお、以下の説明における前後左右等の向きは、特に記載が無ければ車両における向きと同一とする。また、図中矢印FRは車両前方を、矢印LHは車両左方を、矢印UPは車両上方をそれぞれ示す。
【実施例1】
【0012】
図1に示すように、自動二輪車1は、車体フレーム2と、車体フレーム2のヘッドパイプ3に取り付けたフロントフォーク4と、該フロントフォーク4に取り付けた前輪5と、フロントフォーク4に連結したハンドル6と、車体フレーム2の後部に上下にスイング可能に取り付けたユニットスイングエンジン7と、該ユニットスイングエンジン7に取り付けた後輪8と、ユニットスイングエンジン7の後端部を懸架したリアクッションユニット9と、車体フレーム2の後部上側に取り付けた収納ボックス10と、該収納ボックス10の上部開口を開閉可能なシート11とを有してなる。
【0013】
車体フレーム2は、ヘッドパイプ3を一体に形成したアルミダイキャスト製のフロントフレーム12と、その後方の同じくアルミダイキャスト製のリアフレーム13とを、低床フロア部14の後部内側に位置する連結部15にて連結した構成を有する。
ユニットスイングエンジン7は、エンジン(内燃機関)16と遠心クラッチ付きベルトコンバータ無段変速機17とを有する。エンジン16は水冷式四サイクルエンジンであり、そのシリンダ部分を収納ボックス10底部と低床フロア部14内側の燃料タンク30との間に臨ませるように略水平に傾斜させる。
【0014】
車体フレーム2の周囲を覆うボディカバー18は、ヘッドパイプ3周辺を前方から覆うフロントカバー19と、ヘッドパイプ3周辺を後方から覆うと共に運転者の脚部前方に張り出すレッグシールド20と、運転者の足を乗せる前記低床フロア部14上面のステップフロア21と、ステップフロア21の両側縁から下方に延びるフロアサイドカバー22と、両フロアサイドカバー22の下縁間を覆うアンダーカバー23と、シート11下回りの前部を覆うシート下部カバー24と、シート11下回りの後部及び後輪8の上方を覆うリアカバー25と、シート11下両側を覆う左右のサイドカバー26とを有する。前記燃料タンク30及びこれに内蔵される燃料ポンプ31は、ステップフロア21下に配置されている。
【0015】
図2に示すように、フロントフレーム12の下部は、低床フロア部14の骨格部材である左右一対のフロアサイドフレーム12sとして構成され、該両フロアサイドフレーム12s間の空間内に入り込むように燃料タンク30が配置される。この燃料タンク30の前端部及び後部両側部には、該燃料タンク30をフロントフレーム12にラバーマウントするためのマウント部32が突設される。
【0016】
燃料タンク30は、そのタンク本体33の上壁部中央のやや左側にタンク開口部34を有し、該タンク開口部34に前記燃料ポンプ31を支持するポンプホルダ35が一体に取り付けられると共に、上壁部後側の給油口36には、フィラーキャップ37が着脱可能に取り付けられて密閉された構成を有する。
図3に示すように、タンク本体33は、例えば高密度ポリエチレンを原料としてブロー成形により中空一体に形成されるもので、その内部にタンク開口部34から燃料ポンプ31を挿入可能である。
【0017】
燃料ポンプ31は、ポンプケース38内に収容された状態でポンプホルダ35に支持される。ポンプケース38は、ポンプホルダ35の下方に連接されるケースアッパ39とその下方のケースロア40とに分割構成され、これらが燃料ポンプ31を上下から挟み込むようにして互いに係合してなる。ポンプケース38(燃料ポンプ31)の底部はタンク本体33の底壁部に近接し、これらの間に配されたダンパーラバー41により弾性支持されることで、燃料ポンプ31が安定して支持されると共にその振動が緩和される。なお、図中符号42は燃料ポンプ31の燃料吸引口に装着されるサクションフィルタ、43は燃料切れ検出ユニットを、44は燃料切れ検出用フロートをそれぞれ示す。
【0018】
ポンプホルダ35は、そのホルダ本体45が例えば変性ポリオレフィンを原料としてインジェクション成形により円板状に形成されるもので、このホルダ本体45上には吐出ノズル部46が突設される。この吐出ノズル部46は、燃料ポンプ31の吐出口から上方へ延びる燃料通路を形成する上方延出部47と、前記燃料通路の上端部から後方へ延びる燃料通路を形成する後方延出部48とを有してなる。この吐出ノズル部46の後方延出部48には、前記エンジン16に向けて延びる燃料配管接続用のコネクタジョイント49が取り付けられる。また、ホルダ本体45上には、燃料ポンプ31及び燃料切れ検出ユニット43とメインハーネスとの接続用のカプラ50が一体に設けられる。
【0019】
ここで、ポンプホルダ35は、その外周部がタンク本体33のタンク開口部34に溶着されることで、タンク本体33に一体に固定されている。ポンプホルダ35の外周部には、フランジ状のホルダ側結合座部51が設けられると共に、タンク本体33のタンク開口部34には、その外縁から上方に延びる円筒状のリブ部53及び該リブ部53の上縁から外方に延びるフランジ部54からなるタンク側結合座部52が設けられる。
【0020】
ホルダ側結合座部51とタンク側結合座部52のフランジ部54とは上下方向で対向しており、ホルダ側結合座部51下面とタンク側結合座部52のフランジ部54上面とが加熱した状態で互いに当接し圧着されることで、これらが一体に溶着される。ここで、ホルダ側結合座部51の外縁には、タンク側結合座部52との溶着部分を外方から覆うべく下方に延びる円筒状の障立部55が設けられる。
【0021】
コネクタジョイント49は、前後方向に沿うノズル状のもので、例えばガラス繊維入り樹脂(強化ナイロン12)を原料としてなる。このコネクタジョイント49は、吐出ノズル部46の後方延出部48の後端から後方へ延びて燃料配管を差込可能とする配管差込部56と、該配管差込部56の基端外周に設けられる位置決めフランジ57と、配管差込部56の基端から前方に延びて後方延出部48内に差し込まれると共にこれに溶着される差込溶着部58とを有してなり、該差込溶着部58が後方延出部48に溶着されることで、コネクタジョイント49がホルダ本体45に一体に固定される。
【0022】
図4を併せて参照して説明すると、後方延出部48後端の燃料通路開口の周縁には座刳り部59が設けられており、後方延出部48にコネクタジョイント49を取り付けた状態において、差込溶着部58の基端部外周には、座刳り部59と位置決めフランジ57とに挟まれた環状空間59aが形成される。また、差込溶着部58は、前方に向けて先細りとなるテーパ形状を有しており、このような差込溶着部58のテーパ状の外周面に整合するように、後方延出部48の内周面も先細りのテーパ状とされている。
【0023】
この実施例における燃料タンク30は上述の構成を有しており、次に、ホルダ本体45にコネクタジョイント49を溶着固定する手順について説明する。
まず、図5(a)に示すように、ホルダ本体45をホルダ固定治具HJに取り付けて固定すると共に、コネクタジョイント49をジョイント固定治具JJに取り付ける。このとき、コネクタジョイント49とホルダ本体45の後方延出部48とは同一軸線上に配置される。
【0024】
次いで、図5(b)に示すように、コネクタジョイント49の差込溶着部58を差込可能な加熱部H1及びホルダ本体45の後方延出部48内に差込可能な加熱部H2を有するヒータJHを用いて、差込溶着部58外周及び後方延出部48内周を同時に加熱する。
【0025】
その後、図5(c)に示すように、ヒータJHを退避させて差込溶着部58を後方延出部48内に差し込む。このとき、差込溶着部58の外周面及び後方延出部48の内周面が互いに整合するテーパ状をなしているため、コネクタジョイント49を後方延出部48側に押し込むことで、差込溶着部58と後方延出部48とが押し付けられ、これらの間に圧着荷重が生じて良好に溶着される。
【0026】
ジョイント固定治具JJは、コネクタジョイント49の燃料通路内に挿通されるガイドロッドGRを有する。このガイドロッドGRは、配管差込部56の先端から差込溶着部58の先端まで貫通してさらに突出する長さを有しており、差込溶着部58と後方延出部48との間に圧着荷重が作用した際にも燃料通路を縮小させることなく、かつ差込溶着部58の先端開口への溶融樹脂の回り込みを防止してその孔形状を維持する。
【0027】
コネクタジョイント49は、その位置決めフランジ57が後方延出部48後端に当接するまで押し込まれる。このとき、差込溶着部58と後方延出部48とが圧着される際にはみ出す余剰樹脂は、差込溶着部58先端側においては上方延出部47の燃料通路内に、位置決めフランジ57側においては前記環状空間59a内に流入することとなり、ポンプホルダ35外部には漏出しないようになっている(図6参照)。
【0028】
次に、タンク本体33にポンプホルダ35を溶着する際の手順について説明する。
まず、図7(a)及び図8に示すように、タンク本体33のタンク側結合座部52外周に整合する半円状の切り欠き部(以下、フランジ支持部FSという)を有する一対のタンク固定治具TJを用いて、そのフランジ支持部FSをフランジ部54下に差し込むと共にタンク側結合座部52外周に整合させるようにしてこれを挟み込むことでタンク本体33を固定する。
【0029】
次いで、図7(b)及び図8に示すように、半円状の加熱部H3を有する二分割ヒータHHを用いて、その加熱部H3をタンク側結合座部52とホルダ側結合座部51とで挟み込むようにしてポンプホルダ35をタンク本体33のタンク開口部34に装着し、加熱部H3下面をフランジ部54上面に当接させると共に上面をホルダ側結合座部51下面に当接させることで、フランジ部54とホルダ側結合座部51とを同時に加熱する。
【0030】
その後、図7(c)及び図8に示すように、二分割ヒータHHを退避させ、フランジ部54上面とホルダ側結合座部51下面とを当接させてこれらを互いに押し付けて圧着する。このとき、フランジ部54下にフランジ支持部FSが差し込まれてこれを支持しているので、前記圧着時の荷重がタンク本体33の外板に入力されることはない。
最後に、タンク固定治具TJを退避させてポンプホルダ35が一体に溶着されたタンク本体33を取り出すことで、これらの溶着工程が完了する。
【0031】
以上説明したように、上記実施例における燃料タンク構造は、エンジン16に燃料を送る燃料ポンプ31をポンプホルダ35によって内部に保持する樹脂製の燃料タンク30に適用されるものであって、燃料ポンプ31を内側に臨むタンク開口部34と、該タンク開口部34に設けられるタンク側結合座部52と、該タンク側結合座部52に対応してポンプホルダ35に設けられるホルダ側結合座部51とを備え、タンク側結合座部52がフランジ部54を有し、該フランジ部54にホルダ側結合座部51が溶着されるものである。
【0032】
この構成によれば、フランジ部54を治具等で支持した状態で燃料タンク30とポンプホルダ35とを溶着することが可能となり、該溶着時の燃料タンク30外板への圧着荷重が小さくなるため、燃料タンク30外板に圧着荷重支持用の補強等を設けることなく、その剛性を適正化して設計の合理化を図ることができる。
【0033】
また、上記燃料タンク構造においては、ホルダ側結合座部51が、タンク側結合座部52との溶着部外周を覆う障立部55を有することで、各結合座部同士の溶着部を隠すことができるため、外観性を向上させることができる。なお、障立部55はタンク側結合座部52に設けてもよく、また両結合座部51,52に設けた構成であってもよい。
【0034】
さらに、上記燃料タンク構造においては、ポンプホルダ35にコネクタジョイント49が差し込まれて溶着されると共に、その差込溶着部58がテーパ形状を有することで、コネクタジョイント49をポンプホルダ35に差し込む際、テーパ形状の差込溶着部58がガイドになってコネクタジョイント49のセンタリングがなされると共に、コネクタジョイント49をポンプホルダ35側に押し込むことで、差込溶着部58とポンプホルダ35との間に圧着荷重が有効に作用するため、均一でシール性の良好な溶着を容易に行うことができる。
【実施例2】
【0035】
次に、この発明の第二実施例について説明する。
この実施例は、前記第一実施例に対して、タンク本体上壁部を全面に渡って開放するタンク開口部とし、該タンク開口部を閉塞するべくタンク本体上壁部を構成するポンプホルダを設けた点を主として異なるもので、前記第一実施例と対応する部分には同一符号を付してその説明を省略する。
【0036】
図9に示すように、この実施例における燃料タンク60のタンク本体61は、例えば高密度ポリエチレンを原料としてインジェクション成形により中空に形成されるものである。一方、タンク本体61のタンク開口部62に取り付けられるポンプホルダ63は、そのホルダ本体64が例えば変性ポリオレフィンを原料としてインジェクション成形により中空扁平状に形成されるものである。
【0037】
ポンプホルダ63の略中央下方には、ポンプケース38を介して燃料ポンプ31が支持される。燃料ポンプ31の底部は、タンク本体61の底壁部に一体形成された中空の台座部65により支持される。そして、タンク本体61及びポンプホルダ63が燃料ポンプ31を収容した状態で一体に溶着されることで、密閉された燃料タンク60が構成される。
【0038】
ホルダ本体45における燃料ポンプ31の吐出口に対応する部位には、コネクタジョイント49が一体に溶着固定される吐出ノズル部66が設けられる。該吐出ノズル部66におけるコネクタジョイント49の差込溶着部58が差し込まれる部位の内周面は、差込溶着部58のテーパ状の外周面に整合するべく先細りのテーパ状とされている。なお、この構成が奏する作用効果は前記第一実施例と同様のものとしてその説明は省略する。
【0039】
タンク本体61のタンク開口部62には、フランジ部68としてのタンク側結合座部67が設けられると共に、ポンプホルダ63の外周部には、タンク側結合座部67(フランジ部68)と上下方向で対向するフランジ状のホルダ側結合座部69が設けられる。そして、タンク側結合座部67上面とホルダ側結合座部69下面とが加熱した状態で互いに当接し圧着されることで、これらが一体に溶着される。ここで、ホルダ側結合座部69のフランジ部68の外縁には、タンク側結合座部67との溶着部分を外方から覆うべく下方に延びる障立部70が設けられる。
【0040】
タンク本体61にポンプホルダ63を溶着する際には、前記第一実施例と同様、タンク固定治具を用いてタンク本体61をタンク側結合座部67(フランジ部68)下から支持し、ヒータを用いてタンク側結合座部67上面とホルダ側結合座部69下面とを加熱した後、タンク側結合座部67とホルダ側結合座部69とを互いに押し付けて圧着する。このときの圧着荷重は、前記タンク固定治具に支持されてタンク本体61外板に入力されることはない。
【0041】
以上説明したように、上記第二実施例における燃料タンク構造においても、タンク本体61とポンプホルダ63との溶着時の燃料タンク60外板への圧着荷重が小さくなるため、燃料タンク60外板の剛性を適正化して設計の合理化を図ることができると共に、各結合座部67,69同士の溶着部を隠して外観性を向上させることができる。
【0042】
なお、この発明は上記実施例に限られるものではなく、例えば図10に示す燃料タンク30’のように、例えば前記ポンプホルダ35及びポンプケース38において、前記カプラ50から燃料ポンプ31及び検出ユニット43に至る配線HNをインサート成形すると共にカプラ50等をも一体成形した構成とすれば、これらの組み立て工数を大幅に削減することが可能である。このとき、ポンプホルダ35及びポンプケース38は、導電性がよく帯電し難い変性ポリエチレンであることが好ましい。ここで、上記燃料タンク30’は第一実施例の燃料タンク30に対応するものとしたが、これを第二実施例の燃料タンク60に対応するものとしてもよい。
【0043】
また、上記各実施例においては、タンク本体33,61及びホルダ本体45,64をポリエチレンやポリオレフィンからなる単層構造としたが、これを例えば内周層をナイロン、外周層をポリエチレンとした二層構造としてもよい。
そして、上記各実施例における構成はこの発明の一例であり、該発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能であることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】この発明の実施例における自動二輪車の側面図である。
【図2】上記自動二輪車の燃料タンク搭載部位を示す斜視図である。
【図3】上記燃料タンクの断面説明図である。
【図4】図3の要部拡大図である。
【図5】上記燃料タンクのポンプホルダにコネクタジョイントを溶着する際の工程説明図であり、(a)は第一工程、(b)は第二工程、(c)は第三工程をそれぞれ示す。
【図6】図5(c)の要部拡大図である。
【図7】上記燃料タンクのタンク本体にポンプホルダを溶着する際の工程説明図であり、(a)は第一工程、(b)は第二工程、(c)は第三工程をそれぞれ示す。
【図8】図7(b)のA−A断面図である。
【図9】この発明の第二実施例における燃料タンクの断面説明図である。
【図10】上記各実施例の応用例を示す図3に相当する断面説明図である。
【符号の説明】
【0045】
16 エンジン(内燃機関)
30,60 燃料タンク
31 燃料ポンプ
34,62 タンク開口部
35,63 ポンプホルダ
49 コネクタジョイント
51,69 ホルダ側結合座部
52,67 タンク側結合座部
54,68 フランジ部
55,70 障立部
58 差込溶着部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関に燃料を送る燃料ポンプをポンプホルダによって内部に保持する樹脂製の燃料タンクの構造において、前記燃料ポンプを内側に臨むタンク開口部と、該タンク開口部に設けられるタンク側結合座部と、該タンク側結合座部に対応して前記ポンプホルダに設けられるホルダ側結合座部とを備え、前記タンク側結合座部がフランジ部を有し、該フランジ部に前記ホルダ側結合座部が溶着されることを特徴とする燃料タンク構造。
【請求項2】
前記各結合座部の少なくとも一方が、これらの溶着部の外周を覆う障立部を有することを特徴とする請求項1に記載の燃料タンク構造。
【請求項3】
前記ポンプホルダにコネクタジョイントが差し込まれて溶着されると共に、その差込溶着部がテーパ形状を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の燃料タンク構造。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−8316(P2007−8316A)
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−191557(P2005−191557)
【出願日】平成17年6月30日(2005.6.30)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】