説明

燃料電池用セパレータの製造方法

【課題】 強度、耐食性に優れ、接続抵抗が小さい燃料電池用のセパレータの製造方法を提供する。
【解決手段】 金属板材2′にエッチング加工を施して所望の形状の金属基体2とする工程と、この金属基体2の少なくともエッチング加工を施した部位3に研磨処理を施して、金属基体2の表面状態を平均粗さRaが2.5μm以下、平均粗さRzが10μm以下とする工程と、金属基体2を被覆するように、ニッケル、パラジウム、白金、銅、銀、金、ルテニウム、ルビジウム、亜鉛、鉛、錫、あるいはこれらの金属の合金の少なくとも1種からなる中間層4を形成する工程と、この中間層4上に、電着性を有する樹脂中に導電材料を分散させた電着液を用いて電着にて樹脂層5を形成する工程と、を有するものとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池用セパレータの製造方法に係り、特に固体高分子電解質膜の両側に電極を配した単位セルを複数個接続した燃料電池の各単位セルに使用するセパレータの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池は、簡単には、外部より燃料(還元剤)と酸素または空気(酸化剤)を連続的に供給し、電気化学的に反応させて電気エネルギーを取り出す装置で、その作動温度、使用燃料の種類、用途などで分類される。また、最近では、主に使用される電解質の種類によって、大きく、固体酸化物型燃料電池、溶融炭酸塩型燃料電池、リン酸型燃料電池、固体高分子電解質型燃料電池、アルカリ水溶液型燃料電池の5種類に分類させるのがー般的である。
これらの燃料電池は、メタン等から生成された水素ガスを燃料とするものであるが、最近では、燃料としてメタノール水溶液をダイレクトに用いるダイレクトメタノール型燃料電池(以下、DMFCとも言う)も知られている。
このような燃料電池のなかで、固体高分子膜を2種類の触媒で挟み込み、更に、これらの部材をガス拡散層(GDL:Gas Diffusion Layer)とセパレータで挟んだ構成の固体高分子型燃料電池(以下、PEFCとも言う)が注目されている。
【0003】
このPEFCにおいては、固体高分子電解質膜の両側に、空気極(酸素極)、燃料極(水素極)を配置した単位セルを、所望の起電力を得るために、複数個積層したスタック構造、あるいは、平面状に複数個を直列に接続した構造がとられている。例えば、上記のスタック構造の場合、単位セル間に配設されるセパレータは、そのー方の面に、隣接するー方の単位セルに燃料ガスを供給するための燃料ガス供給用溝部が形成され、他方の面に、隣接する他方の単位セルに酸化剤ガスを供給するための酸化剤ガス供給用溝部が形成されている。
このようなセパレータとしては、コスト、強度の点から、金属製のセパレータが好ましいが、耐食性に問題があった。このため、金属基材に導電性の電着塗膜を形成して被覆することにより耐食性を付与した金属セパレータが開発されている(特許文献1、2、3)。
【特許文献1】特開2004−31166号公報
【特許文献2】特開2003−249240号公報
【特許文献3】特開2004−197225号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような金属セパレータでは、燃料電池に組み込まれたときに、燃料ガス、あるいは、酸化剤ガスを供給するための流路となる溝部や貫通孔等を金属基材が有している必要がある。このような金属基材の加工をエッチングで行った場合、エッチング加工面は粗面化されて凹凸形状となり、導電性の電着塗料を用いて電着した際に、粗面の凸部で表面電位が高くなり水素の発生量が増大して電着塗料の付き回りが悪くなる。このため、金属基材が電着塗膜で完全に被覆されずに露出することがあり、耐食性の低下を来すという問題があった。このような問題は、金属基材が銅、アルミニウムの場合により多く起こり、特にアルミニウムでは顕著である。
本発明は、上記のような実情に鑑みてなされたものであり、強度、耐食性に優れ、接続抵抗が小さい燃料電池用のセパレータの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このような目的を達成するために、本発明の燃料電池用セパレータの製造方法は、金属板材にエッチング加工を施して所望の形状の金属基体とする工程と、該金属基体の少なくとも前記エッチング加工を施した部位に研磨処理を施して、前記加工部位を含む金属基体の表面を平均粗さRaが2.5μm以下、平均粗さRzが10μm以下の状態とする工程と、前記金属基体を被覆するように、ニッケル、パラジウム、白金、銅、銀、金、ルテニウム、ルビジウム、亜鉛、鉛、錫、あるいはこれらの金属の合金の少なくとも1種からなる中間層を形成する工程と、該中間層上に、電着性を有する樹脂中に導電材料を分散させた電着液を用いて電着にて樹脂層を形成する工程と、を有するような構成とした。
【0006】
本発明の他の態様として、前記エッチング加工により、少なくとも一方の面に溝部を有する金属基体を作製するような構成とした。
本発明の他の態様として、前記エッチング加工により、複数の貫通孔を有する金属基体を作製するような構成とした。
本発明の他の態様として、前記研磨処理は、化学研磨、電解研磨、および、機械研磨のいずれかであるような構成とした。
本発明の他の態様として、前記中間層として、同種または異種の材料からなる多層構造の中間層を形成するような構成とした。
本発明の他の態様として、前記金属板材として、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金、チタン、チタン合金、マグネシウム、マグネシウム合金、ステンレス鋼のいずれかを使用するような構成とした。
本発明の他の態様として、前記導電材料として、カーボン粒子、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、カーボンナノホーン、耐食性金属の少なくとも1種を使用するような構成とした。
【発明の効果】
【0007】
本発明では、金属基体の少なくともエッチング加工を施した部位に研磨処理を施して、金属基体の表面状態を平均粗さRaが2.5μm以下、平均粗さRzが10μm以下とするので、金属基体は中間層、導電性の樹脂層によって被覆され、優れた耐食性と高い強度を具備するセパレータの製造が可能である。また、金属基体と導電性の樹脂層との間に、ニッケル、パラジウム、白金、銅、銀、金、ルテニウム、ルビジウム、亜鉛、鉛、錫、あるいはこれらの金属の合金の少なくとも1種からなる中間層を介在させるので、金属基体と樹脂層との接続抵抗が小さく、燃料電池の発電能力向上が可能なセパレータを製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
まず、本発明の燃料電池用セパレータの製造方法で製造されたセパレータについて説明する。
図1は本発明の燃料電池用セパレータの製造方法で製造されたセパレータの一例を示す部分断面図である。図1において、本発明の燃料電池用セパレータの製造方法で製造されたセパレータ1は、金属基体2と、この金属基体2の両面に形成された溝部3と、金属基体2の両面を被覆するように中間層4を介して電着により形成された樹脂層5とを備えており、樹脂層5は導電材料を含有するものである。金属基体2が有する溝部3は、セパレータ1が燃料電池に組み込まれたときに、一方が、隣接する単位セルに燃料ガスを供給するための燃料ガス供給用溝部となり、他方が、隣接する別の単位セルに酸化剤ガスを供給するための酸化剤ガス供給用溝部となるものである。また、溝部3の一方が燃料ガス供給用溝部、酸化剤ガス供給用溝部のいずれかとなり、他方が冷却水用溝となるものであってもよい。さらに、金属基体2の一方の面のみに溝部3を備えるものであってもよい。このような溝部3の形状は、特に制限はなく、蛇行した連続形状、櫛形状等であってよく、また、深さ、幅、断面形状も特に制限はない。また、金属基体2の表裏で、溝部3の形状が異なるものであってもよい。
【0009】
また、図2は本発明の燃料電池用セパレータの製造方法で製造されたセパレータの他の例を示す部分断面図である。図2において、本発明の燃料電池用セパレータの製造方法で製造されたセパレータ11は、金属基体12と、この金属基体12に形成された複数の貫通孔13と、これらの貫通孔13の内壁面を含む金属基体12の両面を被覆するように中間層14を介して電着により形成された樹脂層15とを備え、樹脂層15は導電材料を含有している。金属基体12が有する貫通孔13は、セパレータ11が燃料電池に組み込まれたときに、燃料ガス、あるいは、酸化剤ガスを単位セルに供給するための流路となるものである。このような貫通孔13の大きさ、個数、配設密度には特に制限はない。
【0010】
次に、本発明の燃料電池用セパレータの製造方法について説明する。
図3は、図1に示されるセパレータ1を例として本発明の燃料電池用セパレータの製造方法を説明するための工程図である。図3において、金属板材2′の両面にフォトリソグラフィーにより所望のパターンでレジスト7,7を形成し(図3(A))、このレジスト7,7をマスクとして両面から金属板材2′をエッチングして溝部3,3を形成する(図3(B))。その後、レジスト7,7を剥離して金属基体2を得る(図3(C))。
金属板材2′の材質は、電気導電性が良く、所望の強度が得られ、加工性の良いものが好ましく、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金、チタン、チタン合金、マグネシウム、マグネシウム合金、ステンレス鋼等が挙げられる。
金属板材2′のエッチングに使用するエッチング液は、使用する金属板材2′の材質、加工形状等を考慮して適宜選定することができ、例えば、塩化第二鉄水溶液、硝酸、フッ化アンモニウム、フッ酸、塩化銅、水酸化ナトリウム等を挙げることができる。
【0011】
次に、金属基体2に研磨処理を施して、溝部3を含む金属基体2の表面状態を平均粗さRaが2.5μm以下、好ましくは0.1〜1μm、平均粗さRzが10μm以下、好ましくは0.5〜5μmとする。ここで、平均粗さRaは高さの絶対値の算術平均であり、また、平均粗さRzは10点平均粗さであって、最高の山頂から高い順に5番目までの山高さの平均と谷底から深い順に5番目までの谷深さの平均の和である。本発明では、このような平均粗さRa、平均粗さRzを(株)菱化システム製 VertScan2.0で測定する。
【0012】
金属基体2に施す上記の研磨処理は、例えば、化学研磨、電解研磨、機械研磨により行うことができる。平均粗さRaと平均粗さRzのいずれか一方でも上記の範囲を超える場合には、後工程で中間層4が形成されても凹凸形状が残り、その後の電着による導電性の樹脂層5の形成時に、粗面の凸部で表面電位が高くなり水素の発生量が増大して電着液の付き回りが悪くなり、金属基体2と中間層4が、導電性の樹脂層5によって被覆されない部位が生じ耐食性低下を来すおそれがある。
尚、金属基体2のエッチング加工が施された部位を除く表面状態が、上述の条件を満足している場合には、エッチング加工を施した部位のみに研磨処理を施してもよく、例えば、上述のレジスト7,7の剥離を行う前に溝部3のみに研磨処理を施してもよい。
【0013】
次に、この金属基体2の両面に中間層4を形成する(図3(D))。この中間層4は、金属基体2に不動態膜あるいは酸化膜が生じることを防止し、また、後工程で形成される樹脂層5と金属基体2との接続抵抗を低減することを目的として形成される。中間層4の形成は、スパッタリング、真空蒸着、イオンプレーティング等の真空成膜法、電解めっき法、無電解めっき法等により行うことができ、金属基体2が不動態膜あるいは酸化膜を表面に有する場合には、これらの薄膜を除去した後に行う。また、中間層4の材質は、例えば、ニッケル、パラジウム、白金、銅、銀、金、ルテニウム、ルビジウム、亜鉛、鉛、錫、あるいは、錫ニッケル合金のような上記金属の合金を挙げることができ、これらの1種を単独で使用してもよく、また、2種以上の材料を任意に組み合わせて、例えば、ニッケル/金等のような積層構造としてもよい。形成する中間層4の厚みは、例えば、0.003〜5μm程度の範囲で適宜設定することができる。中間層4の厚みが0.003μm未満であると、上記のような作用が十分に発現されず、また、厚みが5μmを超えると、貴金属の使用によるコストアップ要因となったり、生産のサイクルタイムが長くなり好ましくない。
【0014】
次いで、中間層4上に、電着性を有する各種アニオン性、またはカチオン性の合成高分子樹脂中に導電材料を分散させた電着液を用いて電着により成膜し、その後、硬化させて樹脂層5を形成する(図3(E))。このように形成された樹脂層5は、良好な導電性と高い耐食性を具備したものとなり、厚みは、0.1〜100μm、好ましくは3〜30μmの範囲とすることができる。樹脂層5の厚みが0.1μm未満であると、ピンホール等の発生により、良好な耐食性が確保できないことがあり、100μmを超えると、乾燥固化後のヒビ割れ等の発生や、生産性の低下、コスト高といった問題が発生し好ましくない。これにより、セパレータ1が得られる。
【0015】
樹脂層5の形成に用いる電着液を構成するアニオン性合成高分子樹脂としては、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、マレイン化油樹脂、ポリブタジエン樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂等を挙げることができ、これらを単独で、あるいは任意の組み合わせによる混合物として使用することができる。また、上記のアニオン性合成高分子樹脂とメラミン樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂等の架橋性樹脂とを併用してもよい。一方、カチオン性合成高分子樹脂としては、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂等を挙げることができ、これらを単独で、あるいは任意の組み合わせによる混合物として使用することができる。また、上記のカチオン性合成高分子樹脂とポリエステル樹脂、ウレタン樹脂等の架橋性樹脂とを併用してもよい。
また、上記の電着性を有する合成高分子樹脂に粘着性を付与するために、ロジン系、テルペン系、石油樹脂等の粘着性付与樹脂を必要に応じて電着液に添加してもよい。
【0016】
このような電着性の合成高分子樹脂は、アルカリ性または酸性物質により中和して水に可溶化された状態、あるいは水分散状態で電着に供される。すなわち、アニオン性合成高分子樹脂は、トリメチルアミン、ジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン等のアミン類、アンモニア、苛性カリ等の無機アルカリで中和する。また、カチオン性合成高分子樹脂は、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、乳酸等の酸で中和する。そして、中和された水可溶の高分子樹脂は、水分散型または溶解型として水に希釈された状態で使用される。
【0017】
樹脂層5に含有される導電材料としては、例えば、カーボン粒子、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、カーボンナノホーン等のカーボン素材、耐食性金属等が挙げられるが、耐酸性かつ導電性が所望のものが得られれば、これらの導電材料に限定されない。特に、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、カーボンナノホーン等の微細繊維状炭素材料は、樹脂層5に導電性を付与するために好適である。このような導電材料の樹脂層5における含有量は、樹脂層5に要求される導電性に応じて適宜設定することができ、例えば、30〜90重量%の範囲で設定することができる。
【0018】
尚、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、カーボンナノホーン等の微細繊維状炭素材料は、ナノテクノロジーの素材として、複合材料、電子デバイス等の種々の分野に適用が期待されているものであり、これらをフィラーとして複合材料に用いた場合には、これらが有する物性を複合材料に付与することができる。例えば、カーボンナノチューブは、導電性、耐酸性、加工性、機械的強度等の面で優れており、フィラーとして複合材料に用いられた場合には、このようなカーボンナノチューブの優れた物性を複合材料に付与することができる。
【0019】
図4は、図2に示されるセパレータ11を例として本発明の燃料電池用セパレータの製造方法を説明するための工程図である。図4において、金属板材12′の両面にフォトリソグラフィーにより所望のパターンでレジスト17,17を形成する(図4(A))。このレジスト17,17は複数の開口部を有し、各開口部は金属板材12′を介して対向するように位置している。次いで、レジスト17,17をマスクとして両面から金属板材12′をエッチングして複数の貫通孔13を穿設する(図4(B))。その後、レジスト17,17を剥離して金属基体12を得る(図4(C))。
金属板材12′の材質は上述の金属板材2′と同様とすることでき、電気導電性が良く、所望の強度が得られ、加工性の良いものが好ましく、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金、チタン、チタン合金、マグネシウム、マグネシウム合金、ステンレス鋼等が挙げられる。
【0020】
次に、金属基体12に研磨処理を施して、貫通孔13の内壁面を含む金属基体12の表面状態を平均粗さRaが2.5μm以下、好ましくは0.1〜1μm、平均粗さRzが10μm以下、好ましくは0.5〜5μmとする。金属基体12に施す研磨処理は、上述の金属基体2に施す研磨処理と同様にして行うことができる。また、金属基体12のエッチング加工が施された部位を除く表面状態が、上述の条件を満足している場合には、エッチング加工を施した部位のみに研磨処理を施してもよく、例えば、上述のレジスト17,17の剥離を行う前に貫通孔13の内壁面のみに研磨処理を施してもよい。
次に、貫通孔13の内壁面を含む金属基体12に中間層14を形成する(図4(D))。この中間層14の形成は、金属基体2が不動態膜あるいは酸化膜を表面に有する場合には、これらの薄膜を除去した後に行う。中間層14の形成は、上述の中間層4の形成と同様に行うことができる。
次いで、中間層14上に、電着性を有する各種アニオン性、またはカチオン性の合成高分子樹脂中に導電材料を分散させた電着液を用いて電着により成膜し、その後、硬化させて樹脂層15を形成する(図4(E))。これにより、セパレータ11が得られる。
【0021】
このような本発明では、金属基体2,12の少なくともエッチング加工を施した部位に研磨処理を施して、金属基体2,12の表面を平均粗さRaが2.5μm以下、平均粗さRzが10μm以下の状態とするので、金属基体2,12は中間層4,14、導電性の樹脂層5,15によって被覆され、優れた耐食性と高い強度を具備するセパレータの製造が可能である。また、金属基体2,12と導電性の樹脂層5,15との間に、ニッケル、パラジウム、白金、銅、銀、金、ルテニウム、ルビジウム、亜鉛、鉛、錫、あるいはこれらの金属の合金の少なくとも1種からなる中間層4,14を介在させるので、金属基体2,12と樹脂層5,15との接続抵抗が小さく、燃料電池の発電能力向上が可能なセパレータを製造することができる。
上述の燃料電池用セパレータの製造方法の実施形態は例示であり、本発明はこれらの実施形態に限定されない。
【0022】
ここで、本発明の燃料電池用セパレータの製造方法で製造されたセパレータを用いた高分子電解質型燃料電池の一例を、図5〜図8を参照して説明する。図5は高分子電解質型燃料電池の構造を説明するための部分構成図であり、図6は高分子電解質型燃料電池を構成する膜電極複合体を説明するための図であり、図7および図8は、それぞれ高分子電解質型燃料電池のセパレータと膜電極複合体を離間させた状態を異なった方向から示す斜視図である。
図5〜図8において、高分子電解質型燃料電池21は、膜電極複合体(MEA:Membrane-Electrode Assembly)31とセパレータ41とからなる単位セルが複数個積層されたスタック構造を有している。
MEA31は、図6に示されるように、高分子電解質膜32の一方の面に配設された触媒層33とガス拡散層(GDL:Gas Diffusion Layer)34とからなる燃料極(水素極)35と、高分子電解質膜32の他方の面に配設された触媒層36とガス拡散層(GDL:Gas Diffusion Layer)37とからなる空気極(酸素極)38を備えている。
【0023】
セパレータ41は、一方の面に燃料ガス供給用溝部43aを備え、他方の面に酸化剤ガス供給用溝部44aを備えたセパレータ41Aと、一方の面に燃料ガス供給用溝部43aを備え、他方の面に冷却水用溝部44bを備えたセパレータ41Bと、一方の面に冷却水用溝部43bを備え、他方の面に酸化剤ガス供給用溝部44aを備えたセパレータ41Cとからなっている。このようなセパレータ41A,41B,41Cは、本発明の燃料電池用セパレータの製造方法で製造されたセパレータであり、その両面に、図1に示されるような中間層4と樹脂層5が形成されているが、図示例では、省略している。
【0024】
各セパレータ41A,41B,41Cと上記の高分子電解質膜32の所定位置には、2個の燃料ガス供給孔45a,45b、2個の酸化剤ガス供給孔46a,46b、2個の冷却水供給孔47a,47bが貫通孔として形成されている。そして、セパレータ41Aの酸化剤ガス供給用溝部44aが形成されている面に、MEA31の空気極(酸素極)38が当接し、セパレータ41Bの燃料ガス供給用溝部43aが形成されている面に、MEA31の燃料極(水素極)35が当接するように、また、セパレータ41Bの冷却水用溝部44bが形成された面とセパレータ41Cの冷却水用溝部43bが形成された面とが当接するように、各セパレータ41A,41B,41Cと単位セルであるMEA31が積層され、この繰り返しで高分子電解質型燃料電池21が構成されている。このように積層された状態で、上記の2個の燃料ガス供給孔45a,45bはそれぞれ積層方向に貫通する燃料ガスの供給路を形成し、2個の酸化剤ガス供給孔46a,46bはそれぞれ積層方法に貫通する酸化剤ガスの供給路を形成し、2個の冷却水供給孔47a,47bはそれぞれ積層方向に貫通する冷却水の供給路を形成している。
【0025】
また、本発明の燃料電池用セパレータの製造方法で製造されたセパレータを用いた高分子電解質型燃料電池の他の例を、図9〜図11を参照して説明する。図9は高分子電解質型燃料電池の構造を説明するための平面図であり、図10は図9に示される高分子電解質型燃料電池のA−A線での縦断面図であり、図11は高分子電解質型燃料電池を構成する膜電極複合体を説明するための図である。
図9および図10に示されるように、高分子電解質型燃料電池51は、膜電極複合体(MEA:Membrane-Electrode Assembly)61とセパレータ71A,71Bとからなる単位セル52を平面状に複数個配列し、これらを電気的に直列に接続し、単位セルの個数分(図9では4個分)の電圧を取り出す高分子電解質型燃料電池である。また、各単位セル52の周りには、これと略同じ厚さの絶縁部55を設け、全体を平面状にしている。すなわち、平板状の絶縁部55のくり抜き部に単位セル52を嵌め込んだ状態とすることにより、単位セル52と絶縁部55とを平面状に設けているものである。
【0026】
この高分子電解質型燃料電池51は、絶縁部55のうち、隣接する単位セル間に位置する絶縁部55に、貫通してその表裏の接続を行うための表裏接続部57cを設けている。そして、この表裏接続部57cを、接続配線57aを介して、隣接する一方の単位セルのセパレータ71A(例えば、燃料極側セパレータ)に接続し、また、接続配線57bを介して、隣接する他方の単位セルのセパレータ71B(例えば、空気極側セパレータ)に接続している。これにより、隣接する単位セル間が電気的に直列に接続されている。そして、直列に接続された一方の端部に位置する単位セル52のセパレータ71Aと、他方の端部に位置する単位セル52のセパレータ71Bには、配線75,76が接続されている。
尚、図示例では単位セルの個数を4個としているが、単位セルの個数には制限はない。
【0027】
絶縁部55は、接続部57(接続配線57a,57bおよび表裏接続部57c)で接続される以外は、隣接する単位セル間を互いに絶縁するものである。このような絶縁部55の材質は、処理性、耐久性の面で優れたものであれば特に限定はされず、例えば、ガラスエポキシ、ポリイミド樹脂等が使用される。また、絶縁部55は、絶縁性材料のみからなるものでも、導電性材料を一部含むものでもよい。
接続部57の表裏接続部57cとしては、スルホール接続部、あるいは、充填ビア接続部、バンプ接続部のいずれかを、隣接する単位セル間に位置する絶縁部55中に設けたものとすることができる。これらの表裏接続部57cは、従来の配線基板技術の応用として形成できる。
【0028】
また、MEA61は、図11に示されるように、高分子電解質膜62の一方の面に配設された触媒層63とガス拡散層(GDL:Gas Diffusion Layer)64とからなる燃料極(水素極)65と、高分子電解質膜62の他方の面に配設された触媒層66とガス拡散層(GDL:Gas Diffusion Layer)67とからなる空気極(酸素極)68を備えている。
セパレータ71A,71Bは、本発明の燃料電池用セパレータの製造方法で製造された図2に示されるようなセパレータであり、複数の貫通孔を備えた金属基体に中間層を介して導電性の樹脂層を有するものである。
【実施例】
【0029】
次に、具体的な実施例を示して本発明を更に詳細に説明する。
[実施例1]
金属板材として、80mm×80mm、厚み0.8mmのアルミニウム合金(A5052P)を準備し、表面の脱脂処理を行った。
次に、このアルミニウム合金の両面に、ドライフィルムレジスト(ニチゴー・モートン(株)製)をラミネートして35μm厚の感光性レジスト層を形成し、その後、溝部形成用のフォトマスクを介して露光(5kW水銀灯により15秒間照射)、現像(30℃の2%炭酸水素ナトリウム水溶液をスプレー)してレジストを形成した。
次いで、上記のレジストを介してアルミニウム合金の両面から45℃に加熱した塩化第二鉄水溶液をスプレーして、所定の深さまでハーフエッチングを行った。その後、50℃の5%炭酸水素ナトリウム水溶液でレジストを剥離し、洗浄処理を施した。これにより、幅が1mm、深さが0.3mmのほぼ半円形状の断面を有し、振れ幅50mm、ピッチ2mmで蛇行した長さ1300mmの溝部を備えた金属基体を得た。
【0030】
次に、上記の金属基体に対して、下記の条件で研磨処理を施した。
(研磨処理条件)
・使用溶液 : リン酸系水溶液(ライキ(株)製 ピカ1)
・液温 : 90℃
・処理時間 : 60秒
この研磨処理前後の金属基体の平均粗さRaと平均粗さRzを、溝部内と、その他の部位に分けて(株)菱化システム製 VertScan2.0を用いて測定し、結果を下記の表1に示した。
次に、上記の金属基体に対して、硝酸水溶液を用いて前処理(不動態膜除去)を施し、水洗した。
【0031】
次に、上記の金属基体に対して、下記の条件で亜鉛置換処理を施して亜鉛合金層(厚み0.05μm)を、溝部を含めた金属基体上に形成した。
(亜鉛置換処理の条件)
・使用浴 : ジンケート浴(メルテックス(株)製 アルモンEN)
・液温 : 30℃
・処理時間 : 20秒
【0032】
次いで、亜鉛合金層上に、下記の電解めっき条件で銅めっき層(厚み1μm)、金めっき層(厚み0.05μm)を順次積層して、亜鉛/銅/金の3層構造からなる中間層(厚み1.1μm)を、溝部を含めた金属基体上に形成した。
(銅電解めっき条件)
・使用浴 : シアン化銅浴
・pH : 10.5
・電流密度 : 2A/dm2
・液温 : 40℃
(金電解めっき条件)
・使用浴 : アルカリ性高純度金めっき浴
・pH : 12
・電流密度 : 0.4A/dm2
・液温 : 60℃
【0033】
次いで、エポキシ電着液に、導電材料としてカーボンブラック(Cabot(株)製 Vulcan XC−72)を樹脂固形分に対して75重量%添加し分散させて、電着液とした。この電着液を20℃に保って撹拌し、この中に上記の金属基体を浸漬し、極間40mm、電圧50Vで1分間電着を行い、引き上げた金属基体を純水洗浄した。その後、ドライヤーで熱風乾燥(150℃、3分間)し、さらに、窒素雰囲気中で180℃、1時間の加熱硬化処理を施した。これにより、中間層上に厚み15μmの樹脂層が形成され、セパレータが得られた。
【0034】
尚、使用したエポキシ電着液は下記のようにして調製した。
まず、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル(エポキシ当量910)1000重量部を撹拌下に70℃に保ちながら、エチレングリコールモノエチルエーテル463重量部に溶解させ、さらに、ジエチルアミン80.3重量部を加えて100℃で2時間反応させてアミンエポキシ付加物(A)を調製した。
また、コロネートL(日本ポリウレタン(株)製 ジイソシアネート:NCO13%の不揮発分75重量%)875重量部にジブチル錫ラウレート0.05重量部を加え50℃に加熱し、これに2−エチルヘキサノール390重量部を添加し、その後、120℃で90分間反応させた。得られた反応生成物をエチレングリコールモノエチルエーテル130重量部で希釈した成分(B)を得た。
次に、上記のアミンエポキシ付加物(A)1000重量部と成分(B)400重量部からなる混合物を、氷酢酸30重量部で中和した後、脱イオン水570重量部を用いて希釈し、不揮発分50重量%の樹脂Aを調製した。この樹脂A200.2重量部(樹脂成分86.3容量)、脱イオン水583.3重量部、およびジブチル錫ラウレート2.4重量部を配合してエポキシ電着液を調製した。
【0035】
作製した上記のセパレータについて、耐食性を下記の方法で評価し、結果を下記の表1に示した。
(耐食性の評価方法)
作製したセパレータを用いて高分子電解質型燃料電池のシングルセルを組み、セル
温度80℃、フル加湿の条件下で、電流密度0.3A/cm2にて、2000時間
の連続発電を行い、セル電圧の劣化率を比較する。
評価基準
○ : 2000時間経過後の電圧劣化率が5%未満である。
△ : 2000時間経過後の電圧劣化率が5%以上、10%以下である。
× : 2000時間経過以前にセル電圧が10%以上劣化、もしくは、
発電が停止する。
【0036】
また、作製した上記のセパレータにおける表裏導通の電気抵抗を下記の方法で測定し、結果を下記の表1に示した。
(電気抵抗の測定方法)
セパレータをガス拡散層(東レ(株)製 TGP−H−060 190μm厚)
で両側から挟み込み、さらに、これらを銅に金めっきを施した厚さ5mmの電極
で挟み込んで圧着(圧力:20kgf/cm2)し、電極間の抵抗を測定する。
【0037】
[実施例2]
研磨処理の条件を変化させて、研磨処理後の金属基体の平均粗さRaと平均粗さRzを下記の表1に示すような値とした他は、実施例1と同様にして、セパレータを作製した。
このように作製した上記のセパレータについて、耐食性を実施例1と同様の方法で評価し、結果を下記の表1に示した。
また、作製したセパレータにおける表裏導通の電気抵抗を実施例1と同様の方法で測定し、結果を下記の表1に示した。
【0038】
[比較例1]
研磨処理の条件を変化させて、研磨処理後の金属基体の平均粗さRaと平均粗さRzを下記の表1に示すような値とした他は、実施例1と同様にして、セパレータを作製した。
このように作製した上記のセパレータについて、耐食性を実施例1と同様の方法で評価し、結果を下記の表1に示した。
また、作製したセパレータにおける表裏導通の電気抵抗を実施例1と同様の方法で測定し、結果を下記の表1に示した。
【0039】
[比較例2]
研磨処理の条件を変化させて、研磨処理後の金属基体の平均粗さRaと平均粗さRzを下記の表1に示すような値とした他は、実施例1と同様にして、セパレータを作製した。
このように作製した上記のセパレータについて、耐食性を実施例1と同様の方法で評価し、結果を下記の表1に示した。
また、作製したセパレータにおける表裏導通の電気抵抗を実施例1と同様の方法で測定し、結果を下記の表1に示した。
【0040】
[比較例3]
研磨処理の条件を変化させて、研磨処理後の金属基体の平均粗さRaと平均粗さRzを下記の表1に示すような値とした他は、実施例1と同様にして、セパレータを作製した。
このように作製した上記のセパレータについて、耐食性を実施例1と同様の方法で評価し、結果を下記の表1に示した。
また、作製したセパレータにおける表裏導通の電気抵抗を実施例1と同様の方法で測定し、結果を下記の表1に示した。
【0041】
[比較例4]
研磨処理を施さない他は、実施例1と同様にして、セパレータを作製した。
このように作製した上記のセパレータについて、耐食性を実施例1と同様の方法で評価し、結果を下記の表1に示した。
また、作製したセパレータにおける表裏導通の電気抵抗を実施例1と同様の方法で測定し、結果を下記の表1に示した。
【0042】
【表1】

【0043】
表1に示されるように、実施例1、2のセパレータは、耐食性に優れ、接続抵抗が小さいものである。
これに対して、比較例1〜3のセパレータは、接続抵抗は小さいものの、実施例1、2のセパレータに比べて耐食性が劣るものであった。このことから、平均粗さRaが2.5μmを超える、あるいは、平均粗さRzが10μmを超えるいずれか一方の場合でも、研磨処理は不十分であることが確認された。
また、研磨処理を施していない比較例4のセパレータでは、耐食性が劣り実用に供し得ないものであった。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、固体高分子電解質膜の両側に電極を配した単位セルを複数個接続した燃料電池の製造に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の燃料電池用セパレータの製造方法で製造されたセパレータの一例を示す部分断面図である。
【図2】本発明の燃料電池用セパレータの製造方法で製造されたセパレータの他の例を示す部分断面図である。
【図3】本発明の燃料電池用セパレータの製造方法の一実施形態を説明するための工程図である。
【図4】本発明の燃料電池用セパレータの製造方法の他の実施形態を説明するための工程図である。
【図5】本発明の燃料電池用セパレータの製造方法で製造されたセパレータを使用した高分子電解質型燃料電池の一例を説明するための部分構成図である。
【図6】図5に示される高分子電解質型燃料電池を構成する膜電極複合体を説明するための図である。
【図7】図5に示される高分子電解質型燃料電池のセパレータと膜電極複合体を離間させた状態を示す斜視図である。
【図8】図5に示される高分子電解質型燃料電池のセパレータと膜電極複合体を離間させた状態を図7とは異なった方向から示す斜視図である。
【図9】本発明の燃料電池用セパレータの製造方法で製造されたセパレータを使用した高分子電解質型燃料電池の他の例を説明するための部分構成図である。
【図10】図9に示される高分子電解質型燃料電池のA−A線での縦断面図である。
【図11】図9に示される高分子電解質型燃料電池を構成する膜電極複合体を説明するための図である。
【符号の説明】
【0046】
1,11…セパレータ
2′,12′…金属板材
2,12…金属基体
3…溝部
4,14…中間層
5,15…樹脂層
13…貫通孔
21,51…高分子電解質型燃料電池
31,61…膜電極複合体(MEA)
41A,41B,41C,71A,71B…セパレータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属板材にエッチング加工を施して所望の形状の金属基体とする工程と、該金属基体の少なくとも前記エッチング加工を施した部位に研磨処理を施して、前記加工部位を含む金属基体の表面を平均粗さRaが2.5μm以下、平均粗さRzが10μm以下の状態とする工程と、前記金属基体を被覆するように、ニッケル、パラジウム、白金、銅、銀、金、ルテニウム、ルビジウム、亜鉛、鉛、錫、あるいはこれらの金属の合金の少なくとも1種からなる中間層を形成する工程と、該中間層上に、電着性を有する樹脂中に導電材料を分散させた電着液を用いて電着にて樹脂層を形成する工程と、を有することを特徴とする燃料電池用セパレータの製造方法。
【請求項2】
前記エッチング加工により、少なくとも一方の面に溝部を有する金属基体を作製することを特徴とする請求項1に記載の燃料電池用セパレータの製造方法。
【請求項3】
前記エッチング加工により、複数の貫通孔を有する金属基体を作製することを特徴とする請求項1に記載の燃料電池用セパレータの製造方法。
【請求項4】
前記研磨処理は、化学研磨、電解研磨、および、機械研磨のいずれかであることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の燃料電池用セパレータの製造方法。
【請求項5】
前記中間層として、同種または異種の材料からなる多層構造の中間層を形成することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の燃料電池用セパレータの製造方法。
【請求項6】
前記金属板材として、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金、チタン、チタン合金、マグネシウム、マグネシウム合金、ステンレス鋼のいずれかを使用することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の燃料電池用セパレータの製造方法。
【請求項7】
前記導電材料として、カーボン粒子、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、カーボンナノホーン、耐食性金属の少なくとも1種を使用することを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の燃料電池用セパレータの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−9810(P2010−9810A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−165398(P2008−165398)
【出願日】平成20年6月25日(2008.6.25)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】