説明

燃料電池用水素供給装置の燃焼装置

【課題】簡易な構成で組立も容易でありながら、排ガス室からの漏れも二次空気の炎板周縁からの漏れも防止でき、安定燃焼ができる画期的な燃料電池用水素供給装置の燃焼装置を提供すること。
【解決手段】バーナ筒1内に配設する炎板2に設けた排ガス噴出孔9と連通状態にして炎板2に前記排ガス供給部4を排ガス室17を介して設け、この排ガス室17は、炎板2と重合する重合板部6に排ガス噴出孔9と連通する排ガス室形成用凹部7を設け、この排ガス室形成用凹部7と炎板2とで形成される構成とし、炎板2と重合板部6との間に板状のシール材10を介在し、このシール材10の周辺部を前記バーナ筒1に内接して前記排ガス室17の周縁部及び前記炎板2の周縁部をシールした燃料電池用水素供給装置の燃焼装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池に用いられる燃料電池用水素供給装置の燃焼装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
燃料電池は、水素を空気中の酸素と電気化学的に反応させることによって直接電気を発生させる装置であり、NOやCOの発生量が少ないことから、環境負荷が非常に小さいエネルギー源として注目されている。
【0003】
この水素を作る炭化水素等の原燃料(水素原料)、つまり燃料電池の燃料としては天然ガスやガソリン、灯油等種々検討されているが、家庭用分散型電源としては、全国各地に供給インフラが整っている炭化水素系燃料である灯油に期待が集まっている。
【0004】
図5は燃料電池で使用される水素の原料に灯油を採用した場合のシステムを表した図であって、脱硫部、改質反応を起こして水素主成分の改質ガスを生成する改質部、シフト反応部、CO選択酸化部により高純度の水素主成分の改質ガスを得、燃料電池の水素極に供給するように構成されている。
【0005】
改質部は、水素原料を気化させる気化器と、該気化器により気化された水素原料の改質を行う触媒層を有する構成であり、水素原料として灯油を用いた場合、この改質部には概ね800℃程度の作動温度が必要となる。そのため、燃料電池の起動時及び発電運転時の作動温度維持を目的とした、改質部を加熱するための燃焼部(燃焼装置)が不可欠となる。
【0006】
この燃焼部(燃焼装置)は、図4に示すように燃料電池の起動時には灯油等の炭化水素系燃料を燃焼させることで改質部を昇温させ、発電運転時には燃料電池の水素極より排出される水素極排出ガス(オフガス)を燃料として燃焼させることで、該改質部を所定の温度に維持する機能を有している。
【0007】
この燃焼装置は、例えば特開2007−120856号公報に示すように、バーナ筒の上部を閉塞するように炎板をバーナ筒内に配設し、気化器により気化した燃焼用ガスと一次空気とを混合した燃焼用混合ガスを炎板上に供給する混合ガス供給部を、炎板の中央に設けた混合ガス噴出孔に連通するように設けて、この混合ガスを炎板上に噴出し、この炎板上に立設した点火ロッドにより着火し燃焼させるように構成している。
【0008】
また、前述のように燃料電池の発電運転時には水素極より排出される排ガスをフィードバックさせる排ガス供給部を、炎板に設けた排ガス噴出孔と連通するように設けて、前記燃焼用混合ガスによる火炎を飛び火させて炎板上で切り替え燃焼させるように構成している。
【0009】
更に具体的に説明すると、バーナ筒下部に設けた気化器により灯油などの炭化水素系燃料を加熱気化した燃焼用ガスと、空気導入部から空気を取り込み空気室とするバーナ筒内の空気(一次空気)とを混合する混合部をバーナ筒内に設け、この混合部を混合ガス供給部としてこの上部と若しくはこれに連設する連設管部と前記炎板中央の混合ガス噴出孔が連通するように、この混合ガス供給部を炎板に連設している。
【0010】
また、バーナ筒に排ガスを導入する排ガス導入部と連設する排ガス供給管部を前記排ガス供給部として炎板に設けるが、この排ガス供給部と連通させて炎板上に排ガスを噴出する排ガス噴出孔は、前記炎板中央の混合ガス噴出孔を囲むように多数設け、発電運転時にこの排ガス燃焼に確実に切り替わるように構成している。
【0011】
また、この混合ガス噴出孔と近接させて空気室と連通する二次空気孔も炎板に設け、万一空気室に排ガスが漏れても空気で希釈され且つ排ガス噴出孔近くで二次空気と共に炎板上に供給されて確実に燃焼されるように構成している。
【0012】
また、この排ガス供給部は、直接炎板に設けず、前記炎板中央の混合ガス噴出孔を囲んで多数設けられる各排ガス噴出孔から排ガスが均一に噴出されるように排ガス室を介して設ける構成として、排ガスは排ガス供給部からこの排ガス室を介して排ガス噴出孔から炎板上に噴出される構成としている。
【0013】
即ち、具体的にはカップ状の排ガス室形成用凹部を設けた排ガス室形成用部材を、この凹部の上部開口部が炎板の排ガス噴出孔と連通状態となるように炎板下面に溶接し、この凹部に前記排ガス供給部を連設し、この凹部中央に混合ガス供給部を貫通配設する構成としている。
【0014】
そのため、この排ガス室からこの外部のバーナ筒内(空気室)に排ガスが漏れ出ないように、このカップ状の排ガス室形成用部材を前述のように炎板に溶接すると共に、この中央を貫通する混合ガス供給部とも溶接して、気密性を確保させなければならない構成としている。
【0015】
従って、それまでの構成に比べれば部品点数も少なく排ガス漏れも防止でき、万一排ガスが漏れても二次空気と共に炎板上に供給されて燃焼されるように構成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開2007−120856号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
しかしながら、前記排ガス室形成用部材と炎板との溶接工程は欠かせず、組立工数が増加すると共に、溶接不良も発生するおそれもある。
【0018】
また、このような構成では、もし炎板の周縁とバーナ筒の内面とに隙間が生じてしまうと、更にもし溶接不良により排ガス室の気密性が保たれていない場合には、この炎板周縁の隙間から二次空気と共に排ガスが炎板上に漏れ出るおそれがあり、また二次空気孔でなく炎板周縁から二次空気が漏れるため、安定燃焼に支障が生じるおそれもある。
【0019】
本発明は、このような問題点を簡易な構成で解決したもので、組立工数や部品コストを上昇させることなく、確実にバーナの気密性を確保できるもので、簡易な構成で組立も容易でありながら、排ガス室からの漏れも二次空気の炎板周縁からの漏れも防止でき、安定燃焼ができる画期的な燃料電池用水素供給装置の燃焼装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0021】
バーナ筒1内に配設する炎板2と、燃焼用ガスと一次空気とを混合した燃焼用混合ガスを前記炎板2上に供給する混合ガス供給部3と、燃料電池からの排ガスを前記炎板2上に供給する排ガス供給部4とを備えて、前記混合ガス供給部3から供給される前記混合ガスを前記炎板2上に噴出させて燃焼させると共に、燃料電池の発電運転時は前記排ガス供給部4から供給される前記排ガスを前記炎板2上に噴出させて燃焼させるように構成した燃料電池用水素供給装置の燃焼装置において、前記炎板2に設けた混合ガス噴出孔5と連通状態にして炎板2に前記混合ガス供給部3を設け、この炎板2に設けた排ガス噴出孔9と連通状態にして炎板2に前記排ガス供給部4を排ガス室17を介して設け、この排ガス室17は、前記炎板2と重合する重合板部6に前記排ガス噴出孔9と連通する排ガス室形成用凹部7を設け、この排ガス室形成用凹部7に前記排ガス供給部4を連通状態に設けた構成とし、前記炎板2と前記重合板部6との間に板状のシール材10を介在し、このシール材10の周辺部を前記バーナ筒1に内接して、このシール材10により前記炎板2と前記排ガス室形成用凹部7とで形成される前記排ガス室17の周縁部及び前記炎板2の周縁部をシールしたことを特徴とする燃料電池用水素供給装置の燃焼装置に係るものである。
【0022】
また、前記排ガス室形成用凹部7若しくは前記重合板部6を貫通する貫通孔8を設け、この貫通孔8に貫通配設した前記混合ガス供給部3を連設した前記炎板2と、前記排ガス供給部4に連設した前記排ガス室形成用凹部7の周囲に設けられた前記重合板部6とを、この間に前記シール材10を介在して重合した重合ユニット11を構成し、この重合ユニット11を前記バーナ筒1に挿入配設して前記シール材10の周辺部を前記バーナ筒1に内接し、このシール材10により前記排ガス室17の周縁部及び前記炎板2の周縁部をシールして炎板2の周縁部から炎板2上側へ排ガス及び二次空気が漏れないように構成したことを特徴とする請求項1記載の燃料電池用水素供給装置の燃焼装置に係るものである。
【0023】
また、前記シール材10は、前記炎板2の周縁部より突出する突出周辺部が、前記バーナ筒1の内面に密接する形状に構成したことを特徴とする請求項1,2のいずれか1項に記載の燃料電池用水素供給装置の燃焼装置に係るものである。
【0024】
また、前記シート材10は、円板状の前記炎板2よりも外径が大きく、且つ前記バーナ筒1の内径と同一若しくはやや大きい外径の円板状に構成したことを特徴とする請求項3記載の燃料電池用水素供給装置の燃焼装置に係るものである。
【0025】
また、前記シール材10は、無機繊維を主成分とした耐熱性のある屈曲弾性を有するシート材で構成したことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の燃料電池用水素供給装置の燃焼装置に係るものである。
【0026】
また、前記炎板2と前記重合板部6とを挟持手段12で締め付け挟持して、この間に前記シール材10を締め付け固定したことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の燃料電池用水素供給装置の燃焼装置に係るものである。
【0027】
また、前記バーナ筒1内の空気室13と連通して前記炎板2上に二次空気を供給する二次空気孔14を炎板2に設け、この二次空気孔14と連通する重合板部連通孔15を前記重合板部6に設け、この二次空気孔14及び重合板部連通孔15と連通するシール材連通孔16を前記シール材10に設けたことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の燃料電池用水素供給装置の燃焼装置に係るものである。
【発明の効果】
【0028】
本発明は上述のように構成したから、組立工数や部品コストを上昇させることなく、確実にバーナの気密性を確保できるもので、簡易な構成で組立も容易でありながら、排ガス室からの漏れも二次空気の炎板周縁からの漏れも防止でき、安定燃焼ができる画期的な燃料電池用水素供給装置の燃焼装置となる。
【0029】
また、請求項2記載の発明においては、混合ガス供給部を設けた炎板と、排ガス供給部を設けた排ガス室形成用凹部の周辺部の重合板部とをシール材を介して重合した重合ユニットを構成し、この重合ユニットをバーナ筒内に挿入配設することで、このシール材により排ガス室の気密性が保持されて排ガスの漏れが防止できると同時に、このシール材の周縁部がバーナ筒に内接若しくはシール材の周辺部が屈曲してバーナ筒に内接することで炎板周縁の気密性も保持されここからの二次空気の漏れも防止でき、組立ても一層容易にして一層簡易な構成でありながら、前記二つのシールが同時に簡単にして確実に行われる一層優れた燃料電池用水素供給装置の燃焼装置となる。
【0030】
また、請求項3,4記載の発明においては、一層容易に本発明を実現でき、極めて実用性に優れる。
【0031】
また、請求項5記載の発明においては、シール材の耐熱性が向上し、高温時でも弾性力を維持できるので一層気密性を確保できる。
【0032】
特にシール材の周辺部を屈曲させてバーナ筒に屈曲弾圧当接させる場合には、気密性が良好となる上、この屈曲復帰弾性力も維持できるので気密性が一層良好にして耐久性も優れることとなる。
【0033】
また、請求項6記載の発明においては、更に一層気密性が良好となる燃料電池用水素供給装置の燃焼装置となる。
【0034】
また、請求項7記載の発明においては、二次空気孔を排ガス噴出孔と近接配設させたり、あるいは混合ガス噴出孔を囲むように配設して燃焼を一層良好にして安定燃焼できるように構成できると共に、この二次空気孔の周辺においても前記シール材で確実に同時シールできることとなる一層優れた燃料電池用水素供給装置の燃焼装置となる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本実施例の説明分解斜視図である。
【図2】本実施例の重合ユニットの説明分解斜視図である。
【図3】本実施例の説明正断面である。
【図4】本実施例の説明側断面図である。
【図5】燃料電池システムの概略構成説明図である。
【図6】燃料電池の水素供給装置の概略構成説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
好適と考える本発明の実施形態を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。
【0037】
排ガス供給部4と連設する排ガス室形成用凹部7の重合板部6と、炎板2とを重合することで、排ガス室17が形成される。この排ガス供給部4と連通する排ガス室17(排ガス室形成用凹部7)は、炎板2に設けた排ガス噴出孔9と連通する。
【0038】
従って、バーナ筒1へ供給される排ガスは、排ガス供給部4から一旦排ガス室17に送り込まれてから、この排ガス室17と連通する各排ガス噴出孔9から炎板2上に噴出されるため、各排ガス噴出孔9から均一に噴出され燃焼することになる。
【0039】
尚、この排ガスが供給される燃料電池の発電運転前の起動時では、前述のように気化器で気化された燃焼用ガスとバーナ筒1内の空気室の空気(一次空気)とが混合されて混合ガス供給部3からこれと連通する炎板2中央の混合ガス噴出孔5から噴出され点火プラグ21により着火されて燃焼する。
【0040】
本発明は、前記排ガス室17を形成するための排ガス形成用凹部7に設けられたいわば取付重合フランジ部たる重合板部6を炎板2に重合するにおいて、この炎板2と重合板部6との間に板状のシール材10を介在し、このシール材10の周辺部をバーナ筒1に内接している。
【0041】
即ち、排ガス室形成用凹部7の周辺部の重合板部6と炎板2とをシール材10を介在して重合することで、排ガス室形成用凹部7により形成される排ガス室17の周縁部はこのシール材10によりシールされると共に、このシール材10の周辺部はバーナ筒1に内接するから、炎板2の周縁部もシールされることにより、このシール材10により排ガス室17も空気室13も同時にシールされることとなり、従って、排ガス室17から排ガスが漏れることも、空気室13から炎板2周縁部を介して炎板2上に二次空気が漏れることも防止されることとなる。
【0042】
このように、炎板2と、排ガス室形成用凹部7に設けた重合板部6とをシール材10を介して重合することで、組立も容易で簡易な構成でありながら気密性が向上し、排ガスの漏れも二次空気の漏れも防止でき、安定燃焼できる画期的な燃料電池用水素供給装置の燃焼装置となる。
【0043】
また、例えば混合ガス供給部3を設けた炎板2と、排ガス供給部4を設けた排ガス室形成用凹部7の周辺部の重合板部6とをシール材10を介して重合した重合ユニット11を構成し、この重合ユニット11をバーナ筒1内に挿入配設することで、このシール材10により排ガス室17の気密性が保持されて排ガスの漏れが防止できると同時に、このシール材10の周縁部がバーナ筒1に内接若しくはシール材10の周辺部が屈曲してバーナ筒1に内接することで、炎板2周縁部の気密性も保持されてここからの二次空気の漏れも防止でき、組立ても一層容易にして一層簡易な構成でありながら、前記二つのシールが同時に簡単にして確実に行われる一層優れた燃料電池用水素供給装置の燃焼装置となる。
【実施例】
【0044】
本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。
【0045】
本実施例は、上部が円筒状に突出するバーナ筒1内に配設する円板状の炎板2と、燃焼用ガスと一次空気とを混合した燃焼用混合ガスを前記炎板2上に供給する混合ガス供給部3と、燃料電池からの排ガスを前記炎板2上に供給する排ガス供給部4とを備えて、燃料電池起動時は、前記混合ガス供給部3から供給される前記混合ガスを前記炎板2上に噴出させて燃焼させると共に、燃料電池の発電運転時は前記排ガス供給部4から供給される前記排ガスを前記炎板2上に噴出させて切り替え燃焼させるように構成した燃料電池用水素供給装置の燃焼装置で、炎板2は円筒状のバーナ筒1の上部を閉塞するようにこのバーナ筒1内に水平配設される円板状で、中央に大きな混合ガス噴出孔5が設けられ、逆火を防止するためこの混合ガス噴出孔5には金網19が設けられている。
【0046】
更にこの中央の混合ガス噴出孔5の周囲には排ガス噴出孔9が多数設けられていると共に、この外側には更に排ガス噴出孔9に近接してこれらを囲むように二次空気孔14が設けられている。
【0047】
この炎板2に設けた混合ガス噴出孔5と連通状態にして炎板2に前記混合ガス供給部3を設けると共に、この炎板2に設けた排ガス噴出孔9と連通状態にして炎板2に前記排ガス供給部4を排ガス室17を介して設けている。
【0048】
本実施例の混合ガス供給部3は、図示していない気化器により灯油を加熱気化した燃焼用ガスが送り込まれ、この燃焼用ガスとバーナ筒1内の空気室13から引き込まれる一次空気とが混合する混合管部で構成され、この混合管部をバーナ筒1内に立設し、この上部を前記炎板2に連設する構成としている。
【0049】
また、本実施例の排ガス供給部4は炎板2に直接連設せず、排ガスが多数の排ガス噴出孔9から均一に噴出するように排ガス室17を介して連設するが、この排ガス室17は、前記炎板2と重合する重合板部6に前記排ガス噴出孔9と連通する排ガス室形成用凹部7を設け、この排ガス室形成用凹部7の底部に設けた連通孔に前記排ガス供給部4を連通状態に設けた構成としている。
【0050】
本実施例では、この炎板2と排ガス室用形成凹部7の周囲の前記重合板部6との間に板状のシール材10を介在し、このシール材10の周辺部を前記バーナ筒1に内接して、このシール材10により前記炎板2と前記排ガス室形成用凹部7とで形成される前記排ガス室17の周縁部及び前記炎板2の周縁部をシールしている。
【0051】
また、本実施例では、前記排ガス室形成用凹部7を貫通する貫通孔8を排ガス室形成用凹部7の凹部中央に設けて、この貫通孔8及び排ガス室形成用凹部7内に貫通配設した前記混合ガス供給部3の全周に排ガス室17を設け、この混合ガス供給部3に連設した前記炎板2と、前記排ガス供給部4に連設した前記排ガス室形成用凹部7の周囲に設けられた前記重合板部6とを、この間に前記シール材10を介在して重合した重合ユニット11を構成し、この重合ユニット11を前記バーナ筒1に挿入配設して前記シール材10の周辺部を前記バーナ筒1に内接し、このシール材10により前記排ガス室17の周縁部及び前記炎板2の周縁部をシールして炎板2の周縁部から炎板2上側へ排ガス及び二次空気が漏れないように構成している。
【0052】
即ち、本実施例では、バーナ筒1の中央で貫通する混合ガス供給部3の全周に排ガス室17が形成され、この排ガス室17を形成する排ガス室形成用凹部7の全周に重合板部6が設けられ、この重合板部6と炎板2との間に中央が開口したシール材10を介在することで排ガス室17の全周がシールされることとなる。
【0053】
前記シール材10は、本実施例では前記炎板2が挿入配設される前記バーナ筒1の内径よりやや大きい外径に設定して、このバーナ筒1の内面に屈曲して密接するように構成している。
【0054】
具体的には、炎板2と合致する円板状とするが、この炎板2よりやや大きい外径とし、且つバーナ筒1の内径よりやや大きい外径に設定して、炎板2をバーナ筒1内に挿入して炎板2をバーナ筒1内に配設するだけで、この炎板2よりもまたバーナ筒1の内径よりもやや外径が大きいためシール材10の周辺部はこの挿入によって自動的に屈曲してバーナ筒1に弾圧屈曲当接する形状としている。
【0055】
また、このバーナ筒1内の空気室13と連通して前記炎板2上に二次空気を供給する二次空気孔14を炎板2に設け、この二次空気孔14と連通する重合板部連通孔15を前記重合板部6に設け、この二次空気孔14及び重合板部連通孔15と連通するシール材連通孔16を前記シール材10に設けている。
【0056】
従って、このシール材10(シート材)を炎板2と合致するように配設し、重合板部6と挟持して介在することで、この二次空気孔14の周囲も同時にシールできることとなる。
【0057】
言い換えると、本実施例ではこのシール材10を介在セットするだけで、炎板2の周縁部、排ガス室17の周縁部を同時シールすると共に、二次空気孔14をも空気室13と連通させつつこれもシールできることとなる。
【0058】
このシール材10には排ガス室形成用凹部7と連通し混合ガス供給部3も貫通することになる大きな開口部24を設けると共に、前記シール材連通孔16の他、前記点火プラグ貫通孔20やフレームロッド貫通孔22と合致する貫通孔連通孔25も設け(重合板部6にも設けられる)これらと連通すると共にこれらの周辺をも同時にシールするように構成している。
【0059】
また、図中符号26は、挟持手段12の固定用孔であるが、この固定用孔26の周囲も同時にシールできる。
【0060】
また、このシール材10は、無機繊維を主成分とした耐熱性のある屈曲弾性を有するシート材で構成している。従って、前記バーナ筒1への屈曲弾圧当接による気密性も向上し、この耐久性も優れる。
【0061】
また、前記炎板2と前記重合板部6とをボルトやかしめピンなどによる前記挟持手段12で締め付け挟持して、この間に前記シール材10を締め付け固定している。これにより一層気密性が向上し、また挿入配設も容易となり、それだけ組み付けも容易となる。
【符号の説明】
【0062】
1 バーナ筒
2 炎板
3 混合ガス供給部
4 排ガス供給部
5 混合ガス噴出孔
6 重合板部
7 排ガス室形成用凹部
8 貫通孔
9 排ガス噴出孔
10 シール材
11 重合ユニット
12 挟持手段
13 空気室
14 二次空気孔
15 重合板部連通孔
16 シール材連通孔
17 排ガス室

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バーナ筒内に配設する炎板と、燃焼用ガスと一次空気とを混合した燃焼用混合ガスを前記炎板上に供給する混合ガス供給部と、燃料電池からの排ガスを前記炎板上に供給する排ガス供給部とを備えて、前記混合ガス供給部から供給される前記混合ガスを前記炎板上に噴出させて燃焼させると共に、燃料電池の発電運転時は前記排ガス供給部から供給される前記排ガスを前記炎板上に噴出させて燃焼させるように構成した燃料電池用水素供給装置の燃焼装置において、前記炎板に設けた混合ガス噴出孔と連通状態にして炎板に前記混合ガス供給部を設け、この炎板に設けた排ガス噴出孔と連通状態にして炎板に前記排ガス供給部を排ガス室を介して設け、この排ガス室は、前記炎板と重合する重合板部に前記排ガス噴出孔と連通する排ガス室形成用凹部を設け、この排ガス室形成用凹部に前記排ガス供給部を連通状態に設けた構成とし、前記炎板と前記重合板部との間に板状のシール材を介在し、このシール材の周辺部を前記バーナ筒に内接して、このシール材により前記炎板と前記排ガス室形成用凹部とで形成される前記排ガス室の周縁部及び前記炎板の周縁部をシールしたことを特徴とする燃料電池用水素供給装置の燃焼装置。
【請求項2】
前記排ガス室形成用凹部若しくは前記重合板部を貫通する貫通孔を設け、この貫通孔に貫通配設した前記混合ガス供給部を連設した前記炎板と、前記排ガス供給部に連設した前記排ガス室形成用凹部の周囲に設けられた前記重合板部とを、この間に前記シール材を介在して重合した重合ユニットを構成し、この重合ユニットを前記バーナ筒に挿入配設して前記シール材の周辺部を前記バーナ筒に内接し、このシール材により前記排ガス室の周縁部及び前記炎板の周縁部をシールして炎板の周縁部から炎板上側へ排ガス及び二次空気が漏れないように構成したことを特徴とする請求項1記載の燃料電池用水素供給装置の燃焼装置。
【請求項3】
前記シール材は、前記炎板の周縁部より突出する突出周辺部が、前記バーナ筒の内面に密接する形状に構成したことを特徴とする請求項1,2のいずれか1項に記載の燃料電池用水素供給装置の燃焼装置。
【請求項4】
前記シート材は、円板状の前記炎板よりも外径が大きく、且つ前記バーナ筒の内径と同一若しくはやや大きい外径の円板状に構成したことを特徴とする請求項3記載の燃料電池用水素供給装置の燃焼装置。
【請求項5】
前記シール材は、無機繊維を主成分とした耐熱性のある屈曲弾性を有するシート材で構成したことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の燃料電池用水素供給装置の燃焼装置。
【請求項6】
前記炎板と前記重合板部とを挟持手段で締め付け挟持して、この間に前記シール材を締め付け固定したことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の燃料電池用水素供給装置の燃焼装置。
【請求項7】
前記バーナ筒内の空気室と連通して前記炎板上に二次空気を供給する二次空気孔を炎板に設け、この二次空気孔と連通する重合板部連通孔を前記重合板部に設け、この二次空気孔及び重合板部連通孔と連通するシール材連通孔を前記シール材に設けたことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の燃料電池用水素供給装置の燃焼装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−185468(P2011−185468A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−48692(P2010−48692)
【出願日】平成22年3月5日(2010.3.5)
【出願人】(000109026)ダイニチ工業株式会社 (108)
【出願人】(000004444)JX日鉱日石エネルギー株式会社 (1,898)
【Fターム(参考)】