説明

燃料電池用金属セパレータの製造方法および製造装置

【課題】良好な生産性および製品精度を確保し得る燃料電池用金属セパレータの製造方法および製造装置を、提供する。
【解決手段】
燃料電池用セパレータの外面形状に対応する凹凸部が形成された成形ロールセット222,232の間に、燃料電池用セパレータの金属素板202を通し、金属素板202に形成されているガイド穴203を利用して、金属素板202を位置決めしながら、成形ロールセット222,232の凹凸部によって、金属素板202に連続的に幅方向の成形加工を施し、前記外面形状を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池用金属セパレータの製造方法および製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池は、燃料ガスと酸化剤ガスとを分離するためのセパレータを有する。金属材料は、厚さが薄くても優れた強度が得られるため、ロール成形によって外面形状に対応する凹凸部を成形し、セパレータに適用することが試みられている(例えば、特許文献1および2参照。)。
【特許文献1】特開2002−190305号公報
【特許文献2】特開2006−75900号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、ロール成形は、プレス成形に比較し、良好な生産性を有するが、送り精度が十分でないため、製品精度を確保することが困難である問題を有する。
【0004】
本発明は、上記従来技術に伴う課題を解決するためになされたものであり、良好な生産性および製品精度を確保し得る燃料電池用金属セパレータの製造方法および製造装置を、提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するための本発明の一様相は、燃料電池用セパレータの製造方法であって、燃料電池用セパレータの外面形状に対応する凹凸部が形成された成形ロールセットの間に、前記燃料電池用セパレータの金属素板を通し、前記成形ロールセットの前記凹凸部によって、前記金属素板に連続的に幅方向の成形加工を施し、前記外面形状を形成する。そして、この際、前記金属素板に形成されているガイド穴を利用して、前記金属素板を位置決めする。
【0006】
上記目的を達成するための本発明の別の一様相は、燃料電池用セパレータの製造装置であって、燃料電池用セパレータの外面形状に対応する凹凸部が形成された成形ロールセットを有する成形手段と、前記燃料電池用セパレータの金属素板に形成されているガイド穴を利用して、前記金属素板を位置決めするための位置決め手段とを有する。そして、前記成形ロールセットの間に前記金属素板を通す際、前記位置決め手段によって前記金属素板を位置決めしながら、前記成形ロールセットの前記凹凸部によって、前記金属素板に連続的に幅方向の成形加工を施し、前記外面形状を形成する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一様相によれば、燃料電池用セパレータの製造にロール成形が適用されるため、良好な生産性を得ることができ、かつ、ガイド穴を利用して金属素板が位置決めされるため、十分な送り精度を得ることで、製品精度を確保することが可能である。つまり、良好な生産性および製品精度を確保し得る燃料電池用金属セパレータの製造方法を、提供することができる。
【0008】
本発明の別の一様相によれば、成形手段は、成形ロールセットを有し、ロール成形が適用されているため、良好な生産性を得ることができる。また、燃料電池用セパレータの金属素板に形成されているガイド穴を利用して、金属素板を位置決めするための位置決め手段を有するため、十分な送り精度を得ることで、製品精度を確保することが可能である。つまり、良好な生産性および製品精度を確保し得る燃料電池用金属セパレータの製造装置を、提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しつつ説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る燃料電池を説明するための斜視図である。
【0010】
燃料電池10は、複数のセルが積層されたスタック部20を有しており、電源として利用される。電源の用途は、例えば、定置用、携帯電話などの民生用携帯機器用、非常用、レジャーや工事用電源などの屋外用、搭載スペースが限定される自動車などの移動体用である。特に、移動体用電源は、比較的長時間の運転停止後に高い出力電圧が要求されるため、適用が好ましい。
【0011】
スタック部20の両側には、集電板30,40、絶縁板50,60およびエンドプレート70,80が配置される。集電板30,40は、緻密質カーボンや銅板などガス不透過な導電性部材から形成され、また、スタック部20で生じた起電力を出力するための出力端子35,45が設けられている。絶縁板50,60は、ゴムや樹脂等の絶縁性部材から形成される。
【0012】
エンドプレート70,80は、剛性を備えた材料、例えば鋼などの金属材料から形成される。エンドプレート70は、燃料ガス(例えば、水素)、酸化剤ガス(例えば、酸素)および冷媒(例えば、冷却水)を流通させるために、燃料ガス導入口71、燃料ガス排出口72、酸化剤ガス導入口74、酸化剤ガス排出口75、冷媒導入口77、および冷媒排出口78を有する。
【0013】
スタック部20、集電板30,40、絶縁板50,60およびエンドプレート70,80の四隅には、タイロッド90が挿通される貫通孔が配置される。タイロッド90は、その端部に形成される雄ねじ部に、ナットが螺合され、燃料電池10を締結する。スタック形成のための荷重は、セルの積層方向に作用し、セルを押し圧状態に保持する。
【0014】
タイロッド90は、剛性を備えた材料、例えば、鋼などの金属材料から形成され、また、セル同士の電気的短絡を防止するため、絶縁処理された表面部を有する。タイロッド90の設置本数は、4本(四隅)に限定されない。タイロッド90の締結機構は、螺合に限定されず、他の手段を適用することも可能である。また、燃料電池10の締結機構は、内部を延長するタイロッド90を利用する形態に限定されず、外部を延長するテンションロッドを利用することも可能である。
【0015】
図2は、図1に示されるスタック部を説明するための断面図、図3は、図2に示される電極集成体を説明するための平面図、図4は、図2に示されるアノード用のセパレータを説明するための平面図、図5は、図2に示されるカソード用のセパレータを説明するための平面図である。
【0016】
スタック部20は、セルを形成する電極集成体100、セパレータ150,170が、順次積重ねられて構成される。なお、電極集成体100、セパレータ150およびセパレータ170の間における外周縁部には、シール材(不図示)が配置される。
【0017】
電極集成体100は、膜電極接合体110およびガス拡散層120,130が一体化された略矩形のユニット組立体(アセンブリ)であり、セパレータ150,170と略同一形状である。電極集成体100は、マニホールド部141,142,144,145,147,148を有する。マニホールド部141,142、マニホールド部144,145およびマニホールド部147,148は、燃料ガス用、酸化剤ガス用および冷媒用に適用される。
【0018】
膜電極接合体110は、電解質膜と、電解質膜を挟んで配置されるカソード触媒層およびアノード触媒層とを有する。
【0019】
電解質膜は、固体高分子材料、例えば、フッ素系樹脂により形成されたプロトン伝導性のイオン交換膜であり、湿潤状態で良好な電気伝導性を呈する。カソード触媒層は、電解質膜の一方の面に配置され、ガス拡散層120に隣接している。アノード触媒層は、電解質膜の他方の面に配置され、ガス拡散層130に隣接している。
【0020】
カソード触媒層およびアノード触媒層は、導電性担体に触媒成分が担持されてなる電極触媒と、高分子電解質とを含んでいる。電極触媒の導電性担体は、触媒成分を所望の分散状態で担持するための比表面積、および、集電体として十分な電子導電性を有しておれば、特に限定されないが、主成分がカーボン粒子であるのが好ましい。
【0021】
カソード触媒層に適用される触媒成分は、酸素の還元反応に触媒作用を有するものであれば、特に限定されない。アノード触媒層に適用される触媒成分は、水素の酸化反応に触媒作用を有するものであれば、特に限定されない。
【0022】
触媒成分は、例えば、白金、ルテニウム、イリジウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、タングステン、鉛、鉄、クロム、コバルト、ニッケル、マンガン、バナジウム、モリブデン、ガリウム、アルミニウム等の金属、及びそれらの合金等などから選択される。触媒活性、一酸化炭素等に対する耐被毒性、耐熱性などを向上させるために、少なくとも白金を含むものが好ましい。カソード触媒層およびアノード触媒層に適用される触媒成分は、同一である必要はなく、適宜選択することが可能である。
【0023】
電極触媒の高分子電解質は、少なくとも高いプロトン伝導性を有する部材であれば、特に限定されず、例えば、ポリマー骨格の全部又は一部にフッ素原子を含むフッ素系電解質や、ポリマー骨格にフッ素原子を含まない炭化水素系電解質が適用可能である。
【0024】
ガス拡散層120,130は、充分なガス拡散性および導電性を有する部材、例えば、炭素繊維からなる糸で織成したカーボンクロスや、カーボンペーパ、あるいはカーボンフェルトから形成される。
【0025】
次に、セパレータ150,170を説明する。
【0026】
セパレータ150,170は、略矩形のステンレス鋼鈑(例えば、SUS316L)からなり、互いに溶接された状態で、ガス拡散層120,130の外面に配置される。ステンレス鋼鈑は、複雑な機械加工を施しやすくかつ導電性が良好である点で好ましく、必要に応じて、耐食性のコーティングを施すことも可能である。セパレータ150,170の素材として、ステンレス鋼鈑以外の金属材料、例えば、アルミニウム板や、クラッド材を適用することも可能である。
【0027】
セパレータ150は、別のセルのセパレータ170に隣接しており、マニホールド部161,162,164,165,167,168および凹凸部169を有し、ガス拡散層120に相対して配置される。マニホールド部161,162、マニホールド部164,165およびマニホールド部167,168は、燃料ガス用、酸化剤ガス用および冷媒用に適用される。
【0028】
ガス拡散層120に相対する凹凸部169の内面と、ガス拡散層120の表面により形成される空間S1は、酸化剤ガスを流通させるための流路を構成し、マニホールド部164,165を経由し、エンドプレート70に配置される酸化剤ガス導入口74および酸化剤ガス排出口75に、接続されている。つまり、凹凸部169の内面は、酸化剤ガスを流通させるための流路溝を構成する。
【0029】
セパレータ170は、基本形状に関してはセパレータ150と略同一であり、かつ、別のセルのセパレータ150に隣接しており、マニホールド部181,182,184,185,187,188、および凹凸部189を有し、ガス拡散層130に相対して配置される。マニホールド部181,182、マニホールド部184,185およびマニホールド部187,188は、燃料ガス用、酸化剤ガス用および冷媒用に適用される。
【0030】
ガス拡散層130に相対する凹凸部189の内面と、ガス拡散層130の表面により形成される空間S2は、燃料ガスを流通させるための流路を構成し、マニホールド部181,182を経由し、エンドプレート70に配置される燃料ガス導入口71および燃料ガス排出口72に、接続されている。つまり、凹凸部169の内面は、燃料ガスを流通させるための流路溝を構成する。
【0031】
凹凸部189の外面と、隣接する別のセルのセパレータ150の外面により形成される空間S3は、冷媒を流通させるための流路を構成し、マニホールド部187,188を経由し、エンドプレート70に配置される冷媒導入口77および冷媒排出口78に、接続されている。つまり、凹凸部169の外面は、冷媒を流通させるための流路溝を構成する。
【0032】
なお、凹凸部169,189の形状および配置は、ガスの拡散性、圧力損失、生成水の排出性、冷却性能等を考慮し、適宜設定される。また、符号152,172は、電圧を検出するために使用されるモニタータブであり、電圧の検出は、燃料電池10(単セル)の充放電管理のために行われる。
【0033】
図6は、本発明の実施の形態に係るセパレータの製造装置および製造方法を説明するための全体概略図、図7は、図6に示されるコイル材を説明するための平面図で、図8は、図6に示される成形装置を説明するための斜視図、図9は、図8に示される成形加工後のコイル材を説明するための平面図、図10は、図6に示される矯正装置を説明するための斜視図、図11は、図5に示されるシーム溶接機を説明するための斜視図である。
【0034】
本実施の形態に係るセパレータの製造装置は、カソード用ライン、アノード用ライン、シーム溶接機(溶接手段)400およびさい断機(切断手段)500を有する。
【0035】
カソード用ラインは、セパレータ150用であり、フィーダ(投入手段)210、成形装置(成形手段)220、および矯正装置(矯正手段)260を有する。
【0036】
フィーダ210は、例えば、セパレータ150を構成することとなるコイル材(金属素板)205を保持して、コイル外周から巻きほぐすアンコイラおよび複数の上下ロール間にコイル材を通して、巻き癖をとり平坦にするレベラが組み込まれており、図6に示されるように、コイル材202を、成形装置220に投入するために使用される。
【0037】
コイル材(金属素板)202は、図7に示されるように、ガイド(パイロット)穴203を有する。ガイド穴203は、コイル材202の投入方向に平行であるコイル材202の側方の両端部に、一定の間隔で複数形成されている。ガイド穴203は、予めコイル材202に形成する形態に限定されない。例えば、成形装置220に投入する直前において、巻きほぐされたコイル材202に、ガイド穴203を連続的に形成することも可能である。
【0038】
成形装置220は、図8に示されるように、1組の成形ロール(成形ロールセット)222,232、支持構造部225および軸支部226,236を有する。
【0039】
成形ロール222,232は、軸支部226,236によって回転自在に支持され、一定のクリアランスを有するように、支持構造部225に配置されている。支持構造部225には、例えば、減速機構およびモータを備える駆動機構が配置されており、当該駆動機構は、フィーダ210からのコイル材202の投入速度と同期させ、成形ロール222,232を、同一速度で反対方向に回転させるために使用される。なお、成形ロール222,232を、別々のモータで駆動することも可能である。
【0040】
成形ロール222は、セパレータ150の背面形状(外面形状の一方)に対応する凹凸部が形成された外周面233と、外周面233に配置される突起部(位置決め手段)234とを有する。成形ロール232は、セパレータ150の表面形状(外面形状の他方)に対応する凹凸部が形成された外周面223を有する。
【0041】
突起部234は、コイル材202のガイド穴203と位置合わせされかつ嵌合自在であり、ガイド穴203が形成される間隔に対応する間隔で、複数配置されている。突起部234は、ガイド穴203と嵌合することで、コイル材202を位置決めするために使用される。
【0042】
したがって、成形装置220は、成形ロール222,232の間にコイル材202を通す際、コイル材202を位置決めしながら、成形ロール222,232の凹凸部によって、コイル材202に連続的に幅方向の成形加工を施し、セパレータ150の表面形状を形成(転写)することが可能である(図9参照)。
【0043】
矯正装置260は、1組の矯正ロール(矯正ロールセット)262,272、支持構造部265および軸支部266,276を有する(図5および図10参照)。矯正ロール262,272は、軸支部266,276によって回転自在に支持され、一定のクリアランスを有するように、支持構造部265に配置されている。支持構造部265には、例えば、減速機構およびモータを備える駆動機構が配置されており、当該駆動機構は、成形装置220からのコイル材202の投入速度と同期させ、矯正ロール262,272を、同一速度で反対方向に回転させるために使用される。なお、矯正ロール262,272を、別々のモータで駆動することも可能である。
【0044】
矯正ロール262,272の外周面263,273は、成形ロール222,232の外周面223,233と同様な形状が掘り込まれており、かつ、外周面263に配置される突起部264を有する。突起部264は、コイル材202のガイド穴203と位置合わせされかつ嵌合自在であり、ガイド穴203が形成される間隔に対応する間隔で、複数配置されている。突起部264は、ガイド穴203と嵌合することで、コイル材202を位置決めするために使用される。
【0045】
セパレータ150の表面形状および背面形状は対称でなく、かつ、成形ロール222,232による成形加工は、基本的に張り出し成形(材料が引き伸ばされる成形)である。そのため、成形装置220を経由したコイル材202は、スプリングバックを起こし正規の形状から僅かに崩れた形状となり、上下いずれかに向かってソリが発生する。
【0046】
したがって、成形装置220を経由したコイル材202における矯正の部位に対応する形状を、矯正ロール262,272に付与し、その間に、コイル材202を通すことによって、ソリを矯正している。なお、コイル材202は、矯正ロール262,272の間を通る際、ガイド穴203と突起部264の嵌合によって位置決めされる。
【0047】
矯正装置260(矯正ロール262,272)は、成形装置220(成形ロール222,232)から独立しているため、自由度が高く、必要な部位(例えば、ソリが生じた部位)のみを、局所的に矯正することができる。なお、矯正ロール262,272をタンデムに複数組配置し、コイル材202の矯正を多段階で実施することも可能である。
【0048】
また、矯正ロール262,272の外周面263,273は、セパレータ150の形状と一致させる形態(製品形状)に限定されず、例えば、矯正後のスプリングバックによってセパレータ150の形状となるような見込み形状を掘り込んだり、外周面263,273に凹凸部を形成せずに、滑らかな(無垢な)状態で適用したりすることもできる。また、矯正ロール262,272の一方を製品形状とし、他方を滑らかな形状とするなど、適宜組み合わせたり、外周面263,273を複数の領域に分割し、当該領域毎に、製品形状、見込み形状および滑らかな形状のいずれかを選択したりすることも可能である。
【0049】
アノード用ラインは、セパレータ170用であり、コイル材(第2の金属素板)が配置されるフィーダ(第2の投入手段)310、成形装置(第2の成形手段)320、および矯正装置(第2の矯正手段)360を有する。アノード用ラインは、成形装置320の成形ロール322,332および矯正装置360の矯正ロール362,372の外周面に、セパレータ170の表面および背面形状(外面形状)に対応する凹凸部が形成されている点を除けば、カソード用ラインの構成を略一致しており、重複を避けるため、その説明を省略する。
【0050】
シーム溶接機400は、図2に示されるように、矯正装置260側に配置されるガイドロール402,412、支持構造部404,414および軸支部406,416を有する。ガイドロール402,412は、軸支部406,416によって回転自在に支持され、支持構造部404,414に配置されている。
【0051】
ガイドロール402は、カソード用ラインを経由したコイル材202を電極ロール422,432の間に投入するために使用される案内部材である。ガイドロール412は、アノード用ラインを経由したコイル材302を、電極ロール422,432の間に投入するために使用される案内部材である。
【0052】
また、シーム溶接機400は、図11に示されるように、電極ロール(電極ロールセット)422,432、支持構造部465および軸支部466,476をさらに有する。電極ロール422,432は、相対して配置され、軸支部466,476によって回転自在に支持され、加圧通電機構部(不図示)を介して、支持構造部465に配置されている。
【0053】
支持構造部465には、電源回路と、例えば、減速機構およびモータを備える駆動機構とが配置されており、当該駆動機構は、ガイドロール402,412を経由した矯正装置260からのコイル材202の投入速度と同期させ、電極ロール422,432を、同一速度で反対方向に回転させるために使用される。なお、電極ロール422,432を、別々のモータで駆動することも可能である。
【0054】
加圧通電機構部は、例えば、エアーシリンダおよびスプリングを組み合わせた押圧機構を有しており、電極ロール422,432の間に被溶接部材が通される際、被溶接部材に対して電極ロール422,432を押圧させた状態で、電源回路からの電流を、電極部424に供給するために使用される。
【0055】
電極ロール422は、セパレータ150の溶接部位に対応する電極部424が形成された外周面423を有する。電極ロール432は、セパレータ170の溶接部位に対応する電極部434が形成された外周面433と、外周面433に配置される突起部(位置決め手段)434とを有する。
【0056】
したがって、カソード用ラインからのコイル材202と、アノード用ラインからのコイル材302とが、ガイドロール402,412を経由して、電極ロール422,432の間に、重ねられて、通されると、電極ロール422,432によって連続的な抵抗溶接が施される。これにより、セパレータ150の外面形状に対応する凹凸部が形成されたコイル材202と、セパレータ170の外面形状に対応する凹凸部が形成されたコイル材302との溶接体が形成される。
【0057】
なお、セパレータ150,170の間に形成される空間S3は、上記のように、冷媒を流通させるための流路溝を構成する。そのため、セパレータ150,170の溶接箇所は、冷媒用に適用されるマニホールド部167,168,187,188が除外される。
【0058】
さい断機500(図5参照)は、例えば、シャー方式によって、コイル材202,302の溶接体を、シーム溶接機400からの投入と同期を取って、セパレータ150,170の溶接体の形状に連続的に切断するために使用される。ガイド穴203,303は、必要に応じ、残すことも可能である。
【0059】
本製造装置においては、上記のように、成形装置が成形ロールを有しており、セパレータの製造にロール成形が適用されているため、良好な生産性を得ることができる。また、コイル材に形成されているガイド穴を利用して、コイル材を位置決めするための突起部を有するため、十分な送り精度を得ることで、製品精度を確保することが可能である。また、コイル材の位置決めを、単純な構造で達成することができ、好ましい。
【0060】
また、本製造装置においては、カソード用ラインおよびアノード用ラインが合流し、シーム溶接機およびさい断機に順次連結されている。したがって、コイル材の投入、成形加工、矯正、溶接および切断を、一貫ラインによって実行することができるため、生産の同期化を図ることで、リードタイムおよび中間在庫を、削減することが可能である。
【0061】
次に、本実施の形態に係るセパレータの製造方法を説明する。
【0062】
本製造方法は、投入工程、成形工程、矯正工程、溶接工程および切断工程を有する。なお、カソード用ラインおよびアノード用ラインは、投入工程、成形工程および矯正工程に関しており、略同一の構成を有するため、アノード用ラインによって代表させて説明する。
【0063】
投入工程においては、セパレータ150を構成することとなるコイル材202(図7参照)が、フィーダ210(図6参照)によって、コイル外周から巻きほぐされ、巻き癖がとられ、平坦とされた後で、成形装置220に所定の速度で投入される。
【0064】
成形工程においては、コイル材202は、フィーダ210からの投入速度と同期され、成形装置220(図8参照)の成形ロール222,232の間に通される。この際、コイル材202のガイド穴203と成形ロール222の外周面233に配置される突起部234とが嵌合することで、コイル材202が位置決めされる。また、成形ロール222,232の凹凸部によって、コイル材202に連続的に幅方向の成形加工が施され、セパレータ150の表面形状が形成される。そして、コイル材202は、矯正装置260に向かう。
【0065】
矯正工程においては、コイル材202は、成形装置220からの投入速度と同期され、矯正装置260(図10参照)の矯正ロール262,272の間に通される。この際、コイル材202のガイド穴203と矯正ロール262の外周面263に配置される突起部264とが嵌合することで、コイル材202が位置決めされる。また、矯正ロール262,272の凹凸部によって、コイル材202に連続的に幅方向の矯正加工が施され、コイル材202のソリが矯正される。そして、コイル材202は、シーム溶接機400に向かう。
【0066】
なお、アノード用ラインにおいても、セパレータ170を構成することとなるコイル材302(図7参照)が、同様な加工処理を施される。
【0067】
溶接工程においては、カソード用ラインからのコイル材202と、アノード用ラインからのコイル材302とが、ガイドロール402,412を経由し、同期を取られて重ねられ、シーム溶接機400の電極ロール422,432の間に通される。なお、コイル材202は、セパレータ150の外面形状に対応する凹凸部が形成されており、コイル材302は、セパレータ170の外面形状に対応する凹凸部が形成されている。
【0068】
電極ロール422,432の間に通される際、コイル材202,302のガイド穴203,303と電極ロール422の外周面433に配置される突起部425とが嵌合することで、重ねられたコイル材202,302が位置決めされる。
【0069】
また、コイル材202,302に対して電極ロール422,432を押圧させた状態で、電極ロール422,432の電極部424,434に電流が供給される。これにより、電極部424,434は、コイル材202,302に対して、連続的に幅方向の抵抗溶接を施し、コイル材202,302の溶接体が形成され、その後、さい断機500に投入される。
【0070】
切断工程においては、コイル材202,302の溶接体は、シーム溶接機400(電極ロール422,432)からの投入速度と同期され、さい断機500(図5参照)によって、セパレータ150,170の溶接体の形状に連続的に切断される。
【0071】
本製造方法においては、上記のように、成形加工(ロール成形)が適用されるため、良好な生産性を得ることができ、かつ、ガイド穴を利用してコイル材が位置決めされるため、十分な送り精度を得ることで、製品精度を確保することが可能である。また、コイル材の位置決めを、単純な構造からなる突起部によって達成することが可能である。
【0072】
図12は、本発明の実施の形態に係る変形例1を説明するための概略図である。
【0073】
成形ロールは、1組に限定されず、タンデムに複数組配置することが可能である。例えば、図12に示されるように、2組配置する場合、一段目の成形ロール222,232(322,332)による成形加工(ロール成形)および二段目の成形ロール222,232(322,332)による成形加工(ロール成形)が一体として、セパレータ150(170)の表面形状を形成(転写)するように、一段目および二段目の成形ロール222,232()の外周面の形状は適宜設定される。
【0074】
図13および図14は、本実施の形態に係る変形例2および変形例3を説明するための断面図である。
【0075】
成形ロールは、同一のロール径を有する形態に限定されず、ロール径を異ならせることで、成形ロールに矯正機能を付与することも可能である。
【0076】
例えば、成形装置220(320)を経由したコイル材202(303)が上方に向かってソリが発生する傾向を有する場合、上方(ソリが生じる方向)に位置する成形ロール232(332)のロール径を、下方に位置する成形ロール222(322)のロール径より(例えば2倍)大きくする(図13参照)。これにより、上方に向かうソリの抑制ができる。
【0077】
一方、コイル材202(302)が下に向かってソリが発生する傾向を有する場合、下方(ソリが生じる方向)に位置する成形ロール222(322)のロール径を、上方に位置する成形ロール232(332)のロール径より(例えば2倍)大きくする(図14参照)。これにより、下方に向かうソリの抑制ができる。
【0078】
図15は、本発明の実施の形態に係る変形例4を説明するための断面図である。
【0079】
矯正装置によるコイル材202(302)の矯正は、局所的に施すことも可能である。例えば、成形ロールによる成形加工によって形成された凹凸部の角部の形状が、丸みを帯びている場合、矯正ロールの外周面に配置される凹凸部280の角部の形状を、くっきりした輪郭を有するようにする。この場合、矯正が必要な部位に、局所的に力を加えることができるため、良好な矯正効果を有し、矯正効率に優れている。
【0080】
図16は、本発明の実施の形態に係る変形例5を説明するための概略図、図17は、図16に示されるコイル材を説明するための断面図である。
【0081】
コイル材202(302)は、耐食性を向上させるため、母材(例えば、SUS316L)203に、金などの貴金属からなる被膜(導電性を有する耐食被膜)204を配置したものを適用することが可能である。
【0082】
被膜205は、例えば、めっきによって形成されており、成形性に影響を及ぼさないように、その厚みは、極めて薄く(例えば、40nm)設定されている。また、母材204と被膜205との密着性を向上させ、かつ、被膜205に存在する欠陥(例えば、ポーラス)を削減するため、被膜205の形成後のコイル材202に対して、軽圧延(例えば、約6パーセントの圧下率)が施される。
【0083】
そのため、成形装置220(320)に投入される際、コイル材202(302)は、圧延による加工硬化が引き起こされているため、成形ロール222,232(322,332)による成形加工によって被膜205の割れ(クラック)を引き起こす虞がある。
【0084】
そのため、変形例4においては、矯正装置260(360)の代わりに、成形装置220(320)を経由したコイル材202(302)を圧延するための圧延装置(圧延手段)600が設けられている。圧延装置600は、1組の圧延ロール(圧延ロールセット)622,632、支持構造部625および軸支部626,636を有する。
【0085】
圧延ロール622,632は、軸支部626,636によって回転自在に支持され、一定のクリアランスを有するように、支持構造部625に配置されている。支持構造部625には、例えば、減速機構およびモータを備える駆動機構が配置されており、当該駆動機構は、成形装置220(320)からのコイル材202(302)の投入速度と同期させ、圧延ロール622,632を、同一速度で反対方向に回転させるために使用される。なお、圧延ロール622,632を、別々のモータで駆動することも可能である。
【0086】
したがって、成形装置220(320)からのコイル材202(302)を圧延ロール622,632の間に通すことによって、成形ロール222,232(322,332)による成形加工によって引き起こされた欠陥(例えば、被膜205の割れ)を潰して消失させ、耐食性を向上させることが可能である。なお、矯正装置260(360)を省略せずに、圧延装置600を矯正装置260(360)とシーム溶接機400との間に配置することも可能である。また、矯正装置260(360)による矯正は圧延効果を有するため、圧延装置600を兼用させることも可能である。
【0087】
さらに、被膜205が配置されたコイル材202(302)は、軽圧延を施すことなく、成形装置220(320)に投入することも可能である。この場合、コイル材202(302)は、圧延による加工硬化が引き起こされていないため、成形ロール222,232による成形性に悪影響を及ぼさず、被膜205の割れが抑制され、耐食性の向上が維持される。また、母材204と被膜205との密着性は、成形ロール222,232による成形加工により向上するため、圧延をしないことによる密着性の低下は抑制される。
【0088】
なお、図16の場合と同様に、独立した圧延装置600を設け、成形装置220(320)を経由したコイル材202(302)を圧延ロール622,632によって圧延することで、母材204と被膜205との密着性を向上させることも可能である。
【0089】
本変形例5においては、上記のように、コイル材が貴金属被膜(貴金属からなる被膜)を有しており、圧延による加工硬化が引き起こされていない場合、成形ロールによる成形性に悪影響を及ぼさず、貴金属被膜の割れが抑制される。また、コイル材と貴金属被膜との密着性は、成形ロールによる成形加工により向上するため、圧延をしないことによる密着性の低下は抑制される。したがって、耐食性を向上させることができる。
【0090】
一方、圧延によって密着性を向上させた場合、コイル材は、圧延による加工硬化が引き起こされているため、成形ロールによる成形加工を施す際に、貴金属被膜の割れを引き起こす。しかし、その後、圧延ロールによる圧延を施すことで、割れを潰し、消失させることで、耐食性を向上させることができる。
【0091】
以上のように、本実施の形態に係る製造装置においては、成形装置が成形ロールを有しており、セパレータの製造にロール成形が適用されているため、良好な生産性を得ることができる。また、コイル材に形成されているガイド穴を利用して、コイル材を位置決めするための突起部を有するため、十分な送り精度を得ることで、製品精度を確保することが可能である。したがって、良好な生産性および製品精度を確保し得る燃料電池用金属セパレータの製造装置を、提供することができる。
【0092】
本実施の形態に係る製造方法においては、成形加工(ロール成形)が適用されるため、良好な生産性を得ることができ、かつ、ガイド穴を利用してコイル材が位置決めされるため、十分な送り精度を得ることで、製品精度を確保することが可能である。また、コイル材の位置決めを、単純な構造からなる突起部によって達成することが可能である。したがって、良好な生産性および製品精度を確保し得る燃料電池用金属セパレータの製造方法を、提供することができる。
【0093】
また、コイル材の位置決めを、単純な構造からなる突起部によって達成することが可能である。
【0094】
成形ロールは、成形ロールによる成形加工によってコイル材にソリが生じる場合、当該方向に位置する成形ロールの一方のロール径を、成形ロールの他方のロール径より大きくすることで、成形ロールに矯正機能を付与し、ソリの発生を抑制することができる。
【0095】
矯正ロールは、成形ロールから独立しているため、自由度が高い。また、矯正が必要な部位(例えば、ソリが生じた部位)に、局所的に力を加えることで、良好な矯正効果を発揮させ、良好な矯正効率を得ることが可能である。
【0096】
また、貴金属被膜(貴金属からなる被膜)を有し、かつ、圧延による加工硬化が引き起こされていないコイル材を適用する場合、成形ロールによる成形性に悪影響を及ぼさず、貴金属被膜の割れを抑制することができる。コイル材と貴金属被膜との密着性は、成形ロールによる成形加工により向上するため、圧延をしないことによる密着性の低下は抑制される。したがって、耐食性を向上させることができる。
【0097】
圧延によってさらに密着性を向上させたコイル材を適用する場合、当該コイル材は、圧延による加工硬化が引き起こされているため、成形ロールによる成形加工を施す際に、貴金属被膜の割れを引き起こす虞がある。しかし、その後、圧延ロールによる圧延を施すことで、割れを潰し、消失させることで、耐食性を向上させることができる。
【0098】
また、本実施の形態においては、カソード用ラインおよびアノード用ラインが合流し、シーム溶接機およびさい断機に順次連結されている。したがって、コイル材の投入、成形加工、矯正、溶接および切断を、一貫ラインによって実行することができるため、生産の同期化を図ることで、リードタイムおよび中間在庫を、削減することが可能である。
【0099】
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の範囲内で種々改変することができる。例えば、燃料電池は、固体高分子型に限定されず、アルカリ型燃料電池、リン酸型燃料電池に代表される酸型電解質の燃料電池、ダイレクトメタノール燃料電池、マイクロ燃料電池に、適用可能である。また、セパレータを構成することとなる金属素板は、コイル材に限定されず、切り板材を適用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】本発明の実施の形態に係る燃料電池を説明するための斜視図である。
【図2】図1に示されるスタック部を説明するための断面図である。
【図3】図2に示される電極集成体を説明するための平面図である。
【図4】図2に示されるアノード用のセパレータを説明するための平面図である。
【図5】図2に示されるカソード用のセパレータを説明するための平面図である。
【図6】本発明の実施の形態に係るセパレータの製造装置および製造方法を説明するための全体概略図である。
【図7】図6に示されるコイル材を説明するための平面図である。
【図8】図6に示される成形装置を説明するための斜視図である。
【図9】図8に示される成形加工後のコイル材を説明するための平面図である。
【図10】図6に示される矯正装置を説明するための斜視図である。
【図11】図5に示されるシーム溶接機を説明するための斜視図である。
【図12】本発明の実施の形態に係る変形例1を説明するための概略図である。
【図13】本発明の実施の形態に係る変形例2を説明するための断面図である。
【図14】本発明の実施の形態に係る変形例3を説明するための断面図である。
【図15】本発明の実施の形態に係る変形例4を説明するための断面図である。
【図16】本発明の実施の形態に係る変形例5を説明するための概略図である。
【図17】図16に示されるコイル材を説明するための断面図である。
【符号の説明】
【0101】
10 燃料電池、
20 スタック部、
30,40 集電板、
35,45 出力端子、
50,60 絶縁板、
70,80 エンドプレート、
71 燃料ガス導入口、
72 燃料ガス排出口、
74 酸化剤ガス導入口、
75 酸化剤ガス排出口、
77 冷媒導入口、
78 冷媒排出口、
90 タイロッド、
100 電極集成体、
110 膜電極接合体、
120,130 ガス拡散層、
141,142,144,145,147,148 マニホールド部、
150 セパレータ、
152 モニタータブ、
161,162,164,165,167,168 マニホールド部、
169 凹凸部、
170 セパレータ、
172 モニタータブ、
181,182,184,185,187,188 マニホールド部、
189 凹凸部、
202 コイル材(金属素板)、
203 ガイド穴、
204 母材、
205 被膜、
210 フィーダ、
220 成形装置(成形手段)、
222,232 成形ロール(成形ロールセット)、
223,233 外周面、
225 支持構造部、
226,236 軸支部、
234 突起部(位置決め手段)、
260 矯正装置(矯正手段)、
262,272 矯正ロール(矯正ロールセット)、
263,273 外周面、
264 突起部(位置決め手段)、
265 支持構造部、
266,276 軸支部、
280 凹凸部
302 コイル材(第2の金属素板)、
303 ガイド穴、
310 フィーダ(第2の投入手段)、
320 成形装置(第2の成形手段)、
322,332 成形ロール(成形ロールセット)、
360 矯正装置(第2の矯正手段)、
362,372 矯正ロール(矯正ロールセット)、
400 シーム溶接機(溶接手段)、
402,412 ガイドロール、
404,414 支持構造部、
406,416 軸支部、
422,432 電極ロール(電極ロールセット)、
423,433 外周面、
424,434 電極部、
425 突起部(位置決め手段)、
465 支持構造部、
466,476 軸支部、
500 さい断機、
600 圧延装置(圧延手段)、
622,632 圧延ロール(圧延ロールセット)、
625 支持構造部、
626,636 軸支部、
S1,S2,S3 空間。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池用セパレータの外面形状に対応する凹凸部が形成された成形ロールセットの間に、前記燃料電池用セパレータの金属素板を通し、前記金属素板に形成されているガイド穴を利用して、前記金属素板を位置決めしながら、前記成形ロールセットの前記凹凸部によって、前記金属素板に連続的に幅方向の成形加工を施し、前記外面形状を形成する
ことを特徴とする燃料電池用セパレータの製造方法。
【請求項2】
前記成形ロールセットは、1組の成形ロールを有し、前記成形ロールの一方は、前記ガイド穴と位置合わせされかつ嵌合自在の突起部を有し、
前記金属素板は、前記ガイド穴と前記突起部とが嵌合することで位置決めされることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池用セパレータの製造方法。
【請求項3】
前記成形ロールによる成形加工によって前記金属素板にソリが生じる方向に位置する前記成形ロールの一方のロール径は、前記成形ロールの他方のロール径より大きいことを特徴とする請求項2に記載の燃料電池用セパレータの製造方法。
【請求項4】
前記成形ロールセットによる成形加工によってソリが生じた前記金属素板を、矯正ロールセットの間に通し、前記矯正ロールセットによって前記ソリを矯正することを特徴とする請求項1に記載の燃料電池用セパレータの製造方法。
【請求項5】
前記金属素板に、導電性を有する耐食被膜を配置した後、圧延することなく前記成形ロールセットの間を通らせることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池用セパレータの製造方法。
【請求項6】
前記金属素板に、導電性を有する耐食被膜を配置し、圧延した後、前記成形ロールセットの間に通し、前記成形ロールセットによって成形加工された前記金属素板を、圧延ロールセットの間に通し、前記金属素板を圧延することを特徴とする請求項1に記載の燃料電池用セパレータの製造方法。
【請求項7】
前記金属素板は、コイル材であり、
巻きほぐして投入され、かつ前記成形ロールセットによる成形加工および前記矯正ロールセットによる矯正が施された前記金属素板と、
巻きほぐして投入され、かつ第2の成形ロールセットによる成形加工および第2の矯正ロールセットによる矯正が施された第2の金属素板とが、重ねられ、
電極ロールセットの間に通され、前記電極ロールセットによって連続的な抵抗溶接が施され、その後、切断されることを特徴とする請求項4に記載の燃料電池用セパレータの製造方法。
【請求項8】
燃料電池用セパレータの外面形状に対応する凹凸部が形成された成形ロールセットを有する成形手段と、
前記燃料電池用セパレータの金属素板に形成されているガイド穴を利用して、前記金属素板を位置決めするための位置決め手段と
を有しており、
前記成形ロールセットの間に前記金属素板を通す際、前記位置決め手段によって前記金属素板を位置決めしながら、前記成形ロールセットの前記凹凸部によって、前記金属素板に連続的に幅方向の成形加工を施し、前記外面形状を形成する
ことを特徴とする燃料電池用セパレータの製造装置。
【請求項9】
前記成形ロールセットは、1組の成形ロールを有し、
前記位置決め手段は、前記成形ロールの一方に配置される突起部からなり、
前記突起部は、前記ガイド穴と位置合わせされかつ嵌合自在であり、
前記金属素板は、前記ガイド穴と前記突起部とが嵌合することで位置決めされることを特徴とする請求項8に記載の燃料電池用セパレータの製造装置。
【請求項10】
前記成形ロールによる成形加工によって前記金属素板にソリが生じる方向に位置する前記成形ロールの一方のロール径は、前記成形ロールの他方のロール径より大きいことを特徴とする請求項9に記載の燃料電池用セパレータの製造装置。
【請求項11】
矯正ロールセットを有する矯正手段を、さらに有し、
前記成形ロールセットによる成形加工によってソリが生じた前記金属素板は、前記矯正ロールセットの間に通され、前記矯正ロールセットによる矯正によって前記ソリが矯正されることを特徴とする請求項8に記載の燃料電池用セパレータの製造装置。
【請求項12】
前記成形ロールセットの間に通される前記金属素板は、導電性を有する耐食被膜が配置されており、かつ、前記耐食被膜が配置された後に圧延されていない
ことを特徴とする請求項8に記載のセパレータの製造装置。
【請求項13】
圧延ロールセットを有する圧延手段を、さらに有し、
前記成形ロールセットの間に通される前記金属素板は、導電性を有する耐食被膜が配置されており、かつ、前記耐食被膜が配置された後に圧延されており、
前記成形ロールセットによって成形加工された前記金属素板は、前記圧延ロールセットの間に通され、前記圧延ロールセットによって圧延されることを特徴とする請求項8に記載の燃料電池用セパレータの製造装置。
【請求項14】
前記金属素板は、コイル材であり、
前記燃料電池用セパレータの製造装置は、
前記金属素板を巻きほぐして投入するための投入手段、
第2の金属素板を巻きほぐして投入するための第2の投入手段、
第2の成形ロールセットを有する第2の成形手段、
第2の矯正ロールセットを有する第2の矯正手段、
電極ロールセットを有する溶接手段、および、
切断手段
を、さらに有しており、
巻きほぐして投入され、かつ前記成形ロールセットによる成形加工および矯正ロールセットによる矯正が施された前記金属素板と、
巻きほぐして投入され、かつ、第2の前記成形ロールセットによる成形加工および第2の前記矯正ロールセットによる矯正が施された第2の前記金属素板とが、重ねられ、
前記電極ロールセットの間に通され、前記電極ロールセットによって連続的な抵抗溶接が施され、その後、前記切断手段によって切断される
ことを特徴とする請求項11に記載の燃料電池用セパレータの製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2009−187758(P2009−187758A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−25596(P2008−25596)
【出願日】平成20年2月5日(2008.2.5)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】