燃料電池装置
【課題】燃料ガスと酸化剤ガスにより発電を行う燃料電池装置であって、改質器内の状態を検知するセンサーや改質器内の流路を切り替えるための駆動手段を用いることなく、改質器内に収められた全ての改質触媒を上手に使いきることができる燃料電池装置を提供すること。
【解決手段】第一収容室202に原料ガスが流入し燃料ガスとなって流出する際の圧力損失よりも、第二収容室203に原料ガスが流入し燃料ガスとなって流出する際の圧力損失が高くなるように予め構成されており、第一収容室202において原料ガスに含まれる炭素が析出し、第一収容室202に収容されている改質触媒近傍を原料ガスが通る流路を狭めて流動抵抗が増えることで、第二収容室203への原料ガスの流入が自律的に高まるように構成されている。
【解決手段】第一収容室202に原料ガスが流入し燃料ガスとなって流出する際の圧力損失よりも、第二収容室203に原料ガスが流入し燃料ガスとなって流出する際の圧力損失が高くなるように予め構成されており、第一収容室202において原料ガスに含まれる炭素が析出し、第一収容室202に収容されている改質触媒近傍を原料ガスが通る流路を狭めて流動抵抗が増えることで、第二収容室203への原料ガスの流入が自律的に高まるように構成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料ガスと酸化剤ガスにより発電を行う燃料電池装置に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料ガス(水素含有ガス)と空気(酸素含有ガス、酸化剤ガス)とを用いて電力を得ることができる複数の単セルを収納容器内に収容し、それら複数の単セルに燃料ガスと空気とを供給して発電する燃料電池装置が種々提案されている。このような燃料電池装置では、複数の単セルに供給する燃料ガスを生成するにあたって、例えば、天然ガス等の炭化水素を水蒸気と反応させて水素を生成する水蒸気改質法が用いられている。そして、そのような水蒸気改質を行うための改質器も種々提案されている。
【0003】
炭化水素を水蒸気改質するための改質器は、内部に改質触媒を収容し、その内蔵された改質触媒の近傍を炭化水素と水蒸気とを通過させることで水蒸気改質を行っている。このように改質器を利用する水蒸気改質においては、内蔵された改質触媒の劣化が問題となる。そこで下記特許文献1に記載の燃料電池装置では、改質触媒の寿命を延ばすように構成した改質器を含む燃料電池装置が提案されている。
【0004】
下記特許文献1に開示されている燃料電池装置は、単セルを複数個立設させた状態で配列して電気的に接続してなるセルスタックと、単セルに燃料ガスを供給するためのマニホールドと、セルスタックの上方に配置される改質器とを備えている。改質器は、筒状の容器の中央部に、原燃料が供給される原燃料供給口が設けられた気化部を有している。改質器は、容器の両側部に、気化部より流入した原燃料を燃料ガスに改質するための改質触媒を含む改質部を有している。それぞれの改質部とマニホールドとが燃料ガス供給管により接続され、燃料ガス供給管に、燃料ガスの流量を調整するための燃料ガス流量調整手段を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−198896号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した従来の燃料電池装置においては、改質部に収められている改質触媒が劣化したと判断される場合に、燃料ガス流量調整手段を作動させることにより、マニホールドに精製度の低い燃料ガスが供給されることを抑制することができるものである。
【0007】
また、一方の改質部に収められている改質触媒が劣化したと判断され、他方の改質部に収められている改質触媒は正常に改質反応を行なうことができると判断される場合においては、一方の改質部より送出される燃料ガスがマニホールドに供給されることを抑制するとともに、他方の改質部より送出される燃料ガスを単セルに供給している。従って、片方の改質部に備えられた改質触媒が劣化した場合であっても、他方の改質部をそのまま継続して使用することで、改質器の寿命を向上するものとしている。
【0008】
しかしながら、上述した従来の燃料電池装置では、当初は改質器全体に収められている改質触媒を利用して発電運転を行っているところ、一部の改質触媒が劣化していると判断すると実質的な改質器の容量を減じて対応しているものである。従って、燃料ガスの供給能力が著しく低下し、燃料電池装置としての発電性能は低下するものと思われる。
【0009】
そこで本発明者らは、改質触媒の劣化について本質的な検討を行い、改質器の改質性能を大きく変動させることなく延命させるための方策について考察を重ねた。燃料ガスの原料となる原料ガスとして炭化水素を用いる場合、改質器においては水蒸気改質を行うものであるから、改質器に炭化水素と水蒸気とを所定の割合で供給することが求められる。このように供給される炭化水素と水蒸気とは、炭化水素の供給量に対して水蒸気が極めて微量必要とされるものである。炭化水素の供給量は、燃料電池装置から引かれる電力が変動したり、燃料電池装置内の燃料ガスの流れが脈動したりすることによって変動するものである。そのため、変動する炭化水素の量に完全に同期させて、微量の水蒸気を変動させながら供給することは実質的に不可能なものであり、炭化水素の供給量と水蒸気の供給量との不均衡による炭素析出が発生することは避け難いものである。
【0010】
このように炭化水素を水蒸気改質する限り、炭素析出の課題を根本的に解決することは困難である。改質器内において原料ガスである炭化水素の炭素析出が起こると、改質器内に収められている改質触媒に析出した炭素が付着し、原料ガスである炭化水素の流れを阻害する。炭素析出による原料ガスの目減りと、流動阻害による原料ガスの供給不足によって、改質器内には水蒸気が過剰な状態となるおそれがある。改質触媒が収められた改質器内が水蒸気過剰になると、改質触媒として用いられているルテニウムが離脱して燃料電池装置外へと放出されることになる。
【0011】
炭素析出の発生を根本的に防止することが困難であることから、改質器内の改質触媒の劣化は避け難いことに加え、改質器内の容量は燃料電池装置のサイズの都合上、無制限に大きくすることもできない。従って、限られた容量に収められる限られた量の改質触媒を無駄にすることなく、劣化の進行を段階的なものとしながら、全ての改質触媒を上手に使い切ることが求められる。ここで、例えば、改質器内を複数の部屋に区切り、それぞれの部屋に改質触媒を分配して収めておき、それぞれの部屋の改質触媒の劣化を検知しながらソレノイド等の駆動手段を用いて仕切壁を駆動し、順番に流路を切り替えながら改質触媒を段階的に使っていくことも考えられる。
【0012】
しかしながら、炭化水素を原料ガスとする燃料電池装置の駆動温度は極めて高いものであり、改質器内の状態を検知するセンサーを配置したり、改質器内にソレノイド等の駆動手段を配置して流路を切り替えたりすることは、現実的には実現困難なものである。
【0013】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、燃料ガスと酸化剤ガスにより発電を行う燃料電池装置であって、改質器内の状態を検知するセンサーや改質器内の流路を切り替えるための駆動手段を用いることなく、改質器内に収められた全ての改質触媒を上手に使いきることができる燃料電池装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために本発明に係る燃料電池装置は、燃料ガスと酸化剤ガスにより発電を行う燃料電池装置であって、炭化水素を含む原料ガスを水蒸気改質して燃料ガスを生成する改質器と、電気的に接続された複数の管状の単セルを有し、これらの単セルにより燃料ガスと酸化剤ガスが反応して発電するセル集合体と、を備えている。前記改質器は、本体部と、当該本体部の内部に収容されるルテニウムを含む改質触媒とを有する。前記本体部には、原料ガスを導入する流入口と、原料ガスを水蒸気改質して生成された燃料ガスを前記セル集合体に向けて流出させる流出口と、前記流入口と前記流出口との間に前記改質触媒が収容される触媒収容部と、が形成されている。前記触媒収容部は、第一収容室と第二収容室とを有する。前記第一収容室に原料ガスが流入し燃料ガスとなって流出する際の圧力損失よりも、前記第二収容室に原料ガスが流入し燃料ガスとなって流出する際の圧力損失が高くなるように予め構成されており、前記第一収容室において原料ガスに含まれる炭素が析出し、前記第一収容室に収容されている改質触媒近傍を原料ガスが通る流路を狭めて流動抵抗が増えることで、前記第二収容室への原料ガスの流入が自律的に高まるように構成されている。
【0015】
本発明では、触媒収容部が第一収容室と第二収容室とを有しているので、改質触媒を第一収容室と第二収容室とに分けて収容することができ、それぞれに収容された改質触媒を段階的に使用することが可能となる。更に、第一収容室に原料ガスが流入し燃料ガスとなって流出する際の圧力損失よりも、第二収容室に原料ガスが流入し燃料ガスとなって流出する際の圧力損失が高くなるように予め構成されているので、別段の制御的な手段を用いることなく第一収容室に優先的に原料ガスを流入させることができる。従って、第一収容室に収容されている改質触媒が優先的に使用され、改質された燃料ガスをセル集合体に供給することができる。
【0016】
炭化水素を含む原料ガスを用いて水蒸気改質を行う場合、炭素析出は避け難い現象であるところ、本発明ではその炭素析出現象を逆手にとって有効活用し、第一収容室における水蒸気改質から第二収容室における水蒸気改質へと上手に流路を切り替えるものとしている。上述したように、第一収容室に原料ガスを優先的に流入させているので、第一収容室において炭素析出の影響が先に現れるように構成している。そのため、第一収容室において原料ガスに含まれる炭素が析出し、第一収容室に収容されている改質触媒近傍を原料ガスが通る流路を狭めて流動抵抗が増えることになる。第一収容室において流動抵抗が増えれば、事後的に、第二収容室に原料ガスが流入し燃料ガスとなって流出する際の圧力損失よりも、第一収容室に原料ガスが流入し燃料ガスとなって流出する際の圧力損失が高くなる。
【0017】
本発明ではこのような炭素析出に起因する圧力損失の変動を利用し、燃料電池装置の運転継続状況にあわせて第一収容室を経由する改質経路から第二収容室を経由する改質経路へと流路を切り替えている。このように改質経路を切り替えることで、第一収容室及び第二収容室に収容されている改質触媒を上手に使い切ることができると共に、一方の改質経路が過度に閉塞されることによって水蒸気過多となり改質触媒のルテニウムが離脱することも防止することができる。従って、炭素析出という不可避な現象を逆手にとって、何らの特別な制御手段を用いることなく、改質器に収容されている改質触媒全体を上手に使い切ることができるように構成している。
【0018】
また本発明に係る燃料電池装置では、前記本体部の前記セル集合体に対向する下面に前記流入口及び前記流出口が形成され、前記第一収容室及び前記第二収容室は、前記本体部の下面から上面に向う方向に沿って上下に並ぶように配置されていることも好ましい。
【0019】
この好ましい態様では、本体部のセル集合体に対向する下面に流入口及び流出口が形成されているので、原料ガスが本体部の下面から本体部内に流入し、改質された燃料ガスが本体部の下面から流出する。このように本体部の下面から原料ガスを流入させる構成を採用しつつ、第一収容室及び第二収容室を本体部の下面から上面に向う方向に沿って上下に並ぶように配置することで、下面側に配置された方の改質経路に優先的に原料ガスが流れ込むように構成している。このような配置上の工夫によって、原料ガスの流入しやすさに差を設けているので、第一収容室と第二収容室との圧力損失の差を小さくすることが可能になると共に、一方の改質経路が過度に閉塞されない状態での切り替えが可能なものとなる。
【0020】
また本発明に係る燃料電池装置では、前記第一収容室が前記下面側に、前記第二収容室が前記上面側に、それぞれ配置されていることも好ましい。
【0021】
この好ましい態様では、第一収容室を下面側に配置することで原料ガスの流入容易性を高める一方で、第二収容室を上面側に配置することで原料ガスが流入し難いように構成している。従って、第一収容室における改質経路の閉塞が発生していない段階では、第二収容室への原料ガスの流入を抑制し、第一収容室における改質経路の閉塞が発生した後に第二収容室へ原料ガスが流入するように構成している。このような構成上の工夫によって、第二収容室への原料ガスの流入移行を緩やかなものとし、第一収容室内の改質触媒が劣化した後の第二収容室内の改質触媒による改質性能を確保することができ、改質器全体の改質性能を高めることができる。
【0022】
また本発明に係る燃料電池装置では、前記触媒収容部は、前記第一収容室及び前記第二収容室の双方に繋がる第三収容室をさらに有し、前記第一収容室及び前記第二収容室は前記流入口側に、前記第三収容室は前記流出口側に、それぞれ配置されていることも好ましい。
【0023】
本発明における改質器では、流入口から原料ガスを流入させる一方で、流出口から改質後の燃料ガスを流出させているので、流入口側で炭素析出が発生し、流出口側では水蒸気過多による触媒劣化が進行する傾向にある。そこでこの好ましい態様では、第一収容室及び第二収容室を流入口側に設ける一方で、第一収容室及び第二収容室の下流側であって流出口側に第三収容室を設けることで、下流側における触媒劣化の進行を第一収容室内及び第二収容室内にとどめ、第三収容室に収容された触媒は劣化しない状態を維持することができる。
【0024】
また本発明に係る燃料電池装置では、前記第一収容室が前記第三収容室に繋がる第一連絡口よりも前記流入口側に第二連絡口が形成され、この第二連絡口と前記第三収容室とを繋ぐ分流通路が設けられ、前記第一収容室に原料ガスが流入し燃料ガスとなって流出する際の圧力損失よりも、前記分流通路に原料ガスが流入し前記第三収容室へそのまま流出する際の圧力損失が高くなるように予め構成されていることも好ましい態様である。この好ましい態様においては、前記第一収容室において原料ガスに含まれる炭素が析出し、前記第一収容室に収容されている改質触媒近傍を原料ガスが通る流路を狭めて流動抵抗が増えることで、前記分流通路を経由する前記第三収容室への原料ガスの流入が自律的に高まるように構成されていることも好ましい。
【0025】
上述したように、第一収容室に原料ガスを優先的に流入させているので、第一収容室において炭素析出の影響が先に現れるように構成している。そのため、第一収容室において原料ガスに含まれる炭素が析出し、第一収容室に収容されている改質触媒近傍を原料ガスが通る流路を狭めて流動抵抗が増えることになる。第一収容室において流動抵抗が増えれば、事後的に、第三収容室に原料ガスが流入し燃料ガスとなって流出する際の圧力損失よりも、第一収容室に原料ガスが流入し燃料ガスとなって流出する際の圧力損失が高くなる。
【0026】
この好ましい態様では、このような炭素析出に起因する圧力損失の変動を利用し、燃料電池装置の運転継続状況にあわせて第一収容室を経由する改質経路から分流通路を経由し第三収容室を経由する改質経路へと流路を切り替えている。このように改質経路を切り替えることで、第一収容室及び第三収容室に収容されている改質触媒を上手に使い切ることができると共に、一方の改質経路が過度に閉塞されることによって水蒸気過多となり改質触媒のルテニウムが離脱することも防止することができる。従って、炭素析出という不可避な現象を逆手にとって、何らの特別な制御手段を用いることなく、改質器に収容されている改質触媒全体を上手に使い切ることができるように構成している。
【0027】
また本発明に係る燃料電池装置では、前記分流通路から前記第三収容室へ供給される原料ガスは、前記第一収容室の下流側直下よりも前記第二収容室の下流側直下により多く供給されるように、前記分流通路が設けられていることも好ましい。
【0028】
上述したように、第一収容室において原料ガスに含まれる炭素が析出し、第一収容室に収容されている改質触媒近傍を原料ガスが通る流路を狭めて流動抵抗が増えると、分流経路を経由せずに第三収容室に繋がる流路においても炭素析出の影響を受けているものと想定される。そこでこの好ましい態様では、分流通路から第三収容室へ供給される原料ガスは、第一収容室の下流側直下よりも第二収容室の下流側直下により多く供給されるように、分流通路を設けることで、炭素析出の影響がより小さいと想定される第二収容室の下流側直下に原料ガスを供給することができる。従って、第三収容室に収容されている改質触媒をより上手に使い切ることができる。
【0029】
また本発明に係る燃料電池装置では、前記第二収容室よりも前記第一収容室に近接させて前記流入口が形成され、前記第一収容室よりも前記第二収容室に近接させて前記流入口が形成されていることも好ましい。
【0030】
この好ましい態様では、流入口を第一収容室に近接させて形成することで、運転開始当初は第一収容室に原料ガスを確実に導入することができる。一方、流出口を第二収容室に近接させて形成することで、改質後の燃料ガスの流れは第二収容室側から排出されるものとし、第一収容室下流への流れを相対的に減少させている。従って、運転開始当初は第一収容室に収容された改質触媒を集中的に使用しつつ、第一収容室下流における改質触媒劣化を第二収容室側に分散することで、改質器全体の改質性能を高めることができる。
【0031】
また本発明に係る燃料電池装置では、前記第一収容室が前記上面側に、前記第二収容室が前記下面側に、それぞれ配置されていることも好ましい。
【0032】
この好ましい態様では、第二収容室を下面側に配置することで、セル集合体において発電反応に使用された残余の燃料ガス及び酸化剤ガスが燃焼する燃焼部に、第二収容室を近接させることができる。従って、第一収容室における改質経路の閉塞が発生すると原料ガスが流入する第二収容室を下面側に配置することで、改質性能が相対的に低下した場合に主体となる第二収容室の温度を高めに維持し、改質器全体の改質性能を高めることができる。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、燃料ガスと酸化剤ガスにより発電を行う燃料電池装置であって、改質器内の状態を検知するセンサーや改質器内の流路を切り替えるための駆動手段を用いることなく、改質器内に収められた全ての改質触媒を上手に使いきることができる燃料電池装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の一実施形態による燃料電池装置を示す全体構成図である。
【図2】本発明の一実施形態による燃料電池装置のハウジングが外された状態の燃料電池モジュールを示す斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態による燃料電池装置の燃料電池モジュールを図2のA方向から見た断面図である。
【図4】本発明の一実施形態による燃料電池装置の燃料電池モジュールを図2のB方向から見た断面図である。
【図5】本発明の一実施形態による燃料電池装置の燃料電池セルユニットを示す正面図である。
【図6】図2に示す燃料電池モジュールから燃料電池セル集合体を覆うケーシングを取り外した状態を示す燃料電池モジュールの斜視図である。
【図7】図6に示す燃料電池モジュールにおける蒸発混合器を示す斜視図である。
【図8】本発明の一実施形態による燃料電池装置の燃料電池モジュールの熱交換器を上方から見た概略平面図である。
【図9】本発明の一実施形態におる燃料電池装置に用いられる改質器の水平面に沿った断面を模式的に示す断面図である。
【図10】図9に示す改質器において、被改質ガスを導入して改質プロセスを開始した初期の状態を示す図である。
【図11】図9に示す改質器において、図10から更に改質プロセスを進行させた状態を示す図である。
【図12】図9に示す改質器における連通穴の形成態様を説明するための図である。
【図13】図9に示す改質器の変形例を示す図である。
【図14】図9に示す改質器の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
【0036】
本発明の一実施形態による燃料電池装置である固体電解質形燃料電池を説明する。図1は、本発明の一実施形態による固体電解質形燃料電池を示す全体構成図である。この図1に示すように、本発明の一実施形態による固体電解質形燃料電池1は、燃料電池モジュール2と、補機ユニット4を備えている。
【0037】
燃料電池モジュール2は、ハウジング6を備えている。このハウジング6内部には、断熱材(図示せず)に囲まれて密封空間8が形成されている。この密封空間8の下方部分である発電室10には、燃料ガスと酸化剤ガス(空気)とにより発電反応を行う燃料電池セル集合体12が配置されている。
【0038】
この燃料電池セル集合体12は、10個の燃料電池セルスタック14を備えている(図6参照)。この燃料電池セルスタック14は、16本の燃料電池セルユニット16(単セル、図5参照)から構成されている。燃料電池セル集合体12は、160本の燃料電池セルユニット16を有し、これらの燃料電池セルユニット16の全てが直列接続されている。
【0039】
燃料電池モジュール2の密封空間8の上述した発電室10の上方には、燃焼室18が形成されている。この燃焼室18で、発電反応に使用されなかった残余の燃料ガスと残余の酸化剤ガス(空気)とが燃焼し、燃焼ガス(排気ガス)を生成するようになっている。
【0040】
この燃焼室18の上方には、原料ガスを改質して燃料ガスを生成する改質器20が配置されている。上述した燃焼ガスの燃焼熱によって、改質器20を改質反応が可能な温度となるように加熱している。さらに、この改質器20の上方には、燃焼ガスの熱により外部から導入される酸化剤ガス(発電用空気)を加熱する熱交換器22が配置されている。
【0041】
補機ユニット4は、水道等の水供給源24からの水を貯水してフィルターにより純水とする純水タンク26と、この貯水タンクから供給される水の流量を調整する水流量調整ユニット28(モータで駆動される「水ポンプ」等)を備えている。また、補機ユニット4は、都市ガス等の燃料供給源30から供給された燃料ガスを遮断するガス遮断弁32と、燃料ガスから硫黄を除去するための脱硫器36と、燃料ガスの流量を調整する燃料流量調整ユニット38(モータで駆動される「燃料ポンプ」等)を備えている。
【0042】
さらに、補機ユニット4は、空気供給源40から供給される酸化剤ガスである空気を遮断する電磁弁42と、空気の流量を調整する改質用空気流量調整ユニット44(モータで駆動される「空気ブロア」等)及び発電用空気流量調整ユニット45(モータで駆動される「空気ブロア」等)と、改質器20に供給される改質用空気を加熱する第1ヒータ46と、発電室に供給される発電用空気を加熱する第2ヒータ48とを備えている。これらの第1ヒータ46と第2ヒータ48は、起動時の昇温を効率よく行うために設けられているが、省略しても良い。
【0043】
燃料電池モジュール2には、排気ガスが供給される温水製造装置50が接続されている。この温水製造装置50には、水供給源24から水道水が供給され、この水道水が排気ガスの熱により温水となり、図示しない外部の給湯器の貯湯タンクへ供給されるようになっている。燃料電池モジュール2には、燃料ガスの供給量等を制御するための制御ボックス52が取り付けられている。燃料電池モジュール2には、燃料電池モジュールにより発電された電力を外部に供給するための電力取出部(電力変換部)であるインバータ54が接続されている。
【0044】
続いて、図2‐図4、図6、図7により、本発明の実施形態によるSOFCの燃料電池モジュール2の内部構造を説明する。図2は、本発明の一実施形態による燃料電池装置のハウジング6が取り外された状態の燃料電池モジュール2を示す斜視図である。図2においては、燃料電池モジュール2を構成する各燃料電池セルスタック14において、燃料電池セルユニット16が8本並ぶ方向をx軸方向としている。また、燃料電池セルユニット16が立設されて延びる方向をy軸方向とし、x軸及びy軸に直交する方向をz軸方向としている。図3以降において図中に記載しているx軸、y軸、及びz軸は、図2におけるx軸、y軸、及びz軸を基準としている。
【0045】
図3は、本発明の一実施形態による燃料電池装置の燃料電池モジュール2を図2のA方向から見た断面図である。図4は、本発明の一実施形態による燃料電池装置の燃料電池モジュール2を図2のB方向から見た断面図である。図6は、図2に示す燃料電池モジュールから燃料電池セル集合体を覆うケーシングを取り外した状態を示す燃料電池モジュールの斜視図である。図7は、図6に示す燃料電池モジュールにおける蒸発混合器を示す斜視図である。
【0046】
図2‐図4に示すように、燃料電池モジュール2の燃料電池セル集合体12は、ケーシング56により、全体が覆われている。図6に示すように、燃料電池セル集合体12は、B方向よりA方向の方が長いほぼ直方体形状であり、上面12a、下面12b、図2のA方向に沿って延びる長辺側面12cと、図2のB方向に沿って延びる短辺側面12dを備えている。
【0047】
図3に示すように、燃料電池モジュール2内の密封空間8内の最下方部分には、蒸発混合器58が燃料電池セル集合体12の長辺側面12cに沿って設けられている。この蒸発混合器58は、燃焼ガスにより加熱して、水を水蒸気にすると共に、この水蒸気と、被改質ガスである燃料ガス(都市ガス)と酸化剤ガスである空気とを混合するためのものである。この蒸発混合器58の一端側には、図2、図4、図7に示すように、被改質ガス供給管60と、水供給管62が接続されている。被改質ガス供給管60は、燃料流量調整ユニット38及び改質用空気流量調整ユニット44から、被改質ガス(原料ガス)及び改質用空気を導入するようになっている。
【0048】
図4に示すように、蒸発混合器58の他端側には、燃料供給管64の下端が接続されている。この燃料供給管64の上端は、改質器20の上流端に接続されている。この燃料供給管64により、燃料ガスが蒸発混合器58から改質器20へ供給されるようになっている。また、改質器20の下流端には、燃料供給管66の上端が接続されている。この燃料供給管66の下端側66aは、燃料ガスタンク68内に進入して、水平方向に延びている。
【0049】
図3及び図4に示すように、燃料ガスタンク68は、燃料電池セル集合体12の真下に設けられている。また、燃料ガスタンク68内に挿入された燃料供給管66の下端側66aの外周には、長手方向(A方向)に沿って複数の小穴(図示せず)が形成されている。改質器20で改質された燃料ガスは、これら複数の小穴(図示せず)によって燃料ガスタンク68内に長手方向に均一に供給されるようになっている。燃料ガスタンク68に供給された燃料ガスは、燃料電池セルユニット16の内側にある燃料ガス流路88(図5参照)内に供給され、燃料電池セルユニット16内を上昇して、燃焼室18に至るようになっている。
【0050】
続いて、発電用空気を燃料電池モジュール2へ供給するための構造を説明する。図2‐4に示すように、改質器20の上方に、燃料電池モジュール2の燃料電池セル集合体12の上面12a及び短辺側面12d(図2及び図4の右側短辺側面)に沿って、熱交換器22が設けられている。熱交換器22には、複数の燃焼ガス配管70と、この燃焼ガス配管70の周囲に形成された発電用空気流路72が設けられている。
【0051】
なお、本実施形態においては、熱交換器22は、燃料電池セル集合体12の上面12a及び右側の短辺側面12dに沿って設けるようにしているが、これに限らず、熱交換器22を、右側の短辺側面12dのみに沿って設けても良いし、右側及び左側の両方の短辺側面12dのみに沿って設けても良いし、さらに、上面12a及び両側の短辺側面12dに沿って設けるようにしても良い。
【0052】
熱交換器22の短辺側面12dに沿って設けられた部分の下端の一端側には、図2に示すように、発電用空気導入管74の導入口74aが取り付けられている。この発電用空気導入管74により、発電用空気流量調整ユニット45から、発電用空気が、熱交換器22内に導入されるようになっている。
【0053】
図4及び図8に示すように、熱交換器22の上側の他端側には、発電用空気流路72の出口ポート72aが形成されている。さらに、図3に示すように、燃料電池モジュール2のケーシング56の幅方向(B方向:短辺側面方向)の両側の外側には、発電用空気供給路76が形成されている。発電用空気流路72の出口ポート72aから、発電用空気が供給されるようになっている。この発電用空気供給路76は、燃料電池セル集合体12の長手方向(長辺側面12c方向)に沿って形成されている。さらに、その下方側であり且つ燃料電池セル集合体12の下方側に対応する位置に、発電室10内の燃料電池セル集合体12の各燃料電池セルユニット16に向けて発電用空気を吹き出すための複数の吹出口78が、長手方向に沿って、等間隔に、形成されている。これらの吹出口78から吹き出された発電用空気は、各燃料電池セルユニット16の外側に沿って、下方から上方へ流れるようになっている。
【0054】
続いて、燃料ガスと発電用空気(酸化剤ガス)が燃焼して生成される燃焼ガスを排出するための構造を説明する。上述したように、熱交換器22内には、燃焼室18で燃料ガスと発電用空気(酸化剤ガス)が燃焼して生成された燃焼ガスを排出するための複数の燃焼ガス配管70が設けられている。図4に示すように、これらの燃焼ガス配管70の下流端側には、燃料電池セル集合体12の下方に位置し長手方向に延びる燃焼ガス排出室80が形成され、燃焼ガス配管70の下端側と燃焼ガス排出室80が接続されている。なお、この燃焼ガス排出室80内に、上述した蒸発混合器58が配置され、この蒸発混合器58内の燃料ガスが、高温の燃焼ガスにより、長手方向に沿って、加熱されるようになっている。さらに、燃焼ガス排出室80の下面には、燃焼ガス排出管82が接続され、燃焼ガスが外部に排出されるようになっている。
【0055】
続いて、図5を参照しながら、燃料電池セルユニット16について説明する。図5は、本発明の一実施形態によるSOFCの燃料電池セルユニットを示す部分断面図である。図5に示すように、燃料電池セルユニット16は、燃料電池セル84と、この燃料電池セル84の上下方向端部にそれぞれ接続された内側電極端子86とを備えている。
【0056】
燃料電池セル84は、上下方向に延びる管状構造体であり、内側(内部)に燃料ガス流路88を形成する円筒形の内側電極層90と、円筒形の外側電極層92と、内側電極層90と外側電極層92との間にある電解質層94とを備えている。この内側電極層90は、燃料ガスが通過する燃料極であり、(−)極となり、一方、外側電極層92は、空気と接触する空気極であり、(+)極となっている。
【0057】
燃料電池セルユニット16の上端側と下端側に取り付けられた内側電極端子86は、同一構造であるため、ここでは、上端側に取り付けられた内側電極端子86について具体的に説明する。内側電極層90の上部90aは、電解質層94と外側電極層92に対して露出された外周面90bと上端面90cとを備えている。内側電極端子86は、導電性のシール材96を介して内側電極層90の外周面90bと接続され、さらに、内側電極層90の上端面90cとは直接接触することにより、内側電極層90と電気的に接続されている。内側電極端子86の中心部には、内側電極層90の燃料ガス流路88と連通する燃料ガス流路98が形成されている。
【0058】
内側電極層90は、例えば、Niと、CaやY、Sc等の希土類元素から選ばれる少なくとも一種をドープしたジルコニアとの混合体、Niと、希土類元素から選ばれる少なくとも一種をドープしたセリアとの混合体、Niと、Sr、Mg、Co、Fe、Cuから選ばれる少なくとも一種をドープしたランタンガレードとの混合体、の少なくとも一種から形成される。
【0059】
電解質層94は、例えば、Y、Sc等の希土類元素から選ばれる少なくとも一種をドープしたジルコニア、希土類元素から選ばれる少なくとも一種をドープしたセリア、Sr、Mgから選ばれる少なくとも一種をドープしたランタンガレート、の少なくとも一種から形成される。
【0060】
外側電極層92は、例えば、Sr、Caから選ばれた少なくとも一種をドープしたランタンマンガナイト、Sr、Co、Ni、Cuから選ばれた少なくとも一種をドープしたランタンフェライト、Sr、Fe、Ni、Cuから選ばれた少なくとも一種をドープしたランタンコバルタイト、銀、などの少なくとも一種から形成される。
【0061】
続いて、改質器20について、図9を参照しながら更に説明する。図9は、改質器20をxz平面を含む平面で断面を見た場合の、本体部20の内部を示す模式的な断面図である。上述したように改質器20は、燃焼室18の上方に配置されるものであり、原料ガスを改質して燃料ガスを生成するものである。上述した燃焼ガスの燃焼熱によって、改質器20を改質反応が可能な温度となるように加熱している。図9においては、図の紙面に向って奥側(y軸方向の負側)が燃焼室18に対向する面となっている。
【0062】
図9に示すように、改質器20は、本体部20aを有している。本体部20aの内部には、図に明示しない球状の改質触媒が充填されている。本体部20aは、分配室201と、第一収容室202と、第二収容室203と、第三収容室204と、集約室205と、を有している。
【0063】
分配室201は、燃料供給管64を経由して蒸発混合器58から原料ガス及び水蒸気を受け入れて、第一収容室202及び第二収容室203に分配するための空間となっている。分配室201の底面には、流入口207が形成されている。流入口207には、燃料供給管64が繋がれている。流入口207は、第二収容室203よりも第一収容室204側にオフセットされて形成されている。
【0064】
流入口207に導入された原料ガス及び水蒸気は、第一収容室202と第二収容室203とに分配される。分配室201と第一収容室202とを分かつ壁には、連通穴208が形成されている。分配室202と第二収容室203とを分かつ壁には、連通穴209が形成されている。
【0065】
連通穴208及び連通穴209を見通す方向から見た図を図9に示す。図9に示すように、連通穴208は、連通穴209よりも大径の丸穴として形成されている。連通穴208は7箇所に形成される一方で、連通穴209は6箇所に形成されている。従って、分配室201と第一収容室202とを繋ぐ流路の流路断面積である連通穴208の合算開口面積は、分配室201と第二収容室203とを繋ぐ流路の流路断面積である連通穴209の合算開口面積よりも大きくなるように構成されている。そのため、少なくとも初期段階においては、分配室201から第一収容室202への原料ガスの流入抵抗は、分配室201から第二収容室203への原料ガスの流入抵抗よりも小さく、原料ガスは第二収容室203よりも第一収容室202に流入しやすくなっている。
【0066】
図9に戻って説明を続ける。第一収容室202及び第二収容室203の下流側には、第一収容室202及び第二収容室203の双方に繋がる第三収容室204が形成されている。第一収容室202と第三収容室204とを分かつ壁には、連通穴210が形成されている。第二収容室203と第三収容室204とを分かつ壁には、連通穴211が形成されている。
【0067】
連通穴210は、連通穴211よりも大径の丸穴として形成されている。連通穴210は7箇所に形成される一方で、連通穴211は6箇所に形成されている。従って、第一収容室202と第三収容室204とを繋ぐ流路の流路断面積である連通穴210の合算開口面積は、第二収容室203と第三収容室204とを繋ぐ流路の流路断面積である連通穴211の合算開口面積よりも大きくなるように構成されている。そのため、少なくとも初期段階においては、第一収容室202から第三収容室204への原料ガスの流入抵抗は、第二収容室203から第三収容室204への原料ガスの流入抵抗よりも小さく、原料ガスは第二収容室203を経由するよりも第一収容室202から経由する方がより多く第三収容室204に流入する。
【0068】
第一収容室202及び第二収容室203から第三収容室204に流入する原料ガスは、その流動プロセスにおいて水蒸気改質される。具体的には、第一収容室202、第二収容室203、及び第三収容室204には、それぞれ改質触媒が封入されている。本実施形態の場合、改質触媒は、基材にルテニウムを担持させることで形成されている。第一収容室202及び第二収容室203から第三収容室204に流入する原料ガスは、それぞれに封入されている改質触媒の作用によって水素リッチな燃料ガスとして改質される。
【0069】
改質された燃料ガスは、第三収容室204から集約室205へと流入する。第三収容室204と集約室205とを分かつ壁には、連通穴212及び連通穴213が形成されている。連通穴212は、第一収容室202から本体部20aの外壁に沿って、連通穴210を延伸した下流側に略対応する位置に形成されている。連通穴213は、第二収容室203から本体部20aの外壁に沿って、連通穴211を延伸した下流側に対応する位置に形成されている。
【0070】
連通穴213は、連通穴212よりも大径の丸穴として形成されている。連通穴213は7箇所に形成される一方で、連通穴212は6箇所に形成されている。従って、第一収容室202の下流側に位置する第三収容室204と集約室205とを繋ぐ流路の流路断面積である連通穴212の合算開口面積は、第二収容室203の下流側に位置する第三収容室204と集約室205とを繋ぐ流路の流路断面積である連通穴213の合算開口面積よりも小さくなるように構成されている。そのため、少なくとも初期段階においては、第一収容室202の下流側に位置する第三収容室204から集約室205への燃料ガスの流入抵抗は、第二収容室203の下流側に位置する第三収容室204から集約室205への燃料ガスの流入抵抗よりも大きく、燃料ガスは連通穴212を経由するよりも連通穴213経由する方がより多く集約室205に流入する。
【0071】
集約室205は、燃料供給管66を経由して燃料ガスタンク68に燃料ガスを送り出すための空間となっている。集約室205の底面には、流出口214が形成されている。流出口214には、燃料供給管66が繋がれている。流出口214は、連通穴212よりも連通穴213側にオフセットされて形成されている。
【0072】
本実施形態の場合、第一収容室202と第二収容室203との間の空間に、第一収容室202及び第二収容室203のz軸方向全長に渡って分流通路206が設けられている。第一収容室202と分流通路206とを分かつ壁には、連通穴215が形成されている。分流通路206と第三収容室204とを分かつ壁には、連通穴216が形成されている。連通穴215及び連通穴216は、それぞれ一つ形成されている。連通穴215及び連通穴216は、同じ径の穴であり、連通穴209と略同径である。従って、少なくとも初期状態において、分流通路206への流入抵抗は高く、分流通路206へはほとんど原料ガスが流入しないように構成されている。
【0073】
続いて、図10及び図11を参照しながら、改質器20内の原料ガス及び燃料ガスの流れを説明する。図10に示すのは、被改質ガスである原料ガスを導入し、改質プロセスを開始した初期の状態における、原料ガス及び燃料ガスの流れを示す図である。図11に示すのは、図10から更に改質プロセスが進行した場合の、原料ガス及び燃料ガスの流れを示す図である。
【0074】
図10に示すように、流入口207から改質器20内に導入された原料ガスは、分配室201に導入される。分配室201に導入された原料ガスは、最も流れやすい経路により多く流れる。従って、分配室201から第一収容室202に多くの原料ガスが流入し、分配室201から第二収容室203に流入する原料ガスは極めて少ない。
【0075】
第一収容室202に流入した原料ガスは、第一収容室202内に収容されている改質触媒によって改質されながら第三収容室204に流入する。また、第二収容室203に流入した少量の原料ガスも、第二収容室203内に収容されている改質触媒によって改質されながら第三収容室204に流入する。
【0076】
第三収容室204に流入した原料ガスは、第三収容室204内に収容されている改質触媒によって改質されながら集約室205に流入する。この場合、連通穴213を経由して流入する方が、連通穴212を経由して流入するよりも流入し易いので、連通穴213を経由する流れが支配的となる。
【0077】
上述したように、改質器20内の原料ガス及び燃料ガスの流れは、初期状態においては次のような流れが支配的なものとなる。流入口207から流入した原料ガスの多くは、連通穴208を経由して第一収容室202に流入する。第一収容室202に流入した原料ガスは、連通穴210を経由して第三収容室204に流入する。第三収容室204に流入した原料ガス及び燃料ガスは、連通穴213経由を主とし、連通穴212経由を従とするように、集約室205に流入する。集約室205に流入した燃料ガスは、流出口214から流出する。
【0078】
図10に示す状態から改質プロセスが更に進行すると、図11に示すような状態となる。原料ガスを水蒸気と共に改質器20内に導入し、水素リッチな燃料ガスとして取り出すと、改質器20内の改質触媒には炭素析出が発生する。従って、初期状態において原料ガス及び燃料ガスが支配的に流れた経路に沿って炭素析出が発生し、改質触媒近傍の流路が実質的に狭められる。
【0079】
第一収容室202内の改質触媒には全体に渡って炭素析出が発生し、連通穴208を経由して連通穴210から第三収容室への原料ガス及び燃料ガスの流量が低減する。また、第三収容室204内の改質触媒には、連通穴210と連通穴212との間の領域において炭素析出が発生し、連通穴212を経由する燃料ガスの流量が低減する。
【0080】
従って、図11に示すように、第二収容室203を経由して第三収容室に流入し、連通穴213を経由して集約室205に流入する原料ガス及び燃料ガスの流れが支配的なものとなる。更に、第一収容室202に流入した原料ガスは、第一収容室202内の圧力損失が高まるので、連通穴215を経由して分流通路206に流入する。分流通路206に流入した原料ガスは、連通穴216を経由し、第二収容室202の直接的な下流に位置する第三収容室204の部分に流入する。
【0081】
図11に示すような原料ガス及び燃料ガスの流れが発生すると、まだ炭素析出が起こっていない領域を通る流れとなり、劣化していない改質触媒を活用して原料ガスから燃料ガスへの改質プロセスが進行する。
【0082】
上述したように本実施形態に係る燃料電池装置としての固体電解質形燃料電池1は、燃料ガスと酸化剤ガスにより発電を行う燃料電池装置であって、炭化水素を含む原料ガスを水蒸気改質して燃料ガスを生成する改質器20と、電気的に接続された複数の管状の単セルである燃料電池セルユニット16を有し、これらの燃料電池セルユニット16により燃料ガスと酸化剤ガスが反応して発電するセル集合体としての燃料電池セル集合体12と、を備えている。改質器20は、本体部20aと、本体部20aの内部に収容されるルテニウムを含む改質触媒とを有する。本体部20aには、原料ガスを導入する流入口207と、原料ガスを水蒸気改質して生成された燃料ガスを燃料電池セル集合体12に向けて流出させる流出口214と、流入口207と流出口214との間に改質触媒が収容される触媒収容部としての第一収容室202、第二収容室203、及び第三収容室204が形成されている。
【0083】
上述したように、初期状態においては、第一収容室202に原料ガスが流入し燃料ガスとなって流出する際の圧力損失よりも、第二収容室203に原料ガスが流入し燃料ガスとなって流出する際の圧力損失が高くなるように予め構成されている。そして、図11を参照しながら説明したように、第一収容室202において原料ガスに含まれる炭素が析出し、第一収容室202に収容されている改質触媒近傍を原料ガスが通る流路を狭めて流動抵抗が増えることで、第二収容室203への原料ガスの流入が自律的に高まるように構成されている。
【0084】
本実施形態では、第一収容室202と第二収容室203とを有しているので、改質触媒を第一収容室202と第二収容室203とに分けて収容することができ、それぞれに収容された改質触媒を段階的に使用することが可能となる。更に、第一収容室202に原料ガスが流入し燃料ガスとなって流出する際の圧力損失よりも、第二収容室203に原料ガスが流入し燃料ガスとなって流出する際の圧力損失が高くなるように予め構成されているので、別段の制御的な手段を用いることなく第一収容室202に優先的に原料ガスを流入させることができる(図10参照)。従って、第一収容室202に収容されている改質触媒が優先的に使用され、改質された燃料ガスを燃料電池セル集合体12に供給することができる。
【0085】
炭化水素を含む原料ガスを用いて水蒸気改質を行う場合、炭素析出は避け難い現象であるところ、本実施形態ではその炭素析出現象を逆手にとって有効活用し、第一収容室202における水蒸気改質から第二収容室203における水蒸気改質へと上手に流路を切り替えるものとしている。図10を参照しながら説明したように、第一収容室202に原料ガスを優先的に流入させているので、第一収容室202において炭素析出の影響が先に現れるように構成している。そのため、第一収容室202において原料ガスに含まれる炭素が析出し、第一収容室202に収容されている改質触媒近傍を原料ガスが通る流路を狭めて流動抵抗が増えることになる。第一収容室202において流動抵抗が増えれば、事後的に、第二収容室203に原料ガスが流入し燃料ガスとなって流出する際の圧力損失よりも、第一収容室202に原料ガスが流入し燃料ガスとなって流出する際の圧力損失が高くなる(図11参照)。
【0086】
本実施形態ではこのような炭素析出に起因する圧力損失の変動(換言すれば、流入抵抗の変動)を利用し、燃料電池装置の運転継続状況にあわせて第一収容室202を経由する改質経路から第二収容室203を経由する改質経路へと流路を切り替えている。このように改質経路を切り替えることで、第一収容室202及び第二収容室203に収容されている改質触媒を上手に使い切ることができると共に、一方の改質経路が過度に閉塞されることによって水蒸気過多となり改質触媒のルテニウムが離脱することも防止することができる。従って、炭素析出という不可避な現象を逆手にとって、何らの特別な制御手段を用いることなく、改質器20に収容されている改質触媒全体を上手に使い切ることができるように構成している。
【0087】
また本実施形態では、第一収容室202及び第二収容室203の双方に繋がる第三収容室204を設け、第一収容室202及び第二収容室203は流入口207側に、第三収容室204は流出口214側に、それぞれ配置されている。
【0088】
本実施形態における改質器20では、流入口207から原料ガスを流入させる一方で、流出口214から改質後の燃料ガスを流出させているので、流入口207側で炭素析出が発生し、流出口214側では水蒸気過多による触媒劣化が進行する傾向にある。そこで本実施形態では、第一収容室202及び第二収容室203を流入口207側に設ける一方で、第一収容室202及び第二収容室203の下流側であって流出口214側に第三収容室204を設けることで、下流側における触媒劣化の進行を第一収容室202内及び第二収容室203内にとどめ、第三収容室204に収容された触媒は劣化しない状態を維持することができる。
【0089】
また本実施形態では、第一収容室202が第三収容室204に繋がる連通穴210(第一連絡口)よりも流入口207側に連通穴215(第二連絡口)が形成され、この連通穴215(第二連絡口)と第三収容室204とを繋ぐ分流通路206を設け、第一収容室202に原料ガスが流入し燃料ガスとなって流出する際の圧力損失よりも、分流通路206に原料ガスが流入し第三収容室204へそのまま流出する際の圧力損失が高くなるように予め構成されている。このように構成することで、第一収容室202において原料ガスに含まれる炭素が析出し、第一収容室202に収容されている改質触媒近傍を原料ガスが通る流路を狭めて流動抵抗が増えることで、分流通路206を経由する第三収容室204への原料ガスの流入が自律的に高まる。
【0090】
本実施形態では上述したように、第一収容室202に原料ガスを優先的に流入させているので、第一収容室202において炭素析出の影響が先に現れるように構成している。そのため、第一収容室202において原料ガスに含まれる炭素が析出し、第一収容室202に収容されている改質触媒近傍を原料ガスが通る流路を狭めて流動抵抗が増えることになる。第一収容室202において流動抵抗が増えれば、事後的に、第三収容室204に原料ガスが流入し燃料ガスとなって流出する際の圧力損失よりも、第一収容室202に原料ガスが流入し燃料ガスとなって流出する際の圧力損失が高くなる。
【0091】
このような炭素析出に起因する圧力損失の変動を利用し、燃料電池装置の運転継続状況にあわせて第一収容室202を経由する改質経路から分流通路206を経由し第三収容室204を経由する改質経路へと流路を切り替えている。このように改質経路を切り替えることで、第一収容室202及び第三収容室204に収容されている改質触媒を上手に使い切ることができると共に、一方の改質経路が過度に閉塞されることによって水蒸気過多となり改質触媒のルテニウムが離脱することも防止することができる。従って、炭素析出という不可避な現象を逆手にとって、何らの特別な制御手段を用いることなく、改質器20に収容されている改質触媒全体を上手に使い切ることができるように構成している。
【0092】
また本実施形態では、分流通路206から第三収容室204へ供給される原料ガスは、第一収容室202の下流側直下よりも第二収容室203の下流側直下により多く供給されるように、分流通路206を設けている。
【0093】
上述したように、第一収容室202において原料ガスに含まれる炭素が析出し、第一収容室202に収容されている改質触媒近傍を原料ガスが通る流路を狭めて流動抵抗が増えると、分流経路206を経由せずに第三収容室204に繋がる流路においても炭素析出の影響を受けているものと想定される。そこで、分流通路206から第三収容室204へ供給される原料ガスは、第一収容室202の下流側直下よりも第二収容室203の下流側直下により多く供給されるように、分流通路206を設けることで、炭素析出の影響がより小さいと想定される第二収容室203の下流側直下に原料ガスを供給することができる。従って、第三収容室204に収容されている改質触媒をより上手に使い切ることができる。
【0094】
また本実施形態では、第二収容室203よりも第一収容室202に近接させて流入口207を形成し、第一収容室202よりも第二収容室203に近接させて流入口214が形成されている。
【0095】
流入口207を第一収容室202に近接させて形成することで、運転開始当初は第一収容室202に原料ガスを確実に導入することができる。一方、流出口214を第二収容室203に近接させて形成することで、改質後の燃料ガスの流れは第二収容室203側から排出されるものとし、第一収容室202下流への流れを相対的に減少させている。従って、運転開始当初は第一収容室202に収容された改質触媒を集中的に使用しつつ、第一収容室202下流における改質触媒劣化を第二収容室203側に分散することで、改質器20全体の改質性能を高めることができる。
【0096】
また本実施形態では、本体部20aの燃料電池セル集合体12に対向する下面に流入口207及び流出口214を形成し、第一収容室202及び第二収容室203を、本体部20aの下面から上面に向う方向に沿って上下に並ぶように配置することも好ましい態様である。第一収容室202を下面側に配置し、本体部20aを本体部20bに変形して改質器20Bを構成した例を図13に示す。第二収容室203を下面側に配置し、本体部20aを本体部20cに変形して改質器20Cを構成した例を図14に示す。
【0097】
これらの変形例では、本体部20b,20cの燃料電池セル集合体12に対向する下面に流入口207及び流出口214が形成されているので、原料ガスが本体部20b,20cの下面から本体部20b,20c内に流入し、改質された燃料ガスが本体部20b,20cの下面から流出する。このように本体部20b,20cの下面から原料ガスを流入させる構成を採用しつつ、第一収容室202及び第二収容室203を本体部20b,20cの下面から上面に向う方向に沿って上下に並ぶように配置することで、下面側に配置された方の改質経路に優先的に原料ガスが流れ込むように構成している。このような配置上の工夫によって、原料ガスの流入しやすさに差を設けているので、第一収容室202と第二収容室203との圧力損失の差を小さくすることが可能になると共に、一方の改質経路が過度に閉塞されない状態での切り替えが可能なものとなる。
【0098】
図13に示す変形例では、第一収容室202を下面側に配置することで原料ガスの流入容易性を高める一方で、第二収容室203を上面側に配置することで原料ガスが流入し難いように構成している。従って、第一収容室202における改質経路の閉塞が発生していない段階では、第二収容室203への原料ガスの流入を抑制し、第一収容室202における改質経路の閉塞が発生した後に第二収容室203へ原料ガスが流入するように構成している。このような構成上の工夫によって、第二収容室203への原料ガスの流入移行を緩やかなものとし、第一収容室202内の改質触媒が劣化した後の第二収容室203内の改質触媒による改質性能を確保することができ、改質器全体の改質性能を高めることができる。
【0099】
図14に示す変形例では、第二収容室203を下面側に配置することで、燃料電池セル集合体12において発電反応に使用された残余の燃料ガス及び酸化剤ガスが燃焼する燃焼部に、第二収容室203を近接させることができる。従って、第一収容室202における改質経路の閉塞が発生すると原料ガスが流入する第二収容室203を下面側に配置することで、改質性能が相対的に低下した場合に主体となる第二収容室203の温度を高めに維持し、改質器全体の改質性能を高めることができる。
【0100】
以上、具体例を参照しつつ本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。すなわち、これら具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、前述した各具体例が備える各要素およびその配置、材料、条件、形状、サイズなどは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0101】
1:固体電解質形燃料電池
2:燃料電池モジュール
4:補機ユニット
6:ハウジング
8:密封空間
10:発電室
12:燃料電池セル集合体
12a:上面
12b:下面
12c:長辺側面
12d:短辺側面
14:燃料電池セルスタック
16:燃料電池セルユニット
18:燃焼室
20:改質器
22:熱交換器
24:水供給源
26:純水タンク
28:水流量調整ユニット
30:燃料供給源
32:ガス遮断弁
36:脱硫器
38:燃料流量調整ユニット
40;空気供給源
42:電磁弁
44:改質用空気流量調整ユニット
45:発電用空気流量調整ユニット
46:第一ヒータ
48:第二ヒータ
50:温水製造装置
52:制御ボックス
54:インバータ
56:ケーシング
58:蒸発混合器
60:被改質ガス供給管
62:水供給管
64:燃料供給管
66:燃料供給管
66a:下端側
68:燃料ガスタンク
70:燃焼ガス配管
72:発電用空気流路
72a:出口ポート
74:発電用空気導入管
74a:導入口
76:発電用空気供給路
78:吹出口
80:燃焼ガス排出室
82:燃焼ガス排出管
84:燃料電池セル
86:内側電極端子
88:燃料ガス流路
90:内側電極層
90a:上部
90b:外周面
90c:上端面
92:外側電極層
94:電解質層
96:シール材
98:燃料ガス流路
20a:本体部
201:分配室
202:第一収容室
203:第二収容室
204:第三収容室
205:集約室
206:分流通路
207:流入口
208:連通穴
209:連通穴
210:連通穴
211:連通穴
212:連通穴
213:連通穴
214:流出口
215:連通穴
216:連通穴
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料ガスと酸化剤ガスにより発電を行う燃料電池装置に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料ガス(水素含有ガス)と空気(酸素含有ガス、酸化剤ガス)とを用いて電力を得ることができる複数の単セルを収納容器内に収容し、それら複数の単セルに燃料ガスと空気とを供給して発電する燃料電池装置が種々提案されている。このような燃料電池装置では、複数の単セルに供給する燃料ガスを生成するにあたって、例えば、天然ガス等の炭化水素を水蒸気と反応させて水素を生成する水蒸気改質法が用いられている。そして、そのような水蒸気改質を行うための改質器も種々提案されている。
【0003】
炭化水素を水蒸気改質するための改質器は、内部に改質触媒を収容し、その内蔵された改質触媒の近傍を炭化水素と水蒸気とを通過させることで水蒸気改質を行っている。このように改質器を利用する水蒸気改質においては、内蔵された改質触媒の劣化が問題となる。そこで下記特許文献1に記載の燃料電池装置では、改質触媒の寿命を延ばすように構成した改質器を含む燃料電池装置が提案されている。
【0004】
下記特許文献1に開示されている燃料電池装置は、単セルを複数個立設させた状態で配列して電気的に接続してなるセルスタックと、単セルに燃料ガスを供給するためのマニホールドと、セルスタックの上方に配置される改質器とを備えている。改質器は、筒状の容器の中央部に、原燃料が供給される原燃料供給口が設けられた気化部を有している。改質器は、容器の両側部に、気化部より流入した原燃料を燃料ガスに改質するための改質触媒を含む改質部を有している。それぞれの改質部とマニホールドとが燃料ガス供給管により接続され、燃料ガス供給管に、燃料ガスの流量を調整するための燃料ガス流量調整手段を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−198896号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した従来の燃料電池装置においては、改質部に収められている改質触媒が劣化したと判断される場合に、燃料ガス流量調整手段を作動させることにより、マニホールドに精製度の低い燃料ガスが供給されることを抑制することができるものである。
【0007】
また、一方の改質部に収められている改質触媒が劣化したと判断され、他方の改質部に収められている改質触媒は正常に改質反応を行なうことができると判断される場合においては、一方の改質部より送出される燃料ガスがマニホールドに供給されることを抑制するとともに、他方の改質部より送出される燃料ガスを単セルに供給している。従って、片方の改質部に備えられた改質触媒が劣化した場合であっても、他方の改質部をそのまま継続して使用することで、改質器の寿命を向上するものとしている。
【0008】
しかしながら、上述した従来の燃料電池装置では、当初は改質器全体に収められている改質触媒を利用して発電運転を行っているところ、一部の改質触媒が劣化していると判断すると実質的な改質器の容量を減じて対応しているものである。従って、燃料ガスの供給能力が著しく低下し、燃料電池装置としての発電性能は低下するものと思われる。
【0009】
そこで本発明者らは、改質触媒の劣化について本質的な検討を行い、改質器の改質性能を大きく変動させることなく延命させるための方策について考察を重ねた。燃料ガスの原料となる原料ガスとして炭化水素を用いる場合、改質器においては水蒸気改質を行うものであるから、改質器に炭化水素と水蒸気とを所定の割合で供給することが求められる。このように供給される炭化水素と水蒸気とは、炭化水素の供給量に対して水蒸気が極めて微量必要とされるものである。炭化水素の供給量は、燃料電池装置から引かれる電力が変動したり、燃料電池装置内の燃料ガスの流れが脈動したりすることによって変動するものである。そのため、変動する炭化水素の量に完全に同期させて、微量の水蒸気を変動させながら供給することは実質的に不可能なものであり、炭化水素の供給量と水蒸気の供給量との不均衡による炭素析出が発生することは避け難いものである。
【0010】
このように炭化水素を水蒸気改質する限り、炭素析出の課題を根本的に解決することは困難である。改質器内において原料ガスである炭化水素の炭素析出が起こると、改質器内に収められている改質触媒に析出した炭素が付着し、原料ガスである炭化水素の流れを阻害する。炭素析出による原料ガスの目減りと、流動阻害による原料ガスの供給不足によって、改質器内には水蒸気が過剰な状態となるおそれがある。改質触媒が収められた改質器内が水蒸気過剰になると、改質触媒として用いられているルテニウムが離脱して燃料電池装置外へと放出されることになる。
【0011】
炭素析出の発生を根本的に防止することが困難であることから、改質器内の改質触媒の劣化は避け難いことに加え、改質器内の容量は燃料電池装置のサイズの都合上、無制限に大きくすることもできない。従って、限られた容量に収められる限られた量の改質触媒を無駄にすることなく、劣化の進行を段階的なものとしながら、全ての改質触媒を上手に使い切ることが求められる。ここで、例えば、改質器内を複数の部屋に区切り、それぞれの部屋に改質触媒を分配して収めておき、それぞれの部屋の改質触媒の劣化を検知しながらソレノイド等の駆動手段を用いて仕切壁を駆動し、順番に流路を切り替えながら改質触媒を段階的に使っていくことも考えられる。
【0012】
しかしながら、炭化水素を原料ガスとする燃料電池装置の駆動温度は極めて高いものであり、改質器内の状態を検知するセンサーを配置したり、改質器内にソレノイド等の駆動手段を配置して流路を切り替えたりすることは、現実的には実現困難なものである。
【0013】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、燃料ガスと酸化剤ガスにより発電を行う燃料電池装置であって、改質器内の状態を検知するセンサーや改質器内の流路を切り替えるための駆動手段を用いることなく、改質器内に収められた全ての改質触媒を上手に使いきることができる燃料電池装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために本発明に係る燃料電池装置は、燃料ガスと酸化剤ガスにより発電を行う燃料電池装置であって、炭化水素を含む原料ガスを水蒸気改質して燃料ガスを生成する改質器と、電気的に接続された複数の管状の単セルを有し、これらの単セルにより燃料ガスと酸化剤ガスが反応して発電するセル集合体と、を備えている。前記改質器は、本体部と、当該本体部の内部に収容されるルテニウムを含む改質触媒とを有する。前記本体部には、原料ガスを導入する流入口と、原料ガスを水蒸気改質して生成された燃料ガスを前記セル集合体に向けて流出させる流出口と、前記流入口と前記流出口との間に前記改質触媒が収容される触媒収容部と、が形成されている。前記触媒収容部は、第一収容室と第二収容室とを有する。前記第一収容室に原料ガスが流入し燃料ガスとなって流出する際の圧力損失よりも、前記第二収容室に原料ガスが流入し燃料ガスとなって流出する際の圧力損失が高くなるように予め構成されており、前記第一収容室において原料ガスに含まれる炭素が析出し、前記第一収容室に収容されている改質触媒近傍を原料ガスが通る流路を狭めて流動抵抗が増えることで、前記第二収容室への原料ガスの流入が自律的に高まるように構成されている。
【0015】
本発明では、触媒収容部が第一収容室と第二収容室とを有しているので、改質触媒を第一収容室と第二収容室とに分けて収容することができ、それぞれに収容された改質触媒を段階的に使用することが可能となる。更に、第一収容室に原料ガスが流入し燃料ガスとなって流出する際の圧力損失よりも、第二収容室に原料ガスが流入し燃料ガスとなって流出する際の圧力損失が高くなるように予め構成されているので、別段の制御的な手段を用いることなく第一収容室に優先的に原料ガスを流入させることができる。従って、第一収容室に収容されている改質触媒が優先的に使用され、改質された燃料ガスをセル集合体に供給することができる。
【0016】
炭化水素を含む原料ガスを用いて水蒸気改質を行う場合、炭素析出は避け難い現象であるところ、本発明ではその炭素析出現象を逆手にとって有効活用し、第一収容室における水蒸気改質から第二収容室における水蒸気改質へと上手に流路を切り替えるものとしている。上述したように、第一収容室に原料ガスを優先的に流入させているので、第一収容室において炭素析出の影響が先に現れるように構成している。そのため、第一収容室において原料ガスに含まれる炭素が析出し、第一収容室に収容されている改質触媒近傍を原料ガスが通る流路を狭めて流動抵抗が増えることになる。第一収容室において流動抵抗が増えれば、事後的に、第二収容室に原料ガスが流入し燃料ガスとなって流出する際の圧力損失よりも、第一収容室に原料ガスが流入し燃料ガスとなって流出する際の圧力損失が高くなる。
【0017】
本発明ではこのような炭素析出に起因する圧力損失の変動を利用し、燃料電池装置の運転継続状況にあわせて第一収容室を経由する改質経路から第二収容室を経由する改質経路へと流路を切り替えている。このように改質経路を切り替えることで、第一収容室及び第二収容室に収容されている改質触媒を上手に使い切ることができると共に、一方の改質経路が過度に閉塞されることによって水蒸気過多となり改質触媒のルテニウムが離脱することも防止することができる。従って、炭素析出という不可避な現象を逆手にとって、何らの特別な制御手段を用いることなく、改質器に収容されている改質触媒全体を上手に使い切ることができるように構成している。
【0018】
また本発明に係る燃料電池装置では、前記本体部の前記セル集合体に対向する下面に前記流入口及び前記流出口が形成され、前記第一収容室及び前記第二収容室は、前記本体部の下面から上面に向う方向に沿って上下に並ぶように配置されていることも好ましい。
【0019】
この好ましい態様では、本体部のセル集合体に対向する下面に流入口及び流出口が形成されているので、原料ガスが本体部の下面から本体部内に流入し、改質された燃料ガスが本体部の下面から流出する。このように本体部の下面から原料ガスを流入させる構成を採用しつつ、第一収容室及び第二収容室を本体部の下面から上面に向う方向に沿って上下に並ぶように配置することで、下面側に配置された方の改質経路に優先的に原料ガスが流れ込むように構成している。このような配置上の工夫によって、原料ガスの流入しやすさに差を設けているので、第一収容室と第二収容室との圧力損失の差を小さくすることが可能になると共に、一方の改質経路が過度に閉塞されない状態での切り替えが可能なものとなる。
【0020】
また本発明に係る燃料電池装置では、前記第一収容室が前記下面側に、前記第二収容室が前記上面側に、それぞれ配置されていることも好ましい。
【0021】
この好ましい態様では、第一収容室を下面側に配置することで原料ガスの流入容易性を高める一方で、第二収容室を上面側に配置することで原料ガスが流入し難いように構成している。従って、第一収容室における改質経路の閉塞が発生していない段階では、第二収容室への原料ガスの流入を抑制し、第一収容室における改質経路の閉塞が発生した後に第二収容室へ原料ガスが流入するように構成している。このような構成上の工夫によって、第二収容室への原料ガスの流入移行を緩やかなものとし、第一収容室内の改質触媒が劣化した後の第二収容室内の改質触媒による改質性能を確保することができ、改質器全体の改質性能を高めることができる。
【0022】
また本発明に係る燃料電池装置では、前記触媒収容部は、前記第一収容室及び前記第二収容室の双方に繋がる第三収容室をさらに有し、前記第一収容室及び前記第二収容室は前記流入口側に、前記第三収容室は前記流出口側に、それぞれ配置されていることも好ましい。
【0023】
本発明における改質器では、流入口から原料ガスを流入させる一方で、流出口から改質後の燃料ガスを流出させているので、流入口側で炭素析出が発生し、流出口側では水蒸気過多による触媒劣化が進行する傾向にある。そこでこの好ましい態様では、第一収容室及び第二収容室を流入口側に設ける一方で、第一収容室及び第二収容室の下流側であって流出口側に第三収容室を設けることで、下流側における触媒劣化の進行を第一収容室内及び第二収容室内にとどめ、第三収容室に収容された触媒は劣化しない状態を維持することができる。
【0024】
また本発明に係る燃料電池装置では、前記第一収容室が前記第三収容室に繋がる第一連絡口よりも前記流入口側に第二連絡口が形成され、この第二連絡口と前記第三収容室とを繋ぐ分流通路が設けられ、前記第一収容室に原料ガスが流入し燃料ガスとなって流出する際の圧力損失よりも、前記分流通路に原料ガスが流入し前記第三収容室へそのまま流出する際の圧力損失が高くなるように予め構成されていることも好ましい態様である。この好ましい態様においては、前記第一収容室において原料ガスに含まれる炭素が析出し、前記第一収容室に収容されている改質触媒近傍を原料ガスが通る流路を狭めて流動抵抗が増えることで、前記分流通路を経由する前記第三収容室への原料ガスの流入が自律的に高まるように構成されていることも好ましい。
【0025】
上述したように、第一収容室に原料ガスを優先的に流入させているので、第一収容室において炭素析出の影響が先に現れるように構成している。そのため、第一収容室において原料ガスに含まれる炭素が析出し、第一収容室に収容されている改質触媒近傍を原料ガスが通る流路を狭めて流動抵抗が増えることになる。第一収容室において流動抵抗が増えれば、事後的に、第三収容室に原料ガスが流入し燃料ガスとなって流出する際の圧力損失よりも、第一収容室に原料ガスが流入し燃料ガスとなって流出する際の圧力損失が高くなる。
【0026】
この好ましい態様では、このような炭素析出に起因する圧力損失の変動を利用し、燃料電池装置の運転継続状況にあわせて第一収容室を経由する改質経路から分流通路を経由し第三収容室を経由する改質経路へと流路を切り替えている。このように改質経路を切り替えることで、第一収容室及び第三収容室に収容されている改質触媒を上手に使い切ることができると共に、一方の改質経路が過度に閉塞されることによって水蒸気過多となり改質触媒のルテニウムが離脱することも防止することができる。従って、炭素析出という不可避な現象を逆手にとって、何らの特別な制御手段を用いることなく、改質器に収容されている改質触媒全体を上手に使い切ることができるように構成している。
【0027】
また本発明に係る燃料電池装置では、前記分流通路から前記第三収容室へ供給される原料ガスは、前記第一収容室の下流側直下よりも前記第二収容室の下流側直下により多く供給されるように、前記分流通路が設けられていることも好ましい。
【0028】
上述したように、第一収容室において原料ガスに含まれる炭素が析出し、第一収容室に収容されている改質触媒近傍を原料ガスが通る流路を狭めて流動抵抗が増えると、分流経路を経由せずに第三収容室に繋がる流路においても炭素析出の影響を受けているものと想定される。そこでこの好ましい態様では、分流通路から第三収容室へ供給される原料ガスは、第一収容室の下流側直下よりも第二収容室の下流側直下により多く供給されるように、分流通路を設けることで、炭素析出の影響がより小さいと想定される第二収容室の下流側直下に原料ガスを供給することができる。従って、第三収容室に収容されている改質触媒をより上手に使い切ることができる。
【0029】
また本発明に係る燃料電池装置では、前記第二収容室よりも前記第一収容室に近接させて前記流入口が形成され、前記第一収容室よりも前記第二収容室に近接させて前記流入口が形成されていることも好ましい。
【0030】
この好ましい態様では、流入口を第一収容室に近接させて形成することで、運転開始当初は第一収容室に原料ガスを確実に導入することができる。一方、流出口を第二収容室に近接させて形成することで、改質後の燃料ガスの流れは第二収容室側から排出されるものとし、第一収容室下流への流れを相対的に減少させている。従って、運転開始当初は第一収容室に収容された改質触媒を集中的に使用しつつ、第一収容室下流における改質触媒劣化を第二収容室側に分散することで、改質器全体の改質性能を高めることができる。
【0031】
また本発明に係る燃料電池装置では、前記第一収容室が前記上面側に、前記第二収容室が前記下面側に、それぞれ配置されていることも好ましい。
【0032】
この好ましい態様では、第二収容室を下面側に配置することで、セル集合体において発電反応に使用された残余の燃料ガス及び酸化剤ガスが燃焼する燃焼部に、第二収容室を近接させることができる。従って、第一収容室における改質経路の閉塞が発生すると原料ガスが流入する第二収容室を下面側に配置することで、改質性能が相対的に低下した場合に主体となる第二収容室の温度を高めに維持し、改質器全体の改質性能を高めることができる。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、燃料ガスと酸化剤ガスにより発電を行う燃料電池装置であって、改質器内の状態を検知するセンサーや改質器内の流路を切り替えるための駆動手段を用いることなく、改質器内に収められた全ての改質触媒を上手に使いきることができる燃料電池装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の一実施形態による燃料電池装置を示す全体構成図である。
【図2】本発明の一実施形態による燃料電池装置のハウジングが外された状態の燃料電池モジュールを示す斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態による燃料電池装置の燃料電池モジュールを図2のA方向から見た断面図である。
【図4】本発明の一実施形態による燃料電池装置の燃料電池モジュールを図2のB方向から見た断面図である。
【図5】本発明の一実施形態による燃料電池装置の燃料電池セルユニットを示す正面図である。
【図6】図2に示す燃料電池モジュールから燃料電池セル集合体を覆うケーシングを取り外した状態を示す燃料電池モジュールの斜視図である。
【図7】図6に示す燃料電池モジュールにおける蒸発混合器を示す斜視図である。
【図8】本発明の一実施形態による燃料電池装置の燃料電池モジュールの熱交換器を上方から見た概略平面図である。
【図9】本発明の一実施形態におる燃料電池装置に用いられる改質器の水平面に沿った断面を模式的に示す断面図である。
【図10】図9に示す改質器において、被改質ガスを導入して改質プロセスを開始した初期の状態を示す図である。
【図11】図9に示す改質器において、図10から更に改質プロセスを進行させた状態を示す図である。
【図12】図9に示す改質器における連通穴の形成態様を説明するための図である。
【図13】図9に示す改質器の変形例を示す図である。
【図14】図9に示す改質器の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
【0036】
本発明の一実施形態による燃料電池装置である固体電解質形燃料電池を説明する。図1は、本発明の一実施形態による固体電解質形燃料電池を示す全体構成図である。この図1に示すように、本発明の一実施形態による固体電解質形燃料電池1は、燃料電池モジュール2と、補機ユニット4を備えている。
【0037】
燃料電池モジュール2は、ハウジング6を備えている。このハウジング6内部には、断熱材(図示せず)に囲まれて密封空間8が形成されている。この密封空間8の下方部分である発電室10には、燃料ガスと酸化剤ガス(空気)とにより発電反応を行う燃料電池セル集合体12が配置されている。
【0038】
この燃料電池セル集合体12は、10個の燃料電池セルスタック14を備えている(図6参照)。この燃料電池セルスタック14は、16本の燃料電池セルユニット16(単セル、図5参照)から構成されている。燃料電池セル集合体12は、160本の燃料電池セルユニット16を有し、これらの燃料電池セルユニット16の全てが直列接続されている。
【0039】
燃料電池モジュール2の密封空間8の上述した発電室10の上方には、燃焼室18が形成されている。この燃焼室18で、発電反応に使用されなかった残余の燃料ガスと残余の酸化剤ガス(空気)とが燃焼し、燃焼ガス(排気ガス)を生成するようになっている。
【0040】
この燃焼室18の上方には、原料ガスを改質して燃料ガスを生成する改質器20が配置されている。上述した燃焼ガスの燃焼熱によって、改質器20を改質反応が可能な温度となるように加熱している。さらに、この改質器20の上方には、燃焼ガスの熱により外部から導入される酸化剤ガス(発電用空気)を加熱する熱交換器22が配置されている。
【0041】
補機ユニット4は、水道等の水供給源24からの水を貯水してフィルターにより純水とする純水タンク26と、この貯水タンクから供給される水の流量を調整する水流量調整ユニット28(モータで駆動される「水ポンプ」等)を備えている。また、補機ユニット4は、都市ガス等の燃料供給源30から供給された燃料ガスを遮断するガス遮断弁32と、燃料ガスから硫黄を除去するための脱硫器36と、燃料ガスの流量を調整する燃料流量調整ユニット38(モータで駆動される「燃料ポンプ」等)を備えている。
【0042】
さらに、補機ユニット4は、空気供給源40から供給される酸化剤ガスである空気を遮断する電磁弁42と、空気の流量を調整する改質用空気流量調整ユニット44(モータで駆動される「空気ブロア」等)及び発電用空気流量調整ユニット45(モータで駆動される「空気ブロア」等)と、改質器20に供給される改質用空気を加熱する第1ヒータ46と、発電室に供給される発電用空気を加熱する第2ヒータ48とを備えている。これらの第1ヒータ46と第2ヒータ48は、起動時の昇温を効率よく行うために設けられているが、省略しても良い。
【0043】
燃料電池モジュール2には、排気ガスが供給される温水製造装置50が接続されている。この温水製造装置50には、水供給源24から水道水が供給され、この水道水が排気ガスの熱により温水となり、図示しない外部の給湯器の貯湯タンクへ供給されるようになっている。燃料電池モジュール2には、燃料ガスの供給量等を制御するための制御ボックス52が取り付けられている。燃料電池モジュール2には、燃料電池モジュールにより発電された電力を外部に供給するための電力取出部(電力変換部)であるインバータ54が接続されている。
【0044】
続いて、図2‐図4、図6、図7により、本発明の実施形態によるSOFCの燃料電池モジュール2の内部構造を説明する。図2は、本発明の一実施形態による燃料電池装置のハウジング6が取り外された状態の燃料電池モジュール2を示す斜視図である。図2においては、燃料電池モジュール2を構成する各燃料電池セルスタック14において、燃料電池セルユニット16が8本並ぶ方向をx軸方向としている。また、燃料電池セルユニット16が立設されて延びる方向をy軸方向とし、x軸及びy軸に直交する方向をz軸方向としている。図3以降において図中に記載しているx軸、y軸、及びz軸は、図2におけるx軸、y軸、及びz軸を基準としている。
【0045】
図3は、本発明の一実施形態による燃料電池装置の燃料電池モジュール2を図2のA方向から見た断面図である。図4は、本発明の一実施形態による燃料電池装置の燃料電池モジュール2を図2のB方向から見た断面図である。図6は、図2に示す燃料電池モジュールから燃料電池セル集合体を覆うケーシングを取り外した状態を示す燃料電池モジュールの斜視図である。図7は、図6に示す燃料電池モジュールにおける蒸発混合器を示す斜視図である。
【0046】
図2‐図4に示すように、燃料電池モジュール2の燃料電池セル集合体12は、ケーシング56により、全体が覆われている。図6に示すように、燃料電池セル集合体12は、B方向よりA方向の方が長いほぼ直方体形状であり、上面12a、下面12b、図2のA方向に沿って延びる長辺側面12cと、図2のB方向に沿って延びる短辺側面12dを備えている。
【0047】
図3に示すように、燃料電池モジュール2内の密封空間8内の最下方部分には、蒸発混合器58が燃料電池セル集合体12の長辺側面12cに沿って設けられている。この蒸発混合器58は、燃焼ガスにより加熱して、水を水蒸気にすると共に、この水蒸気と、被改質ガスである燃料ガス(都市ガス)と酸化剤ガスである空気とを混合するためのものである。この蒸発混合器58の一端側には、図2、図4、図7に示すように、被改質ガス供給管60と、水供給管62が接続されている。被改質ガス供給管60は、燃料流量調整ユニット38及び改質用空気流量調整ユニット44から、被改質ガス(原料ガス)及び改質用空気を導入するようになっている。
【0048】
図4に示すように、蒸発混合器58の他端側には、燃料供給管64の下端が接続されている。この燃料供給管64の上端は、改質器20の上流端に接続されている。この燃料供給管64により、燃料ガスが蒸発混合器58から改質器20へ供給されるようになっている。また、改質器20の下流端には、燃料供給管66の上端が接続されている。この燃料供給管66の下端側66aは、燃料ガスタンク68内に進入して、水平方向に延びている。
【0049】
図3及び図4に示すように、燃料ガスタンク68は、燃料電池セル集合体12の真下に設けられている。また、燃料ガスタンク68内に挿入された燃料供給管66の下端側66aの外周には、長手方向(A方向)に沿って複数の小穴(図示せず)が形成されている。改質器20で改質された燃料ガスは、これら複数の小穴(図示せず)によって燃料ガスタンク68内に長手方向に均一に供給されるようになっている。燃料ガスタンク68に供給された燃料ガスは、燃料電池セルユニット16の内側にある燃料ガス流路88(図5参照)内に供給され、燃料電池セルユニット16内を上昇して、燃焼室18に至るようになっている。
【0050】
続いて、発電用空気を燃料電池モジュール2へ供給するための構造を説明する。図2‐4に示すように、改質器20の上方に、燃料電池モジュール2の燃料電池セル集合体12の上面12a及び短辺側面12d(図2及び図4の右側短辺側面)に沿って、熱交換器22が設けられている。熱交換器22には、複数の燃焼ガス配管70と、この燃焼ガス配管70の周囲に形成された発電用空気流路72が設けられている。
【0051】
なお、本実施形態においては、熱交換器22は、燃料電池セル集合体12の上面12a及び右側の短辺側面12dに沿って設けるようにしているが、これに限らず、熱交換器22を、右側の短辺側面12dのみに沿って設けても良いし、右側及び左側の両方の短辺側面12dのみに沿って設けても良いし、さらに、上面12a及び両側の短辺側面12dに沿って設けるようにしても良い。
【0052】
熱交換器22の短辺側面12dに沿って設けられた部分の下端の一端側には、図2に示すように、発電用空気導入管74の導入口74aが取り付けられている。この発電用空気導入管74により、発電用空気流量調整ユニット45から、発電用空気が、熱交換器22内に導入されるようになっている。
【0053】
図4及び図8に示すように、熱交換器22の上側の他端側には、発電用空気流路72の出口ポート72aが形成されている。さらに、図3に示すように、燃料電池モジュール2のケーシング56の幅方向(B方向:短辺側面方向)の両側の外側には、発電用空気供給路76が形成されている。発電用空気流路72の出口ポート72aから、発電用空気が供給されるようになっている。この発電用空気供給路76は、燃料電池セル集合体12の長手方向(長辺側面12c方向)に沿って形成されている。さらに、その下方側であり且つ燃料電池セル集合体12の下方側に対応する位置に、発電室10内の燃料電池セル集合体12の各燃料電池セルユニット16に向けて発電用空気を吹き出すための複数の吹出口78が、長手方向に沿って、等間隔に、形成されている。これらの吹出口78から吹き出された発電用空気は、各燃料電池セルユニット16の外側に沿って、下方から上方へ流れるようになっている。
【0054】
続いて、燃料ガスと発電用空気(酸化剤ガス)が燃焼して生成される燃焼ガスを排出するための構造を説明する。上述したように、熱交換器22内には、燃焼室18で燃料ガスと発電用空気(酸化剤ガス)が燃焼して生成された燃焼ガスを排出するための複数の燃焼ガス配管70が設けられている。図4に示すように、これらの燃焼ガス配管70の下流端側には、燃料電池セル集合体12の下方に位置し長手方向に延びる燃焼ガス排出室80が形成され、燃焼ガス配管70の下端側と燃焼ガス排出室80が接続されている。なお、この燃焼ガス排出室80内に、上述した蒸発混合器58が配置され、この蒸発混合器58内の燃料ガスが、高温の燃焼ガスにより、長手方向に沿って、加熱されるようになっている。さらに、燃焼ガス排出室80の下面には、燃焼ガス排出管82が接続され、燃焼ガスが外部に排出されるようになっている。
【0055】
続いて、図5を参照しながら、燃料電池セルユニット16について説明する。図5は、本発明の一実施形態によるSOFCの燃料電池セルユニットを示す部分断面図である。図5に示すように、燃料電池セルユニット16は、燃料電池セル84と、この燃料電池セル84の上下方向端部にそれぞれ接続された内側電極端子86とを備えている。
【0056】
燃料電池セル84は、上下方向に延びる管状構造体であり、内側(内部)に燃料ガス流路88を形成する円筒形の内側電極層90と、円筒形の外側電極層92と、内側電極層90と外側電極層92との間にある電解質層94とを備えている。この内側電極層90は、燃料ガスが通過する燃料極であり、(−)極となり、一方、外側電極層92は、空気と接触する空気極であり、(+)極となっている。
【0057】
燃料電池セルユニット16の上端側と下端側に取り付けられた内側電極端子86は、同一構造であるため、ここでは、上端側に取り付けられた内側電極端子86について具体的に説明する。内側電極層90の上部90aは、電解質層94と外側電極層92に対して露出された外周面90bと上端面90cとを備えている。内側電極端子86は、導電性のシール材96を介して内側電極層90の外周面90bと接続され、さらに、内側電極層90の上端面90cとは直接接触することにより、内側電極層90と電気的に接続されている。内側電極端子86の中心部には、内側電極層90の燃料ガス流路88と連通する燃料ガス流路98が形成されている。
【0058】
内側電極層90は、例えば、Niと、CaやY、Sc等の希土類元素から選ばれる少なくとも一種をドープしたジルコニアとの混合体、Niと、希土類元素から選ばれる少なくとも一種をドープしたセリアとの混合体、Niと、Sr、Mg、Co、Fe、Cuから選ばれる少なくとも一種をドープしたランタンガレードとの混合体、の少なくとも一種から形成される。
【0059】
電解質層94は、例えば、Y、Sc等の希土類元素から選ばれる少なくとも一種をドープしたジルコニア、希土類元素から選ばれる少なくとも一種をドープしたセリア、Sr、Mgから選ばれる少なくとも一種をドープしたランタンガレート、の少なくとも一種から形成される。
【0060】
外側電極層92は、例えば、Sr、Caから選ばれた少なくとも一種をドープしたランタンマンガナイト、Sr、Co、Ni、Cuから選ばれた少なくとも一種をドープしたランタンフェライト、Sr、Fe、Ni、Cuから選ばれた少なくとも一種をドープしたランタンコバルタイト、銀、などの少なくとも一種から形成される。
【0061】
続いて、改質器20について、図9を参照しながら更に説明する。図9は、改質器20をxz平面を含む平面で断面を見た場合の、本体部20の内部を示す模式的な断面図である。上述したように改質器20は、燃焼室18の上方に配置されるものであり、原料ガスを改質して燃料ガスを生成するものである。上述した燃焼ガスの燃焼熱によって、改質器20を改質反応が可能な温度となるように加熱している。図9においては、図の紙面に向って奥側(y軸方向の負側)が燃焼室18に対向する面となっている。
【0062】
図9に示すように、改質器20は、本体部20aを有している。本体部20aの内部には、図に明示しない球状の改質触媒が充填されている。本体部20aは、分配室201と、第一収容室202と、第二収容室203と、第三収容室204と、集約室205と、を有している。
【0063】
分配室201は、燃料供給管64を経由して蒸発混合器58から原料ガス及び水蒸気を受け入れて、第一収容室202及び第二収容室203に分配するための空間となっている。分配室201の底面には、流入口207が形成されている。流入口207には、燃料供給管64が繋がれている。流入口207は、第二収容室203よりも第一収容室204側にオフセットされて形成されている。
【0064】
流入口207に導入された原料ガス及び水蒸気は、第一収容室202と第二収容室203とに分配される。分配室201と第一収容室202とを分かつ壁には、連通穴208が形成されている。分配室202と第二収容室203とを分かつ壁には、連通穴209が形成されている。
【0065】
連通穴208及び連通穴209を見通す方向から見た図を図9に示す。図9に示すように、連通穴208は、連通穴209よりも大径の丸穴として形成されている。連通穴208は7箇所に形成される一方で、連通穴209は6箇所に形成されている。従って、分配室201と第一収容室202とを繋ぐ流路の流路断面積である連通穴208の合算開口面積は、分配室201と第二収容室203とを繋ぐ流路の流路断面積である連通穴209の合算開口面積よりも大きくなるように構成されている。そのため、少なくとも初期段階においては、分配室201から第一収容室202への原料ガスの流入抵抗は、分配室201から第二収容室203への原料ガスの流入抵抗よりも小さく、原料ガスは第二収容室203よりも第一収容室202に流入しやすくなっている。
【0066】
図9に戻って説明を続ける。第一収容室202及び第二収容室203の下流側には、第一収容室202及び第二収容室203の双方に繋がる第三収容室204が形成されている。第一収容室202と第三収容室204とを分かつ壁には、連通穴210が形成されている。第二収容室203と第三収容室204とを分かつ壁には、連通穴211が形成されている。
【0067】
連通穴210は、連通穴211よりも大径の丸穴として形成されている。連通穴210は7箇所に形成される一方で、連通穴211は6箇所に形成されている。従って、第一収容室202と第三収容室204とを繋ぐ流路の流路断面積である連通穴210の合算開口面積は、第二収容室203と第三収容室204とを繋ぐ流路の流路断面積である連通穴211の合算開口面積よりも大きくなるように構成されている。そのため、少なくとも初期段階においては、第一収容室202から第三収容室204への原料ガスの流入抵抗は、第二収容室203から第三収容室204への原料ガスの流入抵抗よりも小さく、原料ガスは第二収容室203を経由するよりも第一収容室202から経由する方がより多く第三収容室204に流入する。
【0068】
第一収容室202及び第二収容室203から第三収容室204に流入する原料ガスは、その流動プロセスにおいて水蒸気改質される。具体的には、第一収容室202、第二収容室203、及び第三収容室204には、それぞれ改質触媒が封入されている。本実施形態の場合、改質触媒は、基材にルテニウムを担持させることで形成されている。第一収容室202及び第二収容室203から第三収容室204に流入する原料ガスは、それぞれに封入されている改質触媒の作用によって水素リッチな燃料ガスとして改質される。
【0069】
改質された燃料ガスは、第三収容室204から集約室205へと流入する。第三収容室204と集約室205とを分かつ壁には、連通穴212及び連通穴213が形成されている。連通穴212は、第一収容室202から本体部20aの外壁に沿って、連通穴210を延伸した下流側に略対応する位置に形成されている。連通穴213は、第二収容室203から本体部20aの外壁に沿って、連通穴211を延伸した下流側に対応する位置に形成されている。
【0070】
連通穴213は、連通穴212よりも大径の丸穴として形成されている。連通穴213は7箇所に形成される一方で、連通穴212は6箇所に形成されている。従って、第一収容室202の下流側に位置する第三収容室204と集約室205とを繋ぐ流路の流路断面積である連通穴212の合算開口面積は、第二収容室203の下流側に位置する第三収容室204と集約室205とを繋ぐ流路の流路断面積である連通穴213の合算開口面積よりも小さくなるように構成されている。そのため、少なくとも初期段階においては、第一収容室202の下流側に位置する第三収容室204から集約室205への燃料ガスの流入抵抗は、第二収容室203の下流側に位置する第三収容室204から集約室205への燃料ガスの流入抵抗よりも大きく、燃料ガスは連通穴212を経由するよりも連通穴213経由する方がより多く集約室205に流入する。
【0071】
集約室205は、燃料供給管66を経由して燃料ガスタンク68に燃料ガスを送り出すための空間となっている。集約室205の底面には、流出口214が形成されている。流出口214には、燃料供給管66が繋がれている。流出口214は、連通穴212よりも連通穴213側にオフセットされて形成されている。
【0072】
本実施形態の場合、第一収容室202と第二収容室203との間の空間に、第一収容室202及び第二収容室203のz軸方向全長に渡って分流通路206が設けられている。第一収容室202と分流通路206とを分かつ壁には、連通穴215が形成されている。分流通路206と第三収容室204とを分かつ壁には、連通穴216が形成されている。連通穴215及び連通穴216は、それぞれ一つ形成されている。連通穴215及び連通穴216は、同じ径の穴であり、連通穴209と略同径である。従って、少なくとも初期状態において、分流通路206への流入抵抗は高く、分流通路206へはほとんど原料ガスが流入しないように構成されている。
【0073】
続いて、図10及び図11を参照しながら、改質器20内の原料ガス及び燃料ガスの流れを説明する。図10に示すのは、被改質ガスである原料ガスを導入し、改質プロセスを開始した初期の状態における、原料ガス及び燃料ガスの流れを示す図である。図11に示すのは、図10から更に改質プロセスが進行した場合の、原料ガス及び燃料ガスの流れを示す図である。
【0074】
図10に示すように、流入口207から改質器20内に導入された原料ガスは、分配室201に導入される。分配室201に導入された原料ガスは、最も流れやすい経路により多く流れる。従って、分配室201から第一収容室202に多くの原料ガスが流入し、分配室201から第二収容室203に流入する原料ガスは極めて少ない。
【0075】
第一収容室202に流入した原料ガスは、第一収容室202内に収容されている改質触媒によって改質されながら第三収容室204に流入する。また、第二収容室203に流入した少量の原料ガスも、第二収容室203内に収容されている改質触媒によって改質されながら第三収容室204に流入する。
【0076】
第三収容室204に流入した原料ガスは、第三収容室204内に収容されている改質触媒によって改質されながら集約室205に流入する。この場合、連通穴213を経由して流入する方が、連通穴212を経由して流入するよりも流入し易いので、連通穴213を経由する流れが支配的となる。
【0077】
上述したように、改質器20内の原料ガス及び燃料ガスの流れは、初期状態においては次のような流れが支配的なものとなる。流入口207から流入した原料ガスの多くは、連通穴208を経由して第一収容室202に流入する。第一収容室202に流入した原料ガスは、連通穴210を経由して第三収容室204に流入する。第三収容室204に流入した原料ガス及び燃料ガスは、連通穴213経由を主とし、連通穴212経由を従とするように、集約室205に流入する。集約室205に流入した燃料ガスは、流出口214から流出する。
【0078】
図10に示す状態から改質プロセスが更に進行すると、図11に示すような状態となる。原料ガスを水蒸気と共に改質器20内に導入し、水素リッチな燃料ガスとして取り出すと、改質器20内の改質触媒には炭素析出が発生する。従って、初期状態において原料ガス及び燃料ガスが支配的に流れた経路に沿って炭素析出が発生し、改質触媒近傍の流路が実質的に狭められる。
【0079】
第一収容室202内の改質触媒には全体に渡って炭素析出が発生し、連通穴208を経由して連通穴210から第三収容室への原料ガス及び燃料ガスの流量が低減する。また、第三収容室204内の改質触媒には、連通穴210と連通穴212との間の領域において炭素析出が発生し、連通穴212を経由する燃料ガスの流量が低減する。
【0080】
従って、図11に示すように、第二収容室203を経由して第三収容室に流入し、連通穴213を経由して集約室205に流入する原料ガス及び燃料ガスの流れが支配的なものとなる。更に、第一収容室202に流入した原料ガスは、第一収容室202内の圧力損失が高まるので、連通穴215を経由して分流通路206に流入する。分流通路206に流入した原料ガスは、連通穴216を経由し、第二収容室202の直接的な下流に位置する第三収容室204の部分に流入する。
【0081】
図11に示すような原料ガス及び燃料ガスの流れが発生すると、まだ炭素析出が起こっていない領域を通る流れとなり、劣化していない改質触媒を活用して原料ガスから燃料ガスへの改質プロセスが進行する。
【0082】
上述したように本実施形態に係る燃料電池装置としての固体電解質形燃料電池1は、燃料ガスと酸化剤ガスにより発電を行う燃料電池装置であって、炭化水素を含む原料ガスを水蒸気改質して燃料ガスを生成する改質器20と、電気的に接続された複数の管状の単セルである燃料電池セルユニット16を有し、これらの燃料電池セルユニット16により燃料ガスと酸化剤ガスが反応して発電するセル集合体としての燃料電池セル集合体12と、を備えている。改質器20は、本体部20aと、本体部20aの内部に収容されるルテニウムを含む改質触媒とを有する。本体部20aには、原料ガスを導入する流入口207と、原料ガスを水蒸気改質して生成された燃料ガスを燃料電池セル集合体12に向けて流出させる流出口214と、流入口207と流出口214との間に改質触媒が収容される触媒収容部としての第一収容室202、第二収容室203、及び第三収容室204が形成されている。
【0083】
上述したように、初期状態においては、第一収容室202に原料ガスが流入し燃料ガスとなって流出する際の圧力損失よりも、第二収容室203に原料ガスが流入し燃料ガスとなって流出する際の圧力損失が高くなるように予め構成されている。そして、図11を参照しながら説明したように、第一収容室202において原料ガスに含まれる炭素が析出し、第一収容室202に収容されている改質触媒近傍を原料ガスが通る流路を狭めて流動抵抗が増えることで、第二収容室203への原料ガスの流入が自律的に高まるように構成されている。
【0084】
本実施形態では、第一収容室202と第二収容室203とを有しているので、改質触媒を第一収容室202と第二収容室203とに分けて収容することができ、それぞれに収容された改質触媒を段階的に使用することが可能となる。更に、第一収容室202に原料ガスが流入し燃料ガスとなって流出する際の圧力損失よりも、第二収容室203に原料ガスが流入し燃料ガスとなって流出する際の圧力損失が高くなるように予め構成されているので、別段の制御的な手段を用いることなく第一収容室202に優先的に原料ガスを流入させることができる(図10参照)。従って、第一収容室202に収容されている改質触媒が優先的に使用され、改質された燃料ガスを燃料電池セル集合体12に供給することができる。
【0085】
炭化水素を含む原料ガスを用いて水蒸気改質を行う場合、炭素析出は避け難い現象であるところ、本実施形態ではその炭素析出現象を逆手にとって有効活用し、第一収容室202における水蒸気改質から第二収容室203における水蒸気改質へと上手に流路を切り替えるものとしている。図10を参照しながら説明したように、第一収容室202に原料ガスを優先的に流入させているので、第一収容室202において炭素析出の影響が先に現れるように構成している。そのため、第一収容室202において原料ガスに含まれる炭素が析出し、第一収容室202に収容されている改質触媒近傍を原料ガスが通る流路を狭めて流動抵抗が増えることになる。第一収容室202において流動抵抗が増えれば、事後的に、第二収容室203に原料ガスが流入し燃料ガスとなって流出する際の圧力損失よりも、第一収容室202に原料ガスが流入し燃料ガスとなって流出する際の圧力損失が高くなる(図11参照)。
【0086】
本実施形態ではこのような炭素析出に起因する圧力損失の変動(換言すれば、流入抵抗の変動)を利用し、燃料電池装置の運転継続状況にあわせて第一収容室202を経由する改質経路から第二収容室203を経由する改質経路へと流路を切り替えている。このように改質経路を切り替えることで、第一収容室202及び第二収容室203に収容されている改質触媒を上手に使い切ることができると共に、一方の改質経路が過度に閉塞されることによって水蒸気過多となり改質触媒のルテニウムが離脱することも防止することができる。従って、炭素析出という不可避な現象を逆手にとって、何らの特別な制御手段を用いることなく、改質器20に収容されている改質触媒全体を上手に使い切ることができるように構成している。
【0087】
また本実施形態では、第一収容室202及び第二収容室203の双方に繋がる第三収容室204を設け、第一収容室202及び第二収容室203は流入口207側に、第三収容室204は流出口214側に、それぞれ配置されている。
【0088】
本実施形態における改質器20では、流入口207から原料ガスを流入させる一方で、流出口214から改質後の燃料ガスを流出させているので、流入口207側で炭素析出が発生し、流出口214側では水蒸気過多による触媒劣化が進行する傾向にある。そこで本実施形態では、第一収容室202及び第二収容室203を流入口207側に設ける一方で、第一収容室202及び第二収容室203の下流側であって流出口214側に第三収容室204を設けることで、下流側における触媒劣化の進行を第一収容室202内及び第二収容室203内にとどめ、第三収容室204に収容された触媒は劣化しない状態を維持することができる。
【0089】
また本実施形態では、第一収容室202が第三収容室204に繋がる連通穴210(第一連絡口)よりも流入口207側に連通穴215(第二連絡口)が形成され、この連通穴215(第二連絡口)と第三収容室204とを繋ぐ分流通路206を設け、第一収容室202に原料ガスが流入し燃料ガスとなって流出する際の圧力損失よりも、分流通路206に原料ガスが流入し第三収容室204へそのまま流出する際の圧力損失が高くなるように予め構成されている。このように構成することで、第一収容室202において原料ガスに含まれる炭素が析出し、第一収容室202に収容されている改質触媒近傍を原料ガスが通る流路を狭めて流動抵抗が増えることで、分流通路206を経由する第三収容室204への原料ガスの流入が自律的に高まる。
【0090】
本実施形態では上述したように、第一収容室202に原料ガスを優先的に流入させているので、第一収容室202において炭素析出の影響が先に現れるように構成している。そのため、第一収容室202において原料ガスに含まれる炭素が析出し、第一収容室202に収容されている改質触媒近傍を原料ガスが通る流路を狭めて流動抵抗が増えることになる。第一収容室202において流動抵抗が増えれば、事後的に、第三収容室204に原料ガスが流入し燃料ガスとなって流出する際の圧力損失よりも、第一収容室202に原料ガスが流入し燃料ガスとなって流出する際の圧力損失が高くなる。
【0091】
このような炭素析出に起因する圧力損失の変動を利用し、燃料電池装置の運転継続状況にあわせて第一収容室202を経由する改質経路から分流通路206を経由し第三収容室204を経由する改質経路へと流路を切り替えている。このように改質経路を切り替えることで、第一収容室202及び第三収容室204に収容されている改質触媒を上手に使い切ることができると共に、一方の改質経路が過度に閉塞されることによって水蒸気過多となり改質触媒のルテニウムが離脱することも防止することができる。従って、炭素析出という不可避な現象を逆手にとって、何らの特別な制御手段を用いることなく、改質器20に収容されている改質触媒全体を上手に使い切ることができるように構成している。
【0092】
また本実施形態では、分流通路206から第三収容室204へ供給される原料ガスは、第一収容室202の下流側直下よりも第二収容室203の下流側直下により多く供給されるように、分流通路206を設けている。
【0093】
上述したように、第一収容室202において原料ガスに含まれる炭素が析出し、第一収容室202に収容されている改質触媒近傍を原料ガスが通る流路を狭めて流動抵抗が増えると、分流経路206を経由せずに第三収容室204に繋がる流路においても炭素析出の影響を受けているものと想定される。そこで、分流通路206から第三収容室204へ供給される原料ガスは、第一収容室202の下流側直下よりも第二収容室203の下流側直下により多く供給されるように、分流通路206を設けることで、炭素析出の影響がより小さいと想定される第二収容室203の下流側直下に原料ガスを供給することができる。従って、第三収容室204に収容されている改質触媒をより上手に使い切ることができる。
【0094】
また本実施形態では、第二収容室203よりも第一収容室202に近接させて流入口207を形成し、第一収容室202よりも第二収容室203に近接させて流入口214が形成されている。
【0095】
流入口207を第一収容室202に近接させて形成することで、運転開始当初は第一収容室202に原料ガスを確実に導入することができる。一方、流出口214を第二収容室203に近接させて形成することで、改質後の燃料ガスの流れは第二収容室203側から排出されるものとし、第一収容室202下流への流れを相対的に減少させている。従って、運転開始当初は第一収容室202に収容された改質触媒を集中的に使用しつつ、第一収容室202下流における改質触媒劣化を第二収容室203側に分散することで、改質器20全体の改質性能を高めることができる。
【0096】
また本実施形態では、本体部20aの燃料電池セル集合体12に対向する下面に流入口207及び流出口214を形成し、第一収容室202及び第二収容室203を、本体部20aの下面から上面に向う方向に沿って上下に並ぶように配置することも好ましい態様である。第一収容室202を下面側に配置し、本体部20aを本体部20bに変形して改質器20Bを構成した例を図13に示す。第二収容室203を下面側に配置し、本体部20aを本体部20cに変形して改質器20Cを構成した例を図14に示す。
【0097】
これらの変形例では、本体部20b,20cの燃料電池セル集合体12に対向する下面に流入口207及び流出口214が形成されているので、原料ガスが本体部20b,20cの下面から本体部20b,20c内に流入し、改質された燃料ガスが本体部20b,20cの下面から流出する。このように本体部20b,20cの下面から原料ガスを流入させる構成を採用しつつ、第一収容室202及び第二収容室203を本体部20b,20cの下面から上面に向う方向に沿って上下に並ぶように配置することで、下面側に配置された方の改質経路に優先的に原料ガスが流れ込むように構成している。このような配置上の工夫によって、原料ガスの流入しやすさに差を設けているので、第一収容室202と第二収容室203との圧力損失の差を小さくすることが可能になると共に、一方の改質経路が過度に閉塞されない状態での切り替えが可能なものとなる。
【0098】
図13に示す変形例では、第一収容室202を下面側に配置することで原料ガスの流入容易性を高める一方で、第二収容室203を上面側に配置することで原料ガスが流入し難いように構成している。従って、第一収容室202における改質経路の閉塞が発生していない段階では、第二収容室203への原料ガスの流入を抑制し、第一収容室202における改質経路の閉塞が発生した後に第二収容室203へ原料ガスが流入するように構成している。このような構成上の工夫によって、第二収容室203への原料ガスの流入移行を緩やかなものとし、第一収容室202内の改質触媒が劣化した後の第二収容室203内の改質触媒による改質性能を確保することができ、改質器全体の改質性能を高めることができる。
【0099】
図14に示す変形例では、第二収容室203を下面側に配置することで、燃料電池セル集合体12において発電反応に使用された残余の燃料ガス及び酸化剤ガスが燃焼する燃焼部に、第二収容室203を近接させることができる。従って、第一収容室202における改質経路の閉塞が発生すると原料ガスが流入する第二収容室203を下面側に配置することで、改質性能が相対的に低下した場合に主体となる第二収容室203の温度を高めに維持し、改質器全体の改質性能を高めることができる。
【0100】
以上、具体例を参照しつつ本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。すなわち、これら具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、前述した各具体例が備える各要素およびその配置、材料、条件、形状、サイズなどは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0101】
1:固体電解質形燃料電池
2:燃料電池モジュール
4:補機ユニット
6:ハウジング
8:密封空間
10:発電室
12:燃料電池セル集合体
12a:上面
12b:下面
12c:長辺側面
12d:短辺側面
14:燃料電池セルスタック
16:燃料電池セルユニット
18:燃焼室
20:改質器
22:熱交換器
24:水供給源
26:純水タンク
28:水流量調整ユニット
30:燃料供給源
32:ガス遮断弁
36:脱硫器
38:燃料流量調整ユニット
40;空気供給源
42:電磁弁
44:改質用空気流量調整ユニット
45:発電用空気流量調整ユニット
46:第一ヒータ
48:第二ヒータ
50:温水製造装置
52:制御ボックス
54:インバータ
56:ケーシング
58:蒸発混合器
60:被改質ガス供給管
62:水供給管
64:燃料供給管
66:燃料供給管
66a:下端側
68:燃料ガスタンク
70:燃焼ガス配管
72:発電用空気流路
72a:出口ポート
74:発電用空気導入管
74a:導入口
76:発電用空気供給路
78:吹出口
80:燃焼ガス排出室
82:燃焼ガス排出管
84:燃料電池セル
86:内側電極端子
88:燃料ガス流路
90:内側電極層
90a:上部
90b:外周面
90c:上端面
92:外側電極層
94:電解質層
96:シール材
98:燃料ガス流路
20a:本体部
201:分配室
202:第一収容室
203:第二収容室
204:第三収容室
205:集約室
206:分流通路
207:流入口
208:連通穴
209:連通穴
210:連通穴
211:連通穴
212:連通穴
213:連通穴
214:流出口
215:連通穴
216:連通穴
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料ガスと酸化剤ガスにより発電を行う燃料電池装置であって、
炭化水素を含む原料ガスを水蒸気改質して燃料ガスを生成する改質器と、
電気的に接続された複数の管状の単セルを有し、これらの単セルにより燃料ガスと酸化剤ガスが反応して発電するセル集合体と、を備え、
前記改質器は、本体部と、当該本体部の内部に収容されるルテニウムを含む改質触媒と、を有し、
前記本体部には、原料ガスを導入する流入口と、原料ガスを水蒸気改質して生成された燃料ガスを前記セル集合体に向けて流出させる流出口と、前記流入口と前記流出口との間に前記改質触媒が収容される触媒収容部と、が形成され、
前記触媒収容部は、第一収容室と第二収容室とを有し、
前記第一収容室に原料ガスが流入し燃料ガスとなって流出する際の圧力損失よりも、前記第二収容室に原料ガスが流入し燃料ガスとなって流出する際の圧力損失が高くなるように予め構成されており、
前記第一収容室において原料ガスに含まれる炭素が析出し、前記第一収容室に収容されている改質触媒近傍を原料ガスが通る流路を狭めて流動抵抗が増えることで、前記第二収容室への原料ガスの流入が自律的に高まるように構成されていることを特徴とする燃料電池装置。
【請求項2】
前記本体部の前記セル集合体に対向する下面に前記流入口及び前記流出口が形成され、
前記第一収容室及び前記第二収容室は、前記本体部の下面から上面に向う方向に沿って上下に並ぶように配置されていることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池装置。
【請求項3】
前記第一収容室が前記下面側に、前記第二収容室が前記上面側に、それぞれ配置されていることを特徴とする請求項2に記載の燃料電池装置。
【請求項4】
前記触媒収容部は、前記第一収容室及び前記第二収容室の双方に繋がる第三収容室をさらに有し、
前記第一収容室及び前記第二収容室は前記流入口側に、前記第三収容室は前記流出口側に、それぞれ配置されていることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池装置。
【請求項5】
前記第一収容室が前記第三収容室に繋がる第一連絡口よりも前記流入口側に第二連絡口が形成され、この第二連絡口と前記第三収容室とを繋ぐ分流通路が設けられており、
前記第一収容室に原料ガスが流入し燃料ガスとなって流出する際の圧力損失よりも、前記分流通路に原料ガスが流入し前記第三収容室へそのまま流出する際の圧力損失が高くなるように予め構成されており、
前記第一収容室において原料ガスに含まれる炭素が析出し、前記第一収容室に収容されている改質触媒近傍を原料ガスが通る流路を狭めて流動抵抗が増えることで、前記分流通路を経由する前記第三収容室への原料ガスの流入が自律的に高まるように構成されていることを特徴とする請求項4に記載の燃料電池装置。
【請求項6】
前記分流通路から前記第三収容室へ供給される原料ガスは、前記第一収容室の下流側直下よりも前記第二収容室の下流側直下により多く供給されるように、前記分流通路が設けられていることを特徴とする請求項5に記載の燃料電池装置。
【請求項7】
前記第二収容室よりも前記第一収容室に近接させて前記流入口が形成され、前記第一収容室よりも前記第二収容室に近接させて前記流入口が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池装置。
【請求項8】
前記第一収容室が前記上面側に、前記第二収容室が前記下面側に、それぞれ配置されていることを特徴とする請求項2に記載の燃料電池装置。
【請求項1】
燃料ガスと酸化剤ガスにより発電を行う燃料電池装置であって、
炭化水素を含む原料ガスを水蒸気改質して燃料ガスを生成する改質器と、
電気的に接続された複数の管状の単セルを有し、これらの単セルにより燃料ガスと酸化剤ガスが反応して発電するセル集合体と、を備え、
前記改質器は、本体部と、当該本体部の内部に収容されるルテニウムを含む改質触媒と、を有し、
前記本体部には、原料ガスを導入する流入口と、原料ガスを水蒸気改質して生成された燃料ガスを前記セル集合体に向けて流出させる流出口と、前記流入口と前記流出口との間に前記改質触媒が収容される触媒収容部と、が形成され、
前記触媒収容部は、第一収容室と第二収容室とを有し、
前記第一収容室に原料ガスが流入し燃料ガスとなって流出する際の圧力損失よりも、前記第二収容室に原料ガスが流入し燃料ガスとなって流出する際の圧力損失が高くなるように予め構成されており、
前記第一収容室において原料ガスに含まれる炭素が析出し、前記第一収容室に収容されている改質触媒近傍を原料ガスが通る流路を狭めて流動抵抗が増えることで、前記第二収容室への原料ガスの流入が自律的に高まるように構成されていることを特徴とする燃料電池装置。
【請求項2】
前記本体部の前記セル集合体に対向する下面に前記流入口及び前記流出口が形成され、
前記第一収容室及び前記第二収容室は、前記本体部の下面から上面に向う方向に沿って上下に並ぶように配置されていることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池装置。
【請求項3】
前記第一収容室が前記下面側に、前記第二収容室が前記上面側に、それぞれ配置されていることを特徴とする請求項2に記載の燃料電池装置。
【請求項4】
前記触媒収容部は、前記第一収容室及び前記第二収容室の双方に繋がる第三収容室をさらに有し、
前記第一収容室及び前記第二収容室は前記流入口側に、前記第三収容室は前記流出口側に、それぞれ配置されていることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池装置。
【請求項5】
前記第一収容室が前記第三収容室に繋がる第一連絡口よりも前記流入口側に第二連絡口が形成され、この第二連絡口と前記第三収容室とを繋ぐ分流通路が設けられており、
前記第一収容室に原料ガスが流入し燃料ガスとなって流出する際の圧力損失よりも、前記分流通路に原料ガスが流入し前記第三収容室へそのまま流出する際の圧力損失が高くなるように予め構成されており、
前記第一収容室において原料ガスに含まれる炭素が析出し、前記第一収容室に収容されている改質触媒近傍を原料ガスが通る流路を狭めて流動抵抗が増えることで、前記分流通路を経由する前記第三収容室への原料ガスの流入が自律的に高まるように構成されていることを特徴とする請求項4に記載の燃料電池装置。
【請求項6】
前記分流通路から前記第三収容室へ供給される原料ガスは、前記第一収容室の下流側直下よりも前記第二収容室の下流側直下により多く供給されるように、前記分流通路が設けられていることを特徴とする請求項5に記載の燃料電池装置。
【請求項7】
前記第二収容室よりも前記第一収容室に近接させて前記流入口が形成され、前記第一収容室よりも前記第二収容室に近接させて前記流入口が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池装置。
【請求項8】
前記第一収容室が前記上面側に、前記第二収容室が前記下面側に、それぞれ配置されていることを特徴とする請求項2に記載の燃料電池装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−150945(P2012−150945A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−7686(P2011−7686)
【出願日】平成23年1月18日(2011.1.18)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月18日(2011.1.18)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】
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