燃料電池車両
【課題】簡単な構成で、センターコンソールから燃料電池に衝撃が付与されることを良好に抑制することを可能にする。
【解決手段】燃料電池スタック12は、車両のセンターコンソール内に収容される。この燃料電池スタック12は、複数の単位セル22が積層された積層体24を備え、前記積層体24の積層方向両端には、ターミナルプレート26a、26b、絶縁プレート28a、28b及びエンドプレート30a、30bが配設される。燃料電池スタック12を構成するケーシング32は、積層体24の側部に配置される複数の側板74a〜74dを備え、前記側板74aには、センターコンソールの側方から荷重が付与された際、前記単位セル22に直接衝撃が付与されることを阻止する緩衝部材94が設けられる。
【解決手段】燃料電池スタック12は、車両のセンターコンソール内に収容される。この燃料電池スタック12は、複数の単位セル22が積層された積層体24を備え、前記積層体24の積層方向両端には、ターミナルプレート26a、26b、絶縁プレート28a、28b及びエンドプレート30a、30bが配設される。燃料電池スタック12を構成するケーシング32は、積層体24の側部に配置される複数の側板74a〜74dを備え、前記側板74aには、センターコンソールの側方から荷重が付与された際、前記単位セル22に直接衝撃が付与されることを阻止する緩衝部材94が設けられる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車室内に左右のフロントシート間に位置してセンターコンソールが設けられるとともに、前記センターコンソール内に、複数の燃料電池が積層された燃料電池スタックを収容する燃料電池車両に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、固体高分子型燃料電池は、高分子イオン交換膜からなる電解質膜(電解質)を採用している。この電解質膜の両側にアノード側電極及びカソード側電極を配設した電解質膜・電極構造体を、セパレータによって挟持することにより、燃料電池が構成されている。
【0003】
通常、燃料電池は、所望の発電力を得るために、所定数(例えば、数十〜数百)だけ積層した燃料電池スタックとして使用されている。この種の燃料電池スタックは、自動車等に組み込まれて燃料電池車両を構成している。その際、燃料電池スタックは、車体の床下やボンネットの他、車室内の運転席と助手席との間に設けられているセンターコンソール内に収容される場合がある。
【0004】
例えば、特許文献1に開示されている燃料電池自動車では、車幅方向の略中央位置でフロアパネルを左右のフロントシート間で上方に膨出して形成した車両前後方向に延出するセンターコンソールを設け、燃料電池スタックを、燃料電池セルの高さ方向の寸法が幅方向の寸法に対して長くなり、且つ、前記燃料電池セルの積層方向が車両前後方向になるようにして前記センターコンソール内に収容するとともに、前記燃料電池スタックを、その重心の下方側位置と上方側位置で車体に支持させたことを特徴としている。
【0005】
【特許文献1】特開2007−15591号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、車室内のスペース効率等の観点から、センターコンソールを有効に小型化する必要があり、このセンターコンソール内には、燃料電池スタックを効率的に収容する工夫がなされている。このため、例えば、センターコンソールの側方(車幅方向)から外部荷重が付与されると、前記センターコンソールが変形して燃料電池スタックに干渉するおそれがある。これにより、燃料電池スタックに衝撃が付与され、例えば、燃料電池が損傷するという問題がある。
【0007】
本発明はこの種の課題を解決するものであり、簡単な構成で、センターコンソールから燃料電池に衝撃が付与されることを良好に抑制することが可能な燃料電池車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、車室内に左右のフロントシート間に位置してセンターコンソールが設けられるとともに、前記センターコンソール内に、複数の燃料電池が積層された燃料電池スタックを収容する燃料電池車両に関するものである。
【0009】
燃料電池車両は、燃料電池スタックの少なくとも燃料電池の積層方向の一端部側と、センターコンソールの内壁との間に設けられ、前記センターコンソールの側方から荷重が付与された際、前記燃料電池に直接衝撃が付与されることを阻止する緩衝部材を備えている。
【0010】
また、燃料電池スタックは、複数の燃料電池が積層された積層体の積層方向両端にエンドプレートが配設されるとともに、前記積層体がケーシング内に収容される一方、緩衝部材は、少なくとも前記積層方向に延在する一端が前記ケーシングの外壁に固定され、且つ前記ケーシングの前記外壁からセンターコンソールの内壁側に突出する変形部を有するプレート材で構成されることが好ましい。
【0011】
さらに、緩衝部材は、積層方向に延在するプレート材の他端に緩衝材が設けられることが好ましい。
【0012】
さらにまた、燃料電池スタックは、複数の燃料電池が積層された積層体の積層方向両端にエンドプレートが配設されるとともに、前記積層体がケーシング内に収容される一方、緩衝部材は、前記ケーシングを構成する側板を該ケーシングの結合部から一体に延在させ、且つ前記ケーシングの外壁からセンターコンソールの内壁側に突出する変形部を有するプレート部で構成されることが好ましい。
【0013】
また、変形部とケーシングの外壁との間には、水又は空気用の配管が配設されることが好ましい。
【0014】
さらに、変形部とケーシングの外壁との間には、緩衝及び保温機能を有する充填材が配設されることが好ましい。
【0015】
さらにまた、緩衝部材は、センターコンソールの側方から荷重が付与された際、先ず燃料電池よりも少なくとも一方のエンドプレートに前記荷重を分散させるために、少なくとも一方の前記エンドプレート側に突出する突起部を有することが好ましい。
【0016】
また、緩衝部材は、センターコンソールの内壁に設けられることが好ましい。
【0017】
さらに、燃料電池スタックは、縦長形状を有するとともに、緩衝部材は、前記燃料電池スタックの上方の2箇所の角部に対応して設けられることが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明では、センターコンソールの側方から荷重が付与された際、少なくとも燃料電池の積層方向の一端部側と前記センターコンソールの内壁との間に設けられる緩衝部材の作用下に、前記荷重を吸収(分散)することができる。これにより、簡単な構成で、センターコンソールから燃料電池に衝撃が付与されることを良好に抑制することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る燃料電池車両10の一部側面説明図であり、図2は、前記燃料電池車両10を構成するとともに、燃料電池スタック12が収容されるセンターコンソール14の概略断面説明図である。
【0020】
燃料電池車両10は、車室16内に左右のフロントシート(運転席及び助手席)18a、18b間に位置して、センターコンソール14が設けられるとともに、前記センターコンソール14は、前記燃料電池車両10の車長方向(矢印L方向)に延在する。センターコンソール14内の室14aには、燃料電池スタック12が僅かな隙間を有して効率的に収容される(図2参照)。
【0021】
図3に示すように、燃料電池スタック12は、複数の単位セル22が水平方向(矢印A方向)に積層された積層体24を備える。積層体24の積層方向(矢印A方向)一端には、ターミナルプレート26a、絶縁プレート28a及びエンドプレート30aが外方に向かって、順次、配設される。積層体24の積層方向他端には、ターミナルプレート26b、絶縁プレート28b及びエンドプレート30bが外方に向かって、順次、配設される。燃料電池スタック12は、四角形に構成されるエンドプレート30a、30bを端板として含むケーシング32により一体的に保持される。
【0022】
図4に示すように、各単位セル22は、電解質膜・電極構造体(電解質・電極構造体)36が、アノード側の第1金属セパレータ38とカソード側の第2金属セパレータ40とに挟持されている。第1及び第2金属セパレータ38、40は、金属製薄板を波形状にプレス加工することにより、断面凹凸形状を有している。
【0023】
なお、第1及び第2金属セパレータ38、40は、例えば、鋼板、ステンレス鋼板、アルミニウム板、めっき処理鋼板、あるいはその金属表面に防食用の表面処理を施した金属板により構成される。また、第1及び第2金属セパレータ38、40に代替して、例えば、カーボンセパレータを使用してもよい。
【0024】
単位セル22の長辺方向(図4中、矢印C方向)の上端縁部には、矢印A方向に互いに連通して、酸化剤ガス、例えば、酸素含有ガスを供給するための酸化剤ガス供給連通孔42a、及び燃料ガス、例えば、水素含有ガスを供給するための燃料ガス供給連通孔44aが設けられる。
【0025】
単位セル22の長辺方向の下端縁部には、矢印A方向に互いに連通して、燃料ガスを排出するための燃料ガス排出連通孔44b、及び酸化剤ガスを排出するための酸化剤ガス排出連通孔42bが設けられる。
【0026】
単位セル22の短辺方向(矢印B方向)の一端縁部には、矢印A方向に互いに連通して、冷却媒体を供給するための冷却媒体供給連通孔46aが設けられるとともに、短辺方向の他端縁部には、前記冷却媒体を排出するための冷却媒体排出連通孔46bが設けられる。
【0027】
電解質膜・電極構造体36は、例えば、パーフルオロスルホン酸の薄膜に水が含浸された固体高分子電解質膜48と、前記固体高分子電解質膜48を挟持するアノード側電極50及びカソード側電極52とを備える。アノード側電極50は、カソード側電極52よりも小さな表面積を有している。
【0028】
アノード側電極50及びカソード側電極52は、カーボンペーパ等からなるガス拡散層(図示せず)と、白金合金が表面に担持された多孔質カーボン粒子が前記ガス拡散層の表面に一様に塗布して形成される電極触媒層(図示せず)とを有する。電極触媒層は、固体高分子電解質膜48の両面に形成される。
【0029】
第1金属セパレータ38の電解質膜・電極構造体36に向かう面38aには、燃料ガス供給連通孔44aと燃料ガス排出連通孔44bとを連通する燃料ガス流路54が形成される。この燃料ガス流路54は、矢印C方向に延在する複数の波状流路溝を有する。
【0030】
第1金属セパレータ38の面38aには、燃料ガス供給連通孔44aと燃料ガス流路54とを連通する複数の供給孔部58aと、燃料ガス排出連通孔44bと前記燃料ガス流路54とを連通する複数の排出孔部58bとが形成される。
【0031】
第2金属セパレータ40の電解質膜・電極構造体36に向かう面40aには、酸化剤ガス供給連通孔42aと酸化剤ガス排出連通孔42bとを連通する酸化剤ガス流路60が形成される。この酸化剤ガス流路60は、矢印C方向に延在する複数の波状流路溝を有する。
【0032】
第2金属セパレータ40の面40bと、第1金属セパレータ38の面38bとの間には、冷却媒体供給連通孔46aと冷却媒体排出連通孔46bとに連通する冷却媒体流路62が形成される。この冷却媒体流路62は、燃料ガス流路54の裏面形状と酸化剤ガス流路60の裏面形状とが重なり合うことによって、矢印B方向に延在して形成される。
【0033】
第1金属セパレータ38の面38a、38bには、この第1金属セパレータ38の外周端縁部を周回して第1シール部材66が一体成形される。第2金属セパレータ40の面40a、40bには、この第2金属セパレータ40の外周端縁部を周回して第2シール部材68が一体成形される。
【0034】
図3に示すように、ターミナルプレート26a、26bの面内中央から積層方向外方に延在して第1及び第2電力取り出し端子70a、70bが設けられる。第1電力取り出し端子70aは、絶縁プレート28a及びエンドプレート30aを貫通して外部に突出する一方、第2電力取り出し端子70bは、絶縁プレート28b及びエンドプレート30bを貫通して外部に突出する。
【0035】
ケーシング32は、端板であるエンドプレート30a、30bと、積層体24の側部に配置される複数の側板74a〜74dと、前記側板74a〜74dの互いに近接する端部同士をねじ75を介して連結するアングル部材76と、前記エンドプレート30a、30bと前記側板74a〜74dとを連結するヒンジ機構78とを備える。側板74a〜74dは、薄板金属製プレートで構成される。
【0036】
ヒンジ機構78は、エンドプレート30a、30bに設けられる第1ヒンジ部80a、80bと、側板74a〜74dに設けられる第2ヒンジ部82と、前記第1ヒンジ部80a、80bと第2ヒンジ部82とが交互に配置された状態で挿入される連結ピン86a、86bとを備える。
【0037】
エンドプレート30aの上部側には、酸化剤ガス供給連通孔42aに連通する酸化剤ガス入口マニホールド90aと、燃料ガス供給連通孔44aに連通する燃料ガス入口マニホールド92aとが設けられる。エンドプレート30aの下部側には、酸化剤ガス排出連通孔42bに連通する酸化剤ガス出口マニホールド90bと、燃料ガス排出連通孔44bに連通する燃料ガス出口マニホールド92bとが設けられる。
【0038】
エンドプレート30bには、図示しないが、矢印C方向に延在してそれぞれ冷却媒体供給連通孔46aに連通する冷却媒体入口マニホールドと、冷却媒体排出連通孔46bに連通する冷却媒体出口マニホールドとが設けられる。
【0039】
ケーシング32には、側板74aの上部側に位置し、エンドプレート30aに近接して(燃料電池の積層方向の一端部側に)、緩衝部材94が装着される。緩衝部材94は、金属製又は樹脂製のプレート材96を備え、ねじ75を介して下端部側が側板74aに(又はアングル部材76に)固定される。
【0040】
なお、図示しないが、側板74cの上部側にも緩衝部材94を設けてもよい。特に、縦長形状の燃料電池スタック12では、上方の2箇所の角部が最初にセンターコンソール14に接触するからである。以下に説明する各実施形態においても、同様である。
【0041】
プレート材96は、単位セル22の積層方向(矢印A方向)に所定の長さを有し、センターコンソール14の側方から荷重が付与される際、単位セル22への衝撃を有効に緩和し得る面積に設定される。
【0042】
プレート材96の端部には、図3及び図5に示すように、エンドプレート30a側に突出する突起部98が設けられる。この突起部98は、センターコンソール14の側方から荷重が付与された際、先ず、単位セル22よりもエンドプレート30aに前記荷重を分散させるために、側板74a及びアングル部材76が前記単位セル22に接触する前に前記エンドプレート30aに接触する。
【0043】
このように構成される燃料電池車両10の動作について、以下に説明する。
【0044】
先ず、燃料電池スタック12では、図3に示すように、エンドプレート30aの酸化剤ガス入口マニホールド90aから酸化剤ガス供給連通孔42aに酸素含有ガス等の酸化剤ガスが供給されるとともに、燃料ガス入口マニホールド92aから燃料ガス供給連通孔44aに水素含有ガス等の燃料ガスが供給される。一方、エンドプレート30bの冷却媒体入口マニホールドから冷却媒体供給連通孔46aに純水やエチレングリコール等の冷却媒体が供給される。
【0045】
このため、積層体24では、矢印A方向に重ね合わされた複数の単位セル22に対し、酸化剤ガス、燃料ガス及び冷却媒体が矢印A方向に供給される。
【0046】
図4に示すように、酸化剤ガスは、酸化剤ガス供給連通孔42aから第2金属セパレータ40の酸化剤ガス流路60に導入され、電解質膜・電極構造体36のカソード側電極52に沿って移動する。一方、燃料ガスは、燃料ガス供給連通孔44aから第1金属セパレータ38の供給孔部58aを通って燃料ガス流路54に導入され、電解質膜・電極構造体36のアノード側電極50に沿って移動する。
【0047】
従って、各電解質膜・電極構造体36では、カソード側電極52に供給される酸化剤ガスと、アノード側電極50に供給される燃料ガスとが、電極触媒層内で電気化学反応により消費され、発電が行われる。
【0048】
次いで、カソード側電極52に供給されて消費された酸化剤ガスは、酸化剤ガス排出連通孔42bに沿って流動した後、エンドプレート30aの酸化剤ガス出口マニホールド90bから外部に排出される。同様に、アノード側電極50に供給されて消費された燃料ガスは、排出孔部58bを通って燃料ガス排出連通孔44bに排出されて流動し、エンドプレート30aの燃料ガス出口マニホールド92bから外部に排出される。
【0049】
また、冷却媒体は、冷却媒体供給連通孔46aから第1及び第2金属セパレータ38、40間の冷却媒体流路62に導入された後、矢印B方向に沿って流動する。この冷却媒体は、電解質膜・電極構造体36を冷却した後、冷却媒体排出連通孔46bを移動してエンドプレート30bの冷却媒体出口マニホールドから排出される。
【0050】
この場合、第1の実施形態では、図3及び図5に示すように、ケーシング32を構成する側板74aの上部側には、エンドプレート30aに近接して緩衝部材94が取り付けられている。この緩衝部材94は、プレート材96に突起部98を設けるとともに、前記突起部98とエンドプレート30aとの距離は、前記プレート材96が取り付けられた側板74aと単位セル22との距離よりも短く設定されている。
【0051】
従って、図6に示すように、センターコンソール14の側方から外部の荷重Fが付与されると、このセンターコンソール14が変形して緩衝部材94を燃料電池スタック12側に押圧する。その際、緩衝部材94では、先ず、突起部98がエンドプレート30aに当接して荷重Fを分散させている。このため、側板74aが単位セル22に当接しても、この単位セル22に大きな荷重が付与されることはなく、例えば、燃料ガス供給連通孔44aの変形等を良好に阻止することが可能になる。
【0052】
すなわち、緩衝部材94は、剛性の高い形状や材質で構成することにより、外部からの荷重Fを前記緩衝部材94自体で吸収し、さらに、前記緩衝部材94が燃料電池スタック12から離間するために、該緩衝部材94の変形による荷重吸収機能を有することができる。その上、緩衝部材94では、先ず、燃料電池スタック12の中、最も剛性の高いエンドプレート30aに、突起部98が当接して荷重を分散させた後、単位セル22に当接している。これにより、燃料電池スタック12全体の外乱に対するタフネスの向上が、簡単な構成で、容易且つ確実に図られるという効果が得られる。
【0053】
図7は、本発明の第2の実施形態に係る燃料電池車両100を構成する緩衝部材102の説明図である。なお、第1の実施形態に係る燃料電池車両10と同一の構成要素には同一の参照符号を付して、その詳細な説明は省略する。また、以下に説明する第3〜第12の実施形態においても同様に、その詳細な説明は省略する。
【0054】
緩衝部材102は、積層方向に延在する一端(下端)がねじ75を介してケーシング104の角部近傍に固定される。緩衝部材102は、ケーシング104の外壁からセンターコンソール14の内壁側に突出する変形部106を有するとともに、他端部が前記ケーシング104の外壁に摺接する。なお、ケーシング104は、前述したケーシング32の他、種々の構成を有するボックス状ケーシングを含む。
【0055】
このように構成される第2の実施形態では、センターコンソール14の側方から荷重Fが付与されると、このセンターコンソール14が変形して、先ず、緩衝部材102の変形部106に当接する。変形部106がケーシング104側に変形することにより、荷重を分散及び吸収する一方、緩衝部材102の他端が、前記ケーシング104の外壁に沿って摺動することにより、前記荷重の分散が図られる。
【0056】
図8は、本発明の第3の実施形態に係る燃料電池車両110を構成する緩衝部材112の説明図である。
【0057】
緩衝部材112は、積層方向に延在する両端部が、それぞれねじ75を介してケーシング104に固定される。この緩衝部材112は、ケーシング104の外壁からセンターコンソール14の内壁側に突出する変形部114を有する。
【0058】
このように構成される第3の実施形態では、センターコンソール14の側方から荷重Fが付与されると、緩衝部材112の変形部114が変形することによって前記荷重の分散・吸収を行う。その際、緩衝部材112の両端は、ねじ75を介してケーシング104に固定されており、前記緩衝部材112自体の剛性が有効に向上する。
【0059】
図9は、本発明の第4の実施形態に係る燃料電池車両120を構成する緩衝部材122の説明図である。
【0060】
緩衝部材122は、一端がねじ75を介してケーシング104に固定されるとともに、他端には、積層方向に延在して、例えば、樹脂材、ゴム材等の緩衝材124が設けられる。この緩衝材124は、ケーシング104の外壁にテープ部材等によって固定される。緩衝部材122は、ケーシング104の外壁からセンターコンソール14の内壁側に突出する変形部126を有する。
【0061】
このように構成される第4の実施形態では、金属製の緩衝部材122の端部に緩衝材124が設けられるため、荷重Fに対するタフネスが一層有効に向上する。
【0062】
図10は、本発明の第5の実施形態に係る燃料電池車両130を構成する緩衝部材132の説明図である。
【0063】
緩衝部材132は、一端がねじ75を介してケーシング104に固定されるとともに、他端に緩衝材124が設けられる。この緩衝部材132は、変形部134を有するとともに、前記変形部134には、配管136が配設される。配管136には、冷却媒体(例えば、水)や酸化剤ガス(例えば、空気)が流通される。
【0064】
このように構成される第5の実施形態では、緩衝部材132が所望の剛性を確保するとともに、配管136を配置することにより、変形部134内のクリアランスを無駄なく効率的に活用することが可能になる。
【0065】
なお、緩衝部材132の他端は、ケーシング104の外壁に、直接、摺接してもよく、ねじ75により固定してもよい。また、以下の第6及び第7の実施形態においても同様である。
【0066】
図11は、本発明の第6の実施形態に係る燃料電池車両140を構成する緩衝部材142の説明図である。
【0067】
緩衝部材142は、一端がねじ75を介してケーシング104に固定されるとともに、変形部144を有する。この変形部144内には、緩衝及び保温機能を有する充填材146が配設される。
【0068】
このように構成される第6の実施形態では、変形部144内のクリアランスを効率的に活用することができるとともに、緩衝性及び保温性の向上が容易に図られる。
【0069】
図12は、本発明の第7の実施形態に係る燃料電池車両150を構成する緩衝部材152の説明図である。
【0070】
緩衝部材152は、ケーシング154を構成する側板156を、前記ケーシング154の結合部であるねじ75から一体に延在させ、且つ前記ケーシング154の外壁からセンターコンソール14の内壁側に突出する変形部158を有するプレート部で構成される。
【0071】
このように構成される第7の実施形態では、ケーシング154自体に緩衝部材152を構成することができ、部品数の削減が容易に図られる。
【0072】
図13は、本発明の第8の実施形態に係る燃料電池車両160の要部斜視説明図である。
【0073】
燃料電池車両160は、センターコンソール14内に燃料電池スタック12を収容しているが、この燃料電池スタック12に代えて、ケーシングを用いない別の構成を有する燃料電池スタック(図示せず)を採用してもよい。その際、例えば、エンドプレート30a、30b間を複数本のタイロッドによって積層方向に締め付け固定する構成が採用可能である。また、以下に説明する第9の実施形態以降においても同様である。
【0074】
センターコンソール14の内壁面162には、例えば、エンドプレート30a側に近接し、且つ前記エンドプレート30aの上部両角部に位置して一対の緩衝部材164が設けられる。
【0075】
このように構成される第8の実施形態では、センターコンソール14の上部両角部に位置して一対の緩衝部材164が設けられるため、前記センターコンソール14自体の剛性が有効に向上する。しかも、緩衝部材164は、エンドプレート30aの上部両角部に対応して設けられており、センターコンソール14が変形した際には、先ず、前記エンドプレート30aに緩衝部材164が当接して荷重の分散が確実に図られる。
【0076】
図14は、本発明の第9の実施形態に係る燃料電池車両170の要部斜視説明図である。
【0077】
センターコンソール14の内壁面162の上部両角部近傍に、一対の緩衝部材172が設けられており、前記緩衝部材172は、燃料電池スタック12に突出する突出部174を有する。
【0078】
図15は、本発明の第10の実施形態に係る燃料電池車両180の要部斜視説明図である。
【0079】
センターコンソール14の内壁面162の上部側に緩衝部材182が設けられており、前記緩衝部材182は、燃料電池スタック12の上部を覆って設けられる。
【0080】
図16は、本発明の第11の実施形態に係る燃料電池車両190の要部斜視説明図である。
【0081】
センターコンソール14の内壁面162の上部側に緩衝部材192が固定されるとともに、前記緩衝部材192は、断面波形状を有している。
【0082】
このように構成される第11の実施形態では、センターコンソール14の側方から荷重Fが付与されると、緩衝部材192が蛇腹状に変形することにより、前記荷重Fを吸収することができる。
【0083】
図17は、本発明の第12の実施形態に係る燃料電池車両200の要部斜視説明図である。
【0084】
センターコンソール14の内壁面162の上部に、緩衝部材202が固定されるとともに、前記緩衝部材202は、プレート材に複数の孔部204を形成している。
【0085】
このように構成される第11の実施形態では、センターコンソール14に荷重Fが側方から付与されると、孔部204が円形状から潰れるように変形することにより、緩衝部材202は前記荷重Fを吸収することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る燃料電池車両の一部側面説明図である。
【図2】前記燃料電池車両を構成するとともに、燃料電池スタックが収容されるセンターコンソールの概略断面説明図である。
【図3】前記燃料電池スタックの一部切り欠き斜視斜視説明図である。
【図4】前記燃料電池スタックを構成する単位セルの分解斜視説明図である。
【図5】前記燃料電池スタックの要部拡大斜視図である。
【図6】前記燃料電池スタックを構成する緩衝部材の動作説明図である。
【図7】本発明の第2の実施形態に係る燃料電池車両を構成する緩衝部材の説明図である。
【図8】本発明の第3の実施形態に係る燃料電池車両を構成する緩衝部材の説明図である。
【図9】本発明の第4の実施形態に係る燃料電池車両を構成する緩衝部材の説明図である。
【図10】本発明の第5の実施形態に係る燃料電池車両を構成する緩衝部材の説明図である。
【図11】本発明の第6の実施形態に係る燃料電池車両を構成する緩衝部材の説明図である。
【図12】本発明の第7の実施形態に係る燃料電池車両を構成する緩衝部材の説明図である。
【図13】本発明の第8の実施形態に係る燃料電池車両の要部斜視説明図である。
【図14】本発明の第9の実施形態に係る燃料電池車両の要部斜視説明図である。
【図15】本発明の第10の実施形態に係る燃料電池車両の要部斜視説明図である。
【図16】本発明の第11の実施形態に係る燃料電池車両の要部斜視説明図である。
【図17】本発明の第12の実施形態に係る燃料電池車両の要部斜視説明図である。
【符号の説明】
【0087】
10、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200…燃料電池車両
12…燃料電池スタック 14…センターコンソール
18a、18b…フロントシート 24…積層体
30a、30b…エンドプレート 32、104、154…ケーシング
36…電解質膜・電極構造体 38、40…金属セパレータ
48…固体高分子電解質膜 50…アノード側電極
52…カソード側電極 54…燃料ガス流路
60…酸化剤ガス流路 62…冷却媒体流路
74a〜74d、156…側板 76…アングル部材
78…ヒンジ構造
94、102、112、122、132、142、152、164、172、182、192、202…緩衝部材 96…プレート材
98…突起部
106、114、126、134、144、158…変形部
124…緩衝材 136…配管
146…充填材 162…内壁面
174…突出部 204…孔部
【技術分野】
【0001】
本発明は、車室内に左右のフロントシート間に位置してセンターコンソールが設けられるとともに、前記センターコンソール内に、複数の燃料電池が積層された燃料電池スタックを収容する燃料電池車両に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、固体高分子型燃料電池は、高分子イオン交換膜からなる電解質膜(電解質)を採用している。この電解質膜の両側にアノード側電極及びカソード側電極を配設した電解質膜・電極構造体を、セパレータによって挟持することにより、燃料電池が構成されている。
【0003】
通常、燃料電池は、所望の発電力を得るために、所定数(例えば、数十〜数百)だけ積層した燃料電池スタックとして使用されている。この種の燃料電池スタックは、自動車等に組み込まれて燃料電池車両を構成している。その際、燃料電池スタックは、車体の床下やボンネットの他、車室内の運転席と助手席との間に設けられているセンターコンソール内に収容される場合がある。
【0004】
例えば、特許文献1に開示されている燃料電池自動車では、車幅方向の略中央位置でフロアパネルを左右のフロントシート間で上方に膨出して形成した車両前後方向に延出するセンターコンソールを設け、燃料電池スタックを、燃料電池セルの高さ方向の寸法が幅方向の寸法に対して長くなり、且つ、前記燃料電池セルの積層方向が車両前後方向になるようにして前記センターコンソール内に収容するとともに、前記燃料電池スタックを、その重心の下方側位置と上方側位置で車体に支持させたことを特徴としている。
【0005】
【特許文献1】特開2007−15591号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、車室内のスペース効率等の観点から、センターコンソールを有効に小型化する必要があり、このセンターコンソール内には、燃料電池スタックを効率的に収容する工夫がなされている。このため、例えば、センターコンソールの側方(車幅方向)から外部荷重が付与されると、前記センターコンソールが変形して燃料電池スタックに干渉するおそれがある。これにより、燃料電池スタックに衝撃が付与され、例えば、燃料電池が損傷するという問題がある。
【0007】
本発明はこの種の課題を解決するものであり、簡単な構成で、センターコンソールから燃料電池に衝撃が付与されることを良好に抑制することが可能な燃料電池車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、車室内に左右のフロントシート間に位置してセンターコンソールが設けられるとともに、前記センターコンソール内に、複数の燃料電池が積層された燃料電池スタックを収容する燃料電池車両に関するものである。
【0009】
燃料電池車両は、燃料電池スタックの少なくとも燃料電池の積層方向の一端部側と、センターコンソールの内壁との間に設けられ、前記センターコンソールの側方から荷重が付与された際、前記燃料電池に直接衝撃が付与されることを阻止する緩衝部材を備えている。
【0010】
また、燃料電池スタックは、複数の燃料電池が積層された積層体の積層方向両端にエンドプレートが配設されるとともに、前記積層体がケーシング内に収容される一方、緩衝部材は、少なくとも前記積層方向に延在する一端が前記ケーシングの外壁に固定され、且つ前記ケーシングの前記外壁からセンターコンソールの内壁側に突出する変形部を有するプレート材で構成されることが好ましい。
【0011】
さらに、緩衝部材は、積層方向に延在するプレート材の他端に緩衝材が設けられることが好ましい。
【0012】
さらにまた、燃料電池スタックは、複数の燃料電池が積層された積層体の積層方向両端にエンドプレートが配設されるとともに、前記積層体がケーシング内に収容される一方、緩衝部材は、前記ケーシングを構成する側板を該ケーシングの結合部から一体に延在させ、且つ前記ケーシングの外壁からセンターコンソールの内壁側に突出する変形部を有するプレート部で構成されることが好ましい。
【0013】
また、変形部とケーシングの外壁との間には、水又は空気用の配管が配設されることが好ましい。
【0014】
さらに、変形部とケーシングの外壁との間には、緩衝及び保温機能を有する充填材が配設されることが好ましい。
【0015】
さらにまた、緩衝部材は、センターコンソールの側方から荷重が付与された際、先ず燃料電池よりも少なくとも一方のエンドプレートに前記荷重を分散させるために、少なくとも一方の前記エンドプレート側に突出する突起部を有することが好ましい。
【0016】
また、緩衝部材は、センターコンソールの内壁に設けられることが好ましい。
【0017】
さらに、燃料電池スタックは、縦長形状を有するとともに、緩衝部材は、前記燃料電池スタックの上方の2箇所の角部に対応して設けられることが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明では、センターコンソールの側方から荷重が付与された際、少なくとも燃料電池の積層方向の一端部側と前記センターコンソールの内壁との間に設けられる緩衝部材の作用下に、前記荷重を吸収(分散)することができる。これにより、簡単な構成で、センターコンソールから燃料電池に衝撃が付与されることを良好に抑制することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る燃料電池車両10の一部側面説明図であり、図2は、前記燃料電池車両10を構成するとともに、燃料電池スタック12が収容されるセンターコンソール14の概略断面説明図である。
【0020】
燃料電池車両10は、車室16内に左右のフロントシート(運転席及び助手席)18a、18b間に位置して、センターコンソール14が設けられるとともに、前記センターコンソール14は、前記燃料電池車両10の車長方向(矢印L方向)に延在する。センターコンソール14内の室14aには、燃料電池スタック12が僅かな隙間を有して効率的に収容される(図2参照)。
【0021】
図3に示すように、燃料電池スタック12は、複数の単位セル22が水平方向(矢印A方向)に積層された積層体24を備える。積層体24の積層方向(矢印A方向)一端には、ターミナルプレート26a、絶縁プレート28a及びエンドプレート30aが外方に向かって、順次、配設される。積層体24の積層方向他端には、ターミナルプレート26b、絶縁プレート28b及びエンドプレート30bが外方に向かって、順次、配設される。燃料電池スタック12は、四角形に構成されるエンドプレート30a、30bを端板として含むケーシング32により一体的に保持される。
【0022】
図4に示すように、各単位セル22は、電解質膜・電極構造体(電解質・電極構造体)36が、アノード側の第1金属セパレータ38とカソード側の第2金属セパレータ40とに挟持されている。第1及び第2金属セパレータ38、40は、金属製薄板を波形状にプレス加工することにより、断面凹凸形状を有している。
【0023】
なお、第1及び第2金属セパレータ38、40は、例えば、鋼板、ステンレス鋼板、アルミニウム板、めっき処理鋼板、あるいはその金属表面に防食用の表面処理を施した金属板により構成される。また、第1及び第2金属セパレータ38、40に代替して、例えば、カーボンセパレータを使用してもよい。
【0024】
単位セル22の長辺方向(図4中、矢印C方向)の上端縁部には、矢印A方向に互いに連通して、酸化剤ガス、例えば、酸素含有ガスを供給するための酸化剤ガス供給連通孔42a、及び燃料ガス、例えば、水素含有ガスを供給するための燃料ガス供給連通孔44aが設けられる。
【0025】
単位セル22の長辺方向の下端縁部には、矢印A方向に互いに連通して、燃料ガスを排出するための燃料ガス排出連通孔44b、及び酸化剤ガスを排出するための酸化剤ガス排出連通孔42bが設けられる。
【0026】
単位セル22の短辺方向(矢印B方向)の一端縁部には、矢印A方向に互いに連通して、冷却媒体を供給するための冷却媒体供給連通孔46aが設けられるとともに、短辺方向の他端縁部には、前記冷却媒体を排出するための冷却媒体排出連通孔46bが設けられる。
【0027】
電解質膜・電極構造体36は、例えば、パーフルオロスルホン酸の薄膜に水が含浸された固体高分子電解質膜48と、前記固体高分子電解質膜48を挟持するアノード側電極50及びカソード側電極52とを備える。アノード側電極50は、カソード側電極52よりも小さな表面積を有している。
【0028】
アノード側電極50及びカソード側電極52は、カーボンペーパ等からなるガス拡散層(図示せず)と、白金合金が表面に担持された多孔質カーボン粒子が前記ガス拡散層の表面に一様に塗布して形成される電極触媒層(図示せず)とを有する。電極触媒層は、固体高分子電解質膜48の両面に形成される。
【0029】
第1金属セパレータ38の電解質膜・電極構造体36に向かう面38aには、燃料ガス供給連通孔44aと燃料ガス排出連通孔44bとを連通する燃料ガス流路54が形成される。この燃料ガス流路54は、矢印C方向に延在する複数の波状流路溝を有する。
【0030】
第1金属セパレータ38の面38aには、燃料ガス供給連通孔44aと燃料ガス流路54とを連通する複数の供給孔部58aと、燃料ガス排出連通孔44bと前記燃料ガス流路54とを連通する複数の排出孔部58bとが形成される。
【0031】
第2金属セパレータ40の電解質膜・電極構造体36に向かう面40aには、酸化剤ガス供給連通孔42aと酸化剤ガス排出連通孔42bとを連通する酸化剤ガス流路60が形成される。この酸化剤ガス流路60は、矢印C方向に延在する複数の波状流路溝を有する。
【0032】
第2金属セパレータ40の面40bと、第1金属セパレータ38の面38bとの間には、冷却媒体供給連通孔46aと冷却媒体排出連通孔46bとに連通する冷却媒体流路62が形成される。この冷却媒体流路62は、燃料ガス流路54の裏面形状と酸化剤ガス流路60の裏面形状とが重なり合うことによって、矢印B方向に延在して形成される。
【0033】
第1金属セパレータ38の面38a、38bには、この第1金属セパレータ38の外周端縁部を周回して第1シール部材66が一体成形される。第2金属セパレータ40の面40a、40bには、この第2金属セパレータ40の外周端縁部を周回して第2シール部材68が一体成形される。
【0034】
図3に示すように、ターミナルプレート26a、26bの面内中央から積層方向外方に延在して第1及び第2電力取り出し端子70a、70bが設けられる。第1電力取り出し端子70aは、絶縁プレート28a及びエンドプレート30aを貫通して外部に突出する一方、第2電力取り出し端子70bは、絶縁プレート28b及びエンドプレート30bを貫通して外部に突出する。
【0035】
ケーシング32は、端板であるエンドプレート30a、30bと、積層体24の側部に配置される複数の側板74a〜74dと、前記側板74a〜74dの互いに近接する端部同士をねじ75を介して連結するアングル部材76と、前記エンドプレート30a、30bと前記側板74a〜74dとを連結するヒンジ機構78とを備える。側板74a〜74dは、薄板金属製プレートで構成される。
【0036】
ヒンジ機構78は、エンドプレート30a、30bに設けられる第1ヒンジ部80a、80bと、側板74a〜74dに設けられる第2ヒンジ部82と、前記第1ヒンジ部80a、80bと第2ヒンジ部82とが交互に配置された状態で挿入される連結ピン86a、86bとを備える。
【0037】
エンドプレート30aの上部側には、酸化剤ガス供給連通孔42aに連通する酸化剤ガス入口マニホールド90aと、燃料ガス供給連通孔44aに連通する燃料ガス入口マニホールド92aとが設けられる。エンドプレート30aの下部側には、酸化剤ガス排出連通孔42bに連通する酸化剤ガス出口マニホールド90bと、燃料ガス排出連通孔44bに連通する燃料ガス出口マニホールド92bとが設けられる。
【0038】
エンドプレート30bには、図示しないが、矢印C方向に延在してそれぞれ冷却媒体供給連通孔46aに連通する冷却媒体入口マニホールドと、冷却媒体排出連通孔46bに連通する冷却媒体出口マニホールドとが設けられる。
【0039】
ケーシング32には、側板74aの上部側に位置し、エンドプレート30aに近接して(燃料電池の積層方向の一端部側に)、緩衝部材94が装着される。緩衝部材94は、金属製又は樹脂製のプレート材96を備え、ねじ75を介して下端部側が側板74aに(又はアングル部材76に)固定される。
【0040】
なお、図示しないが、側板74cの上部側にも緩衝部材94を設けてもよい。特に、縦長形状の燃料電池スタック12では、上方の2箇所の角部が最初にセンターコンソール14に接触するからである。以下に説明する各実施形態においても、同様である。
【0041】
プレート材96は、単位セル22の積層方向(矢印A方向)に所定の長さを有し、センターコンソール14の側方から荷重が付与される際、単位セル22への衝撃を有効に緩和し得る面積に設定される。
【0042】
プレート材96の端部には、図3及び図5に示すように、エンドプレート30a側に突出する突起部98が設けられる。この突起部98は、センターコンソール14の側方から荷重が付与された際、先ず、単位セル22よりもエンドプレート30aに前記荷重を分散させるために、側板74a及びアングル部材76が前記単位セル22に接触する前に前記エンドプレート30aに接触する。
【0043】
このように構成される燃料電池車両10の動作について、以下に説明する。
【0044】
先ず、燃料電池スタック12では、図3に示すように、エンドプレート30aの酸化剤ガス入口マニホールド90aから酸化剤ガス供給連通孔42aに酸素含有ガス等の酸化剤ガスが供給されるとともに、燃料ガス入口マニホールド92aから燃料ガス供給連通孔44aに水素含有ガス等の燃料ガスが供給される。一方、エンドプレート30bの冷却媒体入口マニホールドから冷却媒体供給連通孔46aに純水やエチレングリコール等の冷却媒体が供給される。
【0045】
このため、積層体24では、矢印A方向に重ね合わされた複数の単位セル22に対し、酸化剤ガス、燃料ガス及び冷却媒体が矢印A方向に供給される。
【0046】
図4に示すように、酸化剤ガスは、酸化剤ガス供給連通孔42aから第2金属セパレータ40の酸化剤ガス流路60に導入され、電解質膜・電極構造体36のカソード側電極52に沿って移動する。一方、燃料ガスは、燃料ガス供給連通孔44aから第1金属セパレータ38の供給孔部58aを通って燃料ガス流路54に導入され、電解質膜・電極構造体36のアノード側電極50に沿って移動する。
【0047】
従って、各電解質膜・電極構造体36では、カソード側電極52に供給される酸化剤ガスと、アノード側電極50に供給される燃料ガスとが、電極触媒層内で電気化学反応により消費され、発電が行われる。
【0048】
次いで、カソード側電極52に供給されて消費された酸化剤ガスは、酸化剤ガス排出連通孔42bに沿って流動した後、エンドプレート30aの酸化剤ガス出口マニホールド90bから外部に排出される。同様に、アノード側電極50に供給されて消費された燃料ガスは、排出孔部58bを通って燃料ガス排出連通孔44bに排出されて流動し、エンドプレート30aの燃料ガス出口マニホールド92bから外部に排出される。
【0049】
また、冷却媒体は、冷却媒体供給連通孔46aから第1及び第2金属セパレータ38、40間の冷却媒体流路62に導入された後、矢印B方向に沿って流動する。この冷却媒体は、電解質膜・電極構造体36を冷却した後、冷却媒体排出連通孔46bを移動してエンドプレート30bの冷却媒体出口マニホールドから排出される。
【0050】
この場合、第1の実施形態では、図3及び図5に示すように、ケーシング32を構成する側板74aの上部側には、エンドプレート30aに近接して緩衝部材94が取り付けられている。この緩衝部材94は、プレート材96に突起部98を設けるとともに、前記突起部98とエンドプレート30aとの距離は、前記プレート材96が取り付けられた側板74aと単位セル22との距離よりも短く設定されている。
【0051】
従って、図6に示すように、センターコンソール14の側方から外部の荷重Fが付与されると、このセンターコンソール14が変形して緩衝部材94を燃料電池スタック12側に押圧する。その際、緩衝部材94では、先ず、突起部98がエンドプレート30aに当接して荷重Fを分散させている。このため、側板74aが単位セル22に当接しても、この単位セル22に大きな荷重が付与されることはなく、例えば、燃料ガス供給連通孔44aの変形等を良好に阻止することが可能になる。
【0052】
すなわち、緩衝部材94は、剛性の高い形状や材質で構成することにより、外部からの荷重Fを前記緩衝部材94自体で吸収し、さらに、前記緩衝部材94が燃料電池スタック12から離間するために、該緩衝部材94の変形による荷重吸収機能を有することができる。その上、緩衝部材94では、先ず、燃料電池スタック12の中、最も剛性の高いエンドプレート30aに、突起部98が当接して荷重を分散させた後、単位セル22に当接している。これにより、燃料電池スタック12全体の外乱に対するタフネスの向上が、簡単な構成で、容易且つ確実に図られるという効果が得られる。
【0053】
図7は、本発明の第2の実施形態に係る燃料電池車両100を構成する緩衝部材102の説明図である。なお、第1の実施形態に係る燃料電池車両10と同一の構成要素には同一の参照符号を付して、その詳細な説明は省略する。また、以下に説明する第3〜第12の実施形態においても同様に、その詳細な説明は省略する。
【0054】
緩衝部材102は、積層方向に延在する一端(下端)がねじ75を介してケーシング104の角部近傍に固定される。緩衝部材102は、ケーシング104の外壁からセンターコンソール14の内壁側に突出する変形部106を有するとともに、他端部が前記ケーシング104の外壁に摺接する。なお、ケーシング104は、前述したケーシング32の他、種々の構成を有するボックス状ケーシングを含む。
【0055】
このように構成される第2の実施形態では、センターコンソール14の側方から荷重Fが付与されると、このセンターコンソール14が変形して、先ず、緩衝部材102の変形部106に当接する。変形部106がケーシング104側に変形することにより、荷重を分散及び吸収する一方、緩衝部材102の他端が、前記ケーシング104の外壁に沿って摺動することにより、前記荷重の分散が図られる。
【0056】
図8は、本発明の第3の実施形態に係る燃料電池車両110を構成する緩衝部材112の説明図である。
【0057】
緩衝部材112は、積層方向に延在する両端部が、それぞれねじ75を介してケーシング104に固定される。この緩衝部材112は、ケーシング104の外壁からセンターコンソール14の内壁側に突出する変形部114を有する。
【0058】
このように構成される第3の実施形態では、センターコンソール14の側方から荷重Fが付与されると、緩衝部材112の変形部114が変形することによって前記荷重の分散・吸収を行う。その際、緩衝部材112の両端は、ねじ75を介してケーシング104に固定されており、前記緩衝部材112自体の剛性が有効に向上する。
【0059】
図9は、本発明の第4の実施形態に係る燃料電池車両120を構成する緩衝部材122の説明図である。
【0060】
緩衝部材122は、一端がねじ75を介してケーシング104に固定されるとともに、他端には、積層方向に延在して、例えば、樹脂材、ゴム材等の緩衝材124が設けられる。この緩衝材124は、ケーシング104の外壁にテープ部材等によって固定される。緩衝部材122は、ケーシング104の外壁からセンターコンソール14の内壁側に突出する変形部126を有する。
【0061】
このように構成される第4の実施形態では、金属製の緩衝部材122の端部に緩衝材124が設けられるため、荷重Fに対するタフネスが一層有効に向上する。
【0062】
図10は、本発明の第5の実施形態に係る燃料電池車両130を構成する緩衝部材132の説明図である。
【0063】
緩衝部材132は、一端がねじ75を介してケーシング104に固定されるとともに、他端に緩衝材124が設けられる。この緩衝部材132は、変形部134を有するとともに、前記変形部134には、配管136が配設される。配管136には、冷却媒体(例えば、水)や酸化剤ガス(例えば、空気)が流通される。
【0064】
このように構成される第5の実施形態では、緩衝部材132が所望の剛性を確保するとともに、配管136を配置することにより、変形部134内のクリアランスを無駄なく効率的に活用することが可能になる。
【0065】
なお、緩衝部材132の他端は、ケーシング104の外壁に、直接、摺接してもよく、ねじ75により固定してもよい。また、以下の第6及び第7の実施形態においても同様である。
【0066】
図11は、本発明の第6の実施形態に係る燃料電池車両140を構成する緩衝部材142の説明図である。
【0067】
緩衝部材142は、一端がねじ75を介してケーシング104に固定されるとともに、変形部144を有する。この変形部144内には、緩衝及び保温機能を有する充填材146が配設される。
【0068】
このように構成される第6の実施形態では、変形部144内のクリアランスを効率的に活用することができるとともに、緩衝性及び保温性の向上が容易に図られる。
【0069】
図12は、本発明の第7の実施形態に係る燃料電池車両150を構成する緩衝部材152の説明図である。
【0070】
緩衝部材152は、ケーシング154を構成する側板156を、前記ケーシング154の結合部であるねじ75から一体に延在させ、且つ前記ケーシング154の外壁からセンターコンソール14の内壁側に突出する変形部158を有するプレート部で構成される。
【0071】
このように構成される第7の実施形態では、ケーシング154自体に緩衝部材152を構成することができ、部品数の削減が容易に図られる。
【0072】
図13は、本発明の第8の実施形態に係る燃料電池車両160の要部斜視説明図である。
【0073】
燃料電池車両160は、センターコンソール14内に燃料電池スタック12を収容しているが、この燃料電池スタック12に代えて、ケーシングを用いない別の構成を有する燃料電池スタック(図示せず)を採用してもよい。その際、例えば、エンドプレート30a、30b間を複数本のタイロッドによって積層方向に締め付け固定する構成が採用可能である。また、以下に説明する第9の実施形態以降においても同様である。
【0074】
センターコンソール14の内壁面162には、例えば、エンドプレート30a側に近接し、且つ前記エンドプレート30aの上部両角部に位置して一対の緩衝部材164が設けられる。
【0075】
このように構成される第8の実施形態では、センターコンソール14の上部両角部に位置して一対の緩衝部材164が設けられるため、前記センターコンソール14自体の剛性が有効に向上する。しかも、緩衝部材164は、エンドプレート30aの上部両角部に対応して設けられており、センターコンソール14が変形した際には、先ず、前記エンドプレート30aに緩衝部材164が当接して荷重の分散が確実に図られる。
【0076】
図14は、本発明の第9の実施形態に係る燃料電池車両170の要部斜視説明図である。
【0077】
センターコンソール14の内壁面162の上部両角部近傍に、一対の緩衝部材172が設けられており、前記緩衝部材172は、燃料電池スタック12に突出する突出部174を有する。
【0078】
図15は、本発明の第10の実施形態に係る燃料電池車両180の要部斜視説明図である。
【0079】
センターコンソール14の内壁面162の上部側に緩衝部材182が設けられており、前記緩衝部材182は、燃料電池スタック12の上部を覆って設けられる。
【0080】
図16は、本発明の第11の実施形態に係る燃料電池車両190の要部斜視説明図である。
【0081】
センターコンソール14の内壁面162の上部側に緩衝部材192が固定されるとともに、前記緩衝部材192は、断面波形状を有している。
【0082】
このように構成される第11の実施形態では、センターコンソール14の側方から荷重Fが付与されると、緩衝部材192が蛇腹状に変形することにより、前記荷重Fを吸収することができる。
【0083】
図17は、本発明の第12の実施形態に係る燃料電池車両200の要部斜視説明図である。
【0084】
センターコンソール14の内壁面162の上部に、緩衝部材202が固定されるとともに、前記緩衝部材202は、プレート材に複数の孔部204を形成している。
【0085】
このように構成される第11の実施形態では、センターコンソール14に荷重Fが側方から付与されると、孔部204が円形状から潰れるように変形することにより、緩衝部材202は前記荷重Fを吸収することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る燃料電池車両の一部側面説明図である。
【図2】前記燃料電池車両を構成するとともに、燃料電池スタックが収容されるセンターコンソールの概略断面説明図である。
【図3】前記燃料電池スタックの一部切り欠き斜視斜視説明図である。
【図4】前記燃料電池スタックを構成する単位セルの分解斜視説明図である。
【図5】前記燃料電池スタックの要部拡大斜視図である。
【図6】前記燃料電池スタックを構成する緩衝部材の動作説明図である。
【図7】本発明の第2の実施形態に係る燃料電池車両を構成する緩衝部材の説明図である。
【図8】本発明の第3の実施形態に係る燃料電池車両を構成する緩衝部材の説明図である。
【図9】本発明の第4の実施形態に係る燃料電池車両を構成する緩衝部材の説明図である。
【図10】本発明の第5の実施形態に係る燃料電池車両を構成する緩衝部材の説明図である。
【図11】本発明の第6の実施形態に係る燃料電池車両を構成する緩衝部材の説明図である。
【図12】本発明の第7の実施形態に係る燃料電池車両を構成する緩衝部材の説明図である。
【図13】本発明の第8の実施形態に係る燃料電池車両の要部斜視説明図である。
【図14】本発明の第9の実施形態に係る燃料電池車両の要部斜視説明図である。
【図15】本発明の第10の実施形態に係る燃料電池車両の要部斜視説明図である。
【図16】本発明の第11の実施形態に係る燃料電池車両の要部斜視説明図である。
【図17】本発明の第12の実施形態に係る燃料電池車両の要部斜視説明図である。
【符号の説明】
【0087】
10、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200…燃料電池車両
12…燃料電池スタック 14…センターコンソール
18a、18b…フロントシート 24…積層体
30a、30b…エンドプレート 32、104、154…ケーシング
36…電解質膜・電極構造体 38、40…金属セパレータ
48…固体高分子電解質膜 50…アノード側電極
52…カソード側電極 54…燃料ガス流路
60…酸化剤ガス流路 62…冷却媒体流路
74a〜74d、156…側板 76…アングル部材
78…ヒンジ構造
94、102、112、122、132、142、152、164、172、182、192、202…緩衝部材 96…プレート材
98…突起部
106、114、126、134、144、158…変形部
124…緩衝材 136…配管
146…充填材 162…内壁面
174…突出部 204…孔部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車室内に左右のフロントシート間に位置してセンターコンソールが設けられるとともに、前記センターコンソール内に、複数の燃料電池が積層された燃料電池スタックを収容する燃料電池車両であって、
前記燃料電池スタックの少なくとも前記燃料電池の積層方向の一端部側と、前記センターコンソールの内壁との間に設けられ、前記センターコンソールの側方から荷重が付与された際、前記燃料電池に直接衝撃が付与されることを阻止する緩衝部材を備えることを特徴とする燃料電池車両。
【請求項2】
請求項1記載の燃料電池車両において、前記燃料電池スタックは、複数の前記燃料電池が積層された積層体の前記積層方向両端にエンドプレートが配設されるとともに、前記積層体がケーシング内に収容される一方、
前記緩衝部材は、少なくとも前記積層方向に延在する一端が前記ケーシングの外壁に固定され、且つ前記ケーシングの前記外壁から前記センターコンソールの前記内壁側に突出する変形部を有するプレート材で構成されることを特徴とする燃料電池車両。
【請求項3】
請求項2記載の燃料電池車両において、前記緩衝部材は、前記積層方向に延在する前記プレート材の他端に緩衝材が設けられることを特徴とする燃料電池車両。
【請求項4】
請求項1記載の燃料電池車両において、前記燃料電池スタックは、複数の前記燃料電池が積層された積層体の前記積層方向両端にエンドプレートが配設されるとともに、前記積層体がケーシング内に収容される一方、
前記緩衝部材は、前記ケーシングを構成する側板を該ケーシングの結合部から一体に延在させ、且つ前記ケーシングの前記外壁から前記センターコンソールの前記内壁側に突出する変形部を有するプレート部で構成されることを特徴とする燃料電池車両。
【請求項5】
請求項2〜4のいずれか1項に記載の燃料電池車両において、前記変形部と前記ケーシングの前記外壁との間には、水又は空気用の配管が配設されることを特徴とする燃料電池車両。
【請求項6】
請求項2〜4のいずれか1項に記載の燃料電池車両において、前記変形部と前記ケーシングの前記外壁との間には、緩衝及び保温機能を有する充填材が配設されることを特徴とする燃料電池車両。
【請求項7】
請求項2〜6のいずれか1項に記載の燃料電池車両において、前記緩衝部材は、前記センターコンソールの側方から荷重が付与された際、先ず前記燃料電池よりも少なくとも一方の前記エンドプレートに前記荷重を分散させるために、少なくとも一方の前記エンドプレート側に突出する突起部を有することを特徴とする燃料電池車両。
【請求項8】
請求項1記載の燃料電池車両において、前記緩衝部材は、前記センターコンソールの前記内壁に設けられることを特徴とする燃料電池車両。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の燃料電池車両において、前記燃料電池スタックは、縦長形状を有するとともに、
前記緩衝部材は、前記燃料電池スタックの上方の2箇所の角部に対応して設けられることを特徴とする燃料電池車両。
【請求項1】
車室内に左右のフロントシート間に位置してセンターコンソールが設けられるとともに、前記センターコンソール内に、複数の燃料電池が積層された燃料電池スタックを収容する燃料電池車両であって、
前記燃料電池スタックの少なくとも前記燃料電池の積層方向の一端部側と、前記センターコンソールの内壁との間に設けられ、前記センターコンソールの側方から荷重が付与された際、前記燃料電池に直接衝撃が付与されることを阻止する緩衝部材を備えることを特徴とする燃料電池車両。
【請求項2】
請求項1記載の燃料電池車両において、前記燃料電池スタックは、複数の前記燃料電池が積層された積層体の前記積層方向両端にエンドプレートが配設されるとともに、前記積層体がケーシング内に収容される一方、
前記緩衝部材は、少なくとも前記積層方向に延在する一端が前記ケーシングの外壁に固定され、且つ前記ケーシングの前記外壁から前記センターコンソールの前記内壁側に突出する変形部を有するプレート材で構成されることを特徴とする燃料電池車両。
【請求項3】
請求項2記載の燃料電池車両において、前記緩衝部材は、前記積層方向に延在する前記プレート材の他端に緩衝材が設けられることを特徴とする燃料電池車両。
【請求項4】
請求項1記載の燃料電池車両において、前記燃料電池スタックは、複数の前記燃料電池が積層された積層体の前記積層方向両端にエンドプレートが配設されるとともに、前記積層体がケーシング内に収容される一方、
前記緩衝部材は、前記ケーシングを構成する側板を該ケーシングの結合部から一体に延在させ、且つ前記ケーシングの前記外壁から前記センターコンソールの前記内壁側に突出する変形部を有するプレート部で構成されることを特徴とする燃料電池車両。
【請求項5】
請求項2〜4のいずれか1項に記載の燃料電池車両において、前記変形部と前記ケーシングの前記外壁との間には、水又は空気用の配管が配設されることを特徴とする燃料電池車両。
【請求項6】
請求項2〜4のいずれか1項に記載の燃料電池車両において、前記変形部と前記ケーシングの前記外壁との間には、緩衝及び保温機能を有する充填材が配設されることを特徴とする燃料電池車両。
【請求項7】
請求項2〜6のいずれか1項に記載の燃料電池車両において、前記緩衝部材は、前記センターコンソールの側方から荷重が付与された際、先ず前記燃料電池よりも少なくとも一方の前記エンドプレートに前記荷重を分散させるために、少なくとも一方の前記エンドプレート側に突出する突起部を有することを特徴とする燃料電池車両。
【請求項8】
請求項1記載の燃料電池車両において、前記緩衝部材は、前記センターコンソールの前記内壁に設けられることを特徴とする燃料電池車両。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の燃料電池車両において、前記燃料電池スタックは、縦長形状を有するとともに、
前記緩衝部材は、前記燃料電池スタックの上方の2箇所の角部に対応して設けられることを特徴とする燃料電池車両。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2009−286206(P2009−286206A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−139380(P2008−139380)
【出願日】平成20年5月28日(2008.5.28)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年5月28日(2008.5.28)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
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