説明

燃料電池車両

【課題】燃料電池の発電効率を高くしつつ、燃料電池の劣化を抑制することが可能な燃料電池車両を提供する。
【解決手段】FC車両10の制御装置24は、負荷の負荷量が所定値以下である場合、通常運転時におけるFC32の下限電流より低い極低電流で発電する極低電流制御を行い、前記極低電流制御の際、前記極低電流に対応したコンバータ22の目標出力電圧の上下限値を設定し、FC32の出力電圧が前記上下限値内に入るように制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、燃料電池と前記燃料電池から電力の供給を受ける負荷とを備えた燃料電池車両に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池車両に関し、燃料電池のアイドル停止に関する技術が提案されている(特許文献1)。特許文献1では、燃料電池での発電の無駄を削減し、燃料電池と2次電池を有するシステム全体としての効率向上を図ることを課題としている(要約)。この課題を解決するため、特許文献1では、駆動要求パワーの大きさにより、燃料電池20とその周辺装置を含む燃料電池機器群の運転及び停止を定める。この駆動要求パワーが閾値パワーXps以下の低負荷領域の燃料電池発電運転で得られるものである場合には、燃料電池機器群を停止させ、2次電池30単独でその残存容量Qによりモータ32を回転させて、車両を駆動要求パワーで駆動する(要約、図5、段落[0047]〜[0056])。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−307758号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように、特許文献1では、要求負荷が低負荷である場合、燃料電池機器群を停止させ、2次電池30からの電力により車両を駆動する。このため、燃料電池機器群を停止した場合、燃料電池の出力電圧は、開回路電圧(OCV)又はその近傍値になっているものと解される。燃料電池の出力電圧がOCV又はその近傍値である場合、燃料電池の劣化量が比較的大きくなる(図11参照)。
【0005】
図11は、燃料電池スタックを構成する燃料電池セルの電位(セル電圧Vcell)[V]と燃料電池セルの劣化量Dとの関係の一例を示している。すなわち、図11中の曲線200は、セル電圧Vcellと劣化量Dとの関係を示す。
【0006】
図11において、電位v1、v2、v3、v4は、例えば、0.5V、0.8V、0.9V、0.95Vである。電位v1を下回る領域(以下「凝集増加領域R1」という。)では、燃料電池セルに含まれる白金(酸化白金)について還元反応が激しく進行し、白金が過度に凝集する。電位v1から電位v2(例えば、0.8V)までは、還元反応が安定的に進行する領域(以下「還元領域R2」という。)である。
【0007】
電位v2から電位v3(例えば、0.9V)までは、白金について酸化還元反応が進行する領域(以下「酸化還元領域R3」という。)である。電位v3から電位v4(例えば、0.95V)までは、白金について酸化反応が安定的に進行する領域(以下「酸化領域R4」という。)である。電位v4からOCV(開回路電圧)までは、セルに含まれるカーボンの酸化が進行する領域(以下「カーボン酸化領域R5」という。)である。
【0008】
なお、図11では、曲線200を一義的に定まるような表記としているが、実際は、単位時間当たりにおけるセル電圧Vcellの変動量(変動速度Acell)[V/sec]に応じて曲線200は変化する。但し、還元領域R2は、曲線200の極小値(第1極小値Vlmi1)を含む。酸化還元進行領域R3では、曲線200の極大値(極大値Vlmx)を含む。酸化安定領域R4は、曲線200の別の極小値(第2極小値Vlmi2)を含む。
【0009】
図11によれば、第2極小値Vlmi2からOCVに向かうに連れて劣化量Dは増加している。従って、特許文献1において、燃料電池機器群を停止させ、燃料電池の出力電圧がOCV又はその近傍値になっていると、燃料電池の発電効率を高くできるが、燃料電池の劣化量Dが大きくなる。
【0010】
この発明はこのような課題を考慮してなされたものであり、燃料電池の発電効率を高くしつつ、燃料電池の劣化を抑制することが可能な燃料電池車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明に係る燃料電池車両は、燃料電池と、前記燃料電池の出力電圧を制御するコンバータと、前記燃料電池から電力の供給を受ける負荷と、前記負荷の負荷量に基づいて前記燃料電池の目標出力を設定し、前記目標出力に応じた前記燃料電池の目標電圧を前記コンバータに指令する制御装置とを備えたものであって、前記制御装置は、前記負荷量が所定値以下である場合、通常運転時における前記燃料電池の下限電流より低い極低電流で発電する極低電流制御を行い、前記極低電流制御の際、前記極低電流に対応した前記コンバータの目標出力電圧の上下限値を設定し、前記燃料電池の出力電圧が前記上下限値内に入るように制御することを特徴とする。
【0012】
この発明によれば、燃料電池の発電効率を高くしつつ、燃料電池の劣化を抑制することが可能となる。
【0013】
すなわち、燃料電池の特性として、出力電圧が開回路電圧(OCV)又はその近傍値の場合、その劣化量が高くなる(図11参照)。この発明によれば、負荷の負荷量が所定値以下である場合、通常運転時における燃料電池の下限電流より低い極低電流で発電する極低電流制御を行い、前記極低電流制御の際、前記極低電流に対応したコンバータの目標電圧の上下限値を設定し、燃料電池の出力電圧が前記上下限値内に入るように制御する。従って、極低電流制御の際、当該上下限値をOCVよりも低い値に設定すれば、燃料電池の劣化量を抑制することが可能となる。
【0014】
また、燃料電池の特性として、OCV付近の低電流域では燃料電池の出力電流の変化に対して燃料電池の出力電圧の変化が大きい。この発明によれば、OCV付近の低電流域において、極低電流に対応したコンバータの目標出力電圧の上下限値を設定することで、高精度に前記極低電流を出力することができる。従って、燃料電池の電圧上昇を高精度に抑えることができ、燃料電池の劣化を防止することが可能となる。
【0015】
前記極低電流に対応する前記燃料電池の目標電流を設定し、前記燃料電池の目標電流と出力電流との差に応じて前記コンバータの目標出力電圧を補正してもよい。これにより、燃料電池の出力電流をさらに高精度に極低電流に収束させることができる。
【0016】
前記燃料電池の電流−電圧特性の変化を検知して、前記電流−電圧特性の変化に基づいて前記上下限値を変化させてもよい。これにより、燃料電池の電流−電圧特性の変化に係わらず、安定して極低電流を出力することが可能となる。
【0017】
前記燃料電池車両は、さらに、蓄電装置を備え、前記負荷は、走行モータを含み、前記燃料電池は、前記走行モータ及び前記蓄電装置に電力を供給可能であり、前記蓄電装置は、前記走行モータに電力を供給可能であると共に、前記走行モータからの回生電力を充電可能であってもよい。これにより、極低電流制御時における燃料電池からの余剰電力を蓄電装置に充電することが可能となる。従って、極低電流制御時は、燃料電池の劣化を抑制しつつ、燃料電池と蓄電装置を合わせた発電効率を高めることが可能となる。
【発明の効果】
【0018】
この発明によれば、燃料電池の発電効率を高くしつつ、燃料電池の劣化を抑制することが可能となる。
【0019】
すなわち、燃料電池の特性として、出力電圧が開回路電圧(OCV)又はその近傍値の場合、その劣化量が高くなる。この発明によれば、負荷の負荷量が所定値以下である場合、通常運転時における燃料電池の下限電流より低い極低電流で発電する極低電流制御を行い、前記極低電流制御の際、前記極低電流に対応したコンバータの目標電圧の上下限値を設定し、燃料電池の出力電圧が前記上下限値内に入るように制御する。従って、極低電流制御の際、当該上下限値をOCVよりも低い値に設定すれば、燃料電池の劣化量を抑制することが可能となる。
【0020】
また、燃料電池の特性として、OCV付近の低電流域では燃料電池の出力電流の変化に対して燃料電池の出力電圧の変化が大きい。この発明によれば、OCV付近の低電流域において、極低電流に対応したコンバータの目標出力電圧の上下限値を設定することで、高精度に前記極低電流を出力することができる。従って、燃料電池の電圧上昇を高精度に抑えることができ、燃料電池の劣化を防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】この発明の一実施形態に係る燃料電池車両の概略構成図である。
【図2】前記実施形態におけるDC/DCコンバータの詳細を示す図である。
【図3】電子制御装置(ECU)における基本的な制御のフローチャートである。
【図4】前記ECUが前記DC/DCコンバータの2次電圧V2の目標値(目標2次電圧)を算出する機能ブロック図である。
【図5】燃料電池の劣化状態と前記目標2次電圧の上限値及び下限値との関係を示す図である。
【図6】前記ECUが前記目標2次電圧を算出するフローチャートである。
【図7】通常時の下限電流と極低電流制御時の基準電流との関係を示す図である。
【図8】極低電流制御時の基準電流とFC電圧及び目標2次電圧の上下限値との関係並びにFCの初期状態における電流−電圧(IV)特性と、FCが劣化した後のIV特性の関係を示す図である。
【図9】前記実施形態に係る電力系の第1変形例の概略構成を示すブロック図である。
【図10】前記実施形態に係る電力系の第2変形例の概略構成を示すブロック図である。
【図11】燃料電池を構成する燃料電池セルの電位と燃料電池セルの劣化量との関係の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
1.全体的な構成の説明
[1−1.全体構成]
図1は、この発明の一実施形態に係る燃料電池車両10(以下「FC車両10」又は「車両10」という。)の概略構成図である。FC車両10は、車両電源システム12(以下「電源システム12」ともいう。)と、走行用のモータ14と、インバータ16とを有する。
【0023】
電源システム12は、燃料電池ユニット18(以下「FCユニット18」という。)と、バッテリ20と、DC/DCコンバータ22と、電子制御装置24(以下「ECU24」という。)とを有する。
【0024】
[1−2.駆動系]
モータ14は、FCユニット18及びバッテリ20から供給される電力に基づいて駆動力を生成し、当該駆動力によりトランスミッション26を通じて車輪28を回転する。また、モータ14は、回生を行うことで生成した電力(回生電力Preg)[W]をバッテリ20に出力する。回生電力Pregは、補機群(後述するエアポンプ36及びウォータポンプ68を含む。)に対して出力してもよい。
【0025】
インバータ16は、3相フルブリッジ型の構成とされて、直流/交流変換を行い、直流を3相の交流に変換してモータ14に供給する一方、回生動作に伴う交流/直流変換後の直流をDC/DCコンバータ22を通じてバッテリ20等に供給する。
【0026】
なお、モータ14とインバータ16を併せて負荷30という。但し、負荷30には、後述するエアポンプ36、ウォータポンプ68等の構成要素を含めることもできる。
【0027】
[1−3.FCユニット18]
FCユニット18の燃料電池スタック32(以下「FCスタック32」又は「FC32」という。)は、例えば、固体高分子電解質膜をアノード電極とカソード電極とで両側から挟み込んで形成された燃料電池セル(以下「FCセル」又は「単セル」という。)を積層した構造を有する。FCスタック32には、水素タンク34とエアポンプ36が経路38、40を通じて接続されており、水素タンク34からは一方の反応ガスである水素(燃料ガス)が、エアポンプ36からは他方の反応ガスである圧縮空気(酸化剤ガス)が供給される。水素タンク34及びエアポンプ36からFCスタック32に供給された水素と空気がFCスタック32内で電気化学反応を起こすことにより発電が行われ、発電電力(FC電力Pfc)[W]がモータ14とバッテリ20に供給される。
【0028】
FCスタック32の発電電圧(以下「FC電圧Vfc」という。)[V]は、電圧センサ42により検出され、FCスタック32の発電電流(以下「FC電流Ifc」又は「検出FC電流Ifc」という。)[A]は、電流センサ44により検出され、それぞれECU24に出力される。また、FCスタック32を構成する各FCセルの発電電圧(以下「セル電圧Vcell」という。)[V]は、電圧センサ46により検出され、ECU24に出力される。
【0029】
水素タンク34とFCスタック32とを結ぶ経路38には、レギュレータ50が設けられている。このレギュレータ50には、エアポンプ36とFCスタック32とを結ぶ経路40から分岐した経路52が連結されており、エアポンプ36からの圧縮空気が供給される。レギュレータ50は、供給された圧縮空気の圧力に応じて弁の開度を変化させ、FCスタック32に供給する水素の流量を調整する。
【0030】
FCスタック32の出口側に設けられた水素用の経路54及び空気用の経路56には、出口側の水素を外部に排出するパージ弁58と空気の圧力を調整する背圧弁60が設けられている。また、水素用の入口側の経路38と出口側の経路54とを結ぶ経路62が設けられている。FCスタック32から排出された水素は、この経路62を介してFCスタック32の入口側に戻される。出口側の経路54、56には、圧力センサ64、66が設けられ、その検出値(圧力値)は、それぞれECU24に出力される。
【0031】
さらに、FCスタック32を冷却するためのウォータポンプ68が設けられている。
【0032】
[1−4.バッテリ20]
バッテリ20は、複数のバッテリセルを含む蓄電装置(エネルギストレージ)であり、例えば、リチウムイオン2次電池、ニッケル水素電池又はキャパシタ等を利用することができる。本実施形態ではリチウムイオン2次電池を利用している。バッテリ20の出力電圧(以下「バッテリ電圧Vbat」という。)[V]は、電圧センサ70により検出され、バッテリ20の出力電流(以下「バッテリ電流Ibat」という。)[A]は、電流センサ72により検出され、それぞれECU24に出力される。なお、ECU24は、電圧センサ70からのバッテリ電圧Vbatと、電流センサ72からのバッテリ電流Ibatに基づいて、バッテリ20の残容量(以下「SOC」という。)[%]を算出する。
【0033】
[1−5.DC/DCコンバータ22]
DC/DCコンバータ22は、FCユニット18からのFC電力Pfcと、バッテリ20から供給された電力(以下「バッテリ電力Pbat」という。)[W]と、モータ14からの回生電力Pregとの供給先を制御する。
【0034】
図2には、本実施形態におけるDC/DCコンバータ22の詳細が示されている。図2に示すように、DC/DCコンバータ22は、一方がバッテリ20のある1次側1Sに接続され、他方が負荷30とFCスタック32との接続点である2次側2Sに接続されている。
【0035】
DC/DCコンバータ22は、1次側1Sの電圧(1次電圧V1)[V]を2次側2Sの電圧(2次電圧V2)[V](V1≦V2)に昇圧するとともに、2次電圧V2を1次電圧V1に降圧する昇降圧型且つチョッパ型の電圧変換装置である。
【0036】
図2に示すように、DC/DCコンバータ22は、1次側1Sと2次側2Sとの間に配される相アームUAと、リアクトル80とから構成される。
【0037】
相アームUAは、上アーム素子(上アームスイッチング素子82とダイオード84)と下アーム素子(下アームスイッチング素子86とダイオード88)とで構成される。上アームスイッチング素子82と下アームスイッチング素子86には、例えば、MOSFET又はIGBTが採用される。
【0038】
リアクトル80は、相アームUAの中点(共通接続点)とバッテリ20の正極との間に挿入され、DC/DCコンバータ22により1次電圧V1と2次電圧V2との間で電圧を変換する際に、エネルギを放出及び蓄積する作用を有する。
【0039】
上アームスイッチング素子82は、ECU24から出力されるゲート駆動信号(駆動電圧)UHのハイレベルによりオンにされ、下アームスイッチング素子86は、ゲートの駆動信号(駆動電圧)ULのハイレベルによりオンにされる。
【0040】
なお、ECU24は、1次側の平滑コンデンサ92に並列に設けられた電圧センサ90により1次電圧V1を検出し、電流センサ94により1次側の電流(1次電流I1)[A]を検出する。また、ECU24は、2次側の平滑コンデンサ98に並列に設けられた電圧センサ96により2次電圧V2を検出し、電流センサ100により2次側の電流(2次電流I2)[A]を検出する。
【0041】
[1−6.ECU24]
ECU24は、通信線78(図1)を介して、モータ14、インバータ16、FCユニット18、バッテリ20及びDC/DCコンバータ22を制御する。当該制御に際しては、メモリ(ROM)に格納されたプログラムを実行し、また、電圧センサ42、46、70、90,96、電流センサ44、72、94,100、圧力センサ64、66等の各種センサの検出値を用いる。
【0042】
ここでの各種センサには、開度センサ110及び回転数センサ112(図1)が含まれる。開度センサ110は、アクセルペダル116の開度(以下「アクセル開度θ」又は「開度θ」という。)[度]を検出する。回転数センサ112は、モータ14の回転数(以下「モータ回転数Nm」又は「回転数Nm」という。)[rpm]を検出する。さらに、ECU24には、メインスイッチ118(以下「メインSW118」という。)が接続される。メインSW118は、FCユニット18及びバッテリ20からモータ14への電力供給の可否を切り替えるものであり、ユーザにより操作可能である。
【0043】
ECU24は、マイクロコンピュータを含み、必要に応じて、タイマ、A/D変換器、D/A変換器等の入出力インタフェースを有する。なお、ECU24は、1つのECUのみからなるのではなく、モータ14、FCユニット18、バッテリ20及びDC/DCコンバータ22毎の複数のECUから構成することもできる。
【0044】
ECU24は、FCスタック32の状態、バッテリ20の状態、及びモータ14の状態の他、各種スイッチ及び各種センサからの入力(負荷要求)に基づき決定したFC車両10全体として電源システム12に要求される負荷から、FCスタック32が負担すべき負荷と、バッテリ20が負担すべき負荷と、回生電源(モータ14)が負担すべき負荷の配分(分担)を調停しながら決定し、モータ14、インバータ16、FCユニット18、バッテリ20及びDC/DCコンバータ22に指令を送出する。
【0045】
2.本実施形態の制御
次に、ECU24における制御について説明する。
【0046】
[2−1.基本制御]
図3には、ECU24における基本的な制御のフローチャートが示されている。ステップS1において、ECU24は、メインSW118がオンであるかどうかを判定する。メインSW118がオンでない場合(S1:NO)、ステップS1を繰り返す。メインSW118がオンである場合(S1:YES)、ステップS2に進む。ステップS2において、ECU24は、電源システム12に要求される負荷(システム負荷Ls)[W]を計算する。
【0047】
ステップS3において、ECU24は、電源システム12のエネルギマネジメントを行う。ここにいうエネルギマネジメントは、主として、FC32の発電量(FC電力Pfc)及びバッテリ20の出力(バッテリ出力Pbat)を算出する処理であり、FCスタック32の劣化を抑制しつつ、電源システム12全体の出力を効率化することを企図している。
【0048】
具体的には、ECU24は、ステップS2で算出したシステム負荷Lsから、FC32が負担すべき燃料電池分担負荷(要求出力)Lfcと、バッテリ20が負担すべきバッテリ分担負荷(要求出力)Lbatと、回生電源(モータ14)が負担すべき回生電源分担負荷Lregの配分(分担)を調停しながら決定する。
【0049】
ステップS4において、ECU24は、ステップS3で求めた燃料電池分担負荷Lfc等に基づいてFCスタック32の周辺機器、すなわち、エアポンプ36、パージ弁58、背圧弁60及びウォータポンプ68の制御(FC発電制御)を行う。ステップS5において、ECU24は、回転数センサ112からモータ回転数Nmと開度センサ110からアクセルペダル116の開度θ等に基づいてモータ14のトルク制御を行う。
【0050】
ステップS6において、ECU24は、メインSW118がオフであるかどうかを判定する。メインSW118がオフでない場合(S6:NO)、ステップS2に戻る。メインSW118がオフである場合(S6:YES)、今回の処理を終了する。
【0051】
[2−2.FC32の出力制御]
本実施形態では、ステップS3のエネルギマネジメントで求めた燃料電池分担負荷Lfcに応じたFC電流IFCの目標値(以下「目標FC電流Ifctgt」という。)を設定する。そして、目標FC電流Ifctgtを実現するため、DC/DCコンバータ22の2次電圧V2を制御する。
【0052】
より具体的には、FC32の特性上、FC電圧Vfcは、基本的にDC/DCコンバータ22の2次電圧V2と等しくなる。このため、DC/DCコンバータ22により2次電圧V2を調整することにより、FC電圧Vfcを制御することが可能となる。また、FC32の電流−電圧(IV)特性上、FC電圧Vfcを制御することにより、FC電流Ifcを制御することができる。このため、本実施形態では、2次電圧V2の目標値(以下「目標2次電圧V2tgt」という。)を用いてFC電圧Vfc及びFC電流Ifcを制御する。
【0053】
(2−2−1.目標2次電圧V2tgtの算出の概要)
図4は、ECU24がDC/DCコンバータ22の目標2次電圧V2tgtを算出する機能ブロック図である。図4に示すように、ECU24は、電流−電圧変換部130と、電流フィードバック部132(以下「電流FB部132」という。)と、加算器134と、2次電圧上下限値設定部136と、極低電流制御選択スイッチ138(以下「選択スイッチ138」ともいう。)と、上下限リミッタ140とを有する。
【0054】
電流−電圧変換部130は、目標FC電流Ifctgtを第1仮目標2次電圧V2tgt_t1に変換する。すなわち、目標FC電流Ifctgtと第1仮目標2次電圧V2tgt_t1との関係(IV)特性を示すマップを作成しておき、当該マップを用いて第1仮目標2次電圧V2tgt_t1を設定する。換言すると、第1仮目標2次電圧V2tgt_t1は、IV特性に基づき目標FC電流Ifctgtから直接的に求められる目標2次電圧V2tgtである。
【0055】
電流FB部132は、目標FC電流Ifctgtと検出FC電流Ifcとの差ΔIfcに基づいて2次電圧V2のフィードバック項(以下「2次電圧FB値V2fb」という。)を算出する。具体的には、差ΔIfcに対してPID(比例・積分・微分)制御を行って2次電圧FB値V2fbを算出する。
【0056】
加算器134は、電流−電圧変換部130からの第1仮目標2次電圧V2tgt_t1と電流FB部132からの2次電圧FB値V2fbとを加算して第2仮目標2次電圧V2tgt_t2を算出する。換言すると、第2仮目標2次電圧V2tgt_t2は、第1仮目標2次電圧V2tgt_t1に対して差ΔIfcに基づくフィードバック制御を行った目標2次電圧V2tgtである。
【0057】
2次電圧上下限値設定部136は、目標2次電圧V2tgtの上限値(以下「上限値V2up」又は「上限電圧V2up」という。)及び目標2次電圧V2tgtの下限値(以下「下限値V2low」又は「下限電圧V2low」という。)を設定する。本実施形態では、通常時の上限電圧V2up及び下限電圧V2lowと、極低電流制御時の上限電圧V2upと下限電圧V2lowを設定する。通常時の上限電圧V2upは、例えば、OCVよりも高い値に設定される。また、通常時の下限電圧V2lowは、FC32の最低電圧(最低FC電圧)、すなわち、目標2次電圧V2tgtとして設定可能な最小値が設定される。
【0058】
また、極低電流制御は、システム負荷Lsが低負荷である場合に、通常時の2次電流I2の下限値(以下「下限値Inmllow」又は「下限電流Inmllow」という。)より低い極低電流(以下「極低電流Ivlow」)で発電する制御である。本実施形態において、極低電流Ivlowは、例えば、極低電流制御時の基準電流Ivlowrefプラスマイナスαの範囲で制御される(図7及び図8を用いて後述する。)。システム負荷Lsが低負荷である場合とは、例えば、システム負荷Lsが、低負荷であることを示す低負荷判定閾値THLs1(以下「閾値THLs1」ともいう。)以下である場合、或いは、車速V[km/h]が、低負荷であることを示す低負荷判定閾値THV1(以下「閾値THV1」ともいう。)以下である場合である。なお、車速Vは、モータ回転数Nmに基づいてECU24が算出する。
【0059】
また、極低電流制御時の上限電圧V2up及び下限電圧V2lowは、FC32の劣化状態に応じて設定する。具体的には、図5に示すマップを用いて、FC32の劣化状態に応じて上限電圧V2up及び下限電圧V2lowを設定する。図5のマップでは、FC32の劣化状態が進むほど(図5中、右に行くほど)、IV特性の変化に応じて上限電圧V2up及び下限電圧V2lowを低く設定する。
【0060】
なお、ここにいうFC32の劣化状態は、ECU24が判定するものであり、本実施形態では、例えば、FC32の作動時間を用いる。FC32の使用回数をFC32の作動時間は、ECU24がカウントし、図示しない不揮発性メモリに更新記録する。或いは、FC32の作動時間の代わりに、FC電流VfcとFC電流Ifcの実測値に基づいてIV特性を特定することもできる。上限電圧V2up及び下限電圧V2lowの設定については、後に詳述する。
【0061】
極低電流制御選択スイッチ138は、極低電流制御要求がないとき(図4中、「N」で示している。)、通常の上限電圧V2up及び下限電圧V2lowを出力する。また、極低電流制御要求があるときは(図4中、「Y」で示している。)、極低電流制御用の上限電圧V2up及び下限電圧V2lowを出力する。
【0062】
なお、極低電流制御要求は、ECU24がシステム負荷Lsに応じて生成するものである。すなわち、ECU24は、システム負荷Lsが、低負荷であることを示す前記低負荷判定閾値THLs1以下である場合、極低電流制御要求を出力し、システム負荷Lsが閾値THLs1以下でない場合、極低電流制御要求を出力しない。
【0063】
上下限リミッタ140は、加算器134からの第2仮目標2次電圧V2tgt_t2に、選択スイッチ138からの上限電圧V2up及び下限電圧V2lowによる制限を加える。具体的には、第2仮目標2次電圧V2tgt_t2が下限電圧V2low以上、上限電圧V2up以下である場合(V2low≦V2tgt_t2≦V2up)、第2仮目標2次電圧V2tgt_t2をそのまま目標2次電圧V2tgtとして出力する。目標2次電圧V2tgtは、DC/DCコンバータ22の駆動デューティを算出する際に用いられるものである。
【0064】
また、上下限リミッタ140は、第2仮目標2次電圧V2tgt_t2が上限電圧V2upを上回っている場合(V2tgt_t2>V2up)、上限電圧V2upを目標2次電圧V2tgtとして出力する。仮目標2次電圧V2tgtが下限電圧V2lowを下回っている場合(V2tgt_t2<V2low)、下限電圧V2lowを目標2次電圧V2tgtとして出力する。これにより、目標2次電圧V2tgtを上限電圧V2upと下限電圧V2lowの間の範囲内に収め、FC電流Ifcを極低電流制御時の目標電流域内に収めることができる。
【0065】
上下限リミッタ140から出力された目標2次電圧V2tgtは、ECU24の別の演算モジュール(図示せず)において、DC/DCコンバータ22の駆動デューティの演算に用いられる。
【0066】
(2−2−2.目標2次電圧V2tgtを算出するフロー)
図6は、ECU24が目標2次電圧V2tgtを算出するフローチャートである。ステップS11において、ECU24(電流−電圧変換部130)は、目標FC電流Ifctgtに基づいて第1仮目標2次電圧V2tgt_t1を算出する。すなわち、FC32のIV特性において、目標FC電流Ifctgtに対応するFC電圧Vfcを第1仮目標2次電圧V2tgt_t1として設定する。ステップS12において、ECU24(電流FB部132)は、2次電圧FB値V2fbを算出する。具体的には、目標FC電流Ifctgtと検出FC電流IFCとの差ΔIfcをPID制御することにより2次電圧FB値V2fbを求める。
【0067】
ステップS13において、ECU24(加算器134)は、第2仮目標2次電圧V2tgt_t2を算出する。具体的には、ステップS11で求めた第1仮目標2次電圧V2tgt_t1と2次電圧FB値V2fbとの和として第2仮目標2次電圧V2tgt_t2を求める。
【0068】
ステップS14において、ECU24(上下限値設定部136)は、極低電流制御時の目標2次電圧V2tgtの上限値V2up及び下限値V2lowを算出する。上記のように、極低電流制御時の上限値V2up及び下限値V2lowは、図5のマップを用いて求める。
【0069】
ステップS15において、ECU24(選択スイッチ138)は、極低電流制御要求があるか否かを判定する。極低電流制御要求がない場合(S15:NO)、ステップS16において、ECU24(選択スイッチ138)は、通常時の上限値V2up及び下限値V2lowを用いる。極低電流制御要求がある場合(S15:YES)、ステップS17において、ECU24(選択スイッチ138)は、極低電流制御時の上限値V2up及び下限値V2lowを用いる。
【0070】
ステップS18において、ECU24(上下限リミッタ140)は、第2仮目標2次電圧V2tgt_t2が上限値V2upを上回るか否かを判定する。第2仮目標2次電圧V2tgt_t2が上限値V2upを上回る場合(S18:YES)、ステップS19において、ECU24(上下限リミッタ140)は、上限値V2upを目標2次電圧V2tgtとして設定する。第2仮目標2次電圧V2tgt_t2が上限値V2up以下である場合(S18:NO)、ステップS20に進む。
【0071】
ステップS20において、ECU24(上下限リミッタ140)は、第2仮目標2次電圧V2tgt_t2が下限値V2lowを下回るか否かを判定する。第2仮目標2次電圧V2tgt_t2が下限値V2lowを下回る場合(S20:YES)、ステップS21において、ECU24(上下限リミッタ140)は、下限値V2lowを目標2次電圧V2tgtとして設定する。第2仮目標2次電圧V2tgt_t2が下限値V2low以上である場合(S20:NO)、ステップS22において、ECU24(上下限リミッタ140)は、第2仮目標2次電圧V2tgt_t2をそのまま目標2次電圧V2tgtとして設定する。
【0072】
(2−2−3.極低電流制御)
図7には、通常時の下限電流Inmllowと極低電流制御時の基準電流Ivlowrefとの関係が示されている。図8には、極低電流制御時の基準電流Ivlowrefと、FC電圧Vfc並びに目標2次電圧V2tgtの上限値V2up及び下限値V2lowとの関係並びにFC32の初期状態における電流−電圧(IV)特性と、FC32が劣化した後のIV特性の関係が示されている。
【0073】
基準電流Ivlowrefは、極低電流制御時における極低電流Ivlowの目標範囲(目標電流域)の中心値である。図8に示すように、極低電流制御時には、基準電流Ivlowrefを中心として、プラスマイナスαの電流域が目標電流域Rlowとして設定される。値αは、極低電流制御時の目標電流域Rvlowを規定するための値である。
【0074】
また、初期状態のIV特性では、上限電圧V2up1が目標電流域Rlowの下限電流に対応し、下限電圧V2low1が目標電流域Rvlowの上限電流に対応する。また、FC32の劣化が進むと、FC電流Ifcに対するFC電圧Vfcが降下する。従って、劣化後のIV特性では、上限電圧V2up2が目標電流域Rvlowの上限電流に対応し、下限電圧V2low2が目標電流域Rvlowの上限電流に対応する。
【0075】
本実施形態では、上記のようなIV特性の変化を事前に図5のマップとして記憶しておき、これを用いる。
【0076】
3.本実施形態の効果
以上説明したように、本実施形態によれば、FC32又は電源システム12全体の発電効率を高くしつつ、FC32の劣化を抑制することが可能となる。
【0077】
すなわち、FC32の特性として、FC電圧VfcがOCV又はその近傍値の場合、その劣化量Dが高くなる(図11)。本実施形態によれば、システム負荷Lsが閾値THLs1以下である場合、通常時におけるFC32の下限電流より低い極低電流Ivlowで発電する極低電流制御を行い、前記極低電流制御の際、極低電流Ivlowに対応した目標2次電圧V2tgtの上限値V2up及び下限値V2lowを設定し、FC電圧Vfcが上限値V2up及び下限値V2lowの間に入るように制御する。従って、極低電流制御の際、上限値V2up及び下限値V2lowをOCVよりも低い値に設定することで、FC32の劣化量Dを抑制することが可能となる。
【0078】
また、FC32の特性として、OCV付近の低電流域ではFC電流Ifcの変化に対してFC電圧Vfcの変化が大きい(図7参照)。本実施形態によれば、OCV付近の低電流域において、極低電流Ivlowに対応した目標2次電圧V2tgtの上限値V2up及び下限値V2lowを設定することで、高精度に極低電流Ivlowを出力することができる。従って、FC電圧Vfcの上昇を高精度に抑えることができ、FC32の劣化を防止することが可能となる。
【0079】
本実施形態では、極低電流Ivlowに対応する目標FC電流Ifctgtを設定し、目標FC電流IfctgtとFC電流Ifcとの差ΔIfcに応じて目標2次電圧V2tgtを補正する(図4の電流FB部132参照)。これにより、FC電流Ifcをさらに高精度に極低電流Ivlowに収束させることができる。
【0080】
本実施形態では、FC32の劣化状態の変化に基づいて目標2次電圧V2tgtの上限値V2up及び下限値V2lowを変化させる(図5)。これにより、FC32のIV特性の変化に係わらず、安定して極低電流Ivlowを出力することが可能となる。
【0081】
本実施形態では、FC32は、モータ14及びバッテリ20に電力を供給可能であり、バッテリ20は、モータ14に電力を供給可能であると共に、モータ14からの回生電力Pregを充電可能である。これにより、極低電流制御時におけるFC32からの余剰電力をバッテリ20に充電することが可能となる。従って、極低電流制御時は、FC32の劣化を抑制しつつ、FC32とバッテリ20を合わせた発電効率を高めることが可能となる。
【0082】
4.変形例
なお、この発明は、上記実施形態に限らず、この明細書の記載内容に基づき、種々の構成を採り得ることはもちろんである。例えば、以下の構成を採用することができる。
【0083】
[4−1.適用対象]
上記実施形態では、電源システム12をFC車両10に適用した例を示したが、これに限らず、電源システム12を別の対象に適用してもよい。例えば、電動アシスト自転車、船舶や航空機等の移動体に適用することもできる。或いは、電源システム12を家庭用電力システムに適用してもよい。
【0084】
[4−2.電源システム12の構成]
上記実施形態では、FC32とバッテリ20を並列に配置し、バッテリ20の手前にDC/DCコンバータ22を配置する構成としたが、これに限らない。例えば、図9に示すように、FC32とバッテリ20を並列に配置し、昇圧式、降圧式又は昇降圧式のDC/DCコンバータ150をFC32の手前に配置する構成であってもよい。或いは、図10に示すように、FC32とバッテリ20を並列に配置し、FC32の手前にDC/DCコンバータ150を、バッテリ20の手前にDC/DCコンバータ22を配置する構成であってもよい。
【0085】
上記実施形態では、FC電力Pfcをモータ14とバッテリ20に出力する構成を示したが、これに限らない。例えば、FC電力Pfcをモータ14、バッテリ20及び補機群(エアポンプ36及びウォータポンプ68等を含む。)に出力してもよい。或いは、FC電力Pfcをモータ14のみに出力してもよい。或いは、FC電力Pfcを前記補機群のみに出力することもできる。
【0086】
[4−3.極低電流制御]
上記実施形態では、極低電流制御を行うか否かを、極低電流制御要求があるか否かに応じて判定した(図6のS15)。また、極低電流制御要求を生成するか否かは、システム負荷Lsが閾値THLs1以下であるか否かに判定した。しかしながら、極低電流制御を行うか否かの判定は、システム負荷Ls又はモータ14の負荷に応じて判定するものであれば、これに限らない。例えば、アクセル開度θが、減速が求められていること又は停止状態の維持が求められていることを示す閾値以下であるか否かに応じて、極停電流制御を行うか否かを判定してもよい。
【0087】
上記実施形態では、極低電流制御において、単一の基準電流Ivlowref及び目標電流域Rvlowを設定したが、これに限らない。例えば、極低電流制御に入る車速V以下において、車速Vに応じて基準電流Ivlowref及び目標電流域Rvlowを変化してもよい。
【0088】
上記実施形態では、目標FC電流Ifctgtと検出FC電流Ifcとの差ΔIfcに基づいて2次電圧FB値V2fbを算出し、2次電圧FB値V2fbを用いて目標2次電圧V2tgtを算出した(図4参照)。しかしながら、2次電圧FB値V2fbを算出しない構成も可能である。
【0089】
上記実施形態では、FC32の劣化状態に応じて目標2次電圧V2tgt(第2仮目標2次電圧V2tgt_t2)の上限値V2up及び下限値V2lowを設定したが、FC32のIV特性を変化させるものであれば、その他の因子に基づいて上限電圧V2up及び下限電圧V2lowを設定してもよい。そのような因子としては、例えば、FC32の乾燥状態を用いることができる。この場合、FC32の湿度センサを設け、その検出値を用いて乾燥状態を判定することができる。
【符号の説明】
【0090】
10…燃料電池車両 14…走行モータ(負荷)
16…インバータ(負荷) 20…バッテリ(蓄電装置)
22…DC/DCコンバータ 24…ECU(制御装置)
32…燃料電池スタック 36…エアポンプ(負荷)
68…ウォータポンプ(負荷)
Ifctgt…目標FC電流(燃料電池の目標電流)
Ivlow…極低電流 Ls…システム負荷
Pfc…燃料電池の発電電力 Vfc…FC電圧(燃料電池の出力電圧)
Vfctgt…目標FC電圧(燃料電池の目標電圧)
V2low…目標2次電圧の下限値
V2tgt…目標2次電圧(コンバータの目標出力電圧)
V2up…目標2次電圧の上限値

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池と、
前記燃料電池の出力電圧を制御するコンバータと、
前記燃料電池から電力の供給を受ける負荷と、
前記負荷の負荷量に基づいて前記燃料電池の目標出力を設定し、前記目標出力に応じた前記燃料電池の目標電圧を前記コンバータに指令する制御装置と
を備えた燃料電池車両であって、
前記制御装置は、
前記負荷量が所定値以下である場合、通常運転時における前記燃料電池の下限電流より低い極低電流で発電する極低電流制御を行い、
前記極低電流制御の際、前記極低電流に対応した前記コンバータの目標出力電圧の上下限値を設定し、前記燃料電池の出力電圧が前記上下限値内に入るように制御する
ことを特徴とする燃料電池車両。
【請求項2】
請求項1記載の燃料電池車両において、
前記極低電流に対応する前記燃料電池の目標電流を設定し、前記燃料電池の目標電流と出力電流との差に応じて前記コンバータの目標出力電圧を補正する
ことを特徴とする燃料電池車両。
【請求項3】
請求項1又は2記載の燃料電池車両において、
前記燃料電池の電流−電圧特性の変化を検知して、前記電流−電圧特性の変化に基づいて前記上下限値を変化させる
ことを特徴とする燃料電池車両。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の燃料電池車両において、
前記燃料電池車両は、さらに、蓄電装置を備え、
前記負荷は、走行モータを含み、
前記燃料電池は、前記走行モータ及び前記蓄電装置に電力を供給可能であり、前記蓄電装置は、前記走行モータに電力を供給可能であると共に、前記走行モータからの回生電力を充電可能である
ことを特徴とする燃料電池車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−244715(P2012−244715A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−111036(P2011−111036)
【出願日】平成23年5月18日(2011.5.18)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】