説明

燃焼装置および燃焼ガスの浄化方法

【課題】ボイラをはじめとする燃焼装置において燃焼ガス中のCO、NOを金属触媒により浄化する場合に金属触媒の劣化が抑制される燃焼装置及び燃焼ガスの浄化方法を提供すること。
【解決手段】バーナ14で発生した燃焼ガスG1が通過するガス流路Rが形成されるとともに燃焼室11を少なくとも1つ備えた燃焼装置10であって、前記燃焼ガスG1を還元性雰囲気に調整する燃焼ガス雰囲気調整手段12a、12b、12c、12dと、金属触媒C1、C2により前記燃焼ガスG1を浄化する浄化部18とを備え、前記金属触媒C1、C2の少なくとも一部は、前記ガス流路G1の前記金属触媒C1、C2が還元温度以上かつ凝集温度以下の温度範囲にて前記還元性雰囲気と接触する領域に配置されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、浄化部に用いられた触媒の劣化を抑制することが可能な燃焼装置および燃焼ガスの浄化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ボイラ等の燃焼装置において、バーナが燃焼することにより発生する燃焼ガスに含まれるNO(窒素酸化物)、CO(一酸化炭素)を所定の数値(例えば、規制値等)以下に削減する場合、燃焼ガスを削減対象であるNO還元触媒、CO酸化触媒に通過させることが行われている。
このような触媒を用いた浄化装置により燃焼ガスを浄化する燃焼装置として、例えば、燃焼ガスに含まれるCOを酸化、除去するためのCO酸化触媒を排ガス通路に配置した構成のボイラが開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−69139号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記CO酸化触媒をはじめとする浄化装置に用いられる金属触媒は、触媒活性材料(例えば、貴金属超微粒子)がAl等の担体に高分散されて基材に担持されており、長期間にわたって燃焼ガスを浄化することにより、例えば、触媒活性材料が凝集して触媒作用が劣化する場合があり、劣化して触媒作用が低下した金属触媒は、浄化装置から取出してH(水素)ガスによる還元処理を行なって再生する必要がある。
【0005】
そこで、ボイラ等の燃焼装置に用いられる浄化装置を構成する金属触媒の劣化を抑制し、金属触媒が長期間にわたって安定した浄化性能を維持することが可能な燃焼装置及び金属触媒の劣化が抑制可能な燃焼ガスの浄化方法に対する技術的要請がある。
【0006】
本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、ボイラをはじめとする燃焼装置において燃焼ガス中のCO、NOを金属触媒により浄化する場合に金属触媒の劣化が抑制される燃焼装置及び燃焼ガスの浄化方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
請求項1記載の発明は、バーナで発生した燃焼ガスが通過するガス流路が形成されるとともに前記ガス流路を通過する前記燃焼ガスと熱交換して熱媒体を加熱する燃焼室を少なくとも1つ備えた燃焼装置であって、前記燃焼ガスを還元性雰囲気に調整する燃焼ガス雰囲気調整手段と、金属触媒により前記燃焼ガスを浄化する浄化部と、を備え、前記金属触媒の少なくとも一部は、前記金属触媒の還元温度以上かつ凝集温度以下の温度範囲において前記還元性雰囲気とされる触媒還元条件を満足する領域に配置されていることを特徴とする。
【0008】
また、請求項4記載の発明は、バーナで発生した燃焼ガスが通過するガス流路が形成されるとともにガス流路を通過する前記燃焼ガスと熱交換して熱媒体を加熱する燃焼室を少なくとも1つ備えた燃焼装置における金属触媒による燃焼ガスの浄化方法であって、前記燃焼ガスを還元性雰囲気に調整し、この還元性雰囲気とした燃焼ガスを、前記金属触媒の還元温度以上かつ凝集温度以下の温度範囲で前記金属触媒に通過させることを特徴とする。
【0009】
この発明に係る燃焼装置、燃焼ガスの浄化方法によれば、金属触媒が還元温度以上において還元性雰囲気に接触するので、金属触媒が容易かつ効率的に還元、再生される。
また、燃焼ガスが金属触媒を通過する温度が、触媒活性材料(金属超微粒子)が凝集する凝集温度以下とされているので、触媒活性材料が凝集されて活性点が減少するのが抑制されて、金属触媒の浄化性能が低下することが抑制される。
【0010】
請求項2記載の発明は、請求項1に記載の燃焼装置であって、触媒還元タイミング制御部を備え、少なくとも触媒還元タイミング制御部により設定されている間、前記触媒還元条件を前記領域に形成することを特徴とする。
【0011】
請求項5記載の発明は、請求項4に記載の燃焼ガスの浄化方法であって、燃焼装置を運転する場合における設定した期間に、前記燃焼ガスを前記金属触媒に通過させることを特徴とする。
【0012】
この発明に係る燃焼装置、燃焼ガスの浄化方法によれば、燃焼装置の運転時において、設定した期間に金属触媒が触媒還元条件を満足するので、金属触媒の再生と燃焼装置の運転の双方を効率的に行なうことができる。
【0013】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の燃焼装置であって、前記金属触媒がIr(イリジウム)を担体に担持させた構成とされていることを特徴とする。
【0014】
請求項6記載の発明は、請求項4又は請求項5に記載の燃焼ガスの浄化方法であって、前記金属触媒は、Ir(イリジウム)を担体に担持したものであることを特徴とする。
【0015】
この発明に係る燃焼装置、燃焼ガスの浄化方法によれば、金属触媒としてIrを用いるので、高温の燃焼ガスに曝されても担体からの分離や凝集が発生しにくい。その結果、高温において強い還元作用を呈して燃焼ガスを浄化する。
【発明の効果】
【0016】
この発明に係る燃焼装置によれば、燃焼ガスの浄化に用いる金属触媒が燃焼装置が生成する燃焼ガスにより還元されるので、金属触媒の劣化が抑制され、金属触媒の浄化性能の維持、寿命延長を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態に係るボイラ及び浄化装置を示す縦断面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る浄化装置に用いる触媒の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図1、図2を参照し、この発明の一実施形態について説明する。
図1は、一実施形態に係る貫流式のボイラ(燃焼装置)10の縦断面図を示している。
ボイラ10は、燃焼室11と、燃料供給部12と、缶体13と、バーナ14と、触媒還元タイミング制御部15と、排出路17と、浄化装置(浄化部)18と、エコノマイザ19とを備えており、燃料供給部12から供給された燃料ガスが燃焼室11内に配置されたバーナ14で燃焼して燃焼ガスG1が発生するようになっている。また、排出路17には、浄化装置18、エコノマイザ19が上流からこの順に設けられている。
【0019】
また、バーナ14から排出路17の排出口17Aに至るまで間には、バーナ14で発生した燃焼ガスG1が流通するガス流路Rが形成されている。なお、ガス流路Rは燃焼ガスG1が流通しボイラ10外に排出されるための排ガス流路としても用いられている。
【0020】
この明細書において、燃焼ガスG1とは、燃料ガスの燃焼反応が完了したものおよび燃焼反応中の燃料ガスの少なくとも一方を含む概念であり、燃料ガスの燃焼反応が完了したものおよび燃焼反応中の燃料ガスの両方を有する場合、燃焼反応中の燃料ガスのみを有する場合、燃料ガスの燃焼反応が完了したもののみを有する場合のいずれをも含む概念である。
【0021】
また、この実施形態において、ボイラ10の燃料は、例えば、生ガスと燃焼用空気とが混合された燃料ガスとされている。なお、燃料ガスに代えて、重油をはじめとする液体燃料、微粉炭を用いてもよい。
【0022】
燃料供給部12は、例えば、燃焼用空気を供給する送風ファン12aと、生ガスを供給するノズル12bとを備え、送風ファン12aから送風された燃焼用空気とノズル12bから供給された生ガスとがダクト内で混合されて燃料ガスが生成されるようになっている。
【0023】
ここで、送風ファン12a、ノズル12bは、送風ファン12aの送風量を制御する送風量制御部12c、ノズル12bから供給する生ガス量を制御する生ガス量制御部12dとともに燃焼ガス雰囲気調整手段を構成しており、触媒還元タイミング制御部15からの制御信号に基づいて、予め定めた所定のタイミングに、送風量及び生ガス量により空気比を調整して燃焼ガスG1がCO、H等を含有した還元性雰囲気となるようになっている。
例えば、生成された直後の燃焼ガスG1は、温度が約600℃とされ、CO4000〜5000ppm、H2000〜3000ppmを含有している。
なお、燃焼ガスG1の温度、組成が上記に限定されないことはいうまでもない。
【0024】
また、燃焼ガス雰囲気調整手段は、上記構成に限定されることなく、例えば、空気比を調整する場合にダンパ等、周知の他の構成を用いてもよく、燃料の種類に応じて設定することができる。
【0025】
バーナ14は、水管群13B側の面にバーナエレメント14Aを有し、燃料供給部12から供給された燃料ガスがバーナエレメント14Aで燃焼するようになっている。
図1においてバーナエレメント14Aから水管群13B側に示した破線部は、バーナエレメント14Aで形成される火炎を概念的に表したものである。
なお、バーナ14に代えて、予混合式バーナ以外の周知のバーナを用いることも可能である。
【0026】
缶体13は、下部管寄せ13Aと、水管群13Bと、上部管寄せ13Cとを備え、水管群13Bは、複数の内側水管と複数の外側水管とを有し、それぞれの内側水管及び外側水管は、下部管寄せ13Aと上部管寄せ13Cとの間に垂直方向に配置されるとともに下側が下部管寄せ13Aに上側が上部管寄せ13Cに接続され、下部管寄せ13Aと上部管寄せ13Cとが連通されている。
【0027】
バーナ14の燃焼で発生した高温の燃焼ガスG1は、缶体13内に形成されたガス流路Rを通過しながら水管群13Bの水を加熱し、排出路17に導入された後に浄化装置18を経由してエコノマイザ19に到達し、エコノマイザ19の水を加熱した後に排出口17Aから排出されるようになっている。
エコノマイザ19は、排出路17を通過する燃焼ガスG1との熱交換により水が加熱され、加熱された水を下部管寄せ13Aに供給するようになっている。
【0028】
浄化装置18は、燃焼ガスG1に含まれているNOx、COを除去可能とされており、この実施形態に係る浄化装置18は、燃焼ガスG1が通過するガス流路Rに、NOx還元触媒C1(金属触媒)、CO酸化触媒C2(金属触媒)が上流側からこの順番に配置されている。
【0029】
また、この実施形態において、浄化装置18を構成するNOx還元触媒C1及びCO酸化触媒C2は、NOx還元触媒C1及びCO酸化触媒C2のそれぞれを構成する触媒活性材料が、それぞれの触媒活性材料の還元温度以上かつ凝集温度以下の温度範囲(例えば、550℃以上600℃以下)となる領域に配置されている。
【0030】
図1において符号Kで示した領域は、還元性雰囲気とされる燃焼ガスG1が、NOx還元触媒C1、CO酸化触媒C2のそれぞれの還元温度以上とされかつ凝集温度以下の温度範囲で常時接触する触媒還元条件を満足する領域の一例であり、NOx還元触媒C1及びCO酸化触媒C2を領域Kに配置することは、触媒活性材料を効率的に再生するうえで好適である。
以下、燃焼ガスG1が還元性雰囲気とされ、その還元性雰囲気の温度が対象となる金属触媒(それぞれNOx還元触媒C1、CO酸化触媒C2)の還元温度以上でかつ凝集温度以下の温度範囲を満足する条件を触媒還元条件という。
【0031】
NOx還元触媒C1は、燃焼ガスG1に含まれるNOxを還元してNとすることによりNOxを除去するものであり、例えば、図2に示すように厚さ方向に複数の通気孔Pが形成された矩形平板状の基材C10の表面に、触媒活性材料として、触媒活性材料(例えばIr(イリジウム)の超微粒子)がAlを担体として高分散されて担持されている。金属触媒としてIrを用いるので、高温の燃焼ガスに曝されても担体からの分離や凝集が発生しにくく高温において強い還元作用を呈す点で燃焼ガスG1の浄化において好適である。また、Pd(パラジウム)を用いることも、Irの場合と同様に好適である。
なお、触媒活性材料を担持する担体として、Alに代えて、例えば、表面積が大きなSiO、TiO、ZrOを用いることも可能である。
【0032】
基材C10は、帯状の平板からなる第1の基材C11と波板からなる第2の基材C12とを交互に重ね合わせたものを側板C13により囲んで固定した構造とされている。
第1の基材C11及び第2の基材C12は、それぞれ排ガスとの接触面積を広くするために表面処理が施されて表面に多数の微小凹凸が形成されたステンレス板からなり、この微小凹凸に触媒活性材料が担特されている。
【0033】
なお、NOx還元触媒C1の構造は、特に限定されるものではなく、基材C10に代えて、例えば、ステンレス以外の金属やセラミックにより形成された通気可能な基材の表面に触媒活性材料を担持させた構成としてもよいし、燃焼ガスG1の通気性を通気孔Pではなく一定しない方向の通気孔Pを有するスポンジ状の多孔性構造、又は通気可能な流路が形成された容器内に触媒活性材料が担持されたペレットを多数収容した構成としてもよい。
【0034】
なお、触媒活性材料として、Ir以外の貴金属(Pt、Ag、Au、Rh、Ru、Pd)又は金属酸化物(NiO、CuO、C、MnO)の超微粒子を用いてもよい。
CO酸化触媒C2は、燃焼ガスG1に含まれるCOを酸化してCOとすることによりCOを除去するものであり、図2に示したNOx還元触媒C1と同様の構成とされている。なお、NOx還元触媒C1と、CO酸化触媒C2に用いる触媒活性材料を異種類とすることは任意に設定可能な事項である。
【0035】
また、NOx還元触媒C1、CO酸化触媒C2は、これら触媒を通過する燃焼ガスG1がそれぞれNOx還元触媒C1、CO酸化触媒C2の還元温度以上、かつ凝集温度以下の温度範囲で通過する位置に配置されている。その結果、それぞれの触媒を構成する触媒活性材料が、粗粒に凝集されることなく効率的に活性点が再生されるようになっている。
【0036】
次に、ボイラ10及び浄化装置18の作用について説明する。
以下に示すのは、触媒還元条件を満足する場合の例であり、例えば、起動時(起動してから2時間等)に行なわれる。
1)燃料供給部12からバーナ14に供給された燃料ガスが、バーナエレメント14Aから噴出、燃焼して、高温の燃焼ガスG1が生成される。
2)燃焼ガスG1は、ガス流路Rを通過しながら水管群13B内の水を加熱して蒸気とし、水管群13Bを通過した後に燃焼ガス排出路17の排出口17Aに向かって移動する。加熱により生じた蒸気は上部管寄せ13Cを経由して蒸気消費説備に供給される。
3)水管群13Bを通過した燃焼ガスG1は、次いでNOx還元触媒C1を通過し、燃焼ガスG1に含まれるNOxがNOx還元触媒C1に吸着されて燃焼ガスG1中のNOxが削減される。NOx還元触媒C1に吸着されたNOxは還元されてNとなる。
また、NOx還元触媒C1は、触媒還元条件を満足する燃焼ガスG1に接触することにより、NOx還元触媒C1を構成する触媒活性化材料が還元されて、活性点の劣化が抑制されるので、浄化性能が維持される。
4)NOx還元触媒C1を通過した燃焼ガスG1は、次いでCO酸化触媒C2を通過して燃焼ガスG1に含まれたCOが酸化され削減される。
また、CO酸化触媒C2は、触媒還元条件を満足する燃焼ガスG1に接触することにより、CO酸化触媒C1を構成する触媒活性化材料が還元されて、活性点の劣化が抑制されるので、浄化性能が維持される。
【0037】
上記実施の形態に係るボイラ10、浄化装置18によれば、空気比等を調整することにより還元性雰囲気とした燃焼ガスG1が、触媒還元条件にて浄化部18に配置されたNOx還元触媒C1、CO酸化触媒C2を通過するので容易かつ効率的に金属触媒が還元、再生される。
【0038】
その結果、NOx還元触媒C1、CO酸化触媒C2の浄化性能が長期間にわたって維持されて、効率的な浄化を維持することができる。
また、金属触媒の寿命が長くなることによりNOx還元触媒C1、CO酸化触媒C2の交換、再生、交換にともなうボイラ10の稼働率低下を抑制してランニングコストを削減することができる。
また、触媒還元タイミング制御部15が、予め定められた起動時(所定のタイミング)に、燃焼室11内の領域Kを触媒還元条件を満足するのでNOx還元触媒C1及びCO酸化触媒C2の再生と効率的な運転とを両立させることができる。
【0039】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変更をすることが可能である。
例えば、上記実施の形態においては、浄化部がNOx還元触媒C1及びCO酸化触媒C2を有する浄化装置18により構成される場合について説明したが、浄化装置18としての形態ではなく、例えば、単にバーナ14と排出口17Aまでのガス流路Rのいずれかの領域に、NOx還元触媒C1、CO酸化触媒C2のいずれか一方又は双方を配置する構成としてもよい。
また、NOx、CO以外のガスを浄化する金属触媒に対して適用してもよい。
【0040】
また、上記実施の形態においては、起動時にNOx還元触媒C1、CO酸化触媒C2のすべての部位が触媒還元条件を満足する領域に配置される場合について説明したが、NOx還元触媒C1、CO酸化触媒C2の一方又は双方の少なくとも一部の部位が触媒還元条件を満足していればよい。
【0041】
また、上記実施の形態においては、ボイラ10が触媒還元タイミング制御部15を備え、起動時(予め設定された期間)に領域Kを触媒還元条件とする場合について説明したが、触媒還元タイミング制御部15を備えない構成としてもよく、起動時以外に触媒還元条件を満足するようにしてもよい。
また、触媒還元タイミング制御部15による触媒還元条件の形成は、自動による予め設定されたタイミング又は手動によって行なってもよい。また、ボイラを運転する場合の全燃焼時間にわたって触媒還元運転をすることを妨げない。
【0042】
触媒還元タイミング制御部15は、触媒還元条件を積極的に形成するためのものであり、触媒還元タイミング制御部15が制御信号を出力していない場合に一部に触媒還元条件が形成される領域ができることを妨げない。
【0043】
例えば、燃焼装置が、燃焼量を変化させる場合など(燃焼量増加、燃焼量低下等を含む)の非定常燃焼等により、触媒還元条件を一時的に満足しない場合があってもよいし、燃焼ガスG1の成分の偏在等に起因してNOx還元触媒C1、CO酸化触媒C2の一方又は双方の一部が還元性雰囲気と接触していなくてもよい。
【0044】
また、触媒を還元する場合に、触媒還元条件を満足する領域が常に一定することは要せず、触媒還元条件を満足する部位が運転条件や時間によって範囲が変更(拡大、縮小)し、又は位置が変更されてもよいことは当然である。
【0045】
また、例えば、触媒活性化材料の種類、形態(粒の大きさ、粒の形状)に合わせて、触媒還元条件(還元性雰囲気の成分、温度等)を調整、設定することができる。
【0046】
また、上記実施の形態においては、浄化装置18を貫流型の蒸気ボイラに適用する場合について説明したが、蒸気ボイラのみならず温水ボイラに対しても適用可能であり、また、貫流型ボイラの他、水管が環状に配列された多管式のボイラ、炉筒煙管ボイラ、バーナにより加熱管を直接加熱する給湯器等、種々の構造のボイラに適用することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0047】
燃焼ガスの浄化に用いる金属触媒の劣化が抑制され、金属触媒の浄化性能が維持、寿命延長されるので産業上利用できる。
【符号の説明】
【0048】
G1 燃焼ガス
R ガス流路(通気路)
C1 NOx還元触媒(金属触媒)
C2 CO酸化触媒(金属触媒)
10 ボイラ(燃焼装置)
11 燃焼室
12a 送風ファン(燃焼ガス雰囲気調整手段)
12b ノズル(燃焼ガス雰囲気調整手段)
12c 送風量制御部(燃焼ガス雰囲気調整手段)
12d 生ガス量制御部(燃焼ガス雰囲気調整手段)
14 バーナ
15 触媒還元タイミング制御部
18 浄化装置(浄化部)



【特許請求の範囲】
【請求項1】
バーナで発生した燃焼ガスが通過するガス流路が形成されるとともに前記ガス流路を通過する前記燃焼ガスと熱交換して熱媒体を加熱する燃焼室を少なくとも1つ備えた燃焼装置であって、
前記燃焼ガスを還元性雰囲気に調整する燃焼ガス雰囲気調整手段と、
金属触媒により前記燃焼ガスを浄化する浄化部と、を備え、
前記金属触媒の少なくとも一部は、
前記金属触媒の還元温度以上かつ凝集温度以下の温度範囲において前記還元性雰囲気とされる触媒還元条件を満足する領域に配置されていることを特徴とする燃焼装置。
【請求項2】
請求項1に記載の燃焼装置であって、
触媒還元タイミング制御部を備え、
少なくとも触媒還元タイミング制御部により設定されている間、前記触媒還元条件を前記領域に形成することを特徴とする燃焼装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の燃焼装置であって、前記金属触媒がIr(イリジウム)を担体に担持させた構成とされていることを特徴とする燃焼装置。
【請求項4】
バーナで発生した燃焼ガスが通過するガス流路が形成されるとともにガス流路を通過する前記燃焼ガスと熱交換して熱媒体を加熱する燃焼室を少なくとも1つ備えた燃焼装置における金属触媒による燃焼ガスの浄化方法であって、
前記燃焼ガスを還元性雰囲気に調整し、
この還元性雰囲気とした燃焼ガスを、前記金属触媒の還元温度以上かつ凝集温度以下の温度範囲で前記金属触媒に通過させることを特徴とする燃焼ガスの浄化方法。
【請求項5】
請求項4に記載の燃焼ガスの浄化方法であって、
燃焼装置を運転する場合における設定した期間に、
前記燃焼ガスを前記金属触媒に通過させることを特徴とする燃焼ガスの浄化方法。
【請求項6】
請求項4又は請求項5に記載の燃焼ガスの浄化方法であって、
前記金属触媒は、Ir(イリジウム)を担体に担持したものであることを特徴とする燃焼ガスの浄化方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2010−169316(P2010−169316A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−12366(P2009−12366)
【出願日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【出願人】(000175272)三浦工業株式会社 (1,055)
【Fターム(参考)】