説明

燃焼装置

【課題】1缶3水機能を有する燃焼装置において、給湯と風呂の同時使用時における能力分配を適正に行うことを目的とする。
【解決手段】バーナで加熱される給湯回路15が通る熱交換装置16と、給水部17と出湯部18を設け、給湯ポンプ27と、給湯回路15と暖房回路23及び風呂回路25が熱交換する給湯暖房間接熱交換器24及び給湯風呂間接熱交換器26と、暖房回路23と風呂回路25の水を循環する暖房ポンプ28と風呂ポンプ36を有し、給湯風呂同時運転時に風呂ポンプ36の循環量を制御する制御手段37を設けた構成することで、給湯運転中に風呂回路25の運転が開始された場合には、風呂回路25の循環流量を制御することで給湯運転性能を確保する燃焼装置を提供できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1つの燃焼ユニットで給湯と暖房と風呂追い焚きの機能を有する燃焼装置の給湯と風呂の同時運転時の能力制御に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の1つの燃焼ユニットで給湯と暖房と風呂機能を有する小型化可能な熱源装置は、暖房循環回路を燃焼装置内で循環させ燃焼ガスにより直接加熱し、給湯と風呂を水・水熱交換器で間接加熱させることで実現するものがある(例えば特許文献1参照)。図4は、前記文献に記載された従来の燃焼装置を示すものである。図4に示すように、熱源1と、第1の熱交換手段2と、暖房循環回路3と、暖房ポンプ4と、給湯を加熱する第2の熱交換手段5と、浴槽6のお湯を加熱する第3の熱交換手段7と風呂ポンプ8で構成される。この構成により、暖房循環回路を加熱源とする一つの缶体で暖房と給湯と風呂の加熱が可能となる。
【特許文献1】特開2003−130448号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら上記特許文献1の従来の燃焼装置では、暖房循環回路を燃焼装置内で直接加熱し給湯と風呂へ間接熱交換器で加熱する構成であるため、給湯の加熱速度が遅いためカランやシャワー等からすぐにお湯が出ない。また、給湯加熱速度を上げるために保温運転モードを開示しているが、保温運転動作をすることで待機時にもガス及び電気を消費することとなり省エネルギー化が困難となる課題がある。当然ながら、暖房循環回路による加熱動作であるため、給湯循環回路による暖房回路や風呂回路への加熱動作制御は開示されていない。
【0004】
本発明は前記従来の課題を解決するもので、給湯の即時出湯を可能とし、待機時の消費エネルギーを低減すると共に、給湯動作中に風呂運転を開始したときにも給湯出湯性能を確保する小型の燃焼装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記従来の課題を解決するために、本発明の燃焼装置は、バーナと、バーナで加熱される給湯回路が通る熱交換装置と、給湯回路に給水部と出湯部を設け、給湯回路の水を循環する給湯ポンプと、給湯回路と暖房回路及び風呂回路が熱交換する給湯暖房間接熱交換器及び給湯風呂間接熱交換器と、暖房回路と風呂回路の水を循環する暖房ポンプと風呂ポンプを有し、給湯と風呂の同時運転時に風呂ポンプの循環量を制御することで能力の分配を調節する制御手段を設けたものである。
【0006】
これによって、給湯回路の熱交換装置で加熱された熱は、給湯水としてカランやシャワー等から出湯すると共に、給湯暖房間接熱交換器で暖房回路の暖房を行い、給湯風呂間接熱交換器で風呂回路の風呂追い焚きをする、小型で待機時消費エネルギーを少なくできる1缶3機能燃焼装置を実現できる。
【発明の効果】
【0007】
本発明の燃焼装置は、給湯回路を加熱し他の循環回路と熱交換して加熱するため、バーナ最大能力の熱量を暖房回路や風呂回路に供給することが可能となるとともに、暖房及び風呂回路の各循環量を制御することで各循環回路へ任意に熱量の配分が可能となる。給湯回路を給湯管として加熱しているためカランやシャワーを使用したときには瞬時に最大能力まで出湯でき、待機時消費エネルギーは非常に少なくできる。また、給湯運転中に風呂回路の運転が開始された場合にも、給湯運転性能を確保することが出来る。すなわち1つの燃焼ユニットで給湯と暖房と風呂追い焚き等の3つの機能をもたらすコンパクトで待機時消費エネルギーを少なくできる1缶3機能の燃焼装置を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
第1の発明は、バーナで加熱される給湯回路が通る熱交換装置と、給湯回路に給水部と出湯部を設け、給湯回路の水を循環する給湯ポンプと、給湯回路と暖房回路及び風呂回路が熱交換する給湯暖房間接熱交換器及び給湯風呂間接熱交換器と、暖房回路と風呂回路の水を循環する暖房ポンプと風呂ポンプを有し、給湯と風呂の同時運転時に風呂ポンプの循環量を制御することで能力の分配を調節する制御手段を設けたことを特徴とするものであり、給湯運転中に風呂回路の運転が開始された場合には、風呂回路の循環流量を制御することで給湯運転性能を確保することが出来る。すなわち1つの燃焼ユニットで給湯と暖房と風呂追い焚き等の3つの機能をもたらすコンパクトで待機時消費エネルギーを少なくできる1缶3機能の燃焼装置を実現できる。
【0009】
第2の発明は、特に、第1の発明の燃焼装置の風呂ポンプがDCポンプで構成され、給湯風呂間接熱交換器の戻り温度を検出する温度検出手段を設け、温度検出手段の温度を基に制御手段により風呂DCポンプの回転数を制御することで、給湯と風呂の能力を適切に分配し、給湯運転性能を細かく制御することが出来る。
【0010】
第3の発明は、特に、第1の発明の燃焼装置の給湯ポンプ及び風呂ポンプが風呂DCポンプで構成され、給湯風呂間接熱交換器の戻り温度を検出する温度検出手段を設け、温度検出手段の温度を基に、制御手段により給湯ポンプと風呂DCポンプの回転数を制御することで、さらに正確に給湯運転性能を制御することが出来る。
【0011】
第4の発明は、特に、第1の発明において、給湯と風呂の同時運転時に給湯能力増大の要求があったとき、予め定められた能力範囲内で燃焼量を増大するとともに、風呂DCポンプの回転数を制限する方向に制御することで給湯優先となる能力分配に調節することを特徴とするものであり、大きな給湯能力が要求された場合には風呂DCポンプの回転数を制限する方向に制御することで、風呂側に供給する能力を一時的に抑制し、使用可能な能力の大部分を給湯側に供給することで、給湯性能を優先した運転が可能となり、同時運転時の使い勝手の向上が図れる。
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。従来例および各実施の形態において、同じ構成、同じ動作をする部分については同一符号を付与し、詳細な説明を省略する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0013】
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1の燃焼装置の全体構成図であり、図2は給湯運転中に風呂運転の要求が生じた際の風呂ポンプと給湯ポンプの回転数と燃焼量を表すグラフであり、図3は給湯運転中に風呂運転の要求が生じた際の風呂ポンプの回転数と燃焼量を表すグラフである。
【0014】
図1と図2において、燃焼装置10は、燃焼空気を送る燃焼ファン11と、バーナ12と、バーナ12へ供給するガスの流量を比例制御するガス比例弁13と、バーナ12の燃焼本数を切り換えるガス電磁弁14と、バーナ12の上部で加熱される給湯回路15が通る熱交換装置16と、給湯回路15が給水部17と出湯部18を有し、熱交換装置16が主に顕熱分を吸熱する主熱交換部19と主に潜熱分を吸熱する副熱交換部20で形成され、主熱交換部19を形成する複数の主フィン21を給湯回路15が貫通し、複数の副フィン22と、給湯回路15の熱を暖房回路23へ伝熱する給湯暖房間接熱交換器24と、給湯回路15の熱を風呂回路25へ伝熱する給湯風呂間接熱交換器26と、給湯回路15の水を循環させる小型の耐圧循環ポンプ27と暖房回路23の水を循環させる暖房ポンプである暖房DCポンプ28と、暖房回路23の給湯暖房間接熱交換器24の戻り温度を検出する温度検出手段である温度サーミスタ29と、給湯風呂間接熱交換器26の戻り温度を検出する温度サーミスタ30と、入水温度を検出する温度サーミスタ31と、出湯温度を検出する温度サーミスタ32と、熱交換装置16を迂回するバイパス管33の流量を制御する混合弁34と、出湯量を制御する水量制御弁35と、風呂回路25の湯水を循環させる風呂ポンプである風呂DCポンプ36と、温度サーミスタ29の温度を基に耐圧循環ポンプ27と暖房DCポンプ28の回転数を制御する制御装置37と、水量センサー38と、給湯、暖房、風呂運転や設定温度を指示するリモコン39が設けられている。さらに、副熱交換部20で潜熱を回収することで強酸性の結露水が発生するが、結露水は中和装置40に設けた炭酸カルシウム等で中和されドレン水として機器外部へ排出される。
【0015】
この時、通常の給湯暖房機の暖房燃焼入力は15000kcal/h、給湯燃焼入力は45000kcal/hであり、それぞれ独立している。この燃焼装置は、全燃焼入力が60000kcal/h程度あり、燃焼入力をガス電磁弁14やガス比例弁13等で任意に可変することで1000kcal/hから60000kcal/hの燃焼能力を給湯や暖房や風呂へ出力することができるものである。
【0016】
以上のように構成された燃焼装置について、以下その動作・作用を説明する。
【0017】
給湯運転が行われているときには、リモコン39の設定温度に基づき制御装置37からの信号でガス電磁弁14が開となりガス比例弁13でガス流量と燃焼ファン11の回転数を制御する。制御装置37の信号は温度サーミスタ31で検出される入水温度と水量センサー38の信号を基に計算される。給水部17から燃焼装置10へ水が流入し給湯回路15を通り副熱交換部22で燃焼熱の主に潜熱分を吸熱した後、主熱交換部19で主に顕熱分を吸熱し出湯部18から出湯する。この給湯運転中に風呂追い焚き運転の要求である運転開始信号がリモコン39から入力された時には、各温度サーミスタ30、31、32の温度を基に予め定められた、ガス流量と燃焼ファン11の回転数をアップさせ燃焼量を増加させると同時に、耐圧循環ポンプ27と風呂DCポンプ36の回転数を制御装置で計算し定常状態に達するまで回転数を増加する出力信号を出す。この制御動作により、給湯運転中の出湯性能である湯量と湯温を一定に制御し給湯使用者に湯温変動等の違和感を与えることなく風呂運転を開始することが出来る。
【0018】
また、給湯と風呂が同時に運転されているときに、給湯の出湯量が多くなった時や、給湯の設定温度をリモコン39で高くしたときには、要求される給湯性能を確保するために予め設定されたガス燃焼量アップと風呂DCポンプ36の回転数を制限するよう制御装置37で制御する信号を出力することで、ただちに出湯温度と要求湯量を供給できるものである。
【0019】
すなわち、給湯回路15を循環回路として加熱し、給湯使用時には瞬時に最大能力まで出湯でき、待機時には従来機種と同様に制御装置37等に微小な電力を供給するだけでよく消費エネルギーを非常に少なくできる。また、給湯運転中に風呂回路25の運転が開始された場合にも、給湯運転性能を確保することが出来る。1つの燃焼ユニットで給湯と暖房と風呂追い焚き等の3つの機能をもたらすコンパクトな1缶3機能の燃焼装置を実現できる。
【0020】
ここで、風呂ポンプに風呂DCポンプ36を使用した例について説明したが、風呂ポンプがAC駆動ポンプで構成されたとしても、回転数をタップ切り替え等で幾つかの段階で切り換えることが出来る構成をとることで同様の効果を発揮できる。また、熱交換装置16に副熱交換器20として潜熱回収熱交換器を搭載して例について説明したが、潜熱回収熱交換器がない熱源機においても同様の効果を発揮できる。
【0021】
さらに、図3へ示すように給湯運転中に風呂運転の要求が生じた際に風呂DCポンプ36のみ回転数を制御し、燃焼量を制御することでも、給湯性能をある程度正確に制御することができる。
【産業上の利用可能性】
【0022】
以上のように、本発明にかかる燃焼装置は給湯、暖房、風呂加熱を行うコンパクトな1缶3機能の熱源を実現することが可能となるので、一般住宅における給湯暖房機はもちろん、マンションやアパート等の集合住宅の設置場所が狭いところでも導入できる。また、熱源のガスはもちろん灯油等を熱源とした石油ボイラーにも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施の形態1における燃焼装置の全体構成図
【図2】同実施例における暖房ポンプと給湯ポンプの回転数と燃焼量を表すグラフ
【図3】同実施例における暖房ポンプ回転数と燃焼量を表すグラフ
【図4】従来の燃焼装置の全体構成図
【符号の説明】
【0024】
10 燃焼装置
12 バーナ
13 給湯回路
16 熱交換装置
17 給水部
18 出湯部
23 暖房回路
24 給湯暖房間接熱交換器
25 風呂回路
26 給湯風呂間接熱交換器
27 給湯ポンプ
28 暖房ポンプ
30 温度検出手段
36 風呂ポンプ
37 制御手段
41 開閉装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
給湯暖房風呂機能を有する1缶3機能燃焼装置において、バーナと、前記バーナで加熱される給湯回路が通る熱交換装置と、前記給湯回路に給水部と出湯部を設け、前記給湯回路の水を循環する給湯ポンプと、前記給湯回路と暖房回路及び風呂回路が熱交換する給湯暖房間接熱交換器及び給湯風呂間接熱交換器と、前記暖房回路と前記風呂回路の水を循環する暖房ポンプと風呂ポンプを有し、給湯と風呂の同時運転時に前記風呂ポンプの循環量を制御することで能力の分配を調節する制御手段を設けた燃焼装置。
【請求項2】
風呂ポンプが風呂DCポンプで構成され、給湯風呂間接熱交換器の戻り温度を検出する温度検出手段の温度を基に、制御手段により前記風呂DCポンプの回転数を制御することで能力の分配を調節する請求項1記載の燃焼装置。
【請求項3】
給湯ポンプとDCポンプで構成された風呂ポンプを備え、給湯風呂間接熱交換器の戻り温度を検出する温度検出手段の温度を基に、制御手段により前記給湯ポンプおよび前記風呂DCポンプの回転数を制御することで能力の分配を調節する請求項1記載の燃焼装置。
【請求項4】
給湯と風呂の同時運転時に給湯能力増大の要求があったとき、予め定められた能力範囲内で燃焼量を増大するとともに、風呂DCポンプの回転数を制限する方向に制御することで給湯優先となる能力分配に調節する請求項1記載の燃焼装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−308215(P2006−308215A)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−131952(P2005−131952)
【出願日】平成17年4月28日(2005.4.28)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】