説明

物体検出装置

【課題】対象物の検出処理を高速化することができる物体検出装置を提供する。
【解決手段】検出処理部4は、撮像装置10で撮影された画像信号の各フレームの画像を、複数のサイズの探索窓を用いて走査することにより、各フレームの画像に含まれている対象物を検出する。探索窓生成部5は、探索窓のサイズを設定し、検出処理部4が対象物を検出した際の対象物の位置情報に対応させて、対象物を検出した際に用いた探索窓のサイズを保持部6に保持させる。検出処理部4は、保持部6に保持された位置情報が示す位置を走査する際には、複数のサイズの全てを用いることなく、位置情報に対応して保持されたサイズを基準とした限定したサイズを用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置で撮影した画像信号に含まれる人物等の対象物を検出する物体検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、撮像装置で撮影した画像信号に含まれる人物や車両等の対象物を、対象物の輪郭等の特徴に基づいて検出する物体検出装置が提案されている。この種の物体検出装置においては、撮影画像上で探索窓を順次移動させて撮影画像を走査することにより対象物を検出するのが一般的である。特許文献1には、探索窓(ウィンドウ)を用いて対象物である障害物を計測することが記載されている。非特許文献1には、勾配方向ヒストグラム(HOG)と称される特徴量に基づいて対象物を検出する物体検出技術が記載されている。
【0003】
対象物を検出するための探索窓は検出する対象物の大きさに合わせた大きさとすることが必要である。撮像装置が、撮像装置を水平方向に回動させて撮影領域を水平方向に移動させるパン、撮像装置の垂直方向の角度を変化させて撮影領域を垂直方向に移動させるチルト、被写体を拡大・縮小するズームが可能な場合には、検出しようとする対象物の大きさは種々変化することとなる。従って、パン,チルト,ズームを行う撮像装置で撮影した画像信号に含まれる対象物を検出するには、小さな探索窓から大きな検索窓まで種々の大きさの探索窓を用いて撮影画像を順次走査することが必要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−309637号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】藤吉弘亘、「一般物体認識のための局所特徴量(SIFTとHOG) Gradient-Based Local Features for Generic Object Recognition」、PCSJ/IMPS2008 ナイトセッション
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のように、パン,チルト,ズームを行う撮像装置で撮影した画像信号に含まれる対象物を検出するには、種々の大きさの探索窓を用いて撮影画像を走査しなければならないので、対象物を検出するまでにかなりの時間を要してしまう。そこで、対象物を検出するまでの時間を短縮することが求められている。
【0007】
本発明はこのような要望に対応するため、対象物の検出処理を高速化することができる物体検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上述した従来の技術の課題を解決するため、撮像装置(10)で撮影された画像信号の各フレームの画像を、前記画像との相対的なサイズが異なる複数のサイズの探索窓を用いて走査することにより、前記各フレームの画像に含まれている対象物を検出する検出処理部(4)と、前記検出処理部が前記画像を走査する際に用いる探索窓の前記画像との相対的なサイズを設定し、前記検出処理部が対象物を検出した際の前記対象物の位置情報に対応させて、前記対象物を検出した際に用いた探索窓のサイズを保持部に保持させる探索窓生成部(5)とを備え、前記検出処理部は、前記保持部に保持された位置情報が示す位置を走査する際には、対象物を検出する際に用いる探索窓のサイズとして、前記複数のサイズの全てを用いることなく、前記位置情報に対応して保持されたサイズを基準とした限定したサイズを用いることを特徴とする物体検出装置(20)を提供する。
【0009】
上記の構成において、前記探索窓生成部は、前記位置情報として、前記画像を複数のブロックに分割した場合の前記対象物が位置するブロックの位置を示すブロック座標を前記保持部に保持させることが好ましい。
【0010】
上記の構成において、前記検出処理部は、前記撮像装置におけるパン,チルト,ズームの少なくとも1つが操作されている最中には、前記探索窓のサイズとして前記複数のサイズの全てを用いて前記各フレームの画像を走査することが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の物体検出装置によれば、対象物の検出処理を高速化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の物体検出装置の一実施形態を示すブロック図である。
【図2】一実施形態で用いる探索窓サイズを示す図である。
【図3】探索窓を用いた画像の走査を説明するための図である。
【図4】探索窓の移動及びサイズ拡大を説明するための図である。
【図5】一実施形態で用いるブロック座標を説明するための図である。
【図6】対象物が複数のフレームに渡って移動していく状態を示す図である。
【図7】一実施形態の動作を説明するための図である。
【図8】フレームF1の画像を示す図である。
【図9】フレームF2の画像を示す図である。
【図10】フレームF3の画像を示す図である。
【図11】部分探索窓サイズ走査と全探索窓サイズ走査とを説明するための図である。
【図12】フレームF4の画像を示す図である。
【図13】フレームF5の画像を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の物体検出装置の一実施形態について、添付図面を参照して説明する。図1において、撮像装置10は、操作部1,駆動部2,撮像部3を備える。物体検出装置20は、検出処理部4,探索窓生成部5,保持部6を備える。撮像装置10と物体検出装置20とを筐体内に一体的に設けた構成であってもよく、撮像装置10と物体検出装置20とを別体とし、両者を接続するような構成であってもよい。
【0014】
操作部1は、撮像装置10におけるパン,チルト,ズームの少なくとも1つを操作するためのボタン,レバー,キー等の操作機構を有している。操作機構としては、ジョイスティック,キーボード等任意である。パン,チルト,ズームの少なくとも1つを操作するため数値を入力するものであってもよい。操作部1を撮像装置10の外部に設けてもよい。操作部1は、パン,チルト,ズームそれぞれの操作信号Sopを駆動部2に供給する。
【0015】
駆動部2は、操作部1によってパンの操作がなされた場合には、撮像装置10を水平方向に回動させて撮影領域を水平方向に移動させる。駆動部2は、操作部1によってチルトの操作がなされた場合には、撮像装置10の垂直方向の角度を変化させて撮影領域を垂直方向に移動させる。駆動部2は、操作部1によってズームの操作がなされた場合には、撮像部3が有している複数のレンズの間隔を調整することによって被写体を拡大または縮小させる。駆動部2は、図示していないモータを用いてパン,チルト,ズームの駆動を行えばよい。
【0016】
操作部1によってパン,チルト,ズームの少なくとも1つが操作されると、撮像部3が撮影している撮影領域が変化することになる。駆動部2は、操作部1によってパン,チルト,ズームの少なくとも1つが操作された場合には、撮影領域が変化していることを示す変化信号Schを後述する探索窓生成部5に供給する。変化信号Schは、パン,チルト,ズームの操作が開始した時点で例えばハイの信号が発生し、操作が終了した時点でハイからローになる信号でよい。
【0017】
撮像部3は、撮影している被写体の画像信号Simを検出処理部4に供給する。探索窓生成部5は後に詳述する探索窓を表す探索窓信号Sswを生成して、検出処理部4に入力する。検出処理部4は、入力された探索窓信号Sswが示す探索窓を用いて画像信号Simの各フレームの画像を走査する。探索窓生成部5は、図2に示すような探索窓サイズを示すテーブルを有している。検出処理部4には、探索窓生成部5から図2のいずれかの探索窓サイズの探索窓を表す探索窓信号Sswが入力される。検出処理部4は入力された探索窓サイズの探索窓を用いて画像を走査する。
【0018】
図3及び図4を用いて、検出処理部4における探索窓を用いた画像の走査の基本的な動作について説明する。図3は、画像信号Simにおける所定のフレームFの画像内に探索の対象となっている対象物OBが存在している例である。まず、最も小さい探索窓である図2の探索窓サイズが1の探索窓Sw1を用いて、例えば左上の角を原点(0,0)として左から右へと画像を走査していく。このとき、図4(A)に示すように、数画素(例えば5画素)ずつ探索窓Sw1を順次移動させていく。探索窓Sw1が右端部に到達したら、図4(B)に示すように、探索窓Sw1を下方向に数画素ずらして、図4(A)と同様に探索窓Sw1を右方向に順次移動させていく。
【0019】
探索窓Sw1でフレームFの画像全てを走査したら、図4(C)に示すように、探索窓Sw1の次の大きさである探索窓サイズが2の探索窓Sw2を用いて、図4(A),(B)と同様に左から右、上から下へと画像を走査していく。同様に、探索窓の大きさを順次大きくして画像を走査していく。なお、図4(A)〜(C)では、理解を容易にするため、探索窓Sw1,Sw2をフレームFの上端部や左端部から離れた位置に示しているが、上記のように、探索窓Sw1,Sw2及びこれ以降の大きさの探索窓を原点(0,0)から順次移動させていく。なお、ここでは、左上の角を原点としたが、左下を原点として上方向に走査してもよい。
【0020】
以上のようにして探索窓を順次大きくしてフレームFの画像を走査していくと、図3に示すように、所定の大きさの探索窓Swiによって対象物OBが検出される。検出処理部4は、対象物OBが探索窓Swiの中心に位置する状態で、探索窓原点Porgの座標を検出する。検出処理部4が対象物OBを検出する方法は、非特許文献1に記載の方法等、任意の方法を用いればよい。検出処理部4は、探索窓原点Porgの座標が、フレームFを複数のブロックに分割した場合のどのブロックに含まれるかを示すブロック座標を示すブロック座標信号Sbkを生成する。
【0021】
図5を用いてブロック座標について説明する。フレームFは例えば水平720画素、垂直480画素の画像である。この画像を一例として水平80画素、垂直60画素のブロックBKに分割する。垂直方向の1〜8のブロック番号、水平方向に1〜9のブロック番号を付し、各ブロックBKは垂直方向のブロック番号と水平方向のブロック番号とのブロック座標で表すことができる。図5の例では、探索窓原点Porgの座標はブロック座標(3,2)のブロックBKに含まれている。図5の場合、検出処理部4は、ブロック座標(3,2)を示すブロック座標信号Sbkを生成する。
【0022】
検出処理部4は、以上のようにして対象物OBを検出したら、対象物OBを検出したことを示す検出フラグFdetとブロック座標信号Sbkを探索窓生成部5に供給する。探索窓生成部5は、ブロック座標信号Sbkと、検出フラグFdetが発生したときに用いた探索窓サイズを示す探索窓サイズ信号Sszを保持部6に供給する。保持部6は所定のメモリで構成され、ブロック座標信号Sbkと探索窓サイズ信号Sszとを組にして保持する。保持部6としてSRAMを用いた場合には、ブロック座標信号Sbkが示すブロック座標をアドレスとし、探索窓サイズ信号Sszをデータとして書き込むようにしてもよい。このようにして、保持部6には、どのブロックBKの位置で、どの大きさの探索窓の対象物OBが検出されたかの情報が蓄積されることになる。
【0023】
探索窓原点Porgの座標をブロック座標に変換することにより、探索窓原点Porgの座標を示す信号を保持する場合と比較して、保持部6のメモリ容量を大幅に減らすことができる。従って、探索窓原点Porgの座標をそのまま用いるより、ブロック座標に変換することが好ましい。
【0024】
図3及び図4では、探索窓を用いた画像の走査の基本的な動作として、探索窓の大きさを順次大きくして画像を走査していくと説明したが、本実施形態では、フレームFの画像を走査する際に、部分的な画像領域に対して、図2に示すテーブルの探索窓サイズの探索窓を一部使用しない場合がある。但し、探索窓生成部5に入力される変化信号Schがハイの場合には、フレームFの画像の全領域に対して、図2に示すテーブルで設定されている全ての探索窓サイズの探索窓を用いて画像を走査することが好ましい。全ての探索窓サイズの探索窓を用いた走査を全探索窓サイズ走査、一部の探索窓サイズの探索窓を使用しない走査を部分探索窓サイズ走査と称することとする。
【0025】
図6は、対象物OBが複数のフレームに渡って矢印方向に順次移動して、後述する各フレームで対象物OB2,OB3,OB4,OB5として存在している状態を示している。図6は、複数のフレームに渡って、対象物OBが右方向へと移動しつつ、撮像装置10へと近付いてきたような状態である。
【0026】
図7〜図12を用いて、図6に示すような各フレームの画像を、探索窓を用いて走査して対象物OBを検出する場合の動作について説明する。図7(A)は探索窓生成部5に入力される変化信号Schを示している。図7(A)に示すように、変化信号Schは、時刻t00でハイになって時刻t01でローになり、時刻tmでハイになっている。即ち、時刻t00〜t01の期間及び時刻tm以降で、パン,チルト,ズームの少なくとも1つが操作されている。図7(B)に示すように、検出処理部4は、時刻t00〜t01の期間内の時刻t0で画像信号SimのフレームF0を取り込む。フレームF0は変化信号Schがハイの期間のフレームであるので、全探索窓サイズ走査が行われる。
【0027】
検出処理部4は、フレームF0の走査が完了すると、時刻t1でフレームF1を取り込む。フレームF1の画像は図8に示すように対象物OBを有していない。検出処理部4は、全探索窓サイズ走査によってフレームF1の画像を走査する。検出処理部4は、フレームF1の走査が完了すると、時刻t2でフレームF2を取り込む。フレームF2の画像は図9に示すように対象物OB2を有する。検出処理部4は、全探索窓サイズ走査によってフレームF2の画像を走査する。全探索窓サイズ走査の結果、検出処理部4は、探索窓原点Porgの座標がブロック座標(3,2)のブロックBKに含まれ、探索窓サイズが7である探索窓Sw7によって対象物OB2を検出する。
【0028】
検出処理部4は、フレームF2に対して検出した検出フラグFdetとブロック座標(3,2)を示すブロック座標信号Sbkを探索窓生成部5に供給する。フレームF2に対して検出したブロック座標信号Sbkをブロック座標信号Sbk2と称することとする。探索窓生成部5は、フレームF2で用いた探索窓サイズを示す探索窓サイズ信号Sszを生成する。フレームF2に対して生成した探索窓サイズ信号Sszを探索窓サイズ信号Ssz2と称することとする。探索窓サイズ信号Ssz2は、探索窓サイズが7であることを示している。探索窓生成部5は、ブロック座標信号Sbk2と探索窓サイズ信号Ssz2とを保持部6に供給する。
【0029】
図7(C)は、探索窓生成部5が保持部6に供給するブロック座標信号Sbkと探索窓サイズ信号Sszとの組を示している。図7(D)は、それぞれのブロック座標信号Sbkと探索窓サイズ信号Sszとの組が保持部6に書き込まれるタイミングと読み出されるタイミングとを示している。探索窓生成部5が探索窓サイズ信号Sszを生成した時点でブロック座標信号Sbkと探索窓サイズ信号Sszとを保持部6に供給して、保持部6がそれらを書き込むようにしてもよいし、各フレームの走査が完了した時点で書き込むようにしてもよい。本実施形態では、各フレームの走査が完了した時点でブロック座標信号Sbkと探索窓サイズ信号Sszとを保持部6に書き込むようにしている。
【0030】
図7(D)に示すように、フレームF2に対して生成したブロック座標信号Sbk2と探索窓サイズ信号Ssz2は、次のフレームF3が取り込まれる時刻t3の直前のフレームF2の走査が完了した時刻t2eに保持部6に書き込まれる。
【0031】
検出処理部4は、フレームF2の走査が完了すると、時刻t3でフレームF3を取り込む。これに合わせて、保持部6に保持されているブロック座標信号Sbk2と探索窓サイズ信号Ssz2とが読み出されて探索窓生成部5に供給される。図7(D)では時刻t3でブロック座標信号Sbk2と探索窓サイズ信号Ssz2とを読み出すように図示しているが、フレームF3に取り込みタイミングと読み出しタイミングとを完全に一致させる必要はない。検出処理部4がフレームF3の走査を開始する時点で、ブロック座標信号Sbk2と探索窓サイズ信号Ssz2とが探索窓生成部5に入力されていればよい。
【0032】
フレームF3の画像は図10に示すように対象物OB3を有する。フレームF2の画像を走査する時点で探索窓生成部5には保持部6から読み出したブロック座標信号Sbk2と探索窓サイズ信号Ssz2とが入力されているので、検出処理部4は、ブロック座標(3,2)のブロックBKを走査する際には部分探索窓サイズ走査とし、他のブロックBKを走査する際には全探索窓サイズ走査によってフレームF3の画像を走査する。
【0033】
図11(A),(B)を用いて、フレームF3の画像を走査する際に行われる部分探索窓サイズ走査と全探索窓サイズ走査とについて説明する。フレームF2ではブロック座標(3,2)に対して探索窓サイズが7の対象物OB2が検出されている。対象物OBが人物である場合を例とし、仮に子供の身長を大人の約1/2とする。対象物OB2が大人であったとすると、子供の場合には図2に示す検出窓サイズが3を最小の大きさと想定できる。対象物OB2が子供であったとすると、大人の場合には図2に示す検出窓サイズが11を最大の大きさと想定できる。即ち、フレームF2のブロック座標(3,2)のブロックBKで一旦探索窓サイズが7の対象物OB2が検出されたのであるから、ブロック座標(3,2)のブロックBKで検出窓サイズが1,2または12以上の大きさの対象物OBが検出される可能性はほとんどない。
【0034】
そこで、検出処理部4は、フレームF3の画像を走査する際に、図11(A)に示すように、検出窓サイズとして1,2または12以上を用いる場合には、ブロック座標(3,2)のブロックBKを走査せずスキップさせる。また、検出処理部4は、図11(B)に示すように、検出窓サイズとして3〜11を用いる場合には、他のブロックBKと同様、ブロック座標(3,2)のブロックBKを走査する。ブロック座標(3,2)のブロックBKにおいては、検出窓サイズを3〜11のみとして走査し、他の検出窓サイズでは走査をスキップさせるので、その分だけ、フレームF3の画像を走査する時間が短縮される。
【0035】
このようにして、フレームF3の画像を走査する際には、走査ブロック座標(3,2)のブロックBKでは部分探索窓サイズ走査が行われ、他のブロックBKでは全探索窓サイズ走査が行われる。部分探索窓サイズ走査及び全探索窓サイズ走査の結果、検出処理部4は、探索窓原点Porgの座標がブロック座標(4,3)のブロックBKに含まれ、探索窓サイズが8である探索窓Sw8によって対象物OB3を検出する。
【0036】
検出処理部4は、フレームF3に対して検出した検出フラグFdetとブロック座標(4,3)を示すブロック座標信号Sbk3を探索窓生成部5に供給し、探索窓生成部5は、ブロック座標信号Sbk3と探索窓サイズが8であることを示す探索窓サイズ信号Ssz3とを保持部6に供給する。図7(D)に示すように、フレームF3に対して生成したブロック座標信号Sbk3と探索窓サイズ信号Ssz3は、次のフレームF4が取り込まれる時刻t4の直前のフレームF3の走査が完了した時刻t3eに保持部6に書き込まれる。保持部6には、既に書き込まれていたブロック座標信号Sbk2と探索窓サイズ信号Ssz2、及び、ブロック座標信号Sbk3と探索窓サイズ信号Ssz3が保持される。
【0037】
同様にして、検出処理部4は、時刻t4でフレームF4を取り込み、探索窓生成部5にはブロック座標信号Sbk2と探索窓サイズ信号Ssz2、及び、ブロック座標信号Sbk3と探索窓サイズ信号Ssz3が供給される。フレームF4の画像は図12に示すように対象物OB4を有する。検出処理部4は、フレームF3の画像を走査する場合と同様に、ブロック座標(3,2)及びブロック座標(4,3)のブロックBKを走査する際には部分探索窓サイズ走査とし、他のブロックBKを走査する際には全探索窓サイズ走査によってフレームF4の画像を走査する。ブロック座標(4,3)のブロックBKを走査する場合には、探索窓サイズ信号Ssz3が示す探索窓サイズは8であるので、検出窓サイズを4〜12のみとすればよい。
【0038】
検出処理部4は、フレームF4の画像の走査の結果、探索窓原点Porgの座標がブロック座標(6,5)のブロックBKに含まれ、探索窓サイズが10である探索窓Sw10によって対象物OB4を検出する。検出処理部4は、フレームF4に対して検出した検出フラグFdetとブロック座標(6,5)を示すブロック座標信号Sbk4を探索窓生成部5に供給し、探索窓生成部5は、ブロック座標信号Sbk4と探索窓サイズが10であることを示す探索窓サイズ信号Ssz4とを保持部6に供給する。
【0039】
図7(D)に示すように、フレームF4に対して生成したブロック座標信号Sbk4と探索窓サイズ信号Ssz4は、次のフレームF5が取り込まれる時刻t5の直前のフレームF4の走査が完了した時刻t4eに保持部6に書き込まれる。保持部6には、ブロック座標信号Sbk2と探索窓サイズ信号Ssz2、ブロック座標信号Sbk3と探索窓サイズ信号Ssz3、ブロック座標信号Sbk4と探索窓サイズ信号Ssz4が保持される。
【0040】
同様にして、検出処理部4は、時刻t5でフレームF5を取り込み、探索窓生成部5には、ブロック座標信号Sbk2と探索窓サイズ信号Ssz2、ブロック座標信号Sbk3と探索窓サイズ信号Ssz3、ブロック座標信号Sbk4と探索窓サイズ信号Ssz4が供給される。フレームF5の画像は図13に示すように対象物OB5を有する。検出処理部4は、ブロック座標(3,2)とブロック座標(4,3)とブロック座標(6,5)の各ブロックBKを走査する際には部分探索窓サイズ走査とし、他のブロックBKを走査する際には全探索窓サイズ走査によってフレームF5の画像を走査する。ブロック座標(6,5)のブロックBKを走査する場合には、探索窓サイズ信号Ssz4が示す探索窓サイズは10であるので、検出窓サイズを6〜14のみとすればよい。
【0041】
検出処理部4は、フレームF5の画像の走査の結果、探索窓原点Porgの座標がブロック座標(8,7)のブロックBKに含まれ、探索窓サイズが12である探索窓Sw12によって対象物OB5を検出する。検出処理部4は、フレームF5に対して検出した検出フラグFdetとブロック座標(8,7)を示すブロック座標信号Sbk5を探索窓生成部5に供給し、探索窓生成部5は、ブロック座標信号Sbk5と探索窓サイズが12であることを示す探索窓サイズ信号Ssz5とを保持部6に供給する。
【0042】
図7(D)に示すように、フレームF5に対して生成したブロック座標信号Sbk5と探索窓サイズ信号Ssz5は、次のフレームF6が取り込まれる時刻t6の直前のフレームF5の走査が完了した時刻t5eに保持部6に書き込まれる。保持部6には、ブロック座標信号Sbk2と探索窓サイズ信号Ssz2、ブロック座標信号Sbk3と探索窓サイズ信号Ssz3、ブロック座標信号Sbk4と探索窓サイズ信号Ssz4、ブロック座標信号Sbk5と探索窓サイズ信号Ssz5が保持される。
【0043】
同様にして、検出処理部4は、時刻t6でフレームF6を取り込み、探索窓生成部5には、ブロック座標信号Sbk2と探索窓サイズ信号Ssz2、ブロック座標信号Sbk3と探索窓サイズ信号Ssz3、ブロック座標信号Sbk4と探索窓サイズ信号Ssz4、ブロック座標信号Sbk5と探索窓サイズ信号Ssz5が供給される。フレームF5の画像は図13に示すように対象物OB5を有する。検出処理部4は、ブロック座標(3,2),ブロック座標(4,3),ブロック座標(6,5),ブロック座標(8,7)の各ブロックBKを走査する際には部分探索窓サイズ走査とし、他のブロックBKを走査する際には全探索窓サイズ走査によってフレームF6の画像を走査する。
【0044】
ブロック座標(8,7)のブロックBKを走査する場合には、探索窓サイズ信号Ssz5が示す探索窓サイズは12であるので、検出窓サイズを8から図2では図示を省略している16のみとすればよい。
【0045】
図7において、時刻tn+1まで以上と同様の動作が繰り返される。検出処理部4は、時刻tnにてフレームFnを取り込み、フレームFnの画像を走査する。フレームFnの前のフレームまでで多くの対象物OBが検出されていることから、検出処理部4が時刻tnにてフレームFnを取り込んでから時刻tn+1にてフレームFn+1を取り込むまでの時間は、全探索窓サイズ走査を行っていた期間の隣接する2フレームを取り込む時間と比較して大幅に短くなる。図7(D)では時刻t6の次から時刻tn+1までの保持部6に保持されるデータを示していないが、フレームF6以降で対象物OBがさらに検出されれば、時刻tn+1までブロック座標信号Sbkと探索窓サイズ信号Sszとの組が追加されて保持されることになる。
【0046】
図7(A)に示すように、時刻tmで変化信号Schがハイになる。探索窓生成部5は、変化信号Schがハイになったら、保持部6で保持されているブロック座標信号Sbkと探索窓サイズ信号Sszとの組を全て消去する。検出処理部4は、時刻tm以降、全探索窓サイズ走査を行う。
【0047】
以上の動作により、図7(E)に示すように、撮像装置10におけるパン,チルト,ズームの少なくとも1つが操作されている最中である時刻t00〜t01及びそれに続く時刻t01〜t3では全探索窓サイズ走査、時刻t3〜tmでは対象物OBが検出されたブロックBKでは部分探索窓サイズ走査、対象物OBが検出されなかったブロックBKでは全探索窓サイズ走査となり、再びパン,チルト,ズームの少なくとも1つが操作された時刻tm以降では全探索窓サイズ走査となる。勿論、全てのブロックBKで対象物OBが検出された場合には、変化信号Schがローになっている間は、全てのブロックBKで部分探索窓サイズ走査となる。
【0048】
以上説明したように、本実施形態によれば、一旦対象物OBを検出した場合には、対象物OBを検出した位置情報とその際の探索窓サイズとを保持部6に登録して、次のフレーム以降では、登録された位置では探索窓サイズを限定して走査を行うので、対象物OBの検出時間を短縮することが可能となる。本実施形態では、特許文献1のように対象物OBまでの距離を測定する必要もないので、装置が複雑化することもなく、安価で高速な物体検出が可能となる。
【0049】
本発明は以上説明した本実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。上記の例では、対象物OBを人物とし、子供と大人の身長を考慮して検出窓サイズの範囲をやや広めに設定したが、対象物OBの大きさがある程度固定であれば、検出された検出窓サイズそのものに限定してもよいし、検出された検出窓サイズの前後1サイズずつの3サイズに限定してもよい。検出処理部4が検出する対象物OBは顔、車両等任意である。また、検出処理部4が対象物OBを検出する方法は、非特許文献1に記載されている方法に限定されるものでもない。
【0050】
さらに、探索窓サイズを変更する代わりに、探索窓サイズを固定して、画像のサイズを変更して、相対的な探索窓サイズの大きさを可変するようにしてもよい。この場合には、探索窓サイズの代わりに画像の倍率情報を保持部6に保持すればよい。探索窓自体のサイズを変更してもよいし、探索窓サイズを固定して画像のサイズを変更してもよく、画像と探索窓のサイズとの相対的な大きさを変更して走査すればよい。各フレームの画像をブロックBKに分割する際のブロックBKの画素数も任意であり、ブロックBKに分割せず、画素単位としてもよい。探索窓の水平方向及び垂直方向の移動画素数(移動ステップ数)も任意である。保持部6を物体検出装置20の外部に設けてもよい。
【符号の説明】
【0051】
1 操作部
2 駆動部
3 撮像部
4 検出処理部
5 探索窓生成部
6 保持部
10 撮像装置
20 物体検出装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像装置で撮影された画像信号の各フレームの画像を、前記画像との相対的なサイズが異なる複数のサイズの探索窓を用いて走査することにより、前記各フレームの画像に含まれている対象物を検出する検出処理部と、
前記検出処理部が前記画像を走査する際に用いる探索窓の前記画像との相対的なサイズを設定し、前記検出処理部が対象物を検出した際の前記対象物の位置情報に対応させて、前記対象物を検出した際に用いた探索窓のサイズを保持部に保持させる探索窓生成部と、
を備え、
前記検出処理部は、前記保持部に保持された位置情報が示す位置を走査する際には、対象物を検出する際に用いる探索窓のサイズとして、前記複数のサイズの全てを用いることなく、前記位置情報に対応して保持されたサイズを基準とした限定したサイズを用いる
ことを特徴とする物体検出装置。
【請求項2】
前記探索窓生成部は、前記位置情報として、前記画像を複数のブロックに分割した場合の前記対象物が位置するブロックの位置を示すブロック座標を前記保持部に保持させる
ことを特徴とする請求項1記載の物体検出装置。
【請求項3】
前記検出処理部は、前記撮像装置におけるパン,チルト,ズームの少なくとも1つが操作されている最中には、前記探索窓のサイズとして前記複数のサイズの全てを用いて前記各フレームの画像を走査する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の物体検出装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公開番号】特開2013−3951(P2013−3951A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−136144(P2011−136144)
【出願日】平成23年6月20日(2011.6.20)
【出願人】(308036402)株式会社JVCケンウッド (1,152)
【Fターム(参考)】