説明

物体識別装置および物体選別装置

【課題】透明体と複数種類の不透明体とが混在する被識別物体において、再資源とする種類の物体を簡易に識別する。
【解決手段】透明体201と、複数種類の不透明体202、203とが混在する被識別物体200を対象として、各被識別物体200がそれぞれいずれの種類の物体かを識別する物体識別装置に、各被識別物体200に光を照射する投光部40と、投光部40から照射された光のうち各被識別物体200を透過した光を受光すると共に、各被識別物体200で拡散反射した光を受光する受光部50と、受光部50により受光された光の光量に基づいて、各被識別物体200がそれぞれいずれの種類の物体かを識別する識別部60とを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透明体と不透明体とが混在する被識別物体を種類毎に識別することができる物体識別装置および物体選別装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、各種製品のリサイクルが行われている。特に、ガラスやプラスチック等の廃材に関しては、カレットなどの破砕された一つ一つの被識別物体に対して光を照射し、各被識別物体を透過した透過光に基づいてそれぞれの色や材質を識別することが行われている(例えば、「特許文献1」および「特許文献2」参照)。廃材を再資源として利用するには、この様な物体識別装置や物体選別装置を用いて、人手やコストをかけることなく被識別物体を種類毎に識別若しくは選別することが重要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−28435号公報
【特許文献2】特開2004−351875号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、廃材には、ガラスやプラスチック等の光透過性を有する透明体だけではなく、各種の不透明体が混在する場合がある。各種の不透明体が混在する被識別物体において、特定の種類の不透明体を再資源とするために各種の不透明体の識別を要する場合がある。しかしながら、不透明体は光を透過しないので、上記従来の様に、透過光に基づいて被識別物体の識別を行う方法を適用することはできない。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、透明体と複数種類の不透明体とが混在する被識別物体において、再資源とする種類の物体を簡易に識別することのできる物体識別装置および物体選別装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明の第一態様は、透明体と、複数種類の不透明体とが混在する被識別物体を対象として、各被識別物体がそれぞれいずれの種類の物体かを識別する物体識別装置であって、各被識別物体に光を照射する投光部と、各被識別物体について、前記投光部から照射された光のうち各被識別物体を透過した光を受光すると共に、各被識別物体で拡散反射した光を受光する受光部と、前記受光部により受光された光の光量に基づいて、各被識別物体がそれぞれいずれの種類の物体かを識別する識別部と、を備えたことを特徴とする物体識別装置を提供する。
上記構成によれば、透明体は光を透過するのに対し、不透明体は光を透過しないので、各被識別物体について、受光部が受光した光の光量に基づいて、現在の識別対象となっている被識別物体が透明体であるか不透明体であるかを簡易に識別することができる。また、不透明体については、それぞれの種類毎に表面の光の反射特性が異なることが想定される。また、不透明体の表面色や表面の荒さ等によって拡散反射する光量も異なることが想定される。従って、受光部において受光した光の光量に基づいて、拡散反射光量の違いから、各不透明体の種類を簡易に識別することができる。
但し、被識別物体において複数種類の透明体が混在する場合は、上記従来の方法を適用して、各透明体を透過した光に基づいて、各透明体がいずれの種類の物体であるかを識別することができる。
以上の様にして、透明体と複数種類の不透明体とが混在する被識別物体において、各被識別物体がいずれの種類の物体であるかを簡易に識別することができ、これにより透明体と複数種類の不透明体とが混在する被識別物体において、再資源とする種類の物体を簡易に識別することができる。
但し、透明体と複数種類の不透明体とが混在する被識別物体として、例えば、シリコンの端材等がある。シリコンの端材には例えば太陽電池等の原料として利用可能なシリコンと、透明体の二酸化ケイ素と、不透明体の二酸化ケイ素とが含まれる。シリコンは、鏡面反射特性を有し、黒色を呈する。一方、不透明体の二酸化ケイ素は、複数の泡を内包したものである。当該不透明体の二酸化ケイ素は、内包した泡により拡散反射特性を有し、白色を呈する。
【0006】
本発明の第二態様は、上記第一態様において、前記投光部は、各被識別物体に対して互いに異なる方向からそれぞれ光を同時に照射する第一の投光器および第二の投光器を備え、前記受光部は、各被識別物体について、前記第一の投光器から照射された光のうち各被識別物体を透過した光を受光すると同時に、前記第二の投光器から照射された光のうち各被識別物体で拡散反射した光を受光すること、を特徴とする。
上記構成によれば、投光部は第一の投光器および第二の投光器を備え、各被識別物体に対して、互いに異なる方向からそれぞれ同時に光を照射することができる。すなわち、第一の投光器の光の投光面と、受光部の受光面とを互いに対向するように配置し、この第一の投光器の光の投光面と受光部の受光面とを結ぶ直線を交差するように、被識別物体を通過させ、この被識別物体に対して受光部の受光面の側から光を照射するように第二の投光器を配置することによって、CCDカメラ等により構成される一の構成部品としての受光部により、現在の識別対象である一の被識別物体を透過した光と、被識別物体で拡散反射された光とを同時に受光することができる。従って、各被識別物体について、各被識別物体を透過した光を受光する受光手段と、被識別物体で拡散反射した光を受光する受光手段とを別々に設ける必要がなく、透過光量と、拡散反射光量とを加算したり、各光量について別個評価を行ったりするなどの各被識別物体の種類を識別するために要する演算の手間を省くことができる。
【0007】
本発明の第三態様は、上記第二態様において、前記受光部は、各被識別物体について、前記第一の投光器から照射された光のうち各被識別物体を透過した光を受光すると同時に、前記第二の投光器から照射された光のうち各被識別物体で拡散反射した光を受光する第一の受光器とともに、各被識別物体について、前記第二の投光器から照射された光のうち各被識別物体を透過した光を受光すると同時に、前記第一の投光器から照射された光のうち各被識別物体で拡散反射した光を受光する第二の受光器を備えたこと、を特徴とする。
上記構成によれば、第一の受光器と第二の受光器とにおいてそれぞれ受光した光の光量に基づいて、現在の識別対象とする一の被識別物体がいずれの種類の物体であるかを識別することができる。二つの受光器においてそれぞれ受光した光の光量に基づいて、被識別物体を識別することにより、識別精度を向上することができる。特に、現在の識別対象となっている被識別物体が複数種類の不透明体が付着して、一の不透明体となっているような場合がある。このような場合、第一の投光器から照射された光のうち、被識別物体で拡散反射した光の光量と、第二の投光器から照射された光のうち、被識別物体で拡散反射した光の光量とが大きく異なる場合がある。各種類の物体を識別して、各種類毎に物体を選別するような場合に、異なる種類の不透明体が付着して一つの物体となっているような被識別物体を排除することが可能となり、選別精度を向上することができる。
【0008】
本発明の第四態様は、上記第一態様〜第三態様のいずれか一の態様において、前記複数種類の不透明体の中には、鏡面反射特性を有する不透明体が含まれ、前記鏡面反射特性を有する不透明体の端部で鏡面反射をした光が前記受光部に受光されないように各被識別物体に対する前記投光部による光の照射範囲が制限されていること、を特徴とする。
上記構成によれば、投光部による各被識別物体に対する照射範囲は、現在の識別対象の被識別物体が鏡面反射特性を有する不透明体である場合、当該不透明体の端部で鏡面反射された光が受光部に受光されないように制限されている。従って、不透明体の端部で鏡面反射された光が受光部に受光されて、受光部において受光した光量が増加し、不透明体が透明体であると識別されるのを防止して、各被識別物体がいずれの種類の物体であるかを精度よく識別することができる。
【0009】
本発明の第五態様は、上記第一態様〜第四態様のいずれか一の態様において、前記投光部により各被識別物体に対して光が照射される照射位置は中空に設けられ、各被識別物体を前記照射位置に所定の落下軌道で一つ一つ落下させるための搬送溝を有する搬送部を備えたこと、を特徴とする。
上記構成によれば、投光部により各被識別物体に対して光が照射される照射位置は中空に設けられるため、被識別物体を照射位置に搬送するための搬送路を透明部材で構成したり、搬送路を構成する部材の光の透過性や吸光性等を考慮したりする必要がない。また、搬送溝を有する搬送部により、各被識別物体が投光部による照射位置に所定の落下軌道で一つ一つ落下させることにより、被識別物体が重なりあって光が照射されるのを防止することができる。また、各被識別物体に対して、光を確実に照射することができ、識別精度を向上することができる。
【0010】
また、上記目的を達成するために、本発明の第六態様は、透明体と、複数種類の不透明体とが混在する被識別物体から、予め設定された所定の種類の不透明体を識別するための物体識別装置であって、各被識別物体に光を照射する投光部と、各被識別物体について、前記投光部から照射された光のうち各被識別物体を透過した光を受光すると共に、各被識別物体で拡散反射した光を受光する受光部と、前記受光部により受光された光の光量に基づいて、各被識別物体がそれぞれ予め設定された所定の種類の物体であるか否かを識別する識別部と、を備えたことを特徴とする物体識別装置を提供する。
上記構成によれば、透明体は光を透過するのに対し、不透明体は光を透過しないので、各被識別物体について、受光部が受光した光の光量に基づいて、現在の識別対象となっている被識別物体が透明体であるか不透明体であるかを簡易に識別することができる。また、不透明体については、それぞれの種類毎に表面の光の反射特性が異なることが想定される。また、不透明体の表面色や表面の荒さ等によって拡散反射する光量も異なることが想定される。従って、受光部において受光した光の光量に基づいて、拡散反射光量の違いから、各不透明体の種類を簡易に識別することができる。
例えば、予め設定された所定の種類の物体について、予め、受光部において受光される光の光量を測定しておくことなどにより、当該光量と同程度の光量が受光されるか否かにより、受光部において受光された光の光量に基づいて、現在の識別対象となっている一の被識別物体が予め設定された所定の種類の物体であるか否かを簡易に識別することができる。
従って、透明体と複数種類の不透明体とが混在する被識別物体において、再資源とする種類の物体を所定の種類の物体とすることにより、当該物体を簡易に識別することができる。
【0011】
また、上記目的を達成するために、本発明の第七態様は、透明体と、複数種類の不透明体とが混在する被識別物体を搬送する搬送部と、前記搬送部による搬送の過程で、各被識別物体に光を照射する投光部と、各被識別物体について、前記投光部から照射された光のうち各被識別物体を透過した光を受光すると共に、各被識別物体で拡散反射した光を受光する受光部と、前記受光部により受光された光の光量に基づいて、各被識別物体がそれぞれいずれの種類の物体かを識別する識別部と、前記識別部により識別された種類に応じて、各被識別物体を種類毎に選別する選別部と、を備えたことを特徴とする物体選別装置を提供する。
上記構成によれば、上記本発明の第一態様と略同様の構成を有するので、上記本発明の第一態様と略同様の作用および効果を奏する。また、上記構成によれば、搬送部と選別部とを備えているので、搬送部により被識別物体を搬送させながら、各被識別物体がそれぞれいずれの種類かを識別し、その識別された種類に応じて、被識別物体を選別する作業を自動的に行うことができ、再資源とする種類の物体を簡易に識別して選別することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、透明体と、複数種類の不透明体とが混在する被識別物体に対して、投光部により光を照射し、受光部により受光した光量に基づいて、再資源とする種類の物体を簡易に識別することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本実施の形態の物体選別装置の概観構成例を示す側面図である。
【図2】識別対象若しくは選別対象とする各被識別物体の概観を示す図である。
【図3】振動篩の構成を示す側面図(a)、一部上面図(b)である。
【図4】本実施の形態の物体選別装置の主要部の模式的な構成を示す図である。
【図5】投光部から照射された光が、被識別物体の端部で鏡面反射して受光部に入射する様子を説明するための説明図である。
【図6】投光器に設けられる投光面制限部材の構成を示す正面図である。
【図7】投光面制限部材を説明するための説明図である。
【図8】(a)透明体、(b)鏡面反射特性を有する不透明体、(c)拡散反射特性を有する不透明体のそれぞれについて、受光部に受光された光の光量を示した図である。
【図9】受光部を二つの受光器を用いて構成した場合の物体選別装置の主要部の模式的な構成を示す図である。
【図10】鏡面反射特性を有する不透明体の表面に、拡散反射特性を有する不透明体が付着している場合に、受光部に受光される光を説明するための図である。
【図11】滑り板に設けられる搬送溝を示す図である。
【図12】吹出ノズルの吹出面積を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1に、本発明の実施の形態の物体選別装置100を示す。図1に示す物体選別装置100は、透明体201と、複数種類の不透明体202、203とが混在する被識別物体200(図2参照)において、各被識別物体200がそれぞれいずれの種類の物体であるかをそれぞれ識別して、所定の種類の物体を他の種類の物体から選別するための装置である。本実施の形態では、被識別物体200には、再資源として利用可能な所定の種類の不透明体203と、それ以外の物体(透明体201および不透明体202)とが含まれており、物体選別装置100では、この再資源として利用可能な所定の種類の不透明体203を良品として選別し、透明体201およびそれ以外の種類の不透明体202を異物として選別するものとして、以下説明する。
【0015】
図1に示す様に、物体選別装置100は、被識別物体200が供給される供給部10と、供給部10から供給された被識別物体200を搬送する搬送部20と、搬送部20による搬送の過程で、各被識別物体200がそれぞれいずれの種類の物体かを識別し、被識別物体200を良品と異物とに選別する本体部30とを備えている。
【0016】
図2に、被識別物体200の概観例を示す。被識別物体200は、再資源として利用可能な有用物を含む廃材を所定の程度まで破砕した破砕物である。図2に示す様に、各被識別物体200は、破砕物であるため、各種の形状を呈する。本実施の形態では、被識別物体200は最長20mm程度の大きさとなる様に破砕される。但し、最長20mm程度とは、一つの被識別物体200について、任意の端部間の長さを測定した場合の最長の長さを指す。
本実施の形態にでは、上記の廃材を破砕した結果、透明体201と、複数種類の不透明体202、203として、反射特性の異なる2種類の不透明体202、203を含むものとする。ここで、透明体201とは光透過性を有する物体を指す。また、不透明体202、203は光透過性を有さず、照射された光を反射又は吸収する物体を指す。
本実施の形態では、反射特性の異なる2種類の不透明体202、203のうち、一方は、拡散反射特性を有する不透明体202であり、他方は鏡面反射特性を有する不透明体203であるものとする。また、本実施の形態では、被識別物体200のうち、良品とする再資源化が可能な所定の種類の物体を、鏡面反射特性を有する不透明体203として、以下、説明する。但し、図2に示した透明体201、不透明体202、203の形状は一例であり、各透明体201、各不透明体202、203はそれぞれ様々な形状を呈する。
【0017】
この様な被識別物体200として、例えば、シリコンの精製時に生じるシリコンの端材を破砕した破砕物を挙げることができる。シリコンウエーハの原料として使用されるシリコンに要求される純度は極めて高い。高純度のシリコンは、るつぼ等に二酸化ケイ素を入れて、アーク炉などで還元することにより精製されている。シリコン精製後に、高純度のシリコンを取り出した後のるつぼには、廃材としてのシリコンの端材が残る。このシリコンの端材には、シリコンウエーハの原料に要求される程度の純度には至らなかったシリコンと、還元されなかった二酸化ケイ素とが含まれる。シリコンの端材に含まれるシリコンは、太陽電池の原料等として利用可能な程度の純度を有し、再資源として利用可能な有用物である。
ここで、シリコンは不透明体(203)であり、黒色を呈する。シリコンの端材を破砕する際に、シリコンは割れて滑らかな表面を有する。このため、シリコンの表面は鏡面反射特性を示し、シリコンの表面に照射された光は正反射する。
一方、還元されなかった二酸化ケイ素には透明体201の二酸化ケイ素と、還元の過程で複数の泡を内包した不透明体202の二酸化ケイ素とが含まれる。透明体の二酸化ケイ素は照射された光を透過する。不透明体の二酸化ケイ素は、複数の泡を内包するため白色を呈し、この不透明体の二酸化ケイ素に照射された光は拡散反射する。
【0018】
供給部10は漏斗状に形成され、供給口11からオペレーター等により供給された被識別物体200を搬送部20に供給する。
搬送部20は、供給部10から供給された被識別物体200を本体部30に搬送する搬送経路上に設けられ、電動により振動する振動篩21(図3参照)を備えている。この振動篩21により篩のメッシュ径以下の被識別物体200は排除品として排除される。
ここで、被識別物体200のうち、再資源として利用する物体が上述したシリコン等の半導体等である場合など、金属に触れると性質が変化する物体である場合には、上記の供給部10及び搬送部20のうち、被識別物体200が接触する可能性のある箇所は、被識別物体200と金属との接触を防止すべくプラスチック等の非金属製の素材を用いて構成され、あるいは非金属製の素材により被覆される。なお、以下に説明する良品収容部81についても同様である。
図3(a)に振動篩21の側面図を示す。また、図3(b)に振動篩21の上面図を示す。被識別物体200のうち、図3(a)、(b)に示す振動篩21において、メッシュ面21a及びメッシュ面21aの両側方に配置される側壁面21bについて、非金属製の素材により被覆されている。また、供給部10と、後述する滑り板23および良品収容部81については非金属製の素材により構成されている。
振動篩21の下部には、排除品収容部22が設けられている。振動篩21により排除品として排除された被識別物体200はこの排除品収容部22に落下されて収容される。振動篩21のメッシュ径よりも大きな被識別物体200は、振動篩21を搬送経路として本体部30に搬送される。
本実施の形態では、振動篩21のメッシュ径を4mmとしている。このメッシュ径は、識別対象とする廃材の破砕物を精度よく識別する観点、および、廃材のリサイクルに係るコスト、エネルギー、人的資源を合理的なものとする観点から、適宜、適切なメッシュ径とすることができる。
【0019】
図4に、搬送部20の一部を含む本体部30の主要な構成を示す。
図4に示す様に、搬送部20は、振動篩21を通過した被識別物体200を上端(図示略)から下端23aに向けて落下させる滑り板23を備えている。
【0020】
本体部30は、各被識別物体200に光を照射する投光部40と、投光部40から照射された光のうち各被識別物体200を透過した光を受光すると共に、各被識別物体200で拡散反射した光を受光する受光部50と、受光部50により受光された光の光量に基づいて、各被識別物体200がそれぞれいずれの種類の物体であるかを識別する識別部としての制御部60と、制御部60における被識別物体200の識別結果に応じて良品と異物とを選別する選別部80とを備えている。但し、本発明に係る物体識別装置は、これらの投光部40と、受光部50と、制御部60とを備えて構成される。
【0021】
投光部40は、互いに異なる方向からそれぞれ光を同時に照射する第一の投光器41と第二の投光器42とを備えている。第一の投光器41は、被識別物体200を透過した透過光を検出するための透過光検出用の投光器である。また、第二の投光器42は、被識別物体200で拡散反射した反射光を検出するための拡散反射光検出用の投光器である。
受光部50は、各被識別物体200を透過した光と、各被識別物体200で拡散反射した光を受光して、受光した光量に基づく信号を制御部60に出力するもので、例えば、CCDカメラ等を用いて構成される。
【0022】
ここで、第一の投光器41、第二の投光器42、受光部50及び滑り板23のそれぞれの配置及び滑り板23の傾斜角度θ1について説明する。
図4に示す様に、第一の投光器41の光の投光面41aと、受光部50の受光面50aとは互いに対向するように配置される。この第一の投光器41の光の投光面41aと、受光部50の受光面50aとを結ぶ直線L1と、滑り板23による被識別物体200の落下軌道Cとが交差するように、滑り板23の配置及び滑り板23の傾斜角度θ1を決定する。ここで、この第一の投光器41の光の投光面41aと、受光部50の受光面50aとを結ぶ直線L1と、滑り板23による被識別物体200の落下軌道Cとが交差する位置を、被識別物体200に対して光が照射される光の照射位置P1とする。そして、照射位置P1を通過する被識別物体200に対して、受光部50の側から光を照射するように、第二の投光器42が配置される。このように配置することにより、受光部50では、第一の投光器41により照射された光が被識別物体200を透過した場合、この被識別物体200を透過した光を受光し、第二の投光器42により照射された光が被識別物体200で拡散反射した場合、この被識別物体200で拡散反射した光を受光することができる。
【0023】
また、本実施の形態では、後述する様に、受光部50において受光した光の光量に基づいて、制御部60は被識別物体200が透明体201であるか不透明体202、203であるかを識別するとともに、被識別物体200が不透明体202、203である場合には拡散反射特性を有する不透明体202であるか、鏡面反射特性を有する不透明体203であるかを識別する。従って、受光部50は、被識別物体200を透過した光と、被識別物体200で拡散反射した光とを同時に受光するとともに、被識別物体200で鏡面反射した光が入射しない位置に配置することが好ましい。
すなわち、本実施の形態では、図4に示す様に、照射位置P1は中空に設けられており、第一の投光器41と、被識別物体200に対する光の照射位置P1と、受光部50とを一直線上に配置するとともに、当該第一の投光器41、照射位置P1および受光部50を結ぶ直線L1と、第二の投光器42と照射位置P1とを結ぶ直線L2とが成す角度θ2が鋭角となるように、第二の投光器42が配置される。本実施の形態では、角度θ2は30度程度としている。このように第二の投光器42を配置することにより、第二の投光器42により照射された光が被識別物体200で鏡面反射した場合でも、この鏡面反射した光が受光部50に概ね受光されないようにすることができる。但し、第二の投光器42の位置は、予め、実験や計算等により、最適な位置が決定される。
【0024】
ここで、図2に示した様に、廃材の破砕物である被識別物体200は様々な形状を有している。このため、例えば、現在の識別対象とする被識別物体200が鏡面反射特性を有する不透明体203である場合に、図5に示す様に、第一の投光器41から照射された光がこの不透明体203の端部203a(特に、被識別物体200の落下方向Fにおいて、上端部若しくは下端部)に照射され、この端部203aにおいて鏡面反射した光が受光部50に受光された場合、受光部50により受光された光の光量が透明体201を透過した光の光量と同程度になることが想定される。この場合、制御部60は受光部50において受光された光の光量に基づいて、被識別物体200が透明体201であるか不透明体202、203であるかを識別するのが困難になる。そこで、本実施の形態では、図6および図7に示す様に、第一の投光器41の投光面41aの面積を、特に高さ方向Hにおいて狭めて、被識別物体203の端部203aにおいて鏡面反射した光が受光部50に入射しない様に制限する投光面制限部材43が第一の投光器41に設けられている。但し、高さ方向Hとは、被識別物体200の落下方向Fである。
【0025】
図6に示す様に、投光面制限部材43は、光を遮蔽する遮蔽板43aの略中央部に、遮蔽板43aの幅方向Wに長尺なスリット43bが形成されたものである。このスリット43bを介して被識別物体200に光が照射される。この投光面制限部材43を設けれることにより、第一の投光器41の投光面41aの面積が、その高さ方向Hにおいて狭められている。但し、この遮蔽板43aは、被識別物体200の大きさや第一の投光器41の投光面41aの大きさによっては、特に設けなくてもよい場合がある。また、被識別物体200の大きさに応じて、スリット43bの大きさは適宜適切な大きさとすることができる。
図7に示す様に、第一の投光器41の投光面41aにこの投光面制限部材43を設け、被識別物体200に対する光の照射範囲を制限することにより、被識別物体200が鏡面反射特性を有する不透明体203である場合であっても、被識別物体200の端部200aに光が照射されることが防止されているので、図5に示した例と異なり、被識別物体200の端部200aで鏡面反射した光が受光部50に受光されるのを防止することができる。
また、本実施の形態では、第二の投光器42にもこの投光面制限部材43が設けられており、第一の投光器41と第二の投光器42の投光面42aの大きさは略等しいものとなっている。
【0026】
図4に示す制御部60は、図示しないCPU、RAM、ROM等を備え、受光部50において受光した光の光量、すなわち、CCDカメラ等として構成される受光部50により撮影された撮影画像に基づいて、各被識別物体200がいずれの種類の物体であるかを識別する識別処理を実行する。
また、制御部60には、表示装置70が接続されている。表示装置70では、制御部60による識別処理等の処理結果に応じた表示内容を表示することができる。さらに、制御部60は、識別処理の処理結果に応じて、選別部80に対して選別制御信号Sを送信する。
【0027】
制御部60では、上記識別処理において、予め設定された第一の閾値T1、第二の閾値T2および第三の閾値T3と(図8参照)、受光部50で受光した光の光量とを比較し、現在の識別対象とする被識別物体200がそれぞれいずれの種類の物体であるかを識別する構成としている。これらの第一の閾値T1〜第三の閾値T3は、CPUにより読み出し可能にROMに格納されている。また、表示装置70には、受光部50において受光した光の光量を上記第一の閾値T1〜第三の閾値T3と共に表示することができる。更に、現在の被識別物体200を、各種類に対応付けられた色により各被識別物体200の種類を識別可能に表示することができる。
【0028】
ここで、第一の閾値T1は、現在、照射位置P1に被識別物体200が存在しているか否かを識別するための閾値として設けられる。受光部50に受光された光の光量が第一の閾値T1以上の値を示す場合、照射位置P1に被識別物体200が存在しないと判別される。受光部50に受光された光の光量が第一の閾値T1未満の値を示す場合、現在、照射位置P1に被識別物体200が存在していることを示す。
第二の閾値T2は、照射位置P1に被識別物体200が存在する場合に、現在の識別対象とする被識別物体200が透明体201であるか不透明体202、203であるかを識別するための閾値として設けられる。受光部50において受光した光の光量が、第一の閾値T1と第二の閾値T2との間の値を示す場合、現在の識別対象とする被識別物体200は、透明体201であると判別される。受光部50において受光した光の光量が第二の閾値T2に達しない場合、現在の識別対象とする被識別物体200は、不透明体202、203であると判別される。
【0029】
第三の閾値T3は、現在の識別対象とする被識別物体200が不透明体202、203である場合に、この不透明体202、203の反射特性に応じて、いずれの種類の不透明体202、203であるかを識別するための閾値として設けられる。具体的には、現在の識別対象とする不透明体202、203が拡散反射特性を有する不透明体202であるか鏡面反射特性を有する不透明体203であるかを識別するための閾値として設けられる。被識別物体200が拡散反射特性を有する場合、受光部50には第二の投光器42により照射された光のうち、被識別物体200で拡散反射した光が受光される。一方、被識別物体200が鏡面反射特性を有する不透明体203である場合、第二の投光器42により照射された光は正反射する。上述した様に、受光部50は、被識別物体200で鏡面反射した光が入射されないように、受光部50と第二の投光器42との位置関係が決定されているため、受光部50における光の受光量は略「0」に等しくなる。したがって、本実施の形態では、受光部50において受光した光の光量が、第二の閾値T2と第三の閾値T3との間の値を示す場合、現在の識別対象とする被識別物体200は、拡散反射特性を有する不透明体202であると判別される。また、受光部50において受光した光の光量が第三の閾値T3に達しない場合、現在の識別対象とする被識別物体200は、鏡面反射特性を有する不透明体203であると判別される。
【0030】
これらの閾値の値は、予め、実験を繰り返し行うこと等により、透明体201と、複数種類の不透明体202、203とが混在する被識別物体200において、各識別物体が透明体201であるか、不透明体202、203であるか、いずれの種類の不透明体202、203であるかを識別可能な値となる様に設定される。
図8は、照射位置P1を通過した被識別物体200が透明体201であった場合(a)、鏡面反射特性を有する不透明体203であった場合(b)、拡散反射特性を有する不透明体202であった場合のそれぞれについて、受光部50において受光された光の光量の一例を示したものである。
但し、図8において、縦軸は受光部50が受光した光の光量を「0(ゼロ)」から「255」の範囲で示している。なお、光量が「0(0%)」とは、受光部50に受光された光量が「0」であることを示す。また、光量が「255(100%)」とは、第一の投光器41により照射された光が、被識別物体200により遮られることなく、受光部50に受光された場合の光量を示す。
【0031】
図8(a)に示す様に、被識別物体200が透明体201である場合、受光部50には「100」〜「220」未満の範囲の光量の光が受光される。また、図8(b)に示す様に、被識別物体200が鏡面反射特性を有する不透明体203である場合、受光部50に受光される光量は「30」未満の値を示し、図8(c)に示す様に、被識別物体200が拡散反射特性を有する不透明体202である場合、受光部50に受光される光量は「30」〜「100」未満の光量を示す。
そこで、図8に示す例において、第一の閾値T1を「220」(約86%)、第二の閾値T2を「100」(約39%)、第三の閾値T3を「30」(約12%)としている。
このように、実際の被識別物体200を用いて実験を繰り返すこと等により、各被識別物体200を種類毎に識別可能な第一の閾値T1〜第三の閾値T3を設定することができる。
【0032】
次に、選別部80の構成を図4を参照して説明する。
選別部80は、制御部60から送信される選別制御信号Sに基づいて、照射位置P1を通過して落下する被識別物体200を、良品(203)と異物(201、202)とに選別して、良品を良品収容部81に収容させ、異物を異物収容部82に収容させるものである。具体的には、図4に示す様に、滑り板23による被識別物体200の落下軌道Cの延長軌道上に配置される良品収容部81と、良品収容部81に隣接して設けられとともに、滑り板23の落下軌道Cの延長軌道を外した位置に配置される異物収容部82と、被識別物体200が異物であった場合に、制御部60からの選別制御信号Sに基づいてこの被識別物体200の落下軌道Cを変更させて、異物を異物収容部82に収容させる収容位置制御部83とを備えている。
【0033】
収容位置制御部83は、空気を吹き出す吹出ノズル84と、この吹出ノズル84に接続され、圧縮空気を溜める圧縮空気貯留部(図示略)と、圧縮空気貯留部と吹出ノズル84との間に設けられる電磁弁85と、この電磁弁85の開閉動作を制御する電磁弁制御部86と、を備えている。電磁弁制御部86は、制御部60から送信される選別制御信号Sに基づいて、被識別物体200が異物である場合に、電磁弁85を一定時間だけ開く。但し、本実施の形態では、選別制御信号Sは、被識別物体200が異物である場合に制御部60から電磁弁制御部86に送信される。電磁弁85が開くと、圧縮空気貯留部に貯留された圧縮空気は吹出ノズル84を介して吹き出される。吹出ノズル84は、照射位置P1から被識別物体200の落下軌道Cの延長軌道上の所定の位置に設けられた異物排除位置P2に対して空気を吹き出すように、吹出ノズル84の空気吹出口84aの方向が定められている。吹出ノズル84から吹き出された空気により、被識別物体200の落下軌道Cは異物収容部82側に変更される。これにより、異物であると識別された被識別物体200(201、202)の落下軌道Cが異物排除位置P2において変更されて、異物収容部82に当該被識別物体200(201、202)が収容される。
但し、被識別物体200が照射位置P1を通過した時間から、この吹出ノズル84による異物排除位置P2を通過するまでの時間までの間には遅れ時間が生じることから、電磁弁制御部86は制御部60から選別制御信号Sを受信した後、所定の遅れ時間が経過した後に電磁弁85を開くように制御する。制御部60から選別制御信号Sを受信してから、電磁弁85を開くまでの遅れ時間は、実際に使用する電磁弁85や、照射位置P1と異物排除位置P2、滑り板23の傾斜角度θ1、被識別物体200の落下速度等に応じて適宜変更される。また、通常、電磁弁85は閉状態であり、制御部60から電磁弁制御部86に選別制御信号Sが送信された場合に、所定の遅れ時間後、一定時間だけ開状態となる。
【0034】
次に、本実施の形態の物体選別装置100の動作を説明する。
まず、物体選別装置100に電源が投入されると、振動篩21に電源が供給され振動篩21の振動が開始する。オペレーターが供給部10に被識別物体200を供給すると、この供給部10に供給された被識別物体200は、振動篩21を通過する過程で、振動篩21のメッシュ径以下の被識別物体200は排除品収容部22に、排除品として収容される(図1参照)。振動篩21を通過した被識別物体200は、振動篩21に接続された滑り板23の上端(図示略)に到達する。そして、被識別物体200は滑り板23の上端から下端23a(図3参照)に向けて滑り落ち、滑り板23の下端23aから所定の落下軌道Cを描いて落下する。被識別物体200は、滑り板23から落下する過程で、照射位置P1を通過する。このとき、第一の投光器41および第二の投光器42から被識別物体200に対して光が同時に照射される。これと同時に、受光部50は、被識別物体200が透明体201である場合には、被識別物体200を透過した光を受光し、被識別物体200が拡散反射特性を有する不透明体202である場合には、被識別物体200で拡散反射した光を受光する。制御部60では、受光部50において受光した光の光量を図8に示す第一の閾値T1〜第三の閾値T3と比較し、現在の識別対象とする被識別物体200がいずれの種類の物体であるかを識別する。そして、制御部60は、現在、照射位置P1を通過した被識別物体200が透明体201である、若しくは、拡散反射特性を有する不透明体202であると識別した場合、これらを異物と識別し、選別制御信号Sを選別部80の電磁弁制御部86に送信する。この選別制御信号Sを受信した場合、所定の遅れ時間の経過後、電磁弁制御部86は電磁弁85を開く。これにより、吹出ノズル84から空気が吹き出され、異物であると識別された被識別物体200の落下軌道Cが変更され、異物収容部82に収容される。一方、制御部60により鏡面反射特性を有する不透明体203であると識別された被識別物体200は、滑り板23により良品収容部81に落下し、良品収容部81に収容される。但し、供給部10から複数の被識別物体200が一度に供給され、供給された被識別物体200は振動篩21を通過しながら、滑り板23の上端にそれぞれ異なる時間に到達する。これにより、一つ一つの被識別物体200が互いに重なり合わないように照射位置P1を通過する。
【0035】
以上説明した上記実施の形態によれば、制御部60は、各被識別物体200について、受光部50において受光された光の光量に基づいて、図8に例示する当該光量を第一の閾値T1〜第三の閾値T3と比較することにより、透明体201と複数種類の不透明体202、203とが混在する被識別物体200において、各被識別物体200がいずれの種類の物体であるかを簡易に識別することができる。これにより透明体201と複数種類の不透明体202、203とが混在する被識別物体200において、再資源とする種類の物体を簡易に識別することができる。
また、上記実施の形態によれば、図4に示す様に、投光部40は透過光検出用の第一の投光器41と、拡散反射光検出用の第二の投光器42を備え、現在の識別対象となっている一の被識別物体200に対して、互いに異なる方向からそれぞれ同時に光を照射することができる。すなわち、第一の投光器41の光の投光面41aと、受光部50の受光面50aとを互いに対向するように配置し、この第一の投光器41の光の投光面41aと受光部50の受光面50aとを結ぶ直線L1を交差するように、被識別物体200を通過させ、この被識別物体200に対して受光部50の受光面50aの側から光を照射するように第二の投光器42を配置することによって、CCDカメラ等により構成される一の構成部品としての受光部50により、現在の識別対象である被識別物体200を透過した光と、被識別物体200で拡散反射された光とを同時に受光することができる。従って、被識別物体200を透過した光を受光する受光手段と、被識別物体200で拡散反射した光を受光する受光手段とを別々に設ける必要がなく、透過光量と、拡散反射光量とを加算したり、各光量について別個評価を行ったりするなどの各被識別物体200の種類を識別するために要する演算の手間を省くことができる。
【0036】
また、上記実施の形態によれば、図6及び図7に示す様に、第一の投光器41の投光面41aには、投光面41aの面積を制限する投光面制限部材43が設けられている。第一の投光器41の投光面41aにこの投光面制限部材43を設けることにより、鏡面反射特性を有する不透明体203の端部203aで鏡面反射をした光が受光部50に受光されないように各被識別物体200に対する光の照射範囲を制限することができる。従って、不透明体202、203の端部203aで鏡面反射された光が受光部50に受光されて、受光部50において受光した光量が増加し、不透明体202、203が透明体201であると識別されるのを防止して、各被識別物体200がいずれの種類の物体であるかを精度よく識別することができる。
【0037】
また、上記実施の形態によれば、図4に示す様に、投光部40により各被識別物体200に対して光を照射する照射位置P1を中空に設けているので、第一の投光器41と第二の投光器42とから、それぞれ異なる方向から光を照射する場合に、各被識別物体200を照射位置P1に搬送するための搬送路を透明部材で構成したり、搬送路を構成する部材の光の透過性や吸光性等を考慮したりする必要がない。
【0038】
但し、上記実施の形態は、本発明の一態様であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能であるのは勿論である。
例えば、上記実施の形態では、一の受光部50により、第一の投光器41から照射された光のうち、被識別物体200を透過した光を受光するとともに、第二の投光器42から照射された光のうち、被識別物体200で拡散反射した光とを同時に受光する構成としたが、例えば、図9に示す様に、受光部50を第一の受光器51と第二の受光器52の二つの受光器を用いて構成してもよい。
図9に示す例では、CCD等により構成される第一の受光器51を、上記実施の形態と同様に、第一の投光器41の投光面41aに対向する位置に受光面51aが配置されるよう配置している。そして、同じくCCD等により構成される第二の受光器52を、第二の投光器42の投光面42aに対向する位置に受光面51aが配置されるように配置している。このように、第一の受光器51と第二の受光器52とを用いて受光部50を構成することにより、第一の受光器51では、上記実施の形態と同様に、第一の投光器41により照射された光のうち、被識別物体200を透過した光を受光すると同時に、第二の投光器42により照射された光のうち、被識別物体200で拡散反射した光を受光する。一方、第二の受光器52では、第二の投光器42により照射された光のうち、被識別物体200を透過した光を受光すると同時に、第一の投光器41により照射された光のうち、被識別物体200で拡散反射した光を受光する。第一の受光器51において受光した光の光量と、第二の受光器52において受光した光の光量とに基づいて、それぞれ現在識別対象とする被識別物体200がいずれの種類の物体であるかを識別することにより、識別精度を向上することができる。
例えば、図10(a)に示す様に、現在の識別対象となっている被識別物体200が鏡面反射特性を有する不透明体203であるが、第二の投光器42から光が照射される側に、拡散反射特性を有する不透明体202が異物として付着しているような場合は、一の受光器により受光部50を構成した場合であっても、不透明体202で拡散反射した光を受光することができるため、当該異物が付着した良品を異物として異物収容部82に収容させることができる。しかしながら、図10(b)に示す様に、現在の識別対象となっている被識別物体200が鏡面反射特性を有する不透明体203であって、第一の投光器41から光が照射される側に拡散反射特性を有する不透明体202が付着しているような場合には、第二の投光器42から照射された光は被識別物体200で鏡面反射して、受光部50には拡散反射光が受光されないため、制御部60は当該被識別物体200を良品と識別する。しかしながら、図9に示す様に、第一の受光器51と第二の受光器52とを用いて受光部50を構成することにより、第一の投光器41側に異物が付着した良品についても異物として良品から選別することができ、良品の選別精度を向上することができる。
【0039】
また、図11に示す様に、滑り板23に照射位置P1に被識別物体200を所定の落下軌道Cで確実に落下するように搬送溝23bを設けるとより好ましい。このように、搬送溝23bを設けることにより、被識別物体200の落下軌道Cが、照射位置P1から外れるのを防止することができ、第一の投光器41および第二の投光器42から照射される光を各被識別物体200に確実に照射させることができる。また、図11に示す様に、搬送溝23bを複数設けて、滑り板23の幅に相当する幅若しくは滑り板23から落下する被識別物体200が通過する可能性のある幅に相当する幅に対して、第一の投光器41および第二の投光器42から光を照射するようにしてもよい。この場合も、一つ一つの被識別物体200に対して光を照射し、各被識別物体200について、受光部50において受光した光の光量に基づいて、各被識別物体200がいずれの種類の物体であるかを識別する構成とすることができる。滑り板23に搬送溝23bを設けない場合についても同様である。
【0040】
また、上記実施の形態では、特に説明をしなかったが、吹出ノズル84の空気を吹き出す吹出面積は、被識別物体200の大きさに応じて適宜設定することができる。この吹出ノズル84の吹出面積が大きいと、異物と識別された被識別物体200の前後に落下する被識別物体200にも空気が吹き付けられる可能性がある。前後に落下する被識別物体200に空気が吹き付けられた場合、当該被識別物体200が良品と識別されていても、落下軌道Cが変更されて異物収容部82に収容されることになる。したがって、図12に示す様に、吹出ノズル84の吹出面積Aは、異物と識別された被識別物体200(201、202)の前後に落下する被識別物体200に空気が吹き付けられないような大きさとなるように、被識別物体200の大きさ、被識別物体200の落下速度等に基づいて設定することが好ましい。また、吹出ノズル84の吹出面積Aと共に、滑り板23の傾斜角度θ1を調整して被識別物体200の落下速度を調整することも好ましい。
【0041】
また、上記実施の形態では、複数種類の不透明体202、203として、拡散反射特性を有する不透明体202と、鏡面反射特性を有する不透明体203とを例に挙げて説明したが、本発明に係る不透明体202、203はこの二種類に限定されるものではない。種類の異なる不透明体ついては、それぞれの種類毎に表面の光の反射特性が異なることが想定される。また、不透明体の表面色や表面の荒さ等によって拡散反射する光量も異なることが想定される。従って、受光部50において、各不透明体について、その種類を識別可能な拡散反射光量の値を閾値として予め設定しておくことにより、受光部50において受光された光の光量に基づいて、現在の識別対象となっている一の被識別物体200がいずれの種類の不透明体であるかを簡易に識別することができる。
【符号の説明】
【0042】
20 搬送部
40 投光部
41 第一の投光器
42 第二の投光器
43 投光面制限部材
50 受光部
50a 受光面
51 第一の受光器
51a 受光面
52 第二の受光器
60 制御部(識別部)
80 選別部
100 物体選別装置
200 被識別物体
201 透明体
202、203 不透明体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明体と、複数種類の不透明体とが混在する被識別物体を対象として、各被識別物体がそれぞれいずれの種類の物体かを識別する物体識別装置であって、
各被識別物体に光を照射する投光部と、
各被識別物体について、前記投光部から照射された光のうち各被識別物体を透過した光を受光すると共に、各被識別物体で拡散反射した光を受光する受光部と、
前記受光部により受光された光の光量に基づいて、各被識別物体がそれぞれいずれの種類の物体かを識別する識別部と、
を備えたことを特徴とする物体識別装置。
【請求項2】
前記投光部は、各被識別物体に対して互いに異なる方向からそれぞれ光を同時に照射する第一の投光器および第二の投光器を備え、
前記受光部は、各被識別物体について、前記第一の投光器から照射された光のうち各被識別物体を透過した光を受光すると同時に、前記第二の投光器から照射された光のうち各被識別物体で拡散反射した光を受光すること、
を特徴とする請求項1に記載の物体識別装置。
【請求項3】
前記受光部は、
各被識別物体について、前記第一の投光器から照射された光のうち各被識別物体を透過した光を受光すると同時に、前記第二の投光器から照射された光のうち各被識別物体で拡散反射した光を受光する第一の受光器とともに、
各被識別物体について、前記第二の投光器から照射された光のうち各被識別物体を透過した光を受光すると同時に、前記第一の投光器から照射された光のうち各被識別物体で拡散反射した光を受光する第二の受光器を備えたこと、
を特徴とする請求項2に記載の物体識別装置。
【請求項4】
前記複数種類の不透明体の中には、鏡面反射特性を有する不透明体が含まれ、
前記鏡面反射特性を有する不透明体の端部で鏡面反射をした光が前記受光部に受光されないように各被識別物体に対する前記投光部による光の照射範囲が制限されていること、
を特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の物体識別装置。
【請求項5】
前記投光部により各被識別物体に対して光が照射される照射位置は中空に設けられ、
各被識別物体を前記照射位置に所定の落下軌道で一つ一つ落下させるための搬送溝を有する搬送部を備えたこと、
を特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の物体識別装置。
【請求項6】
透明体と、複数種類の不透明体とが混在する被識別物体から、予め設定された所定の種類の不透明体を識別するための物体識別装置であって、
各被識別物体に光を照射する投光部と、
各被識別物体について、前記投光部から照射された光のうち各被識別物体を透過した光を受光すると共に、各被識別物体で拡散反射した光を受光する受光部と、
前記受光部により受光された光の光量に基づいて、各被識別物体がそれぞれ予め設定された所定の種類の物体であるか否かを識別する識別部と、
を備えたことを特徴とする物体識別装置。
【請求項7】
透明体と、複数種類の不透明体とが混在する被識別物体を搬送する搬送部と、
前記搬送部による搬送の過程で、各被識別物体に光を照射する投光部と、
各被識別物体について、前記投光部から照射された光のうち各被識別物体を透過した光を受光すると共に、各被識別物体で拡散反射した光を受光する受光部と、
前記受光部により受光された光の光量に基づいて、各被識別物体がそれぞれいずれの種類の物体かを識別する識別部と、
前記識別部により識別された種類に応じて、各被識別物体を種類毎に選別する選別部と、
を備えたことを特徴とする物体選別装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2011−41872(P2011−41872A)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−189792(P2009−189792)
【出願日】平成21年8月19日(2009.8.19)
【出願人】(000222222)東洋ガラス株式会社 (102)
【Fターム(参考)】