説明

物品の払い出し方法

【課題】複数の物品をまとめて物品群を形成する際に、搬送時において物品群を形成する一部の物品が認識されなくても、物品群毎の形成終了を比較的簡単に認識して、物品群の払い出しを継続することができる物品の払い出し方法の提供。
【解決手段】物品保管設備11a,11bにおける物品Wを出庫指示に基づき出庫手段14により出庫し、出庫された物品Wを出庫手段に対応する出庫コンベア15、16により順次搬送し、搬送後の複数の物品Wをまとめて物品群Gを形成し、物品群Gを払い出す物品Wの払い出し方法であって、出庫指示が発生したとき、物品群G毎の物品群コードを設定し、物品Wの出庫時に物品群コードを物品Wへ夫々割当て、物品群コード毎に一致する物品Wをまとめ、物品群コード毎の物品群Gを形成し、形成中の物品群Gに係る物品群コードが、まとめ前の物品Wにおいて存在しないとき物品群の形成終了を認識させ、物品群Gを払い出す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、物品の払い出し方法に関し、特に、自動倉庫等の保管先から出庫された複数の物品をまとめて物品群を形成し、物品群を払い出す物品の払い出し方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、自動倉庫から保管中の物品を出庫する場合、自動倉庫に接続された出庫コンベア上で物品を搬送し、搬送後の複数の物品の段積みにより物品群を形成し、物品群毎に物品を払い出す場合がある。
従来では、例えば、図5に示すような物品搬送システム50が知られている。
この物品搬送システム50は、物品保管棚52及びスタッカクレーン54を有する複数の自動倉庫51と、自動倉庫51に対応する複数の出庫コンベア55、56と、出庫コンベア55、56からの物品Wを搬送する合流コンベア57と、物品Wを段積みする物品段積み機58と、出庫コンベア55、56及び物品段積み機58を制御するコンベア制御盤59と、物品搬送システム50を管理する物品管理コンピュータ60を有している。
【0003】
この物品搬送システム50では、各スタッカクレーン54は出庫指示に基づいて物品保管棚52の物品Wを出庫コンベア55、56に移す。
出庫コンベア55、56は出庫された物品Wを順次搬送し、合流コンベア57は出庫コンベア55、56から合流コンベア57へ移された物品Wを順番に搬送する。
合流コンベア57の下流側に設置されている物品段積み機58は、合流コンベア57により搬送された物品Wを順番に段積みして物品群Gを形成し、段積みが終了した物品群Gを払い出す。
【0004】
通常、複数の物品Wに対する出庫指示が発生した場合、物品管理コンピュータ60は、通し番号であって出庫の順番を示す順番コードを各物品Wに割り付ける。
物品管理コンピュータ60は、各物品Wへの順番コードの割り付けと同時に特定の物品Wに最終フラグFを付与する。
最終フラグは、各物品群Gにおいて最後に段積みされる物品Wに付与されるフラグである。
例えば、第1の物品群Gは、順番コード1〜4が割り付けられた物品Wから第1の物品群Gを形成し、順番コード5〜8が割り付けられた物品Wから第2の物品群Gを形成とする。
この場合、最終フラグFは順番コード4、8が割り付けられた物品Wに付与される。
【0005】
図5に示す例では、出庫指示の発生により、物品管理コンピュータ60は、出庫対象の物品Wへの順番コードの割り付けと、順番コード4、8の物品Wに対する最終フラグFを付与する。
出庫の対象の各物品Wは順番コードに従い、スタッカクレーン54により物品保管棚52から出庫される。
物品管理コンピュータ60は物品Wの出庫時に割り付けた順番コードと付与した最終フラグFの情報をコンベア制御盤59へ伝達する。
出庫コンベア55、56に物品Wが移されると、各出庫コンベア55、56はコンベア制御盤59により制御され、各出庫コンベア55、56における物品Wは順番コードが小さい順に搬送される。
物品Wが持つ順番コードの小さい順に合流コンベア57へ物品Wが移され、合流コンベア57は物品Wを物品段積み機58へ搬送する。
【0006】
物品段積み機58は、コンベア制御盤59により制御され、順番コードの小さい順に物品Wを積み上げ物品群Gを形成する。
物品段積み機58による物品Wの積み上げは、最終フラグFを有する物品Wが段積みされた時点で終了する。
つまり、最終フラグFが最後に段積みされることにより、コンベア制御盤59は物品群Gの形成終了を認識する。
最終フラグFの物品Wが段積みされた物品群Gが払い出されたら、コンベア制御盤59は、次の物品群Gを形成するように、物品段積み機58を制御する。
次の最終フラグFを有する物品Wが段積みされた時点で、物品Wの段積みが終了する。
【0007】
このように、従来の物品搬送システム50における物品Wの払い出し方法は、出庫される物品Wに順番コードを割り付けるとともに、段積みの最後となる物品Wに最終フラグFを持たせ、順番コードの順序に従って物品Wを段積みする。
そして、最終フラグFを持つ物品Wが段積みされることにより、物品群Gの形成が終了したことを認識することができる。
【0008】
なお、物品の払い出し方法に関する別の技術としては、例えば、特許文献1に開示されている。
この技術は、複数の物品(コンテナ)を払い出し先に払い出す場合に、同一払い出し先の物品を自動的に積み重ねて払い出せるようにしている。
【特許文献1】特開昭62−161603号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、従来の物品の払い出し方法では、空出庫(物品が実際には出庫されない現象)等の異常により最終フラグのもつ物品が出庫コンベアにおいて認識されないと、物品段積み機が段積み中の物品群に別の物品群を形成する物品を段積みしたり、あるいは、物品段積み機が最終フラグを持つ物品の到着を待ち続け、途中まで段積みされた物品群が払い出しできなくなるという問題がある。
つまり、最終フラグを持つ物品が出庫コンベアにおいて認識されない場合には、物品の段積み作業が適切に行われない。
こうした問題を自動的に復旧する場合、例えば、物品管理コンピュータとコンベア制御盤との間で最終フラグを別の物品に割り当て直し、物品群の形成終了を認識させることが理論的に可能である。
しかしながら、この種の対策では、次のフラグを割り当ての対象となる物品を探す必要があり、この対象たなる物品を探すために物品管理コンピュータとコンベア制御盤との密接な連携をシステム上で構築する必要があり、そのためにシステム全体の複雑化が避けられない。
【0010】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたもので、本発明の目的は、複数の物品をまとめて物品群を形成する際に、搬送時において物品群を形成する一部の物品が認識されなくても、物品群毎の形成終了を比較的簡単に認識して、物品群の払い出しを継続することができる物品の払い出し方法の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を達成するため、本発明は、保管中の物品を出庫指示に基づいて出庫手段により出庫し、出庫された前記物品を前記出庫手段に対応する出庫コンベアにより順次搬送し、搬送後の複数の前記物品をまとめて物品群を形成し、該物品群を払い出す物品の払い出し方法であって、出庫指示が発生したとき、前記物品群毎の物品群コードを設定し、前記物品の出庫時に前記物品群コードを前記物品へ夫々割り当て、前記物品群コードが一致する前記物品をまとめ、前記物品群コードに係る前記物品群を形成し、形成中の前記物品群に係る前記物品群コードが、まとめ前の前記物品において存在しないとき、該物品群の形成終了を認識させ、
該物品群を払い出すことを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、出庫される複数の物品には物品群毎に設定された物品群コードが夫々割り付けられているから、物品群コード毎に一致する物品がまとめられて物品群が形成される。
なお、形成中の物品群に係る物品群コードが、まとめ前の物品において存在しないとき、該物品群の形成終了が認識される。
物品群の形成終了が認識されると物品群は払い出される。
次の物品群コードに係る物品をまとめる作業が継続される。
従って、物品群コードが一致する物品をまとめたときに物品群の形成終了とされるから、例えば、段積み前に一部の物品が認識されなくても、物品群コードに係る物品段積みは継続され、形成された物品群は払い出される。
【0013】
また、本発明では、上記の物品の払い出し方法において、前記出庫コンベアを制御するコンベア制御盤が、物品群毎の物品群コードを設定する物品管理コンピュータから物品群コードの伝達を受けた後、物品群コードに係る出庫コンベア上の物品が前記コンベア制御盤により認識されなくなるともに、前記物品管理コンピュータから伝達される物品群コードがなくなるとき、該物品群の形成終了したと認識させてもよい。
【0014】
この場合、コンベア制御盤は、物品管理コンピュータから出庫(出庫手段による出庫中分又は出庫待機分を含む)に係る物品群コードの伝達を受ける。
その後、物品群コードに係る物品が、出庫コンベアに存在するとき場合、コンベア制御盤は物品群の形成が終了していないと判断する。
一方、物品群コードに係る出庫コンベア上の物品が前記コンベア制御盤により認識されず(物品群コードに係る物品が、出庫コンベアに存在せず)、物品管理コンピュータから伝達される物品群コードがなくなる場合、コンベア制御盤は物品群の形成終了したと認識される。
従って、物品群コードに係る物品がコンベア制御盤において認識されず、物品管理コンピュータから伝達される物品群コードがなくなる場合には、物品群コードに係る物品群のまとめが完了したとして物品群は払い出される。
【0015】
また、本発明では、複数の前記出庫手段により前記物品を出庫し、出庫された前記物品を前記出庫手段に対応する複数の出庫コンベアにより順次搬送し、前記出庫コンベアから前記物品群コードが一致する前記物品を合流コンベアへ合流させてもよい。
【0016】
この場合、複数の出庫手段により出庫された物品は、出庫手段に対応する複数の出庫コンベアにより搬送され、物品群コードが一致する物品が出庫コンベアから合流コンベアへ合流される。
従って、複数の出庫コンベアにより物品を搬送する場合でも、合流コンベアにおいて物品群コードが一致する物品が搬送され、これらの物品がまとめられることにより物品群コード毎の物品群が形成される。
【0017】
また、本発明では、前記各物品を順不同によりまとめて前記物品群を形成するようにしてもよい。
【0018】
この場合、物品群コードが一致する物品をまとめて物品群を形成するが、物品をまとめる順番は考慮されない。
このため、物品群の形成の際に順序の相違による異常が生じることがなく、また、システム上の複雑化が抑制される。
【0019】
また、本発明では、前記物品群コードが一致する前記物品に対し、まとめる順序を示す順番コードを予め割り当て、前記物品群コードが一致する前記物品をまとめるとき、前記物品を順番コードに従ってまとめることにより前記物品群を形成するようにしてもよい。
【0020】
この場合、物品群を形成する際に物品をまとめる順番が必要であっても、物品群コードが一致する物品に対し、まとめる順序を示す順番コードを予め割り当てているから、順番コードに従って物品をまとめればよい。
物品群毎の形成終了は、物品群コードを持つ物品が全て段積みされた時点で認識されるため、例えば、一部の物品が存在しなくても、順番コードの順序に従って物品群は形成され、形成された物品群は払い出される。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、複数の物品をまとめて物品群を形成する際に、搬送時において物品群を形成する一部の物品が認識されなくても、物品群の形成終了を比較的簡単に認識して、物品群の払い出しを継続することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
(第1の実施形態)
以下、実施形態に係る物品搬送システム10について図面を参照して説明する。
図1は、この実施形態に係る物品搬送システム10の概略構成を示す平面図である。
この実施形態に係る物品搬送システム10は、図1に示すように、自動倉庫11a、11bと、出庫コンベア15、16と、合流コンベア17と、物品段積み機18と、コンベア制御盤19と、物品管理コンピュータ20等を有している。
【0023】
〔自動倉庫について〕
第1の自動倉庫11aは、物品Wの保管や入出庫のための設備であり、主に一対の物品保管棚12と、物品保管棚12の間を走行するスタッカクレーン14から構成されている。
物品保管棚12は上下左右に区画形成された多数の物品収容部13を備えている。
スタッカクレーン14は出庫手段に相当し、物品保管棚12間の軌道上を走行して入出庫すべき物品Wを物品保管棚13に対して出し入れするほか、出庫した物品Wを出庫コンベア15、16へ移載する。
第2の自動倉庫11bについても、第1の自動倉庫11aと同様に、物品収容部13を有する物品保管棚12と、別のスタッカクレーン14から主に構成されている。
【0024】
〔出庫コンベアについて〕
この実施形態の出庫コンベア15、16は、出庫すべき物品Wを合流コンベア17へ向けて搬送するコンベアである。
この実施形態では、スタッカクレーン14に対応する2つの出庫コンベア15、16が設置されている。
出庫コンベア15の下流端は、合流コンベア17の中央付近に位置し、出庫コンベア16の下流端は合流コンベア17の上流端付近に位置している。
出庫コンベア15、16は物品Wの有無を認識する物品検知センサ(図示せず)を有する。
物品検知センサは、物品Wを認識した場合には、物品Wの認識を示す信号をコンベア制御盤19へ伝達する機能を有する。
なお、この実施形態では、物品Wの出庫専用の出庫コンベア15、16を設けたが、図示しない入庫コンベアが自動倉庫11a、11bに夫々臨むように別に設置されている。
【0025】
〔合流コンベア、物品段積み機について〕
合流コンベア17は、出庫コンベア15、16から送り込まれた物品Wを物品段積み機18へ向けて順次搬送するコンベアである。
合流コンベア17は物品Wの有無を認識する物品検知センサ(図示せず)を有し、また、コンベア制御盤19の制御を受ける。
合流コンベア17の下流端付近には、物品段積み機18が設置されている。
物品段積み機18は、合流コンベア17により搬送される物品Wを順次段積みし、複数の物品Wが段積みされた物品群Gを形成する。
物品段積み機18は、コンベア制御盤19による制御を受ける。
【0026】
〔コンベア制御盤について〕
コンベア制御盤19は、主に出庫コンベア15、16と、合流コンベア17と、物品段積み機18を制御する制御盤である。
コンベア制御盤19は、物品管理コンピュータ20と接続されているほか、物品検知センサと接続されている。
従って、コンベア制御盤19は、物品管理コンピュータ20と交信することができるほか、各物品検知センサよる物品Wの認識を示す検知信号を受けることができる。
コンベア制御盤19は、物品管理コンピュータ20との通信や、物品検知センサの検知信号に基づき出庫コンベア15、16及び合流コンベア17における物品Wを認識し、物品Wの搬送と停止を適切に行うほか、物品段積み機18を適切に制御する。
【0027】
〔物品管理コンピュータについて〕
この実施形態の物品管理コンピュータ20は、物品搬送システム10を管理するコンピュータである。
具体的には、入庫指示や出庫指示に基づく物品Wの在庫管理及び入出庫管理を行うほか、各自動倉庫11a、11bやコンベア制御盤19を制御する。
物品管理コンピュータ20はコンベア制御盤19と通信できるように接続されている。
物品管理コンピュータ20は、図示はしないが、各種のプログラムやデータを記憶する記憶部と、プログラムの実行やデータ処理を行う演算部と、各種の情報を表示する表示部を有する。
この実施形態の物品管理コンピュータ20は、出庫指示が生じたときに段積みより形成される物品群G毎の物品群コードを設定する機能と、出庫対象となる物品Wに物品群コードを夫々割り当てる機能と、割り当てた物品群コードの情報をコンベア制御盤19へ伝達する機能を有する。
【0028】
次に、この実施形態に係る物品搬送システム10による物品Wの払い出し方法について説明する。
例えば、上位のコンピュータ又はオペレータの入力等により、複数の物品Wに対する出庫指示が生じると、物品管理コンピュータ20は出庫指示に基づいて段積みにより形成される物品群G毎の物品群コードを設定する。
設定される物品群コードが複数である場合、物品群コードの序列を定めておく。
これは、物品Wの出庫時において序列の早い物品群コードに係る物品を優先して出庫したり、合流コンベア17への物品Wの送り出しの優先順位を設定するためである。
次に、物品管理コンピュータ20は出庫対象となる物品Wに物品群コードを夫々割り当てながら、出庫指示を自動倉庫11a、11b及びコンベア制御盤19へ伝達して物品Wの出庫を促す。
このとき、自動倉庫11a、11bでは、序列の早い物品群コードが割り当てられた物品Wを優先的に出庫する。
【0029】
物品管理コンピュータ20は、出庫すべき物品Wが出庫コンベア15、16へ出庫された時点で、割り当てた物品群コードをコンベア制御盤19へ伝達する。
このとき、スタッカクレーン14により現在出庫中の物品W及び物品保管棚12において出庫待ちの物品Wが存在する場合、これらの物品Wに割り当てられた物品群コードを常にコンベア制御盤19へ伝達する。
コンベア制御盤19は、物品管理コンピュータ20から通知された物品群コードのうち、序列が最も早い物品群コードを持つ物品Wを、合流コンベア17へ送り込むように、出庫コンベア15、16を制御する。
合流コンベア17に送り込まれた物品Wは物品段積み機18へ向けて搬送される。
【0030】
物品段積み機18において、物品群コードが一致する物品Wが順次段積されることにより、物品群Gが形成される。
段積される物品Wと物品群コードが一致する物品Wが、出庫コンベア15、16及び合流コンベア17に存在したり、あるいは、現在出庫中及び出庫待ちの物品Wが存在する場合、すなわち、物品管理コンピュータ20が物品群コードをコンベア制御盤19へ常に伝達している状態では、同じ物品群コードをもつ物品Wがなくなるまで物品Wの段積みを行う。
また、物品群コードをコンベア制御盤19へ常に伝達していない状態では、出庫コンベア15、16及び合流コンベア17において、段積み中の物品Wと同じ物品群コードを持つ物品Wがなくなるまで段積みを行う。
【0031】
次に、同じ物品群コードを持つ物品Wがなくなると、コンベア制御盤19は、物品群コードに係る物品群Gの形成が終了したと認識し、形成された物品群Gを物品段積み機18から払い出す。
その後、別の物品群コードが割り付けられた物品Wが存在する場合、序列が次に早い物品群コードを持つ物品Wの段積みを行う。
【0032】
次に、空出庫が含まれる物品Wの払い出しについて図2に基づいて説明する。
図2に示す状態では、出庫指示に基づいて幾つかの物品Wが出庫コンベア15、16により搬送されているほか、スタッカクレーン14により現在出庫中の物品Wが存在する。
これらの物品Wには、物品群コードA又は物品群コードBのいずれかが割り当てられている。
この場合、物品管理コンピュータ20は、出庫対象の4個の物品Wに物品群コードAを割り当ているほか、別の4個の物品に物品群コードBを割り当てている。
図2では、出庫コンベア15により搬送されるべき2個の物品Wがスタッカクレーン14の空出庫のために存在しない状態にある。
空出庫に係る一方の物品Wは物品群コードAが、他方の物品Wには物品群コードBが割り付けられている。
なお、物品群コードの序列は物品群コードAが物品群コードBよりも優先されるように設定されている。
【0033】
この条件では、物品群コードAをもつ3個の物品が先に合流コンベア17へ送り込まれ、合流コンベア17はこれらの物品Wを物品段積み機18へ向けて搬送する。
物品段積み機18はこれらの物品Wの段積みを行う。
コンベア制御盤19では、物品群コードAに係る3個の物品Wを積み上げた時点で、他に物品群コードAを持つ物品Wを認識しないし、コンベア制御盤19に物品群コードBが既に伝達済みの場合でも、物品群コードBには、物品群コードAを持つ物品は含まれないから、物品群コードAに係る物品群Gを形成終了したと認識する。
物品群コードAに係る物品群Gは3個の物品Wから形成されており、この物品群Gは物品段積み機18から払い出される。
【0034】
物品群コードAに係る物品群Gが払い出されると、物品群コードBに係る物品Wが出庫コンベア16から合流コンベア17を通じて物品段積み機18に順次送り込まれる。
物品段積み機18では、物品群コードBに係る3個の物品Gを順番に段積みして物品群コードBに係る物品群Gが形成される。
コンベア制御盤19では、3個の物品Wを積み上げた時点で、物品管理コンピュータ20から伝達された物品群コードBを持つ物品Wを認識しないし、物品管理コンピュータ20から伝達が予定される物品群コードが存在しないことから、物品群コードBに係る物品群Gを形成終了したとし、この物品群Gを払い出す。
【0035】
このように、この実施形態では、物品群コードに係る物品Wが出庫コンベア15、16及び合流コンベア17において存在せず、物品管理コンピュータ20から伝達される物品群コードが存在しない場合、物品群Gを形成終了したと認識する。
物品管理コンピュータ20が物品群コードをコンベア制御盤19に伝達し、コンベア制御盤10は物品群コードに基づいて最後に出庫された物品Wを認識することができる。
さらに、コンベア制御盤19は、出庫コンベア15、16及び合流コンベア17において、物品群コードに係る物品Wが存在しないと認識され、次の物品群コードが物品管理コンピュータ20から通知されることにより、物品管理コンピュータ20から特別な情報の通知や伝達によらず空出庫を認識することができる。
更に言うと、空出庫が含まれ、実際に物品Wが出庫されない場合であっても、物品群コード毎の物品群Gの形成は行われ、空出庫分の物品Gが不足したまま段積形成された物品群Gが払い出される。
つまり、物品群コードの割り当てによる管理上の物品数と、物品群Gを形成する実際の物品数との一致又は相違に関わらず、物品群コード毎の物品群Gが形成され、物品群Gの払い出しが継続される。
従って、物品群コードの割り当てによる管理上の物品数と、物品群を形成する実際の物品数が相違する場合でも、コンベア制御盤19と物品管理コンピュータ20が互いに干渉して物品搬送システム10を停止することはない。
また、この場合、物品段積み機18が段積み中の物品Wに割り当てれた物品群コードと異なる他の物品群コードに係る物品Wを段積みしたり、物品群Gの段積みの形成終了が認識されず待機し続けることはない。
【0036】
この実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)物品群コードが一致する物品Wを段積みし、該当する物品群コードを持つ物品Wが出庫コンベア15、16や合流コンベア17からなくなることにより、コンベア制御盤18が物品群コード毎の物品群Gの形成終了を認識することができる。例えば、空出庫や物品Wの抜き取り等の異常により一部の物品Wがコンベア制御盤18に認識されなくても、物品群コードを持つ物品Wの物品群Gは形成され、形成された物品群Gは払い出することができる。つまり、上記の異常に対して物品搬送システム10の稼動を継続することができる。
(2)コンベア制御盤19は、物品管理コンピュータ20から物品群コードの伝達を受けるが、物品群コードに係る物品Wが、出庫コンベアに15、16や合流コンベア17に存在するとき場合、コンベア制御盤19は物品群Gの形成が終了していないと判断することができる。一方、物品群コードに係る物品Wが、出庫コンベア15、16や合流コンベア17に存在せず、物品管理コンピュータ20から伝達される物品群コードが存在しないとき、コンベア制御盤19は物品群Gを形成終了したと認識するから、物品群コードに係る物品群Gの段積みが完了したとして物品群Gをは払い出すことができる。
(3)複数の出庫コンベア15、16により物品Wを搬送する場合でも、合流コンベア17において物品群コードが一致する物品Wが搬送され、これらの物品Wが段積みされることにより物品群コード毎の物品群Gを形成することができる。
(4)物品群コード毎の物品群Gを形成するとき、管理上の物品数と実際の物品数が一致又は相違しても、コンベア制御盤19は物品群Gの形成終了を認識することができ、形成された物品群Gは継続して払い出される。つまり、出庫対象の複数個の物品Wが段積みされなくても残りの物品Wが物品群コード毎に段積みされ、物品群に異なる物品群コードに係る物品Wが含まれたり、物品搬送システム10が段積みの完了のために待機し続けることがない。
(5)物品群コードが一致する物品Wを段積みして物品群Gを形成するが、物品Wをまとめる順番は考慮されないから、複数の出庫コンベア15、16から合流コンベア17へ物品Wを移動する場合、出庫コンベア15、16は合流コンベア17上において物品群コードの序列が前後しないように物品Wを送り込むだけでよい。このため物品Wの搬送の効率向上を図ることができる。また、従来と比較して物品群Gの形成の際に物品Wの順序の相違による異常が生じることがなく、また、システム上の制御の複雑化が抑制される。
【0037】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態に係る物品の払い出し方法について説明する。
図3に示すように、第2の実施形態に係る物品搬送システムは、基本的に第1の実施形態の物品搬送システム10と同一構成である。
従って、物品搬送システムを構成する要素については、第1の実施形態で用いた符号を共通して用い、第1の実施形態の説明を援用する。
【0038】
この実施形態では、物品管理コンピュータ20が出庫対象となる物品Wに物品群コードを夫々割り当てる際に、物品群コードが一致する物品Wに対し、段積みの順序を示す順番コードを割り当てる。
例えば、図3に示すように、物品群コードAが割り付けられた4個の物品Wには1番〜4番の順番コードを割り付ける(説明の便宜上、図3における物品WにはA−1、A−2、A−3、A−4と示す。)。
別の物品群コードBが割り付けられた4個の物品Wにも、同様に1番〜4番の順番コードを割り付ける(説明の便宜上、図3における物品WにはB−1、B−2、B−3、B−4と示す。)
【0039】
そして、物品群コードが一致する物品Wが、物品段積み機18により段積みされる際には、物品群コード毎の順番コードに従って段積みされる。
この場合、物品群コードAを有する物品Wが順番コードに従って段積みされ、物品群コードAに係る物品群Gが払い出された後に、物品群コードBを有する物品Wが順番コードに従って段積みされる。
【0040】
図3の場合、物品群コードA及び順番コード4番を持つ物品W(A−4)と、物品群コードB及び順番コード4番を持つ物品W(B−4)が、空出庫又はオペレータの抜き出しにより、出庫コンベア15に存在しない状態にある。
この場合、物品群コードAが割り付けられた3個の物品Wが段積みされ、3個の物品Wにより形成される物品群Gが払い出される。
つまり、順番コードに関係なく物品群コードAを持つ物品Wがなくなった時点でコンベア制御盤18は物品群Gの形成終了を認識し、物品群Gを払い出す。
物品群コードBが割り付けられた物品Wも、物品群コードAが割り付けられた物品Wと同様に、物品段積み機18により段積みされ、3個の物品Wにより形成される物品群Gが払い出される。
【0041】
この実施形態によれば、第1の実施形態における作用効果(1)〜(4)を奏する。
また、物品群コード毎に段積みの順番を示す順番コードが割り付けられるため、段積みの順番が必要な物品群Gを形成することができる。
また、順番コードの割り付けは物品群コード毎に行われることから、システム上の複雑化を招くおそれは少ない。
【0042】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態に係る物品の払い出し方法について説明する。
図4は、第3の実施形態に係る物品搬送システムの概略構成を示す平面図である。
図4に示すように、第2の実施形態に係る物品搬送システム30は、単一の自動倉庫31と、単一の出庫コンベア35と、コンベア制御盤39と、物品管理コンピュータ40を有する。
【0043】
自動倉庫31は、物品収容部33を有する物品保管棚32と、スタッカクレーン34を有する。
この実施形態の出庫コンベア35は、屈曲した物品Wの搬送面を備えている。
出庫コンベア35の上流端付近はスタッカクレーン34を臨んでおり、出庫コンベア35の下流端付近には、物品段積み機38が設置されている。
物品段積み機38は、第1の実施形態と同一構成である。
コンベア制御盤39は、出庫コンベア35と物品段積み機38を制御するほか、物品管理コンピュータ40と交信することができる。
物品管理コンピュータ40は、物品搬送システム30を管理するコンピュータであり、具体的には、物品Wの在庫管理及び入出庫管理を行うほか、自動倉庫31やコンベア制御盤39を制御する。
【0044】
この実施形態の物品Wの払い出しは、第1の実施形態と基本的に同じである。
図4に示す場合では、物品群コードAと物品群コードBが割り当てられた物品Wが出庫コンベア35により順次搬送される。
物品群コードAに係る物品Wが、物品コードBに係る物品Wよりも先に出庫されるように、物品群コードの序列が定められている。
物品管理コンピュータ40は、出庫すべき物品Wが出庫コンベア35へ出庫された時点で、割り当てた物品群コードをコンベア制御盤39へ伝達している。
このとき、スタッカクレーン34による現在出庫中の物品W及び物品保管棚32において出庫待ちの物品Wが存在する場合、これらの物品Wに割り当てられた物品群コードを常にコンベア制御盤39へ伝達する。
一方、出庫コンベア35上の物品Wは物品段積み機38へ向けて搬送される。
【0045】
物品段積み機38において、物品群コードが一致する物品Wが順次段積される。
段積される物品Wと同じ物品群コードを有する物品Wが、出庫コンベア35に存在したり、あるいは、現在出庫中及び出庫待ちの物品Wが存在する場合、すなわち、物品管理コンピュータ40が物品群コードをコンベア制御盤39へ常に伝達している状態では、同じ物品群コードをもつ物品Wがなくなるまで物品Wの段積みを行う。
また、物品群コードをコンベア制御盤39へ常に伝達していない状態では、出庫コンベア35において、段積み中の物品Wと同じ物品群コードを持つ物品Wがなくなるまで段積みを行う。
【0046】
この実施形態では、出庫コンベア35が単一のコンベアであっても、物品群コードが一致する物品Wを段積みするようにし、該当する物品群コードを持つ物品Wが出庫コンベア35からなくなることにより、コンベア制御盤39が物品群Gの形成終了を認識することができる。
さらに言うと、の実施形態によれば、物品管理コンピュータ60が物品群コードをコンベア制御盤59に通知し、コンベア制御盤59において、物品群コードに係る物品Wが出庫コンベア35に存在しないことが認識されるとともに、物品管理コンピュータ60から伝達される物品群コードがなくなるとき、物品群コードに係る物品群Gを形成終了したと認識される。
従って、空出庫や物品Wの抜き取り等の異常により一部の物品Wが出庫コンベア35において認識されなくても、物品群コードを持つ物品Wの物品群Gは形成され、形成された物品群Gを払い出しすることができる。
【0047】
なお、本発明は、上記した第1〜第3の実施形態に限定されるものではなく発明の趣旨の範囲内で種々の変更が可能であり、例えば、次のように変更してもよい。
○ 第1〜第3の実施形態では、出庫対象の物品を段積みして払い出すようにしたが、物品群の形態は段積みに限定されない。例えば、複数の物品をまとめて袋詰めした後に払い出すようにしてもよく、払い出す物品群の形態は、少なくとも出庫対象の物品をまとめた状態の物品群であればよい。
○ 第1〜第3の実施形態では、物品保管棚とスタッカクレーンを備えた自動倉庫としたが、例えば、スタッカクレーンに代えて有軌道台車を出庫手段としてもよい。この場合、スタッカクレーン及び有軌道台車は物品を搭載して搬送する無人搬送車に相当する。
○ 第1、第2の実施形態では、出庫コンベアを何れも2台としたが、出庫コンベアの数は限定されない。また、合流コンベアに対する出庫コンベアの接続形態も自由である。
○ 第1、第2の実施形態では、コンベア制御盤が出庫コンベア、合流コンベア、物品段積み機を制御するようにしたが、出庫コンベア、合流コンベア、物品段積み機に制御盤を夫々設け、制御盤が互いに通信できる構成としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】第1の実施形態に係る物品搬送システムを示す平面図である。
【図2】第1の実施形態に係る物品の払い出し方法を説明する要部平面図である。
【図3】第2の実施形態に係る物品の払い出し方法を示す平面図である。
【図4】第3の実施形態に係る物品搬送システムを示す平面図である。
【図5】従来の物品搬送システムを示す平面図である。
【符号の説明】
【0049】
10、30、50 物品搬送システム
11a、11b、31、51a、51b 自動倉庫
14、34、54 スタッカクレーン
15、16、35、55、56 出庫コンベア
17、57 合流コンベア
18、38、58 物品段積み機
19、39、59 コンベア制御盤
20、40、60 物品管理コンピュータ
W 物品
G 物品群
A、B 物品群コード
F 最終フラグ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
保管中の物品を出庫指示に基づいて出庫手段により出庫し、出庫された前記物品を前記出庫手段に対応する出庫コンベアにより順次搬送し、搬送後の複数の前記物品をまとめて物品群を形成し、該物品群を払い出す物品の払い出し方法であって、
出庫指示が発生したとき、前記物品群毎の物品群コードを設定し、
前記物品の出庫時に前記物品群コードを前記物品へ夫々割り当て、
前記物品群コードが一致する前記物品をまとめ、前記物品群コードに係る前記物品群を形成し、
形成中の前記物品群に係る前記物品群コードが、まとめ前の前記物品において存在しないとき、該物品群の形成終了を認識させ、
該物品群を払い出すことを特徴とする物品の払い出し方法。
【請求項2】
前記出庫コンベアを制御するコンベア制御盤が、物品群毎の物品群コードを設定する物品管理コンピュータから物品群コードの伝達を受けた後、物品群コードに係る出庫コンベア上の物品が前記コンベア制御盤により認識されなくなるともに、前記物品管理コンピュータから伝達される物品群コードがなくなるとき、該物品群の形成終了したと認識させることを特徴とする請求項1記載の物品の払い出し方法。
【請求項3】
複数の前記出庫手段により前記物品を出庫し、出庫された前記物品を前記出庫手段に対応する複数の出庫コンベアにより順次搬送し、
前記出庫コンベアから前記物品群コードが一致する前記物品を合流コンベアへ合流させることを特徴とする請求項1記載の物品の払い出し方法。
【請求項4】
前記各物品を順不同によりまとめて前記物品群を形成することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項記載の物品の払い出し方法。
【請求項5】
前記物品群コードが一致する前記物品に対し、まとめる順序を示す順番コードを予め割り当て、前記物品群コードが一致する前記物品をまとめるとき、前記物品を順番コードに従ってまとめることにより前記物品群を形成することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項記載の物品の払い出し方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−169015(P2007−169015A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−371341(P2005−371341)
【出願日】平成17年12月26日(2005.12.26)
【出願人】(000003218)株式会社豊田自動織機 (4,162)
【Fターム(参考)】