説明

物品仕分け設備における容器の物品投入情報の管理方法

【課題】 現物を目視することなく容器の物品投入状態と投入指示情報を照合して正確且つ迅速に検品できるようにする。
【解決手段】 物品供給棚から投入指示情報に基づいてピッキングした物品を仕分け先別の容器に投入して送り出す物品仕分け設備において、各容器に識別情報を付与し、物品投入後の容器内を撮影するカメラを設け、カメラで撮影した画像情報とその撮影前の投入指示情報を撮影した容器の識別情報に関連付けて管理コンピュータに記録し、投入指示情報とそれに対応する画像情報を表示装置で一画面に表示できる表示手段を管理コンピュータに備え、表示装置の表示画面で容器内の物品の品種と個数を投入指示情報と照合して確認できるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品供給棚から投入指示情報に基づいてピッキングした物品を仕分け先別の容器に投入して送り出す物品仕分け設備において、物品投入後の容器内の検品を現物を目視することなく正確且つ迅速に行えるようにする技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、少量多品種のバラ物の仕分け作業や詰め合わせ作業(例えば特許文献1,2参照)では、その後工程で表や画面に示された内容物予定リストと現実の内容物(以下、実内容物という)を目視比較して過不足を検品したり、実内容物の総重量と予定重量を比較する重量検品を行っている。これらの検品結果は、シートや画面入力操作による文字情報として記録保存されている。
【0003】
ところで、従来の検品結果は信頼性が十分とはいえず、検品結果に信頼性を要求する場合は検品作業を繰り返す必要があった。検品直後であれば検品作業の繰り返しも若干の作業負荷で済むが、ある程度時間が経過している場合は搬送等の作業負荷が発生し、梱包済み等で出庫準備が終わっている場合は梱包を解いて検品を行い再度梱包するという多大な作業負荷が避けられなかった。また、既に出荷が終わっていれば再検品は不可能であった。
【特許文献1】特開平9−136706号公報
【特許文献2】特開2005−206316号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、従来のこれらの問題点を解消し、現物を目視することなく容器の物品投入状態と投入指示情報を照合して正確且つ迅速に確認できる物品仕分け設備における容器の物品投入情報の管理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる課題を解決した本発明の構成は、
1) 物品供給棚から投入指示情報に基づいてピッキングした物品を仕分け先別の容器に投入して送り出す物品仕分け設備において、各容器に識別情報を付与し、物品投入後の容器内を撮影するカメラを設け、カメラで撮影した画像情報とその撮影前の投入指示情報を撮影した容器の識別情報に関連付けて管理コンピュータに記録し、投入指示情報とそれに対応する画像情報を表示装置で一画面に表示できる表示手段を管理コンピュータに備え、表示装置の表示画面で容器内の物品の品種と個数を投入指示情報と照合して確認できるようにしたことを特徴とする、物品仕分け設備における容器の物品投入情報の管理方法
2) 撮影した最新の画像情報を記録済みの以前の画像情報に上書きするとともに投入指示情報を指示順に追記するようにした、前記1)記載の物品仕分け設備における容器の物品投入情報の管理方法
3) 特定品種の物品を投入した全ての容器を検索して表示装置に表示できる手段を管理コンピュータの表示手段に備えた、前記1)又は2)記載の物品仕分け設備における容器の物品投入情報の管理方法
にある。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば以下の効果を奏する。
1)容器の実内容物が実写による画像として機械的に記録されるから、人手の記入又は操作による文字情報等とは比較にならない高い信頼性が得られる。
2)現物の目視確認が不要となるから、容器の取り出しや搬送、梱包解き等の手間を省略して迅速に検品できる。
3)既に出荷済みで存在しない容器の検品が可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明では、画像情報は最新の画像情報だけを上書きして更新しても良いし、撮影した全ての画像情報を撮影日時とともに履歴情報として蓄積しても良い。履歴情報として蓄積すると、どの時点で投入ミスが生じたかを把握できる。特定品種の物品を投入した全ての容器を検索して表示装置に表示できる手段を表示手段に備えると、最後の物品投入の際、ピッキングすべき物品の欠品又は残品が発生した場合に過不足のある容器を早期に発見して対処できる。また、過不足時に操作する過不足ボタン等を物品供給棚の取り出し間口それぞれに備え、特定品種の過不足が発生した場合に操作することで、表示装置にその品種の物品を投入した全ての容器の画像情報と投入指示情報を自動的に警告表示できるようにしてもよい。容器の識別情報としては、管理コンピュータに固有の容器番号を登録する方法、識別ラベルを容器に付着してカメラで物品とともに撮影して管理する方法等がある。記録した画像情報は画像処理ソフトウェアで画像に写っている物品の品種と個数を認識させて自動検品させるようにすることも可能である。以下、本発明の実施例を図面に基づいて具体的に説明する。
【実施例1】
【0008】
図1〜7に示す実施例は、品種別にまとめた状態で工場から供給されてくる種々のパン製品を仕分け先である小売店舗別の容器に所定の品種を要求個数投入して分配する物品仕分け設備に本発明を適用した例である。図1は実施例の物品仕分け設備の説明図、図2は実施例の管理コンピュータの説明図、図3は実施例の容器番号ファイルの構造を示す説明図、図4は実施例の管理コンピュータの表示画面の説明図、図5〜7は実施例のフローである。
【0009】
本実施例の物品仕分け設備は、図1に示すように、作業者Hが投入作業する第1及び第2投入ステーション1,2と、複段複列の物品供給棚3と、物品mを品種別にまとめた状態で収容するケース3aと、物品供給棚3の取り出し間口に備えたピッキング数表示器4と、各ピッキング数表示器4と同じ表示をする投入確認用のための表示盤4aと、投入する容器Tを第1及び第2投入ステーション1,2に搬送する投入ライン5と、投入ライン5を発進させる投入ライン発進ボタン5aと、満杯又は仕分けが完了した容器Tを搬出する搬出ライン6と、非満杯の容器Tを搬送する搬送ライン7と、移載装置8と、非満杯の容器Tを段積みしてコラムCを形成する段積み装置9と、コラムCを一時貯留するコラム貯留ライン10と、コラムCをコラム貯留ライン10の最後尾に戻すコラムバイパスライン11と、コラムCをばらす段ばらし装置12と、ばらした容器Tを回送する回送ライン13と、ばらした後に物品投入しない容器Tを段積み装置9へ送るバイパスライン14と、空の容器Tを送り出す空容器供給装置15と、容器Tの内部を撮影するカメラ16と、管理コンピュータ17とで構成されている。
【0010】
カメラ16は投入ライン5の送り先位置に真下へ向けて所定高さに取り付け、管理コンピュータ17と接続している。カメラ16はCCDカメラを用いている。カメラ16又はその近接位置にはセンサ(図示せず)を備え付け、搬送された容器Tの存在を検知して自動的に撮影できるようにしている。各容器Tには空容器供給装置15から供給された際に識別情報である容器番号が登録される。
【0011】
管理コンピュータ17は、図2に示すように表示装置17aと入力装置17bと固定ディスク17cとを有し、仕分け先別に分配する物品mの品種と個数を管理する物品データベース17dと、各ピッキング数表示器4の表示制御プログラム17eと、投入指示情報17iと画像情報17jを容器T別に管理する容器番号ファイル17fと、カメラ16から転送された画像情報17jとその撮影前の投入指示情報17iを撮影された容器Tの容器番号ファイル17fに記録する記録プログラム17gと、容器番号又は物品mの品種名をキーワードにして投入指示情報17iと画像情報17jを容器番号ファイル17fから検索して表示装置17aに表示する表示プログラム17hとを備えている。
【0012】
以下、本実施例を図3,4及び図5〜7のフローに基づいて説明する。物品供給棚3には複数種の物品mが品種毎のケース3aに収容された状態で後方から前詰めして供給され、空容器供給装置15から空の容器Tが送り出されて容器番号が登録され、投入ライン5で第1投入ステーション1に搬送される。その容器番号は店舗名・店番・仕分日・配送便番号とともに容器番号ファイル17fに記録される。ピッキング表示器4にはその容器Tに投入すべき個数が表示され、作業者Hが各棚の物品mをケース3aから指示個数ピッキングして容器Tに投入する。投入が完了すると投入ライン発進ボタン5aの操作で投入ライン5を発進させて容器Tを第2投入ステーション2に搬送し、第1投入ステーション1と同様にピッキングが行われる。第2投入ステーション2で投入すべき物品mが無い場合は通過させる。
【0013】
容器Tが投入ライン5の終端に搬送されると、図示しないセンサが容器Tの存在を検知してカメラ16がその容器Tの内部を撮影し、撮影した画像情報17jが管理コンピュータ17へ転送される。管理コンピュータ17では、記録プログラム17gが転送されてきた画像情報17jと撮影前の第1及び第2投入ステーション1,2の投入指示情報17iをその撮影した容器Tの容器番号ファイル17fに記録する。投入指示情報17iは指示順に追記され、画像情報17jは最新のものが上書きされる(図3参照)。
【0014】
撮影後の容器Tはその投入状態(満杯・非満杯・仕分け完了等)に応じて搬出コンベヤ6又は搬送ライン7へ移載装置8で移載する。搬出コンベヤ6へ移載された容器Tは出庫され、搬送ライン7へ移載された容器Tは段積み装置9で段積みされてコラム貯留ライン10で貯留される。第1投入ステーション1で投入すべき次の物品mが物品供給棚3の取り出し間口に供給されると、コラム貯留ライン10のコラムCが段ばらし装置12でばらされ、投入されるべき容器Tが回送ライン13で第1投入ステーション1へ回送されて前記と同様にピッキングが行われる。コラムCに投入されるべき容器Tが無い場合はコラムバイパスライン11で最後尾に戻され、ばらされた容器Tのうち投入されるべき容器T以外の容器Tはバイパスライン14で段積み装置9へ搬送されてコラムCが再度形成される。このようにして、物品mを投入した複数の容器Tがカメラ16で逐次撮影されて記録され、管理コンピュータ17の容器番号ファイル17fが更新される。
【0015】
検品する際は、管理コンピュータ17に入力装置17bで容器番号を入力して検索し、表示プログラム17hが該当する容器番号ファイル17fの投入指示情報17iと最新の投入指示後の画像情報17jを検索して図4に示すように一画面に表示させる。この投入指示情報17iと画像情報17jに写っている物品mの品種と個数を画面上で照合し、必要な品種・個数の物品mが揃っていることを確認する。不足している場合は補充し、余剰の物品mがあれば取り除く。容器Tが取り出し困難な位置にある場合は、出庫後に管理コンピュータ17で警告表示して補充させるようにする。
【0016】
また、ある品種の最終投入指示において、物品供給棚3でピッキングすべき物品mの欠品又は残品が発生した場合、管理コンピュータ17に入力装置17bで物品mの品種名を入力して検索し、表示プログラム17hがその品種の物品mを投入した全ての容器Tの投入指示情報17iと画像情報17jを表示し、その投入状態を確認することで過不足のある容器Tを早期に発見して対処できる。さらに、段積みされたコラムCが転倒し、散乱した物品mがどの容器Tのものかわからなくなった場合も、その容器Tの容器番号で検索して投入指示情報17iを表示画面で確認しながら回収することで、転倒前の状態に正確に復帰できる。
【0017】
図8〜10に示すのは、画像情報を上書きせずに投入指示情報とともに記録して蓄積するようにした実施例の他の例である。図8は実施例の他の例の容器番号ファイルの構造を示す説明図、図9,10は実施例の他の例の管理コンピュータの表示画面の説明図である。この例では、図8に示すように画像情報17jを上書きせずに投入指示情報17iとともに指示順に記録している。このように画像情報17jまで履歴情報として蓄積すると、図9(1回目),図10(2回目)に示すように任意の投入回数における容器Tの投入状態を表示させることができ、どの時点で投入ミスが生じたかを把握できるようになる。その他、符号、構成、作用効果は実施例と同じである。
【産業上の利用可能性】
【0018】
本発明は、アンパン,クリームパン,食パン等の単品売りの商品を小売店舗別に分配する物品仕分け設備に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】実施例の物品仕分け設備の説明図である。
【図2】実施例の管理コンピュータの説明図である。
【図3】実施例の容器番号ファイルの構造を示す説明図である。
【図4】実施例の管理コンピュータの表示画面の説明図である。
【図5】実施例のフローである。
【図6】実施例のフローである。
【図7】実施例のフローである。
【図8】実施例の他の例の容器番号ファイルの構造を示す説明図である。
【図9】実施例の他の例の管理コンピュータの表示画面の説明図である。
【図10】実施例の他の例の管理コンピュータの表示画面の説明図である。
【符号の説明】
【0020】
1 第1投入ステーション
2 第2投入ステーション
3 物品供給棚
3a ケース
4 ピッキング数表示器
4a 表示盤
5 投入ライン
5a 投入ライン発進ボタン
6 搬出ライン
7 搬送ライン
8 移載装置
9 段積み装置
10 コラム貯留ライン
11 コラムバイパスライン
12 段ばらし装置
13 回送ライン
14 バイパスライン
15 空容器供給装置
16 カメラ
17 管理コンピュータ
17a 表示装置
17b 入力装置
17c 固定ディスク
17d 物品データベース
17e 表示制御プログラム
17f 容器番号ファイル
17g 記録プログラム
17h 表示プログラム
17i 投入指示情報
17j 画像情報
C コラム
H 作業者
m 物品
T 容器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品供給棚から投入指示情報に基づいてピッキングした物品を仕分け先別の容器に投入して送り出す物品仕分け設備において、各容器に識別情報を付与し、物品投入後の容器内を撮影するカメラを設け、カメラで撮影した画像情報とその撮影前の投入指示情報を撮影した容器の識別情報に関連付けて管理コンピュータに記録し、投入指示情報とそれに対応する画像情報を表示装置で一画面に表示できる表示手段を管理コンピュータに備え、表示装置の表示画面で容器内の物品の品種と個数を投入指示情報と照合して確認できるようにしたことを特徴とする、物品仕分け設備における容器の物品投入情報の管理方法。
【請求項2】
撮影した最新の画像情報を記録済みの以前の画像情報に上書きするとともに投入指示情報を指示順に追記するようにした、請求項1記載の物品仕分け設備における容器の物品投入情報の管理方法。
【請求項3】
特定品種の物品を投入した全ての容器を検索して表示装置に表示できる手段を管理コンピュータの表示手段に備えた、請求項1又は2記載の物品仕分け設備における容器の物品投入情報の管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−100798(P2008−100798A)
【公開日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−283823(P2006−283823)
【出願日】平成18年10月18日(2006.10.18)
【出願人】(000196705)西部電機株式会社 (80)
【Fターム(参考)】