説明

物品保管装置

【課題】利用者によって指定された収納部に物品を収納することができない場合に、利用者が代替収納部を選択しやすくなる物品保管装置を提供する。
【解決手段】保管先収納部が故障していると判別された場合には、制御部105は、保管先収納部が故障していることをタッチパネル付表示器102に表示する。次に、制御部105は、代替収納部候補提示処理を行なう。具体的には、制御部105は、収納部管理テーブル104cに基づいて、所定の第1条件を満たす収納部と、所定の第2条件を満たす収納部と、所定の第3条件を満たす収納部とを検索する。そして、制御部105は、検索された収納部を代替収納部候補として決定し、各代替収納部候補を表すボタンを含む代替収納部候補選択画面をタッチパネル付表示器102に表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、物品を保管する物品保管装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、銀行などの金融機関などに設置され、束通帳やファイルなどの重要物を保管する物品保管装置が知られている。例えば、特許文献1には、施解錠可能な収納部を有する複数の収納ユニットと、各収納部の施解錠を制御する制御ユニットとを備えた物品保管装置が開示されている。
特許文献1に開示された物品保管装置では、制御ユニットの記憶部には、利用者毎にその利用者が解錠権限を有する収納部の情報を記憶した利用者管理テーブルが格納されている。利用者が物品の収納または取出しを行う際には、制御ユニットは、利用者のログイン操作に基づいて認証処理を行って、当該利用者の情報を取得する。次に、制御ユニットは、利用者に物品の収納または取出しを行う収納部を指定させる。この後、制御ユニットは、個人認証によって得た当該利用者の情報と利用者管理テーブルとに基づいて、利用者によって指定された保管先収納部が当該利用者が解錠権限を有する収納部であるか否かを判別する。そして、利用者によって指定された保管先収納部が当該利用者が解錠権限を有する収納部である場合に、制御ユニットは、当該収納部を解錠させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−63980号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述した従来の物品保管装置に物品を収納する際に、利用者が指定した保管先収納部が故障していたり、満杯となっていたりすると、利用者は保管先収納部に物品を収納することができなくなる。このような場合には、例えば、当該利用者が解錠権限を有する他の収納部のうち、その収納部に対して解錠権限を有する利用者が、前記保管先収納部に対して解錠権限を有する利用者と一致する収納部に当該物品を収納させることが考えられる。しかしながら、当該利用者は他の利用者がいずれの収納部について解錠権限を有しているかを認識できないため、前記保管先収納部と解錠権限を有する利用者が一致する他の収納部を特定することは困難である。
【0005】
このようなことから、利用者が指定した保管先収納部に物品を収納できない場合には、利用者は当該物品を個人で管理することになる。そうすると、利用者に負担がかかるとともに、物品管理のセキュリティ性が低下する。
この発明の目的は、利用者によって指定された収納部に物品を収納することができない場合に、利用者が代替収納部を選択しやすくなる物品保管装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、物品を収納する複数の収納部と、前記各収納部を施解錠する施解錠手段と、前記各収納部とその収納部に対して解錠権限を有する利用者との関係を表す解錠権限設定情報を記憶した記憶手段と、前記各施解錠部を制御する制御手段とを含み、前記制御手段は、前記収納部のうちの1つが、物品を収納すべき保管先収納部として現利用者によって指定されたときに、現利用者によって指定された保管先収納部への物品の収納が可能か否かを判別する判別手段と、前記判別手段によって前記保管先収納部への物品の収納が可能ではないと判別されたときには、前記解錠権限設定情報に基づいて、前記保管先収納部以外の収納部から代替収納部候補を決定する代替収納部候補決定手段と、代替収納部候補決定手段によって決定された代替収納部候補を現利用者に提示する手段とを含む、物品保管装置である。
【0007】
保管先収納部への物品の収納が可能ではないと判別される場合とは、例えば、保管先収納部が故障中である場合、保管先収納部が満杯である場合等のように保管先収納部の状態が物品を収納できる状態でない場合や、二者の認証が必要であるときに一方が不在のために一方の認証を行なうことができない場合などがある。
この発明によれば、保管先収納部への物品の収納が可能ではないと判別されたときには、代替収納部候補を現利用者に提示することができる。このため、現利用者は、代替収納部を選択しやすくなる。
【0008】
また、代替収納部候補決定手段は、各収納部とその収納部に対して解錠権限を有する利用者との関係を考慮して、代替収納部候補を決定することができる。このため、保管先収納部に対して解錠権限を有していない利用者によって解錠されるおそれのある収納部が、代替収納部候補として提示されるのを回避できる。
請求項2記載の発明は、前記代替収納部候補決定手段は、前記保管先収納部以外の収納部のうち、その収納部に対して解錠権限を有する利用者が、前記現利用者のみである収納部を、代替収納部候補として決定する手段を含む、請求項1に記載の物品保管装置である。
【0009】
この構成によれば、代替収納部候補を現利用者に提示できるので、現利用者が代替収納部を選択しやすくなる。また、保管先収納部に対して解錠権限を有していない利用者によって解錠されるおそれのある収納部が、代替収納部候補として提示されるのを回避できる。
請求項3記載の発明は、前記代替収納部候補決定手段は、前記保管先収納部以外の収納部のうち、その収納部に対して解錠権限を有する利用者の全てが、前記保管先収納部に対して解錠権限を有する利用者の全てと一致する収納部を、代替収納部候補として決定する手段を含む、請求項1に記載の物品保管装置である。
【0010】
この構成によれば、代替収納部候補を現利用者に提示できるので、現利用者が代替収納部を選択しやすくなる。また、保管先収納部に対して解錠権限を有していない利用者によって解錠されるおそれのある収納部が、代替収納部候補として提示されるのを回避できる。
請求項4記載の発明は、前記代替収納部候補決定手段は、前記保管先収納部以外の収納部のうち、その収納部に対して解錠権限を有する利用者に、現利用者が含まれておりかつ前記保管先収納部に対して解錠権限を有していない利用者が含まれていない収納部を、代替収納部候補として決定する手段を含む、請求項1に記載の物品保管装置である。
【0011】
この構成によれば、代替収納部候補を現利用者に提示できるので、現利用者が代替収納部を選択しやすくなる。また、保管先収納部に対して解錠権限を有していない利用者によって解錠されるおそれのある収納部が、代替収納部候補として提示されるのを回避できる。
請求項5記載の発明は、前記複数の収納部の中に、その収納部が任意の利用者によって使用されるまでは、当該収納部に対して解錠権限を有する利用者として全ての利用者が設定されており、当該収納部が任意の利用者によって使用されたときには、前記解錠権限設定情報内の当該収納部に対する解錠権限を有する利用者の情報が、当該収納部を使用した前記利用者のみの情報に変更される第1バックアップ用収納部が存在しており、前記代替収納部候補決定手段は、前記保管先収納部以外の収納部に含まれている前記第1バックアップ用収納部のうち、その収納部に対して解錠権限を有する利用者として全ての利用者が設定されている第1バックアップ用収納部を、代替収納部候補として決定する手段を含む、請求項1に記載の物品保管装置である。
【0012】
この構成では、保管先収納部以外の収納部に含まれている第1バックアップ用収納部のうち、その収納部に対して解錠権限を有する利用者として全ての利用者が設定されている第1バックアップ用収納部を代替収納部候補として利用者に提示できる。また、代替収納部候補として提示された第1バックアップ用収納部が代替収納部として使用された場合には、解錠権限設定情報内の当該収納部に対する解錠権限を有する利用者の情報が、当該収納部を代替収納部として使用した前記利用者のみの情報に変更される。したがって、第1バックアップ用収納部が代替収納部として使用されている場合には、保管先収納部に対して解錠権限を有していない利用者によって、当該第1バックアップ用収納部が使用されることはない。
【0013】
請求項6記載の発明は、前記複数の収納部の中に、その収納部が任意の利用者によって代替収納部として使用されるまでは、当該収納部に対して解錠権限を有する利用者が設定されておらず、当該収納部が任意の利用者によって代替収納部として使用されたときには、前記解錠権限設定情報内の当該収納部に対する解錠権限を有する利用者の情報として、当該収納部を代替収納部として使用した前記利用者が設定される第2バックアップ用収納部が存在しており、前記代替収納部候補決定手段は、前記保管先収納部以外の収納部に含まれている前記第2バックアップ用収納部のうち、その収納部に対して解錠権限を有する利用者が設定されていない第2バックアップ用収納部を、代替収納部候補として決定するする手段を含む、請求項1に記載の物品保管装置である。
【0014】
この構成では、保管先収納部以外の収納部に含まれている第2バックアップ用収納部のうち、その収納部に対して解錠権限を有する利用者が設定されていない第2バックアップ用収納部を代替収納部候補として利用者に提示できる。また、代替収納部候補として提示された第2バックアップ用収納部が代替収納部として使用された場合には、解錠権限設定情報内の当該収納部に対する解錠権限を有する利用者の情報として、当該収納部を代替収納部として使用した前記利用者の情報が設定される。したがって、第2バックアップ用収納部が代替収納部として使用されている場合には、保管先収納部に対して解錠権限を有していない利用者によって、当該第2バックアップ用収納部が使用されることはない。
【0015】
請求項7記載の発明は、前記代替収納部候補決定手段は、前記保管先収納部以外の収納部のうち、その収納部に対して解錠権限を有する利用者の全てが、前記保管先収納部に対して解錠権限を有する利用者の全てと一致する収納部と、前記保管先収納部以外の収納部のうち、その収納部に対して解錠権限を有する利用者に、現利用者が含まれておりかつ前記保管先収納部に対して解錠権限を有していない利用者が含まれていない収納部とを、代替収納部候補として決定する手段を含む、請求項1に記載の物品保管装置である。
【0016】
この構成によれば、代替収納部候補を現利用者に提示できるので、現利用者が代替収納部を選択しやすくなる。また、保管先収納部に対して解錠権限を有していない利用者によって解錠されるおそれのある収納部が、代替収納部候補として提示されるのを回避できる。
【発明の効果】
【0017】
この発明によれば、利用者によって指定された収納部に物品を収納することができない場合に、利用者が代替収納部を選択しやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、本実施形態に係る物品保管装置1の外観図である。
【図2】図2は、物品保管装置1の電気的構成を示すブロック図である。
【図3】図3は、施解錠部21の構成を示すブロック図である。
【図4】図4は、利用者管理テーブル104bの一例を示す模式図である。
【図5】図5は、収納部管理テーブル104cの一例を示す模式図である。
【図6】図6は、代替収納部候補提示処理を説明するための模式図である。
【図7A】図7Aは、利用者が物品を収納する場合に、制御部105によって実行される処理の手順を示すフローチャートである。
【図7B】図7Bは、利用者が物品を収納する場合に、制御部105によって実行される処理の手順を示すフローチャートである。
【図8A】図8Aは、代替収納部に臨時的に収納されている物品を管理者が移動させる場合に、制御部105によって実行される処理の手順を示すフローチャートである。
【図8B】図8Bは、代替収納部に臨時的に収納されている物品を管理者が移動させる場合に、制御部105によって実行される処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して、この発明を銀行等の金融機関に設置される物品保管装置に適用した場合の実施形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る物品保管装置の正面図である。
物品保管装置1は、操作制御ユニット10と複数の収納ユニット11〜18とを備えている。つまり、物品保管装置1は、複数のユニット10〜18が組み合わされることによって構成されている。
【0020】
各収納ユニット11〜18は、ファイルや束通帳等の物品を収納する1または複数の収納部と、各収納部を施解錠する施解錠部とを有する。各収納部は、収納部を開閉する部材として、開閉式の扉またはスライド式の引き出しを備えている。以下においては、開閉式の扉またはスライド式の引き出しを総称して、扉ということにする。なお、図1においては、全ての収納ユニット11〜18に設けられている複数の収納部のうちの一部の収納部に対して、A〜Fの符号が付してある。
【0021】
操作制御ユニット10は、収納ユニット11〜18内の各収納部の施解錠等を制御する。利用者は、所定の収納部に物品を収納したり、所定の収納部から物品を取り出したりする場合には、操作制御ユニット10に設けられたタッチパネル付表示器102を操作して、所定の収納部を解錠する。操作制御ユニット10の前面には、磁気カードをカードリータ101(図2参照)に走査させるための、カード挿通孔101aが形成されている。
【0022】
図2は、物品保管装置1の電気的構成を示すブロック図である。
物品保管装置1は、操作制御ユニット10と被制御ユニット20とを備えている。被制御ユニット20は、複数の収納ユニット11〜18を含んでいる。以下の説明においては、説明を簡単にするために、複数の収納ユニット11〜18内の全ての収納部のうち、図1にA〜Fで示す収納部A〜Fのみが操作制御ユニット10の制御対象とされているものとする。したがって、図2においては、全ての収納部に対応する施解錠部のうち、収納部A〜Fに対応する施解錠部21A〜21Fのみが図示されている。なお、これらの施解錠部21A〜21Fを総称する場合には、施解錠部21ということにする。
【0023】
各施解錠部21は、図3に示すように、対応する収納部の扉を施解錠するための施解錠装置(施解錠手段)31と、対応する収納部の扉の開閉状態を検知するための開閉センサ32とを含んでいる。施解錠装置31は、施解錠機構41と、施解錠機構41を駆動するモータ等のアクチュエータ42と、アクチュエータ42の駆動回路43とから構成されている。施解錠装置31は、収納部の扉が閉められると、自動的に施錠されるいわゆるオートロック機能を備えている。開閉センサ32の出力信号は、操作制御ユニット10内の制御部105に送られる。施解錠装置31の駆動回路43は、操作制御ユニット10内の制御部105によって制御される。
【0024】
図2に戻り、操作制御ユニット10は、カードリーダ101と、タッチパネル付表示器102と、記憶部104と、制御部105とを備えている。
カードリーダ101は、利用者が所有している磁気カードから利用者ID(Identification)を読み取るカード読取装置である。タッチパネル付表示器102は、例えばタッチパネル付LCD(Liquid Crystal Display)によって構成され、各種の操作画面等を表示したり、指先等でタッチされた情報を制御部105へ伝えたりする表示操作部である。
【0025】
記憶部104は、例えば、不揮発性メモリまたはハードディスクドライブ等の記憶装置によって構成されており、被制御ユニット管理情報104aと、利用者管理テーブル104bと、収納部管理テーブル104c等が記憶されている。
被制御ユニット管理情報104aは、被制御ユニット20である収納ユニット11〜18に関する情報である。具体的には、被制御ユニット管理情報104aは、収納ユニット11〜18内の各収納部の位置情報等を含んでいる。
【0026】
図4は、利用者管理テーブル104bの一例を示す模式図である。
利用者管理テーブル104bには、物品保管装置1に登録済みの利用者に関する情報が記憶される。この例では、説明の便宜上、利用者としては、4人の利用者U1〜U4が登録されているものとする。具体的には、利用者管理テーブル104bには、利用者U1〜U4の名前毎に、当該利用者のID(利用者ID)および当該利用者が解錠権限を有する収納部(当該利用者が利用可能な収納部)を表す情報が記憶される。
【0027】
図5は、収納部管理テーブル104cの一例を示す模式図である。
収納部管理テーブル104cには、物品保管装置1に登録済みの収納部に関する情報が記憶される。収納部管理テーブル104cには、収納部A〜F毎に、当該収納部の解錠権限を有する利用者(当該収納部を利用可能な利用者)を表す情報と、当該収納部に収納されるべき物品を表す情報が記憶される。
【0028】
図2に戻り、制御部105は、CPUおよびメモリ(ROM,RAM)を含むマイクロコンピュータから構成されている。制御部105は、利用者の認証処理、タッチパネル付表示器102の制御、被制御ユニット20の制御等を行なう。
物品保管装置1に物品を収納する際には、利用者は、タッチパネル付表示器102に表示された収納部選択画面に基づいて、自己が解錠権限を有する収納部のうちから1つの収納部を、物品を収納すべき保管先収納部として選択する。しかしながら、利用者よって指定された保管先収納部が故障中である等の理由によって、当該保管先収納部に物品を収納できない場合がある。制御部105は、このような場合に、収納部管理テーブル104cの内容に基づいて、代替収納部候補を決定して利用者に提示する処理(以下、「代替収納部候補提示処理」という)を行う機能を備えている。利用者は、提示された代替収納部候補から代替収納部を選択し、選択した代替収納部に物品を臨時的に収納する。
【0029】
また、代替収納部に物品が臨時的に収納された後に、前記保管先収納部の故障が修理される等によって正常な状態となった場合には、代替収納部に収納された物品を本来収納すべき前記保管先収納部に戻すことが好ましい。そこで、制御部105は、代替収納部に収納された物品を管理者によって本来収納すべき収納部に移動させるための処理を行なう機能を備えている。管理者は、予め設定された収納部の解錠権限の他、係員メニューに基づく操作を行う権限を有している。係員メニューに基づく操作には、各種の設定操作、エラー解除操作等が含まれている。
【0030】
代替収納部候補提示処理について説明する。収納部管理テーブル104cに設定されている各収納部A〜Fと解錠権限を有する利用者U1〜U4との関係が、図6に示すような内容であるとする。図6の各セルには、そのセルに対応する収納部に対してそのセルに対応する利用者が解錠権限を有している場合には○印が記され、解錠権限を有していない場合には空白とされている。
【0031】
この例では、収納部Aに対しては、利用者U1のみが解錠権限を有している。収納部Bに対しては、利用者U1のみが解錠権限を有している。収納部Cに対しては、利用者U1と利用者U2の二人が解錠権限を有している。収納部Dに対しては、利用者U1と利用者U3の二人が解錠権限を有している。収納部Eに対しては、利用者U1と利用者U2と利用者U3の三人が解錠権限を有している。収納部Fに対しては、全ての利用者U1〜U4が解錠権限を有している。
【0032】
収納部Fは、「第1バックアップ用収納部」として設定されている。「第1バックアップ用収納部」とは、その収納部が任意の利用者によって使用されるまではその収納部に対して解錠権限を有する利用者として全ての利用者が設定されており、当該収納部が任意の利用者によって使用されたときにおいては、収納部管理テーブル104c内の当該収納部に対する解錠権限を有する利用者の情報が当該収納部を使用した前記利用者のみの情報に変更される収納部をいう。
【0033】
以下において、操作制御ユニット10に対して現在操作を行っている利用者を、「現利用者」ということにする。現利用者によって指定された保管先収納部に物品を収納できない場合には、制御部105は、代替収納部候補提示処理を行なう。具体的には、制御部105は、収納部管理テーブル104cの内容に基づいて、次のような第1条件を満たす収納部と、次のような第2条件を満たす収納部と、次のような第3条件を満たす収納部とを検索する。そして、検索された収納部を代替収納部候補して決定し、各代替収納部候補を表すボタンを含む代替収納部選択画面をタッチパネル付表示器102に表示する。
【0034】
第1条件:保管先収納部以外の収納部のうち、その収納部に対して解錠権限を有する利用者の全てが、保管先収納部に対して解錠権限を有する利用者の全てと一致する収納部であること。すなわち、現利用者に対して同じ解錠権限レベルまたは同等以上の解錠権限レベルを有する利用者が利用可能な収納部であること。
第2条件:保管先収納部以外の収納部のうち、その収納部に対して解錠権限を有する利用者に、現利用者が含まれておりかつ保管先収納部に対して解錠権限を有していない利用者が含まれてない収納部であること。
【0035】
第3条件:保管先収納部以外の収納部に含まれている第1バックアップ用収納部のうち、その収納部に対して解錠権限を有する利用者として全ての利用者が設定されている第1バックアップ用収納部であること。
第1条件、第2条件または第3条件は、保管先収納部に対して解錠権限を有していない利用者によって解錠されるおそれがある収納部が、代替収納部候補として決定されないようにするための条件である。したがって、現利用者に提示された代替収納部候補のうちの一つが代替収納部として使用された場合には、保管先収納部に対して解錠権限を有していない利用者によって、当該代替収納部が解錠されることはない。このため、本来的には保管先収納部に収納すべき物品が、代替収納部候補から選択された代替収納部に収納された場合にも、当該物品が保管先収納部に収納された場合と同様の安全性が確保される。
【0036】
以下、複数の具体例を挙げて説明する。
具体例1:現利用者がU1であり、保管先収納部がAである場合には、第1条件を満たす収納部Bと、第3条件を満たす収納部Fとが代替収納部として決定される。なお、この場合には、収納部Bは、第2条件をも満たしている。
具体例2:現利用者がU1であり、保管先収納部がBである場合には、第1条件を満たす収納部Aと、第3条件を満たす収納部Fとが代替収納部として決定される。なお、この場合には、収納部Aは、第2条件をも満たしている。
【0037】
具体例3:現利用者がU1であり、保管先収納部がCである場合には、第2条件を満たす収納部A,Bと、第3条件を満たす収納部Fとが代替収納部として決定される。
具体例4:現利用者がU2であり、保管先収納部がCである場合には、第3条件を満たす収納部Fが代替収納部として決定される。
具体例5:現利用者がU1であり、保管先収納部がDである場合には、第2条件を満たす収納部A,Bと、第3条件を満たす収納部Fが代替収納部として決定される。
【0038】
具体例6:現利用者がU3であり、保管先収納部がDである場合には、第3条件を満たす収納部Fが代替収納部として決定される。
具体例7:現利用者がU1であり、保管先収納部がEである場合には、第2条件を満たす収納部A,B,C,Dと、第3条件を満たす収納部Fが代替収納部として決定される。
具体例8:現利用者がU2であり、保管先収納部がEである場合には、第2条件を満たす収納部Cと、第3条件を満たす収納部Fが代替収納部として決定される。
【0039】
具体例9:現利用者がU3であり、保管先収納部がEである場合には、第2条件を満たす収納部Dと、第3条件を満たす収納部Fが代替収納部として決定される。
図7Aおよび図7Bは、利用者が物品を収納する場合に、制御部105によって実行される処理の手順を示すフローチャートである。
電源が投入されると、制御部105は、タッチパネル付表示器102に待機画面を表示させる(ステップS1)。そして、制御部105は、ログイン操作の待機状態となる(ステップS2)。ログイン操作とは、利用者がカードリーダ101に磁気カードを挿通させる操作をいう。なお、磁気カードには、利用者ID等が磁気記録されている。
【0040】
利用者によってログイン操作が行なわれると(ステップS2:YES)、制御部105は、認証処理を行なって、利用者の認証に成功したか否かを判定する(ステップS3)。具体的には、制御部105は、カードリーダ101によって読み取られた利用者IDが利用者管理テーブル104bに登録されている利用者IDのいずれかと一致するか否かを判定し、両者が一致した場合に、利用者の認証に成功したと判定する。なお、制御部105は、利用者IDに基づく認証処理に加えて、パスワードによる認証処理を行なうようにしてもよい。パスワードによる認証処理では、制御部105は、利用者によって入力されたパスワードが、前記磁気カードから読み取られた利用者IDに関連して予め記憶されているパスワードと一致するか否かを判定し、両者が一致した場合に、利用者の認証に成功したと判定する。
【0041】
前記ステップS3において、利用者の認証に失敗したと判定された場合には(ステップS3:NO)、制御部105は、認証に失敗した旨をタッチパネル付表示器102に表示させた後(ステップS4)、ステップS2に戻って、ログイン操作の待機状態となる。
前記ステップS3において、利用者の認証に成功したと判定された場合には(ステップS3:YES)、制御部105は、タッチパネル付表示器102に操作メニュー画面を表示させる(ステップS5)。操作メニュー画面には、各種操作ボタン、係員メニューボタン、ログアウトボタン等が表示される。各種操作ボタンには、収納部に物品を収納させるための収納ボタン、収納部から物品を取り出すための取出ボタン等が含まれている。係員メニューボタンは、係員操作メニュー画面を表示させるためのボタンである。ログアウトボタンは、表示画面を待機画面に戻すためのボタンである。
【0042】
操作メニュー画面において、現利用者によって収納ボタンが押下されると(ステップS6)、制御部105はタッチパネル付表示器102に収納部選択画面を表示する(ステップS7)。収納部選択画面には、現利用者が解錠権限を有する収納部を表すボタンが表示される。現利用者が解錠権限を有する収納部とは、利用者管理テーブル104bにおいて現利用者が解錠権限を有する収納部として登録されている収納部のうち、収納部管理テーブル104cにおいてその収納部に対して解錠権限を有している利用者として現利用者が登録されている収納部をいう。
【0043】
現利用者は、収納部選択画面において、物品を収納すべき収納部を選択する。現利用者によって物品を収納すべき収納部が選択されると(ステップS8)、制御部105は、現利用者によって選択された収納部(以下、「保管先収納部」という)が故障しているか否かを判別する(ステップS9)。
収納部が故障しているとは、例えば、収納部の施解錠装置31または開閉センサ32が故障している状態をいう。制御部105は、ある収納部が故障したことを検知した場合またはある収納部が故障していることが管理者によって入力された場合には、その収納部が故障中であることを表す収納部故障情報を記憶部104に記憶する。前記ステップS9では、制御部105は、記憶部104に記憶されている収納部故障情報に基づいて、保管先収納部が故障中であるか否かを判別する。
【0044】
前記ステップS9において、保管先収納部が故障中ではないと判別された場合には(ステップS9:NO)、制御部105は、保管先収納部の施解錠装置31を制御することによって、保管先収納部の扉を解錠させる(ステップS10)。現利用者は、保管先収納部の扉を開き、物品を保管先収納部に収納する。そして、保管先収納部の扉を閉じる。扉の開閉状態は、開閉センサ32によって検知される。
【0045】
前記ステップS10で保管先収納部が解錠された後に、保管先収納部の扉が開かれたことが検知されると(ステップS11:YES)、制御部105は、保管先収納部の扉を施錠可能状態にさせる(ステップS12)。つまり、制御部105は、保管先収納部の施解錠装置31を、保管先収納部の扉が閉じられたときに扉が施錠される状態にさせる(ステップS12)。
【0046】
この後、保管先収納部の扉が閉じられたことが検知されると(ステップS13:YES)、制御部105は、保管先収納部が第1バックアップ用収納部(この例では収納部F)であるか否かを判別する(ステップS14)。保管先収納部が第1バックアップ用収納部でなければ(ステップS14:NO)、制御部105は、ステップS16に移行する。一方、保管先収納部が第1バックアップ用収納部であれば(ステップS14:YES)、制御部105は、収納部管理テーブル104c内の第1バックアップ用収納部に対する解錠権限を有する利用者の情報を、現利用者の情報のみに変更した後(ステップS15)、ステップS16に移行する。
【0047】
ステップS16では、制御部105は、タッチパネル付表示器102に第1操作完了画面を表示する。第1操作完了画面には、ログアウトボタンと、操作選択ボタンとが表示される。第1操作完了画面上の操作選択ボタンが押下された場合には(ステップS17:YES)、制御部105は、ステップS5に戻る。一方、第1操作完了画面上のログアウトボタンが押下された場合には(ステップS18:YES)、制御部105は、ステップS1に戻る。
【0048】
前記ステップS9において、保管先収納部が故障していると判別された場合には(ステップS9:YES)、制御部105は、保管先収納部が故障中である旨をタッチパネル付表示器102に表示する(ステップS19)。次に、制御部105は、代替収納部候補提示処理を行なう(ステップS20)。
具体的には、制御部105は、まず、前述したように、収納部管理テーブル104cに基づいて、前記第1条件を満たす収納部と、前記第2条件を満たす収納部と、前記第3条件を満たす収納部とを検索する。そして、制御部105は、検索された収納部を代替収納部候補として決定し、各代替収納部候補を表すボタンを含む代替収納部選択画面をタッチパネル付表示器102に表示する。
【0049】
なお、前記第1条件を満たす代替収納部候補を優先順位が最も高い代替収納部候補とし、前記第2条件を満たす代替収納部候補を優先順位が2番目に高い代替収納部候補とし、前記第3条件を満たす代替収納部候補を優先順位が最も低い代替収納部候補として、検索された全ての代替収納部候補を表すボタンを、優先順位の高いものから順に並べて表示するようにしてもよい。
【0050】
現利用者は、代替収納部選択画面において、物品を収納すべき代替収納部を選択する。現利用者によって物品を収納すべき代替収納部が選択されると(ステップS21)、制御部105は、現利用者によって選択された代替収納部が第1バックアップ用収納部(この例では収納部F)であるか否かを判別し(ステップS22)。現利用者によって選択された代替収納部が第1バックアップ用収納部である場合には(ステップS22:YES)、制御部105は、フラグFbをセット(Fb=1)した後(ステップS23)、ステップS24に移行する。フラグFbの初期値は0である。現利用者によって選択された代替収納部が第1バックアップ用収納部でない場合には(ステップS22:NO)、制御部105は、ステップS24に移行する。
【0051】
ステップS24では、制御部105は、現利用者によって選択された代替収納部の施解錠装置31を制御することによって、代替収納部の扉を解錠させる。現利用者は、代替収納部の扉を開き、物品を代替収納部に一時的に収納する。そして、保管先収納部の扉を閉じる。扉の開閉状態は、開閉センサ32によって検知される。
前記ステップS24で代替収納部の扉が解錠された後に、当該代替収納部の扉が開かれたことが検知されると(ステップS25:YES)、制御部105は、代替収納部の扉を施錠可能状態にする(ステップS26)。つまり、代替収納部の施解錠装置31を、代替収納部の扉が閉じられたときに扉が施錠される状態にさせる。この後、代替収納部の扉が閉じられたことが検知されると(ステップS27:YES)、制御部105は、タッチパネル付表示器102に第2操作完了画面を表示する(ステップS28)。第2操作完了画面には、終了ボタンと、操作選択ボタンとが表示される。
【0052】
第2操作完了画面上の操作選択ボタンが押下された場合には(ステップS29:YES)、制御部105は、ステップS20に戻る。この場合には、制御部105は、代替収納部候補提示処理を再度行なうことになる。
一方、第2操作完了画面上の終了ボタンが押下された場合には(ステップS30:YES)、制御部105は、フラグFbがセットされているか否かを判別する(ステップS31)。フラグFbがリセット(Fb=0)されていれば(ステップS31:NO)、制御部105は、ステップS34に移行する。
【0053】
前記ステップS31において、フラグFbがセット(Fb=1)されていると判別されている場合には(ステップS31:YES)、制御部105は、収納部管理テーブル104c内の第1バックアップ用収納部Fに対する解錠権限を有する利用者の情報を、現利用者の情報のみに変更する(ステップS32)。そして、制御部105は、フラグFbをリセット(Fb=0)した後(ステップS33)、ステップS34に移行する。
【0054】
ステップS34では、制御部105は、代替収納部が利用されたことを示す代替収納部使用ログを作成して、記憶部104に記憶する。代替収納部使用ログには、日時、現利用者のID、代替収納部の番号等が記憶される。
この後、制御部105は、その後に表示される待機画面内に代替収納部が利用されたことを表すアイコン(代替収納通知アイコン)が表示されるように、待機画面データを変更させる(ステップS35)。これにより、その後に、待機画面が表示されたときに、代替収納通知アイコンが表示されるので、管理者等は、収納部のいずれかが代替収納部として利用されたことを知ることができる。そして、制御部105は、ステップS16に移行し、第1終了画面をタッチパネル付表示器102に第1操作完了画面を表示する。前述したように、第1操作完了画面には、ログアウトボタンと、操作選択ボタンとが表示される。
【0055】
第1操作完了画面上の操作選択ボタンが押下された場合には(ステップS17:YES)、制御部105は、ステップS5に戻る。一方、第1操作完了画面上のログアウトボタンが押下された場合には(ステップS18:YES)、制御部105は、ステップS1に戻る。
図8Aおよび図8Bは、代替収納部に臨時的に収納されている物品を管理者が移動させる場合に、制御部105によって実行される処理の手順を示すフローチャートである。
【0056】
前述したように、待機画面に代替収納通知アイコンが表示されている場合に、管理者は、代替収納部(物品移動元収納部)に収納されている物品を本来収納すべき収納部(物品移動先収納部)に戻すための操作を行うことができる。具体的には、管理者は、代替収納通知アイコンを含む待機画面が表示されている状態、つまり、ログイン待機状態において、ログイン操作を行う。
【0057】
ログイン待機状態において、管理者によってログイン操作が行なわれると(ステップS41:YES)、制御部105は、認証処理を行なって、利用者(この場合には管理者)の認証に成功したか否かを判定する(ステップS42)。利用者の認証に失敗したと判定された場合には(ステップS42:NO)、制御部105は、認証に失敗した旨をタッチパネル付表示器102に表示させた後(ステップS43)、ステップS41に戻って、ログイン操作の待機状態となる。
【0058】
前記ステップS42において、利用者(この場合には管理者)の認証に成功したと判定された場合には(ステップS42:YES)、制御部105は、タッチパネル付表示器102に操作メニュー画面を表示させる(ステップS44)。操作メニュー画面には、前述したように、各種操作ボタン、係員メニューボタン、ログアウトボタン等が表示される。
操作メニュー画面において、管理者によって係員メニューボタンが押下されると(ステップS45)、制御部105はタッチパネル付表示器102に係員操作メニュー画面を表示する(ステップS46)。係員操作メニュー画面には、各種の設定を行うための設定メニューボタン、エラー確認ボタン等が表示される。
【0059】
管理者によってエラー確認ボタンが押下されると(ステップS47)、制御部105は、エラー確認画面をタッチパネル付表示器102に表示する(ステップS48)。エラー確認画面には、エラー解除ボタンとキャンセルボタンとが表示される。
エラー確認画面上のキャンセルボタンが押下された場合には(ステップS49:YES)、制御部105は、タッチパネル付表示器102に第3操作完了画面を表示する(ステップS51)。第3操作完了画面には、ログアウトボタンと、操作選択ボタンとが表示される。
【0060】
第3操作完了画面上の操作選択ボタンが押下された場合には(ステップS52:YES)、制御部105は、ステップS44に戻る。一方、第3操作完了画面上のログアウトボタンが押下された場合には(ステップS53:YES)、制御部105は、タッチパネル付表示器102に待機画面を表示させた後(ステップS54)、ステップS41に戻る。
前記ステップS48で表示されたエラー確認画面上のエラー解除ボタンが押下された場合には(ステップS50:YES)、記憶部104に故障中として記憶されている収納部(以下、「物品移動先収納部」という)に対して、動作チェックを行う(ステップS55)。
【0061】
動作チェックの結果が異常である場合には(ステップS56:NO)、制御部105は、物品移動先収納部が現在も故障中である旨を、タッチパネル付表示器102に表示する(ステップS57)。そして、制御部105は、ステップS51に移行する。
一方、動作チェックの結果が正常である場合には(ステップS56:YES)、制御部105は、タッチパネル付表示器102に、物品移動先収納部が正常である旨を表示するとともに、物品移動元収納部を示す情報を表示する(ステップS58)。ここで、物品移動元収納部とは、代替収納部として使用された収納部であって、当該収納部に臨時的に収納された物品が本来収納されるべき収納部に管理者によって移動されていない収納部(後述するステップS59による解錠が行なわれてない収納部)をいう。
【0062】
物品移動元収納部は、記憶部104に記憶されている代替収納部使用ログに基づいて特定することができる。物品移動元収納部を示す情報は、例えば、物品移動元収納部の位置を模式的に示す模式図であってもよい。これにより、管理者は、物品移動元収納部を認識することができる。なお、制御部105は、物品移動元収納部を示す情報を表示する際に、当該収納部を代替収納部として利用した利用者の情報も表示するようにしてもよい。
【0063】
次に、制御部105は、物品移動元収納部の施解錠装置31を制御することによって、当該物品移動元収納部の扉を解錠させる(ステップS59)。管理者は、物品移動元収納部の扉を開き、当該物品移動元収納部が代替収納部として用いられたときに、当該物品移動元収納部に臨時的に収納された物品を取り出す。そして、物品移動元収納部の扉を閉める。取り出すべき物品の特定は、例えば、物品移動元収納部を代替収納部として用いた利用者に立ち会ってもらい、その利用者に特定させる方法、物品移動元収納物に本来収納させるべき物品の種類とは異なる種類の物品を取り出すべき物品として特定する方法等がある。
【0064】
前記ステップS59で物品移動元収納部の扉が解錠された後に、物品移動元収納部の扉が開かれたことが検知されると(ステップS60:YES)、制御部105は、物品移動元収納部の扉を施錠可能状態にさせる(ステップS61)。つまり、制御部105は、物品移動元収納部の施解錠装置31を、当該物品移動元収納部の扉が閉じられたときに扉が施錠される状態にさせる。
【0065】
この後、物品移動元収納部の扉が閉じられたことが検知されると(ステップS62:YES)、制御部105は、動作チェックにより正常であると判定された物品移動先収納部の施解錠装置31を制御することによって、物品移動先収納部の扉を解錠させる(ステップS63)。管理者は、物品移動先収納部の扉を開き、この物品移動先収納部に、物品移動元収納部から取り出した物品を収納する。そして、物品移動先収納部の扉を閉じる。
【0066】
前記ステップS63で物品移動先収納部の扉が解錠された後に、当該物品移動先収納部の扉が開かれたことが検知されると(ステップS64:YES)、制御部105は、当該物品移動先収納部の扉を施錠可能状態にさせる(ステップS65)。つまり、制御部105は、当該物品移動先収納部の施解錠装置31を、当該物品移動先収納部の扉が閉じられたときに扉が施錠される状態にさせる。
【0067】
この後、当該当該物品移動先収納部の扉が閉じられたことが検知されると(ステップS66:YES)、前記物品移動元収納部が第1バックアップ用収納部Fであるか否かを判別する(ステップS67)。前記物品移動元収納部が第1バックアップ用収納部Fであれば(ステップS67:YES)、制御部105は、収納部管理テーブル104c内の第1バックアップ用収納部Fに対する解錠権限を有する利用者の情報を、全ての利用者の情報に変更する(ステップS68)。そして、ステップS69に移行する。
【0068】
一方、前記物品移動元収納部が第1バックアップ用収納部Fでなければ(ステップS67:NO)、制御部105は、ステップS69に移行する。
ステップS69では、制御部105は、この後に表示される待機画面に代替収納通知アイコンが表示されないように、待機画面データを変更させる。この後、制御部105は、ステップS51に移行する。
【0069】
以上、この発明の一実施形態について説明したが、この発明はさらに他の形態で実施することもできる。たとえば、前述の実施形態では、制御部105は、現利用者によって指定された保管先収納部が故障している場合に、代替収納部提示処理を行なって現利用者に代替収納部を提示しているが(図7A、図7BのステップS9、S19,S20参照)、保管先収納部が満杯である場合や現利用者と管理者との二者の認証が必要である場合に、現利用者の認証に成功してから所定時間以内に管理者によるログイン操作が行なわれなかった場合にも、代替収納部提示処理を行なうようにしてもよい。なお、保管先収納部が満杯であるかは、例えば、各収納部に物品が満杯となったことを検知する満杯センサを設けておき、この満杯センサの出力信号に基づいて判別することができる。
【0070】
また、前記第1バックアップ用収納部に代えてまたは前記第1バックアップ用収納部に加えて、次のような第2バックアップ用収納部を設けてもよい。第2バックアップ用収納部は、その収納部が任意の利用者によって代替収納部として使用されるまでは、当該収納部に対して解錠権限を有する利用者が設定されておらず、当該収納部が任意の利用者によって代替収納部として使用されたときには、収納部管理テーブル104c内のその収納部に対する解錠権限を有する利用者の情報がその収納部を代替収納部として使用した前記利用者のみの情報に変更される収納部である。
【0071】
第2バックアップ用収納部が設けられている場合には、代替収納部候補提示処理において、保管先収納部以外の収納部に含まれている第2バックアップ用収納部のうち、その収納部に対して解錠権限を有する利用者が設定されていない第2バックアップ用収納部も、代替収納部候補として提示されることなる。
また、前記物品保管装置に他の物品保管装置がネットワークによって接続されている場合には、他の物品保管装置内の収納部を代替収納部候補して決定するようにしてもよい。
【0072】
また、図7AのステップS14およびステップS15の処理を省略してもよい。
また、図7BのステップS32において、第1バックアップ用収納部Fに対する解錠権限を有する利用者の情報を、現利用者の情報のみに変更するのではなく、保管先収納部に対して解錠権限を有する利用者の情報に変更するようにしてもよい。
この発明は、以上の実施形態の内容に限定されるものではなく、請求項記載の範囲内において種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0073】
1 物品保管装置
10 操作制御ユニット
11〜18 収納ユニット
21 施解錠部
104 記憶部
104c 収納部管理テーブル
105 制御部
A〜F 収納部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を収納する複数の収納部と、
前記各収納部を施解錠する施解錠手段と、
前記各収納部とその収納部に対して解錠権限を有する利用者との関係を表す解錠権限設定情報を記憶した記憶手段と、
前記各施解錠部を制御する制御手段とを含み、
前記制御手段は、前記収納部のうちの1つが、物品を収納すべき保管先収納部として現利用者によって指定されたときに、現利用者によって指定された保管先収納部への物品の収納が可能か否かを判別する判別手段と、
前記判別手段によって前記保管先収納部への物品の収納が可能ではないと判別されたときには、前記解錠権限設定情報に基づいて、前記保管先収納部以外の収納部から代替収納部候補を決定する代替収納部候補決定手段と、代替収納部候補決定手段によって決定された代替収納部候補を現利用者に提示する手段とを含む、物品保管装置。
【請求項2】
前記代替収納部候補決定手段は、前記保管先収納部以外の収納部のうち、その収納部に対して解錠権限を有する利用者が、前記現利用者のみである収納部を、代替収納部候補として決定する手段を含む、請求項1に記載の物品保管装置。
【請求項3】
前記代替収納部候補決定手段は、前記保管先収納部以外の収納部のうち、その収納部に対して解錠権限を有する利用者の全てが、前記保管先収納部に対して解錠権限を有する利用者の全てと一致する収納部を、代替収納部候補として決定する手段を含む、請求項1に記載の物品保管装置。
【請求項4】
前記代替収納部候補決定手段は、前記保管先収納部以外の収納部のうち、その収納部に対して解錠権限を有する利用者に、現利用者が含まれておりかつ前記保管先収納部に対して解錠権限を有していない利用者が含まれていない収納部を、代替収納部候補として決定する手段を含む、請求項1に記載の物品保管装置。
【請求項5】
前記複数の収納部の中に、その収納部が任意の利用者によって使用されるまでは、当該収納部に対して解錠権限を有する利用者として全ての利用者が設定されており、当該収納部が任意の利用者によって使用されたときには、前記解錠権限設定情報内の当該収納部に対する解錠権限を有する利用者の情報が、当該収納部を使用した前記利用者のみの情報に変更される第1バックアップ用収納部が存在しており、
前記代替収納部候補決定手段は、前記保管先収納部以外の収納部に含まれている前記第1バックアップ用収納部のうち、その収納部に対して解錠権限を有する利用者として全ての利用者が設定されている第1バックアップ用収納部を、代替収納部候補として決定する手段を含む、請求項1に記載の物品保管装置である。
【請求項6】
前記複数の収納部の中に、その収納部が任意の利用者によって代替収納部として使用されるまでは、当該収納部に対して解錠権限を有する利用者が設定されておらず、当該収納部が任意の利用者によって代替収納部として使用されたときには、前記解錠権限設定情報内の当該収納部に対する解錠権限を有する利用者の情報として、当該収納部を代替収納部として使用した前記利用者が設定される第2バックアップ用収納部が存在しており、
前記代替収納部候補決定手段は、前記保管先収納部以外の収納部に含まれている前記第2バックアップ用収納部のうち、その収納部に対して解錠権限を有する利用者が設定されていない第2バックアップ用収納部を、代替収納部候補として決定する手段を含む、請求項1に記載の物品保管装置。
【請求項7】
前記代替収納部候補決定手段は、前記保管先収納部以外の収納部のうち、その収納部に対して解錠権限を有する利用者の全てが、前記保管先収納部に対して解錠権限を有する利用者の全てと一致する収納部と、前記保管先収納部以外の収納部のうち、その収納部に対して解錠権限を有する利用者に、現利用者が含まれておりかつ前記保管先収納部に対して解錠権限を有していない利用者が含まれていない収納部とを、代替収納部候補として決定する手段を含む、請求項1に記載の物品保管装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8A】
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【図8B】
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【公開番号】特開2013−19142(P2013−19142A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−152104(P2011−152104)
【出願日】平成23年7月8日(2011.7.8)
【出願人】(000001432)グローリー株式会社 (1,344)
【Fターム(参考)】