説明

物品収納設備

【課題】横幅方向において複数の物品を収納可能な物品収納部において、当該物品収納部の空棚空間にて、適確に物品の存否を確認する。
【解決手段】物品収納部12には1つの物品Oが収納される物品収納予定空間Aが横幅方向Xに複数隣接して設けられ、物品収納予定空間Aのうち、物品Oが収納されているものを物品収納空間Bとすると共に、物品Oが収納されていないものを空棚空間C3とし、制御手段が、記憶部に記憶された物品収納部12についての物品収納状態に基づいて、空棚空間C3の横幅方向Xの全域に亘って、検知領域Dが移動するように物品存否検知手段28を移動させている状態で、物品存否検知手段28に空棚空間C3における物品Oの存否検知を行わせる空棚確認処理を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品収納棚にて鉛直方向に延びる少なくとも2つの支柱により横幅方向に区画された物品収納部と、当該物品収納部の対向位置へ移動可能であると共に当該物品収納部と自己との間で物品を移載する物品移載手段とを備え、前記物品収納部が前記横幅方向において複数の物品を収納可能に構成されている物品収納設備に関する。
【背景技術】
【0002】
物品を収納する物品収納設備として、少なくとも2つの支柱により横幅方向に区画され、複数の物品を収納状態に構成された1つの物品収納部を複数有する物品収納棚を備えたものが知られている。このような物品収納設備では、各物品収納部には、1つの物品が収納させる物品収納予定空間が横幅方向に複数隣接して設けられている。そして、物品移載手段が、物品収納部の対向位置へ移動して物品収納部の物品収納予定空間と自己との間で物品を移載するように構成されている。そして、当該物品収納予定空間のうち、物品移載手段により物品が移載され物品が存在する空間は、物品収納空間となり、物品が移載されず物品が存在しない空間は、空棚空間となる(特許文献1を参照)。
一方、他の物品収納設備として、自己の検知領域に存在する物品の存否を検知する物品存否検知手段を設けて、物品移載手段が物品収納部の物品収納予定空間に物品を収納する際に、物品存否検知手段の検知情報に基づいて、物品収納部に物品が存在しないことを確認するものが知られている。そして、物品収納部に物品が存在しないことを確認する場合、物品存否検知手段を、物品収納部の物品収納予定空間の横幅方向で所定の位置に停止させた状態で物品の存否を検知させるようにしている(特許文献2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4409252号公報
【特許文献2】特開2007−55720号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載の物品収納設備では、設備のメンテナンス等を行う作業者が当該空棚空間に物品を仮置き等して放置する等の原因で、本来空棚空間であるはずの物品収納予定空間に物品が存在している状態となる場合がある。このため、空棚空間を定期的に確認して、空棚空間にこのような物品が存在しないことを確認することが望ましい。しかしながら、複数の物品を収納可能な物品収納部における空棚空間の確認を、従来の方式により行うと、以下に説明するように、空棚空間に物品が存在しないことを確実に確認することができないという不都合があった。すなわち、物品収納部の空棚空間の棚横幅方向の長さは、物品の収納状態に応じて、複数の物品収納予定空間の棚横幅方向の長さに対応するものとなることがある。つまり、例えば、物品収納部に設定された複数の物品収納予定空間のうち隣接する2つのもののいずれにも物品が収納されていない場合、2つの物品収納予定空間が1つの空棚空間として連なることで、当該物品収納部における空棚空間の棚横幅方向の長さは、2つの収納予定空間の棚横幅方向の長さとなる。そして、当該2つの物品収納予定空間の棚横幅方向の長さを有する空棚空間に物品が存在する場合、空棚空間を構成する複数の物品収納予定空間のうち何れかは、その一部に物品が存在しその他の部分には物品が存在しない状態となることがある。このため、例えば、上記特許文献2に記載のように、物品存否検知手段を物品収納部の物品収納予定空間における横幅方向の所定の位置に停止させた状態で物品の存否を検知する従来の方式であると、物品収納部における空棚空間を構成する複数の物品収納予定空間の夫々について、物品の存否を確認しようとしても、実際に存在する物品の存在を検出することができず、検出漏れが発生する可能性がある。そのため、当該空棚空間に物品が存在していても、それを検知できない場合があり、結果として、空棚空間に物品が存在していないことを確実に確認することができない虞があった。
【0005】
本発明は、上記実状に鑑みてなされたものであり、その目的は、横幅方向に複数の物品を収納可能な物品収納部における空棚空間について、適確に、物品の存否を確認することができる物品収納設備を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための本発明の物品収納設備は、物品収納棚にて鉛直方向に延びる少なくとも2つの支柱により横幅方向に区画された物品収納部と、当該物品収納部の対向位置へ移動可能であると共に当該物品収納部と自己との間で物品を移載する物品移載手段とを備え、前記物品収納部が前記横幅方向において複数の物品を収納可能に構成されている物品収納設備において、その第1特徴構成は、
前記物品収納部には1つの物品が収納される物品収納予定空間が前記横幅方向に複数隣接して設けられ、前記物品収納予定空間のうち、物品が収納されているものを物品収納空間とすると共に、物品が収納されていないものを空棚空間とし、
前記物品収納部についての物品収納状態を記憶する記憶部を備え、
自己の検知領域に存在する物品の存否を検知する物品存否検知手段を、前記物品移載手段と共に、前記物品収納部の前記空棚空間の対向位置へ移動可能であり、且つその前記空棚空間の前記横幅方向に沿って移動可能に備え、
制御手段が、前記記憶部に記憶された前記物品収納部についての前記物品収納状態に基づいて、前記空棚空間の前記横幅方向の全域に亘って、前記検知領域が移動するように前記物品存否検知手段を移動させている状態で、前記物品存否検知手段に前記空棚空間における物品の存否検知を行わせる点にある。
【0007】
上記特徴構成によれば、制御手段は、記憶に記憶された物品収納部についての物品収納状態に基づいて当該物品収納部についての空棚空間を認識して、当該空棚空間の横幅方向の全域に亘って検知領域が移動するように、物品存否検知手段を移動させる。そして、そのように物品存否検知手段を移動させている状態で、物品存否検知手段に空棚空間における物品の存否検知を行わせるので、空棚空間の横幅方向の一部だけに物品が存在する場合でも、その物品を適確に検知できる。
これにより、横幅方向において複数の物品を収納できる物品収納部において、例えば、その物品収納部の一部が物品を収納している物品収納空間であり、残りが物品を収納しない空棚空間である場合で、作業者がメンテナンス時等に、空棚空間の一部に物品を仮置きして放置したときでも、物品存否検知手段が、空棚空間の横幅方向の全域に亘って物品の存否検知を行うことで、空棚空間の一部に仮置きされた物品をも適確に検知することができる。結果、本願の物品収納設備によれば、複数の物品を収納する物品収納部についての空棚空間における物品の存否を確実に確認できる。
【0008】
本発明の物品収納設備の第2特徴構成は、
前記空棚空間は、1つの前記物品収納部において間に物品収納空間を介さない状態で間隔を隔てて存在する2つの前記物品収納空間の間の空間と、間に物品収納空間を介さない状態で少なくとも1つの前記物品収納予定空間の間隔を隔てて設けられた前記物品収納空間と前記支柱との間の空間とを含む点にある。
【0009】
上記特徴構成によれば、空棚空間は、物品収納部の横幅方向の全域だけではなく、物品収納部の物品収納予定空間の一部に物品が収納されている場合であって、1つの物品収納部において間に物品収納空間を介さない状態で間隔を隔てて存在する2つの物品収納空間の間の空間や、間に物品収納空間を介さない状態で少なくとも1つの物品収納予定空間の間隔を隔てて設けられた物品収納空間と支柱との間の空間を含むものである。
即ち、物品収納部の全てが空棚空間でなく、その一部が空棚空間である場合であっても、本発明の物品収納設備によれば、当該空棚空間について適確に物品の存否検知を行って、良好に空棚確認処理を実行できる。
【0010】
本発明の物品収納設備の第3特徴構成は、
前記制御手段は、前記空棚確認処理において、前記物品存否検知手段の検知情報に基づいて、前記空棚空間にて物品が存在することを確認した場合、前記物品存否検知手段による前記空棚空間の物品の存否の検知を停止すると共に、前記空棚空間に物品が存在することを示す空棚空間異常信号を生成する点にある。
【0011】
上記特徴構成によれば、制御手段は、空棚確認処理において、物品存否検知手段の検知情報に基づいて、空棚空間にて物品が存在することを確認した場合、物品存否検知手段による空棚空間の物品の存否検知を停止すると共に、空棚空間に物品が存在することを示す空棚空間異常信号を生成するので、例えば、制御手段は、当該空棚空間異常信号に基づいて、確認対象の空棚空間に物品が存在していることを作業者に知らせる警報を出力し、作業者に確認対象の空棚空間に対して必要な措置を促すことができる。結果、実際の物品収納部の物品収納状態を、記憶部に記憶されている物品収納状態に一致させることができる。
【0012】
本発明の物品収納設備の第4特徴構成は、
前記制御手段は、前記物品移載手段に前記物品収納部の前記物品収納予定空間へ物品を収納させる物品収納処理を実行させる場合に、前記物品存否検知手段の検知情報に基づいて、収納対象の前記物品収納部の前記物品収納予定空間に物品が存在しないことを確認する収納時確認処理を実行するように構成されている点にある。
【0013】
上記特徴構成によれば、制御手段は、物品収納処理においても、物品存否検知手段の検知情報に基づいて、収納対象の物品収納部の物品収納予定空間に物品が存在しないことを確認する収納時確認処理を実行するように構成されている。これにより、物品存否検知手段は、空棚空間における物品存否検知機能に加えて、収納対象の物品収納部の物品収納予定空間における物品存否検知機能をも発揮できる。
【0014】
本発明の物品収納設備の第5特徴構成は、
前記制御手段が、前記記憶部に記憶された前記物品収納部の前記物品収納状態に基づいて、前記物品存否検知手段により前記物品収納空間における物品の存否検知を行うと共に、前記物品存在検知手段により前記空棚空間における物品の存否検知をも行う形態で、前記物品収納部の全ての前記物品収納予定空間における物品の存否を確認する棚卸し処理を実行する点にある。
【0015】
棚卸し処理として、記憶部に記憶された物品収納部の物品収納状態に基づいて、物品収納部の物品収納空間に物品が適切に収納されているかを確認する処理を実行し、物品収納部の空棚空間に物品が存在しないことを確認する処理までは、実行しない場合がある。この場合の棚卸し処理では、空棚空間における物品の存在を確認しないので、正確な棚卸しとならないという問題がある。
上記特徴構成によれば、棚卸し処理において、物品存否検知手段が物品収納部の物品収納空間にて物品の存否検知を実行するのに加えて、物品収納部の空棚空間においても物品の存否検知を実行しているので、物品収納空間に物品が存在することを確認すると共に、空棚空間に物品が存在しないことを確認でき、現実の物品収納状態を確認できる。これにより、より正確な棚卸しが行える。
【0016】
本発明の物品収納設備の第6特徴構成は、
前記制御手段は、前記物品移載手段と移載対象の前記物品収納部との間で物品を移載する物品移載処理を実行する通常モードと、前記棚卸し処理を実行する棚卸しモードとを切替自在に構成されている点にある。
【0017】
上記特徴構成によれば、制御装置は、物品移載処理を実行する通常モードと、棚卸し処理を実行する棚卸しモードとを切替自在に構成されているので、例えば、物品移載処理が少ない閑散期等に、通常モードから棚卸しモードに切り替えて、棚卸し処理を効果的に実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】物品収納設備の側面図である。
【図2】物品収納設備の平面図である。
【図3】空棚空間についての空棚確認処理の概要を説明する図である。
【図4】空棚確認処理のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の物品収納設備の実施形態について、図面に基づいて説明する。
この物品収納設備では、図1、2に示すように、物品収納棚10にて鉛直方向に伸びる支柱11により横幅方向(図1、2で矢印X方向)に区画された複数の物品収納部12が形成されており、当該物品収納部12には、1つの物品Oが収納される物品収納予定空間Aがその横幅方向に複数隣接して設けられている。尚、本実施形態においては、物品収納予定空間Aに収納される物品Oは、上記横幅方向で同一の幅となっている。
そして、上記物品収納予定空間Aのうち、物品Oが収納されているものを物品収納空間Bとすると共に、物品Oが収納されていないものを空棚空間C1〜C3とし、当該物品収納空間B及び空棚空間C1〜C3に関する情報としての物品収納状態情報を記憶する記憶部15が、後述するスタッカークレーン13の動作を制御する制御装置14に設けられている。
本実施形態の物品収納設備では、本来は物品Oが収納されているはずのない空棚空間C1〜C3に対して、何らかの原因により物品Oが収納されている場合に、その物品の存在を検知する空棚確認処理を行う構成、及びその制御に特徴がある。以下では、まず、本実施形態の物品収納設備の基本構成について説明した後、上記空棚確認処理を実行する構成、及びその制御について説明する。
【0020】
本実施形態の物品収納設備は、図1、2に示すように、物品収納棚10に形成された物品収納部12の横幅方向(図1、2で矢印X方向)に沿って設けられた移動経路16を自動走行するスタッカークレーン13を備えており、移動経路16には、物品収納棚10の横幅方向に沿って走行レール17が設置され、移動経路16の一端側には、スタッカークレーン13の動作を制御する制御装置14と、走行レール17を挟んで一対の荷載置台18(図2に図示)とが設けられている。
【0021】
スタッカークレーン13は、図1、2に示すように、走行レール17に沿って走行自在な走行台車19と、一対のクランプ部24の接近離間作動並びに、突出作動及び引退作動を行うことにより、荷載置台18または物品収納部12と自己との間で物品Oを移載可能な移載装置21(本願の物品移載手段の一例)を備えた昇降台20とを設けて構成されている。
そして、スタッカークレーン13は、走行台車19の走行、昇降台20の昇降、および、移載装置21の作動により、荷載置台18に載置されている物品Oを物品収納部12に移載させるとともに、物品収納部12に収納されている物品Oを荷載置台18に移載させるように構成されている。
【0022】
移載装置21は、図1、2に示すように、走行台車19の走行方向に対して直交する方向を移載方向(図2で矢印Z方向)として、その移載方向に物品Oを搬送するコンベヤ22と、移載方向に対して直交する方向の両側に対向して配設されて互いに接近離間可能な一対の可動部23及び一対のクランプ部24とから構成されている。上記可動部23は、クランプ部24と一体的に、接近離間移動するように構成され、クランプ部24は、可動部23に対して移載方向に出退移動可能に構成されている。クランプ部24は、可動部23に対して移載方向で移動可能に支持され、出退用モータ(図示せず)の正逆駆動によりクランプ部24を可動部23に対して移載方向に出退移動させるように構成されている。これにより、クランプ部24が、物品Oを挟持する挟持作動、挟持した物品Oを移載方向へ出退移動する出退作動を実行する。
また、コンベヤ22は、コンベヤ駆動モータ(図示せず)の正逆駆動により複数のローラを正逆回転駆動させるローラコンベヤから構成されている。
【0023】
当該移載装置21を備える昇降台20は、自己を昇降操作自在に案内支持する前後一対の昇降マスト27が設けられ、昇降台20が、走行台車19に対して昇降自在に設けられている。そして、前後一対の昇降マスト27の上端部が、ガイドレール30に沿って案内される上部フレーム29にて連結されている。当該昇降台20には、図示しない昇降用ロータリーエンコーダにより昇降マスト27に沿う上下方向(図1で矢印Y方向)の位置を検出可能に設けられている。制御装置14は、当該昇降用ロータリーエンコーダの検出情報に基づいて、昇降台20の上下方向の位置を制御している。
【0024】
走行台車19には、走行レール17上を走行自在な前後2つの走行輪25が設けられ、それら2つの走行輪25のうちの車体前後方向の一端側の車輪が、インバータ式のモータである走行用電動モータ26にて駆動される推進用の駆動走行輪25aとして構成され、車体前後方向の他端側の車輪が、遊転自在な従動走行輪25bとして構成されている。そして、当該走行台車19には、走行用ロータリーエンコーダ(図示せず)が、移動経路16上の走行位置を検出可能に設けられている。制御装置14は、当該走行用ロータリーエンコーダの検出情報に基づいて、走行台車19の移動経路16に沿う走行位置を制御している。
【0025】
制御装置14は、上位の管理装置(図示せず)や作業者等により入出庫指示があると、上記走行用ロータリーエンコーダの検出情報に基づいて、走行台車19を移動経路16に沿う走行位置を制御しながら、入出庫対象の物品予定収納空間Aに対応する移動経路16上の目標走行位置まで移動させると共に、上記昇降用ロータリーエンコーダの検出情報に基づいて、昇降台20を昇降マスト27に沿う上下方向(図1で矢印Y方向)の位置を制御しながら、入出庫対象の物品予定収納空間Aに対応する上下方向の目標昇降位置まで移動させる形態で、移載装置21を入出庫指示のあった物品収納部12の対向位置まで移動させる。
そして、制御装置14は、入出庫が行われる毎に、記憶部15に記憶されている物品収納状態情報を更新する。
尚、当該物品収納状態情報とは、物品収納部12の物品収納予定空間Aに収納される物品Oの大きさ、物品Oが収納される収納位置等に関する情報である。制御装置14は、当該物品収納状態情報に基づいて、物品収納空間B及び空棚空間Cの位置情報を導出するように構成されている。
【0026】
これまで、本実施形態の物品収納設備の基本構成について説明してきたが、本実施形態の物品収納設備では、物品収納部12の物品収納予定空間Aのうち、物品Oが収納されていない空棚空間C1〜C3において、物品Oが存在しないことを確かめる空棚確認処理を実行する構成、及びその制御に特徴がある。そこで以下では、図面に基づいて、この点について説明を加える。
【0027】
上記空棚空間C1〜C3は、図2に示すように、1つの物品収納部12の横幅方向(図2で矢印X方向)で、一端の支柱11から他端の支柱11までの空間C1と、1つの物品収納部12において間に物品収納空間Bを介さない状態で間隔を隔てて存在する2つの物品収納空間Bの間の空間C2と、間に物品収納空間Bを介さない状態で少なくとも1つの物品収納予定空間Aの間隔を隔てて設けられた物品収納空間Bと支柱11との間の空間C3とを含む空間である。
このように、空棚空間C1〜C3は、その横幅方向において物品Oよりも広い幅を有するものであり、本実施形態の物品収納設備は、このような空棚空間C1〜C3に物品Oが仮置きされ放置される場合であっても、当該空棚空間C1〜C3に物品Oが存在することを適切に検知できる空棚確認処理を実行できるものである。
【0028】
本実施形態の物品収納設備では、図2、3に示す様に、自己の検知領域Dに物品Oが存在することを検知する物品存否検知センサ28が、昇降台20のうちその両側の物品収納部12と対向する位置に一対設けられている。当該物品存否検知センサ28は、移載装置21が物品収納部12へ物品Oを移載する移載方向(図2、3で矢印Z方向)と略同一の方向へ、その検知領域Dが位置するように配置されている。これにより、当該物品存否検知センサ28は、移載装置21と共に物品収納部12の対向位置に移動可能で、且つ、移載装置21により物品収納部12に対向する状態でその横幅方向(図2、3で矢印X方向)に沿って移動可能に構成されている。
【0029】
上記物品存否検知センサ28としては、例えば、反射光検出式センサが好適に用いられる。物品存否検知センサ28に反射光検出式センサを適用する場合、物品収納部12の物品収納予定空間Aに自己の検知領域Dを位置されている状態で、当該検知領域Dに向けて検出光を投光したときに、物品Oにて検出光が反射され受光した場合、物品存在情報を出力する。一方、物品Oが存在せず検出光が反射されず受光しなかった場合、物品否存在情報を出力する。制御装置14は、物品存否検知センサ28が出力する物品存在情報及び物品否存在情報に基づいて、物品Oの存否を確認するように構成されている。
【0030】
そして、物品存否検知センサ28に、空棚空間C1〜C3での物品Oの存否を検知させるべく、制御装置14は、記憶部15に記憶されている物品収納情報に基づいて、空棚空間C1〜C3の横幅方向の全域に亘って、物品存否検知センサ28の検知領域Dを移動させている状態で、物品存否検知センサ28に物品Oの存否検知を継続して行わせることにより、空棚空間C1〜C3における物品Oの存否を適切に検知でき、空棚確認処理を適切に実行することができる。
【0031】
当該空棚確認処理における物品存否検知センサ28の移動について説明を加えると、図1に示す様に、物品存否検知センサ28は、上下方向(図1で矢印Y方向)において、その検知領域Dが物品収納部12の底部から物品Oの最小高さLまでの領域に位置するように、昇降台20の昇降動作にて移動する。物品存否検知センサ28は、図3に示す様に、空棚空間C3の横幅方向(図3で矢印X方向)において、その検知領域Dが、空棚空間C3の横幅方向の一端Mに位置するように、走行台車19の走行動作にて移動する(空棚空間が、C1、C2であっても同様)。
そして、図3に示すように、上下方向において検知領域Dが固定された状態で、検知領域Dを空棚空間C3の横幅方向の一端Mから他端Nまで移動させるように、物品存否検知センサ28が走行台車19の走行動作にて移動する。当該走行動作中において、物品存否検知センサ28が、物品Oの存否検知を連続して行うことで、空棚空間C3の一端Mから他端Nまでにおける物品Oの存否検知を確実に行える。
このように、物品存否検知センサ28は、物品Oの存否検知を連続して行うわけであるが、制御装置14は、空棚確認処理において、連続的に出力される物品存否確認センサ28の検出情報を、断続的に取り込むことで物品の存否の確認を行うように構成されている。
【0032】
〔空棚確認処理の流れ〕
これまで、説明してきた空棚確認処理は、物品収納棚10の複数の物品収納部12に存在する複数の空棚空間C1〜C3の全てに対して、制御装置14により逐次的に実行される処理である。そこで、以下では、複数の空棚空間C1〜C3の全てに対して、逐次的に実行される空棚確認処理の流れを、図3、4に基づいて説明する。
【0033】
作業者が図示しないコントローラにより空棚確認指示を入力すると、制御装置14は、記憶部15に記憶された物品収納状態情報に基づいて、空棚空間C1〜C3に係る空棚空間情報を取得する(♯01、♯02)。ちなみに、当該空棚空間情報とは、複数の物品収納部12の物品収納予定空間Aにおける空棚空間Cの位置情報である。
【0034】
制御装置14は、当該空棚空間情報に基づいて、物品存否検知センサ28の検知領域Dが検知対象の空棚空間C1〜C3の一端Mに位置するように、物品存否検知センサ28を上下方向及び水平方向に移動させる(♯03)。
【0035】
制御装置14は、物品存否検知センサ28を検知対象の空棚空間C1〜C3へ移動させた後、上述した空棚確認処理を実行する(♯04)。即ち、制御装置14は、物品存否検知センサ28の検知領域Dが検知対象の空棚空間C1〜C3の横幅方向(図3で矢印X方向)の全域に亘って移動するように物品存否検知センサ28を横幅方向に移動させながら物品Oの存否検知を行う形態で、空棚確認処理を実行する。
【0036】
上記空棚確認処理において、物品存否検知センサ28が、通常、物品Oが存在することのない空棚空間C1〜C3に物品Oが存在することを検知した場合(♯05)、空棚空間異常信号を生成し、当該空棚空間異常信号を図示しない警報装置に送信し、空棚空間C1〜C3にて物品Oが存在することを報知する(♯06)。さらに、制御装置14は、物品存否検知センサ28による物品Oの存否検知を一時停止する(♯07)。
【0037】
このとき、例えば、作業者は、警報装置の報知により空棚空間C1〜C3に物品Oが存在していることを知って、検知対象の空棚空間C1〜C3に存在する物品Oを取り除く等の処理を行う。作業者は、空棚空間C1〜C3に存在する物品Oを取り除く等の処理が完了すると、再度、図示しないコントローラにより、空棚確認処理を再開する指示を出す。これにより、制御装置14は、物品存否検知センサ28による物品Oの存否検知を再開する(♯08)。
【0038】
一方、空棚確認処理において、物品存否検知センサ28が、通常、物品Oが存在することのない空棚空間C1〜C3に物品Oが存在しないことを確認した場合(♯05)、制御装置14は、検知対象の空棚空間C1〜C3が最後の空棚空間C1〜C3かどうかを判断し、最後の空棚空間C1〜C3でない場合、次の空棚空間C1〜C3へ物品存否検知センサ28を移動させて、空棚確認処理を実行させる。尚、制御装置14は、物品Oの存否検知を行った空棚空間C1〜C3を記憶部15に存否検知完了空棚空間情報として逐次記憶するように構成されている。このため、制御装置14は、次の空棚空間C1〜C3へ物品存否検知センサ28を移動させる際、当該存否検知完了空棚空間情報に基づいて、未だ検知されていない空棚空間C1〜C3へ物品存否検知センサ28を順次移動させることができる。
一方、検知対象の空棚空間C1〜C3が最後の空棚空間C1〜C3である場合、物品存否検知センサ28を所定の収納位置へ移動させて、空棚確認処理を終了する(♯09)。
【0039】
〔棚卸し処理〕
本実施形態の物品収納設備では、物品収納棚10の棚卸し処理を以下のように実行することで、物品収納棚10に収納されている物品Oの数をより正確に知ることができる。
即ち、制御装置14は、物品存否検知センサ28により物品収納空間Bにおける物品Oの存否検知を行うと共に、物品存否検知センサ28により空棚空間C1〜C3における物品Oの存否検知をも行う形態で、物品収納部12の全ての物品収納予定空間Aにおける物品Oの存否を確認する棚卸し処理を実行する。尚、制御装置14は、物品存否検知センサ28による空棚空間C1〜C3における物品Oの存否検知では、これまで説明した空棚確認処理と同様の処理、即ち、物品存否検知センサ28の検知領域Dを空棚空間C1〜C3の横幅方向の全域に亘って移動させる形態で、空棚空間C1〜C3での物品Oの存否検知を行うことで、空棚空間C1〜C3に物品Oが存在しないことを適切に確認できる。
【0040】
尚、制御装置14は、物品収納部12の物品収納予定空間Aと移載装置21との間で物品Oを移載する物品移載処理を実行する通常モードと、上記棚卸し処理を実行する棚卸しモードとを切り替え可能に構成されている。これにより、例えば、通常の物品移載処理が行われていない時間帯等に、棚卸しモードに切り換えて棚卸し処理を実行することで、物品収納設備を効率的に運転することができる。
【0041】
〔別実施形態〕
(1)本実施形態の物品存否検知センサ28は、二重格納防止処理を実行する二重格納防止センサとしても機能するように構成することが好ましい。即ち、制御装置14は、移載装置21に物品収納部12の物品収納予定空間Aへ物品Oを収納させる物品収納処理を実行させる場合に、物品存否検知センサ28の検知結果に基づいて、収納対象の物品収納部12の物品収納予定空間Aに物品Oが存在しないことを確認する収納時確認処理を実行するように構成することが好ましい。
これにより、制御装置14は、物品存否検知センサ28に、空棚空間C1〜C3についての物品存否検知機能に加えて、物品収納空間Bについての物品存否検知機能をも発揮させることができる。
【0042】
(2)上記実施形態において、物品収納予定空間Aに収納される全ての物品Oは、物品収納予定空間Aの横幅方向で同一の幅を有するものであるとして説明したが、異なる幅を有するものであってもよい。また、物品収納部12内では、横幅方向に同一の幅を有する物品Oを収納するようにし、異なる物品収納部12間では、横幅方向で異なる幅の物品を収納するようにしてもよい。
【0043】
(3)上記実施形態において、物品存否検知センサ28は、移載装置21と物品収納部12のとの間での物品Oの移載方向(図2、3で矢印Z方向)へ、検出光を投光するものを例として示した。他の物品存否検知センサ28として、例えば、移載方向と所定の角度を有する方向に、検出光を投光するものや、物品収納部12の横幅方向で検出光の投光方向を変更可能なものを用いてもよい。
【0044】
(4)上記実施形態において、物品存否検知センサ28は、昇降台20に設けられるものとしたが、例えば、移載装置21の可動部23に設けても構わない。
【0045】
(5)上記実施形態において、物品存否検知センサ28が空棚空間C1〜C3にて物品Oの存在を検知した場合、当該物品存否検知センサ28による物品Oの存否検知を一時停止して、逐次、作業者が空棚空間C1〜C3に存在する物品Oを除去する点を説明した。
しかしながら、このように物品Oの存否を検知する毎に、物品Oの存否検知を一時停止せず、全ての空棚空間C1〜C3について連続して空棚確認を行うように構成することもできる。この場合、制御装置14が、物品存否検知完了後の空棚空間C1〜C3に関する情報を記憶部15に記憶しておき、すべての空棚空間C1〜C3についての空棚確認が終了した後に、作業者が、記憶部15に記憶された物品存否検知完了後の空棚空間C1〜C3についての物品Oの存否情報を確認し、その空棚空間C1〜C3に存在する物品Oを、一括して除去することとなる。
【0046】
(6)上記実施形態の空棚確認処理において、図3に示すように、空棚空間C3での物品Oの存否検知を行う際、物品存否検知センサ28の検知領域Dを空棚空間C3の横幅方向の一端Mから他端Nまで移動させる形態で、物品Oの存否検知を行う例を示した。
しかしながら、例えば、検知領域Dを空棚空間C3の横幅方向(図3で矢印X方向)の他端Nから一端Mまで移動させる形態や、検知領域Dを空棚空間C3の横幅方向の一端Mと他端Nとの間の任意の位置を始点とし空棚空間C3の横幅方向の全域に亘って移動される形態であっても、空棚空間C3についての空棚確認処理を実行することができる。
【0047】
(7)上記実施形態では、空棚空間C1〜C3に関する情報は、制御装置14が記憶部15に記憶されている物品収納状態情報に基づいて、例えば、所定の計算を行うことにより、空棚空間C1〜C3の位置等に関する空棚空間情報を取得していた。
しかしながら、例えば、記憶部15が、直接、上記空棚空間情報を記憶するものであり、制御装置14は、当該空棚空間情報を取得するように構成してもよい。
【0048】
(8)上記実施形態では、制御装置14が、空棚確認処理において、連続的に出力される物品存否検知センサ28の検出情報を、断続的に取り込むことで物品Oの存否の確認を行うように構成している点について説明した。しかしながら、例えば、制御装置14が、物品存否検知センサ28に送信する検知指令に基づいて、物品存否検知確認センサ28が、目的の検知時点毎に物品Oの存否検知を行って、目的の検知時点毎の物品存否検知センサ28の検出情報を取り込むことで、物品Oの存否の確認を行うように構成してもよい。
【符号の説明】
【0049】
A :物品収納予定空間
B :物品収納空間
C1〜C3:空棚空間
D :検知領域
O :物品
X :横幅方向
10 :物品収納棚
11 :支柱
12 :物品収納部
14 :制御手段
15 :記憶部
21 :物品移載手段
28 :物品存否検知手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品収納棚にて鉛直方向に延びる少なくとも2つの支柱により横幅方向に区画された物品収納部と、当該物品収納部の対向位置へ移動可能であると共に当該物品収納部と自己との間で物品を移載する物品移載手段とを備え、前記物品収納部が前記横幅方向において複数の物品を収納可能に構成されている物品収納設備において、
前記物品収納部には1つの物品が収納される物品収納予定空間が前記横幅方向に複数隣接して設けられ、前記物品収納予定空間のうち、物品が収納されているものを物品収納空間とすると共に、物品が収納されていないものを空棚空間とし、
前記物品収納部についての物品収納状態を記憶する記憶部を備え、
自己の検知領域に存在する物品の存否を検知する物品存否検知手段を、前記物品移載手段と共に、前記物品収納部の前記空棚空間の対向位置へ移動可能であり、且つその前記空棚空間の前記横幅方向に沿って移動可能に備え、
制御手段が、前記記憶部に記憶された前記物品収納部についての前記物品収納状態に基づいて、前記空棚空間の前記横幅方向の全域に亘って、前記検知領域が移動するように前記物品存否検知手段を移動させている状態で、前記物品存否検知手段に前記空棚空間における物品の存否検知を行わせる空棚確認処理を実行する物品収納設備。
【請求項2】
前記空棚空間は、1つの前記物品収納部において間に物品収納空間を介さない状態で間隔を隔てて存在する2つの前記物品収納空間の間の空間と、間に物品収納空間を介さない状態で少なくとも1つの前記物品収納予定空間の間隔を隔てて設けられた前記物品収納空間と前記支柱との間の空間とを含む請求項1に記載の物品収納設備。
【請求項3】
前記制御手段は、前記空棚確認処理において、前記物品存否検知手段の検知情報に基づいて、前記空棚空間にて物品が存在することを確認した場合、前記物品存否検知手段による前記空棚空間の物品の存否の検知を停止すると共に、前記空棚空間に物品が存在することを示す空棚空間異常信号を生成する請求項1又は2に記載の物品収納設備。
【請求項4】
前記制御手段は、前記物品移載手段に前記物品収納部の前記物品収納予定空間へ物品を収納させる物品収納処理を実行させる場合に、前記物品存否検知手段の検知情報に基づいて、収納対象の前記物品収納部の前記物品収納予定空間に物品が存在しないことを確認する収納時確認処理を実行するように構成されている請求項1乃至3の何れか一項に記載の物品収納設備。
【請求項5】
前記制御手段が、前記記憶部に記憶された前記物品収納部の前記物品収納状態に基づいて、前記物品存否検知手段により前記物品収納空間における物品の存否検知を行うと共に、前記物品存在検知手段により前記空棚空間における物品の存否検知をも行う形態で、前記物品収納部の全ての前記物品収納予定空間における物品の存否を確認する棚卸し処理を実行する請求項1乃至4の何れか一項に記載の物品収納設備。
【請求項6】
前記制御手段は、前記物品移載手段と移載対象の前記物品収納部との間で物品を移載する物品移載処理を実行する通常モードと、前記棚卸し処理を実行する棚卸しモードとを切替自在に構成されている請求項1乃至5の何れか一項に記載の物品収納設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−12163(P2012−12163A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−149833(P2010−149833)
【出願日】平成22年6月30日(2010.6.30)
【出願人】(000003643)株式会社ダイフク (1,209)
【Fターム(参考)】