説明

物品収集管理システム及び物品組付管理システム

【課題】物品収集管理システムにおいて、収集すべき物品を収集したか否かを確実に確認することができるようにすることである
【解決手段】物品収集管理システム10は、物品収集台車30に設けられる質量検出装置34と、収集すべき物品を指示する表示装置28と、収集すべき物品6を積載したと作業者8が認識したときに操作する収集完了ボタン40と、収集管理装置60とを備え、収集管理装置60は、収集すべき物品をまとめた物品収集リストを表示装置28に伝送する物品リスト伝送モジュール62と、物品収集リストの内容に基いて収集すべき物品6の質量である収集指示質量を取得する指示質量取得モジュール64と、収集完了ボタン40が操作されたときの質量検出装置34の検出値である積載質量と収集指示質量とを比較して結果を出力する質量比較出力モジュール66とを含んで構成される

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品収集管理システム及び物品組付管理システムに係り、特に、物品置場から必要な物品を収集して物品収集台車に積載して必要な工程に供給する物品収集を管理する物品収集管理システムと、収集された物品を中間製品に組み付ける物品組付を管理する物品組付管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
物品倉庫等においては、処理装置から出力される物品収集リストに基いて、倉庫内の作業者が手押し台車を操作してそれぞれの物品が積まれている棚等を巡り、例えば物品収集リストにチェックを入れながら、必要な個数の物品を台車に積み込み、それらを次の工程、あるいは出荷場所等に運搬することが行われる。この作業は、摘取作業とも呼ばれ、また、ピッキングと呼ばれることもある。ここで台車等に必要な物品が正しく積載されたかどうかの確認は、物品リストにチェックを入れる他に様々な方法が取られる。
【0003】
例えば、特許文献1には、物品収集台車として、重量計と識別タグ読取り器と外部処理装置と接続される無線手段とを備え、新たな物品の摘取と、識別タグ読取り器で物品検定を行い、重量計で前回の重量と今回の重量から摘取重量を出し、誤差を補正して、指定重量と比較して重量検定を行うことが開示される。
【0004】
特許文献2には、部品ピッキング装置として、部品収納装置と連動されるディジタル計測器を用い、部品呼出コードで部品収納装置に収納される部品を呼び出すとともに、そのコードでその部品の単位重量を読み出し、ディジタル計測器にその部品を載せると、個数が表示されることが開示される。
【0005】
【特許文献1】特開2000−275091号公報
【特許文献2】特開昭60−123738号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来技術によれば、物品リストに物品の摘取、すなわち収集のたびにチェックを入れ、あるいは新たな物品の収集毎に重量計で増加重量を指定重量と比較することで収集ミスを防ぐことが出来る。これらの方法では、収集の都度確認が行われるので、多数の物品の収集の場合に確認ミスが生じることがある。仮に、1つの物品の収集ミスが見過ごされたとすると、収集される物品がそれぞれ別個の仕向先の場合には、1つの仕向け先について影響が生じるのみである。
【0007】
ところで、収集される物品が1つの仕向先の場合、例えば、中間製品に組付を行うときの複数の組付物品を一組として収集して供給する場合もある。このようなときは、仮に1つの物品の収集ミスがあっても、その組付工程は作業を行うことができない。このように、収集の都度確認を行う方法では、収集すべき物品が一部でも不足し、あるいは異なっていることがあり得て、その場合には収集の目的を果たさないことになる。
【0008】
同様に、中間製品に物品を組付して組付後の中間製品を次の工程に供給する場合も、組付の都度確認を行う方法では、組付すべき物品が一部でも不足し、あるいは異なっていることがあり得て、その場合には組付の目的を果たさないことになる。
【0009】
本発明の目的は、収集すべき物品を収集したか否かをさらに確実に確認することができる物品収集管理システムを提供することである。また、他の目的は、組付すべき物品を組付したか否かをさらに確実に確認することができる物品収集管理システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る物品収集管理システムは、物品収集台車に設けられ、積載された物品の質量を積載質量として検出し出力する質量検出装置と、物品置場に設けられ、収集すべき物品を指示する表示装置と、物品収集台車に収集すべき物品を積載したと作業者が認識したときに操作する収集完了操作子と、物品収集を管理する管理装置と、を備え、管理装置は、収集すべき物品をまとめた物品収集リストを表示装置に伝送する物品リスト伝送部と、物品収集リストの内容に基いて収集すべき物品の質量を求めこれを収集指示質量として取得する指示質量取得部と、収集完了操作子が完了操作信号を出力するときに、質量検出装置の検出値を積載質量として取得し、この積載質量を収集指示質量と比較してその比較結果を出力する出力部と、を含むことを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る物品収集管理システムにおいて、管理装置は、収集すべき複数の物品名と、各物品の個数とをまとめた物品収集リストを表示装置に伝送することが好ましい。
【0012】
また、本発明に係る物品収集管理システムにおいて、物品収集リストは、収集した物品が供給される工程において流される複数種類の製品品番毎に異なる物品収集リストであることが好ましい。
【0013】
また、本発明に係る物品収集管理システムにおいて、管理装置は、出力部が比較結果の一致を示す出力をしたときに、次の物品収集リストを表示装置に伝送することが好ましい。
【0014】
また、本発明に係る物品組付管理システムは、中間製品の組付作業台に設けられ、予め定められた組付用物品が組み付けられる前の中間製品の質量である組付前質量と、組付用物品が組み付けられた後の中間製品の質量である組付後質量とを、それぞれ検出し出力する質量検出装置と、中間製品に組付すべき物品を組付したと作業者が認識したときに操作する組付完了操作子と、組付作業を管理する管理装置と、を備え、管理装置は、予め定められた物品をまとめた物品収集リストに基き、組付すべき物品の質量を組付指示質量として取得する指示質量取得部と、組付完了操作子が完了操作信号を出力するときに、質量検出装置の検出値を組付後質量として取得し、この組付後質量と既に検出されている組付前質量との差を増加質量とし、この増加質量と組付指示質量とを比較してその比較結果を出力する出力部と、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
上記構成の少なくとも1つにより、物品収集管理システムは、物品収集台車に積載された物品の質量を検出する質量検出装置が設けられる。そして、物品収集台車に収集すべき物品を積載したと認識して収集完了操作子を作業者が操作すると、質量検出装置の検出値が積載質量として取得され、この積載質量が予め求められた収集指示質量と比較してその比較結果が出力される。収集された物品に不足があり、あるいは異なった物品が収集されたときには、積載質量と収集指示質量との間に誤差が生じるので、収集すべき物品を収集したか否かをさらに確実に確認することができる。
【0016】
また、物品収集管理システムにおいて、収集すべき複数の物品名と、各物品の個数とをまとめた物品収集リストが表示装置に伝送されるので、複雑な物品構成の収集の場合でも、収集すべき物品を収集したか否かをより確実に確認することができる。
【0017】
また、物品収集管理システムにおいて、物品収集リストは、収集した物品が供給される工程において流される複数種類の製品品番毎に異なる物品収集リストである。このように、収集毎に異なる構成の物品を収集する場合でも、収集すべき物品を収集したか否かをより確実に確認することができる。
【0018】
また、品収集管理システムにおいて、管理装置は、出力部が比較結果の一致を示す出力をしたときに、次の物品収集リストを表示装置に伝送する。したがって、1つ1つの物品収集台車について、収集すべき物品を収集したか否かをより確実に確認することができる。
【0019】
上記構成の少なくとも1つにより、物品組付管理システムは、中間製品の組付作業台に、予め定められた組付用物品が組み付けられる前の中間製品の質量である組付前質量と、組付用物品が組み付けられた後の中間製品の質量である組付後質量とをそれぞれ検出し出力する質量検出装置が設けられる。そして、中間製品に組付すべき物品を組付したと認識して組付完了操作子を作業者が操作すると、質量検出装置の検出値が組付後質量として取得され、この組付後質量と既に検出されている組付前質量との差を増加質量とし、この増加質量と組付指示質量とを比較してその比較結果が出力される。組付された物品に不足があり、あるいは異なった物品が組付されたときには、増加質量と組付指示質量との間に誤差が生じるので、組付すべき物品を収集したか否かをさらに確実に確認することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下に図面を用いて本発明に係る実施の形態につき詳細に説明する。以下では、物品置場に各物品を収納する棚が集められて設けられ、その棚に対応して、1台の物品収集台車が収集すべき物品の種類と個数とが表示される物品収集システム、すなわち、1台の物品収集台車の物品収集が完了するまで次の台車の物品収集が開始されない物品収集システムを管理するものとして説明するが、勿論これと異なる構成の物品収集システムを管理するものであってもよい。例えば、複数の物品収集台車に対し、それぞれ収集すべき物品の種類と個数とが別個の表示領域に表示され、複数の物品収集台車が並列的に物品収集を行う物品収集システムを管理するものであってもよい。
【0021】
また、管理される物品組付システムとしては、半完成車両を中間製品とし、物品収集システムで収集された物品をこの中間製品に組付するものとして説明するが、組付される物品は、必ずしも物品収集システムで収集されたものでなくても構わない。例えば、別途工程から供給される物品を組付する物品組付システムを管理するものであってもよい。
【0022】
以下では、全ての図面において同様の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、本文中の説明においては、必要に応じそれ以前に述べた符号を用いるものとする。
【0023】
図1は、物品収集管理システム10の構成を示す図である。物品収集管理システム10は、物品を収集するための物品収集システム20と、その物品収集を管理する収集管理装置60と、収集管理装置60に接続される記憶装置58と、収集管理装置60と交信する生産管理装置50とを含んで構成される。図1において記憶装置58は独立のデータベース装置として示されているが、収集管理装置60と記憶装置58とを1つの装置としてもよく、あるいは生産管理装置50と記憶装置58とを1つの装置としてもよい。
【0024】
物品収集システム20は、物品置場において、予め定められた物品6を作業者8が物品収集台車30を用いて収集するのに便利なように工夫されているシステムである。図1の例では、物品置場は、3つのゾーンに区分される。空台車ゾーン22は、物品6が何も積載されていない空の物品収集台車30が置かれる領域である。積載完了台車ゾーン24は、収集すべき物品6を積載して次工程に供給するために一時的に待機する領域である。物品棚ゾーン26は、物品6が収納されている棚が複数集められている領域である。
【0025】
物品棚ゾーン26は上記のように棚が複数集められている領域であるが、その棚には、予め定められた配置順序で、各物品6が区分棚等にそれぞれ整理されて収納されている。物品棚ゾーン26に設けられる表示装置28は、収集管理装置60と接続され、収集管理装置60の制御の下で、物品棚ゾーン26の各区分棚に収納されている各物品について、どの物品をどれ位の個数で収集するべきかの指示を表示する装置である。図1の例では、紙面の左側から右側に向かって9個の区分棚が配置され、それぞれに別々の物品が複数個収納されている。表示装置28は、この9個の区分棚、換言すれば9種類の物品にそれぞれ対応して設けられる。
【0026】
図1で、紙面の左側から右側に向かって、9種類の物品名をそれぞれ物品A、物品B、物品C、・・・物品Iとすれば、表示装置28は、紙面の左側から右側に向かって、物品A、物品B、物品C、・・・物品I毎に、その物品を収集すべきときは点灯するボタンと、収集すべき個数とが表示される。図1の例では、物品Bを1個、物品Dを2個、物品Hを1個収集すべき場合が示されている。
【0027】
なお、点灯するボタンは、作業者8が既に物品Bを収集し、まだ物品Dと物品Iが収集していない状態であるので、物品Bに対応するボタンの点灯が消えており、物品Dと物品Iに対応するボタンが点灯している。ここで、作業者8が物品を収集したときは、図示されていない確認ボタンを押すことで、表示装置28の対応するボタンの点灯が消えるようになっており、これによって作業者8は、複数の物品を収集する場合でも、収集済みか未収集かを確認できる。
【0028】
物品棚ゾーン26に設けられる収集完了ボタン40は、物品収集台車30に収集すべき物品を全て収集したと作業者8が認識したときに操作される収集完了操作子としてのボタンである。例えば、作業者8は、物品棚ゾーン26の表示装置28において個数表示されているところに対応するボタンが全て消えていることを確認して収集完了ボタン40を押すものとできる。収集完了ボタン40が押されたことを示す信号は、適当な信号線等で収集管理装置60に伝送される。
【0029】
物品収集台車30は、物品6を積載することができる収集箱32が設けられ、作業者8によって運搬される車輪を有する小型の移動車である。運搬は手押しで行うことができるが、適当な駆動装置を設けて、運転スイッチ等の操作で車輪を駆動する駆動車両であってもよい。
【0030】
物品収集台車30に設けられる質量検出装置34は、収集箱32に積載された物品6の質量を検出する機能を有する荷重計である。質量検出装置34が検出するデータは、適当な伝送手段によって収集管理装置60に伝送される。伝送手段として無線通信手段を用いることができる。その場合には、物品収集台車30に質量検出装置34と接続される無線送受信手段を設け、収集管理装置60に無線送受信手段を設ける。
【0031】
さらに、伝送手段を収集完了ボタン40と関連付ける構成とすることもできる。例えば、作業者8が収集完了ボタン40を操作するために物品収集台車30を運搬しながら収集完了ボタン40に近接したときに、物品収集台車30と収集完了ボタン40との間で近接無線通信を行うものとできる。近接無線通信としては赤外線信号を用いた通信を用いることができる。収集完了ボタン40のところで取得された質量検出装置34のデータは、収集完了ボタン40と収集管理装置60との間の通信線等を用いて収集管理装置60に伝送される。
【0032】
生産管理装置50は、物品収集処理と、その物品を用いて製品を生産する処理をふくめて、製品の生産の全体を管理する機能を有する。ここでは特に、収集管理装置60と交信して、製品の生産ラインに必要な物品収集に関する情報を収集管理装置60に伝送し、収集管理装置60によって管理される物品収集の状況を把握して製品の生産を管理する機能を有する。かかる生産管理装置50は、製品の生産に関係する各装置、各システムとネットワーク等で接続されたコンピュータで構成することができる。
【0033】
記憶装置58は、物品収集に必要な複数種類の情報を記憶する機能を有する。図2には、記憶装置58の内部構成が示されている。なお、図2は、記憶装置58と収集管理装置60について、それぞれの機能と構成を詳細に説明するための図である。図2に示されるように、物品収集に必要な情報としては、収集された物品が用いられる製品を識別する製品品番に関する品番指示情報52、製品品番毎に収集すべき物品の名称とその個数に関する物品・個数情報54、各物品毎の質量に関する物品質量情報56が含まれる。かかる記憶装置58としては、ハードディスク、大容量半導体メモリ等を用いることができる。
【0034】
収集管理装置60は、生産管理装置50、記憶装置58と相互に交信し、物品収集システム20を構成する各要素を全体として管理する機能を有する。ここでは特に、物品収集台車30に収集すべき物品が漏れなく正しく収集されたか否かを管理する機能を有する。かかる収集管理装置60は工程管理等に適した制御装置で構成することができ、例えばコンピュータを用いることができる。また、生産管理装置50の機能を有効に用いることで、収集管理装置60をシーケンサ等の制御素子で構成されるものとできる。
【0035】
収集管理装置60は、収集すべき物品6をまとめた物品収集リストを表示装置28に伝送する物品リスト伝送モジュール62と、物品収集リストの内容に基いて収集すべき物品6の質量を求めこれを収集指示質量として取得する指示質量取得モジュール64と、収集完了ボタン40が完了操作信号を出力するときに、質量検出装置34の検出値を積載質量として取得し、この積載質量を収集指示質量と比較してその比較結果を出力する質量比較出力モジュール66とを含んで構成される。かかる機能はソフトウェアを実行することで実現でき、具体的には、物品収集処理プログラムを実行することで実現できる。これらの機能についてその一部をハードウェアで実現するものとしてもよい。
【0036】
上記のように図2には、収集管理装置60の機能、特に指示質量取得モジュール64と質量比較出力モジュール66の機能の詳細が示されている。上記のように、記憶装置58には、品番指示情報52、物品・個数情報54、物品質量情報56が記憶されている。図2に「判定基準:収集指示質量生成」として示されるのは、指示質量取得モジュール64の機能の内容を示すものである。すなわち、品番指示情報52によって物品収集を行う目的の製品品番を特定し、特定された製品品番を検索キーとして物品・個数情報54を検索してその製品品番のために収集すべき物品の名称と個数とを特定し、特定された物品名を検索キーとしてそれぞれの物品の質量を検索して取得する。そして、特定された各物品の質量と個数とに基いて、収集すべき全部の物品の質量を求め、これを収集指示質量として取得する。
【0037】
その様子を図3に示す。ここでは、品番指示情報52によって物品収集を行う目的の製品品番が♯001として特定されたものとする。図3の一番左側には、製品品番♯001について収集すべき物品名とその個数をまとめた物品収集リスト80が示されている。物品収集リスト80は、上記のように、特定された製品品番♯001を検索キーとして物品・個数情報54を検索することで取得することができる。ここでは、物品Bが1個、物品Dが2個、物品Hが1個として収集すべき物品名とその個数がまとめられている。このようにして取得された物品収集リスト80は、表示装置28に伝送される。表示装置28においては、図1で説明したように、物品Bに対応するところのボタンが点灯し、個数が1として表示され、物品Dに対応するところのボタンが点灯し、個数が2として表示され、物品Hに対応するところのボタンが点灯し、個数が1として表示される。
【0038】
図3の中央には、物品質量情報56に記憶されている質量一覧リスト82が示されている。ここでは、物品収集システム20の物品棚ゾーン26に収納される全部の物品、すなわち、物品A、物品B、物品C、・・・・物品Iについて、それぞれの1個当りの質量が一覧の形で示されている。
【0039】
図3の一番右側には、製品品番♯001のために収集すべき全部の物品の合計質量である収集指示質量を計算して求めた収集指示質量リスト84が示されている。すなわち、製品品番♯001のために収集すべき物品Bは1個であるので、その質量は質量一覧リスト82を参照して500gであり、物品Dは2個であるので、その質量は質量一覧リスト82に示される1200gの2倍である2400gであり、製品Hは1個であるので、その質量は質量一覧リスト82を参照して1800gである。したがって、収集指示質量は、これらの合計である4700gとなる。このようにして、収集指示質量が求められ取得される。
【0040】
再び図2に戻り、質量比較出力モジュール66の機能の内容を説明する。図1で説明したように、作業者8が物品収集台車30に収集すべき物品をすべて積載したと認識したときに収集完了ボタン40を操作する。収集完了操作子である収集完了ボタン40が完了操作信号を出力するときに、質量検出装置34の検出データが収集管理装置60によって取得される。この取得されたデータが図2では「積載質量」68として示されている。取得された積載質量は、先ほどの収集指示質量との間で「比較」70が行われる。比較によって積載質量と収集指示質量とが一致するか否かで、「収集OKか?」72が判断される。
【0041】
判断の結果、収集OKとなれば、「次作業へ」74と進む。例えば、収集完了ボタン40のところに「収集OKです」等の表示が行われる。作業者8はこれを見て物品収集台車30を積載完了台車ゾーン24に運搬し、次作業のための別の物品収集台車30を空台車ゾーン22から運び出す。また、収集管理装置60は、収集OKの情報を生産管理装置50に伝送し、次の物品収集のための製品品番の情報を受け取る。そして、図3で説明したように、製品品番の特定に基いて、次の製品品番のための物品収集リスト80を生成し、これを表示装置28に伝送し、その内容を表示する。作業者8はその表示に従って、次の製品品番のための物品収集を行う。次の製品品番は、その前の製品品番と同じ場合もあるが、異なっている場合もある。異なった製品品番の場合は、収集すべき物品も、また収集指示質量も異なってくることが多い。
【0042】
「収集OKか?」72の判断の結果、収集がOKでないときには、その旨の表示がされる。例えば、収集完了ボタン40のところに「収集が間違っています」等の表示が行われる。作業者8はこれを見て、積載された物品に過不足があり、または誤った物品を積載したことを知り、収集作業をやり直す。図2において、「収集未完了の作業やり直し」76として示されているのは、質量比較出力モジュール66の機能ではないが、その出力の結果を見て作業者8が行う内容である。このようにして、収集完了と作業者8が認識したときに、物品収集台車30に収集すべき物品6が過不足なく正しく積載されたか否かを確認できる。なお、「収集未完了の作業やり直し」76が行われると、「積載質量」68が改めて取得され、上記の機能にしたがって収集完了が正しいか否かが判断される。
【0043】
上記構成の作用、特に収集管理装置60の各機能の内容をフローチャートとして図4に示す。図4は、物品収集の手順を示すフローチャートで、実線枠で示されている手順は収集管理装置60が実行する処理手順、破線枠で示されている手順は作業者8が行う手順である。収集管理装置60が実行する各手順は、物品収集プログラムの各処理手順に対応する。
【0044】
物品収集を行う最初は、生産管理装置50から物品収集を行う目的の製品品番の指示を取得することである(S10)。製品品番が取得されると、図3で説明したように物品収集リスト80が生成され、これが表示装置28に伝送される(S12)。伝送された物品収集リスト80に基いて表示装置28は対応する物品のところのボタンを点灯し、その個数をそれぞれ表示する(S14)。これらの手順は、収集管理装置60の物品リスト伝送モジュール62の機能によって実行される。
【0045】
作業者8は、空の物品収集台車30を用意し、図1に示されるように、表示装置28の表示内容に従って、物品棚ゾーン26から各物品6を指示された個数だけ収集して物品収集台車30に積載する(S16)。上記のように、1つの物品について収集が終わると作業者8は図示されていない確認ボタンを押し、これによって表示装置28の対応するボタンが点灯から消灯に変化する。図1では、物品Bの収集が終わってその確認ボタンを押した状態であるので、表示装置28の物品Bに対応するボタンが消灯している。
【0046】
上記の例で、収集すべき物品である物品B、物品D、物品Hを物品収集台車30に全て積載したと作業者8が認識したときに、作業者8は収集完了ボタン40を押す(S18)。S16,S18の手順は作業者8が行う手順であるので、破線枠で示されている。
【0047】
作業者8が収集完了ボタン40を押すと、収集完了ボタン40はボタン操作を示す信号として操作完了信号を出力し、収集管理装置60はこの信号を取得する(S20)。そして、そのタイミングで、物品収集台車30の質量検出装置34の検出データが積載質量として取得される(S22)。これらの処理と平行し、S10の工程の後で、図3で説明したように、収集指示質量が求められ取得される。そして、積載質量が収集指示質量と比較される(S24)。比較の結果、積載質量が収集指示質量と一致するか否かが判断される(S26)。これらの手順は、収集管理装置60の質量比較出力モジュール66の機能によって実行される。
【0048】
S26において、一致すると判断されると、その旨の表示がされ、物品収集台車30は次工程に運搬される。そして、再びS10へ戻り、次の製品品番についての物品収集の手順が繰り返される。一致すると判断されない場合には、不一致の表示(S28)が行われ、S16に戻って物品収集のやり直しが行われる。
【0049】
上記においては、物品置場における物品収集について、物品収集台車30に設けられる質量検出装置34と、収集完了ボタン40とを用いて、収集すべき物品を収集したか否かを確実に確認することができる物品収集管理システム10を説明した。ここで、収集された物品を中間製品に組み付けるときにも、質量検出装置と、組付完了ボタンとを用いて、組付すべき物品を過不足なく正しく組付したか否かを確実に確認するようにできる。すなわち、質量検出装置と、組付完了ボタンとを用いて、組付すべき物品を過不足なく正しく組付したか否かを確実に確認できる物品組付管理システムとして構成することができる。
【0050】
図5は、物品組付管理システムにおける物品組付ラインとして、半完成車両を中間製品とし、収集箱32に入っている物品をこの中間製品に組付する生産ライン100の様子が示されている。この生産ライン100は、ベルトコンベアに沿って異なる製品品番の半完成車両が中間製品88,90,92として流される。そして、組付作業位置の組付作業台において、収集箱32に予め定められた物品6が収集されて運搬供給され、作業者8によってこれらの物品6が中間製品に組み付けられる。
【0051】
図5の例では、ちょうど中間製品90が組付作業位置にあり、収集箱32はその中間製品90に対応して、図1で説明した物品収集管理システム10によって収集された物品6が入っている。ここで中間製品90の製品品番を♯001とすれば、収集箱32には、物品Bが1個、物品Dが2個、物品Hが1個入っている。
【0052】
この生産ライン100には、組付作業台に、中間製品の質量を検出する質量検出装置102が設けられ、また、組付作業位置に、組付完了操作子としての組付完了ボタン104が設けられる。質量検出装置102は、図1で説明した質量検出装置34と同様の質量検出分解能を有するが、やや大型である。質量検出装置102は、予め定められた組付用の物品6が組み付けられる前の中間製品の質量である組付前質量と、組付用の物品6が組み付けられた後の中間製品の質量である組付後質量とをそれぞれ検出し出力する機能を有する。組付完了ボタン104は、中間製品に組付すべき物品6を全て組付したと作業者8が認識したときに操作するボタンである。
【0053】
図1等で説明したと同様に、組付完了ボタン104が押されたタイミングで、質量検出装置102の検出データが組付後質量として図示されていない組付管理装置によって取得される。なお、組付前質量は、中間製品の組付前にちょうど組付作業台の質量検出装置102に乗ったタイミングにおいて取得される。すなわち、図5の例では、中間製品90が前工程からベルトコンベアに載って流れてきて、ちょうど組付作業台の質量検出装置102の上に乗ったとき、質量検出装置102の検出データが取得されて、これが中間製品90の組付前質量として取得される。
【0054】
図6は、組付用の物品に関する情報を記憶する記憶装置58と、組付管理装置110の機能を説明する図である。記憶装置58の内容は、図2で説明したものと同じである。組付管理装置110の内容は、図2で説明したものと同様に、指示質量取得モジュール112の機能と、質量比較出力モジュール114の機能とを有するものである。
【0055】
ここで、指示質量取得モジュール112は、記憶装置58の品番指示情報52、物品・個数情報54、物品質量情報56とに基いて、組付指示質量を生成する機能を有する。組付指示質量は、組付すべき物品の合計質量であるので、図3で説明した収集指示質量と同じ値である。
【0056】
質量比較出力モジュール114は、中間製品についての「組付後質量」118と「組付前質量」116との差を増加質量とされる。その増加質量は、組付指示質量との間で「比較」120が行われ、「組付後質量−組付前質量=組付指示質量か?」122が判断される。判断の結果が肯定されるときは、例えば、組付完了の旨が表示されて「次工程へ」124と進む。具体的には、組付後中間製品が次の工程に送られる。判断の結果が否定されると、例えば「組付が終わっていません」等の表示が行われ、作業者8によって「組立未完了の作業やり直し」126が行われる。
【0057】
このようにして、収集された物品を中間製品に組み付けるときにも、質量検出装置と、組付完了ボタンとを用いて、組付すべき物品を過不足なく正しく組付したか否かを確実に確認するようにできる物品組付管理システムを構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明に係る実施の形態における物品収集管理システムの構成を示す図である。
【図2】本発明に係る実施の形態において、記憶装置と収集管理装置について、それぞれの機能と構成を詳細に説明するための図である。
【図3】本発明に係る実施の形態において、製品品番に基いて収集指示質量が求められ取得される様子を説明する図である。
【図4】本発明に係る実施の形態において、物品収集の手順を示すフローチャートである。
【図5】本発明に係る実施の形態の物品組付管理システムにおいて、半完成車両を中間製品とし、物品をこの中間製品に組付する物品組付ラインの様子を示す図である。
【図6】本発明に係る実施の形態の物品組付管理システムにおいて、組付用の物品に関する情報を記憶する記憶装置と、組付管理装置の機能を説明する図である。
【符号の説明】
【0059】
6 物品、8 作業者、10 物品収集管理システム、20 物品収集システム、22 空台車ゾーン、24 積載完了台車ゾーン、26 物品棚ゾーン、28 表示装置、30 物品収集台車、32 収集箱、34,102 質量検出装置、40 収集完了ボタン、50 生産管理装置、52 品番指示情報、54 物品・個数情報、56 物品質量情報、58 記憶装置、60 収集管理装置、62 物品リスト伝送モジュール、64,112 指示質量取得モジュール、66,114 質量比較出力モジュール、80 物品収集リスト、82 質量一覧リスト、84 収集指示質量リスト、88,90,92 中間製品、100 生産ライン、104 組付完了ボタン、110 組付管理装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品収集台車に設けられ、積載された物品の質量を積載質量として検出し出力する質量検出装置と、
物品置場に設けられ、収集すべき物品を指示する表示装置と、
物品収集台車に収集すべき物品を積載したと作業者が認識したときに操作する収集完了操作子と、
物品収集を管理する管理装置と、
を備え、
管理装置は、
収集すべき物品をまとめた物品収集リストを表示装置に伝送する物品リスト伝送部と、
物品収集リストの内容に基いて収集すべき物品の質量を求めこれを収集指示質量として取得する指示質量取得部と、
収集完了操作子が完了操作信号を出力するときに、質量検出装置の検出値を積載質量として取得し、この積載質量を収集指示質量と比較してその比較結果を出力する出力部と、
を含むことを特徴とする物品収集管理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の物品収集管理システムにおいて、
管理装置は、
収集すべき複数の物品名と、各物品の個数とをまとめた物品収集リストを表示装置に伝送することを特徴とする物品収集管理システム。
【請求項3】
請求項2に記載の物品収集管理システムにおいて、
物品収集リストは、収集した物品が供給される工程において流される複数種類の製品品番毎に異なる物品収集リストであることを特徴とする物品収集管理システム。
【請求項4】
請求項1に記載の物品収集管理システムにおいて、
管理装置は、
出力部が比較結果の一致を示す出力をしたときに、次の物品収集リストを表示装置に伝送することを特徴とする物品収集管理システム。
【請求項5】
中間製品の組付作業台に設けられ、予め定められた組付用物品が組み付けられる前の中間製品の質量である組付前質量と、組付用物品が組み付けられた後の中間製品の質量である組付後質量とを、それぞれ検出し出力する質量検出装置と、
中間製品に組付すべき物品を組付したと作業者が認識したときに操作する組付完了操作子と、
組付作業を管理する管理装置と、
を備え、
管理装置は、
予め定められた物品をまとめた物品収集リストに基き、組付すべき物品の質量を組付指示質量として取得する指示質量取得部と、
組付完了操作子が完了操作信号を出力するときに、質量検出装置の検出値を組付後質量として取得し、この組付後質量と既に検出されている組付前質量との差を増加質量とし、この増加質量と組付指示質量とを比較してその比較結果を出力する出力部と、
を含むことを特徴とする物品組付管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−286508(P2009−286508A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−137714(P2008−137714)
【出願日】平成20年5月27日(2008.5.27)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】