説明

物品搬送装置及びこれを備えた物品搬送用の移動体

【課題】コストアップを極力避けながら、駆動手段による駆動力が途絶えた場合の物品の落下を確実に防ぐことができる物品搬送装置を提供すること。
【解決手段】載置搬送部分22と、搬送姿勢及び退避姿勢とに姿勢変更自在な揺動搬送部分23と、駆動手段が回転させる回転リンクL1と揺動リンクL2とを有したリンク機構が、デッドポイント線DLよりも一方側の一方側回転位置Peまで回転リンクL1が回転されると、枢支連結点Y4をデッドポイント線DLよりも一方側に位置させて揺動搬送部分23を搬送姿勢とするべく、回転リンクL1の回転と揺動搬送部分23の姿勢とを連係するように構成され、揺動搬送部分23が搬送姿勢である場合に、回転リンクL1に当接して、枢支連結点Y4がデッドポイント線DLから一方側に移動するのを規制する当接規制部31が備えられている物品搬送装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を載置搬送自在な載置搬送部分と、その載置搬送部分との間で連続して物品を載置搬送自在な搬送姿勢、及び、その搬送姿勢よりも下方側に退避する退避姿勢とに横軸心周りでの揺動により姿勢変更自在な揺動搬送部分と、駆動手段の駆動により前記揺動搬送部分を搬送姿勢と退避姿勢との間で姿勢変更させるべく、前記駆動手段の駆動と前記揺動搬送部分の姿勢変更とを連係させる連係手段と、前記揺動搬送部分を搬送姿勢と退避姿勢との間で姿勢変更させるべく、前記駆動手段の駆動を制御する制御手段と、が備えられた物品搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記物品搬送装置は、物品搬送装置の搬送方向での端部や中間部に形成される間隙に揺動搬送部を搬送姿勢で位置させることで、載置搬送部との間で物品を連続して搬送することができるものであり、載置搬送部分の端部や中間部において、間隙を形成する必要がある場合に有用なものである。
【0003】
上記物品搬送装置の従来例として、駆動手段による駆動力により揺動搬送部分を搬送姿勢に維持しているものがある(例えば、特許文献1の段落「0015」参照。)。
特許文献1のものでは、駆動手段としてエアシリンダが設けられ、エアシリンダにエアを送り込むことで揺動搬送部分を退避姿勢から搬送姿勢に姿勢変更し、エアシリンダからエアを抜くことで揺動搬送部分を搬送姿勢から退避姿勢に姿勢変更するように構成されている。そして、エアシリンダからエアを抜くまでは、エアシリンダの駆動力により揺動搬送部分を搬送姿勢に維持できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−263360号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の従来例で示した物品搬送装置であると、駆動手段の駆動力が途絶えると、揺動搬送部分を搬送姿勢に維持することができなくなるため、揺動搬送部分を搬送姿勢にした状態で物品の搬送を行っている最中に、例えば、特許文献1のものにおいてエアの供給が遮断されるなどのトラブルが発生した場合や、駆動手段として電動モータを用いている場合に駆動用の電力が遮断されるなどのトラブルが発生した場合には、駆動手段による駆動力が途絶えて、揺動搬送部分が自重により、搬送姿勢から退避姿勢に姿勢変更してしまい、揺動搬送部分にて物品の一部又は全部が載置支持されている搬送対象の物品が落下する事故が発生する問題がある。
【0006】
この問題に対して、例えば、駆動手段として電動モータを用いる場合に、電動モータに対する電力の供給が停止したときに機械的な摩擦保持力により電動モータの回転を規制するネガティブブレーキを設けることが考えられる。しかしながら、ネガティブブレーキを駆動手段に設けることは物品搬送装置の製品コストの上昇となることに加えて、次の問題がある。
【0007】
すなわち、物品の落下を防止するためには、駆動手段による駆動力が途絶えてからの姿勢変化を極力小さく抑える必要があるが、ネガティブブレーキの応答の遅延を考慮すると、駆動用のエネルギ(電力エネルギや流体圧エネルギ)が途絶える事態が発生してからではなく、揺動搬送部分を搬送姿勢に姿勢変更した時点でネガティブブレーキによる制動を作用させておくことが好ましい。その場合、揺動搬送部分を搬送姿勢に姿勢変更する度に、その都度ネガティブブレーキを制動作用状態に切り換えるため、揺動搬送部分の姿勢変更の発生頻度の高い使用環境にて物品搬送装置を稼働させる場合、ネガティブブレーキの寿命が短くなってしまい、交換のためのメンテナンス作業を頻繁に行う必要があるため、装置の維持コストが高くなってしまう。
【0008】
本発明は上記実情に鑑みて為されたものであって、その目的は、コストアップを極力避けながら、駆動手段による駆動力が途絶えた場合の物品の落下を確実に防ぐことができる物品搬送装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的を達成するために、本発明に係る物品搬送装置の第1特徴構成は、物品を載置搬送自在な載置搬送部分と、その載置搬送部分との間で連続して物品を載置搬送自在な搬送姿勢、及び、その搬送姿勢よりも下方側に退避する退避姿勢とに横軸心周りでの揺動により姿勢変更自在な揺動搬送部分と、駆動手段の駆動により前記揺動搬送部分を搬送姿勢と退避姿勢との間で姿勢変更させるべく、前記駆動手段の駆動と前記揺動搬送部分の姿勢変更とを連係させる連係手段と、前記揺動搬送部分を搬送姿勢と退避姿勢との間で姿勢変更させるべく、前記駆動手段の駆動を制御する制御手段と、が備えられた物品搬送装置において、
前記連係手段が、前記駆動手段の駆動により一端部を回転軸心として回転自在な回転リンクと、この回転リンク及び前記揺動搬送部分に枢支連結されて横軸軸心周りで揺動自在な揺動リンクとを有するリンク機構にて構成され、前記リンク機構は、前記揺動リンクと前記揺動搬送部分との枢支連結点における前記揺動リンクの揺動軸心と前記回転リンクの回転軸心とを結ぶデッドポイント線よりも一方側の一方側回転位置まで前記回転リンクが回転されると、前記回転リンクと前記揺動リンクとの枢支連結点における前記揺動リンクの揺動軸心を前記デッドポイント線よりも一方側に位置させて前記揺動搬送部分を搬送姿勢とし、且つ、前記デッドポイント線よりも他方側の他方側回転位置まで前記回転リンクが回転されると、前記回転リンクと前記揺動リンクとの枢支連結点における前記揺動リンクの揺動軸心を前記デッドポイント線よりも他方側に位置させて前記揺動搬送部分を退避姿勢とするべく、前記回転リンクの回転と前記揺動搬送部分の姿勢とを連係するように構成され、前記揺動搬送部分が搬送姿勢である場合に、前記回転リンク及び前記揺動リンクの少なくとも一方に当接して、前記回転リンクと前記揺動リンクとの枢支連結点における揺動軸心が前記デッドポイント線から一方側に移動するのを規制する当接規制部が備えられ、前記制御手段は、前記揺動搬送部分を搬送姿勢に姿勢変更する場合に、前記回転リンクを前記一方側回転位置まで回転させ、且つ、前記揺動搬送部分を退避姿勢に姿勢変更する場合に、前記回転リンクを前記他方側回転位置まで回転させるべく、前記駆動手段の駆動を制御するように構成されている点にある。
【0010】
本特徴構成によれば、駆動手段の駆動と揺動搬送部分の姿勢変更とを連係させる連係手段としてリンク機構が設けられており、回転リンクの回転と揺動搬送部分の姿勢とが連係している。したがって駆動手段により回転リンクを回転駆動することで、揺動搬送部分が姿勢変更される。すなわち、回転リンクを一方側回転位置まで回転させることで揺動搬送部分が搬送姿勢となり、回転リンクを他方側回転位置まで回転させることで揺動搬送部分が退避姿勢となる。したがって、制御手段により駆動手段の作動を制御することで、揺動搬送部分を搬送姿勢と退避姿勢とに姿勢変更することができる。
【0011】
そして、揺動搬送部分を搬送姿勢とするべく、回転リンクを一方側回転位置に位置させたとき、回転リンクと揺動リンクとの枢支連結点における揺動リンクの揺動軸心がデッドポイント線よりも一方側に位置していることになる。そのため、揺動搬送部分と揺動リンクとの枢支連結点において揺動搬送部分の自重による揺動操作力が揺動リンクに作用した場合は、リンク機構は、回転リンクと揺動リンクとの枢支連結点における揺動リンクの揺動軸心がデッドポイント線よりも一方側にさらに離間する方向に姿勢変化することになる。
【0012】
したがって、揺動搬送部分が駆動手段の駆動力により搬送姿勢に維持されているときに、駆動手段に対する駆動用のエネルギの供給が途絶えて駆動手段による駆動力が得られなくなった場合は、回転リンクは、揺動搬送部分の自重による揺動操作力により、一方側回転位置よりも、回転リンクと揺動リンクとの枢支連結点における揺動軸心がデッドポイント線から一方側にさらに離間するような回転位置に向かって回転しようとする。
【0013】
ここで、本願発明では、揺動搬送部分が搬送姿勢である場合に、回転リンクと揺動リンクとの枢支連結点における揺動軸心がデッドポイント線から一方側に移動するのを規制する当接規制部が備えられているので、上述のように一方側回転位置よりもさらに一方側に位置する回転位置に向かって回転しようとする回転リンク又はこれに連動して移動しようとする揺動リンクの少なくとも一方に当接規制部が当接することで、回転リンクの回転が規制される。これにより、揺動搬送部分が搬送姿勢から姿勢変化してしまうことを規制することができる。
【0014】
したがって、駆動手段による揺動搬送部分に対する駆動力が途絶えても、当接規制部により回転リンク及び揺動リンクの少なくとも一方が搬送姿勢となる位置からの移動が規制されるので、揺動搬送部分の姿勢変化を制動するためのネガティブブレーキなどの制動手段を設けることなく搬送姿勢からの姿勢変化を極力抑制することができる。
これにより、物品搬送装置により載置搬送される物品が搬送姿勢の揺動搬送部分に位置しているときに、駆動手段による揺動搬送部分に対する駆動力が途絶えても、物品の落下を確実に防止できる。
【0015】
このように、本願発明によれば、コストアップを極力避けながら、駆動手段による駆動力が途絶えた場合の物品の落下を確実に防ぐことができる物品搬送装置を得るに至った。
【0016】
本発明に係る物品搬送装置の第2特徴構成は、前記当接規制部は、前記揺動搬送部分が搬送姿勢から退避姿勢側に姿勢変更を開始したときに前記回転リンク及び前記揺動リンクの少なくとも一方に当接する位置に配置されている点にある。
【0017】
本特徴構成によれば、駆動手段の駆動により揺動搬送部分を搬送姿勢にしたときには、当接規制部を回転リンク及び揺動リンクに当接させず、駆動手段の駆動力が途絶えた場合にだけ当接規制部を回転リンク及び揺動リンクの少なくとも一方に当接させることになる。そのため、当接規制部の劣化を抑制することができるため、交換作業の発生頻度を低くすることで維持コストの低減を図ることができる。
【0018】
本発明に係る物品搬送装置の第3特徴構成は、前記揺動リンクが長さ調節自在な棒状部材にて構成され、前記揺動リンクの一端部に前記回転リンクが枢支連結され、前記揺動リンクの他端部に前記揺動搬送部分が枢支連結されている点にある。
【0019】
駆動手段の作動を制御する制御手段は、回転リンクを他方側回転位置から一方側回転位置まで回転駆動するように構成されているため、装置における回転リンクの回転位置は予め設定されることになる。ところが、組み付け誤差等の影響のため、装置の組み付け後に回転リンクを一方側回転位置に位置させても、例えば、載置搬送部分と揺動搬送部分の載置搬送面が一致せず両者の搬送面が微妙に交差するといったように、揺動搬送部分が正確に搬送姿勢とならない事態が起こり得る。
本特徴構成によれば、このような事態が発生しても、揺動リンクの長さを変更することで、回転リンクが一方側回転位置に位置するときに揺動搬送部分が正確な搬送姿勢となるように、搬送姿勢の揺動搬送部分と揺動リンクとの枢支連結点における揺動リンクの揺動軸心の位置と一方側回転位置に位置する回転リンクの回転中心の位置との位置関係を調整することができる。したがって、回転リンクを一方側回転位置に位置させたときに揺動搬送部分を正確に搬送姿勢とすることができる。
【0020】
本発明に係る物品搬送装置の第4特徴構成は、前記駆動手段が、電動サーボモータにて構成され、前記制御手段が、前記電動サーボモータをサーボ制御するように構成され、かつ、前記揺動搬送部分を搬送姿勢に位置させた状態で、前記電動サーボモータをサーボロック状態にするように構成されている点にある。
【0021】
本特徴構成によれば、回転リンクを回転駆動する駆動手段が電動サーボモータにて構成されているので、回転リンクを一方側回転位置や他方側回転位置に正確に位置させることができる。さらに、電動サーボモータによるサーボロックにより回転リンクを一方側回転位置や他方側回転位置に位置保持することができるため、揺動搬送部分の搬送姿勢が一定に安定し搬送対象の物品を円滑に搬送できる。しかも、回転リンクをサーボロック状態から迅速に回転作動させることができるので、揺動搬送部分の姿勢変更を迅速に行うことができる。
【0022】
特に、第2特徴構成において本特徴構成を適用することで、回転リンク又は揺動リンクが当接規制部にできるだけ接近する位置を一方側回転位置として設定できるので、駆動手段の駆動力が途絶えたときの揺動搬送部分の姿勢変化を極力小さくできる。
【0023】
本発明に係る物品搬送用の移動体の特徴構成は、第1〜第4特徴構成の何れかの物品搬送装置が設けられた物品搬送用の移動体であって、複数の移載対象箇所の間を走行移動する走行体を備え、前記走行体は、前記載置搬送部分を搬送方向について固定された状態で備え、前記揺動搬送部分が、前記載置搬送部分の搬送方向での端部に設けられ、かつ、前記移載対象箇所との間で物品の移載を行う移載用停止位置に前記走行体が停止した状態で前記移載対象箇所との間に形成される間隙の長さに対応した長さにて構成されている点にある。
【0024】
本特徴構成によれば、物品搬送用の移動体は、搬送元での移載対象箇所及び搬送先での移載対象箇所において、物品移載装置により物品の移載を行う際に、載置搬送部分と移載対象箇所との間に、揺動搬送部分に相当する幅の間隙が形成されている場合には、揺動搬送部分を搬送姿勢に姿勢変更させてから移載対象箇所との間で物品の移載を行うことで、載置搬送部分を搬送方向にスライド移動させることなく、物品を適正に移載することができる。そして、走行体の走行作動により複数の移載対象箇所の間で走行移動することができるので、搬送元での移載対象箇所から搬送先での移載対象箇所まで物品を搬送することができる。しかも、物品搬送用の移動体が本願発明の物品搬送装置を備えることにより、搬送元及び搬送先での移載作動中に駆動手段の駆動力が途絶えた場合における物品を落下を確実に防止できる。そのため、物品搬送用の移動体に非常停止が掛けられて駆動手段の駆動力が途絶えるような事態が発生した場合の復旧作業が容易となり、迅速な復旧が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】第1実施形態における自動倉庫設備の全体平面図
【図2】第1実施形態におけるスタッカクレーンの正面図
【図3】第1実施形態における載置搬送部分の端部及び揺動搬送部分の平面図
【図4】第1実施形態における載置搬送部分の端部及び揺動搬送部分の側面図
【図5】第1実施形態における制御ブロック図
【図6】第1実施形態における物品搬送処理の一部を示すフローチャート
【図7】第1実施形態における物品搬送装置の一部縦断側面図その1(退避姿勢)
【図8】第1実施形態における物品搬送装置の一部縦断側面図その2
【図9】第1実施形態における物品搬送装置の一部縦断側面図その3
【図10】第1実施形態における物品搬送装置の一部縦断側面図その4(搬送姿勢)
【図11】第2実施形態における物品搬送設備の全体平面図
【図12】第2実施形態における物品搬送用の移動体の正面図
【図13】第3実施形態における物品搬送装置の側面図
【図14】別実施形態における物品搬送用の移動体の側面図
【発明を実施するための形態】
【0026】
〔第1実施形態〕
本発明に係る物品搬送装置及びこれを備えた物品搬送用の移動体を自動倉庫設備に適用した場合の実施形態を、図面に基づいて説明する。図1及び図2に示すように、物品出し入れ方向が互いに対向するように間隔を隔てて設置した2つの物品収納棚1と、2つの物品収納棚1同士の間に形成された移動通路2を移動する物品搬送用の移動体としてのスタッカクレーン3とが設けられている。物品収納棚1の棚横幅方向(図1紙面左右方向)において物品収納棚1の両側部には、外部から搬入される物品4を載置支持させるとともに、物品収納棚1から出庫して外部に搬出する物品4を載置支持する搬出入部5が設けられている。
【0027】
各物品収納棚1は、前後一対の支柱1aが棚横幅方向に間隔を隔てて複数立設され、棚横幅方向に隣接する支柱1aの間を上下複数枚の棚板1bで連結して構成されている。棚板1bは、棚横幅方向に複数の物品4が並ぶ状態で複数の物品4を載置支持するように構成されている。
【0028】
スタッカクレーン3として、移動通路2を中心として、棚前後方向において一方側(図1紙面左側及び図2紙面右側)を移動する第1スタッカクレーン3a(以下、1号機3aと呼ぶ。)と、棚前後方向において他方側(図1紙面右側及び図2紙面左側)を移動する第2スタッカクレーン3b(以下、2号機3bと呼ぶ。)とが設けられている。移動通路2の床面には、下部レール7が棚横幅方向に沿って平行に2本敷設され、移動通路2の上方には、上部レール8が棚横幅方向に沿って平行に2本配置されている。2本の下部レール7及び上部レール8のうち、棚前後方向の一方側(図1紙面下側及び図2紙面右側)に配置されているものは、1号機3aを移動通路2に沿って移動させるためのものであり、棚前後方向の他方側(図1紙面上側及び図2紙面左側)に配置されているものは、2号機3bを移動通路2に沿って移動させるためのものである。1号機3a及び2号機3bの夫々は、下部レール7及び上部レール8の案内により棚横幅方向の物品収納棚1の全長及び搬出入部5の配設箇所に亘って移動通路2を往復移動自在に設けられている。
【0029】
スタッカクレーン3は、下部レール7に沿って走行自在な走行台車9と、その走行台車9に立設された昇降案内マスト10に沿って昇降自在な昇降台11とを備えている。昇降台11は、収納部6及び搬出入部5に対して棚前後方向を物品移載方向として物品4を移載可能な物品移載装置12を備えている。
【0030】
走行台車9は、棚横幅方向に長い扁平形状に形成され、1号機3aの走行台車9と2号機3bの走行台車9とが、互いにすれ違い移動可能な状態で移動通路2を移動するように構成されている。
【0031】
1号機3aの昇降案内マスト10は、棚前後方向の一方側(図1紙面下側及び図2紙面右側)に寄せた状態で走行台車9に設けられ、2号機3bの昇降案内マスト10は、棚前後方向の他方側(図1紙面上側及び図2紙面左側)に寄せた状態で走行台車9に設けられている。
【0032】
1号機3a及び2号機3bの昇降台11は、1号機3a及び2号機3bの夫々が互いにすれ違い移動できるように、相手側のスタッカクレーン3の昇降台11と棚前後方向で重複する部分を備えかつ相手方のスタッカクレーン3の昇降案内マスト10に達しないように昇降案内マスト10から棚前後方向に延びる状態で設けられている。すなわち、1号機3aの昇降台11は、2号機3bの昇降案内マスト10に当接しないように1号機3aの昇降案内マスト10から棚前後方向に延びる状態で昇降案内マスト10にて片持ち支持されている。2号機3bの昇降台11も、1号機3aの昇降案内マスト10に当接しないように2号機3bの昇降案内マスト10から棚前後方向に延びる状態で昇降案内マスト10にて片持ち支持されている。
【0033】
このように、1号機3aと2号機3bの夫々は、自己の昇降台11が昇降案内マスト10から突出する側の端部と棚前後方向で対向するスタッカクレーン側の物品収納棚1の前面位置との間に間隙を形成することで、1号機3aと2号機3bとは自己の昇降台11と相手側の昇降案内マスト10とが干渉することなく互いにすれ違い移動可能となっており、1号機3aと2号機3bの夫々が移動通路2の全域に亘って往復移動できるように構成されている。そして、収納部6及び搬出入部5を複数の移載対象箇所として、それらの間を走行移動する走行体としての走行台車9を備えている。
【0034】
1号機3a及び2号機3bの走行台車9には、前後の走行車輪16のうち走行駆動輪16Dを回転駆動して走行台車9の走行作動を駆動する走行駆動手段としての走行用モータM1、昇降台11の上下端に連結され昇降台11を吊り下げ支持している昇降チェン19に係合する昇降駆動スプロケット20を回転駆動して昇降台11の昇降作動を駆動する昇降駆動手段としての昇降用モータM2が設けられている。また、図1及び図2では図示を省略するが、1号機3a及び2号機3bの夫々には、スタッカクレーン3の走行台車9の走行位置を検出する光反射式の走行位置検出手段としての走行用レーザ距離計Dhと、一対のスタッカクレーン3の夫々の昇降台11の昇降位置を検出する光反射式の昇降位置検出手段としての昇降用レーザ距離計Dvとが設けられている(図5参照)。
【0035】
次に、昇降台11の枠体13に設けられている物品移載装置12について説明する。図1及び図2に示すように、物品移載装置12は、棚横幅方向に沿って互いに接近離間移動自在に設けられて移載対象の物品4の底面の両側部を載置支持した状態で物品4を棚前後方向に沿って搬送する一対の載置支持部17と、載置支持部17と共通の取付台座に取り付けられて、移載対象の物品4を把持する把持位置とこの把持位置よりも幅広の解除位置とに互いに棚横幅方向に沿って接近離間移動自在でかつ載置支持部17に対して棚前後方向に沿って出退自在に構成された一対のクランプ部18とを備えている。
【0036】
一対の載置支持部17は、スタッカクレーン3の前後方向で走行用モータM1や昇降用モータM2が設けられている側を前側として、前側載置支持部17Fと後側載置支持部17Rとからなり、同様に、一対のクランプ部18は、前側クランプ部18Fと後側クランプ部18Rとからなる。
【0037】
一対の載置支持部17F・17Rのそれぞれは、棚前後方向に沿って並ぶ状態で配設された横軸心(水平方向に沿う軸心)周りに回転自在な複数の回転ローラ21を備えて物品4を載置搬送自在な載置搬送部分22と、載置搬送部分22の棚前後方向の両端部のうち、昇降台11が昇降案内マスト10から突出する方向の端部22T(以下、突端部22Tという。)に設けられた揺動搬送部分23とを備えて構成されている。
【0038】
揺動搬送部分23は、回転駆動軸心Y2が横向きになる姿勢で突端部22Tの下方に配設された揺動用モータM6の回転駆動により、載置搬送部分22の搬送面と揺動搬送部分23の搬送面が連続することで、載置搬送部分22との間で連続して物品4を載置搬送自在な搬送姿勢(図1及び図2に示された1号機3aにおける揺動搬送部分23の搬送姿勢)、及び、その搬送姿勢よりも下方側に退避する退避姿勢(図1及び図2に示された2号機3bにおける揺動搬送部分23の搬送姿勢)とに横軸心Y1周りでの揺動により姿勢変更自在に構成されている。
【0039】
1号機3a及び2号機3bは、相手側に位置する物品収納棚1における搬出入部5や収納部6との間で物品4の移載を行う場合にのみ揺動搬送部分23を搬送姿勢にし、それ以外の場合、例えば、待機中でる場合、走行作動中又は昇降作動中である場合、自己側に位置する物品収納棚1における搬出入部5や収納部6との間で物品4の移載を行う場合には、揺動搬送部分23を退避姿勢とするようになっている。
【0040】
本実施形態では、載置搬送部分22と揺動搬送部分23とはいずれもローラコンベヤにて構成されて、載置搬送部分22及び揺動搬送部分23を備える一対の載置支持部17F・17Rの夫々が、本発明の物品搬送装置に相当し、揺動用モータM6が駆動手段に相当する。そして、本実施形態では、揺動用モータM6は電動サーボモータにて構成されている。
【0041】
一対の載置支持部17F・17Rの夫々の下部には、搬送用モータM3(図5参照)が取り付けられており、この搬送用モータM3にて駆動ベルト(図示せず)を巻回駆動することで、載置搬送部分22の全ての回転ローラ21が一斉に回転駆動されるように構成されている。
【0042】
一対のクランプ部18F・18Rの夫々は、3段式のスライドフォーク装置を備えて構成されている。一対のクランプ部18F・18Rの対抗面とは反対側には出退用モータM4が設けられおり、この出退用モータM4にて駆動チェーン(図示せず)を巻回駆動することで、スライドフォーク装置が出退駆動される。
【0043】
昇降台11の枠体13は、枠体13を構成する棚前後方向に間隔を隔てて配設された一対の角フレームのそれぞれの上面に取り付けられた一対のガイドレール14と、枠体13の棚横幅方向で両端部に設けられた縦軸心(鉛直方向に沿う軸心)の従動プーリ及び歯付駆動プーリに亘って棚横幅方向に沿って巻き掛けられた歯付ベルト15と、枠体13に取り付けられて歯付駆動プーリを回転駆動する接近離間用モータM5(図5参照)とを備えている。
【0044】
歯付ベルト15の互いに対向する巻回部分には、図外の一対のスライドブロック(図示せず)が設けられ、歯付ベルト15が巻回作動したときに互いに逆向きに棚横幅方向に沿って移動するようになっている。前側載置支持部17F及び前側クランプ部18Fが取り付けられた共通の前側取付台座が、前記ガイドレールにて案内される状態で棚横幅方向に移動自在に支持され、かつ、前方側のスライドブロックに固定状態で連結されている。同様に、後側載置支持部17R及び後側クランプ部18Rが取り付けられた共通の後側取付台座が、前記ガイドレールにて案内される状態で棚横幅方向に移動自在に支持され、かつ、後方側のスライドブロックに固定状態で連結されている。
【0045】
これにより、接近離間用モータM5にて歯付駆動プーリを回転駆動して歯付ベルト15を巻回駆動させると、前側取付台座と後側取付台座とが棚横幅方向に接近離間移動することで、前側載置支持部17F及び前側クランプ部18Fと、後側載置支持部17R及び後側クランプ部18Rとが、棚横幅方向に沿って互いに接近離間移動するように構成されている。このように、載置搬送部分22を棚横幅方向に移動自在に備えているが棚前後方向については昇降台11の枠体13に対して移動しない。つまり、走行台車9は、載置搬送部分22を搬送方向(棚前後方向)については固定された状態で備えている。
【0046】
載置搬送部分22の突端部22Tの構成について、後側載置支持部17Rを例に説明する。図3及び図4に示すように、載置搬送部分22における複数の回転ローラ21のうち、昇降台11の突出方向で先端に位置する回転ローラ21(以下、端部ローラ21Tという)は、載置搬送部分22の両側面を構成する長尺状の一対のローラ支持プレート24の先端部に回転自在に支持されている。端部ローラ21T及びこれに隣接する回転ローラ21には外周方向に沿って係合溝が形成されており、両者の係合溝は、ローラ軸心方向で同じ位置となっている。端部ローラ21T及びこれに隣接する回転ローラ21とは、係合溝に巻き掛けられた伝動ベルト25により連動回転自在に連結されている。
【0047】
揺動搬送部分23は、一対のローラ支持プレート24の先端部に対して端部ローラ21Tの回転軸心Y1周りに揺動自在に取り付けられた揺動枠体26を備えている。揺動枠体26は、載置搬送部分22のローラ支持プレート24の先端部に横軸心Y1周りに揺動自在に枢支連結される揺動基部26Bと、棚横幅向で間隔を隔てて揺動基部26Bと接続された後フレーム26R及び前フレーム26Fと、後フレーム26R及び前フレーム26Fを搬送方向の中間箇所で連結する補強パイプ26Pと、後フレーム26R及び前フレーム26Fを先端部で連結する先端連結プレート26Tが枠組みされて構成されている。
【0048】
揺動搬送部分23は、後フレーム26R及び前フレーム26Fに、両端部を回転自在に支持された複数(例えば5本)の従動ローラ27を備えている。揺動搬送部分23の揺動先端部に位置する従動ローラ27同士の間に形成された間隙には、移載対象の物品4の通過を検出する物品通過センサS1が、前フレーム26Fから後側に向かって延設されたセンサ取付ブラケット28に支持された状態で配設されている。ちなみに、物品通過センサS1は、載置搬送部分22の突端部22Tとは反対側の端部にも設けられている。
【0049】
載置搬送部分22のローラ支持プレート24の下端部を長手方向に沿って折り曲げ形成された水平方向に沿うフランジ部24Fに、棚横幅方向視でL字状の取付プレート29がボルト固定されており、この取付プレート29には、モータ支持ブラケット30と、ストッパ支持ブラケット32とが取り付けられている。なお、取付プレート29には、揺動用モータM6により回転駆動される回転リンクL1との干渉を避けるための切欠き29Cが形成されている。
【0050】
モータ支持ブラケット30は、揺動搬送部分23を搬送姿勢と退避姿勢との間で姿勢変更させるための揺動用モータM6及び揺動用モータM6の回転駆動軸に連結されて回転速度を所定の減速比に減速して出力する減速機Rを支持する。モータ支持ブラケット30は、ローラ支持プレート24のフランジ部24Fより下方に延設されており、揺動用モータM6及び減速機Rは載置搬送部分22の突端部22Tの下方空間に位置するように配設されている。
【0051】
ストッパ支持ブラケット32は、回転リンクL1に当接して回転リンクL1の回転移動を規制するストッパ31を支持する。ストッパ支持ブラケット32は、ローラ支持プレート24のフランジ部24Fより上方に延設されており、斜め下方に向く形状に形成された先端部32Tにおいてストッパ31を支持している。ストッパ31は、ストッパ支持ブラケット32の先端部32Tに形成された取付部33に対してダブルナットにより固定されており、ストッパ支持ブラケット32により斜め方向の取付位置を位置調節自在に支持されている。
【0052】
後側載置支持部17Rは、揺動用モータM6の回転駆動と揺動搬送部分23の姿勢変更とを連係させる連係手段としてのリンク機構Lを備えている。リンク機構Lは、揺動用モータM6の回転駆動により一端部を回転軸心として回転自在な回転リンクL1と、この回転リンクL1及び揺動搬送部分23に枢支連結されて横軸心Y3及び横軸心Y4周りで揺動自在な揺動リンクL2とを有する。
【0053】
回転リンクL1の一方側の端部は、減速機Rの出力軸に連結されており、回転リンクL1は、揺動用モータM6の回転駆動軸心Y2と同一軸心周りに回転自在に設けられている。揺動リンクL2は、長さ調節自在な棒状部材にて構成されている。揺動リンクL2の一端部には、回転リンクL1の回転半径方向で外方側の端部が横軸心Y4周りに揺動自在に枢支連結されている。揺動リンクL2の他端部には、揺動搬送部分23の搬送方向で中間箇所で前フレーム26F及び後フレーム26Rを連結する断面円形の枢支軸35に枢支連結されている。これにより、揺動用モータM6による回転リンクL1の回転範囲Ps〜Peが予め設定されている場合に、その回転範囲Ps〜Peにおける一方側の端部Peで揺動搬送部分23が適正な搬送姿勢となるように、揺動リンクL2の長さを調節することができるので、回転リンクL1を一方側回転位置Peに回転させたときに揺動搬送部分23が正確に搬送姿勢となるように簡単に調整することができる。
【0054】
リンク機構Lは、揺動リンクL2と揺動搬送部分23との枢支軸35における揺動リンクL2の揺動軸心Y3と回転リンクL1の回転軸心Y2とを結ぶデッドポイント線DL(図9参照)よりも一方側の一方側回転位置Peまで回転リンクL1が回転されると、回転リンクL1と揺動リンクL2との枢支軸34における揺動軸心Y4を、デッドポイント線DLよりも一方側に位置させて揺動搬送部分23を搬送姿勢とし(図10参照)、デッドポイント線DLよりも他方側の他方側回転位置Psまで回転リンクが回転されると、回転リンクL1と揺動リンクL2との枢支点における揺動軸心Y4をデッドポイント線DLよりも他方側に位置させて揺動搬送部分23を退避姿勢とする(図7参照)べく、回転リンクL1の回転と揺動搬送部分23の姿勢とを連係するように構成されている。
【0055】
ストッパ31は、揺動搬送部分23に作用する揺動用モータM6のサーボロックによる位置保持力が非常停止処理等による電力遮断により途絶えることにより、揺動搬送部分23が自重により退避姿勢側に回転したときに、回転リンクL1に当接して回転リンクL1の回転を規制する。これにより、回転リンクL1と揺動リンクL2との枢支点における揺動軸心Y4がデッドポイント線DLから一方側に移動するのを規制する。つまり、ストッパ31は、本発明の当接規制部として機能している。
【0056】
次に、スタッカクレーン3の物品搬送作動を制御する制御構成について説明する。図5に示すように、1号機3a及び2号機3bの作動を制御する地上側コントローラHが設けられている。地上側コントローラHは、スタッカクレーン3側に設けられる第1スタッカクレーン制御装置H1(以下、第1クレーン制御装置H1という)及び第2スタッカクレーン制御装置H2と(以下、第2クレーン制御装置H2という)と赤外線を利用した無線通信により通信自在に構成されている。
【0057】
スタッカクレーン3の作動用の電力を供給する給電レール36が走行レールに沿って設けられており、1号機3a及び2号機3bは、給電レール36から電力を受け取る集電ブラシを備えている。電源からの電力を給電レール36に供給する給電状態と、給電レール36への電力の供給を遮断する遮断状態とに切換自在な給電制御装置37が設けられている。給電制御装置37は、地上側コントローラHからの非常停止信号に基づいて、給電状態から遮断状態に切り換えるように構成されている。
【0058】
第1クレーン制御装置H1には、走行用レーザ距離計Dh及び昇降用レーザ距離計Dvの他、物品通過検出用光センサや物品はみ出し検出用光センサ等の各種センサが接続されている。また、搬送用モータM3、出退用モータM4、揺動用モータM6については一対の載置支持部17及び一対のクランプ部18の夫々について設けられているが、図5のブロック図では省略して一つのみ記載している。
【0059】
第1クレーン制御装置H1は、1号機3aが備える電動サーボモータM1〜M6の作動を各別に制御するサーボアンプを備えており、地上側コントローラHからの運転指令情報を受けて、走行用モータM1をサーボ制御して走行台車9の走行作動を制御し、昇降用モータM2をサーボ制御して昇降台11の昇降作動を制御し、搬送用モータM3をサーボ制御して載置支持部17の搬送作動を制御し、出退用モータM4をサーボ制御してクランプ部18の出退作動を制御し、接近離間用モータM5をサーボ制御して一対の載置支持部17及び一対のクランプ部18の接近離間作動を制御し、揺動用モータM6をサーボ制御して載置支持部17における揺動搬送部分23の揺動作動を制御する。
【0060】
地上側コントローラHが送信する運転指令情報としては、走行台車9の走行速度指令情報、昇降台11の昇降速度指令情報、移載対象の物品4の幅等の物品情報、物品移載装置12における揺動搬送部分23についての姿勢切換指令情報、一対の載置支持部17及び一対のクランプ部18による移載作動の開始情報などがあり、第1クレーン制御装置H1からは各種作動が完了した時点で完了情報が送信される。
【0061】
そして、作業者にて指令操作される指令入力手段や上位の管理コンピュータから物品単位の入庫作業又は出庫作業を指令する搬送指令が指令されると、搬送指令にて指定される搬送元及び搬送先としての搬出入部5や収納部6に物品移載装置12を移動させるべく、地上側コントローラHが、1号機3a及び2号機3bが相互に干渉しないように、走行台車9の走行速度指令情報、昇降台11の昇降速度指令情報を送信し、第1クレーン制御装置H1が走行速度指令情報及び昇降速度指令情報に基づいて走行台車9の走行作動及び昇降台11の昇降作動を制御することで、収納部6や搬出入部5のそれぞれについて予め設定された目標停止位置に物品移載装置12を棚前面側で移動させるようにしている。
【0062】
図6のフローチャートに示すように、第1クレーン制御装置H1は、#1で目標停止位置に物品移載装置12を位置させると、#2へ移行し、移載対象箇所が自己のスタッカクレーン3側に位置しているか相手のスタッカクレーン3側に位置しているか、つまり、棚前後方向でどちらに位置するか判別する。例えば、1号機3aの場合、移載対象箇所が図1の紙面下側に位置する物品収納棚1における収納部6又は図1の紙面下側に位置する搬出入部5である場合は、第1クレーン制御装置H1は、揺動搬送部分23を搬送姿勢にする必要はないとして、#4へ移行して移載作動を開始する。
【0063】
移載対象箇所が自己側の収納部6又は搬出入部5である場合は、揺動搬送部分23を搬送姿勢に切り換える必要があるので、第1クレーン制御装置H1は、揺動用モータM6を駆動させて揺動搬送部分23を図7に示す退避姿勢から図10に示す搬送姿勢に切り換えた後、#4へ移行して移載作動を開始する。第1クレーン制御装置H1は、#4〜#6で移載作動を行う間、揺動搬送部分23を図10に示す搬送姿勢に位置させた状態で、揺動用モータM6をサーボロック状態にするように構成されている。
【0064】
#4では、一対の載置支持部17F・17Rの搬送作動及び一対のクランプ部18F・18Rの出退作動並びにこれらの接近離間作動により、搬出入部5や収納部6から物品移載装置12へ物品4を受け取る掬い用移載作動や、物品移載装置12から搬出入部5や収納部6へ物品4を受け渡す卸し用移載作動を開始する。図6では、卸し用移載作動と掬い用移載作動を区別せずに記載している。
【0065】
そして、#5で物品4の移載が完了するまでシーケンシャルな動作が進行する。掬い用移載作動が行われる場合は、一対の載置支持部17F・17R及び一対のクランプ部18F・18Rを、移載対象の物品4の横幅に対応した解除位置に位置させた状態で、一対のクランプ部18F・18Rのスライドフォーク装置を突出作動させた後、一対の載置支持部17F・17R及び一対のクランプ部18F・18Rの間隔を狭めて把持位置として移載対象の物品4を把持する。その後、一対の載置支持部17F・17Rの搬送作動を開始させるとともに一対のクランプ部18F・18Rのスライドフォーク装置を引退作動させる。物品通過センサS1の検出情報に基づいて物品4の搬送が完了したと判断すると、一対の載置支持部17F・17Rの搬送作動及び一対のクランプ部18F・18Rの引退作動を停止して、移載作動の完了とする。
【0066】
卸し用移載作動が行われる場合は、一対の載置支持部17F・17R及び一対のクランプ部18F・18Rを、移載対象の物品4を把持した把持位置に維持したまま、一対の載置支持部17F・17Rの搬送作動を開始させるとともに一対のクランプ部18F・18Rのスライドフォーク装置を突出作動させる。物品通過センサS1により物品の通過が検出されると、一対の載置支持部17F・17Rの搬送作動及び一対のクランプ部18F・18Rの引退作動を停止して、一対の載置支持部17F・17R及び一対のクランプ部18F・18Rの間隔を広げて、移載対象の物品の横幅に応じた解除位置として移載対象の物品4の把持を解除する。その後、一対のクランプ部18F・18Rのスライドフォーク装置を原点位置まで引退作動させて、移載作動の完了とする。
【0067】
なお、移載対象箇所が、自己側に位置する場合と相手側に位置する場合とで、一対のクランプ部18F・18Rの出退量が異なっており、移載対象箇所が相手側に位置する場合の方が出退量が大きい。これに対応して、一対の載置支持部17F・17Rの搬送作動時間も移載対象箇所が相手側に位置する場合の方が長くなる。
【0068】
そして、#7で#2同様に、今般の移載作動の移載対象箇所が自己のスタッカクレーン3側に位置しているか相手のスタッカクレーン3側に位置しているかを判断し、自己側に位置する移載対象箇所に対する移載作動であれば、揺動搬送部分23は退避姿勢のままであるから、そのまま、次の処理に移行する。相手のスタッカクレーン3側に位置している移載対象箇所に対する移載作動であれば、揺動搬送部分23を退避姿勢に切り換える必要があるので、#8へ移行して、第1クレーン制御装置H1は、揺動用モータM6を駆動させて揺動搬送部分23を図10に示す搬送姿勢から図7に示す退避姿勢に切り換えた後、次の処理に移行する。
【0069】
#7や#8の処理が完了した後の処理としては、例えば、掬い用移載作動が完了した後は、掬った物品4を搬送先に搬送する処理を行い、卸し用移載作動が完了した後は、次の物品4を搬送作業についての搬送元の移載対象箇所に移動する処理を行うか、次の搬送作業が指令されるまで待機する。
【0070】
このように、第1クレーン制御装置H1は、揺動搬送部分23を搬送姿勢と退避姿勢との間で姿勢変更させるべく、揺動用モータM6の駆動を制御するものであり、本発明の制御手段として機能している。同様に、第2クレーン制御装置H2についても、本発明の制御手段として機能している。
【0071】
#3及び#8で行われる揺動搬送部分23の姿勢変更作動について図7〜図9に基いて説明する。第1クレーン制御装置H1及び第2クレーン制御装置H2は、揺動搬送部分23を搬送姿勢に姿勢変更する場合に、回転リンクL1を一方側回転位置Peまで回転させ、且つ、揺動搬送部分23を退避姿勢に姿勢変更する場合に、回転リンクL1を他方側回転位置Psまで回転させるべく、揺動用モータM6の駆動を制御するように構成されている。
【0072】
図7に示すように、回転リンクL1が他方側回転位置Psに位置するときに、揺動搬送部分23が退避姿勢となる。退避姿勢において揺動搬送部分23が載置搬送部分22の先端位置、つまり、ローラ支持プレート24の先端位置よりも載置搬送部分22の搬送方向で外方側にはみ出さないように、他方側回転位置Psが設定されている。揺動用モータM6は、退避姿勢から自重により搬送姿勢側へ揺動しようとする揺動搬送部分23をサーボロックにより他方側回転位置Psに位置保持している。これにより、スタッカクレーン3の走行作動中や昇降作動中に揺動搬送部分23が載置搬送部分22の搬送方向で揺動してローラ支持プレート24の先端位置よりも外方側にはみ出ることを防止している。
【0073】
揺動搬送部分23が図7に示す退避姿勢から図10に示す搬送姿勢まで姿勢変更される過程において、図8に示すように、回転リンクL1が死点前位置P1において揺動搬送部分23が搬送姿勢となる。回転リンクL1が死点前位置P1に位置しているときは、回転リンクL1と揺動リンクL2が連結された枢支軸34における揺動軸心Y4は、デッドポイント線DL(図9及び図10参照)よりも他方側回転位置Ps側に位置している。
【0074】
回転リンクL1を死点前位置P1から一方側回転位置Pe側に位置するデッドポイント位置Pdまで回転駆動すると、揺動搬送部分23は図8に示す搬送姿勢から図9に示す姿勢に変化する。図9に示すように、回転リンクL1と揺動リンクL2とが連結された枢支軸34における揺動軸心Y4が、回転リンクL1の回転軸心Y2と揺動リンクL2の揺動搬送部分23との枢支点における揺動軸心Y3とを結ぶ直線であるデッドポイント線DL上に位置している。このとき、揺動搬送部分23の姿勢は搬送姿勢よりも上方側に位置する姿勢となっている。図9では、載置搬送部分22の搬送面と揺動搬送部分23の搬送面が連続するときの姿勢、つまり搬送姿勢における揺動搬送部分23の揺動枠体26の上端部を仮想線VLで示している。
【0075】
回転リンクL1をデッドポイント位置Pdから一方側回転位置Peまで回転駆動すると、揺動搬送部分23は図9に示す搬送姿勢から図10に示す搬送姿勢に変化する。図10に示すように、回転リンクL1が一方側回転位置Peに位置するとき、枢支軸34における揺動軸心Y4が、デッドポイント線DLよりも一方側に位置している。このとき、揺動搬送部分23は搬送姿勢となっている。揺動用モータM6は、搬送姿勢から自重により退避姿勢側へ揺動しようとする揺動搬送部分23の揺動を規制するべく、回転リンクL1をサーボロックにより一方側回転位置Peに位置保持している。これにより、揺動搬送部分23を物品4が通過した後、退避姿勢への切換作動を即座に開始できる。
【0076】
揺動搬送部分23が自重によりに退避姿勢側に僅かでも揺動しようとすると、回転リンクL1が一方側回転位置Peから更に一方側に僅かに回転し、回転リンクL1の端面がストッパ31に当接することで、揺動搬送部分23の退避姿勢への姿勢変化を規制されるようになっている。つまり、ストッパ31は、回転リンクL1が一方側回転位置Peに位置しているときは当接せず、僅かな隙間が形成されるように、ストッパ支持ブラケットの先端部32Tにおける取付位置が調節された状態でダブルナットを用いて固定されている。したがって、回転リンクL1は通常時はストッパ31に当接しないため、ストッパ31が備える樹脂性部材の磨耗などを防止して頻繁に交換せずに済むようになっている。
【0077】
揺動搬送部分23を搬送姿勢に切り換えた後、物品4が通過するまでは、正常時であれば揺動用モータM6のサーボロックを利用して回転リンクL1は一方側回転位置Peに位置保持されるが、揺動搬送部分23を搬送姿勢にして物品4を搬送している間に、何らかの原因(例えば、進入禁止エリアに作業者が無意識で進入した場合や、相手側のスタッカクレーン3で何らかのトラブルが発生した場合等)で給電制御装置37が給電レール36への電力供給を遮断した場合には、サーボロックが機能せず、揺動搬送部分23は退避姿勢に揺動しようとする。
【0078】
本実施形態では、デッドポイント位置Pdよりも一方側の一方側回転位置Peまで回転駆動することで、サーボロックが機能しなくなった場合に、揺動搬送部分23が自重により横軸心Y3周りに揺動すると回転リンクL1がストッパ31に当接することで、リンク機構Lの姿勢変化を規制し、揺動搬送部分23の揺動を規制できる。これにより、揺動搬送部分23に物品4が位置しているときに揺動モータの駆動力による位置保持力が得られなくなっても、揺動搬送部分23を極力姿勢変化させないことが可能であるので、物品4の落下などの事故を防止できる。
【0079】
〔第2実施形態〕
図11及び図12に示すように、物品搬送用の移動体としての物品搬送台車STVが床面に敷設された一対の走行レール42に沿って走行自在に設けられている。物品搬送台車STVの走行経路の両脇には、複数の移載対象箇所としての複数のステーションコンベヤ40が設置されている。
【0080】
図11及び図12に示すように、物品搬送台車STVは、走行体としての走行台車本体41を備えている。走行台車本体41は、少なくとも一つの駆動輪を含む前後左右に位置する4つの走行車輪43と各走行レール42の左右両側に配置された複数対のガイドローラ44により、走行レール42沿って複数のステーションコンベヤ40の間を走行自在となっている。
【0081】
走行台車本体41の上部には、ローラコンベヤにて構成された物品移載装置48が取り付けられている。物品移載装置48は走行台車本体41がステーションコンベヤ40についての移載用停止位置に停止した状態において、ステーションコンベヤ40との間で物品を受け渡しするべく、走行台車本体41の走行方向と交差する方向を搬送方向として移載対象の物品を搬送する。
【0082】
物品移載装置48は走行台車本体41の横幅と略同じ長さの載置搬送部分45と、この載置搬送部分45の搬送方向での両端部において横軸心周りに揺動自在に設けられた第1揺動搬送部分46a及び第2揺動搬送部分46bとを備えて構成されている。載置搬送部分45は、走行台車本体41に対して固定状態で設けられているため、走行台車本体41に対する搬送方向での位置は固定された状態となっている。図示は省略するが、走行台車本体41の内部には搬送用モータが内装されており、載置搬送部分45は、この搬送用モータにより搬送駆動されるように構成されている。本実施形態では、リンク機構として第1リンク機構La及び第2リンク機構Lbが設けられておいる。第1リンク機構La及び第2リンク機構Lbは第1実施形態におけるリンク機構Lと同様の構成であるから説明は省略する。また、ストッパ31を設けている点も第1実施形態と同様である。
【0083】
第1揺動搬送部分46aは、走行台車本体41がステーションコンベヤ40についての移載用停止位置に停止した状態でステーションコンベヤ40と載置搬送部分45との間に形成される間隙の搬送方向の長さに相当する長さに形成されており、第1揺動用サーボモータMaの駆動により搬送姿勢と退避姿勢との間で姿勢変更される。すなわち、第1揺動用サーボモータMaの駆動により第1リンク機構Laにおける回転リンクが他方側回転位置から一方側回転位置まで回転すると、第1揺動搬送部分46aが退避姿勢から搬送姿勢に姿勢変更され、逆に、第1揺動用サーボモータMaの駆動により第1リンク機構Laにおける回転リンクが一方側回転位置から他方側回転位置まで回転すると、第1揺動搬送部分46aが搬送姿勢から退避姿勢に姿勢変更される。第1揺動搬送部分46aは、搬送姿勢及び退避姿勢の夫々において、第1揺動用サーボモータMaのサーボロックにより位置保持される。
【0084】
同様に、第2揺動搬送部分46bは、第2揺動用サーボモータMbの駆動により第2リンク機構Lbにおける回転リンクが他方側回転位置から一方側回転位置まで回転すると、退避姿勢から搬送姿勢に姿勢変更され、逆に、第2揺動用サーボモータMbの駆動により第2リンク機構Lbにおける回転リンクが一方側回転位置から他方側回転位置まで回転すると、搬送姿勢から退避姿勢に姿勢変更される。第2揺動搬送部分46bは、搬送姿勢及び退避姿勢の夫々において、第2揺動用サーボモータMbのサーボロックにより位置保持される。
【0085】
物品搬送台車STVに対して電力を供給する給電レール49が、走行台車本体41の下部に位置する床面上に走行経路に沿って敷設されている。物品搬送台車STVは、走行台車本体41の下部に備えた集電部47を給電レール49に接触させた状態で、電力の供給を受けながら走行するようになっている。そして、第1揺動搬送部分46a又は第2揺動搬送部分46bが対応する揺動用モータのサーボロックにより搬送姿勢に位置保持された状態で物品の移載が行われている場合に、図外の地上側の制御装置から非常停止処理が実行されて給電レール49に対する電力の供給が電力制御手段(図示せず)により遮断されたときでも、搬送姿勢の第1揺動搬送部分46aや第2揺動搬送部分46bを搬送姿勢と略同じ姿勢で位置保持できるようになっている。これにより移載対象の物品が落下する事故を防止できる。
【0086】
〔第3実施形態〕
本実施形態では、本発明に係る物品搬送装置を床面に固定状態で設置されるコンベヤ装置を例に説明する。図13に示すように、載置搬送部分としての搬送コンベヤ50が床面に固定状態で設置されている。搬送コンベヤ50はローラコンベヤにて構成されており、搬送経路の途中にシャッター52が昇降するための間隙が形成されており、搬送コンベヤ50はこの間隙により第1コンベヤ50aと第2コンベヤ50bとに分断されている。
【0087】
シャッター52は、初期状態が下降位置(図13で示す位置)に設定されており、物品を第1コンベヤ50aと第2コンベヤ50bとの間で搬送する場合に搬送コンベヤ50の搬送経路を確保するべく、上昇位置に切り換えられる。
【0088】
第2コンベヤ50bの第1コンベヤ50aに対向する側の端部には、揺動搬送部分としての揺動コンベヤ51が搬送姿勢と退避姿勢とに姿勢変更自在に設けられている。揺動コンベヤ51は、搬送姿勢において搬送コンベヤ50との間で連続して物品を載置搬送できるように、搬送姿勢での揺動コンベヤ51の載置搬送面と、第1コンベヤ50a及び第2コンベヤ50bの載置搬送面が一致するように揺動コンベヤ51の配設状態が設定されている。
【0089】
第1コンベヤ50a及び第2コンベヤ50bは、搬送作動用の駆動モータMDを備えている。図13には第1コンベヤ50aについての駆動モータMDを示している。第1コンベヤ50aには、揺動コンベヤ51を揺動駆動する駆動手段としての揺動用電動サーボモータMが設けられている。揺動用電動サーボモータMの駆動と揺動コンベヤ51の姿勢変更とを連係させる連係手段としてのリンク機構Lが設けられている。リンク機構Lは、第1実施形態におけるリンク機構Lと同様の構成であるから説明は省略する。また、ストッパ31を設けている点も第1実施形態と同様である。
【0090】
揺動コンベヤ51は、第1コンベヤ50a及び第2コンベヤ50bの間に形成される間隙の搬送方向の長さに相当する長さに形成されており、揺動用電動サーボモータMの駆動により搬送姿勢と退避姿勢との間で姿勢変更される。すなわち、揺動用電動サーボモータMの駆動によりリンク機構Lにおける回転リンクが他方側回転位置から一方側回転位置まで回転すると、揺動コンベヤ51が退避姿勢から搬送姿勢に姿勢変更され、逆に、揺動用電動サーボモータMの駆動によりリンク機構Lにおける回転リンクが一方側回転位置から他方側回転位置まで回転すると、揺動コンベヤ51が搬送姿勢から退避姿勢に姿勢変更される。揺動コンベヤ51は、搬送姿勢及び退避姿勢の夫々において、揺動用電動サーボモータMのサーボロックにより位置保持される。
【0091】
揺動コンベヤ51を搬送姿勢及び退避姿勢の間で姿勢変更するべく揺動用電動サーボモータMの作動を制御する制御装置(図示せず)が設けられている。第1コンベヤ50a及び第2コンベヤ50bの端部から搬送方向で設定距離だけ内方側に物品センサが設置されている。制御装置は、これらの物品センサの検出情報に基づいて、搬送される物品が第1コンベヤ50aや第2コンベヤ50bの所定位置まで搬送されたことを検出すると、揺動コンベヤ51を退避姿勢から搬送姿勢に切り換えて、揺動用電動サーボモータMのサーボロックにより搬送姿勢に位置保持する。図外の物品通過センサにより物品の通過が確認されると、揺動コンベヤ51を搬送姿勢から退避姿勢に切り換えて、揺動用電動サーボモータMのサーボロックにより退避姿勢に位置保持する。
【0092】
そして、第1コンベヤ50a及び第2コンベヤ50bの間で物品を搬送するべく、揺動コンベヤ51が搬送姿勢で位置保持されている場合において、電力の遮断等により揺動用電動サーボモータMのサーボロックによる位置保持力が途絶えたときでも、揺動コンベヤ51を搬送姿勢から僅かに姿勢変化しただけの姿勢で維持することができ、物品が落下する事故を防止できる。
【0093】
〔別の実施形態〕
以上、発明者によってなされた発明を発明の実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。以下、本発明の別実施形態について説明する。
【0094】
(1)上記第1〜3実施形態では、揺動搬送部が複数の従動ローラを備えて構成されたものを例示したが、これに限らず、例えば、揺動搬送部における複数のローラに複数の伝動ベルト又は共通の伝動ベルトを巻き掛けて、この伝動ベルトを回転駆動させて複数のローラを連動回転させる等、揺動搬送部が複数の駆動ローラを備えて構成されたものであってもよい。
【0095】
(2)上記第1〜3実施形態では、当接規制部が回転リンクに当接するものを例示したが、揺動リンクに当接するものであってもよい。
【0096】
(3)上記第1〜3実施形態では、駆動手段が電動サーボモータにて構成されたものを例示したが、駆動手段としては、回転リンクを回転駆動できればよく、例えば、エアシリンダなどの流体圧シリンダや、油圧モータなどでもよい。なお、駆動手段として電動シリンダや流体圧シリンダなどの直線運動する駆動手段を用いる場合は、シリンダロッドの直線運動により回転リンクを回転駆動するためのクランクが必要となる。
【0097】
(4)上記第1〜3実施形態では、揺動搬送部分の揺動軸心の上下方向に位置が、載置搬送部分の搬送面の高さに近接して設定されたものを例示したが、これに限らず、揺動搬送部分の揺動軸心の上下方向の位置が載置搬送部分の搬送面の高さから離間したものであってもよい。
【0098】
(5)上記第1〜3実施形態では、物品搬送装置としてローラコンベヤにて構成されたものを例示したが、これに限らず、物品を載置搬送できるものであればよく、例えば、ベルトコンベヤやチェーンコンベヤで構成してもよい。
【0099】
(6)上記第1及び第2実施形態では、複数の移載対象箇所の間を走行移動する走行体を備えた物品搬送用の移動体として、有軌道のものを例示したが、これに代えて、図14に示すような無軌道のものであってもよい。
【0100】
詳細な図示は省略するが、図14に示す移動体Vは、走行体55に前輪56F及び後輪56Rを備え、前輪56Fを操向輪とし、後輪56Rを駆動輪として、床面Fを走行自在に構成されている。走行体55には移動体Vの走行作動と移載作動を制御する図外の制御手段が内装されており、制御手段は、自己位置認識手段により取得した自己の位置情報と、複数の移載対象箇所の位置情報が予め記憶されているマップ情報とに基いて、移動体Vの走行作動と移載作動とを制御するように構成されている。
【0101】
走行体55は昇降台57を備えており、この昇降台57に、走行体55の前後方向を搬送方向とする姿勢で、載置搬送部分58が設けられている。つまり、走行体55は、載置搬送部分58を搬送方向について固定された状態で備えている。載置搬送部分58の車両前方側の端部には、揺動搬送部分59が揺動自在に設けられている。
【0102】
そして、移載対象箇所であるステーションSTに対して物品を移載する場合は、移動体Vの前方側の端部がステーションSTに向く対向姿勢で停止した後、揺動搬送部分59を図14において仮想線で示す退避姿勢から実線で示す搬送姿勢に切り換えて、物品の移載を行う。この実施形態では、揺動搬送部分59の姿勢変更を駆動する揺動用電動サーボモータMは移動体Vが搭載するバッテリーの電力で作動するので、バッテリーの電力が完全に消費されて、揺動用電動サーボモータMに対する電力供給が途絶えるおそれがあるが、揺動搬送部分59が揺動用電動サーボモータMのサーボロックにより搬送姿勢で位置保持しているときにそのような事態が発生しても、揺動搬送部分59を極力姿勢変化させないことで、物品が落下する事故を防止できる。
【符号の説明】
【0103】
Ps 他方側回転位置
Pe 一方側回転位置
DL デッドポイント線
M6、Ma、Mb、M 駆動手段・電動サーボモータ
L、La、Lb 連係手段・リンク機構
L1 回転リンク
L2 揺動リンク
Y1 揺動搬送部分の揺動軸心
Y2 回転リンクの回転軸心
Y3 揺動リンクの揺動搬送部分側の揺動軸心
Y4 揺動リンクの回転リンク側の揺動軸心
H1、H2 制御手段
3、STV、V 物品搬送用の移動体
5、6、40、ST 移載対象箇所
9、41、55 走行体
22、45、50、50a、50b、58 載置搬送部分
23、46a、46b、51、59 揺動搬送部分
31 当接規制部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を載置搬送自在な載置搬送部分と、
その載置搬送部分との間で連続して物品を載置搬送自在な搬送姿勢、及び、その搬送姿勢よりも下方側に退避する退避姿勢とに横軸心周りでの揺動により姿勢変更自在な揺動搬送部分と、
駆動手段の駆動により前記揺動搬送部分を搬送姿勢と退避姿勢との間で姿勢変更させるべく、前記駆動手段の駆動と前記揺動搬送部分の姿勢変更とを連係させる連係手段と、
前記揺動搬送部分を搬送姿勢と退避姿勢との間で姿勢変更させるべく、前記駆動手段の駆動を制御する制御手段と、が備えられた物品搬送装置であって、
前記連係手段が、前記駆動手段の駆動により一端部を回転軸心として回転自在な回転リンクと、この回転リンク及び前記揺動搬送部分に枢支連結されて横軸軸心周りで揺動自在な揺動リンクとを有するリンク機構にて構成され、
前記リンク機構は、前記揺動リンクと前記揺動搬送部分との枢支連結点における前記揺動リンクの揺動軸心と前記回転リンクの回転軸心とを結ぶデッドポイント線よりも一方側の一方側回転位置まで前記回転リンクが回転されると、前記回転リンクと前記揺動リンクとの枢支連結点における前記揺動リンクの揺動軸心を前記デッドポイント線よりも一方側に位置させて前記揺動搬送部分を搬送姿勢とし、且つ、前記デッドポイント線よりも他方側の他方側回転位置まで前記回転リンクが回転されると、前記回転リンクと前記揺動リンクとの枢支連結点における前記揺動リンクの揺動軸心を前記デッドポイント線よりも他方側に位置させて前記揺動搬送部分を退避姿勢とするべく、前記回転リンクの回転と前記揺動搬送部分の姿勢とを連係するように構成され、
前記揺動搬送部分が搬送姿勢である場合に、前記回転リンク及び前記揺動リンクの少なくとも一方に当接して、前記回転リンクと前記揺動リンクとの枢支連結点における揺動軸心が前記デッドポイント線から一方側に移動するのを規制する当接規制部が備えられ、
前記制御手段は、前記揺動搬送部分を搬送姿勢に姿勢変更する場合に、前記回転リンクを前記一方側回転位置まで回転させ、且つ、前記揺動搬送部分を退避姿勢に姿勢変更する場合に、前記回転リンクを前記他方側回転位置まで回転させるべく、前記駆動手段の駆動を制御するように構成されている物品搬送装置。
【請求項2】
前記当接規制部は、前記揺動搬送部分が搬送姿勢から退避姿勢側に姿勢変更を開始したときに前記回転リンク及び前記揺動リンクの少なくとも一方に当接する位置に配置されている請求項1記載の物品搬送装置。
【請求項3】
前記揺動リンクが長さ調節自在な棒状部材にて構成され、前記揺動リンクの一端部に前記回転リンクが枢支連結され、前記揺動リンクの他端部に前記揺動搬送部分が枢支連結されている請求項1又は2記載の物品搬送装置。
【請求項4】
前記駆動手段が、電動サーボモータにて構成され、
前記制御手段が、前記電動サーボモータをサーボ制御するように構成され、かつ、前記揺動搬送部分を搬送姿勢に位置させた状態で、前記電動サーボモータをサーボロック状態にするように構成されている請求項1〜3の何れか一項記載の物品搬送装置。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか一項記載の物品搬送装置が設けられた物品搬送用の移動体であって、
複数の移載対象箇所の間を走行移動する走行体を備え、
前記走行体は、前記載置搬送部分を搬送方向について固定された状態で備え、
前記揺動搬送部分が、前記載置搬送部分の搬送方向での端部に設けられ、かつ、前記移載対象箇所との間で物品の移載を行う移載用停止位置に前記走行体が停止した状態で前記移載対象箇所との間に形成される間隙の長さに対応した長さにて構成されている物品搬送用の移動体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−121681(P2012−121681A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−273816(P2010−273816)
【出願日】平成22年12月8日(2010.12.8)
【出願人】(000003643)株式会社ダイフク (1,209)
【Fターム(参考)】