説明

物品検査装置

【課題】物品の製造日や製造ロット等の違いに起因して良品の画像に関する特徴値が変動する場合であっても、規定量に対する物品の過不足を適切に判定することが可能な物品検査装置を得る。
【解決手段】X線検査装置1は、検査対象である物品12に対してX線を照射するX線照射部7と、物品12を透過したX線を検出するX線検出部8と、X線検出部8の検出結果に基づいて物品のX線透過画像を作成し、当該画像に関する代表階調値と、上限しきい値TH2及び下限閾値TH1とを比較することにより、規定量に対する物品の過不足を判定する処理部9とを備え、処理部9は、直近の複数回の検査によって得られた複数の代表階調値に基づいて、現在設定されている上限しきい値TH2及び下限閾値TH1を変更する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は物品検査装置に関し、特に、X線検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的にX線検査装置は、物品搬送面を有するベルトコンベアと、物品搬送面の上方に配置され、物品搬送面の所定領域に向けて扇形状にX線を照射するX線照射部と、物品搬送面の下方に配置され、物品を透過したX線を検出するX線検出部とを備えて構成されている。
【0003】
下記特許文献1には、物品を透過したX線量を所定のしきい値と比較することにより、物品内に混入している異物や、物品内に収容されている単位物の数量不足を検出するX線検査装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−98653号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に開示されたX線検査装置によると、物品を透過したX線量と比較するためのしきい値が、固定値として設定されている。ところが、物品の製造ラインにおいては、物品の製造日や製造ロット等の違いに起因して、良品に関する透過X線量が変動する事態が生じ得る。例えば、複数枚の海苔がパック内に収容された物品を対象として、各パック内に収容されている海苔の枚数の過不足を検査する場合には、たとえ規定枚数の海苔が収容されている物品であっても、1枚の海苔の厚さに応じて、物品を透過するX線量が変動する。従って、しきい値を固定値として設定した場合には、1枚の海苔の厚さが変動した場合に、良品が不良品と判定されたり、逆に不良品が良品と判定される可能性がある。
【0006】
本発明はかかる事情に鑑みて成されたものであり、物品の製造日や製造ロット等の違いに起因して良品の画像に関する特徴値が変動する場合であっても、規定量に対する物品の過不足を適切に判定することが可能な物品検査装置を得ることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様に係る物品検査装置は、検査対象である物品に対して放射線を照射する照射部と、物品を透過した放射線を検出する検出部と、前記検出部の検出結果に基づいて物品の画像を作成し、当該画像に関する特徴値と、第1のしきい値とを比較することにより、規定量に対する物品の過不足を判定する処理部とを備え、前記処理部は、直近の複数回の検査によって得られた複数の前記特徴値に基づいて、現在設定されている前記第1のしきい値を変更することを特徴とするものである。
【0008】
第1の態様に係る物品検査装置によれば、処理部は、物品の画像に関する特徴値と、第1のしきい値とを比較することにより、規定量に対する物品の過不足を判定する。また、処理部は、直近の複数回の検査によって得られた複数の特徴値に基づいて、現在設定されている第1のしきい値を変更する。従って、物品の製造日や製造ロット等の違いに起因して良品の画像に関する特徴値が変動する場合であっても、その変動に応じて第1のしきい値を逐次変更できるため、規定量に対する物品の過不足を適切に判定することが可能とな
る。
【0009】
本発明の第2の態様に係る物品検査装置は、第1の態様に係る物品検査装置において特に、前記処理部は、前記画像の濃度値と、第2のしきい値とを比較することにより、物品内における異物の混入の有無を判定し、前記処理部は、前記第1のしきい値及び前記第2のしきい値のうち前記第1のしきい値のみを変更することを特徴とするものである。
【0010】
第2の態様に係る物品検査装置によれば、処理部は、物品の画像の濃度値と、第2のしきい値とを比較することにより、物品内における異物の混入の有無を判定する。また、処理部は、直近の複数回の検査によって得られた複数の特徴値に基づいて、第1のしきい値を変更する一方、第2のしきい値は変更しない。第2のしきい値を固定値とすることにより、物品の製造日や製造ロット等に拘わらず、物品内における異物の混入の有無を同一条件で判定することが可能となる。
【0011】
本発明の第3の態様に係る物品検査装置は、第1又は第2の態様に係る物品検査装置において特に、前記処理部は、前記画像に基づいて濃度値ごとの画素数を表すヒストグラムを作成し、当該ヒストグラムによって表される濃度分布特性を平滑化し、平滑化後の濃度分布特性におけるピークに対応する濃度値として、当該画像に関する前記特徴値を求めることを特徴とするものである。
【0012】
第3の態様に係る物品検査装置によれば、処理部は、画像に基づいて濃度値ごとの画素数を表すヒストグラムを作成し、当該ヒストグラムによって表される濃度分布特性を平滑化し、平滑化後の濃度分布特性におけるピークに対応する濃度値として、当該画像に関する特徴値を求める。ヒストグラムによって表される濃度分布特性を平滑化することによって、画像内の最大濃度値に関する物品間のばらつきが吸収されるため、適正な特徴値を得ることができ、その結果、規定量に対する物品の過不足を適切に判定することが可能となる。
【0013】
本発明の第4の態様に係る物品検査装置は、第1〜第3のいずれか一つの態様に係る物品検査装置において特に、前記検出部は、主たる検出波長帯が可視光線の波長帯に設定された受光素子を有し、物品を透過した放射線を前記受光素子によって直接検出することを特徴とするものである。ここで「直接検出」とは、放射線から可視光線への変換を伴わずに放射線を検出することを意味する。
【0014】
第4の態様に係る物品検査装置によれば、検出部は、主たる検出波長帯が可視光線の波長帯に設定された受光素子を有し、物品を透過した放射線を受光素子によって直接検出する。つまり、放射線を可視光線に変換する変換膜が受光素子上に配設されていない。受光素子上に変換膜が配設されていないことにより、通常であれば変換膜内で吸収されてしまう程度の低エネルギの放射線を検出部によって検出できる。そのため、厚みの薄い物品が検査対象である場合に、厚みの僅かな差に応じたコントラストを向上することができる。従って、規定量に対する過不足が生じた場合に、良品の画像に対する不良品の画像の明暗の差を大きくすることができ、その結果、規定量に対する物品の過不足を高精度に判定することが可能となる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、物品の製造日や製造ロット等の違いに起因して良品の画像に関する特徴値が変動する場合であっても、規定量に対する物品の過不足を適切に判定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の形態に係るX線検査装置の構成を示す正面図である。
【図2】シールドボックスの内部を模式的に示す斜視図である。
【図3】処理部の構成を示すブロック図である。
【図4】画像作成部によって作成されたX線透過画像の一例を示す図である。
【図5】ヒストグラム作成部によって作成されたヒストグラムの一例を示す図である。
【図6】しきい値設定部によるしきい値の設定手法を示す図である。
【図7】X線検出部が有するX線センサの構造を模式的に示す図である。
【図8】海苔の収容枚数が異なる複数の物品を対象として代表階調値を測定した結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、異なる図面において同一の符号を付した要素は、同一又は相応する要素を示すものとする。
【0018】
図1は、本発明の実施の形態に係るX線検査装置1の構成を示す正面図である。図1に示すようにX線検査装置1は、上部筐体2、シールドボックス3、及び下部筐体4を備えて構成されている。上部筐体2には、液晶表示装置等の表示部5が配設されている。シールドボックス3内には、搬送コンベア6、X線照射部7、及びX線検出部8が配設されている。シールドボックス3には、物品搬入口13及び物品搬出口14が形成されている。搬送コンベア6の上流端(図1では左端)は物品搬入口13からシールドボックス3の外部に突出しており、下流端(図1では右端)は物品搬出口14からシールドボックス3の外部に突出している。搬送コンベア6は、食品等の物品12を上流端から下流端に向けて搬送する。下部筐体4内には、コンピュータ等の処理部9が配設されている。
【0019】
搬送コンベア6の上流には搬送コンベア10が配設されている。搬送コンベア10は、物品12を搬送コンベア6の上流端に供給する。搬送コンベア6の下流には搬送コンベア11が配設されており、搬送コンベア11には任意の振分装置15が配設されている。振分装置15は、X線検査装置1によって規定量からの過不足又は異物の混入が検出された物品12を、良品の製造ラインから排除する。
【0020】
図2は、シールドボックス3の内部を模式的に示す斜視図である。X線照射部7は、搬送コンベア6の物品搬送面の上方に配設されている。X線検出部8は、物品搬送面の下方に配設されている。X線照射部7は、X線検出部8に向かって扇形状にX線を照射する。搬送コンベア6は、搬送コンベア10から供給された物品12を、X線照射部7とX線検出部8との間のX線照射経路100を通過するように搬送する。X線検出部8は物品12を透過したX線を検出し、処理部9は、X線検出部8の検出結果から得られるX線透過画像に基づいて、規定量からの過不足及び異物の混入の有無を検査する。
【0021】
図3は、処理部9の構成を示すブロック図である。図3の接続関係で示すように、処理部9は、画像作成部20、ヒストグラム作成部21、平滑化処理部22、特徴値抽出部23、記憶部24、しきい値設定部25、過不足判定部26、異物判定部27、及び記憶部28を備えて構成されている。
【0022】
画像作成部20には、物品12を透過したX線の強度を示すデータS1が、X線検出部8から入力される。画像作成部20は、X線検出部8から順次入力されるデータS1に基づいて、物品12に関するX線透過画像を作成する。
【0023】
図4は、画像作成部20によって作成されたX線透過画像の一例を示す図である。本実施の形態の例において、物品12は、規定枚数(例えば5枚)の海苔を重ねてビニール製のパック内に収容した物品である。海苔に対応する部分は透過X線の強度が低くなるため
X線透過画像の濃度は小さく(暗く)なり、パックに対応する部分は透過X線の強度が高くなるためX線透過画像の濃度は大きく(明るく)なる。海苔に対応する部分のX線透過画像の濃度は、重なる海苔の枚数が多くなるほど小さくなり、また、一枚の海苔の厚さが厚くなるほど小さくなる。
【0024】
図3を参照して、ヒストグラム作成部21には、X線透過画像に関する画像データS2が、画像作成部20から入力される。ヒストグラム作成部21は、画像データS2に基づいて、X線透過画像内の海苔に対応する部分を対象として、濃度値ごとの画素数を表すヒストグラムを作成する。
【0025】
図5は、ヒストグラム作成部21によって作成されたヒストグラムの一例を示す図である。横軸は、濃度値を表すディジタルデータの階調値を示している。また、縦軸は、X線透過画像内の海苔に対応する部分を対象として、各階調値に対応する画素をカウントした結果として得られる画素数を示している。
【0026】
図3を参照して、平滑化処理部22には、ヒストグラムに関するデータS3が、ヒストグラム作成部21から入力される。平滑化処理部22は、ヒストグラムによって表される濃度分布特性を移動平均処理によって平滑化することにより、平滑化後の濃度分布特性を得る。
【0027】
図5を参照して、平滑化処理部22は、例えば、各階調値N1〜N5に対応する画素数の平均値を中央の階調値N3に対応する画素数Q3として求め、また、各階調値N2〜N6に対応する画素数の平均値を中央の階調値N4に対応する画素数Q4として求める。全ての階調値に対して同様の移動平均処理を行うことにより、平滑化後の濃度分布特性Kが得られる。なお、平滑化の手法は移動平均処理に限定するものではなく、加重平均処理等の他の平滑化手法を使用しても良い。
【0028】
図3を参照して、特徴値抽出部23には、濃度分布特性Kに関するデータS4が、平滑化処理部22から入力される。特徴値抽出部23は、濃度分布特性Kにおけるピークに対応する濃度値として、当該画像に関する特徴値を求める。具体的に、図5を参照して、特徴値抽出部23は、濃度分布特性KにおけるピークPに対応する階調値M(以下「代表階調値」と称す)を、当該画像に関する特徴値として求める。
【0029】
図3を参照して、記憶部24には、各画像の代表階調値Mに関するデータS5が、特徴値抽出部23から順次入力される。記憶部24は、直近の複数回の検査によって得られた、良品についての複数の代表階調値Mに関するデータS5を記憶する。以下の説明では、現在の検査対象の物品12に関する代表階調値をM(t)、1回前の検査における検査対象の物品12に関する代表階調値をM(t−1)、2回前の検査における検査対象の物品12に関する代表階調値をM(t−2)、・・・、n回前の検査における検査対象の物品12に関する代表階調値をM(t−n)と称す。
【0030】
図6は、しきい値設定部25によるしきい値の設定手法を示す図である。図3,6を参照して、しきい値設定部25は、直近の複数回(以下の例では5回とする)の検査によって得られた、良品についての複数の代表階調値M(t−1),M(t−2),M(t−3),M(t−4),M(t−5)に関するデータS5を、記憶部24から読み出す。その後、しきい値設定部25は、これら複数の代表階調値に関する平均値AVを求め、その平均値AVから所定の許容幅だけ増減した値として、上限しきい値TH2及び下限閾値TH1を設定する。
【0031】
図3を参照して、過不足判定部26には、現在の検査対象の物品12に関する代表階調
値M(t)が、データS5として特徴値抽出部23から入力される。また、過不足判定部26には、上限しきい値TH2及び下限閾値TH1に関するデータS6が、しきい値設定部25から入力される。過不足判定部26は、代表階調値M(t)と上限しきい値TH2及び下限閾値TH1とを比較する。そして、過不足判定部26は、代表階調値M(t)が上限しきい値TH2以下かつ下限しきい値TH1以上である場合は、当該物品12は良品(正量品)であると判定し、代表階調値M(t)が上限しきい値TH2超である場合は、当該物品12は不良品(過量品)であると判定し、代表階調値M(t)が下限しきい値TH1未満である場合は、当該物品12は不良品(少量品)であると判定する。過不足判定部26による判定の結果は、データS7として表示部5及び振分装置15に入力される。
【0032】
異物判定部27には、現在の処理対象の物品12についてのX線透過画像に関する画像データS2が、画像作成部20から入力される。また、物品12内への異物の混入の有無を判定するために用いるしきい値(以下「異物判定しきい値」と称す)が予め設定されて、記憶部28に記憶されている。異物判定部27には、異物判定しきい値に関するデータS8が、記憶部28から入力される。異物判定しきい値は、下限しきい値TH1よりも十分に小さな値に設定されており、また、直近の複数回の検査結果に基づく変更を行わない固定値として設定されている。
【0033】
異物判定部27は、濃度値が異物判定しきい値未満である画素がX線透過画像内に存在しない場合には、当該物品12は良品であると判定し、一方、濃度値が異物判定しきい値未満である画素がX線透過画像内に存在している場合には、当該物品12は不良品(異物混入品)であると判定する。異物判定部27による判定の結果は、データS9として表示部5及び振分装置15に入力される。
【0034】
図7は、X線検出部8が有するX線センサの構造を模式的に示す図である。受光素子列30は、フォトダイオード等の複数の受光素子が所定方向(図中のX軸方向)に沿って並設された構造を有している。受光素子は、その主たる検出波長帯が可視光線の波長帯に適合するように設定されている。一般的な間接型のX線センサにおいては、図7の(B)に示すように、X線を可視光線に変換するためのシンチレータ31が、受光素子列30の受光面上に配設されている。これに対して本実施の形態に係るX線検出部8においては、図7の(A)に示すように、受光素子列30の受光面上にシンチレータ31が配設されていない状態でX線センサとして使用する。つまり、X線検出部8は、主たる検出波長帯が可視光線の波長帯に設定された受光素子を有し、物品12を透過したX線を受光素子によって直接検出する。ここで「直接検出」とは、X線から可視光線への変換を伴わずに放射線を検出することを意味する。受光素子はその主たる検出波長帯が可視光線の波長帯に適合設計されているとはいえ、受光素子へのX線入射に伴う電離作用によって、入射X線量に対応した出力を得ることができる。検出波長帯がX線の波長帯に適合設計されたX線センサと比較するとある程度の検出感度の低下は生じるが、図7の(A)に示した構造によっても、物品12を透過したX線を検出することは可能である。
【0035】
図8は、図7の(A)及び(B)にそれぞれ示したX線センサを用い、海苔の収容枚数が異なる複数の物品12を対象として代表階調値を測定した結果を示す図である。図7の(A)に示したX線センサ(シンチレータなし)を用いた場合は、図7の(B)に示したX線センサ(シンチレータあり)を用いた場合と比較して、海苔の収容枚数の差が代表階調値の差に与える影響が大きいことが分かる。例えば、海苔の収容枚数が5枚の場合と6枚の場合とに着目すると、図7の(B)に示したX線センサを用いた場合には代表階調値の差は僅かであるが、図7の(A)に示したX線センサを用いた場合には代表階調値の差が大きくなっていることが分かる。
【0036】
このように本実施の形態に係るX線検査装置1(物品検査装置)によれば、処理部9が
備える過不足判定部26は、物品12のX線透過画像に関する代表階調値(特徴値)と、上限しきい値TH2及び下限閾値TH1(第1のしきい値)とを比較することにより、規定量に対する物品の過不足を判定する。また、処理部9が備えるしきい値設定部25は、直近の複数回の検査によって得られた複数の代表階調値に基づいて、現在設定されている上限しきい値TH2及び下限閾値TH1を変更する。従って、物品の製造日や製造ロット等の違いに起因して良品の画像に関する代表階調値が変動する場合であっても、その変動に応じて上限しきい値TH2及び下限閾値TH1を逐次変更できるため、規定量に対する物品の過不足を適切に判定することが可能となる。
【0037】
また、本実施の形態に係るX線検査装置1によれば、処理部9が備える異物判定部27は、物品12のX線透過画像における各画素の濃度値と、異物判定しきい値(第2のしきい値)とを比較することにより、物品内における異物の混入の有無を判定する。また、処理部9は、直近の複数回の検査によって得られた複数の代表階調値に基づいて上限しきい値TH2及び下限閾値TH1を変更する一方、異物判定しきい値は変更しない。異物判定しきい値を固定値とすることにより、物品の製造日や製造ロット等に拘わらず、物品内における異物の混入の有無を同一条件で判定することが可能となる。
【0038】
また、本実施の形態に係るX線検査装置1によれば、処理部9が備えるヒストグラム作成部21は、X線透過画像に基づいて濃度値ごとの画素数を表すヒストグラムを作成し、処理部9が備える平滑化処理部22は、当該ヒストグラムによって表される濃度分布特性を平滑化し、処理部9が備える特徴値抽出部23は、平滑化後の濃度分布特性KにおけるピークPに対応する濃度値(代表階調値M)として、当該画像に関する特徴値を求める。ヒストグラムによって表される濃度分布特性を平滑化することによって、画像内の最大濃度値に関する物品間のばらつきが吸収されるため、適正な特徴値を得ることができ、その結果、規定量に対する物品の過不足を適切に判定することが可能となる。
【0039】
また、本実施の形態に係るX線検査装置1によれば、X線検出部8は、主たる検出波長帯が可視光線の波長帯に設定された受光素子列30を有し、物品12を透過したX線を受光素子列30によって直接検出する。つまり、X線検出部8においては、X線を可視光線に変換するためのシンチレータ31(変換膜)が受光素子列30上に配設されていない。受光素子列30上にシンチレータ31が配設されていないことにより、通常であればシンチレータ31内で吸収されてしまう程度の低エネルギのX線をX線検出部8によって検出できる。そのため、厚みの薄い物品が検査対象である場合に、厚みの僅かな差に応じたコントラストを向上することができる。従って、規定量に対する過不足が生じた場合に、良品の画像に対する不良品の画像の明暗の差を大きくすることができ、その結果、規定量に対する物品の過不足を高精度に判定することが可能となる。
【符号の説明】
【0040】
1 X線検査装置
7 X線照射部
8 X線検出部
9 処理部
12 物品
20 画像作成部
21 ヒストグラム作成部
22 平滑化処理部
23 特徴値抽出部
25 しきい値設定部
26 過不足判定部
27 異物判定部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象である物品に対して放射線を照射する照射部と、
物品を透過した放射線を検出する検出部と、
前記検出部の検出結果に基づいて物品の画像を作成し、当該画像に関する特徴値と、第1のしきい値とを比較することにより、規定量に対する物品の過不足を判定する処理部とを備え、
前記処理部は、直近の複数回の検査によって得られた複数の前記特徴値に基づいて、現在設定されている前記第1のしきい値を変更する、物品検査装置。
【請求項2】
前記処理部は、前記画像の濃度値と、第2のしきい値とを比較することにより、物品内における異物の混入の有無を判定し、
前記処理部は、前記第1のしきい値及び前記第2のしきい値のうち前記第1のしきい値のみを変更する、請求項1に記載の物品検査装置。
【請求項3】
前記処理部は、前記画像に基づいて濃度値ごとの画素数を表すヒストグラムを作成し、当該ヒストグラムによって表される濃度分布特性を平滑化し、平滑化後の濃度分布特性におけるピークに対応する濃度値として、当該画像に関する前記特徴値を求める、請求項1又は2に記載の物品検査装置。
【請求項4】
前記検出部は、主たる検出波長帯が可視光線の波長帯に設定された受光素子を有し、
物品を透過した放射線を前記受光素子によって直接検出する、請求項1〜3のいずれか一つに記載の物品検査装置。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−99725(P2011−99725A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−253675(P2009−253675)
【出願日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【出願人】(000147833)株式会社イシダ (859)
【Fターム(参考)】