説明

物理的および化学的に安定なニコチン−含有粒状物質

ニコチン放出のためのニコチン−含有粒状物質であり、該物質はニコチンまたは医薬的に許容されるその塩、複合体もしくは溶媒和物と微晶質セルロースとの組合せを含む。本粒状物質は、保存に対して安定であり、比較的速くニコチンを放出する。本粒状物質は、早い作用開始が得られるように、ニコチンの放出が比較的速くなるようにデザインされたニコチン−含有医薬組成物の製造に使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ニコチンまたはその医薬的に許容される塩、複合体もしくは溶媒和物が組み込まれた微晶質セルロースを含むニコチン−含有粒状物質に関するものである。本発明は、医薬組成物およびタバコ依存症、パーキンソン病、潰瘍性大腸炎、アルツハイマー病、統合失調症および/またはADHDの治療または予防用医薬組成物および方法にも関するものである。
【背景技術】
【0002】
今日のニコチン−含有物質による治療は、血漿中に余りにも少ないニコチンを生じるか、そして/または非常に平らな、そして/またはなだらかなピークの血漿プロファイルを生じる。所期の血漿プロファイルは、市場に出ている他の治療物質よりも速いニコチンの取り込みを有するものである。この問題を解決するためには、塩基形態のニコチンが好ましい。塩基形態のニコチンは、口腔粘膜を通して容易に吸収されるが、非常に揮発性であり、酸化的な分解を受ける。入手可能なニコチン塩はより安定な化合物であるが、フリー体の塩基ほど容易に吸収されない。そのフリー体の塩基の揮発性および安定性の問題に対処するために、種々の技法が可能である。
【0003】
US 5,939,100では、塩基形態のニコチンが、分解性のデンプンミクロスフェア中に取り込まれている。取り込まれるニコチンと一緒に分解性のデンプンミクロスフェアを使用すると、両者の結合の性質、ニコチン−デンプンマトリックスおよびミクロスフェアの生物学的分解プロファイルに依存して、かなり持続された状態でニコチンが放出される3次元マトリックスが得られる。
【0004】
WO 91/09599では、ニコチンとβ−シクロデキストリンから抱接複合体が製造されている。その製造された複合体から放出されたニコチンが、合成物質の多孔性バッグ(ティーバッグタイプ)中に満たされ、ヒトにおいて約45分後にニコチン濃度ピーク(8 ng/ml)を有する血漿プロファイルが測定された。この放出は、ニコチンのβ−シクロデキストリンへの親和性に非常に依存しており、かなり遅いと考えられる。
【0005】
US 4,967,773では、合成シリカがニコチンと一緒に用いられている。この合理性は、シリカと一緒のニコチンを乳糖と混合して作ることができるトローチにおいて、その安定性が確保される点である。この操作は、不適合な所望の成分(ニコチンおよび乳糖)による物質の製剤化のために行われる。
【0006】
US 4,907,605では、ニコチンが水に不溶性の異なった物質、例えば紙、セルロースアセテート、ポリエチレンまたはポリプロピレンに吸収される。吸着されたニコチンが、口腔中でゆっくりと放出されるものである。
【0007】
US 6,264,981では、溶解剤と一緒の、異なる活性主薬の固溶体が存在している。他の物質の一覧表と一緒に、ニコチンが活性主薬として挙げられている。
上記の文献は、物理的および化学的に高い安定性と組み合わされた、口腔粘膜を通してのニコチンの真に速い放出と吸収の必要性について対処されていない。固体担体の必要性は明らかであるが、固体マトリックス中へのニコチン吸着との組合せは、単に安定性に関係するだけでなく、より重要でないにしても、同様に担体からの放出性に関係している。
【発明の開示】
【0008】
本発明の目的は、投与後にすばやく吸収されるように、物質から比較的速くニコチンが放出されるように計画され得る、物理的および化学的に安定なニコチン−含有粒状物質を提供することである。
【0009】
本発明者が、微晶質セルロース(MCC)へニコチンを(例えば、ニコチンを塩基として含む溶液の形態で)吸着させれば、in vitroで非常に速く、かつ完全にニコチンを放出する性質を有する、物理的および化学的に安定な乾燥粒状物質が生じるることを見出したことは、驚くべきことであった。
【0010】
そのような粒状物質からのニコチン塩基の溶出プロファイルは、米国薬局方(USP)のパドル法による溶出装置中で、37℃に維持されたpH 7.4のリン酸緩衝液1リットル中で、取り込まれたニコチンの約90%が1分後に放出される典型的なものである。
【0011】
したがって、本発明の一つの態様は、ニコチンを放出するためのニコチン−含有粒状物質に関するもので、その物質はニコチンまたはその医薬的に許容される塩、複合体もしくは溶媒和物と微晶質セルロースとの組合せを含み、その粒状物質は、in vitroでの溶出試験において、ニコチンまたはその医薬的に許容される塩、複合体もしくは溶媒物を、長くても約30分以内に、例えば長くても約25分で、長くても約20分で、長くても約15分で、長くても約10分で、長くても約7.5分で、長くても約5分で、長くても約4分で、長くても約3分でまたは長くても約2分で、少なくとも90% w/w、例えば少なくとも95% w/wを放出するものである。
【0012】
より具体的には、本発明は、ニコチンを速く放出するための粒状物質に関するもので、その物質は、in vitroでの溶出試験において、ニコチンまたはその医薬的に許容される塩、複合体もしくは溶媒物を、長くても約20分以内に、例えば長くても約15分で、長くても約10分で、長くても約7.5分で、長くても約5分で、長くても約4分で、長くても約3分で、長くても約2分でまたは長くても約1分で、少なくとも90% w/w、例えば少なくとも95% w/wを放出するものである。
【0013】
喫煙と並行して起こる問題は、健康に関する多くの影響である。今日、喫煙に関係した疾病が原因で、年間およそ3〜4百万人が亡くなっていると見積もられている。喫煙によるこの恐ろしい結果から、多くの医師会および保健機関から、タバコの使用に対する非常に強固な反対運動が起きている。ごく最近、世界保健機構(WHO)は、マラリアの管理と同等の優先度でタバコの規制を行っている。
【0014】
喫煙は依存症を引き起こし得る。WHOは、国際疾病分類中にタバコ依存症の診断を入れている。その他、米国精神医学協会(American Psychiatric Association)などは、ニコチン依存中毒と呼んでいる。
【0015】
ニコチンは、コーヒーおよびお茶からのカフェインに次いで、世界で2番目に多く使用されている薬物である。今日、喫煙は多くの先進国で減少しつつあるが、世界で2番目に多く使用されている薬物からどのようにすれば抜け出すことができるかを、社会が見つけることは難しい。
社会は、より深刻な精神障害を及ぼす違法な薬物から自分自身を守ることにおいてさえも成功していない。それゆえ、喫煙が、多かれ少なかれ、社会的および法律的に禁止されようとしているとき、ニコチン摂取のための他の形態の発見が必要となるだろうことは、非常にありえそうなことである。
【0016】
ニコチンを含んだ薬物療法が、現在のところ、タバコ依存症に対する主流な治療法である。喫煙を減らし、長期間の維持/置換のために好ましいこれらの薬物療法が幅広く使用できる証拠もある。しかしながら、それらの製品は、多くの喫煙者にとって非常に受け入れることができないものである。中でも、それらは、いくつかの主要な性質において紙巻タバコとはかけ離れ過ぎている。
【0017】
紙巻タバコから煙が吸い込まれたとき、ニコチンは、約10秒間の内に脳内の標的まで達する。たいていの紙巻タバコは、通常、10〜15 mgのニコチンを含んでいる。そのニコチンの多くは喫煙者によって使われていない。なぜならば大量の煙は吸い込まれないし、さらにこれら10〜15 mgのかなりの量が吸い殻中に残っているからである。紙巻タバコ自身が煙を出し、灰皿に置き忘れられているときは、喫煙者が貪欲に紙巻タバコを吸うとき(例えば長い会議のあと)よりも、ニコチンの吸収量は少ない。平均して、0.5〜2 mg/紙巻タバコの量が吸収される。低速の空気の流れに入ってくるもののほとんど100%が吸収され、その吸収速度は非常に速い。
【0018】
非常に広く使用されている禁煙製品であるニコチンガムは、実際のニコチン含量が2および4 mgの二つの強さのものが市販されている。しかしながら、これらのガムからの生物学的に利用可能な量は、各々約1および2 mgのみである。これは、ガムを完全に空にすることは困難であり、ガムから抽出されるいくらかのニコチンは、循環器中に入る前に、ニコチンの大部分が代謝される胃腸管中で吸収されるために、循環系の中へ吸収されることができないためである。さらに、ニコチンが吸収されるまでの速度は、紙巻タバコに比べてずっと遅い。個々の人が、その精神状態を精神活性薬物で変化させたいと思うとき、その効果は、薬物が脳に入るまでの速度に強く依存するので、これは重要な因子である。
【0019】
ニコチンパッチは15〜21 mgのニコチンを放出する(銘柄により異なる用量を有している)。放出されるニコチンのほとんどが皮膚を通して吸収される。1日に15〜20本の紙巻タバコを吸う喫煙者に対して、1日15〜25 mgのニコチン摂取と仮定することができる。もし喫煙がおおよそ16時間の目覚めている間に行われるとするなら、それは1時間当り1〜1.5 mgを意味する。
ニコチンパッチは、1時間当り1 mgに近い量を与える。しかしながら、ある喫煙者ははるかに多くのニコチンを摂取すること、そしてパッチからのニコチンの薬物動態プロファイルは比較的安定しており、不連続変異を許さないということを留意しなければならない。
【0020】
喫煙と共に、ニコチンの確かな効果を経験するために必要でもある各紙巻タバコに対応するニコチン濃度のピークがある。今日、市場に、吸入剤、舌下錠、ロゼンジおよび鼻腔噴霧剤のような他の製品がある。それらは全て、2および4 mgのガムで見られるニコチンの吸収の範疇の中に比較的うまく入る(紙巻タバコとの比較の図1を参照)。多くの喫煙者、特に喫煙を続けたいと思っている典型的な者は、紙巻タバコから容易に得られるニコチン刺激を欲するが、ニコチンパッチからのものは全然欲しない。他のより鋭敏な送達系からニコチン刺激を得ることは、難しいが、全く不可能ではない。
【0021】
主題の効果(ニコチン刺激)を生じるための用量と吸収速度は、個々によって変わり得るが、10分間で5〜10 ng/mlの濃度上昇が要求される規則があるようである。この濃度上昇時間は、5分間で3〜5 ng/mlの上昇が良いだろうということに関連する。精神活性効果が得られるためのこの要件は、喫煙者が喫煙に伴う非常に高い危険から自分自身を逃れさせることができるので、消費者にうまく受け入れられる製品を開発する際に、多分非常に重要な性質の一つである。
【0022】
上記のように、本発明による粒状物質は、化学的および物理的に安定である。本文中で、「安定」の語は、物質および/またはその中に含まれているニコチンもしくは医薬的に許容される塩、複合体あるいは溶媒和物が、温度40℃、相対湿度50%で開放状態で保存されたときに、少なくとも約22週間、例えば少なくとも14週間、化学的および/または物理的に安定であることを意味する。
【0023】
ニコチンまたはその医薬的に許容される塩、複合体もしくは溶媒和物が、物質中のニコチン容量を著しく減量させるような移動を、物質から起こさないことが特に重要である。さらに、上記のように、塩基としてのニコチンは揮発性物質であり、それゆえ、ニコチンと医薬的に許容される賦形剤とを単に混合しただけの組成物中で、ニコチン塩基の濃度を比較的一定に維持することは、通常は困難である。
本発明による粒状物質は、物理的に安定でもある。したがって、22週以上の期間内で、外見上の変化は観察されなかったし、溶出プロファイルは変化しなかった。
【0024】
本発明による粒状物質の成功のためには、微晶質セルロースが最も重要であると考えられる。
しかしながら、もちろん、ニコチンに対して同じ挙動を有する医薬的に許容される他の賦形剤も、本発明では重要でありうる。適切な微晶質セルロースは、加水分解、典型的には塩化水素のような強い鉱酸との加水分解によって精製されたセルロース原料物質から、アモルファス(繊維質セルロース)部分を除いて得られる微結晶の集合を含む結晶性の高い粒状セルロースである。酸加水分解工程は、典型的に平均サイズ範囲約15〜250 μmを有する主としてきめの粗い粒状集合体の微晶質セルロースを生じる。
【0025】
微晶質セルロース(MCC)は、適切な多孔性および/またはかさ密度を有しており、特に、それはMCCの多孔構造のために非常に大きな表面積を有している。MCCと接触したあとニコチンは、主としてMCCの多孔構造中に存在する、すなわち、多分、ニコチンは吸着によりMCCに吸収されると信じられている。したがって、本発明を具体的に述べると、ニコチンまたはその医薬的に許容される塩、複合体もしくは溶媒和物の少なくとも一部が、粒状物質中の微晶質セルロースに吸着されている。
【0026】
本発明の目的のために適切なMCCの品質は、例えば、そのグレードがPH-100、PH-102、PH-103、PH-105、PH-112、PH-113、PH-200、PH-300、PH-302のようなアビセル(Avicel、商標)、例えば、そのグレードが101、102、12または20のようなビバセル(Vivacel、商標)、例えば、そのグレードが50Mまたは90Mのようなエムコセル(Emcocel、商標)の、市販の医薬的に許容される品質のいずれかを含むが、これらに限定されない。
【0027】
他の結晶セルロースも、本発明による使用には適切であると考えられる。いかなる理論とも結び付けられてはいなが、ニコチンは、そのサイズと両親媒性のために、水素結合によるか、またはファン‐デル‐ワールス引力により、セルロースセルの空隙容量内部に落とし入れられており、そして/または弱く結合していると考えられる。
【0028】
本発明による粒状物質を得るために、ニコチンは、親水性溶媒、すなわち水もしくはアルコールまたはそれらの混液に溶解され、上記の理論により、毛細管力によって、ニコチンは結晶セルロースの間隙に導かれる。溶媒が取り去られた後、適当な溶媒が再び間隙に入ってきて、その溶媒中にニコチンが放出されるまで、ニコチンは上記の間隙中に残る。
【0029】
本文中で、「ニコチン」の語は、ニコチンまたはあらゆる形態のニコチン誘導体(その医薬的に許容されるあらゆる塩、複合体もしくは溶媒和物と同様に、例えば、アモルファス、結晶、多形などのような物理的形態、または異性体およびエナンチオマーなどのような化学的形態)を含む。ニコチンは、ニコチン塩基、ニコチン塩酸塩、ニコチン二塩酸塩、ニコチン一酒石酸塩、ニコチン二酒石酸塩、ニコチン硫酸塩、ニコチン塩化亜鉛塩一水和物のようなニコチン塩化亜鉛塩およびニコチンサリチル酸塩から選択され得る。
【0030】
本発明による粒状物質において、その粒状物質中のニコチンまたはその医薬的に許容される塩、複合体もしくは溶媒和物の濃度は、多くても約20% w/w、例えば多くても約15% w/w、多くても約12.5% w/w、多くても約10% w/w、多くても約9.5% w/w、多くても約9% w/w、多くても約8.5% w/wまたは多くても約8% w/wであり、その濃度はニコチン塩基として計算されている。
【0031】
特定の具体例として、本発明による粒状物質は、その粒状物質中のニコチンまたはその医薬的に許容される塩、複合体もしくは溶媒和物の濃度が、多くても約7.5% w/w、例えば多くても約7% w/w、多くても約6.5% w/w、多くても約6% w/w、多くても約5.5% w/w、多くても約5% w/w、多くても約4.5% w/w、多くても約4% w/w、多くても約3% w/w、多くても約2% w/wまたは多くても約1% w/wであるものを有しており、その濃度はニコチン塩基として計算されている。
【0032】
この目的を達するために、本件発明者らは、比較的速い放出を得るために、一般的に、ニコチンは塩基の形態で用いられるべきであることを見出した。さらに、本発明者らは、もしニコチン塩基が0.1〜8%(w/w)の濃度でMCCに吸着されれば、そのときは、in vivoでニコチンのすばやい吸収が起こることを立証した。そのうえ、吸収部位でのpHが、吸収速度に影響を与える可能性があり、本発明者らは、pH≧7で、すばやい吸収に関して、適切な結果が得られることを見出した。pHが低くなれば、吸収が低下するようである。しかしながら、そのような低減された吸収速度が、治療に適切かもしれない。本発明は、具体的には、ニコチンまたはその医薬的に許容される塩、複合体もしくは溶媒和物を、投与後10〜30分後に最大の濃度になるように放出するような粒状物質に特に関係するものである。
【0033】
適切な効果を得るために、本発明による粒状物質は、少なくとも一人の健康な被験者に、ニコチン4 mgまたはその医薬的に許容される塩、複合体もしくは溶媒和物の等量を含む粒状物質を含むチューインガムの形態で投与したときに、投与後、長くても約30分以内に、例えば長くても約25分以内、長くても約20分以内、長くても約15分以内または長くても約10分以内に、血漿中のニコチン濃度が少なくとも約5 ng/ml、例えば約6 ng/ml以上、約7 ng/ml以上、約8 ng/ml以上、約9 ng/ml以上または約10 ng/ml以上になるような物質である。
【0034】
ある場合には、作用の開始が非常に速いことが望まれており、本発明による粒状物質または組成物中に含まれるニコチンは、比較的速く放出されなければならない。そのような特定の具体例として、本発明による粒状物質は、少なくとも一人の健康な被験者に、ニコチン4 mgまたはその医薬的に許容される塩、複合体もしくは溶媒和物の等量を含む粒状物質を含むチューインガムの形態で投与したときに、投与後、長くても約15分以内に、例えば長くても約10分以内、長くても約7.5分以内、長くても約5分以内、長くても約4分以内または長くても約3分以内に、血漿中のニコチン濃度が少なくとも約5 ng/ml、例えば約6 ng/ml以上、約7 ng/ml以上、約8 ng/ml以上、約9 ng/ml以上または約10 ng/ml以上になるような物質である。
【0035】
所望する効果により、粒状物質またはその物質を含む組成物からのニコチンの放出を変えることができる。したがって、以下の具体例も本発明の範囲に含まれる。
少なくとも一人の健康な被験者に、ニコチン4 mgまたはその医薬的に許容される塩、複合体もしくは溶媒和物の等量を含む粒状物質を含むチューインガムの形態で投与したときに、粒状物質が、
i) 投与後、長くても約10分以内に、例えば長くても約9分以内に、長くても約8分で、長くても約7分で、長くても約6分で、長くても約5分で、長くても約4分でまたは長くても約3分で、血漿中のニコチン濃度が少なくとも約6 ng/mlをもたらす(例えば、比較的速い流出の組成物に応用可能)、
【0036】
ii) 投与後、長くても10分以内に、血漿中のニコチン濃度が少なくとも約8 ng/ml、例えば少なくとも約10 ng/ml、少なくとも約12.5 ng/ml、少なくとも約15 ng/mlまたは少なくとも約16 ng/mlをもたらす、
iii) 投与後、長くても約30分以内に、例えば長くても約25分以内に、長くても約20分以内に、長くても約15分以内にまたは長くても約10分以内に、血漿中のニコチン濃度が少なくとも約10 ng/mlをもたらす(例えば、より延長された放出の組成物に応用可能)、
【0037】
iv) 投与後、長くても約15分以内に、例えば長くても約10分以内に、長くても約7.5分以内に、長くても約5分以内に、長くても約4分以内にまたは長くても約3分以内に、血漿中のニコチン濃度が少なくとも約10 ng/mlをもたらす(例えば、中程度に速い放出の組成物に応用可能)、
v) 投与後、血漿中のニコチン濃度が少なくとも約4 ng/ml、例えば少なくとも約5 ng/mlまたは少なくとも約6 ng/mlをもたらす、そして/または
vi) 投与後、血漿中の濃度が少なくとも約7.5 ng/mlまたは少なくとも約10 ng/mlをもたらす。
【0038】
あるいはまたは補足として、本発明による粒状物質は、健康な被験者に、ニコチン4 mgを含む粒状物質を含むチューインガムの形態で投与したときに、投与後、長くても10分以内に、血漿中のニコチン濃度が少なくとも約4 ng、例えば少なくとも約5 ng、少なくとも約7.5 ngまたは少なくとも約10 ngをもたらすか、またはニコチンのより速い放出を計画した物質のためには、投与後、長くても10分以内に、血漿中のニコチン濃度が少なくとも約8 ng、例えば少なくとも約10 ng、少なくとも約12.5 ng、少なくとも約15 ngまたは少なくとも約16 ngをもたらす。
【0039】
異なった放出は、異なった方法で得られる。したがって、例えば、持続作用を得るために、ニコチンがよりゆっくりまたは遅延して放出される、コーティングされた粒状物質を得るために粒状物質をコーティングすることが用いられ得る。放出プロファイルを所期の放出パターン (例えば、非常に速くもなく、非常に遅くもない放出) 等に調整するために、コーティングされていないものとコーティングされた粒状物質との組合せが用いられ得る。さらに、粒状物質を、例えば医薬組成物のような組成物の中に組み込むことができ、適用される特定の製剤ならびに製剤技術により、異なった放出パターンを得ることができる。言い換えると、本発明は、速い、中程度のそして遅いニコチンの放出およびそのような放出の組合せが得られるように、製剤化することのできる粒状物質を提供する。
【0040】
上記に従って、本発明の粒状物質または組成物は、物質のその部分から、ニコチンまたはその医薬的に許容される塩、複合体もしくは溶媒和物が放出されることを遅らせるようにコーティングされ得る。適切なコーティング物質は、例えばカルボマー、カルボキシメチルセルロース、セルロースアセテート、セルロースアセテートフタレート、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、メチルセルロース、ポリメタクリレート、ポリビニルアルコール、ポビドン、セラックのようなフィルム形成性ポリマー、例えば硬化油脂、水素化綿実油、水素化植物油、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、ワックス、ゼインのような脂肪物質、例えばグルコース、マルトデキストリン、ポリデキストロース、蔗糖、乳糖、アルギン酸、カラギナンのような糖または糖誘導体、例えばマンニトール、マルチトール、イソマルト、キシリトール、ソルビトールのような糖アルコールまたは糖アルコール誘導体などである。
【0041】
ニコチン塩およびMCCを含む粒状物質(例えば、MCCに対してニコチン塩溶液を用いることによって得られる)に関して、溶出プロファイルは、in vitroで幾分、よりゆっくりとしていることが分かった。したがって、ニコチン/MCC粒状物質からのニコチン酒石酸塩の溶出プロファイルは、米国薬局方(USP)のパドル法による溶出装置中で、37℃に維持されたpH 7.4のリン酸緩衝液1リットル中、取り込まれたニコチンの90%が5〜10分後に放出される典型的なものである。
【0042】
吸収速度は、主として、担体からの放出速度および吸収する部位でのpH(非荷電ニコチン量)によって制御される。吸収部位でのpHを調整するために、本発明の粒状物質または組成物中に、一つ以上の緩衝物質が混合され得る。緩衝物質は、少なくとも部分的にMCCに吸着され得る。ここで使用される適切な緩衝物質は、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウムのようなアルカリまたはアルカリ土類金属塩、例えば炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カリウムなどのモノ炭酸塩、重炭酸塩およびセスキ炭酸塩を含む炭酸塩、グリシン塩、リン酸モノ水素塩、リン酸ジ水素塩およびリン酸トリ水素塩を含むリン酸塩、グリセロリン酸塩、グルコン酸塩、ホウ酸塩、アンモニウム塩、および例えば酢酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩などのような有機または無機酸の塩とそれらの混合物である。
【0043】
一つの具体例として、本発明による粒状物質または組成物中で使用されるニコチンまたはその医薬的に許容される塩、複合体もしくは溶媒和物は、ニコチン塩基、ニコチン塩酸塩、ニコチン二塩酸塩、ニコチン酒石酸塩、ニコチン二酒石酸塩、ニコチン硫酸塩、ニコチン塩化亜鉛塩およびニコチンサリチル酸塩から選択される。
【0044】
よりゆっくりとした放出を達成するために、ニコチンの異なる塩が用いられる。ニコチンの塩基の形態とその塩の組合せも、所望の放出を達成するために用いることができる。
したがって、本発明による粒状物質または組成物は、ニコチンおよび一つ以上の医薬的に許容されるその塩、複合体もしくは溶媒和物を含む。特定の具体例として、本発明による粒状物質または組成物は、ニコチンおよびニコチン酒石酸塩またはニコチン二酒石酸塩の少なくとも一つを含む。
【0045】
もう一つの態様として、本発明は、例えば、本発明による粒状物質を含み、任意に一つ以上の医薬的に許容される賦形剤を一緒に含んでもよい医薬組成物のような組成物に関する。粒状物質に関しての上記の詳細な記載は、それが関連するときはいつでも、本発明の組成物に対しても適用される。
【0046】
ニコチン−含有組成物は、個々の目的に対する有効用量が、例えば口腔ルートを含む経口、鼻、目、肺、局所または経皮ルートのような簡便な投与経路で、ヒトを含む対象に投与される。どのようにして適切な投与経路を選択するかは、当業者にとっては公知のことであろう。
【0047】
ニコチンの有効用量は、用いられる特定のニコチン(塩、塩基など)、投与様式、治療される症状、治療される動物の年齢および症状、および治療される症状の重篤度によって変わり得る。当業者は、適切な用量を容易に把握することができる。通常、本発明による医薬組成物において、その医薬組成物中のニコチンまたは医薬的に許容されるその塩、複合体もしくは溶媒和物の濃度は、ニコチン塩基として計算して、約0.5〜6 mgである。
【0048】
本発明による医薬組成物は、例えば、粉末、顆粒(granules)、細粒、分散剤のような固体、半固体または液状の剤形の形態であるか、または、経口懸濁液剤、溶解錠剤、経口ゲル剤、経口散剤、顆粒剤、カシェ剤、カプセル剤、錠剤、放出制御錠剤、経口用凍結乾燥剤、経口用分散錠剤、咀しゃく錠剤、経口ガム剤、経口粘膜懸濁液剤、経口粘膜噴霧剤、舌下噴霧剤、経口粘膜ゲル剤、経口粘膜ペースト剤、薬用チューインガム剤、歯肉ゲル剤、歯肉ペースト剤、歯肉パッチ剤、経口粘膜カプセル剤、舌下錠剤、粘膜付着口腔錠剤、口腔錠剤、口腔パッチ剤、口腔カシェ剤、トローチ剤、ゲル剤、皮膚ペースト剤、軟膏剤、皮膚噴霧剤、経皮パッチ剤、皮膚粘着剤、浸透性包帯の形態であってもよい。
【0049】
医薬組成物は、医薬製剤における当業者に周知の方法のいずれかにより製造され得る。
医薬組成物において、粒状物質は、通常、医薬賦形剤、すなわち治療上不活性な物質または担体と組み合わされる。
担体は、所望の剤形および投与経路により、広く多様な形態のものが採用される。
【0050】
医薬品または化粧品で許容される賦形剤は、例えば、充填剤、結合剤、崩壊剤、希釈剤、流動促進剤、溶剤、乳化剤、懸濁化剤、安定化剤、相乗剤、香味剤、着色剤、pH調整剤、抑制剤、湿潤剤、界面活性剤、保存剤などであってよい。詳細な記述は、例えば、Remington's Pharmaceutical Science または Handbook of Pharmaceutical Excipientsのような医薬ハンドブック中に見出され得る。
【0051】
より具体的なものとして、本発明による医薬組成物は、pH調整剤、安定化剤、保存剤、芳香調整剤、香味調整剤、着色剤、放出調整剤、EDTAを含む錯化剤よりなる群から選択される添加物を含み得る。さらに、それは、前記のような緩衝物質を含み得る。
【0052】
組成物が、口腔への投与を含む経口投与を目的とする場合(例えば、香錠、キャラメル、ハードボイルズおよび他のキャンディー様組成物を含むチューインガムまたはトローチの形状をした固体または半固体組成物の形態)、一つ以上のバルク甘味剤が、組成物中に混合され得る。適切なバルク甘味剤は、モノ−、ジ−、トリ−およびポリサッカライドならびに天然および合成の非サッカライドを基礎とした甘味剤からなる群から選択される。
もう一つの具体例として、本発明による医薬組成物は、治療的および/または予防的に、さらなる活性物質を含み得る。
【0053】
本発明の医薬組成物は、組成物中に混合されるさらなる量のニコチンも含み得る。上記のニコチン化合物に加えて、それは、カチオン交換体がカルボン酸官能基を有するメタクリル酸タイプまたはスルホン酸官能基もしくはホスホン酸官能基のいずれかを有するポリスチレンタイプからなる群から選択されるニコチンカチオン交換樹脂複合体であってもよい。
【0054】
具体例として、組成物中に含まれる粒状物質は、ニコチン塩基および組成物中に混合されるさらなる量のニコチンを含み、その混合されるニコチンは、ニコチン酒石酸塩およびニコチン二酒石酸塩からなる群から選択される。
本発明による医薬組成物は、ニコチンの放出を調整または制御するために、コーティングもされ得る。前記のコーティング物質が、本組成物に対しても適用される。さらに、味覚マスキングのコーティングが使用され得る。
【0055】
もう一つの態様として、本発明は、投与後、比較的速いニコチンの作用開始を有する医薬組成物の製造のために、本発明による粒状物質を使用することに関する。上記のように、本医薬組成物は、より制御されて、またはより遅くされてニコチンが放出されるようにも計画され得る。本発明による粒状物質に関する上記のように、多くの異なった放出パターンが、例えばコーティングされたものとコーティングされていない粒状物質との組合せの使用、二つ以上の異なるニコチン(例えば、フリーの塩基および塩)の組合せの使用、例えば放出制御組成物などの目的を達成するために、特定の製剤技術の使用、および異なる方法の組合せにより得られる。本発明の具体例が、ニコチンの放出に関する定義によるか、あるいは対象への投与後に得られる血漿中濃度に関する定義により、以下に記載される。
【0056】
したがって、種々の具体例の中で、本発明は、
i) 経口投与後、長くても約45分以内に、例えば長くても約30分で、少なくとも約50% w/w、例えば少なくとも約55% w/w、少なくとも約60% w/w、少なくとも約65% w/w、少なくとも約70% w/wまたは少なくとも約75% w/wのニコチンが放出される(例えば、速い、中程度に速い放出)、
【0057】
ii) Ph.Eurに従ったin vitro溶出試験による測定で、長くても約45分以内に、たとえば長くても約30分で、少なくとも約50% w/w、例えば少なくとも約55% w/w、少なくとも約60% w/w、少なくとも約65% w/w、少なくとも約70% w/wまたは少なくとも約75% w/wのニコチンが放出される(例えば、速い、中程度に速い放出)、
【0058】
iii) 経口投与後、長くても約45分以内に、例えば長くても約30分で、多くても約60% w/w、例えば多くても約55% w/w、多くても約50% w/w、多くても約45%、多くても約40%、多くても約35% w/wまたは多くても約30% w/wのニコチンが放出される(例えば、中程度に遅い、遅い放出)、
【0059】
iv) Ph.Eurに従ったin vitroの溶出試験による測定で、長くても約45分以内に、例えば長くても約30分で、多くても約60% w/w、例えば多くても約55% w/w、多くても約50% w/w、多くても約45%、多くても約40%、多くても約35% w/wまたは多くても約30% w/wのニコチンが放出される(例えば、中程度に遅い、遅い放出)、
医薬組成物に関する。
【0060】
本発明による組成物を投与した後、その効果が得られるためには、適切な時間内にニコチンの適切な血漿中濃度が得られなければならない。したがって、本発明は、少なくとも一人の健康な被験者に、ニコチン4 mg相当量またはその医薬的に許容される塩、複合体もしくは溶媒和物の等量を投与したときに、
i) 投与後、長くても約30分以内に、例えば長くても約25分以内に、長くても約20分以内に、長くても約15分以内にまたは長くても約10分以内に、血漿中のニコチン濃度が少なくとも約5 ng/ml、例えば約6 ng/ml以上、約7 ng/ml以上、約8 ng/ml以上、約9 ng/ml以上または約10 ng/ml以上になる(例えば、比較的に速いから中程度に速い放出および速いから中程度に速い作用開始)、
【0061】
ii) 投与後、長くても約15分以内に、例えば長くても約10分以内に、長くても約7.5分以内に、長くても約5分以内に、長くても約4分以内にまたは長くても約3分以内に、血漿中のニコチン濃度が少なくとも約5 ng/ml、例えば約6 ng/ml以上、約7 ng/ml以上、約8 ng/ml以上、約9 ng/ml以上または約10 ng/ml以上になる(例えば、比較的に速いから中程度に速い放出および速いから中程度に速い作用開始)、
【0062】
iii) 投与後、長くても約10分以内に、例えば長くても約9分以内に、長くても約8分で、長くても約7分で、長くても約6分で、長くても約5分で、長くても約4分でまたは長くても約3分で、血漿中のニコチン濃度が少なくとも約6 ng/mlになる(例えば、速い放出、速い作用開始)、
【0063】
iv) 投与後、長くても10分以内に、血漿中のニコチン濃度が少なくとも約8 ng/ml、例えば少なくとも約10 ng/ml、少なくとも約12.5 ng/ml、少なくとも約15 ng/mlまたは少なくとも約16 ng/mlになる(例えば、比較的に速い放出および速い作用開始)、
【0064】
v) 投与後、血漿中のニコチン濃度が少なくとも約4 ng/ml、例えば少なくとも約5 ng/mlまたは少なくとも約6 ng/mlになる、そして/または
vi) 投与後、血漿中のニコチン濃度が少なくとも約7.5 ng/mlまたは少なくとも約10 ng/mlになる、
医薬組成物に関する。
【0065】
上記のように、ニコチンの放出は、所望の状態に調整することができる。したがって、組合せにより、作用開始を早めるために、比較的速くニコチンが放出されるように計画され得るか、または持続的な効果が得られるように、長くニコチンが放出されるように計画され得る。
さらに、組合せにより、作用開始を早めるために、組成物中に含まれるニコチンの少なくとも一部分が速く放出されるようにし、かつ持続的な効果を得るために、ニコチンの残りの部分が長く放出されるように計画され得る。後者のような場合、経口投与後の血漿中のニコチン濃度は単相、二相または多相の曲線を示す。
【0066】
組成物の具体例として、チューインガムの形態がある。
チューインガムに用いられる適切な賦形剤および添加剤と同様に、チューインガムの製造は、当業者に周知である(例えば、その中で引用される参考文献を含めたWO 03/084338を参照;これらの参照文献は、言及することにより、ここに含まれる)。
したがって、ガム基剤は、当分野で公知の通常の性質のものであり、例えば、市場で入手可能な天然または合成由来のガム基剤である。天然のガム基剤は、チクル、ジェルトンガム、レチデカスピガム(lechi de caspi gum)、ソーガム(soh gum)、シアクガム(siak gum)、カチアウガム(katiau gum)、ソーワガム(sorwa gum)、バラタガム、ペンダレガム(pendare gum)、マレーガム(malaya gum) とピーチガム(peach gum)、天然ガム(natural cauchouc)ならびにダンマー(dammar) およびマスチック(mastix)のような天然樹脂を含む。合成ガム基剤はエラストマー(ポリマー、咀嚼物質)を含む。通常、可塑剤、充填剤(例えば、結着剤)、軟化剤(例えば、油脂またはワックス)、甘味剤、口あたり改善剤および/または乳化剤のような添加剤が加えられる。
【0067】
さらに別の態様として、本発明は、対象者のニコチン関連疾病の治療方法に関するものである。その方法は、本発明による粒状物質中または医薬組成物中のニコチンまたは医薬的に許容されるその塩、複合体もしくは溶媒和物の十分な量を、それを必要とする対象者に投与することを含む。
より具体的には、上記ニコチン関連疾病とは、タバコ依存症、パーキンソン病、アルツハイマー病、統合失調症、ADHD(注意欠陥多動性障害)、トゥーレット症候群、潰瘍性大腸炎および禁煙後の体重コントロールである。
【0068】
粒状物質の態様に関する詳細および記述は、本発明による他の態様に準用される。
本発明は、本発明を限定するものではない以下の実施例および図で、さらに説明される。ここで、図1は市場で入手可能な製品からのニコチンの時間に対する血漿中濃度プロファイルを示し、図2は市場で入手可能な製品と比較した、本発明による組成物からのニコチンの血漿中濃度プロファイルを示す。
【実施例】
【0069】
実施例
MCCへのニコチンの取込み
ニコチン塩基を、乾燥された付加物で計算して、0.1〜8%(w/w)の濃度になるようにエタノールに溶解し、真空乾燥または同等な装置を備えた高剪断混合機中で、MCCに加える。混合/分配工程後、粉末を乾燥し、ニコチン濃度をHPLCで測定する。in vitroでの放出は、USP(パドル法)に記載された標準溶出装置およびHPLCを用いて測定する。例えば、ニコチン酒石酸塩のようなニコチン塩は、水/エタノール混液に溶解し、上記のように処理する。
【0070】
効果上げ過ぎの乾燥;高真空および/または高温は、加えられたニコチンの安定性および容量に否定的な影響を与えるので、乾燥工程が重要である。乾燥されたニコチン/MCC粒状物質は、40℃および50%相対湿度(RH)で開放状態で保存されて14週まで、20℃および55%RHで開放状態で保存されて14週以上、安定である。
安定性
安定性は、1%(w/w)ニコチン濃度を有するニコチン/MCC粒状物質について測定した。その乾燥粉末は、20℃/55%RHおよび40℃/50%RHで、薄層状に開放状態で保存した。
【0071】
表1.20℃/55%RHおよび40℃/50%RHで、開放状態すなわちペトリ皿に薄層状に分散させた状態で保存した、1%ニコチン(w/w)のニコチン/MCC粒状物質の安定性
【表1】

【0072】
生成物の変色および観察されたクロマトグラムで、ニコチン以外のピークの増加が認められず、検査された期間での生成物の安定性を示す。
取込み比
出発ニコチン濃度約12%(w/w)を有するニコチン/MCC粒状物質に対して、取込み比を測定した。乾燥粉末は、20℃/55%RHおよび40℃/50%RHで、薄層状に開放状態で保存した。
【0073】
表2.40℃/50%RHで、開放状態すなわちペトリ皿に薄層状に分散させた状態で保存した、当初約12%ニコチン(w/w)で取込まれたニコチン塩基/MCC粒状物質の取込み比
【表2】

【0074】
結果は、良好な安定性を維持してニコチン塩基約8%(w/w)の取込み比が、異なる品質のMCCで用いられることを示す。8%(w/w)を超えると、MCC(用いられた品質において)は、ニコチンで過飽和状態になっているようである。最初の急激なニコチンの減量は、おそらく、ニコチンの細孔容量に対する過飽和状態によるものであり、過剰のニコチンがおそらく粒状物質から速やかに蒸発するのであろう。
【0075】
in vitroでの放出
ニコチンの起源、すなわち塩基および塩の形態によって、in vitroでの放出を変化させることができる。放出は、試験された全ての組合せに対して急速であり、一般にニコチン塩基が使用されるときにより顕著である。
乾燥されたニコチン/MCC粒状物質をコーティングすることにより、より長い放出プロファイルを達成できた。放出プロファイルの少しの遅延は、約50%(w/w)のポリエチレングリコール(PEG)8000の使用により達成された。より遅延された放出プロファイルは、約50%の水素化綿実油(Akofine E:アコファインE)の使用により達成された。
【0076】
表3.USP溶出装置での37℃リン酸緩衝液、pH7.4でのニコチン/MCC粒状物質のin vitro放出。定常状態の濃度を計算のために使用する。
【表3】

1乾燥付加物を50%(w/w)PEG8000でコーティングした。
2乾燥付加物を50%(w/w)水素化綿実油(アコファインE)でコーティングした。
3乾燥付加物を60%(w/w)硬化油脂(ウィテップゾールE-76およびE-85の1:1混合物)でコーティングした。
【0077】
in vivo血漿中ニコチン
4〜5%(w/w)のニコチン/MCC粒状物質を、ニコチン/ガムの最終濃度が2および4mgになるように、チューインガム組成物中に混合した。ガムは直接圧縮を使用して作り、初期のニコチン容量を分析した。ガムは、同一の被験者によりかまれ、ガムをかむ前、5、10、15および20分後に血液サンプルを採取した。血液サンプルを、ニコチンおよびコチニンについて分析した。in vivoのヒト血漿中プロファイルは、所望のプロファイルが、ある剤形、すなわちチューインガムにニコチン/MCC粒状物質を使用することによって、十分に余裕をもって達成されたことを示す。錠剤、トローチ剤、ゲル剤、懸濁剤、噴霧剤、パッチ剤等の他の製品も、適当な製剤計画に対して使用され得る。図2に、in vivo研究での結果を示す。
【0078】
本製造工程は、医薬工業のための標準設備を用いる通常の工程である。
ニコチンをMCC中に取り込む。ニコチン塩基を顆粒化液体、99.5%エタノールに前もって加え、真空高剪断混合器、すなわちザンチェッタ ロトラブ(Zanchetta Rotolab)またはそれと均等物中のMCCに加える。湿潤混練物を混合器中で真空下に乾燥する。トレー上での乾燥もその代わりに使用できた。
【0079】
ガム粉末を、輸送の際に塊が残らないようにするために、1mmの篩に通す。ガム粉末およびニコチン−取り込みMCCを、ステアリン酸マグネシウム以外の全ての賦形剤と一緒に、通常の混合器、ダブルコーン(double cone)混合器またはそれと均等物中で混合する。2番目の混合工程で、ステアリン酸マグネシウムを混合する。その後、1.25gのDCチューインガムを、直径17mmのくぼんだ押し抜き具を備えた通常の回転式打錠プレス(rotary tablet press)中で加圧する。
【0080】
2 mgチューインガム錠核の組成
成分 分量 機能
(mg/単位)
ニコチン塩基* 2.00 活性成分
ガム粉末 1000 ガム基剤
イソマルト、DC 100 134 充填剤、甘味剤
微晶質セルロース、
型PH-102 61.0 ニコチン担体
タルク 37.5 固結防止剤
ステアリン酸マグネシウム 12.5 滑沢剤
コロイド状、無水シリカ
アエロジル 200 2.00 流動促進剤
アセスルファムカリウム 0.625 甘味剤
エタノール99.5%(w/w)* --- 顆粒化液体
目的重量 1 250

【0081】
コーティング溶液の組成
成分 量 機能
(%)
イソマルト、GS 65.00 コーティング糖質
精製水 29.80 溶媒
アラビアゴム、50% 4.10 結合剤
チタンジオキサイド 1.00 着色剤
アスパルテーム 0.05 甘味剤
アセスルファムカリウム 0.05 甘味剤
目的重量 100
【0082】
圧縮したガム核を、通常の回転コーティングパン中で、最終目的重量が1 600 mgになるように、上記コーティング溶液を用いてコーティングし得る。
【0083】
4 mgチューインガム錠核の組成
成分 分量 機能
(mg/単位)
ニコチン塩基* 4.00 活性成分
ガム粉末 1000 ガム基材
イソマルト、DC 100 125 充填剤、甘味剤
微晶質セルロース、
型PH-102 70.0 ニコチン担体
タルク 37.5 固結防止剤
ステアリン酸マグネシウム 12.5 滑沢剤
コロイド状、無水シリカ
アエロジル 200 2.00 流動促進剤
アセスルファムカリウム 0.625 甘味剤
エタノール99.5%(w/w)* --- 顆粒化液体
目的重量 1 250
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】市場で入手可能な製品からのニコチンの時間に対する血漿中濃度プロファイルを示した図である。
【図2】市場で入手可能な製品と比較した、本発明による組成物からのニコチンの血漿中濃度プロファイルを示した図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒状物質がニコチンまたは医薬的に許容されるその塩、複合体もしくは溶媒和物と微晶質セルロースとの組合せを含み、該粒状物質がin vitro溶出試験で試験されたとき、ニコチンまたは医薬的に許容されるその塩、複合体もしくは溶媒和物を、長くても約30分以内に、例えば長くても約25分で、長くても約20分で、長くても約15分で、長くても約10分で、長くても約7.5分で、長くても約5分で、長くても約4分で、長くても約3分でまたは長くても約2分で、少なくとも90% w/w、例えば少なくとも95% w/w放出する、ニコチン放出用のニコチン−含有粒状物質。
【請求項2】
粒状物質がin vitro溶出試験で試験されたとき、ニコチンまたは医薬的に許容されるその塩、複合体もしくは溶媒和物を、長くても約20分以内に、例えば長くても約15分で、長くても約10分で、長くても約7.5分で、長くても約5分で、長くても約4分で、長くても約3分で、長くても約2分でまたは長くても約1分で、少なくとも90% w/w、例えば少なくとも95% w/w放出する、速いニコチン放出用の、請求項1に記載の粒状物質。
【請求項3】
温度40℃、相対湿度50%で開放状態で保存されたときに、ニコチンまたは医薬的に許容されるその塩、複合体もしくは溶媒和物が、少なくとも22週間、例えば少なくとも14週間、化学的および/または物理的に安定である、請求項1または2に記載の粒状物質。
【請求項4】
粒状物質中のニコチンまたは医薬的に許容されるその塩、複合体もしくは溶媒和物の濃度が、ニコチン塩基として計算して、多くても約20% w/w、例えば多くても約15% w/w、多くても約12.5% w/w、多くても約10% w/w、多くても約9.5% w/w、多くても約9% w/w、多くても約8.5% w/w、または多くても約8% w/wである、請求項1〜3のいずれか一つに記載の粒状物質。
【請求項5】
粒状物質中のニコチンまたは医薬的に許容されるその塩、複合体もしくは溶媒和物の濃度が、ニコチン塩基として計算して、多くても約7.5% w/w、例えば多くても約7% w/w、多くても約6.5 % w/w、多くても約6% w/w、多くても約5.5% w/w、多くても約5% w/w、多くても約4.5% w/w、多くても約4% w/w、または多くても約3% w/wである、請求項1〜4のいずれか一つに記載の粒状物質。
【請求項6】
少なくともニコチンまたは医薬的に許容されるその塩、複合体もしくは溶媒和物の部分が微晶質セルロースに吸着されている、請求項1〜5のいずれか一つに記載の粒状物質。
【請求項7】
少なくとも一人の健康な被験者に、ニコチン4 mgまたは医薬的に許容されるその塩、複合体もしくは溶媒和物の等量を含む粒状物質を含むチューインガムの形態で投与したときに、投与後、長くても約30分以内に、例えば長くても約25分以内に、長くても約20分以内に、長くても約15分以内にまたは長くても約10分以内に、血漿中のニコチン濃度が少なくとも約5 ng/ml、例えば約6 ng/ml以上、約7 ng/ml以上、約8 ng/ml以上、約9 ng/ml以上または約10 ng/ml以上になるような、請求項1〜6のいずれか一つに記載の粒状物質。
【請求項8】
少なくとも一人の健康な被験者に、ニコチン4 mgまたは医薬的に許容されるその塩、複合体もしくは溶媒和物の等量を含む粒状物質を含むチューインガムの形態で投与したときに、投与後、長くても約15分以内に、例えば長くても約10分以内に、長くても約7.5分以内に、長くても約5分以内に、長くても約4分以内にまたは長くても約3分以内に、血漿中のニコチン濃度が少なくとも約5 ng/ml、例えば約6 ng/ml以上、約7 ng/ml以上、約8 ng/ml以上、約9 ng/ml以上または約10 ng/ml以上になるような、請求項1〜7のいずれか一つに記載の粒状物質。
【請求項9】
少なくとも一人の健康な被験者に、ニコチン4 mgまたは医薬的に許容されるその塩、複合体もしくは溶媒和物の等量を含む粒状物質を含むチューインガムの形態で投与したときに、投与後、長くても約10分以内に、例えば長くても約9分以内に、長くても約8分で、長くても約7分で、長くても約6分で、長くても約5分で、長くても約4分でまたは長くても約3分で、血漿中のニコチン濃度が少なくとも約6 ng/mlになるような、請求項1〜8のいずれか一つに記載の粒状物質。
【請求項10】
健康な被験者に、ニコチン4 mgまたは医薬的に許容されるその塩、複合体もしくは溶媒和物の等量を含む粒状物質を含むチューインガムの形態で投与したときに、投与後、血漿中のニコチン濃度が少なくとも約4 ng/ml、例えば少なくとも約5 ng/mlまたは少なくとも約6 ng/mlになるような、請求項1〜7のいずれか一つに記載の粒状物質。
【請求項11】
健康な被験者に、ニコチン4 mgまたは医薬的に許容されるその塩、複合体もしくは溶媒和物の等量を含む粒状物質を含むチューインガムの形態で投与したときに、投与後、血漿中の濃度が少なくとも約7.5 ng/mlまたは少なくとも約10 ng/mlになるような、請求項1〜7のいずれか一つに記載の粒状物質。
【請求項12】
健康な被験者に、ニコチン4 mgまたは医薬的に許容されるその塩、複合体もしくは溶媒和物の等量を含む粒状物質を含むチューインガムの形態で投与したときに、投与後、長くても10分以内に、血漿中のニコチン濃度が少なくとも約8 ng/ml、例えば少なくとも約10 ng/ml、少なくとも約12.5 ng/ml、少なくとも約15 ng/mlまたは少なくとも約16 ng/mlになるような、請求項1〜11のいずれか一つに記載の粒状物質。
【請求項13】
少なくとも物質部分が、その物質部分からニコチンまたは医薬的に許容されるその塩、複合体もしくは溶媒和物の放出を遅らせるようにコーティングされている、請求項1〜12のいずれか一つに記載の粒状物質。
【請求項14】
物質が、フィルム形成性ポリマー、例えばカルボマー、カルボキシメチルセルロース、セルロースアセテート、セルロースアセテートフタレート、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、メチルセルロース、ポリメタクリレート、ポリビニルアルコール、ポビドン、セラック、脂肪物質、例えば硬化油脂、水素化綿実油、水素化植物油、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、ワックス、ゼイン、糖または糖誘導体、例えばグルコース、マルトデキストリン、ポリデキストロース、蔗糖、乳糖、アルギン酸、カラギナン、糖アルコールまたは糖アルコール誘導体、例えばマンニトール、マルチトール、イソマルト、キシリトール、ソルビトールなどでコーティングされている、請求項13に記載の粒状物質。
【請求項15】
微晶質セルロースが、医薬的に許容される品質の市販品、例えばアビセル、ビバセル、エムコセルのいずれかである、請求項1〜14のいずれか一つに記載の粒状物質。
【請求項16】
ニコチンまたは医薬的に許容されるその塩、複合体もしくは溶媒和物が、ニコチン塩基、ニコチン塩酸塩、ニコチン二塩酸塩、ニコチン酒石酸塩、ニコチン二酒石酸塩、ニコチン硫酸塩、ニコチン塩化亜鉛およびニコチンサルチル酸塩から選択される、請求項1〜15のいずれか一つに記載の粒状物質。
【請求項17】
ニコチンおよび一つ以上の医薬的に許容されるその塩、複合体または溶媒和物を含む、請求項1〜16のいずれか一つに記載の粒状物質。
【請求項18】
ニコチンおよびニコチン酒石酸塩またはニコチン二酒石酸塩を少なくとも一つ含む、請求項1〜17のいずれか一つに記載の粒状物質。
【請求項19】
ニコチンが、ラセミとして、またはそのエナンチオマーのいずれかの形態もしくはそれらの混合物の形態で存在する、請求項1〜18のいずれか一つに記載の粒状物質。
【請求項20】
さらに緩衝物質を含む、請求項1〜19のいずれか一つに記載の粒状物質。
【請求項21】
緩衝物質が少なくとも部分的にMCCに吸着されている、請求項20に記載の粒状物質。
【請求項22】
緩衝物質が、モノ炭酸塩、重炭酸塩およびセスキ炭酸塩を含む炭酸塩、グリシン塩、リン酸一水素塩、リン酸二水素塩およびリン酸三水素塩を含むリン酸塩、グリセロリン酸塩、酢酸塩、グルコン酸塩、クエン酸塩、ホウ酸塩、アンモニウム塩およびそれらの混合物よりなる群から選択される、請求項20または21に記載の粒状物質。
【請求項23】
請求項1〜22のいずれか一つに記載の粒状物質を含む医薬組成物。
【請求項24】
経口投与後、長くても約45分以内に、例えば長くても約30分で、ニコチンが少なくとも約50% w/w、例えば少なくとも約55% w/w、少なくとも約60% w/w、少なくとも約65% w/w、少なくとも約70% w/wまたは少なくとも約75% w/w放出される、請求項23に記載の医薬組成物。
【請求項25】
ヨーロッパ薬局方に従ったin vitro溶出試験で、長くても約45分以内に、例えば長くても約30分で、ニコチンが少なくとも約50% w/w、例えば少なくとも約55% w/w、少なくとも約60% w/w、少なくとも約65% w/w、少なくとも約70% w/wまたは少なくとも約75% w/w放出される、請求項23または24に記載の医薬組成物。
【請求項26】
一つ以上の医薬的に許容される賦形剤をさらに含む、請求項23〜25のいずれか一つに記載の医薬組成物。
【請求項27】
組成物中のニコチンまたは医薬的に許容されるその塩、複合体もしくは溶媒和物の濃度が、ニコチン塩基として計算して約0.5〜約6 mgである、請求項23〜26のいずれか一つに記載の医薬組成物。
【請求項28】
固体、半固体または流動体の形態にある、請求項23〜27のいずれか一つに記載の医薬組成物。
【請求項29】
経口懸濁液剤、溶解錠剤、経口ゲル剤、経口散剤、顆粒剤、サッシェ剤、カプセル剤、錠剤、放出制御錠剤、経口用凍結乾燥剤、経口用分散錠剤、咀しゃく錠剤、経口ガム剤、経口粘膜懸濁液剤、経口粘膜噴霧剤、舌下噴霧剤、経口粘膜ゲル剤、経口粘膜ペースト剤、薬用チューインガム剤、歯肉ゲル剤、歯肉ペースト剤、歯肉パッチ剤、経口粘膜カプセル剤、舌下錠剤、粘膜付着口腔錠剤、口腔錠剤、口腔パッチ剤、口腔カシェ剤、トローチ剤、ゲル剤、皮膚ペースト剤、軟膏剤、皮膚噴霧剤、経皮パッチ剤、皮膚粘着剤、浸透性包帯の形態にある、請求項23〜28のいずれか一つに記載の医薬組成物。
【請求項30】
pH調整剤、安定化剤、保存剤、芳香調整剤、香味調整剤、着色剤、放出調整剤、EDTAを含む錯化剤よりなる群から選択される添加物をさらに含む、請求項23〜29のいずれか一つに記載の医薬組成物。
【請求項31】
緩衝物質を含む、請求項23〜30のいずれか一つに記載の医薬組成物。
【請求項32】
緩衝物質が、モノ炭酸塩、重炭酸塩およびセスキ炭酸塩を含む炭酸塩、グリシン塩、リン酸一水素塩、リン酸二水素塩およびリン酸三水素塩を含むリン酸塩、グリセロリン酸塩、酢酸塩、グルコン酸塩、クエン酸塩、ホウ酸塩、アンモニウム塩およびそれらの混合物よりなる群から選択される、請求項31に記載の医薬組成物。
【請求項33】
モノ−、ジ−、トリ−およびポリサッカライドならびに天然および合成の非サッカライドをベースとした甘味剤からなる群から選択される一つ以上のバルク甘味剤を含む、請求項23〜32のいずれか一つに記載の医薬組成物。
【請求項34】
バルク甘味剤がイソマルト、キシリトールもしくはソルビトールまたはそれらの組合せである、請求項33に記載の医薬組成物。
【請求項35】
経口投与を目的とした固体または半固体の形態にある、請求項23〜34のいずれか一つに記載の医薬組成物。
【請求項36】
香錠、キャラメル、ハードボイルズおよび他のキャンディー様組成物を含むチューインガムまたはトローチの形態にある、請求項35に記載の医薬組成物。
【請求項37】
さらなる活性物質を含む、請求項23〜36のいずれか一つに記載の医薬組成物。
【請求項38】
ニコチンのさらなる量が組成物中に取り込まれている、請求項23〜37のいずれか一つに記載の医薬組成物。
【請求項39】
ニコチンが、医薬的に許容される塩、溶媒和物およびニコチン複合体からなる群から選択され、該ニコチン複合体は、カチオン交換体がカルボン酸官能基を有するメタクリル酸タイプまたはスルホン酸官能基もしくはホスホン酸官能基のいずれかを有するポリスチレンタイプからなる群から選択されるニコチンカチオン交換樹脂複合体を含む、請求項38に記載の医薬組成物。
【請求項40】
組成物中に含まれる粒状物質が、ニコチン塩基および組成物中に取り込まれるさらなる量のニコチン(ニコチン酒石酸塩およびニコチン二酒石酸塩からなる群から選択される)を含む、請求項38に記載の医薬組成物。
【請求項41】
組成物が、フィルム形成性ポリマー、例えばカルボマー、カルボキシメチルセルロース、セルロースアセテート、セルロースアセテートフタレート、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、メチルセルロース、ポリメタクリレート、ポリビニルアルコール、ポビドン、セラック、脂肪物質、例えば硬化油脂、水素化綿実油、水素化植物油、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、ワックス、ゼイン、糖または糖誘導体、例えばグルコース、マルトデキストリン、ポリデキストロース、蔗糖、乳糖、アルギン酸、カラギナン、糖アルコールまたは糖アルコール誘導体、例えばマンニトール、マルチトール、イソマルト、キシリトール、ソルビトールなどでコーティングされている、請求項23〜40のいずれか一つに記載の医薬組成物。
【請求項42】
少なくとも一人の健康な被験者に、ニコチン4 mgまたは医薬的に許容されるその塩、複合体もしくは溶媒和物の等量を投与したときに、投与後、長くても約30分以内に、例えば長くても約25分以内に、長くても約20分以内に、長くても約15分以内にまたは長くても約10分以内に、血漿中のニコチン濃度が少なくとも約5 ng/ml、例えば約6 ng/ml以上、約7 ng/ml以上、約8 ng/ml以上、約9 ng/ml以上または約10 ng/ml以上になるような、請求項23〜41のいずれか一つに記載の医薬組成物。
【請求項43】
少なくとも一人の健康な被験者に、ニコチン4 mgまたは医薬的に許容されるその塩、複合体もしくは溶媒和物の等量を投与したときに、投与後、長くても約15分以内に、例えば長くても約10分以内に、長くても約7.5分以内に、長くても約5分以内に、長くても約4分以内にまたは長くても約3分以内に、血漿中のニコチン濃度が少なくとも約5 ng/ml、例えば約6 ng/ml以上、約7 ng/ml以上、約8 ng/ml以上、約9 ng/ml以上または約10 ng/ml以上になるような、請求項23〜42のいずれか一つに記載の医薬組成物。
【請求項44】
少なくとも一人の健康な被験者に、ニコチン4 mgまたは医薬的に許容されるその塩、複合体もしくは溶媒和物の等量を投与したときに、投与後、長くても約10分以内に、例えば長くても約9分以内に、長くても約8分で、長くても約7分で、長くても約6分で、長くても約5分で、長くても約4分でまたは長くても約3分で血漿中のニコチン濃度が少なくとも約6 ng/mlになるような、請求項23〜43のいずれか一つに記載の医薬組成物。
【請求項45】
健康な被験者に、ニコチン4 mgまたは医薬的に許容されるその塩、複合体もしくは溶媒和物の等量を投与したときに、投与後、血漿中のニコチン濃度が少なくとも約4 ng/ml、例えば少なくとも約5 ng/mlまたは少なくとも約6 ng/mlになるような、請求項23〜41のいずれか一つに記載の医薬組成物。
【請求項46】
健康な被験者に、ニコチン4 mgまたは医薬的に許容されるその塩、複合体もしくは溶媒和物の等量を投与したときに、投与後、血漿中のニコチン濃度が少なくとも約7.5 ng/mlまたは少なくとも約10 ng/mlになるような、請求項23〜41のいずれか一つに記載の医薬組成物。
【請求項47】
健康な被験者に、ニコチン4 mgまたは医薬的に許容されるその塩、複合体もしくは溶媒和物の等量を投与したときに、投与後、長くても10分以内に、血漿中のニコチン濃度が少なくとも約8 ng/ml、例えば少なくとも約10 ng/ml、少なくとも約12.5 ng/ml、少なくとも約15 ng/mlまたは少なくとも約16 ng/mlになるような、請求項23〜46のいずれか一つに記載の医薬組成物。
【請求項48】
チューインガムの形態にある、請求項23〜47のいずれか一つに記載の医薬組成物。
【請求項49】
請求項1〜23のいずれか一つに記載の粒状物質であって、コーティングされている粒状物質とコーティングされていな粒状物質との混合物を含む、請求項23〜48のいずれか一つに記載の医薬組成物。
【請求項50】
作用開始を早めるために、ニコチンを速く放出することを目的とした、請求項23〜49のいずれか一つに記載の医薬組成物。
【請求項51】
ニコチンの放出延長を目的とした、請求項23〜49のいずれか一つに記載の医薬組成物。
【請求項52】
組成物中に含まれるニコチンの少なくとも一部分が作用開始を早めるために速く、そしてニコチンの残りの部分が長時間の作用を得るために長く放出されることを目的とした、請求項23〜51のいずれか一つに記載の医薬組成物。
【請求項53】
経口投与後、ニコチンの血漿中濃度が一相、二相または多相曲線を示す、請求項52に記載の医薬組成物。
【請求項54】
溶出試験がヨーロッパ薬局方に従って行われ、ニコチンのin vitroの溶出プロファイルが一相、二相または多相曲線を示す、請求項52に記載の医薬組成物。
【請求項55】
多くても約60% w/w、例えば多くても約55% w/w、多くても約50% w/w、多くても約45%、多くても約40%、多くても約35% w/wまたは多くても約30% w/wのニコチンが、経口投与後、長くても約45分以内に、例えば長くても約30分で放出される、請求項23、26〜54のいずれか一つに記載の医薬組成物。
【請求項56】
ヨーロッパ薬局方に従ったin vitroの溶出試験で測定され、多くても約60% w/w、例えば多くても約55% w/w、多くても約50% w/w、多くても約45%、多くても約40%、多くても約35% w/wまたは多くても約30% w/wのニコチンが、長くても約45分以内に、例えば長くても約30分で放出される、請求項23、26〜54のいずれか一つに記載の医薬組成物。
【請求項57】
投与後、ニコチンの早い作用開始を有する医薬組成物を製造するための、請求項1〜23のいずれか一つに記載の粒状物質の使用。
【請求項58】
投与後、ニコチンの長い放出を有する医薬組成物を製造するための、請求項1〜23のいずれか一つに記載の粒状物質の使用。
【請求項59】
患者のニコチンに関係した疾患の治療方法であって、それを必要とする患者に、請求項1〜23のいずれか一つに記載の粒状物質中、または請求項24〜57のいずれか一つに記載の医薬組成物中のニコチンまたは医薬的に許容されるその塩、複合体もしくは溶媒和物の十分な量を投与することを含む治療方法。
【請求項60】
タバコ依存症、パーキンソン病、潰瘍性大腸炎、アルツハイマー病、統合失調症、ADHD、トゥーレット症候群、潰瘍性大腸炎および禁煙後の体重コントロールの治療のための、請求項59に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2006−511566(P2006−511566A)
【公表日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−561429(P2004−561429)
【出願日】平成15年12月19日(2003.12.19)
【国際出願番号】PCT/EP2003/014802
【国際公開番号】WO2004/056363
【国際公開日】平成16年7月8日(2004.7.8)
【出願人】(505231420)ニコノヴァム エービー (4)
【氏名又は名称原語表記】NICONOVUM AB
【住所又は居所原語表記】Kavalleristen 9,Berga Alle 1,S−254 52 Helsingborg,SWEDEN
【Fターム(参考)】