説明

特性検査機

【課題】プローブを当接させる外部電極の傾きや異物の有無を容易に判定して、異常な当接によるプローブの破損を防止する。
【解決手段】被検査物7の一面を撮影した画像情報より外部電極14を検出する検出部16と、前記外部電極14にプローブ17を当接させることで特性を検査する検査部18とを有する特性検査機であって、前記検出部16で、外部電極14内の画像情報から、異物の有無と、傾きとを検出してその良否を判定した後、前記検査部18で良品の外部電極14のみに前記プローブを当接させて検査を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品の特性を検査するための特性検査機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ウエハプロセスなどで多数個を一括して製造する半導体や各種センサ、チップ部品などの特性検査工程では、電極上などに付着した異物は、その電極上に検査用プローブを当接する際に破損の原因となるため、事前に検査を行って特性検査を行うか否かを判定している。
【0003】
図5は、上記特性検査機に付属している異物検出部の外観斜視図である。回転ステージ1上に被検査体である半導体ウエハ2を載置して、その半導体ウエハ2の上面より一定の角度でレーザ光3を光源4より照射する。そしてこのレーザ光3の照射点5より散乱する一定の角度の反射光を受光部6で受光することにより、半導体ウエハ2上に異物が存在するか否かを判定するものである。
【0004】
なお、この出願の発明に関する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
【特許文献1】特開2003−177104号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の従来例では、レーザ光3の照射点5からの反射光を利用するため、半導体ウエハ2は常に回転ステージ1上に略水平状態に保持する必要がある。そのため、異物の検出は可能であるが、半導体ウエハ2の傾きや表面の大きなうねりなどは検出することができず、その結果、これら傾きやうねりなどに特性検査用のプローブが過大な力で当接することで破損するという課題があった。
【0006】
そこで本発明は、特性検査時のプローブの破損を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、被検査物の一面を撮影した画像情報より外部電極を検出する検出部と、前記外部電極にプローブを当接させることで特性を検査する検査部とを有する特性検査機であって、前記検出部で、外部電極内の画像情報から、異物の有無と、傾きとを検出してその良否を判定した後、その良品の外部電極のみに前記検査部のプローブを当接させて検査を行うものである。
【発明の効果】
【0008】
以上のように本発明は、プローブを当接させる前に、外部電極の状態、すなわち異物の付着の有無や、傾きを検出するための検出部と、その判定結果に基づき良品のみにプローブを当接させて特性を検査する検査部とを備えているので、プローブを破損させることなく検査を行うことができ、その結果、生産性を高めることができる。
【0009】
また、検出部で異物及び傾きの検出を、同一の画像情報、例えば同軸照明光源の反射光による明度や輝度を利用することで、その分布データから異物の有無を、平均値から傾きを検出することができる。そのため、同じ検出部で複数の判定を行うことができるので、検査の生産性をさらに高めるとともに、レーザ光学系などの高価な部品を必要としないため、検査機を安価にできる効果も同時に奏するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の特性検査機について、被検査物として角速度センサを一例にしてその詳細を説明する。
【0011】
図1は、角速度センサを説明する外観斜視図である。図1に示す角速度センサ7は、その内部および内外側面に電極を形成した、樹脂またはセラミック製のパッケージ8と、角速度を検出するための音叉素子9と、この音叉素子9からの出力を増幅、調整するためのIC10やチップ部品11などの電子部品とから構成されている。パッケージ8の一面には、上記の音叉素子9やIC10など電子部品を位置決めするための、溝部8aや段差部8bを形成している。そしてこれらの溝部8aや段差部8bを基準として、音叉素子9や電子部品を位置決めして実装した後、窒素やアルゴンなどの不活性ガス雰囲気、または真空に減圧して金属製の蓋12でその内部を気密封止する。
【0012】
図2は、この角速度センサの主要部である音叉素子9を説明するための上面図である。いわゆる音叉形状であり、その断面が矩形である二本の振動部9a、9bの側面には、振動部を振動させるための駆動用圧電体と、この駆動用圧電体に直交する側面に形成されて、振動部9a、9bからの出力を取り出すための検出用圧電体が形成されている。それぞれの圧電体には電極13が形成されており、これらの電極13は、音叉素子9の付け根部分9cに形成した金などの薄膜からなる外部電極14へと接続されている。この外部電極14は、駆動用圧電体へ電圧を印加するためのドライブ電極と、検出用圧電体に接続されて振動部からの出力を取り出すためのセンス電極、接地電極、モニタ用電極など、複数個で構成されている。ドライブ電極を介して駆動用圧電体に電圧が印加されると、振動部9a、9bは、その厚みや幅、長さなどで決定する特定の周波数で振動を始める。そして、角速度によりその振動方向と直交する方向に生じるコリオリの力を、検出用圧電体の周波数変化を利用して検出するものである。
【0013】
図3は、本実施の形態における特性検査機の構成を説明する側面図である。本実施の形態における特性検査機は、角速度センサ7を搬送して位置決めするための基台15と、この搬送された角速度センサ7、すなわち音叉素子9上の異物などの外観不良や、音叉素子9の傾きなどの実装不良を検出するための検出部16と、この検出部16で良品と判定された音叉素子9の外部電極14にプローブ17を当接させて、その特性を検査するための検査部18とから構成されている。
【0014】
検出部16は、照明用の光源19と、画像情報の撮像用カメラ20と、この画像情報を処理して良品かどうかを判定するための画像処理装置21とを備えている。照明用の光源19は、いわゆる同軸照明光源であり、出射された照明光は、光学系22の内部に有するハーフミラー23などにより下方に曲げられて、角速度センサ7をその上方より照明する。そして反射光は、再び光学系22に戻りその一部は撮像用カメラ20に入射してその内部にあるCCDやCMOSなどの固体撮像素子に、輝度や明度等の画像情報として取り込まれる。この画像情報は、撮像用カメラに接続された画像処理装置21に転送されて、二値化処理などで外部電極14の輪郭抽出を行い、その輪郭内部の輝度や明度の分布、平均値の計算処理を行う。これらの計算結果が、一定の仕様内に入っているか否かを判定して、良品である場合にのみを検査部18を降下させて、外部電極14にプローブ17を当接させることにより最終特性を検査するものである。
【0015】
次に、上記特性検査機を用いた検査方法について図4を用いて説明する。
【0016】
図4は、本実施の形態による検査方法のフローである。まず初めに、基台15上に載置した角速度センサ7を、検出部16の直下へ搬送して同軸照明光源で照明する(24)。そして少なくとも外部電極14を含む音叉素子9の輝度、または明度などの画像情報を撮像用カメラ20で撮像する(25)。このとき、外部電極14の少なくとも最上層部は、照明用の光源19に対して反射率が高く、かつ外部電極14外との反射率の差が大きくなる材料で形成する。このように、外部電極14の反射率を高めることと、さらに輝度の高い照明用の光源19を用いることで、ノイズの原因となる外部電極14外の画像情報を除外して、外部電極14の領域および輪郭のみを容易に抽出することができる。本実施の形態では、外部電極14の最上層を、金の薄膜で形成し、照明用の光源19には、白色LEDを選択した。
【0017】
次に、この輝度や明度からなる画像情報を、画像処理装置21で二値化処理することにより、外部電極14の輪郭を抽出して、その領域を検出する(26)。そして、その抽出した外部電極14の領域内で、設定した画素毎の輝度、または明度の分布を計算する(27)。外部電極14上に異物が存在する場合、その異物に対応する画素では輝度が低下する。そのため、求めた輝度分布が、例えば画素数のピークが特定の輝度、または明度に集中しているか否か、ピークが複数存在するか否か、などにより異物の有無を判定して良否の判断を行うものである(28)。このとき、観察領域に対して、CCDなどに充分な画素を充当できる場合は、複数の外部電極14を一画像情報より一括して計算処理する。そして、良品のみ次の処理を行い、不良品はこの時点で工程より取り除く(29)。
【0018】
次に外部電極14毎に、同じ画像情報から輝度、または明度の平均値を計算する。そして、これらの平均値のばらつきや、全体平均値などから外部電極14の傾きが一定の範囲内であるかどうかを判定する(31)。これは、同軸照明光源を用いることにより、音叉素子9が実装不良や異物のかみ込みなどで、傾いて実装された場合、外部電極14からの反射光が全体として一律に低下することを利用したものである。外部電極14を複数設けた場合は、その数で除してさらに平均値を求めるか、あるいは外部電極14の平均値のばらつきなどにより、プローブ17を当接させる外部電極14の領域が傾いているか否かを判定する。そして、一定の傾き以下の場合のみ、良品として次の処理を行い、不良品は取り除く(32)。以上が検出部16で行う処理内容である。
【0019】
そして最後に、検査部18において、上述した良品判定された音叉素子9の外部電極14へ、プローブ17を当接させてその特性の検査を行い(33)、その結果が仕様の範囲内かどうかで良否判定を行い、良品を次の包装などの工程に搬送して終了する(34)。
【0020】
上記の特性検査機と検査方法を用いることにより、特性を検査するためにプローブ17を当接させる外部電極14の表面に異物が存在するか否か、または傾いているか否かを同一の画像情報から容易に判定することができるので、プローブ17の破損を防止して検査の生産性を高めることができる。
【0021】
上記の実施の形態は、角速度センサの一例であるが、加速度センサや抵抗やコンデンサなどのチップ部品など、電極にプローブを当接させてその特性を測定、評価する電子部品に対しても適用可能である。また、本実施の形態では、基台に搬送機構を設けて、検出部と検査部間を搬送した例であるが、検出部側、または検査部側に移動機構を設けても同様の効果が得られるものである。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明に係る特性検査機は、 プローブを当接させる前に、外部電極の状態、すなわち異物の付着の有無や、傾きを検出するための検出部と、その判定結果に基づきプローブを当接させて特性を検査する検査部とを備えているので、プローブを破損させることなく検査を行うことができ、その結果、生産性を高めることができる。
【0023】
また、検出部で異物及び傾きの検出を、同一の画像情報、例えば同軸照明光源の反射光による明度や輝度を利用することで、その分布データから異物の有無を、平均値から傾きを検出することができる。そのため、同じ検出部で複数の判定を行うことができるので、さらに生産性を高めるとともに、レーザ光学系などの高価な部品を必要としないため、検査機を安価にできる効果も同時に奏するので、電子部品の特性を検査するための特性検査機に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】被検査物の一例を説明するための外観斜視図
【図2】同被検査物の、特に内蔵されたセンサ素子の一例を説明するための上面図
【図3】本発明の一実施の形態を説明する特性検査機を説明する要部側面図
【図4】同検査機を用いた検査方法を説明する処理フロー図
【図5】従来の検査機の、特に異物の検出部を説明するための外観斜視図
【符号の説明】
【0025】
7 被検査物
14 外部電極
16 検出部
17 プローブ
18 検査部
19 照明用の光源
20 撮像用カメラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検査物の一面を撮影した画像情報より外部電極を検出する検出部と、前記外部電極にプローブを当接させることで特性を検査する検査部とを有する特性検査機であって、前記検出部で、外部電極内の画像情報から、異物の有無と、傾きとを検出してその良否を判定した後、その良品の外部電極のみに前記検査部のプローブを当接させて検査を行う特性検査機。
【請求項2】
画像情報から、第一の工程では外部電極内の分布を、第二の工程では平均値を求めることで良否の判定を行う請求項1に記載の特性検査機。
【請求項3】
画像情報は、同軸照明光源による輝度または明度である請求項2に記載の特性検査機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−209184(P2008−209184A)
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−45066(P2007−45066)
【出願日】平成19年2月26日(2007.2.26)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】