説明

特殊景品の交換方法

【課題】 遊技場が発行する特殊景品の交換過程を透明化し、安全性を向上させる。
【解決方法】 遊技場において特殊景品を払い出す際に、該特殊景品が備える、データの読み出し、書き込み及び削除が可能な記憶素子から額面金額を含む該特殊景品に固有の情報を読み出すと共に、該記憶素子に該払い出しに固有の情報を含む所定の情報を、暗号化して書き込み、特殊景品交換所が特殊景品の所有者から特殊景品を買い取る際に、暗号解読キーを用いて前記記憶素子に記憶された所定の情報を読み出し、該買取に固有の情報を含む所定の情報を、暗号化して書き込み、特殊景品問屋が特殊景品交換所から特殊景品を買い取る際に、暗号解読キーを用いて前記記憶素子に記憶された所定の情報を読み出し、該買取に固有の情報を含む所定の情報を、暗号化して書き込み、遊技場が特殊景品問屋から特殊景品を買い取る際に、該買取に固有の情報を含む所定の情報を、暗号化して書き込むことを含む特殊景品の交換方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に遊技場等において払いだされる特殊景品の払い出し、買取、交換方法に関するものである。より詳細には、遊技場等において払い出された特殊景品が、特殊景品交換所において買い取られ、さらに当該特殊景品が特殊景品問屋による買取を経由して遊技場等によって買い取られる循環において、不正を防止し、さらには現金の流れを少なくして事故の発生を防止することのできる特殊景品の交換方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
遊技場等としてパチンコ店を例に挙げると、利用者は、まず現金を玉貸し機に投入して遊技用のパチンコ球を借り受ける。当該パチンコ玉を利用してパチンコ台において遊技を行った後に、もしパチンコ球が残っていれば、該残り球を、個数に応じて定められた景品と引き換えることができる。このときに、景品として流通価値のある商品を選択すれば、当該商品を第三者に買い取ってもらうことも可能である。
【0003】
本明細書では、第三者あるいは特定の業者による買取を予定して遊技場から払い出しを受ける景品を特殊景品、利用者から特殊景品を買い取る第三者あるいはその場所を特殊景品交換所と称することにする。一般には、遊技場利用者が残り球等によって遊技場から特殊景品の払い出しを受け、これを特殊景品交換所に持ち込んで買い取ってもらい、現金の払い出しを受けることが行われている。
【0004】
特殊景品交換所によって買い取られた特殊景品は、特殊景品問屋に買い取られ、特殊景品問屋はさらに当該特殊景品を遊技場等に対して販売する。遊技場等は、この特殊景品を買い取って、当該特殊景品との交換を希望する利用者に対して残り球数に応じてこれを払いだす。このようにして、特殊景品は、遊技場等、利用者、特殊景品交換所および特殊景品問屋の間を還流する。
【0005】
上記特殊景品の還流において、特に、特殊景品交換所における特殊景品の買取は現金によって行われている。
【0006】
特許文献1(特開2006−288562号公報)は、遊技場と景品交換所と景品問屋との景品の循環に関する発明であり、カード決済システム技術を前提として、景品問屋端末と、景品交換所端末と、景品交換所端末からの景品問屋宛支払請求分とホール宛支払請求分との相殺処理手段と景品問屋端末と景品交換所端末とからの景品売上情報と信用照会情報とを受信したときの信用照会に係るカード決済の承認可否を審査する決済承認手段等を備えた発明に関するものである。
【0007】
特許文献2(特開2006−263267号公報)は、複数のパチンコ店と景品管理センターを通信回線で結ぶことによって詐欺等が発生しにくい景品交換システムを提供するものである。サーバーは、景品交換のときは、玉数と交換した金量をIDカード配布店の店別金量管理口座から差し引いて、当該IDカードのIDカード別金量管理口座に加える処理を行う。景品売却のときは、売却金量を当該IDカードのIDカード別金量管理口座から差し引く処理を行う。景品売却端末は、サーバーから売却金額を受信して、その額の現金を顧客に支払う処理を行う発明に関するものである。
【0008】
特許文献3(特開2005−185449号公報)は、パチンコ玉の個数を求める計数部と、パチンコ玉と景品情報(千両箱)との交換比率を記録する交換比率記録部と、計数部により求められた個数および交換比率記録部の記録内容に基づき、パチンコ玉に相当する千両箱の個数を決定する景品情報数決定部と、千両箱の個数を外部のICカードに書き込むICカードライタとを備え、ICカードに書き込まれた千両箱の個数に応じて現金支払機から現金の支払いを受けることができる発明を開示したものである。
【0009】
特許文献4(特開2005−27917号公報)は、本店外景品引渡しシステムは、パチンコ店内端末、地域専門店等の店内に設けられた商店内端末、及び景品センター機能を有する統括・管理センターからなり、前記パチンコ店内端末において景品交換の景品選択時、顧客が入力した発注内容と、暗証番号及びパチンコ店IDを発注データとして生成し、該発注データをパチンコ店の秘密鍵で暗号化して前記統括・管理センターに送り、前記統括・管理センターでは、該暗号化された発注データを蓄積し、前記商店内端末において、該暗号化された発注データを景品センターから取得し、パチンコ店の公開鍵で復号化して、前記発注内容を取得し景品交換を行なうように構成した発明を開示したものである。
【0010】
特許文献5(特開2004−180763号公報)は、客の会員カードをゲーム店が発行し、景品サンプルと交換玉数を表示するゲーム店側情報処理装置をゲーム店に設置し、出玉数と交換する商品提供者とゲーム店が特約店契約を結び、商品提供者が有する販売者側情報処理装置及びゲーム店側情報処理装置と運営管理業者の情報処理装置とを通信回線で接続し、客が会員カードをゲーム店側情報処理装置に装填し、会員カードに記録された出玉数の範囲内で運営管理業者の情報処理装置を介してゲーム店側情報処理装置から商品提供者の商品を選定し、会員カードには出玉の残数が記録され、商品提供者は自身の情報処理装置によって運営管理業者の情報処理装置を介して客の選定商品及び配達先を知得して景品の商品を配達し、ゲーム店にその代金請求を行うことができる発明を開示したものである。
【0011】
特許文献6(特開2004−97319号公報)に記載された発明によれば、ホールコード及び金額データが記録された「使用可」の特殊景品は、パチンコホールにおいて顧客に球数に応じて渡される。顧客は、特殊景品を持って景品交換所に行き、ここで換金が行われる。このとき、ホールコードや金額データが消去され、特殊景品は「使用不可」となって景品問屋に回収され、更に景品問屋から管理機関に送られる。管理機関は、持ち込まれた特殊景品のデータを集計してその流通状況を把握するとともに、特殊景品が「使用可」となるようにホールコード及び金額データを書込む。「使用可」となった特殊景品は再び景品問屋に戻り、更にパチンコホールに供給される。
【特許文献1】特開2006−288562号公報
【特許文献2】特開2006−263267号公報
【特許文献3】特開2005−185449号公報
【特許文献4】特開2005−27917号公報
【特許文献5】特開2004−180763号公報
【特許文献6】特開2004−97319号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上述の特許文献1ないし6に記載された技術を含めて、現在知られている技術によれば、ある程度考慮されているものも無いではないが、なお特殊景品の還流における不正防止、還流の適正な把握、安全性の確保等が十分ではない。また、遊技場等においては利用者が残り球を景品と交換し、利用者の手に渡った景品を第三者が買い受けるという流通の構造を維持しながら上述の不正防止等を実現することはできない。
【0013】
本発明は、現状の技術が有する上述のような課題を解決して、特殊景品の還流における不正防止、還流の適正な把握、安全性の確保等を実現し、かつ、遊技場等においては利用者が残り球(パチンコを例にとった場合)を景品と交換し、利用者の手に渡った景品を第三者が買い受けるという流通の構造の原則を維持することのできる特殊景品の交換方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の課題を解決するために、本発明は、遊技場において特殊景品を払い出す際に、該特殊景品が備える、データの読み出し、書き込み及び削除が可能な記憶素子から額面金額を含む該特殊景品に固有の情報を読み出すと共に、該記憶素子に該払い出しに固有の情報を含む所定の情報を、暗号化して書き込み、
特殊景品交換所が特殊景品の所有者から特殊景品を買い取る際に、暗号解読キーを用いて前記記憶素子に記憶された所定の情報を読み出し、該買取に固有の情報を含む所定の情報を、暗号化して書き込み、
特殊景品問屋が特殊景品交換所から特殊景品を買い取る際に、暗号解読キーを用いて前記記憶素子に記憶された所定の情報を読み出し、該買取に固有の情報を含む所定の情報を、暗号化して書き込み、
遊技場が特殊景品問屋から特殊景品を買い取る際に、該買取に固有の情報を含む所定の情報を、暗号化して書き込むことを含む特殊景品の交換方法を提供する。
【0015】
ここで、遊技場とは、パチンコ、スロット、カード、ルーレット等の遊技あるいはゲームを行う場を提供する場所あるいは提供主体を意味しており、以下の説明では便宜上パチンコホールを例に説明することがあるがこれに限定されるものではない。
特殊景品とは、後に換金を目的に利用者が遊技場から払い出しを受ける景品であって、その形態を問わない。したがって、特殊景品の形態は、金地金、乾電池、調味料等であり得る。
特殊景品が備えるとは、特殊景品そのものに一体化した形で設けられている場合と、特殊景品の容器に設けられている場合の両方を含む。
データの読み出し、書き込み及び削除が可能な記憶素子とは、コンピュータによる読み出し等が可能なメモリーデバイス、チップ等であって、外部とは接触型、非接触型の何れであっても良い。
額面金額とは、本発明を実施するに当たって当該特殊景品に対して与えられた金額であって当該景品の市場価値に基づいて算出されたものであっても良いし、市場価値とは別に定めたものであっても良い。また、同一の特殊景品に対して付与される額面金額は流通の過程を通じて不変であってもよいし、変化するものであっても良い。
特殊景品に固有の情報とは、例えば、当該特殊景品に固有に割り振られた識別番号等の符号、当該特殊景品の還流の経過(払い出し、買取等の履歴)等であるがこれらに限定されない。
払い出しに固有の情報とは、例えば、当該払い出しに対して固有に付与された識別符号、払い出しを行った遊技場に固有に与えられた識別符号、払い出しを受けた利用者の識別符号、払い出しの年月日と時刻などであるがこれに限定されない。
暗号化は、秘密キーを用いた方法、公開キーを用いた方法等その方法を問わない。
【0016】
特殊景品交換所とは、前記特殊景品を利用者から買取る場所あるいは買い取り主体を指し、一般的には当該買取主体は遊技場を提供する主体とは事業主体が異なる。
買い取るとは、一般には、特殊景品と貨幣を交換する行為を含むが、ここではこれに限定されず、説く景品交換所が特殊景品を引き取り、これに呼応して利用者に対して貨幣の支払いと等価な処理を行うことを含む。貨幣の支払いと等価な処理とは、遊技場において遊技に使用できるポイントの電磁的な書き込み、より一般的な買い物ができるポイントの書き込み、関連付けられた銀行の特殊口座または一般口座への入金を含むがこれらに限定されない処理である。
特殊景品交換所による買取に固有の情報とは、例えば、当該買取に対して固有に付与された識別符号、買取の年月日と時刻、当該特殊景品交換所に固有に与えられた識別符号等であるがこれらに限定されない。
【0017】
特殊景品問屋とは、特殊景品交換所から特殊景品を買い取って遊技場等に卸売りを行う事業者をいう。
特殊景品問屋による買取に固有の情報とは、例えば、当該買取に対して固有に付与された識別符号、買取の年月日と時刻、当該特殊景品問屋に固有に与えられた識別符号等であるがこれらに限定されない。
【0018】
本発明はさらに、上述の交換方法において、遊技場が特殊景品問屋から特殊景品を買い取った後、前記記憶素子に記載された情報を一旦全て削除することを必須とする交換方法を提案する。
【0019】
本発明はまた、遊技場において特殊景品を払い出す際に、該特殊景品が備える、データの読み出し、書き込み及び削除が可能な記憶素子から額面金額を含む該特殊景品に固有の情報を読み出すと共に、該記憶素子に該払い出しに固有の情報を含む所定の情報を書き込み、さらに、該特殊景品に固有の情報と該払い出しに固有の情報をサーバーに記憶させ、
特殊景品交換所が特殊景品の所有者から特殊景品を買い取る際に、前記記憶素子に記憶された所定の情報を読み出して、データ通信手段を介して前記サーバーに送信して、データが正しいものであってまだ特殊景品交換所による買取が行われたものでないことを確認した後にのみ該特殊景品の買取を行ない、さらに該買取に固有の情報を含む所定の情報を、該特殊景品に書き込むと共にデータ通信手段を介して前記サーバに記憶させることを含む特殊景品の交換方法を提案する。
【0020】
上記の特殊景品の交換方法において、サーバーとはいわゆるコンピュータであればよく、その形式、規模、能力等については限定されない。また、その設置場所、管理主体についても制限がない。1台又は複数のコンピュータから構成されるものであっても良い。
データ通信手段は、必要な装置を接続する専用回線であっても良いし、インターネット、イントラネット、VPN等であってもよい。
データが正しいものであることを確認するとは、特殊景品に備えられた記憶素子から読み出した所定の情報とサーバーに記憶された対応情報とを参照することによって、改変が加えられたものでないことを確認することが中心であるが、それ以外の手順を含むものであっても良い。
【0021】
本発明はさらに、上述の交換方法において、特殊景品問屋が特殊景品交換所から特殊景品を買い取る際に、前記記憶素子に記憶された所定の情報を読み出して、データ通信手段を介して前記サーバーに送信して、データが正しいものであって特殊景品交換所による買取が適正に行われており、まだ特殊景品問屋による買取が行われたものでないことを確認した後にのみ、該特殊景品の買取を行ない、さらに該買取に固有の情報を含む所定の情報を該特殊景品に書き込むと共にデータ通信手段を介して前記サーバに記憶させることを含む交換方法を提供する。
【0022】
本発明はさらに、遊技場において特殊景品の払い出しに代えて、データの読み出し、書き込み及び削除が可能な記憶素子を供えた媒体の該記憶素子から残存金額を含む該媒体に固有の情報を読み出すと共に、該記憶素子に該払い出しに固有の情報を含む所定の情報を、暗号化して書き込み、
特殊景品交換所が前記特殊景品の買取に代えて、暗号解読キーを用いて前記記憶素子に記憶された所定の情報を読み出し、該記憶素子に、払い戻しの額に応じて増額した残存金額と、該処理に固有の情報を含む所定の情報を、暗号化して書き込むことを含む特殊景品の交換方法を提供する。
【0023】
本発明はさらに、遊技場において特殊景品の払い出しに代えて、データの読み出し、書き込み及び削除が可能な記憶素子を供えた媒体の該記憶素子から残存金額を含む該媒体に固有の情報を読み出すと共に、該記憶素子に該払い出しに固有の情報を含む所定の情報を書き込み、さらに、該媒体に固有の情報と該払い出しに固有の情報をサーバーに記憶させ、
特殊景品交換所が前記特殊景品の買取に代えて、前記記憶素子に記憶された所定の情報を読み出し、該情報をデータ通信手段を介して前記サーバーに送信して、データが正しいものであることを確認した後にのみ、払い戻しの額に応じて減額した残存金額と、該処理に固有の情報を含む所定の情報を該記憶素子に書き込むと共にデータ通信手段を介して前記サーバに記憶させることを含む特殊景品の交換方法を提供する。
【0024】
本発明においては、前記媒体は、パチンコ遊技場において特殊景品の払い出しを受けた際の残り球個数を記憶することができ、遊技場の玉貸し機から残り球個数情報の消去と引き換えに、当該残り球の個数に相当する球を借り受けることができる機能を有するものであってもよい。さらに、前記媒体は、クレジットカード、エディカード、デビットカード、キャッシュカードのうちのいずれかの機能を有するものであってもよい。
【発明の効果】
【0025】
請求項1に記載の発明によれば、遊技場において特殊景品を払い出す際に、記憶素子に該払い出しに固有の情報を含む所定の情報を、暗号化して書き込み、特殊景品交換所が特殊景品の所有者から特殊景品を買い取る際に、暗号解読キーを用いて前記記憶素子に記憶された所定の情報を読み出すので、当該暗号化された払い出しに固有の情報を確認することができ、不正に入手あるいは改変された特殊景品の発見が容易になる。さらに、どの特殊景品が実際に換金されたか、あるいは特殊景品交換所毎の換金総額の集計・把握等が容易になる。
また、特殊景品問屋が特殊景品交換所から特殊景品を買い取る際に、暗号解読キーを用いて前記記憶素子に記憶された所定の情報を読み出し、該買取に固有の情報を含む所定の情報を、暗号化して書き込むので、特殊景品交換所による正規の交換を経ていない特殊景品の発見等や、特殊景品問屋による買取総額の集計・把握が容易になる。
さらに、遊技場が特殊景品問屋から特殊景品を買い取る際に、該買取に固有の情報を含む所定の情報を、暗号化して書き込むので、特殊景品に書き込まれた情報から当該特殊景品に係る全ての取引の経過を把握することが可能になる。
【0026】
請求項2に記載の発明によれば、遊技場が特殊景品問屋から特殊景品を買い取った後、前記記憶素子に記載された情報を一旦全て削除するので、特殊景品が遊技場に戻ってきた時点で特殊景品の記憶素子には情報が無い状態になり、記憶素子の記憶容量がオーバーフローすることは無い。
【0027】
請求項3に記載の発明によれば、遊技場において特殊景品を払い出す際に、該特殊景品が備える、データの読み出し、書き込み及び削除が可能な記憶素子から額面金額を含む該特殊景品に固有の情報を読み出すと共に、該記憶素子に該払い出しに固有の情報を含む所定の情報を書き込み、さらに、該特殊景品に固有の情報と該払い出しに固有の情報をサーバーに記憶させるので、特殊景品に記録された情報とサーバーに記憶された情報を照合することによって随時特殊景品及びその還流経路について、その正統性を含めて確認することが可能になる。
また、特殊景品交換所が特殊景品の所有者から特殊景品を買い取る際に、前記記憶素子に記憶された所定の情報を読み出して、データ通信手段を介して前記サーバーに送信して、データが正しいものであってまだ特殊景品交換所による買取が行われたものでないことを確認した後にのみ該特殊景品の買取を行なうので、特殊景品およびその入手の正統性が一層高いレベルで担保される。また、特殊景品交換所の交換の記録を第三者が確認することも可能になる。
さらに、特殊景品交換所による買取に固有の情報を含む所定の情報を、該特殊景品に書き込むと共にデータ通信手段を介して前記サーバに記憶させるので、特殊景品交換所による買取までの全ての経過を追跡すること及びその正統性を確認することが可能になる。
【0028】
請求項4に記載の発明によれば、特殊景品問屋が特殊景品交換所から特殊景品を買い取る際に、前記記憶素子に記憶された所定の情報を読み出して、データ通信手段を介して前記サーバーに送信して、データが正しいものであって特殊景品交換所による買取が適正に行われており、まだ特殊景品問屋による買取が行われたものでないことを確認した後にのみ、該特殊景品の買取を行なうので、特殊景品問屋は、当該特殊景品の正統性が一層高いレベルで担保される。
さらに該買取に固有の情報を含む所定の情報を該特殊景品に書き込むと共にデータ通信手段を介して前記サーバに記憶させるので、特殊景品の還流の経過を特殊景品問屋まで把握することが可能になる。また、特殊景品問屋の買取の記録を第三者が確認することも可能になる。
【0029】
請求項5に記載の発明によれば、遊技場において特殊景品の払い出しに代えて、データの読み出し、書き込み及び削除が可能な記憶素子を供えた媒体の該記憶素子から残存金額を含む該媒体に固有の情報を読み出すと共に、該記憶素子に該払い出しに固有の情報を含む所定の情報を、暗号化して書き込みを行うので、遊技場において利用者に対して現金を払いだすことが無くなり、安全性が向上する。
また、特殊景品交換所が前記特殊景品の買取に代えて、暗号解読キーを用いて前記記憶素子に記憶された所定の情報を読み出し、該記憶素子に、払い戻しの額に応じて減額した残存金額と、該処理に固有の情報を含む所定の情報を、暗号化して書き込むことになるので、特殊景品交換所においても、現金の払い出しが無くなる。したがって、説く景品交換所には、買取のための現金をおく必要がなくなり、安全性は飛躍的に向上する。
【0030】
請求項6に記載の発明によれば、遊技場において特殊景品の払い出しに代えて、データの読み出し、書き込み及び削除が可能な記憶素子を供えた媒体の該記憶素子から残存金額を含む該媒体に固有の情報を読み出すと共に、該記憶素子に該払い出しに固有の情報を含む所定の情報を書き込み、さらに、該媒体に固有の情報と該払い出しに固有の情報をサーバーに記憶させるので、記憶素子に記憶された情報、つまり、現金に相当する情報の信頼性を一層高いレベルで担保することができる。
また、特殊景品交換所が前記特殊景品の買取に代えて、前記記憶素子に記憶された所定の情報を読み出し、該情報をデータ通信手段を介して前記サーバーに送信して、データが正しいものであることを確認した後にのみ、払い戻しの額に応じて増額した残存金額と、該処理に固有の情報を含む所定の情報を該記憶素子に書き込むと共にデータ通信手段を介して前記サーバに記憶させるので、特殊景品交換所においても現金に相当する情報の信頼性を一層高いレベルで担保することができる。
【0031】
請求項7に記載の発明によれば、前記媒体は、パチンコ遊技場において特殊景品の払い出しを受けた際の残り球個数を記憶することができ、遊技場の玉貸し機から残り球個数情報の消去と引き換えに、当該残り球の個数に相当する球を借り受けることができる機能を有するので、原理的にも一旦現金を介することなく、遊技場における残り球を記録に残して、次の貸し球購入に当てることができるので一層簡便である。
【0032】
請求項8に記載の発明によれば、前記媒体は、クレジットカード、エディカード、デビットカード、キャッシュカードのうちのいずれかの機能を有するので、極めて利便性が高い。また、クレジットカード等の信用に基づいて媒体及びその所有者の信用を担保することができる。
【0033】
請求項9に記載の発明によれば、前記サーバは、データの送受信が可能なように相互に接続可能な複数のコンピュータから構成されるので、それぞれのサーバーを必要に応じて別々の場所に設置することもできるので、システム管理の利便性と簡便性が向上する。また、一箇所に設置した場合には、適切な安全対策等を施すことによってシステムの安全性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下に添付の図面を参照して本発明の実施形態を説明する。図面に記載した実施形態は説明のための例示であって、本発明が以下に記載する実施形態に限定されるものではないことは言うまでも無い。
【0035】
図1は、本発明に基づいて、利用者(お客)100、遊技場の一種であるパチンコホール200と、特殊景品交換所(買い場)300と、特殊景品問屋400との間を特殊景品が流通する様子を示した概念図である。
利用者100がパチンコホール200で遊技を行うには、一般的には、まず玉貸し機に現金を投入して遊技用のパチンコ球を借り受ける。後に述べるように、現金の代わりに、現金によって購入した球貸しカード、前回遊技を行ったときの残り球をデータとして保存した遊技カード、記憶媒体に記憶された特殊景品を交換して得たポイントを記録した記憶媒体等を用いることもできる。
【0036】
利用者100がパチンコホール200でパチンコをした後に残り玉があれば、パチンコホールでこれを一般の景品あるいは特殊景品に交換することができる。特殊景品は、ここでは、金地金を挟持したプラスチックカードであって、RFIDを介して比接触で外部とデータの送受信が可能なメモリーチップを内蔵したものである。
【0037】
利用者100が、パチンコホール200に残り球を渡して特殊景品との交換を依頼すると、パチンコホール200は、残り球の個数を数えて、利用者100に残り球の個数に相当する額面金額を有する特殊景品を渡す。その際、利用者は、あわせて自己の識別符号を記録した利用者カードを渡して、パチンコホール200の側にそこに記載された識別符号を読み取らせるようにしても良い。パチンコホール200は、特殊景品のメモリーチップに、パチンコホールの識別符号、利用者の識別符号、特殊景品の払い出し年月日と時刻、その他必要に応じて払い出し担当者の識別符号等を暗号化して書き込む。
【0038】
上記のように金地金を挟持したカードの場合には額面金額はカードに対して固有に付与されており、変更されることは無い。したがって、この場合には、利用者が変換を希望した残り球の個数と特殊景品の額面金額が一致しないときは、複数の特殊景品を併用し、なお残額が有るときは最終的な残り球として利用者のカードに記入するか、返却することになる。しかし、特殊景品金地金のような直接的に額面金額の根拠となる素材を担持しないものであってもよく、その場合には、当該特殊景品に変換した残り球の個数に応じた金額を書き込んで利用者に渡すこともできる。
【0039】
また、上述したパチンコホールの識別符号等、特殊景品のメモリーチップに書き込んだものと同じ情報をサーバー600に送って記録させておけば、以後、特殊景品の正統性確認のために参照することができる。
【0040】
次に、利用者は、特殊景品を受け取って、特殊景品交換所300に持ち込み、この買取を依頼する。特殊景品交換所300は、まずRFIDを介してメモリーチップに書き込まれた情報を読み出して、復号キーを用いてこれを解読して買取を行う。その際、読み出した情報をサーバー600に送って特殊景品とその流通経路の正統性を確認することもできる。買取を行った結果、特殊景品交換所300は、利用者100に対して現金を払いだすこともできるし、メモリーチップに対して払い出し金額に相当する記載を行うこともできる。後者の場合、当該メモリーチップに書き込まれた記載に基づいて、利用者100が次に遊技場200を訪れた際に球貸しを受けることができるし、あるいは一般の商店において買い物ができるようになっていればきわめて利便性が高い。さらに、上記の買取金額を、特殊景品を介して銀行の特殊口座あるいは一般口座に入金できるようになればさらに便利である。さらには、特殊景品交換所300と利用者100が指定する銀行のコンピュータとの間で直接交信を行い、特殊景品交換所300から利用者の銀行口座に対して特設振込みが行われればいっそう便利である。
【0041】
上記いずれの場合であっても、現金の払い出しが直接行われる場合を除いて、現金の受け渡しが無いので安全性が高い。さらに、特殊景品交換所300が現金の払い出し機能を持たないものであれば、同所に現金を備蓄する必要が無いので、特殊景品交換所300自体の安全性をも向上させることができる。
【0042】
特殊景品交換所300は、買取に関する情報、すなわち、特殊景品交換所300の識別符号、買取の年月日と時刻等を特殊景品が備えるメモリーチップに書き込むと共にサーバー600に送ってこれを記録させる。
特殊景品交換所300には、利用者から特殊景品を買い取るたびに交換価値のある特殊景品がたまっていくことになる、仮に第三者がこれを強奪することがあったとしても、当該特殊景品には払い出しと換金の経過が全て記録されているので、第三者が特殊景品問屋に買取を依頼することはできない。特殊景品交換所に設けられた特殊景品買取装置は、交換によって得た特殊景品を正規な方法によって取り出すときに、正規に取り扱われたものである旨の情報を書き込むことになっていれば、強奪等された特殊景品には正規なものである情報が無いために容易に発見することができる。
【0043】
特殊景品交換所300は、特殊景品を特殊景品問屋400に販売する。その際、特殊景品問屋400は、メモリーチップに記録された情報を読み出して当該景品が正統なものであることを確認する。読み出した情報をサーバー600に送って、サーバー600に保存された情報と比較すれば、正当性の確認は一層確実である。
【0044】
特殊景品問屋400は、特殊景品のメモリーチップに買取に関する情報を書き込むと同時に、同情報をサーバーに送信して記録させる。次に、特殊景品問屋400は特殊景品を、遊技場200に販売する。
【0045】
遊技場200では、メモリーチップに特殊景品問屋からの買取情報を書き加えてもよいし、そのさいまずメモリーチップに記載された情報を全て消去しても良い。このようにして、安全、確実に特殊景品の払い出しと買取が行われる。また、それぞれの払い出しと交換は、特殊景品のメモリーチップあるいはサーバー上に残されるので、払い出しあるいは交換手続きにおける不正を防止することもできる。
【0046】
以上は具体例に基づいて本発明の大要を説明したものであるが、本発明は上記の具体例に限定されるものではなく、本発明の範囲は特許請求の範囲の記載に基づくものであることは言うまでも無い。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の実施態様を示した概念図
【符号の説明】
【0048】
100 利用者(お客)
200 遊技場
300 特殊景品交換所
400 特殊景品問屋
600 サーバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技場において特殊景品を払い出す際に、該特殊景品が備える、データの読み出し、書き込み及び削除が可能な記憶素子から額面金額を含む該特殊景品に固有の情報を読み出すと共に、該記憶素子に該払い出しに固有の情報を含む所定の情報を、暗号化して書き込み、
特殊景品交換所が特殊景品の所有者から特殊景品を買い取る際に、暗号解読キーを用いて前記記憶素子に記憶された所定の情報を読み出し、該買取に固有の情報を含む所定の情報を、暗号化して書き込み、
特殊景品問屋が特殊景品交換所から特殊景品を買い取る際に、暗号解読キーを用いて前記記憶素子に記憶された所定の情報を読み出し、該買取に固有の情報を含む所定の情報を、暗号化して書き込み、
遊技場が特殊景品問屋から特殊景品を買い取る際に、該買取に固有の情報を含む所定の情報を、暗号化して書き込むことを含む特殊景品の交換方法。
【請求項2】
遊技場が特殊景品問屋から特殊景品を買い取った後、前記記憶素子に記載された情報を一旦全て削除する請求項1に記載の交換方法。
【請求項3】
遊技場において特殊景品を払い出す際に、該特殊景品が備える、データの読み出し、書き込み及び削除が可能な記憶素子から額面金額を含む該特殊景品に固有の情報を読み出すと共に、該記憶素子に該払い出しに固有の情報を含む所定の情報を書き込み、さらに、該特殊景品に固有の情報と該払い出しに固有の情報をサーバーに記憶させ、
特殊景品交換所が特殊景品の所有者から特殊景品を買い取る際に、前記記憶素子に記憶された所定の情報を読み出して、データ通信手段を介して前記サーバーに送信して、データが正しいものであってまだ特殊景品交換所による買取が行われたものでないことを確認した後にのみ該特殊景品の買取を行ない、さらに該買取に固有の情報を含む所定の情報を、該特殊景品に書き込むと共にデータ通信手段を介して前記サーバに記憶させることを含む特殊景品の交換方法。
【請求項4】
特殊景品問屋が特殊景品交換所から特殊景品を買い取る際に、前記記憶素子に記憶された所定の情報を読み出して、データ通信手段を介して前記サーバーに送信して、データが正しいものであって特殊景品交換所による買取が適正に行われており、まだ特殊景品問屋による買取が行われたものでないことを確認した後にのみ、該特殊景品の買取を行ない、さらに該買取に固有の情報を含む所定の情報を該特殊景品に書き込むと共にデータ通信手段を介して前記サーバに記憶させることを含む請求項2に記載の特殊景品の交換方法。
【請求項5】
遊技場において特殊景品の払い出しに代えて、データの読み出し、書き込み及び削除が可能な記憶素子を供えた媒体の該記憶素子から残存金額を含む該媒体に固有の情報を読み出すと共に、該記憶素子に該払い出しに固有の情報を含む所定の情報を、暗号化して書き込み、
特殊景品交換所が前記特殊景品の買取に代えて、暗号解読キーを用いて前記記憶素子に記憶された所定の情報を読み出し、該記憶素子に、払い戻しの額に応じて減額した残存金額と、該処理に固有の情報を含む所定の情報を、暗号化して書き込むことを含む特殊景品の交換方法。
【請求項6】
遊技場において特殊景品の払い出しに代えて、データの読み出し、書き込み及び削除が可能な記憶素子を供えた媒体の該記憶素子から残存金額を含む該媒体に固有の情報を読み出すと共に、該記憶素子に該払い出しに固有の情報を含む所定の情報を書き込み、さらに、該媒体に固有の情報と該払い出しに固有の情報をサーバーに記憶させ、
特殊景品交換所が前記特殊景品の買取に代えて、前記記憶素子に記憶された所定の情報を読み出し、該情報をデータ通信手段を介して前記サーバーに送信して、データが正しいものであることを確認した後にのみ、払い戻しの額に応じて増額した残存金額と、該処理に固有の情報を含む所定の情報を該記憶素子に書き込むと共にデータ通信手段を介して前記サーバに記憶させることを含む特殊景品の交換方法。
【請求項7】
前記媒体は、パチンコ遊技場において特殊景品の払い出しを受けた際の残り球個数を記憶することができ、遊技場の玉貸し機から残り球個数情報の消去と引き換えに、当該残り球の個数に相当する球を借り受けることができる機能を有する請求項5又は6に記載の特殊景品の交換方法。
【請求項8】
前記媒体は、クレジットカード、エディカード、デビットカード、キャッシュカードのうちのいずれかの機能を有する請求項5又は6に記載の特殊景品の交換方法。
【請求項9】
前記サーバは、データの送受信が可能なように相互に接続可能な複数のコンピュータから構成される請求項3、4または6のいずれかに記載の特殊景品の交換方法。

【図1】
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【公開番号】特開2008−301922(P2008−301922A)
【公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−150011(P2007−150011)
【出願日】平成19年6月6日(2007.6.6)
【出願人】(505472562)アド・トラスト株式会社 (5)
【Fターム(参考)】