説明

牽引用台車

【課題】子台車の移動によってスロープ板を回動させることができ、使い勝手を向上させることができる牽引用台車を提供すること。
【解決手段】牽引用台車1は、子台車5を積載し、牽引車に牽引されてフロアーを移動する。牽引用台車1には、その底部11上に、子台車5が乗車する台車積載部2が形成されている。台車積載部2には、子台車5の車輪51をガイドする車輪ガイド22と、車輪ガイド22にガイドされて積載された子台車5の位置を固定するストッパー3とが設けられている。台車積載部2の入口部21には、回動支点部41を中心にして回動可能であるとともに付勢部材42によってフロアーから浮上する原位置401に付勢されたスロープ板4が設けられている。スロープ板4は、子台車5の車輪51によって踏まれて、フロアーと台車積載部2との橋渡しをするスロープ位置402に回動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、子台車を積載し、牽引車に牽引されてフロアーを移動する牽引用台車に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の製造工場においては、加工を行う種々の部品を台車に積載して運搬することが行われている。また、台車を牽引用台車とし、人が搭乗する牽引車等によって、種々の部品が積載された牽引用台車を牽引することが行われている。
また、種々の部品の搬送及び積み降ろしを容易にするために、部品を積載する子台車をさらに別の親台車の上に積載し、親台車の移動によって、部品が積載された子台車を移動させることが行われている。
【0003】
例えば、特許文献1においては、搬入先に移動して渡し板を架け渡す親台車と、親台車に載って移動し、渡し板の上を通って搬入先に移動する子台車とを備えた親子台車について開示されている。子台車は、搬入先から親台車への載せ込みに伴い、親台車の係止部に係止されるストッパを有している。
この親子台車によれば、親台車が走行するフロアーと、子台車が走行するフロアーとの間に段差がある場合でも、親台車に子台車を載せ込むことにより、段差による運搬のしにくさを解消している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−6802号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、子台車も親台車と同様に、工場等における同じフロアーを移動させる場合には、親台車への子台車の乗り上げを行う際には、更なる工夫が必要になる。
具体的には、親台車への子台車の円滑な乗り上げを行うためには、親台車とフロアーとの間にスロープを配置することが考えられる。しかし、親台車が移動する際には、フロアーにスロープが接触しないように、手動又は電動によってスロープを移動させなければならない。そのため、親台車の使い勝手が悪くなってしまう。
【0006】
本発明は、かかる背景に鑑みてなされたもので、子台車の移動によってスロープ板を回動させることができ、使い勝手を向上させることができる牽引用台車を提供しようとして得られたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、子台車を積載し、牽引車に牽引されてフロアーを移動する牽引用台車であって、
該牽引用台車には、その底部上に、上記子台車が乗車する台車積載部が形成されており、
該台車積載部には、上記子台車の車輪をガイドする車輪ガイドと、該車輪ガイドにガイドされて積載された上記子台車の位置を固定するストッパーとが設けられており、
上記台車積載部の入口部には、回動支点部を中心にして回動可能であるとともに付勢部材によってフロアーから浮上する原位置に付勢されたスロープ板が設けられており、
該スロープ板は、上記子台車の車輪によって踏まれて、フロアーと上記台車積載部との橋渡しをするスロープ位置に回動するよう構成されていることを特徴とする牽引用台車にある(請求項1)。
【発明の効果】
【0008】
上記牽引用台車は、子台車を積載するよう構成されており、子台車が乗車する台車積載部の入口部に工夫を行っている。
牽引用台車の台車積載部の入口部には、回動支点部を中心にして回動可能であるとともに付勢部材によってフロアーから浮上する原位置に付勢されたスロープ板が設けられている。スロープ板は、通常は原位置にあり、フロアーから浮上する位置に付勢されている。そのため、牽引用台車が、牽引車に牽引されてフロアーを移動する際には、スロープ板がフロアーに接触してしまうことを防止することができる。
【0009】
牽引用台車に、種々の部品等が積載された子台車を積載するときには、子台車を台車積載部の入口部へ移動させる。このとき、子台車の車輪がスロープ板に接触し、スロープ板は、子台車の車輪によって踏まれて原位置からスロープ位置へ回動する。これにより、スロープ板によってフロアーと台車積載部との橋渡しを行うことができ、牽引用台車への子台車の乗車を円滑に行うことができる。
また、子台車を台車積載部から降ろすときには、子台車の車輪がスロープ板を踏むことによって、スロープ板が原位置からスロープ位置へ回動する。これによっても、スロープ板によってフロアーと台車積載部との橋渡しを行うことができ、牽引用台車から子台車の降車を円滑に行うことができる。
なお、子台車の車輪がスロープ板から外れたときには、スロープ板は、付勢部材の付勢力によってスロープ位置から原位置へ復帰する。
【0010】
このように、子台車を移動させる力を利用して、スロープ板を原位置からスロープ位置へ極めて簡単に回動させることができる。そのため、牽引用台車における子台車の乗り降りを行う際に、作業者がスロープ板を直接回動させる必要がない。
また、子台車の台車積載部への乗車は、車輪ガイドによって子台車の車輪をガイドして行うことができる。そして、牽引車によって牽引して、子台車が積載された牽引用台車を移動させる際には、子台車はストッパーによって台車積載部に固定しておくことができる。
【0011】
それ故、上記牽引用台車によれば、子台車の移動によってスロープ板を回動させることができ、その使い勝手を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施例にかかる、子台車を積載した牽引用台車を示す斜視図。
【図2】実施例にかかる、子台車を積載した牽引用台車を示す平面図。
【図3】実施例にかかる、子台車を積載した牽引用台車を、図2のA方向から見た状態で示す側面図。
【図4】実施例にかかる、子台車を積載した牽引用台車を、図2のB方向から見た状態で示す側面図。
【図5】実施例にかかる、牽引用台車に乗り降りする子台車を、図2のB方向から見た状態で示す側面図。
【図6】実施例にかかる、図5におけるスロープ板の周辺を拡大して示す側面図。
【図7】実施例にかかる、ストッパーのストッパー本体部がガイドプレートに当接する状態を断面で示す側面図。
【図8】実施例にかかる、ストッパーのストッパー本体部がガイドプレートに押されて下降した状態を断面で示す側面図。
【図9】実施例にかかる、ストッパーのストッパー本体部が位置固定穴部に挿入された状態を断面で示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
上述した牽引用台車における好ましい実施の形態につき説明する。
上記牽引用台車においては、上記ストッパーは、昇降ガイド部と、該昇降ガイド部に対して昇降可能に配置され、付勢部材によって上昇方向に付勢されたストッパー本体部と、該ストッパー本体部の側方に突出し、作業者に踏み込まれて該ストッパー本体部を下降させる踏板部とを有しており、上記子台車には、上記ストッパー本体部の上端部に当接して該ストッパー本体部を下降させるためのガイドプレートと、該ガイドプレートによって下降された上記ストッパー本体部が上記弾性部材によって上昇して挿入される位置固定穴部とが設けられていてもよい(請求項2)。
【0014】
この場合には、作業者が子台車を牽引用台車の台車積載部に乗車させるときには、子台車におけるガイドプレートが牽引用台車におけるストッパー本体部の上端部に当接する。このとき、ストッパー本体部が、付勢部材を弾性変形させながら昇降ガイド部に対して下降する。そして、子台車が台車積載部をさらに移動すると、ストッパー本体部が、ガイドプレートから外れて付勢部材による付勢力によって上昇し、位置固定穴部に挿入される。こうして、子台車を牽引用台車における台車積載部に固定し、子台車を積載した牽引用台車を牽引車によって牽引することができる。
【0015】
一方、子台車を牽引用台車の台車積載部から降車させるときには、作業者は、ストッパー本体部における踏板部を踏み込んで、ストッパー本体部を昇降ガイド部に対して下降させる。このとき、ストッパー本体部が位置固定穴部から抜き出され、子台車を台車積載部から移動させて、台車積載部から降車させることができる。
【0016】
また、上記車輪ガイドは、上記子台車の車輪が入る間隔で上記底部から互いに平行に立設され、上記子台車の上記牽引方向における位置を決定する一対のガイドバーによる一方側ガイド部と、該一方側ガイド部における一対のガイドバーの立設間隔よりも広い間隔で、上記底部から互いに平行に立設された一対のガイドバーによる他方側ガイド部とを、上記左右方向に沿って互いに平行に配設して、車輪間の幅の異なる複数種類の上記子台車を積載するよう構成されていてもよい(請求項3)。
この場合には、牽引用台車に、車輪間の幅の異なる複数種類の子台車を積載することができ、牽引用台車の汎用性を向上させることができる。
【0017】
また、上記台車積載部は、上記牽引用台車の牽引方向に直交する左右方向の両側に、上記スロープ板を設けた入口部をそれぞれ有しており、かつ、上記左右方向の両側のいずれからも、上記子台車の乗り降りと上記ストッパーによる上記子台車の固定とを可能にしてもよい(請求項4)。
この場合には、牽引用台車に対して、子台車を左右方向のいずれからも乗り降りさせることができ、牽引用台車の使い勝手をより向上させることができる。
【実施例】
【0018】
以下に、牽引用台車の実施例につき、図面を参照して説明する。
本例の牽引用台車1は、図1、図3に示すごとく、子台車5を積載し、牽引車6に牽引されてフロアーFLを移動するものである。図2〜図4に示すごとく、牽引用台車1には、その底部11上に、子台車5が乗車する台車積載部2が形成されている。台車積載部2には、子台車5の車輪51をガイドする車輪ガイド22と、車輪ガイド22にガイドされて積載された子台車5の位置を固定するストッパー3とが設けられている。台車積載部2の入口部21には、回動支点部41を中心にして回動可能であるとともに付勢部材42によってフロアーFLから浮上する原位置401に付勢されたスロープ板4が設けられている。スロープ板4は、図5に示すごとく、子台車5の車輪51によって踏まれて、フロアーFLと台車積載部2との橋渡しをするスロープ位置402に回動するよう構成されている。
【0019】
以下に、本例の牽引用台車1につき、図1〜図9を参照して詳説する。
本例の牽引用台車1は、駆動源、及び電気的に動作する部品を有しておらず、機械的構成部品によって極めて簡単に形成されている。牽引車6は、電動カート等から構成することができる。
図1〜図4は、いずれも子台車5を積載した牽引用台車1を示す。図1は、斜視図であり、図2は、平面図であり、図3は、図2のA方向から見た側面図であり、図4は、図2のB方向から見た側面図である。図5は、牽引用台車1に乗り降りする子台車5をB方向から見た側面図であり、図6は、図5におけるスロープ板4の周辺を拡大して示す側面図である。
【0020】
図1〜図3に示すごとく、牽引用台車1における台車積載部2は、フロアー(工場の床面)FLにできるだけ近くなるようにしている。牽引用台車1は、牽引方向Lの前後に位置する端部に、牽引方向Lに直交する左右方向Wに平行な一対のフレーム部12を有し、このフレーム部12から下がった底部11の位置に、台車積載部2を有している。各フレーム部12の底面には、キャスターによる車輪13が、左右方向Wの両端部に設けられている。
【0021】
図2〜図4に示すごとく、牽引用台車1における車輪13は、一対のフレーム部12の底面における各角部に配置された4つの外側車輪131と、4つの外側車輪131の配置位置よりも左右方向Wの中心側に配置された2つの内側車輪132とからなる。4つの外側車輪131は、上下方向の回りに回動して、自由に向きが変えられるものであり、2つの内側車輪132は、上下方向の回りに回動せず、向きが固定されたものである。この構成により、牽引用台車1を走行させる際の直進性及び旋回性の両者を向上させることができる。
【0022】
内側車輪132は、牽引方向Lにおける同じ位置に、左右方向Wに並んで一対に配置されている。内側車輪132は、外側車輪131よりも低い位置に取り付けるために、外側車輪131よりも直径が小さくなっている。
本例の4つの外側車輪131は、2つの内側車輪132よりも高い位置に取り付けられている。そして、2つの内側車輪132がフロアーFLに常時接触しているのに対し、4つの外側車輪131は、フロアーFLに接触するときとフロアーFLから離れるときとがある。この構成により、牽引車6によって牽引用台車1を牽引する際に、2つの外側車輪131と2つの内側車輪132とがフロアーFLに接触し、牽引用台車1の走行性を向上させることができる。
【0023】
図2、図3に示すごとく、牽引用台車1の牽引方向Lの前端部には、牽引用バー16が設けられている。また、牽引用台車1の牽引方向Lの後端部には、後方に連結する他の牽引用台車1の牽引用バー16を連結することができる牽引連結部17が設けられている。牽引用バー16と牽引連結部17とは、上下方向に配置する連結ピンによって連結され、左右方向Wに姿勢を振ることができる状態で連結される。牽引車6の後端部には、牽引用バー16を連結することができる牽引連結部61が形成されている。
牽引用台車1は、牽引用バー16と牽引連結部17との連結によって、複数台が連なって牽引車6によって牽引されるよう構成されている。
【0024】
図2に示すごとく、牽引用台車1の台車積載部2において、車輪ガイド22は、牽引方向Lの一方側(本例では後端側)において左右方向Wに平行に形成された一方側ガイド部22Aと、牽引方向Lの他方側(本例では前端側)において左右方向Wに平行に形成された他方側ガイド部22Bとによって形成されている。
一方側ガイド部22Aは、子台車5の車輪51が入る間隔で底部11から互いに平行に立設された一対のガイドバー221によって形成されている。一方側ガイド部22Aにおける一対のガイドバー221の間に車輪51が入った子台車5は、牽引方向Lにほとんど位置ずれができなくなる。これにより、子台車5の牽引方向Lにおける位置が決定される。
【0025】
他方側ガイド部22Bは、一方側ガイド部22Aにおける一対のガイドバー221の立設間隔よりも広い間隔で、底部11から互いに平行に立設された一対のガイドバー221によって形成されている。
台車積載部2に乗車される子台車5は、その一方側端部に配置された2つの車輪51を一方側ガイド部22Aの一対のガイドバー221の間に配置し、一方側ガイド部22Aを牽引方向Lの位置の基準として、台車積載部2に乗車される。
他方側ガイド部22Bにおける一対のガイドバー221の立設間隔が広いことにより、車輪51間の幅の異なる複数種類の子台車5を、台車積載部2に乗車させることができる。
【0026】
図2に示すごとく、台車積載部2は、牽引用台車1の牽引方向Lに直交する左右方向Wの両側に、スロープ板4を設けた入口部21をそれぞれ有している。
スロープ板4は、台車積載部2の左右方向Wの端部(各ガイド部22A,22Bの左右方向Wの端部)に、回動支点部41を介して連結されている。本例の回動支点部41は、複数の蝶番を用いて形成されている。
スロープ板4の上には、各ガイド部22A,22Bの各ガイドバー221の左右方向Wの延長位置に配置される延設ガイド43が設けられている。一方側ガイド部22Aにおける一対のガイドバー221の左右方向Wの延長位置に配置される延設ガイド43は、子台車5の車輪51を一方側ガイド部22Aへ適切に案内するために、牽引方向Lの両側に開く状態で傾斜して設けられている。
【0027】
図1に示すごとく、スロープ板4を付勢する付勢部材42は、引張バネ42によって構成されている。引張バネ42は、スロープ板4の両端部と、各フレーム部12の両端部とに掛け渡して複数設けられている。図4に示すごとく、スロープ板4は、一対の引張バネ42による引張力を受けて、台車積載部2における各ガイド部22A,22Bの底部11に略平行になった状態で原位置401に維持される。
図5、図6に示すごとく、スロープ板4は、子台車5の車輪51によって踏まれるときには、回動支点部41の回りに回動して、先端部をフロアーFLに付けて、スロープ位置402になる。
【0028】
図2に示すごとく、子台車5は、スロープ板4を踏み込むことにより、牽引用台車1の左右方向Wの両側のいずれからも、乗り降りが可能である。本例の台車積載部2に設けられたストッパー3は、牽引用台車1の左右方向Wのいずれから乗車する子台車5も台車積載部2に固定するよう、左右方向Wに一対に形成されている。
【0029】
図7〜図9は、子台車5におけるガイドプレート52及び位置固定穴部53に係合するストッパー3を断面で示す側面図である。図7は、ストッパー本体部32がガイドプレート52に当接する状態、図8は、ストッパー本体部32がガイドプレート52に押されて下降した状態、図9は、ストッパー本体部32が位置固定穴部53に挿入された状態をそれぞれ示す。
図7〜図9に示すごとく、各ストッパー3は、昇降ガイド部31と、昇降ガイド部31に対して昇降可能に配置され、付勢部材としての圧縮バネ33によって上昇方向に付勢されたストッパー本体部32と、ストッパー本体部32の側方に突出し、作業者に踏み込まれてストッパー本体部32を下降させる踏板部321とを有している。
【0030】
図1、図5に示すごとく、子台車5には、ストッパー本体部32の上端部に当接してストッパー本体部32を下降させるためのガイドプレート52と、ガイドプレート52によって下降されたストッパー本体部32が圧縮バネ33によって上昇して挿入される位置固定穴部53とが設けられている。
子台車5において、ガイドプレート52は、台車積載部2に乗り降りする側の端部から、中心側に向けて上昇する傾斜角度で設けられている。位置固定穴部53は、ガイドプレート52が最も低くなった端部のさらに外側に設けられている。位置固定穴部53は、ストッパー本体部32の上端部をガイドするよう、上方に行くほど内側に絞られる枠体によって形成されている。本例の位置固定穴部53は、台車積載部2の左右方向Wの両側から子台車5を乗り降りさせることができるように、2箇所に形成されている。
ストッパー本体部32の上端部は、ガイドプレート52と接触するために左右方向Wに山の高さが変化する曲面状に形成されている。踏板部321は、ストッパー本体部32から左右方向Wの外側に突出して形成されている。
【0031】
上記のごとく、牽引用台車1の台車積載部2の入口部21には、回動支点部41を中心にして回動可能であるとともに引張バネ42によってフロアーFLから浮上する原位置401に付勢されたスロープ板4が設けられている。スロープ板4は、通常は原位置401にあり、フロアーFLから浮上する位置に付勢されている。そのため、牽引用台車1が、牽引車6に牽引されてフロアーFLを移動する際には、スロープ板4がフロアーFLに接触してしまうことを防止することができる。
【0032】
図5、図6に示すごとく、牽引用台車1に、種々の部品等が積載された子台車5を積載するときには、子台車5を台車積載部2の入口部21へ移動させる。このとき、子台車5の車輪51がスロープ板4に接触し、スロープ板4は、子台車5の車輪51によって踏まれて原位置401からスロープ位置402へ回動する。これにより、スロープ板4が、牽引用台車1の台車積載部2の端部からフロアーFLまで下降傾斜して配置される。そして、スロープ板4によってフロアーFLと台車積載部2との橋渡しを行うことができ、牽引用台車1への子台車5の乗車を円滑に行うことができる。
【0033】
また、作業者が子台車5を牽引用台車1の台車積載部2上を所定位置まで移動させると、図7に示すごとく、子台車5におけるガイドプレート52が牽引用台車1におけるストッパー本体部32の上端部に当接する。このとき、図8に示すごとく、ストッパー本体部32が、圧縮バネ33を弾性変形させながら昇降ガイド部31に対して下降する。そして、図9に示すごとく、子台車5が台車積載部2をさらに移動すると、ストッパー本体部32が、ガイドプレート52から外れて圧縮バネ33による付勢力によって上昇し、位置固定穴部53内に挿入される。こうして、牽引車6によって牽引して、子台車5が積載された牽引用台車1を移動させる際には、子台車5はストッパー3によって台車積載部2に固定しておくことができる。
【0034】
一方、子台車5を牽引用台車1の台車積載部2から降車させるときには、作業者は、ストッパー本体部32における踏板部321を踏み込んで、ストッパー本体部32を昇降ガイド部31に対して下降させる。このとき、ストッパー本体部32が位置固定穴部53から抜き出され、子台車5を台車積載部2から移動させることが可能になる。
そして、子台車5の車輪51がスロープ板4を踏むことによって、スロープ板4が原位置401からスロープ位置402へ回動する。これによっても、スロープ板4によってフロアーFLと台車積載部2との橋渡しを行うことができ、牽引用台車1から子台車5の降車を円滑に行うことができる。
なお、子台車5の車輪51がスロープ板4から外れたときには、スロープ板4は、引張バネ42の付勢力によってスロープ位置402から原位置401へ復帰する。
【0035】
このように、本例の牽引用台車1においては、子台車5を移動させる力を利用して、スロープ板4を原位置401からスロープ位置402へ極めて簡単に回動させることができる。そのため、牽引用台車1における子台車5の乗り降りを行う際に、作業者がスロープ板4を直接回動させる必要がない。
また、子台車5の台車積載部2への乗車は、車輪ガイド22によって子台車5の車輪51をガイドして行うことができる。
【0036】
それ故、上記牽引用台車1によれば、子台車5の移動によってスロープ板4を回動させることができ、その使い勝手を向上させることができる。
【符号の説明】
【0037】
1 牽引用台車
11 底部
2 台車積載部
21 入口部
22 車輪ガイド
3 ストッパー
31 昇降ガイド部
32 ストッパー本体部
321 踏板部
33 圧縮バネ
4 スロープ板
401 原位置
402 スロープ位置
41 回動支点部
42 付勢部材(引張バネ)
5 子台車
51 車輪
52 ガイドプレート
53 位置固定穴部
6 牽引車

【特許請求の範囲】
【請求項1】
子台車を積載し、牽引車に牽引されてフロアーを移動する牽引用台車であって、
該牽引用台車には、その底部上に、上記子台車が乗車する台車積載部が形成されており、
該台車積載部には、上記子台車の車輪をガイドする車輪ガイドと、該車輪ガイドにガイドされて積載された上記子台車の位置を固定するストッパーとが設けられており、
上記台車積載部の入口部には、回動支点部を中心にして回動可能であるとともに付勢部材によってフロアーから浮上する原位置に付勢されたスロープ板が設けられており、
該スロープ板は、上記子台車の車輪によって踏まれて、フロアーと上記台車積載部との橋渡しをするスロープ位置に回動するよう構成されていることを特徴とする牽引用台車。
【請求項2】
請求項1に記載の牽引用台車において、上記ストッパーは、昇降ガイド部と、該昇降ガイド部に対して昇降可能に配置され、付勢部材によって上昇方向に付勢されたストッパー本体部と、該ストッパー本体部の側方に突出し、作業者に踏み込まれて該ストッパー本体部を下降させる踏板部とを有しており、
上記子台車には、上記ストッパー本体部の上端部に当接して該ストッパー本体部を下降させるためのガイドプレートと、該ガイドプレートによって下降された上記ストッパー本体部が上昇して挿入される位置固定穴部とが設けられていることを特徴とする牽引用台車。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の牽引用台車において、上記車輪ガイドは、上記子台車の車輪が入る間隔で上記底部から互いに平行に立設され、上記子台車の上記牽引方向における位置を決定する一対のガイドバーによる一方側ガイド部と、該一方側ガイド部における一対のガイドバーの立設間隔よりも広い間隔で、上記底部から互いに平行に立設された一対のガイドバーによる他方側ガイド部とを、上記左右方向に沿って互いに平行に配設して、車輪間の幅の異なる複数種類の上記子台車を積載するよう構成されていることを特徴とする牽引用台車。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の牽引用台車において、上記台車積載部は、上記牽引用台車の牽引方向に直交する左右方向の両側に、上記スロープ板を設けた入口部をそれぞれ有しており、かつ、上記左右方向の両側のいずれからも、上記子台車の乗り降りと上記ストッパーによる上記子台車の固定とが可能であることを特徴とする牽引用台車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−43477(P2013−43477A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−180782(P2011−180782)
【出願日】平成23年8月22日(2011.8.22)
【出願人】(000142115)株式会社協豊製作所 (26)
【Fターム(参考)】