説明

状態表示装置及び状態表示方法

【課題】異常状態が発生してから確認操作を得ないまま正常状態への復帰や再度の異常状態の発生が何回あったとしても、それまでの異常状態の発生回数を監視者が迅速かつ確実に知ることのできる状態表示装置及び状態表示方法を提供する。
【解決手段】状態表示装置及び状態表示方法は、監視信号の測定値が正常状態であるか異常状態であるかを予め設定された設定値に基づいて判別し、正常状態と判別されたときに第1の表示、該異常状態と判別されたときに第2の表示、及び異常状態のときに監視者によって操作されて確認操作を得ると第3の表示を状態識別表示22として画面に表示し、さらに、確認操作が得られるまでに発生する異常状態の回数を、異常発生回数として計測し、異常状態のときに確認操作を得ないまま正常状態に復帰したときから、異常発生回数を表す数字表示23を状態識別表示22と共に画面に表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、監視信号が正常状態か異常状態かを画面に表示し、異常状態のときに確認操作を得ると表示を変える状態表示装置及び状態表示方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
生産設備、発電設備、水流管理設備、温度管理設備や検査設備などの各種設備の作動状態やその環境状態を、監視室で監視することが行われている。このような監視室には、設備等の状態を画面に表示する状態表示装置が設置されている。監視者は、その画面を確認することで設備等を監視する。
【0003】
状態表示装置には、設備の各部の電圧値、電流値、電力値及び温度値や、設備及び部品の故障検出信号や、周囲温度値、周囲湿度値、結露の有無などを表す様々な監視信号が接続されていて、状態表示装置は、この監視信号を予め設定された設定値に基づいて監視信号が正常状態であるか異常状態であるかを判別し、その結果を画面に表示する。このような状態表示装置として、特許文献1にアラーム表示装置が開示されている。
【0004】
特許文献1に開示されたアラーム表示装置では、画面に表示される丸型の第1の表示手段と、それを同心円状に取り巻く第2の表示手段とを有していて、第1の表示手段は、正常状態で緑色、異常状態で赤色を表示する。又、第2の表示手段は、一度異常状態になると黄色の点滅を表示し続け、マウスで確認操作を行うと消灯する。これにより、異常が発生してから確認操作が無いまま正常状態に復帰したときに、監視者がその異常の発生を見逃したとしても、第2の表示手段の黄色点滅が続くので、異常の発生の確認漏れを防ぐことができる。
【0005】
ところが、このアラーム表示装置には、異常状態になってから正常状態に復帰し、その後さらに異常状態になったときやこれを繰り返したときには、第2の表示手段は黄色点滅するものの、それまでに異常状態が1回だけ発生したのか複数回発生したのかを確認できないという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3572604号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は前記の課題を解決するためになされたもので、異常状態が発生してから確認操作を得ないまま正常状態への復帰や再度の異常状態の発生が何回あったとしても、それまでの異常状態の発生回数を監視者が迅速かつ確実に知ることのできる状態表示装置及び状態表示方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の目的を達成するためになされた、特許請求の範囲の請求項1に記載された状態表示装置は、監視信号の値が正常状態であるか異常状態であるかを予め設定された設定値に基づいて判別する判別手段と、監視者によって操作されて確認操作を得るための確認入力手段と、該判別手段によって該正常状態と判別されたときに第1の表示、該判別手段によって該異常状態と判別されたときに第2の表示、及び該異常状態と判別されたときに該入力手段から該確認操作を得ると第3の表示を、状態識別表示として画面に表示する表示制御手段と、該確認操作が得られるまでに発生する該異常状態の回数を、異常発生回数として計測する回数計測手段と、該表示制御手段は、該異常状態のときに該確認入力手段から該確認操作を得ないまま該正常状態に復帰したときから、該回数計測手段によって計測された該異常発生回数を表す数字表示を該状態識別表示と共に該画面に表示することを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載された状態表示装置は、請求項1に記載されたものであり、前記表示制御手段が前記状態識別表示と共に前記数字表示を前記画面に表示した状態で、前記表示制御手段は、前記入力手段から前記確認操作を得たときに該数字表示を該画面から消すことを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載された状態表示装置は、請求項1に記載されたものであり、前記表示制御手段は、前記状態識別表示に前記数字表示を重ねて前記画面に表示することを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載された状態表示装置は、請求項1に記載されたものであり、前記表示制御手段は、前記第1の表示として第1の色を付した表示、前記第2の表示として第2の色を付した表示、及び前記第3の表示として第3の色を付した表示を前記画面に表示することを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載された状態表示方法は、監視信号の測定値が正常状態であるか異常状態であるかを予め設定された設定値に基づいて判別し、該正常状態と判別されたときに第1の表示、該異常状態と判別されたときに第2の表示、及び該異常状態のときに監視者によって操作されて確認操作を得ると第3の表示を状態識別表示として画面に表示し、さらに、該確認操作が得られるまでに発生する該異常状態の回数を、異常発生回数として計測し、該異常状態のときに該確認操作を得ないまま該正常状態に復帰したときから、該異常発生回数を表す数字表示を該状態識別表示と共に該画面に表示することを特徴とする。
【0013】
請求項6に記載された状態表示方法は、請求項5に記載されたものであり、前記状態識別表示と共に前記数字表示が表示された状態で、前記確認操作がされたときに該数字表示を前記画面から消すことを特徴とする。
【0014】
請求項7に記載された状態表示方法は、請求項5に記載されたものであり、前記状態識別表示に前記数字表示を重ねて前記画面に表示することを特徴とする。
【0015】
請求項8に記載された状態表示方法は、請求項5に記載されたものであり、前記第1の表示として第1の色を付した表示、前記第2の表示として第2の色を付した表示、及び前記第3の表示として第3の色を付した表示を前記監視画面に表示することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明の状態表示装置及び状態表示方法によれば、表示制御手段が、正常状態で第1の表示、異常状態で第2の表示、及び異常状態のときに確認操作を得ると第3の表示を状態識別表示として表示し、さらに、異常状態のときに確認操作を得ないまま正常状態に復帰する未確認復帰があったときから、異常発生回数を表す数字表示を状態識別表示と共に画面に表示することにより、監視者は、状態識別表示によって監視信号が正常か、異常か、又は確認済みかを判別できるだけでなく、数字表示を一目見るだけで、未確認復帰が有ったこと、及びそれまでに発生した異常状態の発生回数を迅速かつ確実に知ることができる。
【0017】
本発明の状態表示装置及び状態表示方法によれば、確認操作を得たときに数字表示を画面から消すことで、未確認復帰が無くなったことを直ちに表示に反映させることができる。
【0018】
本発明の状態表示装置及び状態表示方法によれば、状態識別表示に数字表示を重ねて画面に表示することにより、監視者は、状態識別表示を見るときに同時に確実に数字表示を視認することができる。
【0019】
本発明の状態表示装置及び状態表示方法によれば、第1〜第3の表示を第1〜第3の色で色分けして画面に表示することで、監視者は、状態識別表示の表示内容を一層簡便かつ迅速に確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明を適用する状態表示装置の一例を示すブロック図である。
【図2】図1のディスプレイの画面表示の一例を示す正面図である。
【図3】図1のディスプレイの画面表示の他の一例を示す正面図である。
【図4】ディスプレイに表示される状態識別表示及び数字表示の変化を示す図である。
【図5】本発明を適用する状態表示方法の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態を詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施形態に限定されるものではない。
【0022】
図1に示す状態表示装置1は、制御装置10にディスプレイ11、マウス12、及びキーボード13が接続されたものであり、設備等の状態を監視してその状態を表示するものである。
【0023】
制御装置10は、一例としてパーソナルコンピュータなどのコンピュータ装置であって、CPU(Central Processing Unit)、記憶部、データ入力インタフェース、ビデオカード、入出力インタフェースなどを備えている。この制御部10は、記憶部に記憶された動作用プログラムによって動作して、各種演算が可能である。又、制御部10は、ビデオカードに接続されたディスプレイ11に画像を表示可能である。又、制御部10は、マウス12やキーボード13によって各種の入力操作が可能である。さらに、制御部10は、データ入力インタフェースから入力される値やキーボード13から入力される値及び各種演算値などを記憶部に記憶可能である。
【0024】
制御装置10のデータ入力インタフェースには、一例として、監視対象となる各種設備に付された測定器から出力される電圧値や電流値等、及び例えば設備が正常時にハイレベル及び故障時にローレベルで出力される故障検出信号などの監視信号D1〜D6(以下、区別しないときは単に監視信号Dともいう)が入力されている。入力する監視信号の種類や数は任意である。このデータ入力インタフェースは、監視信号Dとして電圧値等を示すアナログ信号を入力してデータ入力インタフェースでアナログ/デジタル変換する構成としてもよいし、監視信号として電圧値等を示すデジタルデータを入力する構成であってもよい。デジタルデータで入力する場合には、データ入力インタフェースとして、USB(Universal Serial Bus)やLAN(Local Area Network)を用いて入力する構成としてもよい。
【0025】
この制御部10の記憶部に、監視信号D1〜D6が正常状態であるか異常状態であるかを判別するための設定値を予め記憶させておく。設定値は、監視信号D1〜D6ごとに設定する。一例として、設定値の入力は、制御装置10がディスプレイ11の画面に設定値を入力するための入力画面(図示せず)を表示して、それを監視者が見ながらキーボード13を操作して数値入力することで行う。この設定値は、例えば、監視信号D1が電圧値である場合、この電圧値が20V以下で正常状態、20Vを越えるときに異常状態であるときに、監視信号D1に対する設定値として、20Vの値及びこの値を越えるときに異常状態であることを設定する。又、監視信号D6が論理信号であり、正常時にハイレベル、異常時にローレベルであるときに、設定値としてローレベルのときに異常状態であることを設定する。設定値は、異常状態となる数値範囲で設定してもよい。又、逆に正常状態となる数値範囲で設定することもできる。
【0026】
このような制御部10は、記憶部に記憶された状態表示用の動作用プログラムと協働して、本発明における判別手段、表示制御手段、及び回数計測手段として動作するものである。又、制御部10及びマウス12は、記憶部に記憶された状態表示用の動作用プログラムと協働して、本発明における確認入力手段として動作するものである。
【0027】
図2、3に、制御部10が状態表示用の動作用プログラムを起動したときに、表示制御手段がディスプレイ11の画面20に表示する監視ウインドウ21の一例を示す。監視ウインドウ21には、監視信号D1〜D6に対応するCH1〜CH6の状態を示す状態識別表示22、22・・・が表示されている。又、状態識別表示22は、一例として、円形状で表示されている。
【0028】
又、図3に、表示制御手段が画面20に表示する確認ウインドウ25の一例を示す。確認ウインドウ25には、異常状態が発生したCH番号、発生日時、確認日時、復帰日時の表示欄が表示され、それぞれ対応する値が表示される。この確認ウインドウ25は、監視信号Dが異常状態となったときに画面20に表示される。監視者がマウス12(図1参照)を操作して、画面20上のマウスポインタ24を確認ウインドウ25に合わせてからマウス12の操作ボタンをクリック操作することで、確認入力手段は、異常状態の発生の確認を監視者が行ったという意味の確認操作を得たことを表示制御手段に出力する。確認操作が有ったときに、表示制御手段は、この確認ウインドウ25を自動的に画面20から消してもよいし、確認操作後に正常状態に復帰したときに画面20から自動的に消してもよいし、操作者がウインドウを閉じる操作をするまで表示し続けるようにしてもよい。
【0029】
図4に、状態識別表示22及び数字表示23がどのように画面20に表示されるかその変化の様子を示す。なお、図2〜図4では、状態識別表示22の色は、円形状のみの表示は緑色、斜線を付した表示は赤色、点の集合を付した表示は橙色であるものとする。
【0030】
制御装置10は、判別手段が、入力される監視信号D1〜D6の値が正常状態であるか異常状態であるかを予め記憶部に設定された各設定値に基づいて判別して、表示制御手段が、図4に示すように、判別手段によって正常状態と判別されたときに第1の表示として第1の色である緑色、判別手段によって異常状態と判別されたときに第2の表示として第2の色である赤色、さらに異常状態と判別されて赤色で表示されているときに操作入力手段から確認操作が得られると第3の表示として第3の色である橙色で、状態識別表示22を画面20に表示する。さらに、制御装置10は、回数計測手段が、確認操作が得られるまでに発生する異常状態の回数を、異常発生回数として計測する。表示制御手段は、異常状態のときに確認入力手段から確認操作を得ないまま正常状態に復帰したときから、回数計測手段によって計測された異常発生回数を表す数字表示23を状態識別表示22と共に画面20に表示する。表示制御手段は、状態識別表示22と共に数字表示23を画面20に表示した状態で、確認入力手段から確認操作を得たときに、数字表示23を画面20から消すことが好ましい。
【0031】
以下、この状態表示装置1の動作について、図5に示すフローチャートを参照してさらに詳細に説明する。
【0032】
監視信号D1〜D6の監視を行うために状態表示用の動作プログラムが起動されると制御部10は最初に初期設定を行う(ステップ10。同図では「ステップ」を「S」で表す)。この初期設定で、制御部10は、画面20に監視ウインドウ21を表示させる(図2参照)。又、制御部10は、監視信号D1〜D6ごとの回数計測手段の異常発生回数の計測値を0にリセットする。
【0033】
尚、制御部10は監視信号D1〜D6のそれぞれに対して以下の動作を実行するが、それぞれに対する動作は同様であるので、監視信号D1に対する制御部10の動作について説明し、他の監視信号D2〜D6に対する説明は省略する。
【0034】
制御部10は、ステップ11で監視信号D1の値が異常状態であるか否かを予め記憶部に設定された各設定値に基づいて判別する。
【0035】
ステップ11で監視信号D1が異常状態ではない、つまり正常状態であると判別されたときに、制御部10は、ステップ12に進み、CH1の状態識別表示22を、第1の表示として第1の色である緑色で表示する。この状態を図4の(1)に示す。
【0036】
次に、制御部10は、ステップ13で異常発生回数の計測値が1以上であるか否かを判別し、この場合0であるので、ステップ19に進み、監視信号D1が異常状態になるまで監視を続ける。
【0037】
ステップ19で、異常状態が発生したときに、制御部10は、ステップ11に戻り、ステップ11でも異常状態であると判別されるのでステップ21に進み、状態識別表示22を、第2の表示として第2の色である赤色で表示する。この状態を図3及び図4の(2)に示す。また、図3に示すように、異常状態が発生すると、制御部10は、画面20に確認ウインドウ25を表示する。
【0038】
図3に示す、確認ウインドウ25には、CH1の番号と異常状態になった発生日時とが表示されている。確認日時及び復帰日時の欄は、まだ確認操作及び復帰がされていないので空欄になっている。又、確認ウインドウ25には、過去に発生した異常状態に対するCH番号、発生日時、確認日時、復帰日時も表示されている。例えば、同図に示すように、過去にCH3で異常状態が発生しその発生日時と確認日時が表示されている。このCH3では、確認日時欄に確認操作がされた日時が表示されていて、復帰欄はまだ復帰がされていないので空欄になっている。又、過去にCH5で異常状態が発生した発生日時、確認日時、及び復帰日時が対応する欄に表示されている。
【0039】
図5に戻って説明を続けると、次に、制御部10は、ステップ22で異常発生回数が1以上であるか否かを判別し、この場合0であるのでステップ23に進み、異常発生回数に1を加算して、ステップ25で確認操作の有無を判別する。
【0040】
制御部10は、ステップ25で確認操作が無いときは、確認操作が得られるまで、又はステップ26で監視信号D1が正常状態に復帰したと判別するまで、ステップ25、ステップ26を繰り返す。
【0041】
ステップ25で確認操作が有るときは、制御部10は、ステップ27に進み、CH1の状態識別表示22を、第3の表示として第3の色である橙色で表示する。この状態を図4の(3)に示す。
【0042】
次に、制御部10は、ステップ28で異常発生回数を0にリセットし、ステップ29で監視信号D1が正常状態に復帰するまで監視を続ける。
【0043】
ステップ29で、正常状態になったと判別されたとき、制御部10は、ステップ11に戻り、ステップ12に進んで、状態識別表示22を緑色で表示する。この状態を図4の(4)に示す。
【0044】
このように、状態識別表示22が、正常状態で緑色、異常状態で赤色、異常状態のときに確認操作をすると橙色になるので、監視者は監視信号が正常であるか異常であるかを知ることができると共に、確認操作を行ったか否かを確認することができる。又、数字表示23が表示されていないときには、監視者の確認漏れが発生していないことを確認することができる。
【0045】
一方、ステップ25で、確認操作の無いままステップ26で正常状態に復帰したときは、制御部10は、ステップ11に戻り、ステップ12に進んで、状態識別表示22を緑色で表示する。続いて、制御部10は、ステップ13で異常発生回数が1以上であるか否かを判別し、この場合1であるので、ステップ14に進み、状態識別表示22の領域内に重なるように、異常発生回数の「1」を数字表示23として表示する。この状態を図4の(5)に示す。
【0046】
このように、緑色の状態識別表示22に「1」の数字表示23が重ねて表示されることで、現在は正常状態に復帰しているが、確認操作のされなかった異常状態が過去に1回発生していることがわかる。
【0047】
図5に戻って説明を続けると、制御部10は、ステップ15で確認操作が得られるまで、又はステップ16で監視信号D1が異常状態になったと判別するまでステップ15、16を繰り返す。
【0048】
制御部10は、ステップ16で異常状態になったと判別したときは、異常発生回数に1を加えて(ステップ17)、ステップ11に戻り、ステップ21に進んで、状態識別表示22を赤色で表示する。続いて、制御部10は、ステップ22で異常発生回数が1以上であるか否かを判別し、この場合2であるので、ステップ24に進み、数字表示23として表示されていた「1」を異常発生回数の「2」に代えて、状態識別表示22に重ねて表示する。この状態を図4の(6)に示す。
【0049】
このように、赤色の状態識別表示22に「2」の数字表示23が重ねて表示されることで、過去に確認操作されないまま正常状態に復帰していて、現在の異常状態は2回目の異常状態であることがわかる。
【0050】
図5に戻って説明すると、制御部10は、ステップ25で確認操作が得られたときに、ステップ27で状態識別表示22を橙色で表示して、ステップ28で異常発生回数を0にリセットする。このリセットにより、制御部10は、数字表示23の「2」を消す。この状態を図4の(7)に示す。
【0051】
続いて、制御部10は、ステップ29に進み、監視信号D1が正常状態に復帰するまで監視を続ける。ステップ29で、正常状態に復帰したことを判別すると、ステップ11に戻り、ステップ12に進んで、状態識別表示22を緑色で表示する。この状態を図4の(8)に示す。
【0052】
一方、赤色の状態識別表示22に「2」の数字表示23がされているとき(図4の(6)のとき)に、ステップ25で、確認操作の無いままステップ26で正常状態に復帰したと判別したときは、ステップ11に戻り、ステップ12に進んで、「2」の数字表示がされたまま状態識別表示22を緑色で表示して、ステップ13、14へ進む。このステップ14でも数字表示23は変わらず「2」のまま表示される。この状態を、図4の(9)に示す。
【0053】
このように、緑色の状態識別表示22に「2」の数字表示23が重ねて表示されることで、現在は、正常状態に復帰しているが、確認操作のされなかった異常状態が過去に2回発生していることがわかる。
【0054】
図5に戻って説明すると、制御部10は、ステップ14からステップ15に進み、ステップ15で確認操作が得られたときは、ステップ18で異常発生回数を0にリセットする。これにより、制御部10は、状態識別表示22と共に表示させていた数字表示23の「2」を画面20から消す。この状態を図4の(10)に示す。
【0055】
状態表示装置1は、以上のようにして動作を続ける。尚、図4の(5)に示す緑色の状態識別表示22に「1」の数字表示23を表示させている状態で、確認操作を得たときには、制御部10は、数字表示23を消す。又、図4の(9)に示す緑色の状態識別表示22に「2」の数字表示23を表示させている状態で、確認操作を得ないまま、異常状態と正常状態とが繰り返されると、制御部10は、数字表示23を「3」、「4」、「5」・・・と順次数字を大きくして表示する。
【0056】
以上のように動作することで、監視者は、状態識別表示22を視認することで監視信号Dが正常か、異常か、又は確認済みかを判別することができる。さらに、異常状態のときに確認操作を得ないまま正常状態に復帰する未確認復帰があった場合、確認操作を得ないまま異常状態になった回数が数字表示23によって表示されるため、監視者はこの数字表示23を一目見るだけで、確認操作を得ないままでそれまで発生した異常状態の発生回数を迅速かつ確実に知ることができる。したがって、この異常状態の発生回数を調べるために、例えば確認ウインドウ25に表示される確認日時の無い異常状態発生の回数を監視者が数えることを要しない。さらに、未確認復帰が無いときには数字表示23が表示されないので、監視者は、数字表示23が表示されたときにだけ未確認復帰のあったことを認識すればよい。
【0057】
尚、確認ウインドウ25(図3参照)には、確認操作が有ったときに確認日時を表示し、正常状態に復帰したときは復帰日時を記載する。又、確認ウインドウ25には、確認操作を得ないまま正常状態に復帰し、さらに異常状態が発生したときは新たな行に、CH1の番号及び発生日時を記載する。このようにすることで、確認操作のないまま正常状態に復帰したときは、確認日時の欄が空欄になる。
【0058】
尚、異常発生回数の数字表示23を、確認操作がされると画面20から消した例について説明したが、確認操作の後に正常状態に復帰したときに数字表示23を消してもよい。
【0059】
又、状態識別表示22の領域内に異常発生回数の数字表示を重ねて表示する例について示したが、状態識別表示22の領域内ではなく、状態識別表示22の上、下、左、又は右などの位置に数字表示を表示させてもよい。又、状態識別表示22を円形状の形状で表示した例を示したが、四角形状や星型形状などその形状は所望の形状で表示してもよい。又、第1〜第3の表示として、いずれも同じ形状(円形状)で表示した例を示したが、第1の表示を円形状、第2の表示を四角形状、第3の表示を三角形状のように形状を代えて表示してもよい。このように第1〜第3の表示の形状を変える場合、色を代えて表示したほうが視認性に優れるため好ましいが、必要に応じて色は同色で表示してもよい。又、第1〜3の色は、緑色、赤色、橙色に限られず、他の青色、黄色など所望の色で表示してもよい。
【0060】
又、確認入力手段として、マウス12で画面20に表示された確認ウインドウ25がクリック操作されたときに確認操作が得られる例を示したが、例えば、マウス12で状態識別表示22がクリック操作されたときに確認操作が得られるようにしてもよいし、キーボード13のキー操作で確認操作が得られるようにしてもよい。又、ディスプレイ11をタッチパネルに換えて、確認ウインドウ23がタッチ操作されたときに確認操作が得られるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0061】
1は状態表示装置、10は制御装置、11はディスプレイ、12はマウス、13はキーボード、20は画面、21は監視ウインドウ、22は状態識別表示、23は数字表示、24はマウスポインタ、25は確認ウインドウ、D1〜D6は監視信号、S10〜S29はフローチャートにおけるステップである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視信号の値が正常状態であるか異常状態であるかを予め設定された設定値に基づいて判別する判別手段と、
監視者によって操作されて確認操作を得るための確認入力手段と、
該判別手段によって該正常状態と判別されたときに第1の表示、該判別手段によって該異常状態と判別されたときに第2の表示、及び該異常状態と判別されたときに該入力手段から該確認操作を得ると第3の表示を、状態識別表示として画面に表示する表示制御手段と、
該確認操作が得られるまでに発生する該異常状態の回数を、異常発生回数として計測する回数計測手段と、
該表示制御手段は、該異常状態のときに該確認入力手段から該確認操作を得ないまま該正常状態に復帰したときから、該回数計測手段によって計測された該異常発生回数を表す数字表示を該状態識別表示と共に該画面に表示することを特徴とする状態表示装置。
【請求項2】
前記表示制御手段が前記状態識別表示と共に前記数字表示を前記画面に表示した状態で、前記表示制御手段は、前記入力手段から前記確認操作を得たときに該数字表示を該画面から消すことを特徴とする請求項1に記載の状態表示装置。
【請求項3】
前記表示制御手段は、前記状態識別表示に前記数字表示を重ねて前記画面に表示することを特徴とする請求項1に記載の状態表示装置。
【請求項4】
前記表示制御手段は、前記第1の表示として第1の色を付した表示、前記第2の表示として第2の色を付した表示、及び前記第3の表示として第3の色を付した表示を前記画面に表示することを特徴とする請求項1に記載の状態表示装置。
【請求項5】
監視信号の測定値が正常状態であるか異常状態であるかを予め設定された設定値に基づいて判別し、
該正常状態と判別されたときに第1の表示、該異常状態と判別されたときに第2の表示、及び該異常状態のときに監視者によって操作されて確認操作を得ると第3の表示を状態識別表示として画面に表示し、
さらに、該確認操作が得られるまでに発生する該異常状態の回数を、異常発生回数として計測し、
該異常状態のときに該確認操作を得ないまま該正常状態に復帰したときから、該異常発生回数を表す数字表示を該状態識別表示と共に該画面に表示することを特徴とする状態表示方法。
【請求項6】
前記状態識別表示と共に前記数字表示が表示された状態で、前記確認操作がされたときに該数字表示を前記画面から消すことを特徴とする請求項5に記載の状態表示方法。
【請求項7】
前記状態識別表示に前記数字表示を重ねて前記画面に表示することを特徴とする請求項5に記載の状態表示方法。
【請求項8】
前記第1の表示として第1の色を付した表示、前記第2の表示として第2の色を付した表示、及び前記第3の表示として第3の色を付した表示を前記監視画面に表示することを特徴とする請求項5に記載の状態表示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−8649(P2012−8649A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−141736(P2010−141736)
【出願日】平成22年6月22日(2010.6.22)
【出願人】(000227180)日置電機株式会社 (982)
【Fターム(参考)】