説明

玉封入式パチンコ機

【課題】 玉封入式パチンコ機の利点を損なうことなく、遊技球を獲得したという実感を得られる玉封入式パチンコ機を提供する。
【解決手段】 図2は、本発明が適用されたパチンコ機2の上皿22の平面図および断面図である。このパチンコ機2において入賞が発生すると、この入賞に対する賞球と同数の遊技球38が揚送機44によって上部踊場34にされる。この動作は封入式ではないパチンコ機における賞球の払い出し動作に酷似しているため、遊技者は、遊技球を獲得したという実感を得られる。払い出された遊技球38は、下降経路48、下部踊場50を介して揚送機44に戻って循環されるため、この動作を行なうのに必要な遊技球38の数は20個程度で済む。従って、玉封入式パチンコ機の利点を損なうことがない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、玉封入式パチンコ機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の玉封入式パチンコ機では、発射された遊技球をパチンコ機内で回収し、発射装置に供給していた。そして、持ち玉および賞球を、遊技球ではなく数値としてパチンコ機に設けられた表示装置に出力していた。こうすると、1台のパチンコ機において必要とされる遊技球の数が、封入式ではないパチンコ機(以下、通常機という)に比べて少なくて済む。また、パチンコ機がいわゆる大当たり状態になっても、大量の遊技球をパチンコ島外に出さないため、周辺のパチンコ機で遊技球が不足する、という事態も起こらない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、玉封入式パチンコ機においては、遊技を通じて獲得した遊技球が払い出されないので、遊技者は、遊技球を獲得したという実感を得られず、面白味に欠けるという欠点があった。
【0004】
反面、玉封入式パチンコ機には、遊技球を持って他のパチンコ機に移動するという不正遊技(いわゆる台移動)を禁止できるという利点がある。しかしながら、この利点を十分に活かした技術は従来、存在しなかった。本発明は、係る課題に鑑みなされたもので、請求項1に記載のパチンコ機は、玉封入式パチンコ機の利点を損なうことなく、遊技球を獲得したという実感を得られる玉封入式パチンコ機を提供することを目的とする。
【0005】
また請求項2に記載の本発明は、請求項1に記載の玉封入式パチンコ機を簡素に実現する態様を提案するものである。請求項3に記載の本発明は、遊技の達成感を一層高めることを目的とする。また請求項4に記載の本発明は、入賞が発生しなくても遊技をしている実感を高められるようにすることを目的とする。
【0006】
請求項5に記載の本発明は、玉封入式パチンコ機においては台移動が不可能であることを利用して、換金率をパチンコ機毎に変更可能にすることを目的とする。請求項6、11、および13に記載の本発明は、出力された数値データの価値を遊技者が容易に把握できるようにすることを目的とする。
【0007】
請求項7に記載の本発明は、同じ機種の玉封入式パチンコ機や同じ島内の玉封入式パチンコ機の換金率の設定を容易に行なえるようにするのを目的とする。請求項8に記載の本発明は、玉封入式パチンコ機においては台移動が不可能であることを利用して、貸玉単価(本来は遊技球1個を借りるのに要する料金のこと。ここでは特に、借りる遊技球1個に相当する数値データを得るのに掛かる料金)をパチンコ機毎に変更可能にすることを目的とする。
【0008】
請求項9に記載の本発明は、互いに異なる貸玉単価にて行なわれた遊技の数値データを同時に記録可能とすることを目的とする。請求項10に記載の本発明は、貸玉単価が同じという条件内で、台移動を容認する態様を提案するものである。
【0009】
請求項12に記載の本発明は、遊技者が数値データの価値を把握した後、再びその数値データを利用可能とすることを目的とする。請求項14に記載の本発明は、遊技者の価値感や経済状態にあった遊技を行なうことを可能にすることを目的とする。
【0010】
請求項15および18に記載の本発明は、貸玉単価を遊技者が変更可能とした場合に予想される不正遊技を防止することを目的とする。請求項16に記載の本発明は、当該玉封入式パチンコ機が、いわゆる確率変動タイプのパチンコ機として構成された場合に予想される不正遊技を防止することを目的とする。
【0011】
請求項17に記載の本発明は、所定の遊技条件が整うと、持ち玉を減らすことなく遊技を続行可能ないわゆる時短タイプのパチンコ機として構成された場合に予想される不正遊技を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
係る課題を解決するために為された請求項1に記載の本発明は、発射された遊技球を発射装置に回収し、持ち玉および賞球を遊技球ではなく数値データとして遊技者に付与する玉封入式パチンコ機において、玉封入式ではないパチンコ機における上部受け皿に相当する玉受け皿に、入賞に応じた数の遊技球を送り出す賞球送給部と、前記玉受け皿に送り出された遊技球を前記賞球送給部に送り返す賞球返送部と、前記玉受け皿に送り出された遊技球を遊技者から隔離する第1透明カバーとを備えたことを特徴とする。
【0013】
請求項2に記載の本発明は、請求項1に記載の玉封入式パチンコ機において、前記玉受け皿は、右側が低くなるように傾斜されたものであり前記賞球返送部は、前記玉受け皿の下方に設けられ、左側が低くなるように傾斜された玉貯留部と、前記玉受け皿の略右端部に転動されてきた遊技球を、当該玉封入式パチンコ機の内部を通って、前記玉貯留部の略右端部に誘導する傾斜路と、を備えたものであり、前記賞球送給部は、前記玉貯留部の略左端部から遊技球の供給を受けて、前記玉受け皿の略左端部に遊技球を送り出すものであることを特徴とする。
【0014】
請求項3に記載の本発明は、請求項1または2に記載の玉封入式パチンコ機において、前記賞球送給部は、前記入賞に応じた数の遊技球として、賞球として払い出されるべき数と同数の遊技球を前記玉受け皿に送り出すものであることを特徴とする。
【0015】
請求項4に記載の本発明は、請求項1から3にいずれか記載の玉封入式パチンコ機において、発射された遊技球が発射装置に至る発射玉経路と、該発射玉経路を流れる遊技球を遊技者から目視可能に隔離する第2透明カバーとを設けたことを特徴とする。
【0016】
請求項5に記載の本発明は、発射された遊技球を発射装置に回収し、持ち玉および賞球を遊技球ではなく数値データとして遊技者に付与する玉封入式パチンコ機において、遊技球の換金率を設定するための換金率設定手段と、当該玉封入式パチンコ機にて行なった遊技にて遊技者が獲得した数値データを、前記換金率設定手段により設定された換金率と共に出力する換金率出力手段と、を備えたことを特徴とする。
【0017】
請求項6に記載の本発明は、請求項5に記載の玉封入式パチンコ機において、前記換金率出力手段が、遊技者が獲得した遊技球の数値データおよび前記換金率設定手段により設定されていた換金率を出力するに代えて、該数値データおよび該換金率から算出される遊技の成果を表す値を出力するものであることを特徴とする。
【0018】
請求項7に記載の本発明は、請求項5または6に記載の玉封入式パチンコ機において、前記換金率設定手段は、複数台の前記玉封入式パチンコ機の換金率を外部から一括して設定可能なものであることを特徴とする。請求項8に記載の本発明は、発射された遊技球を発射装置に回収し、持ち玉および賞球を遊技球ではなく数値データとして遊技者に付与する玉封入式パチンコ機において、現金もしくはプリペイドカードを受け入れる玉貸料入力手段と、貸玉単価を設定するための貸玉単価設定手段と、遊技球を借りる旨の指示を遊技者から受けると、玉貸料に応じた代金を前記玉貸料入力手段から徴収すると共に、前記貸玉単価設定手段により設定された貸玉単価および前記玉貸料に応じた数の遊技球を数値データにして遊技者に付与する玉貸手段と、当該玉封入式パチンコ機における遊技にて、遊技者が獲得した遊技球の数値データを、該遊技において設定されていた貸玉単価と共に出力する貸玉単価出力手段とを備えたことを特徴とする。
【0019】
請求項9に記載の本発明は、請求項8に記載の玉封入式パチンコ機において、前記貸玉単価出力手段が、遊技者が獲得した遊技球の前記数値データを前記貸玉単価ごとに、所定の記録媒体に記録するものであることを特徴とする。請求項10に記載の本発明は、請求項9に記載の玉封入式パチンコ機において、前記記録媒体に記録された前記数値データの内、当該玉封入式パチンコ機の前記貸玉単価設定手段により設定されている貸玉単価と同じ貸玉単価に対応する出力された数値データに限り、遊技に再使用可能としたことを特徴とする。
【0020】
請求項11に記載の本発明は、請求項9または10に記載の玉封入式パチンコ機において、前記記録媒体に記録された前記貸玉単価の異なる前記数値データを、前記貸玉単価に応じた共通の数値データに換算する換算手段を備えたことを特徴とする。
【0021】
請求項12に記載の本発明は、請求項11に記載の玉封入式パチンコ機において、前記共通の数値データを前記貸玉単価の異なる前記数値データに逆換算する逆換算手段を備えたことを特徴とする。請求項13に記載の本発明は、請求項8に記載の玉封入式パチンコ機において、前記貸玉単価出力手段が、遊技者が獲得した遊技球の数値データおよび該遊技において設定されていた貸玉単価を出力するに代えて、該数値データおよび該貸玉単価から算出される該遊技の成果を表す値を出力するものであることを特徴とする。
【0022】
請求項14に記載の本発明は、請求項8から13にいずれか記載の玉封入式パチンコ機において、前記貸玉単価設定手段が、遊技者の操作により貸玉単価が設定可能なものであることを特徴とする。請求項15に記載の本発明は、請求項14に記載の玉封入式パチンコ機において、前記貸玉単価設定手段が、当該玉封入式パチンコ機における遊技に使用する遊技球数を示す数値データが0ではない状態においては、貸玉単価の設定ができないものであることを特徴とする。
【0023】
請求項16に記載の本発明は、請求項14または15に記載の玉封入式パチンコ機において、当該玉封入式パチンコ機が、予め定められた第1の遊技条件が成立すると、大当たりになる確率が上昇し、且つ予め定められた第2の遊技条件が成立すると、大当たりになる確率が低下するものであり、前記貸玉単価設定手段が、大当たりになる確率が上昇した状態においては、貸玉単価の設定ができないようにされているものであることを特徴とする。
【0024】
請求項17に記載の本発明は、請求項14から16にいずれか記載の玉封入式パチンコ機において、当該玉封入式パチンコ機が、電動式入賞口を備え、予め定められた第3の遊技条件が成立すると、該電動式入賞口の開放頻度が上昇し、且つ予め定められた第4の遊技条件が成立すると、前記電動式入賞口の開放頻度が低下するものであり、前記貸玉単価設定手段が、前記電動式入賞口の開放頻度が上昇した状態においては、貸玉単価の設定ができないようにされているものであることを特徴とする。
【0025】
請求項18に記載の本発明は、請求項14から17にいずれか記載の玉封入式パチンコ機において、前記貸玉単価設定手段が、当該玉封入式パチンコ機が大当たりした状態においては、貸玉単価の設定ができないようにされているものであることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の第一実施例に係るパチンコ機2を示す正面図である。
【図2】パチンコ機2の上皿22内の遊技球38の流れを示す説明図である。
【図3】パチンコ機2における遊技球38の流れの概略を示す説明図である。
【図4】パチンコ機2が備えるコンソール23の正面図である。
【図5】パチンコ機2の制御装置74の概略を示すブロック図である。
【図6】CPU104が実行する賞球処理を示すフローチャートである。
【図7】揚送機コントローラ78にて実行される揚送処理を示すフローチャートである。
【図8】CPU104が実行する貸玉単価設定処理を示すフローチャートである。
【図9】CPU104が実行する玉貸処理を示すフローチャートである。
【図10】CPU104が実行する預玉引出処理を示すフローチャートである。
【図11】CPU104が実行する精算処理を示すフローチャートである。
【図12】CPU104が実行する貯玉変換処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
請求項1に記載の玉封入式パチンコ機は、玉受け皿に入賞に応じた数の遊技球を送り出す賞球送給部を備えている。玉受け皿は、通常機における上部受け皿に相当するもので、通常機では、賞球の払い出しや玉貸しが行なわれる箇所である。つまり、この玉封入式パチンコ機では、通常機において賞球の払い出しが行なわれるのと同じ箇所にて再現する。しかも玉受け皿は、上部受け皿と同様、遊技者の眼下に位置するため、遊技者は遊技球を獲得したという実感を得ることができる。
【0028】
また、玉受け皿に送り出された遊技球は、賞球返送部によって賞球送給部に送り返されることにより、当該玉封入式パチンコ機内で循環される。このため、所要玉数は通常機よりも少なくて済み、当該玉封入式パチンコ機が大当たりになったために周辺のパチンコ機において遊技球が不足する、という事態も発生しない。
【0029】
なお、通常機の上部受け皿は露出されており、遊技者が自由に遊技球に触れることができるが、玉受け皿は第1透明カバーによって、遊技者から隔離されている。このため、不正な遊技球が循環経路に混入したり、玉封入式パチンコ機内で循環される遊技球の数が減少する心配がない。
【0030】
従って請求項1に記載の玉封入式パチンコ機によれば、玉封入式パチンコ機の利点を損なうことなく、遊技者に遊技球を獲得したという実感を持たせることができる。請求項2に記載の本発明は、玉受け皿の下方に玉貯留部を設け、これの略右端部と玉受け皿の略右端部とを結ぶ傾斜路を設けている。なお、玉受け皿は上部受け皿と同様、右側が低くされており、玉貯留部は左側が低くされている。入賞が発生すると、賞球送給部により玉受け皿に送り出された遊技球は、玉受け皿を右へ転動し、傾斜路を通って、玉貯留部に達し、更にここを左方へ転動する。そして入賞が更に発生すると、賞球送給部により再び、玉受け皿へ送り出される。
【0031】
このように、請求項2に記載の玉封入式パチンコ機においては、賞球返送部が、傾斜路および玉貯留部の傾斜によってのみ、遊技球を賞球送給部へと送り返すので非常に簡素に実現できる。請求項3に記載の本発明では、賞球送給部を、入賞に応じた数の遊技球として、賞球として払い出されるべき数と同数の遊技球を玉受け皿に送り出すものとしている。すなわち、通常機においては3個の賞球がある入賞口に遊技球が入ると3個の遊技球を送り出し、10個の賞球がある入賞口に遊技球が入ると10個の遊技球を送り出す。
【0032】
従って、請求項3に記載の玉封入式パチンコ機によれば、通常機における賞球の払い出しに極めて近い遊技球の送り出しを行なう。なお、これには反するが、大当たり時の様に、短時間で大量の遊技球を送り出す場合には、厳密に賞球と同じ数の遊技球を送り出さないようにしてもよい。例えば、賞球よりも1〜2割少なくしても、遊技者には分からないし、また少なくすることにより、本来、大量の遊技球を送り出すのに掛かる時間を短縮することができる。
【0033】
請求項4に記載の本発明は、発射された遊技球が発射装置に至る発射玉経路を形成し、これを第2カバーにて遊技者から隔離している。この発射玉経路は、本来、玉封入式パチンコ機が備えているもので、これを第2カバーを介して目視可能にしたものである。
【0034】
このように構成された玉封入式パチンコ機において遊技球を発射すると、遊技球が1発発射される毎に発射玉経路内の遊技球が流れて行くのが分かる。従って、請求項4に記載の玉封入式パチンコ機によれば、入賞が発生せず、賞球送給部による遊技球の送り出しが行なわれない状態でも、発射に用いる遊技球の流れによって、遊技の実感を遊技者に味わわせることができる。
【0035】
請求項5に記載の玉封入式パチンコ機は、換金率設定手段と、換金率出力手段とを備えている。この玉封入式パチンコ機で遊技をし、景品玉に相当する数値データを獲得すると、その数値データが、貸玉単価設定手段により設定された貸玉単価とともに出力される。ここで、換金率とは、数値データ1(通常機では遊技球1個に相当。これに倣い、当該玉封入式パチンコ機における換金率の単位は円/個とする)を現金化したときの割合を指すものとする。但し、一般には一旦数値データを200円若しくは1000円の換金用景品に替え、更に現金に交換する、という間接的な換金を行なう。
【0036】
そしてこの玉封入式パチンコ機では、換金率出力手段により数値データが換金率と共に出力されるので、数値データが正当に評価される。なお、換金率出力手段による出力は、玉封入式パチンコ機にディスプレイ装置を設け、ここに表示をしてもよいし、或はプリンタを設け、これにて印字をしてもよい。前者の場合は、ディスプレイ装置に表示した数値データおよび換金率を、別途設けたプリンタで印字したり、その電磁的記録を作成したりするとよい。
【0037】
なお、玉封入式パチンコ機では、遊技者は遊技球に触れることができないので、換金率の低いパチンコ機で得た遊技球を換金率の高いパチンコ機へ運んで遊技をする、という不正遊技は不可能である。そして数値データは、換金率と共に出力されるので、数値データを正しく評価することができる。
【0038】
従って、請求項5に記載の玉封入式パチンコ機によれば、玉封入式パチンコ機ごとに換金率を変更することが可能となる。また、パチンコホールを経営する側(以下単にホール側という)が換金率を設定する場合、新しい機種については換金率を高くしたり、遊技者へのサービスとして当たり易くするパチンコ機については換金率を低くするといったことも容易にできるようになる。
【0039】
請求項6では、換金率出力手段を、遊技球の数値データと換金率とを出力する代わりに、遊技球の数値データおよび換金率から算出される遊技の成果を表す値を出力するものとなっている。「遊技の成果を表す値」とは、換金率の設定値に関わらず、遊技者が勝ち負けのどちらの状態にあるか、勝っている場合にはどの程度勝っているかを示すものである。具体的には、数値データに換金率を乗したものや、標準的な換金率(例えば、2.5円/個)で他の換金率を正規化してなる値を数値データに乗した値などが挙げられる。こうすると、請求項5のように数値データと換金率とを出力した場合に比べ、今回の遊技と過去の遊技との成果の比較をし易い。もちろん、この遊技成果を表す値をディスプレイ装置に表示したりプリンタにて印字したり電磁的記録を作成したりしてもよい。
【0040】
請求項7に記載の玉封入式パチンコ機では、換金率設定手段を、複数台の玉封入式パチンコ機の換金率を外部から一括して設定可能なものとなっている。こうすると、同じ機種の玉封入式パチンコ機については共通の換金率としたり、同じ島内の玉封入式パチンコ機を共通の換金率としたりするのが容易に行なえる。
【0041】
請求項8に記載の玉封入式パチンコ機は、玉貸料入力手段と、貸玉単価設定手段と、玉貸手段と、貸玉単価出力手段とを備えている。玉貸料入力手段に現金もしくはプリペイドカードを入れ、遊技球を借りる旨の指示をすると、玉貸手段が、玉貸料に応じた代金を玉貸料入力部から徴収すると共に、貸玉単価設定手段により設定された貸玉単価および玉貸料に応じた数の遊技球に相当する数値データを遊技者に付与する。なお、現金にて玉貸料を徴収する場合には、現金の投入を、遊技球(数値データ)を借りる旨の指示とするとよい。
【0042】
そして、遊技者が獲得した遊技球数を示す数値データは、この遊技において設定されていた貸玉単価と共に、貸玉単価出力手段により出力される。なお、貸玉単価出力手段は、換金率出力手段と同様、様々な態様にて実施できる。これについては、換金率出力手段に関して前述した説明において、「換金率」を「貸玉単価」と置き換えることにより説明できる。
【0043】
このように構成された玉封入式パチンコ機によれば、貸玉単価出力手段により数値データが貸玉単価と共に出力されるので、数値データが正当に評価される。また、ホール側が、貸玉単価を設定する場合、新しい機種については貸玉単価を高くし、遊技者に対するサービスとして当たり易くするパチンコ機については貸玉単価を低くするといったことも容易にできるようになる。
【0044】
請求項9に記載の本発明では、貸玉単価出力手段が、遊技者が獲得した遊技球の数値データを貸玉単価ごとに、所定の記録媒体に記録するようにされている。ここで記録媒体としては、磁気カード、ICカード、フレキシブルディスク等が挙げられる。
【0045】
こうすると、遊技者は、互いに貸玉単価の異なる複数の数値データを所持することができるようになる。請求項10に記載の本発明は、記録媒体に記録された前記数値データの内、貸玉単価設定手段により設定されている貸玉単価と同じ貸玉単価に対応する出力された数値データに限り、遊技に再使用可能としている。
【0046】
こうすると、遊技を自由に中断および再開できるようになる。再開時には、記録媒体に記録された数値データを用いることになる。また、同じ貸玉単価の他の玉封入式パチンコ機に移動して遊技を再開することも可能である。なお、貸玉単価の異なる複数の数値データを記録しておくと、多彩な遊技が可能となるものの、記録されている数値データの総価値が分かり辛くなる。例えば、遊技前には貸玉単価4円の数値データが1000、貸玉単価2.5円の数値データが1500であったのが、遊技後には夫々1100、1300となった場合に、総価値が増えたのか減ったのかが分かりにくい。
【0047】
そこで、請求項11に記載の本発明では、記録媒体に記録された貸玉単価の異なる数値データを、貸玉単価に応じた共通の数値データに換算する換算手段を備えている。なお、共通の数値データとしては、前述の「遊技の成果を表す値」が挙げられる。
【0048】
換算手段を用いて、貸玉単価の異なる数値データを、貸玉単価に応じた共通の数値データにしておけば、その共通の数値データを参照することにより、記録されている数値データの総価値を容易に把握することができる。請求項12に記載の本発明では、請求項11の玉封入式パチンコ機において、算出された共通の数値データを貸玉単価の異なる数値データに逆換算する逆換算手段を備えている。
【0049】
こうすると、ある貸玉単価にて獲得した数値データを一旦共通のデータに換算し、数値データの価値を把握した後、元々の貸玉単価とは異なる貸玉単価の数値データに逆換算することにより、その数値データを再利用可能となる。特に、請求項10に適用した場合には、元の貸玉単価とは異なる貸玉単価の数値データに逆換算することにより、異なる貸玉単価の数値データも使用可能となる。なお、この際には、異なる貸玉単価の数値データを利用することに関する手数料としてデータをいくらか減じてもよい。こうすると、同じ貸玉単価の数値データを再利用する場合との差別化をすることができる。
【0050】
請求項13に記載の本発明では、貸玉単価出力手段を、遊技者が獲得した遊技球の数値データおよびその遊技において設定されていた貸玉単価を出力するに代えて、数値データおよび貸玉単価から算出される遊技の成果を示す値を出力するものとしている。この「遊技の成果を示す値」は、算出に、換金率ではなく貸玉単価を用いる点を除けば、前述の遊技の成果を示す値と同じである。また、結果として全く同じものであってもよい。また、この玉封入式パチンコ機は、請求項11に記載の玉封入式パチンコ機において、数値データおよび貸玉単価を出力することなく「共通の数値データ」を出力するものと見なすこともできる。
【0051】
このような請求項13の玉封入式パチンコ機によれば、数値データと貸玉単価とを出力した場合に比べ、今回の遊技と過去の遊技との成果の比較をし易い。請求項14に記載の本発明は、遊技者が貸玉単価の設定をすることを可能にしたものである。
【0052】
このように遊技者によって設定可能にすると、貸玉単価は必ず最も安い額に設定されそうであるが、貸玉単価出力手段が、数値データを貸玉単価と共に出力(或はこれらから算出される遊技の成果を表す値)するので、数値データの評価も低くなる。
【0053】
このパチンコ機では、遊技者の価値感や経済状態にあった遊技を行なうことが可能となる。すなわち、資金が多く掛かってもよいから数値データ1あたりの評価の高い遊技をしたいと考える遊技者は、貸玉単価を高く設定すればよく、数値データの評価は低くてもよいから大量の遊技球でじっくり遊技をしたいと考える遊技者は、貸玉単価を低く設定すればよい。
【0054】
ところで、パチンコ機ごとに貸玉単価を設定可能とし、これをホール側が1台1台設定することになると非常に手間が掛かる。また、こうして設定した結果、ある遊技者が遊技をしたくない貸玉単価が設定されたパチンコ機は空いているが、遊技をしたい貸玉単価のパチンコ機が空いていないために、遊技をすることなく帰ってしまうという事態が起こりうる。
【0055】
この点、請求項14の玉封入式パチンコ機のように、貸玉単価の設定を遊技者に委ねることにより、ホール側が、パチンコ機毎に貸玉単価を設定する手間が無くなり、また、空いているパチンコ機を遊技者の所望する貸玉単価に設定することができる。また、請求項10に記載の玉封入式パチンコ機に適用すれば、貸玉単価を同じにすることにより、任意の玉封入式パチンコ機に移動が可能となる。
【0056】
請求項15に記載の本発明では、貸玉単価設定手段が、当該玉封入式パチンコ機における遊技に使用する遊技球数を示す数値データが0ではない状態においては、貸玉単価の設定ができないようにされている。これに反し、数値データが0ではない状態においても、貸玉単価の設定が可能であると、大当たり等により数値データが大きな値になってから、更に貸玉単価を高くする、という不正遊技が可能になってしまう。
【0057】
請求項15に記載の玉封入式パチンコ機によれば、この不正遊技を防止することができる。請求項16に記載の本発明は、いわゆる確率変動を起こす玉封入式パチンコ機に応用したものである。こうしたパチンコ機では、予め定められた第1の遊技条件が成立すると、大当たりになる確率(以下、単に当たり確率という)が上昇し、且つ予め定められた第2の遊技条件が成立すると、当たり確率が低下するようにされている。第1の遊技条件や第2の遊技条件の例としては、パチンコ機の備えるディスプレイ装置に、特定の図柄の組み合わせ(当たり配列という)が表示されることや、こうした図柄を複数列表示できるディスプレイにおいて、特定の列に当たり配列が表示されること(或は当たり配列が表示された列数)というのが代表的である。なお、第1の遊技条件と第2の遊技条件は、互いに同じであっても構わない。
【0058】
そして、第1の遊技条件が成立し、大当たりになる確率が上昇した状態においては、貸玉単価の設定ができないようにされている。これに反し、大当たりになる確率が上昇した状態においても、貸玉単価の設定が可能であると、次のような不正遊技が可能となってしまう。すなわち、当たり確率が高くなったら貸玉単価を高くして遊技を続行する、という不正遊技である。たとえ、遊技に使用する遊技球数を示す数値データが0ではない状態においては、貸玉単価の設定ができないようにされていても、当たり確率が上昇した時点で一旦遊技を終了してこの数値データを0にすれば、貸玉単価を高くできる。仮にこの不正遊技が可能であると、続行後の大当たりは、比較的簡単に得られるので、貸玉単価を高くすることにより評価の高くなった数値データを遊技者は獲得できてしまう。
【0059】
請求項16に記載の玉封入式パチンコ機によれば、こうした不正遊技を防止することができる。請求項17に記載の本発明は、いわゆる時短を起こす玉封入式パチンコ機に応用したものである。こうしたパチンコ機では、予め定められた第3の遊技条件が成立すると、当該玉封入式パチンコ機が備える電動式入賞口の開放頻度が上昇し、予め定められた第4の遊技条件が成立すると、電動式入賞口の開放頻度が低下するようにされている。第3の遊技条件の例としては、当該玉封入式パチンコ機の備えるディスプレイ装置に、当たり配列が表示されることや、当たり配列の中でも特定の当たり配列が表示されることが代表的である。第4の条件としては、ディスプレイ装置における図柄変動が所定回数(例えば100回)行なわれたこと、再び当たり配列が装置に表示されたこと等が挙げられる。なお、電動式入賞口としては電動チューリップが例示できる。
【0060】
電動式入賞口の開放頻度が上昇すると、発射された遊技球は容易に電動式入賞口に入賞するようになり、この状態では遊技者は遊技球を示す数値データの値をほとんど減らすことなく遊技を行なうことができる。請求項17の玉封入式パチンコ機においては、この電動式入賞口の開放頻度が上がった状態においては、貸玉単価の設定ができないようにされている。
【0061】
これに反し、電動式入賞口の開放頻度が上がった状態においても、貸玉単価の設定が可能であると、次のような不正遊技が可能となってしまう。すなわち、開放頻度が上がったら貸玉単価を高くして遊技を続行する、という不正遊技である。たとえ、遊技に使用する遊技球数を示す数値データが0でないと貸玉単価の設定ができないようにされていても、開放頻度が上がった時点で一旦遊技を終了してこの数値データを0にすれば、貸玉単価を高くできるようになる。仮にこの不正遊技が可能であると、続行後の大当たりは、比較的簡単に得られるので、貸玉単価を高くすることにより評価の高くなった数値データを遊技者は獲得できてしまう。
【0062】
請求項17に記載の玉封入式パチンコ機によれば、こうした不正遊技を防止することができる。請求項18に記載の玉封入式パチンコ機では、大当たりしている状態において、貸玉単価の設定ができないようにされている。
【0063】
これに反し、大当たりの状態においても貸玉単価の設定が可能であると、たとえ数値データが0ではない状態では貸玉単価の設定ができないようにされていても次のような不正遊技が可能となってしまう。すなわち、大当たりが発生した際に数値データがある場合には、遊技を一旦終了して数値データをゼロにするか、或は数値データが数十程度であれば、発射強度を最大にする等して入賞口に一切入らないようにして数値データを使い尽くす。こうすれば、貸玉単価の設定が可能になるから、大当たりによって得られる大量の数値データの価値を、貸玉単価を上昇させることにより、高くすることができてしまう。なお、請求項16の玉封入式パチンコ機ならば、当たり確率が上昇した状態ではこの不正遊技は不可能だが、当たり確率が上昇していなければ可能となる。また、請求項17の玉封入式パチンコ機でも、電動式入賞口の開放頻度が上昇していない状態では可能となる。
【0064】
請求項18に記載の玉封入式パチンコ機によれば、こうした不正遊技を防止することができる。
【実施例】
【0065】
以下、本発明の実施の形態を一層明確にするため、本発明の好適な実施例を図面と共に説明する。まず、図1は本発明の一実施例であるパチンコ機2の前面を表す構成図である。パチンコ機2は、封入式と呼ばれるタイプのパチンコ機であり、更に、貸玉単価を遊技者が変更可能にされている(詳しくは後述)。このパチンコ機2は、遊技盤面に設けられた遊技域4の中央上部に、様々な画像を表示する液晶表示装置6を備えており、その下方には遊技球を受け入れ易い状態に変化可能な、変動入賞装置8を備えている。始動入賞口10a〜10cへ発射玉が入る(入賞する)と、液晶表示装置6に3桁の図柄が夫々表示される。これらの図柄は各桁0〜9の数字、およびA、Bの計12種類からなり、全部で12×12×12=1728通りの表示態様がある。
【0066】
液晶表示装置6の下部には、図柄の変動表示中に、更に始動入賞口10a〜10cへ発射玉が入賞すると、その入賞回数に応じた数(最大4個)だけ点灯する4個のLEDからなる始動記憶表示器12が設けられており、液晶表示装置6の変更表示制御が一旦終了したときに(表示する図柄の変化が停止したときに)、始動記憶表示器12を形成するLEDが点灯していれば、その点灯が1つ消されて、液晶表示装置6での図柄の変更表示が再度なされるようになっている。
【0067】
なお、図1において、14は液晶表示装置6の上部に設けられた天入賞口、16a,16b及び18a,18bは、夫々、液晶表示装置6及び変動入賞装置8の左右に設けられた袖入賞口、20a〜20fは発射玉の転動させる風車、21は上皿22内で賞球に応じた遊技球の排出を行なうか否かを選択するためのレバー、23は遊技球を借りたり、貸玉単価の変更を行なったりするためのコンソール、24は入賞状態等に応じた発音がなされるスピーカである。また、26は遊技球を発射するために回動操作される発射ハンドルであり、図示しない発射装置によって1分間に100個の割合で遊技球が発射されるように設定されている。なお、ここでは、天入賞口14、始動入賞口10a〜10c、袖入賞口16a、16b、18a、18bの賞球は何れも5個とされており、これらの入賞口を総じて一般入賞口と呼ぶことにする。
【0068】
変動入賞装置8には、前面の中央上部に、ソレノイド(図示せず)によって開閉される開閉板28が設けられている。そして、液晶表示装置6に停止して表示された3桁の図柄が、すべて同じ(例えば「111」)になった時に、開閉板28が前方に開かれることにより、大入賞口30が形成される(いわゆる大当たり)。そして開閉板28は、液晶表示装置6に表示される図柄が揃ってから所定時間(例えば、30秒)経過するか、或いは大入賞口30に発射玉が10個入賞したと検出されるかのどちらかが成立すると閉じるようにされている。なお、大入賞口30に対する賞球は15個となっている。また、液晶表示装置6にすべて同じ図柄が表示される確率、つまり当たり確率は、パチンコ機2の起動時には1/350にされているが、「333」「555」「777」「AAA」「BBB」の5種類の内のいずれかの配列で大当たりになった場合(本発明の第1の遊技条件に相当)には、当たり確率が1/70まで上昇する。以降、前記5種類以外の当たり配列で大当たりになるか、或は大当たりが初回を含めて連続5回、前記5種類の当たり配列で大当たりになる(本発明の第2の遊技条件に相当)と、当たり確率が1/350に戻る。
【0069】
また、大入賞口30はその内部が3つに仕切られており、その中央部は大当たり状態を継続させるための特定領域32となっている。特定領域32を遊技球が通過した場合には、開閉板28を閉じた後に再び開閉板28を開放して大当たり状態が継続するようになっている。なお、このパチンコ機2において、大当たり状態の間に開閉板28が開閉する最大回数は16回に設定されている。
【0070】
図2(a)に、上皿22の平面図を示す。上皿22には、通常のパチンコ機では賞球や貸し玉が排出される箇所である上部踊場34が、透明の合成樹脂製のカバー36で覆われている。これにより、遊技球38に触れることができないようにされている。なお、上部踊場34は本図において右側が低くされている。また上皿22にはカバー36の右方にも透明の合成樹脂製の窓40が設けられており、この窓40を通して発射ハンドル26を操作することにより発射される遊技球38を目視できるようにされている。なお、上部踊場34は本発明の玉受け皿に相当し、カバー36は本発明の第1透明カバーに相当する。
【0071】
図2(b)は上皿22を断面にした平面図である。図1に示したレバー21を上側にしておくと、賞球が揚送機44によって上部踊場34に供給される状態(上皿循環という)となる。揚送機44から排出された遊技球38は、上部踊場34を本図の右方に転がり、踊場出口46からパチンコ機2内に入る。そして下降経路48を左側に転動して図2(c)に示す下部踊場50に至る。下部踊場50は本図において左側が低くされており、遊技球38は下部踊場50内を左方へ転がり遊技球38は揚送機44に至る。揚送機44が稼働していれば、遊技球38は上昇されて再び上部踊場34へと排出される。つまり上部踊場34、下降経路48、下部踊場50、揚送機44は閉じた通路(この通路を第1閉通路と呼ぶ)をなしている。従って、この第1閉通路内の遊技球38は、増えも減りもしない。なお、揚送機44は本発明の賞球送給部に相当し、下降経路48は本発明の傾斜路に相当し、下部踊場50は本発明の玉貯留部に相当する。
【0072】
一方、窓40から見える遊技球38は、発射玉経路52を流下するもので、図2(b)において右方へ転動されて図示しない発射装置へと供給される。この発射玉経路52を流れる遊技球38はアウト玉受54から供給される。なお、窓40は本発明の第2透明カバーに相当する。
【0073】
図2に示した構成を正面から見たときの模式図を図3(a)に示す。アウト玉受54へは、一般入賞口および大入賞口30に入賞した遊技球38、何れの入賞口にも入らず遊技域4(図1参照)の下端に形成されたアウト穴(図示しない)から排出された遊技球38、発射力が不足して遊技域4に到達できなかった遊技球38(ファール玉という)が流れ込むようにされている。なお、本図では、一般入賞口を袖入賞口18a、18bにて代表させている(以下、一般入賞口18a、18bとも言う)。これら一般入賞口18a、18b及び大入賞口30とアウト玉受54とはダクト56で繋がれている。ダクト56の途中には一般入賞口スイッチ58、大入賞口スイッチ60が設けられており、これらにより、一般入賞口18a、18bに入賞した遊技球38の数、大入賞口30に入賞した遊技球38の数を検知可能にされている。本図には示されていないが、アウト穴に入った遊技球38の数もアウト穴スイッチにより検知可能にされており、これらの検知結果の合計が、発射数となる(ファール玉は発射数に数えられない)。
【0074】
アウト玉受54に流れ込んだ遊技球38は、発射玉経路52を流下して供給口62に到達する。供給口62から流れ出た遊技球38は発射レール64にセットされ、発射装置の備える打杵66に打撃されることにより遊技域4に打ち出される。つまり、アウト玉受54、発射玉経路52、供給口62、発射レール64、遊技域4、一般入賞口18a、18b(または大入賞口30若しくはアウト穴)、ダクト56は、閉じた通路(これを第2閉通路と呼ぶ)をなしている。従って、この第2閉通路内の遊技球38も、増減しない。
【0075】
遊技者が持っている遊技球38の数を示す数値データ(以下、景品玉という)が0の状態においては、発射経路ソレノイド68により稼働されるシャッターにて供給口62は閉じられ、発射ハンドル26(図1等を参照)を操作して打杵66を稼働させても遊技球38が発射できないようにされている。
【0076】
図3(b)は揚送機44の概略を示す説明図で、図3(a)の左方から見た図となっている。揚送機44は、図3(b)に示す様に、タイミングベルト70に付けられたバケット72により遊技球38を下部踊場50から上部踊場34へと上昇させる機構である。レバー21の操作により上皿循環のモードにされているときに、入賞が発生すると、パチンコ機2の制御装置74からバス76を介して揚送機コントローラ78に、その入賞に対応する賞球分だけ、遊技球38を揚送する旨の指令が入力される。揚送機コントローラ78は、その賞球の数に対応する角度だけ、ステッピングモータ80を回転させ、上部踊場34へ遊技球38を供給する。なお、82はパルスアンプである。
【0077】
コンソール23について、図4を用いて説明する。本図は、図1においてコンソール23の付近を拡大した図である。コンソール23は、第1表示部84、第2表示部86の2つの液晶ディスプレイを備えており、第1表示部84には貸玉単価やプリペイドカードの残金等が表示される。一方、第2表示部86には、景品玉の数や会員カードに記録された預玉(会員カードに記録された景品玉の数値データのこと。遊技に用いることはできるが、景品と交換することは不可能)数が表示される。
【0078】
会員カードは本発明の記録媒体に相当する磁気カードで、これには貸玉単価ごとに預玉を記録可能にされており、本図の「預玉」の欄に表示されているのは、貸玉単価2円/個の預玉が2000個あることを示している。なお、会員カードには、預玉の他に、貯玉も格納される、貯玉とは会員カードに記録された換金用の玉数で、後述する貯玉変換処理により、預玉を変換することにより作られる。会員カード内の記憶の様子を[表1]に示す。
【0079】
【表1】

【0080】
この会員カードには、貸玉単価2円で貸し出された遊技球38で行なわれた遊技の結果、遊技者が獲得した預玉(以下、単に「貸玉単価2円の預玉」という)が2000個、貸玉単価3円の預玉が1500個、貸玉単価3.5円の預玉が10200個、貯玉が8000個記録されていることを示している。
【0081】
図4に戻る。貸玉単価は貸玉単価設定ボタン88により設定する。通常状態において貸玉単価は4円とされており、減少ボタン88aを押すことによりこれを0.5円ずつ下げ、最小2円まで下げることができる。増加ボタン88cを押すと、0.5円ずつ上げ、最大4円まで上げることができる。標準ボタン88bを押すと、貸玉単価が4円になる。
【0082】
玉貸ボタン90は、差込口92aに差し込まれたプリペイドカードから500円分の遊技球38を借りるときに押すボタン、預玉引出ボタン94は、差込口92bに差し込まれた会員カードの預玉から100個ずつ球を借りるときに押すボタンである。なお、差込口92bは、会員カードが差し込まれていないときには景品カードを発行する発行口としても機能する。景品カードとは、その遊技で遊技者が獲得した景品玉を貯玉にして記録したカードである。
【0083】
コンバートボタン96は、会員カードに記録されている預玉を貯玉に変換するためのボタンである。コンバートボタン96を押すと、現在、貸玉単価設定ボタン88にて設定されている貸玉単価と同じ預玉が、貯玉に変換される(詳しくは後述)。
【0084】
精算ボタン98は、現在の景品玉を、貸玉単価と共に全て会員カードに記録するためのボタンである。差込口92bに会員カードが差し込まれていないときには、景品カードが作成され、これに景品玉を変換してなる貯玉が記録され、差込口92bから出て来る。返却ボタン100aは、差込口92aに差し込まれたプリペイドカードを取り出すためのボタン、返却ボタン100bは、差込口92bに差し込まれた会員カードを取り出すためのボタンである。
【0085】
図5に、制御装置74のブロック図を示す。制御装置74は、一般入賞口スイッチ58、大入賞口スイッチ60、貸玉単価設定ボタン88、玉貸ボタン90、預玉引出ボタン94、コンバートボタン96、及び精算ボタン98からの各検出信号を入力する入力回路102と、入力回路102を介して取得した各検出信号に基づいて各種プログラムを実行するCPU104と、CPU104により実行されるプログラムが格納されたROM106と、CPU104が処理するデータを一時記憶するRAM108と、第1表示部84、第2表示部86、景品カード記録部110、発射経路ソレノイド68等へ、夫々駆動信号を出力する出力回路112と、プリペイドカードから残金情報を読み取ったり書きこんだりするプリペイドカードリーダライタ114に対し制御信号やデータのやり取りをするプリペイドカードリーダライタコントローラ116と、会員カードから預玉数の読み取り・書き込み等を行なう会員カードリーダライタ118に対し制御信号やデータのやり取りをする会員カードリーダライタコントローラ120と、これら各部を接続するバス76とを備えている。なお、本図では、アウト穴スイッチ、特定領域32を遊技球38が通過したことを検出するスイッチ、変動入賞装置8の開閉板を開閉させるソレノイド等を省略している。また、プリペイドカードリーダライタ114および会員カードリーダライタ118は、本発明の玉貸料入力手段に相当する。
【0086】
図6に、CPU104によって実行される賞球処理の概略を示す。本処理は、一般入賞口スイッチ58、大入賞口スイッチ60のいずれかにより遊技球38の入賞が検知されることを割りこみ指令として起動する。本処理が起動されると、まずステップ(以下、Sと記す)100にて本処理を起動させた入賞が一般入賞か否かを判定する。一般入賞であれば景品玉数を5増やし(S105)、賞球数を5増やして(S110)からS125に進む。ここで賞球数とは、揚送機コントローラ78に送信して揚送機44を稼働させ、下部踊場50から上部踊場34へ上昇させる遊技球38の数である。賞球数は、後述するS135でリセットされない限り、本処理が終わっても値が保持される。一方、景品玉数は、全て遊技に使用されるか、精算されるかのいずれかが行なわれない限り、本処理が終わってもその値が保持される。S100で一般入賞でないと判定されたときには、大入賞口30への入賞とみなし、景品玉数を15増やし(S115)、賞球数を15増やして(S120)からS125に進む。
【0087】
S125では、揚送機コントローラ78のBUSY信号がON(賞球数を受信不可能な状態)か否かを判定する。ONであれば、本処理を終了し、BUSY信号がOFFであれば、賞球数を揚送機コントローラ78に送信する。なお、送信された賞球数は揚送機コントローラ78の備えるバッファに格納される。そしてS135にて賞球数をリセットする(ゼロにする)と本処理を終了する。
【0088】
この賞球処理に応じて揚送機コントローラ78にて実行される揚送処理について図7のフローチャートを用いて説明する。本処理はパチンコ機2に電源が投入されることにより揚送機コントローラ78に通電が行なわれると起動する。なお、初期状態ではBUSY信号はOFFとなっている。本処理が起動されると、まずS200にて、パチンコ機2が上皿循環状態にあるか否か、すなわちレバー21が上側にされているか下側にされているかを判定する。上皿循環状態であればS205に進み、賞球数がバッファにあるか否か、つまりS130にて制御装置74から送信された賞球数を、揚送機コントローラ78が受信しているか否かを判定する。受信していなければS200に戻り、受信していればS210に進んでBUSY信号をONにする。そしてバッファの賞球数を揚送数にセットし(S215)、ステッピングモータ80を回転させ、遊技球38を1個だけ下部踊場50から上部踊場34へ揚送する(S220)。
【0089】
そして揚送数を1減らし(S225)、揚送数がプラスか否かを判定し(S230)、プラスならばS220に戻って更に1個揚送する。S220〜S230の処理により、揚送数だけ(すなわち制御装置74から送信されてきた賞球数分だけ)遊技球38が揚送される。なお、遊技球38は図2に示した第1閉通路を循環するので、賞球数の多少に関わらず遊技球38は第1閉通路内に20個もあれば十分である。こうして賞球数分の揚送が終了するとBUSY信号をOFFし(S235)、バッファをクリアして(S240)、S200に戻る。なお、S200において、レバー21が下側になっている(上皿循環ではない)と判定されたときにはS240に直行する。これにより、仮に制御装置74から賞球数が送られてきていても、上皿循環状態でないときには無視される。
【0090】
制御装置74のCPU104が図6に示す賞球処理を実行し、揚送機コントローラ78が図7に示す揚送処理を実行することにより、次のような効果がある。すなわち、パチンコ機2では、通常機と同様、上皿22に賞球が排出される様子が再現されるので、数字で表示したり遊技球38を擬似的に示す画像を画面に表示しただけの従来提案されてきた玉封入式パチンコ機に比べ、達成感がある。それでいて、賞球として排出される遊技球38は、第1閉通路内を循環するので、所要玉数も多くなく、第1閉通路内に20個もあれば、大当たり時の大量の賞球にも対応することができる。従って、玉封入式パチンコ機における、所要玉数が少なくて済む、という利点を損なうことがない。また、発射される遊技球38は窓40を介して遊技者に目視させることができ、しかも1発発射する毎に発射玉経路52内の遊技球38が流れて行くので、たとえ入賞が発生しなくても、遊技をしている実感を味わうことができる。
【0091】
なお、パチンコ機2は、以下に述べるような処理を実行することにより、遊技者が、貸玉単価を変更して遊技球38を借りることが可能にされている。まず図8に、CPU104が実行する貸玉単価設定処理の概略を示す。本処理は、本発明の貸玉単価設定手段に相当するもので、3つの貸玉単価設定ボタン88のいずれかが押されると起動する(但し、後述する貯玉変換処理内で減少ボタン88aまたは増加ボタン88cが押された場合を除く)。本処理が起動されるとまずS300にて、パチンコ機2が大当たり中か否かを判定する。大当たり中であればS305に進み、「ただいま貸玉単価の変更はできません」という警告表示を第1表示部84に行ない、本処理を終了する。大当たり中でなければS307に進み、パチンコ機2の当たり確率が高い(すなわち1/70)か否かを判定する。高い場合はS305に進み、高くない(すなわち1/350)場合は、S310に進んで景品玉数が0か否かを判定する。0でなければ、S315に進み、「貸玉単価を変更するには精算をして下さい」という警告表示を第1表示部84に行ない、本処理を終了する。なお、精算については図11の精算処理において詳しく説明する。
【0092】
景品玉数が0ならば、S320に進み本処理を起動させたボタンを判定する。標準ボタン88bであれば、貸玉単価を4円にし(S325)、貸玉単価を第1表示部84に表示して(S330)本処理を終了する。本処理を起動させたボタンが減少ボタン88aであればS335に進み、現在の貸玉単価が2円か否かを判定する。2円であれば本処理を終了し、2円でなければ貸玉単価を0.5円減少させ(S340)、S330に進む。一方、本処理を起動させたボタンが増加ボタン88cであれば、現在の貸玉単価が4円か否かを判定する(S345)。4円であれば本処理を終了し、4円でなければ貸玉単価を0.5円増加させ(S350)、S330に進む。つまり、本処理によれば、当たり確率が1/350であって、かつ景品玉数が0の状態においてのみ、貸玉単価が2円〜4円の範囲で0.5円刻みで変更可能となっている。
【0093】
図9に、CPU104が実行する玉貸処理の概略を示す。本処理は、本発明の玉貸手段に相当するもので、玉貸ボタン90が押されると起動する。本処理が起動すると、まずS400にて差込口92aにプリペイドカードが差し込まれているか否かを判定する。この判定はプリペイドカードリーダライタコントローラ116との信号の授受によって行なわれる。差し込まれていなければ、S405に進み「プリペイドカードを入れて下さい」という警告表示を第1表示部84に行ない、本処理を終了する。プリペイドカードが差し込まれていれば、S410にて現在設定されている貸玉単価において500円で貸し出せる遊技球38の個数を算出する。例えば、貸玉単価が4円であれば、125個となり、貸玉単価が3.5円であれば、142個(端数は切り捨て)となる。
【0094】
こうして算出された貸玉個数を、景品玉数に加算し(S415)、プリペイドカードリーダライタコントローラ116に指令を発して、プリペイドカードから500円を減算する(S420)。S425では更新された景品玉数を第2表示部86に表示し、S430では更新されたプリペイドカードの残金を第1表示部84に表示する。S435では、プリペイドカードの残金が0か否かを判定する。残金が0であれば、プリペイドカードを差込口92aから排出する(S440)。そして発射経路ソレノイド68に指令を発してシャッターを開放し(S445)、本処理を終了する。一方、残金が0でない場合にはS445に直行する。なお、シャッターが既に開いている状態でS445が実行された場合には、何も行なわれない。つまり本処理によれば、実行時の貸玉単価にて、500円分の個数の遊技球38をプリペイドカードから貸し出し、これに応じて景品玉数、プリペイドカードの残金が更新される。
【0095】
図10に、CPU104が実行する預玉引出処理の概略を示す。本処理も、本発明の玉貸手段に相当する処理であり、預玉引出ボタン94が押されると起動する。本処理が起動すると、まずS500にて差込口92bに会員カードが差し込まれているか否かを判定する。この判定は会員カードリーダライタコントローラ120との信号の授受によって行なわれる。差し込まれていなければ、S505に進み「会員カードを入れて下さい」という警告表示を第2表示部86に行ない、本処理を終了する。会員カードが差し込まれていればS510に進み、現在、設定されている貸玉単価に対応する預玉が会員カードに記録されているか否かを判定する。仮に会員カードの記録内容が、[表1]に示したようなものであれば、貸玉単価が2円のときには、預玉は2000個であるから「あり」と判定され、貸玉単価が2.5円のときには、預玉は0個であるから「なし」と判定される。預玉が無ければ、S515に進み、例えば「2.5円の預玉はありません」という警告表示を第2表示部86に行ない、本処理を終了する。この警告表示の「2.5円」の部分は、現在の貸玉単価に応じて変化する。
【0096】
預玉があれば、S520に進み、その数が100個以上か否かを判定する。100個以上あればS525にて預玉数を100個減算してからS530に進む。一方、預玉が100個に満たなければS535にて預玉数を0にして、S530に進む。S530では、S525またはS535で減数された分だけ景品玉数を更新する。具体的には、預玉がS525で減算されたのであれば景品玉数を100増やし、S535で預玉が0にされたのであれば、S535を実行する直前まであった預玉数を全て景品玉数に加算する。
【0097】
続くS540では、S525またはS530で更新された預玉数を第2表示部86に表示し、S545ではS530で更新された景品玉数を第2表示部86に表示する。そしてS550で、発射経路ソレノイド68に指令を発してシャッターを開放し、本処理を終了する。なお、シャッターが既に開いている場合には、何も行なわれない。つまり、本処理によれば、実行時の貸玉単価に対応する預玉を、100個単位(100個に満たない場合にはその全数)で会員カードから引き出す処理となっている。
【0098】
次に、遊技を終了する際に行なう精算処理について図11を用いて説明する。本処理は、精算ボタン98が押されると起動する。本処理が起動すると、まずS600にて差込口92bに会員カードが差し込まれているか否かを判定する。差し込まれていれば、現在の貸玉単価に対応する預玉に、現在の景品玉数を加算し(S605)する。例えば、現在の貸玉単価が3円、景品玉数が1000個、会員カードの記録内容が[表1]に示した様なものであった場合に、精算ボタンを押すと、S605の処理にて貸玉単価3円の預玉数1500個に景品玉数1000個が加算されて2500個になる。その結果、その貸玉単価に関し会員カードに預けられた預玉の総数を第2表示部86に表示する(S610)。この処理により、今まで第2表示部86に「預玉 3.0 1500個」と表示されていたものが「預玉 3.0 2500個」と更新される。なお、S605は本発明の貸玉単価出力手段に相当する。
【0099】
一方、会員カードが差し込まれていない場合には、S615に進み、「会員カードを入れて下さい。景品カードに貯玉をする場合には、もう一度精算ボタンを押して下さい」という警告表示を第1表示部84に行なう。会員カードが差し込まれたか否かを判定し(S620)、差し込まれた場合はS605に移行する。差し込まれない場合は、精算ボタン98が押されたか否かを判定し(S625)押されない場合はS620に戻り、会員カードが差し込まれるか或は精算ボタン98が押されるのを待つ。精算ボタン98が押された場合は、現在の景品玉数を貯玉数に換算する(S630:本発明の換算手段に相当)。
【0100】
この換算は、「貸玉単価4円の場合、貯玉は景品玉数と同数」を基準とする。例えば、景品玉数が1000個だった場合、現在の貸玉単価が4円であれば、貯玉数は同数の1000個、貸玉単価が3円であれば750個、貸玉単価が2.5円であれば625個になる。そしてS635にて、この貯玉が記録された景品カードを作成し、差込口92bから排出する。なお、景品カードの作成は、無地のカードに景品カード記録部110にて貯玉数を印字することにより行なわれる。続くS640では、景品玉数を0にし(このS640で、会員カードに預玉を記録した場合と合流する)、S645で景品玉数を第2表示部86に表示する(つまり「景品玉数 0個」と表示される)。そしてS650にてシャッターを閉じ、本処理を終了する。
【0101】
つまり本処理は、全ての景品玉数を、預玉として会員カードに記録するか、貯玉として景品カードに記録するかのいずれかを行なう処理となっている。会員カードに記録された預玉を、貯玉にする際に行なう貯玉変換処理について図12を用いて説明する。本処理はコンバートボタン96を押すと起動される。本処理が起動されると、まずS700にて差込口92bに会員カードが差し込まれているか否かを判定する。この判定は会員カードリーダライタコントローラ120との信号の授受によって判定される。差し込まれていなければ、S705に進み「会員カードを入れて下さい」という警告表示を第2表示部86に行ない、本処理を終了する。会員カードが差し込まれていれば、S710に進み、現在、設定されている貸玉単価に対応する預玉を会員カードから読み取って第2表示部86に表示する。例えば、現在の貸玉単価が3円で、会員カードに記録されている貸玉単価3円の預玉が1500個であれば、「預玉 3.0 1500個」と表示される。
【0102】
続いて、貸玉単価設定ボタン88のいずれかが操作されるのを待ち(S715)、S720で操作された貸玉単価設定ボタン88がいずれであるかを判定する。なお、前述したように本処理の中では貸玉単価設定ボタン88を操作しても貸玉単価設定処理は起動されない。操作されたのが減少ボタン88aであれば、S725に進み、現在、第2表示部86に表示されている預玉よりも、0.5円貸玉単価が低い預玉を例えば「預玉 2.5 0個」と表示する。そしてS715に戻り、更に貸玉単価設定ボタン88が操作されるのを待つ。一方、操作された貸玉単価設定ボタン88が増加ボタン88cであれば、S730に進み、現在、第2表示部86に表示されている預玉よりも、0.5円貸玉単価が高い預玉を表示(例えば「預玉 3.5 10200個」と表示)し、S715に戻る。なお、本図には示されていないが、例えば、貸玉単価が2円の預玉を第2表示部86に表示させている際に、更に減少ボタン88aが操作された場合は、無視される(貸玉単価が4円の預玉を第2表示部86に表示させている際に、増加ボタン88cが操作された場合も同様)。
【0103】
操作された貸玉単価設定ボタン88が標準ボタン88bであれば、S735に進み、現在、第2表示部86に表示されている預玉を貯玉に換算する。この換算は、精算処理のS630とほぼ同様に行なわれる(従ってS735も本発明の換算手段に相当する)。すなわち、景品玉数が1000個だった場合、第2表示部86に表示されている預玉の貸玉単価が3.5円であれば、貯玉数は875個、貸玉単価が2円であれば500個になる。そしてこの貯玉をS740にて会員カードに記録する。そして、現在、第2表示部86に表示されている預玉数を0にし(S745)、S740で記録された新たな貯玉数を第2表示部86に表示し(S750)S715に戻る。なお、S715〜S750は無限ループとなっているが、返却ボタン100bを押すことにより、本処理は強制的に終了される。
【0104】
本処理により会員カードに記録された貯玉や、精算処理により景品カードに記録された貯玉は、パチンコ機2が設置されたパチンコホールの景品カウンターに持って行くと、換金用の景品(通常2.5円/個)や、換金用ではない景品(約4円/個)に交換される。
【0105】
以上のように、図8〜図12に示した各処理を行なうことにより、パチンコ機2では、貸玉単価を遊技者が自ら設定することができる。そしてこれにより、遊技者の経済状態や価値感に応じた遊技を行なうことが可能となる。例えば、従来の一般的な貸玉単価で遊技をしたい遊技者は、貸玉単価設定ボタン88を操作して、貸玉単価を4円に設定して遊技を行なえばよい。また、資金が少ないときには、貸玉単価を2円に設定すれば、同じ資金で多数の遊技球38(貸玉単価が4円のときの2倍)を借りることができる。
【0106】
貯玉という概念を仮想的に破棄し、景品玉または預玉にて景品を得ると解釈すれば、貸玉単価を変えることは、実質的に換金率を変えていると見なすこともできる。例えば、貸玉単価4円の遊技球38は、2.5円/個で換金され、貸玉単価2円の遊技球38は、1.25円/個と解釈できる。従って、資金が多く掛かってもよいから換金率の高い遊技をしたいと考える遊技者は、貸玉単価を4円にすればよい。また、換金率は低くてもよいから大量の遊技球38でじっくり遊技をしたいと考える遊技者は、貸玉単価を2円にすればよい。また貸玉単価は0.5円刻みで増減できるため、これらの中間的な貸玉単価を設定することも可能である。
【0107】
パチンコ機2は封入式であるため、低い単価で貸し出した遊技球38を、高い単価に設定した他のパチンコ機2へ移動させるという不正遊技を防止することができる。なお、貸玉単価設定ボタン88により、貸玉単価を増減可能にされてはいるものの、景品玉がある状態では貸玉単価の変更が不可能にされている(貸玉単価設定処理のS310においてNO)ため、安い貸玉単価で大量の遊技球38を借りておいて、大当たりしたら貸玉単価を高くすることにより実質的に換金率を高くして換金する、という不正遊技も不可能である。
【0108】
なお、大当たりにより大量の景品玉を獲得しても、精算を行なって景品玉を0にすれば、貸玉単価の変更が可能となる。しかし、この精算で新たに発生した預玉は、貸玉単価を変更すると引き出せなくなる(預玉引出処理のS510でNO)。引き出せるのは、変更後の貸玉単価に対応する預玉である。従って、この精算で新たに発生した預玉を引き出すには、貸玉単価を、精算直前の貸玉単価にする必要があり、これにより前述の、安い貸玉単価で大量の遊技球38を借り大当たりしたら貸玉単価を高くして換金する、という不正遊技を防止できる。
【0109】
また、パチンコ機2は確率変動タイプのパチンコ機であるが、これを悪用した、次のような不正遊技も防止できる。すなわち、安い貸玉単価で大量の遊技球38を借りて、当たり確率が高くなったら一旦精算し、貸玉単価を高くして新たに景品玉を借りたり引き出したりして遊技を続行する、という不正遊技である。仮にこの不正遊技が可能であると、続行後の大当たりは、比較的簡単に得られるので、換金率が高い新たな景品玉を遊技者は大量に獲得できる。なお遊技者が続行のために用いる景品玉は、プリペイドカードで借りるにせよ会員カードから引き出すにせよ、貸玉単価が高いものになるが、当たり確率が高いので、遊技者はこの投資を比較的容易に回収することができ、ホール側は非常に不利である。しかしながら、パチンコ機2では、当たり確率が高い状態では、たとえ精算を行なっても貸玉単価の変更ができない(貸玉単価設定処理のS307でNO)ため、この不正遊技も防止することができる。
【0110】
また、大当たり中においては、貸玉単価の変更ができない(貸玉単価設定処理のS300でNO)ため、大当たり発生直後に精算を行なって、景品玉をゼロにし、貸玉単価を高く設定することにより、大当たりによって得られる大量の景品玉の貸玉単価(実質的に換金率)を不当に高くする、という不正遊技を防止できる。なお、これにより、前述の5種類の配列以外の配列で大当たりになった直後に偶然、景品玉がゼロになった場合に、貸玉単価を高くする、という不正遊技も防止できる。
【0111】
また、景品玉は、貸玉単価ごとに預玉として1枚の会員カードに格納されるため、同じ貸玉単価で別のパチンコ機2で遊技する際に、遊技球38を移動させる必要がない。そして貸玉単価を変えるたびに預玉を貯玉に変換する必要がないので、非常に便利である。なお、会員カードを持っていない遊技者に対しては景品カードを発行する(精算処理のS630およびS635)ため、こうした遊技者も、重い遊技球38を計数器まで運ぶ必要がないという利点がある。
【0112】
景品に交換する場合には、貯玉変換処理を行なうが、貯玉への変換は、現在、設定されている貸玉単価に関わらず、第2表示部に表示された預玉に対して行なうことができ、当たり確率の高低や、持ち玉の有無の影響を受けない。このため、遊技の途中で現金を欲しくなったが、手持ちが少ないという場合には、貯玉変換処理を行なうことにより、貯玉を生成し、これを換金用の景品に交換することにより、現金を補充することができる。そしてこの間、精算をする必要がないため、景品玉がある状態が維持される。従って、換金中にそのパチンコ機が他の遊技者に取られることがない。
【0113】
また、このように遊技者に貸玉単価の設定を委ねることにより、ホール側は貸玉単価を設定する手間が無くなり、遊技者は、空いているパチンコ機を自分の所望する貸玉単価に設定することができる。以上、本発明の実施例であるパチンコ機2について説明して来たが、本発明は、この実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を満たすものであれば、種々の態様で実施できることはいうまでもない。
【0114】
例えば、パチンコ機2は、プリペイドカードにて景品球を借りるものであったが、現金にて借りる機種としてもよい。この場合は、現金を投入すると、その金額とそのときに設定されている貸玉単価とに応じた数の遊技球38が貸し出されるようにするとよい。
【0115】
賞球送給部に相当する構成をバケット72やタイミングベルト70を用いない構成としてもよい。例えば、下降経路48を流下してきた遊技球38を、ベルトで揚送して、上部踊場34よりも高い位置に運び、そこからスプロケットで所要個数のみを上部踊場34に送給するようにしてもよい。
【0116】
また、図9の玉貸処理で遊技球38を借りると揚送機44が稼働して、S410で算出された貸玉個数と同数の遊技球38を送給するようにしてもよい。また、預玉引出処理で預玉を引き出すときにも遊技球38を100個、上部踊場34に送給するようにしてもよい。こうすると、更に遊技の実感を高めることができる。
【0117】
また、玉貸処理は、500円分の遊技球38を貸す処理となっていたが、一定個数の遊技球38を貸し出し、それに応じた料金をプリペイドカードから引き落とす処理としてもよい。この場合、個数を100個とすると、貸玉単価が4円の場合は400円、貸玉単価が3円の場合は300円がプリペイドカードから引き落とされる。
【0118】
また、貸玉単価を、遊技者が変更するのではなく、ホール側が変更するものとしてもよい。この場合にも、パチンコ機2が封入式であるために貸玉単価の異なるパチンコ機2へ預玉移動させることはできず、適切にホールの運用を行なうことができる。
【0119】
また、始動入賞口10aが電動チューリップ式入賞口として構成され、当たり確率が上昇すると電動チューリップが開閉頻度が上昇するようにされている機種に適用してもよい。この機種では、開閉頻度が上昇すると、景品玉を減らすことなく次回の大当たりを得られるので、パチンコ機2と同様、当たり確率が高い状態では、貸玉単価を設定できないようにしておくのがよい。また、当たり確率が上昇することなく電動チューリップの開閉頻度が上昇する機種に適用してもよい。この場合にも、開閉頻度が上昇した状態では貸玉単価を設定できないようにしておくのがよい。
【0120】
プリペイドカードを貸玉単価ごとに専用のものとしてもよい。このプリペイドカードを差込口92aに差し込むと自動的にそのプリペイドカードに対応する貸玉単価が設定されるようにする。こうすると、貸玉単価設定ボタン88を用いて設定する必要が無くなる。ただし、当たり確率が高い場合や景品玉数が0でない場合は、貸玉単価が変更されないようにすべきである。
【0121】
前述のように貸玉単価を設定するのを止め、換金率を調整可能に構成してもよい(本発明の換金率設定手段を設けることに相当する)。この場合、預玉を会員カードに記録する際には、貸玉単価の代わりに換金率を対応させて記録するとよい(本発明の換金率出力手段を設けることに相当する)。なお、換金率を設定可能な態様では、換金率に連動して貸玉単価が変動されるようにしてもよい。例えば、換金率として2.5円/個を選んだ遊技者は、貸玉単価は4円、換金率を3円/個とした遊技者は、貸玉単価は5円などとするとよい。また、貸玉単価を連動させるのではなく、パチンコ機の当たり確率が連動するようにしてもよい。例えば、換金率を2.5円/個にした場合は当たり確率は1/200、換金率を4円/個にした場合は当たり確率は1/320のように、換金率を上げるほど当たり確率が下がるようにするとよい。
【0122】
これとは異なり、ホール側のみが換金率を設定可能にしてもよい。この場合には、パチンコ機には貸玉単価の設定装置を設けず、ホールの管理室から複数のパチンコ機(例えば、機種単位または島単位)を一括して設定できるようにするとよい。
【0123】
また、図12の貯玉変換処理において、貯玉に変換する際に端数となる預玉については貯玉にせず、預玉として会員カード内に残るようにしてもよい。これと略同様に、図11の精算処理において、換金時に端数となる景品玉については預玉にできず、景品玉として残るようにしてもよい。こうすれば、端数の景品玉を用いて遊技を続行することが可能となる。
【0124】
精算処理のS630や図12の貯玉変換処理におけるS735における換算式を変更してもよい。例えば、これらの換算では、貸玉単価4円の場合を基準として貯玉に換算したが、他の貸玉単価を基準としてもよい。また、遊技球1個あたりのホール側の利益を基準として換算してもよい。すなわち、貸玉単価4円のとき2.5円/個で換金することは、1.5円/個がホール側の利益となることを意味している。これに倣い、貸玉単価3.5円のとき2円/個、貸玉単価3円のとき1.5円/個で換金されるようにしてもよい。
【0125】
また、貯玉変換処理において、貯玉に変換する預玉の数を設定可能(例えば、1500個ある貸玉単価3円の預玉の内、1000個だけを貯玉に変換する)にしてもよい。これには、コンソール23にテンキーなどを設け、変換対象とする預玉の数を指定できるようにするとよい。
【0126】
貯玉を預玉に逆変換可能にしてもよい(本発明の逆換算手段を設けることに相当する)。こうすれば、現金や預玉のないときでも、遊技を行なうことができるようになる。この場合には、単に貸玉単価に応じて貯玉から換算される数の預玉に変換されるようにしてもよいが、貯玉を換金してなる現金にて借りられる遊技球38の個数に略等しい預玉に変換されるようにしてもよい。また貯玉から遊技球38を借りられるようにしてもよい。この場合には、貯玉を換金してなる現金にて借りられる遊技球38の個数に略等しい遊技球38が借りられるようにするとよい。
【0127】
パチンコ機2では景品玉の計数を、一般入賞口スイッチ58、大入賞口スイッチ60、アウト穴スイッチの検出結果により算出される発射数をもとに行なっていた。しかし、こうすると、発射された遊技球38が本来最後の遊技球38であっても、その遊技球38がこれらのスイッチのいずれかによって検出されるまでの間はシャッターが閉じられず、その間、遊技者が余分に遊技球38を発射できることになってしまう。これを改善するためには、打杵66の近傍に、発射された遊技球38を検出する発射玉センサ、発射レール64の先端下方に、ファール玉を検出するファール玉センサを設け、発射玉センサの検出結果からファール玉センサの検出結果を減算することにより、景品玉数を算出するとよい。
【0128】
また、パチンコ機2では大当たり中において貸玉単価の変更ができないようにしたが、これに代えて、大当たり中には精算ができないようにしてもよい。このようにすると、前述の5種類の配列以外の配列で大当たりになった直後に景品玉がゼロになった場合に貸玉単価を高くする、という不正遊技は防止できないが、大当たり発生直後に精算を行なって、貸玉単価を高く設定する、という不正遊技は防止することができる。
【0129】
パチンコ機2では、貸玉単価の変更は、景品玉数が0でないとできないため、望まない貸玉単価で遊技球38を借りてしまった場合には精算をするか、借りた遊技球38を遊技で使い尽くすかのいずれかが必要となる。これを改善するために、コンソール23に貸玉単価確認ボタンを設けてもよい。そして、景品玉数が0のときはこれを押してから玉貸ボタン90を押さないと貸玉されないようにするとよい。貸玉単価を変えたい遊技者は貸玉単価確認ボタンを押してから貸玉単価設定ボタン88を押すことになる。なお、貸玉単価確認ボタンが押されることなく貸玉単価設定ボタン88が押された場合には、「この遊技者は貸玉単価を確認した」と見なして玉貸ボタン90を有効にしても良い。また、会員カードもしくはプリペイドカードがコンソール23から抜かれたら、「遊技者が変わった」と判定して、貸玉単価確認ボタンや貸玉単価設定ボタン88を押してからでないと玉貸ボタン90を押しても貸玉が行なわれないようにしてもよい。
【0130】
また、パチンコ機2では、貸玉単価の同じ預玉しか景品玉に変換することができないが、これを貸玉単価の異なる預玉も景品玉に変換できるようにしてもよい。この方法としては、前述のように貯玉を預玉に再変換可能にすることにより貯玉を経て貸玉単価の異なる預玉を景品玉にできるようにしたり、或は貸玉単価の異なる預玉については、手数料に相当する個数を減じられた景品玉になるようにしたりすることが考えられる。
【0131】
また、パチンコ機2では、預玉を貸玉単価毎に会員カードに記憶したが、これを貸玉単価に応じて換算された一つのデータにしてもよい。例えば、貸玉単価4円の景品玉は100個がそのまま100個の預玉として格納され、貸玉単価3円の景品玉は100個が75個の預玉として格納されるようにする。この場合、会員カードに記憶されている預玉が、現在設定されている貸玉単価では景品玉何個分に相当するかを第2表示部86等に表示されるようにするとよい。
【0132】
また、預玉は当日に限り景品玉に変換できるようにしてもよい。この場合、当日を過ぎた預玉については、自動的に貯玉に変換されるようにする。そしてこうするには、会員カードに預玉を記録する際に日付も記録して、その日に記録された預玉か否かを判別できるようにしておく。
【0133】
また、預玉は、その預玉を記録したパチンコ機2以外のパチンコ機2で景品玉に変換するときには、手数料に相当する個数が減じられるようにしてもよい。この場合は、会員カードに預玉を記録する際に、そのパチンコ機2に予め付されている固有番号(台番号など)を記録する等して、別のパチンコ機2に移動したことを判別できるようにしておく。
【0134】
また、現在設定されている貸玉単価に対応する換金率が第2表示部86等に表示されるようにしてもよい。前記実施例の場合、貸玉単価が4円であれば「換金率 2.5円/個」、貸玉単価が3円であれば「換金率 1.88円/個」等と表示されるようにする。更に、現在の景品玉数または預玉数を換金するといくらになるかを表示させてもよい。
【符号の説明】
【0135】
2…パチンコ機14…天入賞口(一般入賞口)16a…袖入賞口(一般入賞口)18a…袖入賞口(一般入賞口)21…レバー 22…上皿23…コンソール 30…大入賞口32…特定領域 34…上部踊場36…カバー 38…遊技球40…窓 44…揚送機46…踊場出口 48…下降経路50…下部踊場 52…発射玉経路54…アウト玉受 56…ダクト58…一般入賞口スイッチ60…大入賞口スイッチ62…供給口 64…発射レール66…打杵 68…発射経路ソレノイド74…制御装置 76…バス78…揚送機コントローラ84…第1表示部 86…第2表示部88…貸玉単価設定ボタン(88a…減少ボタン88b…標準ボタン88c…増加ボタン)90…玉貸ボタン 92a、92b…差込口94…預玉引出ボタン 96…コンバートボタン98…精算ボタン100a、100b…返却ボタン102…入力回路 104…CPU106…ROM 108…RAM110…景品カード記録部112…出力回路114…プリペイドカードリーダライタ116…プリペイドカードリーダライタコントローラ118…会員カードリーダライタ120…会員カードリーダライタコントローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発射された遊技球を発射装置に回収し、持ち玉および賞球を遊技球ではなく数値データとして遊技者に付与する玉封入式パチンコ機において、玉封入式ではないパチンコ機における上部受け皿に相当する玉受け皿に、入賞に応じた数の遊技球を送り出す賞球送給部と、前記玉受け皿に送り出された遊技球を前記賞球送給部に送り返す賞球返送部と、前記玉受け皿に送り出された遊技球を遊技者から隔離する第1透明カバーとを備えたことを特徴とする玉封入式パチンコ機。
【請求項2】
請求項1に記載の玉封入式パチンコ機において、前記玉受け皿は、右側が低くなるように傾斜されたものであり前記賞球返送部は、前記玉受け皿の下方に設けられ、左側が低くなるように傾斜された玉貯留部と、前記玉受け皿の略右端部に転動されてきた遊技球を、当該玉封入式パチンコ機の内部を通って、前記玉貯留部の略右端部に誘導する傾斜路と、を備えたものであり、前記賞球送給部は、前記玉貯留部の略左端部から遊技球の供給を受けて、前記玉受け皿の略左端部に遊技球を送り出すもの、であることを特徴とする玉封入式パチンコ機。
【請求項3】
請求項1または2に記載の玉封入式パチンコ機において、前記賞球送給部は、前記入賞に応じた数の遊技球として、賞球として払い出されるべき数と同数の遊技球を前記玉受け皿に送り出すものであることを特徴とする玉封入式パチンコ機。
【請求項4】
請求項1から3にいずれか記載の玉封入式パチンコ機において、発射された遊技球が発射装置に至る発射玉経路と、該発射玉経路を流れる遊技球を遊技者から目視可能に隔離する第2透明カバーとを設けたことを特徴とする玉封入式パチンコ機。
【請求項5】
発射された遊技球を発射装置に回収し、持ち玉および賞球を遊技球ではなく数値データとして遊技者に付与する玉封入式パチンコ機において、遊技球の換金率を設定するための換金率設定手段と、当該玉封入式パチンコ機にて行なった遊技にて遊技者が獲得した数値データを、前記換金率設定手段により設定された換金率と共に出力する換金率出力手段と、を備えたことを特徴とする玉封入式パチンコ機。
【請求項6】
請求項5に記載の玉封入式パチンコ機において、前記換金率出力手段が、遊技者が獲得した遊技球の数値データおよび前記換金率設定手段により設定されていた換金率を出力するに代えて、該数値データおよび該換金率から算出される遊技の成果を表す値を出力するものであることを特徴とする玉封入式パチンコ機。
【請求項7】
請求項5または6に記載の玉封入式パチンコ機において、前記換金率設定手段は、複数台の前記玉封入式パチンコ機の換金率を外部から一括して設定可能なものであることを特徴とする玉封入式パチンコ機。
【請求項8】
発射された遊技球を発射装置に回収し、持ち玉および賞球を遊技球ではなく数値データとして遊技者に付与する玉封入式パチンコ機において、現金もしくはプリペイドカードを受け入れる玉貸料入力手段と、貸玉単価を設定するための貸玉単価設定手段と、遊技球を借りる旨の指示を遊技者から受けると、玉貸料に応じた代金を前記玉貸料入力手段から徴収すると共に、前記貸玉単価設定手段により設定された貸玉単価および前記玉貸料に応じた数の遊技球を数値データにして遊技者に付与する玉貸手段と、当該玉封入式パチンコ機における遊技にて、遊技者が獲得した遊技球の数値データを、該遊技において設定されていた貸玉単価と共に出力する貸玉単価出力手段とを備えたことを特徴とする玉封入式パチンコ機。
【請求項9】
請求項8に記載の玉封入式パチンコ機において、前記貸玉単価出力手段が、遊技者が獲得した遊技球の前記数値データを前記貸玉単価ごとに、所定の記録媒体に記録するものであることを特徴とする玉封入式パチンコ機。
【請求項10】
請求項9に記載の玉封入式パチンコ機において、前記記録媒体に記録された前記数値データの内、当該玉封入式パチンコ機の前記貸玉単価設定手段により設定されている貸玉単価と同じ貸玉単価に対応する出力された数値データに限り、遊技に再使用可能としたことを特徴とする玉封入式パチンコ機。
【請求項11】
請求項9または10に記載の玉封入式パチンコ機において、前記記録媒体に記録された前記貸玉単価の異なる前記数値データを、前記貸玉単価に応じた共通の数値データに換算する換算手段を備えたことを特徴とする玉封入式パチンコ機。
【請求項12】
請求項11に記載の玉封入式パチンコ機において、前記共通の数値データを前記貸玉単価の異なる前記数値データに逆換算する逆換算手段を備えたことを特徴とする玉封入式パチンコ機。
【請求項13】
請求項8に記載の玉封入式パチンコ機において、前記貸玉単価出力手段が、遊技者が獲得した遊技球の数値データおよび該遊技において設定されていた貸玉単価を出力するに代えて、該数値データおよび該貸玉単価から算出される該遊技の成果を表す値を出力するものであることを特徴とする玉封入式パチンコ機。
【請求項14】
請求項8から13にいずれか記載の玉封入式パチンコ機において、前記貸玉単価設定手段が、遊技者の操作により貸玉単価が設定可能なものであることを特徴とする玉封入式パチンコ機。
【請求項15】
請求項14に記載の玉封入式パチンコ機において、前記貸玉単価設定手段が、当該玉封入式パチンコ機における遊技に使用する遊技球数を示す数値データが0ではない状態においては、貸玉単価の設定ができないものであることを特徴とする玉封入式パチンコ機。
【請求項16】
請求項14または15に記載の玉封入式パチンコ機において、当該玉封入式パチンコ機が、予め定められた第1の遊技条件が成立すると、大当たりになる確率が上昇し、且つ予め定められた第2の遊技条件が成立すると、大当たりになる確率が低下するものであり、前記貸玉単価設定手段が、大当たりになる確率が上昇した状態においては、貸玉単価の設定ができないようにされているものであることを特徴とする玉封入式パチンコ機。
【請求項17】
請求項14から16にいずれか記載の玉封入式パチンコ機において、当該玉封入式パチンコ機が、電動式入賞口を備え、予め定められた第3の遊技条件が成立すると、該電動式入賞口の開放頻度が上昇し、且つ予め定められた第4の遊技条件が成立すると、前記電動式入賞口の開放頻度が低下するものであり、前記貸玉単価設定手段が、前記電動式入賞口の開放頻度が上昇した状態においては、貸玉単価の設定ができないようにされているものであることを特徴とする玉封入式パチンコ機。
【請求項18】
請求項14から17にいずれか記載の玉封入式パチンコ機において、前記貸玉単価設定手段が、当該玉封入式パチンコ機が大当たりした状態においては、貸玉単価の設定ができないようにされているものであることを特徴とする玉封入式パチンコ機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−285468(P2009−285468A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−184883(P2009−184883)
【出願日】平成21年8月7日(2009.8.7)
【分割の表示】特願平11−24226の分割
【原出願日】平成11年2月1日(1999.2.1)
【出願人】(000150051)株式会社竹屋 (389)
【Fターム(参考)】