説明

現像剤供給装置

【課題】 進行波状の電界による現像剤の搬送量を安定化させること。
【解決手段】 本発明の現像剤供給装置は、現像剤流動化部材と、現像剤レベル調整手段と、を備えている。現像剤レベル調整手段は、現像剤収容部内の現像剤の収容レベルを、現像剤流動化部材の移動子が搬送基板と接触する範囲よりも高く調整する。現像剤流動化部材は、その移動子が、現像剤収容部内の現像剤の収容レベルよりも下方にて搬送基板と摺動しつつ、当該搬送基板による現像剤の搬送方向と同一方向に移動するように、駆動される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帯電した粉末状の現像剤を供給対象に対して供給するように構成された、現像剤供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の装置として、例えば、特開2009−80271号公報や特開2009−80299号公報等に開示されているものが知られている。これらの公報に開示された装置は、複数の搬送電極を備えた現像剤搬送体を備えている。この現像剤搬送体は、現像剤を収容する現像剤ケースの内壁面に設けられていて、複数の前記搬送電極に対する多相交流電圧の印加により発生する進行波状の電界によって前記現像剤を搬送するように構成されている。
【発明の概要】
【0003】
この種の装置において、前記供給対象に前記現像剤を良好に供給するためには、進行波状の電界による前記現像剤の搬送量を安定化させる必要がある。本発明は、かかる課題に対処するためになされたものである。
【0004】
本発明の現像剤供給装置は、帯電した粉末状の現像剤を供給対象に対して供給するように構成されている。この現像剤供給装置は、ケーシングと、搬送基板と、現像剤流動化部材と、現像剤レベル調整手段と、を備えている。
【0005】
前記ケーシングは、前記現像剤を収容するための空間である現像剤収容部を内部に備えている。前記搬送基板は、複数の搬送電極を備えている。すなわち、前記搬送基板は、複数の前記搬送電極に対する多相交流電圧成分を含む搬送バイアス電圧の印加により発生する進行波状の電界によって、前記現像剤を、前記現像剤収容部から前記供給対象に向けて所定の現像剤搬送方向に搬送するように構成されている。前記搬送基板は、前記現像剤収容部から前記現像剤搬送方向における下流側に亘って、前記ケーシングの内壁面に固定されている。
【0006】
前記ケーシングは、前記現像剤収容部を構成する上方に開口する半円筒状部分を含む、略U字状に形成され得る。この場合、前記搬送基板は、前記半円筒状部分に対応する位置に設けられた側断面視にて円弧状の部分と、当該円弧状の部分から上方の前記供給対象に向かって延出するように設けられた平板状の部分と、を備えている。
【0007】
あるいは、前記ケーシングは、前記現像剤収容部を構成する側方に開口する略C字状部分を含む、横向きU字状に形成され得る。この場合、前記搬送基板は、前記略C字状部分に対応する位置に設けられた側断面視にて円弧状の部分と、当該円弧状の部分から側方の前記供給対象に向かって延出するように設けられた平板状の部分と、を備えている。この平板状の部分は、前記現像剤を搬送する表面である現像剤搬送面が下方を向くように配置されている。
【0008】
前記現像剤流動化部材は、移動子を備えている。この移動子は、前記搬送基板における前記現像剤収容部に面した表面と接触しつつ、前記現像剤搬送方向と同一方向に移動するようになっている。すなわち、前記現像剤流動化部材は、前記移動子の上述のような移動によって、前記現像剤収容部内に収容された前記現像剤を流動化させるように構成されている。具体的には、例えば、前記現像剤流動化部材は、前記現像剤搬送方向と直交する幅方向と平行な回転中心軸を構成するアジテータシャフトと、前記アジテータシャフトの周囲に設けられた前記移動子としての回転羽根と、を備えている。
【0009】
前記現像剤レベル調整手段は、前記現像剤収容部における前記現像剤の収容レベル(前記現像剤収容部内にて流動化されつつ収容された前記現像剤の高さ)を、所定レベルよりも高くなるように調整するように構成されている。この「所定レベル」は、前記搬送基板における前記現像剤収容部に面した前記表面の、前記移動子が接触する範囲における、前記移動子の移動方向下流端に対応する高さである。
【0010】
例えば、前記現像剤レベル調整手段は、現像剤サブ収容部内にて前記現像剤を攪拌するサブ攪拌部材を備えている。ここで、前記現像剤サブ収容部は、水平方向に沿って前記現像剤収容部と隣接する位置にて前記現像剤を収容するための空間である。そして、前記現像剤が流通可能な連通路が、前記現像剤収容部と前記現像剤サブ収容部とを水平方向に沿って接続するように設けられている。
【0011】
具体的には、例えば、前記現像剤収容部から前記現像剤サブ収容部に前記現像剤を排出するための前記連通路である現像剤排出路と、前記現像剤サブ収容部から前記現像剤収容部に前記現像剤を導入するための前記連通路である現像剤導入路と、が、前記幅方向について異なる位置に設けられ得る。この場合、前記現像剤排出路の前記現像剤収容部側の開口部が、前記搬送基板における前記現像剤収容部に面した前記表面の、前記移動子が接触する範囲における、前記移動子の前記移動方向下流端よりも上方にて開口するように設けられている。また、前記現像剤導入路の前記現像剤収容部側の開口部は、前記現像剤排出路の前記現像剤収容部側の前記開口部と同じ高さに設けられ得る。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態が適用された画像形成装置としてのレーザープリンタの概略構成を示す側面図である。
【図2】図1に示されているトナー供給装置を拡大した側断面図である。
【図3】図2に示されているケーシングにおけるリアパネルを内側から見た正面図である。
【図4】図2に示されている搬送基板を拡大した側断面図である。
【図5】図4に示されている各電源回路の出力波形の一例を示すグラフである。
【図6】図2に示されている本実施形態のトナー供給装置の構成による効果を説明するためのグラフである。
【図7】図2に示されているトナー供給装置内におけるトナーの攪拌(流動化)が充分でない場合に生じる「ガケ」の概略図である。
【図8】図2に示されているトナー供給装置の一変形例を備えた画像形成装置としてのレーザープリンタの概略構成を示す側面図である。
【図9】図8に示されている本変形例のトナー供給装置を上方から見た平面図である。
【図10】図9に示されている本変形例のトナー供給装置の側断面図である。
【図11】図10に示されている本変形例のトナー供給装置におけるトナー収容部の周辺を上方から見た断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、本実施形態に対して施され得る各種の変更(modification)は、当該実施形態の説明中に挿入されると、一貫した実施形態の説明の理解が妨げられるので、末尾にまとめて記載されている。
【0014】
<構成>
図1は、本発明の一実施形態が適用された画像形成装置としての、レーザープリンタ1の概略構成を示す側面図である。図1を参照すると、レーザープリンタ1は、用紙搬送機構2と、感光体ドラム3と、帯電器4と、スキャナーユニット5と、トナー供給装置6と、を備えている。レーザープリンタ1内に設けられた図示しない給紙トレイには、シート状の用紙Pが、積み重ねられた状態で収容されている。用紙搬送機構2は、上述の給紙トレイに収容された用紙Pを、所定の用紙搬送経路PPに沿って一枚ずつ搬送するように構成されている。
【0015】
感光体ドラム3の周面には、静電潜像担持面LSが形成されている。静電潜像担持面LSは、主走査方向(図中z軸方向:用紙幅方向あるいは単に幅方向とも称され得る)と平行な円筒面であって、電位分布による静電潜像が形成されるとともに当該静電潜像に対応した位置にてトナーT(図2参照)を担持するようになっている。感光体ドラム3は、主走査方向と平行な中心軸Cを中心として、所定方向(図中反時計回り)に回転駆動されることで、主走査方向と直交する副走査方向に沿って静電潜像担持面LSが移動するように構成されている。
【0016】
帯電器4は、静電潜像担持面LSを一様に正帯電させるように、静電潜像担持面LSと対向するように配置されている。スキャナーユニット5は、画像データに基づいて変調されたレーザービームLBをスキャン位置SPにて静電潜像担持面LS上に結像させつつ主走査方向に沿って走査することで、静電潜像担持面LS上に静電潜像を形成するように構成されている。
【0017】
トナー供給装置6は、スキャン位置SPよりも感光体ドラム3の回転による静電潜像担持面LSの移動方向における下流側の現像位置DPにて、静電潜像担持面LSと対向するように、感光体ドラム3の下方に配置されている。トナー供給装置6は、現像位置DPにて、トナーT(図2参照)を帯電した状態で静電潜像担持面LSに供給するように構成されている。次に、レーザープリンタ1の各部の具体的な構成について、より詳細に説明する。
【0018】
用紙搬送機構2は、一対のレジストローラ21と、転写ローラ22と、を備えている。レジストローラ21は、用紙Pを所定のタイミングにて感光体ドラム3と転写ローラ22との間の転写位置TP(現像位置DPよりも感光体ドラム3の回転による静電潜像担持面LSの移動方向における下流側)に向けて送り出すように構成されている。転写ローラ22は、静電潜像担持面LSと、転写位置TPにて、用紙搬送経路PP(用紙P)を挟んで対向するように配置されていて、感光体ドラム3の回転方向と反対方向(図中時計回り)に回転駆動されるようになっている。また、転写ローラ22は、図示しない転写バイアス電源回路に接続されていて、静電潜像担持面LS上に付着したトナーT(図2参照)を用紙Pに転写させるための所定の転写バイアス電圧が印加されるようになっている。
【0019】
<<トナー供給装置>>
図2は、図1に示されているトナー供給装置6を拡大した側断面図である。図2を参照すると、トナー供給装置6のケーシング61は、側断面視にて上方に開口する略U字状に形成された箱状部材であって、その長手方向が上下方向(図中y軸方向:鉛直方向とも称され得る)と平行となるように配置されている。ケーシング61の内部には、粉末状のトナーTが収容されている。なお、本実施形態においては、トナーTは、正帯電性、非磁性一成分の、黒色の乾式現像剤である。
【0020】
ケーシング61は、リアパネル61aと、フロントパネル61bと、底板61cと、一対のサイドパネル61dと、から構成されている。
【0021】
リアパネル61aは、主走査方向及び上下方向と平行に配置された平板状の部材であって、水平面に対して直交するように立設されている。フロントパネル61bは、リアパネル61aと平行に配置された平板状の部材であって、水平面に対して直交するように立設されている。リアパネル61a及びフロントパネル61bは、それぞれの上端縁が主走査方向に平行で同じ高さになるように、互いに対向して設けられている。
【0022】
底板61cは、主走査方向と平行な中心軸線を有し上方に開口するように設けられた半円筒状の部材であって、リアパネル61a及びフロントパネル61bのそれぞれの下端部と接続されている。すなわち、リアパネル61a及びフロントパネル61bは、底板61cの上端部から感光体ドラム3に向かって延出するように設けられている。また、リアパネル61a、フロントパネル61b、及び底板61cによって一体的に形成された、側面視にて略U字状の合成樹脂フレームの側方を塞ぐように、一対のサイドパネル61dが設けられている。
【0023】
そして、リアパネル61a、フロントパネル61b、底板61c、及び一対のサイドパネル61dによって囲まれた空間における底部に、トナー収容部61eが形成されている。また、リアパネル61a、フロントパネル61b、及び一対のサイドパネル61dの上端縁によって、現像ローラ露出口61fが形成されている。この現像ローラ露出口61fは、感光体ドラム3に向けて上方に開口するように設けられている。
【0024】
図3は、図2に示されているケーシング61におけるリアパネル61aを内側から見た正面図である。図2及び図3を参照すると、リアパネル61aの下端部には、正面視にて横長の矩形状の貫通孔であるトナー排出口61g及びトナー導入口61hが形成されている。トナー排出口61gは、リアパネル61aの主走査方向における一端側に一個設けられている。また、トナー導入口61hは、リアパネル61aの主走査方向における他端側(図中z軸正方向側)に一個設けられている。
【0025】
本発明の連通路を構成するトナー排出口61g及びトナー導入口61hは、本実施形態においては、同一形状に形成されていて、且つ上下方向について同じ高さに設けられている。すなわち、トナー排出口61g及びトナー導入口61hは、これらの下端縁が所定高さTL1となるように設けられている。この所定高さTL1は、後述するように、トナー収容部61e内におけるトナーTの収容レベルであるトナーレベルTLを規定するためのものである。なお、この所定高さTL1は、後述するアジテータ接触レベルACLよりも高くなるように設定されている。
【0026】
再び図2を参照すると、ケーシング61には、現像ローラ62が、主走査方向と平行な軸を中心として回動可能に支持されている。現像ローラ62は、主走査方向と平行な円柱面状の周面であるトナー担持面62aを有するローラ状の部材であって、トナー担持面62aの一部(図中上部)が現像ローラ露出口61fを介してケーシング61の外部に露出することで、現像位置DPにて感光体ドラム3における静電潜像担持面LSと近接しつつ所定間隔のギャップを隔てて対向するように、ケーシング61の上端側に配置されている。
【0027】
本実施形態においては、現像ローラ62は、現像位置DPにおいてトナー担持面62aの移動方向が静電潜像担持面LSの移動方向に沿った方向(略同一方向)となるように、感光体ドラム3と反対方向(図中時計回り)に回転駆動されるようになっている。すなわち、現像ローラ62は、上方から(感光体ドラム3側から)見た場合に、トナー担持面62aがフロントパネル61b側から出現するような方向に回転駆動されるようになっている。
【0028】
<<<搬送基板>>>
ケーシング61の内部には、搬送基板63が設けられている。搬送基板63は、ケーシング61におけるフロントパネル61b及び底板61cの内壁面に固定されている。すなわち、搬送基板63は、側断面視にて反転J字状に形成されていて、多相交流電圧成分を含む搬送バイアス電圧の印加により発生する進行波状の電界によって、トナーTを、側断面視にて反転J字状のトナー搬送経路TTPに沿って搬送するように構成されている(なお、トナー搬送経路TTP上の任意の点における接線方向であって、トナーTの移動方向と同一の方向を、「トナー搬送方向TTD」と称する。)。本実施形態においては、搬送基板63は、底部搬送基板63aと、垂直搬送基板63bと、を備えている。
【0029】
底部搬送基板63aは、底板61cに対応して設けられた、側断面視にて円弧状(上方に開口する略半円状)の部分であって、トナー収容部61eの底面を構成するように、底板61cの内壁面にて支持されている。底部搬送基板63aの、トナー搬送方向TTDにおける下流側の端部(図中左上側の端部)は、トナー収容部61e内のトナーTを、垂直搬送基板63bにスムーズに受け渡すことができるように、垂直搬送基板63bの下端部と滑らかに接続されている。
【0030】
垂直搬送基板63bは、垂直に立設された平板状の部分であって、フロントパネル61bの内壁面にて支持されている。垂直搬送基板63bの下端部は、トナー収容部61eに面するように設けられている。垂直搬送基板63bの上端部は、現像ローラ62と対向する位置に設けられている(垂直搬送基板63bの上端部とトナー担持面62aとが最近接しつつ対向する位置を「トナー担持位置TCP」と称する。)。この垂直搬送基板63bは、底部搬送基板63aから受け渡されたトナーTを、上方のトナー担持位置TCPに向けて垂直上方に搬送するようになっている。
【0031】
図4は、図2に示されている搬送基板63を拡大した側断面図である。図4を参照すると、搬送基板63は、薄板状の部材であって、フレキシブルプリント配線基板と同様の構成を有している。具体的には、搬送基板63は、搬送電極631と、支持フィルム層632と、電極被覆層633と、オーバーコート層634と、から構成されている。
【0032】
搬送電極631は、主走査方向と平行な(すなわちトナー搬送経路TTPと直交する)長手方向を有する線状の配線パターンであって、厚さが数十μm程度の銅箔によって形成されている。複数の搬送電極631は、トナー搬送経路TTPを構成する搬送基板63の表面であるトナー搬送面TTSに沿って等間隔に配列され、且つ互いに平行に配置されている。
【0033】
複数の搬送電極631は、支持フィルム層632の表面上に形成されている。支持フィルム層632は、可撓性のフィルムであって、ポリイミド樹脂等の絶縁性の合成樹脂から構成されている。電極被覆層633は、絶縁性の合成樹脂から構成されている。この電極被覆層633は、支持フィルム層632における搬送電極631が設けられている表面、及び搬送電極631を覆うように設けられている。
【0034】
電極被覆層633の上には、オーバーコート層634が設けられている。すなわち、上述の電極被覆層633は、オーバーコート層634と搬送電極631との間に形成されている。オーバーコート層634の表面(トナー搬送面TTSを構成する表面)は、その上をトナーTがスムーズに搬送され得るように、凹凸の極めて少ない平滑な面として形成されている。
【0035】
トナー搬送経路TTPに沿って多数配列された各搬送電極631は、3本置きに同一の電源回路に接続されている。すなわち、電源回路VAに接続された搬送電極631,電源回路VBに接続された搬送電極631,電源回路VCに接続された搬送電極631,電源回路VDに接続された搬送電極631,電源回路VAに接続された搬送電極631,電源回路VBに接続された搬送電極631,電源回路VCに接続された搬送電極631・・・が、トナー搬送経路TTPに沿って順に配列されている。
【0036】
ここで、図5は、図4に示されている各電源回路VAないしVDの出力波形の一例を示すグラフである。本実施形態においては、図5に示されているように、各電源回路VAないしVDは、ほぼ同一波形の交流電圧である駆動電圧を出力し得るように構成されている。また、各電源回路VAないしVDが発生する電圧の波形における位相が、90°ずつ異なるように、各電源回路VAないしVDが構成されている。すなわち、電源回路VAから電源回路VDに向かう順に、電圧の位相が90°ずつ遅れるようになっている。
【0037】
<<<トナー回収手段>>>
再び図2を参照すると、ケーシング61内には、主走査方向と平行な軸を中心として回転駆動可能なローラ状部材(回転体)である回収ローラ64が収容されている。回収ローラ64は、現像ローラ62の回転によるトナー担持面62aの移動方向における現像位置DPよりも下流側且つトナー担持位置TCPよりも上流側のトナー回収位置TRPにて、現像ローラ62と所定間隔のギャップを隔てて対向するように配置されている。
【0038】
この回収ローラ64は、現像ローラ62との間に所定の回収電圧が印加されることで、トナー担持面62a上からトナーTを回収するように構成されている。本実施形態においては、回収ローラ64は、そのトナー回収位置TRPにおける周面の移動方向がトナー担持面62aの上述の移動方向と同一方向となるように、現像ローラ62の回転方向と逆方向に回転駆動されるようになっている。
【0039】
回収ローラ64の下方には、除去ブレード65が、回収ローラ64の回転中心軸を挟んでトナー回収位置TRPと反対側(すなわち回収ローラ64の回転による周面の移動方向におけるトナー回収位置TRPよりも下流側)にて、当該周面と当接(摺動)するように配置されている。この除去ブレード65は、回収ローラ64によってトナー担持面62a上から回収されたトナーTを、当該回収ローラ64の周面から除去するように、ケーシング61内に設けられている。
【0040】
<<<トナー流動化手段>>>
ケーシング61の内側の空間内における底部には、アジテータ66が収容されている。アジテータ66は、アジテータシャフト66aと、回転羽根66bと、から構成されている。アジテータシャフト66aは、アジテータ66の回転中心軸を構成する丸棒状部材であって、主走査方向と平行に設けられているとともに、サイドパネル61dによって回転可能に支持されている。回転羽根66bは、アジテータシャフト66aに固定されている。
【0041】
アジテータ66は、その回転羽根66bの先端が底部搬送基板63aの表面と摺動するように設けられている。すなわち、アジテータ66は、回転により回転羽根66bの先端が描く軌道の半径が底部搬送基板63aにおけるトナー搬送面TTSの側断面視における曲率半径と一致することで、回転羽根66bの先端とトナー搬送面TTSとが接触する領域の上端であるアジテータ接触レベルACLが底部搬送基板63aのトナー搬送方向TTDにおける終端と同じ高さであり且つ上述の所定レベルTL1よりも下方になるように、構成及び配置されている。また、アジテータ66は、回転羽根66bの先端のトナー搬送面TTSと接触しつつ移動する方向が底部搬送基板63aにおけるトナー搬送方向TTDと同一方向となるような方向(図中時計回り)に回転駆動されることで、トナー収容部61e内のトナーTを攪拌する(流動化させる)ようになっている。
【0042】
<<<トナーレベル調整手段>>>
トナー供給装置6は、また、トナーレベル調整部67を備えている。このトナーレベル調整部67は、トナー収容部61eにてアジテータ66により流動化されつつ収容されたトナーTの収容レベルであるトナーレベルTLを、上述のアジテータ接触レベルACLよりも高い所定レベルTL1付近に調整するように構成されている。
【0043】
具体的には、本実施形態においては、トナーレベル調整部67は、トナー貯留タンク67aと、このトナー貯留タンク67aとトナー送出口67a1を介して接続されたサブ収容部67bと、トナー貯留タンク67aの底部に収容された送出オーガ67cと、サブ収容部67bに収容された循環オーガ67dと、を備えている。
【0044】
トナー貯留タンク67aは、リアパネル61a側に配置された箱状部材であって、その内部には未使用のトナーTが貯留されている。送出オーガ67cは、必要に応じて(トナー収容部61e内のトナーTの量に応じて)適宜回転駆動されることで、トナーTをトナー貯留タンク67aの底部からサブ収容部67bに向けて送出するようになっている。サブ収容部67bは、主走査方向と平行に設けられた略円筒状の箱状部材であって、トナー収容部61eとトナー貯留タンク67aとの間に設けられている。すなわち、サブ収容部67bは、水平方向(前後方向:図中x軸方向)に沿ってトナー収容部61eと隣接するように設けられている。
【0045】
サブ収容部67bには、トナー排出口61g及びトナー導入口61hとともに本発明の連通路を構成する貫通孔であるトナー吸入口67g及びトナー供給口67hが形成されている。トナー吸入口67gは、トナー排出口61gと連通するように、トナー排出口61gと対向する位置に設けられている。トナー供給口67hは、トナー導入口61hと連通するように、トナー導入口61hと対向する位置に設けられている。そして、サブ収容部67bは、トナー吸入口67g及びトナー供給口67hを介して、トナー収容部61eと接続されている。
【0046】
循環オーガ67dは、アジテータ66が回転駆動される際に常時回転駆動されることで、サブ収容部67b内のトナーTを攪拌しつつ図中z軸正方向に送出するとともに、サブ収容部67bとトナー収容部61eとの間でトナーTを循環させるように構成されている。すなわち、循環オーガ67dは、回転駆動されることで、トナーTを、トナー供給口67h及びトナー導入口61hを介してサブ収容部67bからトナー収容部61eに導入するとともに、トナー排出口61g及びトナー吸入口67gを介してトナー収容部61eからサブ収容部67bに吸入(排出)するようになっている。
【0047】
<動作の概要>
次に、上述のように構成されたレーザープリンタ1による動作の概要を、図面を適宜参照しつつ説明する。
【0048】
<<給紙動作>>
まず図1を参照すると、図示しない前記給紙トレイ上に積載された用紙Pの先端が、レジストローラ21まで送られる。このレジストローラ21にて、用紙Pの斜行が補正されるとともに、搬送タイミングが調整される。その後、用紙Pは、転写位置TPまで給送される。
【0049】
<<潜像形成面上へのトナー像の担持>>
上述のように用紙Pが転写位置TPに向けて搬送されている間に、感光体ドラム3の周面である静電潜像担持面LS上に、以下のようにして、トナーTによる画像(以下、「トナー像」と称する。)が担持される。
【0050】
<<<静電潜像の形成>>>
感光体ドラム3の静電潜像担持面LSは、まず、帯電器4によって、正極性に一様に帯電される。帯電器4によって帯電された静電潜像担持面LSは、感光体ドラム3の図中矢印で示されている方向の回転により、スキャナーユニット5と対向する(正対する)位置であるスキャン位置SPまで、副走査方向に沿って移動する。
【0051】
このスキャン位置SPにて、画像情報に基づいて変調されたレーザービームLBによって、静電潜像担持面LSが露光される。すなわち、レーザービームLBが、主走査方向に沿って走査されつつ、静電潜像担持面LSに照射される。このレーザービームLBの変調状態に応じて、静電潜像担持面LS上の正電荷が消失する部分が生じる。これにより、静電潜像担持面LS上に、正電荷のパターン(画像状分布)による静電潜像が形成される。静電潜像担持面LSに形成された静電潜像は、感光体ドラム3の図中矢印で示されている方向の回転により、トナー供給装置6と対向する現像位置DPに向かって移動する。
【0052】
<<<帯電トナーの搬送・供給>>>
図2及び図4を参照すると、ケーシング61内に貯留されているトナーTは、底部搬送基板63aにおけるオーバーコート層634との接触や摩擦等により帯電する。底部搬送基板63aにおけるオーバーコート層634と接触あるいは近接している、帯電したトナーTは、底部搬送基板63aにおける搬送電極631に対する多相交流電圧成分を含む上述の搬送バイアス電圧(例:+800Vの直流電圧成分と振幅300V・周波数300Hzの多相交流電圧成分とが重畳された電圧(+500〜+1100V))の印加によって発生する進行波状の電界により、トナー搬送方向TTDに搬送され、垂直搬送基板63bにスムーズに受け渡される。
【0053】
垂直搬送基板63bは、その下端部にて底部搬送基板63aから受け渡されたトナーTを、垂直搬送基板63bにおける搬送電極631に対する上述の搬送バイアス電圧の印加によって発生する進行波状の電界により、トナー担持位置TCPに向けて、垂直上方に搬送する。垂直搬送基板63bによってトナー担持位置TCPまで搬送されたトナーTは、このトナー担持位置TCPの近傍にて、現像バイアス(例:+500Vの直流電圧成分と振幅1300V・周波数2kHzの交流電圧成分とが重畳された電圧(−800〜1800V))が印加された現像ローラ62の周面であるトナー担持面62a上に担持される。
【0054】
ここで、底部搬送基板63aから垂直搬送基板63bに受け渡されたトナーTには、帯電状態が不良なもの(逆極性すなわち負極性に帯電したものや、低帯電あるいは無帯電のもの、等。)が混入している。もっとも、本実施形態の構成においては、垂直搬送基板63bによってトナー担持位置TCPに向けて垂直上方に搬送されている際や、垂直搬送基板63bと現像ローラ62との間に形成された電界によって正帯電のトナーTがトナー担持位置TCPの近傍にて現像ローラ62に担持される際に、帯電状態が不良なトナーTは、重力や上述の電界の作用により、トナー搬送経路TTPから逸脱し、垂直搬送基板63bから下方に落下する。
【0055】
これにより、帯電状態が良好なトナーTが選択的に、トナー担持位置TCPまで搬送される。すなわち、垂直搬送基板63bにて、トナーTにおける、帯電状態が良好なものと不良なものとが、良好に選別される。なお、トナー搬送経路TTPから逸脱して下方に落下してきたトナーTは、トナー収容部61eに還流する。
【0056】
そして、トナーTを担持したトナー担持面62aが、現像ローラ62の回転駆動によって現像位置DPまで移動することで、トナーTが現像位置DPの近傍に供給される。この現像位置DPの近傍にて、静電潜像担持面LSに形成された静電潜像が、トナーTによって現像される。すなわち、静電潜像担持面LS上であって、静電潜像における正電荷が消失した部分に、トナーTがトナー担持面62aから移行し付着する。これにより、トナー像が、静電潜像担持面LS上に担持される。
【0057】
現像位置DPを通過した(現像位置DPにて消費されなかった)トナー担持面62a上のトナーTは、現像ローラ62の回転によって、トナー回収位置TRPの近傍に達する。このトナー回収位置TRPの近傍にて、トナーTは、回収バイアス(0Vの直流電圧成分と振幅1300V・周波数2kHzの交流電圧成分とが重畳された電圧(−1300〜1300V))が印加された回収ローラ64側に移行(飛翔)する。すなわち、現像位置DPを通過したトナー担持面62a上のトナーTは、回収ローラ64によって回収される。
【0058】
回収ローラ64は、トナー担持面62a上からトナーTを回収しつつ回転する。そして、回収ローラ64に回収された(回収ローラ64の周面に付着した)トナーTは、トナー回収位置TRPとは反対側の位置にて、除去ブレード65によって除去され、トナー収容部61eまで落下する。このため、トナーTの付着状態が軽減あるいは解消された状態の、回収ローラ64の周面が、トナー回収位置TRPに対して次々と供給される。
【0059】
<<潜像形成面から用紙へのトナー像の転写>>
図1を参照すると、上述のようにして感光体ドラム3の静電潜像担持面LS上に担持されたトナー像は、当該静電潜像担持面LSが図中矢印で示されている方向に回転することにより、転写位置TPに向けて搬送される。そして、この転写位置TPにて、トナー像が、静電潜像担持面LSから用紙P上に転写される。
【0060】
<実施形態の構成による作用・効果>
続いて、本実施形態の構成による作用・効果について、図面を適宜参照しつつ説明する。
【0061】
搬送基板63によるトナーTの搬送中は、アジテータ66及び循環オーガ67dが回転駆動される。よって、トナー収容部61e及びサブ収容部67b内のトナーTは、良好に流動化される。なお、必要に応じて(トナーレベルTLが所定レベルTL1より下がったことが図示しないトナーレベルセンサによって検知された場合等)、送出オーガ67cが適宜回転駆動される。これにより、以下のようにして、トナー収容部61eとサブ収容部67bとの間でのトナーTの循環が生じるとともに、トナー収容部61e内におけるトナーレベルTLが、トナー排出口61g及びトナー導入口61hの開口下端である所定レベルTL1付近に調整(維持)される。
【0062】
循環オーガ67dは、サブ収容部67b内にて、図中z軸正方向、すなわち、トナー吸入口67gからトナー供給口67hに向かう方向(トナー排出口61gからトナー導入口61hに向かう方向)に、トナーTを送出する。このため、サブ収容部67b内のトナーTは、トナー供給口67h及びトナー導入口61hを介して、トナー収容部61eに導入される。一方、トナー収容部61e内のトナーTは、トナー排出口61g及びトナー吸入口67gを介して、サブ収容部67b側に排出される。
【0063】
ここで、アジテータ66の回転羽根66bは、トナーレベルTLよりも下方にてトナー搬送面TTSと摺動しつつ、当該トナー搬送面TTSにおけるトナー搬送方向TTDと同一方向となるように移動する。
【0064】
図6における(A)は、トナーレベルTLがアジテータ接触レベルACLよりも高い場合(トナーレベル高)と、トナーレベルTLがアジテータ接触レベルACLよりも低い場合(トナーレベル低)とで、搬送基板63によるトナーTの搬送量の経時変化を比較した実験結果を示すグラフである。ここで、縦軸の「搬送量」は、トナー担持面62a上におけるトナーの単位面積当たりの担持量[mg/cm]である。また、横軸の「搬送回数」は、現像ローラ62の1回転を「1回」として示すものである。
【0065】
図6における(A)に示されているように、トナーレベルTLがアジテータ接触レベルACLよりも低い場合(トナーレベル低)、トナーTの搬送量が急激に低下した。これに対し、トナーレベルTLがアジテータ接触レベルACLよりも高い場合(トナーレベル高)、トナーTの搬送量は安定した。
【0066】
図6における(B)は、トナーレベルTLがアジテータ接触レベルACLよりも高く且つアジテータ66の回転方向が上述の場合(トナーレベル高・アジテータ正転:(A)の「トナーレベル高」と同一)と、トナーレベルTLがアジテータ接触レベルACLよりも低く且つアジテータ66の回転方向が上述とは逆の場合(トナーレベル低・アジテータ逆転)とで、搬送基板63によるトナーTの搬送量の経時変化を比較した実験結果を示すグラフである。
【0067】
図6における(A)の「トナーレベル低」と、図6における(B)の「トナーレベル低・アジテータ逆転」との対比から明らかなように、アジテータ66が逆転された場合、トナーTの搬送量の初期値が小さくなるとともに、搬送量がさらに急激に低下した。
【0068】
図6における(C)は、トナーレベルTLがアジテータ接触レベルACLよりも高く、且つアジテータ66の回転方向が「正転」である条件で、アジテータ66(回転羽根66b)をトナー搬送面TTSと接触させた場合(アジテータ接触)と、アジテータ66(回転羽根66b)をトナー搬送面TTSから離隔させた場合(アジテータ非接触)とで、搬送基板63によるトナーTの搬送量の経時変化を比較した実験結果を示すグラフである。
【0069】
図6における(C)に示されているように、アジテータ66(回転羽根66b)をトナー搬送面TTSと接触させた場合(アジテータ接触)、トナーTの搬送量が安定した。これに対し、アジテータ66(回転羽根66b)をトナー搬送面TTSから離隔させた場合(アジテータ非接触)、前者よりもトナーTの搬送量の経時的な低下量が大きくなった。
【0070】
以上の実験結果から明らかなように、
(1)トナー収容部61e内のトナーレベルTLがアジテータ接触レベルACLよりも高くなるように調整され、且つ、
(2)アジテータ66の回転羽根66bが、トナーレベルTLよりも下方にて、トナー搬送面TTSと摺動しつつ、当該トナー搬送面TTSにおけるトナー搬送方向TTDと同一方向となるように移動する、
本実施形態においては、搬送基板63によるトナーTのトナー収容部61eからトナー担持位置TCPまでの搬送量が良好に安定化された。これは、以下の理由によるものであると考えられる。
【0071】
トナーTを搬送基板63によって電界搬送する、この種の装置においては、トナーレベルTLとトナー搬送面TTSとの接触部が、トナーTの電界搬送の実質的な起点となる(これを、以下「起動部」と称する。)。この起動部における、トナー搬送面TTSとトナーT(トナーレベルTL)との接触状態が、搬送基板63(垂直搬送基板63b)におけるトナーTの搬送状態(搬送量及び均一性)に影響を及ぼす。
【0072】
例えば、トナー収容部61e内における攪拌(流動化)が充分でないと、起動部において、トナーレベルTLが「ガケ」状に、局所的且つ急激に陥没する現象が発生することがある(図7における符号“G”参照。なお、図7においては、図2におけるアジテータ66の図示は省略されている。)。このような「ガケG」が発生すると、トナーTの搬送量が減少するとともに、主走査方向及びトナー搬送方向TTDにおける搬送量の均一性が損なわれる。よって、起動部におけるトナー搬送面TTSとトナーT(トナーレベルTL)との接触状態が良好となるように、トナー収容部61e内に収容されたトナーTは、充分に攪拌(流動化)される必要がある。
【0073】
他方、トナー搬送面TTS上にトナーTの付着が生じると、かかる付着部分においてトナーTの搬送量が減少するとともに、主走査方向における搬送量の均一性が損なわれる。よって、トナー搬送面TTS上におけるトナーTの付着を良好に解消する必要がある。
【0074】
この点、本実施形態のように、アジテータ66の回転羽根66bがトナーレベルTLよりも下方にてトナー搬送面TTSと摺動しつつトナー搬送方向TTDと同一方向となるように移動することで、起動部にて、トナー搬送面TTS上におけるトナーTの付着が良好に解消されつつ、トナー搬送面TTSとトナーT(トナーレベルTL)との良好な接触状態が形成される。
【0075】
以上詳述したように、本実施形態の構成によれば、トナー担持面62aにおけるトナーTの担持量が安定化され、以て感光体ドラム3へのトナーTの供給量が安定化される。
【0076】
<変形例の例示列挙>
なお、上述の実施形態は、出願人が取り敢えず本願の出願時点において最良であると考えた本発明の代表的な実施形態を、単に例示したものにすぎない。よって、本発明はもとより上述の実施形態に何ら限定されるものではない。したがって、本発明の本質的部分を変更しない範囲内において、上述の実施形態に対して種々の変形が施され得ることは、当然である。
【0077】
以下、代表的な変形例について、幾つか例示する。以下の変形例の説明において、上述の実施形態にて説明されているものと同様の構成及び機能を有する部材に対しては、上述の実施形態と同様の符号が用いられ得るものとする。そして、かかる部材の説明については、技術的に矛盾しない範囲内において、上述の実施形態における説明が援用され得るものとする。
【0078】
もっとも、言うまでもなく、変形例とて、以下に列挙されたものに限定されるものではない。また、複数の変形例が、技術的に矛盾しない範囲内において、適宜、複合的に適用され得る。
【0079】
本発明(特に、本発明の課題を解決するための手段を構成する各構成要素における、作用的・機能的に表現されているもの)は、上述の実施形態及び下記変形例の記載に基づいて限定解釈されてはならない。このような限定解釈は、(先願主義の下で出願を急ぐ)出願人の利益を不当に害する反面、模倣者を不当に利するものであって、発明の保護及び利用を目的とする特許法の目的に反し、許されない。
【0080】
本発明の適用対象は、単色のレーザープリンタに限定されない。例えば、本発明は、カラーのレーザープリンタや、単色及びカラーの複写機等の、いわゆる電子写真方式の画像形成装置に対して、好適に適用され得る。このとき、感光体の形状は、上述の実施形態のようなドラム状でなくてもよい。例えば、感光体の形状は、平板状や無端ベルト状等であってもよい。
【0081】
露光光源としては、レーザースキャナ以外のもの(LED、EL(エレクトロルミネッセンス)素子、蛍光体、等)が好適に用いられ得る。この場合、「主走査方向」は、発光素子(LED等)の配列方向と平行な方向となる。すなわち、「主走査方向」は、「用紙幅方向(用紙搬送方向と常時直交する方向)」又は「装置幅方向」とも称され得る。
【0082】
あるいは、本発明は、上述の電子写真方式以外の方式(例えば、感光体を用いないトナージェット方式、イオンフロー方式、マルチスタイラス電極方式、等)の画像形成装置に対しても、好適に適用され得る。
【0083】
トナー排出口61g及びトナー導入口61hの数や位置関係には、特段の限定はない。例えば、トナー排出口61g又はトナー導入口61hは、主走査方向における略中央部に設けられ得る。また、トナー導入口61hは、トナー排出口61gよりも上方に設けられ得る。
【0084】
現像ローラ62は、現像位置DPにてトナー担持面62aと静電潜像担持面LSとが接触するように配置されていてもよい。さらに、現像ローラ62は、スリーブ状のものに代替可能である。
【0085】
搬送基板63の構成も、上述の実施形態のものに限定されない。例えば、オーバーコート層634は省略され得る。あるいは、搬送電極631が支持フィルム層632内に埋め込まれることで、電極被覆層633及びオーバーコート層634の双方が省略され得る。
【0086】
さらに、本発明は、上述の実施形態のような「垂直搬送」に限定されない。よって、例えば、垂直搬送基板63bは、実質的に上下方向に沿って立設していればよく、多少傾いていてもよい。
【0087】
回収ローラ64に代えて、あるいはこれとともに、搬送基板63と同様の構成の回収基板が用いられてもよい。この場合、除去ブレード65は省略される。
【0088】
アジテータ66の構成も、上述の実施形態のものに限定されない。例えば、回転羽根66bの数や形状には、特に限定はない。具体的には、例えば、回転羽根66bに代えて、主走査方向と平行な棒状部材からなる攪拌子が用いられ得る。また、アジテータ接触レベルACLが、底部搬送基板63aのトナー搬送方向TTDにおける終端よりも低くなるように、アジテータ66が構成及び配置され得る。
【0089】
トナーレベル調整部67の構成や動作態様も、上述の実施形態のものに限定されない。例えば、送出オーガ67cは、画像形成の枚数や時間等に応じて駆動されるようになっていてもよい。
【0090】
図8は、図2に示されているトナー供給装置6の一変形例を備えた画像形成装置としてのレーザープリンタ1の概略構成を示す側面図である。図9は、図8に示されている本変形例のトナー供給装置6を上方から見た平面図である。図10は、図9に示されている本変形例のトナー供給装置6の側断面図である。図11は、図10に示されている本変形例のトナー供給装置におけるトナー収容部61eの周辺を上方から見た断面図である。
【0091】
以下、図8〜図11を用いて、本変形例の構成の詳細について説明する。本変形例においては、トナー供給装置6は、感光体ドラム3に対して側方(前後方向)からトナーTを供給するように、構成及び配置されている。
【0092】
ケーシング61は、リアパネル61aと、底板61cと、天板61kと、によって、側断面視にて横向きU字状に形成されている。トナー収容部61eは、ケーシング61の内側の空間における、奥側(現像ローラ露出口61fとは反対側:x軸正方向側)の端部且つ底部に設けられている。すなわち、トナー収容部61eは、ケーシング61の奥側の、側方に開口する略C字状部分における底部に設けられている。
【0093】
リアパネル61aは、ケーシング61の奥側の、感光体ドラム3に向かって側方に開口する略円弧状の部分である。天板61kは、略平板状の部材であって、リアパネル61aの上端から、感光体ドラム3に向かって略水平に延出するように設けられている。
【0094】
搬送基板63は、底板61cにおける奥側の端部であってリアパネル61aに隣接する部分と、リアパネル61aと、天板61kと、に亘って設けられている。具体的には、底部搬送基板63aは、側断面視にて斜めに(奥側に向かって上昇する斜面状に)配置された略平板状の部分であって、底板61cにおける奥側の端部であってリアパネル61aに隣接する部分からリアパネル61aの下端部に亘って設けられている。背面搬送基板63cは、水平面と略平行に配置された平板状の部分であって、トナー搬送面TTSが下方を向くように、天板61kの内壁面によって支持されている。底部搬送基板63aの上端部(トナー搬送方向TTDにおける下流側の端部)と、背面搬送基板63cの奥側の端部(トナー搬送方向TTDにおける上流側の端部)とは、略C字状に屈曲する接続部63dによって接続されている。
【0095】
底板61cには、第一仕切リブ61m及び第二仕切リブ61nが、上方に向けて突出するように立設されている。第一仕切リブ61mは、第二仕切リブ61nよりも奥側に設けられている。なお、第二仕切リブ61nの高さは、第一仕切リブ61mの高さよりも高く設定されている。
【0096】
すなわち、トナー収容部61eは、第一仕切リブ61mの奥側に設けられている。そして、ケーシング61の内側の空間における底部であって、トナー収容部61eよりも現像ローラ露出口61f側の部分が、第二仕切リブ61nによって、第一サブ収容部61r1と第二サブ収容部61r2とに仕切られている。また、第一仕切リブ61mによって、トナー収容部61eと第一サブ収容部61r1とが仕切られている。
【0097】
第一サブ収容部61r1及び第二サブ収容部61r2は、側断面視にて上方に開口する略C字ないし略U字状の空間であって、主走査方向と平行に設けられている。第一サブ収容部61r1は、トナー収容部61eに隣接する位置に設けられている。第二サブ収容部61r2は、トナー担持面62aから回収手段(図2における回収ローラ64及び除去ブレード65:図10においては図面表記の煩雑化を防ぐために図示が省略されている)によって回収されたトナーTを収容できるように、現像ローラ62に近接して配置されている。
【0098】
アジテータ66は、主走査方向と平行な丸棒状部材からなる攪拌子66cを備えている。アジテータ66は、攪拌子66cが底部搬送基板63aの下端部(トナー搬送方向TTDにおける上流側の端部)と摺動するように設けられていて、この摺動部にて攪拌子66cの移動方向がトナー搬送方向TTDと同じ方向になるような方向(図中反時計回り)に回転駆動されるようになっている。
【0099】
ケーシング61の主走査方向における一端側(図中z軸正方向側)には、補助トナー容器67kが、ケーシング61に隣接するように設けられている。補助トナー容器67kは、側面視にて第一サブ収容部61r1及び第二サブ収容部61r2に対応する位置に配置された箱状部材であって、ケーシング61と連通するように、ケーシング61と一体に形成されている。すなわち、第一サブ収容部61r1及び第二サブ収容部61r2は、ケーシング61と補助トナー容器67kとに亘って設けられている。また、第一サブ収容部61r1及び第二サブ収容部61r2の、主走査方向における両端部は、互いに連通するようになっている。
【0100】
送出オーガ67cは、第二サブ収容部61r2内のトナーTを、流動化させつつz軸正方向側に搬送するように設けられている。循環オーガ67dは、第一サブ収容部61r1内のトナーTを、流動化させつつz軸負方向側に搬送するように設けられている。ここで、本実施形態においては、送出オーガ67c及び循環オーガ67dは、アジテータ66が回転駆動される際に常時回転駆動されるようになっている。また、送出オーガ67cは、循環オーガ67dよりも、トナーTの搬送速度が高くなるように(具体的には循環オーガ67dよりも高回転数で)回転駆動されるようになっている。
【0101】
補助トナー容器67kの上方には、トナー貯留タンク67aが配置されている。トナー貯留タンク67aと補助トナー容器67kとは、トナー補給管67mを介して接続されている。トナー補給管67mは、トナー貯留タンク67a内に貯留された未使用のトナーTを、第二サブ収容部61r2内に落下させる(供給する)ように設けられている。トナー補給管67mには、トナー貯留タンク67aから補助トナー容器67kへのトナーTの供給量を制御するためのトナー補給制御部67nが介装されている。トナー補給制御部67nは、ケーシング61及び補助トナー容器67k内のトナーTの量に応じて駆動されるようになっている。
【0102】
かかる構成においては、トナー搬送面TTSが下方を向く背面搬送基板63cによって、上述の実施形態のようなトナーTの帯電状態に応じた選別が、より良好に行われる。また、アジテータ66、送出オーガ67c、及び循環オーガ67dの作動により、トナー収容部61e内のトナーレベルTLが、アジテータ接触レベルACLよりも高い第二仕切リブ61nの高さに調整される。
【0103】
具体的には、アジテータ66、送出オーガ67c、及び循環オーガ67dの作動により、トナー収容部61e、第一サブ収容部61r1、及び第二サブ収容部61r2内のトナーTが良好に流動化される。さらに、搬送速度の高い送出オーガ67cによって、第二サブ収容部61r2内のトナーTが、主走査方向における一端(z軸正方向側)に向けて搬送され、第一サブ収容部61r1と第二サブ収容部61r2との連通部を通って第一サブ収容部61r1側に送出される。第一サブ収容部61r1から溢れ出たトナーTは、第一仕切リブ61mを乗り越えてトナー収容部61e側に移行したり、第一サブ収容部61r1と第二サブ収容部61r2とのz軸負方向側の連通部を通って第二サブ収容部61r2側に還流したりする。また、トナー収容部61eから溢れ出たトナーTは、第一仕切リブ61mを乗り越えて、第一サブ収容部61r1側に移行する。
【0104】
以上の通り、本変形例においても、トナー収容部61e内のトナーレベルTLがアジテータ接触レベルACLよりも高くなるように調整されるとともに、アジテータ66の攪拌子66cが、トナーレベルTLよりも下方にて、トナー搬送面TTSと摺動しつつ、当該トナー搬送面TTSにおけるトナー搬送方向TTDと同一方向となるように移動する。これにより、搬送基板63によるトナーTの搬送量が安定化される。
【0105】
その他、特段に言及されていない変形例についても、本発明の本質的部分を変更しない範囲内において、本発明の技術的範囲に含まれることは当然である。
【0106】
また、本発明の課題を解決するための手段を構成する各要素における、作用・機能的に表現されている要素は、上述の実施形態や変形例にて開示されている具体的構造の他、当該作用・機能を実現可能ないかなる構造をも含む。さらに、本明細書にて引用した各公報の内容(明細書及び図面を含む)は、本明細書の一部を構成するものとして援用され得る。
【符号の説明】
【0107】
6…トナー供給装置 61…ケーシング
61a…リアパネル 61b…フロントパネル
61c…底板 61d…サイドパネル
61e…トナー収容部 61g…トナー排出口
61h…トナー導入口 61k…天板
61m…第一仕切リブ 61n…第二仕切リブ
61r1…第一サブ収容部 61r2…第二サブ収容部
62…現像ローラ 62a…トナー担持面
63…搬送基板 63a…底部搬送基板
63b…垂直搬送基板 63c…背面搬送基板
631…搬送電極 66…アジテータ
66a…アジテータシャフト 66b…回転羽根
66c…攪拌子
67…トナーレベル調整部 67a…トナー貯留タンク
67b…サブ収容部 67c…送出オーガ
67d…循環オーガ 67g…トナー吸入口
67h…トナー供給口 67k…補助トナー容器
67m…トナー補給管 67n…トナー補給制御部
ACL…アジテータ接触レベル TL…トナーレベル
T…トナー TTD…トナー搬送方向
TTP…トナー搬送経路 TTS…トナー搬送面
【先行技術文献】
【特許文献】
【0108】
【特許文献1】特開2009−80271号公報
【特許文献2】特開2009−80299号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯電した粉末状の現像剤を供給対象に対して供給するように構成された、現像剤供給装置において、
前記現像剤を収容するための空間である現像剤収容部を内部に備えた、ケーシングと、
多相交流電圧成分を含む搬送バイアス電圧の印加により発生する進行波状の電界によって前記現像剤を前記現像剤収容部から前記供給対象に向けて所定の現像剤搬送方向に搬送するための複数の搬送電極を備えていて、前記現像剤収容部から前記現像剤搬送方向における下流側に亘って前記ケーシングの内壁面に固定された、搬送基板と、
前記搬送基板における前記現像剤収容部に面した表面と接触しつつ前記現像剤搬送方向と同一方向に移動する移動子を備えていて、この移動子の移動によって前記現像剤収容部内に収容された前記現像剤を流動化させる、現像剤流動化部材と、
前記搬送基板における前記現像剤収容部に面した前記表面の、前記移動子が接触する範囲における、前記移動子の移動方向における下流端よりも、前記現像剤の収容レベルが高くなるように、当該収容レベルを調整する、現像剤レベル調整手段と、
を備えたことを特徴とする、現像剤供給装置。
【請求項2】
請求項1に記載の、現像剤供給装置であって、
前記現像剤レベル調整手段は、
水平方向に沿って前記現像剤収容部と隣接する位置にて前記現像剤を収容するための空間である現像剤サブ収容部内にて前記現像剤を攪拌する、サブ攪拌部材を備えていて、
前記現像剤が流通可能な連通路が、前記現像剤収容部と前記現像剤サブ収容部とを水平方向に沿って接続するように設けられたことを特徴とする、現像剤供給装置。
【請求項3】
請求項2に記載の、現像剤供給装置であって、
前記現像剤収容部から前記現像剤サブ収容部に前記現像剤を排出するための前記連通路である、現像剤排出路と、
前記現像剤サブ収容部から前記現像剤収容部に前記現像剤を導入するための前記連通路である、現像剤導入路と、
が、前記現像剤搬送方向と直交する幅方向について異なる位置に設けられ、
前記現像剤排出路の前記現像剤収容部側の開口部が、前記搬送基板における前記現像剤収容部に面した前記表面の、前記移動子が接触する範囲における、前記移動子の前記移動方向における前記下流端よりも上方にて開口するように設けられていることを特徴とする、現像剤供給装置。
【請求項4】
請求項3に記載の、現像剤供給装置であって、
前記現像剤導入路の前記現像剤収容部側の開口部が、前記現像剤排出路の前記現像剤収容部側の前記開口部と同じ高さに設けられたことを特徴とする、現像剤供給装置。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のうちのいずれか1項に記載の、現像剤供給装置であって、
前記ケーシングは、前記現像剤収容部を構成する、上方に開口する半円筒状部分を含む、略U字状に形成され、
前記搬送基板は、前記半円筒状部分に対応する位置に設けられた側断面視にて円弧状の部分と、当該円弧状の部分から上方の前記供給対象に向かって延出するように設けられた平板状の部分と、を備えたことを特徴とする、現像剤供給装置。
【請求項6】
請求項1〜請求項4のうちのいずれか1項に記載の、現像剤供給装置であって、
前記ケーシングは、前記現像剤収容部を構成する、側方に開口する略C字状部分を含む、横向きU字状に形成され、
前記搬送基板は、前記略C字状部分に対応する位置に設けられた側断面視にて円弧状の部分と、当該円弧状の部分から側方の前記供給対象に向かって延出するように設けられた平板状の部分と、を備え、前記平板状の部分は、前記現像剤を搬送する表面である現像剤搬送面が下方を向くように配置されたことを特徴とする、現像剤供給装置。
【請求項7】
請求項1〜請求項6のうちのいずれか1項に記載の、現像剤供給装置であって、
前記現像剤流動化部材は、
前記現像剤搬送方向と直交する幅方向と平行な回転中心軸を構成するアジテータシャフトと、
前記アジテータシャフトの周囲に設けられた、前記移動子としての回転羽根と、
を備えたことを特徴とする、現像剤供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−3031(P2012−3031A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−137851(P2010−137851)
【出願日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】