説明

現像剤回収装置及び画像形成装置

【課題】現像剤保持部材に回収部材及び密閉部材が接触しているときの吸引手段による吸引力低下を抑えることができる現像剤回収装置を得る。
【解決手段】クリーニング装置100は、筐体102と、クリーニングブレード106と、シール部材108と、クリーニングブレード106及びシール部材108を中間転写ベルト68に接触させ又は中間転写ベルトから離すリトラクト機構部130と、吸引ユニット110と、空気を筐体102内に取り込ませる孔部150と、を有している。ここで、クリーニングブレード106及びシール部材108が中間転写ベルト68に接触しているとき、孔部150から筐体102内へ空気が取り込まれるため、筐体102内の長手方向の各部で空気流が生じトナーの吸引が行われる。これにより、吸引ユニット110による吸引力低下を抑えることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像剤回収装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1のクリーニング装置は、クリーナハウジング内を吸引する吸引装置が設けられており、トナーを保持する部材の外周面からクリーニング装置が離れるときに吸引装置によって吸引を行い、トナーをクリーナハウジング内に回収している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4069350号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、現像剤保持部材に回収部材及び密閉部材が接触しているときの吸引手段による吸引力低下を抑えることができる現像剤回収装置及び画像形成装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の請求項1に係る現像剤回収装置は、周回しながら現像剤を保持すると共に搬送する現像剤保持部材と対向配置される開口部が該現像剤保持部材の搬送方向と直交する方向に沿って長く形成された筐体と、前記現像剤保持部材と接触するように前記開口部における前記搬送方向の下流側の縁部に沿って設けられ、前記現像剤保持部材の外周面から現像剤を剥離して前記筐体内に回収する回収部材と、前記開口部における前記搬送方向の上流側の縁部に沿って前記現像剤保持部材と接触するように設けられ、前記筐体と前記現像剤保持部材との隙間を密閉する密閉部材と、前記回収部材及び前記密閉部材を前記現像剤保持部材に接触させる位置又は前記現像剤保持部材から離れた位置の間で移動させる移動手段と、前記現像剤保持部材から剥離された現像剤を前記筐体内へ吸引する吸引手段と、前記筐体の長手方向における前記回収部材又は前記密閉部材の設置範囲内で、前記筐体、前記回収部材、前記密閉部材の少なくとも1つに設けられ、空気を前記筐体内に取り込ませる取込手段と、を有する。
【0006】
本発明の請求項2に係る現像剤回収装置は、前記取込手段は、前記移動手段が前記現像剤保持部材に前記回収部材及び前記密閉部材を接触させ且つ前記吸引手段で吸引するときに開いて空気を取り込ませ、前記移動手段が前記現像剤保持部材から前記回収部材及び前記密閉部材を離したときに閉じられる弁である。
【0007】
本発明の請求項3に係る現像剤回収装置は、前記取込手段は、前記密閉部材又は前記筐体に形成された孔部と、該孔部に取り付けられ通気可能で且つ現像剤が前記筐体内から通過できない通気部材とを有している。
【0008】
本発明の請求項4に係る現像剤回収装置は、前記吸引手段は、前記筐体の前記回収部材側に設けられ、前記密閉部材は、前記現像剤保持部材よりも下方に配置され、前記取込手段が、前記密閉部材又は前記筐体の前記密閉部材が取り付けられる部位に設けられている。
【0009】
本発明の請求項5に係る画像形成装置は、潜像を保持する潜像保持体と、前記潜像保持体上の潜像を現像剤で現像して現像剤像を形成する現像手段と、前記潜像保持体上の現像剤像が転写されると共に現像剤像を保持する前記現像剤保持部材としての転写ベルトと、前記現像剤保持部材上の現像剤像を記録媒体に転写する転写手段と、前記転写手段で転写が行われた後に前記現像剤保持部材上の現像剤を回収する請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の現像剤回収装置と、を有する。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明は、空気を筐体内に取り込む手段を設けていない構成に比べて、現像剤保持部材に回収部材及び密閉部材が接触しているときの吸引手段による吸引力低下を抑えることができる。
【0011】
請求項2の発明は、弁を設けていない構成に比べて、筐体からの現像剤の漏れを防ぐことができる。
【0012】
請求項3の発明は、通気部材を設けていない構成に比べて、筐体からの現像剤の漏れを防ぐことができる。
【0013】
請求項4の発明は、回収部材側から空気を取り込む構成と比べて、回収部材で回収された現像剤を効率的に吸引することができる。
【0014】
請求項5の発明は、空気を筐体内に取り込む手段を設けていない構成に比べて、飛散した現像剤による画像の悪化を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1実施形態に係る画像形成装置の全体構成図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る画像形成部の構成図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係るクリーニング装置の斜視図である。
【図4】(A)本発明の第1実施形態に係るクリーニング装置の内部構成を示す断面図である。(B)本発明の第1実施形態に係るクリーニング装置のフィルタ取り付け部分を示す断面図である。
【図5】本発明の第1実施形態に係るクリーニング装置のリトラクト機構部を示す斜視図である。
【図6】本発明の第1実施形態に係る吸引ダクトの設置状態を示す斜視図である。
【図7】本発明の第1実施形態に係る各吸引ダクトの上流側に設けられた排気部を示す斜視図である。
【図8】(A)、(B)本発明の第1実施形態に係るクリーニングブレード及びシール部材が中間転写ベルトから離れた状態又は接触した状態におけるトナーの回収状態及び空気の流れを示す断面図である。
【図9】本発明の第2実施形態に係るクリーニング装置の内部構成を示す断面図である。
【図10】(A)、(B)本発明の第2実施形態に係るシール部材の構成を示す斜視図及び断面図である。
【図11】(A)、(B)本発明の第2実施形態に係るシール部材に設けられた開閉部材の開閉状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の第1実施形態に係る現像剤回収装置及び画像形成装置の一例について説明する。
【0017】
図1には、第1実施形態の一例としての画像形成装置10が示されている。画像形成装置10は、上下方向(矢印V方向)の下側から上側へ向けて、記録用紙Pが収容される用紙収容部12と、用紙収容部12の上に設けられ用紙収容部12から供給される記録用紙Pに画像形成を行う画像形成部14と、画像形成部14の上に設けられ読取原稿Gを読み取る原稿読取部16と、画像形成部14内に設けられ画像形成装置10の各部の動作を制御する制御部20と、を含んで構成されている。なお、以後の説明では、画像形成装置10の装置本体10Aの上下方向を矢印V方向、水平方向を矢印H方向と記載する。
【0018】
用紙収容部12は、記録媒体の一例としてのサイズの異なる記録用紙Pが収容される第1収容部22、第2収容部24、及び第3収容部26が設けられている。第1収容部22、第2収容部24、及び第3収容部26には、収容された記録用紙Pを画像形成装置10内に設けられた搬送路28に送り出す送り出しロール32が設けられており、搬送路28における送り出しロール32よりも下流側には、記録用紙Pを一枚ずつ搬送するそれぞれ一対の搬送ロール34及び搬送ロール36が設けられている。また、搬送路28における記録用紙Pの搬送方向で搬送ロール36よりも下流側には、記録用紙Pを一端停止させるとともに、決められたタイミングで後述する二次転写位置へ送り出す位置合せロール38が設けられている。
【0019】
搬送路28の上流側部分は、画像形成装置10の正面視において、矢印V方向に向けて用紙収容部12の左側から画像形成部14の左側下部まで直線状に設けられている。また、搬送路28の下流側部分は、画像形成部14の左側下部から画像形成部14の右側面に設けられた排紙部15まで設けられている。さらに、搬送路28には、記録用紙Pの両面に画像形成を行うために記録用紙Pが搬送及び反転される両面搬送路29が接続されている。
【0020】
両面搬送路29は、画像形成装置10の正面視において、搬送路28と両面搬送路29の切り替えが行われる第1切替部材31と、画像形成部14の右側下部から用紙収容部12の右側まで矢印V方向に直線状に設けられた反転部33と、反転部33に搬送された記録用紙Pの後端が進入するとともに矢印H方向に搬送される搬送部37と、反転部33と搬送部37の切り替えが行われる第2切替部材35と、を有している。そして、反転部33には一対の搬送ロール42が間隔をあけて複数箇所に設けられており、搬送部37には一対の搬送ロール44が間隔をあけて複数箇所に設けられている。
【0021】
第1切替部材31は三角柱状の部材であり、図示しない駆動手段によって先端部が搬送路28又は両面搬送路29のいずれか一方に移動されることで、記録用紙Pの搬送方向を切り替えるようになっている。同様に、第2切替部材35は正面視で三角柱状の部材であり、図示しない駆動手段によって先端部が反転部33又は搬送部37のいずれか一方に移動されることで、記録用紙Pの搬送方向を切り替えるようになっている。なお、搬送部37の下流側端部は、搬送路28の上流側部分にある搬送ロール36の手前側に図示しない案内部材により接続されている。また、画像形成部14の左側面には、折り畳み式の手差給紙部46が設けられており、手差給紙部46から搬送路28の位置合せロール38の手前までが接続されている。
【0022】
原稿読取部16は、読取原稿Gを1枚ずつ自動で搬送する原稿搬送装置52と、原稿搬送装置52の下側に配置され1枚の読取原稿Gが載せられるプラテンガラス54と、原稿搬送装置52によって搬送された読取原稿G又はプラテンガラス54に載せられた読取原稿Gを読み取る原稿読取装置56とが設けられている。原稿搬送装置52は、一対の搬送ロール53が複数配置された自動搬送路55を有しており、自動搬送路55の一部は記録用紙Pがプラテンガラス54上を通るように配置されている。また、原稿読取装置56は、プラテンガラス54の左端部に静止した状態で原稿搬送装置52によって搬送された読取原稿Gを読み取り、又は矢印H方向に移動しながらプラテンガラス54に載せられた読取原稿Gを読み取るようになっている。
【0023】
一方、画像形成部14は、装置本体10Aの中央に潜像保持体の一例としての円筒状の感光体62が設けられている。感光体62は、図示しない駆動手段によって矢印+R方向(図示の時計回り方向)に回転すると共に光照射によって形成される静電潜像を保持するようになっている。また、感光体62の上方で且つ感光体62の外周面と対向する位置には、感光体62の表面を帯電するコロトロン方式の帯電部材64が設けられている。
【0024】
感光体62の回転方向における帯電部材64よりも下流側で且つ感光体62の外周面と対向する位置には、露光装置66が設けられている。露光装置66は、LED(Light Emitting Diode)で構成されており、帯電部材64により帯電した感光体62の外周面に各トナー色に対応した画像信号に基づき、光を照射(露光)して静電潜像を形成するようになっている。なお、露光装置66はLED方式に限らず、例えば、レーザ光をポリゴンミラーで走査するものであってもよい。
【0025】
感光体62の回転方向で露光装置66の露光光が照射される部位よりも下流側には、感光体62の外周面に形成された静電潜像を決められた色のトナーで現像して可視化させる現像手段の一例としての回転切り替え式の現像装置70が設けられている。なお、現像装置70の詳細については後述する。
【0026】
感光体62の回転方向で現像装置70よりも下流側であり且つ感光体62の下側には、感光体62の外周面に形成されたトナー画像が転写される現像剤保持部材及び転写ベルトの一例としての中間転写ベルト68が設けられている。中間転写ベルト68は、無端状であり、制御部20により回転駆動される駆動ロール61、中間転写ベルト68に張力を付与するための張力付与ロール63、中間転写ベルト68の裏面に接触して従動回転する複数の搬送ロール65、及び後述する二次転写位置において中間転写ベルト68の裏面に接触して従動回転する補助ロール69に巻き掛けられている。そして、中間転写ベルト68は、駆動ロール61が回転することにより、矢印−R方向(図示の反時計回り方向)に周回移動するようになっている。
【0027】
また、中間転写ベルト68を挟んで感光体62の反対側には、感光体62の外周面に形成されたトナー画像を中間転写ベルト68に一次転写させる一次転写ロール67が設けられている。一次転写ロール67は、感光体62と中間転写ベルト68とが接触する位置から中間転写ベルト68の移動方向下流側に離れた位置で、中間転写ベルト68の裏面に接触している。そして、一次転写ロール67は、図示しない電源から通電されることにより、接地されている感光体62との電位差で感光体62のトナー画像を中間転写ベルト68に一次転写するようになっている。
【0028】
さらに、中間転写ベルト68を挟んで補助ロール69の反対側には、中間転写ベルト68上に一次転写されたトナー画像を記録用紙Pに二次転写させる転写手段の一例としての二次転写ロール71が設けられており、二次転写ロール71と補助ロール69との間が記録用紙Pへトナー画像を転写する二次転写位置とされている。二次転写ロール71は、中間転写ベルト68の表面に接触している。そして、二次転写ロール71は、図示しない電源から通電されることにより、接地されている補助ロール69との電位差で中間転写ベルト68のトナー画像を記録用紙Pに二次転写するようになっている。
【0029】
また、中間転写ベルト68を挟んで駆動ロール61の反対側には、中間転写ベルト68の二次転写後の残留トナーを回収する現像剤回収装置の一例としてのクリーニング装置100が設けられている。なお、クリーニング装置100の詳細については後述する。さらに、中間転写ベルト68の周囲で張力付与ロール63と対向する位置には、中間転写ベルト68の表面に付されたマーク(図示省略)を検知することで中間転写ベルト68上の予め定めた基準位置を検出し、画像形成処理の開始タイミングの基準となる位置検出信号を出力する位置検出センサ83が設けられている。
【0030】
感光体62の回転方向で一次転写ロール67よりも下流側には、中間転写ベルト68に一次転写されずに感光体62の表面に残留した残留トナー等を清掃するクリーニング装置73が設けられている。クリーニング装置73は、感光体62表面に接触するクリーニングブレード及びブラシロールにより残留トナー等を回収する構成となっている。また、感光体62の回転方向でクリーニング装置73の上流側(一次転写ロール67よりも下流側)には、感光体62の外周面に光を照射して除電を行う除電装置75が設けられている。除電装置75は、クリーニング装置73による残留トナー等の回収前に感光体62の外周面に光を照射して除電することで静電気による付着力を低減し、残留トナー等の回収率を高めるためのものである。なお、クリーニング装置73の下流側で且つ帯電部材64の上流側に、残留トナー等の回収後の除電手段を設けてもよい。
【0031】
二次転写ロール71によるトナー画像の二次転写位置は、前述の搬送路28の途中に設定されており、搬送路28における記録用紙Pの搬送方向(矢印Aで図示)で二次転写ロール71よりも下流側には、二次転写ロール71によってトナー画像が転写された記録用紙Pにトナー画像を定着させる定着装置80が設けられている。定着装置80は、記録用紙Pのトナー画像面側(上側)に配置され、通電により発熱する熱源を有する加熱ロール82と、加熱ロール82の下側に配置され記録用紙Pを加熱ロール82の外周面に向けて加圧する加圧ロール84とで構成されている。なお、搬送路28における記録用紙Pの搬送方向で定着装置80よりも下流側には、排紙部15又は反転部33へ向けて記録用紙Pを搬送する搬送ロール39が設けられている。
【0032】
一方、原稿読取装置56の下側で現像装置70よりも上側には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)、第1特別色(E)、第2特別色(F)の各トナーを収容するトナーカートリッジ78Y、78M、78C、78K、78E、78Fが水平方向に並んで交換可能に設けられている。第1特別色E及び第2特別色Fは、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック以外の特別色(透明を含む)から選択され、または、選択されないようになっている。そして、現像装置70では、第1特別色E及び第2特別色Fが選択された場合はY、M、C、K、E、Fの6色での画像形成を行い、第1特別色E及び第2特別色Fが選択されない場合はY、M、C、Kの4色での画像形成を行うようになっている。なお、本実施形態では、一例として、Y、M、C、Kの4色で画像形成を行い、第1特別色E及び第2特別色Fを未使用とした場合について説明するが、他の例として、Y、M、C、Kの4色と第1特別色E又は第2特別色Fを用いて5色で画像形成を行ってもよい。
【0033】
次に、現像装置70について説明する。
【0034】
図2に示すように、現像装置70は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)、第1特別色(E)、第2特別色(F)の各トナー色にそれぞれ対応する現像器72Y、72M、72C、72K、72E、72Fが、周方向に(反時計回り方向にこの順番で)並んで配置されており、回転手段であるモータ(図示省略)によって中心角で60°ずつ回転することで、現像処理を行う現像器72Y、72M、72C、72K、72E、72Fが切り替えられ、感光体62の外周面と対向するようになっている。なお、現像器72Y、72M、72C、72K、72E、72Fは同様の構成となっているため、ここでは現像器72Yについて説明し、他の現像器72M、72C、72K、72E、72Fについては説明を省略する。
【0035】
現像器72Yは、本体となるケース部材76を有しており、ケース部材76内にトナーカートリッジ78Y(図1参照)からトナー供給路(図示省略)を経由して供給されるトナー及びキャリアから成る現像剤(図示省略)が充填されている。また、ケース部材76には、感光体62の外周面と対向して矩形状の開口部76Aが形成されており、開口部76Aには、外周面が感光体62の外周面と対向する現像ロール74が設けられている。さらに、ケース部材76内で開口部76Aに近い部位には、現像剤の層厚を規制するための板状の規制部材79が、開口部76Aの長手方向に沿って設けられている。
【0036】
現像ロール74は、回転可能に設けられた円筒状の現像スリーブ74Aと、現像スリーブ74Aの内側に固定された複数の磁極から成る磁性部材74Bとで構成されており、現像スリーブ74Aが回転することで現像剤(キャリア)の磁気ブラシが形成されると共に、規制部材79で層厚が規制されることで、現像スリーブ74Aの外周面に現像剤層を形成するようになっている。そして、現像スリーブ74Aの外周面の現像剤層は、感光体62に対向する位置に搬送され、感光体62の外周面に形成された潜像(静電潜像)に応じたトナーを付着させて現像を行う。
【0037】
また、ケース部材76内には、螺旋状に形成された搬送ローラ77が2本回転可能に並列配置されており、この2本の搬送ローラ77が回転することで、ケース部材76内に充填された現像剤が、現像ロール74の軸方向(現像器72Yの長手方向)に循環搬送されるようになっている。なお、各現像器72Y、72M、72C、72K、72E、72Fに設けられた6本の現像ロール74は、隣の現像ロール74との間隔が中心角60°となるように周方向に配置されており、現像器72の切り替えにより、次の現像ロール74が感光体62の外周面と対向するようになっている。
【0038】
次に、クリーニング装置100について説明する。
【0039】
図3に示すように、クリーニング装置100は、中間転写ベルト68(図2参照)と対向配置される矩形状の開口部104が形成された筐体102と、開口部104に設けられ中間転写ベルト68に接触してトナーを回収する回収部材の一例としてのクリーニングブレード106と、クリーニングブレード106とは反対側の位置で開口部104に設けられ、中間転写ベルト68に接触して筐体102と中間転写ベルト68との隙間を密閉する密閉部材の一例としてのシール部材108とを有している。
【0040】
さらに、クリーニング装置100は、中間転写ベルト68の残留トナー等を筐体102内へ吸引する吸引手段の一例としての吸引ユニット110(図6、7参照)と、筐体102内に設けられてトナーを含む塵埃を集めるフィルタ112と、クリーニングブレード106及びシール部材108を中間転写ベルト68の外周面に接触させる位置又は中間転写ベルト68の外周面から離れた位置の間で移動させる移動手段の一例としてのリトラクト機構部130の一部と、空気を筐体102内に取り込ませる取込手段の一例としての複数の孔部150と、取込手段及び通気部材の一例としてのフィルタ152(図4(B)参照)と、を有している。
【0041】
なお、以後は、筐体102及び開口部104の長手方向を矢印Z方向、矢印Z方向と直交し且つ筐体102の底壁102A(図4(A)参照)の面内方向を矢印X方向、矢印X方向及び矢印Z方向と直交する筐体102の高さ方向を矢印Y方向として、筐体102内の各部材の配置を説明する。また、矢印Z方向は、画像形成装置10(図1参照)を正面視したときの手前側から奥側に向かう方向である。
【0042】
図3及び図4(A)に示すように、筐体102は、矢印Z方向の両端部と、矢印Z方向に見て天壁の左端部及び左側壁の上端部とが開放された形状の部材であり、矢印Z方向の両端部には側板114がネジで取り付けられている。また、筐体102の上部には、矢印Z方向を長手方向としX−Y面でL字形の板金から成る第1可動部材116が設けられている。なお、図4(A)には、中間転写ベルト68にクリーニングブレード106及びシール部材108が接触した状態が示されている。
【0043】
第1可動部材116は、X−Y面で山型に配置されており、一方の傾斜部116A(図示の左下に向かう傾斜部分)の裏側には、矢印Z方向を軸方向とする支軸118が固定されている。支軸118は、両端部が側板114に設けられたベアリング(図示省略)により回転可能に支持されている。そして、第1可動部材116の傾斜部116Aの上面には、X−Y面でL字形の板金から成る支持板119がネジで取り付けられている。さらに、支持板119の下部には、傾斜部116Aの傾斜方向に沿って配置されたクリーニングブレード106の短手方向の一方の端部が接着により固定されている。
【0044】
クリーニングブレード106は、平面視で矩形状の樹脂製の板材であり、長手方向が開口部104の長手方向に沿うように支持板119に取り付けられている。これにより、クリーニングブレード106は、開口部104における中間転写ベルト68の搬送方向(矢印−R方向)の下流側の縁部に沿って設けられている。また、クリーニングブレード106は、後述するリトラクト機構部130が接触状態の配置となっているときに、自由端側(支持板119に接着されていない他方の端部)が中間転写ベルト68と接触するように配置されており、中間転写ベルト68の残留トナーを筐体102内に回収するようになっている。また、X−Y面で筐体102の左側には、矢印Z方向を長手方向とするL字形の板金から成る第2可動部材120が設けられている。
【0045】
第2可動部材120は、X−Y面で左側に向けて凸となるように配置されており、上側に配置された傾斜部120A(図示の左下へ下がる傾斜部分)の裏側には、矢印Z方向を軸方向とする支軸122(図3参照)が固定されている。支軸122は、軸方向両端部が側板114及び後述する側板131B(図6参照)に設けられたベアリング(図示省略)により回転可能に支持されている。また、第2可動部材120の傾斜部120Aの上部には、シール部材108の短手方向の一方の端部が接着により固定されている。
【0046】
さらに、第2可動部材120の傾斜部120Aには、矢印Z方向を長手方向として貫通された長孔である孔部150が、矢印Z方向に間隔をあけて複数形成されている。また、第2可動部材120の傾斜部120Aの裏面には、複数の孔部150を覆ってフィルタ152が固定されている。なお、複数の孔部150の形成位置は、クリーニングブレード106又はシール部材108の設置範囲内となっている。
【0047】
図4(B)に示すように、フィルタ152は、一例としてウレタン樹脂の発泡材により形成されており、第2可動部材120の裏側に複数の孔部150をそれぞれ覆うようにして接着されている。なお、フィルタ152は、トナーTを孔部150から外側へ流出させず、且つ空気を筐体102内へ取り込み可能な発泡状態となっている。
【0048】
図4(A)に示すように、シール部材108は、一例として、平面視で矩形状の透明なフィルム材であり、開口部104における中間転写ベルト68の搬送方向の上流側の縁部に沿って中間転写ベルト68と接触するように第2可動部材120に取り付けられている。また、シール部材108は、後述するリトラクト機構部130が接触状態の配置となっているときで、且つクリーニングブレード106が中間転写ベルト68に接触しているときに、自由端側(第2可動部材120に接着されていない他方の端部)が中間転写ベルト68と接触するように配置されている。これにより、シール部材108は、筐体102と中間転写ベルト68との隙間を中間転写ベルト68の搬送方向において密閉するようになっている。さらに、シール部材108は、クリーニングブレード106よりも下側に配置されている。ここで、シール部材108の先端部は、中間転写ベルト68の移動方向に沿って配置されており、シール部材108によってトナーTが掻き取られることはない。
【0049】
なお、第1可動部材116、支軸118、支持板119、及び第2可動部材120は、筐体102の一部を構成する部材である。また、開口部104は、筐体102における支持板119の下端部から第2可動部材120の上端部までの開放された部位である。
【0050】
図4(A)、(B)に示すように、X−Y面で筐体102内の右側には、フィルタ112が、枠状の取付部材113によって筐体102内に取り付けられている。フィルタ112は、繊維の集合体であり、正面視で筐体102の長手方向(矢印Z方向)に沿って長い矩形状となっている。このフィルタ112で区切られることにより、筐体102の右側には、X−Y面で矩形状の吸引路115が形成されている。さらに、筐体102内には、筐体102の側面視(X−Y面)において、開口部104とフィルタ112の間で底壁102A上に立てられた仕切壁117が設けられている。なお、吸引路115は、詳細を後述する吸引ユニット110の一部を構成している。
【0051】
ここで、図8(A)には、中間転写ベルト68からクリーニングブレード106及びシール部材108が離れた状態が示されている。なお、以後は、中間転写ベルト68からクリーニングブレード106及びシール部材108が離れた状態をリトラクト状態と記載する。
【0052】
図4(A)に示すように、筐体102の下部で且つ仕切壁117と第2可動部材120の間には、外周面に螺旋状の複数の溝が形成されており、且つ矢印Z方向を回転軸方向として回転可能に設けられた搬送部材121が設けられている。搬送部材121は、矢印Z方向の手前側にモータを含む駆動手段(図示省略)が設けられており、制御部20(図1参照)によって駆動制御されることで、筐体102内に回収されたトナーを矢印Z方向の奥側へ向けて搬送するようになっている。なお、図3に示すように、筐体102の矢印Z方向の奥側には、搬送部材121によって搬送されたトナーが回収タンク(図示省略)に向けて流れる円筒状の回収路123が設けられている。
【0053】
一方、図6、7に示すように、吸引ユニット110は、筐体102内の吸引路115(図4(A)参照)と、吸引路115の矢印Z方向の一端(画像形成装置10(図1参照)の奥側)に接続された第1ダクト126と、第1ダクト126の他端(後述する開口部128)が接続された第2ダクト144と、第2ダクト144の下端に接続された第3ダクト146と、第3ダクト146に取り付けられた吸気用のファンユニット148と、を含んで構成されている。
【0054】
図6に示すように、吸引路115(図4(A)参照)の矢印Z方向の一端の底部には、開口部(図示省略)が形成されており、この開口部に第1ダクト126の一端部が接続されている。また、第1ダクト126は、筒状に形成されており、画像形成装置10の奥側(図1の正面視で奥側)で且つ中間転写ベルト68の奥側に配置されている。そして、第1ダクト126の他端部には、第2ダクト144の鉛直方向中央部に接続される開口部128が設けられている。
【0055】
図7に示すように、第2ダクト144は、筒状で且つ全体が正面視でL字状に形成されており、鉛直部分の下端には、第3ダクト146に接続される開口部144Cが設けられている。また、正面視で水平部分の右端部には、中間転写ベルト68の上方で且つ中間転写ベルト68の幅方向を長手方向とする第4ダクト142が接続されている。
【0056】
第4ダクト142は、直方体状に形成されており、矢印H方向の一方の側壁の下部には長手方向に沿って複数の開口部143が形成されている。また、第4ダクト142は、帯電部材64(図2参照)に近い位置に配置されており、帯電部材64による感光体62の帯電により生じたオゾン等を吸気するようになっている。
【0057】
第3ダクト146は、第2ダクト144の開口部144Cに取り付けられており、第3ダクト146の下端には、ファンユニット148内に設けられたファン(図示省略)が回転することで排気が行われる排気口149が設けられている。ファンユニット148は、制御部20(図1参照)により内部のファンの回転動作または動作停止が行われるようになっている。なお、ファンユニット148は、画像形成装置10(図1参照)における画像形成時もしくは中間転写ベルト68が周回移動しているときに吸引動作を行うようになっている。
【0058】
また、排気口149は、画像形成装置10(図1参照)の正面視奥側で、且つ画像形成部14と用紙収容部12の段差が形成された部位の画像形成部14側の底面に設けられている。このように、吸引ユニット110は、吸引路115、第1ダクト126、第2ダクト144、第3ダクト146、及び第4ダクト142の内部がつながっており、ファンユニット148が動作して生じた負圧により各部から吸引された空気が、排気口149から画像形成装置10の外側へ排気されるようになっている。
【0059】
一方、図5及び図6に示すように、リトラクト機構部130は、矢印Z方向の手前側に設けられた第1機構部130Aと、奥側に設けられた第2機構部130Bとで構成されている。また、中間転写ベルト68の矢印Z方向(幅方向)両端に近い位置には、手前側に側板131A、奥側に側板131Bが設けられている。
【0060】
図5に示すように、第1機構部130Aは、側板131Aに設けられ駆動源(図示省略)によって回転される偏心カム132Aと、クリーニング装置100の側板114に設けられ偏心カム132Aの回転により移動して第1可動部材116及び第2可動部材120(図3参照)を移動させるリンク部材134とを含んで構成されている。
【0061】
偏心カム132Aは、側板131A及び側板131B(図7参照)に回転可能に設けられた軸部材133の一端(矢印Z方向の手前側)に取り付けられており、軸部材133を中心として偏心した部位には、側板131Aに一端が取り付けられたバネ135の他端が取り付けられている。そして、偏心カム132Aは、駆動源で回転されないときは、バネ135の引張力が作用することにより、リンク部材134から遠い側に偏心した部位が配置されるようになっている。
【0062】
リンク部材134は、正面視でV字に近い形状で且つ同じ大きさの2枚の板材が間隔をあけて一体化された構成となっている。詳細には、リンク部材134は、逆三角形状の本体部134Aと、本体部134Aの正面視で左上部から左斜め上方へ延びる第1アーム134Bと、本体部134Aの正面視で右上部から右斜め上方へ延びる第2アーム134Cとを有している。また、本体部134Aの下端(頂角部分)には、支軸122が固定される円弧状の切欠部134Dが形成されている。さらに、第1アーム134B又は第2アーム134Cの上端部には、それぞれロール136A、136Bが回転可能に設けられている。
【0063】
ここで、リンク部材134は、支軸122の矢印Z方向手前側の端部に切欠部134Dが嵌められることで、支軸122を支点として+R方向(図示の時計回り方向)又は−R方向(図示の反時計回り方向)に移動可能となっており、第1アーム134B及び第2アーム134Cが+R方向又は−R方向に移動するようになっている。
【0064】
なお、リンク部材134は、第2アーム134C側の本体部134Aにバネ137の一端が取り付けられており、バネ137の他端は側板114の底部に取り付けられている。これにより、偏心カム132Aが接触しない状態で、リンク部材134には+R方向に回転させる力が作用している。また、第1可動部材116の端部には、バネ139の一端が取り付けられており、バネ139の他端は側板114の底部に取り付けられている。これにより、第1可動部材116には+R方向に回転させる力が作用している。そして、ロール136Bは、第1可動部材116の手前側端部に設けられた平面である接触部116Bと接触している。
【0065】
ロール136Aは、偏心カム132Aの+R方向の回転により偏心カム132Aと接触し、又は偏心カム132Aの−R方向の回転により偏心カム132Aから離れるようになっている。また、ロール136Bは、偏心カム132Aがロール136Aと接触してリンク部材134を+R方向に移動させたとき、第1可動部材116の接触部116Bを押して、第1可動部材116を−R方向に移動させるようになっている。そして、偏心カム132Aがロール136Aから離れたときは、第1可動部材116が+R方向に移動するようになっている。
【0066】
一方、図6に示すように、第2機構部130Bは、側板131Bに設けられ駆動源(図示省略)によって回転される偏心カム132Bと、同じく側板131Bに設けられ偏心カム132Bの回転により移動して第1可動部材116及び第2可動部材120(図3参照)を移動させるリンク部材136とを含んで構成されている。
【0067】
偏心カム132Bは、軸部材133の一端(矢印Z方向の奥側)に取り付けられており、軸部材133を中心として偏心した部位には、側板131Aに一端が取り付けられたバネ(図示省略)の他端が取り付けられている。そして、偏心カム132Bは、駆動源で回転されないときは、バネの引張力が作用することにより、リンク部材136から遠い側に偏心した部位が配置されるようになっている。
【0068】
リンク部材136は、リンク部材134(図5参照)と同様の構成となっており、側板131Bから他端が露出された前述の支軸122を支点として+R方向又は−R方向に移動することで、第1アーム134B及び第2アーム134Cが+R方向又は−R方向に移動するようになっている。なお、リンク部材136には、リンク部材134と同様に、偏心カム132Bが接触しない状態で+R方向に回転させる力が作用している。また、リンク部材136が接触しない状態では、第1可動部材116には+R方向に回転させる力が作用している。そして、ロール136Bは、第1可動部材116の奥側端部に設けられた平面である接触部116Cと接触している。
【0069】
ロール136Aは、偏心カム132Bの+R方向の回転により偏心カム132Bと接触し、又は偏心カム132Bの−R方向の回転により偏心カム132Bから離れるようになっている。また、ロール136Bは、偏心カム132Bがロール136Aと接触してリンク部材136を+R方向に移動させたとき、第1可動部材116の接触部116Cを押して、第1可動部材116を−R方向に移動させるようになっている。そして、偏心カム132Bがロール136Aから離れたときは、第1可動部材116が+R方向に移動するようになっている。
【0070】
なお、図3において、第2可動部材120は、前述のように支軸122に固定されて一体となっているため、リンク部材134(図5参照)及びリンク部材136(図7参照)が−R方向に移動すれば同様に−R方向に移動し、+R方向に移動すれば同様に+R方向に移動する。また、筐体102は画像形成装置10(図1参照)内に固定されているため、第1可動部材116及び第2可動部材120が移動するときに筐体102の位置が変わることはない。
【0071】
次に、第1実施形態の作用について説明する。
【0072】
まず、画像形成装置10における画像形成工程について説明する。
【0073】
図1に示すように、画像形成装置10が作動すると、画像処理装置(図示省略)又は外部から、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)、第1特別色(E)、第2特別色(F)の各色の画像データが露光装置66に順次出力される。このとき、一例として、現像装置70は、現像器72Y(図2参照)が感光体62の外周面と対向するように回転し保持されている。また、図8(A)に示すように、クリーニング装置100のクリーニングブレード106及びシール部材108は、各色のトナー画像が中間転写ベルト68に多重(一次)転写され且つ記録用紙P上に二次転写されるまで、リトラクト機構部130(図3参照)の動作によって中間転写ベルト68の外周面から離されている。
【0074】
続いて、露光装置66から画像データに応じて出射された光は、帯電部材64により帯電された感光体62の外周面(表面)を露光し、感光体62の表面にはイエローの画像データに対応した静電潜像が形成される。さらに、感光体62の表面に形成された静電潜像は、現像器72Yによってイエローのトナー画像として現像される。そして、感光体62の表面のイエローのトナー画像は、一次転写ロール67によって中間転写ベルト68に転写される。
【0075】
続いて、図1に示すように、現像装置70が矢印+R方向に60°回転され、現像器72Mが感光体62の表面と対向する。そして、帯電、露光、現像の各工程が行われ、感光体62の表面のマゼンタのトナー画像は、一次転写ロール67によって中間転写ベルト68のイエローのトナー画像上に転写される。同様にして、シアン(C)、黒(K)、さらに色設定に応じて第1特別色(E)、及び第2特別色(F)のトナー画像が中間転写ベルト68上に順次多重転写される。
【0076】
一方、用紙収容部12から送り出され、搬送路28を搬送されてきた記録用紙Pは、位置合せロール38により、中間転写ベルト68への各トナー画像の多重転写とタイミングを合わせて二次転写位置に搬送される。そして、中間転写ベルト68上に多重転写されたトナー画像は、二次転写位置に搬送されてきた記録用紙P上に二次転写ロール71によって二次転写される。また、二次転写後、図8(B)に示すように、クリーニング装置100のクリーニングブレード106及びシール部材108は、リトラクト機構部130(図3参照)の動作によって中間転写ベルト68の外周面と接触する。そして、中間転写ベルト68の外周面に付着したトナーTがクリーニングブレード106で剥離され、筐体102内に回収される。
【0077】
続いて、トナー画像が転写された記録用紙Pは、定着装置80に向けて矢印A方向(図示の右方向)に搬送される。そして、定着装置80では、トナー画像が加熱ロール82及び加圧ロール84によって加熱、加圧されることで記録用紙Pに定着される。さらに、トナー画像が定着された記録用紙Pは、一例として、排紙部15に排出される。なお、記録用紙Pの両面に画像を形成する場合は、定着装置80で表面に画像定着を行った後、記録用紙Pを矢印−V方向に沿って反転部33に送り込むと共に矢印+V方向に沿って送り出すことで、記録用紙Pの先端と後端を入れ替える。そして、記録用紙Pを両面搬送路29によって矢印B方向(図示の左方向)に搬送し、さらに搬送路28に送り込んで、記録用紙Pの裏面の画像形成(このとき、クリーニングブレード106及びシール部材108はリトラクト状態となる)及び定着を行う。そして、この定着後に、クリーニングブレード106及びシール部材108がリトラクト機構部130の動作によって中間転写ベルト68の外周面と接触する。そして、中間転写ベルト68の外周面に付着したトナーTがクリーニングブレード106で剥離され、筐体102内に回収される。
【0078】
次に、クリーニング装置100の作用について説明する。
【0079】
図5及び図6において、偏心カム132A及び偏心カム132Bが回転してリンク部材134、136を押している状態では、図8(A)に示すように、クリーニングブレード106の先端及びシール部材108の先端が中間転写ベルト68の外周面から離れるリトラクト状態となる。また、図5及び図6において、偏心カム132A、132Bが回転せず、リンク部材134、136が偏心カム132A、132Bで押されていない状態では、図8(B)に示すように、クリーニングブレード106の先端及びシール部材108の先端が中間転写ベルト68の外周面と接触する。
【0080】
図8(A)において、中間転写ベルト68のトナー画像が記録用紙P(図示省略)に二次転写されるまで、クリーニングブレード106及びシール部材108はリトラクト状態となっている。そして、二次転写後、中間転写ベルト68の外周面には転写残のトナーTが付着しており、中間転写ベルト68の−R方向への周回移動によって、転写残のトナーTはクリーニング装置100まで搬送されてくる。なお、吸引ユニット110のファンユニット148(図7参照)は、画像形成開始時から駆動されており、吸引路115及び筐体102の内側が負圧状態となって、筐体102から吸引路115への吸気が行われている。
【0081】
ここで、クリーニングブレード106及びシール部材108が中間転写ベルト68の外周面に接触しておらず、開口部104が開放状態となっているため、筐体102の外側にある空気が開口部104を通って筐体102内に取り込まれ、開口部104からフィルタ112へ向けて矢印N1方向(X−Y面で右斜め下側に向かう方向)の空気の流れが形成される。この空気の流れは、開口部104が開放状態であることから抑制されることはなく、筐体102内での空気の滞留がなくなる。そして、既に回収されている筐体102内の浮遊トナーTが、中間転写ベルト68の外周面に再度付着することがなくなる。
【0082】
続いて、図8(B)に示すように、二次転写後、リトラクト機構部130(図5、6参照)が動作して、クリーニングブレード106の先端及びシール部材108の先端を中間転写ベルト68の外周面に接触させる。これにより、中間転写ベルト68の外周面の残留トナーTが、クリーニングブレード106によって剥離され筐体102内に回収される。そして、回収されたトナーTは、搬送部材121で搬送され、又はフィルタ112の表面に接触して落下して、仕切壁117とフィルタ112の間に貯留される。このとき、シール部材108及びクリーニングブレード106が、中間転写ベルト68の移動方向において筐体102と中間転写ベルト68との隙間を密閉している。
【0083】
ここで、比較例として、本実施形態の複数の孔部150が設けられていない構成では、クリーニングブレード106及びシール部材108が中間転写ベルト68の外周面に接触した状態で、中間転写ベルト68の移動方向における筐体102と中間転写ベルト68との隙間が密閉される。そして、筐体102の外側にある空気が、筐体102の長手方向(矢印Z方向)両端部の隙間からのみ筐体102内に入ってくることになる。これにより、筐体102の長手方向中央部で空気が滞留して、筐体102内で浮遊するトナーTを吸引路115側に移動させることができなくなる。この結果、クリーニングブレード106及びシール部材108が中間転写ベルト68の外周面から離れたときに、引き付けられなかったトナーTが、中間転写ベルト68の外周面に付着することになる。
【0084】
一方、本実施形態のクリーニング装置100では、クリーニングブレード106及びシール部材108が中間転写ベルト68の外周面に接触した状態で、中間転写ベルト68の移動方向における筐体102と中間転写ベルト68との隙間が密閉された場合でも、孔部150が長手方向に沿って複数設けられているため、筐体102の外側にある空気が、筐体102の長手方向の全体(両端部及び中央部)で孔部150及びフィルタ152を通って筐体102内に入ってくる。これにより、孔部150からフィルタ112へ向かう方向(矢印N2方向)の空気の流れが形成され、筐体102の長手方向中央部で空気が滞留せず、吸引ユニット110における吸引力の低下が抑えられる。
【0085】
そして、クリーニング装置100では、筐体102内で浮遊するトナーTが吸引路115側に移動するため、クリーニングブレード106及びシール部材108が中間転写ベルト68の外周面から離れたときも、継続してトナーTの吸引が行われる。これにより、中間転写ベルト68の外周面にトナーTが付着することが抑制される。さらに、クリーニング装置100では、フィルタ152が空気を筐体102内へ通すと共に、筐体102内のトナーTが筐体102の外側へ移動するのを抑制するため、筐体102内に回収したトナーTが筐体102の外側へ流出することが抑制される。
【0086】
また、クリーニング装置100では、吸引路115(吸引ユニット110)が筐体102のクリーニングブレード106側に設けられており、シール部材108が中間転写ベルト68よりも下方に配置され、孔部150が吸引路に対して第1可動部材116よりも遠い側にある第2可動部材120のシール部材108が取り付けられる部位に設けられているため、X−Y面で筐体102の左端から右端まで吸引が行われる。さらに、空気を筐体102内に取り込むための孔部150の位置が筐体102の下側となっており、孔部150から上側へ向かう空気の流れが形成されるため、クリーニングブレード106で回収され落下するトナーT及び筐体102内で舞い上がるトナーTが、この空気の流れに沿って吸引されフィルタ112へ移動する。
【0087】
次に、本発明の第2実施形態に係る現像剤回収装置及び画像形成装置の一例について説明する。なお、前述した第1実施形態と基本的に同一の部材には、前記第1実施形態と同一の符号を付与してその説明を省略する。
【0088】
図9には、第2実施形態のクリーニング装置160のX−Y面の断面図が示されている。クリーニング装置160は、第1実施形態のクリーニング装置100(図4(A)参照)において、シール部材108、第2可動部材120、及びフィルタ152に換えて、第2可動部材162、密閉部材の一例としてのシール部材164、取込手段の一例としての孔部164A、蓋部材166、取込手段及び通気部材の一例としてのフィルタ168を設けた構成となっている。なお、蓋部材166は、弁の一例でもある。
【0089】
図10(A)、(B)に示すように、シール部材164は、一例として、平面視で矩形状のウレタン樹脂のフィルム材であり、開口部104における中間転写ベルト68の搬送方向の上流側の縁部に沿って中間転写ベルト68と接触するように第2可動部材162の傾斜部162Aに取り付けられている。また、シール部材164は、リトラクト機構部130が接触状態の配置となっているときで、且つクリーニングブレード106が中間転写ベルト68に接触しているときに、自由端側(第2可動部材162に接着されていない他方の端部)が中間転写ベルト68と接触するように配置されている。これにより、シール部材164は、筐体102と中間転写ベルト68との隙間を中間転写ベルト68の搬送方向において密閉するようになっている。さらに、シール部材164は、クリーニングブレード106よりも下側に配置されている。ここで、シール部材164の先端部は、中間転写ベルト68の移動方向に沿って配置されており、シール部材164によってトナーTが掻き取られることはない。
【0090】
また、シール部材164には、矢印Z方向を長手方向として貫通された長孔である孔部164Aが、矢印Z方向に間隔をあけて複数形成されている。そして、シール部材164の中間転写ベルト68(図9参照)と対向する側の面には、それぞれの孔部164Aを覆うようにして、蓋部材166が設けられている。
【0091】
蓋部材166は、シール部材164よりも剛性が高い板材が好ましく、例えば、シール部材164がウレタン樹脂フィルムの場合に蓋部材166をポリエステルフィルムで構成するようにする。また、蓋部材166は、一例として、孔部164Aの縁部で且つシール部材164の自由端側(中間転写ベルト68と接触する側)に近い部位に一方の端部166Aが接着されており、他方の端部166Bは接着されていない。これにより、クリーニング装置160では、シール部材164が中間転写ベルト68の外周面に接触して撓んだときに、シール部材164よりも剛性の高い蓋部材166の一端がシール部材164から離れ、孔部164Aが開放されるようになっている。なお、蓋部材164の縁部は孔部164Aの周縁部と重なっており、孔部164Aに蓋部材164が噛み込まないようになっている。
【0092】
図10(B)に示すように、第2可動部材162の先端で且つシール部材164の裏側には、それぞれの孔部164Aを覆うようにフィルタ168が接着されている。フィルタ168は、前述のフィルタ152(図4(B)参照)と同様に、一例としてウレタン樹脂の発泡材により形成されており、トナーTを孔部164Aから外側へ流出させず、且つ空気を筐体102内へ取り込み可能な発泡状態となっている。
【0093】
次に、第2実施形態の作用について説明する。なお、画像形成装置10における画像形成工程は、第1実施形態と同様であるため説明を省略し、クリーニング装置160の作用について説明する。
【0094】
図9において、中間転写ベルト68のトナー画像が記録用紙P(図示省略)に二次転写されるまで、クリーニングブレード106及びシール部材164はリトラクト状態となっている。そして、二次転写後、中間転写ベルト68の外周面には転写残のトナーTが付着しており、中間転写ベルト68の−R方向への周回移動によって、転写残のトナーTはクリーニング装置160まで搬送されてくる。なお、吸引ユニット110のファンユニット148(図7参照)は、画像形成開始時から駆動されており、吸引路115及び筐体102の内側が負圧状態となって、筐体102から吸引路115への吸気が行われている。
【0095】
ここで、図11(A)に示すように、クリーニングブレード106(図9参照)及びシール部材164が中間転写ベルト68の外周面に接触しておらず、開口部104(図9参照)が開放状態となっているとき、筐体102の外側にある空気が開口部104を通って筐体102内に取り込まれ、開口部104からフィルタ112へ向かう空気の流れが形成される。この空気の流れは、開口部104が開放状態であることから抑制されることはなく、筐体102内での空気の滞留がなくなる。そして、既に回収されている筐体102内の浮遊トナーTが、中間転写ベルト68の外周面に再度付着することがなくなる。また、このとき、シール部材164が中間転写ベルト68の外周面と接触していないため、シール部材164は撓んでおらず平面状となっている。これにより、蓋部材166はシール部材164に密着し、孔部164Aは閉塞されている。
【0096】
続いて、図11(B)に示すように、リトラクト機構部130(図5、6参照)が動作して、クリーニングブレード106の先端及びシール部材164の先端が中間転写ベルト68の外周面に接触したとき、中間転写ベルト68の外周面の残留トナーTは、クリーニングブレード106によって剥離され、筐体102内に回収される。そして、回収されたトナーTは、搬送部材121で搬送され、又はフィルタ112の表面に接触して落下して、仕切壁117とフィルタ112の間に貯留される。このとき、シール部材164及びクリーニングブレード106が、中間転写ベルト68の移動方向において筐体102と中間転写ベルト68との隙間を密閉している。
【0097】
ここで、本実施形態のクリーニング装置160では、シール部材164の先端が中間転写ベルト68の外周面に接触したとき、シール部材164が部分的に中間転写ベルト68に沿って撓むため、シール部材164よりも変形しにくい蓋部材166の他方の端部166Bがシール部材164から離れて、孔部164Aが開放される。これにより、筐体102の外側にある空気が、筐体102の長手方向の全体(両端部及び中央部)で孔部164A及びフィルタ168を通って筐体102内に入ってくる。そして、孔部164Aからフィルタ112(図9参照)へ向かう方向の空気の流れが形成され、筐体102の長手方向中央部で空気が滞留せず、吸引ユニット110における吸引力の低下が抑えられる。
【0098】
また、クリーニング装置160では、筐体102内で浮遊するトナーTが吸引路115側に引き付けられるため、クリーニングブレード106及びシール部材164が中間転写ベルト68の外周面から離れたときも、継続してトナーTの吸引が行われる。これにより、再度、中間転写ベルト68の外周面にトナーTが付着することが抑制される。さらに、クリーニング装置160では、フィルタ168が空気を筐体102内へ通すと共に、筐体102内のトナーTが筐体102の外側へ移動するのを抑制するため、筐体102内に回収したトナーTが筐体102の外側へ流出することが抑制される。
【0099】
なお、本発明は上記の実施形態に限定されない。
【0100】
現像装置70は、6色の現像器を設けるだけでなく、例えば、90°分割で4色の現像器を設けてもよく、4色や6色を除く2色以上の複数の現像器を設けてもよい。また、帯電部材64は、接触式の帯電ロールであってもよい。さらに、クリーニング装置100は、筐体102が画像形成装置10内で固定されるものに限らず、筐体102全体を中間転写ベルト68に近づかせ、又は離れさせて、クリーニングブレード106及びシール部材108を中間転写ベルト68の外周面に接触させ、又は外周面から離れさせるものであってもよい。
【0101】
感光体62の外周面の清掃をクリーニング装置100で行ってもよい。また、複数の孔部150は、1つの長孔であってもよい。さらに、複数の孔部150を形成する箇所は、筐体の一部である第2可動部材120に限らず、第1可動部材116、筐体102、クリーニングブレード106の少なくとも1つに設けてもよい。また、クリーニング装置160において、フィルタ168を設けていなくてもよい。なお、弁の他の例として、シール部材164の裏面側(吸引路115がある側)に蓋部材166を取り付け、吸引ユニット110で吸引しているとき、又は吸引を停止したときの筐体102内部と外部の差圧によって、蓋部材166を動かすようにしてもよい。
【符号の説明】
【0102】
10 画像形成装置
62 感光体(潜像保持体)
68 中間転写ベルト(現像剤保持部材、転写ベルト)
70 現像装置(現像手段)
71 二次転写ロール(転写手段)
100 クリーニング装置(現像剤回収装置)
102 筐体
104 開口部
106 クリーニングブレード(回収部材)
108 シール部材(密閉部材)
110 吸引ユニット(吸引手段)
115 吸引路(吸引手段)
120 第2可動部材(筐体)
130 リトラクト機構部(移動手段)
150 孔部(取込手段)
152 フィルタ(取込手段、通気部材)
160 クリーニング装置(現像剤回収装置)
164 シール部材(密閉部材)
164A 孔部(取込手段)
166 蓋部材(取込手段、弁)
168 フィルタ(取込手段、通気部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
周回しながら現像剤を保持すると共に搬送する現像剤保持部材と対向配置される開口部が該現像剤保持部材の搬送方向と直交する方向に沿って長く形成された筐体と、
前記現像剤保持部材と接触するように前記開口部における前記搬送方向の下流側の縁部に沿って設けられ、前記現像剤保持部材の外周面から現像剤を剥離して前記筐体内に回収する回収部材と、
前記開口部における前記搬送方向の上流側の縁部に沿って前記現像剤保持部材と接触するように設けられ、前記筐体と前記現像剤保持部材との隙間を密閉する密閉部材と、
前記回収部材及び前記密閉部材を前記現像剤保持部材に接触させる位置又は前記現像剤保持部材から離れた位置の間で移動させる移動手段と、
前記現像剤保持部材から剥離された現像剤を前記筐体内へ吸引する吸引手段と、
前記筐体の長手方向における前記回収部材又は前記密閉部材の設置範囲内で、前記筐体、前記回収部材、前記密閉部材の少なくとも1つに設けられ、空気を前記筐体内に取り込ませる取込手段と、
を有する現像剤回収装置。
【請求項2】
前記取込手段は、前記移動手段が前記現像剤保持部材に前記回収部材及び前記密閉部材を接触させ且つ前記吸引手段で吸引するときに開いて空気を取り込ませ、前記移動手段が前記現像剤保持部材から前記回収部材及び前記密閉部材を離したときに閉じられる弁である請求項1に記載の現像剤回収装置。
【請求項3】
前記取込手段は、前記密閉部材又は前記筐体に形成された孔部と、該孔部に取り付けられ通気可能で且つ現像剤が前記筐体内から通過できない通気部材とを有している請求項1又は請求項2に記載の現像剤回収装置。
【請求項4】
前記吸引手段は、前記筐体の前記回収部材側に設けられ、
前記密閉部材は、前記現像剤保持部材よりも下方に配置され、
前記取込手段が、前記密閉部材又は前記筐体の前記密閉部材が取り付けられる部位に設けられている請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の現像剤回収装置。
【請求項5】
潜像を保持する潜像保持体と、
前記潜像保持体上の潜像を現像剤で現像して現像剤像を形成する現像手段と、
前記潜像保持体上の現像剤像が転写されると共に現像剤像を保持する前記現像剤保持部材としての転写ベルトと、
前記現像剤保持部材上の現像剤像を記録媒体に転写する転写手段と、
前記転写手段で転写が行われた後に前記現像剤保持部材上の現像剤を回収する請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の現像剤回収装置と、
を有する画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−203507(P2011−203507A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−70926(P2010−70926)
【出願日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】