説明

現像剤担持体及び現像装置

【課題】トナーへの摩擦帯電付与安定化が図れ、多数枚耐久中においても画像濃度低下、濃度ムラ、飛び散り等の問題の発生が少なく、安定して良好な現像を行なうことができる現像剤担持体及び現像装置を提供する。
【解決手段】基体及び樹脂層を有し、該樹脂層は、熱硬化性樹脂と、特定のエステルユニット及び特定のカチオンユニットを有するアクリル樹脂と、導電性粒子とを含有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は現像剤担持体及び現像剤担持体を有する現像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真法における一成分現像方法においては、現像剤がキャリアを含まないため、キャリア劣化に伴うキャリアの交換が不要である。また、現像装置にトナーとキャリアの濃度調整機構が不要なため、現像装置自体を小型化・軽量化できる。
【0003】
ところで、近年の電子写真画像への更なる高画質化の要求の下、特許文献1は、荷電制御剤として第4級アンモニウム塩基含有共重合体を表面層としての樹脂層中に含有する現像剤担持体及びかかる現像剤担持体を用いることで、トナーの摩擦帯電量を高める現像装置を開示している。特許文献1に記載される現像剤担持体は、樹脂層中に第4級アンモニウム塩基の負極性カウンターイオンがイオン化し、樹脂層がイオン導電性を有することとなるため樹脂層の体積抵抗を低下させることができる。その結果、電子写真画像におけるゴーストやかぶりの発生を抑制することができると考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−312136号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者による上記特許文献1に係る発明の更なる検討の結果、特許文献1に係る現像剤担持体は、一成分現像方式に用いたときに、電子写真画像に、濃度低下、濃度ムラ及びトナーの飛び散りを生じさせる場合があった。
【0006】
本発明の目的は、トナーへの摩擦帯電付与安定化が図れ、多数枚耐久中においても画像濃度低下、濃度ムラ、飛び散り等の問題の発生が少なく、安定して良好な現像性を得ることができる現像剤担持体及び現像装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、前記した課題の発生原因の一つが、表面層にイオン導電性を付与する第4級アンモニウム塩基含有共重合体と結着樹脂との不十分な相溶により、表面層内でイオン導電性にムラが生じているためであると推定した。そこで、本発明者は、表面層中での結着樹脂に対する第4級アンモニウム塩基含有共重合体を改善すべく、第4級アンモニウム塩基含有共重合体の構造を検討した。本発明はかかる検討に基づくものである。
【0008】
本発明によれば、基体及び樹脂層を有し、該樹脂層は、熱硬化性樹脂と、式(1)に示されるユニット及び式(2)に示されるユニットを有するアクリル樹脂と、導電性粒子とを含有している現像剤担持体が提供される。
【0009】
【化1】

【0010】
[式(1)中、R1は、水素原子又はメチル基を示し、R2は、炭素数8乃至18のアルキル基を示す。]
【0011】
【化2】

【0012】
[式(2)中、R3は水素原子又はメチル基を示し、R4は炭素数1乃至4のアルキレン基を示す。R5乃至R7のうち一つ又は二つ以上の基は各々独立して炭素数4乃至18のアルキル基及び炭素数4乃至18のヒドロキシアルキル基から選ばれる何れかの基を示す。
【0013】
5乃至R7のうち、炭素数4乃至18のアルキル基又は炭素数4乃至18のヒドロキシアルキル基を示さない基は、各々独立して炭素数1乃至3のアルキル基及び炭素数1乃至3のヒドロキシアルキル基から選ばれる何れかの基を示す。A-は、アニオンを示す。]。
【0014】
さらに本発明によれば、トナー粒子を有する負帯電性の現像剤と、それを収容している容器と、該容器に貯蔵された現像剤を担持搬送するための現像剤担持体とを有し、
現像剤層厚規制部材により該現像剤担持体上に現像剤層を形成しながら現像剤担持体上の現像剤を静電潜像担持体と対向する現像領域へと搬送し、該静電潜像担持体の静電潜像を現像剤により現像する現像装置であって、
該現像剤担持体が、上記現像剤担持体である現像装置が提供される。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、トナーに対する帯電付与能がより向上し、その結果として、電子写真画像の濃度低下、濃度ムラ、或いはトナーの飛び散りの発生を抑制し得る現像剤担持体を得ることができる。即ち、式(2)で示されるカチオンユニット中の長鎖アルキル基又は長鎖ヒドロキシアルキル基の存在によって、トナーに対する帯電付与能が向上する。また、式(1)で示されるエステルユニット中の長鎖アルキル基の存在により、熱硬化性樹脂との相溶性が良好となってアクリル樹脂が樹脂層中で均一に存在できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の現像装置の一実施態様を示す断面図である。
【図2】本発明の現像装置の他の実施態様を示す断面図である。
【図3】実施例において、画質の評価に用いた漢字を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の現像剤担持体は、基体及び樹脂層を有している。上記樹脂層は、熱硬化性樹脂と、式(1)に示されるユニット及び式(2)に示されるユニットを少なくとも有するアクリル樹脂と、導電性粒子とを含有している。上記アクリル樹脂は、樹脂層中に含有されることにより、負摩擦帯電性のトナーの摩擦帯電量を向上させることができる。更に、アクリル樹脂が4級アンモニウム塩基を有するため、イオン導電性を有しており、樹脂層の体積抵抗値を低く且つ均一に制御することができる。その結果、多数枚耐久中を通じてトナーの過剰な摩擦帯電を防止し、画像濃度が安定しやすく、飛び散りの発生を抑制しやすくなる。上記アクリル樹脂は、式(1)に示されるユニット及び式(2)に示されるユニットを少なくとも有する。
【0018】
【化3】

【0019】
式(1)中、R1は水素原子又はメチル基を示し、R2は炭素数8乃至18のアルキル基を示す。
【0020】
式(1)中のR2を炭素数8乃至18の長鎖アルキル基とすることにより、本発明に係るアクリル樹脂の極性は低いものとなり、極性が低い熱硬化性樹脂に対する当該アクリル樹脂の相溶性を高めることができる。これにより、アクリル樹脂が樹脂層中に均一に存在することになり、トナーを均一に摩擦帯電させることが可能となる。また、樹脂層中への導電性粒子等の顔料分散性も向上するため、抵抗分布も均一となり、局所的なトナーの過剰な摩擦帯電が抑制される。
【0021】
上記式(1)で示されるエステルユニット(1)として、より好ましい形態は、R1がメチル基であり、R2がデシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基の中から選ばれる長鎖アルキル基であるユニットである。
【0022】
【化4】

【0023】
式(2)中、R3は水素原子又はメチル基を示し、R4は炭素数1乃至4のアルキレン基を示す。R5乃至R7のうち一つ又は二つ以上の基は各々独立して炭素数4乃至18のアルキル基及び炭素数4乃至18のヒドロキシアルキル基から選ばれる何れかの基を示す。R5乃至R7のうち、炭素数4乃至18のアルキル基又は炭素数4乃至18のヒドロキシアルキル基を示さない基は、各々独立して炭素数1乃至3のアルキル基及び炭素数1乃至3のヒドロキシアルキル基から選ばれる何れかの基を示す。A-は、アニオンを示す。
【0024】
上記式(2)に示されるユニットは、炭素数4乃至18の長鎖アルキル基又は炭素数4乃至18のヒドロキシアルキル基を有することにより、帯電サイトであるカチオンユニットが熱硬化性樹脂中に均一に存在し、トナーを均一に摩擦帯電させることが可能となる。また、上記アルキル基又はヒドロキシル基の存在によりアクリル樹脂の疎水性が高くなり、アクリル樹脂と熱硬化性樹脂との極性差に応じて、アクリル樹脂は樹脂層の表面に多く存在する傾向を示す。
【0025】
また、式(2)に示されるユニットはカチオン性を有するため、樹脂層の表面は、トナーに対する負摩擦帯電付与能を向上させる効果を有するものとなる。
【0026】
更に、式(2)に示されるユニットは、第4級アンモニウム塩基の近傍にヒドロキシル基を有することで、負摩擦帯電性のトナーの摩擦帯電量をより向上させることができる。この理由は定かではないが、ヒドロキシル基を有することで、第4級アンモニウム塩のN元素の極性が変化し、その結果、摩擦帯電付与能が向上したと考えられる。
【0027】
上記式(2)に示されるユニットとして、より好ましい形態は、R3がメチル基であり、R4がメチレン基又はエチレン基であり、且つ、R5、R6及びR7のうち少なくとも一つ又は二つ以上の基は、各々独立して炭素数4乃至18のアルキル基及び炭素数4乃至18のヒドロキシアルキル基から選ばれる何れかの基である。ここで、R5、R6及びR7のうち、一つ又は二つの基が、炭素数4乃至18のアルキル基及び炭素数4乃至18のヒドロキシアルキル基から選ばれる何れかの基でない場合、それらの基は、各々独立して炭素数1乃至3のアルキル基又は炭素数1乃至3のヒドロキシアルキル基である。
【0028】
炭素数8乃至14の長鎖アルキル基の具体例を以下に挙げる。
【0029】
オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基。
【0030】
上記炭素数8乃至14の長鎖ヒドロキシアルキル基は、式(2)中の窒素原子と結合している酸素原子と、当該酸素原子に結合している炭素数8乃至14のアルキル基とからなるものである。炭素数8乃至14の長鎖ヒドロキシアルキル基の具体例を以下に挙げる。
【0031】
ヒドロキシオクチル基、ヒドロキシノニル基、ヒドロキシデシル基、ヒドロキシウンデシル基、ヒドロキシドデシル基、ヒドロキシトリデシル基、ヒドロキシテトラデシル基。この長鎖アルキル基又は長鎖ヒドロキシアルキル基が導入されていることにより、帯電サイトであるカチオンユニットが熱硬化性樹脂中に均一に存在し、トナーに対して均一な摩擦帯電を付与することが可能となる。
【0032】
一方、R5、R6及びR7のうち少なくとも一つの基が、炭素数19以上のアルキル基である場合、アクリル樹脂の結晶性が高くなって熱硬化性樹脂及び溶媒との相溶性が低下する傾向にある。その結果、熱硬化性樹脂とアクリル樹脂とが相分離し易くなることがある。
【0033】
式(2)中のA-は、ハロゲン類、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、硝酸等の無機酸類、カルボン酸、スルホン酸等の有機酸類におけるアニオンである。好ましくは、メチルスルホン酸イオン又はパラトルエンスルホン酸イオンであり、トナーに対する負摩擦帯電付与能をさらに向上させることができる。
【0034】
本発明で使用可能なアクリル樹脂は、アクリル系モノマー、第4級アンモニウム塩基を有するアクリル系モノマーの共重合により製造することができる。
【0035】
アクリル系モノマーとしては、式(3)に示すモノマーが挙げられる。
【0036】
【化5】

【0037】
上記式(3)中の、R1及びR2は、各々前記式(1)に示すユニットにおける、R1及びR2と同じものを示す。
【0038】
第4級アンモニウム塩基を有するアクリル系モノマーとしては、下記式(4)に示すモノマーが挙げられる。
【0039】
【化6】

【0040】
上記式(4)中の、R3〜R7及びA-は、各々前記式(2)に示すユニットにおける、R3〜R7及びA-と同一の定義である。
【0041】
上記式(3)及び(4)で示したモノマー等を用いた上記アクリル樹脂は、塊状重合法、溶液重合法、乳化重合法、又は懸濁重合法により製造することができる。中でも、反応を容易に制御できる点から溶液重合法が好ましい。
【0042】
溶液重合法で使用する溶媒としては、メタノール、エタノール、n−ブタノール、イソプロピルアルコール等の低級アルコールが好ましい。必要に応じて他の溶媒を混合してもよく、上記低級アルコールと混合して使用できる他の溶媒としては以下のものが挙げられる。
【0043】
キシレン、トルエン、酢酸エチル、酢酸イソブチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルホルムアミド。
【0044】
溶液重合法における上記溶媒とモノマー成分との質量比は、モノマー成分100質量部に対して、溶媒25質量部以上400質量部以下であることが適切な粘度を制御する点で好ましい。
【0045】
溶液重合は、例えば、原料のモノマーを重合開始剤の存在下で不活性ガス雰囲気下、温度50℃以上100℃以下に加熱することにより、行うことができる。
【0046】
重合開始剤の具体例を以下に挙げる。
【0047】
t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、クミルパーピバレート、t−ブチルパーオキシラウレート、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド。t−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)。2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)。
【0048】
重合開始剤は単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。通常は重合開始剤をモノマー溶液に添加して重合を開始するが、未反応モノマーを低減するために重合開始剤の一部を重合の途中で添加してもよい。また、紫外線や電子線の照射によって重合を促進させる方法も使用することが可能であり、これらの手法を組み合わせてもよい。
【0049】
重合開始剤の使用量は、モノマー成分100質量部に対し0.05質量部以上、30質量部以下とすることが残留モノマーの量の低減とアクリル樹脂の分子量の制御の点で好ましく、より好ましくは0.1質量部以上、15質量部以下である。重合反応の温度としては、使用する溶媒、重合開始剤、モノマー成分の組成に応じて設定することができるが、温度40℃以上、150℃以下で行うことが安定して重合反応を進める点で好ましい。
【0050】
また、前記式(4)で示すモノマーは、下記式(5)で表されるグリシジル基含有エステルモノマーを下記式(6)で表される第4級アンモニウム塩で開環反応させることにより、生成したものを用いることができる。
【0051】
【化7】

【0052】
上記式(5)中の、R3は、水素原子、又はメチル基を示し、R4は、炭素数1乃至4のアルキレン基を示す。
【0053】
【化8】

【0054】
上記式(6)中のR5、R6、R7及びA-は、前記式(2)におけるR5、R6、R7及びA-と各々同一の定義である。
【0055】
これらのモノマーの反応は、例えば、モノマーと第4級アンモニウム塩とを、溶媒中で温度50℃以上、120℃以下に加熱することにより行うことができる。
【0056】
また、上記式(5)で示されるモノマーを酸成分存在下で有機アミンと反応させることにより、生成したものも用いることができる。
【0057】
有機アミンの具体例としては、以下のものが挙げられる。
【0058】
トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリオクチルアミン、ジメチルブチルアミン、ジメチルオクチルアミン、ジメチルラウリルアミン、ジメチルステアリルアミン、ジラウリルモノメチルアミン、ジメチルベヘニルアミン等の3級アミン。ジメチルアミン、ジエチルアミン、メチルブチルアミン、メチルオクチルアミン、メチルラウリルアミン、メチルステアリルアミン等の2級アミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、ジメチルアミノヘキサノール等のエタノールアミン類。
【0059】
上記酸性分としては、以下のものが挙げられる。
【0060】
臭化水素、塩化水素等のハロゲン化水素。メチルブロマイド、メチルクロライド、ブチルブロマイド、ブチルクロライド、オクチルブロマイド、オクチルクロライド、ラウリルブロマイド、ラウリルクロライド、オクタデシルブロマイド、オクタデシルクロライド等のハロゲン化アルキル。メチルスルホン酸、パラトルエンスルホン酸等の有機酸。
【0061】
また、前記式(3)で示されるモノマーと前記式(5)で示されるモノマーを共重合させた後に、さらに前記の有機アミンで開環反応させることによって、所望の第4級アンモニウム塩基を有する上記アクリル樹脂を得ることもできる。
【0062】
その他、下記の方法により上記アクリル樹脂を得ることもできる。即ち、前記式(5)で示されるモノマーを塩酸溶媒中でトリメチルアミン等の有機アミンで4級化を行った後、式(3)で示されるモノマーと共重合させる。得られた第4級アンモニウム塩基を有するアクリル共重合体を、p−トルエンスルホン酸、ヒドロキシナフタレンスルホン酸等の酸で処理して対イオン交換を行う。
【0063】
上記アクリル樹脂中の各ユニットの組成比率は、アクリル樹脂中の式(1)に示されるユニットのモル数をA、式(2)に示されるユニットのモル数をBとするとき、B/(A+B)が0.2以上0.8以下であることが好ましい。
【0064】
B/(A+B)が0.2以上であれば、アクリル樹脂の負摩擦帯電付与性がより向上する。また、第4級アンモニウム塩構造によるイオン導電性の効果を高めやすいため、ゴーストの発生を抑制しやすくなる。B/(A+B)が0.8以下であれば、熱硬化性樹脂との相溶性が良好となり、上記アクリル樹脂を樹脂層中に均一に存在させることができる。更に、樹脂層中に存在する導電性粒子の分散性も良好になる。
【0065】
なお、式(1)のユニット及び式(2)のユニットがアクリル樹脂中に複数種含有される場合は、式(1)のユニットの構造を有する複数種のユニット組成比の合計をAとし、式(2)のユニットの構造を有する複数種のユニット組成比の合計をBとする。
【0066】
上記アクリル樹脂は、式(1)のユニット及び式(2)のユニット以外に、他のユニットを有してもよい。アクリル樹脂における他のユニットの重合度としては、30mol%以下であることが好ましい。他のユニットの重合度を30mol%以下とすることで、式(1)のユニット及び式(2)のユニットの導入による効果をより確実に得ることができる。
【0067】
樹脂層中における上記アクリル樹脂の含有量の目安としては、熱硬化性樹脂100質量部に対して1質量部以上、30質量部以下である。この範囲にすることによって、現像剤担持体によるトナーの摩擦帯電の制御性能をより充分に発揮させることができる。また、現像剤担持体によってトナーに付与される摩擦帯電量の分布を、より均一化させることができる。
【0068】
上記樹脂層は、上記アクリル樹脂に加えて熱硬化性樹脂を含有している。熱硬化性樹脂を結着樹脂として含有していることで、樹脂層の耐久性及び環境安定性が向上する。
【0069】
熱硬化性樹脂としては、特に、強靭性・耐久性の面から、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、ベンゾグアナミン樹脂が好ましい。中でも、樹脂層の耐摩耗性を向上させる点、環境安定性に優れ、アクリル樹脂との相溶性にも優れることからフェノール樹脂がより好ましい。また、これら熱硬化性樹脂の中でもアルコール、特にメタノール、エタノール、プロピルアルコール、ブタノール等の低級アルコールに可溶なタイプは、樹脂層を形成する際の塗料中におけるアクリル樹脂との相溶性が良好であり、好ましい。
【0070】
樹脂層は、その抵抗値、即ち、導電性の調整のために、下記に挙げる導電性粒子を含む。
【0071】
導電性粒子の具体例を以下に挙げる。
【0072】
金属(アルミニウム、銅、ニッケル、銀等)の微粉末。
【0073】
金属酸化物(酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化スズ、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化モリブデン、チタン酸カリウム等)の粒子。
【0074】
カーボンファイバー、カーボンブラック(ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラック、アセチレンブラック、チャネルブラック等)、グラファイト等。
【0075】
これらの中でも、カーボンブラック、特に、導電性のアモルファスカーボンが好適に用いられる。カーボンブラックは電気伝導性に特に優れ、高分子材料に充填して導電性を付与したり、その添加量をコントロールするだけで、ある程度任意の導電性を得ることができるためである。また、これらの導電性粒子を2種以上使用して、樹脂層の体積抵抗値を制御してもよい。2種以上の導電性粒子を使用する場合は、カーボンブラックとグラファイト等の黒鉛粒子が好ましい。
【0076】
カーボンブラックと黒鉛粒子を導電性粒子として用いると、体積抵抗が均一で且つ良好な導電性を有する樹脂層を得ることができる。更には、現像剤担持体の表面粗さをある程度得ることもできるため、現像剤担持体上のトナーの摩擦帯電性を均一に制御し易い。また、これらの導電性粒子の添加量は、結着樹脂100重量部に対し、20質量部〜100質量部の範囲とすることが好ましい。1質量部以上であれば樹脂層の抵抗値を所望のレベルに下げることができ、100質量部以下であれば、特にサブミクロンオーダーの粒度を有する微粉体を用いた場合、樹脂層の強度(耐摩耗性)が低下するのを抑制できる。上記樹脂層の体積抵抗は、好ましくは104Ω・cm以下であり、特には10-3Ω・cm以上103Ω・cm以下が好ましい。樹脂層の体積抵抗が上記範囲であれば、電子写真画像へのゴーストの発生をよりよく制御する効果がある。
【0077】
樹脂層の表面の粗さは、一般的には、算術平均粗さRa(JIS B0601−2001)が0.3μm〜2.5μmであることが好ましい。Raを上記範囲とすることで、トナーの搬送量不足による画像濃度薄やトナーコート層の不均一による画像不良の発生を抑制できる。また、トナーの搬送量が安定し、トナーの摩擦帯電量の分布が均一になるように摩擦帯電することができる。
【0078】
樹脂層の表面粗さは、JIS B0601(2001)に準じた測定方法による測定値を採用することができる。樹脂層の粗さを所望の値にする方法としては、樹脂層を形成する基体にサンドブラストにより表面粗度を付与し、その上に樹脂層を形成する方法や、樹脂層に凹凸付与粒子を含有させて表面粗度を得る方法がある。表面粗度の耐久性や低コストで表面粗度を制御する観点から樹脂層に凹凸付与粒子を含有させる方法が好ましい。凹凸付与粒子を添加することで、現像剤担持体の樹脂層の表面に適度な表面粗度を付与し、トナーの搬送性を向上させ、トナーと樹脂層との接触機会を増やし、摩擦帯電性を向上させることができる。
【0079】
凹凸付与粒子としては、樹脂層表面に適当な凹凸を形成させるためには、その体積平均粒径が1μm〜20μm、特には3〜15μmとすることが好ましい。体積平均粒径を上記範囲内とすることで、含有量が少なくても樹脂層に適度な表面の粗さを付与できる。また、樹脂層の表面の粗さが不均一になると共に粗さが大きくなりすぎてトナーの摩擦帯電が不十分となることを抑制できる。このような凹凸付与粒子としては、樹脂粒子、金属酸化物粒子、炭素化物粒子を用いることができる。また、凹凸付与粒子の形状としては、球状又はそれに類する形状が、樹脂層中で均一に分散しやすくなるため好ましい。凹凸付与粒子の体積平均粒径は、レーザー回折型粒度分布計を用いて測定した測定値を採用することができる。
【0080】
次に樹脂層の製造方法について説明する。樹脂層は、例えば、樹脂層の各成分を溶剤中に分散混合して塗料化し、基体上に塗工し、乾燥固化あるいは硬化することにより形成することが可能である。まず、前記した樹脂層を形成する各成分の塗料中への分散混合には、公知の分散装置が好適に利用できる。また得られた塗料の基体への塗工方法も公知の方法が適用可能であるが、特にスプレー法は樹脂層中の各成分を均一にできるため好ましい。更にまた、樹脂層の膜厚は均一な膜厚に成形することが容易であることから、50μm以下、特には40μm以下、更に4μm〜30μmが好ましい。
【0081】
上記現像剤担持体の基体としては、アルミニウム、ステンレス鋼、真鍮等の非磁性の金属又は合金を円筒状あるいは円柱状に成型し、研磨、研削等の加工を施したものが好適に用いられる。
【0082】
[現像装置]
本発明に係る現像装置は、トナー粒子を有する負摩擦帯電性の現像剤と、該現像剤を収容している容器と、該容器に貯蔵された現像剤を担持搬送するため上記現像剤担持体と、現像剤担持体上の現像剤層を形成する現像剤層規制部材とを有している。
【0083】
当該現像装置は、磁性一成分現像剤や非磁性一成分現像剤を用いた非接触型現像装置及び接触型現像装置や、二成分現像剤を用いた現像装置のいずれにも適用することができる。中でも、現像剤担持体上の現像剤の摩擦帯電量にばらつきが生じやすい傾向を有する磁性一成分非接触型現像装置や、非磁性一成分非接触型現像装置等の非接触型現像装置に特に好適に適用することができる。
【0084】
本発明の一実施態様に係る現像装置を適用した磁性一成分非接触型現像装置を、図1(a)の断面図に示す。この現像装置は、現像剤を収容するための容器(現像容器109)と、前記容器に貯蔵された磁性トナー粒子を有する磁性一成分現像剤(不図示)(磁性トナーともいう)を担持し、搬送するための現像剤担持体105を有している。
【0085】
現像剤担持体105には、基体102である金属円筒管上に樹脂層101が被覆形成された現像スリーブ103が設けられている。また、現像スリーブの内部には磁石(マグネットローラ)104が配置され、磁性トナーを表面上に磁気的に保持するようになっている。
【0086】
一方、静電潜像を担持する静電潜像担持体(例えば、感光ドラム)106は、矢印B方向に回転する。そして、現像剤担持体105と感光ドラム106とが対向する現像領域Dにおいて、現像剤担持体105上の磁性トナーを静電潜像に付着させ、磁性トナー像を形成するようになっている。
【0087】
このような現像装置における現像方法を以下に説明する。現像容器109内へ、現像剤補給容器(不図示)から現像剤供給部材(スクリューなど)118を経由して磁性トナーが送り込まれてくる。現像容器109は、第一室112と第二室111に分割されており、第一室112に送り込まれた磁性トナーは攪拌搬送部材110により現像容器109及び仕切り部材113により形成される隙間を通過して第二室111に送られる。第二室111中には攪拌部材114が設けられている。
【0088】
現像容器109には、現像剤担持体105に約50μm以上500μm以下の間隙を有して対向するように、現像剤層厚規制部材である磁性ブレード107が装着される。マグネットローラ104の磁極N1からの磁力線を磁性ブレード間に集中させ、現像剤担持体が矢印A方向に回転し、現像剤担持体105上に磁性トナーの薄層を形成する。尚、磁性ブレード107に替えて非磁性の現像剤層厚規制部材を使用してもよい。磁性トナーは相互間及び現像剤担持体105表面の樹脂層101間の摩擦により、感光ドラム106上の静電潜像を現像することが可能な摩擦帯電電荷を得る。現像剤担持体105上に形成される磁性トナー層の厚みは、現像領域Dにおける現像剤担持体105と感光ドラム106との間の最小間隙よりも更に薄いものであることが好ましい。
【0089】
また、現像剤担持体105に担持された磁性トナーを感光ドラム上の静電潜像へ飛翔させ、これを現像するため、現像剤担持体105に現像バイアス電源108から現像バイアス電圧を印加することが好ましい。
【0090】
現像剤担持体105に印加する現像バイアス電圧として直流電圧を使用するときは、静電潜像の電位と背景部の電位との中間値に相当する電圧が好ましい。現像された画像の濃度を高め、かつ階調性を向上させるために、現像剤担持体105に交番バイアス電圧を印加し、現像領域Dに向きが交互に反転する振動電界を形成してもよい。この場合にも、現像剤担持体105に印加する電圧として、静電潜像の電位と背景部の電位との中間の値に相当する直流電圧成分を重畳した交番バイアス電圧が好ましい。
【0091】
このとき、高電位の静電潜像に磁性トナーを付着させる正規現像の場合には、静電潜像の極性と逆極性に摩擦帯電する磁性トナーを使用する。低電位の静電潜像に磁性トナーを付着させる反転現像の場合には、静電潜像の極性と同極性に摩擦帯電する磁性トナーを使用する。ここで、高電位、低電位というのは、絶対値による表現である。
【0092】
本発明の一実施態様に係る現像装置を適用した磁性一成分非接触型現像装置を、図1(b)の断面図に示す。この現像装置には、弾性ブレード215が備えられている。弾性ブレード215は、現像剤担持体205に、トナーを介して接触又は押し当てられ、トナーは図1(a)に示す非接触型現像装置と比較してより強い規制を受けて現像剤担持体205上に薄い層に形成される。この現像装置は、トナーが現像剤担持体表面の導電性の不均一さの影響を受けやすい。つまり、現像剤担持体上のトナー層は摩擦帯電量がばらつきやすく、摩擦帯電量分布がブロードになりやすい。しかしながら、このような現像装置に対して上記現像剤担持体を用いた場合、トナーの摩擦帯電量の分布をよりシャープにすることができる。ここで、現像剤担持体205に対する弾性ブレード215の当接圧力の目安としては、線圧で4.9N/m以上49N/m以下である。
【0093】
上記例は磁性一成分非接触型であるが、上記現像装置は、現像剤担持体上のトナーの層厚が、現像領域Dにおける現像剤担持体と感光ドラムとの間の間隙距離以上の厚さに形成される、磁性一成分接触型現像装置にも適用することができる。
【0094】
本発明の一実施態様に係る現像装置を適用した、非磁性トナーを使用する非磁性一成分非接触型現像装置を、図2に示す。この現像装置は、静電潜像を担持する静電潜像担持体、例えば感光ドラム306は、矢印B方向に回転される。現像剤担持体としての現像スリーブ303は、基体(金属製円筒管)302とその表面に形成される樹脂層301から構成されている。基体として金属製円筒管の替わりに円柱状部材を用いることもでき、非磁性一成分現像剤(非磁性トナー)が用いられ、基体302の内部には磁石は内設されていない。
【0095】
[現像方法]
上記現像装置における現像方法を以下に説明する。現像容器309内には非磁性一成分現像剤317(非磁性トナーともいう)を撹拌搬送するための撹拌搬送部材310が設けられている。更に、現像容器内には、現像スリーブ303に非磁性トナーを供給し、かつ現像後の現像スリーブ303の表面に残存する非磁性トナーを剥ぎ取るための現像剤供給剥ぎ取り部材(「RSローラ」ともいう)316が現像スリーブ303に当接して設けられている。
【0096】
RSローラ316が現像スリーブ303と同方向又は反対方向に回転することにより、現像容器309内で現像剤スリーブ303に残留する非磁性トナーを剥ぎ取り、新たな非磁性トナーが供給される。現像スリーブ303は、供給された非磁性トナーを担持して、矢印A方向に回転することにより、現像スリーブ303と感光ドラム306とが対向した現像領域Dに非磁性トナーを搬送する。
【0097】
現像スリーブ303に担持されている非磁性トナーは、現像剤層厚規制部材315により現像スリーブ303の表面に押し当てられ、その厚みが一定に形成される。非磁性トナーは現像スリーブ303との間の摩擦、現像剤層厚規制部材315との間の摩擦により、感光ドラム306上の静電潜像を現像するのに十分な摩擦帯電が付与される。現像スリーブ303上に形成される非磁性トナー層の厚みは、現像部における現像スリーブ303と感光体ドラム306との間の最小の間隙より、薄くてもよい。
【0098】
現像スリーブ303に担持された非磁性トナーを感光ドラムの静電潜像へ飛翔させ、これを現像するため、現像スリーブに現像バイアス電源308から現像バイアス電圧を印加してもよい。現像バイアス電圧としては、直流電圧、交番バイアス電圧いずれであってもよく、その電圧も上記と同様の電圧とすることが好ましい。
【0099】
RSローラ316はゴム製等の弾性ローラが好ましい。弾性ローラを用いる場合、現像スリーブ303に対して矢印Cの方向に回転することが、剥ぎ取り性及び供給性の点で好ましい。現像スリーブ303に対する弾性ローラの侵入量の目安は、0.5mm以上、2.5mm以下である。弾性ブレード315も図1(b)に示す磁性一成分非接触型現像装置の弾性ブレード215と同様の材質、同様の湾曲形状を有し、現像スリーブ303に押し当てられるように設置されたものが好ましい。
【0100】
弾性ブレード315としては、特に安定した規制力と非磁性トナーへの安定した(負)摩擦帯電付与性のために、安定した加圧力の得られるリン青銅板表面にポリアミドエラストマー(PAE)を貼り付けた構造のものを用いることが好ましい。ポリアミドエラストマー(PAE)としては、ポリアミドとポリエーテルの共重合体が挙げられる。
【0101】
現像スリーブ303に対する弾性ブレード315の当接は、図1(b)に示す磁性一成分非接触型における現像剤担持体205に対する弾性ブレード215の場合と同じ当接力によることが同様の理由から好ましい。上記例は非磁性一成分非接触型であるが、現像スリーブ上の非磁性一成分現像剤の層厚が、現像領域Dにおける現像スリーブと感光体ドラムとの間の間隙距離以上の厚さに形成される、非磁性一成分接触型現像装置にも好適に適用できる。
【0102】
[現像剤]
上記現像装置にて用いられる負帯電性の現像剤(トナー)について説明する。上記現像装置に使用するトナーは、結着樹脂に着色剤、荷電制御剤、離型剤、無機微粒子等を配合したもので、形式として、磁性材料を必須成分とする磁性トナーと磁性材料を含まない非磁性トナーがある。形式は現像装置に適応して適宜選択される。
【0103】
また、上記トナーは、重量平均粒径が4μm以上10μm以下の範囲にあることが、トナーの摩擦帯電量あるいは画質及び画像濃度がバランスのとれたものとなることから、好ましい。トナーの重量平均粒径が10μm以下であれば、微小ドット画像の再現性が低下するのを抑制することができる。一方、トナーの重量平均粒径が4μm以上であれば、摩擦帯電不良によるカブリの発生や、濃度薄の発生を抑制することができる。
【0104】
トナーの結着樹脂としては、例えば、ビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂を使用することができるが、この中でもビニル系樹脂、ポリエステル樹脂が好ましい。上記トナーには摩擦帯電特性を向上させる目的で、荷電制御剤をトナー粒子に包含させる(内添)、又はトナー粒子と混合して用いる(外添)ことができる。荷電制御剤によって、現像システムに応じた最適の荷電量コントロールが容易となる。
【実施例】
【0105】
以下実施例によって本発明を説明する。以下の配合における部、%は、特にことわらない限り、それぞれ質量部、質量%である。まず、本発明に関わる物性の測定方法について説明する。
[現像剤担持体]
(ア)アクリル樹脂の分析方法
アクリル樹脂の化学構造は、現像剤担持体の樹脂層を削り取った試料を熱分解GC/MS装置(商品名Voyager、サーモエレクトロン社製)で分析して求めた。
【0106】
分析条件を以下に示す。
【0107】
熱分解温度:600℃
カラム:HP−1(15m×0.25mm×0.25μm)
Inlet:温度300℃
Split:20.0
注入量:1.2ml/min
昇温条件:温度50℃で4min保持後、昇温速度20℃/minで温度300℃まで昇温。
【0108】
(イ)樹脂層の体積抵抗
100μmの厚さのPETシート上に、7μm乃至20μmの樹脂層を形成し、抵抗率計(商品名ロレスタAP、三菱化学製)にて4端子プローブを用いて樹脂層の体積抵抗値を測定した。測定環境は、温度20℃乃至25℃、湿度50%RH乃至60%RHとした。
【0109】
(ウ)現像剤担持体表面の算術平均粗さRa
現像剤担持体表面の算術平均粗さRaはJIS B0601(2001)に基づき、表面粗さ計(商品名サーフコーダーSE−3500、株式会社小坂研究所製)を用いて測定した。測定条件としては、カットオフ0.8mm、評価長さ4mm、送り速度0.5mm/sとした。また、測定箇所については、軸方向3点×周方向3点=9点について測定した。そして、各測定点の測定値の平均値を当該現像剤担持体表面の算術平均粗さRaとした。
【0110】
(エ)凹凸付与粒子の体積平均粒径
凹凸付与粒子の体積平均粒径の測定装置として、レーザー回折型粒度分布計(商品名コールターLS−230型粒度分布計、ベックマン・コールター株式会社製)を用いた。測定には、少量モジュールを用い、測定溶媒はイソプロピルアルコール(IPA)を使用した。まず、IPAにて測定装置の測定系内を約5分間洗浄し、洗浄後バックグラウンドファンクションを実行した。次にIPA50ml中に、測定試料約10mgを加え、懸濁した液を超音波分散機で約2分間分散処理し、試料液を得た。その後、測定装置の測定系内に試料液を徐々に加えて、装置の画面上のPIDS(偏光散乱強度差、Polarization Intensity Differential Scattering)が45%乃至55%になるように測定系内の試料濃度を調整した。その後に測定を行い、体積分布から算術した体積平均粒径を求めた。
【0111】
(オ)樹脂層の膜厚
樹脂層の膜厚の測定には、レーザー光にて円筒の外径を測定するレーザー寸法測定器のコントローラ(商品名LS−5500、株式会社キーエンス製)及びセンサーヘッド(商品名LS−5040T、株式会社キーエンス製))を用いた。
【0112】
まず、基体の外径寸法を、該基体の軸方向の30箇所において測定した。次に、当該基体を周方向に90°回転させた後、同様に軸方向の30箇所において、当該基体の外径を測定した。即ち、合計60箇所において基体の外径を測定した。得られた測定値の算術平均値を当該基体の外径寸法とした。次に、上記と同様にして、樹脂層を有する現像剤担持体の外径を算出した。そして、現像剤担持体の外径寸法と基体の外径寸法の差分を樹脂層の膜厚とした。
【0113】
[現像剤]
(カ)現像剤(磁性トナー)の重量平均粒径D4
重量平均粒径測定装置(商品名コールターマルチサイザーIII、ベックマン・コールター社製)を用いて測定した。電解液としては、1級塩化ナトリウムを用いて調製した約1%NaCl水溶液を使用した。電解液約100ml中に、分散剤としてアルキルベンゼンスルホン酸塩約0.5mlを加え、さらに測定試料約5mgを加え、懸濁した電解液に、超音波分散器で約1分間分散処理を行った。前記測定装置により、100μmアパーチャーを用いて、測定試料の体積、個数を測定して体積分布と個数分布とを算出した。この結果より、体積分布から求めた重量基準の重量平均粒径(D4)を求めた。
【0114】
(キ)現像剤(磁性トナー)の平均円形度
現像剤の平均円形度は、フロー式粒子像分析装置(商品名FPIA−3000、シスメックス社製)によって、校正作業時の測定及び解析条件で測定した。まず、ガラス製の容器中に予め不純固形物などを除去したイオン交換水約20mlを入れた。この中に分散剤として、非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液(コンタミノンN、和光純薬工業社製)をイオン交換水で約3質量倍に希釈した希釈液を約0.2ml加えた。更に測定試料を約0.02g加え、超音波分散器を用いて2分間分散処理を行い、測定用の分散液とした。その際、分散液の温度が10℃以上40℃以下となるように適宜冷却した。
【0115】
超音波分散器としては、発振周波数50kHz、電気的出力150Wの卓上型の超音波洗浄器分散器(商品名VS−150、ヴェルヴォクリーア社製)を用い、水槽内には所定量のイオン交換水を入れ、この水槽中に前記コンタミノンNを約2ml添加した。測定には、対物レンズ(UPlanApro(倍率10倍、開口数0.40))を搭載した前記フロー式粒子像分析装置を用い、シース液にはパーティクルシース(商品名PSE−900A、シスメックス社製)を使用した。前記手順に従い調整した分散液を前記フロー式粒子像分析装置に導入し、HPF測定モードで、トータルカウントモードにて3000個のトナー粒子を計測した。そして、粒子解析時の2値化閾値を85%とし、解析粒子径を円相当径1.985μm以上、39.69μm未満に限定し、トナー粒子の平均円形度を求めた。
【0116】
測定にあたっては、測定開始前に標準ラテックス粒子をイオン交換水で希釈して用いて自動焦点調整を行った。その後、測定開始から2時間毎に焦点調整を実施することが好ましい。標準ラテックス粒子として、商品名RESEARCH AND TEST PARTICLES Latex Microsphere Suspensions 5200A(Duke Scientific社製)等を使用した。
【0117】
実施例においては、シスメックス社による校正作業が行われた、シスメックス社が発行する校正証明書の発行を受けたフロー式粒子像分析装置を使用した。解析粒子径を円相当径1.985μm以上、39.69μm未満に限定した以外は、校正証明を受けたときの測定及び解析条件で測定を行った。
【0118】
(1)現像剤(磁性トナー)の製造
[製造例D−1]現像剤D−1
[ハイブリッド樹脂の製造]
【0119】
【表1】

【0120】
上記表1に記載の全材料を、ガラス製4リットルの4つ口フラスコに入れ、温度計、撹拌棒、コンデンサー及び窒素導入管を取り付け、マントルヒーター内においた。
【0121】
【表2】

【0122】
上記表2に記載の全材料を、ビニル系重合体原料として、滴下ロートに入れた。
次に上記フラスコ内を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら徐々に昇温し、145℃の温度で撹拌しつつ、上記滴下ロートよりビニル系重合体原料を4時間かけて滴下した。次いで温度200℃に昇温を行い、4時間反応させてハイブリッド樹脂を得た。
【0123】
【表3】

【0124】
上記表3に記載の全材料の混合物を、温度130℃に加熱した二軸エクストルーダーで溶融混練した後、溶融混練した混合物を冷却固化した。冷却固化した混合物をハンマーミルで粗粉砕し、得られた粗粉砕物をターボミル(商品名T250、ターボ工業株式会社製)で微粉砕し、次いで風力分級機で分級して、重量平均粒径5.5μmの磁性トナー粒子を得た。
【0125】
この磁性トナー粒子100部に対して、疎水性シリカ微粉体(BET180m2/g)1.0部をヘンシェルミキサー(商品名FM−75型、三井三池化工機株式会社製)にて外添して円形度0.935の現像剤D−1(磁性トナーD−1)を得た。
【0126】
(2)現像剤担持体の製造
[アクリル樹脂]
[製造例A−1]アクリル樹脂溶液A−1
撹拌機、冷却器、温度計、窒素導入管及び滴下ロートを付した4つ口セパラブルフラスコ内で、表4に示す全材料を混合し、系が均一になるまで攪拌した。
【0127】
【表4】

【0128】
上記表4の全材料を撹拌を続けながら、温度80℃まで昇温した後2時間撹拌して、4級アンモニウム塩含有溶液を得た。得られた4級アンモニウム塩含有溶液を冷却した後、グリシジルメタクリレート18.2質量部を加え、温度80℃まで昇温した後2時間撹拌して4級アンモニウム塩基含有モノマーを得た。
【0129】
得られた反応溶液を冷却した後、共重合成分として、ラウリルメタクリレート32.5質量部、溶媒としてエタノール50質量部、及び重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)1.0質量部を仕込み、系が均一になるまで撹拌した。撹拌を続けながら、反応系内の温度が70℃になるまで昇温し、滴下ロートに仕込んだ分を1時間かけて添加した。滴下終了後、窒素導入下還流状態で更に5時間反応させ、さらにAIBNを0.2質量部添加した後1時間反応させた。更に、この溶液をエタノールで希釈して固形分40%のアクリル樹脂溶液A−1を得た。前述の(ア)アクリル樹脂の分析方法により、得られたアクリル樹脂溶液の分析を行った結果、アクリル樹脂は、式(8)のユニット及び式(9)のユニットの共重合体であった。
【0130】
【化9】

【0131】
【化10】

【0132】
[製造例A−2〜A−11]アクリル樹脂溶液A−2〜A−11
下記表6に示すモノマーを用いたこと以外は、アクリル樹脂溶液A−1と同様にして、アクリル樹脂溶液A−2〜A−11を得た。得られたアクリル樹脂の構造を表7に示す。
【0133】
[製造例A−12]アクリル樹脂溶液A−12
撹拌機、冷却器、温度計、窒素導入管及び滴下ロートを付した4つ口セパラブルフラスコ内で、下記表5に記載の全材料を混合し、混合物が均一になるまで攪拌した。撹拌を続けながら、温度80℃まで昇温した後2時間撹拌して、4級アンモニウム塩含有水溶液を得た。
【0134】
【表5】

【0135】
得られた4級アンモニウム塩含有水溶液を乾燥した後、グリシジルメタクリレート20.6質量部及びエタノール60質量部を加え、温度80℃まで昇温した後2時間撹拌して4級アンモニウム塩基を有するモノマーを得た。
【0136】
得られた反応溶液を冷却後、共重合成分として、ラウリルメタクリレート36.8質量部、溶媒としてエタノール50質量部及び重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)1.0質量部を仕込み、フラスコ内の混合物が均一になるまで撹拌した。
【0137】
撹拌を続けながら、反応系内の温度が70℃になるまで昇温し、滴下ロートに仕込んだ分を1時間かけて添加した。滴下終了後、窒素導入下還流状態で更に5時間反応させ、さらにAIBNを0.2質量部添加した後に1時間反応させた。更に、この溶液をエタノールで希釈して固形分40%のアクリル樹脂溶液A−12を得た。
【0138】
[製造例A−13〜A−45]アクリル樹脂溶液A−13〜A−45
表6−1及び表6−2に示した原料を用いたこと以外は、アクリル樹脂溶液A−1又はアクリル樹脂溶液A−12と同様にして、アクリル樹脂溶液A−13〜A−45を得た。A−14〜A−20、A−22〜A−28、A−30〜A−32、A−34〜A−42、A−44、A−45は、アクリル樹脂溶液A−1と同様にし、A−13、A−21、A−29、A−33、A−43はアクリル樹脂溶液A−12と同様にした。得られたアクリル樹脂の構造を表7−1及び7−2に示す。
【0139】
【表6−1】

【0140】
【表6−2】

【0141】
上記表6−1および表6−2におけるモノマー種の欄に記載の略号は各々下記の化合物を示す。
GMA:グリシジルメタクリレート、GA:グリシジルアクリレート、MMA:メチルメタクリレート、BMA:ブチルメタクリレート、OMA:オクチルメタクリレート、RA:ラウリルアクリレート、RMA:ラウリルメタクリレート、TDMA:トリデシルメタクリレート、ODMA:オクタデシルメタクリレート、DCMA:ドコシルメタクリレート。
【0142】
【表7−1】

【0143】
【表7−2】

【0144】
[熱硬化性樹脂]
現像剤担持体に用いる熱硬化性樹脂として下記表8に記載のものを使用した。
【0145】
【表8】

【0146】
[導電性粒子]
現像剤担持体に用いる導電性粒子として下記表9に記載のものを使用した。
【0147】
【表9】

【0148】
[凹凸付与粒子]
凹凸付与粒子として、下記表10に記載のものを使用した。
【0149】
【表10】

【0150】
[実施例1]現像剤担持体E−1
現像剤担持体E−1を以下の方法により製造した。先ず、下記表11の全材料を、混合し、横型サンドミル(直径1.0mmのジルコニアビーズを充填率85%)にて処理し、塗工液を得た。
【0151】
【表11】

【0152】
基体として外径20mmのアルミニウム製円筒管(Ra=0.4μm;基準長さ(lr)=4mm)を用意した。当該基体の両端部6mmをマスキングした後、当該基体を、その軸が鉛直と平行となるように配置した。そして、当該基体を1000rpmで回転させ、エアスプレーガンを30mm/秒で下降させながら塗工液を塗布して硬化後の厚さが12μmとなるように塗膜を形成した。続いて温度150℃の熱風乾燥炉中で30分間加熱して塗膜を硬化させて現像剤担持体E−1を得た。得られた現像剤担持体E−1にマグネットローラを挿入し、両端にフランジを取り付けて、電子写真画像形成装置(商品名iR3245、キヤノン株式会社製)の現像器の現像ローラとして装着した。磁性ドクターブレードと現像剤担持体E−1との間隙は210μmとした。この電子写真画像形成装置に現像剤として現像剤D−1を投入し、画像出力を行い、得られた画像について濃度、画質、ムラについて下記の基準により評価を行った。画像出力は、常温低湿環境(温度23℃、湿度5%RH;N/L)、常温常湿環境(温度23℃、湿度50%RH;N/N)、高温高湿環境(温度30℃、湿度80%RH;H/H)で実施した。画像は、A4の普通紙(商品名オフィスプランナー、キヤノン販売製;68g/m2)を横送りで、印字比率3%の文字画像を50万枚まで連続出力し、画像濃度、画質、濃度ムラについて、それぞれ初期と50万枚画出し後に評価を行い、ブロッチ評価は初期に行った。結果を表13−1に示す。
(A)画像濃度
反射濃度計(商品名RD918、マクベス社製)を使用し、ベタ画像を印字した際のベタ黒部の濃度を5点測定し、その平均値を画像濃度とした。また、初期と50万枚画出し後の画像濃度の差分を算出し、濃度差とした。
(B)画質評価
フォントサイズが4ポイントの図3に示す漢字の画像を出力し、画像上のカスレや周囲へのトナーの飛び散りを肉眼及び拡大鏡(倍率10倍)を用いて観察し、画質を下記基準により評価した。
A:拡大鏡を用いた観察でも、画像のかすれ、画像周囲へのトナーの飛び散りは認められない。
B:肉眼による観察では、鮮明な画像である。
C:肉眼による観察で、画像周囲に若干のトナーの飛び散りが見られる。
D:肉眼による観察でも、画像にかすれが認められる。また、画像周囲にトナーの飛び散りが認められる。
(C)濃度ムラ
ハーフトーン及びベタ黒画像を出力し、画像進行方向に走る、線状、帯状の濃淡差について、肉眼で観察し、下記基準にて評価した。ブロッチ要因による画像濃度ムラに関しては除外して評価した。濃度ムラは下記基準により評価した。
A:画像にもスリーブ上にも全く確認できない。
B:ハーフトーン画像上で軽微な濃度差が確認できるが、ベタ黒画像上では濃度差が認識できない。
C:ベタ黒画像上で軽微な濃度差である。ハーフトーン画像上に肉眼で濃度差のわかる帯が確認される。
D:ハーフトーン画像上に反射濃度計で明確に測定できる濃度差が帯状に現れ、ベタ黒画像上でも濃度差が確認できる。
(D)ブロッチ
ハーフトーンとベタ黒画像を出力し、各画像について、トナーの過剰帯電により発生しやすいブロッチの有無を肉眼で観察した。それらの結果を、下記基準により評価した。
A:画像にもスリーブ上にも全く確認できない。
B:スリーブ上にはわずかに確認されるが、画像上には影響が出ないレベル。
C:ハーフトーン画像上では肉眼で確認できるが、ベタ黒画像では確認できない。
D:ハーフトーン画像上、ベタ黒画像上でも明確な濃度差が確認できる。
【0153】
[実施例2〜45、比較例1〜14]
現像剤担持体E−2〜E−45、F−46〜F−59
下記表12に示す成分を用いた他は、実施例1と同様に現像剤担持体E−2〜E−45(実施例2〜45)、現像剤担持体F−46〜F−59(比較例1〜14)を作製し、得られた現像剤担持体を組み込み、現像装置を得て、これを用いて、画像評価を行った。結果を表13−1〜13-3に示す。
【0154】
【表12】

【0155】
【表13−1】

【0156】
【表13−2】

【0157】
【表13−3】

【0158】
[実施例46]現像剤担持体G−60
現像剤担持体G−60を以下の方法により製造した。先ず、下記表14に記載の全材料を、混合し、横型サンドミル(直径1.0mmのジルコニアビーズを充填率85%)にて処理し、塗工液を得た。
【0159】
【表14】

【0160】
基体として外径20mmのアルミニウム製円筒管(Ra=0.4μm;基準長さ(lr)=4mm)を用意した。当該基体の両端部6mmをマスキングした後、当該基体を、その軸が鉛直と平行となるように配置した。そして、当該基体を1500rpmで回転させ、エアスプレーガンを40mm/秒で下降させながら塗工液を塗布して硬化後の厚さが8μmとなるように塗膜を形成した。続いて温度150℃の熱風乾燥炉中で30分間加熱して塗膜を硬化させて現像剤担持体G−60を得た。現像剤担持体G−60にマグネットローラを組み付け、これをプリンター(商品名LASER JET4350、ヒューレットパッカード社製)の純正カートリッジに装着した。このカートリッジを上記プリンターに装填し、下記の画像評価を行った。画像評価は、常温常湿環境(温度23℃、湿度50%RH;N/N)で実施した。尚、画像評価には、レターサイズの用紙(商品名Business4200、XEROX製;75g/m2)を使用し、印字比率3%の文字画像をA4縦送りで5万枚まで連続複写の画出し試験を行った。(E)の画像評価は、それぞれ初期と5万枚画出し後に行い、(F)乃至(G)の画像評価は初期に行った。結果を表16に示す。
【0161】
(E)画像濃度
反射濃度計(商品名RD918、マクベス社製)を使用し、ベタ画像を印字した際のベタ黒部の濃度を5点測定し、その平均値を画像濃度とした。
(F)画質評価
フォントサイズ4ポイントの図3に示す漢字を出力し、画像のかすれや周囲へのトナーの飛び散りを肉眼及び拡大鏡(倍率10倍)を用いて観察し、下記基準にて画質を評価した。
A:拡大鏡を用いた観察でも、画像のかすれ、画像周囲へのトナーの飛び散りは認められない。
B:肉眼による観察では、鮮明な画像である。
C:肉眼による観察で、画像周囲に若干のトナーの飛び散りが見られる。
D:肉眼による観察でも、画像にかすれが認められる。また、画像の周囲にトナーの飛び散りが認められる。
(G)現像剤担持体上トナーの摩擦帯電量(Q/M)
現像剤担持体上に担持されたトナーを、金属円筒管と円筒フィルターにより吸引捕集し、その際金属円筒管を通じてコンデンサーに蓄えられた電荷量Q、トナーを吸引した重量Mを測定した。これらの値から、単位面積当たりの電荷量Q/M(μC/g)を算出した。
【0162】
[実施例47、48、比較例15]現像剤担持体G−61、G−62、H−63
下記表15に示す成分を用いた他は、実施例46と同様に現像剤担持体G−61、G−62(実施例47、48)、現像剤担持体H−63(比較例15)を作製し、得られた現像剤担持体を組み込み、現像装置を得て、これを用いて、画像評価を行った。結果を表16に示す。
【0163】
【表15】

【0164】
【表16】

【符号の説明】
【0165】
101、201、301 樹脂層
102、202、302 基体
103、203 現像スリーブ
303 現像スリーブ(現像剤担持体)
104、204 マグネットローラ
105、205 現像剤担持体
106、206、306 感光体ドラム(静電潜像担持体)
107 磁性ブレード(現像剤層規制部材)
215、315 弾性ブレード(現像剤層規制部材)
317 非磁性一成分現像剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基体及び樹脂層を有し、
該樹脂層は、
熱硬化性樹脂と、
式(1)に示されるユニット及び式(2)に示されるユニットを有するアクリル樹脂と、
導電性粒子とを含有していることを特徴とする現像剤担持体:
【化1】

[式(1)中、R1は水素原子又はメチル基を示し、R2は炭素数8乃至18のアルキル基を示す。]、
【化2】

[式(2)中、R3は水素原子又はメチル基を示し、R4は炭素数1乃至4のアルキレン基を示す。R5乃至R7のうち一つ又は二つ以上の基は各々独立して炭素数4乃至18のアルキル基及び炭素数4乃至18のヒドロキシアルキル基から選ばれる何れかの基を示す。
5乃至R7のうち、炭素数4乃至18のアルキル基又は炭素数4乃至18のヒドロキシアルキル基を示さない基は、各々独立して炭素数1乃至3のアルキル基及び炭素数1乃至3のヒドロキシアルキル基から選ばれる何れかの基を示す。A-は、アニオンを示す。]。
【請求項2】
前記式(2)に示されるユニットは、アニオンがメチルスルホン酸イオン又はパラトルエンスルホン酸イオンである請求項1に記載の現像剤担持体。
【請求項3】
前記アクリル樹脂における前記式(1)に示されるユニットのモル数をA、前記式(2)に示されるユニットのモル数をBとしたとき、B/(A+B)が0.2以上0.8以下である請求項1又は2に記載の現像剤担持体。
【請求項4】
前記アクリル樹脂は、前記熱硬化性樹脂100質量部に対して、1質量部以上、30質量部以下の範囲で樹脂層に添加されている請求項1乃至3のいずれか1項に記載の現像剤担持体。
【請求項5】
トナー粒子を有する負帯電性の現像剤と、
該現像剤を収容している容器と、
該容器に貯蔵された該現像剤を担持搬送するための現像剤担持体と、
現像剤層厚規制部材とを有し、
該現像剤層厚規制部材により該現像剤担持体上に現像剤層を形成しながら該現像剤担持体上の該現像剤を静電潜像担持体と対向する現像領域へ搬送し、該静電潜像担持体の静電潜像を現像剤により現像する現像装置であって、
該現像剤担持体は、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の現像剤担持体であることを特徴とする現像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−154364(P2011−154364A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−293374(P2010−293374)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【特許番号】特許第4726264号(P4726264)
【特許公報発行日】平成23年7月20日(2011.7.20)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】