説明

現像剤規制部材、現像装置、プロセスユニット及び画像形成装置

【課題】現像剤担持体に対する当接圧を下げることなく、磨耗を抑制できる現像剤規制部材を提供する。
【解決手段】本発明は、先端部42a側に曲げ部42bを有し、現像剤を担持して搬送する現像剤担持体40の表面に前記先端部42a側を当接させて現像剤担持体40上の現像剤を規制する現像剤規制部材42におけるものである。曲げ部42bに、現像剤担持体40の表面に当接する平坦部42cを形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像剤担持体上の現像剤を規制する現像剤規制部材、現像剤規制部材を備えた現像装置、プロセスユニット及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンタ、ファクシミリ、あるいはこれらの複合機等の画像形成装置などに装着される現像装置として、現像剤担持体に現像剤を担持し、現像剤担持体上に担持される現像剤を現像剤規制部材で規制した後、感光体等の潜像担持体に対向する現像領域に搬送するものが知られている。
【0003】
従来、現像剤規制部材として、樹脂やゴム、あるいは金属製の板材から成る規制ブレードが多く用いられており、図9に示すように、規制ブレード200には、その先端部200a側に曲げ部200bを有するものがある(例えば、特許文献1〜3参照)。現像剤担持体としての現像ローラ300上に担持されたトナーは、現像ローラ300の回転に伴って、現像ローラ300の表面に当接している規制ブレード200の曲げ部200bを通過することにより規制され薄層化される。また、図10に示すように、現像剤規制部材200の曲げ部200bの曲げ角度θと曲げ部200bから先端面までの長さAによってトナーの取り込み量を調整しており、曲げ部200bの頂点近傍にてトナー量が規制される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の曲げ部を有する規制ブレードの構成では、当該規制ブレードを現像ローラの表面に当接させるための当接力が曲げ部の頂点に集中するため、その部分において回転する現像ローラとの摩擦が大きくなり、磨耗が促進される。その結果、規制ブレードによって規制されるトナー層の厚さを、長期に亘って所定の厚さに維持することが困難になるといった問題がある。
【0005】
また、上記曲げ部における磨耗を抑制するために、現像ローラに対する規制ブレードの当接圧を下げる方法もあるが、当接圧を下げると、トナーの帯電性が低下してかぶり等の不具合が生じる虞がある。また、かぶり等の発生を防止するために、トナーの帯電性を上げると、使用環境や耐久性に関する経時的変化が大きくなるという問題が生じる。
【0006】
そこで、本発明は、斯かる事情に鑑み、現像剤担持体に対する当接圧を下げることなく、磨耗を抑制できる現像剤規制部材、その現像剤規制部材を備えた現像装置、プロセスユニット及び画像形成装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明は、先端部側に曲げ部を有し、現像剤を担持して搬送する現像剤担持体の表面に前記先端部側を当接させて前記現像剤担持体上の現像剤を規制する現像剤規制部材において、前記曲げ部に、前記現像剤担持体の表面に当接する平坦部を形成したものである。
【0008】
現像剤規制部材の平坦部を現像剤担持体と当接させることにより、現像剤規制部材の当接力が平坦部で分散されるので、現像剤規制部材の当接箇所の磨耗を抑制することができる。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1に記載の現像剤規制部材において、前記平坦部に粗面化処理をしたものである。
【0010】
平坦部に粗面化処理をすることにより、現像剤等の滞留を防止して、現像剤等の融着を防止することができる。
【0011】
請求項3の発明は、請求項2に記載の現像剤規制部材において、前記平坦部に前記現像剤担持体の表面移動方向に伸びる多数のスジを形成して前記粗面化処理をしたものである。
【0012】
平坦部に現像剤担持体の表面移動方向に伸びる多数のスジを形成して粗面化処理をすることにより、現像剤規制部材と現像剤担持体との接触が従来の点接触から線接触となるので、現像剤規制部材の磨耗を一層抑制することが可能となる。
【0013】
請求項4の発明は、請求項2に記載の現像剤規制部材において、前記平坦部に互いに交差する多数のスジを形成して前記粗面化処理をしたものである。
【0014】
平坦部に互いに交差する多数のスジを形成して粗面化処理をすることにより、現像剤規制部材の現像剤担持体との当接部を通過する現像剤に攪乱を起こさせることができる。その結果、現像剤規制部材又は現像剤担持体と現像剤との接触回数が増加し、現像剤の帯電性が高まるので、かぶり等の不具合を防止できるようになる。また、請求項3と同様に、スジを形成して粗面化処理をしているので、現像剤規制部材と現像剤担持体との接触が従来の点接触から線接触となり、現像剤規制部材の磨耗を一層抑制することが可能となる。
【0015】
請求項5の発明は、現像剤を担持して搬送する現像剤担持体と、当該現像剤担持体上の現像剤を規制する現像剤規制部材とを備えた現像装置において、請求項1から4のいずれか1項に記載の現像剤規制部材を用いたものである。
【0016】
現像装置が、請求項1から4のいずれか1項に記載の現像剤規制部材を用いているので、これらの現像剤規制部材による上記効果が得られる。
【0017】
請求項6の発明は、静電潜像を担持する潜像担持体と、当該潜像担持体の表面を帯電させる帯電装置と、前記潜像担持体の表面をクリーニングするクリーニング装置のうちの少なくとも1つと、前記潜像担持体上の静電潜像を顕像化する現像装置を一体的に備え、画像形成装置本体に対して着脱可能に構成されたプロセスユニットにおいて、請求項1から4のいずれか1項に記載の現像剤規制部材を用いたものである。
【0018】
プロセスユニットが、請求項1から4のいずれか1項に記載の現像剤規制部材を用いているので、これらの現像剤規制部材による上記効果が得られる。
【0019】
請求項7の発明は、静電潜像を担持する潜像担持体と、当該潜像担持体上の静電潜像を顕像化する現像装置とを備えた画像形成装置において、請求項5に記載の現像装置を用いたものである。
【0020】
画像形成装置が、請求項5に記載の現像装置を用いているので、この現像装置に用いる現像剤規制部材の上記効果が得られる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、現像剤規制部材の曲げ部に現像剤担持体の表面に当接する平坦部を形成したことにより、現像剤規制部材の当接箇所の磨耗を抑制することができ、現像剤担持体上の現像剤層の厚さを長期に亘って所定の厚さに維持することができるようになる。また、現像剤規制部材の磨耗を抑制するために現像剤規制部材の当接圧を下げなくてもよいので、現像剤の帯電性を良好に維持することができ、かぶり等の不具合の発生を防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置の概略構成図である。
【図2】現像装置の概略構成図である。
【図3】規制ブレードの拡大図である。
【図4】規制ブレードを現像ローラとの当接面側から見た図である。
【図5】規制ブレードを現像ローラに当接させた状態を示す拡大図である。
【図6】従来の規制ブレードと本発明の規制ブレードを使用して行った印字耐久試験の結果を示すグラフである。
【図7】規制ブレードの他の実施形態の構成を示す図である。
【図8】規制ブレードのさらに別の実施形態の構成を示す図である。
【図9】従来の規制ブレードの概略構成図である。
【図10】従来の規制ブレードの拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付の図面に基づき、本発明について説明する。なお、本発明を説明するための各図面において、同一の機能もしくは形状を有する部材や構成部品等の構成要素については、判別が可能な限り同一符号を付すことにより一度説明した後ではその説明を省略する。
【0024】
図1は、本発明に係るカラー画像形成装置の概略構成図である。ただし、本発明に係る画像形成装置は、図1に示すカラー画像形成装置に限らず、モノクロ画像形成装置や、その他の複写機、プリンタ、ファクシミリ、あるいはこれらの複合機等であってもよい。
図1に示す画像形成装置は、画像形成ユニットとしての4つのプロセスユニット1Y,1C,1M,1Bkを並べて配設したタンデム型の画像形成部を備える。各プロセスユニット1Y,1C,1M,1Bkは、画像形成装置本体100に着脱可能に構成されており、カラー画像の色分解成分に対応するイエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(Bk)の異なる色のトナーを収容している以外は同様の構成となっている。
【0025】
具体的には、各プロセスユニット1Y,1C,1M,1Bkは、潜像担持体としてのドラム状の感光体2と、感光体2の表面を帯電させる帯電ローラ3等を備えた帯電装置と、感光体2の表面にトナー(現像剤)を供給する現像装置4と、感光体2の表面をクリーニングするためのクリーニングブレード5等を備えたクリーニング装置などで構成されている。なお、図1では、イエローのプロセスユニット1Yが備える感光体2、帯電ローラ3、現像装置4、クリーニングブレード5のみに符号を付しており、その他のプロセスユニット1C,1M,1Bkにおいては符号を省略している。
【0026】
図1において、各プロセスユニット1Y,1C,1M,1Bkの上方には、感光体2の表面を露光する露光手段としての露光装置6が配設されている。露光装置6は、光源、ポリゴンミラー、f−θレンズ、反射ミラー等を有し、画像データに基づいて各感光体2の表面へレーザ光を照射するようになっている。
【0027】
また、各プロセスユニット1Y,1C,1M,1Bkの下方には、転写装置7が配設されている。転写装置7は、転写体としての無端状のベルトから構成される中間転写ベルト8を有する。中間転写ベルト8は、支持部材としての駆動ローラ9及び従動ローラ10に張架されており、駆動ローラ9が図の反時計回りに回転駆動することにより、中間転写ベルト8は図の矢印に示す方向に周回走行(回転)するように構成されている。
【0028】
中間転写ベルト8を挟んで各感光体2に対向した位置に、一次転写手段としての4つの一次転写ローラ11が配設されている。各一次転写ローラ11はそれぞれの位置で中間転写ベルト8の内周面を押圧しており、中間転写ベルト8の押圧された部分と各感光体2とが接触する箇所に一次転写ニップが形成されている。また、各一次転写ローラ11は、図示しない電源に接続されており、所定の直流電圧(DC)及び/又は交流電圧(AC)が一次転写ローラ11に印加されるようになっている。
【0029】
また、中間転写ベルト8を挟んで駆動ローラ9に対向した位置に、二次転写手段としての二次転写ローラ12が配設されている。二次転写ローラ12は中間転写ベルト8の外周面を押圧しており、二次転写ローラ12と中間転写ベルト8とが接触する箇所に二次転写ニップが形成されている。また、二次転写ローラ12は、一次転写ローラ11と同様に、図示しない電源に接続されており、所定の直流電圧(DC)及び/又は交流電圧(AC)が二次転写ローラ12に印加されるようになっている。
【0030】
また、中間転写ベルト8には、その表面をクリーニングするベルトクリーニング装置13が配設されている。このベルトクリーニング装置13から伸びた図示しない廃トナー移送ホースは、転写装置7の下方に配設された廃トナー収容器14の入り口部に接続されている。
【0031】
画像形成装置本体100の下部には、記録媒体としての記録用紙Pを収容した給紙トレイ15や、給紙トレイ15から記録用紙Pを搬出する給紙ローラ16等が設けてある。一方、画像形成装置本体の上部には、記録用紙を外部へ排出するための一対の排紙ローラ17と、排出された記録媒体をストックするための排紙トレイ18とが配設されている。
【0032】
また、画像形成装置本体内には、下部の給紙トレイ15から上部の排紙トレイ18へ記録用紙を案内するための搬送路Rが形成されている。この搬送路Rにおいて、給紙ローラ16から二次転写ローラ12に至る途中には、一対のレジストローラ19が配設されている。また、二次転写ローラ12から排紙ローラ17に至る途中に、記録用紙上の画像を定着させるための定着装置20を配設している。この定着装置20は、加熱源によって加熱される定着部材としての定着ローラ21と、その定着ローラ21を加圧する加圧部材としての加圧ローラ22等を有する。定着ローラ21と加圧ローラ22とが互いに圧接した箇所には定着ニップが形成されている。
【0033】
以下、図1を参照して上記画像形成装置の基本的動作について説明する。
作像動作が開始されると、各プロセスユニット1Y,1C,1M,1Bkの感光体2が図示しない駆動装置によって図の時計回りに回転駆動され、各感光体2の表面が帯電ローラ3によって所定の極性に一様に帯電される。帯電された各感光体2の表面には、露光装置6からレーザ光がそれぞれ照射されて、それぞれの感光体2の表面に静電潜像が形成される。このとき、各感光体2に露光する画像情報は所望のフルカラー画像をイエロー、シアン、マゼンタ及びブラックの色情報に分解した単色の画像情報である。このように感光体2上に形成された静電潜像に、各現像装置4によってトナーが供給されることにより、静電潜像はトナー画像(現像剤像)として可視像化される。
【0034】
駆動ローラ9が図の反時計回りに回転駆動されることにより、中間転写ベルト8が図の矢印で示す方向に走行駆動される。また、各一次転写ローラ11に、トナーの帯電極性と逆極性の定電圧又は定電流制御された電圧が印加される。これにより、各一次転写ローラ11と各感光体2との間の一次転写ニップにおいて転写電界が形成される。そして、各プロセスユニット1Y,1C,1M,1Bkの感光体2に形成された各色のトナー画像が、上記一次転写ニップにおいて形成された転写電界によって、中間転写ベルト8上に順次重ね合わせて転写される。かくして中間転写ベルト8はその表面にフルカラーのトナー画像を担持する。
【0035】
トナー画像が転写された後の各感光体2の表面に付着する残留トナーは、クリーニングブレード5によって除去され、次いで、その表面が図示していない除電装置によって除電作用を受け、その表面電位が初期化されて次の画像形成に備えられる。
【0036】
また、画像形成装置の下部では、給紙ローラ16が回転駆動することによって、給紙トレイ15に収容された記録用紙Pが搬送路Rに送り出される。搬送路Rに送り出された記録用紙Pは、レジストローラ19によってタイミングを計られて、二次転写ローラ12とそれに対向する駆動ローラ9との間の二次転写ニップに送られる。このとき二次転写ローラ12には、中間転写ベルト8上のトナー画像のトナー帯電極性と逆極性の転写電圧が印加されており、これにより、二次転写ニップに転写電界が形成されている。そして、二次転写ニップに形成された転写電界によって、中間転写ベルト8上のトナー画像が記録用紙P上に一括して転写される。トナー画像が転写された記録用紙Pは定着手段20へと搬送され、定着ローラ21と加圧ローラ22によって記録用紙Pが加熱及び加圧されてトナー画像が定着される。そして、トナー画像が定着された記録用紙Pは、排出ローラ17によって排紙トレイ18へと排出される。また、転写後の中間転写ベルト8上に残留するトナーは、ベルトクリーニング装置13によって除去され、除去されたトナーは、廃トナー収容器14へ搬送され回収される。
【0037】
以上の説明は、記録用紙上にフルカラー画像を形成するときの画像形成動作であるが、4つのプロセスユニット1Y,1C,1M,1Bkのいずれか1つを使用して単色画像を形成したり、2つ又は3つのプロセスユニットを使用して、2色又は3色の画像を形成したりすることも可能である。
【0038】
次に、図2に基づいて、上記現像装置4の構成について詳しく説明する。
図2に示すように、現像装置4は、現像剤を担持して搬送する現像剤担持体としての現像ローラ40と、現像ローラ40に現像剤を供給する現像剤供給手段としての供給ローラ41と、現像ローラ40上の現像剤を規制する現像剤規制部材としての規制ブレード42と、現像剤を攪拌する攪拌部材43と、これらを組み付けた現像ハウジング44と、現像ハウジング44に補給する現像剤としてのトナーを収容したトナー容器45とを備える。トナー容器45は、現像ハウジング44の上部に着脱可能に装着されており、これらを現像ユニットとして取り扱うことができるようになっている。
【0039】
供給ローラ41の一般的な構成としては、金属製の芯金の外周にカーボンを混合させることで半導電化させた発泡ポリウレタンを付着させたスポンジローラなどが適当である。本実施形態では、芯金径φ6、スポンジ部外形φ12のものを使用し、供給ローラ41と現像ローラ40との間のニップを2mm、回転数比を1に設定している。現像ローラ40は、金属製の芯金を有し、外周は体積抵抗値を約105〜107Ω程度に調整した導電性ゴム(例えば導電性ウレタンゴムやシリコーンゴムを使用することが可能)で構成されている。本実施形態では、ゴム硬度Hs75、芯金径φ6、ゴム外形φ12のものを使用した。規制ブレード42は、例えば板厚0.1mm程度のSUSなどの金属板で構成され、その先端が所定の圧力で現像ローラ40の表面に当接されている。
【0040】
上記のように構成された現像装置4は、以下のように動作する。
まず、現像ハウジング44内のトナーが攪拌部材43によって攪拌された後、トナーは供給ローラ41によって現像ローラ40に供給される。そして、現像ローラ40に担持されたトナーが、現像ローラ40の回転に伴って規制ブレード42の当接位置を通過することにより薄層化される。その後、現像ローラ40上のトナーが、現像ローラ40と感光体2とが対向する現像領域に到達すると、感光体2の画像部に選択的に引き寄せられて付着して、静電潜像がトナー画像として可視化される。
【0041】
上記現像ローラ上のトナー量の制御は、現像特性を安定させる上できわめて重要であり、通常の製品においても現像ローラに対する規制ブレードの当接圧(通常線圧20〜60N/m)、当接ニップ位置(通常ブレード先端から0.5±0.5mm程度)などが厳しく管理されるべき項目であるが、使用するトナー、現像ローラ、供給ローラなどの特性に合わせて適宜決定される。本実施形態では、板厚0.1mmのSUS材で規制ブレードを構成し、線圧45N、ニップ位置を先端から0.2mm、規制ブレードの支持端部から自由端までの長さ(自由長)を14mmに設定することで、現像ローラ上に安定したトナー層を形成している。
【0042】
図3は、規制ブレード42の拡大図、図4は、規制ブレード42を現像ローラとの当接面側から見た図である。なお、図3、図4において、上側が現像ハウジングに取り付けられる基端部42d側、下側が現像ローラに当接する先端部42a側である。
図3に示すように、本発明に係る規制ブレード42は、その先端部42a側に所定の角度で曲げられた曲げ部42bを有しており、その曲げ部42bの現像ローラとの当接面側(図の下面側)には、平坦面状の平坦部42cが形成されている。本実施形態では、従来の曲げ部を有する規制ブレードを、現像ローラと同じ硬度であって表面に研磨剤を塗布した研磨ロールを備える研磨装置にセットし、回転する研磨ロールによって規制ブレードの曲げ部の当接面側を研磨して平坦部を形成した。
【0043】
図5は、規制ブレード42を現像ローラ40に当接させた状態を示す拡大図である。
図5に示すように、規制ブレード42は、平坦部42cにて現像ローラ40と当接している。このように、規制ブレード42を、平坦部42cで現像ローラ40と当接させることにより、規制ブレード42の当接力が平坦部42cで分散されるので、当接箇所の磨耗を抑制することができる。また、本発明者は、曲げ部に平坦部を設けていない従来の規制ブレードと、曲げ部に平坦部を設けた本発明の規制ブレードを使用して印字耐久試験を行い、現像ローラ上のトナー量の変化を低温低湿環境で測定した。その結果を、図6に示す。
【0044】
図6において、横軸は印字枚数[k枚]を示し、縦軸は現像ローラ上のトナー量[g/m2]を示している。図6に示すように、本発明の規制ブレードを用いた場合は、従来の規制ブレードを用いた場合に比べて、印字枚数が増えても現像ローラ上のトナー量が安定している。これは、本発明の規制ブレードの現像ローラとの当接部における磨耗が抑制された結果、規制ブレードによって規制されるトナー層の厚さの変動が少なくなったものと考えられる。このように、本発明の規制ブレードを用いた場合は、規制ブレードの磨耗が抑制されることにより、現像ローラ上のトナー層の厚さを長期に亘って所定の厚さに維持することが可能となる。
【0045】
図7は、本発明に係る規制ブレード42の他の実施形態の構成を示す図である。
図7において、(a)は、規制ブレード42を現像ローラとの当接面側から見た図、(b)は(a)の要部拡大図である。
図7に示す実施形態では、規制ブレード42の平坦部42cに多数のスジSを形成して粗面化処理してある。それ以外は、上記実施形態と同様の構成となっている。本実施形態では、上記研磨装置を用いて作成した規制ブレード42の平坦部42cに、現像ローラの外径よりも大きい外径の砥石ロールにて、現像ローラの表面移動方向(回転方向)Cと平行に伸びる多数のスジSを形成した(図7(b)参照)。
【0046】
本実施形態と異なり、平坦部42cが滑面状に形成されている場合、トナーから遊離した外添剤や小径のトナーが、規制ブレード42の当接部よりも現像ローラの回転方向上流側で滞留して融着を起こす虞がある。これに対し、本実施形態のように、平坦部42cに粗面化処理を施している場合は、トナーや外添剤の滞留を防止することができ、トナーや外添剤の融着の虞をなくすことができる。なお、本実施形態の規制ブレード42を使用して、高温高湿環境で印字耐久評価を行った結果、トナーや外添剤の融着は見られなかった。また、本実施形態のように、スジを形成して粗面処理をした場合は、規制ブレード42と現像ローラとの接触が従来の点接触から線接触となるので、規制ブレード42の磨耗を一層抑制することが可能となる。
【0047】
また、図8は、本発明に係る規制ブレード42のさらに別の実施形態の構成を示す図である。
図8において、(a)は、規制ブレード42を現像ローラとの当接面側から見た図、(b)は(a)の要部拡大図である。
図8に示す実施形態では、平坦部42cに互いに交差する多数のスジS1,S2を形成して粗面化処理をしている。それ以外は、上記実施形態と同様の構成となっている。本実施形態では、上記研磨装置を用いて作成した規制ブレード42の平坦部42cに、現像ローラの外径よりも大きい外径の砥石ロールにて、現像ローラの表面移動方向(回転方向)Cに対し角度を成す第1のスジS1と、第1のスジS1とは反対向きの角度を成す第2のスジS2を形成した(図8(b)参照)。なお、図8(b)において、第1のスジS1が現像ローラの表面移動方向Cに対して成す角度αの大きさと、第2のスジS2が現像ローラの表面移動方向Cに対して成す角度βの大きさは、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0048】
上記のように、本実施形態では、平坦部42cに互いに交差する多数のスジS1,S2を形成して粗面化処理を施しているので、規制ブレード42の現像ローラとの当接部を通過するトナーに攪乱が生じる。その結果、規制ブレード42又は現像ローラとトナーとの接触回数が増加し、トナーの帯電性が高まるので、かぶり等の不具合を防止することができる。なお、本発明の規制ブレード42を使用して、高温高湿環境で印字耐久評価を行った結果、かぶりのない良好な画像を得ることができた。
【0049】
また、図7に示す実施形態と同様に、平坦部42cに粗面化処理を施しているので、トナーや外添剤の滞留を防止することができ、トナーや外添剤の融着を防止することが可能である。また、スジを形成して粗面処理をしているため、規制ブレード42と現像ローラとの接触が従来の点接触から線接触となり、規制ブレード42の磨耗を一層抑制することが可能となる。
【0050】
以上のように、上記本発明の実施形態によれば、規制ブレードの曲げ部に現像ローラの表面に当接する平坦部を形成したことにより、規制ブレードの当接箇所の磨耗を抑制することができ、現像ローラ上のトナー層の厚さを長期に亘って所定の厚さに維持することができる。また、規制ブレードの磨耗を抑制するために規制ブレードの当接圧を下げなくてもよいので、トナーの帯電性を良好に維持することができ、かぶり等の不具合の発生を防止することが可能となる。
【0051】
なお、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加え得ることは勿論である。また、上記現像剤規制部材の材質や形状等は、実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な材質、形状等にすることが可能である。
【符号の説明】
【0052】
1Y,1C,1M,1Bk プロセスユニット
2 感光体(潜像担持体)
3 帯電ローラ
4 現像装置
5 クリーニングブレード
40 現像ローラ(現像剤担持体)
42 規制ブレード(現像剤規制部材)
42a 先端部
42b 曲げ部
42c 平坦部
S,S1,S2 スジ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0053】
【特許文献1】特開2007−57883号公報
【特許文献2】特開2007−57910号公報
【特許文献3】特開2000−338779号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端部側に曲げ部を有し、現像剤を担持して搬送する現像剤担持体の表面に前記先端部側を当接させて前記現像剤担持体上の現像剤を規制する現像剤規制部材において、
前記曲げ部に、前記現像剤担持体の表面に当接する平坦部を形成したことを特徴とする現像剤規制部材。
【請求項2】
前記平坦部に粗面化処理をした請求項1に記載の現像剤規制部材。
【請求項3】
前記平坦部に前記現像剤担持体の表面移動方向に伸びる多数のスジを形成して前記粗面化処理をした請求項2に記載の現像剤規制部材。
【請求項4】
前記平坦部に互いに交差する多数のスジを形成して前記粗面化処理をした請求項2に記載の現像剤規制部材。
【請求項5】
現像剤を担持して搬送する現像剤担持体と、当該現像剤担持体上の現像剤を規制する現像剤規制部材とを備えた現像装置において、
請求項1から4のいずれか1項に記載の現像剤規制部材を用いたことを特徴とする現像装置。
【請求項6】
静電潜像を担持する潜像担持体と、当該潜像担持体の表面を帯電させる帯電装置と、前記潜像担持体の表面をクリーニングするクリーニング装置のうちの少なくとも1つと、前記潜像担持体上の静電潜像を顕像化する現像装置を一体的に備え、画像形成装置本体に対して着脱可能に構成されたプロセスユニットにおいて、
請求項1から4のいずれか1項に記載の現像剤規制部材を用いたことを特徴とするプロセスユニット。
【請求項7】
静電潜像を担持する潜像担持体と、当該潜像担持体上の静電潜像を顕像化する現像装置とを備えた画像形成装置において、
請求項5に記載の現像装置を用いたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−42608(P2012−42608A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−182431(P2010−182431)
【出願日】平成22年8月17日(2010.8.17)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】