説明

現像器および画像形成装置

【課題】現像剤の循環性を向上させる。
【解決手段】現像器(20b)は、現像ロール(214)と、第1収容室内に設けられ第1の回転軸を有し現像剤を攪拌し搬送する第1搬送部材(211)と、前記第1収容室と連結口を介して連結される第2収容室内に設けられ第2の回転軸を有し現像剤を攪拌し搬送する第2搬送部材(212)と、第3の回転軸および前記第3の回転軸に設けられる回転羽根を有し、前記第2搬送部材によって搬送された現像剤を前記現像ロールに供給するパドル(213)と備える。前記第1の回転軸または前記第2の回転軸は、前記連結口の対向領域と非対向領域とを有し、前記対向領域内の少なくとも一部の軸径は前記非対向領域の軸径よりも小さい。前記第3の回転軸は、前記回転羽根の前記第3の回転軸に垂直な方向の長さが、前記対向領域内の少なくとも一部において、前記非対向領域における前記長さに比べて小さい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像器および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置においては、トナーとキャリアとからなる2成分現像剤を収容するハウジング、ハウジング内の現像剤を受け取って感光体の位置付近まで運ぶ機能を有する現像ロール、現像剤をハウジング内部で攪拌する現像剤攪拌部材、攪拌された現像剤を現像ロールに供給する現像剤搬送部材を有する現像器を備えるものがある。
このような現像器においては、現像剤のハウジング内での循環性が悪いと感光体に付着するトナーに濃度むら等が発生し、画質に悪影響が出る場合がある。現像剤の循環性は、現像剤の流れの方向が急激に変化する場所である現像器の長手方向の端部で特に悪化しやすい。現像剤の循環性向上のため、スクリュー(現像剤攪拌部材)の端部における羽根のピッチを、当該螺旋の中央部におけるピッチと異ならせるという技術がある(特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−310098号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、現像器内部における現像剤の循環性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、現像ロールと、第1収容室内に設けられ、第1の回転軸および前記第1の回転軸に設けられる第1の螺旋羽根を有し、現像剤を攪拌し搬送する第1搬送部材と、前記第1収容室と連結口を介して連結される第2収容室内に設けられ、第2の回転軸および前記第2の回転軸に設けられる第2の螺旋羽根を有し現像剤を攪拌し搬送する第2搬送部材と、第3の回転軸および前記第3の回転軸に設けられる回転羽根を有し、前記第2搬送部材によって搬送された現像剤を前記現像ロールに供給する供給体と有し、前記第1の回転軸および前記第2の回転軸の少なくともいずれか一方は、前記連結口に面する対向領域と前記連結口に面しない非対向領域とを有し、前記対向領域内の少なくとも一部の軸径は、前記非対向領域の軸径よりも小さいことを特徴とする現像器である。
【0006】
請求項2に記載の発明は、現像ロールと、第1収容室内に設けられ、第1の回転軸および前記第1の回転軸に設けられる第1の螺旋羽根を有し、現像剤を攪拌し搬送する第1搬送部材と、前記第1収容室と連結口を介して連結される第2収容室内に設けられ、第2の回転軸および前記第2の回転軸に設けられる第2の螺旋羽根を有し現像剤を攪拌し搬送する第2搬送部材と、第3の回転軸および前記第3の回転軸に設けられる回転羽根を有し、前記第2搬送部材によって搬送された現像剤を前記現像ロールに供給する供給体と有し、前記第3の回転軸は、前記第2搬送部材を挟んで、前記連結口と向かい合う第1領域と、前記連結口と向かい合わない第2領域とを有し、前記回転羽根の前記第3の回転軸に垂直な方向の長さが、前記第1領域内の少なくとも一部において、前記第2領域における前記長さに比べて小さいことを特徴とする現像器である。
【0007】
請求項3に記載の発明は、前記第3の回転軸は、前記対向領域と向かい合う第1領域と、前記非対向領域と向かい合わない第2領域とを有し、前記回転羽根の前記第3の回転軸に垂直な方向の長さが、前記第1領域内の少なくとも一部において、前記第2領域における前記長さに比べて小さいことを特徴とする請求項1に記載の現像器である。
【0008】
請求項4に記載の発明は、前記回転羽根は前記第3の回転軸と平行な方向に一辺を有する平板形状であり、前記対向領域内の少なくとも一部を含む領域において前記回転羽根に切り欠き部が形成されることを特徴とする請求項2または3に記載の現像器である。
【0009】
請求項5に記載の発明は、前記第1の螺旋羽根または前記第2の螺旋羽根の外径が、前記対向領域内の少なくとも一部において、前記非対向領域における前記外径よりも小さいことを特徴とする請求項1,3,4のいずれか一項に記載の現像器である。
【0010】
請求項6に記載の発明は、前記回転羽根は、前記第3の回転軸に垂直な面内において互いに予め定められた角度をなして設けられる複数の回転羽根を含み、少なくとも一つの回転羽根の回転外径は、前記面内において隣り合う他の回転羽根の回転外径よりも小さいことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載の現像器である。
【0011】
請求項7に記載の発明は、前記回転羽根は、前記第3の回転軸に垂直な面内において互いに予め定められた角度をなして設けられる複数の回転羽根を含み、少なくとも一つの回転羽根の回転外径は、前記面内において隣り合う他の回転羽根の回転外径よりも小さいことを特徴とする請求項1,3,4,5,6のいずれか一項に記載の現像器である。
【0012】
請求項8に記載の発明は、請求項1ないし7のいずれか1項に記載の現像器と、感光体と露光装置と帯電装置とを有し、前記感光体に形成された静電潜像を前記現像器から供給される現像剤を用いて現像する像形成部と、該現像された像を記録媒体に転写する転写部と、前記転写された像を定着する定着部とを有する画像形成装置である。
【発明の効果】
【0013】
請求項1、2、8に記載の発明によれば、軸径が一定の搬送部材および軸径が一定の供給体を用いる場合に比べて現像剤の循環性が向上する。
請求項3に記載の発明によれば、軸径が一定の搬送部材または軸径が一定の供給体を用いる場合に比べて現像剤の循環性が向上する。
請求項4に記載の発明によれば、第1領域と第2領域とで別々に羽根を取り付ける場合に比べて供給体の成型が容易である。
請求項5に記載の発明によれば、螺旋羽根の大きさが一定である場合に比べて現像ロールへの現像剤の供給量が向上する。
請求項6に記載の発明によれば、一枚羽根の場合よりも現像剤の循環性が向上する。
請求項7に記載の発明によれば、螺旋羽根のみが設けられる場合に比べて第2搬送部材から供給体に供給される現像剤の量が増える。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】画像形成装置1の内部構造を模式的に表す図。
【図2】現像器20bを図1と同一の方向から見た図。
【図3】現像器20bを図2のz方向から先方から見た図。
【図4】図3における要部REを拡大して示す図。
【図5】図3における要部RFを拡大して示す図。
【図6】第1搬送部材211および第2搬送部材212の更に他の態様を表す図。
【図7】第1搬送部材211および第2搬送部材212の更に他の態様を表す図。
【図8】第1搬送部材211および第2搬送部材212の更に他の態様を表す図。
【図9】第1搬送部材211または第2搬送部材212の更に他の態様を表す図。
【図10】第2搬送部材212の他の態様を表す図。
【図11】パドル213の更に他の態様を表す図。
【図12】パドル213の更に他の態様を表す図。
【図13】パドル213の更に他の態様を表す図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<実施形態>
図1は画像形成装置1の内部構造を模式的に表す図である。画像形成装置1は、大別すると、給紙収容部10、ドラムユニット20a、現像器20b、および定着ユニット30からなる。画像形成装置1で使用する現像剤は、最終的に用紙Pに付着されるトナー(着色粒子)とトナーを帯電させるためのキャリアである粉体とからなる、いわゆる2成分系の現像剤である。
給紙収容部10は、画像の記録媒体である用紙Pを蓄積する。印刷処理が開始されると、用紙Pは搬送ロール40、41a、41bによって位置あわせや搬送タイミング調整がなされ、転写ロール42においてドラムユニット20aにて形成された静電潜像の転写が行われ、加熱ロールと加圧ロールにてその像が定着され、搬送ロール43aおよび43bを経て装置外へ排出される。ドラムユニット20aは、感光体ドラム201、帯電装置203、露光装置202、トナー除去部材204からなる。帯電装置203は感光体ドラムを帯電させる。露光装置202は、形成対象の画像データに基づいたレーザー光を感光体ドラム201に照射する。この結果、感光体ドラム201上には静電潜像が形成される。トナー除去部材204は、感光体ドラム201上の余分な現像剤を除去するものである。
【0016】
上記構成において、パドル213は供給体の一例であり、ドラムユニット20aは像形成部の一例であり、転写ロール42は転写部の一例であり、定着ユニット30は定着部の一例である。
【0017】
図2は、現像器20bを図1と同様の方向から見た図である。現像器20bは、ハウジング217、第1搬送部材211、第2搬送部材212、パドル213、現像ロール214、層厚規制部材215、トナー供給口216からなる。ハウジング217、第1搬送部材211、第2搬送部材212、パドル213、現像ロール214はそれぞれy軸に平行な方向に回転軸を有し、それぞれ回転軸の両端部においてハウジング217に回転可能に支持されている。すなわち、これらの部材は、中心軸の位置が、x軸マイナスからプラスの方向に向かって第1搬送部材211、第2搬送部材212、パドル213、層厚規制部材215、現像ロール214の順となるように、互いの回転軸が全て平行となるように配置される。第1搬送部材211、第2搬送部材212、パドル213、現像ロール214のそれぞれの回転軸の先端部(これらはハウジング217の外側にある)にはギア(図示せず)が設けられ、これらギア同士は連結されており、モータ(図示せず)によってそれぞれの部材がそれぞれの回転軸を中心に回転する。ギアによる連結があるため、それぞれの回転軸の回転速度比は(周速比)は予め設定された値に固定されている。回転速度比は、ギアの大きさを変えることで調整することが可能である。例えば、第1搬送部材211、第2搬送部材212、パドル213、現像ロール214の5つの部材の回転数の平均を1とすると、他の部材の回転数は0.8以上1.2以下の範囲となるようにギアの大きさが決定される。
【0018】
第1搬送部材211および第2搬送部材212の間には、y方向に仕切り壁Wが設けられる。この仕切り壁Wにより、現像器20bにおいて第1収容室R1および第2収容室R2が形成される。仕切り壁Wのy方向の両端部(図3参照)には、第1収容室R1と第2収容室R2とをつなぐ連結口220L、220Rがそれぞれ形成される。第1搬送部材211は、回転軸211aと回転軸に設けられた螺旋状の羽根(スクリュー)211sからなる。同様に、第2搬送部材212は回転軸212aと回転軸に形成された螺旋状の螺旋羽根212sからなる。パドル213は、回転軸213aと2枚の回転羽根213fとから形成される。現像ロール214は、回転軸となる金属部材(図示せず)及び回転方向に複数の磁極が配置されたマグネットロール(図示せず)を内部に有し、表面が現像剤と接触する回転体(現像スリーブ)を有する円筒形状の部材である。層厚規制部材215は磁性体で構成された円筒形状の部材である。
第1搬送部材211と第2搬送部材212の外径(すなわち、羽根の回転軸に垂直な方向の長さ)は等しい。パドル213の外径は第2搬送部材212の外径よりも小さい。現像ロール214の外径は、第2搬送部材212の外径より小さくパドル213の外径より大きい。層厚規制部材215の外径はパドル213の外径よりも小さい。
【0019】
現像器20bは、画像形成装置1内においてz方向に垂直な方向(すなわち水平方向)に固定される。より具体的には、ハウジング217の底部(現像剤が存在する部分の最底部)がz方向に垂直な面になっており、これにより第2搬送部材212が回転していない場合においては、現像剤の粉面もおおよそ水平となっている。第1搬送部材211、第2搬送部材212、パドル213、現像ロール214、層厚規制部材215の回転軸が固定される高さ(=z方向の位置)は、同図に示すように、異なっている。具体的には、ハウジング217の底部を高さの基準(=高さゼロ)とすると、第1搬送部材211と第2搬送部材212の回転軸は同じ高さに設けられている。現像ロール214の回転軸は、第2搬送部材212およびパドル213の回転軸(211aおよび213a)よりも上方に固定される。層厚規制部材215の回転軸は、現像ロール214の回転軸よりも上方に固定される。パドル213の回転軸213aは、第2搬送部材212の回転軸212aよりもz方向下方に固定される。
【0020】
上記配置において、現像剤の高さ(以下、粉面という)が、常に、ハウジング217の第2収容室R2部分の底部を基準として、パドル213の回転軸の位置よりも上方にあり、且つパドル213の最高到達点(=「回転軸213aの高さ」+「回転羽根213fの長さ」)よりも下方に維持されるように、ハウジング217内の現像剤の量が制御される。なお、現像剤は、初期状態において、上述の通り、予め定められた粉面の範囲に収まるように充填されている。しかし、画像形成処理に伴って現像剤の量は減っていく。具体的には、現像器20b内部のキャリアの量はおおよそ不変である一方、トナーは画像形成処理が実行される度に消費されるからである。よって、画像形成装置1においては、常に現像剤の粉面が上述した一定の範囲に保たれるように、消費されたトナーを補うべくトナー供給口216からトナーが補充されるようになっている。具体的には、例えば第1収容室R1内に透磁率を測定するセンサを設け、現像剤の第1収容室R1内における濃度を測定し、この結果を用いて第2収容室R2内における粉面の高さを計算する。具体的には、現像剤の濃度と、第1搬送部材211、第2搬送部材212の回転数等の情報との対応関係をテーブルとして予め記憶しておき、テーブルを参照して、トナーの投入のタイミングや量を決定すればよい。なお、トナー濃度から現像剤の量(粉面の高さ)を計算する以外にも、第2収容室R2内に接触センサを設け、第2収容室R2内の粉面の高さを直接計測してもよい。
【0021】
図3は、図2中の現像器20bを上側(z方向の先方)から見た図である。ただし、層厚規制部材215については図示を省略している。第1搬送部材211において、連結口220L側の端部にはトナー供給口216(図示せず)が設けられており、図示せぬトナーカートリッジから必要に応じてトナーが第1収容室R1に供給される。供給されたトナーは第1収容室R1でキャリアと攪拌されて帯電する。供給されたトナーは、第1収容室R1内で、回転する第1搬送部材211によってキャリアと攪拌される。と同時に、第1搬送部材211によって第1収容室R1内を矢印A方向に搬送される。y方向の他の端部に到着した現像剤の一部は、連結口220Rを介して第2収容室R2に進入する(矢印BおよびC)。第2収容室R2に進入した現像剤は、回転する第2搬送部材212によって、矢印D方向に搬送される。この際、搬送中の一部の現像剤は、矢印方向に回転するパドル213の作用によって現像ロール214に導かれ、現像ロール214の回転とともに現像ロール214の表面を移動する。現像ロール214の表面を移動する一部の現像剤に含まれるトナーは静電引力により現像ロール214から感光体ドラム201に付着する。この際、現像ロール214上に載る現像剤の量は膜厚規制部材215によって制限される。付着されなかった残りのトナーは、現像ロール214の回転に伴って現像ロール214上を下降し再びパドル213に導かれ、パドル213の回転によってその一部は攪拌され第2搬送部材212によって矢印D方向に搬送される。第2搬送部材212によって一つの端部に到着した現像剤の一部は、連結口220Lを介して第1収容室R1へ進入する(矢印EおよびF)。このようにして、現像器20b内を現像剤が循環し、必要に応じてトナーがドラムユニット20aに供給される。
【0022】
現像器20bは、y方向に関して、その中央部を基準として構造が対称である。以下では、現像器20bの連結口220L側の端部領域RE付近の構造について説明する。
図4は、図3中の端部領域RE付近の第1搬送部材211および第2搬送部材212を拡大した図である。第1搬送部材211は、中央部RAと端部RBとから構成されている。端部RBはハウジング217の側壁からの距離Hまでを指すが、これはすなわち連結口220Lの終端(=中央からy方向に伸びる仕切り壁Wが切れる位置)に等しくなっている。そして、中央部RAにおいては回転軸211a軸の直径(以下、軸径という)はra1であるのに対し、端部RBにおいてはra2(>ra1)である。すなわち、連結口220Lに面している領域であるRBの軸径が、連結口220Lに面していない領域である中央部RAの軸径よりも小さくなるように、回転軸211aが設計されている。第2搬送部材212は、同図に示すように、回転方向が第1搬送部材211のそれと反対となる点が異なるだけで、構造的には第1搬送部材211と同一であるので、詳細な説明を省略する。
【0023】
図5は、図3中の要部RFのパドル213を拡大して示す図である。図5(a)はパドル213を上側から見た図であり、図5(b)は図5(a)の矢視Vb−Vb方向から見た断面図である。パドル213は、パドル中央部PAと第1パドル端部PBおよび第2パドル端部PCとから構成される。第2パドル端部PCは、ハウジング217の側壁(ハウジング端)からの距離が0以上d2未満となる領域、第1パドル端部PBは、ハウジング端からの距離がd2以上d3未満となる領域、パドル中央部PAはハウジング端からの距離がd3以上となる領域である。パドル中央部において、回転軸213aには高さ(=回転軸213aの中心から回転軸に垂直な方向の長さ)d4(=Wp/2)、厚さDpの回転羽根213fが回転軸213aに形成されている。一方、第1パドル端部PBにおいては、回転軸213aに羽根は設けられていない。第2パドル端部PCにおいては、パドル中央部PAと同様、回転軸213aに高さd4の回転羽根213fが2枚設けられる。このように、第2搬送部材212を挟んで連結口220Lと向かい合う位置(すなわち第1パドル端部PBおよび第2パドル端部PCを含む領域)のうちの一部の領域である第1パドル端部PBにおいて回転羽根213fが存在せず、第2搬送部材212を挟んで連結口220Lと向かい合わない領域であるパドル中央部PAには回転羽根213fが設けられている。換言すると、パドル213の回転外径が方向に関して一様でなく、軸端部で局所的に小さくなっている。なお、パドル213の具体的な製造方法としては、例えば、まず回転羽根213fの原型となる平板部材を2枚用意し、それぞれにつきPB部分において回転羽根213fに切り欠きを入れ、これを回転軸213aと接合すればよい。また、回転軸213aに一対の回転羽根213fを一体形成した後に、第1パドル端部PBとなる部分の各回転羽根213fを切除してもよい。
【0024】
第1搬送部材211、第2搬送部材212、パドル213、連結口220Lの配置構成を採用したことにより、連結口220L付近においては、軸が細くなった分だけ現像剤が存在(通過)できるzx面上の空間が増えているので、x方向に現像剤が移動し易くなっている。また、連結口220Lが形成されていない仕切り壁Wに面している領域である中央部RAにおいては、回転軸211aおよび212aの軸の太さ(すなわち仕切り壁Wと回転軸211aおよび212aとの距離)は一定であるため、現像剤のy方向への流れをx方向へ変化させるような力(y方向への流れを妨げるような力)が働くことはないので、この領域での現像剤の循環性に悪影響は発生していない。結果的に、端部領域REにおいて現像剤の流れ(具体的には、220Lにおいては第2から第1への流れ、210Rにおいては第1から第2の流れ)がスムーズになり、第1収容室R1と第2収容室R2との間の現像剤の循環性が向上する分だけ、現像器20b全体としての循環性が向上する。
更に、端部領域REにおいては、パドル213に回転羽根が設けられていないから、その分現像剤が移動できる空間がy方向の中央部よりも増えることになり、現像剤が端部領域REで滞留しにくくなる。さらに、端部領域REにおける現像剤の密度が必要以上に高くなることがないので、現像ロール214の端部に過剰な量の現像剤が供給されることが抑制される。この結果、用紙Pの端部に形成される画像の質が安定する。
更に、パドル213の端部PCには回転羽根213fが設けられているから、現像剤をxプラス方向に移動させる力が働き、現像ロール214の端部には適度の現像剤を供給される。これにより、現像ロール214の端部へ供給される現像剤の量が少なくなりすぎて画質の劣化という事態が発生しづらくなる。
また、現像ロール214の回転に伴い現像ロール214からパドル213へxマイナス方向へ移動する現像剤に対しては、xプラス方向の現像剤の流れ同様の理屈で、第1パドル端部PBにおいて通過しやすくなっている。すなわち、現像ロール214から戻ってきた現像剤が端部領域RE付近に留まることなく第2搬送部材212に図ムーズに供給され再び攪拌および搬送に供されやすくなる。
このように、現像器20b全体として、現像剤の循環性が向上し、それによって現像剤の密度が均一化されるので、結果的に、形成される画質の質も安定する。
【0025】
上述した搬送部材211、第2搬送部材212およびパドル213の態様は、上述したものに限られない。例えば、中央部の軸径に対する端部の軸径の細さの程度や、中央部に対する端部の羽の低さ(上記実施形態のように羽の高さがゼロの場合を含む)の程度は、現像剤の総量やハウジング217や仕切り壁Wの形状等の要素に基づいて決定すればよい。また、連結口220Lの位置、端部RBの位置、第1パドル端部PB(PC)の位置関係についても、連結口220Lに向かい合う部分のすべての領域においてその軸径が中央部よりも細くまたは羽根高が低くなっている必要はない。以下、搬送部材211および212とパドル213の構成について、個別にいくつかの態様を例示するが、例示された構成要素の態様を任意に組み合わせて現像器20bを構成しうる。
要は、上記形態においては、現像ロールと、第1収容室(R1)内に設けられ、第1の回転軸(211a)および前記第1の回転軸に設けられる第1の螺旋羽根(211s)を有し、現像剤を攪拌し搬送する第1搬送部材(211)と、前記第1収容室と連結口(220L,220R)を介して連結される第2収容室(R2)内に設けられ、第2の回転軸(212a)および前記第2の回転軸に設けられる第2の螺旋羽根(212s)を有し現像剤を攪拌し搬送する第2搬送部材(212)と、第3の回転軸(213a)および前記第3の回転軸に設けられる回転羽根(213f)を有し、前記第2搬送部材によって搬送された現像剤を前記現像ロールに供給する供給体と有する現像器において、以下の(a)または(b)の少なくともいずれかを満たす構成であれば、現像剤の循環性向上という効果が得られる。
(a)前記第1の回転軸および前記第2の回転軸の少なくともいずれか一方は、前記連結口に面する第1領域と前記連結口に面しない第2領域とを有し、前記第1領域内の少なくとも一部の軸径は、前記第2領域の軸径よりも小さくなっている。
(b)前記第3の回転軸は、前記第2搬送部材を挟んで、前記連結口と向かい合う第3領域と、前記連結口と向かい合わない第4領域とを有し、前記回転羽根の高さ(前記第3の回転軸に垂直な方向の長さ)が、前記第3領域内の少なくとも一部において、前記第4領域における高さに比べて小さくなっている。
【0026】
<変形例(搬送部材について)>
図6は、搬送部材対の更に他の態様を表す図である。同図に示す態様においては、第1搬送部材211および第2搬送部材212の中央部RAと端部RBの境界の位置と連結口との位置関係が、図4に示した態様と異なっている。この態様においては、同図に示すように、仕切り壁Wは、ハウジング端から距離h1までy方向に形成されている。そして、中央部からハウジング端から距離h2の位置から再びy方向に形成されている。すなわち、連結口220Lのy方向の長さHは、H=h2−h1となっている。一方、端部RBは、ハウジング端から距離h3の位置にあるが、h3≠Hかつh3≠h2である。より具体的には、連結口220Lのy方向の下限が端部RBと中央部RAの境界よりもハウジング端側に存在する。
この配置であっても、回転軸211aおよび回転軸212aが細くなっている部分の軸上領域の一部が連結口220Lに面しており、且つ仕切り壁Wに面する部分は全て軸が太い部分であるとなっている。この結果、上述したように、端部付近の現像剤を通過する空間が増えるため、現像剤が端部RBでx方向に移動しやすくなっており、且つ仕切り壁Wに面する部分においては常に軸と仕切り壁Wとの距離は一定であり、x方向への移動は制限される。よって、この態様であっても現像剤の循環性向上が実現する。
【0027】
図7は、搬送部材対および仕切り壁Wの更に他の態様を表す図である。この態様においては、連結口220Lとハウジング217との間に仕切り壁Wが存在しない。さらに、第1搬送部材211と第2搬送部材212とで構造が異なっている。具体的には、第1搬送部材211に替えて第1搬送部材211−1を用いる。第2搬送部材212−1は、連結口220Lに面する領域である端部RBにおいても、中央部RAと同様、軸径は一定である。これとは逆に、図8に示すように、第2搬送部材212に替えて第2搬送部材212−1を用いてもよい。
このように、端部RBにおける第1搬送部材211と第2搬送部材212の構造は同一でなくてもよい。このように搬送部材対の一方のみが上記実施形態で示した軸径の特徴を有する場合であっても、搬送部材対の両方の軸が一様な場合に比べて第2搬送部材212の端部RBで付近での現像剤の滞留を抑制する効果が働くから、結果として現像器21b全体として現像剤の循環性は向上する。
【0028】
図9は、搬送部材対の更に他の態様を表す図である。この態様においては、軸が太い部分であるRAと軸が細い部分である端部RBとを有する点では第1搬送部材211(第2搬送部材212)と同様であるが、端部RBにおいて設けられる螺旋羽根212sの高さが、中央部RAに設けられる螺旋羽根212sの高さよりも低くなっている。換言すると、第1搬送部材211−2(第2搬送部材212−2)全体の外径が端部RBで中央部RAよりも小さくなっている(rs2>rs1)。このように、連結口220Lに面する領域の付近において軸を細くして且つ螺旋羽根を小さく(低く)することで、端部領域REにおいて現像剤をy方向へ搬送する力が弱くなり、相対的にx方向への現像剤の流れが促進されることになる。この結果、連結口220L付近での現像剤の循環性が更に向上する。加えて、RAにおける螺旋羽根212sのピッチP1と端部RBにおける螺旋羽根212sのピッチP2を異ならせることにより、連結口220L付近における現像剤粒子に対するy方向に作用する力をさらに弱くしてもよい。
【0029】
図10は第2搬送部材212の他の態様を表す図である。第2搬送部材212−3は、端部RBにおいて、螺旋羽根212sに加え、y方向に平行な一辺を有する平板上の2枚の回転羽根212fを回転軸212aに設けたものである。212fの回転によりx方向に現像剤を搬送する力が働くので、端部領域REにおける滞留を抑制する効果が乗じる。
【0030】
<変形例(パドルについて)>
図11はパドル213の更に他の態様を表す図である。この態様は、パドル213をパドル213−1で置き換えた構成である。パドル213−1はパドル中央部PAと第1パドル端部PBとからなり、第2パドル端部PCは存在しない。この構成では、パドル213と比べ最先端部(最もハウジング217の側壁に近い領域)から現像ロール214へ現像剤を輸送するする力は弱いものの、現像剤の充填率が高い場合等において現像ロール214の端部に必要以上に現像剤が供給されないようにする作用がある。なお、第1パドル端部PB(PC)の大きさや位置(d1、d3の値)は、端部RAと連結口220Lの位置関係とは独立して設定しうる。すなわち、d3>h2でもd3<h2でもよい。同様に、図5において、d2>h1でも、d2<h1でもよい。つまり、上述の通り、第1パドル端部PB、PCの位置および長さは、本質的には、連結口220Lの位置およびy方向の長さに対応して決定される。
【0031】
図12はパドル213の更に他の態様を表す図である。パドル213−2は、第2パドル端部を省略し、さらにPBにおける回転羽根213fの高さを一様でなく、先端にいくに従って低くなる(先細りの形状となる)ように形成したものである。すなわち、第1パドル端部PBにおけるパドル213−2の外径の回転面は円錐となる。
【0032】
図13はパドル213の更に他の態様を表す図である。パドル213−3は、平板状の回転羽根213fを2枚でなく4枚設けたものである。具体的には、パドル中央部PAおよび第2パドル端部において、y方向に垂直な面内において高さW1の2枚の回転羽根213f−1を突設方向が180度異なるように設けるとともに、同面内において高さd5(d5<d4;d5=1/W2)の2枚の平板状の回転羽根213f−2を、回転羽根213fとそれぞれ90度の角度をなすように設ける。羽根を4枚設けることにより、羽根が2枚の場合に比べて、回転羽根213fと回転羽根213f−2の間に抱え込まれ、回転羽根の回転とともに輸送される現像剤の量が増えるため、パドル213一回転当りの現像ロール214へ供給される現像剤の量が増える。また、2対の回転羽根のうち一対の高さを他対よりも短くすることで、羽根間に蓄えられる現像剤の量が増えすぎて循環性や現像ロール214上の濃度の均一性が悪化することが防止される。なお、回転軸213aに設ける回転羽根213fの枚数は2枚や4枚以外の枚数であってもよい。例えば、3枚の羽根を設ける場合、y軸に垂直な方向から見て互いに隣接する羽根が120度をなすように設けるのが好ましい。この場合、さらに、そのうちの1つの羽根は他の2枚の羽根よりも高さが低くすることが好ましい。また、羽根は平板形状に限らず、曲面を有していても良い。
【0033】
上記実施形態においては、一色(例えば黒色)で画像を形成するために一組のドラムユニット20aおよび現像器20bを設ける例を示したが、複数色で画像を形成するために、各色に応じたドラムユニット20aおよび現像器20bの組を設けてもよい。この場合であっても、各色に対応する現像器20bにおいて、搬送部材211および第2搬送部材212、パドル213の構造およびこれらと連結口220L、220Rの位置関係については、上述した各態様と同様である
【0034】
連結口220Lまたは220Rは、仕切り壁Wが存在しない領域として把握される態様であるほか、仕切り壁Wの一部が存在する(例えば仕切り壁Wに形成された孔)として把握される態様であってもよい。要するに、連結口220は、第1収容室R1と第2収容室R2の間を現像剤が移動する領域として把握されるものであればよい。
【符号の説明】
【0035】
1・・・画像形成装置、10・・・給紙収容部、20a・・・ドラムユニット、20b・・・現像器、30・・・定着ユニット、40、41a、41b、43a、43b・・・搬送ロール、42・・・転写ロール、201・・・感光体ドラム、204・・・トナー除去部材、203・・・帯電装置、202・・・露光装置、211、211−1、211−2・・・第2搬送部材、212、212−1、212−2、212−3・・・第1搬送部材、213、213−1、213−2、213−3・・・パドル、214・・現像ロール、215・・・層厚規制部材、216・・・トナー供給口、211a、212a、213a・・・回転軸、211s、212s・・・螺旋羽根、212f、213f・・・回転羽根、217・・・ハウジング、220L、220R・・・連結口、301・・・加熱ロール、302・・・加圧ロール、P・・・用紙、R1・・・第1収容室、R2・・・第2収容室、W・・・仕切り壁、H・・・・連結口、RE・・・端部領域、rs、rs1、rs2・・・外径、RA・・・中央部、RB・・・端部、ra1、ra2・・・軸径、Wp・・・回転外径、P1、P2・・・ピッチ、PA・・・パドル中央部、PB・・・第1パドル端部、PC・・・第2パドル端部、RA・・・中央部、RB・・・端部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像ロールと、
第1収容室内に設けられ、第1の回転軸および前記第1の回転軸に設けられる第1の螺旋羽根を有し、現像剤を攪拌し搬送する第1搬送部材と、
前記第1収容室と連結口を介して連結される第2収容室内に設けられ、第2の回転軸および前記第2の回転軸に設けられる第2の螺旋羽根を有し現像剤を攪拌し搬送する第2搬送部材と、
第3の回転軸および前記第3の回転軸に設けられる回転羽根を有し、前記第2搬送部材によって搬送された現像剤を前記現像ロールに供給する供給体と
有し、
前記第1の回転軸および前記第2の回転軸の少なくともいずれか一方は、前記連結口に面する対向領域と前記連結口に面しない非対向領域とを有し、前記対向領域内の少なくとも一部の軸径は、前記非対向領域の軸径よりも小さい
ことを特徴とする現像器。
【請求項2】
現像ロールと、
第1収容室内に設けられ、第1の回転軸および前記第1の回転軸に設けられる第1の螺旋羽根を有し、現像剤を攪拌し搬送する第1搬送部材と、
前記第1収容室と連結口を介して連結される第2収容室内に設けられ、第2の回転軸および前記第2の回転軸に設けられる第2の螺旋羽根を有し現像剤を攪拌し搬送する第2搬送部材と、
第3の回転軸および前記第3の回転軸に設けられる回転羽根を有し、前記第2搬送部材によって搬送された現像剤を前記現像ロールに供給する供給体と
有し、
前記第3の回転軸は、前記第2搬送部材を挟んで、前記連結口と向かい合う第1領域と、前記連結口と向かい合わない第2領域とを有し、
前記回転羽根の前記第3の回転軸に垂直な方向の長さが、前記第1領域内の少なくとも一部において、前記第2領域における前記長さに比べて小さい
ことを特徴とする現像器。
【請求項3】
前記第3の回転軸は、前記対向領域と向かい合う第1領域と、前記非対向領域と向かい合わない第2領域とを有し、
前記回転羽根の前記第3の回転軸に垂直な方向の長さが、前記第1領域内の少なくとも一部において、前記第2領域における前記長さに比べて小さい
ことを特徴とする請求項1に記載の現像器。
【請求項4】
前記回転羽根は前記第3の回転軸と平行な方向に一辺を有する平板形状であり、
前記第1領域内の少なくとも一部を含む領域において前記回転羽根に切り欠き部が形成される
ことを特徴とする請求項2または3に記載の現像器。
【請求項5】
前記第1の螺旋羽根または前記第2の螺旋羽根の外径が、前記対向領域内の少なくとも一部において、前記非対向領域における前記外径よりも小さい
ことを特徴とする請求項1,3,4のいずれか一項に記載の現像器。
【請求項6】
前記回転羽根は、前記第3の回転軸に垂直な面内において互いに予め定められた角度をなして設けられる複数の回転羽根を含み、少なくとも一つの回転羽根の回転外径は、前記面内において隣り合う他の回転羽根の回転外径よりも小さい
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載の現像器。
【請求項7】
前記第2の回転軸において、前記対向領域内の少なくとも一部に、前記第2の回転軸に平行な方向に一辺を有する平板形状の回転羽根が更に設けられる
ことを特徴とする請求項1,3,4,5,6のいずれか一項に記載の現像器。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれか1項に記載の現像器と、
感光体と露光装置と帯電装置とを有し、前記感光体に形成された静電潜像を前記現像器から供給される現像剤を用いて現像する像形成部と、
該現像された像を記録媒体に転写する転写部と、
前記転写された像を定着する定着部と
を有する画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−93453(P2012−93453A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−239023(P2010−239023)
【出願日】平成22年10月25日(2010.10.25)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】