現像方法、及びフォトマスクの製造方法
【課題】感光膜の感度にばらつきがあったとしても、所望のリソグラフィ尤度を確保し、パターンカテゴリ間の寸法差を抑えるとともに、パターン寸法を高精度に制御可能な現像方法、及びフォトマスクの製造方法を提供する。
【解決手段】この現像方法は、基板上に形成され、露光された感光膜を所定の膜厚まで現像する第1の現像処理を行う工程と、前記第1の現像処理によって現像された前記感光膜の前記所定の膜厚と前記感光膜の露光量から前記感光膜の感度情報を取得する工程と、前記感度情報から第2の現像処理を行った後のパターン寸法を予測し、前記第2の現像処理における現像条件の第1の許容範囲を決定する工程と、前記第1の許容範囲と、複数種のパターン間における現像処理後のパターン寸法のばらつき量から決定される前記第2の現像処理における現像条件の第2の許容範囲とを共に満たすように前記第2の現像処理における現像条件を決定する工程とを含む。
【解決手段】この現像方法は、基板上に形成され、露光された感光膜を所定の膜厚まで現像する第1の現像処理を行う工程と、前記第1の現像処理によって現像された前記感光膜の前記所定の膜厚と前記感光膜の露光量から前記感光膜の感度情報を取得する工程と、前記感度情報から第2の現像処理を行った後のパターン寸法を予測し、前記第2の現像処理における現像条件の第1の許容範囲を決定する工程と、前記第1の許容範囲と、複数種のパターン間における現像処理後のパターン寸法のばらつき量から決定される前記第2の現像処理における現像条件の第2の許容範囲とを共に満たすように前記第2の現像処理における現像条件を決定する工程とを含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、フォトマスクや半導体装置の製造に適用される現像方法、及びフォトマスクの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
フォトマスクや半導体装置の製造工程では、基板上に感光剤を塗布して形成された感光膜に対して露光、現像、エッチング等の工程を経て、基板上に所望のパターンを形成するという手法が広く用いられている。特に現像工程においては、現像液に対する感光剤の感度は、感光剤を製造した際の製造ロット、感光剤を塗布した際の塗布環境、感光膜が形成された基板の保管環境といった複数の起因の影響を受けるため、感光膜の感度を管理することは困難である。
【0003】
そのため、現像の進行状態を測定し、その測定結果に基づいて現像処理を制御する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
特許文献1に記載された現像方法は、露光されたレジストを現像しながら、レジストの膜厚を測定する工程と、レジストの膜厚が所望の膜厚となったときに現像を中止する工程とを含む。
【0005】
しかし、この現像方法を、寸法、形状及び配置等が異なる複数種のパターンの全てに適用するには、寸法精度上改善する必要がある。
【特許文献1】特開2005−217254号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明の目的は、感光膜の感度にばらつきがあったとしても、所望のリソグラフィ尤度を確保し、パターンカテゴリ間の寸法差を抑えるとともに、パターン寸法を高精度に制御することができる現像方法、及びフォトマスクの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、上記目的を達成するため、以下の現像方法、及びフォトマスクの製造方法を提供する。
【0008】
[1]基板上に形成された感光膜を現像し複数種のパターンを形成する現像方法であって、露光された前記感光膜を所定の膜厚まで現像する第1の現像処理を行う工程と、前記第1の現像処理によって現像された前記感光膜の前記所定の膜厚と前記感光膜の露光量から前記感光膜の感度情報を取得する工程と、前記感度情報から前記第1の現像処理に続く第2の現像処理を行った後のパターン寸法を予測し、前記第2の現像処理における現像条件の第1の許容範囲を決定する工程と、前記第1の許容範囲と、前記複数種のパターン間における現像処理後のパターン寸法のばらつき量から決定される前記第2の現像処理における現像条件の第2の許容範囲とを共に満たすように前記第2の現像処理における現像条件を決定する工程と、を含むことを特徴とする現像方法。
【0009】
[2]上記[1]に記載の現像方法によってマスクパターンを形成することを特徴とするフォトマスクの製造方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、感光膜の感度にばらつきがあったとしても、所望のリソグラフィ尤度を確保し、パターンカテゴリ間の寸法差を抑えるとともに、パターン寸法を高精度に制御することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
[第1の実施の形態]
(現像方法)
本発明の第1の実施の形態に係る現像方法について、現像方法の各工程を示す図1のフローチャートに従って図2〜図4を参照して説明する。図2(a)は、輝度とレジスト膜の膜厚との関係図、図2(b)は、膜厚測定部の概略構成の一例を示す模式図である。図3(a)は、露光量とパターン寸法との関係図、図3(b)は、露光量と露光部膜減り量との関係図、図3(c)は、露光部膜減り量とパターン寸法との関係図、図3(d)は、露光部膜減り量と現像時間との関係図、図3(e)は、パターン間寸法差と現像時間との関係図、図3(f)は、現像時間の相互許容範囲を示す図である。図4(a)〜(e)は、複数種のパターンを示す断面図である。
【0012】
まず、基板上にレジスト膜を形成し、そのレジスト膜の膜厚を予め取得しておいた輝度と膜厚との関係図2(a)を用いて取得する(S1)。この輝度と膜厚との関係は、図2(a)に示すように、モニター用パターンの輝度情報からレジスト膜の膜厚に一意に換算することができるように設定されている。具体的には、モニター用パターンの輝度とレジスト膜の膜厚との関係は、光源の波長及び膜厚に依存する。そのため、一意に換算可能となるように光源の波長を選択するか、又は後述する第1の現像条件で現像を行った後の膜厚付近で一意に換算可能となるように第1の現像条件を選択する。なお、輝度情報は、例えば、図2(b)に示すCCDカメラ等を用いて取得される。
【0013】
次に、レジスト膜に対し所定の条件で露光を行った後、第1の現像条件に従って第1の現像処理を行う(S2)。本実施の形態では、第1の現像条件は、例えば、露光部の膜厚を約半分までを溶解させるような現像条件であるとする。なお、第1の現像条件は、レジスト膜を所定の膜厚まで現像させる条件であればよく、その現像量は半分に限らない。
【0014】
続いて、第1の現像処理により現像された露光部の膜厚を輝度と膜厚との関係図2(a)を用いて再度取得する。そして、図2(b)において、レジスト膜の現像処理前の膜厚をT2、現像処理後の膜厚をT1とすると、現像処理前後の膜厚T1とT2の比較として差分を取ることにより露光部の膜減り量D1を算出する(S3)。
【0015】
次に、予め取得しておいた露光量(感度)と露光部のパターン寸法との関係図3(a)及び露光量と露光部膜減り量との関係図3(b)により取得した露光部膜減り量とパターン寸法との関係図3(c)を用いて最終的なパターン寸法を予測する(S4)。例えば、関係図3(c)において、上記の工程S3により算出されたレジストの膜減り量がD1とすると、最終的なパターン寸法はCD1と予測される。
【0016】
次に、所望のパターン寸法(以下、「ターゲット寸法」という)に仕上げるための補正量を決定する。例えば、第1の現像処理後に測定されたレジストの膜減り量がD1、予測したパターン寸法がCD1であり、ターゲット寸法がTCDとすると、CD1とTCDとの差がターゲット寸法に仕上げるためのパターン寸法補正量にΔCDとなる。また、ターゲット寸法TCDに対応する膜減り量がD2とすると、D1とD2との差がターゲット寸法に仕上げるための膜減り量補正量ΔDとなる。
【0017】
上記のように求められた膜減り量補正量ΔDと、予め取得しておいた露光部膜減り量と現像時間(現像条件)との関係図3(d)とを用いて現像条件補正量ΔDevが算出される。また、パターン寸法補正量ΔCDと、予め取得しておいたパターン寸法と現像時間との関係図とを用いて現像条件補正量ΔDevを算出してもよい。
【0018】
実際には、図3(c)に示すように、形成しようとするパターンのスペックに応じてターゲット寸法TCDから許容される誤差の範囲が、寸法換算の許容範囲110として設定されている。そのため、現像条件を補正可能な範囲は、この寸法換算の許容範囲110に応じて変化する。この寸法換算の許容範囲110から得られる現像条件の補正可能範囲を、関係図3(d)を用いて第1の許容範囲112Aとして算出する(S5)。この第1の許容範囲112Aは、形成しようとするパターンの寸法の平均値を所望の範囲内に制御するために用いられる。
【0019】
続いて、形成しようとするパターンのローカルな領域におけるパターンの疎密差に応じた条件(第2の許容範囲112B)を算出する(S6)。ローカルな領域におけるパターンカテゴリの種類としては、図4(a)〜(e)に示すように、ISO−Lパターン101a、ISO−Sパターン101b、L/S(ラインアンドスペース)パターン101c、2S/Lパターン101d、2L/Sパターン101eが挙げられる。パターンカテゴリの種類は、図4に例示したものに限られない。
【0020】
上記のローカルな領域におけるパターンは、一般的にそれぞれのパターンカテゴリ間の寸法差(以下、「パターン間寸法差」という)が最も小さくなるような条件で露光量や近接効果補正係数等が決定されている。なお、パターン間寸法差は、例えば、これら5種類のパターンカテゴリのうち少なくとも2種類のパターンカテゴリ間におけるパターン寸法から算出される。また、パターン間寸法差は、例えば、複数種のパターンカテゴリにおける寸法ずれの最小値と最大値の差でもよいし、標準偏差等の統計値でもよい。
【0021】
上記のパターン間寸法差が最も小さくなるような条件をパターン疎密差補正条件と定義し、そのパターン疎密差補正条件によりパターン間寸法差が最も小さくなったときの値を図3(e)に示すようにパターン間差最小値Gminと定義する。また、パターン間寸法差として許容される誤差の範囲をパターン間差許容範囲と定義する。ここで、パターン間差許容範囲とは、リソグラフィにおける複数種のパターン間でのパターン寸法に許されるばらつき量である。また、パターン間差許容範囲は、リソグラフィ尤度を満たすように設定されている。
【0022】
リソグラフィ尤度とは、リソグラフィにおける複数種のパターン間でのパターン寸法に許されるばらつき量等の複数の条件から得られる転写条件のマージンである。例えば、半導体装置の場合には、デバイスまで加工した後の動作特性等からパターンに許される寸法許容範囲が予め決められている。従って、所望のリソグラフィ尤度を満たすようにパターン間差許容範囲を設定し、そのパターン間差許容範囲を満たすような現像条件で現像を行うことにより所望のリソグラフィ尤度を確保した現像を行うことができる。
【0023】
レジスト膜の感度が変化すると、このパターン疎密差補正条件の変動が発生し、それに応じてパターン疎密差最小値Gminが変動するため、図3(e)に示すグラフ全体がY軸方向に全体的にシフトし、パターン間差許容範囲を満たすような現像条件の範囲が変動する。本実施の形態では、パターン間寸法差が、パターン間差許容範囲の最大値であるパターン間差許容値Gspec以下となるような現像条件の補正可能範囲を第2の許容範囲112Bとする。なお、第2の許容範囲112Bは予め設定しておいても構わない。予め設定しておいた場合には、工程S6を省略し、工程S7に進む。
【0024】
次に、図3(f)に示すように、第1の許容範囲112A及び第2の許容範囲112Bを共に満たすような相互許容範囲(図3(f)の斜線部)113を算出し、その相互許容範囲113を満たすように第2の現像条件を決定する(S7)。本実施の形態では、第2の現像条件は、第1の現像条件で現像処理を行ったレジスト膜に対して少なくとも残りの厚さ分だけレジスト膜を現像する条件である。なお、第2の現像条件は、必ずしも相互許容範囲113の中央の値を現像条件として決定する必要はなく、相互許容範囲113内において目的とするパターンのスペックに応じて適宜決定することが可能である。例えば、第2の現像条件として、相互許容範囲113の端部の値を現像条件としてもよい。
【0025】
そして、レジスト膜に対し上記の工程S7により決定された第2の現像条件に従って第2の現像処理を行う(S8)。以上のように、相互許容範囲113を満たすように第2の現像条件を決定することにより、複数の基板上に形成されたレジスト膜に対し、それぞれのレジスト膜の感度にばらつきがあったとしても、所望のリソグラフィ尤度を確保し、パターンカテゴリ間の寸法差を抑えるとともに、パターン寸法を高精度に制御することができる。
【0026】
本実施の形態では、感光性を有する薄膜である感光膜(例えば、レジスト膜等)の感度変化に対し、現像時間の補正を行う例を記載した。しかし、現像時間の補正に限らず、現像液の温度や現像液の濃度、現像時の液の速度等の補正及びそれらのパラメータを組み合わせて補正を行っても構わない。
【0027】
また、本実施の形態では、第1の現像処理により取得された感光膜の感度について取得した条件を第2の現像処理だけでなく、第2の現像処理、第3の現像処理、第4の現像処理と後続に複数の現像処理が設定されている場合にも適用可能である。この場合には、後続の複数の現像処理に対する補正量の和が相互許容範囲113内に収まるようにそれぞれの現像条件が決定される。
【0028】
また、本実施の形態では、感光膜の感度情報として膜厚の変化量(膜減り量)を取得して補正条件を決定する工程を記載したが、更に精度を向上させるために2次元、3次元的にレジスト形状情報を取得し、それと寸法との関係から現像条件を算出する手法等を用いても構わない。2次元、3次元的にレジスト形状情報を取得する方法としては、AFM(原子間力顕微鏡:Atomic Force Microscope)やスキャトロメトリー等の手法が考えられる。また、感光膜の感度情報として、感光膜の現像速度等を取得してもよい。
【0029】
(現像装置の構成)
次に、上記現像方法を実施するための現像装置の一例について説明する。図5(a)は、本実施の形態に係る現像装置の概略構成の一例を示す上面図である。図5(b)は、図5(a)のA−A線断面図である。図6は、図5(a)のB−B線断面図である。
【0030】
この現像装置1は、現像液L1の吐出及び吸引を行いながら基板100上を走査方向Sに水平移動することによってレジスト膜101を現像する現像ヘッド(現像部)2と、現像ヘッド2に取り付けられ、レジスト膜101の膜厚を測定する膜厚測定部3と、現像ヘッド2を基板100と垂直な方向に移動させて、現像ヘッド2と基板100との間のギャップを調整するギャップ調整機構4と、現像ヘッド2を走査方向Sに移動させる移動機構5と、膜厚測定部3によるレジスト膜101の膜厚の測定結果に基づいて現像条件を決定し、現像ヘッド2、ギャップ調整機構4及び移動機構5を制御する制御部6と、各種のデータが記憶された記憶部7とを備える。
【0031】
基板100は、例えば、石英ガラス等の透明基板であり、補助板102と上面の高さが等しくなるように保持されている。また、基板100の上面には、例えば、160nmの厚さで感光剤が均一に塗布されて、露光装置により所定のパターンが露光されたレジスト膜101が形成されている。本実施の形態では、ポジ型の感光剤を用い、現像処理によって現像される部分は、露光装置により露光された露光部である。なお、ネガ型の感光剤を用いてもよく、その場合には現像処理によって現像される部分は、露光装置により露光されていない未露光部である。
【0032】
(現像ノズル)
現像ヘッド2は、図6に示すように、現像ヘッド2の中央部に設けられた現像液吐出部である現像液吐出ノズル20と、現像液吐出ノズル20の両側に設けられた現像液吸引部である現像液吸引ノズル21と、現像液吸引ノズル21の外側にそれぞれ設けられたリンス液吐出ノズル22とを備える。なお、本実施の形態では、現像ヘッド2は、移動機構5により水平移動されるが、現像ヘッド2と基板100とが相対的に移動すればよく、基板100を移動させてもよいし、現像ヘッド2及び基板100の両方を移動させてもよい。
【0033】
現像液吐出ノズル20、現像液吸引ノズル21及びリンス液吐出ノズル22は、現像ヘッド2の下面側にスリット状の開口をそれぞれ有し、走査方向Sに垂直な方向に配列されている。
【0034】
現像液吐出ノズル20は、制御部6の制御下で現像液貯蔵用のタンク(図示せず)に接続された電磁バルブ23Aが開かれると、タンクから供給される現像液L1を基板100上に吐出する。リンス液吐出ノズル22は、制御部6の制御下でリンス液彫像用のタンク(図示せず)に接続された電磁バルブ23Bが開かれると、タンクから供給されるリンス液L2を基板100上に吐出する。現像液吸引ノズル21は、制御部6の制御下でポンプ24が駆動されると、レジスト膜101上の現像液L1及びリンス液L2を吸引する。
【0035】
(膜厚測定部)
膜厚測定部3は、図2(b)及び図6に示すように、アクリル等の透明材質からなる防水カバー30と、例えば、600nm〜800nmの波長を有する単色光をレジスト膜101に照射する光源31と、光源31からの照射光をレジスト膜101の方向に反射させるとともにレジスト膜101により反射された反射光を透過するハーフミラー32と、ハーフミラー32を介してレジスト膜101による反射光を受光するCCDカメラ33とを備える。
【0036】
CCDカメラ33は、受光した反射光に応じてその反射光の輝度を測定し、その輝度を示す輝度情報を制御部6に送る。CCDカメラ33により測定された輝度C1は、図2(a)に示す輝度とレジスト膜の膜厚との関係図により、レジスト膜101の膜厚T1に換算される。なお、ハーフミラー32の代わりにビームスプリッタを用いてもよい。
【0037】
(現像装置の制御系)
図7は、現像装置の制御系の概略構成の一例を示すブロック図である。この現像装置1の記憶部7には、第1の現像条件70と、第2の現像条件71と、輝度とレジスト膜の膜厚との関係図2(a)に相当する輝度/膜厚関係テーブル72と、露光部膜減り量とパターン寸法との関係図3(c)に相当する寸法/露光部膜減り量関係テーブル73と、露光部膜減り量と現像時間との関係図3(d)に相当する露光部膜減り量/現像条件関係テーブル74と、パターン間寸法差と現像時間との関係図3(e)に相当するパターン間寸法差/現像条件関係テーブル75と、現像条件を決定するとともに現像装置1を制御する図示しないプログラムとが記憶されている。
【0038】
現像装置1の制御部6は、現像処理制御部60と、膜減り量算出部61Aと、寸法予測部62Aと、現像条件決定部63Aとを備える。制御部6は、CPUと、記憶部7とのインターフェース部とを備え、CPUが記憶部7に記憶されたプログラムに従って動作することにより、現像処理制御部60、膜減り量算出部61A、寸法予測部62A及び現像条件決定部63Aとして機能する。制御部6及び記憶部7は、例えば、コンピュータによって実現することができる。
【0039】
なお、各関係テーブル72〜75は、それぞれ対応する各関係図の横軸と縦軸の数値が一意に定められればよく、例えば、横軸と縦軸の数値が表形式によって記憶されていてもよいし、多項式等の関数によって表現されていてもよい。また、寸法/露光部膜減り量関係テーブル73、露光部膜減り量/現像条件関係テーブル74及びパターン間寸法差/現像条件関係テーブル75は、サンプルの基板を用いて予め測定した測定結果に基づいて作成された情報でもよいし、レジスト膜101が有する特性等に基づいて作成された情報でもよい。
【0040】
(現像処理制御部)
現像処理制御部60は、第1及び第2の現像条件70,71に従って現像ヘッド2、ギャップ調整機構4及び移動機構5等を制御して第1及び第2の現像処理を行う。
【0041】
(膜減り量算出部)
膜減り量算出部61Aは、輝度/膜厚関係テーブル72を参照して、CCDカメラ33により測定されたレジスト膜101の露光部の輝度情報に対応する膜厚を取得し、現像処理前後の膜厚の減少状態から、レジスト膜101の感度情報として露光部の膜減り量を算出する。
【0042】
(寸法予測部)
寸法予測部62Aは、寸法/露光部膜減り量関係テーブル73を参照して、膜減り量算出部61Aにより算出された膜減り量D1から第2の現像処理を行った際の最終的なパターン寸法CD1を予測する。
【0043】
(現像条件決定部)
現像条件決定部63Aは、ターゲット寸法TCDから許容される寸法換算の許容範囲110を取得する。寸法換算の許容範囲110は、図3(c)に示すように、下限寸法Tlowと、上限値である上限寸法Tupとにより囲まれた範囲である。
【0044】
そして、現像条件決定部63Aは、寸法/露光部膜減り量関係テーブル73を参照して、寸法換算の許容範囲110から膜減り量換算の許容範囲111を取得する。膜減り量換算の許容範囲111は、図3(c)に示すように、下限寸法Tlowに対応する下限膜減り量Dlowと、上限寸法Tupに対応する上限膜減り量Dupとにより囲まれた範囲である。
【0045】
次に、現像条件決定部63Aは、露光部膜減り量/現像条件関係テーブル74を参照して、膜減り量換算の許容範囲111から第1の許容範囲112Aを算出する。第1の許容範囲112Aは、図3(d)に示すように、下限膜減り量Dlowに対応する現像条件Dev1lowと、上限膜減り量Dupに対応する現像条件Dev1upとにより囲まれた範囲である。
【0046】
次に、現像条件決定部63Aは、パターン間寸法差/現像条件関係テーブル75を参照して、図3(e)に示すように、パターン間差許容値Gspecから決定される現像条件Dev2lowと、現像条件Dev2upとにより囲まれた第2の許容範囲112Bを算出する。
【0047】
そして、現像条件決定部63Aは、図3(f)に示すように、それら第1の許容範囲112Aと第2の許容範囲112Bとを共に満たすように相互許容範囲113を算出し、その相互許容範囲113に含まれる現像条件Dev2を第2の現像条件として決定する。
【0048】
(実施の形態の効果)
本実施の形態によれば、複数の基板上に形成されたレジスト膜の感度にばらつきがあったとしても、所望のリソグラフィ尤度を確保し、パターンカテゴリ間の寸法差を抑えるとともに、パターン寸法を高精度に制御することができる。
【0049】
[第2の実施の形態]
本発明の第2の実施の形態に係る現像方法について図2、図3及び図8を参照して説明する。図8(a)は、露光部膜減り量とパターン寸法との関係図、図8(b)は、未露光部膜減り量とパターン寸法との関係図、図8(c)は、パターン寸法と現像時間との関係図、図8(d)は、パターン間寸法差と現像時間との関係図、図8(e)は、現像時間の相互許容範囲を示す図である。本実施の形態は、レジスト膜の露光部の膜厚だけでなく、未露光部の膜厚も測定対象とするものである。
【0050】
現像処理を行った際に、露光部のレジスト膜のみならず、未露光部のレジスト膜も膜減りを生じていることが発明者らの実験等により知見として得られている。未露光部のレジスト膜厚は等方的に減少していると考えられるため、未露光部の膜減り量とパターン寸法の変化量を対応させて考えることができる。従って、この未露光部の膜減り量を考慮に入れて第2の現像条件、或いはそれ以降の現像条件を決定することによりパターン寸法をより高精度に制御することができる。
【0051】
まず、基板上にレジスト膜を形成し、そのレジスト膜の膜厚を輝度と膜厚との関係図2(a)を用いて取得する。次に、レジスト膜に対し所定の条件で露光を行った後、第1の現像条件に従って第1の現像処理を行う。
【0052】
続いて、第1の現像処理により現像された露光部及び未露光部の膜厚を関係図2(a)を用いて取得し、レジスト膜の現像処理前後の膜厚の比較として差分を取ることにより、露光部及び未露光部の膜減り量D1,D2を算出する。
【0053】
次に、関係図3(a)及び関係図3(b)より取得した図3(c)と同様の露光部膜減り量とパターン寸法との関係図8(a)を用いて露光部の膜減り量D1からパターン寸法CD1を予測する。また、未露光部膜減り量とパターン寸法との関係図8(b)を用いて未露光部の膜減り量D2からパターン寸法CD2を予測する。
【0054】
次に、パターン寸法CD1とターゲット寸法TCDとの差分である第1のパターン寸法補正量ΔCD1を算出し、パターン寸法CD2とターゲット寸法TCDとの差分である第2のパターン寸法補正量ΔCD2を算出する。そして、第1のパターン寸法補正量ΔCD1に第2のパターン寸法補正量ΔCD2を加味することで最終的なパターン寸法補正量ΔCD3を算出する。なお、最終的なパターン寸法補正量ΔCD3の算出方法は、第1及び第2のパターン寸法補正量ΔCD1,ΔCD2を加算してもよいし、平均を取ってもよいし、第1のパターン寸法補正量ΔCD1に所定の係数を乗じた第2のパターン寸法補正量ΔCD2を加算してもよい。
【0055】
次に、予め取得しておいたパターン寸法と現像時間との関係図8(c)を用いてターゲット寸法TCDから許容される寸法換算の許容範囲110を算出する。続いて、寸法換算の許容範囲110から関係図8(c)を用いて第1の許容範囲112Aを算出する。
【0056】
次に、パターン間寸法差と現像時間との関係図8(d)を用いてパターン間差許容値Gspecから決定される第2の許容範囲112Bを算出する。
【0057】
そして、第1の許容範囲112Aと第2の許容範囲112Bを満たすような相互許容範囲(図8(e)の斜線部)113を算出し、その相互許容範囲113を満たすように現像条件Dev2を第2の現像条件71として決定する。そして、レジスト膜に対し上記のようにして決定された第2の現像条件に従って第2の現像処理を行う。
【0058】
(現像装置の構成)
次に、上記現像方法を実施するための現像装置の一例について説明する。図9は、本実施の形態に係る現像装置の制御系の概略構成の一例を示すブロック図である。
【0059】
この現像装置1は、膜厚測定部3、制御部6及び記憶部7と、第1の実施の形態と同様の現像ヘッド2、ギャップ調整機構4及び移動機構5等を備える。
【0060】
膜厚測定部3は、レジスト膜101の露光部の膜厚だけでなく、露光部に近接した部分である未露光部の膜厚も測定する。
【0061】
記憶部7には、第1の実施の形態と同様の第1の現像条件70、第2の現像条件71及び輝度/膜厚関係テーブル72と、関係図8(a)に相当する寸法/露光部膜減り量関係テーブル73と、関係図8(b)に相当する寸法/未露光部膜減り量関係テーブル76と、関係図8(c)に相当する寸法/現像条件関係テーブル77と、関係図8(d)に相当するパターン間寸法差/現像条件関係テーブル75とが記憶されている。
【0062】
制御部6は、第1の実施の形態と同様の現像処理制御部60の他に、レジスト膜101の露光部及び未露光部の膜減り量を算出する膜減り量算出部61Bと、露光部及び未露光部の膜減り量から、最終的なパターン寸法を予測する寸法予測部62Bと、第1の許容範囲112Aと第2の許容範囲112Bとを満たす相互許容範囲内に収めるように第2の現像条件71を決定する現像条件決定部63Bとを備える。
【0063】
(実施の形態の効果)
本実施の形態によれば、感光性薄膜の感度情報を露光部の膜減り量からだけでなく、未露光部の膜減り量からも取得することにより、第1の実施形態と比較してパターン寸法をさらに高精度に制御することができる。
【0064】
[第3の実施の形態]
本発明の第3の実施の形態に係る現像方法について図10を参照して説明する。図10は、マスタープロファイル情報の一例を示す図である。このマスタープロファイル情報78には、2次元形状のカテゴリ別に分類されて、複数のプロファイル情報が記録されている。カテゴリとしては、図10に示すようにU字型、V字型、ロ字型(凹型)及び楕円型等が挙げられる。また、1つのカテゴリには、複数のプロファイル情報が、ターゲット寸法を中心にして、Lnm(例えば、2nm)刻みで記憶されている。本実施の形態は、このマスタープロファイル情報78を用いてレジスト膜の露光部の2次元形状から膜減り量を取得するものである。
【0065】
まず、基板上にレジスト膜を形成し、そのレジスト膜に対し所定の条件で露光を行った後、第1の現像条件に従って第1の現像処理を行う。
【0066】
次に、第1の現像処理により現像された露光部の2次元形状を測定し、マスタープロファイル情報78にてその測定した2次元形状が類似するカテゴリを検知する。なお、2次元形状がいずれのプロファイル情報に類似するか否かの判定には、例えば、パターンマッチング等を用いればよい。
【0067】
次に、類似するカテゴリにおけるプロファイル情報のうち、測定した2次元形状の膜減り量が近いプロファイル情報を取得し、そのプロファイル情報からパターン寸法を予測する。
【0068】
その後、その予測したパターン寸法を用いて、第1及び第2の許容範囲を算出する工程、相互許容範囲を満たすように第2の現像条件を決定する工程、及び第2の現像条件に従って第2の現像処理を行う工程は、第1の実施の形態と同様のため説明を省略する。
【0069】
(現像装置の構成)
次に、上記現像方法を実施するための現像装置の一例について説明する。図11は、本実施の形態に係る現像装置の制御系の概略構成の一例を示すブロック図である。
【0070】
この現像装置1は、膜厚測定部3の代わりに、レジスト膜101の2次元形状を測定する形状測定部8、制御部6及び記憶部7と、第1の実施の形態と同様の現像ヘッド2、ギャップ調整機構4及び移動機構5等を備える。
【0071】
形状測定部8は、現像ヘッド2に取り付けられ、レジスト膜101の2次元形状を測定可能な、例えば、AFMや、斜入射した光の回折光を受光するスキャトロメトリー等により構成されている。なお、形状測定部8は、レジスト膜101の3次元形状を測定するようにしてもよい。
【0072】
記憶部7には、図10に相当するマスタープロファイル情報78と、第1の実施の形態と同様の第1の現像条件70、第2の現像条件71及びパターン間寸法差/現像条件関係テーブル75と、第2の実施の形態と同様の寸法/現像条件関係テーブル77とが記憶されている。
【0073】
制御部6は、第1の実施の形態と同様の現像処理制御部60の他に、レジスト膜101の露光部の2次元形状を検知する形状検知部64と、露光部の2次元形状に基づいてパターン寸法を予測する寸法予測部62Cと、第1の許容範囲112Aと第2の許容範囲112Bとを満たす相互許容範囲内に収めるように第2の現像条件71を決定する現像条件決定部63Cとを備える。
【0074】
形状検知部64は、形状測定部8によりレジスト膜101の露光部が測定された2次元形状を受け取り、マスタープロファイル情報78を参照して、その受け取った2次元形状に類似するプロファイル情報が記憶されたカテゴリを検知する。
【0075】
寸法予測部62Cは、マスタープロファイル情報78を参照して、形状測定部8により測定された2次元形状において、厚さ方向、すなわち、膜減り量が近いプロファイル情報を取得し、そのプロファイル情報からパターン寸法を予測する。
【0076】
(実施の形態の効果)
本実施の形態によれば、露光部が途中まで現像された際の2次元形状から現像条件を決定することにより、第1の実施形態の効果に加え、第1の実施形態と比較してパターン寸法をさらに高精度に制御することができる。
【0077】
[第4の実施の形態]
本発明の第4の実施の形態に係る現像方法について説明する。本実施の形態は、マスタープロファイル情報78を用いてレジスト膜の露光部の2次元形状から膜減り量を算出するとともに、輝度とレジスト膜の膜厚との関係図を用いて未露光部の膜減り量を算出し、未露光部の膜減り量を考慮に入れて第2の現像条件、或いはそれ以降の現像条件を決定するものである。
【0078】
まず、基板上にレジスト膜を形成し、そのレジスト膜の膜厚を取得する。次に、レジスト膜に対し所定の条件で露光を行った後、第1の現像条件に従って第1の現像処理を行う。
【0079】
次に、第1の現像処理により現像された露光部の2次元形状を測定し、マスタープロファイル情報78にてその測定した2次元形状が類似するカテゴリを検知する。
【0080】
続いて、第1の現像処理により現像された未露光部の膜厚を取得し、レジスト膜の現像処理前の膜厚との差分を取ることにより、未露光部の膜減り量を算出する。
【0081】
次に、類似するカテゴリにおけるプロファイル情報のうち、測定した2次元形状の膜減り量が近いプロファイル情報を取得し、そのプロファイル情報から第1のパターン寸法を予測する。そして、未露光部の膜減り量D2から第2のパターン寸法を予測する。
【0082】
次に、予測した第1のパターン寸法とターゲット寸法との差分である第1のパターン寸法補正量を算出し、予測した第2のパターン寸法とターゲット寸法との差分である第2のパターン寸法補正量を算出する。そして、第2の実施の形態と同様に、第1及び第2のパターン寸法補正量から最終的なパターン寸法補正量を算出する。
【0083】
その後、そのパターン寸法補正量を用いて第1及び第2の許容範囲を算出する工程、相互許容範囲を満たすように第2の現像条件を決定する工程、及び第2の現像条件に従って第2の現像処理を行う工程は、第2の実施の形態と同様のため説明を省略する。
【0084】
(現像装置の構成)
次に、上記現像方法を実施するための現像装置の一例について説明する。図12は、本実施の形態に係る現像装置の制御系の概略構成の一例を示すブロック図である。
【0085】
この現像装置1は、レジスト膜101の未露光部の膜厚を測定する膜厚測定部3、レジスト膜101の露光部の2次元形状を測定する形状測定部8、制御部6及び記憶部7と、第1の実施の形態と同様の現像ヘッド2、ギャップ調整機構4及び移動機構5等を備える。
【0086】
記憶部7には、第1の実施の形態と同様の第1の現像条件70、第2の現像条件71及びパターン間寸法差/現像条件関係テーブル75と、第2の実施の形態と同様の寸法/現像条件関係テーブル77と、第3の実施の形態と同様のマスタープロファイル情報78とが記憶されている。
【0087】
制御部6は、第1の実施の形態と同様の現像処理制御部60と、第3の実施の形態と同様の形状検知部64の他に、レジスト膜101の未露光部の膜減り量を算出する膜減り量算出部61Cと、露光部の2次元形状及び未露光部の膜減り量に基づいてパターン寸法を予測する寸法予測部62Dと、第1の許容範囲112Aと第2の許容範囲112Bとを満たす相互許容範囲内に収めるように第2の現像条件71を決定する現像条件決定部63Dとを備える。
【0088】
(実施の形態の効果)
本実施の形態によれば、露光部が途中まで現像された際の2次元形状に加えて未露光部の膜減り量を考慮することにより、第3の実施形態の効果に加え、第3の実施形態と比較してパターン寸法をさらに高精度に制御することができる。
【0089】
[第5の実施の形態]
本発明の第5の実施の形態は、上記第1乃至第4の実施の形態に係る現像方法をフォトマスクの製造工程に適用したフォトマスクの製造方法である。すなわち、基板上のレジスト膜に対して上記第1乃至第4の実施の形態に係る現像方法にて現像処理を行い、その現像処理後のレジスト膜に対してエッチング、レジスト剥離等の工程を経てフォトマスクを製造する。
【0090】
半導体装置の製造では、ウェハーから複数個のチップが切り出されるため、そのチップ単位でパターン寸法がターゲット寸法を満たすことを要求される。これに対し、フォトマスクの製造では、基板上に形成しようとするパターンの全てにおいてパターン寸法をターゲット寸法通りに、且つ均一にすることが要求されることから、フォトマスクの製造工程に本発明を適用することによりさらなる効果が期待できる。
【0091】
また、フォトマスクは、一般的にEB(Electron Beam)露光で描画されており、EB露光による露光工程に係る時間に比較して現像工程に係る時間は短い。そのため、複数回の現像処理を行うことにより現像工程に係る処理時間が長くなったとしても、現像工程がボトルネックとなることはなく、ターンアラウンドタイム(Turn Around Time)に与える影響は少ない。
【0092】
なお、本発明は、上記各実施の形態に限定されず、その発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々な変形が可能である。例えば、記憶部7に記憶されたプログラムは、CD−ROM等の記録媒体を介して制御部6に提供してもよく、インターネット等のネットワークを介して制御部6に提供してもよい。
【0093】
また、制御部6が有する現像処理制御部、膜減り量算出部、寸法予測部、現像条件決定部及び形状検知部は、それらの一部又は全部をハードウェアにより実現されていてもよい。
【0094】
また、膜厚測定部3及び形状測定部8は、現像ヘッド2とは独立に動作する可動アームに取り付けられていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】図1は、現像方法の各工程を示すフローチャートである。
【図2】図2(a)は、輝度と、レジスト膜の膜厚との関係を示すグラフである。図2(b)は、膜厚測定部の概略構成の一例を示す模式図である。
【図3】図3(a)は、露光量とパターン寸法との関係図、図3(b)は、露光量と露光部膜減り量との関係図、図3(c)は、露光部膜減り量とパターン寸法との関係図、図3(d)は、露光部膜減り量と現像時間との関係図、図3(e)は、パターン間寸法差と現像時間との関係図、図3(f)は、現像時間の相互許容範囲を示す図である。
【図4】図4(a)〜(e)は、複数種のパターンの一例を示す断面図である。
【図5】図5(a)は、現像装置の概略構成の一例を示す上面図である。図5(b)は、図1(a)のA−A線断面図である。
【図6】図6は、図5(a)のB−B線断面図である。
【図7】図7は、第1の実施の形態に係る現像装置の制御系の概略構成の一例を示すブロック図である。
【図8】図8(a)は、露光部膜減り量とパターン寸法との関係図、図8(b)は、未露光部膜減り量とパターン寸法との関係図、図8(c)は、パターン寸法と現像時間との関係図、図8(d)は、パターン間寸法差と現像時間との関係図、図8(e)は、現像時間の相互許容範囲を示す図である。
【図9】図9は、第2の実施の形態に係る現像装置の制御系の概略構成の一例を示すブロック図である。
【図10】図10は、マスタープロファイル情報の一例を示す図である。
【図11】図11は、第3の実施の形態に係る現像装置の制御系の概略構成の一例を示すブロック図である。
【図12】図12は、第4の実施の形態に係る現像装置の制御系の概略構成の一例を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0096】
1…現像装置、2…現像ヘッド、3…膜厚測定部、4…ギャップ調整機構、5…移動機構、6…制御部、7…記憶部、8…形状測定部、20…現像液吐出ノズル、21…現像液吸引ノズル、22…リンス液吐出ノズル、23A,23B…電磁バルブ、24…ポンプ、30…防水カバー、31…光源、32…ハーフミラー、33…カメラ、60…現像処理制御部、61A〜61C…膜減り量算出部、62A〜62D…寸法予測部、63A〜63D…現像条件決定部、64…形状検知部、70…第1の現像条件、71…第2の現像条件、72…輝度/膜厚関係テーブル、73…寸法/露光部膜減り量関係テーブル、74…露光部膜減り量/現像条件関係テーブル、75…パターン間寸法差/現像条件関係テーブル、76…寸法/未露光部膜減り量関係テーブル、77…寸法/現像条件関係テーブル、78…マスタープロファイル情報、100…基板、101…レジスト膜、102…補助板、110A…第1の許容範囲、110B…第2の許容範囲、111…相互許容範囲
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、フォトマスクや半導体装置の製造に適用される現像方法、及びフォトマスクの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
フォトマスクや半導体装置の製造工程では、基板上に感光剤を塗布して形成された感光膜に対して露光、現像、エッチング等の工程を経て、基板上に所望のパターンを形成するという手法が広く用いられている。特に現像工程においては、現像液に対する感光剤の感度は、感光剤を製造した際の製造ロット、感光剤を塗布した際の塗布環境、感光膜が形成された基板の保管環境といった複数の起因の影響を受けるため、感光膜の感度を管理することは困難である。
【0003】
そのため、現像の進行状態を測定し、その測定結果に基づいて現像処理を制御する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
特許文献1に記載された現像方法は、露光されたレジストを現像しながら、レジストの膜厚を測定する工程と、レジストの膜厚が所望の膜厚となったときに現像を中止する工程とを含む。
【0005】
しかし、この現像方法を、寸法、形状及び配置等が異なる複数種のパターンの全てに適用するには、寸法精度上改善する必要がある。
【特許文献1】特開2005−217254号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明の目的は、感光膜の感度にばらつきがあったとしても、所望のリソグラフィ尤度を確保し、パターンカテゴリ間の寸法差を抑えるとともに、パターン寸法を高精度に制御することができる現像方法、及びフォトマスクの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、上記目的を達成するため、以下の現像方法、及びフォトマスクの製造方法を提供する。
【0008】
[1]基板上に形成された感光膜を現像し複数種のパターンを形成する現像方法であって、露光された前記感光膜を所定の膜厚まで現像する第1の現像処理を行う工程と、前記第1の現像処理によって現像された前記感光膜の前記所定の膜厚と前記感光膜の露光量から前記感光膜の感度情報を取得する工程と、前記感度情報から前記第1の現像処理に続く第2の現像処理を行った後のパターン寸法を予測し、前記第2の現像処理における現像条件の第1の許容範囲を決定する工程と、前記第1の許容範囲と、前記複数種のパターン間における現像処理後のパターン寸法のばらつき量から決定される前記第2の現像処理における現像条件の第2の許容範囲とを共に満たすように前記第2の現像処理における現像条件を決定する工程と、を含むことを特徴とする現像方法。
【0009】
[2]上記[1]に記載の現像方法によってマスクパターンを形成することを特徴とするフォトマスクの製造方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、感光膜の感度にばらつきがあったとしても、所望のリソグラフィ尤度を確保し、パターンカテゴリ間の寸法差を抑えるとともに、パターン寸法を高精度に制御することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
[第1の実施の形態]
(現像方法)
本発明の第1の実施の形態に係る現像方法について、現像方法の各工程を示す図1のフローチャートに従って図2〜図4を参照して説明する。図2(a)は、輝度とレジスト膜の膜厚との関係図、図2(b)は、膜厚測定部の概略構成の一例を示す模式図である。図3(a)は、露光量とパターン寸法との関係図、図3(b)は、露光量と露光部膜減り量との関係図、図3(c)は、露光部膜減り量とパターン寸法との関係図、図3(d)は、露光部膜減り量と現像時間との関係図、図3(e)は、パターン間寸法差と現像時間との関係図、図3(f)は、現像時間の相互許容範囲を示す図である。図4(a)〜(e)は、複数種のパターンを示す断面図である。
【0012】
まず、基板上にレジスト膜を形成し、そのレジスト膜の膜厚を予め取得しておいた輝度と膜厚との関係図2(a)を用いて取得する(S1)。この輝度と膜厚との関係は、図2(a)に示すように、モニター用パターンの輝度情報からレジスト膜の膜厚に一意に換算することができるように設定されている。具体的には、モニター用パターンの輝度とレジスト膜の膜厚との関係は、光源の波長及び膜厚に依存する。そのため、一意に換算可能となるように光源の波長を選択するか、又は後述する第1の現像条件で現像を行った後の膜厚付近で一意に換算可能となるように第1の現像条件を選択する。なお、輝度情報は、例えば、図2(b)に示すCCDカメラ等を用いて取得される。
【0013】
次に、レジスト膜に対し所定の条件で露光を行った後、第1の現像条件に従って第1の現像処理を行う(S2)。本実施の形態では、第1の現像条件は、例えば、露光部の膜厚を約半分までを溶解させるような現像条件であるとする。なお、第1の現像条件は、レジスト膜を所定の膜厚まで現像させる条件であればよく、その現像量は半分に限らない。
【0014】
続いて、第1の現像処理により現像された露光部の膜厚を輝度と膜厚との関係図2(a)を用いて再度取得する。そして、図2(b)において、レジスト膜の現像処理前の膜厚をT2、現像処理後の膜厚をT1とすると、現像処理前後の膜厚T1とT2の比較として差分を取ることにより露光部の膜減り量D1を算出する(S3)。
【0015】
次に、予め取得しておいた露光量(感度)と露光部のパターン寸法との関係図3(a)及び露光量と露光部膜減り量との関係図3(b)により取得した露光部膜減り量とパターン寸法との関係図3(c)を用いて最終的なパターン寸法を予測する(S4)。例えば、関係図3(c)において、上記の工程S3により算出されたレジストの膜減り量がD1とすると、最終的なパターン寸法はCD1と予測される。
【0016】
次に、所望のパターン寸法(以下、「ターゲット寸法」という)に仕上げるための補正量を決定する。例えば、第1の現像処理後に測定されたレジストの膜減り量がD1、予測したパターン寸法がCD1であり、ターゲット寸法がTCDとすると、CD1とTCDとの差がターゲット寸法に仕上げるためのパターン寸法補正量にΔCDとなる。また、ターゲット寸法TCDに対応する膜減り量がD2とすると、D1とD2との差がターゲット寸法に仕上げるための膜減り量補正量ΔDとなる。
【0017】
上記のように求められた膜減り量補正量ΔDと、予め取得しておいた露光部膜減り量と現像時間(現像条件)との関係図3(d)とを用いて現像条件補正量ΔDevが算出される。また、パターン寸法補正量ΔCDと、予め取得しておいたパターン寸法と現像時間との関係図とを用いて現像条件補正量ΔDevを算出してもよい。
【0018】
実際には、図3(c)に示すように、形成しようとするパターンのスペックに応じてターゲット寸法TCDから許容される誤差の範囲が、寸法換算の許容範囲110として設定されている。そのため、現像条件を補正可能な範囲は、この寸法換算の許容範囲110に応じて変化する。この寸法換算の許容範囲110から得られる現像条件の補正可能範囲を、関係図3(d)を用いて第1の許容範囲112Aとして算出する(S5)。この第1の許容範囲112Aは、形成しようとするパターンの寸法の平均値を所望の範囲内に制御するために用いられる。
【0019】
続いて、形成しようとするパターンのローカルな領域におけるパターンの疎密差に応じた条件(第2の許容範囲112B)を算出する(S6)。ローカルな領域におけるパターンカテゴリの種類としては、図4(a)〜(e)に示すように、ISO−Lパターン101a、ISO−Sパターン101b、L/S(ラインアンドスペース)パターン101c、2S/Lパターン101d、2L/Sパターン101eが挙げられる。パターンカテゴリの種類は、図4に例示したものに限られない。
【0020】
上記のローカルな領域におけるパターンは、一般的にそれぞれのパターンカテゴリ間の寸法差(以下、「パターン間寸法差」という)が最も小さくなるような条件で露光量や近接効果補正係数等が決定されている。なお、パターン間寸法差は、例えば、これら5種類のパターンカテゴリのうち少なくとも2種類のパターンカテゴリ間におけるパターン寸法から算出される。また、パターン間寸法差は、例えば、複数種のパターンカテゴリにおける寸法ずれの最小値と最大値の差でもよいし、標準偏差等の統計値でもよい。
【0021】
上記のパターン間寸法差が最も小さくなるような条件をパターン疎密差補正条件と定義し、そのパターン疎密差補正条件によりパターン間寸法差が最も小さくなったときの値を図3(e)に示すようにパターン間差最小値Gminと定義する。また、パターン間寸法差として許容される誤差の範囲をパターン間差許容範囲と定義する。ここで、パターン間差許容範囲とは、リソグラフィにおける複数種のパターン間でのパターン寸法に許されるばらつき量である。また、パターン間差許容範囲は、リソグラフィ尤度を満たすように設定されている。
【0022】
リソグラフィ尤度とは、リソグラフィにおける複数種のパターン間でのパターン寸法に許されるばらつき量等の複数の条件から得られる転写条件のマージンである。例えば、半導体装置の場合には、デバイスまで加工した後の動作特性等からパターンに許される寸法許容範囲が予め決められている。従って、所望のリソグラフィ尤度を満たすようにパターン間差許容範囲を設定し、そのパターン間差許容範囲を満たすような現像条件で現像を行うことにより所望のリソグラフィ尤度を確保した現像を行うことができる。
【0023】
レジスト膜の感度が変化すると、このパターン疎密差補正条件の変動が発生し、それに応じてパターン疎密差最小値Gminが変動するため、図3(e)に示すグラフ全体がY軸方向に全体的にシフトし、パターン間差許容範囲を満たすような現像条件の範囲が変動する。本実施の形態では、パターン間寸法差が、パターン間差許容範囲の最大値であるパターン間差許容値Gspec以下となるような現像条件の補正可能範囲を第2の許容範囲112Bとする。なお、第2の許容範囲112Bは予め設定しておいても構わない。予め設定しておいた場合には、工程S6を省略し、工程S7に進む。
【0024】
次に、図3(f)に示すように、第1の許容範囲112A及び第2の許容範囲112Bを共に満たすような相互許容範囲(図3(f)の斜線部)113を算出し、その相互許容範囲113を満たすように第2の現像条件を決定する(S7)。本実施の形態では、第2の現像条件は、第1の現像条件で現像処理を行ったレジスト膜に対して少なくとも残りの厚さ分だけレジスト膜を現像する条件である。なお、第2の現像条件は、必ずしも相互許容範囲113の中央の値を現像条件として決定する必要はなく、相互許容範囲113内において目的とするパターンのスペックに応じて適宜決定することが可能である。例えば、第2の現像条件として、相互許容範囲113の端部の値を現像条件としてもよい。
【0025】
そして、レジスト膜に対し上記の工程S7により決定された第2の現像条件に従って第2の現像処理を行う(S8)。以上のように、相互許容範囲113を満たすように第2の現像条件を決定することにより、複数の基板上に形成されたレジスト膜に対し、それぞれのレジスト膜の感度にばらつきがあったとしても、所望のリソグラフィ尤度を確保し、パターンカテゴリ間の寸法差を抑えるとともに、パターン寸法を高精度に制御することができる。
【0026】
本実施の形態では、感光性を有する薄膜である感光膜(例えば、レジスト膜等)の感度変化に対し、現像時間の補正を行う例を記載した。しかし、現像時間の補正に限らず、現像液の温度や現像液の濃度、現像時の液の速度等の補正及びそれらのパラメータを組み合わせて補正を行っても構わない。
【0027】
また、本実施の形態では、第1の現像処理により取得された感光膜の感度について取得した条件を第2の現像処理だけでなく、第2の現像処理、第3の現像処理、第4の現像処理と後続に複数の現像処理が設定されている場合にも適用可能である。この場合には、後続の複数の現像処理に対する補正量の和が相互許容範囲113内に収まるようにそれぞれの現像条件が決定される。
【0028】
また、本実施の形態では、感光膜の感度情報として膜厚の変化量(膜減り量)を取得して補正条件を決定する工程を記載したが、更に精度を向上させるために2次元、3次元的にレジスト形状情報を取得し、それと寸法との関係から現像条件を算出する手法等を用いても構わない。2次元、3次元的にレジスト形状情報を取得する方法としては、AFM(原子間力顕微鏡:Atomic Force Microscope)やスキャトロメトリー等の手法が考えられる。また、感光膜の感度情報として、感光膜の現像速度等を取得してもよい。
【0029】
(現像装置の構成)
次に、上記現像方法を実施するための現像装置の一例について説明する。図5(a)は、本実施の形態に係る現像装置の概略構成の一例を示す上面図である。図5(b)は、図5(a)のA−A線断面図である。図6は、図5(a)のB−B線断面図である。
【0030】
この現像装置1は、現像液L1の吐出及び吸引を行いながら基板100上を走査方向Sに水平移動することによってレジスト膜101を現像する現像ヘッド(現像部)2と、現像ヘッド2に取り付けられ、レジスト膜101の膜厚を測定する膜厚測定部3と、現像ヘッド2を基板100と垂直な方向に移動させて、現像ヘッド2と基板100との間のギャップを調整するギャップ調整機構4と、現像ヘッド2を走査方向Sに移動させる移動機構5と、膜厚測定部3によるレジスト膜101の膜厚の測定結果に基づいて現像条件を決定し、現像ヘッド2、ギャップ調整機構4及び移動機構5を制御する制御部6と、各種のデータが記憶された記憶部7とを備える。
【0031】
基板100は、例えば、石英ガラス等の透明基板であり、補助板102と上面の高さが等しくなるように保持されている。また、基板100の上面には、例えば、160nmの厚さで感光剤が均一に塗布されて、露光装置により所定のパターンが露光されたレジスト膜101が形成されている。本実施の形態では、ポジ型の感光剤を用い、現像処理によって現像される部分は、露光装置により露光された露光部である。なお、ネガ型の感光剤を用いてもよく、その場合には現像処理によって現像される部分は、露光装置により露光されていない未露光部である。
【0032】
(現像ノズル)
現像ヘッド2は、図6に示すように、現像ヘッド2の中央部に設けられた現像液吐出部である現像液吐出ノズル20と、現像液吐出ノズル20の両側に設けられた現像液吸引部である現像液吸引ノズル21と、現像液吸引ノズル21の外側にそれぞれ設けられたリンス液吐出ノズル22とを備える。なお、本実施の形態では、現像ヘッド2は、移動機構5により水平移動されるが、現像ヘッド2と基板100とが相対的に移動すればよく、基板100を移動させてもよいし、現像ヘッド2及び基板100の両方を移動させてもよい。
【0033】
現像液吐出ノズル20、現像液吸引ノズル21及びリンス液吐出ノズル22は、現像ヘッド2の下面側にスリット状の開口をそれぞれ有し、走査方向Sに垂直な方向に配列されている。
【0034】
現像液吐出ノズル20は、制御部6の制御下で現像液貯蔵用のタンク(図示せず)に接続された電磁バルブ23Aが開かれると、タンクから供給される現像液L1を基板100上に吐出する。リンス液吐出ノズル22は、制御部6の制御下でリンス液彫像用のタンク(図示せず)に接続された電磁バルブ23Bが開かれると、タンクから供給されるリンス液L2を基板100上に吐出する。現像液吸引ノズル21は、制御部6の制御下でポンプ24が駆動されると、レジスト膜101上の現像液L1及びリンス液L2を吸引する。
【0035】
(膜厚測定部)
膜厚測定部3は、図2(b)及び図6に示すように、アクリル等の透明材質からなる防水カバー30と、例えば、600nm〜800nmの波長を有する単色光をレジスト膜101に照射する光源31と、光源31からの照射光をレジスト膜101の方向に反射させるとともにレジスト膜101により反射された反射光を透過するハーフミラー32と、ハーフミラー32を介してレジスト膜101による反射光を受光するCCDカメラ33とを備える。
【0036】
CCDカメラ33は、受光した反射光に応じてその反射光の輝度を測定し、その輝度を示す輝度情報を制御部6に送る。CCDカメラ33により測定された輝度C1は、図2(a)に示す輝度とレジスト膜の膜厚との関係図により、レジスト膜101の膜厚T1に換算される。なお、ハーフミラー32の代わりにビームスプリッタを用いてもよい。
【0037】
(現像装置の制御系)
図7は、現像装置の制御系の概略構成の一例を示すブロック図である。この現像装置1の記憶部7には、第1の現像条件70と、第2の現像条件71と、輝度とレジスト膜の膜厚との関係図2(a)に相当する輝度/膜厚関係テーブル72と、露光部膜減り量とパターン寸法との関係図3(c)に相当する寸法/露光部膜減り量関係テーブル73と、露光部膜減り量と現像時間との関係図3(d)に相当する露光部膜減り量/現像条件関係テーブル74と、パターン間寸法差と現像時間との関係図3(e)に相当するパターン間寸法差/現像条件関係テーブル75と、現像条件を決定するとともに現像装置1を制御する図示しないプログラムとが記憶されている。
【0038】
現像装置1の制御部6は、現像処理制御部60と、膜減り量算出部61Aと、寸法予測部62Aと、現像条件決定部63Aとを備える。制御部6は、CPUと、記憶部7とのインターフェース部とを備え、CPUが記憶部7に記憶されたプログラムに従って動作することにより、現像処理制御部60、膜減り量算出部61A、寸法予測部62A及び現像条件決定部63Aとして機能する。制御部6及び記憶部7は、例えば、コンピュータによって実現することができる。
【0039】
なお、各関係テーブル72〜75は、それぞれ対応する各関係図の横軸と縦軸の数値が一意に定められればよく、例えば、横軸と縦軸の数値が表形式によって記憶されていてもよいし、多項式等の関数によって表現されていてもよい。また、寸法/露光部膜減り量関係テーブル73、露光部膜減り量/現像条件関係テーブル74及びパターン間寸法差/現像条件関係テーブル75は、サンプルの基板を用いて予め測定した測定結果に基づいて作成された情報でもよいし、レジスト膜101が有する特性等に基づいて作成された情報でもよい。
【0040】
(現像処理制御部)
現像処理制御部60は、第1及び第2の現像条件70,71に従って現像ヘッド2、ギャップ調整機構4及び移動機構5等を制御して第1及び第2の現像処理を行う。
【0041】
(膜減り量算出部)
膜減り量算出部61Aは、輝度/膜厚関係テーブル72を参照して、CCDカメラ33により測定されたレジスト膜101の露光部の輝度情報に対応する膜厚を取得し、現像処理前後の膜厚の減少状態から、レジスト膜101の感度情報として露光部の膜減り量を算出する。
【0042】
(寸法予測部)
寸法予測部62Aは、寸法/露光部膜減り量関係テーブル73を参照して、膜減り量算出部61Aにより算出された膜減り量D1から第2の現像処理を行った際の最終的なパターン寸法CD1を予測する。
【0043】
(現像条件決定部)
現像条件決定部63Aは、ターゲット寸法TCDから許容される寸法換算の許容範囲110を取得する。寸法換算の許容範囲110は、図3(c)に示すように、下限寸法Tlowと、上限値である上限寸法Tupとにより囲まれた範囲である。
【0044】
そして、現像条件決定部63Aは、寸法/露光部膜減り量関係テーブル73を参照して、寸法換算の許容範囲110から膜減り量換算の許容範囲111を取得する。膜減り量換算の許容範囲111は、図3(c)に示すように、下限寸法Tlowに対応する下限膜減り量Dlowと、上限寸法Tupに対応する上限膜減り量Dupとにより囲まれた範囲である。
【0045】
次に、現像条件決定部63Aは、露光部膜減り量/現像条件関係テーブル74を参照して、膜減り量換算の許容範囲111から第1の許容範囲112Aを算出する。第1の許容範囲112Aは、図3(d)に示すように、下限膜減り量Dlowに対応する現像条件Dev1lowと、上限膜減り量Dupに対応する現像条件Dev1upとにより囲まれた範囲である。
【0046】
次に、現像条件決定部63Aは、パターン間寸法差/現像条件関係テーブル75を参照して、図3(e)に示すように、パターン間差許容値Gspecから決定される現像条件Dev2lowと、現像条件Dev2upとにより囲まれた第2の許容範囲112Bを算出する。
【0047】
そして、現像条件決定部63Aは、図3(f)に示すように、それら第1の許容範囲112Aと第2の許容範囲112Bとを共に満たすように相互許容範囲113を算出し、その相互許容範囲113に含まれる現像条件Dev2を第2の現像条件として決定する。
【0048】
(実施の形態の効果)
本実施の形態によれば、複数の基板上に形成されたレジスト膜の感度にばらつきがあったとしても、所望のリソグラフィ尤度を確保し、パターンカテゴリ間の寸法差を抑えるとともに、パターン寸法を高精度に制御することができる。
【0049】
[第2の実施の形態]
本発明の第2の実施の形態に係る現像方法について図2、図3及び図8を参照して説明する。図8(a)は、露光部膜減り量とパターン寸法との関係図、図8(b)は、未露光部膜減り量とパターン寸法との関係図、図8(c)は、パターン寸法と現像時間との関係図、図8(d)は、パターン間寸法差と現像時間との関係図、図8(e)は、現像時間の相互許容範囲を示す図である。本実施の形態は、レジスト膜の露光部の膜厚だけでなく、未露光部の膜厚も測定対象とするものである。
【0050】
現像処理を行った際に、露光部のレジスト膜のみならず、未露光部のレジスト膜も膜減りを生じていることが発明者らの実験等により知見として得られている。未露光部のレジスト膜厚は等方的に減少していると考えられるため、未露光部の膜減り量とパターン寸法の変化量を対応させて考えることができる。従って、この未露光部の膜減り量を考慮に入れて第2の現像条件、或いはそれ以降の現像条件を決定することによりパターン寸法をより高精度に制御することができる。
【0051】
まず、基板上にレジスト膜を形成し、そのレジスト膜の膜厚を輝度と膜厚との関係図2(a)を用いて取得する。次に、レジスト膜に対し所定の条件で露光を行った後、第1の現像条件に従って第1の現像処理を行う。
【0052】
続いて、第1の現像処理により現像された露光部及び未露光部の膜厚を関係図2(a)を用いて取得し、レジスト膜の現像処理前後の膜厚の比較として差分を取ることにより、露光部及び未露光部の膜減り量D1,D2を算出する。
【0053】
次に、関係図3(a)及び関係図3(b)より取得した図3(c)と同様の露光部膜減り量とパターン寸法との関係図8(a)を用いて露光部の膜減り量D1からパターン寸法CD1を予測する。また、未露光部膜減り量とパターン寸法との関係図8(b)を用いて未露光部の膜減り量D2からパターン寸法CD2を予測する。
【0054】
次に、パターン寸法CD1とターゲット寸法TCDとの差分である第1のパターン寸法補正量ΔCD1を算出し、パターン寸法CD2とターゲット寸法TCDとの差分である第2のパターン寸法補正量ΔCD2を算出する。そして、第1のパターン寸法補正量ΔCD1に第2のパターン寸法補正量ΔCD2を加味することで最終的なパターン寸法補正量ΔCD3を算出する。なお、最終的なパターン寸法補正量ΔCD3の算出方法は、第1及び第2のパターン寸法補正量ΔCD1,ΔCD2を加算してもよいし、平均を取ってもよいし、第1のパターン寸法補正量ΔCD1に所定の係数を乗じた第2のパターン寸法補正量ΔCD2を加算してもよい。
【0055】
次に、予め取得しておいたパターン寸法と現像時間との関係図8(c)を用いてターゲット寸法TCDから許容される寸法換算の許容範囲110を算出する。続いて、寸法換算の許容範囲110から関係図8(c)を用いて第1の許容範囲112Aを算出する。
【0056】
次に、パターン間寸法差と現像時間との関係図8(d)を用いてパターン間差許容値Gspecから決定される第2の許容範囲112Bを算出する。
【0057】
そして、第1の許容範囲112Aと第2の許容範囲112Bを満たすような相互許容範囲(図8(e)の斜線部)113を算出し、その相互許容範囲113を満たすように現像条件Dev2を第2の現像条件71として決定する。そして、レジスト膜に対し上記のようにして決定された第2の現像条件に従って第2の現像処理を行う。
【0058】
(現像装置の構成)
次に、上記現像方法を実施するための現像装置の一例について説明する。図9は、本実施の形態に係る現像装置の制御系の概略構成の一例を示すブロック図である。
【0059】
この現像装置1は、膜厚測定部3、制御部6及び記憶部7と、第1の実施の形態と同様の現像ヘッド2、ギャップ調整機構4及び移動機構5等を備える。
【0060】
膜厚測定部3は、レジスト膜101の露光部の膜厚だけでなく、露光部に近接した部分である未露光部の膜厚も測定する。
【0061】
記憶部7には、第1の実施の形態と同様の第1の現像条件70、第2の現像条件71及び輝度/膜厚関係テーブル72と、関係図8(a)に相当する寸法/露光部膜減り量関係テーブル73と、関係図8(b)に相当する寸法/未露光部膜減り量関係テーブル76と、関係図8(c)に相当する寸法/現像条件関係テーブル77と、関係図8(d)に相当するパターン間寸法差/現像条件関係テーブル75とが記憶されている。
【0062】
制御部6は、第1の実施の形態と同様の現像処理制御部60の他に、レジスト膜101の露光部及び未露光部の膜減り量を算出する膜減り量算出部61Bと、露光部及び未露光部の膜減り量から、最終的なパターン寸法を予測する寸法予測部62Bと、第1の許容範囲112Aと第2の許容範囲112Bとを満たす相互許容範囲内に収めるように第2の現像条件71を決定する現像条件決定部63Bとを備える。
【0063】
(実施の形態の効果)
本実施の形態によれば、感光性薄膜の感度情報を露光部の膜減り量からだけでなく、未露光部の膜減り量からも取得することにより、第1の実施形態と比較してパターン寸法をさらに高精度に制御することができる。
【0064】
[第3の実施の形態]
本発明の第3の実施の形態に係る現像方法について図10を参照して説明する。図10は、マスタープロファイル情報の一例を示す図である。このマスタープロファイル情報78には、2次元形状のカテゴリ別に分類されて、複数のプロファイル情報が記録されている。カテゴリとしては、図10に示すようにU字型、V字型、ロ字型(凹型)及び楕円型等が挙げられる。また、1つのカテゴリには、複数のプロファイル情報が、ターゲット寸法を中心にして、Lnm(例えば、2nm)刻みで記憶されている。本実施の形態は、このマスタープロファイル情報78を用いてレジスト膜の露光部の2次元形状から膜減り量を取得するものである。
【0065】
まず、基板上にレジスト膜を形成し、そのレジスト膜に対し所定の条件で露光を行った後、第1の現像条件に従って第1の現像処理を行う。
【0066】
次に、第1の現像処理により現像された露光部の2次元形状を測定し、マスタープロファイル情報78にてその測定した2次元形状が類似するカテゴリを検知する。なお、2次元形状がいずれのプロファイル情報に類似するか否かの判定には、例えば、パターンマッチング等を用いればよい。
【0067】
次に、類似するカテゴリにおけるプロファイル情報のうち、測定した2次元形状の膜減り量が近いプロファイル情報を取得し、そのプロファイル情報からパターン寸法を予測する。
【0068】
その後、その予測したパターン寸法を用いて、第1及び第2の許容範囲を算出する工程、相互許容範囲を満たすように第2の現像条件を決定する工程、及び第2の現像条件に従って第2の現像処理を行う工程は、第1の実施の形態と同様のため説明を省略する。
【0069】
(現像装置の構成)
次に、上記現像方法を実施するための現像装置の一例について説明する。図11は、本実施の形態に係る現像装置の制御系の概略構成の一例を示すブロック図である。
【0070】
この現像装置1は、膜厚測定部3の代わりに、レジスト膜101の2次元形状を測定する形状測定部8、制御部6及び記憶部7と、第1の実施の形態と同様の現像ヘッド2、ギャップ調整機構4及び移動機構5等を備える。
【0071】
形状測定部8は、現像ヘッド2に取り付けられ、レジスト膜101の2次元形状を測定可能な、例えば、AFMや、斜入射した光の回折光を受光するスキャトロメトリー等により構成されている。なお、形状測定部8は、レジスト膜101の3次元形状を測定するようにしてもよい。
【0072】
記憶部7には、図10に相当するマスタープロファイル情報78と、第1の実施の形態と同様の第1の現像条件70、第2の現像条件71及びパターン間寸法差/現像条件関係テーブル75と、第2の実施の形態と同様の寸法/現像条件関係テーブル77とが記憶されている。
【0073】
制御部6は、第1の実施の形態と同様の現像処理制御部60の他に、レジスト膜101の露光部の2次元形状を検知する形状検知部64と、露光部の2次元形状に基づいてパターン寸法を予測する寸法予測部62Cと、第1の許容範囲112Aと第2の許容範囲112Bとを満たす相互許容範囲内に収めるように第2の現像条件71を決定する現像条件決定部63Cとを備える。
【0074】
形状検知部64は、形状測定部8によりレジスト膜101の露光部が測定された2次元形状を受け取り、マスタープロファイル情報78を参照して、その受け取った2次元形状に類似するプロファイル情報が記憶されたカテゴリを検知する。
【0075】
寸法予測部62Cは、マスタープロファイル情報78を参照して、形状測定部8により測定された2次元形状において、厚さ方向、すなわち、膜減り量が近いプロファイル情報を取得し、そのプロファイル情報からパターン寸法を予測する。
【0076】
(実施の形態の効果)
本実施の形態によれば、露光部が途中まで現像された際の2次元形状から現像条件を決定することにより、第1の実施形態の効果に加え、第1の実施形態と比較してパターン寸法をさらに高精度に制御することができる。
【0077】
[第4の実施の形態]
本発明の第4の実施の形態に係る現像方法について説明する。本実施の形態は、マスタープロファイル情報78を用いてレジスト膜の露光部の2次元形状から膜減り量を算出するとともに、輝度とレジスト膜の膜厚との関係図を用いて未露光部の膜減り量を算出し、未露光部の膜減り量を考慮に入れて第2の現像条件、或いはそれ以降の現像条件を決定するものである。
【0078】
まず、基板上にレジスト膜を形成し、そのレジスト膜の膜厚を取得する。次に、レジスト膜に対し所定の条件で露光を行った後、第1の現像条件に従って第1の現像処理を行う。
【0079】
次に、第1の現像処理により現像された露光部の2次元形状を測定し、マスタープロファイル情報78にてその測定した2次元形状が類似するカテゴリを検知する。
【0080】
続いて、第1の現像処理により現像された未露光部の膜厚を取得し、レジスト膜の現像処理前の膜厚との差分を取ることにより、未露光部の膜減り量を算出する。
【0081】
次に、類似するカテゴリにおけるプロファイル情報のうち、測定した2次元形状の膜減り量が近いプロファイル情報を取得し、そのプロファイル情報から第1のパターン寸法を予測する。そして、未露光部の膜減り量D2から第2のパターン寸法を予測する。
【0082】
次に、予測した第1のパターン寸法とターゲット寸法との差分である第1のパターン寸法補正量を算出し、予測した第2のパターン寸法とターゲット寸法との差分である第2のパターン寸法補正量を算出する。そして、第2の実施の形態と同様に、第1及び第2のパターン寸法補正量から最終的なパターン寸法補正量を算出する。
【0083】
その後、そのパターン寸法補正量を用いて第1及び第2の許容範囲を算出する工程、相互許容範囲を満たすように第2の現像条件を決定する工程、及び第2の現像条件に従って第2の現像処理を行う工程は、第2の実施の形態と同様のため説明を省略する。
【0084】
(現像装置の構成)
次に、上記現像方法を実施するための現像装置の一例について説明する。図12は、本実施の形態に係る現像装置の制御系の概略構成の一例を示すブロック図である。
【0085】
この現像装置1は、レジスト膜101の未露光部の膜厚を測定する膜厚測定部3、レジスト膜101の露光部の2次元形状を測定する形状測定部8、制御部6及び記憶部7と、第1の実施の形態と同様の現像ヘッド2、ギャップ調整機構4及び移動機構5等を備える。
【0086】
記憶部7には、第1の実施の形態と同様の第1の現像条件70、第2の現像条件71及びパターン間寸法差/現像条件関係テーブル75と、第2の実施の形態と同様の寸法/現像条件関係テーブル77と、第3の実施の形態と同様のマスタープロファイル情報78とが記憶されている。
【0087】
制御部6は、第1の実施の形態と同様の現像処理制御部60と、第3の実施の形態と同様の形状検知部64の他に、レジスト膜101の未露光部の膜減り量を算出する膜減り量算出部61Cと、露光部の2次元形状及び未露光部の膜減り量に基づいてパターン寸法を予測する寸法予測部62Dと、第1の許容範囲112Aと第2の許容範囲112Bとを満たす相互許容範囲内に収めるように第2の現像条件71を決定する現像条件決定部63Dとを備える。
【0088】
(実施の形態の効果)
本実施の形態によれば、露光部が途中まで現像された際の2次元形状に加えて未露光部の膜減り量を考慮することにより、第3の実施形態の効果に加え、第3の実施形態と比較してパターン寸法をさらに高精度に制御することができる。
【0089】
[第5の実施の形態]
本発明の第5の実施の形態は、上記第1乃至第4の実施の形態に係る現像方法をフォトマスクの製造工程に適用したフォトマスクの製造方法である。すなわち、基板上のレジスト膜に対して上記第1乃至第4の実施の形態に係る現像方法にて現像処理を行い、その現像処理後のレジスト膜に対してエッチング、レジスト剥離等の工程を経てフォトマスクを製造する。
【0090】
半導体装置の製造では、ウェハーから複数個のチップが切り出されるため、そのチップ単位でパターン寸法がターゲット寸法を満たすことを要求される。これに対し、フォトマスクの製造では、基板上に形成しようとするパターンの全てにおいてパターン寸法をターゲット寸法通りに、且つ均一にすることが要求されることから、フォトマスクの製造工程に本発明を適用することによりさらなる効果が期待できる。
【0091】
また、フォトマスクは、一般的にEB(Electron Beam)露光で描画されており、EB露光による露光工程に係る時間に比較して現像工程に係る時間は短い。そのため、複数回の現像処理を行うことにより現像工程に係る処理時間が長くなったとしても、現像工程がボトルネックとなることはなく、ターンアラウンドタイム(Turn Around Time)に与える影響は少ない。
【0092】
なお、本発明は、上記各実施の形態に限定されず、その発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々な変形が可能である。例えば、記憶部7に記憶されたプログラムは、CD−ROM等の記録媒体を介して制御部6に提供してもよく、インターネット等のネットワークを介して制御部6に提供してもよい。
【0093】
また、制御部6が有する現像処理制御部、膜減り量算出部、寸法予測部、現像条件決定部及び形状検知部は、それらの一部又は全部をハードウェアにより実現されていてもよい。
【0094】
また、膜厚測定部3及び形状測定部8は、現像ヘッド2とは独立に動作する可動アームに取り付けられていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】図1は、現像方法の各工程を示すフローチャートである。
【図2】図2(a)は、輝度と、レジスト膜の膜厚との関係を示すグラフである。図2(b)は、膜厚測定部の概略構成の一例を示す模式図である。
【図3】図3(a)は、露光量とパターン寸法との関係図、図3(b)は、露光量と露光部膜減り量との関係図、図3(c)は、露光部膜減り量とパターン寸法との関係図、図3(d)は、露光部膜減り量と現像時間との関係図、図3(e)は、パターン間寸法差と現像時間との関係図、図3(f)は、現像時間の相互許容範囲を示す図である。
【図4】図4(a)〜(e)は、複数種のパターンの一例を示す断面図である。
【図5】図5(a)は、現像装置の概略構成の一例を示す上面図である。図5(b)は、図1(a)のA−A線断面図である。
【図6】図6は、図5(a)のB−B線断面図である。
【図7】図7は、第1の実施の形態に係る現像装置の制御系の概略構成の一例を示すブロック図である。
【図8】図8(a)は、露光部膜減り量とパターン寸法との関係図、図8(b)は、未露光部膜減り量とパターン寸法との関係図、図8(c)は、パターン寸法と現像時間との関係図、図8(d)は、パターン間寸法差と現像時間との関係図、図8(e)は、現像時間の相互許容範囲を示す図である。
【図9】図9は、第2の実施の形態に係る現像装置の制御系の概略構成の一例を示すブロック図である。
【図10】図10は、マスタープロファイル情報の一例を示す図である。
【図11】図11は、第3の実施の形態に係る現像装置の制御系の概略構成の一例を示すブロック図である。
【図12】図12は、第4の実施の形態に係る現像装置の制御系の概略構成の一例を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0096】
1…現像装置、2…現像ヘッド、3…膜厚測定部、4…ギャップ調整機構、5…移動機構、6…制御部、7…記憶部、8…形状測定部、20…現像液吐出ノズル、21…現像液吸引ノズル、22…リンス液吐出ノズル、23A,23B…電磁バルブ、24…ポンプ、30…防水カバー、31…光源、32…ハーフミラー、33…カメラ、60…現像処理制御部、61A〜61C…膜減り量算出部、62A〜62D…寸法予測部、63A〜63D…現像条件決定部、64…形状検知部、70…第1の現像条件、71…第2の現像条件、72…輝度/膜厚関係テーブル、73…寸法/露光部膜減り量関係テーブル、74…露光部膜減り量/現像条件関係テーブル、75…パターン間寸法差/現像条件関係テーブル、76…寸法/未露光部膜減り量関係テーブル、77…寸法/現像条件関係テーブル、78…マスタープロファイル情報、100…基板、101…レジスト膜、102…補助板、110A…第1の許容範囲、110B…第2の許容範囲、111…相互許容範囲
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に形成された感光膜を現像し複数種のパターンを形成する現像方法であって、
露光された前記感光膜を所定の膜厚まで現像する第1の現像処理を行う工程と、
前記第1の現像処理によって現像された前記感光膜の前記所定の膜厚と前記感光膜の露光量から前記感光膜の感度情報を取得する工程と、
前記感度情報から前記第1の現像処理に続く第2の現像処理を行った後のパターン寸法を予測し、前記第2の現像処理における現像条件の第1の許容範囲を決定する工程と、
前記第1の許容範囲と、前記複数種のパターン間における現像処理後のパターン寸法のばらつき量から決定される前記第2の現像処理における現像条件の第2の許容範囲とを共に満たすように前記第2の現像処理における現像条件を決定する工程と、
を含むことを特徴とする現像方法。
【請求項2】
前記感光膜の未露光部の膜厚を前記第1の現像処理の前後で比較し、前記未露光部の膜減り量を取得する工程をさらに備え、
前記第2の現像処理における現像条件の第1の許容範囲を決定する工程は、前記感度情報及び前記未露光部の膜減り量から前記第1の現像処理に続く第2の現像処理を行った後のパターン寸法を予測する工程であることを特徴とする請求項1に記載の現像方法。
【請求項3】
さらに、前記第2の現像処理における現像条件に従って前記第2の現像処理を行う工程を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の現像方法。
【請求項4】
前記第1及び第2の現像処理は、現像液吐出部及び現像液吸引部が設けられた現像部を前記基板に対して相対的に水平移動させながら、前記現像液吐出部から前記感光膜上に現像液を吐出するとともに前記現像液吸引部にて前記感光膜上の前記現像液を吸引することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の現像方法。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の現像方法によってマスクパターンを形成することを特徴とするフォトマスクの製造方法。
【請求項1】
基板上に形成された感光膜を現像し複数種のパターンを形成する現像方法であって、
露光された前記感光膜を所定の膜厚まで現像する第1の現像処理を行う工程と、
前記第1の現像処理によって現像された前記感光膜の前記所定の膜厚と前記感光膜の露光量から前記感光膜の感度情報を取得する工程と、
前記感度情報から前記第1の現像処理に続く第2の現像処理を行った後のパターン寸法を予測し、前記第2の現像処理における現像条件の第1の許容範囲を決定する工程と、
前記第1の許容範囲と、前記複数種のパターン間における現像処理後のパターン寸法のばらつき量から決定される前記第2の現像処理における現像条件の第2の許容範囲とを共に満たすように前記第2の現像処理における現像条件を決定する工程と、
を含むことを特徴とする現像方法。
【請求項2】
前記感光膜の未露光部の膜厚を前記第1の現像処理の前後で比較し、前記未露光部の膜減り量を取得する工程をさらに備え、
前記第2の現像処理における現像条件の第1の許容範囲を決定する工程は、前記感度情報及び前記未露光部の膜減り量から前記第1の現像処理に続く第2の現像処理を行った後のパターン寸法を予測する工程であることを特徴とする請求項1に記載の現像方法。
【請求項3】
さらに、前記第2の現像処理における現像条件に従って前記第2の現像処理を行う工程を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の現像方法。
【請求項4】
前記第1及び第2の現像処理は、現像液吐出部及び現像液吸引部が設けられた現像部を前記基板に対して相対的に水平移動させながら、前記現像液吐出部から前記感光膜上に現像液を吐出するとともに前記現像液吸引部にて前記感光膜上の前記現像液を吸引することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の現像方法。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の現像方法によってマスクパターンを形成することを特徴とするフォトマスクの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
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【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−127982(P2010−127982A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−299584(P2008−299584)
【出願日】平成20年11月25日(2008.11.25)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年11月25日(2008.11.25)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
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