説明

現像装置、クリーニング装置、画像形成装置

【課題】 トナー漏れを低減する耐久性の高いシール部材を提供し、現像装置またはクリーニング装置の耐久性を高める。
【解決手段】 現像剤担持体と当接しない非当接部W1において、表面を現像剤担持体53の回転方向と交差する方向に切った切れ込み部50を有するシール部材562を備え、切れ込み部50は、現像剤担持体53の軸線方向におけるシール部材562の一端部562aと他端部562bとを繋げるものではないことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は記録媒体に画像を形成する電子写真プリンタ、電子写真複写機などの画像形成装置に関する。また現像装置及びクリーニング装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、電子写真技術を利用して記録媒体に画像を形成する画像形成装置では、像担持体である感光体ドラムを、帯電手段で帯電させ、帯電面に選択的に露光を行い静電潜像を形成する。次に、現像剤であるトナーを摩擦帯電させた後、現像装置から静電潜像面へ供給し、トナー像を形成する。その後感光体ドラム表面のトナー像は紙等の記録媒体に転写され、熱と圧力により記録媒体に定着される。転写後の感光体ドラムは表面に接触しているクリーニングブレードで残留する転写残トナーを掻き落とされ、次の画像形成に備えるというプロセスを踏む。
【0003】
現像装置は予めモノクロ画像形成用にはブラックトナーを、カラー画像形成用にはイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色のトナーを、内包する。現像装置から静電潜像面へのトナー供給は、現像ローラと呼ばれる回転体を静電潜像面へ対向させて行う。
【0004】
ここで、現像装置枠体の開口部と現像ローラとの隙間からトナーが外部にもれることを防止する為に、現像ローラ端部には、現像ローラの周面と当接し、現像ローラと現像装置の枠体との間を塞ぐシール部材(以下端部シールと呼ぶ)が用いられている。端部シールは現像装置の枠体に両面テープや接着剤等の接着部材を介して貼着される。この接着剤としては容易に固化する液状エラストマーを用いることが多い。例えば特許文献1には、端部シール底面を両面テープで枠体に貼着した後に、端部シール側面と現像装置の枠体との隙間にエラストマーを注入することでこの隙間を埋め、現像剤が現像装置の外部に漏れ出ないようにした構成が記載されている。
【0005】
一方で、トナー像(現像剤像)が記録媒体に転写された後、感光体ドラムに残留した残留トナーはクリーニング装置によって、清掃される。清掃されたトナーは回収トナーと呼ばれ、クリーニング装置内に設けられた回収トナー容器に収容される。
【0006】
ここで、回収トナーを収容したクリーニング装置の枠体と感光体ドラムの隙間からの現像剤外部にもれることを防止する為に、現像装置と同様に、シール部材を用いる。すなわち感光体ドラム端部には、感光体ドラムの周面と当接し、感光体ドラムとクリーニング装置の枠体との間を塞ぐ、フェルト等で構成されたシール部材(以下端部シールと呼ぶ)を用いる。端部シールは枠体に両面テープや接着剤等を介して貼着される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平4−9869号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
近年、画像形成装置の長寿命化により、端部シールにより高い耐久性が求められるようになった。また画像形成装置の高精細化を目的として、トナーの小粒径化が進み端部シールには、より高いシール性が求められるようになった。
【0009】
画像形成装置が即ち繰り返し多数の画像形成を行うことにより、画像形成時の物理的な衝撃により、端部シールが取り付けられた装置枠体と、端部シールとの間に隙間が生じてしまう可能性がある。後に実施例中に詳述するが、枠体と端部シールが離れ、枠体と端部シールの間に隙間が生じると、この隙間から現像剤(トナー)が枠体の外部に漏れ出てしまう可能性がある。
【0010】
そこで上記課題に鑑み、本発明は、トナー漏れを低減する耐久性の高い端部シールを提供し、現像装置またはクリーニング装置の耐久性を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明の代表的な構成は、潜像を現像する現像装置において、枠体と、前記枠体に回転可能に設けられた、現像剤を担持するための現像剤担持体と、前記枠体に設けられ、前記現像剤担持体の軸線方向における端部と当接する当接部と、前記現像剤担持体と当接しない非当接部を有するシール部材であって、前記非当接部において、前記シール部材の表面を前記現像剤担持体の回転方向と交差する方向に切った切れ込み部を有するシール部材と、を備え、前記切れ込み部は、前記軸線方向における前記シール部材の一端部と他端部とを繋げるものではないことを特徴とする現像装置である。
【0012】
上記目的を達成するための、本出願の別な構成は、像担持体に付着した現像剤を除去するクリーニング装置において、枠体と、前記枠体に回転可能に設けられ、現像剤像が形成される像担持体と、前記枠体に設けられ、前記像担持体の軸線方向における端部と当接する当接部と、前記像担持体と当接しない非当接部を有するシール部材であって、前記非当接部において、前記シール部材の表面を前記像担持体の回転方向と交差する方向に切った切れ込み部を有するシール部材と、を備え、前記切れ込み部は、前記軸線方向における前記シール部材の一端部と他端部とを繋げるものではないことを特徴とするクリーニング装置である。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、トナー漏れを低減する耐久性の高い端部シールを提供し、現像装置またはクリーニング装置の耐久性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明を適用可能な実施例1の現像装置の端部シールの切れ込みの図である。
【図2】本発明を適用可能な画像形成装置である。
【図3】本発明を適用可能な現像装置の断面拡大図である。
【図4】本発明を適用可能な現像装置の開口部の図である。
【図5】本発明を適用可能な現像装置の端部シールの説明図である。
【図6】検討の際の切れ込み位置に関する説明図である。
【図7】端部シールに力が加わった際の説明図である
【図8】検討の際の切れ込み深さに関する説明図である。
【図9】本発明を適用可能な実施例1の別の端部シールの切れ込みの図である。
【図10】本発明を適用可能なクリーニング装置の断面拡大図である。
【図11】本発明を適用可能なクリーニング装置の開口部の図である。
【図12】本発明を適用可能な実施例2のクリーニング装置の端部シールの図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<実施例1>
以下、図2を用いて本発明に最適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。
【0016】
但し、この実施の形態に記載されている構成部品の寸法・材質・形状それらの相対的配置などは、発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものであり、この発明の範囲を以下の実施の形態に限定する趣旨のものではない。本実施例では最も簡略な画像形成装置の例として、モノクロレーザープリンタを挙げているが、タンデム型、ロータリー型のカラーレーザープリンタでも実施できる。
【0017】
図2は本実施例の画像形成装置の概略構成の模式図である。この画像形成装置Aは、電子写真プロセスを用いた画像形成装置である。この画像形成装置Aはイメージリーダ(原稿画像読装置)・パソコン等のホスト装置(不図示)からコントローラ部(制御手段:CPU)(不図示)に入力する電気的画像信号に基づいて記録媒体としてのシート状の記録媒体Pに画像形成を行う。
【0018】
コントローラ部はホスト装置や画像形成装置の操作部との間で各種の電気的な情報の授受をすると共に、画像形成装置Aの画像形成動作を所定の制御プログラムに従って統括的に制御する。
【0019】
本実施例の画像形成装置Aは、表面に静電潜像を担持する像担持体としての、感光体ドラム1を有する。さらには、この感光体ドラム1に作用するプロセス手段としての、帯電ローラ2、画像露光手段3、現像装置5、転写手段6、定着ユニット8、クリーニング手段等を有する。
【0020】
本実施例において、クリーニング手段は、クリーニングブレード71と、現像剤収容器72から成る。クリーニングブレード71は感光体ドラム1に当接し、感光体ドラム1に付着したトナーを掻き落とすブレードである。現像剤収容器72はクリーニングブレード71によって感光体ドラム1から除去されたトナーを収容する容器である。
【0021】
なお、クリーニングブレード71と、現像剤収容器72および、感光体ドラム1と帯電ドラム2とは、一体となって、クリーニング装置7を形成する。
【0022】
さらに本実施例では、クリーニング装置7と現像装置5とが結合することで、プロセスカートリッジBを形成し、画像形成装置Aの装置本体に着脱可能となっている。
【0023】
画像形成装置Aの画像形成動作について説明する。コントローラ部(不図示)は画像形成スタート信号が入力されると、メインモータ(不図示)を駆動させる。これにより、感光体ドラム1が矢印R1の方向に、所定のプロセススピードで駆動される。感光体ドラム1の駆動に伴い帯電手段としての帯電ローラ2は従動回転を開始し、所定の帯電バイアスが印加され、感光体ドラム1の表面電位を所定の暗電位に帯電する。帯電ローラ2は感光体ドラム1の表面を一様に帯電する導電性ゴムローラである。
【0024】
画像露光手段3からは画像信号に対応して変調されたレーザー光Lが出力されて、反射ミラー4を介して感光体ドラム1の帯電処理面を露光部位Eにおいて走査露光される。露光された部分の電位は所定の明電位となり、感光体ドラムの表面に画像に対応した静電潜像が形成される。画像露光手段3はレーザースキャナユニットを用いている。
【0025】
現像装置5は感光体ドラム1の表面に形成された静電潜像を現像剤像(トナー像)として可視化する手段である。現像手段5内に設けられた、現像剤担持体としての現像ローラ53が感光体ドラム1と接触した状態で、現像ローラ53に駆動が伝達され矢印R4の方向に所定の速度で回転駆動され、同時に現像バイアスとして所定の直流電圧が印加される。そして、前記の静電潜像が現像装置5によりトナー像(現像剤像)として現像される。現像ローラ53には導電性ゴムローラを用いた。
【0026】
現像装置5は、現像剤Tとして負帯電性のブラック色の非磁性トナーを収容する現像剤容器52を有する。現像剤容器52は、トナーTを撹拌する為の撹拌羽根51と、現像ローラ53に接触してトナーを供給する現像剤塗布ローラ(以下、塗布ローラと呼ぶ)54を支持する。さらに現像剤容器52は、現像ローラ53上のトナー層を先端部によって摺擦してトナー層の層厚を規制する規制ブレード55を支持する。塗布ローラ54は現像剤供給部材であって、本実施例ではウレタンスポンジローラによって形成した。規制ブレード55は現像剤層厚規制部材であって、リン青銅によって形成した。
【0027】
塗布ローラ54は矢印R5の方向に回転駆動される。回転する現像ローラ53の周上には回転する塗布ローラ54によってトナーを塗布する。そして塗布されたトナーが規制ブレード55によりコーティングされる。静電潜像の現像に供されなかったトナーは現像ローラ53の引き続く回転により現像剤容器52内に戻し搬送される。そして、塗布ローラ54により現像ローラ53の面から除去されるとともに、現像ローラ53の面には再び塗布ローラ54によってトナーが塗布される。この動作が繰り返されて、感光体ドラム1の表面に形成された静電潜像の現像が実行される。
【0028】
本実施例では、感光体ドラム1と現像ローラ53は不図示の当接離間機構によって、画像形成動作開始時には離間状態から当接状態へシフトする。また画像形成動作終了後には当接状態から、離間状態へシフトする。また、感光体ドラム1と現像ローラ53は画像形成動作開始時には回転を開始し、画像形成動作終了後には停止する。これらの動作が、現像剤容器52と端部シール562との間に隙間を形成するきっかけとなる動作である。
【0029】
現像剤容器52は、現像装置5の枠体であって、現像ローラ53の長手方向(軸線方向)に長い横長の容器である。なお以降の説明において現像ローラ53の長手方向を、単に長手方向とよび、長手方向と直交する方向を短手方向と呼ぶことがある。なおこの長手方向は、現像ローラ53の軸線と平行な方向であって、感光体ドラム1の軸線ともほぼ平行な方向である。
【0030】
現像剤容器52の内部は、現像剤(トナー)を収容する現像剤収容部となる。この現像剤容器52はその下部に長手方向に沿って形成された開口部O1を有する。現像ローラ53はこの開口部O1に位置する。現像剤容器52は長手方向の両側にそれぞれ取り付けられた軸受部材(不図示)を介して、現像ローラ53を回転可能に支持している。
【0031】
規制ブレード55はその基部が前記開口部O1の上縁部に固定されることで現像剤容器52に配設されている。
【0032】
感光体ドラム1上に現像されたトナー像は感光体ドラム1と転写ローラ6のニップ部において紙等の記録媒体P上に転写される。その際、給紙ローラ(不図示)と搬送ローラ(不図示)によって、感光体ドラム1と転写ローラ6のニップ部に記録媒体Pが、感光体ドラム1の表面に形成されたトナー画像と同期されて給送される。転写ローラ6は感光体ドラム1の面に形成されたトナー像を記録媒体Pに転写する手段である。記録媒体Pが転写ニップ部を挟持搬送されていく過程において、転写ローラ6にトナーと逆極性の転写バイアスが印加されて、感光体ドラム1表面のトナー像記録媒体Pの面に順次に静電転写されていく。
【0033】
次に記録媒体Pはベルト61の面から分離されて定着ユニット8へ導入され、定着ニップ部で加熱・加圧される。これによりトナー像の記録媒体Pへの定着がなされる。そして、記録媒体Pは定着ユニット8を出て、画像形成物として排出部(不図示)に排出される。
【0034】
一方で、クリーニング装置7は、感光体ドラム1から記録媒体Pへトナーを転写した後、感光体ドラム1の表面に残留している転写残トナーを除去する装置である。クリーニング装置7には一般的にウレタンゴム等の柔軟性のある材料で形成されたクリーニングブレード71が設けられている。トナー像が記録媒体Pに転写された後、感光体ドラム1上に残った転写残トナーは、光体ドラム1に当接したクリーニングブレード71により感光体ドラム1上から取り除かれる。取り除かれたトナーは現像剤収容器72に収容される。
【0035】
現像剤収容器72は感光体ドラム1の軸線方向(長手方向)に長い横長の容器であって、ドラムクリーニング装置7の枠体7aの一部を形成する。現像剤収容器72の内部は、現像剤(トナー)を収容する現像剤収容部となる。現像剤収容器72は長手方向に延びる開口部O2を有する。感光体ドラム1はこの開口部O2に位置し、長手方向に平行に配置される。クリーニング装置7の枠体7aには、長手方向の両側に軸受部材(不図示)が取り付けられており、枠体7aはこの軸受部材を介して感光体ドラム1を回転可能に支持している。
【0036】
クリーニングブレード71はその基部が現像剤収容器72に形成された開口部O2の上縁部に固定されている。
【0037】
次に、現像装置5を拡大した図3と現像装置5の開口部O1周辺を拡大した図4を参照しながら、現像装置に設けられたシール部材全般について詳述する。図4は図3を矢印D1方向からの見た斜視図である。部材それぞれの位置関係がわかるように説明に不必要な部材を省略した。
【0038】
現像装置5には、現像装置5からトナーが外部に漏れ出るのを抑えることを目的としてシール部材が設けられている。シール部材の一つであるブレード裏シール563は、規制ブレード55と現像装置5の枠体(現像剤容器52)の隙間を埋めることを目的として、現像剤容器52の開口部O1上部に、規制ブレード55の裏側に位置するように設けられる。本実施例では、ブレード裏シール563として、ウレタンスポンジシートを両面粘着テープを用いて貼着した。
【0039】
シール部材の一つである吹き出し防止シート561は、現像ローラ53下部と開口部O1との間に生じる、長手方向の全域に渡る隙間からの現像剤の吹き出しを防止する為に現像剤容器52に貼着される。吹き出し防止シート561は、ポリエステルフィルム等の可撓性のある素材を用いる。吹き出し防止シート561は、現像剤容器52の開口部O1下部に取り付けられており、短手方向のうち一端は自由端となっている。この自由端側の一部が、現像ローラ53の周面に長手方向全域にわたって当接している。吹き出し防止シート561の一端部が自由端となっているのは、現像ローラ53の回転方向の上流側でトナーを規制することなく、回転方向の下流側で、トナーの封止性を保つ為である。また、短手方向における吹き出し防止シート561の他端部は現像剤容器52に、両面テープ等を介して直接貼着され、固定端となっている。
【0040】
シール部材の一つである端部シール562は、現像剤容器52に貼着され、長手方向において、開口部O1の両側にそれぞれ位置する。現像容器52の開口部O1の両側に設けられた2つの端部シール562は、それぞれ現像ローラ53の長手方向一端部と他端部に当接する。端部シール562は現像ローラ53と現像剤容器52の間に生じる隙間を埋め、現像ローラ53に担持されたトナーが現像装置5の外部に漏れ出ることを抑制している。
【0041】
端部シール562は、ブレード裏シール563と接触して配置される構成となっておいる。また、吹き出し防止シート561は端部シール562と重なる位置まで長手方向に延び、現像剤容器52に収容されたトナーが開口部O1から漏れ出ないようにしている。
【0042】
端部シール562についてより詳細に説明する為に、図5を参照する。図5は端部シール562を斜め上方から見た図である。端部シール562の材質は、フェルトを植毛されたフェルト植毛材層5621、スポンジからなるスポンジ発泡材層5622、両面粘着シールからなる両面粘着シート5623の三層に分かれている。両面粘着シート5623は現像装置枠体との接触面に貼られている。フェルト植毛材層5621、スポンジ発泡材層5622は共に可撓性と伸縮性を持つ。それぞれの厚みは、フェルト植毛材層5621は700μm、スポンジ発泡材層5622は2000μm、両面粘着シート5623は100μmのものを用いた。
【0043】
本実施例では、端部シール562がトナー漏れを抑制する効果を向上させることを目的として、端部シール562に切れ込み(切れ込み部)50を設けることを特徴とする。この切れ込み部50の作用については後程、詳細に説明する。
【0044】
最後に注入シール564について説明する。一般には端部シールを現像装置の枠体(現像剤容器)やブレード裏シールに直接密接させることで、トナーが現像装置から外に漏れないようにしている。一方、本実施例では、現像剤容器52及びブレード裏シール563と端部シール562との境界(図3で示す領域C)に注入シール564を注入することで、より端部シール562によるトナーの封止性を高めている。本実施例では、現像剤容器52の所定の位置に端部シール562とブレード裏シール563が貼着された後、容易に固化する液状エラストマーを注入シール564として注入している。
【0045】
しかし領域Cに注入シール564を設けても、画像形成動作を繰り返すうちに注入シール564に亀裂が入り、この亀裂による隙間からトナーが漏れる場合があった。注入シール564そのものに亀裂が入る上述の場合の他、端部シール562と注入シール564とが離れる場合や、注入シール564と現像剤容器52が離れる場合もあって、いずれの場合も領域Cに隙間が生じてしまう。このとき、現像剤容器52と端部シール562が乖離することで、現像剤容器52からトナーが漏れる可能性がある。
【0046】
上記の現象は、上述した当接離間機構によって感光体ドラム1が現像ローラ53と当接した際や、現像ローラ53が回転し始めた際に、端部シール562が引っ張られることが原因で生じる。
【0047】
端部シールが引っ張られる力(以下引っ張り力と呼ぶ)の向きはいくつかに場合分けされる。この場合分けを現像ローラ53と端部シール562を拡大した図7を参照しながら説明する。
【0048】
図7(b)のように現像ローラ53の回転し始めに、端部シール562に加わる引っ張り力F1は、現像ローラ53の回転方向であるR4と同一方向に生じる。引っ張り力F1は、現像ローラ53と端部シール562との間に生じる摩擦力が要因である。
【0049】
一方、感光体ドラム1と現像ローラ53の当接の際端部シール562に加わる引っ張り力は、感光体ドラム1が現像ローラ53を押圧する方向によって異なる向きに生じる。例えば、図7(c)のように、感光体ドラム1が現像ローラ53を押圧方向S1で押圧する場合、すなわち感光体ドラム1が現像ローラ53を、端部シール562に対して斜めに押圧するような場合だと、一方方向に引っ張り力F2が発生する。
【0050】
これに対し、図7(d)のように、端部シール562に対して垂直方向(押圧方向S2)に感光体ドラム1が現像ローラ53を押圧する場合は、引っ張り力F2と、引っ張り力F2とは反対向きの引っ張り力F3の両方が発生する。
【0051】
ここで、上述した引っ張り力の内、現像ローラ53が回転を始める際に生じる引っ張り力F1は特に端部シール562に与える影響が大きい。そこで以下の検討では、まず、現像ローラ53の回転し始めに引っ張り力F1が働く場合、即ち図7(b)の場合を考える。その他の引っ張り力が働いた場合については、別途補足して説明する。
【0052】
引っ張り力F1によって、端部シール562と現像剤容器52との境界部、すなわち、図3に示す領域Cからトナーが漏れ出ることを抑えるためには、引っ張り力F1を領域Cに伝播させないことが必要である。
【0053】
発明者らの検討によると、端部シール562と現像剤容器52の境界部である領域Cに引っ張り力F1をかけないためには、図5に示すように端部シール562の表面に切れ込み(以下、切れ込み部と呼ぶ)50を設けることが有効であった。端部シール562に引っ張り力F1がかかった時には、切り込み部50の切り口が開き、引っ張り力F1を領域C(図3参照)に伝播させることを抑制できる。結果として、端部シール562と現像剤容器52の間に隙間が空くことを防ぐことができる。
【0054】
以上を踏まえて、最適な切れ込み部50の構成を選択する為の検討を行ったのでその結果を以下説明していく。
【0055】
(切れ込み部の位置の検討)
以下に掲載した表1は切れ込み部を入れる位置と、領域C(図3参照)において、端部シールに生じる隙間の有無との関係について検討した結果を示すものである。
【0056】
【表1】

【0057】
ここで検討例として、図6(a)、図6(b)、図6(c)に示す三種類の切れ込みパターンを用いた。図6(a)図6(b)、図6(c)では、端部シール562の表面を現像ローラ53の回転方向と交差する方向に切ることで、切れ込み部を形成しているが、その切れ込み部を形成した位置がそれぞれ異なる。
【0058】
図6(a)に示した切れ込みパターン(6a)では、現像ローラ53の端部と当接する端部シール562の当接ニップ部(当接部)Nより、現像ローラ53の回転方向上流側に位置し、現像ローラ53と当接しない上流側非当接部W1に切れ込み部501を設けた。
【0059】
図6(b)に示した切れ込みパターン(6b)では、現像ローラ53の端部と当接する端部シール562の当接ニップ部N内に切れ込み部502を設けた。図6(c)に示した切れ込みパターン(6c)では、上記当接ニップ部Nよりも、現像ローラ53の回転方向下流側に位置し、現像ローラ53と当接しない下流側非当接部W2に切れ込み部503を設けた。
【0060】
領域Cにおいて、シール部材562に生じる隙間の有無の評価に関しては、実際に画像形成装置に、切れ込み部を加えた端部シール562を装着し、所定枚数通紙した後、画像形成装置を現物確認した。表1において○は領域Cにおいて隙間が生じない、×は隙間が生じたと判断した場合である。検討の結果、端部シール562の上流側非当接部W1に切れ込み部501を設けた切れ込みパターン(6a)(図6(a)参照)が最も効果的であった。
【0061】
以上まとめると、現像ローラ53の回転方向において、切れ込み部を形成する位置は、現像ローラ53の回転方向上流側であることが好ましい。
【0062】
この結果に対するメカニズムを図7を参照しながら説明する。図7に示す端部シール562には、説明のため、上流側非当接部W1と下流側非当接部W2に、それぞれ切れ込み部501と、切れ込み部503が設けられている。図7(a)は端部シール562に引っ張り力が加わっていない場合である。引っ張り力が働いていない状態では図7(a)のように、切れ込み部501、503は閉じたままである。一方で、現像ローラ53の回転によって引っ張り力F1が働いた際には、図7(b)のように、切れ込み部の位置によって開き方に差が生じる。
【0063】
現像ローラ53と端部シール562の当接ニップ部Nが、引っ張り力F1が直接作用する領域であると考えられる。引っ張り力F1が働いた際に、引っ張り力F1の起点側にある上流側非当接部W1では端部シール562は伸ばされ、上流側非当接部W1に形成された切り込み部501の切り口が開く。一方、引っ張り力F1の終点にある下流側非当接部W2では切り込み部503の形状はほぼ変化しない。従って、端部シール562の伸ばされる領域に切れ込みを入れること、言い換えると、引っ張り力F1を逃がす部分を設けることで、引っ張り力F1が図3の領域Cの部分に伝播することを防ぐことができると考えられる。
【0064】
また一般に静止摩擦力より動摩擦力の方が小さい。そのため現像ローラ53と、端部シール562に生じる摩擦力は、現像ローラ53が回転し始めるときが一番大きく、現像ローラ53の回転が一定になると小さくなる。つまり引っ張り力F1の大きさも現像ローラ53が回転し始める時が一番大きく、現像ローラ53の回転が一定になると小さくなる。そのため現像ローラ53の回転し始めに、一度、切れ込み部501の切り口は大きく開く。その後、現像ローラ53の回転が一定になると、端部シール562のフェルト植毛材層5621とスポンジ発泡材層5622が有する伸縮性によって、切れ込み部501の形状は引っ張り力F1がかかる前の状態に戻る。
【0065】
こうすることで、印刷動作が繰り返し行われたとき、繰り返し生じる引っ張り力F1をその都度逃がすことができる。
【0066】
なお、図7(c)や図7(d)のように、感光体ドラム1が現像ローラ53を押圧することによっても、端部シール562に引っ張り力が加わる場合がある。このとき図7(c)に示すように、引っ張り力F1と同じ向きに引っ張り力F2が加わることもあれば、逆向きに引っ張り力が加わることもある。また図7(d)に示すように、引っ張り力F1と同じ方向の引っ張り力F2と、引っ張り力F1とは逆向きの引っ張り力F3の、両方の力が加わることも有りうる。引っ張り力F1と逆向きの引っ張り力F3が働く場合には、端部シール562が現像ローラ53と当接する当接部よりも下流側に位置するW2領域に切れ込み部503を入れることで、端部シール562と、現像容器52との間に隙間が空くことを抑制できる。また図7(c)のように引っ張り力F2と引っ張り力F3の、両方の力が働く場合は、端部シール562の上流側非当接部W1と下流側非当接部W2にそれぞれ切れ込み部501、503を入れると、効果的である。なお切れ込み部は複数設けてもかまわない。
【0067】
(切れ込み部が形成される深さの評価)
以下に掲載した表2は、図8(a)と図8(b)に示す切れ込みパターンを比較し、端部シール562に形成した切れ込み部の深さと、領域Cに生じる隙間の有無との関係について示した検討結果である。図8(a)に示す切れ込みパターンは切れ込み部504の深さを端部シール562の上層であるフェルト植毛材層5621の範囲内に収めたものである。図8(b)に示す切れ込みパターンは端部シール562の下層であるスポンジ発泡材層5622まで切れ込み部505を形成したものである。それぞれにおいて、表1での評価手法と同様の方法で、領域Cの部分に生じる隙間の有無を評価した。
【0068】
【表2】

【0069】
評価の結果、領域Cにおいて、端部シール部材に隙間が生じることを抑制する上では、どちらも十分な効果があった。従って切れ込みはフェルト植毛剤層5621、もしくはスポンジ発泡剤層のどちらの深さまで入れた場合も効果を発揮する。但し、スポンジ発泡材層5622まで切れ込みをいれた場合(図8(b)参照)の方が、引っ張り力F1(図7参照)を受けた時に、切れ込み部505の切り口がより広く開く。その結果、より引っ張り力F1が領域C(図3参照)に伝播しにくいことが確かめられた。その為、より強い衝撃に対応する場合や、より長寿命の印刷動作に対応する場合は、スポンジ発泡材層5622まで切れ込みを入れた方が効果的である。
【0070】
(切れ込み部の幅の評価)
さらに発明者らは、端部シール562に形成する切れ込み部の幅について適切な条件を検討したので以下に説明する。
【0071】
先の検討では、端部シール562に切れ込みを入れた際に、切れ込み部をトナーが伝って、トナー漏れが起こる場合があった。
【0072】
発明者らが検討した結果、この現象を防ぐ為には、端部シール562に形成する切れ込み部が端部シール562の一端部562aと他端部562bとを繋げないようにすることが有効であった。以下に掲載した表3を用いて詳細に説明する。
【0073】
【表3】

【0074】
表3は、端部シール562に形成する切れ込み部の幅を異ならせた三種類の切れ込みパターンにおいて、切れ込み部を伝ってトナー漏れが生じるか検討した結果である。
【0075】
検討に使用した切れ込みパターンを図1(a)、図1(b)、図1(c)に示す。図1(a)に示す切れ込みパターン(1a)は、端部シール562の表面を切った切れ込み部500が、現像ローラの回転方向と交差する方向に延び、現像ローラの長手方向における端部シールの一端部562aと他端部562bとを繋げている。
【0076】
図1(b)に示す切れ込みパターン(1b)では、切れ込み部を端部シールの端部のみに形成した。つまり端部シール562は、切れ込み部50として、端部シール562の一端部562aに設けられた一端側切れ込み部50aと、端部シールの他端部562bに設けられた他端側切れ込み部50bを有する。一端側切れ込み部50aおよび他端側切れ込み部50bはともに、現像ローラ53の回転方向と交差する方向に、端部シール562の表面を切った切れ込みである。本実施例では、切れ込みを現像ローラの長手方向とほぼ平行に形成した。
【0077】
一端側切れ込み部50aは端部シール562の表面を一端部562aから他端部562bに至る途中まで切って形成される。また他端側切れ込み部50bは、端部シール562の表面を、他端部562bから、一端部562aに至る途中まで切って形成される。つまり切れ込み部である一端側切れ込み部50aおよび他端側切れ込み部50bがともに、現像ローラ53の長手方向におけるシール部材562の一端部562aと他端部562bとをつなげないように工夫してある。
【0078】
図1(c)に示す切れ込みパターン (1c)では、さらに一端側切れ込み部50aと他端側切れ込み部50bを、互い違いに形成した。つまり、現像ローラ53の長手方向からみて、一端側切れ込み部50aと他端側切れ込み部50bの位置が重ならないように形成した。これにより各切れ込み部を現像ローラ53の長手方向に沿っての広い領域に渡って入れても(切れ込み部の幅を大きくしても)、切れ込み部が、端部シールの一端部562aと他端部562bでつながらないようにしてある。
【0079】
なお、上述の検討結果を鑑み、切れ込みパターン(1a)、(1b)、(1c)のいずれにおいても、その切れ込み部は、上流側非当接部W1に設け、その深さがスポンジ発泡材層5622に至るようにした。
【0080】
切れ込みパターン(1a)、(1b)、(1c)の評価方法は上記の試験と同じく、実際に画像形成装置に、加工を加えた端部シール562を装着し、所定枚数通紙した後画像形成装置を現物確認した。○は切れ込み部を伝ってのトナー漏れ無し、×は切れ込み部を伝ってのトナー漏れ有りと判断した場合である。結果、切れ込みパターン(1b)(図1(b)参照)と切れ込みパターン(1c)(図1(c)参照)は切れ込み部を伝ったトナー漏れを防ぐことができた。尚、領域C(図3参照)における隙間は、どの切れ込みパターンでも発生しなかった。
【0081】
従って、切れ込みが端部シール562の一端部562aと他端部562bでつながらないようにすることで、弊害無くトナー漏れを抑制することができる。尚、切れ込みパターン(1b)に比べて、切れ込みパターン(1c)は広い領域に切れ込みを入れている為、端部シール562が引っ張り力を受けた時に、より、切れ込み部の口が大きく開き、引っ張り力の伝播を抑えることが確かめられた。従って、切れ込みパターン(1b)に比べて、切れ込みパターン(1c)は、より長期に渡ってトナー漏れを抑制可能である。
【0082】
以上を踏まえて、本実施例では端部シール562に形成する切れ込み部として図1(c)に示す切れ込みパターン(1c)の構成を選択した。その結果トナー漏れを低減する耐久性の高い端部シールを提供し、現像装置の耐久性を高めることができた。むろん端部シール562に形成される切れ込み部が、端部シール562の一端部562aと、他端部562bを繋げなければよく、図1(b)に示す切れ込みパターン(1b)を選択しても良い。
【0083】
なお、上述したように、現像ローラ53が感光体ドラム1に斜めに押圧されることで、端部シール562が現像ローラ53の回転方向下流側に向けて引っ張り力F3を受ける場合もある(図7(d)参照)。この場合は、下流側非当接部W2に切れ込み部を設けることが有効である。また上流側非当接部W1と下流側非当接部W2の両方に切れ込み部を設けても良い。その一例として、図9には上流側非当接部W1に一端側切れ込み部50a、他端側切れ込み部50bを設け、下流側非当接部W2に、一端側切れ込み部50cと、他端側切れ込み部50dを形成した構成を示した。
【0084】
また本実施例では図3に示すように現像剤容器52と、端部シール562の境界部に注入シール564を注入することで、現像装置5の枠体(現像剤容器52)と端部シール562の間の隙間を塞いでいた。しかし注入シール564を用いない場合でも、上述の切れ込み部50を端部シール562に形成することは有効である。
【0085】
<実施例2>
本発明の端部シールを用いた他の例を説明する。実施例1では現像装置5の端部シール562に本発明を適用したが、実施例2ではクリーニング装置7の端部シール732に適用する。実施例2の画像形成装置の構成、画像形成動作に関しては実施例1に準ずるものとする。クリーニング装置7を拡大した図10と現像剤収容器72の開口部O2周辺を拡大した図11を参照しながら、クリーニング装置に設けられたシール部材全般について詳述する。図11は図10を矢印D2方向からの見た斜視図である。以下にクリーニング装置7に設けられたシール部材全般73について詳述する。
【0086】
シール部材の一つであるブレード裏シール733は、クリーニングブレード71とクリーニング装置7の枠体(現像剤収容器72)との隙間を埋める部材である。ブレード裏シール733は、現像剤収容器72の開口部O2上部に、クリーニングブレード71の裏側に位置するように設けられる。本実施例では、ブレード裏シール733としてウレタンスポンジシートを両面粘着テープを用いて貼着した。
【0087】
シール部材の一つである吹き出し防止シート731は、感光体ドラム1の下部と開口部O2との間に生じる、長手方向の全域に渡る隙間からトナーが吹き出すことを防止する為に貼着される。吹き出し防止シート731は、ポリエステルフィルム等の可撓性のある素材を用いる。吹き出し防止シート731は、現像剤収容器72の開口部O2の下部に取り付けられており、短手方向のうち一端は自由端となっている。この自由端側の一部が、感光体ドラム1の周面に長手方向全域にわたって当接している。吹き出し防止シート731の一端が自由端となっているのは、感光体ドラム1の回転方向の上流側でトナーを規制することなく、回転方向の下流側で、トナーの封止性を保つ為である。また、吹き出し防止シート731の他端は、現像剤収容器72に、両面テープ等を介して直接貼着されることで、固定端となっている。
【0088】
シール部材の一つである端部シール732は長手方向において開口部O2の両端に位置するように現像剤収容器72に張り付けられる。端部シール732は、感光体ドラム1の周面の当接することで、現像剤収容器72と、感光体ドラム1との間を塞ぎ、現像剤収容器72の外部にトナーが漏れ出ることを抑える。
【0089】
端部シール732は、ブレード裏シール733と接触して配置される構成となっている。また、吹き出し防止シート731は、端部シール732と重なる位置まで長手方向に延びている。これにより、回収現像剤収容器72からトナーが外部に漏れ出ることを抑制している。
【0090】
端部シール732をより詳細に説明する。図12は端部シール732を斜め上方から見た図である。端部シール732は、フェルト植毛材層7321、スポンジ発泡材層7322、両面粘着シート7323に分かれている。両面粘着シート7323はクリーニング装置枠体との接触面に貼られている、フェルト植毛材層5621、スポンジ発泡材層5622は共に可撓性と伸縮性を持つ。それぞれの厚みは、フェルト植毛材層7321は700μm、スポンジ発泡材層7322は2000μm、両面粘着シート7323は100μmのものを用いた。
【0091】
最後に注入シール734について説明する。一般に端部シール732は現像剤収容器72やブレード裏シール733に直接接触することで、トナーが現像剤収容器72の外に洩れ出ることを抑制している。本実施例ではさらに、現像剤収容器72及びブレード裏シール733と端部シール732との境界に注入シール734を注入することで、より端部シール732によるトナーの封止性を高めている。本実施例では、現像剤収容器72の所定の位置に端部シール732とブレード裏シール733が貼着された後、容易に固化する液状エラストマーを注入シール734として注入した。
【0092】
上記クリーニング装置7に用いられる端部シール732への切れ込みについては、実施例1と同様の検討を行い、図12のような切れ込みを選択し実施した。端部シール562における切れ込み部50a、50b等と同様の切れ込み部70a,70bを端部シール732に形成することにより、実施例1と同様の効果を奏する。
【0093】
すなわち、本実施例は、実施例1における現像ローラ53を感光体ドラム1に置き換え、実施例1における端部シール562を端部シール732に置き換えたものとなる。端部シール732の構成および、端部シール732に形成する切れ込み部の構成(形状、位置等)については上述の実施例1に準じて適宜決定する。
【0094】
本実施例では、感光体ドラム1の軸線方向において端部シール732の一端部と他端部に、それぞれ一端側切れ込み部70aと、他端側切れ込み部70bを設けた。一端側切れ込み部70aは、端部シール732の表面を一端部から、他端部に至る途中まで切った切れ込みである。また他端側切れ込み部70bは、端部シール732の表面を他端部から、一端部に至る途中まで切った切れ込みである。すなわち切れ込み部を、感光体ドラム1の長手方向において、端部シール732の一端部と他端部をつながないように形成する。
【0095】
実施例1と同様に実施例2でも、感光体ドラム1の回転方向R1において、切れ込み部を形成する位置は、感光体ドラム1と端部シール732との当接部よりも上流側に設けられた上流側非当接部W11に設けると効果的である。但し、感光体ドラム1が現像ローラ53から押圧される方向によっては、感光体ドラム1と当接する端部シール732の当接部よりも下流側に位置する下流側非当接部W12に切れ込み部を設けてもよい。もしくは、上流側非当接部W11と下流側非当接部W12の両方に切れ込み部を設けても良い。
【0096】
上述した構成を実施することで、図10に示すように端部シール732に引っ張り力F4が加わったとしても、端部シール732とクリーニング装置7の枠体(現像剤収容器72)との境界部C2(図10参照)に、隙間が生じることを抑制できる。その結果、端部シール732は長期に渡ってクリーニング装置7の外部にトナーが漏れることを抑えることが可能になる。
【符号の説明】
【0097】
A 画像形成装置
B プロセスカートリッジ
1 感光体ドラム
5 現像装置
7 クリーニング装置
50 切れ込み部
50a 一端側切れ込み部
50b 他端側きれこみ部
52 現像剤容器
53 現像ローラ
562 端部シール
5621 フェルト植毛材層
5622 スポンジ発泡材層
72 現像剤収容器
732 端部シール
70a 一端側切れ込み部
70b 他端側切れ込み部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
潜像を現像する現像装置において、
枠体と、
前記枠体に回転可能に設けられた、現像剤を担持するための現像剤担持体と、
前記枠体に設けられ、前記現像剤担持体の軸線方向における端部と当接する当接部と、前記現像剤担持体と当接しない非当接部を有するシール部材であって、前記非当接部において、前記シール部材の表面を前記現像剤担持体の回転方向と交差する方向に切った切れ込み部を有するシール部材と、
を備え、
前記切れ込み部は、前記軸線方向における前記シール部材の一端部と他端部とを繋げるものではないことを特徴とする現像装置。
【請求項2】
前記切れ込み部として、前記シール部材は、前記シール部材の表面を、前記一端部から前記他端部に至る途中まで切った一端側切れ込み部と、前記シール部材の表面を、前記他端部から前記一端部に至る途中まで切った他端側切れ込み部と、を有することを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
【請求項3】
前記現像剤担持体の軸線方向から見て、前記一端側切れ込み部と、前記他端側切れ込み部の位置は重ならないことを特徴とする請求項2に記載の現像装置。
【請求項4】
前記非当接部として、前記シール部材は、前記回転方向において前記当接部よりも上流側に位置する上流側非当接部を有し、
前記切れ込み部は、前記上流側非当接部に形成されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の現像装置。
【請求項5】
前記非当接部として、前記シール部材は、前記回転方向において前記当接部よりも下流側に位置する下流側非当接部を有し、
前記切れ込み部は、前記下流側非当接部にも形成されていることを特徴とする請求項4に記載の現像装置。
【請求項6】
前記シール部材は、スポンジからなる下層と、前記現像剤担持体と当接するフェルトが設けられ、前記下層に重なった上層とを有し、前記切れ込み部の深さは、前記上層から前記下層にまで至ることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の現像装置。
【請求項7】
記録媒体に画像を形成する画像形成装置に着脱可能なことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の現像装置。
【請求項8】
像担持体に付着した現像剤を除去するクリーニング装置において、
枠体と、
前記枠体に回転可能に設けられ、現像剤像が形成される像担持体と、
前記枠体に設けられ、前記像担持体の軸線方向における端部と当接する当接部と、前記像担持体と当接しない非当接部を有するシール部材であって、前記非当接部において、前記シール部材の表面を前記像担持体の回転方向と交差する方向に切った切れ込み部を有するシール部材と、
を備え、
前記切れ込み部は、前記軸線方向における前記シール部材の一端部と他端部とを繋げるものではないことを特徴とするクリーニング装置。
【請求項9】
前記切れ込み部として、前記シール部材は、前記シール部材の表面を、前記一端部から前記他端部に至る途中まで切った一端側切れ込み部と、前記シール部材の表面を、前記他端部から前記一端部に至る途中まで切った他端側切れ込み部と、を有することを特徴とする請求項8に記載のクリーニング装置。
【請求項10】
前記像担持体の軸線方向から見て、前記一端側切れ込み部と、前記他端側切れ込み部の位置は重ならないことを特徴とする請求項9に記載のクリーニング装置。
【請求項11】
前記非当接部として、前記シール部材は、前記回転方向において前記当接部よりも上流側に位置する上流側非当接部を有し、
前記切れ込み部は、前記上流側非当接部に形成されることを特徴とする請求項8乃至10のいずれか1項に記載のクリーニング装置。
【請求項12】
前記非当接部として、前記シール部材は、前記回転方向において前記当接部よりも下流側に位置する下流側非当接部を有し、
前記切れ込み部は、前記下流側非当接部にも形成されていることを特徴とする請求項11に記載のクリーニング装置。
【請求項13】
前記シール部材は、スポンジからなる下層と、前記像担持体と当接するフェルトが設けられ、前記下層と重なる上層を有し、前記切れ込み部の深さは、前記上層から前記下層にまで至ることを特徴とする請求項8乃至12のいずれか1項に記載のクリーニング装置。
【請求項14】
記録媒体に画像を形成する画像形成装置に着脱可能なことを特徴とする請求項8乃至13のいずれか1項に記載のクリーニング装置。
【請求項15】
記録媒体に画像を形成する画像形成装置において、
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の現像装置と、
潜像が形成される像担持体と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項16】
記録媒体に画像を形成する画像形成装置において、
請求項8乃至14のいずれか1項に記載のクリーニング装置と、
前記像担持体に現像剤像を形成する現像装置と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−80057(P2013−80057A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−219362(P2011−219362)
【出願日】平成23年10月3日(2011.10.3)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】