現像装置、プロセスカートリッジ及び画像形成装置
【課題】現像装置の未使用時において、現像剤収容部内の現像剤が外部に漏れ出すのを確実に防止することのできる現像装置を提供する。
【解決手段】筐体31には、現像剤収容部35と現像部36との境目となる部位に溝が形成される。この溝は、下側ハウジング32に形成される下溝37、上側ハウジング33に形成される上溝38となる。この溝には、未使用時に剥離シール47が貼着された仕切用枠体46が嵌め込まれる。仕切用枠体46の連通孔46Aは剥離シール47で閉塞される。下溝37と仕切用枠体46の他側面との間には弾性体48が設けられ、弾性体48からの押付力を受けた仕切用枠体46はその一側面と下溝37との間の密着性を高める。
【解決手段】筐体31には、現像剤収容部35と現像部36との境目となる部位に溝が形成される。この溝は、下側ハウジング32に形成される下溝37、上側ハウジング33に形成される上溝38となる。この溝には、未使用時に剥離シール47が貼着された仕切用枠体46が嵌め込まれる。仕切用枠体46の連通孔46Aは剥離シール47で閉塞される。下溝37と仕切用枠体46の他側面との間には弾性体48が設けられ、弾性体48からの押付力を受けた仕切用枠体46はその一側面と下溝37との間の密着性を高める。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真複写機やプリンタ等の画像形成装置に用いられ、像担持体上の潜像を可視象化する現像装置、プロセスカートリッジ及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子写真の原理を応用した記録装置としては、操作性の向上を図ると共に、電子写真プロセスを実行する部材を1つにまとめたカートリッジ(所謂、プロセスカートリッジ)を使用した機種が多く市場に出回っている。
また、記録装置に対する小型化の要求もあり、プロセスカートリッジを構成する各構成要素も小型化が図られてきた。その構成要素の一つに現像装置がある。この現像装置には予め現像剤が充填される現像剤収容部が形成されており、この現像剤収容部内の現像剤は開口部を介して現像剤担持体に輸送されるようになっている。
一方、未使用時のプロセスカートリッジを輸送する際、現像剤収容部内の現像剤が外部へ漏れ出すのを防止するために、前記開口部をシール部材によって封止する技術がある(特許文献1から3、参照)。このシール部材は、使用開始時においてユーザにより剥離されるものである。
特に、特許文献1に開示されているシール部材は、該シール部材が接着もしくは溶着される枠体が現像装置のハウジングとは別部品となっている。このため、枠体をハウジングに組み付ける前、この枠体にシール部材を貼着させておけばよいから、枠体へのシール部材の接着若しくは溶着をが容易になると共に、ハウジングには枠体が入り込む溝が形成されているため、組み立てが簡単になる、という長所を有している。
【特許文献1】特開2002−372862号公報
【特許文献2】特開2003−005517号公報
【特許文献3】特開2006−139073号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、現像装置の未使用時において、現像剤収容部内の現像剤が外部に漏れ出すのを確実に防止することのできる現像装置、プロセスカートリッジ及び画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
前記目的を達成するために、本発明が採用する現像装置の構成は、静電潜像が形成される像担持体に向けて開口する開口部と現像剤が収容される現像剤収容部とを有するハウジングと、前記ハウジングの前記開口部付近に回転可能に取り付けられ、前記現像剤収容部に収容される現像剤を担持して前記像担持体と対向する現像領域まで搬送する現像剤担持体と、前記ハウジングのうち、前記現像剤担持体と前記現像剤収容部の間となる部位に形成された溝に設けられ、前記現像剤収容部を前記開口部側に連通させる連通孔を有する仕切用枠体と、前記仕切用枠体の表裏面のうち一側面に設けられ、未使用時においては前記連通孔を閉塞して前記現像剤収容部を前記開口部側から隔離し、使用直前においては剥離されて前記連通孔を連通させ、前記現像剤収容部を前記開口部側に連通させる仕切手段と、前記仕切用枠体が前記ハウジングの溝に差し込まれる部位に設けられ、前記仕切用枠体を前記溝に対して密着させる密着手段と、を具備することを特徴とする。
【0005】
上記現像装置において、前記密着手段は、前記仕切用枠体の表裏面のうち他側面と前記溝との間に配置されることが好ましい。
【0006】
上記現像装置において、前記仕切手段は、前記仕切用枠体の一側面に貼着されるシート部材であることが好ましい。
【0007】
上記現像装置において、前記密着手段は、前記仕切用枠体と前記溝との間に狭持される弾性部材、シール部材或いは接着部材であるが好ましい。
【0008】
本発明が採用するプロセスカートリッジの構成は、表面に静電潜像が形成される像担持体と、前記像担持体上に形成された静電潜像を現像剤にて可視像化する、請求項1から4のいずれかに記載の現像装置と、を備えることを特徴とする。
【0009】
本発明が採用する画像形成装置は、上記現像装置と、象担持体に静電潜像を形成する潜像形成手段と、前記静電潜像を前記現像装置により可視像化したトナー像を記録媒体に転写する転写手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の発明は、仕切用枠体がハウジングの溝に差し込まれる部位に、前記仕切用枠体を前記溝に対して密着させる密着手段を設けるようにしたから、仕切用枠体と溝との間の密着性を、溝に仕切用枠体を単に嵌め込んだ状態よりも高め、両者の間に発生する隙間をなくすことができる。この結果、当該現像装置の未使用時において、現像剤収容部内の現像剤が外部に漏れ出すのを確実に防止することができる。
これにより、現像装置を交換する際、仕切手段を仕切用枠体から剥離させる作業において、漏れ出していた現像剤でユーザ或いはサービスマンや周囲が汚れるのを確実に防止することが可能となる。
【0011】
請求項2記載の発明は、密着手段を仕切用枠体の表裏面のうち他側面と前記溝との間に配置するこにより、仕切用枠体から仕切手段を剥離する際、仕切手段が密着手段に接触して剥離の邪魔をするのを防止できる。
【0012】
請求項3記載の発明は、仕切手段をシート部材とすることにより、シート部材を板材とする場合に比べて柔軟性があるため、仕切用枠体からの剥離を容易にする。
【0013】
請求項4記載の発明は、密着手段を弾性部材、シール部材或いは接着部材とすることにより、溝に仕切用枠体を単に嵌め込んだ状態よりも、仕切用枠体と溝との密着性を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
[実施形態]
(A:構成)
(A−1:画像形成装置の全体構成)
図1は、本発明による現像装置が搭載される画像形成装置の全体構成を示した図である。
本実施形態に係る画像形成装置1は、所謂タンデム型のカラー画像形成装置であり、装置筐体2内に4つの色(本実施の形態ではイエロ、マゼンタ、シアン、ブラック)の画像形成ユニット11(具体的には11Y,11M,11C,11B)を縦方向に配列し、その下方には供給用の用紙50が収容される給紙カセット51を配設すると共に、各画像形成ユニット11に対応した箇所には給紙カセット51からの用紙50の搬送路となる用紙搬送路52を垂直方向に配置したものである。
【0015】
画像形成ユニット11は、用紙搬送路52の上流側から順に、イエロ用、マゼンタ用、シアン用、ブラック用のトナー像を形成するものであり、各種プロセスユニットを組み込んだプロセスカートリッジ12と、このプロセスカートリッジ12に対して作像用の走査光を照射する露光装置21とを備えている。
【0016】
ここで、プロセスカートリッジ12は、感光体ドラム13と、この感光体ドラム13を予め帯電させる帯電ロール14と、帯電された感光体ドラム13上に前記露光装置21にて露光形成された静電潜像を対応する色トナー(本実施の形態では例えば負極性)で現像する現像装置30と、感光体ドラム13上の廃トナーを除去するクリーニング装置15とを一体的にカートリッジ化したものである。
【0017】
一方、露光装置21は、ケース内に図示しない半導体レーザ、ポリゴンミラー、結像レンズ及びミラーが格納され、半導体レーザからの光をポリゴンミラーで偏向走査し、結像レンズ、ミラーを介して感光体ドラム13上の露光ポイントに光像を導くようにしている。
【0018】
さらに、各画像形成ユニット11の感光体ドラム13に対応した箇所には用紙搬送路52に沿って循環移動する搬送ベルト53が配設されている。この搬送ベルト53は、用紙50を静電吸着し得るベルト素材(ゴム又は樹脂)にて構成され、一対の張架ロール54,55に架設されている。
【0019】
搬送ベルト53の入口部位(張架ロール54対向部位)には用紙吸着ロール56が配設されており、この用紙吸着ロール56に高電圧な吸着電圧を印加することにより、搬送ベルト53に用紙50が吸着される。また、各画像形成ユニット11の感光体ドラム13に対応した搬送ベルト53の裏面側には転写ロール57がそれぞれ配設されており、この転写ロール57により感光体ドラム13と搬送ベルト53上の用紙50とを密着させている。そして、転写ロール50と感光体ドラム13との間には転写バイアス電源による所定の転写バイアスが適宜印加される。
【0020】
また、給紙カセット51の近傍には、用紙50を所定のタイミングで送出するピックアップロール61が設けられており、搬送ロール62及びレジストレーションロール63を介して転写位置へと送り込む。
最下流に位置する画像形成ユニット11Bの下流側に位置する用紙搬送路52には定着装置64が設けられると共に、この定着装置64の下流側には用紙排出用の複数個の排出ロール66が設けられており、装置筐体2の上部に形成された収容トレイ67に排出用紙が収容される。
【0021】
このように構成される画像形成装置にあっては、以下のプロセスによって画像形成が行われる。
各画像形成ユニット11(11Y,11M,11C,11B)では、感光体ドラム13が帯電ロール14により帯電され、露光装置21により感光体ドラム13上に潜像が形成された後に、現像装置30により可視像(トナー像)が形成される。
【0022】
一方、給紙カセット51からの用紙50は、ピックアップロール61にて所定のタイミングで繰り出され、搬送ロール62及びレジストレーションロール63を介して搬送ベルト53の吸着位置へと送り込まれ、搬送ベルト53に吸着された状態で転写位置へと送り込まれる。
各画像形成ユニット11における感光体ドラム13上のトナー像は、転写ロール50により用紙50に順次転写され、定着装置64にて用紙50上の各色成分未定着トナー像が定着された後、定着済みの用紙50は収容トレイ67へ排出される。
【0023】
<プロセスカートリッジの概要>
プロセスカートリッジ12は、感光体ドラム13、帯電ロール14、現像装置30、クリーニング装置15等を具備している。
【0024】
<現像装置の概要>
図2乃至図4は、本実施形態に係る現像装置30を示した図であり、図2は現像装置30の斜視図、図3は要部の分解斜視図、図4は図2中の矢視IV−IV方向から見た断面図である。
現像装置30は、現像剤収容部35,現像部36に分けた部屋と開口部31Aとを有する筐体31と、前記現像剤収容部35に配置された攪拌オーガ41、供給オーガ42と、前記現像部36に配置されたマグロール43、トリマー部材44、パドル45と、を具備している。
【0025】
マグロール43の一部は筐体31の開口部31Aから露出されて感光体ドラム13に近接配置される。トリマー部材44は、マグロール43の表面に担持される現像剤の量を規制する。パドル45は、現像終了後にマグロール43からリリースされた現像剤を供給オーガ42側に戻す。そして、攪拌オーガ41、供給オーガ42、マグロール43、およびパドル45には、同じ駆動源の回転がギアを介して伝達され、各部位が回転駆動される。
【0026】
筐体31は、下側ハウジング32、上側ハウジング33、左右のサイドカバー34,34によって構成される。各部位32〜34を組み立てた筐体31内には、現像剤収容部35と現像部36とに分けられる。現像剤収容部35内には、現像剤Gが充填される。
筐体31には、図4に示すように、現像剤収容部35と現像部36との境目となる部位に溝が形成される。この溝は、下側ハウジング32に形成される下溝37、上側ハウジング33に形成される上溝38となり、サイドカバー34に形成される溝は図示を省略する。この溝には、未使用時に剥離シール47が貼着された仕切用枠体46が嵌め込まれる。
なお、この仕切用枠体46によって、筐体31内を現像剤収容部35と現像部36に分けられる。
下溝37の形状は、図6に示すように、溝幅は入口がW1、奥がW2となり、溝深さは深い部分がH1、浅い部分がH2となって、段付き溝となっている。具体的には、W1:3.5mm、W2:1.5mm、H1:4mm、H2:3.5mmとなっている。
【0027】
ここで、仕切用枠体46と剥離シール47について、図5に基づいて説明する。
仕切用枠体46は、連通孔46Aを有し、一方の長辺にはフランジ部46B(図4参照)が形成されている。また、仕切用枠体46のうち、下溝37に嵌る部位の厚さは、溝幅W2とほぼ同じ厚さとなるように形成されている。前記筐体31および仕切用枠体46は、例えば、ABS樹脂(エンジニアリングブラスチック)によって形成されている。
【0028】
また、剥離シール47は、連通孔46Aを閉塞するように、仕切用枠体46の一側面に、その外周が接着剤によって貼着される。剥離シール47の長さは、仕切用枠体46の長手方向に往復して貼着されるために、2倍以上の長さとなる。剥離シール47は、図5の手前側が折り返し部47Aとなり、基点から折り返し部47Aまでが往路となって仕切用枠体46に貼着され、折り返し部47Aから自由端までが復路となって、この自由端が、サイドカバー34のシール通路(図示せず)を介して外部に引き出される。
【0029】
そして、仕切用枠体46から剥離シール47を剥離する場合には、サイドカバー34から外部に引き出された自由端を矢印A方向に引っ張ることによって、往路の剥離シール47が仕切用枠体46から手前側から順に剥がれ、折り返し部47Aが奥側に順次移動して、往路が仕切用枠体46から剥がれることによって、完全に剥離シール47が剥離され、連通孔46Aが連通する。
【0030】
<実施形態の特徴>
本実施形態による現像装置30の特徴は、図6および図7に示すように、仕切用枠体46が下溝37に差し込まれる部位のうち、仕切用枠体46の他側面に位置して、片面或いは両面に接着層(図示せず)を有する弾性体48を設けたことにある。この弾性体48としては、例えば、トナーシール用のリアルシーラSP(ブリジストン製ポリウレタンフォーム)を材料にした板状体として形成される。
この弾性体48は、図7に示すように、所定間隔毎に複数個設けられ、仕切用枠体46が下溝37に嵌め込まれた状態にあっては、弾性体48からの押付力を受けた仕切用枠体46はその一側面と下溝37との間の密着性を高める。
【0031】
<実験結果>
ここで、上記弾性体48を下溝37に設けている現像装置30と、弾性体48が設けられていない現像装置30´とについて、現像剤の漏れを計測した実験結果を示す。
発明者達は、保管状態にある現像装置を使用する際に現像剤が漏れていることに着目し、現像装置30の姿勢で所定振動を与えた後のマグロール43に付着する現像剤Gの量を測定する実験を行った。
まず、漏れが多く発生すると思われる姿勢は、マグロール43が重力方向で下側を向けた場合と予想し、この姿勢で3台の現像装置30´に対して周波数5Hzから100Hz、振幅3cmのランダム振動を20分間与えた実験1を行った結果、顕著な現像剤の漏れは検知されませんでした。
【0032】
これに反し、マグロール43が重力方向で上側を向けた場合で、前記条件で振動を与えた実験2を行った結果、以下の表1のような漏れが検知された。
【表1】
【0033】
さらに、マグロール43が重力方向で上側を向けた状態で前記条件の振動を与えた後に、マグロール43が重力方向で下側を向けた状態で前記条件の振動を与えた実験3を行った結果、表2のような漏れが検知された。
【表2】
【0034】
これらの結果から、以下のような考察をした。
つまり、実験1のマグロール43を重力方向で下側に向けた状態にあっては、現像剤収容部35内の現像剤Gの重力が仕切用枠体46に掛かるため、溝に対して仕切用枠体46が密着され自由度がなくなり、結果この状態では現像剤は漏れないと考えられる。
【0035】
一方、実験2のマグロール43を重力方向で上側に向けた状態にあっては、現像剤Gの重力は仕切用枠体46には作用せず、溝内で仕切用枠体46に自由度を与えるため、現像剤収容部35内で舞い上がった現像剤Gが、振動している仕切用枠体46と溝との間をすり抜け、このすり抜けがひとたび発生すると抜け道となって現像剤Gが漏れ出すものと考えられる。
【0036】
さらに、実験3の重力方向で上側を向けた状態で振動を与え、その後にマグロール43が重力方向で下側を向けた状態で振動を与え場合には、既に形成された抜け道を通って現像剤Gが漏れるものと考えられる。
【0037】
次に、本実施形態による現像装置30について、実験2,3と同様の実験を行った結果は、以下のようになる。
【表3】
【表4】
実験結果の表1と表2、表3と表4とを比較しても明らかなように、弾性体48を設けることによって、現像剤収容部35からの現像剤Gの漏れの発生が著しく改善されたことがわかる。
【0038】
<実施形態の効果>
以上詳述した如く、本実施形態による現像装置30では、仕切用枠体46が下溝37に差し込まれる部位のうち、仕切用枠体46の他側面に、片面或いは両面に接着層(図示せず)を有する弾性体48を設けることにより、実験結果からも明らかなように、現像剤収容部35から現像部36側に漏れ出す現像剤Gの量を殆ど無くすことができる。この結果、現像装置30を交換する際、剥離シール47を仕切用枠体46から剥離させる作業において、ユーザ或いはサービスマンや周囲が現像剤で汚れるのを確実に防止することが可能となる。
【0039】
また、弾性体48は、仕切用枠体46の表裏面のうち剥離シール47が貼着されていない面側に位置して設けるようにしたから、仕切用枠体46から剥離シール47を剥離する際、剥離シール47が弾性体48に接触或いは挟まって、剥離シール47の剥離動作の妨げになるのを防止し、ひいては剥離シール47が切断されるのを確実に防止することができる。
【0040】
さらに、仕切用枠体46と下溝37との密着性を高めるためには、全週を接着剤で固めればよいが、この場合にはコスト高になると共に、筐体31の再利用が不可能となる。これに対し、本実施形態による現像装置30では、弾性体48によって仕切用枠体46と下溝37との密着性を高めることで、コスト削減を図ると共に、筐体31の再利用も可能にすることができる。
【0041】
<変形例1>
上記実施形態では、密着手段に弾性体48を設ける場合について例示したが、本発明はこれにかぎるものではなく、図8および図9に示すような突起49であってもよい。この突起49は、下溝37が形成される下側ハウジング32に形成されても、仕切用枠体46に形成されても、両部材に形成されてもよい。
また、弾性体48に代えて接着剤を塗布してもよい。この際、下溝37からはみ出さないように注意して塗布量を決める必要がある。さらに、密着手段は、両面テープ、スポンジ等、仕切用枠体46が下溝37に対する密着性を高める部材であればよい。
【0042】
<変形例2>
さらに、前記実施形態および変形例1では、密着手段を下溝37に所定間隔で弾性体48、突起49、接着剤を複数個設けるものとしたが、本発明はこれに限らず、下溝37内でその長手方向に亘って延びるシート状の部材として密着手段を構成するようにしてもよい。
【0043】
<変形例3>
前記実施形態および変形例2,3では、下側ハウジング32の下溝37と仕切用枠体46との間に密着手段を設けるものとしたが、上側ハウジング33或いはサイドカバー34の溝に密着手段を設けてもよいことは勿論である。
【0044】
<変形例4>
前記実施形態では、仕切用枠体46の連通孔46Aを閉塞する仕切手段を、剥離シール47としたが、本発明はこれに限るものではなく、仕切用枠体46にスライド可能な仕切板を仕切手段としてもよい。
また、密着手段は、仕切用枠体46の表裏面のうち剥離シール47が貼着されていない面側に位置して設けるようにしたが、仕切用枠体46の表裏面のうち剥離シール47が貼着されている面に位置して設けるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の実施形態による画像形成装置を示す全体構成図である。
【図2】実施形態による現像装置を示す斜視図である。
【図3】実施形態による現像装置の要部を示す分解斜視図である。
【図4】図2中の矢視IV−IV方向から見た部分断面図である。
【図5】仕切用枠体と剥離シールとを示す斜視図である。
【図6】図4中のa部を拡大して示す断面図である。
【図7】図6中の矢視VII−VII方向から見た部分断面図である。
【図8】変形例による図6と同様位置からの断面図である。
【図9】図8中の矢視IX−IX方向から見た部分断面図である。
【符号の説明】
【0046】
1…画像形成装置、11(11Y,11M,11C,11B)…画像形成ユニット、12…プロセスカートリッジ、13…感光体ドラム、14…帯電ロール、21…露光装置、30…現像装置、31…筐体、31A…開口部、32…下側ハウジング、33…上側ハウジング、34…サイドカバー、35…現像剤収容部、36…現像部、37…下溝、38…上溝、41…攪拌オーガ、42…供給オーガ、43…マグロール、44…トリマー部材、45…パドル、46…仕切用枠体、46A…連通孔、47…剥離シール、48…弾性体、49…突起、53…搬送ベルト、64…定着装置、G…現像剤。
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真複写機やプリンタ等の画像形成装置に用いられ、像担持体上の潜像を可視象化する現像装置、プロセスカートリッジ及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子写真の原理を応用した記録装置としては、操作性の向上を図ると共に、電子写真プロセスを実行する部材を1つにまとめたカートリッジ(所謂、プロセスカートリッジ)を使用した機種が多く市場に出回っている。
また、記録装置に対する小型化の要求もあり、プロセスカートリッジを構成する各構成要素も小型化が図られてきた。その構成要素の一つに現像装置がある。この現像装置には予め現像剤が充填される現像剤収容部が形成されており、この現像剤収容部内の現像剤は開口部を介して現像剤担持体に輸送されるようになっている。
一方、未使用時のプロセスカートリッジを輸送する際、現像剤収容部内の現像剤が外部へ漏れ出すのを防止するために、前記開口部をシール部材によって封止する技術がある(特許文献1から3、参照)。このシール部材は、使用開始時においてユーザにより剥離されるものである。
特に、特許文献1に開示されているシール部材は、該シール部材が接着もしくは溶着される枠体が現像装置のハウジングとは別部品となっている。このため、枠体をハウジングに組み付ける前、この枠体にシール部材を貼着させておけばよいから、枠体へのシール部材の接着若しくは溶着をが容易になると共に、ハウジングには枠体が入り込む溝が形成されているため、組み立てが簡単になる、という長所を有している。
【特許文献1】特開2002−372862号公報
【特許文献2】特開2003−005517号公報
【特許文献3】特開2006−139073号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、現像装置の未使用時において、現像剤収容部内の現像剤が外部に漏れ出すのを確実に防止することのできる現像装置、プロセスカートリッジ及び画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
前記目的を達成するために、本発明が採用する現像装置の構成は、静電潜像が形成される像担持体に向けて開口する開口部と現像剤が収容される現像剤収容部とを有するハウジングと、前記ハウジングの前記開口部付近に回転可能に取り付けられ、前記現像剤収容部に収容される現像剤を担持して前記像担持体と対向する現像領域まで搬送する現像剤担持体と、前記ハウジングのうち、前記現像剤担持体と前記現像剤収容部の間となる部位に形成された溝に設けられ、前記現像剤収容部を前記開口部側に連通させる連通孔を有する仕切用枠体と、前記仕切用枠体の表裏面のうち一側面に設けられ、未使用時においては前記連通孔を閉塞して前記現像剤収容部を前記開口部側から隔離し、使用直前においては剥離されて前記連通孔を連通させ、前記現像剤収容部を前記開口部側に連通させる仕切手段と、前記仕切用枠体が前記ハウジングの溝に差し込まれる部位に設けられ、前記仕切用枠体を前記溝に対して密着させる密着手段と、を具備することを特徴とする。
【0005】
上記現像装置において、前記密着手段は、前記仕切用枠体の表裏面のうち他側面と前記溝との間に配置されることが好ましい。
【0006】
上記現像装置において、前記仕切手段は、前記仕切用枠体の一側面に貼着されるシート部材であることが好ましい。
【0007】
上記現像装置において、前記密着手段は、前記仕切用枠体と前記溝との間に狭持される弾性部材、シール部材或いは接着部材であるが好ましい。
【0008】
本発明が採用するプロセスカートリッジの構成は、表面に静電潜像が形成される像担持体と、前記像担持体上に形成された静電潜像を現像剤にて可視像化する、請求項1から4のいずれかに記載の現像装置と、を備えることを特徴とする。
【0009】
本発明が採用する画像形成装置は、上記現像装置と、象担持体に静電潜像を形成する潜像形成手段と、前記静電潜像を前記現像装置により可視像化したトナー像を記録媒体に転写する転写手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の発明は、仕切用枠体がハウジングの溝に差し込まれる部位に、前記仕切用枠体を前記溝に対して密着させる密着手段を設けるようにしたから、仕切用枠体と溝との間の密着性を、溝に仕切用枠体を単に嵌め込んだ状態よりも高め、両者の間に発生する隙間をなくすことができる。この結果、当該現像装置の未使用時において、現像剤収容部内の現像剤が外部に漏れ出すのを確実に防止することができる。
これにより、現像装置を交換する際、仕切手段を仕切用枠体から剥離させる作業において、漏れ出していた現像剤でユーザ或いはサービスマンや周囲が汚れるのを確実に防止することが可能となる。
【0011】
請求項2記載の発明は、密着手段を仕切用枠体の表裏面のうち他側面と前記溝との間に配置するこにより、仕切用枠体から仕切手段を剥離する際、仕切手段が密着手段に接触して剥離の邪魔をするのを防止できる。
【0012】
請求項3記載の発明は、仕切手段をシート部材とすることにより、シート部材を板材とする場合に比べて柔軟性があるため、仕切用枠体からの剥離を容易にする。
【0013】
請求項4記載の発明は、密着手段を弾性部材、シール部材或いは接着部材とすることにより、溝に仕切用枠体を単に嵌め込んだ状態よりも、仕切用枠体と溝との密着性を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
[実施形態]
(A:構成)
(A−1:画像形成装置の全体構成)
図1は、本発明による現像装置が搭載される画像形成装置の全体構成を示した図である。
本実施形態に係る画像形成装置1は、所謂タンデム型のカラー画像形成装置であり、装置筐体2内に4つの色(本実施の形態ではイエロ、マゼンタ、シアン、ブラック)の画像形成ユニット11(具体的には11Y,11M,11C,11B)を縦方向に配列し、その下方には供給用の用紙50が収容される給紙カセット51を配設すると共に、各画像形成ユニット11に対応した箇所には給紙カセット51からの用紙50の搬送路となる用紙搬送路52を垂直方向に配置したものである。
【0015】
画像形成ユニット11は、用紙搬送路52の上流側から順に、イエロ用、マゼンタ用、シアン用、ブラック用のトナー像を形成するものであり、各種プロセスユニットを組み込んだプロセスカートリッジ12と、このプロセスカートリッジ12に対して作像用の走査光を照射する露光装置21とを備えている。
【0016】
ここで、プロセスカートリッジ12は、感光体ドラム13と、この感光体ドラム13を予め帯電させる帯電ロール14と、帯電された感光体ドラム13上に前記露光装置21にて露光形成された静電潜像を対応する色トナー(本実施の形態では例えば負極性)で現像する現像装置30と、感光体ドラム13上の廃トナーを除去するクリーニング装置15とを一体的にカートリッジ化したものである。
【0017】
一方、露光装置21は、ケース内に図示しない半導体レーザ、ポリゴンミラー、結像レンズ及びミラーが格納され、半導体レーザからの光をポリゴンミラーで偏向走査し、結像レンズ、ミラーを介して感光体ドラム13上の露光ポイントに光像を導くようにしている。
【0018】
さらに、各画像形成ユニット11の感光体ドラム13に対応した箇所には用紙搬送路52に沿って循環移動する搬送ベルト53が配設されている。この搬送ベルト53は、用紙50を静電吸着し得るベルト素材(ゴム又は樹脂)にて構成され、一対の張架ロール54,55に架設されている。
【0019】
搬送ベルト53の入口部位(張架ロール54対向部位)には用紙吸着ロール56が配設されており、この用紙吸着ロール56に高電圧な吸着電圧を印加することにより、搬送ベルト53に用紙50が吸着される。また、各画像形成ユニット11の感光体ドラム13に対応した搬送ベルト53の裏面側には転写ロール57がそれぞれ配設されており、この転写ロール57により感光体ドラム13と搬送ベルト53上の用紙50とを密着させている。そして、転写ロール50と感光体ドラム13との間には転写バイアス電源による所定の転写バイアスが適宜印加される。
【0020】
また、給紙カセット51の近傍には、用紙50を所定のタイミングで送出するピックアップロール61が設けられており、搬送ロール62及びレジストレーションロール63を介して転写位置へと送り込む。
最下流に位置する画像形成ユニット11Bの下流側に位置する用紙搬送路52には定着装置64が設けられると共に、この定着装置64の下流側には用紙排出用の複数個の排出ロール66が設けられており、装置筐体2の上部に形成された収容トレイ67に排出用紙が収容される。
【0021】
このように構成される画像形成装置にあっては、以下のプロセスによって画像形成が行われる。
各画像形成ユニット11(11Y,11M,11C,11B)では、感光体ドラム13が帯電ロール14により帯電され、露光装置21により感光体ドラム13上に潜像が形成された後に、現像装置30により可視像(トナー像)が形成される。
【0022】
一方、給紙カセット51からの用紙50は、ピックアップロール61にて所定のタイミングで繰り出され、搬送ロール62及びレジストレーションロール63を介して搬送ベルト53の吸着位置へと送り込まれ、搬送ベルト53に吸着された状態で転写位置へと送り込まれる。
各画像形成ユニット11における感光体ドラム13上のトナー像は、転写ロール50により用紙50に順次転写され、定着装置64にて用紙50上の各色成分未定着トナー像が定着された後、定着済みの用紙50は収容トレイ67へ排出される。
【0023】
<プロセスカートリッジの概要>
プロセスカートリッジ12は、感光体ドラム13、帯電ロール14、現像装置30、クリーニング装置15等を具備している。
【0024】
<現像装置の概要>
図2乃至図4は、本実施形態に係る現像装置30を示した図であり、図2は現像装置30の斜視図、図3は要部の分解斜視図、図4は図2中の矢視IV−IV方向から見た断面図である。
現像装置30は、現像剤収容部35,現像部36に分けた部屋と開口部31Aとを有する筐体31と、前記現像剤収容部35に配置された攪拌オーガ41、供給オーガ42と、前記現像部36に配置されたマグロール43、トリマー部材44、パドル45と、を具備している。
【0025】
マグロール43の一部は筐体31の開口部31Aから露出されて感光体ドラム13に近接配置される。トリマー部材44は、マグロール43の表面に担持される現像剤の量を規制する。パドル45は、現像終了後にマグロール43からリリースされた現像剤を供給オーガ42側に戻す。そして、攪拌オーガ41、供給オーガ42、マグロール43、およびパドル45には、同じ駆動源の回転がギアを介して伝達され、各部位が回転駆動される。
【0026】
筐体31は、下側ハウジング32、上側ハウジング33、左右のサイドカバー34,34によって構成される。各部位32〜34を組み立てた筐体31内には、現像剤収容部35と現像部36とに分けられる。現像剤収容部35内には、現像剤Gが充填される。
筐体31には、図4に示すように、現像剤収容部35と現像部36との境目となる部位に溝が形成される。この溝は、下側ハウジング32に形成される下溝37、上側ハウジング33に形成される上溝38となり、サイドカバー34に形成される溝は図示を省略する。この溝には、未使用時に剥離シール47が貼着された仕切用枠体46が嵌め込まれる。
なお、この仕切用枠体46によって、筐体31内を現像剤収容部35と現像部36に分けられる。
下溝37の形状は、図6に示すように、溝幅は入口がW1、奥がW2となり、溝深さは深い部分がH1、浅い部分がH2となって、段付き溝となっている。具体的には、W1:3.5mm、W2:1.5mm、H1:4mm、H2:3.5mmとなっている。
【0027】
ここで、仕切用枠体46と剥離シール47について、図5に基づいて説明する。
仕切用枠体46は、連通孔46Aを有し、一方の長辺にはフランジ部46B(図4参照)が形成されている。また、仕切用枠体46のうち、下溝37に嵌る部位の厚さは、溝幅W2とほぼ同じ厚さとなるように形成されている。前記筐体31および仕切用枠体46は、例えば、ABS樹脂(エンジニアリングブラスチック)によって形成されている。
【0028】
また、剥離シール47は、連通孔46Aを閉塞するように、仕切用枠体46の一側面に、その外周が接着剤によって貼着される。剥離シール47の長さは、仕切用枠体46の長手方向に往復して貼着されるために、2倍以上の長さとなる。剥離シール47は、図5の手前側が折り返し部47Aとなり、基点から折り返し部47Aまでが往路となって仕切用枠体46に貼着され、折り返し部47Aから自由端までが復路となって、この自由端が、サイドカバー34のシール通路(図示せず)を介して外部に引き出される。
【0029】
そして、仕切用枠体46から剥離シール47を剥離する場合には、サイドカバー34から外部に引き出された自由端を矢印A方向に引っ張ることによって、往路の剥離シール47が仕切用枠体46から手前側から順に剥がれ、折り返し部47Aが奥側に順次移動して、往路が仕切用枠体46から剥がれることによって、完全に剥離シール47が剥離され、連通孔46Aが連通する。
【0030】
<実施形態の特徴>
本実施形態による現像装置30の特徴は、図6および図7に示すように、仕切用枠体46が下溝37に差し込まれる部位のうち、仕切用枠体46の他側面に位置して、片面或いは両面に接着層(図示せず)を有する弾性体48を設けたことにある。この弾性体48としては、例えば、トナーシール用のリアルシーラSP(ブリジストン製ポリウレタンフォーム)を材料にした板状体として形成される。
この弾性体48は、図7に示すように、所定間隔毎に複数個設けられ、仕切用枠体46が下溝37に嵌め込まれた状態にあっては、弾性体48からの押付力を受けた仕切用枠体46はその一側面と下溝37との間の密着性を高める。
【0031】
<実験結果>
ここで、上記弾性体48を下溝37に設けている現像装置30と、弾性体48が設けられていない現像装置30´とについて、現像剤の漏れを計測した実験結果を示す。
発明者達は、保管状態にある現像装置を使用する際に現像剤が漏れていることに着目し、現像装置30の姿勢で所定振動を与えた後のマグロール43に付着する現像剤Gの量を測定する実験を行った。
まず、漏れが多く発生すると思われる姿勢は、マグロール43が重力方向で下側を向けた場合と予想し、この姿勢で3台の現像装置30´に対して周波数5Hzから100Hz、振幅3cmのランダム振動を20分間与えた実験1を行った結果、顕著な現像剤の漏れは検知されませんでした。
【0032】
これに反し、マグロール43が重力方向で上側を向けた場合で、前記条件で振動を与えた実験2を行った結果、以下の表1のような漏れが検知された。
【表1】
【0033】
さらに、マグロール43が重力方向で上側を向けた状態で前記条件の振動を与えた後に、マグロール43が重力方向で下側を向けた状態で前記条件の振動を与えた実験3を行った結果、表2のような漏れが検知された。
【表2】
【0034】
これらの結果から、以下のような考察をした。
つまり、実験1のマグロール43を重力方向で下側に向けた状態にあっては、現像剤収容部35内の現像剤Gの重力が仕切用枠体46に掛かるため、溝に対して仕切用枠体46が密着され自由度がなくなり、結果この状態では現像剤は漏れないと考えられる。
【0035】
一方、実験2のマグロール43を重力方向で上側に向けた状態にあっては、現像剤Gの重力は仕切用枠体46には作用せず、溝内で仕切用枠体46に自由度を与えるため、現像剤収容部35内で舞い上がった現像剤Gが、振動している仕切用枠体46と溝との間をすり抜け、このすり抜けがひとたび発生すると抜け道となって現像剤Gが漏れ出すものと考えられる。
【0036】
さらに、実験3の重力方向で上側を向けた状態で振動を与え、その後にマグロール43が重力方向で下側を向けた状態で振動を与え場合には、既に形成された抜け道を通って現像剤Gが漏れるものと考えられる。
【0037】
次に、本実施形態による現像装置30について、実験2,3と同様の実験を行った結果は、以下のようになる。
【表3】
【表4】
実験結果の表1と表2、表3と表4とを比較しても明らかなように、弾性体48を設けることによって、現像剤収容部35からの現像剤Gの漏れの発生が著しく改善されたことがわかる。
【0038】
<実施形態の効果>
以上詳述した如く、本実施形態による現像装置30では、仕切用枠体46が下溝37に差し込まれる部位のうち、仕切用枠体46の他側面に、片面或いは両面に接着層(図示せず)を有する弾性体48を設けることにより、実験結果からも明らかなように、現像剤収容部35から現像部36側に漏れ出す現像剤Gの量を殆ど無くすことができる。この結果、現像装置30を交換する際、剥離シール47を仕切用枠体46から剥離させる作業において、ユーザ或いはサービスマンや周囲が現像剤で汚れるのを確実に防止することが可能となる。
【0039】
また、弾性体48は、仕切用枠体46の表裏面のうち剥離シール47が貼着されていない面側に位置して設けるようにしたから、仕切用枠体46から剥離シール47を剥離する際、剥離シール47が弾性体48に接触或いは挟まって、剥離シール47の剥離動作の妨げになるのを防止し、ひいては剥離シール47が切断されるのを確実に防止することができる。
【0040】
さらに、仕切用枠体46と下溝37との密着性を高めるためには、全週を接着剤で固めればよいが、この場合にはコスト高になると共に、筐体31の再利用が不可能となる。これに対し、本実施形態による現像装置30では、弾性体48によって仕切用枠体46と下溝37との密着性を高めることで、コスト削減を図ると共に、筐体31の再利用も可能にすることができる。
【0041】
<変形例1>
上記実施形態では、密着手段に弾性体48を設ける場合について例示したが、本発明はこれにかぎるものではなく、図8および図9に示すような突起49であってもよい。この突起49は、下溝37が形成される下側ハウジング32に形成されても、仕切用枠体46に形成されても、両部材に形成されてもよい。
また、弾性体48に代えて接着剤を塗布してもよい。この際、下溝37からはみ出さないように注意して塗布量を決める必要がある。さらに、密着手段は、両面テープ、スポンジ等、仕切用枠体46が下溝37に対する密着性を高める部材であればよい。
【0042】
<変形例2>
さらに、前記実施形態および変形例1では、密着手段を下溝37に所定間隔で弾性体48、突起49、接着剤を複数個設けるものとしたが、本発明はこれに限らず、下溝37内でその長手方向に亘って延びるシート状の部材として密着手段を構成するようにしてもよい。
【0043】
<変形例3>
前記実施形態および変形例2,3では、下側ハウジング32の下溝37と仕切用枠体46との間に密着手段を設けるものとしたが、上側ハウジング33或いはサイドカバー34の溝に密着手段を設けてもよいことは勿論である。
【0044】
<変形例4>
前記実施形態では、仕切用枠体46の連通孔46Aを閉塞する仕切手段を、剥離シール47としたが、本発明はこれに限るものではなく、仕切用枠体46にスライド可能な仕切板を仕切手段としてもよい。
また、密着手段は、仕切用枠体46の表裏面のうち剥離シール47が貼着されていない面側に位置して設けるようにしたが、仕切用枠体46の表裏面のうち剥離シール47が貼着されている面に位置して設けるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の実施形態による画像形成装置を示す全体構成図である。
【図2】実施形態による現像装置を示す斜視図である。
【図3】実施形態による現像装置の要部を示す分解斜視図である。
【図4】図2中の矢視IV−IV方向から見た部分断面図である。
【図5】仕切用枠体と剥離シールとを示す斜視図である。
【図6】図4中のa部を拡大して示す断面図である。
【図7】図6中の矢視VII−VII方向から見た部分断面図である。
【図8】変形例による図6と同様位置からの断面図である。
【図9】図8中の矢視IX−IX方向から見た部分断面図である。
【符号の説明】
【0046】
1…画像形成装置、11(11Y,11M,11C,11B)…画像形成ユニット、12…プロセスカートリッジ、13…感光体ドラム、14…帯電ロール、21…露光装置、30…現像装置、31…筐体、31A…開口部、32…下側ハウジング、33…上側ハウジング、34…サイドカバー、35…現像剤収容部、36…現像部、37…下溝、38…上溝、41…攪拌オーガ、42…供給オーガ、43…マグロール、44…トリマー部材、45…パドル、46…仕切用枠体、46A…連通孔、47…剥離シール、48…弾性体、49…突起、53…搬送ベルト、64…定着装置、G…現像剤。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電潜像が形成される像担持体に向けて開口する開口部と現像剤が収容される現像剤収容部とを有するハウジングと、
前記ハウジングの前記開口部付近に回転可能に取り付けられ、前記現像剤収容部に収容される現像剤を担持して前記像担持体と対向する現像領域まで搬送する現像剤担持体と、
前記ハウジングのうち、前記現像剤担持体と前記現像剤収容部の間となる部位に形成された溝に設けられ、前記現像剤収容部を前記開口部側に連通させる連通孔を有する仕切用枠体と、
前記仕切用枠体の表裏面のうち一側面に設けられ、未使用時においては前記連通孔を閉塞して前記現像剤収容部を前記開口部側から隔離し、使用直前においては剥離されて前記連通孔を連通させ、前記現像剤収容部を前記開口部側に連通させる仕切手段と、
前記仕切用枠体が前記ハウジングの溝に差し込まれる部位に設けられ、前記仕切用枠体を前記溝に対して密着させる密着手段と、を具備することを特徴とする現像装置。
【請求項2】
請求項1記載の現像装置において、
前記密着手段は、前記仕切用枠体の表裏面のうち他側面と前記溝との間に配置される
ことを特徴とする現像装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の現像装置において、
前記仕切手段は、前記仕切用枠体の一側面に貼着されるシート部材である
ことを特徴とする現像装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の現像装置において、
前記密着手段は、前記仕切用枠体と前記溝との間に狭持される弾性部材、シール部材或いは接着部材である
ことを特徴とする現像装置。
【請求項5】
表面に静電潜像が形成される像担持体と、
前記像担持体上に形成された静電潜像を現像剤にて可視像化する、請求項1から4のいずれかに記載の現像装置と、を備える
ことを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項6】
請求項1ないし4のいずれかに記載の現像装置と、
象担持体に静電潜像を形成する潜像形成手段と、
前記静電潜像を前記現像装置により可視像化したトナー像を記録媒体に転写する転写手段と、を備える
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
静電潜像が形成される像担持体に向けて開口する開口部と現像剤が収容される現像剤収容部とを有するハウジングと、
前記ハウジングの前記開口部付近に回転可能に取り付けられ、前記現像剤収容部に収容される現像剤を担持して前記像担持体と対向する現像領域まで搬送する現像剤担持体と、
前記ハウジングのうち、前記現像剤担持体と前記現像剤収容部の間となる部位に形成された溝に設けられ、前記現像剤収容部を前記開口部側に連通させる連通孔を有する仕切用枠体と、
前記仕切用枠体の表裏面のうち一側面に設けられ、未使用時においては前記連通孔を閉塞して前記現像剤収容部を前記開口部側から隔離し、使用直前においては剥離されて前記連通孔を連通させ、前記現像剤収容部を前記開口部側に連通させる仕切手段と、
前記仕切用枠体が前記ハウジングの溝に差し込まれる部位に設けられ、前記仕切用枠体を前記溝に対して密着させる密着手段と、を具備することを特徴とする現像装置。
【請求項2】
請求項1記載の現像装置において、
前記密着手段は、前記仕切用枠体の表裏面のうち他側面と前記溝との間に配置される
ことを特徴とする現像装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の現像装置において、
前記仕切手段は、前記仕切用枠体の一側面に貼着されるシート部材である
ことを特徴とする現像装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の現像装置において、
前記密着手段は、前記仕切用枠体と前記溝との間に狭持される弾性部材、シール部材或いは接着部材である
ことを特徴とする現像装置。
【請求項5】
表面に静電潜像が形成される像担持体と、
前記像担持体上に形成された静電潜像を現像剤にて可視像化する、請求項1から4のいずれかに記載の現像装置と、を備える
ことを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項6】
請求項1ないし4のいずれかに記載の現像装置と、
象担持体に静電潜像を形成する潜像形成手段と、
前記静電潜像を前記現像装置により可視像化したトナー像を記録媒体に転写する転写手段と、を備える
ことを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【公開番号】特開2009−145674(P2009−145674A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−323472(P2007−323472)
【出願日】平成19年12月14日(2007.12.14)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年12月14日(2007.12.14)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
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