現像装置、画像形成装置、及び、画像形成システム
【課題】画像の画質の劣化を適切に防止し、かつ、トナー担持体に規制部材を適切に当接させる。
【解決手段】母粒子と該母粒子に外添された粒子状の外添剤とを有するトナー、を担持し、該トナーで像担持体に担持された潜像を現像するトナー担持体であって、該トナー担持体の表面に規則的に配置された凸部を有する回転可能なトナー担持体と、該トナー担持体の表面に当接部にて当接して該表面に担持されたトナーの量を規制する規制部材と、を備える現像装置であって、前記トナーの体積平均粒径をトナー粒径Ａとし、前記外添剤の体積平均粒径を外添剤粒径Ｂとし、前記凸部の十点平均粗さを凸部粗さＣとし、前記規制部材の前記先端が前記凸部に対向する際の該先端と該凸部の間の距離を、距離Ｄとしたときに、前記凸部粗さＣ＜前記外添剤粒径Ｂ＜前記距離Ｄ＜前記トナー粒径Ａ、であることを特徴とする現像装置。
【解決手段】母粒子と該母粒子に外添された粒子状の外添剤とを有するトナー、を担持し、該トナーで像担持体に担持された潜像を現像するトナー担持体であって、該トナー担持体の表面に規則的に配置された凸部を有する回転可能なトナー担持体と、該トナー担持体の表面に当接部にて当接して該表面に担持されたトナーの量を規制する規制部材と、を備える現像装置であって、前記トナーの体積平均粒径をトナー粒径Ａとし、前記外添剤の体積平均粒径を外添剤粒径Ｂとし、前記凸部の十点平均粗さを凸部粗さＣとし、前記規制部材の前記先端が前記凸部に対向する際の該先端と該凸部の間の距離を、距離Ｄとしたときに、前記凸部粗さＣ＜前記外添剤粒径Ｂ＜前記距離Ｄ＜前記トナー粒径Ａ、であることを特徴とする現像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、現像装置、画像形成装置、及び、画像形成システムに関する。
【背景技術】
【０００２】
レーザビームプリンタ等の画像形成装置は既によく知られている。かかる画像形成装置は、例えば、潜像を担持する像担持体と、像担持体に担持された潜像をトナーで現像する現像装置と、を有している。そして、画像形成装置は、コンピュータなどの外部装置から画像信号等が送信されると、像担持体に担持された潜像が現像装置により現像され、トナー像が像担持体上に形成されることとなる。そして、画像形成装置は、当該トナー像を媒体に転写して、最終的に媒体に画像を形成する。
【０００３】
上記の現像装置は、トナーを担持し該トナーで像担持体に担持された潜像を現像するトナー担持体と、該トナー担持体の表面に当接部にて当接して該表面に担持されたトナーの量を規制する規制部材と、を備えている。トナー担持体は、その表面に規則的に配置された凸部を備えており、当該凸部と前記表面の凸部以外の部分とにトナーを担持する。規制部材は、該規制部材の長手方向が該トナー担持体の軸方向に沿うように、かつ、該規制部材の短手方向及び厚み方向における先端が該トナー担持体の回転方向上流側に向くように、設けられている。このような現像装置においては、トナー担持体に担持されたトナーが、規制部材により規制された後に、像担持体上の潜像の現像に供される。
【特許文献１】特開２００６−２５９３８４号公報
【特許文献２】特開２００３−５７９４０号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
ところで、前記画像形成装置においては、前記トナーとして、帯電の立ち上がりの遅いトナー（その帯電量が飽和帯電量まで到達するのに時間がかかるトナー）が用いられる場合がある。そして、このようなトナーで前記潜像を現像する場合には、帯電の立ち上がりの遅さに起因して、いわゆる現像メモリと呼ばれる現象が生じ得る。そして、かかる現象の発生は、画像の画質を劣化させる要因となる。
【０００５】
そこで、上述した現像メモリを抑制するために、トナー担持体の前記表面の、凸部以外の部分に担持されたトナーで、潜像を現像する方式が考えられる。そして、この方式は、前記規制部材の先端が前記トナー担持体の前記凸部に対向する際の該先端と該凸部の間の距離が、前記トナーの体積平均粒径よりも小さくなるように、該規制部材をトナー担持体に当接させることにより、実現される。
【０００６】
しかし、上記においては、前記凸部にはトナーが担持され難くなり、該凸部に対して、規制部材の当接部がトナーを介さず直接当接することがある。そして、前記当接部が凸部に直接当接する際には、該当接部が凸部に密着していまい、これに起因して、回転中のトナー担持体と当接部の間において異音等の不具合が発生し得る。
【０００７】
本発明は、係る課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、画像の画質の劣化を適切に防止し、かつ、トナー担持体に規制部材を適切に当接させることにある。
【課題を解決するための手段】
【０００８】
前記課題を解決するために、主たる本発明は、
母粒子と該母粒子に外添された粒子状の外添剤とを有するトナー、を担持し、該トナーで像担持体に担持された潜像を現像するトナー担持体であって、該トナー担持体の表面に規則的に配置された凸部を有する回転可能なトナー担持体と、
該トナー担持体の表面に当接部にて当接して該表面に担持されたトナーの量を規制する規制部材であって、該規制部材の長手方向が該トナー担持体の軸方向に沿うように、かつ、該規制部材の短手方向及び厚み方向における先端が該トナー担持体の回転方向上流側に向くように、設けられた規制部材と、
を備える現像装置であって、
前記トナーの体積平均粒径をトナー粒径Ａとし、前記外添剤の体積平均粒径を外添剤粒径Ｂとし、前記凸部の十点平均粗さを凸部粗さＣとし、前記規制部材の前記先端が前記凸部に対向する際の該先端と該凸部の間の距離を、距離Ｄとしたときに、
前記トナー粒径Ａ、前記外添剤粒径Ｂ、前記凸部粗さＣ、及び、前記距離Ｄの大きさの関係が、前記凸部粗さＣ＜前記外添剤粒径Ｂ＜前記距離Ｄ＜前記トナー粒径Ａ、であることを特徴とする現像装置である。
【０００９】
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１０】
本明細書及び添付図面の記載により少なくとも次のことが明らかにされる。
【００１１】
母粒子と該母粒子に外添された粒子状の外添剤とを有するトナー、を担持し、該トナーで像担持体に担持された潜像を現像するトナー担持体であって、該トナー担持体の表面に規則的に配置された凸部を有する回転可能なトナー担持体と、
該トナー担持体の表面に当接部にて当接して該表面に担持されたトナーの量を規制する規制部材であって、該規制部材の長手方向が該トナー担持体の軸方向に沿うように、かつ、該規制部材の短手方向及び厚み方向における先端が該トナー担持体の回転方向上流側に向くように、設けられた規制部材と、
を備える現像装置であって、
前記トナーの体積平均粒径をトナー粒径Ａとし、前記外添剤の体積平均粒径を外添剤粒径Ｂとし、前記凸部の十点平均粗さを凸部粗さＣとし、前記規制部材の前記先端が前記凸部に対向する際の該先端と該凸部の間の距離を、距離Ｄとしたときに、
前記トナー粒径Ａ、前記外添剤粒径Ｂ、前記凸部粗さＣ、及び、前記距離Ｄの大きさの関係が、前記凸部粗さＣ＜前記外添剤粒径Ｂ＜前記距離Ｄ＜前記トナー粒径Ａ、であることを特徴とする現像装置。このような現像装置によれば、画像の画質の劣化を適切に防止し、かつ、トナー担持体に規制部材を適切に当接させることが可能となる。
【００１２】
また、かかる現像装置であって、
前記トナー担持体の表面には、前記凸部と、前記トナーを担持する凹部とが、規則的に配置されており、
前記凹部は、前記トナー担持体の周方向に対する傾斜角度が異なる２種類の螺旋状の溝部の底部、であり、
該２種類の螺旋状の溝部は、互いに交差して格子形状をなしており、
前記凸部は、前記２種類の螺旋状の溝部に囲まれた正方形の頂面であり、
該正方形の頂面が有する２本の対角線のうちの一方が前記周方向に沿っていることが望ましい。
【００１３】
また、かかる現像装置であって、
前記凸部には、前記トナー担持体の加工の際に形成された、該トナー担持体の周方向に沿った小溝が、設けられていることが望ましい。かかる場合には、規制部材の当接部がトナー担持体に密着することを、有効に防止できる。
【００１４】
また、かかる現像装置であって、
前記小溝は、該小溝が設けられた前記凸部の、前記周方向における一端から他端にわたって繋がらないように、設けられていることが望ましい。かかる場合には、規制部材の当接部がトナー担持体に密着することを、より有効に防止できる。
【００１５】
また、かかる現像装置であって、
前記トナーは、前記母粒子に外添された複数種類の前記外添剤、を有し、
前記外添剤粒径Ｂは、前記複数種類の外添剤のうちの最も体積平均粒径が大きい外添剤、の体積平均粒径であることが望ましい。かかる場合には、規制部材の当接部がトナー担持体に密着することを、より有効に防止できる。
【００１６】
また、かかる現像装置であって、
前記規制部材は、ゴム弾性体から成ることが望ましい。かかる場合には、凸部に当接部を適切に当接させる効果が、より有効に奏される。
【００１７】
また、（ａ）潜像を担持するための像担持体と、
（ｂ）母粒子と該母粒子に外添された粒子状の外添剤とを有するトナー、を担持し、該トナーで前記像担持体に担持された潜像を現像するトナー担持体であって、該トナー担持体の表面に規則的に配置された凸部を有する回転可能なトナー担持体と、
該トナー担持体の表面に当接部にて当接して該表面に担持されたトナーの量を規制する規制部材であって、該規制部材の長手方向が該トナー担持体の軸方向に沿うように、かつ、該規制部材の短手方向及び厚み方向における先端が該トナー担持体の回転方向上流側に向くように、設けられた規制部材と、
を備える現像装置であって、
前記トナーの体積平均粒径をトナー粒径Ａとし、前記外添剤の体積平均粒径を外添剤粒径Ｂとし、前記凸部の十点平均粗さを凸部粗さＣとし、前記規制部材の前記先端が前記凸部に対向する際の該先端と該凸部の間の距離を、距離Ｄとしたときに、
前記トナー粒径Ａ、前記外添剤粒径Ｂ、前記凸部粗さＣ、及び、前記距離Ｄの大きさの関係が、前記凸部粗さＣ＜前記外添剤粒径Ｂ＜前記距離Ｄ＜前記トナー粒径Ａ、である現像装置と、
（ｃ）を有することを特徴とする画像形成装置。このような画像形成装置によれば、画像の画質の劣化を適切に防止し、かつ、トナー担持体に規制部材を適切に当接させることが可能となる。
【００１８】
また、（Ａ）コンピュータ、及び、
（Ｂ）このコンピュータに接続可能な画像形成装置であって、
（ａ）潜像を担持するための像担持体と、
（ｂ）母粒子と該母粒子に外添された粒子状の外添剤とを有するトナー、を担持し、該トナーで前記像担持体に担持された潜像を現像するトナー担持体であって、該トナー担持体の表面に規則的に配置された凸部を有する回転可能なトナー担持体と、
該トナー担持体の表面に当接部にて当接して該表面に担持されたトナーの量を規制する規制部材であって、該規制部材の長手方向が該トナー担持体の軸方向に沿うように、かつ、該規制部材の短手方向及び厚み方向における先端が該トナー担持体の回転方向上流側に向くように、設けられた規制部材と、
を備える現像装置であって、
前記トナーの体積平均粒径をトナー粒径Ａとし、前記外添剤の体積平均粒径を外添剤粒径Ｂとし、前記凸部の十点平均粗さを凸部粗さＣとし、前記規制部材の前記先端が前記凸部に対向する際の該先端と該凸部の間の距離を、距離Ｄとしたときに、
前記トナー粒径Ａ、前記外添剤粒径Ｂ、前記凸部粗さＣ、及び、前記距離Ｄの大きさの関係が、前記凸部粗さＣ＜前記外添剤粒径Ｂ＜前記距離Ｄ＜前記トナー粒径Ａ、である現像装置と、
（ｃ）を有する画像形成装置、
（Ｃ）を具備したことを特徴とする画像形成システム。このような画像形成システムによれば、画像の画質の劣化を適切に防止し、かつ、トナー担持体に規制部材を適切に当接させることが可能となる。
【００１９】
＝＝＝画像形成装置の全体構成例＝＝＝
次に、図１を用いて、『画像形成装置』としてレーザビームプリンタ（以下、プリンタともいう）１０を例にとって、その概要について説明する。図１は、プリンタ１０を構成する主要構成要素を示した図である。なお、図１には、矢印にて上下方向を示しており、例えば、給紙トレイ９２は、プリンタ１０の下部に配置されており、定着ユニット９０は、プリンタ１０の上部に配置されている。
【００２０】
本実施の形態に係るプリンタ１０は、図１に示すように、『像担持体』の一例としての感光体２０の回転方向に沿って、帯電ユニット３０、露光ユニット４０、ＹＭＣＫ現像ユニット５０、一次転写ユニット６０、中間転写体７０、クリーニングユニット７５を有し、さらに、二次転写ユニット８０、定着ユニット９０、ユーザへの報知手段をなし液晶パネルでなる表示ユニット９５、及び、これらのユニット等を制御しプリンタとしての動作を司る制御ユニット１００を有している。
【００２１】
感光体２０は、円筒状の導電性基材とその外周面に形成された感光層を有し、中心軸を中心に回転可能であり、本実施の形態においては、図１中の矢印で示すように時計回りに回転する。
【００２２】
帯電ユニット３０は、感光体２０を帯電するための装置であり、露光ユニット４０は、レーザを照射することによって帯電された感光体２０上に潜像を形成する装置である。この露光ユニット４０は、半導体レーザ、ポリゴンミラー、Ｆ−θレンズ等を有しており、パーソナルコンピュータ、ワードプロセッサ等の不図示のホストコンピュータから入力された画像信号に基づいて、変調されたレーザを帯電された感光体２０上に照射する。
【００２３】
ＹＭＣＫ現像ユニット５０は、感光体２０上に形成された潜像を、『現像装置』に収容されたトナーＴ、すなわち、ブラック現像装置５１に収容されたブラック（Ｋ）トナー、マゼンタ現像装置５２に収容されたマゼンタ（Ｍ）トナー、シアン現像装置５３に収容されたシアン（Ｃ）トナー、及び、イエロー現像装置５４に収容されたイエロー（Ｙ）トナーを用いて現像するための装置である。
【００２４】
このＹＭＣＫ現像ユニット５０は、前記４つの現像装置５１、５２、５３、５４が装着された状態で回転することにより、前記４つの現像装置５１、５２、５３、５４の位置を動かすことを可能としている。すなわち、このＹＭＣＫ現像ユニット５０は、前記４つの現像装置５１、５２、５３、５４を４つの保持部５５ａ、５５ｂ、５５ｃ、５５ｄにより保持しており、前記４つの現像装置５１、５２、５３、５４は、中心軸５０ａを中心として、それらの相対位置を維持したまま回転可能となっている。そして、１ページ分の画像形成が終了する毎に選択的に感光体２０に対向し、それぞれの現像装置５１、５２、５３、５４に収容されたトナーＴにて、感光体２０上に形成された潜像を順次現像する。なお、前述した４つの現像装置５１，５２，５３，５４の各々は、ＹＭＣＫ現像ユニット５０の前記保持部に対して着脱可能となっている。また、各現像装置の詳細については後述する。
【００２５】
一次転写ユニット６０は、感光体２０に形成された単色トナー像を中間転写体７０に転写するための装置であり、４色のトナーが順次重ねて転写されると、中間転写体７０にフルカラートナー像が形成される。
この中間転写体７０は、ＰＥＴフィルムの表面に錫蒸着層を設けさらにその表層に半導電塗料を形成、積層したエンドレスのベルトであり、感光体２０とほぼ同じ周速度にて回転駆動される。
二次転写ユニット８０は、中間転写体７０上に形成された単色トナー像やフルカラートナー像を紙、フィルム、布等の媒体に転写するための装置である。
定着ユニット９０は、媒体上に転写された単色トナー像やフルカラートナー像を媒体に融着させて永久像とするための装置である。
【００２６】
クリーニングユニット７５は、一次転写ユニット６０と帯電ユニット３０との間に設けられ、感光体２０の表面に当接されたゴム製のクリーニングブレード７６を有し、一次転写ユニット６０によって中間転写体７０上にトナー像が転写された後に、感光体２０上に残存するトナーＴをクリーニングブレード７６により掻き落として除去するための装置である。
【００２７】
制御ユニット１００は、図２に示すようにメインコントローラ１０１と、ユニットコントローラ１０２とで構成され、メインコントローラ１０１には画像信号及び制御信号が入力され、この画像信号及び制御信号に基づく指令に応じてユニットコントローラ１０２が前記各ユニット等を制御して画像を形成する。
【００２８】
次に、このように構成されたプリンタ１０の動作について説明する。
まず、不図示のホストコンピュータからの画像信号及び制御信号がインターフェイス（Ｉ／Ｆ）１１２を介してプリンタ１０のメインコントローラ１０１に入力されると、このメインコントローラ１０１からの指令に基づくユニットコントローラ１０２の制御により感光体２０、及び、中間転写体７０が回転する。感光体２０は、回転しながら、帯電位置において帯電ユニット３０により順次帯電される。
【００２９】
感光体２０の帯電された領域は、感光体２０の回転に伴って露光位置に至り、露光ユニット４０によって、第１色目、例えばイエローＹの画像情報に応じた潜像が該領域に形成される。また、ＹＭＣＫ現像ユニット５０は、イエロー（Ｙ）トナーを収容したイエロー現像装置５４が、感光体２０に対向した現像位置に位置している。
【００３０】
感光体２０上に形成された潜像は、感光体２０の回転に伴って現像位置に至り、イエロー現像装置５４によってイエロートナーで現像される。これにより、感光体２０上にイエロートナー像が形成される。
感光体２０上に形成されたイエロートナー像は、感光体２０の回転に伴って一次転写位置に至り、一次転写ユニット６０によって、中間転写体７０に転写される。この際、一次転写ユニット６０には、トナーＴの帯電極性とは逆の極性の一次転写電圧が印加される。なお、この間、感光体２０と中間転写体７０とは接触しており、また、二次転写ユニット８０は、中間転写体７０から離間している。
【００３１】
上記の処理が、第２色目、第３色目、及び、第４色目について、各々の現像装置毎に順次実行されることにより、各画像信号に対応した４色のトナー像が、中間転写体７０に重なり合って転写される。これにより、中間転写体７０上にはフルカラートナー像が形成される。
【００３２】
中間転写体７０上に形成されたフルカラートナー像は、中間転写体７０の回転に伴って二次転写位置に至り、二次転写ユニット８０によって媒体に転写される。なお、媒体は、給紙トレイ９２から、給紙ローラ９４、レジローラ９６を介して二次転写ユニット８０へ搬送される。また、転写動作を行う際、二次転写ユニット８０は中間転写体７０に押圧されるとともに二次転写電圧が印加される。
媒体に転写されたフルカラートナー像は、定着ユニット９０によって加熱加圧されて媒体に融着される。
【００３３】
一方、感光体２０は一次転写位置を経過した後に、クリーニングユニット７５に支持されたクリーニングブレード７６によって、その表面に付着しているトナーＴが掻き落とされ、次の潜像を形成するための帯電に備える。掻き落とされたトナーＴは、クリーニングユニット７５が備える残存トナー回収部に回収される。
【００３４】
＝＝＝制御ユニットの概要＝＝＝
次に、制御ユニット１００の構成について図２を参照しつつ説明する。制御ユニット１００のメインコントローラ１０１は、インターフェイス１１２を介してホストコンピュータと電気的に接続され、このホストコンピュータから入力された画像信号を記憶するための画像メモリ１１３を備えている。ユニットコントローラ１０２は、装置本体の各ユニット（帯電ユニット３０、露光ユニット４０、ＹＭＣＫ現像ユニット５０、一次転写ユニット６０、クリーニングユニット７５、二次転写ユニット８０、定着ユニット９０、表示ユニット９５）と電気的に接続され、それらが備えるセンサからの信号を受信することによって、各ユニットの状態を検出しつつ、メインコントローラ１０１から入力される信号に基づいて、各ユニットを制御する。
【００３５】
＝＝＝現像装置の構成例＝＝＝
次に、図３乃至図１２を用いて、現像装置の構成例について説明する。図３は、現像装置の概念図である。図４は、現像装置の主要構成要素を示した断面図である。図５は、現像ローラ５１０の斜視模式図である。図６は、現像ローラ５１０の正面模式図である。図７は、凸部５１２、凹部５１５等の形状を示した模式図であり、図７の下図は、図７の上図のＡ−Ａ断面の断面形状を表したものである。図８は、規制ブレード５６０及びブレード支持部材５６４の斜視図である。図９は、現像ローラ５１０に当接する規制ブレード５６０、の先端５６０ｂ周辺の様子を示した拡大模式図である。図１０は、ホルダー５２６の斜視図である。図１１は、ホルダー５２６に、上シール５２０、現像ローラ５１０、規制ブレード５６０及びブレード支持部材５６４が組み付けられている様子を示した斜視図である。図１２は、ホルダー５２６が、ハウジング５４０に取付けられている様子を示した斜視図である。なお、図４に示す断面図は、図３に示す長手方向に垂直な面で現像装置を切り取った断面を表したものである。また、図４においては、図１同様、矢印にて上下方向を示しており、例えば、現像ローラ５１０の中心軸は、感光体２０の中心軸よりも下方にある。また、図４では、イエロー現像装置５４が、感光体２０と対向する現像位置に位置している状態にて示されている。また、図５乃至図７、図９においては、図を分かりやすくするために、凸部５１２等のスケールが実際のものと異なっている。また、図８においては、規制ブレード５６０の長手方向と短手方向が、図９においては、規制ブレード５６０の短手方向と厚み方向が、それぞれ矢印にて示されている。
【００３６】
ＹＭＣＫ現像ユニット５０には、ブラック（Ｋ）トナーを収容したブラック現像装置５１、マゼンタ（Ｍ）トナーを収容したマゼンタ現像装置５２、シアン（Ｃ）トナーを収容したシアン現像装置５３、及び、イエロー（Ｙ）トナーを収容したイエロー現像装置５４が設けられているが、各現像装置の構成は同様であるので、以下、イエロー現像装置５４について説明する。
【００３７】
イエロー現像装置５４は、『トナー担持体』の一例としての現像ローラ５１０、上シール５２０、トナー収容体５３０、ハウジング５４０、トナー供給ローラ５５０、『規制部材』の一例としての規制ブレード５６０、ホルダー５２６等を有している。
【００３８】
現像ローラ５１０は、トナーＴを担持して感光体２０と対向する現像位置に回転することにより搬送し、該トナーＴ（現像ローラ５１０に担持されたトナーＴ）で感光体２０に担持された潜像を現像する。この現像ローラ５１０は、アルミ合金、鉄合金等からなる部材である。現像ローラ５１０は、その中央部５１０ａの表面に凸部５１２及び非凸部５１３を有しており、当該非凸部５１３は、側部５１４及び凹部５１５を備えている。そして、図５乃至図７に示すように、これらは、現像ローラ５１０の表面に規則的に配置されている。なお、本実施の形態においては、凸部５１２と非凸部５１３（側部５１４及び凹部５１５）は、いずれも、トナーＴを担持するためのトナー担持部としての機能を発揮する。そして、現像ローラ５１０は、凸部５１２、側部５１４、及び、凹部５１５に担持されたトナーＴで感光体２０に担持された潜像を現像する。
【００３９】
凸部５１２は、中央部５１０ａの中で最も高い部分であり、図７の上図に示すように、正方形状の頂面となっている。正方形の当該凸部５１２の一辺の長さＬ１（図７の下図参照）は、約５０μｍである。凸部５１２は、正方形の二つの対角線の各々が、それぞれ現像ローラ５１０の回転軸方向及び周方向に沿うように、中央部５１０ａの表面に形成されている。
【００４０】
非凸部５１３は、本実施の形態において、互いに巻き方向の異なる第一溝部５１６及び第二溝部５１８となっている。ここで、第一溝部５１６は、その長手方向が図６中記号Ｘで示された方向に沿った螺旋状の溝であり、第二溝部５１８は、その長手方向が図６中記号Ｙで示された方向に沿った螺旋状の溝である。このため、第一溝部５１６と第二溝部５１８は、互いに交差して格子形状をなしており、前記凸部５１２は、第一溝部５１６と第二溝部５１８に囲まれている。なお、いずれの溝部についても、その長手方向と現像ローラ５１０の回転軸方向との成す鋭角は約４５度となっている（図６参照）。また、溝部の溝幅Ｌ２（換言すると、互いに隣り合う凸部５１２間距離。図７の下図参照）は、凸部５１２の一辺の長さＬ１と同様、約５０μｍである。
【００４１】
側部５１４は、凸部５１２と凹部５１５とを繋ぐ斜面であり、図７の上図に示すように、前述した正方形状の凸部５１２の各辺に対応して４つ設けられている。そして、図５乃至図７に示すように、凸部５１２及び４つの側部５１４（の組）は、現像ローラ５１０の中央部５１０ａの表面に、規則的、かつ、網目状に、多数配置されている。
【００４２】
凹部５１５は、非凸部５１３（すなわち、第一溝部５１６又は第二溝部５１８）の底部に相当し、中央部５１０ａの中で最も低い部分である。この凹部５１５は、図５乃至図７に示すように、凸部５１２及び４つの側部５１４の四方を囲うように、規則的、かつ、網状に、形成されている。なお、図７に示すように、凸部５１２を基準とした凹部５１５（非凸部５１３）の深さｄ（現像ローラ５１０の径方向における凸部５１２から凹部５１５までの長さ）は、約８μｍである。現像ローラ５１０には、当該深さｄが現像ローラ５１０に備えられた全ての凹部５１５間で均一となるように、凸部５１２及び凹部５１５が形成されている。本実施の形態においては、トナーＴは粒状（粒子状）をなし、トナーＴの体積平均粒径は、約４．６μｍであるため、トナーＴの体積平均粒径の大きさは凹部５１５の深さｄよりも小さくなっている。
【００４３】
さらに、上述した凸部５１２、側部５１４、及び、凹部５１５が備えられた中央部５１０ａ、の表面には、無電解Ｎｉ−Ｐメッキが施されている。
【００４４】
また、現像ローラ５１０には、軸部５１０ｂが設けられており、当該軸部５１０ｂが後述するホルダー５２６の現像ローラ支持部５２６ｂによって軸受け５７６を介して支持されることにより（図１１）、現像ローラ５１０が回転自在に支持される。図４に示すように、現像ローラ５１０は、感光体２０の回転方向（図４において時計方向）と逆の方向（図４において反時計方向）に回転する。
【００４５】
また、イエロー現像装置５４が感光体２０と対向している状態で、現像ローラ５１０と感光体２０との間には空隙が存在する。すなわち、イエロー現像装置５４は、現像ローラ５１０に担持されたトナーＴが感光体２０に接触していない非接触状態で、感光体２０上に形成された潜像を現像する。
【００４６】
ハウジング５４０は、一体成型された複数の樹脂製のハウジング部、すなわち、上ハウジング部５４２と下ハウジング部５４４、とを溶着して製造されたものであり、その内部に、トナーＴを収容するためのトナー収容体５３０が形成されている。トナー収容体５３０は、内壁から内方へ（図４の上下方向）突出させたトナーＴを仕切るための仕切り壁５４５により、二つのトナー収容部、すなわち、第一トナー収容部５３０ａと第二トナー収容部５３０ｂと、に分けられている。そして、第一トナー収容部５３０ａと第二トナー収容部５３０ｂとは、上部が連通され、図４に示す状態で、仕切り壁５４５によりトナーＴの移動が規制されている。また、図４に示すように、ハウジング５４０（すなわち、第一トナー収容部５３０ａ）は下部に開口５７２を有しており、現像ローラ５１０が、この開口５７２に臨ませて設けられている。
【００４７】
トナー供給ローラ５５０は、前述した第一トナー収容部５３０ａに設けられ、当該第一トナー収容部５３０ａに収容されたトナーＴを現像ローラ５１０に供給する。このトナー供給ローラ５５０は、ポリウレタンフォーム等からなり、弾性変形された状態で現像ローラ５１０に当接している。トナー供給ローラ５５０は、中心軸を中心として回転可能であり、回転することによりトナーＴを現像ローラ５１０と当接する当接位置へ搬送する。そして、当該当接位置において、トナーＴがトナー供給ローラ５５０と現像ローラ５１０とにより摩擦帯電され、帯電されたトナーＴが、現像ローラ５１０に付着し、該現像ローラ５１０に適切に担持されることとなる。このようにして、トナー供給ローラ５５０はトナーＴを現像ローラ５１０へ供給する。
【００４８】
なお、トナー供給ローラ５５０は、現像ローラ５１０の回転方向（図４において反時計方向）と逆の方向（図４において時計方向）に回転する。また、トナー供給ローラ５５０は、トナーＴを現像ローラ５１０に供給する機能だけでなく、現像後に現像ローラ５１０に残存しているトナーＴを、現像ローラ５１０から剥ぎ取る機能をも有している。
【００４９】
上シール５２０は、現像ローラ５１０にその回転軸方向に沿って当接して、現像位置を通過後に現像ローラ５１０上に残留しているトナーＴのハウジング５４０内への移動を許容し、かつ、ハウジング５４０内のトナーＴのハウジング５４０外への移動を規制する。この上シール５２０は、ポリエチレンフィルム等からなるシールである。上シール５２０は、後述するホルダー５２６の上シール支持部５２６ａによって支持されており、また、その長手方向が現像ローラ５１０の回転軸方向に沿うように設けられている（図１１）。
【００５０】
また、上シール５２０の、現像ローラ５１０に当接する当接面５２０ｂ、とは反対側の面（当該面を、反対面５２０ｃとも呼ぶ）と、前記上シール支持部５２６ａとの間には、モルトプレーン等の弾性体からなる上シール付勢部材５２４が圧縮した状態で設けられている。この上シール付勢部材５２４は、その付勢力で上シール５２０を現像ローラ５１０側へ付勢することにより、上シール５２０を現像ローラ５１０に押しつけている。
【００５１】
規制ブレード５６０は、現像ローラ５１０の回転軸方向一端部から他端部に亘って規制ブレード５６０の長手方向が現像ローラ５１０の回転軸方向に沿うように当接部５６０ａにて現像ローラ５１０に当接して、現像ローラ５１０（凸部５１２及び非凸部５１３）に担持されたトナーＴの量を規制し、また、現像ローラ５１０に担持されたトナーＴに電荷を付与する。
【００５２】
この規制ブレード５６０は、『ゴム弾性体』の一例であるシリコンゴム、ウレタンゴム等からなり、図４及び図８に示すように、ブレード支持部材５６４により支持されている。ブレード支持部材５６４は、薄板５６４ａと薄板支持部５６４ｂとから構成されており、その短手方向一端部５６４ｄ（すなわち、薄板５６４ａ側の端部）で規制ブレード５６０を支持する。薄板５６４ａは、リン青銅、ステンレス等からなり、バネ性を有している。薄板５６４ａは、規制ブレード５６０を直接的に支持しており、その付勢力によって規制ブレード５６０を現像ローラ５１０に押しつけている。薄板支持部５６４ｂは、ブレード支持部材５６４の短手方向他端部５６４ｅに配置された金属製の板金であり、当該薄板支持部５６４ｂは、前記薄板５６４ａの、規制ブレード５６０を支持している側とは逆側の端、を支持した状態で、当該薄板５６４ａに取り付けられている。そして、規制ブレード５６０及びブレード支持部材５６４は、薄板支持部５６４ｂの長手方向両端部５６４ｃが後述するホルダー５２６の規制ブレード支持部５２６ｃによって支持された状態で、当該規制ブレード支持部５２６ｃに取付けられている。
【００５３】
また、規制ブレード５６０は、図９に示すように、当該規制ブレード５６０の短手方向及び厚み方向における先端５６０ｂが現像ローラ５１０の回転方向上流側を向くように配置されている。すなわち、規制ブレード５６０は、いわゆるカウンタ当接している。
【００５４】
また、当該先端５６０ｂは、図９に示すように、現像ローラ５１０に当接しておらず、現像ローラ５１０に当接する前記当接部５６０ａは、当該先端５６０ｂから離れた位置に位置している。さらに、本実施の形態においては、回転する現像ローラ５１０の、前記凸部５１２及び凹部５１５のうちの凸部５１２、に当該先端５６０ｂが対向する際の（図９には、かかる状態、すなわち、現像ローラ５１０が回転して先端５６０ｂが凸部５１２に対向するようになった状態、が示されている。凸部５１２上の対向部を符号５１２ａで示す）、当該先端５６０ｂから当該凸部５１２までの距離ｇ（換言すれば、当該距離ｇは、先端５６０ｂから図４において記号Ｃで示される現像ローラ５１０の断面の中心へ向けて仮想線を引いたときの、当該仮想線と凸部５１２との交点、から先端５６０ｂまでの仮想線の長さに相当する）が、極めて小さくなっている。より具体的には、当該距離ｇは、約２μｍとなっており、トナーＴの体積平均粒径（約４．６μｍ）よりも小さい値となっている。
【００５５】
また、図１１に示すように、規制ブレード５６０の長手方向外側には、端部シール５７４が設けられている。当該端部シール５７４は、不織布により形成されており、現像ローラ５１０の回転軸方向端部に、当該現像ローラ５１０の周面に沿って接触して、その周面とハウジング５４０との間からのトナーＴの漏れを防止する機能を発揮する。
【００５６】
ホルダー５２６は、現像ローラ５１０等の種々の部材を組み付けるための金属製の部材であり、図１０に示すように、その長手方向（すなわち、現像ローラ５１０の回転軸方向）に沿った上シール支持部５２６ａと、前記長手方向（前記回転軸方向）において上シール支持部５２６ａの外側に設けられ、前記長手方向（前記回転軸方向）と交差する現像ローラ支持部５２６ｂと、当該現像ローラ支持部５２６ｂと交差し、前記上シール支持部５２６ａの長手方向端部に対向する規制ブレード支持部５２６ｃと、を有している。
【００５７】
そして、図１１に示すように、上シール５２０は、その短手方向端部５２０ａ（図４）にて、上シール支持部５２６ａによって支持されており、また、現像ローラ５１０は、その端にて、現像ローラ支持部５２６ｂにより支持されている。さらに、規制ブレード５６０及びブレード支持部材５６４は、当該ブレード支持部材５６４の長手方向両端部５６４ｃにて、規制ブレード支持部５２６ｃにより、支持されている。規制ブレード５６０及びブレード支持部材５６４は、当規制ブレード支持部５２６ｃにネジ止めされることにより、ホルダー５２６に固定されている。このように、上シール５２０と、現像ローラ５１０と、規制ブレード５６０及びブレード支持部材５６４と、が組付けられたホルダー５２６は、図１２に示すように、ホルダー５２６とハウジング５４０との間からのトナーＴの漏れを防止するためのハウジングシール５４６（図４）を介して、前述したハウジング５４０に取り付けられている。
【００５８】
このように構成されたイエロー現像装置５４において、トナー供給ローラ５５０がトナー収容体５３０に収容されているトナーＴを現像ローラ５１０に供給する。かかる供給の際に、トナーＴがトナー供給ローラ５５０と現像ローラ５１０とにより摩擦帯電され、帯電されたトナーＴが、現像ローラ５１０に付着し、該現像ローラ５１０に適切に担持されることとなる。現像ローラ５１０に担持されたトナーＴは、現像ローラ５１０の回転に伴って、規制ブレード５６０に至り、当該規制ブレード５６０により、トナーＴの量が規制され、トナーＴがさらに摩擦帯電される。現像ローラ５１０上のトナーＴは、現像ローラ５１０のさらなる回転によって、感光体２０に対向する現像位置に至り、該現像位置にて交番電界下で感光体２０上に形成された潜像の現像に供される。現像ローラ５１０のさらなる回転によって現像位置を通過した現像ローラ５１０上のトナーＴは、上シール５２０を通過して、上シール５２０によって掻き落とされることなく現像装置内に回収される。さらに、未だ現像ローラ５１０に残存しているトナーＴは、前記トナー供給ローラ５５０によって剥ぎ取られうる。
【００５９】
＝＝＝現像メモリ発生のメカニズム＝＝＝
「発明が解決しようとする課題」の項で説明したとおり、プリンタ１０において、帯電の立ち上がりが遅いトナー（その帯電量が飽和帯電量まで到達するのに時間がかかるトナー）が用いられる場合には、当該帯電の立ち上がりの遅さに起因して、所謂現像メモリと呼ばれる現象が生じ得る。ここでは、このような現像メモリ発生のメカニズムについて図１３を用いて説明する。図１３は、現像メモリ発生のメカニズムを説明するための説明図である。
【００６０】
前述したとおり、トナーは、トナー供給ローラ５５０と現像ローラ５１０とにより摩擦帯電され、帯電されたトナーが、現像ローラ５１０に付着し、該現像ローラ５１０に担持される。そして、現像ローラ５１０に担持されたトナーは、規制ブレード５６０により、さらに摩擦帯電された後、感光体２０に対向する現像位置に至り、該現像位置にて潜像の現像に供される。すなわち、現像ローラ５１０が１周する際に実行される以下のプロセス、すなわち、トナー供給ローラ５５０によるトナーの帯電及び供給（現像ローラ５１０にトナーを担持させる）プロセス、規制ブレード５６０によるトナーの帯電プロセス、感光体２０上の潜像の現像プロセス、が、現像ローラ５１０が複数周することにより、複数回実行されることになる。そして、例えば、現像ローラ５１０のｎ周目の上記一連のプロセスが実行されることにより感光体２０上に形成されるトナー像と、現像ローラ５１０のｎ＋１周目の上記一連のプロセスが実行されることにより感光体２０上に形成されるトナー像は、感光体２０の周方向において並んだ状態となる。
【００６１】
ここで、本項においては、現像ローラ５１０のｎ周目の上記一連のプロセスが実行されることにより、アルファベット「Ｏ」を表す潜像が現像されて、感光体２０上にアルファベット「Ｏ」を表すトナー像が形成され、現像ローラ５１０のｎ＋１周目の上記一連のプロセスが実行されることにより、潜像が現像されて、感光体２０の全面にハーフトーン像が形成されることとして、当該現像ローラ５１０の上記プロセスについて考察する。そして、当該考察により、現像メモリ発生のメカニズムを明らかにする。
【００６２】
現像ローラ５１０のｎ週目の前記現像プロセスにおいてアルファベット「Ｏ」を表す潜像が現像される際には、現像ローラ５１０に担持されたトナーのうち、現像ローラ５１０の当該潜像と対向する部分、に担持されたトナーは、トナー像の形成のために消費される。そのため、現像ローラ５１０のｎ週目の前記現像プロセスの終了後には、当該対向する部分は、トナーが担持されていない状態となる。その一方で、現像ローラ５１０の当該潜像と対向しない部分、に担持されたトナーは消費されないため、当該現像プロセスの終了後においても、当該対向しない部分には、トナーが担持されていることとなる。このように、現像ローラ５１０のｎ週目の上記一連のプロセスが終了すると、現像ローラ５１０上には、トナーが担持されていない第一領域（この第一領域は、「Ｏ」の文字を象った状態となる）とトナーが担持されている第二領域とが生ずることとなる。
【００６３】
そして、当該第一領域と第二領域は、現像ローラ５１０が回転することにより、やがて、トナー供給ローラ５５０と当接する当接位置に至り、現像ローラ５１０のｎ＋１周目の上記一連のプロセスが開始されることとなる。すなわち、当該当接位置にて、ｎ＋１周目のトナー供給ローラ５５０によるトナーの帯電及び供給プロセス、が実行される。
【００６４】
ここで、第二領域には、トナーが既に担持されており、当該トナーは、ｎ周目のトナー供給ローラ５５０によるトナーの帯電及び供給プロセス、及び、ｎ周目の規制ブレード５６０によるトナーの帯電プロセス、の実行により十分帯電された状態となっている。そして、当該トナーは、（トナー供給ローラ５５０によって剥ぎ取られることなく、）本プロセスが実行されることによりさらに帯電されるから、トナーの、現像ローラ５１０に付着する付着力、がさらに高められることとなる。したがって、当該トナーは、現像ローラ５１０に担持された状態が維持されたまま、次のプロセスの実行のために規制ブレード５６０に向けて搬送されることとなる。
【００６５】
一方、第一領域は、トナーが担持されていない状態となっているため、トナー収容体５３０に収容されているトナーが、新たに当該第一領域に供給されることとなる。ここで、当該トナーについては、ｎ周目のトナーの帯電プロセスの実行により十分帯電された第二領域のトナーとは異なり、その帯電が不十分な状態となっている。そして、トナーは、本プロセスにおいて、トナー供給ローラ５５０と現像ローラ５１０とにより摩擦帯電されるが、当該トナーが帯電の立ち上がりが遅い（帯電量が飽和帯電量まで到達するのに時間がかかる）性質を有するトナーである場合には、摩擦帯電が行われた際にトナーが現像ローラ５１０に適切に担持されないこととなる（このことは、第一領域において、トナー供給ローラ５５０によるトナー供給が十分に実行されていないとも言える）。
【００６６】
そして、トナーが適切に担持されていない第一領域とトナーが適切に担持された第二領域は、ｎ＋１周目の規制ブレード５６０によるトナーの帯電プロセスの実行のために規制ブレード５６０に至った後、感光体２０に対向する現像位置に到達する。ここで、ｎ＋１周目の現像プロセスが実行され、潜像が現像されることにより感光体２０の全面にハーフトーン像が形成されるが、第二領域にはトナーが適切に担持されている一方で、第一領域にはトナーが適切に担持されていないため、第一領域と対向する潜像が現像されることにより形成されるハーフトーン像の濃度は、第二領域と対向する潜像が現像されることにより形成されるハーフトーン像の濃度よりも薄くなる。
【００６７】
この（双方の濃度に差異がある）様子を、図１３に示す。図１３には、現像ローラ５１０のｎ周目の上記一連のプロセスが実行されることにより感光体２０上に形成されたアルファベット「Ｏ」を表すトナー像と、現像ローラ５１０のｎ＋１周目の上記一連のプロセスが実行されることにより感光体２０上に形成されたハーフトーン像とを示している。本図においては、感光体２０に形成されたトナー像を、模式的に展開させた感光体２０、の周面上に表しており、感光体２０の周方向と軸方向とが矢印で示されている。本図に示されている長さＬは、現像ローラ５１０の周面の１周分の長さに相当する。
【００６８】
そして、図１３には、第一領域と対向する潜像が現像されることにより形成されるハーフトーン像（図中、符号Ａ１で示す）の濃度が、第二領域と対向する潜像が現像されることにより形成されるハーフトーン像（図中、符号Ａ２で示す）の濃度よりも薄くなっている様子が表されている。また、前述したとおり、第一領域は「Ｏ」の文字を象るため、第一領域と対向する潜像が現像されることにより形成される、より濃度の薄いハーフトーン像も、「Ｏ」の文字を象ることとなる。つまり、ｎ＋１周目の上記一連のプロセスが実行されることにより感光体２０上に形成されたハーフトーン像に、ｎ周目の上記一連のプロセスが実行されることにより感光体２０上に形成されたトナー像の形態が現れてしまう現象、すなわち、現像メモリ、が発生することとなる。
【００６９】
このように、プリンタ１０において、帯電の立ち上がりが遅いトナーが用いられる場合には、当該帯電の立ち上がりの遅さに起因して、現像メモリが顕著に生じ得る。
【００７０】
逆に言えば、帯電の立ち上がりが速いトナーが用いられる場合には、ｎ＋１周目のトナーの帯電及び供給プロセスにおいて、トナー供給ローラ５５０と現像ローラ５１０とによりトナーが摩擦帯電される際に、第一領域においても、トナーが現像ローラ５１０に適切に担持されるため、第一領域と対向する潜像が現像されることにより形成されるハーフトーン像の濃度と第二領域と対向する潜像が現像されることにより形成されるハーフトーン像の濃度が略同様となる。そのため、かかる場合には、現像メモリの発生が抑えられることとなる。
【００７１】
＝＝＝本実施の形態に係るトナーの構成、及び、当該トナーの構成と現像メモリの発生程度との関係、について＝＝＝
上述したとおり、プリンタ１０において、帯電の立ち上がりが遅いトナーが用いられる場合には、当該帯電の立ち上がりの遅さに起因して、現像メモリが顕著に生じ得る。そして、トナー帯電の立ち上がり速さは、トナーの構成に関連しているため、トナーの構成と現像メモリの発生程度との間には、一定の関係があることとなる。
【００７２】
ここでは、先ず、本実施の形態に係るトナー、すなわち、本実施の形態に係るプリンタ１０に用いられるトナー、の構成について説明する。そして、これに引き続いて、本実施の形態に係るトナーの構成と現像メモリの発生程度との関係について考察する。
【００７３】
＜＜＜本実施の形態に係るトナーの構成について＞＞＞
１）トナーの粒径について
本実施の形態に係るプリンタ１０において用いられるトナーについては、最終的に得られる画像の画質を良好なものとする（ドットの再現性を良くする）ことを重視して、トナーの粒径が、従来一般的に使用されてきたトナーの粒径（体積平均粒径が５μｍより大きい）よりも小さくなっている（すなわち、体積平均粒径が５μｍ以下）。より具体的には、前述したとおり、その体積平均粒径Ａｖｅが、約４．６μｍとなっている。また、３σ値、すなわち、体積平均粒径Ａｖｅからトナーの粒径分布における標準偏差σの３倍を減じた値及び体積平均粒径にトナーの粒径分布における標準偏差σの３倍を加えた値は、それぞれ約２．３μｍ、約６．９μｍとなっている。
【００７４】
なお、前記体積平均粒径とは、粒径Ｒi（i＝1...,n）のトナーの体積占有率が、それぞれＰi（i＝1...,n、Ｐ1からＰnまでの総和は１）のときに、ＲiとＰiとの積の、i＝1からｎまでの総和により算出される値である。また、前記標準偏差σとは、分散の平方根であり、当該分散は、Ｒi（i＝1...,n）とＡｖｅの差、の２乗値とＰiとの積の、i＝1からｎまでの総和により算出される値である。
【００７５】
２）トナーの円形度について
本実施の形態に係るプリンタ１０において用いられるトナーについては、一次転写や二次転写における転写性を重視して、トナーの円形度が、従来一般的に使用されてきたトナーの円形度（円形度が０．９５０未満）よりも大きくなっている（真円に近くなっている。円形度は、０．９５０以上）。より具体的には、その円形度が、約０．９６０〜０．９８５となっている。
【００７６】
３）帯電制御剤（ＣＣＡ）について
本実施の形態に係るプリンタ１０において用いられるトナーには、帯電制御剤（ＣＣＡ）が含有されていない。
【００７７】
代表的なトナーの製造方法としては、粉砕法及び重合法があるが、重合法の方が、小粒径のトナーの製造や高円形度のトナーの製造に適しているため、本実施の形態に係るトナーは重合法により製造される。そして、トナーの製造方法として、重合法が用いられる場合には、帯電制御剤（ＣＣＡ）を入れると不都合が生じる可能性があるため、本実施の形態においては、トナーに帯電制御剤（ＣＣＡ）が含有されていない。
【００７８】
なお、重合法としては、懸濁重合法、乳化重合法等を挙げることができる。懸濁重合法においては、重合性単量体、着色剤（着色顔料）、離型剤、必要により更に、染料、重合開始剤、架橋剤、その他の添加剤を溶解又は分散させた単量体組成物を、懸濁安定剤（水溶性高分子、難水溶性無機物質）を含む水相中に撹拌しながら添加して造粒、重合させ、所望の粒子サイズを有する着色トナー粒子（『母粒子』）を形成することができる。乳化重合法においては、単量体と離型剤、必要により更に重合開始剤、乳化剤（界面活性剤）などを水中に分散させて重合を行い、次いで凝集過程で着色剤（着色顔料）と凝集剤（電解質）等を添加することによって所望の粒子サイズを有する着色トナー粒子（『母粒子』）を形成することができる。
【００７９】
そして、本実施の形態に係るトナーは、乳化重合法によって製造されており、以下においては、上述した４色のトナー（ブラックトナー、マゼンタトナー、シアントナー、イエロートナー）のうちのシアントナーの、乳化重合法による製造方法について説明する。
【００８０】
まず、単量体（モノマー）であるスチレンモノマー８０質量部、アクリル酸ブチル２０質量部、およびアクリル酸５質量部からなるモノマー混合物を、水１０５質量部、ノニオン乳化剤（第一工業製薬製エマルゲン９５０）１質量部、アニオン乳化剤（第一工業製薬製ネオゲンＲ）１．５質量部、および重合開始剤である過硫酸カリウム０．５５質量部の水溶液混合物に添加し、窒素気流中下で攪拌を行いながら７０℃で８時間重合を行った。重合反応後冷却し、乳白色の粒径０．２５μｍの樹脂エマルジョンを得た。
【００８１】
次に、この樹脂エマルジョン２００質量部、離型剤であるポリエチレンワックスエマルジョン（三洋化成工業（株）製）２０質量部、および着色剤であるフタロシアニンブルー２５質量部を、界面活性剤であるドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム０．２質量部を含んだ０．２リットルの水中へ分散し、ジエチルアミンを添加してｐＨを５．５に調整後攪拌しながら電解質である硫酸アルミニウム０．３質量部を加え、次いで攪拌装置（ＴＫホモミキサー）で高速攪拌して分散を行った。
【００８２】
更に、スチレンモノマー４０質量部、アクリル酸ブチル１０質量部、サリチル酸亜鉛５質量部を水４０質量部と共に追加し、窒素気流下で攪拌しながら同様にして、９０℃に加熱し、過酸化水素水を加えて３時間重合し、粒子を成長させた。重合停止後、会合粒子の結合強度を上げるため、ｐＨを５以上に調整しながら９５℃に昇温し、５時間保持した。その後得られた粒子を水洗し、４５℃で真空乾燥を１０時間行い、シアントナー母粒子（着色トナー粒子）を得た。
【００８３】
このように得られた着色トナー粒子と、外添剤（具体的には、後述するシリカとチタニア）が混合されることにより、外添剤が着色トナー粒子に外添され、もって、体積平均粒径が約４．６μｍであるシアントナーが得られた。
【００８４】
４）着色剤（着色顔料）について
本実施の形態に係るプリンタ１０において用いられるトナーについては、トナーの粒径が小さいことを考慮して、トナーに含まれる着色剤（着色顔料）の量を、従来一般的に使用されてきたトナーに含まれる着色剤（着色顔料）の量（１０ｗｔ％未満）よりも多くしている（すなわち、１０ｗｔ％以上）。すなわち、トナーの粒径が小さい場合には、紙等の媒体に最終的に付着するトナーの量が少なくなるため、画像の濃度が薄くなる傾向にある。したがって、本実施の形態においては、これを補うために、着色剤（着色顔料）を多く入れている。
【００８５】
＜＜＜トナーの構成と現像メモリの発生程度との関係について＞＞＞
本実施の形態に係るトナーは、１）〜４）で説明した性質を有している。そして、当該トナーがこれらの性質を有していることに起因して、当該トナーが用いられる本実施の形態に係るプリンタ１０においては、現像メモリが発生しやすくなっている。
【００８６】
すなわち、トナー粒径が小さくなると、トナーの飽和帯電量が高くなるため、トナーの帯電の立ち上がりが遅くなる。また、トナーに帯電制御剤（ＣＣＡ）を含有させないため、トナーの帯電の立ち上がりを速くするための帯電制御を施すことができない。また、着色剤（着色顔料）の量が多いため、トナーの帯電の立ち上がりがどうしても遅くなる。
【００８７】
このように、本実施の形態に係るプリンタ１０においては、トナーの帯電の立ち上がりが遅くなるため、現像メモリが発生しやすくなる。
【００８８】
また、トナーの円形度が小さい場合には、トナーが現像ローラ５１０に引っかかり易くなるため、トナーの帯電の立ち上がりが遅くても、前記第一領域のトナーの担持に係る前述した不適切性が若干緩和される。そのため、前記第一領域と対向する潜像が現像されることにより形成されるハーフトーン像の濃度と前記第二領域と対向する潜像が現像されることにより形成されるハーフトーン像の濃度との差がより少なくなり、現像メモリの発生が若干抑えられることとなる。しかしながら、本実施の形態に係るトナーの円形度は高いため、当該事項に期待することができず、したがって、本実施の形態においては、現像メモリの発生がより顕著となる。
【００８９】
＝＝＝外添剤の概要について＝＝＝
次に、トナーの母粒子に外添される外添剤の概要について、説明する。
外添剤は、主にトナーの流動性向上や帯電性安定を目的として、母粒子に外添されるものである。本実施の形態においては、母粒子（着色トナー粒子）に４種類の外添剤が外添されている。４種類の外添剤は、それぞれ体積平均粒径が異なる外添剤であり、具体的には、体積平均粒径が１５ｎｍ（ナノメートル）であるシリカ（以下、１５ｎｍシリカとも呼ぶ）と、体積平均粒径が３０ｎｍであるチタニアと、体積平均粒径が５０ｎｍであるシリカ（以下、５０ｎｍシリカとも呼ぶ）と、体積平均粒径が５００ｎｍであるシリカ（以下、５００ｎｍシリカとも呼ぶ）である。そして、１５ｎｍシリカが母粒子に対して外添される量（外添量）は、１．０ｗｔ％であり、チタニアの外添量は１．０ｗｔ％であり、５０ｎｍシリカの外添量は１．０ｗｔ％であり、５００ｎｍシリカの外添量は０．５ｗｔ％である。
【００９０】
４種類の外添剤は、ヘンシェルミキサー等の混合処理槽において母粒子と共に混合されることによって、当該母粒子に外添されることとなる。混合処理槽には、母粒子と外添剤を混合するための攪拌羽根等が設けられており、当該攪拌羽根が所定時間だけ回転することにより、外添剤が母粒子に外添される。本実施の形態においては、４種類の外添剤が、以下の順序で母粒子と共に混合される。始めに、５０ｎｍシリカ（１．０ｗｔ％）を、混合処理槽に投入して、母粒子と共に２０秒混合させる（すなわち、前記攪拌羽根を２０秒回転させる）。次に、１５ｎｍシリカ（１．５ｗｔ％）とチタニア（１．０ｗｔ％）を混合処理槽に投入して、更に、３０秒混合させる（この３０秒間、先に投入された５０ｎｍシリカも混合される）。最後に、５００ｎｍシリカ（０．５ｗｔ％）を混合処理槽に投入し、更に、１０秒混合させる。
【００９１】
母粒子に外添された外添剤を有するトナーにおいては、現像装置５１、５２、５３、５４の使用中に、母粒子から外添剤が遊離することがある。そして、外添剤の母粒子からの遊離は、当該外添剤の体積平均粒径が大きいほど、生じやすい。このため、４種類の外添剤のうちの、体積平均粒径が最も大きい５００ｎｍシリカが、遊離しやすい。また、外添剤の母粒子からの遊離は、混合処理槽における外添剤の母粒子との混合時間とも関係があり、混合時間が短い外添剤は、母粒子から遊離しやすい。そして、上述したように、４種類の外添剤のうちの５００ｎｍシリカを最後に母粒子と混合し、かつ、その混合時間も他の外添剤の混合時間に比べて短い。このため、５００ｎｍシリカは、他の外添剤に比べて、母粒子から遊離しやすい。
【００９２】
＝＝＝規制ブレード５６０の規制状態による現像メモリの抑制効果＝＝＝
本実施の形態に係る規制ブレード５６０の規制状態は、図９に示したように、規制ブレード５６０の先端５６０ｂが現像ローラ５１０の回転方向上流側を向くように、かつ、前記先端５６０ｂが現像ローラ５１０の凸部５１２に対向する際の、当該先端５６０ｂから当該凸部５１２までの距離ｇ（約２μｍ）が、トナーの体積平均粒径（約４．６μｍ）よりも小さくなるように、設定されている。これにより、上述した現像メモリの発生が有効に抑えられる。かかる点について、以下において詳細に説明する。
【００９３】
前述したとおり、トナー供給ローラ５５０と現像ローラ５１０により摩擦帯電されて該現像ローラ５１０に担持されたトナーは、現像ローラ５１０の回転に伴って、規制ブレード５６０に至り、当該規制ブレード５６０により、トナーの量が規制され、トナーがさらに摩擦帯電される。
【００９４】
ここで、前記距離ｇ（約２μｍ）がトナーの体積平均粒径（約４．６μｍ）よりも小さい場合には、現像ローラ５１０の凸部５１２に担持されたトナーが、現像ローラ５１０の回転に伴って、規制ブレード５６０に至った際に、凸部５１２に担持され前記体積平均粒径を有するトナーは、先端５６０ｂと前記対向部５１２ａとの（２μｍの）間を通り抜けることができず（当該先端５６０ｂとぶつかって弾き飛ばされ）、感光体２０に対向する現像位置に到達することができない。
【００９５】
一方で、凹部５１５に担持されたトナーに着目すると、トナーの体積平均粒径（約４．６μｍ）は、凹部５１５の深さｄ（約８μｍ）よりも小さくなっているため、凹部５１５に担持され前記体積平均粒径を有するトナーは、先端５６０ｂと前記対向部５１２ａとの（２μｍの）間を通り抜けることができ、感光体２０に対向する現像位置に到達する。
【００９６】
この結果、感光体２０に対向する現像位置においては、凸部５１２及び凹部５１５に担持されているトナーの状態が、以下のようになる。すなわち、凸部５１２には、先端５６０ｂと前記対向部５１２ａとの（２μｍの）間を通り抜けることができた極めて小粒径のトナー（該トナーの量は少ない）が、担持されることとなる。一方、凹部５１５には、様々な粒径のトナー（主に、前記体積平均粒径を有するトナー）が、担持されることとなる。そして、凹部５１５には、トナーが該凹部５１５全体を覆うように、多量のトナーが担持される。
【００９７】
次に、規制ブレード５６０が上述したように規制すると、どうして、現像メモリの発生が抑えられ画像の画質の劣化が適切に防止されるか、について説明する。
【００９８】
現像ローラ５１０のｎ周目の現像プロセスが終了した際に生ずる、トナーが担持されていない前記第一領域、には、ｎ＋１周目のトナー供給ローラ５５０によるトナーの帯電及び供給プロセスにおいて、トナー収容体５３０に収容されているトナーが新たに供給される。そして、上記においては、当該第一領域に新たに供給されたトナーは、当該トナーが帯電の立ち上がりが遅い性質を有するトナーである場合には、トナー供給ローラ５５０と現像ローラ５１０とによる摩擦帯電が行われた際に現像ローラ５１０の当該第一領域に適切に担持されない点について説明した。
【００９９】
ここで、当該第一領域の中には、凸部５１２と凹部５１５とが存在するが、第一領域のトナーの担持に係る不適切性の程度は、トナーが第一領域の凸部５１２及び凹部５１５のうちのどちらに担持されるかによって異なる。すなわち、凹部５１５を備えた非凸部５１３は、トナーが収容され易い受け口となっているため、非凸部５１３にはトナーが入り込み易くなっている。そして、トナーが、非凸部５１３に入ると、非凸部５１３内でパッキングされ、このときに発生する凝集力が、トナーを凹部５１５に担持させる効果をもたらす。したがって、凹部５１５においては、トナーの帯電の立ち上がりが遅くても、前記第一領域のトナーの担持に係る前述した不適切性が緩和される。これに対し、凸部５１２においては、当該効果は得られず、不適切性の程度については、凸部５１２よりも凹部５１５の方が小さいこととなる。
【０１００】
そのため、ｎ＋１周目の現像プロセスの際に、前記第一領域の凹部５１５と対向する潜像が現像されることにより形成されるハーフトーン像の濃度と前記第二領域の凹部５１５と対向する潜像が現像されることにより形成されるハーフトーン像の濃度との差は、前記第一領域の凸部５１２と対向する潜像が現像されることにより形成されるハーフトーン像の濃度と前記第二領域の凸部５１２と対向する潜像が現像されることにより形成されるハーフトーン像の濃度との差よりも小さくなる。つまり、現像メモリの発生を抑えるためには、なるべく凸部５１２及び凹部５１５のうちの凹部５１５に担持されたトナーで潜像を現像した方がよいこととなる。
【０１０１】
かかる事項に鑑み、本実施の形態においては、前記距離ｇが、トナーの体積平均粒径（約４．６μｍ）よりも小さくなっている。これにより、上述したように、現像位置において、凸部５１２には僅かな量のトナーが担持されるのに対して、凹部５１５には多量のトナーが担持されることとなる。そして、かかる状態で、潜像が現像されることにより、前記第一領域と対向する潜像が現像されることにより形成されるハーフトーン像の濃度と前記第二領域と対向する潜像が現像されることにより形成されるハーフトーン像の濃度との差が、例えば凸部５１２に担持されるトナー量を凹部５１５に担持されるトナー量と等しい状態で潜像が現像される場合と比較して、より少なくなる。この結果、現像メモリの発生が抑えられることとなり、最終的に得られる画像の画質の劣化が適切に防止されることとなる。
【０１０２】
＝＝＝現像ローラ５１０と規制ブレード５６０の間で発生する異音について＝＝＝
上述したように、規制ブレード５６０は、回転する現像ローラ５１０の表面に当接部５６０ａにて当接する。ところで、当接部５６０ａは、トナーを担持していない凸部５１２に当接すると、当該凸部５１２に密着してしまう恐れがある。そして、当接部５６０ａが凸部５１２に密着した状態で現像ローラ５１０が更に回転すると、異音等の問題が発生する恐れがある。特に、前記距離ｇがトナーの体積平均粒径よりも小さい場合には、後述するように異音が発生しやすくなる。
【０１０３】
このような問題を解消すべく、本実施の形態に係るプリンタ１０においては、トナーを構成する外添剤の体積平均粒径（以下、『外添剤粒径Ｂ』とも呼ぶ）、凸部５１２の十点平均粗さＲｚ（以下、『凸部粗さＣ』とも呼ぶ）、及び、先端５６０ｂが凸部５１２に対向する際の当該先端５６０ｂから当該凸部５１２までの距離ｇ（以下、『距離Ｄ』とも呼ぶ）の大きさの関係が、凸部粗さＣ＜外添剤粒径Ｂ＜距離Ｄとなるように設定されている（なお、以下においては、トナーの体積平均粒径を、『トナー粒径Ａ』とも呼ぶ）。
【０１０４】
以下では、先ず、前記距離ｇがトナーの体積平均粒径よりも小さい場合の、当接部５６０ａと凸部５１２の間における異音発生のメカニズム、について説明し、これに引き続いて、凸部粗さＣ＜外添剤粒径Ｂ＜距離Ｄの関係が成り立つと、どうして、異音の発生が抑制されるかについて説明する。
【０１０５】
＜＜＜異音発生のメカニズム＞＞＞
上述したように、前記距離ｇ（約２μｍ）が、トナーの体積平均粒径（約４．６μｍ）よりも小さくなっている（すなわち、距離Ｄ＜トナー粒径Ａの関係になっている）場合には、凸部５１２に担持されるトナーの量が僅かである。
【０１０６】
そして、凸部５１２に担持されるトナーの量が僅かである場合には、図１４に示すように、当接部５６０ａが、トナーを担持していない凸部５１２に直接当接することがある。ここで、凸部５１２は頂面（図１４においては、当該頂面は鏡面状になっている）であり、当接部５６０ａは幅を持って当該凸部５１２に当接する構成となっているため、当接部５６０ａが凸部５１２に直接当接する場合には、当該当接部５６０ａが凸部５１２に密着することがある。特に、規制ブレード５６０はウレタンゴム等であるため、当接部５６０ａが弾性変形して凸部５１２に当接することにより、当接部５６０ａの凸部５１２に当接する面積が大きくなりやすく、当接部５６０ａは凸部５１２に密着しやすい。そして、図１４に示す状態（当接部５６０ａが凸部５１２に密着した状態）から、現像ローラ５１０が更に回転（凸部５１２が移動）すると、その回転の際に当接部５６０ａと凸部５１２の間において異音が発生する恐れがある。なお、図１４は、当接部５６０ａが、トナーを介さずに、凸部５１２に直接当接する様子を説明するための模式図である。
【０１０７】
なお、当接部５６０ａが凸部５１２に密着する場合には、上述した異音だけでなく、現像ローラ５１０の回転に必要なトルクが大きくなる問題も発生する。
【０１０８】
＜＜＜本実施の形態に係る現像装置の有効性＞＞＞
これに対して、本実施の形態に係る現像装置５１、５２、５３、５４においては、外添剤の体積平均粒径（『外添剤粒径Ｂ』）、凸部５１２の十点平均粗さＲｚ（『凸部粗さＣ』）、及び、前記距離ｇ（『距離Ｄ』）の大きさの関係が、凸部粗さＣ＜外添剤粒径Ｂ＜距離Ｄ、となっている。かかる場合には、当接部５６０ａが、凸部５１２上を転動する外添剤（この外添剤は、トナーから遊離したものである）を介して凸部５１２に当接することにより、異音の発生が抑制されることとなる。以下においては、かかる点について詳細に説明する。
【０１０９】
本実施の形態に係るトナーは、母粒子と、当該母粒子に外添された粒子状の４種類の外添剤（すなわち、１５ｎｍシリカ、５０ｎｍシリカ、５００ｎｍシリカ、及び、チタニア）とを有している。そして、これらの外添剤は、現像装置５１、５２、５３、５４の使用の際に母粒子から遊離され得るが、前述したように、４種類の外添剤のうちの体積平均粒径が最も大きい５００ｎｍシリカが、母粒子から遊離しやすい。
【０１１０】
母粒子から遊離した外添剤（５００ｎｍシリカ）は、トナーと同様に、現像ローラ５１０（凸部５１２や凹部５１５）に担持される。ところで、凸部５１２は、図１５に示すように荒れており、本実施の形態においては、凸部５１２の十点平均粗さＲｚが、５００ｎｍシリカの体積平均粒径（５００ｎｍ）よりも小さくなっている（凸部粗さＣ＜外添剤粒径Ｂ）。このため、母粒子から遊離した５００ｎｍシリカは、凸部５１２の荒れている部分（具体的には、図１５に示す小溝５１２ｂ）に、その一部が飛び出した状態で挟まることとなる（図１７Ｂ参照）。ここで、小溝５１２ｂは、現像ローラ５１０の周方向に沿って設けられており、現像ローラ５１０の加工（切削加工や転造加工）の際に形成されたものである。なお、図１５は、凸部５１２が荒れていることを示すための図である。
【０１１１】
凸部５１２（小溝５１２ｂ）に担持された外添剤（５００ｎｍシリカ）は、トナーとは異なり、現像ローラ５１０の回転の際に規制ブレード５６０の先端５６０ｂと対向部５１２ａとの間を通り抜ける。なぜなら、５００ｎｍシリカの体積平均粒径（５００ｎｍ）は、前記距離ｇ（約２μｍ）よりも小さい（外添剤粒径Ｂ＜距離Ｄ）からである。なお、本実施の形態においては、『外添剤粒径Ｂ』は、４種類の外添剤のうちの最も体積平均粒径が大きい５００ｎｍシリカ、の体積平均粒径である。
【０１１２】
前記先端５６０ｂと前記対向部５１２ａとの間を通り抜けた凸部５１２に担持された５００ｎｍシリカ（当該５００ｎｍシリカの一部は、凸部５１２から飛び出した状態となっている）は、現像ローラ５１０の回転に伴って移動し、規制ブレード５６０の当接部５６０ａに接触する。そして、当接部５６０ａに接触する５００ｎｍシリカは、現像ローラ５１０の更なる回転に伴って、該当接部５６０ａに接触する状態を維持しつつ転動する。このため、当接部５６０ａは、５００ｎｍシリカが転動する間、図１６に示すように５００ｎｍシリカ（図１６では、○で示されている）を介して凸部５１２に当接することとなる。これにより、当接部５６０ａの凸部５１２に当接する面積が減り、当該当接部５６０ａが凸部５１２に密着し難くなるため、現像ローラ５１０が回転する際の異音の発生が抑えられる。なお、図１６は、当接部５６０ａが、外添剤を介して凸部５１２に当接する状態を示した模式図である。
【０１１３】
ここで、外添剤（５００ｎｍシリカ）は、図１７Ａと図１７Ｂに示すように、当該外添剤が担持された凸部５１２に形成された小溝５１２ｂに沿って、転動する。具体的には、５００ｎｍシリカは、図１７Ａにおいて下から上に向かって転動する。ところで、小溝５１２ｂは、図１７Ａに示すように、該小溝５１２ｂが設けられた凸部５１２の、現像ローラ５１０の周方向における一端から他端へわたって繋がらないように、形成されている（別言すれば、小溝５１２ｂが、側部５１４まで繋がっていない）。かかる場合には、小溝５１２ｂに担持され当接部５６０ａに接触する５００ｎｍシリカが、現像ローラ５１０の回転に伴い、小溝５１２ｂから乗り上がるように凸部５１２上を転動する（図１７Ｂ）。そして、５００ｎｍシリカのこのような転動に伴い、この５００ｎｍシリカに接触する当接部５６０ａが、上下動することとなり、当接部５６０ａが凸部５１２に密着することが、より有効に防止される。なお、図１７Ａと図１７Ｂは、凸部５１２に担持されたトナーが、転動する様子を説明するための模式図である。なお、図１７Ｂは、図１７ＡのＣ−Ｃ断面図である。
【０１１４】
以上から、凸部粗さＣ＜外添剤粒径Ｂ＜距離Ｄの関係が成り立つ場合には、トナーから遊離した外添剤（５００ｎｍシリカ）が、凸部５１２の荒れている部分（すなわち、小溝５１２ｂ）に担持され、かつ、先端５６０ｂと対向部５１２ａとの間を通り抜ける。そして、規制ブレード５６０の当接部５６０ａが、小溝５１２ｂ上を転動する外添剤を介して当該凸部５１２に当接するため、規制ブレード５６０が凸部５１２に密着することを抑制でき、上述した異音の発生を抑えられる。
【０１１５】
また、外添剤は、当接部５６０ａと凸部５１２の間で潤滑剤の働きを有しており、当該外添剤によって、現像ローラ５１０が回転する際の、当接部５６０ａと凸部５１２の間における摩擦が軽減される。このため、現像ローラ５１０の回転時のモータへの負荷が低減され、現像ローラ５１０の回転に必要なトルクが大きくなることも抑制できる。
【０１１６】
上記においては、凸部粗さＣ＜外添剤粒径Ｂの関係が成り立つことにより、外添剤（５００ｎｍシリカ）が凸部５１２の小溝５１２ｂに担持されることとしたが、凸部粗さＣ＞外添剤粒径Ｂの場合にも、図１８に示すように、当該外添剤（図１６と同様、図１８においても、○で示されている）は、凸部５１２の小溝５１２ｂに担持される。しかし、かかる場合には、外添剤が、小溝５１２ｂに嵌り込んでしまい、転動し難い。また、当該外添剤が、小溝５１２ｂに嵌り込んでしまうと、当接部５６０ａが外添剤を介さず直接凸部５１２に当接することとなり、異音の発生を抑制できない。図１８は、比較例を説明するための模式図である。
【０１１７】
なお、「規制ブレード５６０の規制状態による現像メモリの抑制効果」の項で説明したように、距離Ｄ＜トナー粒径Ａである場合には、現像メモリの発生が有効に抑えられ、この結果、画像の画質の劣化が適切に防止される。従って、本実施の形態に係る現像装置５１、５２、５３、５４によれば、凸部粗さＣ＜外添剤粒径Ｂ＜距離Ｄ＜トナー粒径Ａ、の関係が成り立つことにより、画像の画質の劣化を適切に防止し、かつ、現像ローラ５１０に規制ブレード５６０を適切に当接させることが可能となる。
【０１１８】
＝＝＝現像装置の製造方法＝＝＝
次に、現像装置の製造方法について、図１９Ａ乃至図２１を用いて説明する。図１９Ａ乃至図１９Ｅは、現像ローラ５１０の製造工程における、現像ローラ５１０の変遷を示した模式図である。図２０は、現像ローラ５１０の転造加工を説明するための説明図である。図２１は、イエロー現像装置５４の組み立て方法を説明するためのフローチャートである。なお、現像装置を製造する際には、前述したハウジング５４０、ホルダー５２６、現像ローラ５１０、トナー供給ローラ５５０、規制ブレード５６０等がそれぞれ製造された後に、これらの部材を用いて現像装置の組み立てが実施される。本項では、これらの部材の製造方法のうち現像ローラ５１０の製造方法について先ず説明し、その後、現像装置の組み立て方法について説明する。なお、以下では、ブラック現像装置５１、マゼンタ現像装置５２、シアン現像装置５３、及び、イエロー現像装置５４のうち、イエロー現像装置５４を例に挙げて、説明する。
【０１１９】
＜＜＜現像ローラ５１０の製造方法について＞＞＞
ここでは、現像ローラ５１０の製造方法について、図１９Ａ乃至図２０を用いて説明する。
【０１２０】
先ず、図１９Ａに示すように、現像ローラ５１０の基材としてのパイプ材６００を準備する。当該パイプ材６００の肉厚は０．５〜３ｍｍである。次に、図１９Ｂに示すように、当該パイプ材６００の長手方向両端部にフランジ圧入部６０２を作る。当該フランジ圧入部６０２は、切削加工により作られる。次に、図１９Ｃに示すように、当該フランジ圧入部６０２にフランジ６０４を圧入する。フランジ６０４のパイプ材６００への固定を確実にするために、フランジ６０４の圧入後、フランジ６０４をパイプ材６００へ接着又は溶接するようにしてもよい。次に、図１９Ｄに示すように、フランジ６０４が圧入されたパイプ材６００の表面にセンタレス研磨を施す。当該センタレス研磨は、当該表面の全面に亘って実施され、センタレス研磨後の当該表面の十点平均粗さＲｚは、１．０μｍ以下となる。次に、図１９Ｅに示すように、フランジ６０４が圧入されたパイプ材６００に、転造加工を施す。本実施の形態においては、２つの丸ダイス６５０、６５２を用いた所謂スルーフィード転造（歩み転造、通し転造とも呼ばれている）加工が実施される。
【０１２１】
すなわち、図２０に示すように、ワークとしての前記パイプ材６００を挟むように配置された二つの丸ダイス６５０、６５２、を当該パイプ材６００に所定の圧力（当該圧力の方向を、図２０中記号Ｐで示す）で押し付けた状態で、当該二つの丸ダイス６５０、６５２を同方向（図２０参照）に回転させる。スルーフィード転造においては、丸ダイス６５０、６５２が回転することにより、パイプ材６００が丸ダイス６５０、６５２の回転方向とは逆方向（図２０参照）に回転しながら、図２０中記号Ｈで示した方向に移動する。丸ダイス６５０、６５２の表面には、溝６８０を形成するための凸部６５０ａ、６５２ａが備えられており、当該凸部６５０ａ、６５２ａがパイプ材６００を変形させることにより、パイプ材６００に溝６８０（当該溝６８０は、第一溝部５１６と第二溝部５１８に相当する）が形成される。
【０１２２】
そして、転造加工の終了後に、前記中央部５１０ａの表面にメッキを施す。本実施の形態においては、当該メッキとして無電解Ｎｉ−Ｐメッキを用いるが、これに限定されるものではなく、例えば、硬質クロームメッキや電気メッキを用いてもよい。
【０１２３】
上記のように製造された現像ローラ５１０においては、凸部５１２の十点平均粗さＲｚの大きさが、５００ｎｍ（外添剤である５００ｎｍシリカの体積平均粒径）よりも小さくなっている。
【０１２４】
＜＜＜イエロー現像装置５４の組み立て方法について＞＞＞
次に、イエロー現像装置５４の組み立て方法について、図２１を用いて説明する。
先ず、前述したハウジング５４０、ホルダー５２６、現像ローラ５１０、規制ブレード５６０及びブレード支持部材５６４等を準備する（ステップＳ２）。
【０１２５】
次に、規制ブレード５６０及びブレード支持部材５６４をホルダー５２６の規制ブレード支持部５２６ｃにネジ止めすることにより、規制ブレード５６０及びブレード支持部材５６４をホルダー５２６に固定する（ステップＳ４）。なお、前述した端部シール５７４については、当該ステップＳ４の前に、予め規制ブレード５６０に取り付けておく。
【０１２６】
次に、規制ブレード５６０及びブレード支持部材５６４が固定されたホルダー５２６に、現像ローラ５１０を取り付ける（ステップＳ６）。かかる際に、規制ブレード５６０が現像ローラ５１０の回転軸方向一端部から他端部に亘って当接するように、現像ローラ５１０をホルダー５２６に取り付ける。なお、前述した上シール５２０については、当該ステップＳ６の前に、予めホルダー５２６に取り付けておく。
【０１２７】
そして、現像ローラ５１０、規制ブレード５６０等が取り付けられたホルダー５２６を、ハウジングシール５４６を介して、ハウジング５４０に取り付ける（ステップＳ８）ことにより、イエロー現像装置５４の組み立てが完了する。なお、前述したトナー供給ローラ５５０については、当該ステップＳ８の前に、予めハウジング５４０に取り付けておく。
【０１２８】
＝＝＝その他の実施の形態＝＝＝
以上、上記実施の形態に基づき本発明に係る現像装置等を説明したが、上記した発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはもちろんである。
【０１２９】
上記実施の形態においては、画像形成装置として中間転写型のフルカラーレーザビームプリンタを例にとって説明したが、本発明は、中間転写型以外のフルカラーレーザビームプリンタ、モノクロレーザビームプリンタ、複写機、ファクシミリなど、各種の画像形成装置に適用可能である。
【０１３０】
また、感光体についても、円筒状の導電性基材の外周面に感光層を設けて構成した、いわゆる感光ローラに限られず、ベルト状の導電性基材の表面に感光層を設けて構成した、いわゆる感光ベルトであってもよい。
【０１３１】
また、上記実施の形態において、現像ローラ５１０の表面には、凸部５１２と、トナーを担持する凹部５１５とが、規則的に配置されていることとした。また、凹部５１５は、現像ローラ５１０の周方向に対する傾斜角度が異なる２種類の螺旋状の溝部（第一溝部５１６と第二溝部５１８）の底部、であり、該２種類の螺旋状の溝部は、互いに交差して格子形状をなしていることとした。さらに、凸部５１２は、前記２種類の螺旋状の溝部に囲まれた正方形の頂面であり、該正方形の頂面が有する２本の対角線のうちの一方が前記周方向に沿っていることとした。しかし、上記に限定されるものではない。例えば、凸部５１２は、菱形の頂面や円形の頂面等であることとしてもよい。
【０１３２】
また、上記実施の形態において、凸部５１２には、図１５に示すように、現像ローラ５１０の加工の際に形成された、該現像ローラ５１０の周方向に沿った小溝５１２ｂが、設けられていることとしたが、これに限定されるものではない。例えば、小溝５１２ｂが、回転軸方向に沿って設けられていることとしてもよい。
ただし、小溝５１２ｂが周方向に沿って設けられている場合には、現像ローラ５１０が回転する際に、小溝５１２ｂに担持され当接部５６０ａに接触する外添剤が、当該小溝５１２ｂに沿って転動しやすいことにより、前記当接部５６０ａが凸部５１２に密着することを有効に防止できる点で、上記実施の形態の方がより望ましい。
【０１３３】
また、上記実施の形態において、小溝５１２ｂは、図１７Ａに示すように、該小溝５１２ｂが設けられた凸部５１２の、前記周方向における一端から他端にわたって繋がらないように、設けられていることとしたが、これに限定されるものではない。例えば、小溝５１２ｂは、凸部５１２の一端から他端へ繋がって、設けられていることとしてもよい。
ただし、小溝５１２ｂが、前記一端から前記他端にわたって繋がらないように設けられている場合には、小溝５１２ｂに担持され当接部５６０ａに接触する外添剤が、小溝５６０ａから乗り上がるように転動する（図１７Ｂ参照）際に、当接部５６０ａが上下動することにより、当該当接部５６０ａが凸部５１２に密着することをより有効に防止できる点で、上記実施の形態の方がより望ましい。
【０１３４】
また、上記実施の形態において、トナーは、前記母粒子に外添された４種類の外添剤、を有し、前記外添剤粒径Ｂは、４種類の外添剤のうちの最も体積平均粒径が大きい外添剤（５００ｎｍシリカ）、の体積平均粒径であることとしたが、これに限定されるものではない。例えば、外添剤粒径Ｂは、４種類の外添剤のうちの５００ｎｍシリカ以外の外添剤、の体積平均粒径であることとしてもよい。
ただし、前記外添剤粒径Ｂが５００ｎｍシリカである場合には、４種類の外添剤のうちの最も遊離しやすい５００ｎｍシリカが、小溝５１２ｂに担持され、かつ、当該小溝５１２ｂを転動することにより、当接部５６０ａが凸部５１２に密着することをより有効に防止できる点で、上記実施の形態の方がより望ましい。
【０１３５】
また、上記実施の形態において、規制ブレード５６０は、ゴム弾性体（ウレタンゴム等）から成ることとしたが、これに限定されるものではない。例えば、規制ブレード５６０は、板金から成ることとしてもよい。
ただし、以下に説明するように、凸部５１２に規制ブレード５６０を適切に当接させる効果が、より有効に奏される点で、上記実施の形態の方がより望ましい。ゴム弾性体は、板金に比べて凸部５１２に当接する面積が大きくなりやすいため、現像ローラ５１０に密着しやすい。このため、規制ブレード５６０がゴム弾性体から成る場合には、凸部粗さＣ＜外添剤粒径Ｂ＜距離Ｄの関係が成り立つことによる効果、すなわち、凸部５１２に当接部５６０ａを適切に当接させる効果が、より有効に奏される。
【０１３６】
＝＝＝画像形成システム等の構成＝＝＝
次に、本発明に係る実施の形態の一例である『画像形成システム』の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【０１３７】
図２２は、画像形成システムの外観構成を示した説明図である。画像形成システム７００は、コンピュータ７０２と、表示装置７０４と、プリンタ７０６と、入力装置７０８と、読取装置７１０とを備えている。コンピュータ７０２は、本実施形態ではミニタワー型の筐体に収納されているが、これに限られるものではない。表示装置７０４は、ＣＲＴ（Cathode Ray Tube：陰極線管）やプラズマディスプレイや液晶表示装置等が用いられるのが一般的であるが、これに限られるものではない。プリンタ７０６は、上記に説明されたプリンタが用いられている。入力装置７０８は、本実施形態ではキーボード７０８Ａとマウス７０８Ｂが用いられているが、これに限られるものではない。読取装置７１０は、本実施形態ではフレキシブルディスクドライブ装置７１０ＡとＣＤ−ＲＯＭドライブ装置７１０Ｂが用いられているが、これに限られるものではなく、例えばＭＯ（Magneto Optical）ディスクドライブ装置やＤＶＤ（Digital Versatile Disk）等の他のものであっても良い。
【０１３８】
図２３は、図２２に示した画像形成システムの構成を示すブロック図である。コンピュータ７０２が収納された筐体内にＲＡＭ等の内部メモリ８０２と、ハードディスクドライブユニット８０４等の外部メモリがさらに設けられている。
【０１３９】
なお、以上の説明においては、プリンタ７０６が、コンピュータ７０２、表示装置７０４、入力装置７０８、及び、読取装置７１０と接続されて画像形成システムを構成した例について説明したが、これに限られるものではない。例えば、画像形成システムが、コンピュータ７０２とプリンタ７０６から構成されても良く、画像形成システムが表示装置７０４、入力装置７０８及び読取装置７１０のいずれかを備えていなくても良い。
【０１４０】
また、例えば、プリンタ７０６が、コンピュータ７０２、表示装置７０４、入力装置７０８、及び、読取装置７１０のそれぞれの機能又は機構の一部を持っていても良い。一例として、プリンタ７０６が、画像処理を行う画像処理部、各種の表示を行う表示部、及び、デジタルカメラ等により撮影された画像データを記録した記録メディアを着脱するための記録メディア着脱部等を有する構成としても良い。
【０１４１】
このようにして実現された画像形成システムは、システム全体として従来システムよりも優れたシステムとなる。
【図面の簡単な説明】
【０１４２】
【図１】プリンタ１０を構成する主要構成要素を示した図である。
【図２】図１のプリンタ１０の制御ユニットを示すブロック図である。
【図３】現像装置の概念図である。
【図４】現像装置の主要構成要素を示した断面図である。
【図５】現像ローラ５１０の斜視模式図である。
【図６】現像ローラ５１０の正面模式図である。
【図７】凸部５１２、凹部５１５等の形状を示した模式図である。
【図８】規制ブレード５６０及びブレード支持部材５６４の斜視図である。
【図９】現像ローラ５１０に当接する規制ブレード５６０、の先端部５６０ａ周辺の様子を示した拡大模式図である。
【図１０】ホルダー５２６の斜視図である。
【図１１】ホルダー５２６に、上シール５２０、現像ローラ５１０、規制ブレード５６０及びブレード支持部材５６４が組み付けられている様子を示した斜視図である。
【図１２】ホルダー５２６が、ハウジング５４０に取付けられている様子を示した斜視図である。
【図１３】現像メモリ発生のメカニズムを説明するための説明図である。
【図１４】当接部５６０ａが、トナーを介さずに、凸部５１２に直接当接する様子を説明するための模式図である。
【図１５】凸部５１２が荒れていることを示すための図である。
【図１６】当接部５６０ａが、外添剤を介して凸部５１２に当接する状態を示した模式図である。
【図１７】図１７Ａと図１７Ｂは、凸部５１２に担持されたトナーが、転動する様子を説明するための模式図である。
【図１８】比較例を説明するための模式図である。
【図１９】図１９Ａ乃至図１９Ｅは、現像ローラ５１０の製造工程における、現像ローラ５１０の変遷を示した模式図である。
【図２０】現像ローラ５１０の転造加工を説明するための説明図である。
【図２１】イエロー現像装置５４の組み立て方法を説明するためのフローチャートである。
【図２２】画像形成システムの外観構成を示した説明図である。
【図２３】図２２に示した画像形成システムの構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【０１４３】
１０ レーザビームプリンタ、２０ 感光体、３０ 帯電ユニット、
４０ 露光ユニット、５０ ＹＭＣＫ現像ユニット、５０ａ 中心軸、
５１ ブラック現像装置、５２ マゼンタ現像装置、５３ シアン現像装置、
５４ イエロー現像装置、５５ａ 保持部、５５ｂ 保持部、５５ｃ 保持部、
５５ｄ 保持部、６０ 一次転写ユニット、７０ 中間転写体、
７５ クリーニングユニット、７６ クリーニングブレード、
８０ 二次転写ユニット、９０ 定着ユニット、９２ 給紙トレイ、
９４ 給紙ローラ、９５ 表示ユニット、９６ レジローラ、
１００ 制御ユニット、１０１ メインコントローラ、
１０２ ユニットコントローラ、１１２ インターフェイス、１１３ 画像メモリ、
５１０ 現像ローラ、５１０ａ 中央部、５１０ｂ 軸部、５１２ 凸部、
５１２ａ 対向部、５１３ 非凸部、５１４ 側部、５１５ 凹部、
５１６ 第一溝部、５１８ 第二溝部、５２０ 上シール、
５２０ａ 短手方向端部、５２０ｂ 当接面、５２０ｃ 反対面、
５２４ 上シール付勢部材、５２６ ホルダー、
５２６ａ 上シール支持部、５２６ｂ 現像ローラ支持部、
５２６ｃ 規制ブレード支持部、５３０ トナー収容体、
５３０ａ 第一トナー収容部、５３０ｂ 第二トナー収容部、５４０ ハウジング、
５４２ 上ハウジング部、５４４ 下ハウジング部、５４５ 仕切り壁、
５４６ ハウジングシール、５５０ トナー供給ローラ、５６０ 規制ブレード、
５６０ａ 当接部、５６０ｂ 先端、５６４ ブレード支持部材、５６４ａ 薄板、
５６４ｂ 薄板支持部、５６４ｃ 長手方向両端部、５６４ｄ 短手方向一端部、
５６４ｅ 短手方向他端部、５７２ 開口、５７４ 端部シール、５７６ 軸受け、
６００ パイプ材、６０２ フランジ圧入部、６０４ フランジ、
６５０ 丸ダイス、６５０ａ 凸部、６５２ 丸ダイス、６５２ａ 凸部、
６８０ 溝、７００ 画像形成システム、７０２ コンピュータ、
７０４ 表示装置、７０６ プリンタ、７０８ 入力装置、
７０８Ａ キーボード、７０８Ｂ マウス、
７１０ 読取装置、７１０Ａ フレキシブルディスクドライブ装置、
７１０Ｂ ＣＤ−ＲＯＭドライブ装置、８０２ 内部メモリ、
８０４ ハードディスクドライブユニット、Ｔ トナー
【技術分野】
【０００１】
本発明は、現像装置、画像形成装置、及び、画像形成システムに関する。
【背景技術】
【０００２】
レーザビームプリンタ等の画像形成装置は既によく知られている。かかる画像形成装置は、例えば、潜像を担持する像担持体と、像担持体に担持された潜像をトナーで現像する現像装置と、を有している。そして、画像形成装置は、コンピュータなどの外部装置から画像信号等が送信されると、像担持体に担持された潜像が現像装置により現像され、トナー像が像担持体上に形成されることとなる。そして、画像形成装置は、当該トナー像を媒体に転写して、最終的に媒体に画像を形成する。
【０００３】
上記の現像装置は、トナーを担持し該トナーで像担持体に担持された潜像を現像するトナー担持体と、該トナー担持体の表面に当接部にて当接して該表面に担持されたトナーの量を規制する規制部材と、を備えている。トナー担持体は、その表面に規則的に配置された凸部を備えており、当該凸部と前記表面の凸部以外の部分とにトナーを担持する。規制部材は、該規制部材の長手方向が該トナー担持体の軸方向に沿うように、かつ、該規制部材の短手方向及び厚み方向における先端が該トナー担持体の回転方向上流側に向くように、設けられている。このような現像装置においては、トナー担持体に担持されたトナーが、規制部材により規制された後に、像担持体上の潜像の現像に供される。
【特許文献１】特開２００６−２５９３８４号公報
【特許文献２】特開２００３−５７９４０号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
ところで、前記画像形成装置においては、前記トナーとして、帯電の立ち上がりの遅いトナー（その帯電量が飽和帯電量まで到達するのに時間がかかるトナー）が用いられる場合がある。そして、このようなトナーで前記潜像を現像する場合には、帯電の立ち上がりの遅さに起因して、いわゆる現像メモリと呼ばれる現象が生じ得る。そして、かかる現象の発生は、画像の画質を劣化させる要因となる。
【０００５】
そこで、上述した現像メモリを抑制するために、トナー担持体の前記表面の、凸部以外の部分に担持されたトナーで、潜像を現像する方式が考えられる。そして、この方式は、前記規制部材の先端が前記トナー担持体の前記凸部に対向する際の該先端と該凸部の間の距離が、前記トナーの体積平均粒径よりも小さくなるように、該規制部材をトナー担持体に当接させることにより、実現される。
【０００６】
しかし、上記においては、前記凸部にはトナーが担持され難くなり、該凸部に対して、規制部材の当接部がトナーを介さず直接当接することがある。そして、前記当接部が凸部に直接当接する際には、該当接部が凸部に密着していまい、これに起因して、回転中のトナー担持体と当接部の間において異音等の不具合が発生し得る。
【０００７】
本発明は、係る課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、画像の画質の劣化を適切に防止し、かつ、トナー担持体に規制部材を適切に当接させることにある。
【課題を解決するための手段】
【０００８】
前記課題を解決するために、主たる本発明は、
母粒子と該母粒子に外添された粒子状の外添剤とを有するトナー、を担持し、該トナーで像担持体に担持された潜像を現像するトナー担持体であって、該トナー担持体の表面に規則的に配置された凸部を有する回転可能なトナー担持体と、
該トナー担持体の表面に当接部にて当接して該表面に担持されたトナーの量を規制する規制部材であって、該規制部材の長手方向が該トナー担持体の軸方向に沿うように、かつ、該規制部材の短手方向及び厚み方向における先端が該トナー担持体の回転方向上流側に向くように、設けられた規制部材と、
を備える現像装置であって、
前記トナーの体積平均粒径をトナー粒径Ａとし、前記外添剤の体積平均粒径を外添剤粒径Ｂとし、前記凸部の十点平均粗さを凸部粗さＣとし、前記規制部材の前記先端が前記凸部に対向する際の該先端と該凸部の間の距離を、距離Ｄとしたときに、
前記トナー粒径Ａ、前記外添剤粒径Ｂ、前記凸部粗さＣ、及び、前記距離Ｄの大きさの関係が、前記凸部粗さＣ＜前記外添剤粒径Ｂ＜前記距離Ｄ＜前記トナー粒径Ａ、であることを特徴とする現像装置である。
【０００９】
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１０】
本明細書及び添付図面の記載により少なくとも次のことが明らかにされる。
【００１１】
母粒子と該母粒子に外添された粒子状の外添剤とを有するトナー、を担持し、該トナーで像担持体に担持された潜像を現像するトナー担持体であって、該トナー担持体の表面に規則的に配置された凸部を有する回転可能なトナー担持体と、
該トナー担持体の表面に当接部にて当接して該表面に担持されたトナーの量を規制する規制部材であって、該規制部材の長手方向が該トナー担持体の軸方向に沿うように、かつ、該規制部材の短手方向及び厚み方向における先端が該トナー担持体の回転方向上流側に向くように、設けられた規制部材と、
を備える現像装置であって、
前記トナーの体積平均粒径をトナー粒径Ａとし、前記外添剤の体積平均粒径を外添剤粒径Ｂとし、前記凸部の十点平均粗さを凸部粗さＣとし、前記規制部材の前記先端が前記凸部に対向する際の該先端と該凸部の間の距離を、距離Ｄとしたときに、
前記トナー粒径Ａ、前記外添剤粒径Ｂ、前記凸部粗さＣ、及び、前記距離Ｄの大きさの関係が、前記凸部粗さＣ＜前記外添剤粒径Ｂ＜前記距離Ｄ＜前記トナー粒径Ａ、であることを特徴とする現像装置。このような現像装置によれば、画像の画質の劣化を適切に防止し、かつ、トナー担持体に規制部材を適切に当接させることが可能となる。
【００１２】
また、かかる現像装置であって、
前記トナー担持体の表面には、前記凸部と、前記トナーを担持する凹部とが、規則的に配置されており、
前記凹部は、前記トナー担持体の周方向に対する傾斜角度が異なる２種類の螺旋状の溝部の底部、であり、
該２種類の螺旋状の溝部は、互いに交差して格子形状をなしており、
前記凸部は、前記２種類の螺旋状の溝部に囲まれた正方形の頂面であり、
該正方形の頂面が有する２本の対角線のうちの一方が前記周方向に沿っていることが望ましい。
【００１３】
また、かかる現像装置であって、
前記凸部には、前記トナー担持体の加工の際に形成された、該トナー担持体の周方向に沿った小溝が、設けられていることが望ましい。かかる場合には、規制部材の当接部がトナー担持体に密着することを、有効に防止できる。
【００１４】
また、かかる現像装置であって、
前記小溝は、該小溝が設けられた前記凸部の、前記周方向における一端から他端にわたって繋がらないように、設けられていることが望ましい。かかる場合には、規制部材の当接部がトナー担持体に密着することを、より有効に防止できる。
【００１５】
また、かかる現像装置であって、
前記トナーは、前記母粒子に外添された複数種類の前記外添剤、を有し、
前記外添剤粒径Ｂは、前記複数種類の外添剤のうちの最も体積平均粒径が大きい外添剤、の体積平均粒径であることが望ましい。かかる場合には、規制部材の当接部がトナー担持体に密着することを、より有効に防止できる。
【００１６】
また、かかる現像装置であって、
前記規制部材は、ゴム弾性体から成ることが望ましい。かかる場合には、凸部に当接部を適切に当接させる効果が、より有効に奏される。
【００１７】
また、（ａ）潜像を担持するための像担持体と、
（ｂ）母粒子と該母粒子に外添された粒子状の外添剤とを有するトナー、を担持し、該トナーで前記像担持体に担持された潜像を現像するトナー担持体であって、該トナー担持体の表面に規則的に配置された凸部を有する回転可能なトナー担持体と、
該トナー担持体の表面に当接部にて当接して該表面に担持されたトナーの量を規制する規制部材であって、該規制部材の長手方向が該トナー担持体の軸方向に沿うように、かつ、該規制部材の短手方向及び厚み方向における先端が該トナー担持体の回転方向上流側に向くように、設けられた規制部材と、
を備える現像装置であって、
前記トナーの体積平均粒径をトナー粒径Ａとし、前記外添剤の体積平均粒径を外添剤粒径Ｂとし、前記凸部の十点平均粗さを凸部粗さＣとし、前記規制部材の前記先端が前記凸部に対向する際の該先端と該凸部の間の距離を、距離Ｄとしたときに、
前記トナー粒径Ａ、前記外添剤粒径Ｂ、前記凸部粗さＣ、及び、前記距離Ｄの大きさの関係が、前記凸部粗さＣ＜前記外添剤粒径Ｂ＜前記距離Ｄ＜前記トナー粒径Ａ、である現像装置と、
（ｃ）を有することを特徴とする画像形成装置。このような画像形成装置によれば、画像の画質の劣化を適切に防止し、かつ、トナー担持体に規制部材を適切に当接させることが可能となる。
【００１８】
また、（Ａ）コンピュータ、及び、
（Ｂ）このコンピュータに接続可能な画像形成装置であって、
（ａ）潜像を担持するための像担持体と、
（ｂ）母粒子と該母粒子に外添された粒子状の外添剤とを有するトナー、を担持し、該トナーで前記像担持体に担持された潜像を現像するトナー担持体であって、該トナー担持体の表面に規則的に配置された凸部を有する回転可能なトナー担持体と、
該トナー担持体の表面に当接部にて当接して該表面に担持されたトナーの量を規制する規制部材であって、該規制部材の長手方向が該トナー担持体の軸方向に沿うように、かつ、該規制部材の短手方向及び厚み方向における先端が該トナー担持体の回転方向上流側に向くように、設けられた規制部材と、
を備える現像装置であって、
前記トナーの体積平均粒径をトナー粒径Ａとし、前記外添剤の体積平均粒径を外添剤粒径Ｂとし、前記凸部の十点平均粗さを凸部粗さＣとし、前記規制部材の前記先端が前記凸部に対向する際の該先端と該凸部の間の距離を、距離Ｄとしたときに、
前記トナー粒径Ａ、前記外添剤粒径Ｂ、前記凸部粗さＣ、及び、前記距離Ｄの大きさの関係が、前記凸部粗さＣ＜前記外添剤粒径Ｂ＜前記距離Ｄ＜前記トナー粒径Ａ、である現像装置と、
（ｃ）を有する画像形成装置、
（Ｃ）を具備したことを特徴とする画像形成システム。このような画像形成システムによれば、画像の画質の劣化を適切に防止し、かつ、トナー担持体に規制部材を適切に当接させることが可能となる。
【００１９】
＝＝＝画像形成装置の全体構成例＝＝＝
次に、図１を用いて、『画像形成装置』としてレーザビームプリンタ（以下、プリンタともいう）１０を例にとって、その概要について説明する。図１は、プリンタ１０を構成する主要構成要素を示した図である。なお、図１には、矢印にて上下方向を示しており、例えば、給紙トレイ９２は、プリンタ１０の下部に配置されており、定着ユニット９０は、プリンタ１０の上部に配置されている。
【００２０】
本実施の形態に係るプリンタ１０は、図１に示すように、『像担持体』の一例としての感光体２０の回転方向に沿って、帯電ユニット３０、露光ユニット４０、ＹＭＣＫ現像ユニット５０、一次転写ユニット６０、中間転写体７０、クリーニングユニット７５を有し、さらに、二次転写ユニット８０、定着ユニット９０、ユーザへの報知手段をなし液晶パネルでなる表示ユニット９５、及び、これらのユニット等を制御しプリンタとしての動作を司る制御ユニット１００を有している。
【００２１】
感光体２０は、円筒状の導電性基材とその外周面に形成された感光層を有し、中心軸を中心に回転可能であり、本実施の形態においては、図１中の矢印で示すように時計回りに回転する。
【００２２】
帯電ユニット３０は、感光体２０を帯電するための装置であり、露光ユニット４０は、レーザを照射することによって帯電された感光体２０上に潜像を形成する装置である。この露光ユニット４０は、半導体レーザ、ポリゴンミラー、Ｆ−θレンズ等を有しており、パーソナルコンピュータ、ワードプロセッサ等の不図示のホストコンピュータから入力された画像信号に基づいて、変調されたレーザを帯電された感光体２０上に照射する。
【００２３】
ＹＭＣＫ現像ユニット５０は、感光体２０上に形成された潜像を、『現像装置』に収容されたトナーＴ、すなわち、ブラック現像装置５１に収容されたブラック（Ｋ）トナー、マゼンタ現像装置５２に収容されたマゼンタ（Ｍ）トナー、シアン現像装置５３に収容されたシアン（Ｃ）トナー、及び、イエロー現像装置５４に収容されたイエロー（Ｙ）トナーを用いて現像するための装置である。
【００２４】
このＹＭＣＫ現像ユニット５０は、前記４つの現像装置５１、５２、５３、５４が装着された状態で回転することにより、前記４つの現像装置５１、５２、５３、５４の位置を動かすことを可能としている。すなわち、このＹＭＣＫ現像ユニット５０は、前記４つの現像装置５１、５２、５３、５４を４つの保持部５５ａ、５５ｂ、５５ｃ、５５ｄにより保持しており、前記４つの現像装置５１、５２、５３、５４は、中心軸５０ａを中心として、それらの相対位置を維持したまま回転可能となっている。そして、１ページ分の画像形成が終了する毎に選択的に感光体２０に対向し、それぞれの現像装置５１、５２、５３、５４に収容されたトナーＴにて、感光体２０上に形成された潜像を順次現像する。なお、前述した４つの現像装置５１，５２，５３，５４の各々は、ＹＭＣＫ現像ユニット５０の前記保持部に対して着脱可能となっている。また、各現像装置の詳細については後述する。
【００２５】
一次転写ユニット６０は、感光体２０に形成された単色トナー像を中間転写体７０に転写するための装置であり、４色のトナーが順次重ねて転写されると、中間転写体７０にフルカラートナー像が形成される。
この中間転写体７０は、ＰＥＴフィルムの表面に錫蒸着層を設けさらにその表層に半導電塗料を形成、積層したエンドレスのベルトであり、感光体２０とほぼ同じ周速度にて回転駆動される。
二次転写ユニット８０は、中間転写体７０上に形成された単色トナー像やフルカラートナー像を紙、フィルム、布等の媒体に転写するための装置である。
定着ユニット９０は、媒体上に転写された単色トナー像やフルカラートナー像を媒体に融着させて永久像とするための装置である。
【００２６】
クリーニングユニット７５は、一次転写ユニット６０と帯電ユニット３０との間に設けられ、感光体２０の表面に当接されたゴム製のクリーニングブレード７６を有し、一次転写ユニット６０によって中間転写体７０上にトナー像が転写された後に、感光体２０上に残存するトナーＴをクリーニングブレード７６により掻き落として除去するための装置である。
【００２７】
制御ユニット１００は、図２に示すようにメインコントローラ１０１と、ユニットコントローラ１０２とで構成され、メインコントローラ１０１には画像信号及び制御信号が入力され、この画像信号及び制御信号に基づく指令に応じてユニットコントローラ１０２が前記各ユニット等を制御して画像を形成する。
【００２８】
次に、このように構成されたプリンタ１０の動作について説明する。
まず、不図示のホストコンピュータからの画像信号及び制御信号がインターフェイス（Ｉ／Ｆ）１１２を介してプリンタ１０のメインコントローラ１０１に入力されると、このメインコントローラ１０１からの指令に基づくユニットコントローラ１０２の制御により感光体２０、及び、中間転写体７０が回転する。感光体２０は、回転しながら、帯電位置において帯電ユニット３０により順次帯電される。
【００２９】
感光体２０の帯電された領域は、感光体２０の回転に伴って露光位置に至り、露光ユニット４０によって、第１色目、例えばイエローＹの画像情報に応じた潜像が該領域に形成される。また、ＹＭＣＫ現像ユニット５０は、イエロー（Ｙ）トナーを収容したイエロー現像装置５４が、感光体２０に対向した現像位置に位置している。
【００３０】
感光体２０上に形成された潜像は、感光体２０の回転に伴って現像位置に至り、イエロー現像装置５４によってイエロートナーで現像される。これにより、感光体２０上にイエロートナー像が形成される。
感光体２０上に形成されたイエロートナー像は、感光体２０の回転に伴って一次転写位置に至り、一次転写ユニット６０によって、中間転写体７０に転写される。この際、一次転写ユニット６０には、トナーＴの帯電極性とは逆の極性の一次転写電圧が印加される。なお、この間、感光体２０と中間転写体７０とは接触しており、また、二次転写ユニット８０は、中間転写体７０から離間している。
【００３１】
上記の処理が、第２色目、第３色目、及び、第４色目について、各々の現像装置毎に順次実行されることにより、各画像信号に対応した４色のトナー像が、中間転写体７０に重なり合って転写される。これにより、中間転写体７０上にはフルカラートナー像が形成される。
【００３２】
中間転写体７０上に形成されたフルカラートナー像は、中間転写体７０の回転に伴って二次転写位置に至り、二次転写ユニット８０によって媒体に転写される。なお、媒体は、給紙トレイ９２から、給紙ローラ９４、レジローラ９６を介して二次転写ユニット８０へ搬送される。また、転写動作を行う際、二次転写ユニット８０は中間転写体７０に押圧されるとともに二次転写電圧が印加される。
媒体に転写されたフルカラートナー像は、定着ユニット９０によって加熱加圧されて媒体に融着される。
【００３３】
一方、感光体２０は一次転写位置を経過した後に、クリーニングユニット７５に支持されたクリーニングブレード７６によって、その表面に付着しているトナーＴが掻き落とされ、次の潜像を形成するための帯電に備える。掻き落とされたトナーＴは、クリーニングユニット７５が備える残存トナー回収部に回収される。
【００３４】
＝＝＝制御ユニットの概要＝＝＝
次に、制御ユニット１００の構成について図２を参照しつつ説明する。制御ユニット１００のメインコントローラ１０１は、インターフェイス１１２を介してホストコンピュータと電気的に接続され、このホストコンピュータから入力された画像信号を記憶するための画像メモリ１１３を備えている。ユニットコントローラ１０２は、装置本体の各ユニット（帯電ユニット３０、露光ユニット４０、ＹＭＣＫ現像ユニット５０、一次転写ユニット６０、クリーニングユニット７５、二次転写ユニット８０、定着ユニット９０、表示ユニット９５）と電気的に接続され、それらが備えるセンサからの信号を受信することによって、各ユニットの状態を検出しつつ、メインコントローラ１０１から入力される信号に基づいて、各ユニットを制御する。
【００３５】
＝＝＝現像装置の構成例＝＝＝
次に、図３乃至図１２を用いて、現像装置の構成例について説明する。図３は、現像装置の概念図である。図４は、現像装置の主要構成要素を示した断面図である。図５は、現像ローラ５１０の斜視模式図である。図６は、現像ローラ５１０の正面模式図である。図７は、凸部５１２、凹部５１５等の形状を示した模式図であり、図７の下図は、図７の上図のＡ−Ａ断面の断面形状を表したものである。図８は、規制ブレード５６０及びブレード支持部材５６４の斜視図である。図９は、現像ローラ５１０に当接する規制ブレード５６０、の先端５６０ｂ周辺の様子を示した拡大模式図である。図１０は、ホルダー５２６の斜視図である。図１１は、ホルダー５２６に、上シール５２０、現像ローラ５１０、規制ブレード５６０及びブレード支持部材５６４が組み付けられている様子を示した斜視図である。図１２は、ホルダー５２６が、ハウジング５４０に取付けられている様子を示した斜視図である。なお、図４に示す断面図は、図３に示す長手方向に垂直な面で現像装置を切り取った断面を表したものである。また、図４においては、図１同様、矢印にて上下方向を示しており、例えば、現像ローラ５１０の中心軸は、感光体２０の中心軸よりも下方にある。また、図４では、イエロー現像装置５４が、感光体２０と対向する現像位置に位置している状態にて示されている。また、図５乃至図７、図９においては、図を分かりやすくするために、凸部５１２等のスケールが実際のものと異なっている。また、図８においては、規制ブレード５６０の長手方向と短手方向が、図９においては、規制ブレード５６０の短手方向と厚み方向が、それぞれ矢印にて示されている。
【００３６】
ＹＭＣＫ現像ユニット５０には、ブラック（Ｋ）トナーを収容したブラック現像装置５１、マゼンタ（Ｍ）トナーを収容したマゼンタ現像装置５２、シアン（Ｃ）トナーを収容したシアン現像装置５３、及び、イエロー（Ｙ）トナーを収容したイエロー現像装置５４が設けられているが、各現像装置の構成は同様であるので、以下、イエロー現像装置５４について説明する。
【００３７】
イエロー現像装置５４は、『トナー担持体』の一例としての現像ローラ５１０、上シール５２０、トナー収容体５３０、ハウジング５４０、トナー供給ローラ５５０、『規制部材』の一例としての規制ブレード５６０、ホルダー５２６等を有している。
【００３８】
現像ローラ５１０は、トナーＴを担持して感光体２０と対向する現像位置に回転することにより搬送し、該トナーＴ（現像ローラ５１０に担持されたトナーＴ）で感光体２０に担持された潜像を現像する。この現像ローラ５１０は、アルミ合金、鉄合金等からなる部材である。現像ローラ５１０は、その中央部５１０ａの表面に凸部５１２及び非凸部５１３を有しており、当該非凸部５１３は、側部５１４及び凹部５１５を備えている。そして、図５乃至図７に示すように、これらは、現像ローラ５１０の表面に規則的に配置されている。なお、本実施の形態においては、凸部５１２と非凸部５１３（側部５１４及び凹部５１５）は、いずれも、トナーＴを担持するためのトナー担持部としての機能を発揮する。そして、現像ローラ５１０は、凸部５１２、側部５１４、及び、凹部５１５に担持されたトナーＴで感光体２０に担持された潜像を現像する。
【００３９】
凸部５１２は、中央部５１０ａの中で最も高い部分であり、図７の上図に示すように、正方形状の頂面となっている。正方形の当該凸部５１２の一辺の長さＬ１（図７の下図参照）は、約５０μｍである。凸部５１２は、正方形の二つの対角線の各々が、それぞれ現像ローラ５１０の回転軸方向及び周方向に沿うように、中央部５１０ａの表面に形成されている。
【００４０】
非凸部５１３は、本実施の形態において、互いに巻き方向の異なる第一溝部５１６及び第二溝部５１８となっている。ここで、第一溝部５１６は、その長手方向が図６中記号Ｘで示された方向に沿った螺旋状の溝であり、第二溝部５１８は、その長手方向が図６中記号Ｙで示された方向に沿った螺旋状の溝である。このため、第一溝部５１６と第二溝部５１８は、互いに交差して格子形状をなしており、前記凸部５１２は、第一溝部５１６と第二溝部５１８に囲まれている。なお、いずれの溝部についても、その長手方向と現像ローラ５１０の回転軸方向との成す鋭角は約４５度となっている（図６参照）。また、溝部の溝幅Ｌ２（換言すると、互いに隣り合う凸部５１２間距離。図７の下図参照）は、凸部５１２の一辺の長さＬ１と同様、約５０μｍである。
【００４１】
側部５１４は、凸部５１２と凹部５１５とを繋ぐ斜面であり、図７の上図に示すように、前述した正方形状の凸部５１２の各辺に対応して４つ設けられている。そして、図５乃至図７に示すように、凸部５１２及び４つの側部５１４（の組）は、現像ローラ５１０の中央部５１０ａの表面に、規則的、かつ、網目状に、多数配置されている。
【００４２】
凹部５１５は、非凸部５１３（すなわち、第一溝部５１６又は第二溝部５１８）の底部に相当し、中央部５１０ａの中で最も低い部分である。この凹部５１５は、図５乃至図７に示すように、凸部５１２及び４つの側部５１４の四方を囲うように、規則的、かつ、網状に、形成されている。なお、図７に示すように、凸部５１２を基準とした凹部５１５（非凸部５１３）の深さｄ（現像ローラ５１０の径方向における凸部５１２から凹部５１５までの長さ）は、約８μｍである。現像ローラ５１０には、当該深さｄが現像ローラ５１０に備えられた全ての凹部５１５間で均一となるように、凸部５１２及び凹部５１５が形成されている。本実施の形態においては、トナーＴは粒状（粒子状）をなし、トナーＴの体積平均粒径は、約４．６μｍであるため、トナーＴの体積平均粒径の大きさは凹部５１５の深さｄよりも小さくなっている。
【００４３】
さらに、上述した凸部５１２、側部５１４、及び、凹部５１５が備えられた中央部５１０ａ、の表面には、無電解Ｎｉ−Ｐメッキが施されている。
【００４４】
また、現像ローラ５１０には、軸部５１０ｂが設けられており、当該軸部５１０ｂが後述するホルダー５２６の現像ローラ支持部５２６ｂによって軸受け５７６を介して支持されることにより（図１１）、現像ローラ５１０が回転自在に支持される。図４に示すように、現像ローラ５１０は、感光体２０の回転方向（図４において時計方向）と逆の方向（図４において反時計方向）に回転する。
【００４５】
また、イエロー現像装置５４が感光体２０と対向している状態で、現像ローラ５１０と感光体２０との間には空隙が存在する。すなわち、イエロー現像装置５４は、現像ローラ５１０に担持されたトナーＴが感光体２０に接触していない非接触状態で、感光体２０上に形成された潜像を現像する。
【００４６】
ハウジング５４０は、一体成型された複数の樹脂製のハウジング部、すなわち、上ハウジング部５４２と下ハウジング部５４４、とを溶着して製造されたものであり、その内部に、トナーＴを収容するためのトナー収容体５３０が形成されている。トナー収容体５３０は、内壁から内方へ（図４の上下方向）突出させたトナーＴを仕切るための仕切り壁５４５により、二つのトナー収容部、すなわち、第一トナー収容部５３０ａと第二トナー収容部５３０ｂと、に分けられている。そして、第一トナー収容部５３０ａと第二トナー収容部５３０ｂとは、上部が連通され、図４に示す状態で、仕切り壁５４５によりトナーＴの移動が規制されている。また、図４に示すように、ハウジング５４０（すなわち、第一トナー収容部５３０ａ）は下部に開口５７２を有しており、現像ローラ５１０が、この開口５７２に臨ませて設けられている。
【００４７】
トナー供給ローラ５５０は、前述した第一トナー収容部５３０ａに設けられ、当該第一トナー収容部５３０ａに収容されたトナーＴを現像ローラ５１０に供給する。このトナー供給ローラ５５０は、ポリウレタンフォーム等からなり、弾性変形された状態で現像ローラ５１０に当接している。トナー供給ローラ５５０は、中心軸を中心として回転可能であり、回転することによりトナーＴを現像ローラ５１０と当接する当接位置へ搬送する。そして、当該当接位置において、トナーＴがトナー供給ローラ５５０と現像ローラ５１０とにより摩擦帯電され、帯電されたトナーＴが、現像ローラ５１０に付着し、該現像ローラ５１０に適切に担持されることとなる。このようにして、トナー供給ローラ５５０はトナーＴを現像ローラ５１０へ供給する。
【００４８】
なお、トナー供給ローラ５５０は、現像ローラ５１０の回転方向（図４において反時計方向）と逆の方向（図４において時計方向）に回転する。また、トナー供給ローラ５５０は、トナーＴを現像ローラ５１０に供給する機能だけでなく、現像後に現像ローラ５１０に残存しているトナーＴを、現像ローラ５１０から剥ぎ取る機能をも有している。
【００４９】
上シール５２０は、現像ローラ５１０にその回転軸方向に沿って当接して、現像位置を通過後に現像ローラ５１０上に残留しているトナーＴのハウジング５４０内への移動を許容し、かつ、ハウジング５４０内のトナーＴのハウジング５４０外への移動を規制する。この上シール５２０は、ポリエチレンフィルム等からなるシールである。上シール５２０は、後述するホルダー５２６の上シール支持部５２６ａによって支持されており、また、その長手方向が現像ローラ５１０の回転軸方向に沿うように設けられている（図１１）。
【００５０】
また、上シール５２０の、現像ローラ５１０に当接する当接面５２０ｂ、とは反対側の面（当該面を、反対面５２０ｃとも呼ぶ）と、前記上シール支持部５２６ａとの間には、モルトプレーン等の弾性体からなる上シール付勢部材５２４が圧縮した状態で設けられている。この上シール付勢部材５２４は、その付勢力で上シール５２０を現像ローラ５１０側へ付勢することにより、上シール５２０を現像ローラ５１０に押しつけている。
【００５１】
規制ブレード５６０は、現像ローラ５１０の回転軸方向一端部から他端部に亘って規制ブレード５６０の長手方向が現像ローラ５１０の回転軸方向に沿うように当接部５６０ａにて現像ローラ５１０に当接して、現像ローラ５１０（凸部５１２及び非凸部５１３）に担持されたトナーＴの量を規制し、また、現像ローラ５１０に担持されたトナーＴに電荷を付与する。
【００５２】
この規制ブレード５６０は、『ゴム弾性体』の一例であるシリコンゴム、ウレタンゴム等からなり、図４及び図８に示すように、ブレード支持部材５６４により支持されている。ブレード支持部材５６４は、薄板５６４ａと薄板支持部５６４ｂとから構成されており、その短手方向一端部５６４ｄ（すなわち、薄板５６４ａ側の端部）で規制ブレード５６０を支持する。薄板５６４ａは、リン青銅、ステンレス等からなり、バネ性を有している。薄板５６４ａは、規制ブレード５６０を直接的に支持しており、その付勢力によって規制ブレード５６０を現像ローラ５１０に押しつけている。薄板支持部５６４ｂは、ブレード支持部材５６４の短手方向他端部５６４ｅに配置された金属製の板金であり、当該薄板支持部５６４ｂは、前記薄板５６４ａの、規制ブレード５６０を支持している側とは逆側の端、を支持した状態で、当該薄板５６４ａに取り付けられている。そして、規制ブレード５６０及びブレード支持部材５６４は、薄板支持部５６４ｂの長手方向両端部５６４ｃが後述するホルダー５２６の規制ブレード支持部５２６ｃによって支持された状態で、当該規制ブレード支持部５２６ｃに取付けられている。
【００５３】
また、規制ブレード５６０は、図９に示すように、当該規制ブレード５６０の短手方向及び厚み方向における先端５６０ｂが現像ローラ５１０の回転方向上流側を向くように配置されている。すなわち、規制ブレード５６０は、いわゆるカウンタ当接している。
【００５４】
また、当該先端５６０ｂは、図９に示すように、現像ローラ５１０に当接しておらず、現像ローラ５１０に当接する前記当接部５６０ａは、当該先端５６０ｂから離れた位置に位置している。さらに、本実施の形態においては、回転する現像ローラ５１０の、前記凸部５１２及び凹部５１５のうちの凸部５１２、に当該先端５６０ｂが対向する際の（図９には、かかる状態、すなわち、現像ローラ５１０が回転して先端５６０ｂが凸部５１２に対向するようになった状態、が示されている。凸部５１２上の対向部を符号５１２ａで示す）、当該先端５６０ｂから当該凸部５１２までの距離ｇ（換言すれば、当該距離ｇは、先端５６０ｂから図４において記号Ｃで示される現像ローラ５１０の断面の中心へ向けて仮想線を引いたときの、当該仮想線と凸部５１２との交点、から先端５６０ｂまでの仮想線の長さに相当する）が、極めて小さくなっている。より具体的には、当該距離ｇは、約２μｍとなっており、トナーＴの体積平均粒径（約４．６μｍ）よりも小さい値となっている。
【００５５】
また、図１１に示すように、規制ブレード５６０の長手方向外側には、端部シール５７４が設けられている。当該端部シール５７４は、不織布により形成されており、現像ローラ５１０の回転軸方向端部に、当該現像ローラ５１０の周面に沿って接触して、その周面とハウジング５４０との間からのトナーＴの漏れを防止する機能を発揮する。
【００５６】
ホルダー５２６は、現像ローラ５１０等の種々の部材を組み付けるための金属製の部材であり、図１０に示すように、その長手方向（すなわち、現像ローラ５１０の回転軸方向）に沿った上シール支持部５２６ａと、前記長手方向（前記回転軸方向）において上シール支持部５２６ａの外側に設けられ、前記長手方向（前記回転軸方向）と交差する現像ローラ支持部５２６ｂと、当該現像ローラ支持部５２６ｂと交差し、前記上シール支持部５２６ａの長手方向端部に対向する規制ブレード支持部５２６ｃと、を有している。
【００５７】
そして、図１１に示すように、上シール５２０は、その短手方向端部５２０ａ（図４）にて、上シール支持部５２６ａによって支持されており、また、現像ローラ５１０は、その端にて、現像ローラ支持部５２６ｂにより支持されている。さらに、規制ブレード５６０及びブレード支持部材５６４は、当該ブレード支持部材５６４の長手方向両端部５６４ｃにて、規制ブレード支持部５２６ｃにより、支持されている。規制ブレード５６０及びブレード支持部材５６４は、当規制ブレード支持部５２６ｃにネジ止めされることにより、ホルダー５２６に固定されている。このように、上シール５２０と、現像ローラ５１０と、規制ブレード５６０及びブレード支持部材５６４と、が組付けられたホルダー５２６は、図１２に示すように、ホルダー５２６とハウジング５４０との間からのトナーＴの漏れを防止するためのハウジングシール５４６（図４）を介して、前述したハウジング５４０に取り付けられている。
【００５８】
このように構成されたイエロー現像装置５４において、トナー供給ローラ５５０がトナー収容体５３０に収容されているトナーＴを現像ローラ５１０に供給する。かかる供給の際に、トナーＴがトナー供給ローラ５５０と現像ローラ５１０とにより摩擦帯電され、帯電されたトナーＴが、現像ローラ５１０に付着し、該現像ローラ５１０に適切に担持されることとなる。現像ローラ５１０に担持されたトナーＴは、現像ローラ５１０の回転に伴って、規制ブレード５６０に至り、当該規制ブレード５６０により、トナーＴの量が規制され、トナーＴがさらに摩擦帯電される。現像ローラ５１０上のトナーＴは、現像ローラ５１０のさらなる回転によって、感光体２０に対向する現像位置に至り、該現像位置にて交番電界下で感光体２０上に形成された潜像の現像に供される。現像ローラ５１０のさらなる回転によって現像位置を通過した現像ローラ５１０上のトナーＴは、上シール５２０を通過して、上シール５２０によって掻き落とされることなく現像装置内に回収される。さらに、未だ現像ローラ５１０に残存しているトナーＴは、前記トナー供給ローラ５５０によって剥ぎ取られうる。
【００５９】
＝＝＝現像メモリ発生のメカニズム＝＝＝
「発明が解決しようとする課題」の項で説明したとおり、プリンタ１０において、帯電の立ち上がりが遅いトナー（その帯電量が飽和帯電量まで到達するのに時間がかかるトナー）が用いられる場合には、当該帯電の立ち上がりの遅さに起因して、所謂現像メモリと呼ばれる現象が生じ得る。ここでは、このような現像メモリ発生のメカニズムについて図１３を用いて説明する。図１３は、現像メモリ発生のメカニズムを説明するための説明図である。
【００６０】
前述したとおり、トナーは、トナー供給ローラ５５０と現像ローラ５１０とにより摩擦帯電され、帯電されたトナーが、現像ローラ５１０に付着し、該現像ローラ５１０に担持される。そして、現像ローラ５１０に担持されたトナーは、規制ブレード５６０により、さらに摩擦帯電された後、感光体２０に対向する現像位置に至り、該現像位置にて潜像の現像に供される。すなわち、現像ローラ５１０が１周する際に実行される以下のプロセス、すなわち、トナー供給ローラ５５０によるトナーの帯電及び供給（現像ローラ５１０にトナーを担持させる）プロセス、規制ブレード５６０によるトナーの帯電プロセス、感光体２０上の潜像の現像プロセス、が、現像ローラ５１０が複数周することにより、複数回実行されることになる。そして、例えば、現像ローラ５１０のｎ周目の上記一連のプロセスが実行されることにより感光体２０上に形成されるトナー像と、現像ローラ５１０のｎ＋１周目の上記一連のプロセスが実行されることにより感光体２０上に形成されるトナー像は、感光体２０の周方向において並んだ状態となる。
【００６１】
ここで、本項においては、現像ローラ５１０のｎ周目の上記一連のプロセスが実行されることにより、アルファベット「Ｏ」を表す潜像が現像されて、感光体２０上にアルファベット「Ｏ」を表すトナー像が形成され、現像ローラ５１０のｎ＋１周目の上記一連のプロセスが実行されることにより、潜像が現像されて、感光体２０の全面にハーフトーン像が形成されることとして、当該現像ローラ５１０の上記プロセスについて考察する。そして、当該考察により、現像メモリ発生のメカニズムを明らかにする。
【００６２】
現像ローラ５１０のｎ週目の前記現像プロセスにおいてアルファベット「Ｏ」を表す潜像が現像される際には、現像ローラ５１０に担持されたトナーのうち、現像ローラ５１０の当該潜像と対向する部分、に担持されたトナーは、トナー像の形成のために消費される。そのため、現像ローラ５１０のｎ週目の前記現像プロセスの終了後には、当該対向する部分は、トナーが担持されていない状態となる。その一方で、現像ローラ５１０の当該潜像と対向しない部分、に担持されたトナーは消費されないため、当該現像プロセスの終了後においても、当該対向しない部分には、トナーが担持されていることとなる。このように、現像ローラ５１０のｎ週目の上記一連のプロセスが終了すると、現像ローラ５１０上には、トナーが担持されていない第一領域（この第一領域は、「Ｏ」の文字を象った状態となる）とトナーが担持されている第二領域とが生ずることとなる。
【００６３】
そして、当該第一領域と第二領域は、現像ローラ５１０が回転することにより、やがて、トナー供給ローラ５５０と当接する当接位置に至り、現像ローラ５１０のｎ＋１周目の上記一連のプロセスが開始されることとなる。すなわち、当該当接位置にて、ｎ＋１周目のトナー供給ローラ５５０によるトナーの帯電及び供給プロセス、が実行される。
【００６４】
ここで、第二領域には、トナーが既に担持されており、当該トナーは、ｎ周目のトナー供給ローラ５５０によるトナーの帯電及び供給プロセス、及び、ｎ周目の規制ブレード５６０によるトナーの帯電プロセス、の実行により十分帯電された状態となっている。そして、当該トナーは、（トナー供給ローラ５５０によって剥ぎ取られることなく、）本プロセスが実行されることによりさらに帯電されるから、トナーの、現像ローラ５１０に付着する付着力、がさらに高められることとなる。したがって、当該トナーは、現像ローラ５１０に担持された状態が維持されたまま、次のプロセスの実行のために規制ブレード５６０に向けて搬送されることとなる。
【００６５】
一方、第一領域は、トナーが担持されていない状態となっているため、トナー収容体５３０に収容されているトナーが、新たに当該第一領域に供給されることとなる。ここで、当該トナーについては、ｎ周目のトナーの帯電プロセスの実行により十分帯電された第二領域のトナーとは異なり、その帯電が不十分な状態となっている。そして、トナーは、本プロセスにおいて、トナー供給ローラ５５０と現像ローラ５１０とにより摩擦帯電されるが、当該トナーが帯電の立ち上がりが遅い（帯電量が飽和帯電量まで到達するのに時間がかかる）性質を有するトナーである場合には、摩擦帯電が行われた際にトナーが現像ローラ５１０に適切に担持されないこととなる（このことは、第一領域において、トナー供給ローラ５５０によるトナー供給が十分に実行されていないとも言える）。
【００６６】
そして、トナーが適切に担持されていない第一領域とトナーが適切に担持された第二領域は、ｎ＋１周目の規制ブレード５６０によるトナーの帯電プロセスの実行のために規制ブレード５６０に至った後、感光体２０に対向する現像位置に到達する。ここで、ｎ＋１周目の現像プロセスが実行され、潜像が現像されることにより感光体２０の全面にハーフトーン像が形成されるが、第二領域にはトナーが適切に担持されている一方で、第一領域にはトナーが適切に担持されていないため、第一領域と対向する潜像が現像されることにより形成されるハーフトーン像の濃度は、第二領域と対向する潜像が現像されることにより形成されるハーフトーン像の濃度よりも薄くなる。
【００６７】
この（双方の濃度に差異がある）様子を、図１３に示す。図１３には、現像ローラ５１０のｎ周目の上記一連のプロセスが実行されることにより感光体２０上に形成されたアルファベット「Ｏ」を表すトナー像と、現像ローラ５１０のｎ＋１周目の上記一連のプロセスが実行されることにより感光体２０上に形成されたハーフトーン像とを示している。本図においては、感光体２０に形成されたトナー像を、模式的に展開させた感光体２０、の周面上に表しており、感光体２０の周方向と軸方向とが矢印で示されている。本図に示されている長さＬは、現像ローラ５１０の周面の１周分の長さに相当する。
【００６８】
そして、図１３には、第一領域と対向する潜像が現像されることにより形成されるハーフトーン像（図中、符号Ａ１で示す）の濃度が、第二領域と対向する潜像が現像されることにより形成されるハーフトーン像（図中、符号Ａ２で示す）の濃度よりも薄くなっている様子が表されている。また、前述したとおり、第一領域は「Ｏ」の文字を象るため、第一領域と対向する潜像が現像されることにより形成される、より濃度の薄いハーフトーン像も、「Ｏ」の文字を象ることとなる。つまり、ｎ＋１周目の上記一連のプロセスが実行されることにより感光体２０上に形成されたハーフトーン像に、ｎ周目の上記一連のプロセスが実行されることにより感光体２０上に形成されたトナー像の形態が現れてしまう現象、すなわち、現像メモリ、が発生することとなる。
【００６９】
このように、プリンタ１０において、帯電の立ち上がりが遅いトナーが用いられる場合には、当該帯電の立ち上がりの遅さに起因して、現像メモリが顕著に生じ得る。
【００７０】
逆に言えば、帯電の立ち上がりが速いトナーが用いられる場合には、ｎ＋１周目のトナーの帯電及び供給プロセスにおいて、トナー供給ローラ５５０と現像ローラ５１０とによりトナーが摩擦帯電される際に、第一領域においても、トナーが現像ローラ５１０に適切に担持されるため、第一領域と対向する潜像が現像されることにより形成されるハーフトーン像の濃度と第二領域と対向する潜像が現像されることにより形成されるハーフトーン像の濃度が略同様となる。そのため、かかる場合には、現像メモリの発生が抑えられることとなる。
【００７１】
＝＝＝本実施の形態に係るトナーの構成、及び、当該トナーの構成と現像メモリの発生程度との関係、について＝＝＝
上述したとおり、プリンタ１０において、帯電の立ち上がりが遅いトナーが用いられる場合には、当該帯電の立ち上がりの遅さに起因して、現像メモリが顕著に生じ得る。そして、トナー帯電の立ち上がり速さは、トナーの構成に関連しているため、トナーの構成と現像メモリの発生程度との間には、一定の関係があることとなる。
【００７２】
ここでは、先ず、本実施の形態に係るトナー、すなわち、本実施の形態に係るプリンタ１０に用いられるトナー、の構成について説明する。そして、これに引き続いて、本実施の形態に係るトナーの構成と現像メモリの発生程度との関係について考察する。
【００７３】
＜＜＜本実施の形態に係るトナーの構成について＞＞＞
１）トナーの粒径について
本実施の形態に係るプリンタ１０において用いられるトナーについては、最終的に得られる画像の画質を良好なものとする（ドットの再現性を良くする）ことを重視して、トナーの粒径が、従来一般的に使用されてきたトナーの粒径（体積平均粒径が５μｍより大きい）よりも小さくなっている（すなわち、体積平均粒径が５μｍ以下）。より具体的には、前述したとおり、その体積平均粒径Ａｖｅが、約４．６μｍとなっている。また、３σ値、すなわち、体積平均粒径Ａｖｅからトナーの粒径分布における標準偏差σの３倍を減じた値及び体積平均粒径にトナーの粒径分布における標準偏差σの３倍を加えた値は、それぞれ約２．３μｍ、約６．９μｍとなっている。
【００７４】
なお、前記体積平均粒径とは、粒径Ｒi（i＝1...,n）のトナーの体積占有率が、それぞれＰi（i＝1...,n、Ｐ1からＰnまでの総和は１）のときに、ＲiとＰiとの積の、i＝1からｎまでの総和により算出される値である。また、前記標準偏差σとは、分散の平方根であり、当該分散は、Ｒi（i＝1...,n）とＡｖｅの差、の２乗値とＰiとの積の、i＝1からｎまでの総和により算出される値である。
【００７５】
２）トナーの円形度について
本実施の形態に係るプリンタ１０において用いられるトナーについては、一次転写や二次転写における転写性を重視して、トナーの円形度が、従来一般的に使用されてきたトナーの円形度（円形度が０．９５０未満）よりも大きくなっている（真円に近くなっている。円形度は、０．９５０以上）。より具体的には、その円形度が、約０．９６０〜０．９８５となっている。
【００７６】
３）帯電制御剤（ＣＣＡ）について
本実施の形態に係るプリンタ１０において用いられるトナーには、帯電制御剤（ＣＣＡ）が含有されていない。
【００７７】
代表的なトナーの製造方法としては、粉砕法及び重合法があるが、重合法の方が、小粒径のトナーの製造や高円形度のトナーの製造に適しているため、本実施の形態に係るトナーは重合法により製造される。そして、トナーの製造方法として、重合法が用いられる場合には、帯電制御剤（ＣＣＡ）を入れると不都合が生じる可能性があるため、本実施の形態においては、トナーに帯電制御剤（ＣＣＡ）が含有されていない。
【００７８】
なお、重合法としては、懸濁重合法、乳化重合法等を挙げることができる。懸濁重合法においては、重合性単量体、着色剤（着色顔料）、離型剤、必要により更に、染料、重合開始剤、架橋剤、その他の添加剤を溶解又は分散させた単量体組成物を、懸濁安定剤（水溶性高分子、難水溶性無機物質）を含む水相中に撹拌しながら添加して造粒、重合させ、所望の粒子サイズを有する着色トナー粒子（『母粒子』）を形成することができる。乳化重合法においては、単量体と離型剤、必要により更に重合開始剤、乳化剤（界面活性剤）などを水中に分散させて重合を行い、次いで凝集過程で着色剤（着色顔料）と凝集剤（電解質）等を添加することによって所望の粒子サイズを有する着色トナー粒子（『母粒子』）を形成することができる。
【００７９】
そして、本実施の形態に係るトナーは、乳化重合法によって製造されており、以下においては、上述した４色のトナー（ブラックトナー、マゼンタトナー、シアントナー、イエロートナー）のうちのシアントナーの、乳化重合法による製造方法について説明する。
【００８０】
まず、単量体（モノマー）であるスチレンモノマー８０質量部、アクリル酸ブチル２０質量部、およびアクリル酸５質量部からなるモノマー混合物を、水１０５質量部、ノニオン乳化剤（第一工業製薬製エマルゲン９５０）１質量部、アニオン乳化剤（第一工業製薬製ネオゲンＲ）１．５質量部、および重合開始剤である過硫酸カリウム０．５５質量部の水溶液混合物に添加し、窒素気流中下で攪拌を行いながら７０℃で８時間重合を行った。重合反応後冷却し、乳白色の粒径０．２５μｍの樹脂エマルジョンを得た。
【００８１】
次に、この樹脂エマルジョン２００質量部、離型剤であるポリエチレンワックスエマルジョン（三洋化成工業（株）製）２０質量部、および着色剤であるフタロシアニンブルー２５質量部を、界面活性剤であるドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム０．２質量部を含んだ０．２リットルの水中へ分散し、ジエチルアミンを添加してｐＨを５．５に調整後攪拌しながら電解質である硫酸アルミニウム０．３質量部を加え、次いで攪拌装置（ＴＫホモミキサー）で高速攪拌して分散を行った。
【００８２】
更に、スチレンモノマー４０質量部、アクリル酸ブチル１０質量部、サリチル酸亜鉛５質量部を水４０質量部と共に追加し、窒素気流下で攪拌しながら同様にして、９０℃に加熱し、過酸化水素水を加えて３時間重合し、粒子を成長させた。重合停止後、会合粒子の結合強度を上げるため、ｐＨを５以上に調整しながら９５℃に昇温し、５時間保持した。その後得られた粒子を水洗し、４５℃で真空乾燥を１０時間行い、シアントナー母粒子（着色トナー粒子）を得た。
【００８３】
このように得られた着色トナー粒子と、外添剤（具体的には、後述するシリカとチタニア）が混合されることにより、外添剤が着色トナー粒子に外添され、もって、体積平均粒径が約４．６μｍであるシアントナーが得られた。
【００８４】
４）着色剤（着色顔料）について
本実施の形態に係るプリンタ１０において用いられるトナーについては、トナーの粒径が小さいことを考慮して、トナーに含まれる着色剤（着色顔料）の量を、従来一般的に使用されてきたトナーに含まれる着色剤（着色顔料）の量（１０ｗｔ％未満）よりも多くしている（すなわち、１０ｗｔ％以上）。すなわち、トナーの粒径が小さい場合には、紙等の媒体に最終的に付着するトナーの量が少なくなるため、画像の濃度が薄くなる傾向にある。したがって、本実施の形態においては、これを補うために、着色剤（着色顔料）を多く入れている。
【００８５】
＜＜＜トナーの構成と現像メモリの発生程度との関係について＞＞＞
本実施の形態に係るトナーは、１）〜４）で説明した性質を有している。そして、当該トナーがこれらの性質を有していることに起因して、当該トナーが用いられる本実施の形態に係るプリンタ１０においては、現像メモリが発生しやすくなっている。
【００８６】
すなわち、トナー粒径が小さくなると、トナーの飽和帯電量が高くなるため、トナーの帯電の立ち上がりが遅くなる。また、トナーに帯電制御剤（ＣＣＡ）を含有させないため、トナーの帯電の立ち上がりを速くするための帯電制御を施すことができない。また、着色剤（着色顔料）の量が多いため、トナーの帯電の立ち上がりがどうしても遅くなる。
【００８７】
このように、本実施の形態に係るプリンタ１０においては、トナーの帯電の立ち上がりが遅くなるため、現像メモリが発生しやすくなる。
【００８８】
また、トナーの円形度が小さい場合には、トナーが現像ローラ５１０に引っかかり易くなるため、トナーの帯電の立ち上がりが遅くても、前記第一領域のトナーの担持に係る前述した不適切性が若干緩和される。そのため、前記第一領域と対向する潜像が現像されることにより形成されるハーフトーン像の濃度と前記第二領域と対向する潜像が現像されることにより形成されるハーフトーン像の濃度との差がより少なくなり、現像メモリの発生が若干抑えられることとなる。しかしながら、本実施の形態に係るトナーの円形度は高いため、当該事項に期待することができず、したがって、本実施の形態においては、現像メモリの発生がより顕著となる。
【００８９】
＝＝＝外添剤の概要について＝＝＝
次に、トナーの母粒子に外添される外添剤の概要について、説明する。
外添剤は、主にトナーの流動性向上や帯電性安定を目的として、母粒子に外添されるものである。本実施の形態においては、母粒子（着色トナー粒子）に４種類の外添剤が外添されている。４種類の外添剤は、それぞれ体積平均粒径が異なる外添剤であり、具体的には、体積平均粒径が１５ｎｍ（ナノメートル）であるシリカ（以下、１５ｎｍシリカとも呼ぶ）と、体積平均粒径が３０ｎｍであるチタニアと、体積平均粒径が５０ｎｍであるシリカ（以下、５０ｎｍシリカとも呼ぶ）と、体積平均粒径が５００ｎｍであるシリカ（以下、５００ｎｍシリカとも呼ぶ）である。そして、１５ｎｍシリカが母粒子に対して外添される量（外添量）は、１．０ｗｔ％であり、チタニアの外添量は１．０ｗｔ％であり、５０ｎｍシリカの外添量は１．０ｗｔ％であり、５００ｎｍシリカの外添量は０．５ｗｔ％である。
【００９０】
４種類の外添剤は、ヘンシェルミキサー等の混合処理槽において母粒子と共に混合されることによって、当該母粒子に外添されることとなる。混合処理槽には、母粒子と外添剤を混合するための攪拌羽根等が設けられており、当該攪拌羽根が所定時間だけ回転することにより、外添剤が母粒子に外添される。本実施の形態においては、４種類の外添剤が、以下の順序で母粒子と共に混合される。始めに、５０ｎｍシリカ（１．０ｗｔ％）を、混合処理槽に投入して、母粒子と共に２０秒混合させる（すなわち、前記攪拌羽根を２０秒回転させる）。次に、１５ｎｍシリカ（１．５ｗｔ％）とチタニア（１．０ｗｔ％）を混合処理槽に投入して、更に、３０秒混合させる（この３０秒間、先に投入された５０ｎｍシリカも混合される）。最後に、５００ｎｍシリカ（０．５ｗｔ％）を混合処理槽に投入し、更に、１０秒混合させる。
【００９１】
母粒子に外添された外添剤を有するトナーにおいては、現像装置５１、５２、５３、５４の使用中に、母粒子から外添剤が遊離することがある。そして、外添剤の母粒子からの遊離は、当該外添剤の体積平均粒径が大きいほど、生じやすい。このため、４種類の外添剤のうちの、体積平均粒径が最も大きい５００ｎｍシリカが、遊離しやすい。また、外添剤の母粒子からの遊離は、混合処理槽における外添剤の母粒子との混合時間とも関係があり、混合時間が短い外添剤は、母粒子から遊離しやすい。そして、上述したように、４種類の外添剤のうちの５００ｎｍシリカを最後に母粒子と混合し、かつ、その混合時間も他の外添剤の混合時間に比べて短い。このため、５００ｎｍシリカは、他の外添剤に比べて、母粒子から遊離しやすい。
【００９２】
＝＝＝規制ブレード５６０の規制状態による現像メモリの抑制効果＝＝＝
本実施の形態に係る規制ブレード５６０の規制状態は、図９に示したように、規制ブレード５６０の先端５６０ｂが現像ローラ５１０の回転方向上流側を向くように、かつ、前記先端５６０ｂが現像ローラ５１０の凸部５１２に対向する際の、当該先端５６０ｂから当該凸部５１２までの距離ｇ（約２μｍ）が、トナーの体積平均粒径（約４．６μｍ）よりも小さくなるように、設定されている。これにより、上述した現像メモリの発生が有効に抑えられる。かかる点について、以下において詳細に説明する。
【００９３】
前述したとおり、トナー供給ローラ５５０と現像ローラ５１０により摩擦帯電されて該現像ローラ５１０に担持されたトナーは、現像ローラ５１０の回転に伴って、規制ブレード５６０に至り、当該規制ブレード５６０により、トナーの量が規制され、トナーがさらに摩擦帯電される。
【００９４】
ここで、前記距離ｇ（約２μｍ）がトナーの体積平均粒径（約４．６μｍ）よりも小さい場合には、現像ローラ５１０の凸部５１２に担持されたトナーが、現像ローラ５１０の回転に伴って、規制ブレード５６０に至った際に、凸部５１２に担持され前記体積平均粒径を有するトナーは、先端５６０ｂと前記対向部５１２ａとの（２μｍの）間を通り抜けることができず（当該先端５６０ｂとぶつかって弾き飛ばされ）、感光体２０に対向する現像位置に到達することができない。
【００９５】
一方で、凹部５１５に担持されたトナーに着目すると、トナーの体積平均粒径（約４．６μｍ）は、凹部５１５の深さｄ（約８μｍ）よりも小さくなっているため、凹部５１５に担持され前記体積平均粒径を有するトナーは、先端５６０ｂと前記対向部５１２ａとの（２μｍの）間を通り抜けることができ、感光体２０に対向する現像位置に到達する。
【００９６】
この結果、感光体２０に対向する現像位置においては、凸部５１２及び凹部５１５に担持されているトナーの状態が、以下のようになる。すなわち、凸部５１２には、先端５６０ｂと前記対向部５１２ａとの（２μｍの）間を通り抜けることができた極めて小粒径のトナー（該トナーの量は少ない）が、担持されることとなる。一方、凹部５１５には、様々な粒径のトナー（主に、前記体積平均粒径を有するトナー）が、担持されることとなる。そして、凹部５１５には、トナーが該凹部５１５全体を覆うように、多量のトナーが担持される。
【００９７】
次に、規制ブレード５６０が上述したように規制すると、どうして、現像メモリの発生が抑えられ画像の画質の劣化が適切に防止されるか、について説明する。
【００９８】
現像ローラ５１０のｎ周目の現像プロセスが終了した際に生ずる、トナーが担持されていない前記第一領域、には、ｎ＋１周目のトナー供給ローラ５５０によるトナーの帯電及び供給プロセスにおいて、トナー収容体５３０に収容されているトナーが新たに供給される。そして、上記においては、当該第一領域に新たに供給されたトナーは、当該トナーが帯電の立ち上がりが遅い性質を有するトナーである場合には、トナー供給ローラ５５０と現像ローラ５１０とによる摩擦帯電が行われた際に現像ローラ５１０の当該第一領域に適切に担持されない点について説明した。
【００９９】
ここで、当該第一領域の中には、凸部５１２と凹部５１５とが存在するが、第一領域のトナーの担持に係る不適切性の程度は、トナーが第一領域の凸部５１２及び凹部５１５のうちのどちらに担持されるかによって異なる。すなわち、凹部５１５を備えた非凸部５１３は、トナーが収容され易い受け口となっているため、非凸部５１３にはトナーが入り込み易くなっている。そして、トナーが、非凸部５１３に入ると、非凸部５１３内でパッキングされ、このときに発生する凝集力が、トナーを凹部５１５に担持させる効果をもたらす。したがって、凹部５１５においては、トナーの帯電の立ち上がりが遅くても、前記第一領域のトナーの担持に係る前述した不適切性が緩和される。これに対し、凸部５１２においては、当該効果は得られず、不適切性の程度については、凸部５１２よりも凹部５１５の方が小さいこととなる。
【０１００】
そのため、ｎ＋１周目の現像プロセスの際に、前記第一領域の凹部５１５と対向する潜像が現像されることにより形成されるハーフトーン像の濃度と前記第二領域の凹部５１５と対向する潜像が現像されることにより形成されるハーフトーン像の濃度との差は、前記第一領域の凸部５１２と対向する潜像が現像されることにより形成されるハーフトーン像の濃度と前記第二領域の凸部５１２と対向する潜像が現像されることにより形成されるハーフトーン像の濃度との差よりも小さくなる。つまり、現像メモリの発生を抑えるためには、なるべく凸部５１２及び凹部５１５のうちの凹部５１５に担持されたトナーで潜像を現像した方がよいこととなる。
【０１０１】
かかる事項に鑑み、本実施の形態においては、前記距離ｇが、トナーの体積平均粒径（約４．６μｍ）よりも小さくなっている。これにより、上述したように、現像位置において、凸部５１２には僅かな量のトナーが担持されるのに対して、凹部５１５には多量のトナーが担持されることとなる。そして、かかる状態で、潜像が現像されることにより、前記第一領域と対向する潜像が現像されることにより形成されるハーフトーン像の濃度と前記第二領域と対向する潜像が現像されることにより形成されるハーフトーン像の濃度との差が、例えば凸部５１２に担持されるトナー量を凹部５１５に担持されるトナー量と等しい状態で潜像が現像される場合と比較して、より少なくなる。この結果、現像メモリの発生が抑えられることとなり、最終的に得られる画像の画質の劣化が適切に防止されることとなる。
【０１０２】
＝＝＝現像ローラ５１０と規制ブレード５６０の間で発生する異音について＝＝＝
上述したように、規制ブレード５６０は、回転する現像ローラ５１０の表面に当接部５６０ａにて当接する。ところで、当接部５６０ａは、トナーを担持していない凸部５１２に当接すると、当該凸部５１２に密着してしまう恐れがある。そして、当接部５６０ａが凸部５１２に密着した状態で現像ローラ５１０が更に回転すると、異音等の問題が発生する恐れがある。特に、前記距離ｇがトナーの体積平均粒径よりも小さい場合には、後述するように異音が発生しやすくなる。
【０１０３】
このような問題を解消すべく、本実施の形態に係るプリンタ１０においては、トナーを構成する外添剤の体積平均粒径（以下、『外添剤粒径Ｂ』とも呼ぶ）、凸部５１２の十点平均粗さＲｚ（以下、『凸部粗さＣ』とも呼ぶ）、及び、先端５６０ｂが凸部５１２に対向する際の当該先端５６０ｂから当該凸部５１２までの距離ｇ（以下、『距離Ｄ』とも呼ぶ）の大きさの関係が、凸部粗さＣ＜外添剤粒径Ｂ＜距離Ｄとなるように設定されている（なお、以下においては、トナーの体積平均粒径を、『トナー粒径Ａ』とも呼ぶ）。
【０１０４】
以下では、先ず、前記距離ｇがトナーの体積平均粒径よりも小さい場合の、当接部５６０ａと凸部５１２の間における異音発生のメカニズム、について説明し、これに引き続いて、凸部粗さＣ＜外添剤粒径Ｂ＜距離Ｄの関係が成り立つと、どうして、異音の発生が抑制されるかについて説明する。
【０１０５】
＜＜＜異音発生のメカニズム＞＞＞
上述したように、前記距離ｇ（約２μｍ）が、トナーの体積平均粒径（約４．６μｍ）よりも小さくなっている（すなわち、距離Ｄ＜トナー粒径Ａの関係になっている）場合には、凸部５１２に担持されるトナーの量が僅かである。
【０１０６】
そして、凸部５１２に担持されるトナーの量が僅かである場合には、図１４に示すように、当接部５６０ａが、トナーを担持していない凸部５１２に直接当接することがある。ここで、凸部５１２は頂面（図１４においては、当該頂面は鏡面状になっている）であり、当接部５６０ａは幅を持って当該凸部５１２に当接する構成となっているため、当接部５６０ａが凸部５１２に直接当接する場合には、当該当接部５６０ａが凸部５１２に密着することがある。特に、規制ブレード５６０はウレタンゴム等であるため、当接部５６０ａが弾性変形して凸部５１２に当接することにより、当接部５６０ａの凸部５１２に当接する面積が大きくなりやすく、当接部５６０ａは凸部５１２に密着しやすい。そして、図１４に示す状態（当接部５６０ａが凸部５１２に密着した状態）から、現像ローラ５１０が更に回転（凸部５１２が移動）すると、その回転の際に当接部５６０ａと凸部５１２の間において異音が発生する恐れがある。なお、図１４は、当接部５６０ａが、トナーを介さずに、凸部５１２に直接当接する様子を説明するための模式図である。
【０１０７】
なお、当接部５６０ａが凸部５１２に密着する場合には、上述した異音だけでなく、現像ローラ５１０の回転に必要なトルクが大きくなる問題も発生する。
【０１０８】
＜＜＜本実施の形態に係る現像装置の有効性＞＞＞
これに対して、本実施の形態に係る現像装置５１、５２、５３、５４においては、外添剤の体積平均粒径（『外添剤粒径Ｂ』）、凸部５１２の十点平均粗さＲｚ（『凸部粗さＣ』）、及び、前記距離ｇ（『距離Ｄ』）の大きさの関係が、凸部粗さＣ＜外添剤粒径Ｂ＜距離Ｄ、となっている。かかる場合には、当接部５６０ａが、凸部５１２上を転動する外添剤（この外添剤は、トナーから遊離したものである）を介して凸部５１２に当接することにより、異音の発生が抑制されることとなる。以下においては、かかる点について詳細に説明する。
【０１０９】
本実施の形態に係るトナーは、母粒子と、当該母粒子に外添された粒子状の４種類の外添剤（すなわち、１５ｎｍシリカ、５０ｎｍシリカ、５００ｎｍシリカ、及び、チタニア）とを有している。そして、これらの外添剤は、現像装置５１、５２、５３、５４の使用の際に母粒子から遊離され得るが、前述したように、４種類の外添剤のうちの体積平均粒径が最も大きい５００ｎｍシリカが、母粒子から遊離しやすい。
【０１１０】
母粒子から遊離した外添剤（５００ｎｍシリカ）は、トナーと同様に、現像ローラ５１０（凸部５１２や凹部５１５）に担持される。ところで、凸部５１２は、図１５に示すように荒れており、本実施の形態においては、凸部５１２の十点平均粗さＲｚが、５００ｎｍシリカの体積平均粒径（５００ｎｍ）よりも小さくなっている（凸部粗さＣ＜外添剤粒径Ｂ）。このため、母粒子から遊離した５００ｎｍシリカは、凸部５１２の荒れている部分（具体的には、図１５に示す小溝５１２ｂ）に、その一部が飛び出した状態で挟まることとなる（図１７Ｂ参照）。ここで、小溝５１２ｂは、現像ローラ５１０の周方向に沿って設けられており、現像ローラ５１０の加工（切削加工や転造加工）の際に形成されたものである。なお、図１５は、凸部５１２が荒れていることを示すための図である。
【０１１１】
凸部５１２（小溝５１２ｂ）に担持された外添剤（５００ｎｍシリカ）は、トナーとは異なり、現像ローラ５１０の回転の際に規制ブレード５６０の先端５６０ｂと対向部５１２ａとの間を通り抜ける。なぜなら、５００ｎｍシリカの体積平均粒径（５００ｎｍ）は、前記距離ｇ（約２μｍ）よりも小さい（外添剤粒径Ｂ＜距離Ｄ）からである。なお、本実施の形態においては、『外添剤粒径Ｂ』は、４種類の外添剤のうちの最も体積平均粒径が大きい５００ｎｍシリカ、の体積平均粒径である。
【０１１２】
前記先端５６０ｂと前記対向部５１２ａとの間を通り抜けた凸部５１２に担持された５００ｎｍシリカ（当該５００ｎｍシリカの一部は、凸部５１２から飛び出した状態となっている）は、現像ローラ５１０の回転に伴って移動し、規制ブレード５６０の当接部５６０ａに接触する。そして、当接部５６０ａに接触する５００ｎｍシリカは、現像ローラ５１０の更なる回転に伴って、該当接部５６０ａに接触する状態を維持しつつ転動する。このため、当接部５６０ａは、５００ｎｍシリカが転動する間、図１６に示すように５００ｎｍシリカ（図１６では、○で示されている）を介して凸部５１２に当接することとなる。これにより、当接部５６０ａの凸部５１２に当接する面積が減り、当該当接部５６０ａが凸部５１２に密着し難くなるため、現像ローラ５１０が回転する際の異音の発生が抑えられる。なお、図１６は、当接部５６０ａが、外添剤を介して凸部５１２に当接する状態を示した模式図である。
【０１１３】
ここで、外添剤（５００ｎｍシリカ）は、図１７Ａと図１７Ｂに示すように、当該外添剤が担持された凸部５１２に形成された小溝５１２ｂに沿って、転動する。具体的には、５００ｎｍシリカは、図１７Ａにおいて下から上に向かって転動する。ところで、小溝５１２ｂは、図１７Ａに示すように、該小溝５１２ｂが設けられた凸部５１２の、現像ローラ５１０の周方向における一端から他端へわたって繋がらないように、形成されている（別言すれば、小溝５１２ｂが、側部５１４まで繋がっていない）。かかる場合には、小溝５１２ｂに担持され当接部５６０ａに接触する５００ｎｍシリカが、現像ローラ５１０の回転に伴い、小溝５１２ｂから乗り上がるように凸部５１２上を転動する（図１７Ｂ）。そして、５００ｎｍシリカのこのような転動に伴い、この５００ｎｍシリカに接触する当接部５６０ａが、上下動することとなり、当接部５６０ａが凸部５１２に密着することが、より有効に防止される。なお、図１７Ａと図１７Ｂは、凸部５１２に担持されたトナーが、転動する様子を説明するための模式図である。なお、図１７Ｂは、図１７ＡのＣ−Ｃ断面図である。
【０１１４】
以上から、凸部粗さＣ＜外添剤粒径Ｂ＜距離Ｄの関係が成り立つ場合には、トナーから遊離した外添剤（５００ｎｍシリカ）が、凸部５１２の荒れている部分（すなわち、小溝５１２ｂ）に担持され、かつ、先端５６０ｂと対向部５１２ａとの間を通り抜ける。そして、規制ブレード５６０の当接部５６０ａが、小溝５１２ｂ上を転動する外添剤を介して当該凸部５１２に当接するため、規制ブレード５６０が凸部５１２に密着することを抑制でき、上述した異音の発生を抑えられる。
【０１１５】
また、外添剤は、当接部５６０ａと凸部５１２の間で潤滑剤の働きを有しており、当該外添剤によって、現像ローラ５１０が回転する際の、当接部５６０ａと凸部５１２の間における摩擦が軽減される。このため、現像ローラ５１０の回転時のモータへの負荷が低減され、現像ローラ５１０の回転に必要なトルクが大きくなることも抑制できる。
【０１１６】
上記においては、凸部粗さＣ＜外添剤粒径Ｂの関係が成り立つことにより、外添剤（５００ｎｍシリカ）が凸部５１２の小溝５１２ｂに担持されることとしたが、凸部粗さＣ＞外添剤粒径Ｂの場合にも、図１８に示すように、当該外添剤（図１６と同様、図１８においても、○で示されている）は、凸部５１２の小溝５１２ｂに担持される。しかし、かかる場合には、外添剤が、小溝５１２ｂに嵌り込んでしまい、転動し難い。また、当該外添剤が、小溝５１２ｂに嵌り込んでしまうと、当接部５６０ａが外添剤を介さず直接凸部５１２に当接することとなり、異音の発生を抑制できない。図１８は、比較例を説明するための模式図である。
【０１１７】
なお、「規制ブレード５６０の規制状態による現像メモリの抑制効果」の項で説明したように、距離Ｄ＜トナー粒径Ａである場合には、現像メモリの発生が有効に抑えられ、この結果、画像の画質の劣化が適切に防止される。従って、本実施の形態に係る現像装置５１、５２、５３、５４によれば、凸部粗さＣ＜外添剤粒径Ｂ＜距離Ｄ＜トナー粒径Ａ、の関係が成り立つことにより、画像の画質の劣化を適切に防止し、かつ、現像ローラ５１０に規制ブレード５６０を適切に当接させることが可能となる。
【０１１８】
＝＝＝現像装置の製造方法＝＝＝
次に、現像装置の製造方法について、図１９Ａ乃至図２１を用いて説明する。図１９Ａ乃至図１９Ｅは、現像ローラ５１０の製造工程における、現像ローラ５１０の変遷を示した模式図である。図２０は、現像ローラ５１０の転造加工を説明するための説明図である。図２１は、イエロー現像装置５４の組み立て方法を説明するためのフローチャートである。なお、現像装置を製造する際には、前述したハウジング５４０、ホルダー５２６、現像ローラ５１０、トナー供給ローラ５５０、規制ブレード５６０等がそれぞれ製造された後に、これらの部材を用いて現像装置の組み立てが実施される。本項では、これらの部材の製造方法のうち現像ローラ５１０の製造方法について先ず説明し、その後、現像装置の組み立て方法について説明する。なお、以下では、ブラック現像装置５１、マゼンタ現像装置５２、シアン現像装置５３、及び、イエロー現像装置５４のうち、イエロー現像装置５４を例に挙げて、説明する。
【０１１９】
＜＜＜現像ローラ５１０の製造方法について＞＞＞
ここでは、現像ローラ５１０の製造方法について、図１９Ａ乃至図２０を用いて説明する。
【０１２０】
先ず、図１９Ａに示すように、現像ローラ５１０の基材としてのパイプ材６００を準備する。当該パイプ材６００の肉厚は０．５〜３ｍｍである。次に、図１９Ｂに示すように、当該パイプ材６００の長手方向両端部にフランジ圧入部６０２を作る。当該フランジ圧入部６０２は、切削加工により作られる。次に、図１９Ｃに示すように、当該フランジ圧入部６０２にフランジ６０４を圧入する。フランジ６０４のパイプ材６００への固定を確実にするために、フランジ６０４の圧入後、フランジ６０４をパイプ材６００へ接着又は溶接するようにしてもよい。次に、図１９Ｄに示すように、フランジ６０４が圧入されたパイプ材６００の表面にセンタレス研磨を施す。当該センタレス研磨は、当該表面の全面に亘って実施され、センタレス研磨後の当該表面の十点平均粗さＲｚは、１．０μｍ以下となる。次に、図１９Ｅに示すように、フランジ６０４が圧入されたパイプ材６００に、転造加工を施す。本実施の形態においては、２つの丸ダイス６５０、６５２を用いた所謂スルーフィード転造（歩み転造、通し転造とも呼ばれている）加工が実施される。
【０１２１】
すなわち、図２０に示すように、ワークとしての前記パイプ材６００を挟むように配置された二つの丸ダイス６５０、６５２、を当該パイプ材６００に所定の圧力（当該圧力の方向を、図２０中記号Ｐで示す）で押し付けた状態で、当該二つの丸ダイス６５０、６５２を同方向（図２０参照）に回転させる。スルーフィード転造においては、丸ダイス６５０、６５２が回転することにより、パイプ材６００が丸ダイス６５０、６５２の回転方向とは逆方向（図２０参照）に回転しながら、図２０中記号Ｈで示した方向に移動する。丸ダイス６５０、６５２の表面には、溝６８０を形成するための凸部６５０ａ、６５２ａが備えられており、当該凸部６５０ａ、６５２ａがパイプ材６００を変形させることにより、パイプ材６００に溝６８０（当該溝６８０は、第一溝部５１６と第二溝部５１８に相当する）が形成される。
【０１２２】
そして、転造加工の終了後に、前記中央部５１０ａの表面にメッキを施す。本実施の形態においては、当該メッキとして無電解Ｎｉ−Ｐメッキを用いるが、これに限定されるものではなく、例えば、硬質クロームメッキや電気メッキを用いてもよい。
【０１２３】
上記のように製造された現像ローラ５１０においては、凸部５１２の十点平均粗さＲｚの大きさが、５００ｎｍ（外添剤である５００ｎｍシリカの体積平均粒径）よりも小さくなっている。
【０１２４】
＜＜＜イエロー現像装置５４の組み立て方法について＞＞＞
次に、イエロー現像装置５４の組み立て方法について、図２１を用いて説明する。
先ず、前述したハウジング５４０、ホルダー５２６、現像ローラ５１０、規制ブレード５６０及びブレード支持部材５６４等を準備する（ステップＳ２）。
【０１２５】
次に、規制ブレード５６０及びブレード支持部材５６４をホルダー５２６の規制ブレード支持部５２６ｃにネジ止めすることにより、規制ブレード５６０及びブレード支持部材５６４をホルダー５２６に固定する（ステップＳ４）。なお、前述した端部シール５７４については、当該ステップＳ４の前に、予め規制ブレード５６０に取り付けておく。
【０１２６】
次に、規制ブレード５６０及びブレード支持部材５６４が固定されたホルダー５２６に、現像ローラ５１０を取り付ける（ステップＳ６）。かかる際に、規制ブレード５６０が現像ローラ５１０の回転軸方向一端部から他端部に亘って当接するように、現像ローラ５１０をホルダー５２６に取り付ける。なお、前述した上シール５２０については、当該ステップＳ６の前に、予めホルダー５２６に取り付けておく。
【０１２７】
そして、現像ローラ５１０、規制ブレード５６０等が取り付けられたホルダー５２６を、ハウジングシール５４６を介して、ハウジング５４０に取り付ける（ステップＳ８）ことにより、イエロー現像装置５４の組み立てが完了する。なお、前述したトナー供給ローラ５５０については、当該ステップＳ８の前に、予めハウジング５４０に取り付けておく。
【０１２８】
＝＝＝その他の実施の形態＝＝＝
以上、上記実施の形態に基づき本発明に係る現像装置等を説明したが、上記した発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはもちろんである。
【０１２９】
上記実施の形態においては、画像形成装置として中間転写型のフルカラーレーザビームプリンタを例にとって説明したが、本発明は、中間転写型以外のフルカラーレーザビームプリンタ、モノクロレーザビームプリンタ、複写機、ファクシミリなど、各種の画像形成装置に適用可能である。
【０１３０】
また、感光体についても、円筒状の導電性基材の外周面に感光層を設けて構成した、いわゆる感光ローラに限られず、ベルト状の導電性基材の表面に感光層を設けて構成した、いわゆる感光ベルトであってもよい。
【０１３１】
また、上記実施の形態において、現像ローラ５１０の表面には、凸部５１２と、トナーを担持する凹部５１５とが、規則的に配置されていることとした。また、凹部５１５は、現像ローラ５１０の周方向に対する傾斜角度が異なる２種類の螺旋状の溝部（第一溝部５１６と第二溝部５１８）の底部、であり、該２種類の螺旋状の溝部は、互いに交差して格子形状をなしていることとした。さらに、凸部５１２は、前記２種類の螺旋状の溝部に囲まれた正方形の頂面であり、該正方形の頂面が有する２本の対角線のうちの一方が前記周方向に沿っていることとした。しかし、上記に限定されるものではない。例えば、凸部５１２は、菱形の頂面や円形の頂面等であることとしてもよい。
【０１３２】
また、上記実施の形態において、凸部５１２には、図１５に示すように、現像ローラ５１０の加工の際に形成された、該現像ローラ５１０の周方向に沿った小溝５１２ｂが、設けられていることとしたが、これに限定されるものではない。例えば、小溝５１２ｂが、回転軸方向に沿って設けられていることとしてもよい。
ただし、小溝５１２ｂが周方向に沿って設けられている場合には、現像ローラ５１０が回転する際に、小溝５１２ｂに担持され当接部５６０ａに接触する外添剤が、当該小溝５１２ｂに沿って転動しやすいことにより、前記当接部５６０ａが凸部５１２に密着することを有効に防止できる点で、上記実施の形態の方がより望ましい。
【０１３３】
また、上記実施の形態において、小溝５１２ｂは、図１７Ａに示すように、該小溝５１２ｂが設けられた凸部５１２の、前記周方向における一端から他端にわたって繋がらないように、設けられていることとしたが、これに限定されるものではない。例えば、小溝５１２ｂは、凸部５１２の一端から他端へ繋がって、設けられていることとしてもよい。
ただし、小溝５１２ｂが、前記一端から前記他端にわたって繋がらないように設けられている場合には、小溝５１２ｂに担持され当接部５６０ａに接触する外添剤が、小溝５６０ａから乗り上がるように転動する（図１７Ｂ参照）際に、当接部５６０ａが上下動することにより、当該当接部５６０ａが凸部５１２に密着することをより有効に防止できる点で、上記実施の形態の方がより望ましい。
【０１３４】
また、上記実施の形態において、トナーは、前記母粒子に外添された４種類の外添剤、を有し、前記外添剤粒径Ｂは、４種類の外添剤のうちの最も体積平均粒径が大きい外添剤（５００ｎｍシリカ）、の体積平均粒径であることとしたが、これに限定されるものではない。例えば、外添剤粒径Ｂは、４種類の外添剤のうちの５００ｎｍシリカ以外の外添剤、の体積平均粒径であることとしてもよい。
ただし、前記外添剤粒径Ｂが５００ｎｍシリカである場合には、４種類の外添剤のうちの最も遊離しやすい５００ｎｍシリカが、小溝５１２ｂに担持され、かつ、当該小溝５１２ｂを転動することにより、当接部５６０ａが凸部５１２に密着することをより有効に防止できる点で、上記実施の形態の方がより望ましい。
【０１３５】
また、上記実施の形態において、規制ブレード５６０は、ゴム弾性体（ウレタンゴム等）から成ることとしたが、これに限定されるものではない。例えば、規制ブレード５６０は、板金から成ることとしてもよい。
ただし、以下に説明するように、凸部５１２に規制ブレード５６０を適切に当接させる効果が、より有効に奏される点で、上記実施の形態の方がより望ましい。ゴム弾性体は、板金に比べて凸部５１２に当接する面積が大きくなりやすいため、現像ローラ５１０に密着しやすい。このため、規制ブレード５６０がゴム弾性体から成る場合には、凸部粗さＣ＜外添剤粒径Ｂ＜距離Ｄの関係が成り立つことによる効果、すなわち、凸部５１２に当接部５６０ａを適切に当接させる効果が、より有効に奏される。
【０１３６】
＝＝＝画像形成システム等の構成＝＝＝
次に、本発明に係る実施の形態の一例である『画像形成システム』の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【０１３７】
図２２は、画像形成システムの外観構成を示した説明図である。画像形成システム７００は、コンピュータ７０２と、表示装置７０４と、プリンタ７０６と、入力装置７０８と、読取装置７１０とを備えている。コンピュータ７０２は、本実施形態ではミニタワー型の筐体に収納されているが、これに限られるものではない。表示装置７０４は、ＣＲＴ（Cathode Ray Tube：陰極線管）やプラズマディスプレイや液晶表示装置等が用いられるのが一般的であるが、これに限られるものではない。プリンタ７０６は、上記に説明されたプリンタが用いられている。入力装置７０８は、本実施形態ではキーボード７０８Ａとマウス７０８Ｂが用いられているが、これに限られるものではない。読取装置７１０は、本実施形態ではフレキシブルディスクドライブ装置７１０ＡとＣＤ−ＲＯＭドライブ装置７１０Ｂが用いられているが、これに限られるものではなく、例えばＭＯ（Magneto Optical）ディスクドライブ装置やＤＶＤ（Digital Versatile Disk）等の他のものであっても良い。
【０１３８】
図２３は、図２２に示した画像形成システムの構成を示すブロック図である。コンピュータ７０２が収納された筐体内にＲＡＭ等の内部メモリ８０２と、ハードディスクドライブユニット８０４等の外部メモリがさらに設けられている。
【０１３９】
なお、以上の説明においては、プリンタ７０６が、コンピュータ７０２、表示装置７０４、入力装置７０８、及び、読取装置７１０と接続されて画像形成システムを構成した例について説明したが、これに限られるものではない。例えば、画像形成システムが、コンピュータ７０２とプリンタ７０６から構成されても良く、画像形成システムが表示装置７０４、入力装置７０８及び読取装置７１０のいずれかを備えていなくても良い。
【０１４０】
また、例えば、プリンタ７０６が、コンピュータ７０２、表示装置７０４、入力装置７０８、及び、読取装置７１０のそれぞれの機能又は機構の一部を持っていても良い。一例として、プリンタ７０６が、画像処理を行う画像処理部、各種の表示を行う表示部、及び、デジタルカメラ等により撮影された画像データを記録した記録メディアを着脱するための記録メディア着脱部等を有する構成としても良い。
【０１４１】
このようにして実現された画像形成システムは、システム全体として従来システムよりも優れたシステムとなる。
【図面の簡単な説明】
【０１４２】
【図１】プリンタ１０を構成する主要構成要素を示した図である。
【図２】図１のプリンタ１０の制御ユニットを示すブロック図である。
【図３】現像装置の概念図である。
【図４】現像装置の主要構成要素を示した断面図である。
【図５】現像ローラ５１０の斜視模式図である。
【図６】現像ローラ５１０の正面模式図である。
【図７】凸部５１２、凹部５１５等の形状を示した模式図である。
【図８】規制ブレード５６０及びブレード支持部材５６４の斜視図である。
【図９】現像ローラ５１０に当接する規制ブレード５６０、の先端部５６０ａ周辺の様子を示した拡大模式図である。
【図１０】ホルダー５２６の斜視図である。
【図１１】ホルダー５２６に、上シール５２０、現像ローラ５１０、規制ブレード５６０及びブレード支持部材５６４が組み付けられている様子を示した斜視図である。
【図１２】ホルダー５２６が、ハウジング５４０に取付けられている様子を示した斜視図である。
【図１３】現像メモリ発生のメカニズムを説明するための説明図である。
【図１４】当接部５６０ａが、トナーを介さずに、凸部５１２に直接当接する様子を説明するための模式図である。
【図１５】凸部５１２が荒れていることを示すための図である。
【図１６】当接部５６０ａが、外添剤を介して凸部５１２に当接する状態を示した模式図である。
【図１７】図１７Ａと図１７Ｂは、凸部５１２に担持されたトナーが、転動する様子を説明するための模式図である。
【図１８】比較例を説明するための模式図である。
【図１９】図１９Ａ乃至図１９Ｅは、現像ローラ５１０の製造工程における、現像ローラ５１０の変遷を示した模式図である。
【図２０】現像ローラ５１０の転造加工を説明するための説明図である。
【図２１】イエロー現像装置５４の組み立て方法を説明するためのフローチャートである。
【図２２】画像形成システムの外観構成を示した説明図である。
【図２３】図２２に示した画像形成システムの構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【０１４３】
１０ レーザビームプリンタ、２０ 感光体、３０ 帯電ユニット、
４０ 露光ユニット、５０ ＹＭＣＫ現像ユニット、５０ａ 中心軸、
５１ ブラック現像装置、５２ マゼンタ現像装置、５３ シアン現像装置、
５４ イエロー現像装置、５５ａ 保持部、５５ｂ 保持部、５５ｃ 保持部、
５５ｄ 保持部、６０ 一次転写ユニット、７０ 中間転写体、
７５ クリーニングユニット、７６ クリーニングブレード、
８０ 二次転写ユニット、９０ 定着ユニット、９２ 給紙トレイ、
９４ 給紙ローラ、９５ 表示ユニット、９６ レジローラ、
１００ 制御ユニット、１０１ メインコントローラ、
１０２ ユニットコントローラ、１１２ インターフェイス、１１３ 画像メモリ、
５１０ 現像ローラ、５１０ａ 中央部、５１０ｂ 軸部、５１２ 凸部、
５１２ａ 対向部、５１３ 非凸部、５１４ 側部、５１５ 凹部、
５１６ 第一溝部、５１８ 第二溝部、５２０ 上シール、
５２０ａ 短手方向端部、５２０ｂ 当接面、５２０ｃ 反対面、
５２４ 上シール付勢部材、５２６ ホルダー、
５２６ａ 上シール支持部、５２６ｂ 現像ローラ支持部、
５２６ｃ 規制ブレード支持部、５３０ トナー収容体、
５３０ａ 第一トナー収容部、５３０ｂ 第二トナー収容部、５４０ ハウジング、
５４２ 上ハウジング部、５４４ 下ハウジング部、５４５ 仕切り壁、
５４６ ハウジングシール、５５０ トナー供給ローラ、５６０ 規制ブレード、
５６０ａ 当接部、５６０ｂ 先端、５６４ ブレード支持部材、５６４ａ 薄板、
５６４ｂ 薄板支持部、５６４ｃ 長手方向両端部、５６４ｄ 短手方向一端部、
５６４ｅ 短手方向他端部、５７２ 開口、５７４ 端部シール、５７６ 軸受け、
６００ パイプ材、６０２ フランジ圧入部、６０４ フランジ、
６５０ 丸ダイス、６５０ａ 凸部、６５２ 丸ダイス、６５２ａ 凸部、
６８０ 溝、７００ 画像形成システム、７０２ コンピュータ、
７０４ 表示装置、７０６ プリンタ、７０８ 入力装置、
７０８Ａ キーボード、７０８Ｂ マウス、
７１０ 読取装置、７１０Ａ フレキシブルディスクドライブ装置、
７１０Ｂ ＣＤ−ＲＯＭドライブ装置、８０２ 内部メモリ、
８０４ ハードディスクドライブユニット、Ｔ トナー
【特許請求の範囲】
【請求項１】
母粒子と該母粒子に外添された粒子状の外添剤とを有するトナー、を担持し、該トナーで像担持体に担持された潜像を現像するトナー担持体であって、該トナー担持体の表面に規則的に配置された凸部を有する回転可能なトナー担持体と、
該トナー担持体の表面に当接部にて当接して該表面に担持されたトナーの量を規制する規制部材であって、該規制部材の長手方向が該トナー担持体の軸方向に沿うように、かつ、該規制部材の短手方向及び厚み方向における先端が該トナー担持体の回転方向上流側に向くように、設けられた規制部材と、
を備える現像装置であって、
前記トナーの体積平均粒径をトナー粒径Ａとし、前記外添剤の体積平均粒径を外添剤粒径Ｂとし、前記凸部の十点平均粗さを凸部粗さＣとし、前記規制部材の前記先端が前記凸部に対向する際の該先端と該凸部の間の距離を、距離Ｄとしたときに、
前記トナー粒径Ａ、前記外添剤粒径Ｂ、前記凸部粗さＣ、及び、前記距離Ｄの大きさの関係が、前記凸部粗さＣ＜前記外添剤粒径Ｂ＜前記距離Ｄ＜前記トナー粒径Ａ、であることを特徴とする現像装置。
【請求項２】
請求項１に記載の現像装置であって、
前記トナー担持体の表面には、前記凸部と、前記トナーを担持する凹部とが、規則的に配置されており、
前記凹部は、前記トナー担持体の周方向に対する傾斜角度が異なる２種類の螺旋状の溝部の底部、であり、
該２種類の螺旋状の溝部は、互いに交差して格子形状をなしており、
前記凸部は、前記２種類の螺旋状の溝部に囲まれた正方形の頂面であり、
該正方形の頂面が有する２本の対角線のうちの一方が前記周方向に沿っていることを特徴とする現像装置。
【請求項３】
請求項２に記載の現像装置であって、
前記凸部には、前記トナー担持体の加工の際に形成された、該トナー担持体の周方向に沿った小溝が、設けられていることを特徴とする現像装置。
【請求項４】
請求項３に記載の現像装置であって、
前記小溝は、該小溝が設けられた前記凸部の、前記周方向における一端から他端にわたって繋がらないように、設けられていることを特徴とする現像装置。
【請求項５】
請求項１〜請求項４のいずれかに記載の現像装置であって、
前記トナーは、前記母粒子に外添された複数種類の前記外添剤、を有し、
前記外添剤粒径Ｂは、前記複数種類の外添剤のうちの最も体積平均粒径が大きい外添剤、の体積平均粒径であることを特徴とする現像装置。
【請求項６】
請求項１〜請求項５のいずれかに記載の現像装置であって、
前記規制部材は、ゴム弾性体から成ることを特徴とする現像装置。
【請求項７】
（ａ）潜像を担持するための像担持体と、
（ｂ）母粒子と該母粒子に外添された粒子状の外添剤とを有するトナー、を担持し、該トナーで前記像担持体に担持された潜像を現像するトナー担持体であって、該トナー担持体の表面に規則的に配置された凸部を有する回転可能なトナー担持体と、
該トナー担持体の表面に当接部にて当接して該表面に担持されたトナーの量を規制する規制部材であって、該規制部材の長手方向が該トナー担持体の軸方向に沿うように、かつ、該規制部材の短手方向及び厚み方向における先端が該トナー担持体の回転方向上流側に向くように、設けられた規制部材と、
を備える現像装置であって、
前記トナーの体積平均粒径をトナー粒径Ａとし、前記外添剤の体積平均粒径を外添剤粒径Ｂとし、前記凸部の十点平均粗さを凸部粗さＣとし、前記規制部材の前記先端が前記凸部に対向する際の該先端と該凸部の間の距離を、距離Ｄとしたときに、
前記トナー粒径Ａ、前記外添剤粒径Ｂ、前記凸部粗さＣ、及び、前記距離Ｄの大きさの関係が、前記凸部粗さＣ＜前記外添剤粒径Ｂ＜前記距離Ｄ＜前記トナー粒径Ａ、である現像装置と、
（ｃ）を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項８】
（Ａ）コンピュータ、及び、
（Ｂ）このコンピュータに接続可能な画像形成装置であって、
（ａ）潜像を担持するための像担持体と、
（ｂ）母粒子と該母粒子に外添された粒子状の外添剤とを有するトナー、を担持し、該トナーで前記像担持体に担持された潜像を現像するトナー担持体であって、該トナー担持体の表面に規則的に配置された凸部を有する回転可能なトナー担持体と、
該トナー担持体の表面に当接部にて当接して該表面に担持されたトナーの量を規制する規制部材であって、該規制部材の長手方向が該トナー担持体の軸方向に沿うように、かつ、該規制部材の短手方向及び厚み方向における先端が該トナー担持体の回転方向上流側に向くように、設けられた規制部材と、
を備える現像装置であって、
前記トナーの体積平均粒径をトナー粒径Ａとし、前記外添剤の体積平均粒径を外添剤粒径Ｂとし、前記凸部の十点平均粗さを凸部粗さＣとし、前記規制部材の前記先端が前記凸部に対向する際の該先端と該凸部の間の距離を、距離Ｄとしたときに、
前記トナー粒径Ａ、前記外添剤粒径Ｂ、前記凸部粗さＣ、及び、前記距離Ｄの大きさの関係が、前記凸部粗さＣ＜前記外添剤粒径Ｂ＜前記距離Ｄ＜前記トナー粒径Ａ、である現像装置と、
（ｃ）を有する画像形成装置、
（Ｃ）を具備したことを特徴とする画像形成システム。
【請求項１】
母粒子と該母粒子に外添された粒子状の外添剤とを有するトナー、を担持し、該トナーで像担持体に担持された潜像を現像するトナー担持体であって、該トナー担持体の表面に規則的に配置された凸部を有する回転可能なトナー担持体と、
該トナー担持体の表面に当接部にて当接して該表面に担持されたトナーの量を規制する規制部材であって、該規制部材の長手方向が該トナー担持体の軸方向に沿うように、かつ、該規制部材の短手方向及び厚み方向における先端が該トナー担持体の回転方向上流側に向くように、設けられた規制部材と、
を備える現像装置であって、
前記トナーの体積平均粒径をトナー粒径Ａとし、前記外添剤の体積平均粒径を外添剤粒径Ｂとし、前記凸部の十点平均粗さを凸部粗さＣとし、前記規制部材の前記先端が前記凸部に対向する際の該先端と該凸部の間の距離を、距離Ｄとしたときに、
前記トナー粒径Ａ、前記外添剤粒径Ｂ、前記凸部粗さＣ、及び、前記距離Ｄの大きさの関係が、前記凸部粗さＣ＜前記外添剤粒径Ｂ＜前記距離Ｄ＜前記トナー粒径Ａ、であることを特徴とする現像装置。
【請求項２】
請求項１に記載の現像装置であって、
前記トナー担持体の表面には、前記凸部と、前記トナーを担持する凹部とが、規則的に配置されており、
前記凹部は、前記トナー担持体の周方向に対する傾斜角度が異なる２種類の螺旋状の溝部の底部、であり、
該２種類の螺旋状の溝部は、互いに交差して格子形状をなしており、
前記凸部は、前記２種類の螺旋状の溝部に囲まれた正方形の頂面であり、
該正方形の頂面が有する２本の対角線のうちの一方が前記周方向に沿っていることを特徴とする現像装置。
【請求項３】
請求項２に記載の現像装置であって、
前記凸部には、前記トナー担持体の加工の際に形成された、該トナー担持体の周方向に沿った小溝が、設けられていることを特徴とする現像装置。
【請求項４】
請求項３に記載の現像装置であって、
前記小溝は、該小溝が設けられた前記凸部の、前記周方向における一端から他端にわたって繋がらないように、設けられていることを特徴とする現像装置。
【請求項５】
請求項１〜請求項４のいずれかに記載の現像装置であって、
前記トナーは、前記母粒子に外添された複数種類の前記外添剤、を有し、
前記外添剤粒径Ｂは、前記複数種類の外添剤のうちの最も体積平均粒径が大きい外添剤、の体積平均粒径であることを特徴とする現像装置。
【請求項６】
請求項１〜請求項５のいずれかに記載の現像装置であって、
前記規制部材は、ゴム弾性体から成ることを特徴とする現像装置。
【請求項７】
（ａ）潜像を担持するための像担持体と、
（ｂ）母粒子と該母粒子に外添された粒子状の外添剤とを有するトナー、を担持し、該トナーで前記像担持体に担持された潜像を現像するトナー担持体であって、該トナー担持体の表面に規則的に配置された凸部を有する回転可能なトナー担持体と、
該トナー担持体の表面に当接部にて当接して該表面に担持されたトナーの量を規制する規制部材であって、該規制部材の長手方向が該トナー担持体の軸方向に沿うように、かつ、該規制部材の短手方向及び厚み方向における先端が該トナー担持体の回転方向上流側に向くように、設けられた規制部材と、
を備える現像装置であって、
前記トナーの体積平均粒径をトナー粒径Ａとし、前記外添剤の体積平均粒径を外添剤粒径Ｂとし、前記凸部の十点平均粗さを凸部粗さＣとし、前記規制部材の前記先端が前記凸部に対向する際の該先端と該凸部の間の距離を、距離Ｄとしたときに、
前記トナー粒径Ａ、前記外添剤粒径Ｂ、前記凸部粗さＣ、及び、前記距離Ｄの大きさの関係が、前記凸部粗さＣ＜前記外添剤粒径Ｂ＜前記距離Ｄ＜前記トナー粒径Ａ、である現像装置と、
（ｃ）を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項８】
（Ａ）コンピュータ、及び、
（Ｂ）このコンピュータに接続可能な画像形成装置であって、
（ａ）潜像を担持するための像担持体と、
（ｂ）母粒子と該母粒子に外添された粒子状の外添剤とを有するトナー、を担持し、該トナーで前記像担持体に担持された潜像を現像するトナー担持体であって、該トナー担持体の表面に規則的に配置された凸部を有する回転可能なトナー担持体と、
該トナー担持体の表面に当接部にて当接して該表面に担持されたトナーの量を規制する規制部材であって、該規制部材の長手方向が該トナー担持体の軸方向に沿うように、かつ、該規制部材の短手方向及び厚み方向における先端が該トナー担持体の回転方向上流側に向くように、設けられた規制部材と、
を備える現像装置であって、
前記トナーの体積平均粒径をトナー粒径Ａとし、前記外添剤の体積平均粒径を外添剤粒径Ｂとし、前記凸部の十点平均粗さを凸部粗さＣとし、前記規制部材の前記先端が前記凸部に対向する際の該先端と該凸部の間の距離を、距離Ｄとしたときに、
前記トナー粒径Ａ、前記外添剤粒径Ｂ、前記凸部粗さＣ、及び、前記距離Ｄの大きさの関係が、前記凸部粗さＣ＜前記外添剤粒径Ｂ＜前記距離Ｄ＜前記トナー粒径Ａ、である現像装置と、
（ｃ）を有する画像形成装置、
（Ｃ）を具備したことを特徴とする画像形成システム。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図１１】
【図１２】
【図１４】
【図１６】
【図１７】
【図１８】
【図１９】
【図２０】
【図２１】
【図２２】
【図２３】
【図１３】
【図１５】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図１１】
【図１２】
【図１４】
【図１６】
【図１７】
【図１８】
【図１９】
【図２０】
【図２１】
【図２２】
【図２３】
【図１３】
【図１５】
【公開番号】特開２００８−２９９０１６（Ｐ２００８−２９９０１６Ａ）
【公開日】平成２０年１２月１１日（２００８．１２．１１）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００７−１４４０６６（Ｐ２００７−１４４０６６）
【出願日】平成１９年５月３０日（２００７．５．３０）
【出願人】（０００００２３６９）セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２０年１２月１１日（２００８．１２．１１）
【国際特許分類】
【出願日】平成１９年５月３０日（２００７．５．３０）
【出願人】（０００００２３６９）セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Ｆターム（参考）】
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