説明

現像装置および画像形成装置

【課題】攪拌性能と搬送性能とを両立する攪拌搬送部材を備え、かつ低コスト、小型化を実現することが可能な現像装置を提供する。
【解決手段】本発明の現像装置は、キャリアとトナーからなる現像剤を収容し、現像剤を混合攪拌して所定の搬送方向へ搬送する攪拌搬送部材を有する攪拌搬送部と、静電潜像を担持する静電潜像担持体と対向して設けられ、攪拌搬送部により攪拌搬送された現像剤を周面に担持して静電潜像担持体に供給する現像剤担持体と、を備える。かかる現像装置の攪拌搬送部材は、現像剤搬送方向に延設され、回転可能に設けられた支持軸と、支持軸の外周面上に設けられ、現像剤を混合攪拌しながら搬送する攪拌翼と、支持軸方向に隣接する攪拌翼の間隔を表すピッチ間において、支持軸方向に沿って支持軸から径方向に突出するパドルと、を備え、パドルの高さは、現像剤搬送方向上流側から下流側に向かうにつれて高くなることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2成分現像方式を採用した現像装置および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現像剤の攪拌搬送部材には、シャフトにスパイラル状の羽を取り付けたオーガ(Auger)という部材が活用されている。しかしながら、近年、現像ユニットの小型化に伴い、現像剤の混合攪拌性が低下するという問題があった。このような問題に対して、オーガに対して大きく分けて以下の3つの対応をとることにより、現像剤の混合攪拌性を維持することが行われている。
【0003】
第1の対応は、現像剤の混合攪拌経路を長く確保して、現像剤の混合攪拌性を維持するものである(例えば、特許文献1)。具体的には、混合攪拌用のスペースを増加させたり、オーガのシャフトを軸方向に長くしたりすることにより実現される。第2の対応は、現像剤を予備攪拌する予備攪拌室を設け、予備攪拌室で現像剤を攪拌してから混合攪拌経路に現像剤を供給するものである(例えば、特許文献2)。そして、第3の対応は、オーガのシャフトにパドル等の羽部材を追加等して、攪拌能力を向上させるものである(例えば、特許文献3、4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−352042号公報
【特許文献2】特開2006−23355号公報
【特許文献3】特開2009−92685号公報
【特許文献4】特開2006−178381号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
昨今のプリンタや複写機は、低価格、小型化が主流である。一般的な現像システムにおいては、現像剤の混合攪拌のために2本のオーガを配置したものが多いが、上記特許文献1のように混合攪拌経路を長く確保すべくオーガの設置数を増加させると、追加されたオーガや、オーガを格納するハウジング、オーガの軸受やシール部材等、部品数が増加し、大きなコストアップにつながる。また、部品点数増加に伴う現像ユニットの大型化も問題となる。オーガのシャフトを軸方向に長くしてオーガ経路を増加させた場合も、軸方向でその長さを確保するために、M/Cの大型化や現像ユニットの大型化に伴う現像剤量の増加等の問題が挙げられる。
【0006】
また、上記特許文献2のように予備攪拌室で現像剤を攪拌してから混合攪拌経路に現像剤を供給する場合でも、予備攪拌室の設置スペースの確保や攪拌部材等の部品の追加が必要となる。また、予備攪拌室で滞留する現像剤には過度のストレスも与えられるため、現像剤の劣化を助長するという問題もある。
【0007】
さらに、上記特許文献3には、オーガのシャフト近傍とスパイラルの外周方向に突起状の攪拌部材を設けた構成が提案されている。しかし、初期の攪拌性能はよいが、長期的に使用すると繊維状の異物が突起状の攪拌部材に絡みつき、結果として攪拌性能が低下することが懸念される。また、引用文献3のような変形しやすい突起状の部材を用いると、突起が変形することにより異音や現像剤の凝集体を生成しやすいことも二次障害として挙げられる。
【0008】
また、特許文献4のように、オーガのスパイラルの一部を欠落させて現像剤の攪拌性能を向上させた場合、コストや攪拌性の点では効果があるものの、現像剤の搬送性能が著しく低下することが課題として挙げられる。また、かかる構成では過剰な現像剤の滞留が発生するので、滞留部の近傍にスペースを大きくとる必要もあり、装置の大型化につながる。
【0009】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、攪拌性能と搬送性能とを両立する攪拌搬送部材を備え、かつ低コスト、小型化を実現することが可能な、新規かつ改良された現像装置および画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、キャリアとトナーからなる現像剤を収容し、現像剤を混合攪拌して所定の搬送方向へ搬送する攪拌搬送部材を有する攪拌搬送部と、静電潜像を担持する静電潜像担持体と対向して設けられ、攪拌搬送部により攪拌搬送された現像剤を周面に担持して静電潜像担持体に供給する現像剤担持体と、を備える現像装置が提供される。かかる現像装置の攪拌搬送部材は、現像剤搬送方向に延設され、回転可能に設けられた支持軸と、支持軸の外周面上に設けられ、現像剤を混合攪拌しながら搬送する攪拌翼と、支持軸方向に隣接する攪拌翼の間隔を表すピッチ間において、支持軸方向に沿って支持軸から径方向に突出するパドルと、を備え、パドルの高さは、現像剤搬送方向上流側から下流側に向かうにつれて高くなることを特徴とする。
【0011】
本発明によれば、現像剤を攪拌、搬送する攪拌搬送部材に、現像剤の攪拌性能を向上させるパドルを設ける。このとき、支持軸から突出するパドルの高さを、現像剤搬送方向上流側から下流側に向かうにつれて高くする。これにより、現像剤の搬送性能を損なうことなく現像剤の攪拌性能を向上させることができる。
【0012】
ここで、パドルの高さは、現像剤搬送方向上流側から下流側に向かうにつれて段階的に高くなるように形成してもよい。
【0013】
また、パドルの高さは、現像剤搬送方向上流側から下流側に向かうにつれて連続的に高くなるように形成してもよい。
【0014】
さらに、パドルの高さは、少なくとも現像剤搬送方向上流側では基準高さよりも低く形成することもできる。
【0015】
また、同一支持軸上に攪拌翼のピッチ間に配置された複数のパドルは、支持軸方向に沿って略同一直線上に配置することができる。
【0016】
さらに、略平行に配置された2つの攪拌搬送部との間には、現像剤の授受が行われる受渡部が両端部に設けられ、パドルは、攪拌搬送部の両端部に設けられた受渡部よりも内部に設けられる。
【0017】
また、パドルには、支持軸に対して垂直方向に貫通する貫通孔を現像剤搬送方向下流側に形成してもよい。
【0018】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、周面に静電潜像を担持する静電潜像担持体と、静電潜像担持体上の静電潜像を現像する現像装置と、を備える画像形成装置が提供される。かかる画像形成装置の現像装置は、キャリアとトナーからなる現像剤を収容し、現像剤を混合攪拌して所定の搬送方向へ搬送する攪拌搬送部材を有する攪拌搬送部と、静電潜像を担持する静電潜像担持体と対向して設けられ、攪拌搬送部により攪拌搬送された現像剤を周面に担持して静電潜像担持体に供給する現像剤担持体と、を備え、攪拌搬送部材は、現像剤搬送方向に延設され、回転可能に設けられた支持軸と、支持軸の外周面上に設けられ、現像剤を混合攪拌しながら搬送する攪拌翼と、支持軸方向に隣接する攪拌翼の間隔を表すピッチ間において、支持軸方向に沿って支持軸から径方向に突出するパドルと、を備え、パドルの高さは、現像剤搬送方向上流側から下流側に向かうにつれて高くなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように本発明によれば、攪拌性能と搬送性能とを両立する攪拌搬送部材を備え、かつ低コスト、小型化を実現することが可能な現像装置および画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置の概略構成を示す説明図である。
【図2】同実施形態に係る現像ユニットの構成を示す説明図である。
【図3】同実施形態に係る現像ユニットにおける現像剤の流れを説明するための説明図である。
【図4】同実施形態に係るパドルの一構成例を示す部分断面図である。
【図5】同実施形態に係るパドルの他の構成例を示す部分断面図である。
【図6】同実施形態に係るパドルの他の構成例を示す部分断面図である。
【図7】同実施形態に係るパドルの他の構成例を示す部分断面図である。
【図8】同実施形態に係るパドルの他の構成例を示す部分断面図である。
【図9】同実施形態に係るパドルの他の構成例を示す部分断面図である。
【図10】同実施形態に係るパドルの他の構成例を示す部分断面図である。
【図11】同実施形態に係るパドルの他の構成例を示す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0022】
まず、図1に基づいて、本発明の実施形態にかかる現像ユニット100を備える画像形成装置1の概略構成について説明する。なお、図1は、本実施形態に係る画像形成装置1の概略構成を示す説明図である。
【0023】
<1.画像形成装置の概略構成>
本実施形態にかかる現像ユニット100は、例えば、図1に示すようなタンデム方式の画像形成装置に設けることができる。画像形成装置1は、図1に示すように、記録媒体搬送ユニット10と、中間転写体として転写ベルト20を備える転写ユニットと、静電潜像を担持する感光体ドラム30と、感光体ドラム30上に形成された静電潜像を現像する現像ユニット100と、定着ユニット40とから構成される。
【0024】
記録媒体搬送ユニット10は、最終的に画像が形成される記録媒体を収容するとともに、記録媒体を記録媒体搬送路上に搬送する。記録媒体は例えば用紙Pであり、カセットに積層して収容される。記録媒体搬送ユニット10は、用紙Pに転写されるトナー像が形成されて二次転写領域に到達するタイミングで、用紙Pを二次転写領域に到達させる。
【0025】
転写ユニットは、後述する現像ユニット100により形成されたトナー像を記録媒体に二次転写する二次転写領域に搬送する。転写ユニットは、転写ベルト20と、転写ベルト20を懸架する懸架ローラ20a、20b、20c、20dと、感光体ドラム30とともに転写ベルト20を挟持する一次転写ローラ22と、懸架ローラ20dとともに転写ベルト20を挟持する二次転写ローラ24とからなる。
【0026】
転写ベルト20は、懸架ローラ20a、20b、20c、20dにより循環移動される無端状のベルトである。一次転写ローラ22は、転写ベルト20の内周側から感光体ドラム30を押圧するように設けられる。一方、二次転写ローラ24は、転写ベルト20の外周側から懸架ローラ20dを押圧するように設けられる。また、図1には示していないが、転写ユニットは、転写ベルト20に付着したトナーを除去するベルトクリーニング装置などをさらに備えてもよい。
【0027】
感光体ドラム30は、周面に画像が形成される静電潜像担持体であり、例えばOPC(Organic PhotoConductor)からなる。本実施形態にかかる画像形成装置1は、カラー画像を形成可能な装置であり、例えばマゼンタ、イエロー、シアン、ブラックの各色に対応して、4つの感光体ドラム30が転写ベルト20の回転方向に設けられている。各感光体ドラム30の周上には、図1に示すように、帯電ローラ32と、露光ユニット34と、現像ユニット100と、クリーニングユニット38とが設けられている。
【0028】
帯電ローラ32は、感光体ドラム30の表面を所定の電位に均一に帯電する。露光ユニット34は、帯電ローラ32により帯電した感光体ドラム30の表面を形成する画像に応じて露光する。これにより、感光体ドラム30の表面のうち露光ユニット34により露光された部分の電位が変化し、静電潜像が形成される。現像ユニット100は、トナータンク36(36M、36Y、36C、36B)により供給されたトナーで感光体ドラム30に形成された静電潜像を現像し、トナー像を生成する。なお、現像ユニット100の詳細な構成については後述する。
【0029】
クリーニングユニット38は、感光体ドラム30上に形成されたトナー像が転写ベルト20に一次転写された後に感光体ドラム30上に残存するトナーを回収する。クリーニングユニット38は、例えばクリーニングブレードを設け、感光体ドラム30の周面にクリーニングブレードを当接させることにより感光体ドラム30上の残トナーをそぎ落とすように構成することができる。なお、感光体ドラム30の周上には、感光体ドラム30の回転方向においてクリーニングユニット38と帯電ローラ32との間に、感光体ドラム30の電位をリセットする除電ランプ(図示せず。)を配置することもできる。
【0030】
定着ユニット40は、転写ベルト20から記録媒体へ二次転写されたトナー像を記録媒体に付着させ、定着させる。定着ユニット40は、例えば、加熱ローラ42と、加圧ローラ44とから構成される。加熱ローラ42は、回転軸周りに回転可能な円筒状の部材であり、その内部には例えばハロゲンランプなどの熱源が設けられている。加圧ローラ44は、回転軸周りに回転可能な円筒状の部材であり、加熱ローラ42を押圧するように設けられる。加熱ローラ42および加圧ローラ44の外周面には、例えばシリコンゴム等の耐熱弾性層が設けられる。加熱ローラ42と加圧ローラ44と接触領域である定着ニップ部に記録媒体を通過させることにより、トナー像を記録媒体に溶融定着させる。
【0031】
また、画像形成装置1には、定着ユニット40によりトナー像が定着された記録媒体を装置外部へ排出するための排出ローラ52、54が設けられている。
【0032】
このような画像形成装置1は、まず、画像形成装置1が操作されると、被記録画像の画像信号が制御部(図示せず。)に送信される。次いで、制御部は、受信した画像信号に基づいて、帯電ローラ32により感光体ドラム30の表面を所定の電位に均一に帯電させた後、露光ユニット34により感光体ドラム30の表面にレーザ光を照射して静電潜像を形成する。
【0033】
一方、現像ユニット100では、トナーとキャリアとを混合攪拌して十分に帯電させた後、現像ローラ(図1の符号110)に現像剤を担持させる。そして、現像ローラ110の回転により現像剤が感光体ドラム30と対向する領域まで搬送されると、現像ローラ110に担持された現像剤のうちトナーが感光体ドラム30の周面上に形成された静電潜像に移動し、静電潜像を現像する。こうして形成されたトナー像は、感光体ドラム30と転写ベルト20とが対向する領域において、感光体ドラム30から転写ベルト20へ一次転写される。転写ベルト20には、4つの感光体ドラム30上に形成されたトナー像が順次積層されて、1つの積層トナー像が形成される。そして、積層トナー像は、懸架ローラ20dと二次転写ローラ24とが接触する領域において、記録媒体搬送ユニット10から搬送された記録媒体に二次転写される。
【0034】
積層トナー像が二次転写された記録媒体は、定着ユニット40へ搬送される。記録媒体を加熱ローラ42と加圧ローラ44との間で熱および圧力が加えながら通過させることにより、積層トナー像が記録媒体に溶融定着する。その後、記録媒体は、排出ローラ52、54により画像形成装置1の外部へ排出される。一方、転写ベルト20は、ベルトクリーニング装置を備える場合、積層トナー像が記録媒体へ二次転写された後、転写ベルト20に残存するトナーがベルトクリーニング装置により除去される。
【0035】
なお、図1に示したタンデム方式の画像形成装置1は、本実施形態にかかる現像装置100を使用した画像形成装置の一例であり、本実施形態にかかる現像装置100は、種々の方式の画像形成装置に適用することができる。
【0036】
以上、本実施形態に係る現像ユニット100を備える画像形成装置1の概略構成について説明した。本実施形態に係る現像ユニット100は、攪拌性能と搬送性能とを両立する攪拌搬送部材を備え、かつ低コスト、小型化を実現するものである。次に、図2および図3に基づいて、本実施形態に係る現像ユニット100の構成とその動作について説明する。なお、図2は、本実施形態に係る現像ユニット100の構成を示す説明図である。図3は、本実施形態に係る現像ユニット100における現像剤の流れを説明するための説明図である。
【0037】
<2.現像ユニットの構成>
まず、図2および図3に基づいて、本実施形態に係る現像ユニット100の構成について説明する。本実施形態にかかる現像ユニット100は、図2に示すように、現像ローラ110と、攪拌搬送部材120、130とを備える。
【0038】
現像ローラ110は、感光体ドラム30の周面上に形成された静電潜像に対してトナーを供給する現像剤担持体である。現像ローラ110は、例えば、現像スリーブ114と、現像スリーブ114の内部に配置されたマグネット112と、からなる。現像スリーブ114は、非磁性の金属からなる筒状部材である。現像ローラ110では現像スリーブ114のみが回転し、現像スリーブ114内に配置されたマグネット112は筐体5に固定されている。また、現像ローラ110には、現像バイアスを印加する現像バイアス印加部(図示せず。)が設けられている。
【0039】
マグネット112は、複数の磁極を有しており、例えば感光体ドラム30と対向する領域、すなわち感光体ドラム30に形成された静電潜像を現像する領域までおよび現像領域から攪拌搬送部材120と対向する位置までは、異なる磁極を交互に配置して設けることができる。これは、現像剤を現像スリーブ114上で磁気力により搬送するためである。また、現像領域では、現像剤の磁気ブラシの穂を起てて、当該磁気ブラシを感光体ドラム30の静電潜像に接触または近接させるため、現像領域に極位置または極間を配置することもできる。一方、現像ローラ110が攪拌搬送部材120と対応する位置には、同極性の磁極を周方向に隣接するように配置する。この同極性の磁極により極間では当該現像スリーブ114の回転方向に対する接線方向および法線方向の磁力が小さくなる。このため、現像剤は、現像スリーブ114の回転に伴って、現像ローラ110と攪拌搬送部材120とが対向する位置で現像スリーブ114から剥離される。
【0040】
また、現像ローラ110の現像スリーブ114と感光体ドラム30とが対向する位置を基準として現像スリーブ114の回転方向上流側には、層規制部材150が設けられている。層規制部材150は、現像スリーブ114の周面上に付着した現像剤を均一な厚さの層に均す部材であって、例えば金属製のブレードから構成することができる。
【0041】
攪拌搬送部は、現像剤を構成する磁性体のキャリアと非磁性体または弱磁性体のトナーとを攪拌して、キャリアとトナーとを帯電させる領域である。攪拌搬送部は、第1の攪拌搬送部材120と第2の攪拌搬送部材130とを備える。
【0042】
第1の攪拌搬送部材120は、現像ローラ110と略垂直方向に対向して配置されており、混合攪拌された現像剤を現像ローラ110へ供給する。第1の攪拌搬送部材120は、第1の支持軸122と、第1の攪拌翼124とからなる。第1の支持軸122は、筐体5の内壁にベアリングを介して回転可能に設けられる。第1の攪拌翼124は、第1の支持軸122の外周面に設けられ、第1の支持軸122の長手方向に配置された螺旋状の傾斜面からなる。
【0043】
第2の攪拌搬送部材130は、現像剤を混合攪拌して現像剤を十分に帯電させる役割を担っており、帯電した現像剤を第1の攪拌搬送部材120へ搬送する。第2の攪拌搬送部材130は、第1の攪拌搬送部材120と同様に、第2の支持軸132と、第2の攪拌翼134とからなる。第2の支持軸132は、筐体5の内壁にベアリングを介して回転可能に設けられる。第2の攪拌翼134は、第2の支持軸132の外周面に設けられ、第2の支持軸132の長手方向に配置された螺旋状の傾斜面からなる。
【0044】
第1の攪拌搬送部材120と第2の攪拌搬送部材130とは、第1の支持軸122と第2の支持軸132とが略平行となるように、例えば略水平方向(現像ローラ110と第1の攪拌搬送部材120とが隣接する方向に対して略直交する方向)に並んで配置される。第1の攪拌搬送部材120と第2の攪拌搬送部材130との間には仕切り壁102が設けられている。仕切り壁102は、第1の攪拌搬送部材120と第2の攪拌搬送部材130とが各攪拌搬送部材の両端において連通するように設けられている。
【0045】
第2の攪拌搬送部材130によって攪拌しながら搬送された現像剤は、第1の攪拌搬送部材120により攪拌、搬送されながら現像ローラ110の周面に移行する。第2の攪拌搬送部材130には、トナー濃度を検出するためのトナー濃度センサ(図示せず。)が設けられており、搬送路内のトナー濃度が低下するとトナータンク36から現像剤供給部140を介して搬送路内に現像剤が供給される。
【0046】
このような現像ユニット100の攪拌搬送部材120、130の少なくともいずれか一方には、搬送性能を低下させることなく現像剤の攪拌性能を向上させるために、パドルが設けられる。以下、図4〜図11に基づいて、攪拌搬送部材120、130に配設されるパドルの構成について詳細に説明する。なお、図4〜図11は、本実施形態に係る攪拌搬送部材120、130に設けられるパドルの構成例を示す部分断面図である。なお、図4〜図11では、第2の攪拌搬送部材130にパドルを設けた場合を示したが、第1の攪拌搬送部材120にパドルを設ける場合にも同様に構成することができる。
【0047】
<3.パドルの構成>
攪拌搬送部材130は、上述したように、支持軸132と、攪拌翼134とから構成される。本実施形態に係る攪拌搬送部材130は、さらに、支持軸方向に隣接する攪拌翼134の間隔を表すピッチ間に、パドル136が設けられている。パドル136は、攪拌搬送路を搬送される現像剤の攪拌力を高めるために支持軸132の軸方向に沿って設けられる板状の部材である。しかし、パドルを設けただけでは現像剤の流れが遮断されて、搬送能力が低下することが懸念される。そこで、本実施形態では、現像剤搬送方向下流側に向かうにつれて支持軸132の径方向にその高さが高くなるようにパドル136を形成する。
【0048】
攪拌搬送部材130の回転により搬送される現像剤は、図4に示すように、攪拌翼134のピッチ間において、現像剤搬送方向下流側に向かうにつれて現像剤量が減少するように存在している。この現像剤の搬送性能を損なうことなく攪拌性能を高めるために、本実施形態に係る攪拌搬送部材130には現像剤水位(攪拌搬送部材130により搬送されている現像剤の、支持軸132からの径方向の高さ)に対し反比例するように、パドル136を設置する。これにより、現像剤水位の高い領域にパドル136を潜り込ませることで、内部(支持軸132周囲付近)から現像剤Dを攪拌することができる。
【0049】
本実施形態のパドル136は、図4に示すように、支持軸132の軸方向に沿って、その高さが現像剤搬送方向上流側から下流側に向かうにつれて線形的に高くなる、すなわち、軸方向の断面形状が略三角形となるように形成されている。しかし、本発明のパドルの形状はかかる例に限定されず、例えば、後述する図5〜図11に示すような形状とすることができる。これらのパドルの形状には、共通する以下の特徴がある。
【0050】
まず、攪拌翼のピッチ間において、パドルの高さが、全体として現像剤搬送方向下流側に向かうにつれて高くなっているという特徴がある。これは、上述したように、攪拌搬送部材で搬送されているときの現像剤の存在状態より、現像剤の搬送性能を損なわないようにするためである。例えば図4のように、攪拌翼134のピッチ間において現像剤量の多い現像剤搬送方向上流側では、パドル136の高さは現像剤水位よりも低くなる。一方、攪拌翼134のピッチ間において現像剤量の少ない現像剤搬送方向下流側では、パドル136の高さは攪拌翼134の高さと略同一となっている。
【0051】
このパドルの高さは、攪拌翼のピッチ間の軸方向での位置に応じて決定することができる。例えば、図5に示すように、攪拌翼134のピッチをL、攪拌翼134の径方向の高さをhとする。このとき、パドル236の高さは、少なくとも現像剤搬送方向上流側から支持軸132の軸方向に1/2Lの位置(現像剤搬送方向上流側の領域に相当)までは、攪拌翼134の高さhの1/2(基準高さ)以下となるように形成される。かかる条件を満たすようにパドルを形成することにより、現像剤の攪拌性能と搬送性能との両者を備えた攪拌搬送部材とすることができる。
【0052】
このような条件に基づいたパドルの構成例を、図5〜図11を参照して説明する。
【0053】
まず、図5に示すように、現像剤搬送方向下流側に向かって段状にパドルの高さが高くなるパドル236を攪拌搬送部材130に設けてもよい。図5のパドル236は、上述したように、その高さが攪拌翼134のピッチ間において、現像剤搬送方向上流側(現像剤搬送方向上流側から支持軸132の軸方向に1/2Lの位置)では攪拌翼134の高さhの1/2以下となっている。そして、現像剤搬送方向下流側では、パドル236の高さは攪拌翼134の高さhと略同一となっている。
【0054】
図5のパドル236の段数は1段であったが、例えば、図6に示すようにパドル336を複数の段を有するように形成してもよい。図6のパドル336は、4つの部位336a、336b、336c、336dからなり、各部位は現像剤搬送方向上流側から下流側に向かって各部位の高さが高くなるように形成されている。すなわち、パドル336は、4つの段を有する形状となっている。かかるパドル336においても、パドル336の現像剤搬送方向上流側に位置する部分(部位336a、336b)の高さは、攪拌翼134の高さhの1/2以下となっている。そして、パドル336の現像剤搬送方向下流側に位置する部分(部位336c、336d)の高さは、攪拌翼134の高さhの1/2より大きくなっている。
【0055】
なお、攪拌翼134のピッチ間において、軸方向のすべての位置で支持軸132より径方向に突出するようにパドルを形成してもよく(例えば、図5のパドル236)、少なくとも一部で径方向に突出するようにパドルを形成してもよい(例えば、図6のパドル336)。
【0056】
また、他の形態としては、図7に示すように、支持軸132の軸方向に断続して配置された、支持軸132の径方向に突出する1または複数の板状部材からなるパドル436を攪拌搬送部材130に設けてもよい。図7のパドル436は、略長方形の3つの板状部材436a、436b、436cを備え、板状部材436aと436b、436bと436cとの間には空間が設けられる。これにより、各板状部材436a、436b、436cの表面が現像剤の攪拌搬送空間と面する面積が多くなり、現像剤の流れに乱流を多く生じさせることができる。したがって、現像剤の攪拌性能をより向上させることができる。
【0057】
かかるパドル436においても、パドル436の現像剤搬送方向上流側に位置する部分(板状部材436a、436b)の高さは、攪拌翼134の高さhの1/2以下となっている。そして、パドル336の現像剤搬送方向下流側に位置する部分(板状部材436c)の高さは、攪拌翼134の高さhの1/2より大きくなっている。
【0058】
図7に示すパドル436は、図8に示すパドル536の形態としても、同様の効果を生じさせることができる。図8のパドル536は、パドル436と同様に、支持軸132の軸方向に断続して配置された、支持軸132の径方向に突出する3つの板状部材536a、536b、536cからなる。しかし、パドル436は、現像剤搬送方向上流側から下流側に向かって板状部材436a、436b、436cの高さが順に高くなるように形成されているのに対して、図8のパドル536では、現像剤搬送方向上流側に配置された板状部材536aよりも、下流側に配置された板状部材536bの高さの方が低い。しかし、パドル536においても、パドル536の現像剤搬送方向上流側に位置する部分(板状部材536a、536b)の高さは、攪拌翼134の高さhの1/2以下となっている。このように、厳密には必ずしも現像剤搬送方向下流側のパドルの高さが上流側よりも高くなっていなくとも、現像剤の攪拌性能および搬送性能を向上させることができる。
【0059】
さらに、図9および図10に示すように、パドルに貫通孔を形成してもよい。図9および図10のパドルは、図5のパドル236の形状と同一であり、その現像剤搬送方向下流側の部位に、支持軸132の回転方向に貫通する円形の貫通孔638aまたは四角形の貫通孔638bが形成されている。これにより、現像剤に対してさらに乱流を発生させることができ、攪拌性能を向上させることができる。なお、パドルの貫通孔の形状は、図9および図10に示す形状に限定されず、例えば、三角形や五角形等の多角形や楕円形等に形成することができる。
【0060】
そして、図11に示すように、現像剤搬送方向下流側に向かってパドルの高さが曲線で連続的に高くなるパドル736を攪拌搬送部材130に設けてもよい。図11のパドル736も、その高さが攪拌翼134のピッチ間において、現像剤搬送方向上流側(現像剤搬送方向上流側から支持軸132の軸方向に1/2Lの位置)では攪拌翼134の高さhの1/2以下となっている。そして、現像剤搬送方向下流側では、パドル736の高さは攪拌翼134の高さhと略同一となっている。
【0061】
以上、図4〜図11にパドルの構成例について説明した。このように、パドルの形状は様々に形成可能であるが、攪拌翼のピッチ間において、搬送される現像剤量の多い現像剤搬送方向上流側では搬送性能を低下させないようにパドルの高さを低くし、一方、搬送される現像剤量の少ない現像剤搬送方向下流側では現像剤の攪拌力を高めるためにパドルの高さを高くする。これにより、現像剤の攪拌性能と搬送性能とを両立した攪拌搬送部材を実現することが可能となる。
【0062】
このようなパドルは、特に、パドルを設けることによって現像ローラ110への現像剤の供給に影響を及ぼさない第2の攪拌搬送部材130にパドルを配設するのがよい。
【0063】
また、図3に示すように、攪拌搬送部材120、130間には、これらの間で現像剤が授受される受渡部が両端に形成されている。受渡部より内側の、攪拌搬送部材120、130が対向する位置には、仕切り壁102が設けられている。このとき、パドルは、仕切り壁102の軸方向(x軸方向)の長さWの間に形成するのがよい。これにより、パドルと仕切り壁102とが対向することとなり、遠心力方向に逃げる現像剤を抑制しつつ攪拌することが可能となる。
【0064】
パドルは、1つの攪拌搬送部材に対して1または2以上設けることができる。複数のパドルを攪拌搬送部材に設ける場合、例えば、所定のピッチ数(例えば1ピッチ)おきにパドルを設けるようにしてもよい。これにより、現像剤の攪拌力と搬送能力とのバランスを考慮した攪拌搬送部の設計を行うことができる。
【0065】
また、1つの攪拌搬送部材に対して複数のパドルを設ける場合、攪拌搬送部材の支持軸方向に沿って略同一直線上に各パドルを配置する、すなわちパドルの配置移送を同一にすることが望ましい。位相をずらしてパドルを配置すると、攪拌搬送部材の支持軸が1回転する間に何度も乱流が発生してしまい、現像剤の搬送性能を低下させてしまうためである。そこで、本実施形態では、パドルの配置する位相を同一とすることで、乱流は周期的に発生することになり、過剰な現像剤の滞留を抑制することができる。
【0066】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0067】
例えば、上記実施形態では、パドルの基準高さを攪拌翼の高さの1/2としたが、本発明はかかる例に限定されない。パドルの基準高さは攪拌搬送部における現像剤の分布状態に応じて決定されるものであり、例えば、攪拌翼の高さの1/3とすることもできる。また、上記実施形態では、パドルの高さを基準高さ以下とする領域を、少なくとも攪拌翼のピッチ間を2等分したときの現像剤搬送方向上流側の領域としたが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、当該領域も攪拌搬送部における現像剤の分布状態に応じて適宜設定することができる。
【符号の説明】
【0068】
1 画像形成装置
100 現像ユニット
110 現像ローラ
112 マグネット
114 現像スリーブ
120 第1の攪拌搬送部材
122 第1の支持軸
124 第1の攪拌翼
130 第2の攪拌搬送部材
132 第2の支持軸
134 第2の攪拌翼
136、236、336、436、536、636、736 パドル
638a、638b 貫通孔
D 現像剤


【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャリアとトナーからなる現像剤を収容し、現像剤を混合攪拌して所定の搬送方向へ搬送する攪拌搬送部材を有する攪拌搬送部と、
静電潜像を担持する静電潜像担持体と対向して設けられ、前記攪拌搬送部により攪拌搬送された現像剤を周面に担持して前記静電潜像担持体に供給する現像剤担持体と、
を備え、
前記攪拌搬送部材は、
現像剤搬送方向に延設され、回転可能に設けられた支持軸と、
前記支持軸の外周面上に設けられ、現像剤を混合攪拌しながら搬送する攪拌翼と、
支持軸方向に隣接する前記攪拌翼の間隔を表すピッチ間において、支持軸方向に沿って前記支持軸から径方向に突出するパドルと、
を備え、
前記パドルの高さは、現像剤搬送方向上流側から下流側に向かうにつれて高くなることを特徴とする、現像装置。
【請求項2】
前記パドルの高さは、現像剤搬送方向上流側から下流側に向かうにつれて段階的に高くなることを特徴とする、請求項1に記載の現像装置。
【請求項3】
前記パドルの高さは、現像剤搬送方向上流側から下流側に向かうにつれて連続的に高くなることを特徴とする、請求項1に記載の現像装置。
【請求項4】
前記パドルの高さは、少なくとも現像剤搬送方向上流側では基準高さよりも低く形成されることを特徴とする、請求項1に記載の現像装置。
【請求項5】
同一支持軸上に前記攪拌翼のピッチ間に配置された複数の前記パドルは、支持軸方向に沿って略同一直線上に配置されることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の現像装置。
【請求項6】
略平行に配置された2つの前記攪拌搬送部との間には、現像剤の授受が行われる受渡部が両端部に設けられ、
前記パドルは、前記攪拌搬送部の両端部に設けられた前記受渡部よりも内部に設けられることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の現像装置。
【請求項7】
前記パドルには、支持軸に対して垂直方向に貫通する貫通孔が現像剤搬送方向下流側に形成されることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の現像装置。
【請求項8】
周面に静電潜像を担持する静電潜像担持体と、
前記静電潜像担持体上の前記静電潜像を現像する現像装置と、
を備え、
前記現像装置は、
キャリアとトナーからなる現像剤を収容し、現像剤を混合攪拌して所定の搬送方向へ搬送する攪拌搬送部材を有する攪拌搬送部と、
静電潜像を担持する静電潜像担持体と対向して設けられ、前記攪拌搬送部により攪拌搬送された現像剤を周面に担持して前記静電潜像担持体に供給する現像剤担持体と、
を備え、
前記攪拌搬送部材は、
現像剤搬送方向に延設され、回転可能に設けられた支持軸と、
前記支持軸の外周面上に設けられ、現像剤を混合攪拌しながら搬送する攪拌翼と、
支持軸方向に隣接する前記攪拌翼の間隔を表すピッチ間において、支持軸方向に沿って前記支持軸から径方向に突出するパドルと、
を備え、
前記パドルの高さは、現像剤搬送方向上流側から下流側に向かうにつれて高くなることを特徴とする、画像形成装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−137870(P2011−137870A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−295945(P2009−295945)
【出願日】平成21年12月25日(2009.12.25)
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】416,Maetan−dong,Yeongtong−gu,Suwon−si,Gyeonggi−do,Republic of Korea
【Fターム(参考)】