説明

現像装置および画像形成装置

【課題】気流搬送機構を用いる構成における問題に鑑み、空気などの気体の漏洩による搬送量の変化を防止できると共に、回収現像剤のリサイクルが可能な構成を備えた現像装置を提供する。
【解決手段】潜像担持体1に対して現像剤を供給する現像装置3とは別に現像剤の攪拌混合を行うと共に現像装置3から回収される現像剤を収容可能な現像剤収容部40を備えた構成において、現像剤を気流搬送する際に用いられる気体が現像剤収容部40の現像剤の剤面上方空間に集約される位置に、気流搬送圧力以上の過剰圧となった気体を外部に排出するに必要な圧力まで下げると共に、気体と共に移動した現像剤を圧力低下時、自重により現像剤回収部40に向けて落下させて回収する構成100を備えていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像装置および画像形成装置に関し、さらに詳しくは、二成分系現像剤の気流搬送機構に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機やプリンタあるいはファクシミリ装置や印刷機などの画像形成装置においては、潜像担持体である感光体上に形成された静電潜像を現像装置により可視像処理し、可視像をシートなどに転写することにより記録出力を得ることができる。
【0003】
現像に用いられる現像剤には磁性あるいは非磁性トナーのみの一成分系現像剤の他にトナーとキャリアとを混合した二成分系現像剤がある。
二成分系現像剤は、トナーとこれを担持するキャリアとで構成され、攪拌混合時に生起される摩擦帯電作用によりトナーを帯電させて感光体上の静電潜像に対して静電吸着できる状態とされる。
【0004】
現像装置に用いられる二成分系現像剤は、攪拌混合により帯電電荷を保持した状態で、例えば、磁気現像方式を用いる現像装置の場合に現像剤担持体に用いられる現像スリーブに内蔵されている磁極の作用により表面に形成された磁気ブラシを感光体表面に接触させることで磁気ブラシ中のトナーを感光体上の潜像担持体に静電吸着させて可視像処理する。
【0005】
現像装置に収容されている現像剤でのトナー濃度及び感光体上での画像濃度の安定化により画像品質の安定化のためには、現像装置内での攪拌混合性を高く維持することが必要となる。
このため、現像装置内には現像剤を攪拌しながら移動させることができる2本スクリューを設け、一方のスクリューは現像剤供給空間内に、そして、他方のスクリューは現像後に現像剤を回収する回収空間内にそれぞれ配置したうえで相反する方向に現像剤を移動させる構成が知られている。上述した回収される現像剤とは、磁気ブラシを担持する現像スリーブ内に配置されている反発磁極の作用により現像スリーブから反発飛翔して回収空間に導入される現像剤を意味している。
【0006】
しかし、上述した構成では、2本のスクリューによる回転によって現像剤の攪拌混合が行われることから、トナー消費量が急増するなどのトナーの収支が多い場合には、現像装置という限られた攪拌混合空間内では補給されたトナーが十分に分散しないことがある。このため、トナーの帯電量が十分でなく、地汚れや飛散トナーにより周辺部への汚損等を招く虞がある。
【0007】
そこで、このような不具合を解消する目的で、現像装置とは別の位置の場所に攪拌部を設け、攪拌された現像剤を搬送スクリューを用いて現像装置に供給する構成(例えば、特許文献1)、あるいは、現像部に加えて空気などの気体を利用して新規トナーを補給する構成を備えた撹拌部を循環手段によって接続し、撹拌部で現像剤の状態に応じた撹拌を行い、トナー濃度、帯電量を適切に調整した現像剤を現像部に供給する構成が提案されている(例えば、特許文献2)。
【0008】
特許文献2に開示されている構成は、現像装置外部からの空気を導入して、いわゆる現像剤の循環手段内で現像剤を搬送する構成であるが、これとは別に、吸引ポンプを用いて現像装置内を負圧化して現像装置内に発生している飛散トナーを現像装置とは別の位置に設けられた回収部に向け搬送する構成も提案されている(特許文献3)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献2,3に開示されているように現像装置に対して現像剤の搬送を気流搬送により行う構成では、現像装置を含めた現像剤搬送経路での空気の漏洩が問題となる。
特許文献2に開示されている構成では、搬送経路の一部が正圧になるので搬送経路に用いられる管路などの接続部や現像装置内での圧力上昇により漏洩する虞がある。空気の漏洩は、搬送経路内での所定圧力の変化を来し、現像剤の所定搬送量を確保できなくなる虞がある。
【0010】
これに対して、特許文献3に開示されている構成では、現像装置内が負圧化傾向となるので現像装置内での圧力上昇は避けられる反面、回収部には現像剤が貯留されることになるので、その回収量が所定量となった時点で回収部の交換が必要となる。そこで、交換頻度を低くするには回収部の容積を大きくしなければならず、結果として回収部を配置するスペースの大型化により画像形成装置の大型化を招くことになる。
しかも、回収部の交換は、環境問題として着目されている現像剤のリユースができないという問題もある。
【0011】
本発明の目的は、上記従来の現像装置における問題、特に、気流搬送機構を用いる構成における問題に鑑み、空気などの気体の漏洩による搬送量の変化を防止できると共に、回収現像剤のリサイクルが可能な構成を備えた現像装置および画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この目的を達成するため、本発明は次の構成よりなる。
(1)潜像担持体に形成されている静電潜像をトナーとキャリアとからなる現像剤により可視像処理する現像部と、該現像部から回収した現像剤を再度該現像部の現像剤供給部に向け移送する循環部とを備え、該循環部には、上記現像部に至る前の位置に現像剤の一部を収容して攪拌する収容部と該収容部から前記現像部に至る搬送経路を気体により現像剤を搬送する気流搬送機構が設けられている現像装置において、
前記収容部における現像剤の剤面上方には、現像剤と気体とを分離する分離部が設けられ、該分離部は、前記気流搬送機構により生起される圧力により導入された気体が外部に排出され、現像剤が自重により前記収容部に落下することができる位置に設けられていることを特徴とする現像装置。
【0013】
(2)前記分離部には、前記収容部の現像剤の剤面上部との間に連結された管路が接続され、該管路は、導入された気体の圧力を導入開始時よりも低い圧力に変化させる、少なくとも長さ及びまたは断面積に設定されていることを特徴とする(1)記載の現像装置。
【0014】
(3)前記分離部と前記収容部との接続されている管路は、トナーの安息角以上の角度を持たせて設けられていることを特徴とする(1)または(2)に記載の現像装置。
【0015】
(4)前記分離部は、断面形状が下向き漏斗状とされ、断面積が前記管路よりも大きくされていることを特徴とする(1)乃至(3)のうちの一つに記載の現像装置。
【0016】
(5)前記分離部は、外周囲に形成された外部との連通部に通気可能なフィルタが設けられ、該フィルタは、排出圧力を前記気流搬送機構により生起される圧力以下に設定できる面積及びまたは個数を設定されて設けられていることを特徴とする(1)乃至(4)のうちの一つに記載の現像装置。
【0017】
(6)前記循環部は、前記気流搬送機構により前記収容部からの現像剤が供給される現像剤供給部と、前記現像部から回収される現像剤を前記収容部に搬送する現像剤回収部とを備え、
前記現像剤供給部には、前記収容部との間に接続された連通路が設けられていることを特徴とする(1)記載の現像装置。
【0018】
(7)前記現像剤供給部は、常時、内部空間に現像剤がほぼ満たされた状態に維持されることを特徴とする(6)記載の現像装置。
【0019】
(8)前記分離部と前記収容部との間を接続する管路は、前記現像剤回収部から前記収容部を接続する搬送路よりも大きい断面積を有することを特徴とする(2)乃至(6)のうちに一つに記載の現像装置。
【0020】
(9)(1)乃至(8)のうちの一つに記載の現像装置を用いることを特徴とする画像形成装置。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、収容部において過剰圧が発生した場合、気体と現像剤は分離部に向け導入され、分離部にて気体が排出され、そして現像剤は気体の排出による圧力低下によって自重により収容部に落下することで再使用に供することができる。
【0022】
また、本発明によれば、分離部と収容部との間に設けられている管路において収容部で発生した過剰圧を低下させる構成とされているので、気体と現像剤との分離を良好に行わせることで現像剤の自重落下による収容部への再回収を良好に行うことができる。
【0023】
さらに分離部が漏斗状とされているので、過剰圧が作用した場合の体積膨張を利用した圧力低下により上述した現像剤の分離が良好に行えることになる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明実施例による現像装置が用いられる画像形成装置の構成を示す断面図である。
【図2】本発明実施例による現像装置の構成を説明するための模式図である。
【図3】図2に示した現像装置を対象とした現像剤の供給機構の構成を説明するための図である。
【図4】図3に示した供給機構の展開図である。
【図5】本発明の別実施例による現像装置を対象とした供給機構の構成を説明するための図3相当の図である。
【図6】図5に示した供給機構の展開図である。
【図7】図5に示した現像装置における要部変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図示実施例により本発明を実施するための形態について説明する。
図1は、本発明による現像装置を用いる画像形成装置を示している。同図に示す画像形成装置は、タンデム方式によるフルカラープリンタであるが、本発明は、これに限らず、複写機やファクシミリ装置などにも適用することができる。
【0026】
図1に示す画像形成装置は、装置本体100内で中間転写ユニット10に設けられている未定着像担持体としての中間転写ベルト10Aの下面に対向して、各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)に対応した作像部6Y、6M、6C、6Kが並設されている。
【0027】
これらの作像部6Y、6M、6C、6Kは、作像プロセスに用いられるトナーの色が異なる以外は同一構造である。なお、以下の説明では、各作像部で共通する数字の符号のみを挙げて説明し、トナーの色を示すアルファベットの符号は省く。
各作像部6は、潜像担持体としての感光体ドラム1と、感光体ドラム1の周囲に配設された帯電手段2、現像装置3、クリーニング手段4等で構成されている。
感光体ドラム1上で、作像プロセス(帯電工程、露光工程、現像工程、転写工程、クリーニング工程)が行われ、感光体ドラム1上に所望のトナー像が形成される。
感光体ドラム1は、不図示の駆動部によって図中、時計回り方向に回転駆動され、帯電手段2の位置で表面が一様に帯電される(帯電工程)。
【0028】
感光体ドラム1の表面は、不図示の露光部から発せられたレーザ光の照射位置に達して、この位置での露光走査によって静電潜像が形成され(露光工程)、現像装置3と対向する位置に達すると、そこから供給される現像剤に含まれるトナーにより可視像処理されて現像工程が実行される。
現像工程において可視像処理されたトナー像を担持する感光体ドラム1の表面は、中間転写ベルト10A及び1次転写バイアスローラ5との対向位置に達して、この位置で感光体ドラム1上のトナー像が中間転写ベルト10A上に転写される(1次転写工程)。
【0029】
転写を終えて感光体1の表面は、クリーニング手段4との対向位置に達し、この位置で感光体ドラム1上に残存した未転写トナーが回収される(クリーニング工程)。クリーニング後、感光体ドラム1の表面は図示しない除電ローラにより電位を初期化される。このような工程を経過することで、感光体ドラム1上で行われる一連の作像プロセスが終了する。
上述した作像プロセスは、モノクロ画像のみの単一画像形成時およびフルカラー画像形成時にそれぞれ行われるが、フルカラー画像形成時には、図1に示した4つの作像部6Y、6M、6C、6Kにおいて各工程がそれぞれ行われる。すなわち、作像部の下方に配設された不図示の露光部(光書き込み装置)から、画像情報に基づいたレーザ光が、各作像部6Y、6M、6C、6Kの感光体ドラム上に向けて照射される。その後、現像工程を経て各感光体ドラム上に形成した各色のトナー像を、中間転写ベルト10A上に重ねて転写する。こうして、中間転写ベルト10A上にカラー画像が形成される。
【0030】
4つの1次転写バイアスローラ5Y、5M、5C、5Kは、それぞれ、中間転写ベルト10Aを感光体ドラム1Y、1M、1C、1Kとの間に挟み込んで1次転写ニップを形成している。1次転写バイアスローラ5Y、5M、5C、5Kにはトナーの極性とは逆極性の転写バイアスが印加される。
中間転写ベルト10Aは、矢印方向に走行して、各1次転写バイアスローラ5Y、5M、5C、5Kの1次転写ニップを順次通過する。こうして、感光体ドラム1Y、1M、1C、1K上の各色のトナー像が、中間転写ベルト10A上に重ねて1次転写される。
各色のトナー像が重ねて転写された中間転写ベルト10Aは、2次転写手段としての2次転写ローラ7との対向位置に達する。中間転写ベルト10A上に形成されたカラートナー像は、2次転写ニップの位置に搬送された記録媒体としての転写紙P上に一括転写される。
【0031】
装置本体100の下部に配設された給紙部8には、転写紙Pが複数枚重ねて収納されており、給紙コロ9により1枚ずつ分離されて給紙される。給紙された転写紙Pはレジストローラ対10で一旦停止され、斜めずれを修正された後レジストローラ対10により所定のタイミングで2次転写ニップに向けて搬送される。そして、前記のように、2次転写ニップにおいて転写紙P上に、所望のカラー画像が転写される。
2次転写ニップの位置でカラー画像を転写された転写紙Pは、定着部11へ搬送され、ここで、定着ローラ及び圧力ローラによる熱と圧力とにより、表面に転写されたカラー画像を定着される。
定着を終えた転写紙Pは、排紙ローラ対12により、装置本体100の上面に形成された排紙部100Aへ出力画像として排出され、スタックされる。こうして、画像形成装置における一連の画像形成プロセスが完了する。なお、図1において符号13は、中間転写ベルト10Aのクリーニング装置を示している。
【0032】
図2は、本発明による一実施例において対象とする現像装置3を示しており、同図に示す現像装置3は、作像部での現像部として用いられる。
現像槽30の内部には、縦方向に配置された2本の搬送スクリューからなる現像剤供給部材3Aおよび現像剤回収部材3Bがそれぞれ配置されている現像剤供給部30Aおよび現像剤回収部30Bが設けられている。
現像剤供給部材3Aには、現像剤担持体である現像スリーブ3Cが対峙しており、現像剤供給部材3Aから供給される現像剤がドクターブレード3Dにより層厚を規定されたうえで供給されるようになっている。
現像剤供給部材3Aと現像剤回収部材3Bとは、回転方向が逆方向に設定されており、回転時には相対する方向に現像剤が搬送される。
現像剤供給部30Aおよび現像剤回収部30Bは、図3に示す現像剤供給機構に示す構成において循環部に含まれる位置に配置されている。
【0033】
図3は、現像剤供給機構の全体構成を示している。
同図において、現像装置3は、感光体ドラム1上の静電潜像を現像する現像剤を収容可能な現像槽30と、現像槽30から離れた位置で現像槽30から回収された現像剤および消費されたトナーに見合う新規トナーを撹拌混合する現像剤収容部40と、現像剤収容部40に向け新規トナーを補給するトナー供給部60と、現像剤収容部40から排出される撹拌混合後の現像剤を移送するためのロータリーフィーダ50と、現像剤を空気などの気体(以下、便宜上、空気の場合で説明する)により現像槽30に向け移送する、いわゆる、気流搬送機構を構成するための現像剤循環駆動源に相当する空気ポンプ51とを主要部として備えている。図3では、現像槽30がカートリッジ状に構成されている。なお、図3においては、便宜上、現像剤供給部材3A、現像剤回収部材3Bを、これらの回転軸を対象として符号を付して示してある。
【0034】
現像槽30と現像剤収容部40とは、現像槽30内の現像剤回収部30Bに接続されている現像剤回収流路41およびロータリーフィーダ50と現像槽30内の現像剤供給部30Aの上部に接続された現像剤供給流路42とで接続されて現像剤の循環路を構成し、循環路に設けられている部材を含めた循環部が構成されている。
現像槽30に接続されている現像剤供給流路42は、図4において説明するが、現像剤供給部材3Aの軸方向一端、詳しくは、現像剤供給部材3Aによる現像剤の搬送方向上流側が該当する現像剤搬送開始位置側に対峙するように接続されている。また、現像剤回収流路41は、現像槽30に設けられている現像剤回収部材3Bの軸方向で現像剤回収部材3Bによる現像剤の搬送方向下流側が該当する現像剤排出位置側に対応させて接続されている。
現像剤収容部40は、上部が円筒状であって、下部が下向き円錐状のサイロのような外観を呈しており、内部には、図4において詳述する攪拌部材が設けられている。
【0035】
現像剤収容部40の上部には、攪拌部材の駆動部をなす駆動モータおよび減速ギヤ群(いずれも図示されず)が設けられている。
現像剤収容部40において攪拌混合された現像剤は、供給量を調整できるパドルを内部に備えて駆動モータ50Aにより回転駆動されるロータリーフィーダ50に給送され、この位置で供給量を調整される現像剤が空気ポンプ51により生成される気流により現像槽30に向け搬送される。
【0036】
トナー供給部60は、トナータンク61と、このトナータンク61と現像剤収容部40との間に接続されている補給トナー搬送路62と補給トナー搬送路62内にて補給されたトナーを補給路内に配置されている搬送スクリュー(図示されず)を駆動する駆動モータ63とを備えている
【0037】
現像後の現像剤は、現像剤回収部30Bに装備されている現像剤回収部材3Bの端部に接続されている現像剤回収流路41(図3参照)から現像剤収容部40に搬送される。
現像剤回収部材3Bによる現像剤移動方向の最下流には、図示しないトナー濃度検知手段が設置されており、その信号を基にトナータンク61から新規トナーの補給が行われる。トナーの補給は前述したように補給トナー搬送路62に接続されている空気ポンプ63による気流搬送によって行われる。
【0038】
図3に示す現像剤収容部40は、図4に示すように、上部が円筒状で縦断面が下向き錐状をなす漏斗状の形状とされた容器43が用いられており、最下部に位置して最も小径の排出口400がロータリーフィーダ50に連通している。
現像剤収容部40の内部空間には、攪拌部材としてモータ(図示されず)から垂下している回転軸44に一体化されて現像剤の流下方向と逆方向に現像剤を移動させる向きのスクリュー44Aと、回転軸44により駆動される減速ギヤ群(図示されず)の出力ギヤと連動可能な端板45を有する攪拌羽根45Aが設けられている。攪拌羽根45Aは、端板45の径方向に平行する板状部材に複数のスリットが形成されて現像剤の一部を通過させながら残りの現像剤を押し動かして攪拌できる構成が用いられている。
【0039】
容器43の最下部に位置する排出口400に接続されているロータリーフィーダ50は、モータ50A(図2参照)の回転量に応じて現像剤の排出量を制御するために設けられており、モータ50Aの回転軸に固定されて放射状に延長された複数の羽根50B1を有するロータリーバルブ部材50Bを備えている。
【0040】
以上のような構成を対象として、本発明実施例の特徴について説明すると次の通りである。
本発明の特徴は、気流搬送による現像剤の循環路において現像剤の搬送に用いられる空気が作用する箇所での圧力が所定圧、具体的には大気圧よりも高い過剰圧となった場合に過剰圧の空気を外部に排出できる圧力まで下げるとともに、過剰圧の空気と共に移動する現像剤を、排出により過剰圧が低下した際に移動速度が緩和されるのを利用して自重により再使用可能な箇所へ導入することにある。
【0041】
以下、この特徴を得るための構成について説明する。
図3及び図4において現像剤収容部40の現像剤の剤面上方に位置する天板には現像剤回収流路41とは別に、分離部200に連通する管路201が接続されている。なお、図4及び後述する図7において矢印は現像剤の移動方向を示している。
【0042】
分離部200は、外部と連通する開口で構成された連通部200Aが外周の少なくとも1カ所に設けられた縦断面形状が漏斗状をなす容器が用いられている。分離部200は、縦断面形状が漏斗状とされていることで、内部が空気の体積膨張部として用いられ、導入された空気の圧力を下げる機能を有している。
【0043】
連通部200Aは、現像剤の排出を阻止して空気のみを外部に排出可能なフィルタ202により覆われており、連通部101A及びフィルタ202は、現像剤収容部40から管路201内に導入される空気の圧力が気流搬送機構において生起される圧力以下に設定できる面積及び個数を設定されている。
【0044】
また、管路201は、トナーの安息角以上の角度を持たせて分離部200と現像剤収容部40との間に設けられていると共に、この内部を流れる空気の圧力、位置及び速度を用いたエネルギーの関係から、分離部200内で、排出を可能にするために大気圧よりも僅かに高い圧力が得られるように、分離部200までの距離および速度に影響する管径の何れかあるいは両方がそれぞれ決められるようになっている。
【0045】
また、管路201は、現像剤収容部40内での過剰圧の低下を促す目的で、現像剤回収部30Bと現像剤収容部40とを連通させている現像剤回収流路41の管径よりも大きくすることが望ましい。
【0046】
上述した構成では、空気が流れる位置として、気流搬送による現像剤供給位置である現像剤供給部30Aが該当しているが、現像剤供給部30Aは、現像剤回収部30Bと搬送スクリューの軸方向一端側で接続されていることから、現像剤回収部30Bと現像剤回収流路41を介して連通されている現像剤収容部40の現像剤の剤面上方が該当している。
このため、空気の圧力が作用する箇所である現像剤収容部40の現像剤の剤面上方に過剰圧の空気及び現像剤を分離可能な分離部200を設ける意味がある。
【0047】
本実施例は以上のような構成であるから、気流搬送された現像剤は現像装置3の現像剤供給部30Aに達すると現像スリーブ3Cに向け供給され、現像後の現像剤は現像剤回収部30Bから現像剤収容部40に帰還する。
【0048】
気流搬送に用いられる空気は、現像剤供給部30Aから現像剤回収部30Bを通過して現像剤収容部40に至るが、現像剤収容部40が現像剤を充満させていることから現像剤収容部40の現像剤の剤面上方での圧力が上昇し、その圧力が現像装置3に作用して空気の漏洩により現像装置3から現像剤が吹き出すなどの不具合を生じる虞がある。また、空気の漏洩による現像剤の吹き出しは、循環搬送路内での現像剤の搬送量にも変化が生じる虞がある。
【0049】
本実施例では、現像剤収容部40の現像剤の剤面上方に接続された管路201を介して分離部200が設けられているので、現像剤の剤面上方空間で過剰圧力となった空気が分離部200に向け導入される。この導入に際しては、現像剤回収流路41よりも管路201の断面積が大きいことにより円滑化、つまり、抜気しやすくされる。
【0050】
管路201を介して分離部200に導入された空気及びこれに運ばれる現像剤は分離部の縦断面形状及び管路201の長さや断面積に設定により排出に必要な圧力まで下げられる。
圧力が排出に必要な圧力まで下げられた空気は、フィルタ202を通過して外部に排出される一方、空気により搬送されていた現像剤は、フィルタ202によって外部には排出されないで、圧力低下、換言すれば速度が低下することで自重の影響を受けやすくなり、現像剤収容部40に向けて落下し、回収されることになる。
【0051】
本実施例においては、分離部200に達した現像剤は、自重により落下することで現像剤収容部40に回収されることになるので、分離部200に蓄積されることがない。これにより、分離部200の交換頻度をきわめて低いものとすることができる。しかも、過剰圧を解消する際に移動する現像剤がそのまま現像剤収容部40に回収されて再使用に供されることになるので、頻繁な現像剤の補充も抑えることが可能となる。
【0052】
また、分離部200と現像剤収容部40とを接続する管路201がトナーの安息角以上を持たせて配置されているので、垂直方向に延長できない場合でも、現像剤の自由落下が可能であるので、分離部200の設置位置の自由度が高められる。つまり、現像剤とトナーとでは、トナーの安息角の方が大きいので、トナーの安息角以上の傾斜があれば、現像剤は自由落下ができることが理由である。
【0053】
さらに、過剰圧力による空気の漏洩が現像剤の吹き出しの原因となるのを防止することにより、現像剤の搬送量の変化を抑制することも可能となる。
【0054】
次に、本発明の別実施例について説明する。
本実施例の特徴は、現像剤供給部に、現像剤収容部40との連通部を設け、この連通部を介して気流搬送に用いられた空気を現像剤収容部40に導入することで現像剤供給部での圧力上昇を抑制する点にある。
【0055】
図5及び6は、本実施例を説明するための図であり、図5において、現像装置3の現像艘0の一部、具体的には、図6に示すように、現像剤供給部30Aには、現像剤収容部40との間に連通路210が設けられている。
【0056】
連通路210は、図6(B)に示すように、現像剤供給部30Aに配置されている現像剤供給部材3Aのスクリュー羽根上部に開口210Aが形成されており、重力により現像剤供給部30Aに堆積する現像剤の上方に溜まる空気を排出(以下、排気ともいう)できるようになっている。
【0057】
ところで、本実施例では、上述した連通路210を設けるにあたり、連通路210の開口210Aが設けられている位置近傍で現像剤供給部30Aの断面形状をこれ以外の位置と異ならせている。現像剤供給部材30Aの軸方向で現像剤の移動開始側に連通路210の開口210Aが設けられ、連通路210の開口210Aが設けられている箇所30A1の断面積がこれ以外の軸方向での箇所30A2の断面積よりも大きくされている。
【0058】
連通路210が設けられている箇所以外の断面積が小さい箇所30A2は、現像剤供給部材3Aのスクリュー羽根外周面と近接する内径を有しており、これにより現像剤が充満するようになっている。
【0059】
このような構成においては、現像剤供給流路42を介して現像剤の気流搬送に用いられた空気が現像剤供給部30Aに導入された直後に現像剤収容部40に向けて排気されることになるので、現像剤供給部30A内での圧力上昇を抑制して現像剤の吹き出しなどを防止することができる。
【0060】
一方、このような構成においては、現像剤供給部30Aからの空気が直接現像剤収容部40内に導入されることから、現像剤収容部40の現像剤の剤面上方空間での圧力上昇が顕著となる。
【0061】
そこで、本実施例においても、図4に示した構成と同様に、現像剤収容部40との間に接続された管路201を介して分離部200を設けることで、気流搬送に用いられた空気が現像剤収容部40における現像剤の剤面上方において気流搬送圧力以上に達した場合にその圧力を排出に必要な圧力に低下させることで現像剤収容部40内の圧力上昇を抑えると共に、気流搬送に用いられた空気と共に分離部200に移動する現像剤を現像剤収容部40に回収することができる。
【0062】
本実施例においては、連通路210を設けることで、現像槽30の現像剤供給部30A内での圧力上昇をより効果的に抑制することが可能となる。
しかも、この構成を付加したことによる現像剤収容部40での圧力上昇を分離部200及び管路201を設けることですることができるので、現像剤の循環経路内での圧力上昇による現像剤の吹き出しなどの不具合を解消することが可能となる。
なお、上記実施例では気体の例として空気を挙げたが、本発明では、これに限るものではなく、例えば、不活性ガスなどの気体であってもよい。
【符号の説明】
【0063】
3 現像装置
3A 現像剤供給部材
3B 現像剤回収部材
30 現像槽
30A 現像剤供給部
30A1 開口の近傍箇所
30A2 開口の近傍箇所以外の箇所
30B 現像剤回収部
40 現像剤収容部
41 現像剤回収搬流路
42 現像剤供給流路
200 分離部
201 管路
202 フィルタ
210 連通路
210A 開口
【先行技術文献】
【特許文献】
【0064】
【特許文献1】特許3734096号
【特許文献2】特開2008−3561号公報
【特許文献3】特開2003−215918号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
潜像担持体に形成されている静電潜像をトナーとキャリアとからなる現像剤により可視像処理する現像部と、該現像部から回収した現像剤を再度該現像部の現像剤供給部に向け移送する循環部とを備え、該循環部には、上記現像部に至る前の位置に現像剤の一部を収容して攪拌する収容部と該収容部から前記現像部に至る搬送経路を気体により現像剤を搬送する気流搬送機構が設けられている現像装置において、
前記収容部における現像剤の剤面上方には、現像剤と気体とを分離する分離部が設けられ、該分離部は、前記気流搬送機構により生起される圧力により導入された気体が外部に排出され、現像剤が自重により前記収容部に落下することができる位置に設けられていることを特徴とする現像装置。
【請求項2】
前記分離部には、前記収容部の現像剤の剤面上部との間に連結された管路が接続され、該管路は、導入された気体の圧力を導入開始時よりも低い圧力に変化させる、少なくとも長さ及びまたは断面積に設定されていることを特徴とする請求項1記載の現像装置。
【請求項3】
前記分離部と前記収容部との接続されている管路は、トナーの安息角以上の角度を持たせて設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の現像装置。
【請求項4】
前記分離部は、断面形状が下向き漏斗状とされ、断面積が前記管路よりも大きくされていることを特徴とする請求項1乃至3のうちの一つに記載の現像装置。
【請求項5】
前記分離部は、外周囲に形成された外部との連通部に通気可能なフィルタが設けられ、該フィルタは、気体の排出圧力を前記気流搬送機構により生起される圧力以下に設定できる面積及びまたは個数を設定されて設けられていることを特徴とする請求項1乃至4のうちの一つに記載の現像装置。
【請求項6】
前記循環部は、前記気流搬送機構により前記収容部からの現像剤が供給される現像剤供給部と、前記現像部から回収される現像剤を前記収容部に搬送する現像剤回収部とを備え、
前記現像剤供給部には、前記収容部との間に接続された連通路が設けられていることを特徴とする請求項1記載の現像装置。
【請求項7】
前記現像剤供給部は、常時、内部空間に現像剤がほぼ満たされた状態に維持されることを特徴とする請求項6記載の現像装置。
【請求項8】
前記分離部と前記収容部との間を接続する管路は、前記現像剤回収部から前記収容部を接続する搬送路よりも大きい断面積を有することを特徴とする請求項2乃至6のうちに一つに記載の現像装置。
【請求項9】
請求項1乃至8のうちの一つに記載の現像装置を用いることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−189811(P2012−189811A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−53352(P2011−53352)
【出願日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】