説明

現像装置及び画像形成装置

【課題】現像ローラの表面に担持された現像剤を用いて、感光体上の静電潜像を顕像化させ、顕像化させた像を画像形成媒体上に形成する際に、画像欠陥の発生を抑制する現像装置及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置が備える現像装置は、現像剤を表面に担持して回転する現像ローラ3に対し、圧接面にて圧接することで現像剤の膜厚を規制する膜厚を規制する規制部材を備える。規制部材は、ドクターブレード9及びウレタンゴム10を有し、圧接面のうちで、現像ローラ3に接する圧接部Pa以外の非圧接部Pbは、平滑な表面を有する圧接部Paより凹凸が大きい凹凸部分として溝が刻設されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、現像ローラ表面に担持させた現像剤にて、感光体上の静電潜像を顕像化する現像装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
表面にトナー(現像剤)を担持した現像ローラを回転軸を中心に回転させ、現像ローラと対向配置される感光体上に、トナーを移行させることにより、感光体上の静電潜像を顕像化させる現像装置が、複写機、デジタル複合機等の画像形成装置として用いられている。現像装置では、現像ローラに圧接して、トナーの層厚を規制する規制部材を設けることにより、層厚を均一化させて感光体上に移行させることができる。また、所謂、非磁性一成分現像方式では、規制部材の摩擦帯電により、トナーを帯電させることができる。
【0003】
このような現像装置では、規制部材と現像ローラとが圧接する部位で加圧接触しているため、加圧力が弱いとトナー層のすり抜けが生じ、その結果、現像ローラ上に濃淡のスジが発生し、形成される出力画像に悪影響を及ぼすという問題がある。
【0004】
また、非磁性一成分現像方式では、規制部材での摩擦量が十分でない場合、感光体に移行するのに十分なトナー帯電量が得られず、その結果、出力画像上で、画像濃度の低下、画像部分の白スジ等の画像欠陥が生じるという問題がある。
【0005】
このような問題に対処するため、現像ローラと規制部材との圧接部に斜め格子状の溝を形成した現像装置が、例えば特許文献1に開示されている。特許文献1に記載の現像装置では、規制部材にトナーが押圧されることにより、トナーの簿層を形成するとともに、規制部材に形成された溝に沿って、例えばジグザグに移動する。ジグザグに移動することにより、圧接された状態で移動する距離が長くなるため、トナーの帯電量を増やすことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平3−274071号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に開示された現像装置では、規制部材と現像ローラとの圧接部に形成された溝のため、画像欠陥が発生するという問題がある。具体的には、圧接部の溝による凹凸により、部分的に微少な押圧ムラが発生する。溝の凸部で現像ローラを強く押されたところは、トナー層が薄く形成され、溝の凹部で現像ローラを弱く押されたところはトナー層が厚く形成される。その結果、現像ローラ上に濃淡の細かなスジが発生し、画像欠陥となるのである。
【0008】
本願は、斯かる事情に鑑みてなされたものであり、規制部材の圧接面のうちで、現像ローラに接する圧接部以外の非圧接部に、凹凸部分を設けることにより、画像欠陥の発生を抑制する現像装置及び画像形成装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る現像装置は、現像剤を表面に担持して回転する現像ローラに対し、圧接面にて圧接することで前記現像剤の膜厚を規制する規制部材を備え、該規制部材で膜厚を規制された前記現像剤にて、感光体上の静電潜像を顕象化する現像装置において、前記規制部材の圧接面のうちで、前記現像ローラに接する圧接部以外の非圧接部は、圧接部より凹凸が大きい凹凸部分を有することを特徴とする。
【0010】
本発明に係る現像装置は、前記圧接部は、平滑な表面を有し、前記非圧接部の凹凸部分は、表面に溝が刻設されていることを特徴とする。
【0011】
本発明に係る現像装置は、現像ローラの回転方向に対して圧接部より上流側の非圧接部に、前記凹凸部分を有することを特徴とする。
【0012】
本発明に係る現像装置は、現像ローラの回転方向に対して圧接部より下流側の非圧接部に、前記凹凸部分を有することを特徴とする。
【0013】
本発明に係る現像装置は、前記現像ローラは、軸方向に振動することを特徴とする。
【0014】
本発明に係る現像装置は、前記規制部材は、前記現像ローラの軸方向に振動することを特徴とする。
【0015】
本発明に係る画像形成装置は、現像剤を表面に担持して回転する現像ローラに対し、圧接面にて圧接することで前記現像剤の膜厚を規制する規制部材を有し、該規制部材で膜厚を規制された前記現像剤にて、感光体上の静電潜像を顕象化する現像機構と、該現像機構にて顕像化させた像を画像形成媒体上に形成する画像形成機構とを備え、前記規制部材の圧接面のうちで、前記現像ローラに接する圧接部以外の非圧接部は、圧接部より凹凸が大きい凹凸部分を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る現像装置及び画像形成装置は、規制部材の圧接面のうちで、現像ローラに接する圧接部以外の非圧接部は、圧接部より凹凸が大きい凹凸部分を有する。これにより、非圧接部の凹凸部分により凝集した現像剤を磨り潰す効果があるので、均一な現像剤層を形成し、画像欠陥の発生を抑制することが可能である等、優れた効果を奏する。
【0017】
また、本発明では、圧接部を平滑にし、表面に溝が刻設された凹凸部分を設けることにより、凹凸部分で凝集した現像剤を磨り潰すだけでなく、圧接部で現像剤層を簿層化できるので、均一な現像剤層を形成し、画像欠陥の発生を抑制することが可能である等、優れた効果を奏する。
【0018】
さらに、本発明では、圧接部の上流側の非圧接部に凹凸部分を設けることにより、圧接部上流側で生じた現像剤の凝集を磨り潰することができるので、均一な現像剤層を形成し、画像欠陥の発生を抑制することが可能である等、優れた効果を奏する。
【0019】
さらに、本発明では、圧接部の下流側の非圧接部に凹凸部分を設けることにより、圧接部で十分に規制されずにすり抜けた現像剤を、凹凸部分で磨り潰すことができるので、現像ローラ上のスジを低減し、画像欠陥の発生を抑制することが可能である等、優れた効果を奏する。
【0020】
さらに、本発明では、現像ローラ及び/又は規制部材が軸方向に振動することにより、現像剤の凝集に対する磨り潰し性能を高め、画像欠陥の発生を抑制することが可能である等、優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の画像形成装置の構成例を示すブロック図である。
【図2】本発明の現像装置の構成例を示す概略断面図である。
【図3】本発明の実施例1に係る現像装置が備える規制部材を示す説明図である。
【図4】本発明の実施例1に係る現像装置が備える規制部材を示す説明図である。
【図5】本発明の実施例2に係る現像装置が備える規制部材を示す説明図である。
【図6】本発明の実施例3に係る現像装置が備える規制部材を示す説明図である。
【図7】本発明の実施例4に係る現像装置が備える規制部材及び現像ローラを示す説明図である。
【図8】本発明の実施例5に係る現像装置が備える規制部材及び現像ローラを示す説明図である。
【図9】比較例となる規制部材を示す説明図である。
【図10】比較例となる規制部材及び現像ローラを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
【0023】
図1は、本発明の画像形成装置の構成例を示すブロック図である。図1において、100は、複写機、レーザープリンタ、デジタル複合機等の電子写真方式を採用した画像形成装置である。画像形成装置100は、画像生成機構101、現像機構102、画像形成機構103、格納機構104、搬送機構105、操作機構106等の各種機構を備えている。
【0024】
画像生成機構101は、画像の読み取り、画像データの受信等の処理により、デジタル画像データを取得し、取得した画像データに基づいて形成すべき画像データを生成する機構である。
【0025】
現像機構102は、画像生成機構101が生成した画像データに基づく像を、現像剤を用いて顕像化する機構である。現像機構102の詳細な構成については後述する。
【0026】
画像形成機構103は、現像機構102が顕像化させた現像剤による像を、画像形成媒体上に画像として形成する機構である。
【0027】
格納機構104は、画像形成機構103により画像を形成させる画像形成媒体を格納する機構である。
【0028】
搬送機構105は、格納機構104に格納されている画像形成媒体を、画像形成機構103へ搬送し、更に画像形成機構103にて画像が形成された画像形成媒体を排出する機構である。
【0029】
操作機構106は、ユーザの操作を受け付け、必要な情報を表示するマンマシンインターフェースとなる機構である。
【0030】
次に現像機構102の構成について図面を参照して説明する。以降では、現像機構102として用いられる本発明の現像装置について説明する。以降の説明においては、本発明の現像装置を、現像剤としてトナーのみからなる一成分現像剤を用いる非磁性一成分現像方式に適用した例を説明するが、現像方式はこれに限るものではない。例えば、トナー及びキャリアを有する二成分系の現像剤を用いる現像方式であっても良い。図2は、本発明の現像装置の構成例を示す概略断面図である。図2において、1は、本発明の現像装置である。
【0031】
現像装置1は、トナー2を担持する現像ローラ3と、トナー2を収容する現像槽4と、現像槽4内でトナー2を撹拌搬送する第1撹拌搬送部材5、第2撹拌搬送部材6及び第3撹拌搬送部材7と、供給ローラ8と、規制部材として用いられるドクターブレード9及びウレタンゴム10とを備えている。
【0032】
現像槽4は、略直方体形状をなする容器部材であり、硬質の合成樹脂等の材料で形成されている。現像槽4内に収容されるトナー2としては、例えば、前述の様に一成分現像剤が用いられる。本願実施例では、ポリエステル樹脂を主成分とし、粉砕法で作成され、体積平均粒子径が9μmのトナー2を用いている。
【0033】
第1撹拌搬送部材5及び第2撹拌搬送部材6は、円柱状をなし、中心軸に位置する回転軸部にて、現像槽4内に回転自在に軸支されており、回転軸部から半径方向へ突出する不図示の羽根片が複数設けられている。羽根片は、例えば、PET(Polyethylene Terephthalate)等の樹脂を用いて薄板状に形成されている。そして、第1撹拌搬送部材5及び第2撹拌搬送部材6は、図中矢印にて示すように図に向かって左回りに回転することにより、現像槽4内のトナー2を撹拌するとともに、回転方向へトナー2を搬送するように機能する。
【0034】
第3撹拌搬送部材7は、現像槽4内で回転自在に軸支されるスクリュー形状の回転部材であり、硬質の合成樹脂を用いて形成されている。そして、第3撹拌搬送部材7は、図中矢印にて示すように図に向かって左回りに回転することにより、現像槽4内のトナー2を撹拌するとともに、回転方向へトナー2を搬送するように機能する。
【0035】
現像槽4内には、供給ローラ8に近い方から、第1撹拌搬送部材5、第2撹拌搬送部材6、そして、第3撹拌搬送部材7の順で配設されている。このように配設された各撹拌搬送部材が回転することにより、第3撹拌搬送部材7、第2撹拌搬送部材6、そして、第1撹拌搬送部材5の順でトナー2を供給ローラ8側へ搬送する。
【0036】
現像槽4内には、第1撹拌搬送部材5と供給ローラ8との間は、例えば合成樹脂を用いて形成された平板状をなす中間壁部材11により区切られている。中間壁部材11は、現像槽4の長手方向、即ち、現像ローラ3の軸線方向に延びて、現像槽4の底部から立ち上がるように配設されている。そして、中間壁部材11の中央部には、開口部12が開設されている。このような中間壁部材11によって、現像槽4内には、第1撹拌搬送部材5から供給ローラ8へ向かうトナー2の流れが形成される。
【0037】
供給ローラ8は、円柱状をなし、中心軸に位置する回転軸部にて、現像槽4内に回転自在に軸支されており、図中矢印にて示すように図に向かって左回りに回転する。また、供給ローラ8は、発泡ウレタン等の多孔性弾性部材にて形成されている。本願実施例では、底面の直径が16mmで、アスカーFP型硬度で60度のウレタンスポンジを用いている。
【0038】
現像ローラ3は、円柱状をなし、中心軸に位置する回転軸部にて、現像槽4内の不図示のフレーム部に回転自在に軸支されており、図中矢印にて示すように図に向かって左回りに回転する。また、現像ローラ3は、アルミニウム等の材料を用いて形成されており、本願実施例では、直径16mm、肉厚が1mmで、表面の算術平均粗さRaが、0.3〜0.8μmとなるようにサンドブラスト処理されたものを用いている。また、現像ローラ3と供給ローラ8との接触部は、両ローラから押圧されて0.5mm程度の食い込みとなっており、当該接触部の長手方向、即ち供給ローラ8の軸線方向の幅は330mm程度になるように調整されている。
【0039】
なお、現像槽4外には、円柱状をなす感光体13が、現像ローラ3と対向する位置に配設されている。感光体13は、中心軸に位置する回転軸部にて軸支されており、図中矢印にて示すように図に向かって右回りに回転する。本願実施例では、感光体13の底面の直径は30mmであり、現像ローラ3との間隙は、不図示の間隙保持部材により、200±20μmになるように設定されている。
【0040】
現像ローラ3の上方には、一定量のトナー2の層を形成すべく、薄板状をなし、弾性を有する金属性のドクターブレード9が配設されている。ドクターブレード9の一端には、ドクターブレード9と一体化した簿板状をなすウレタンゴム10が固着している。ドクターブレード9の他端は、固定用の板金14及び15により狭持され、ビス16により現像槽4の本体に固定されている。
【0041】
現像槽4の固定されたドクターブレード9は、ウレタンゴム10の現像ローラ3に対向する面で接触する。ウレタンゴム10において、現像ローラ3と対向する面は、トナー2を表面に担持した現像ローラ3に圧接する圧接面となる。即ち、トナー2を表面に担持して回転する現像ローラ3に対し、ドクターブレード9及びウレタンゴム10は、圧接面にて圧接することでトナー2の膜厚を規制する規制部材として機能する。そして、圧接面のうちで、現像ローラ3に接する圧接部P以外の非圧接部は、圧接部より凹凸が大きい凹凸部分を有している。
【0042】
ウレタンゴム10の硬度は、JIS−A硬度で55〜85°に設定されるのが好ましく、本願実施例では、65〜75°に設定される。また、ウレタンゴム10は、厚み1mm、長さ8mm及び幅333mmの簿板状に形成されたものを用いており、導電性カーボンブラック、イオン導電剤等の薬剤が添加されて、抵抗値が102〜106Ωcmに調整されている。ウレタンゴム10と一体として用いられるドクターブレード9は、簿板状に形成された場合に弾性を有し、ウレタンゴム10を金型成型加工する際の加熱に耐えうる材質の金属が用いられる。例えば、リン青銅板、ステンレス板、ベリリウム銅板等の材料を挙げることができる。本願実施例では、厚みが0.12mm、長さ25mmのリン青銅板を用いて形成されたドクターブレード9を用いている。また、現像ローラ3とウレタンゴム10との間は、0.5mmに調整された空隙となっている。
【0043】
このように構成された現像装置1では、第1撹拌部材5、第2撹拌部材6及び第3撹拌部材7、並びに供給ローラ8及び現像ローラ3が夫々前述の方向へ回転し、感光体13上に形成される静電潜像にトナー2を付着させて顕像化させる。本願実施例では、第1撹拌部材5、第2撹拌部材6及び第3撹拌部材7が、夫々157rpm、157rpm及び38rpmで左回転することによりトナー2を供給ローラ8まで搬送する。供給ローラ8は、116mm/secで左回転することにより、表面の空孔にトナー2を吸着しつつ、現像ローラ3を摺擦することで、トナー2を現像ローラ3に供給して現像ローラ3の表面に担持させる。かつ、供給ローラ8は、現像後に現像ローラ3に残存した余分なトナー2をクリーニングする。
【0044】
トナー2を表面に担持した現像ローラ3は、周速度145mm/secで軸線周りに左回転する。トナー2を表面に担持して左回転する現像ローラ3に対し、ドクターブレード9及びウレタンゴム10は、圧接面にて圧接することでトナー2の膜厚を規制する。前述のように、ドクターブレード9として用いられる金属製の簿板は弾性を有しており、この弾性により、ウレタンゴム10の圧接面を一定の押圧力で現像ローラ3に圧接させる。現像ローラ3と圧接する圧接点Pに対する一定の押圧力は、例えば、45gf/cmに調整される。このようにドクターブレード9及びウレタンゴム10の圧接により、現像ローラ3上の膜厚が規制されて均一化すると共に、現像ローラ3を摺擦することでトナー2の層に電荷が帯電する。
【0045】
そして、現像ローラ3と感光体13との電位差に応じて、現像ローラ3から感光体13へトナー2が移行し、感光体13上に形成されている静電潜像を顕像化することにより、トナー像が形成される。
【0046】
次に、本発明の現像装置1が備えるドクターブレード9及びウレタンゴム10を用いた規制部材、並びに現像ローラ3の態様について、具体的な実施例を示して更に詳述する。
【0047】
(実施例1)
図3及び図4は、本発明の実施例1に係る現像装置1が備える規制部材を示す説明図である。図3Aは、本発明の実施例1に係る現像装置1において、現像ローラ3に圧接する規制部材の断面の概略を示している。また、図3Bは、規制部材が有するウレタンゴム10の下面の概略を示している。なお、図3Bは、規制部材が有するウレタンゴム10の下面の外観を模式的に示したものであり、図中、上側が上流側であり、下側が下流側である。さらに、図4は、図3Aにおいて、現像ローラ3と規制部材とが接する部位を中心に拡大した図であり、凝集するトナー2をも示している。
【0048】
図3A及び図3B並びに図4に示すように、規制部材が有するウレタンゴム10の下面は、トナー2を表面に担持して回転する現像ローラ3に対して圧接する圧接面となっており、圧接面のうちで、圧接部Paにより、現像ローラ3に接している。そして、規制部材の圧接面のうちで、現像ローラ3に接する圧接部Pa以外の非圧接部は、圧接部Paより凹凸が大きい凹凸部分を有している。実施例1では、圧接部Paは、平滑な表面を有し、非圧接部のうちで、現像ローラ3の回転方向に対して圧接部Paより上流側の非圧接部Pbには、凹凸部分として表面に溝が刻設されている例を示している。
【0049】
上流側の非圧接部Pbに刻設される溝は、回転する現像ローラ3上のトナー2の凝集を遮り、トナー2を磨り潰す効果が高くなるように、例えば、すり鉢の溝、石臼の溝等の形状の溝とすることが望ましい。また、現像ローラ3の回転方向と直角をなす方向に溝を刻設するようにしてもよい。
【0050】
また、溝の断面形状としては、半円形状の溝を刻設し、トナー2が転がり易くなるようにしてもよく、また、三角形状、台形状等の形状の溝を刻設し、トナー2との摩擦を大きくするようにしてもよい。即ち、溝の形状は、トナー2の粒径、形状、材質等の特性に応じて適宜設計することが望ましい。
【0051】
このように、実施例1では、規制部材の圧接面のうちで、現像ローラ3に接する圧接部Pa以外の非圧接部のうちで、圧接部Paの上流側に、平滑な圧接部Paより凹凸が大きくなるように溝を刻設した凹凸部分を設ける。これにより、圧接部Paの上流側で生じたトナー2の凝集を磨り潰すことができるので、均一なトナー層を形成し、画像欠陥の発生を抑制することが可能である。そして、凹凸部分で凝集したトナー2を磨り潰すだけでなく、圧接部Paでトナー層を薄膜化できるので、均一なトナー層を形成し、画像欠陥の発生を抑制することが可能である。
【0052】
(実施例2)
実施例2は、規制部材において、圧接部Paに対し、上流側ではなく、下流側に溝を刻設する例である。図5は、本発明の実施例2に係る現像装置1が備える規制部材を示す説明図である。図5Aは、本発明の実施例2に係る現像装置1において、現像ローラ3に圧接する規制部材の断面の概略を示している。また、図5Bは、規制部材が有するウレタンゴム10の下面の概略を示している。なお、図5Bは、規制部材が有するウレタンゴム10の下面の外観を模式的に示したものであり、図中、上側が上流側であり、下側が下流側である。
【0053】
図5A及び図5Bに示すように、規制部材の圧接面のうちで、現像ローラ3に接する圧接部Pa以外の非圧接部は、圧接部Paより凹凸が大きい凹凸部分を有している。実施例2では、圧接部Paは、平滑な表面を有し、非圧接部のうちで、現像ローラ3の回転方向に対して圧接部Paより下流側の非圧接部Pcには、凹凸部分として表面に溝が刻設されている例を示している。
【0054】
実施例2では、規制部材による押圧が弱く、圧接部Paでは、十分にトナー層規制が行われず、トナー2の凝集が発生したとしても、下流側の非圧接部Pcに刻設された溝により、凝集したトナーが磨り潰され、凝集が解消する。
【0055】
このように、実施例2では、規制部材の圧接面のうちで、現像ローラ3に接する圧接部Pa以外の非圧接部のうちで、圧接部Paの下流側に、平滑な圧接部Paより凹凸が大きくなるように溝を刻設した凹凸部分を設ける。これにより、圧接部Paで十分に規制されずにすり抜けたトナー2を、凹凸部分で磨り潰すことができるので、現像ローラ3上のスジを低減し、画像欠陥の発生を抑制することが可能である。
【0056】
(実施例3)
実施例3は、規制部材において、圧接部Paに対し、上流側及び下流側の双方に溝を刻設する例である。図6は、本発明の実施例3に係る現像装置1が備える規制部材を示す説明図である。図6Aは、本発明の実施例3に係る現像装置1において、現像ローラ3に圧接する規制部材の断面の概略を示している。また、図6Bは、規制部材が有するウレタンゴム10の下面の概略を示している。なお、図6Bは、規制部材が有するウレタンゴム10の下面の外観を模式的に示したものであり、図中、上側が上流側であり、下側が下流側である。
【0057】
図6Aに示すように、規制部材の圧接面のうちで、現像ローラ3に接する圧接部Pa以外の非圧接部は、圧接部Paより凹凸が大きい凹凸部分を有している。実施例3では、圧接部Paは、平滑な表面を有し、非圧接部のうちで、現像ローラ3の回転方向に対して圧接部Paより上流側の非圧接部Pb及び下流側の非圧接部Pcには、凹凸部分として表面に溝が刻設されている例を示している。
【0058】
このように、実施例3では、規制部材の圧接面のうちで、現像ローラ3に接する圧接部Pa以外の非圧接部のうちで、圧接部Paの上流側及び下流側に、平滑な圧接部Paより凹凸が大きくなるように溝を刻設した凹凸部分を設ける。これにより、圧接部Paの上流側及び下流側の双方で凝集したトナー2を磨り潰し、平滑な圧接部Paで層規制を行うので、均一な層規制を行い、画像欠陥の発生を抑制することが可能である。
【0059】
(実施例4)
実施例4は、現像ローラ3を軸方向に振動させる例である。図7は、本発明の実施例4に係る現像装置1が備える規制部材及び現像ローラ3を示す説明図である。図7は、現像ローラ3、及び現像ローラ3に圧接する規制部材の外観の概略を斜視図として示している。
【0060】
実施例4では、実施例3に示した上流側及び下流側の非圧接部に溝が刻設されたウレタンゴム10を有する規制部材を用い、現像ローラ3の回転時に、図示しない振動用モータ、カム機構等の機構にて現像ローラ3を軸方向に振動させている。現像ローラ3が回転中に軸方向に振動することにより、非圧接部に刻設された溝による磨り潰し性能が高まり、トナー2の凝集を磨り潰して、より均一なトナー層を形成し、低い押圧でも画像欠陥の発生を抑制することが可能である。
【0061】
(実施例5)
実施例5は、ドクターブレード9及びウレタンゴム10を有する規制部材を、現像ローラ3の軸方向に振動させる例である。図8は、本発明の実施例5に係る現像装置1が備える規制部材及び現像ローラ3を示す説明図である。図8は、現像ローラ3及び現像ローラ3に圧接する規制部材の外観の概略を斜視図として示している。
【0062】
実施例5では、実施例3に示した上流側及び下流側の非圧接部に溝が刻設されたウレタンゴム10を有する規制部材を用い、現像ローラ3の回転時に、図示しない振動用モータ、カム機構等の機構にて規制部材を現像ローラ3の軸方向に振動させている。規制部材が軸方向に振動することにより、非圧接部に刻設された溝による磨り潰し性能が高まり、トナー2の凝集を磨り潰して、より均一なトナー層を形成し、低い押圧でも画像欠陥の発生を抑制することが可能である。
【0063】
(比較例)
最後に、本発明との比較例として圧接面の全面に溝を刻設した例について説明する。なお、比較例において、本願発明に対応する部位については、便宜上、上述した本願発明と同様の符号を付している。図9は、比較例となる規制部材を示す説明図である。図9Aは、現像ローラ3に圧接する規制部材の断面の概略を示している。また、図9Bは、規制部材が有するウレタンゴム10の下面の概略を示している。なお、図9Bは、規制部材が有するウレタンゴム10の下面の外観を模式的に示したものであり、図中、上側が上流側であり、下側が下流側である。さらに、図10は、比較例となる規制部材及び現像ローラ3を示す説明図である。図10は、現像ローラ3及び現像ローラ3に圧接する規制部材の外観の概略を斜視図として示している。
【0064】
比較例では、規制部材の圧接面に対し、現像ローラ3に接する圧接部Pd及び非圧接部Peを含む全面に溝が刻設されている。一般的に現像装置1では、ドクターブレード9の押圧の強さに応じて、現像ローラ3上のトナー2の量は変化する。ドクターブレード9を強く圧接すると、トナー規制が強くなるため、少量のトナー2で現像ローラ3上に薄いトナー層が形成される。また、ドクターブレード9を弱く押圧すると、トナー規制が弱くなるため、多量のトナー2で現像ローラ3上に厚いトナー層が形成される。このため、圧接部Pdにまで溝を刻設すると、圧接部Pdの溝による凹凸により、部分的にごく微小な押圧ムラが発生するため、圧接部Pdの凸部で強く押されたところは、トナー層が薄く形成され、圧接部Pdの凹部で弱く押されたところはトナー層が厚く形成される。その結果、図10にDとして示した様に現像ローラ上に細かなスジ状の濃淡が発生し、画像欠陥が生じる。つまり、圧接部Pdに溝があるとスジが発生しやすくなってしまう。本願発明では、圧接部を平滑な表面として形成することにより、このようなスジの発生を抑制することが可能である。
【0065】
前記実施の形態は、本願の無数に存在する形態の一部を例示したに過ぎず、各種部材の構成、材料の選択、その他の条件の設定は、目的、用途等に応じて適宜設定することも可能である。例えば、凹凸部分として溝を刻設するのではなく、突起物を突設するようにしても良い等、様々な形態に展開することが可能である。
【符号の説明】
【0066】
100 画像形成装置
101 画像生成機構
102 現像機構
103 画像形成機構
104 格納機構
105 搬送機構
106 操作機構
1 現像装置
2 トナー
3 現像ローラ
4 現像槽
5 第1撹拌搬送部材
6 第2撹拌搬送部材
7 第3撹拌搬送部材
8 供給ローラ
9 ドクターブレード
10 ウレタンゴム
11 中間壁部材
12 開口部
13 感光体
14 板金
15 板金
16 ビス
Pa 圧接部
Pb 非圧接部(上流側)
Pc 非圧接部(下流側)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像剤を表面に担持して回転する現像ローラに対し、圧接面にて圧接することで前記現像剤の膜厚を規制する規制部材を備え、該規制部材で膜厚を規制された前記現像剤にて、感光体上の静電潜像を顕象化する現像装置において、
前記規制部材の圧接面のうちで、前記現像ローラに接する圧接部以外の非圧接部は、圧接部より凹凸が大きい凹凸部分を有することを特徴とする現像装置。
【請求項2】
前記圧接部は、平滑な表面を有し、
前記非圧接部の凹凸部分は、表面に溝が刻設されている
ことを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
【請求項3】
現像ローラの回転方向に対して圧接部より上流側の非圧接部に、前記凹凸部分を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の現像装置。
【請求項4】
現像ローラの回転方向に対して圧接部より下流側の非圧接部に、前記凹凸部分を有することを特徴とする請求項1から3までのいずれか一つに記載の現像装置。
【請求項5】
前記現像ローラは、軸方向に振動することを特徴とする請求項1から4までのいずれか一つに記載の現像装置。
【請求項6】
前記規制部材は、前記現像ローラの軸方向に振動することを特徴とする請求項1から5までのいずれか一つに記載の現像装置。
【請求項7】
現像剤を表面に担持して回転する現像ローラに対し、圧接面にて圧接することで前記現像剤の膜厚を規制する規制部材を有し、該規制部材で膜厚を規制された前記現像剤にて、感光体上の静電潜像を顕象化する現像機構と、
該現像機構にて顕像化させた像を画像形成媒体上に形成する画像形成機構と
を備え、
前記規制部材の圧接面のうちで、前記現像ローラに接する圧接部以外の非圧接部は、圧接部より凹凸が大きい凹凸部分を有することを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−145835(P2012−145835A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−5224(P2011−5224)
【出願日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】