説明

現像装置

【課題】 現像剤の劣化が進んで流動性が低下すると、流動性の低下に起因する現像剤の剤面の片寄りが起こるのを抑制し、ひいては画像不良が起こるのを抑制することを目的とする。
【解決手段】 現像装置において、前記現像室の内壁の現像剤との摩擦係数は、現像剤搬送方向の中間位置を基準として、現像剤搬送方向の下流側の平均値よりも上流側の平均値で小さいことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式、静電記録方式等によって像担持体上に形成された静電潜像を現像する現像装置であり、特に、トナーとキャリアを含む二成分現像方式の現像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式を用いた複写機などの画像形成装置では、感光体ドラムなどの像担持体上に形成された静電潜像にトナーを付着させて可視像化する。このような従来の現像装置では、トナーとキャリアを含む二成分現像剤(以下、現像剤)を用いるものが知られており、現像剤を撹拌しながら搬送する第1の搬送スクリューと第2の搬送スクリューとを二本配置している。現像室に設けられた第1の搬送スクリューは現像剤担持体である現像スリーブに現像剤を供給するために用いられる。また、撹拌室に設けられた第2の搬送スクリューは、現像スリーブから回収された現像剤と新しく補給された現像剤とを混合撹拌するために用いられる。このような第1、第2の搬送スクリューを対にして、互いに反対方向に搬送することにより、現像室と撹拌室との間で現像剤を循環している。
【0003】
ところで、このような現像装置では現像容器内の現像剤の分布に片寄りが存在する。ここでは、所謂縦攪拌型と呼ばれ、現像スリーブに現像剤を供給する現像室と現像スリーブから現像剤を回収し攪拌する攪拌室とに現像容器が隔てられる現像装置を例にして説明する。また、現像室と撹拌室とは垂直方向に配置されており、現像室から撹拌室へ搬送される現像剤の一部は現像室と攪拌室を連通する連通部を通って上から下へ、または、下から上へと移動する。
【0004】
この時の剤循環は、撹拌室から現像室へ受け渡された現像剤のすべてが現像室において第1の搬送スクリューの下流端に到達するわけではなく、途中で現像スリーブに供給され、現像域を通過後、撹拌室に回収される現像剤が存在する。この現像スリーブへの現像剤の受け渡しは、現像スリーブの長手方向ほぼ全域に渡ってなされる。このため、現像室内において第1の搬送スクリューにより搬送される現像剤の量は、上流端から下流端に行くに従い徐々に減少する傾向がある。一方、撹拌室において第2の搬送スクリューにより搬送される現像剤の量は、上流端から下流端にいくに従い徐々に増加する傾向がある。即ち、現像装置内の現像剤の分布には片寄りが存在する。
【0005】
このように現像容器内の現像剤が片寄ることによって、現像スリーブへと現像剤を供給する現像室の搬送方向下流側(以下、下流側)で現像剤が不足して、画像部の一部が現像されずに抜けてしまう白抜けや、現像剤の供給不足による濃度ムラといった画像不良が起こる恐れがあった。そこで、搬送スクリューの搬送能力を搬送方向上流側(以下、上流側)と下流側とで変えて、つまりは上流側の搬送能力を下流側の搬送能力に比べて高くすることにより現像剤の片寄りを抑制する構成が開示されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−84874号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、低印字率の画像を連続して出力することで、現像剤の劣化、特にトナーの劣化が進んだときには、トナーから外添剤が剥れてしまうこと等により現像剤の流動性が低下し、現像容器内で現像剤が搬送される速度が現像剤の劣化前に比べて遅くなってしまう。一方で、現像室にて上流端から下流端に行くに従い単位時間当たりに減少する現像剤量、つまりは現像スリーブが搬送する現像剤量は、劣化前も劣化後もほぼ変わらずに一定である。
【0008】
故に、従来、現像剤が劣化していない初期状態の現像剤において現像容器内の現像剤の片寄りを抑制することが出来ても、劣化が進んで現像剤の流動性が低下したときには、現像剤の片寄りを十分に抑制することが出来なくなってしまっていた。つまり、現像剤の劣化が進んで流動性が低下すると、流動性の低下に起因する現像剤の剤面の片寄りが起こってしまう。
【0009】
そのため、この現像剤の流動性の低下に起因する現像剤の剤面の片寄りにより、現像剤担持体に現像剤を供給する現像室の現像剤搬送方向下流側において、現像剤が不足して画像部の一部が白く抜けてしまう白抜けや濃度ムラといった画像不良が起こる恐れがあった。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明の現像装置は以下の構成を有する。即ち、トナーとキャリアを含む現像剤を担持して静電潜像を現像する現像剤担持体と、前記現像剤担持体に現像剤を供給する現像室と前記現像剤担持体から現像剤を回収し撹拌する撹拌室とに隔てられ、現像剤を収容する現像容器と、前記現像室と前記撹拌室とにそれぞれ設けられ、現像剤を搬送して前記現像室と前記撹拌室とで現像剤を循環させ搬送する現像剤搬送手段と、を有する現像装置において、前記現像室の内壁の現像剤との摩擦係数は、現像剤搬送方向の中間位置を基準として、現像剤搬送方向の下流側の平均値よりも上流側の平均値で小さいことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
現像容器内における現像剤の剤面の片寄りを、劣化していない初期状態の現像剤において抑制することが出来る上に、現像剤の劣化が進み流動性が低下したときでも流動性の低下に起因する現像剤の剤面の片寄りを抑制することが出来る。
【0012】
これにより、現像剤が初期状態であっても劣化が進んだときであっても、即ち、現像剤の流動性に関わらず白抜けや濃度ムラといった画像不良を抑制することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施例1の画像形成装置の概略構成を示した図である。
【図2】実施例1に係る現像装置の長手方向に垂直な断面図である。
【図3】実施例1に係る現像装置の長手方向の断面図である。
【図4】現像容器内の現像剤が搬送される際の内壁から受ける摩擦力を示した図である。
【図5】(a)初期の現像剤が受ける現像容器の壁面の摩擦力を説明する図である。(b)劣化後の現像剤が受ける現像容器の壁面の摩擦力を説明する図である。
【図6】実施例1に係る現像装置の内壁の摩擦係数を説明する図である。
【図7】実施例1の現像装置と従来の現像装置を比較した実験結果を示した図である。
【図8】実施例1に係る現像装置の摩擦係数μについて示す図である。
【図9】実施例1に係る現像装置の摩擦係数μを説明する図である。
【図10】摩擦係数μの違いによる実験結果を比較した図である。
【図11】摩擦係数μと壁面摩擦角θfの関係を説明する図である。
【図12】壁面摩擦角θfの測定法を説明する図である。
【図13】安息角φの測定法を説明する図である。
【図14】実施例2の現像装置の実施形態を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(実施例1)
以下、図面に基づいて本発明について詳しく説明する。
【0015】
図1に、本発明が適用できる画像形成装置の一実施形態である、電子写真方式を採用したカラーの画像形成装置100の概略構成図を示す。
【0016】
本実施形態にて、画像形成装置100は、イエロー、マゼンダ、シアン、ブラックの4色のトナー像が形成される4つの画像形成部P(Pa、Pb、Pc、Pd)を備え、各画像形成部Pa〜Pdは、像担持体としての矢印方向(反時計方向)に回転するドラム状の電子写真感光体、即ち、感光体ドラム1(1a、1b、1c、1d)を備え、その周囲には、帯電器2(2a、2b、2c、2d)、感光体ドラム1の図上方に配置した露光手段としてのレーザービームスキャナ3(3a、3b、3c、3d)、現像装置4(4a、4b、4c、4d)、転写ローラ6(6a、6b、6c、6d)、クリーニング装置19(19a、19b、19c、19d)等の画像形成手段を有する。
【0017】
各画像形成部Pa、Pb、Pc、Pdは同様の構成とされ、各画像形成部Pa、Pb、Pc、Pdに配置された感光体ドラム1a、1b、1c、1dについても同じ構成である。従って、例えば感光体ドラム1a、1b、1c、1dについては、「感光体ドラム1」と総称する。同様に、各画像形成部Pa、Pb、Pc、Pdに配置された帯電器2a、2b、2c、2d、レーザービームスキャナ3a、3b、3c、3d、現像装置4a、4b、4c、4d、転写ローラ6a、6b、6c、6d、クリーニング装置19a、19b、19c、19dのような画像形成手段も又、各画像形成部においてそれぞれ同じ構成のものなので、帯電器2a、2b、2c、2d、レーザービームスキャナ3a、3b、3c、3d、現像装置4a、4b、4c、4d、転写ローラ6a、6b、6c、6d、クリーニング装置19a、19b、19c、19dは、それぞれ、帯電器2、レーザービームスキャナ3、現像装置4、転写ローラ6、クリーニング装置19と総称する。
【0018】
次に、上記構成の画像形成装置100全体の画像形成動作について説明する。
【0019】
先ず、感光体ドラム1が、帯電器2によって一様に帯電される。感光体ドラム1は、矢印で示した反時計方向に273mm/secのプロセススピード(周速度)で回転する。
【0020】
上記一様に帯電された感光体ドラム1は、次に、上記のレーザービームスキャナ3により、画像信号により変調されたレーザー光により走査露光が行われる。露光手段であるレーザービームスキャナ3は、半導体レーザーを内蔵しており、この半導体レーザーは、CCD等の光電変換素子を有する原稿読み取り装置が出力する画像情報信号に対応して制御され、レーザー光を射出する。これによって、帯電された感光体ドラム1は露光され、感光体ドラム1上に静電潜像が形成される。この静電潜像が、現像装置4によって現像されることで、可視画像、即ち、トナー像とされる。本実施形態では、現像装置4は、現像剤としてトナーとキャリアを含む二成分現像剤(以下、現像剤)を使用し、また感光体ドラムに磁気ブラシ状に担持された現像剤を接触させて現像を行う二成分接触現像方式を用いているが、二成分非接触現像方式でも本発明の効果は得られる。
【0021】
本実施例では、各画像形成部Pa、Pb、Pc、Pdの下方位置に、中間転写体である中間転写ベルト5が配置される。中間転写ベルト5は、ローラ61、62、63に張架され、矢印方向に移動可能とされる。ここで、上記の画像形成動作を各画像形成部Pa、Pb、Pc、Pd毎に行うことによって、感光体ドラム1a、1b、1c、1d上に、イエロー、マゼンダ、シアン、ブラックの4色のトナー像が形成される。上記感光体ドラム1上に形成されたトナー像は、一次転写手段である転写ローラ6によって中間転写ベルト5に転写される。これによって、中間転写ベルト5上にてイエロー、マゼンダ、シアン、ブラックの4色のトナー像が重ね合わされ、フルカラーのトナー像が形成される。また、感光体ドラム1上から転写材に転写されずに残った転写残トナーはクリーニング装置19にて回収される。
【0022】
この中間転写ベルト5上のフルカラーの画像は、給紙カセット12から取り出され、給紙ローラ13、給紙ガイド11を経由して搬送される紙などの転写材に、二次転写手段である二次転写ローラ10によって転写される。転写されずに中間転写ベルト5表面に残った転写残トナーは中間転写ベルトクリーニング装置18に回収される。その後、フルカラーのトナー像が転写された転写材は、定着器(熱ローラ定着器)16に送られ、転写材上のトナー像が定着されて定着画像となり、排紙トレイ17に排出される。
【0023】
尚、本実施形態では、像担持体として、ドラム状の有機感光体である感光体ドラム1を使用したが、アモルファスシリコン感光体等の無機感光体やベルト状の感光体等を使用しても良い。
【0024】
次に、本実施例における現像装置4の構成について説明する。
図2、図3は本実施例に係る現像装置4の断面を示した図である。現像装置4は、現像容器22を備え、現像容器22内には現像剤としてトナーとキャリアを含む現像剤が収容されている。また、現像容器22内に、現像剤担持体である現像スリーブ28と、現像スリーブ28上に担持された磁気ブラシ状に担持された現像剤の穂を規制する規制ブレード30と、を有している。現像容器22の感光体ドラム1に対向した現像域に相当する位置には開口部があり、この開口部に現像剤担持体である現像スリーブ28が感光体ドラム方向に一部露出するように回転可能に配設されている。なお、この現像スリーブ28はアルミニウムやステンレスのような非磁性材料で構成され、その内部には磁界手段であるマグネットローラ29が非回転状態で設置されている。
【0025】
現像装置4は、紙面に垂直方向に延設された隔壁27によって現像容器22は現像室23と撹拌室24とに鉛直方向上下に隔てられて、現像剤は現像室23及び撹拌室24に収容されている。ここで、現像室23は現像剤を現像スリーブ28へと供給し、一方、撹拌室24は現像スリーブ28から現像域を通過して現像に用いられなかった現像剤を回収し撹拌する、所謂、縦撹拌型の現像装置である。また、現像室23及び撹拌室24には、現像剤搬送手段として第1及び第2の搬送スクリュー25、26がそれぞれ配置されている。第1の搬送スクリュー25は、現像室23の底部に現像スリーブ28の軸方向に沿ってほぼ平行に配置されており、回転して現像室内の現像剤を軸線方向に沿って一方向に搬送する。また、第2の搬送スクリュー26は、撹拌室24内の底部に第1の搬送スクリュー25とほぼ平行に配置され、回転して撹拌室24内の現像剤を第1の搬送スクリュー25とは反対方向に搬送する。このように、第1及び第2の搬送スクリュー25、26により現像剤を搬送し、隔壁27の両端の開口にあたる連通部11、12を通じて、現像室23と撹拌室24とで循環させている。
【0026】
また、現像スリーブ28は、現像時に図示矢印方向(時計方向)に回転し、規制ブレード30による穂切りによって層厚を規制された現像剤を感光体ドラム1と対向する現像域に搬送し、感光体ドラム1上に形成された静電潜像に現像剤を供給して静電潜像を現像する。この時、現像効率、つまり、静電潜像へのトナーの付着率を向上させるために、現像スリーブ28には電源から直流電圧と交流電圧を重畳した現像バイアス電圧が印加される。ただし、これに限定されず直流電圧の現像バイアス電圧を印加する等としても良い。
【0027】
現像スリーブ28は、現像域において感光体ドラム1の回転方向と順方向に回転し、周速比は、対感光体ドラムの1.75倍で回転している。この周速比に関しては、通常0〜3.0倍の間で設定される。移動速度比は、大きくなればなるほど現像効率はアップするが、あまり大きすぎると、トナー飛散、現像剤劣化等の問題点が発生するので、上記の範囲内で設定することが好ましい。
【0028】
また、前記穂切り部材である規制ブレード30は、現像スリーブ28の長手方向軸線に沿って延設された板状のアルミニウムなどで形成された部材30で構成され、現像域よりも現像スリーブ回転方向上流側に配設されている。そして、この規制ブレード30の先端部と現像スリーブ28との間を磁気ブラシ状に担持された現像剤が通過して現像域へと搬送される。
【0029】
ここで、現像室23及び撹拌室24を持つ縦撹拌型の現像装置4について詳しく説明する。現像容器内において、現像室23と撹拌室24とが垂直方向に配置されており、現像室23から撹拌室24への現像剤は連通部12を介して上から下へ、また、撹拌室24から現像室23への現像剤は連通部11を介して下から上へと搬送される。特に、撹拌室24から現像室23へは、端部に溜まった現像剤の圧力により下から上へと押し上げられるようにして現像剤が搬送される。この時、撹拌室24から現像室23へ押し上げられた現像剤のすべてが現像室23において第1の搬送スクリュー25の下流端に到達するわけではなく、途中で現像スリーブ28に供給され、現像域を通過後撹拌室24に回収される現像剤が存在する。つまり、現像スリーブ28を介して現像室23から撹拌室24に現像剤が受け渡される。
【0030】
この現像スリーブ28による現像剤の受け渡しは、現像スリーブ28の長手方向ほぼ全域にわたってなされる。このため、現像室23内において第1の搬送スクリュー25により搬送される現像剤の量は、上流端から下流端に行くに従い徐々に減少する傾向がある。一方、撹拌室24において第2の搬送スクリュー26により搬送される現像剤の量は、上流端から下流端に行くに従い徐々に増加する傾向がある。
【0031】
このようにして、現像室23内の現像剤量に片寄りが生じてしまう。その場合に、あまりに現像剤の片寄りが大きくなると、現像剤搬送方向下流側で現像剤が不足したり、現像スリーブ28への供給にムラができたりして、現像剤搬送方向下流側の現像スリーブ28の現像位置に対応する画像の一部が抜けてしまう白抜けや、現像スリーブ28の長手軸方向での濃度ムラが起こる等の画像不良が起こる恐れがある。
【0032】
そこで、本実施例においては、現像剤の片寄りを抑制するために以下の構成としている。現像容器の内壁の現像剤との摩擦係数を現像剤搬送方向で異ならせることで上記の課題を解決している。即ち、現像室の内壁の現像剤との摩擦係数は現像剤搬送方向の中間位置を基準として下流側よりも上流側で小さい、さらに、撹拌室の内壁の現像剤との摩擦係数は現像剤搬送方向の上流側よりも下流側で小さい構成としている。
【0033】
ここで、現像室の現像剤の片寄りを抑制するには、少なくとも現像室の内壁の現像剤との摩擦係数は現像剤搬送方向の下流側よりも上流側で小さい構成とすれば良い。さらに、撹拌室の内壁の現像剤との摩擦係数は現像剤搬送方向の中間位置を基準として上流側よりも下流側で小さい構成とすることで、攪拌室における現像剤の片寄りを抑制し、攪拌室におけるトナーとキャリアの攪拌機能も高めることができるのでより望ましい。
【0034】
現像容器の内壁の摩擦係数が現像剤量にどのような影響を与えるかについて、以下に詳しく説明する。
【0035】
図4は、現像容器内の現像剤が搬送される現像剤搬送時に内壁から受ける摩擦力のモデルを示している。ここでは、現像剤に搬送スクリューの搬送力により加わる力F1を一様なものと仮定して考える。現像容器の内壁と現像剤との間に、垂直荷重と内壁面との動摩擦係数μ(以下、摩擦係数μ)に比例した力F2が抵抗となって力F1の向きとは逆向きに加わる。つまり、最終的には力F1と力F2の差分であるF3が現像剤に加わる力として働き、現像剤を搬送する。
【0036】
ここで、現像剤と現像容器の壁面との摩擦係数μが大きければ大きいほど力F2が大きくなり、現像剤が搬送される速度は遅くなる。現像剤が搬送される速度が他の領域と比べて相対的に遅い領域では、流入する現像剤に比べて流出する現像剤の方が少なく、単位時間あたりに一定区間に存在する現像剤量は多くなる。そのため、現像剤が搬送される速度が他の領域と比べて相対的に遅い領域では現像剤量が多くなり、逆に現像剤が搬送される速度が他の領域と比べて相対的に速い領域では流入する現像剤に比べて流出する現像剤の方が多いため、現像剤量は少なくなる。このため、現像剤の搬送速度を搬送方向上流側と下流側とで異ならせることで、現像剤の片寄りを抑制することが可能となる。
【0037】
本発明においては、現像容器の搬送方向の領域ごとに内壁の摩擦係数μに差を設けて現像剤が搬送される速度に強弱をつけることで、現像剤の片寄りを低減している。
【0038】
つまり、本発明は、現像容器の領域ごとに内壁の摩擦係数μに差を設けて力F2を領域毎に異ならせて現像剤が搬送される速度に強弱をつけることで、劣化していない初期状態の現像剤において現像剤の片寄りを抑制することが出来る上に、現像剤の劣化が進み流動性が低下したときでも流動性の低下に起因する現像剤の片寄りを抑制することが出来る。その詳細について以下に説明する。
【0039】
まず、現像装置における搬送スクリューの搬送力F1は、回転数を変えない限り初期状態でも劣化後の現像剤でもほとんど変わらない。また、現像室23から現像スリーブを介して撹拌室24へと移動する現像剤量も、現像スリーブの回転数、搬送力が変わらない限りほとんど変わらない。ただ、一般に、劣化後の現像剤ではトナーの外添剤が剥れることにより、初期状態に比べて流動性が低下することが知られている。流動性の低下の一因としては、現像剤同士や現像剤と現像容器との摩擦によるエネルギーの損失が大きくなるためである。そのため現像剤の現像室23と撹拌室24とで搬送される速度は初期状態に比べて劣化後で遅くなり、初期状態よりも劣化後で現像剤の片寄りが大きくなる。
【0040】
ここで、搬送スクリューの搬送力に搬送方向の上流側と下流側とで差を設けるとしても、初期状態の現像剤において現像剤の片寄りを抑制することができる。ただし、そのような構成であっても現像剤が劣化すると、流動性が低下するため現像スリーブを介して攪拌室に搬送される現像剤量の相対的な量は増えてしまう。故に、初期状態のとき以上に、現像室の搬送方向下流側や攪拌室の搬送方向上流側でより現像剤量が多くなるようにする必要がある。
【0041】
図5は、現像剤を伝わっていく摩擦力をあらわした模式図であり(a)現像容器内の内壁付近に位置する初期状態の現像剤(b)現像容器内の内壁付近に位置する劣化後の現像剤をあらわしている。L1は、直接現像容器の内壁と接触している一層目の現像剤を表し、順次L2、L3〜となっている。初期状態の現像剤では、流動性が高く現像剤どうしの摩擦力が小さくて摩擦による損失が少ないため、L1が内壁から受けた摩擦による力は、弱まりながらL2、L3へと伝わっていく。一方、劣化後では現像剤の流動性が低く現像剤どうしの摩擦力が大きいため、L1の現像剤が内壁から受けた摩擦力はあまり弱まることなくL2、L3へと伝わっていくことになる。つまり、現像容器の内壁面と現像剤との摩擦係数μが、現像剤が搬送される速度に与える影響は、初期状態よりも劣化後の方が大きくなることが分かる。
【0042】
劣化後の現像剤では初期に比べて現像剤の流動性が低下して搬送される速度が低下し、現像室23において上流端から搬送されてくる現像剤が下流端へと到達するまでにかかる時間が長くなる。しかし、現像スリーブ28により現像室23から撹拌室24へ単位時間当たりに搬送される現像剤量は初期状態でも劣化後でも変わらない。つまり、劣化後においては、現像室23を搬送スクリューにより搬送される現像剤量に対して、現像スリーブ28により搬送される現像剤量が相対的に大きくなる。
【0043】
そのため、現像室23において、一定区間当たりの撹拌室24へと搬送される現像剤量は、劣化後では初期状態に比べて相対的に多くなり、現像剤の片寄りが大きくなる。また、撹拌室24においても同様に、一定区間当たり搬送されてくる現像剤量は、劣化後では初期状態に比べて相対的に多くなり、現像剤の片寄りが大きくなる。
【0044】
本実施例では、現像容器の内壁の現像剤との摩擦係数μを搬送方向の領域ごとで変えている。現像剤と内壁面との摩擦係数μが、現像剤が搬送される速度に与える影響は、初期状態と劣化後の現像剤とで異なるため、現像剤と内壁面との摩擦係数μが低い領域と高い領域とを形成することで、流動性の低下に起因する現像剤の片寄りを抑制することが出来る。
【0045】
ここで、現像容器内の内壁付近に位置する現像剤は、内壁面から摩擦力を受け、内壁から離れて位置する現像剤は、周囲の現像剤から摩擦力を受ける。劣化後の現像剤では、現像剤と現像容器の内壁との摩擦による損失や、現像剤同士の摩擦による損失が大きくなる。
【0046】
そのため、現像剤が劣化して流動性が悪くなったときに、搬送される現像剤が受ける摩擦力の影響が大きくなる。特に、現像剤の流動性が悪くなったときに、摩擦係数μの高い領域において低い領域よりも相対的に摩擦力の影響が大きくなる。そのため、摩擦係数μの高い領域の現像剤の搬送速度は、流動性の悪化に伴って摩擦係数の低い領域よりも相対的に遅くなる。
【0047】
故に、現像室の内壁の現像剤との摩擦係数を現像剤搬送方向の下流側の平均値よりも上流側の平均値で小さいとすることで、現像剤の流動性に関わらず、即ち、現像剤が初期状態であっても劣化が進んだときであっても、白抜けや濃度ムラといった画像不良を防止することが出来る。
【0048】
以下、本実施例の特徴である現像容器の内壁の構成について、図6を用いて詳しく説明する。図6は、本実施例における現像容器の内壁の摩擦係数を示した図である。
【0049】
図6に示すように、現像容器22において斜線領域Pの内壁の摩擦係数μを他の領域の内壁と比べて大きくした構成となっている。本実施例では、斜線領域Pの内壁の算術平均粗さRaを大きくすることで摩擦係数μを大きくしている。斜線領域Pでは、梨地加工を施し算術平均粗さRaを他の領域よりも1.0μm大きく2.2μmとすることで、現像剤との摩擦係数を他の領域よりも大きくしている。
【0050】
本実施例において、斜線領域Pの現像剤との摩擦係数は0.84、その他の領域における現像剤との摩擦係数は0.58となっている。本実施例の摩擦係数は斜線領域Pで他の領域の1.45倍程度としたが、現像剤の片寄りと現像剤の流動性を考慮すると、1.3〜2.0倍程度であることが望ましい。ただし、これらの値に限定されず、斜線領域Pの摩擦係数をその他の領域における摩擦係数よりも大きくすれば本発明の効果は得られる。
【0051】
図6に示す本実施例の現像装置と、摩擦係数を摩擦容器内で均一にした従来の現像装置とで現像室の現像剤搬送方向における単位面積当たりの現像剤量(剤面高さ)を比較した結果が図7である。現像容器内の摩擦係数以外の例えば、現像装置の構成や現像剤、第1、第2スクリュー、現像スリーブの回転速度については、本実施例の現像装置と従来の現像装置とで同一の実験条件としている。
【0052】
図7より、本実施例は現像室23および撹拌室24の全域を通じて、現像剤の片寄りが低減され、発明の効果が得られることが分かる。現像室23における現像剤の片寄りが低減された結果を示した図であるが、撹拌室24でも同様の結果が得られている。
【0053】
ここで、摩擦係数の平均値とした理由についても説明する。例えば、現像室23のある測定位置において、上流側の摩擦係数μが下流側よりも大きい領域があった場合でも、下流側全域の摩擦係数μの平均値が上流側よりも大きければ、局所的な効果が減殺されて発明の効果は得られる。
【0054】
一方、現像室23のある測定位置においてのみ、下流側の摩擦係数μが上流側よりも大きい領域があったとしても、上流側全域の摩擦係数μの平均値が下流側よりも大きくなっていれば、同様に局所的な効果が減殺されてしまい、発明の効果は得られない恐れがある。よって、摩擦係数μは上流側、下流側のそれぞれの平均値で規定するのが望ましい。
【0055】
また、ここで言う上流側、下流側とは、現像室23でも撹拌室24でも共通で、現像装置の画像領域長手方向の半分を境界として搬送方向上流と下流とに分けた場合の区分である。現像スリーブによる現像剤の搬送があるため、現像室、攪拌室共に現像剤の片寄りが生じるからである。
【0056】
尚、図8の摩擦係数μの分布とした場合であっても本発明の効果は得られる。つまり、図8に示すように、現像容器を複数領域に区分し、現像室23では現像剤と内壁との摩擦係数μが現像剤搬送方向の上流から下流にかけて段階的に増やし、さらに撹拌室24では内壁との摩擦係数μが上流から下流にかけて段階的に減じる構成としても良い。
【0057】
また、現像室は図9に示す例1〜3のような摩擦係数の分布としても良い。つまり、例3のように略搬送方向の中間地点で摩擦係数を異ならす図6に示す構成、例2のように現像室を搬送方向で4分割して摩擦係数を4段階に異ならす図8に示す構成としても本発明の効果を得ることができる。また、例1のように摩擦係数を現像剤搬送方向の上流から下流にかけて単調に増加させる構成であっても、本発明の効果を得ることができる。
【0058】
図10は、上述した例1〜3に示す現像剤劣化後の現像室側の剤面を表した実験結果の図である。従来の現像容器の内壁の摩擦係数が一定でかつスクリューの搬送力に搬送方向上流と下流で差を設けた構成、図9に示した例1〜例3に示した現像容器の内壁の摩擦係数に搬送方向上流側と下流側とで異ならせた構成、の劣化後の現像剤の剤面の片寄りを示している。現像剤が初期状態であれば、従来の構成や例1〜3に示す構成であってもほとんど現像剤の片寄りは起きないようにしている。その後、所定時間、現像容器内の搬送スクリュー、現像スリーブを駆動して現像剤を劣化させた後に現像室の現像剤の剤面の高さを測定している。
【0059】
この図からも分かる通り、例3よりも例2、例2よりも例1の方が、より現像剤の片寄りを低減しており好ましい。ここで、現像容器の内壁の算術平均粗さRaの搬送方向上流と下流の平均値の差は、Ra≦0.5μmであると効果は小さく、好ましくはRa≧1.0μmであるとよい。
【0060】
Raの値を大きくする方法としては、梨地加工に限定されるものではなく、ブラスト加工やシボ加工等々の表面粗さを変化させる手法を用いても良い。ちなみに本発明における算術平均粗さRaとは、JIS−B0601及びISO468に記載されている算術平均粗さを規定する値で、次式により求められる。ただし、本実施例では、算術平均粗さRaに限定されず、十点平均粗さ等により、平均粗さを規定しても良い。
【0061】
【数1】

【0062】
Raは、図11に示すように粗さ曲線f(x)から中心線mまでの差分の絶対値を積分し、得られた面積を長さで割った値をマイクロメートル(μm)で表わしたものである。Raは、一つの大きな表面形状の差が測定値に及ぼす影響が非常に小さくなり、安定した結果が得られる。
【0063】
表面粗さの測定には、接触式表面粗さ計((株)小坂研究所製:サーフコーダーSE−3400)を用いた。測定条件はカットオフ値が0.25mm、測定長さが2.5mm、送りスピードが0.1mm/秒、倍率が2000倍である。ちなみに、本測定結果は、測定したい領域付近の5点平均とした。
【0064】
また、上記の摩擦係数μを測定する方法も紹介する。はじめに、傾斜面上の現像剤の塊Dに加わる力を示した図12を用いて、摩擦係数μと壁面摩擦角θfとの関係を示す。図12は、ある質量mを持った一体となって動く現像剤の塊Dが、水平面から角度θだけ傾斜した傾斜面上に置かれている様子を示している。図12の現像剤Dが傾斜面上で静止しているとき、力はつりあっているので、以下の式が成り立つ。
mgsinθ=μmgcosθ
μ=sinθ/cosθ=tanθ
よって、摩擦係数μは傾斜面が水平面となす角度θの正接であらわされる。この角度θを増加させていくと、あるところで現像剤が傾斜面上を滑り落ちていく。このときの角度を壁面摩擦角θfと呼ぶ。つまり、壁面摩擦角θfを測定すれば、摩擦係数μを導き出すことができる。
【0065】
続いて、壁面摩擦角θfの測定法について図13を参照しながら説明する。
壁面摩擦角θfの測定法として、現像剤Dを乗せた現像容器ごとゆっくり傾斜させ、現像剤Dが一体となって滑り始めたときの現像容器と水平面とのなす角度αを測りとる。この角度αが、現像剤と現像容器内壁との間の壁面摩擦角θfである。この時、乗せる現像剤Dの量は少なすぎると、必要としている値を得られない。また、乗せる現像剤Dの量が多すぎる場合も、現像剤Dが安息角φを越えて崩壊してしまい、一体となって滑り始めた瞬間を特定し難い。よって、乗せる現像剤Dの量として、本発明者の測定では10gとした。なお、一度目の測定後には、現像剤が壁面を薄く覆ってしまうので、二度目の測定結果と大きく異なってしまう。よって、測定結果としては二度目以降の結果を採用した。
【0066】
尚、本実施例では縦撹拌型の現像容器を用いたが、これに限定されず、水平方向に現像室23及び撹拌室24を配置しても良い。
【0067】
また、搬送手段としてはスクリューに限定されず、コイルや、すのこ部材を用いて搬送を行うすのこ搬送などの搬送手段であっても良い。
【0068】
また、所謂トリクル方式と呼ばれる、現像容器内に排出口を設けて現像剤を排出させて現像剤の入れ替えを行う現像装置に、本発明を適用しても良い。
【0069】
(実施例2)
本実施例では、現像剤量を相対的に少なくしたい領域である現像室の現像剤搬送方向上流側や撹拌室の現像剤搬送方向下流側の内壁を表面コートして摩擦係数μを減少させたことを特徴としている。これにより、上記領域で現像剤量を相対的に少なくして現像剤の片寄りを抑制することができる。
【0070】
図14は、本実施例における現像容器の断面を示した図である。現像室の現像剤搬送方向上流側や撹拌室の現像剤搬送方向下流側の内壁である領域Qに、摩擦係数が現像容器の内壁に比べて低いフッ素コートを施すことで、領域Qの壁面の摩擦係数μを減少させている。これにより、領域Qにおける摩擦係数μがフッ素コートしていない内壁面と比べて40%減少する。そのため、領域Qにおいて現像剤が搬送される速度は、フッ素コートしていない領域と比べて相対的に速くなることで、単位時間当たりの現像剤量が減る。一方、フッ素コートしていない領域では、現像剤が搬送される速度は相対的に遅くなることで、単位時間当たりの現像剤量は増える。以上より、現像容器内の現像剤の片寄りが低減される。本実施例では摩擦係数μを低減したことにより、実施例1に比べて現像剤の流動性が非常によく安息角φが小さい場合にも、壁面摩擦角θf≦安息角φとなって現像剤の片寄りを抑制する効果が得られやすい。
【0071】
尚、フッ素コートに限定されず、金属コート等を使って内壁を低摩擦係数にする方法であれば良い。
【符号の説明】
【0072】
1 感光体ドラム(像担持体)
4 現像装置
22 現像容器
23 現像室
24 撹拌室
28 現像スリーブ
100 画像形成装置


【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナーとキャリアを含む現像剤を担持して静電潜像を現像する現像剤担持体と、
前記現像剤担持体に現像剤を供給する現像室と前記現像剤担持体から現像剤を回収し撹拌する撹拌室とに隔てられ、現像剤を収容する現像容器と、
前記現像室と前記撹拌室とにそれぞれ設けられ、現像剤を搬送して前記現像室と前記撹拌室とで現像剤を循環させ搬送する現像剤搬送手段と、を有する現像装置において、
前記現像室の内壁の現像剤との摩擦係数は、現像剤搬送方向の中間位置を基準として、現像剤搬送方向の下流側の平均値よりも上流側の平均値で小さいことを特徴とする現像装置。
【請求項2】
前記撹拌室の内壁の現像剤との摩擦係数は現像剤搬送方向の上流側の平均値よりも下流側の平均値で小さいことを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
【請求項3】
前記現像室の内壁の現像剤との摩擦係数は現像剤搬送方向の下流側から上流側にかけて単調に減少する、或いは、前記撹拌室の内壁の現像剤との摩擦係数は現像剤搬送方向の上流側から下流側にかけて単調に減少することを特徴とする請求項2に記載の現像装置。
【請求項4】
前記現像室の内壁の算術平均粗さが現像剤搬送方向の下流側よりも上流側で小さい、或いは、前記撹拌室の内壁の算術平均粗さが現像剤搬送方向の上流側よりも下流側で小さいことを特徴とする請求項2又は3に記載の現像装置。
【請求項5】
現像剤の搬送時における、前記現像室の内壁と現像剤との摩擦力は現像剤搬送方向の下流側よりも上流側で小さい、或いは、前記撹拌室の内壁と現像剤との摩擦力は現像剤搬送方向の上流側よりも下流側で小さいことを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1項に記載の現像装置。
【請求項6】
前記現像室と前記撹拌室は鉛直方向上下に配置され、前記撹拌室は前記現像剤担持体が担持する現像剤を回収することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の現像装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−3377(P2013−3377A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−135099(P2011−135099)
【出願日】平成23年6月17日(2011.6.17)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】