説明

球体移動経路の測定方法

【課題】球体の実際の移動状態に近いデータを獲得可能な球体移動経路の測定方法を提供する。
【解決手段】操作ユニットおよび三軸加速度計Cを用意し、三軸加速度計Cと操作ユニットとを接続させ、三軸加速度計Cで測定したデータを操作ユニットに伝送し、測定対象物Oの内部に三軸加速度計Cを置き、三軸加速度計CでXYZ三軸の空間座標を定義し、第一測定時点に三軸の初期位置を確認し、第二測定時点に比較位置を確認し、データを操作ユニットに伝送する。XYZ三軸のそれぞれの比較位置と初期位置との間の角度を比較し、XYZ三軸の軸方向上の力を受けた後の加速度データと、それぞれ軸方向の分力のベクトルと、それぞれ軸に対する旋転力とを算出する。三つの軸方向の加速度値と、測定対象物Oの重量およびサイズとに基づいて、測定対象物Oの初期速度、飛行時間、飛行高度、飛行距離および旋転速度のうちの少なくとも一つのデータを求める。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、球体移動経路の測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ボール関連運動のトレーニングまたは測定を行う際、力を受けた球体例えばゴルフボールまたは野球ボールなどの移動経路を確認するには、不動の測定基準を測定のもとにする必要がある。測定を行うには、固定の測定軸方向を有する設備にボールを置かなければならない。アメリカ特許第6551194号公報による方法は、固定した測定軸にそって測定することによって力を受けた球体の移動および回転状態を確認することである。このような測定方法は必要な基礎データを獲得することができるが、固定した測定軸は力を受けた球体の自由度を制限してしまうため、獲得したデータと実際に力を受けた球体の移動可能な状態との間に偏差が生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】アメリカ特許第6551194号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、力を受けた球体を自由移動させ、加速度、軸分力および旋転力を測定することによって実際の球体の移動状態に近いデータを獲得することができる球体移動経路の測定方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述の目的を達成するため、本発明による球体移動経路の測定方法のステップは次の通りである。まず操作ユニットおよび測定ユニットを用意する。操作ユニットは、計算および表示機能を備え、測定対象物の重量およびサイズなどのデータが記録されてある電子設備である。測定ユニットは三軸加速度計である。三軸加速度計と操作ユニットとを接続させ、三軸加速度計で測定したデータを操作ユニットに伝送する。
【0006】
続いて、測定対象物の内部に三軸加速度計を置き、三軸加速度計によってXYZ三軸の空間座標を定義する。続いて第一測定時点に三軸の初期位置を確認し、そのデータを操作ユニットに伝送し、第二測定時点に三軸の現在位置との比較位置を確認し、そのデータを操作ユニットに伝送する。続いて、XYZ三軸のそれぞれの比較位置と初期位置との間の角度を比較することによって、XYZ三軸の軸方向上の力を受けた後の加速度データと、それぞれ軸方向の分力のベクトルと、それぞれ軸に対する旋転力とを算出する。続いてXYZ三軸の三つの軸方向の加速度値と、測定対象物の重量およびサイズとに基づいて、測定対象物の初期速度、飛行時間、飛行高度、飛行距離および旋転速度のうちの少なくとも一つのデータを求める。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の一実施形態による球体移動経路の測定方法によって三軸加速度計とXYZ空間座標との関係を示す模式図である。
【図2】本発明の一実施形態による球体移動経路の測定方法によって絶対座標と相対座標との関係を示す模式図である。
【図3】本発明の一実施形態による球体移動経路の測定方法によって絶対座標と相対座標との関係を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明による球体移動経路の測定方法を図面に基づいて説明する。
(一実施形態)
図1から図3に示すように、本発明による球体移動経路の測定方法のステップは次の通りである。
【0009】
まず操作ユニットおよび測定ユニットを用意する。操作ユニットは、コンピューター、PDA、携帯電話または計算および表示機能を備えた電子設備にしてもよい。操作ユニットは、測定対象物の重量およびサイズなどのデータが記録されてあるメモリーを有する。測定ユニットは三軸加速度計C(accelerometer)である。三軸加速度計Cは、有線方式によって操作ユニットに接続することも、またはバッテリーを内蔵し、無線方式によって操作ユニットに接続することもできる。
【0010】
続いて、図1に示すように、測定対象物Oの内部に三軸加速度計Cを置く。三軸加速度計Cは、測定対象物Oの重心位置に配置されることが最も好ましい。三軸加速度計Cは、自ら移動または回転する際、内部のマイクロ構造に変化が起こり、静電容量値を変化させ、特定の出力電圧信号に転換し、信号を外部に出力する。三軸加速度計Cは、図1中の実線で表示されたXYZ三軸の空間座標を定義する。三軸加速度計Cは測定対象物Oの内部に固定されるため、空間座標が生成されると同時に空間中の測定対象物Oのそれぞれ部位の位置が定義される。
【0011】
続いて第一測定時点に三軸の初期位置を確認し、測定対象物Oが力を受ける前の測定時点がゼロとなる時、XYZ三軸の位置を三軸の初期位置とし、そのデータを操作ユニットに伝送する。第二測定時点に三軸の現在位置との比較位置を確認する。測定対象物Oが所定の時間で力を受けた後、XYZ三軸の位置は図1中の破線で表示されたX’Y’Z’位置に変わる。この時点を第二測定時点として、三軸の位置を測定することによって三軸の比較位置を確認し、データを操作ユニットに伝送する。第一測定時点と第二測定時点との間の時間の長さは設定によって決めることができる。
【0012】
続いて、XYZ三軸のそれぞれの比較位置と初期位置との間の角度を比較することによって、XYZ三軸の軸方向上の力を受けた後の加速度データと、それぞれ軸方向の分力のベクトルと、それぞれ軸に対する旋転力とを算出することができる。三つの軸方向の加速度値、測定対象物Oの重量および大きさなどを参考にし、基本の運動方程式によって計算すれば、測定対象物Oの受けた力と(F=ma)、初期速度とを算出することができる。初期速度によって、飛行時間(t=2V0/g)、飛行高度(H=V02/2g)、飛行距離(s=V0t−gt2/2)および旋転速度などのデータを求めることができる。
【0013】
本発明において、第一測定時点および第二測定時点は、時間軸上の位置および両者間の時間の長さが異なる設定によって変わる。例えば測定対象物が外力を受けた瞬間を第一測定時点とし、外力を受けた0.5秒後を第二測定時点とする。
【0014】
或いは測定対象物が外力を受けた0.1秒後を第一測定時点とし、外力を受けた0.5秒後を第二測定時点とする。
【0015】
測定対象物が外力を受けた瞬間を所定時間の始点、及び第一測定時点とし、所定時間の終点を第二測定時点とし、データを求める。例えば、測定対象物が外力を受けた瞬間初期位置を測定し、外力を受けた0.5秒後に比較位置を測定する。
【0016】
或いは、測定対象物が外力を受けた瞬間から、所定時間内までに測定を持続させ、データを求める。例えば、測定対象物が外力を受けた瞬間を第一測定時点とし、外力を受けた瞬間から外力を受けた0.1秒後までの間を第二測定時点とし、持続的に測定する。
【0017】
或いは、外力を受けた瞬間を第一測定時点とし、測定対象物が外力を受けてから一定の時間まで、間隔をおいて測定する。例えば、測定対象物が外力を受けた後、0.02秒おきに測定し、合計5回で0.1秒に測定する。
【0018】
三軸加速度計Cは、接続ポートBによってケーブルと接続され、外部から必要な電力を受け、獲得したデータを出力する。三軸加速度計Cは、バッテリーを内蔵し、無線方式によってデータを出力してもよい。
【0019】
獲得したデータに基づいて計算すれば、外力を受けた測定対象物の加速度、移動飛行経路、時間、旋転方向および角度を算出することができる。
【0020】
以上、本発明による測定方法は、固定した測定軸に沿って測定する際の問題を回避することができる。言い換えれば、球体の自由移動を制限する原因を排除することが可能なだけでなく、計算ごとに測定対象物を始点に戻し、基準点を設定しなおす必要がない。従って、本発明による測定方法は、実際に移動する球体に近いデータを獲得することが可能なだけでなく、外力を受けた後の球体の加速度、移動飛行経路、時間、旋転方向および角度をより正確に求めることができる。
【符号の説明】
【0021】
B・・・接続ポート、
C・・・三軸加速度計、
O・・・測定対象物。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
計算および表示機能を備え、測定対象物の重量およびサイズなどのデータが記録されてある電子設備である操作ユニットと、
測定ユニットとしての三軸加速度計と、
を用意し、
前記三軸加速度計と前記操作ユニットとを接続させ、前記三軸加速度計で測定したデータを前記操作ユニットに伝送するステップと、
前記測定対象物の内部に前記三軸加速度計を置き、前記三軸加速度計によってXYZ三軸の空間座標を定義するステップと、
第一測定時点に三軸の初期位置を確認し、前記三軸の初期位置のデータを前記操作ユニットに伝送し、第二測定時点に三軸の現在位置との比較位置を確認し、前記比較位置のデータを前記操作ユニットに伝送するステップと、
前記操作ユニットが前記XYZ三軸のそれぞれの前記比較位置と前記初期位置との間の角度を比較することによって、前記XYZ三軸の軸方向上の力を受けた後の加速度データと、それぞれ前記軸方向の分力のベクトルと、それぞれ軸に対する旋転力とを算出するステップと、
前記XYZの三つの軸方向の加速度値と前記測定対象物の重量およびサイズとに基づいて、前記測定対象物の力を受けた数値を求めるステップと、
を含むことを特徴とする球体移動経路の測定方法。
【請求項2】
前記測定対象物が外力を受けた瞬間を所定時間の始点、及び前記第一測定時点とし、前記所定時間の終点を前記第二測定時点として測定し、データを求めることを特徴とする請求項1に記載の球体移動経路の測定方法。
【請求項3】
前記測定対象物が外力を受けた瞬間を前記第一測定時点とし、外力を受けた瞬間から所定時間までを前記第二測定時点とし、持続的に測定し、データを求めることを特徴とする請求項1に記載の球体移動経路の測定方法。
【請求項4】
前記測定対象物が外力を受けてから所定時間後の時点を前記第一測定時点とし、前記測定対象物が外力を受けてから別の所定時間まで、間隔をおいた時点を前記第二測定時点として測定し、データを求めることを特徴とする請求項1に記載の球体移動経路の測定方法。
【請求項5】
前記三軸加速度計は、接続ポートによってケーブルと接続され、外部から必要な電力を受け、獲得したデータを出力することを特徴とする請求項1に記載の球体移動経路の測定方法。
【請求項6】
前記三軸加速度計は、バッテリーを内蔵し、無線方式によってデータを出力することを特徴とする請求項1に記載の球体移動経路の測定方法。
【請求項7】
前記三軸加速度計は、前記XYZ三軸の三つの軸方向の加速度値と、前記測定対象物の重量およびサイズとに基づいて、前記測定対象物の初期速度、飛行時間、飛行高度、飛行距離および旋転速度のうちの少なくとも一つのデータを求めることを特徴とする請求項1に記載の球体移動経路の測定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−42299(P2012−42299A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−182870(P2010−182870)
【出願日】平成22年8月18日(2010.8.18)
【出願人】(596127668)
【Fターム(参考)】