説明

環境情報送信プログラム、環境情報送信方法およびサービス制御システム

【課題】サービス提供者において利用者の端末にかかる環境情報を取得することなく、利用者の端末に対するサービスを効率よく制御すること。
【解決手段】サービス制御システムは、サービス利用者端末40が、自装置の環境の変化を検出した場合に、変化した環境にかかる環境情報を抽出し、ネットワーク事業者30にハッシュ化環境情報を送信する。ネットワーク事業者端末30は、ハッシュ化環境情報にかかる評価依頼を環境管理局端末10に行い、環境管理局端末10は、環境情報に対する評価値を算出し、算出した評価値をネットワーク事業者端末30に送信し、ネットワーク事業者端末30は、ステータス変化情報をサービス提供者端末20に送信し、サービス利用者端末20は、ユーザDB25aを更新して、当該ユーザDB25aおよびサービスポリシーDB25cを参照して、サービス利用者に提供するサービスを制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、サービスを提供するか否かを端末のソフトウェアおよび/またはハードウェアの環境に基づいて制御する制御装置に、当該端末の環境情報を送信する環境情報送信プログラム等に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、サービス提供者の端末から利用者の端末にネットワークを介してサービスを提供する場合に、サービスの安全性を確保すべく、利用者の端末にかかる環境を確認した上で、サービスを提供することが行われている。
【0003】
例えば、特許文献1では、サービス提供者の端末において、利用者の端末にかかる環境情報(利用者の端末に組み込まれているソフトウェア(OS、BIOS、ブラウザ、プラグインソフト等)やハードウェア(CPU、メモリ、PCIボード等)、利用者の端末に接続されているハードウェアなどの情報)を利用者の端末から取得した上で、利用者の端末に安全性を損なうソフトウェア(例えば、セキュリティホールがケアされていないもの)やハードウェアが組み込まれていないか等を確認し、不正コピーの恐れなどから安全性を確保できない利用者の端末に対してサービスの提供を拒否する技術が公開されている。
【0004】
【特許文献1】特開2004−157790号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来技術では、サービス提供者が利用者の端末にかかる環境情報を取得することでサービス制御を実行するので、サービス提供者に自己の端末にかかる環境情報を掌握されることを好まない利用者において反発が生じるという問題があった。
【0006】
また、利用者の端末にかかる環境情報は時々刻々と変化しているため、サービス提供者は、信頼性を向上させるべく、サービス提供時に、利用者の端末にかかる環境情報を再度調べなおす必要があった。しかし、サービス提供者が、利用者の端末にかかる環境情報を再度調べなおすためには、膨大な時間がかかってしまうため、効率よくサービス提供を行うことができなかった。
【0007】
すなわち、サービス提供者において利用者の端末にかかる環境情報を取得することなく、利用者の端末に対するサービスを効率よく制御することが極めて重要な課題となっている。
【0008】
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するためになされたものであり、サービス提供者において利用者の端末にかかる環境情報を取得することなく、利用者の端末に対するサービスを効率よく制御可能なサービス制御システムおよび当該サービス制御システムに関わる環境情報送信プログラム、環境情報送信方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、請求項1にかかる環境情報送信プログラムは、サービスを提供するか否かを端末のソフトウェアおよび/またはハードウェアの環境に基づいて制御する制御装置に、当該端末の環境情報を送信する環境情報送信プログラムであって、前記端末にかかる環境の変化を検出する環境変化検出手順と、前記環境変化検出手順によって検出された環境の変化に係る情報を記録装置に記録する記録手順と、前記記録手順によって前記記録装置に記録された環境の変化に係る情報を前記制御装置に送信する送信手順と、をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0010】
また、請求項2の発明にかかる環境情報送信プログラムは、請求項1の発明において、前記環境変化検出手順は、一定時間ごとに前記端末に係る環境の変化を検出することを特徴とする。
【0011】
また、請求項3の発明にかかる環境情報送信プログラムは、請求項1または2の発明において、前記環境変化検出手順は、他の装置から前記端末に係る環境の変化に対する検出要求を受付けた場合に、当該端末に係る環境の変化を検出することを特徴とする。
【0012】
また、請求項4の発明にかかる環境情報送信方法は、サービスを提供するか否かを端末のソフトウェアおよび/またはハードウェアの環境に基づいて制御する制御装置に、当該端末の環境情報を送信する環境情報送信方法であって、前記端末にかかる環境の変化を検出する環境変化検出工程と、前記環境変化検出工程によって検出された環境の変化に係る情報を記録装置に記録する記録工程と、前記記録工程によって前記記録装置に記録された環境の変化に係る情報を前記制御装置に送信する送信工程と、を含んだことを特徴とする。
【0013】
また、請求項5の発明にかかる環境情報送信方法は、請求項4の発明において、前記環境変化検出工程は、一定時間ごとに前記端末に係る環境の変化を検出することを特徴とする。
【0014】
また、請求項6の発明にかかる環境情報送信方法は、請求項4または5の発明において、前記環境変化検出工程は、他の装置から前記端末に係る環境の変化に対する検出要求を受付けた場合に、当該端末に係る環境の変化を検出することを特徴とする。
【0015】
また、請求項7の発明にかかるサービス制御システムは、サービス提供者の端末から利用者の端末にネットワークを介して提供されるサービスを制御するサービス制御システムであって、前記利用者の端末に係る環境の変化を検出する環境変化検出手段と、前記環境変化検出手段が抽出した環境の変化に係る情報を基に、前記利用者の端末に係る環境を評価して評価値を算出する評価値算出手段と、前記評価値算出手段によって算出された評価値に基づいて、前記サービス提供者の端末から前記利用者の端末に提供されるサービスを制御するサービス制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0016】
また、請求項8の発明にかかるサービス制御システムは、請求項7の発明において、前記環境変化検出手段は、一定時間ごとに前記利用者の端末にかかる環境の変化を検出することを特徴とする。
【0017】
また、請求項9の発明にかかるサービス制御システムは、請求項7または8の発明において、前記環境変化検出手段は、前記サービス提供者の端末と前記利用者の端末とを接続するネットワーク事業者の端末から、前記利用者の端末に対する環境の変化の検出要求を受付けた場合に、当該利用者の端末に対する環境の変化を検出することを特徴とする。
【0018】
また、請求項9の発明にかかるサービス制御システムは、請求項7、8または9の発明において、前記サービス提供者の端末にかかる環境の変化を検出する提供者環境検出手段を更に備え、前記評価値算出手段は、前記提供者環境検出手段によって検出された環境変化に係る情報を基に、前記サービス提供者の端末に係る環境を評価して当該サービス提供者の端末に係る評価値を更に算出し、前記サービス制御手段は、前記サービス提供者の端末および利用者の端末に係る評価値を基にして、前記サービス提供者の端末から前記利用者の端末に提供されるサービスを制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
請求項1の発明によれば、環境情報送信プログラムは、端末にかかる環境の変化を検出し、検出した環境の変化にかかる情報を記録装置に記録し、この記録装置に記録された環境の変化にかかる情報を、サービス提供を制御する制御装置に送信するので、端末の環境変化を効率よく制御装置に送信することができ、サービス制御装置に適切なサービス提供を行わせることができる。
【0020】
また、請求項2の発明によれば、環境情報送信プログラムは、一定時間ごとに端末にかかる環境の変化を検出し、検出した環境の変化にかかる情報を記録装置に記録し、この記録装置に記録された環境の変化にかかる情報を、サービス提供を制御する制御装置に送信するので、端末の環境変化を効率よく制御装置に送信することができ、サービス提供にかかる信頼性を向上させることができる。
【0021】
また、請求項3の発明によれば、環境情報送信プログラムは、他の装置から端末に係る環境の変化に対する検出要求を受付けた場合に、端末にかかる環境の変化を検出し、検出した環境の変化にかかる情報を記録装置に記録し、この記録装置に記録された環境の変化にかかる情報を、サービス提供を制御する制御装置に送信するので、端末の環境変化を効率よく制御装置に送信することができ、サービス提供にかかる信頼性を向上させることができる。
【0022】
また、請求項4の発明によれば、環境情報送信方法は、端末にかかる環境の変化を検出し、検出した環境の変化にかかる情報を記録装置に記録し、この記録装置に記録された環境の変化にかかる情報を、サービス提供を制御する制御装置に送信するので、端末の環境変化を効率よく制御装置に送信することができ、サービス制御装置に適切なサービス提供を行わせることができる。
【0023】
また、請求項5の発明によれば、環境情報送信方法は、一定時間ごとに端末にかかる環境の変化を検出し、検出した環境の変化にかかる情報を記録装置に記録し、この記録装置に記録された環境の変化にかかる情報を、サービス提供を制御する制御装置に送信するので、端末の環境変化を効率よく制御装置に送信することができ、サービス提供にかかる信頼性を向上させることができる。
【0024】
また、請求項6の発明によれば、環境情報送信方法は、他の装置から端末に係る環境の変化に対する検出要求を受付けた場合に、端末にかかる環境の変化を検出し、検出した環境の変化にかかる情報を記録装置に記録し、この記録装置に記録された環境の変化にかかる情報を、サービス提供を制御する制御装置に送信するので、端末の環境変化を効率よく制御装置に送信することができ、サービス提供にかかる信頼性を向上させることができる。
【0025】
また、請求項7の発明によれば、サービス制御システムは、利用者の端末にかかる環境の変化を検出し、検出した環境の変化にかかる情報を基に、利用者の端末にかかる環境を評価して評価値を算出し、この評価値に基づいて、サービス提供者の端末から利用者の端末に提供されるサービスを制御するので、時々刻々と変化するサービス利用者の環境に対応することができ、サービス提供にかかる信頼性を向上させることができる。
【0026】
また、請求項8の発明によれば、サービス制御システムは、一定時間ごとに利用者の端末にかかる環境の変化を検出し、検出した環境の変化にかかる情報を基に、利用者の端末にかかる環境を評価して評価値を算出し、この評価値に基づいて、サービス提供者の端末から利用者の端末に提供されるサービスを制御するので、時々刻々と変化するサービス利用者の環境に対応することができ、サービス提供にかかる信頼性を向上させることができる。
【0027】
また、請求項9の発明によれば、サービス制御システムは、サービス提供者の端末と利用者の端末とを接続するネットワーク事業者の端末から利用者の端末に対する環境の変化の検出要求を受付けた場合に、利用者の端末に対する環境の変化を検出し、検出した環境の変化にかかる情報を基に、利用者の端末にかかる環境を評価して評価値を算出し、この評価値に基づいて、サービス提供者の端末から利用者の端末に提供されるサービスを制御するので、時々刻々と変化するサービス利用者の環境に対応することができ、サービス提供にかかる信頼性を向上させることができる。
【0028】
また、請求項10の発明によれば、サービス制御システムは、サービス提供者の端末および利用者の端末にかかる環境の変化を検出し、検出したサービス提供者おより利用者の環境変化に係る情報を評価して各端末に係る評価値を算出し、サービス提供者の端末および利用者の端末に係る評価値を基にして、サービス提供者の端末から利用者の端末に提供されるサービスを制御するので、サービス提供にかかる信頼性を飛躍的に高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下に添付図面を参照して、この発明に係る環境情報送信プログラム、環境情報送信方法およびサービス制御システムの好適な実施の形態を詳細に説明する。
【実施例】
【0030】
まず、本実施例にかかるサービス制御システムの概念について説明する。図1は、本実施例にかかるサービス制御システムの概念を説明するための説明図である。このサービス制御システムは、サービス提供者の端末からサービス利用者の端末にネットワークを介して提供されるサービスを制御する。
【0031】
具体的には、映画や音楽などのコンテンツをサービス提供者端末からサービス利用者端末にネットワークを介して提供するサービスであるが、安全性を損なうソフトウェア(例えば、セキュリティホールがケアされていないもの)やハードウェアが組み込まれているサービス利用者端末や、安全性を損なうハードウェアが接続されているサービス利用者端末などに対してはコンテンツの提供を拒否するなど、サービス利用者端末にかかる環境に応じてサービスを制御するものである。
【0032】
そして、このサービス制御システムは、サービス利用者端末にかかる環境情報(利用者の端末に組み込まれているソフトウェア(OS、BIOS、ブラウザ、プラグインソフト等)やハードウェア(CPU、メモリ、PCIボード等)、サービス利用者端末に接続されているハードウェアなどの情報)をサービス提供者において取得することなくサービスを制御する。したがって、サービス利用者は、自己の端末にかかる環境情報を掌握されること無くサービス提供を受けられることとなる。
【0033】
このサービス制御システムでは、サービス提供者とサービス利用者との間に介在するネットワーク事業者(例えば、ISP事業者など)、並びに、かかるネットワーク事業者以外の第三者機関である環境管理局(EMA<Environment Management Authority>)が、サービス提供者と協調してサービスを制御するようにしている。
【0034】
このうち、環境管理局では、サービス利用者端末に組み込まれ得るソフトウェアやハードウェアの情報(環境情報)を機器ベンダ等から入手すると、かかるソフトウェアやハードウェアの脆弱性や能力に基づいて安全性や性能の観点から評価値を付与し、この評価値と環境情報とを対応付けて管理する。例えば、環境管理局の端末は、「A社のOS−A(version2002)=安全評価値90点&性能評価値70点、A社のOS−A(version2000)=安全評価値90点&性能評価値70点、・・・」といった具合に環境情報と評価値を対応付けた評価DBを管理する。
【0035】
サービス提供者では、サービス(コンテンツ)に対応付けて、サービス提供条件として、各コンテンツの提供に必要な評価値を管理する。つまり、例を挙げれば、サービス提供者の端末は、「コンテンツAの提供条件=安全評価値90点以上&性能評価値90点以上、コンテンツBの提供条件=安全評価値70点以上&性能評価値90点以上、・・・」といった具合に各サービスとサービス提供条件とを対応付けたサービスポリシーDBを管理する。
【0036】
また、サービス提供者の端末は、サービス利用者の端末を識別するための情報と、当該端末にかかわる評価値とを関連付けたユーザDBを管理している。そして、サービス提供者の端末は、サービス利用者の端末からサービス要求を受付けた場合には、ユーザDBとサービスポリシーDBに基づいて、サービス提供可能か否かを判定し、コンテンツの提供あるいはサービス拒否等のサービス制御を行う。
【0037】
なお、サービス提供者が管理するユーザDBは、サービス利用者の端末にかかる環境変化に応じて更新される。ここで、ユーザDBの更新について簡単に説明を行うと、サービス利用者の端末には、この端末の環境を常に監視する処理部(例えば、Watch Dog Software)が存在し、サービス利用者の端末にかかる環境の変化を検出する。
【0038】
そして、サービス利用者の端末が、自装置にかかる環境の変化を検出した場合には、サービス利用者の端末は、変化した環境の環境情報を環境管理局に送信し、評価値を算出してもらう。続いて、サービス提供者の端末は、環境管理局からサービス利用者を識別する情報と、この利用者の端末に関わる新たな評価値とを取得し、ユーザDBを更新する。
【0039】
このように、サービス利用者の端末が、自装置の環境の変化を検出した場合に、サービス提供者の端末がユーザDBを更新するので、本実施例にかかるサービス制御システムは、時々刻々と変化する利用者端末の環境に対応することができ、サービス提供の信頼性を飛躍的に高めることができる。
【0040】
つぎに、本実施例にかかるサービス制御システムのシステム構成について説明する。図2は、本実施例にかかるサービス制御システムのシステム構成を示すブロック図である。同図に示すように、本実施例にかかるサービス制御システムは、環境管理局端末10と、サービス提供者端末20と、ネットワーク事業者端末30と、サービス利用者端末40とを、ネットワーク(インターネットやLAN、公衆電話網など)を介して相互に通信可能に接続して構成される。そして、各端末10〜40は、サービス制御前の処理として、以下に説明するように、各種のテーブルまたはデータベース(DB)を生成する。
【0041】
環境管理局端末10は、環境管理局が有するサーバコンピュータであり、図2に示すように、評価DB15aを備える。図3は、評価DBのデータ構造の一例を示す図である。図3に示すように、この評価DB15aは、ベンダ製品の環境情報と、ハッシュ化された環境情報と、評価値とを対応付けて記憶する。
【0042】
このうち、「環境情報」および「ハッシュ化された環境情報」は、サービス利用者端末40に組み込まれ得るソフトウェアやハードウェアの情報(環境情報)を機器ベンダから入手するたびに評価DB15aに登録される。また、「評価値」は、かかるベンダ製品の入手に際して、ベンダ製品の脆弱性や能力に基づいて安全性や性能の観点から決定されるものであり、「環境情報」および「ハッシュ化された環境情報」に対応付けて登録される。
【0043】
さらに、このようにして登録された「評価値」は、新たな脆弱性(セキュリティホール)が後に発見された場合や、より高性能な後発品が製作された場合などに、見直しが行われて更新登録される。なお、本実施例では、「評価値」として、ベンダ製品の脆弱性に基づいて、セキュリティの観点から決定される「安全性評価値」と、ベンダ製品の能力に基づいて性能の観点から決定される「性能評価値」とがある。
【0044】
サービス提供者端末20は、サービス提供者が有するサーバコンピュータであり、図2に示すように、ユーザDB25a、サービスDB25b、サービスポリシーDB25c、サービス履歴DB25dを有する。ここで、各DB25a〜25dに関する説明を行う。図4は、ユーザDBのデータ構造の一例を示す図である。図4に示すように、このユーザDBは、ユーザを一意に識別するためのユーザIDと、ユーザ名と、更新日時と、サービス利用者端末の評価値とを対応付けて記録する。
【0045】
図5は、サービスDBのデータ構造の一例を示す図である。同図に示すように、このサービスDB25bは、サービス(コンテンツ)ごとに、各コンテンツを一意に識別するためのサービスIDと、サービス名(動画コンテンツ名)と、コンテンツデータとを対応付けて記憶する。なお、コンテンツデータとしては、同図に示すように、同一内容のコンテンツであっても、高性能なサービス利用者端末40への提供に適した高画質のデータと、低性能なサービス利用者端末40への提供に適した低画質のデータとを記憶したものがある。
【0046】
図6は、サービスポリシーDBのデータ構造の一例を示す図である。同図に示すように、このサービスポリシーDB25cは、各コンテンツ(サービス)のサービスIDと、サービス提供条件(各コンテンツの提供に必要な評価値)とを対応付けて記憶する。ここで、サービス提供条件として「評価値」をいかに設定するかによって、評価点が低くない端末(例えば、脆弱でない端末、低性能でない端末など)に限ってコンテンツを提供するサービス制御などを実現することができる。
【0047】
図7は、サービス履歴DBのデータ構造の一例を示す図である。同図に示すように、このサービス履歴DB25dは、サービス利用者ごとに、サービス利用者を一意に識別するユーザIDと、ユーザ名と、サービス履歴(サービス制御日時、サービスID、サービス制御に用いた評価値、サービス制御の実行結果)とを対応付けて記憶する。
【0048】
ネットワーク事業者端末30は、ネットワーク事業者が有するサーバコンピュータであり、図2に示すように、このネットワーク事業者端末30は、環境情報管理DB35aを備える。図8は、環境情報管理DBのデータ構造の一例を示す図である。同図に示すように、この環境情報管理DBは、ユーザを一意に識別するユーザIDと、ハッシュ化された環境情報と、評価値とを対応付けて記憶する。この環境情報管理DB25aは、各端末装置10、20または40から送信される情報を一時的に記憶するデータベースである。
【0049】
サービス利用者端末40は、少なくともWebブラウザ等の通信ソフトがインストールされた、サービス利用者が有する既知のパーソナルコンピュータやワークステーション、家庭用ゲーム機、インターネットTV、PDA、あるいは携帯電話やPHSの如き移動体通信端末などであり、図2に示すように、管理情報テーブル45aを備える。
【0050】
図9は、管理情報テーブルのデータ構造の一例を示す図である。同図に示すように、この管理情報テーブル45aは、サービス利用者端末40に組み込まれているソフトウェア(OS、BIOS、ブラウザ、プラグインソフト等)やハードウェア(CPU、メモリ、PCIボード等)、サービス利用者端末40に接続されているハードウェアなどの環境情報をそれぞれ記憶する。なお、かかる環境情報は、サービス利用者端末40の起動時にサービス利用者端末40自ら収集して環境情報テーブル45aに登録すると共に、起動後にソフトウェアが新たにインストールされた場合やハードウェアが新たに接続された場合(環境が変化した場合)にも、これらの環境情報をサービス利用者端末40自らが収集して管理情報テーブル45aに登録する。
【0051】
つぎに、各端末10〜40の構成を順に説明する。図10は、環境管理局端末の構成を示す機能ブロック図である。同図に示すように、環境管理局端末10は、入力部11と、出力部12と、入出力制御IF部13と、通信制御IF部14と、記憶部15と、制御部16とを備えて構成される。
【0052】
このうち、入力部11は、各種の情報を入力する入力手段であり、キーボードやマウス、マイクなどによって構成され、例えば、上記した評価DB15aに記憶する各種の情報を環境管理局のオペレータから受付けて入力する。なお、後述するモニタ(出力部12)も、マウスと協働してポインティングデバイス機能を実現する。
【0053】
出力部12は、各種の情報を出力する出力手段であり、モニタ(もしくはディスプレイ、タッチパネル)やスピーカなどによって構成され、例えば、上記の評価DB15aに記憶された各種の情報などを出力する。そして、入出力制御IF部13は、これら入力部11および出力部12によるデータの入出力を制御する手段であり、通信制御IF部14は、主にネットワーク事業者端末30との間における通信を制御する手段である。
【0054】
記憶部15は、制御部16による各種処理に必要なデータおよびプログラムを記憶する記憶部であり、特に、本発明に密接に関連するものとしては、図10に示すように、評価DB15aを備える。なお、この評価DB15aは、上述したように、サービス利用者端末10に組み込まれ得るベンダ製品の評価値を記憶する記憶手段である(図3参照)。
【0055】
制御部16は、各種の処理手順を規定したプログラムや制御データを格納するための内部メモリを有し、これらによって種々の処理を実行する制御手段であり、特に本発明に密接に関連するものとしては、図10に示すように、評価値算出部16aを備える。
【0056】
ここで、評価値算出部16aは、サービス利用者端末40に係る環境を評価して評価値を算出する処理部である。具体的には、ハッシュ化された環境情報にかかわる評価依頼をネットワーク事業者端末30から受信した場合に、依頼に含まれるハッシュ化環境情報に対応する評価値を評価DB15aから読み出すことで評価値を算出する。
【0057】
つぎに、サービス提供者端末20の構成について説明する。図11は、サービス提供者端末の構成を示す機能ブロック図である。同図に示すように、サービス提供者端末20は、入力部21と、出力部22と、入出力制御IF部23と、通信制御IF部24と、記憶部25と、制御部26とを備えて構成される。
【0058】
このうち、入力部21は、各種の情報を入力する入力手段であり、キーボードやマウス、マイクなどによって構成され、例えば、上記したサービスDB25bやサービスポリシーDB25cに記憶する各種の情報をサービス提供者から受付けて入力する。なお、後述するモニタ(出力部22)も、マウスと協働してポインティングデバイス機能を実現する。
【0059】
出力部22は、各種の情報を出力する出力手段であり、モニタ(もしくはディスプレイ、タッチパネル)やスピーカなどによって構成され、例えば、上記のユーザDB25aやサービスDB25b、サービスポリシーDB25c、サービス履歴DB25dに記憶された各種の情報などを出力する。そして、入出力制御IF部23は、これら入力部21および出力部22によるデータの入出力を制御する手段であり、通信制御IF部24は、主にネットワーク事業者端末30との間における通信を制御する手段である。
【0060】
記憶部25は、制御部26による各種処理に必要なデータおよびプログラムを記憶する記憶部であり、特に本発明に密接に関連するものとしては、図11に示すように、ユーザDB25aと、サービスDB25bと、サービスポリシーDB25cと、サービス履歴DB25dとを備える。なお、上述したように、ユーザDB25aは、サービス利用者端末の評価値にかかわる情報を記憶する記憶手段(図4参照)であり、サービスDB25bは、サービス提供者が提供するサービスの情報を記憶する記憶手段(図5参照)であり、サービスポリシーDB25cは、サービスの提供にかかるポリシーを記憶する記憶手段(図6参照)であり、サービス履歴DB25dは、サービス利用者の情報を記憶する記憶手段(図7参照)である。
【0061】
制御部26は、各種の処理手順に規定したプログラムや制御データを格納するための内部メモリを有し、これらによって種々の処理を実行する制御手段であり、特に本発明に密接に関連するものとしては、図11に示すように、サービス制御部26a、履歴処理部26b、更新処理部26cとを備える。
【0062】
サービス制御部26aは、サービス利用者端末40からサービス要求を受付けた場合に、ユーザDB25aとサービスポリシーDBとを参照して、サービス要求を行ったサービス利用者端末40の評価値が、要求されたサービスに対応するサービス提供条件を満たすか否かを判定した上で、サービス利用者端末40に提供するサービスを制御する処理部である。
【0063】
また、履歴処理部26bは、サービス利用者に対するサービスの履歴を処理する処理部である。具体的には、サービス制御部26aによるサービス制御実行後に、サービス要求を行ったサービス利用者のユーザIDおよびユーザ名に対応付けて、サービス制御日時、サービスID、サービス制御に用いた評価値およびサービス制御の実行結果からなるサービス履歴をサービス履歴DB25dに登録する。
【0064】
更新処理部26cは、ネットワーク事業者端末30から、ステータス変化情報を取得した場合に、ユーザDB25の対応する情報を更新する処理部である。このステータス変化情報には、ユーザIDと、サービス利用者端末にかかる評価値とが含まれており、更新処理部26cは、ステータス変化情報に含まれるユーザIDを基にして、ユーザDB25に記録され、当該ユーザIDに対応する「評価値」を更新する。なお、変更処理部26cはユーザDB25aの更新日時も修正する。
【0065】
つぎに、ネットワーク事業者端末30の構成について説明する。図12は、ネットワーク事業者端末の構成を示す機能ブロック図である。同図に示すように、このネットワーク事業者端末30は、入力部31と、出力部32と、入出力制御IF部33と、通信制御IF部34と、記憶部35と、制御部36とを備えて構成される。
【0066】
このうち、入力部31は、各種の情報を入力する入力手段であり、キーボードやマウス、マイクなどによって構成される。なお、後述するモニタ(出力部32)も、マウスと協働してポインティングデバイス機能を実現する。
【0067】
出力部32は、各種の情報を出力する出力手段であり、モニタ(もしくはディスプレイ、タッチパネル)やスピーカなどによって構成され、例えば、上記の環境情報権利DB35aなどを出力する。そして、入出力制御IF部33は、これら入力部31および出力部32によるデータの入出力を制御する手段であり、通信制御IF部34は、主に環境管理局端末10やサービス提供者端末20、サービス利用者端末40との間における通信を制御する手段である。
【0068】
記憶部35は、制御部36による各種処理に必要なデータおよびプログラムを記憶する記憶部であり、特に本発明に密接に関連するものとしては、図12に示すように、環境情報管理DB35aは、サービス利用者端末40から送信されるハッシュ化された環境情報や、当該環境情報に対応する評価値を一時的に記憶する記憶手段(図8参照)である。
【0069】
制御部36は、各種の処理手順を規定したプログラムや制御データを格納するための内部メモリを有し、これらによって種々の処理を実行する制御手段であり、特に本発明に密接に関連するものとしては、図12に示すように、環境情報取得部36aと、評価依頼部36bと、ステータス変化通知部36cとを備える。
【0070】
ここで、環境情報取得部36aは、一定時間ごとにサービス利用者端末40に対してハッシュ化された環境情報(サービス利用者端末40の変化した環境にかかる環境情報)を要求し、環境情報を取得した場合(すなわち、サービス利用者端末40の環境が変化していた場合)に、取得した環境情報とユーザIDと関連付けて環境情報管理DB35aに登録する処理部である。
【0071】
また、環境情報取得部36aは、非同期にサービス利用者端末装置40からハッシュ化された環境情報を取得した場合にも、取得した環境情報とユーザIDとを関連付けて環境情報管理DB35aに登録する。
【0072】
評価依頼部36aは、環境情報取得部36aが環境情報を取得した場合に、当該環境情報を環境管理局端末10に送信して評価値の算出を依頼する処理部である。そして、評価依頼部36aは、環境管理局端末10から環境情報に対応する評価値を取得した場合に、取得した評価値と、環境情報とを対応付けて、環境情報管理DB35aに記録する。
【0073】
ステータス変化通知部36cは、環境情報管理DBに、ユーザID、ハッシュ化された環境情報および評価値が登録された場合に、当該登録された各情報(すなわち、ユーザIDおよび評価値の情報)を、ステータス変化情報としてサービス提供者端末20に送信する処理部である。
【0074】
つぎに、サービス利用者端末40の構成について説明する。図13は、サービス利用者端末の構成を示す機能ブロック図である。同図に示すように、このサービス利用者端末40は、入力部41と、出力部42と、入出力制御IF部43と、通信制御IF部44と、記憶部45と、制御部46とを備えて構成される。
【0075】
このうち、入力部41は、各種の情報を入力する入力手段であり、キーボードやマウス、マイクなどによって構成され、例えば、サービス要求にかかわる情報をサービス利用者から受付けて入力する。なお、後述するモニタ(出力部42)も、マウスと協働してポインティングデバイス機能を実現する。
【0076】
出力部42は、各種の情報を出力する出力手段であり、モニタ(もしくはディスプレイ、タッチパネル)やスピーカなどによって構成され、例えば、サービス提供者20から提供されたコンテンツなどを出力する。そして、入出力制御IF部43は、これら入力部41および出力部42によるデータの入出力を制御する手段であり、通信制御IF部44は、主にネットワーク事業者端末30やサービス提供者端末20(ネットワーク事業者端末30を介してもよい)との間における通信を制御する手段である。
【0077】
記憶部45は、制御部46による各種処理に必要なデータおよびプログラムを記憶する記憶部であり、特に本発明に密接に関連するものとしては、図13に示すように、管理情報テーブル45aを備える。なお、上述したように、管理情報テーブル45aは、サービス利用者端末40の環境にかかる情報を記憶する記憶手段である(図9参照)。
【0078】
制御部46は、各種の処理手順を規定したプログラムや制御データを格納するための内部メモリを有し、これらによって種々の処理を実行する制御手段であり、特に本発明に密接に関連するものとしては、図13に示すように、環境情報監視部46aと、環境情報収集部46bと、環境情報送信部46cとを備える。
【0079】
ここで、環境情報監視部46aは、サービス利用者端末40の環境を監視し、この環境の変化を検出した場合(例えば、ソフトウェアが新たにインストールされた場合や、ハードウェアが新たに接続された場合)には、環境の変化を検出した旨を環境情報収集部46bに通知する処理部である。
【0080】
環境情報収集部46bは、サービス利用者40が起動された場合に自らの環境情報を収集して管理情報テーブル45aに登録する処理部である。また、この環境情報収集部46bは、環境が変化した旨を環境情報監視部46aから通知された場合には、変化した環境にかかわる環境情報を収集し、収集した環境情報を管理情報テーブル45aに登録する。
【0081】
また、環境情報収集部46bは、ネットワーク事業者端末30から環境情報要求を受付けた場合には、自装置の環境が変化したか否かを環境情報監視部46aに判定要求し、自装置の環境が変化していると判定された場合には、変化した環境にかかわる環境情報を収集し、収集した環境情報を管理情報テーブル45aに登録する。
【0082】
環境情報送信部46cは、ネットワーク事業者端末30の要求に応じて、管理情報テーブルに記録された環境情報を送信する処理部である。具体的には、環境情報送信部46cは、管理情報テーブル45aから環境情報を読み出し、読み出した環境情報をハッシュ化したハッシュ化環境情報をネットワーク事業者端末30に送信する。なお、環境情報送信部46cは、環境情報監視部46が、自装置の環境変化を検出し、環境収集部46bによって当該変化した環境にかかる環境情報が管理情報テーブル45aに登録された場合に、登録された環境情報(変化した環境にかかる環境情報)をハッシュ化して、ネットワーク事業者端末30に送信する。
【0083】
つぎに、本実施例にかかるサービス制御システムによるサービス制御時(サービス利用者端末40が非同期に環境情報を送信する場合)の処理手順を説明する。図14は、本実施例にかかるサービス制御システムによるサービス制御時(サービス利用者端末が非同期に環境情報を送信する場合)の処理を示すフローチャートである。
【0084】
同図に示すように、サービス利用者端末40が、環境情報送信処理を行って、ハッシュ化環境情報をネットワーク事業者端末30に送信し(ステップS101)、ネットワーク事業者端末30が、ハッシュ化環境情報に対する評価値の算出を環境管理局端末10に依頼する(ステップS102)。
【0085】
そして、評価依頼を受けた環境管理局端末10は、ハッシュ化環境情報に対応する評価値を評価DB15aから読み出すことで評価値を算出し(ステップS103)、算出した評価値の結果をネットワーク事業者端末30に送信する(ステップS104)。
【0086】
その後、ネットワーク事業者端末30が、ユーザIDと、変化した環境の環境情報に係る評価値とからなるステータス変化情報をサービス提供者端末20に送信し、サービス提供者端末20は、ユーザDB25aを更新する(ステップS105)。
【0087】
続いて、サービス提供者端末20は、サービス利用者端末40からサービス要求を受付けた場合に、ユーザDB25aとサービスポリシーDB25cとを参照して、サービス利用者端末40にかかる評価値が、サービス提供条件を満たすか否かを判定した上でサービス利用者端末40に提供するサービスを制御する(ステップS106)。
【0088】
さらに、サービス提供者端末20は、サービス制御実行後に、サービス要求を行ったサービス利用者のユーザIDおよびユーザ名に対応付けて、サービス制御日時、サービスID、サービス制御に用いた評価値およびサービス制御の実行結果からなるサービス履歴をサービス履歴DB25dに登録する(ステップS107)。
【0089】
つぎに、図14のステップS101において示した環境情報送信処理について説明する。図15は、図14のステップS101において示した環境情報送信処理を示すフローチャートである。同図に示すように、環境情報送信処理において、サービス利用者端末40は、環境情報監視部(Watch Dog Softwareに対応する)46aのコード検証を実行する(ステップS201)。ここで、コード検証の結果、環境情報監視部46aが正常でない場合には、サービス利用者端末40は、エラーを出力部42に出力する。
【0090】
その後、環境情報監視部46aは、サービス利用者端末46aの環境が変化したか否かを判定し、環境が変化していない場合には(ステップS202,No)、監視処理を継続する(再び、ステップS202に移行)。一方、環境情報監視部46aが、環境が変化していると判定した場合には(ステップS202,Yes)、環境情報監視部46aは、環境が変化した旨を環境情報収集部46bに通知し、環境情報収集部46bは、イベント(差分)情報のログを収集する(ステップS203)。すなわち、環境情報収集部46bは、環境が変化した旨を環境情報監視部46aによって通知された際に、変化した環境にかかる環境情報のみを管理情報テーブル45aから収集する。
【0091】
そして、環境情報送信部46cは、収集ログ(変化した環境にかかる環境情報)への署名(ハッシュ化)を行い(ステップS204)、ハッシュ化した環境情報をネットワーク事業者端末30に送信し(ステップS205)、サービス利用者端末40は、環境情報送信処理を終了する。
【0092】
このように、サービス制御システムにおいて、サービス利用者端末40が、自装置の環境変化を検出した場合に、変化した環境にかかる環境情報をネットワーク事業者端末30に送信し、ネットワーク事業者端末30が環境管理局端末10に評価依頼を行った後、ステータス情報をサービス提供者端末20に送信し、サービス提供者端末20が、ユーザDBを更新して、サービス利用者端末に提供するサービスを制御するので、時々刻々と変化するサービス利用者端末40の環境に効率よく対処することができ、サービス提供にかかる信頼性を向上させることができる。
【0093】
つぎに、本実施例にかかるサービス制御システムによるサービス制御時(ネットワーク事業者端末30が環境情報の要求を定期的に行う場合)の処理手順を説明する。図16は、本実施例にかかるサービス制御システムによるサービス制御時(ネットワーク事業者端末が環境情報の要求を定期的に行う場合)の処理を示すフローチャートである。
【0094】
同図に示すように、ネットワーク事業者端末30は、時間をカウントし、一定時間経過したか否かを判定し、一定時間経過していない場合には(ステップS301,No)、時間のカウントを継続する(再びステップS301に移行)。一方、一定時間経過した場合には(ステップS301,Yes)、ネットワーク事業者端末30が、サービス利用者端末40に、環境情報取得命令を送信する(ステップS302)。
【0095】
サービス利用者端末40は、ネットワーク事業者端末30から、環境情報取得命令を取得したか否かを判定し、環境情報取得命令を取得していない場合には(ステップS303,No)、待機する(再び、ステップS303に移行)。一方、環境情報取得命令を取得した場合には(ステップS304,Yes)、サービス利用者端末40は、環境の変化を抽出し、変化した環境にかかわるハッシュ化環境情報をネットワーク事業者端末30に送信する(ステップS304)。
【0096】
その後、ネットワーク事業者端末30が、ハッシュ化環境情報に対する評価値の算出を環境管理局端末10に依頼し(ステップS305)、評価依頼を受けた環境管理局端末10は、ハッシュ化環境情報に対する評価値を評価DB15aから読み出すことで評価値を算出し(ステップS306)、算出した評価値の結果をネットワーク事業者端末30に送信する(ステップS307)。
【0097】
そして、ネットワーク事業者端末30が、ユーザIDと、変化した環境の環境情報に係る評価値とからなるステータス変化情報をサービス提供者端末20に送信し、サービス提供者端末20は、ユーザDB25aを更新する(ステップS308)。
【0098】
続いて、サービス提供者端末20は、サービス利用者端末40からサービス要求を受付けた場合に、ユーザDB25aとサービスポリシーDB25cとを参照して、サービス利用者端末40にかかる評価値が、サービス提供条件を満たすか否かを判定した上でサービス利用者端末40に提供するサービスを制御する(ステップS309)。
【0099】
さらに、サービス提供者端末20は、サービス制御実行後に、サービス要求を行ったサービス利用者のユーザIDおよびユーザ名に対応付けて、サービス制御日時、サービスID、サービス制御に用いた評価値およびサービス制御の実行結果からなるサービス履歴をサービス履歴DB25dに登録する(ステップS310)。
【0100】
このように、サービス制御システムにおいて、ネットワーク事業者端末30が、一定時間ごとに、サービス利用者端末40に対して環境情報を要求し、サービス利用者端末40が、自装置の環境変化を検出して、変化した環境にかかる環境情報をネットワーク事業者端末30に送信し、ネットワーク事業者端末30が環境管理局端末10に評価依頼を行った後、ステータス情報をサービス提供者端末20に送信し、サービス提供者端末20が、ユーザDBを更新して、サービス利用者端末に提供するサービスを制御するので、時々刻々と変化するサービス利用者端末40の環境に効率よく対処することができ、サービス提供にかかる信頼性を向上させることができる。
【0101】
上述してきたように、本実施例にかかるサービス制御システムは、サービス利用者端末40が、自装置の環境の変化を検出した場合に、変化した環境にかかる環境情報を抽出し、ネットワーク事業者30にハッシュ化環境情報を送信する。ネットワーク事業者端末30は、ハッシュ化環境情報にかかる評価依頼を環境管理局端末10に行い、環境管理局端末10は、環境情報に対する評価値を算出し、算出した評価値をネットワーク事業者端末30に送信し、ネットワーク事業者端末30は、ステータス変化情報をサービス提供者端末20に送信し、サービス利用者端末20は、ユーザDB25aを更新して、当該ユーザDB25aおよびサービスポリシーDB25cを参照して、サービス利用者に提供するサービスを制御するので、サービス利用者端末40の環境変化に臨機応変に対応することができ、サービス提供にかかわる信頼性を飛躍的に高めることができる。
【0102】
なお、本実施例では、サービス利用者端末40にかかる環境情報を基にして、サービス提供を制御したが、これに限定されるものではなく、例えば、サービス提供者端末20の環境情報も利用して、サービス提供を制御しても良い。すなわち、サービス提供者端末20に、環境変化を監視する監視処理部を設け、サービス提供者端末20の環境が変化した場合に、変化した環境にかかる環境情報を環境管理局端末10に評価依頼を行い、評価値を取得する。そして、サービス利用者端末40から、サービス要求を受付けた場合には、ユーザDB、サービスポリシーDBおよび自装置の評価値を基にして、サービス提供を行うか否かを判断し、サービス制御を行うことにより、信頼性を更に向上させることができる。
【0103】
なぜなら、サービス提供者端末20の環境も、ソフトウェアのアップグレードなどにより、時々刻々と変化しており、サービス利用者端末40に対して悪影響を与えてしまうソフトウェアをインストールしてしまう可能性があるからである。
【0104】
ところで、上記の実施例で説明した各種の処理は、予め用意されたプログラムをパーソナルコンピュータやワークステーションなどのコンピュータで実行することによって実現することができる。そこで、以下では、図17を用いて、上記の実施例と同様の機能を有するサービス制御プログラムを実行するコンピュータの一例を説明する。図17は、サービス制御プログラムを実行するコンピュータを示す図である。
【0105】
同図に示すように、コンピュータ100は、入力装置101、出力装置102、入出力制御IF装置103、通信制御IF装置104、RAM105、HDD106、ROM107およびCPU108をバス109で接続して構成される。ここで、入力装置101、出力装置102、入出力制御IF装置103および通信制御IF装置104は、図10〜図13に示した入力部11,21,31,41、出力部12,22,32,42、入出力制御IF部13,23,33,43、通信制御IF部14,24,34,44にそれぞれ対応する。
【0106】
そして、コンピュータ100が、「環境管理局端末」である場合には、ROM107には、評価値算出プログラム107aが予め記録されている。そして、CPU108が、評価値算出プログラム107aをROM107から読み出して実行することで、図17に示すように、評価値算出プログラム107aは、評価値算出プロセス108aとして機能するようになる。この評価値算出プロセス108aは、図10に示した評価値算出部16aに対応する。そして、CPU108は、HDD106からRAM105に呼び出した評価DB105a(図10に示した評価DB15aに対応する)を利用して、環境情報に対する評価値を算出する。
【0107】
また、コンピュータ100が、「サービス提供者端末」である場合には、ROM107には、サービス制御プログラム107b、履歴処理プログラム107c、更新処理プログラム107dが予め記録されている。そして、CPU108が、これらのプログラム107b〜107dを読み出して実行することで、図17に示すように、各プログラム107b〜107dは、サービス制御プロセス108b、履歴処理プロセス108c、更新処理プロセス108dとして機能するようになる。各プロセス108b〜108dは、図11に示したサービス制御部26a、履歴処理部26b、更新処理部26cにそれぞれ対応する。そして、CPU108は、HDD106からRAM105に読み出したユーザDB105b、サービスDB105c、サービスポリシーDB105d、サービス履歴DB105e(各DB105b〜105eは、図20に示したユーザDB25a、サービスDB25b、サービスポリシーDB25c、サービス履歴DB25dにそれぞれ対応する)を利用して、サービス提供を実行する。
【0108】
また、コンピュータ100が、「ネットワーク事業者端末」である場合には、ROM107には、環境情報取得プログラム107e、評価依頼プログラム107f、ステータス変化通知プログラム107gが予め記録されている。そして、CPU108がこれらのプログラム107e〜107gを読み出して実行することで、図17に示すように、各プログラム107e〜107gは、環境情報取得プロセス108e、評価依頼プロセス108f、ステータス変化通知プロセス108gとして機能するようになる。各プロセス108e〜108gは、図12に示した環境情報取得部36a、評価依頼部36b、ステータス変化通知部36cにそれぞれ対応する。そして、CPU108は、HDD106からRAM105に読み出した環境情報DB106f(図12に示した環境情報管理DB35aに対応する)を利用して、ハッシュ化環境情報取得、評価依頼またはステータス変化情報送信を行う。
【0109】
また、コンピュータ100が、「サービス利用者端末」である場合には、ROM107は、環境情報監視プログラム107h、環境情報収集プログラム107i、環境情報送信プログラム107jが予め記録されている。そして、CPU108がこれらのプログラム107h〜107jを読み出して実行することで、図17に示すように、各プログラム107h〜107jは、環境情報監視プロセス108h、環境情報収集プロセス108i、環境情報送信プロセス108jとして機能するようになる。各プロセス108h〜108jは、図13に示した環境情報監視部46a、環境情報収集部46b、環境情報送信部46cにそれぞれ対応する。そして、CPU108は、HDD106からRAM105に読み出した管理情報テーブル45a(図13に示した管理情報テーブル45aに対応する)を利用して、環境情報収集を実行する。
【0110】
ところで、上記した各プログラム107a〜107jは、必ずしも最初からROM107に記憶させておく必要はなく、例えば、コンピュータ100に挿入されるフレキシブルディスク(FD)、CD−ROM、MOディスク、DVDディスク、光磁気ディスク、ICカードなどの「可搬の物理媒体」、または、コンピュータ100の内外に備えられるハードディスクドライブ(HDD)などの「固定用の物理媒体」、さらには、公衆回線、インターネット、LAN、WANなどを介してコンピュータ30に接続される「他のコンピュータ(またはサーバ)」などに各プログラムを記憶させておき、コンピュータ100がこれらから各プログラムを読み出して実行するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0111】
以上のように、本発明にかかわる環境情報送信プログラム、環境情報送信方法およびサービス制御システムは、サービス提供者の端末から利用者の端末にネットワークを介して提供されるサービスを制御する場合に有用であり、特に、サービス利用者の端末に関わる環境情報の変化に対応しつつ、サービス制御を行うことに適する。
【図面の簡単な説明】
【0112】
【図1】本実施例にかかるサービス制御システムの概念を説明するための説明図である。
【図2】本実施例にかかるサービス制御システムのシステム構成を示すブロック図である。
【図3】評価DBのデータ構造の一例を示す図である。
【図4】ユーザDBのデータ構造の一例を示す図である。
【図5】サービスDBのデータ構造の一例を示す図である。
【図6】サービスポリシーDBのデータ構造の一例を示す図である。
【図7】サービス履歴DBのデータ構造の一例を示す図である。
【図8】環境情報管理DBのデータ構造の一例を示す図である。
【図9】管理情報テーブルのデータ構造の一例を示す図である。
【図10】環境管理局端末の構成を示す機能ブロック図である。
【図11】サービス提供者端末の構成を示す機能ブロック図である。
【図12】ネットワーク事業者端末の構成を示す機能ブロック図である。
【図13】サービス利用者端末の構成を示す機能ブロック図である。
【図14】本実施例にかかるサービス制御システムによるサービス制御時(サービス利用者端末が非同期に環境情報を送信する場合)の処理を示すフローチャートである。
【図15】図14のステップS101において示した環境情報送信処理を示すフローチャートである。
【図16】本実施例にかかるサービス制御システムによるサービス制御時(ネットワーク事業者端末が環境情報の要求を定期的に行う場合)の処理を示すフローチャートである。
【図17】サービス制御プログラムを実行するコンピュータを示す図である。
【符号の説明】
【0113】
10 環境管理局端末
11,21,31,41 入力部
12,22,32,42 出力部
13,23,33,43 入出力制御IF部
14,24,34,44 通信制御IF部
15,25,35,45 記憶部
16,26,36,46 制御部
16a 評価値算出部
15a,105a,106a 評価DB
20 サービス提供者端末
25a,105b,106b ユーザDB
25b,105c,106c サービスDB
25c,105d,106d サービスポリシーDB
25d,105e,106e サービス履歴DB
26a サービス制御部
26b 履歴処理部
26c 更新処理部
30 ネットワーク事業者端末
35a,105f,106f 環境情報管理DB
36a 環境情報取得部
36b 評価依頼部
36c ステータス変化通知部
40 サービス利用者端末
45a,105g,106g 管理情報テーブル
100 コンピュータ
101 入力装置
102 出力装置
103 入出力制御IF装置
104 通信制御IF装置
105 RAM
106 HDD
107 ROM
107a 評価値算出プログラム
107b サービス制御プログラム
107c 履歴処理プログラム
107d 更新処理プログラム
107e 環境情報取得プログラム
107f 評価依頼プログラム
107g ステータス変化通知プログラム
107h 環境情報監視プログラム
107i 環境情報収集プログラム
107j 環境情報送信プログラム
108 CPU
108a 評価値算出プロセス
108b サービス制御プロセス
108c 履歴処理プロセス
108d 更新処理プロセス
108e 環境情報取得プロセス
108f 評価依頼プロセス
108g ステータス変化通知プロセス
108h 環境情報監視プロセス
108i 環境情報収集プロセス
108j 環境情報送信プロセス
109 バス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サービスを提供するか否かを端末のソフトウェアおよび/またはハードウェアの環境に基づいて制御する制御装置に、当該端末の環境情報を送信する環境情報送信プログラムであって、
前記端末にかかる環境の変化を検出する環境変化検出手順と、
前記環境変化検出手順によって検出された環境の変化に係る情報を記録装置に記録する記録手順と、
前記記録手順によって前記記録装置に記録された環境の変化に係る情報を前記制御装置に送信する送信手順と、
をコンピュータに実行させることを特徴とする環境情報送信プログラム。
【請求項2】
前記環境変化検出手順は、一定時間ごとに前記端末に係る環境の変化を検出することを特徴とする請求項1に記載の環境情報送信プログラム。
【請求項3】
前記環境変化検出手順は、他の装置から前記端末に係る環境の変化に対する検出要求を受付けた場合に、当該端末に係る環境の変化を検出することを特徴とする請求項1または2に記載の環境情報送信プログラム。
【請求項4】
サービスを提供するか否かを端末のソフトウェアおよび/またはハードウェアの環境に基づいて制御する制御装置に、当該端末の環境情報を送信する環境情報送信方法であって、
前記端末にかかる環境の変化を検出する環境変化検出工程と、
前記環境変化検出工程によって検出された環境の変化に係る情報を記録装置に記録する記録工程と、
前記記録工程によって前記記録装置に記録された環境の変化に係る情報を前記制御装置に送信する送信工程と、
を含んだことを特徴とする環境情報送信方法。
【請求項5】
前記環境変化検出工程は、一定時間ごとに前記端末に係る環境の変化を検出することを特徴とする請求項4に記載の環境情報送信方法。
【請求項6】
前記環境変化検出工程は、他の装置から前記端末に係る環境の変化に対する検出要求を受付けた場合に、当該端末に係る環境の変化を検出することを特徴とする請求項4または5に記載の環境情報送信方法。
【請求項7】
サービス提供者の端末から利用者の端末にネットワークを介して提供されるサービスを制御するサービス制御システムであって、
前記利用者の端末に係る環境の変化を検出する環境変化検出手段と、
前記環境変化検出手段が抽出した環境の変化に係る情報を基に、前記利用者の端末に係る環境を評価して評価値を算出する評価値算出手段と、
前記評価値算出手段によって算出された評価値に基づいて、前記サービス提供者の端末から前記利用者の端末に提供されるサービスを制御するサービス制御手段と、
を備えたことを特徴とするサービス制御システム。
【請求項8】
前記環境変化検出手段は、一定時間ごとに前記利用者の端末にかかる環境の変化を検出することを特徴とする請求項7に記載のサービス制御システム。
【請求項9】
前記環境変化検出手段は、前記サービス提供者の端末と前記利用者の端末とを接続するネットワーク事業者の端末から、前記利用者の端末に対する環境の変化の検出要求を受付けた場合に、当該利用者の端末に対する環境の変化を検出することを特徴とする請求項7または8に記載のサービス制御システム。
【請求項10】
前記サービス提供者の端末にかかる環境の変化を検出する提供者環境検出手段を更に備え、前記評価値算出手段は、前記提供者環境検出手段によって検出された環境変化に係る情報を基に、前記サービス提供者の端末に係る環境を評価して当該サービス提供者の端末に係る評価値を更に算出し、前記サービス制御手段は、前記サービス提供者の端末および利用者の端末に係る評価値を基にして、前記サービス提供者の端末から前記利用者の端末に提供されるサービスを制御することを特徴とする請求項7、8または9に記載のサービス制御システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2007−66197(P2007−66197A)
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−253994(P2005−253994)
【出願日】平成17年9月1日(2005.9.1)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】