説明

環状アミン誘導体又はその塩

【課題】IL−6シグナル伝達阻害作用を有する新規化合物を見出し、IL−6の異常産生に伴う疾患に対する治療、予防又は抑制剤を提供すること。
【解決手段】下記一般式(1)で表される、化合物又はその塩。


(式中、Xは単結合等を示し、Y−Yは−CHNHC(O)CHN=等を示し、Zは単結合等を示し、R1a、R1b、R1c、R2a、R2b及びR2cは水素原子等を示し、R及びRは水素原子等を示す。ただし、R1a及びR2aが同時に水素原子を示すことはない。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、環状アミン誘導体又はその塩に関する。より詳細には、本発明は、インターロイキン−6(IL−6)シグナル伝達阻害作用を有する環状アミン誘導体又はその塩に関するものである。
【背景技術】
【0002】
サイトカインは、細胞間の情報伝達を担うタンパク質性因子である。サイトカインが持つ細胞増殖、分化などの生理活性は、細胞膜上のサイトカイン受容体とサイトカインが結合することによって発揮される。サイトカインの異常産生は、癌、炎症、アレルギー、自己免疫疾患等にも深く関与していることが報告されている(非特許文献1)。サイトカインの一つであるIL−6は多機能性サイトカインであり、1)活性化B細胞の抗体産生を誘導する、2)ハイブリドーマ、プラズマサイトーマ、ミエローマの増殖を誘導する、3)T細胞に作用し、増殖及び細胞傷害性T細胞への分化を誘導する、4)造血幹細胞を刺激し、多分化能コロニーを形成させる、5)肝細胞に作用し、炎症や組織の損傷に対する生体反応に起因する急性期タンパク質の合成を誘導する、6)骨髄性白血病細胞株の増殖を抑制し、マクロファージへの分化を誘導する、7)神経細胞の分化を誘導する等の機能を有することが知られている。従って、IL−6活性の制御の破綻は様々な重篤な疾患を引き起こす要因となる。そのような疾患の例として、関節リウマチ、血管炎症候群、二次性アミロイドーシス、キャッスルマン病、間質性肺炎(リンパ球性間質性肺炎;LIP)、増殖性糸球体腎炎、炎症性腸疾患(クローン病)、腎移植に伴う拒絶、骨粗鬆症、エイズ、IL−6産生腫瘍(多発性骨髄腫、腎癌、子宮頸癌、肺癌、心房粘液腫)及び悪液質等が挙げられる。
【0003】
これまでにIL−6の異常産生に伴う疾患に対して、ヒト型化抗ヒトIL−6受容体抗体(トシリズマブ)によるIL−6の機能阻害が、有効な治療法になることが示されている。しかし、トシリズマブはヒト型化抗体とはいえマウス由来の異種タンパク質を含むため、トシリズマブに対する抗体の出現を否定することはできず、トシリズマブの作用低下及びアナフィラキシー出現の危険性も完全に除外できない。また、トシリズマブは高分子(分子量150kD)であるため、静脈内投与を余儀なくされ、患者の利便性を著しく損なっている。さらにトシリズマブは高額であるため、経済的にも負担がかかる。従って、上記のIL−6の異常産生に伴う疾患の治療、予防又は抑制剤として優れた性質を有する化合物の開発が望まれている。
【0004】
現在、IL−6シグナル伝達阻害作用を有する化合物としては、特許文献1記載の下記式(A)で表される化合物や、特許文献2記載の下記式(B)で表される化合物が知られている。
【化1】

【化2】

【0005】
【特許文献1】特開2003−183161号明細書
【特許文献2】特開2002−265493号明細書
【非特許文献1】Kishimoto,T.ら、Science 258巻、p.593−597、1992年
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、IL−6シグナル伝達阻害作用を有する新規化合物を見出し、IL−6の異常産生に伴う疾患に対する治療、予防又は抑制剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、鋭意研究を行った結果、下記一般式(1)で表される新規環状アミン及びその塩が、IL−6シグナル伝達阻害作用を有することを見出し、本発明を完成した。
【0008】
すなわち、本発明は、以下の[1]〜[5]を提供する。
[1]下記一般式(1)で表される化合物又はその塩。
【化3】

(式中、
Xは、単結合又は−CH−を示し、
−Yは、式
【化4】

で表される基を示し、
Zは、単結合、−CH−又は−C(O)−を示し、
1a、R1b、R1c、R2a、R2b及びR2cは、同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子又はハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cアルキル基を示し、ただし、R1a及びR2aが同時に水素原子を示すことはなく、
及びRは、同一又は異なって、水素原子又はC〜Cアルキル基を示す。)
[2]Zが−CH−である、上記[1]記載の化合物又はその塩。
[3]Zが−CH−であり、R1aがハロゲン原子であり、R2aが水素原子である、上記[1]記載の化合物又はその塩。
[4]Zが−CH−であり、Xが単結合であり、R1aがハロゲン原子であり、R2aが水素原子であり、
−Yが式
【化5】

で表される基である、上記[1]記載の化合物又はその塩。
[5]Zが−CH−であり、Xが単結合であり、R1aがハロゲン原子であり、R2aが水素原子であり、
−Yが式
【化6】

で表される基である、上記[1]記載の化合物又はその塩。
【発明の効果】
【0009】
本発明の環状アミン誘導体及びその塩は、優れたIL−6シグナル伝達阻害作用を有する。従って、本発明の環状アミン誘導体及びその塩は、IL−6の異常産生に伴う疾患の治療、予防又は抑制に有効である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本明細書において使用する用語及び記号の意味を説明し、本発明の内容をより詳細に説明する。
【0011】
本明細書において、化合物の構造式を一定の異性体を用いて表すことがあるが、その構造式に限定する意図はなく、化合物の構造上生ずる総ての異性体(幾何異性体、鏡像異性体、立体異性体、互変異性体及び回転異性体等)及び異性体の混合物も当該化合物に含まれる。また、本発明に係る化合物に鏡像異性体が存在する場合、光学活性体及びラセミ体のいずれもが含まれる。
【0012】
「ハロゲン原子」とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子を意味する。
【0013】
「C〜Cアルキル基」とは、炭素数1〜6個の直鎖状又は分枝鎖状のアルキル基を意味し、具体例として、メチル基、エチル基、1−プロピル基、2−プロピル基、2−メチル−1−プロピル基、2−メチル−2−プロピル基、1−ブチル基、2−ブチル基、1−ペンチル基、2−ペンチル基、3−ペンチル基、2−メチル−1−ブチル基、3−メチル−1−ブチル基、2−メチル−2−ブチル基、3−メチル−2−ブチル基、2,2−ジメチル−1−プロピル基、1−へキシル基、2−へキシル基、3−へキシル基、2−メチル−1−ペンチル基、3−メチル−1−ペンチル基、4−メチル−1−ペンチル基、2−メチル−2−ペンチル基、3−メチル−2−ペンチル基、4−メチル−2−ペンチル基、2−メチル−3−ペンチル基、3−メチル−3−ペンチル基、2,3−ジメチル−1−ブチル基、3,3−ジメチル−1−ブチル基、2,2−ジメチル−1−ブチル基、2−エチル−1−ブチル基、3,3−ジメチル−2−ブチル基及び2,3−ジメチル−2−ブチル基が挙げられる。
【0014】
好ましい「C〜Cアルキル基」は、炭素数1〜3個の直鎖状又は分枝鎖状のアルキル基(以下、「C〜Cアルキル基」という)であり、具体例として、メチル基、エチル基、1−プロピル基及び2−プロピル基が挙げられる。
【0015】
「ハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cアルキル基」とは、上記「C〜Cアルキル基」及び上記「C〜Cアルキル基」における水素原子の一部又は全部が上記「ハロゲン原子」により置換された基を示し、具体例として、上記「C〜Cアルキル基」の他、フルオロメチル基、クロロメチル基、ブロモメチル基、ヨードメチル基、1−フルオロエチル基、1−クロロエチル基、2−クロロエチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、トリクロロメチル基及び2,2,2−トリフルオロエチル基が挙げられる。
【0016】
好ましい「ハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cアルキル基」は、「ハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cアルキル基」である。
【0017】
以下、本発明の化合物及びその塩の各記号の好ましい態様について説明する。
【0018】
上記R1a及びR2aは、一方が水素原子であり、他方がフッ素原子、塩素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基であることが好ましく、一方が水素原子であり、他方がフッ素原子又はトリフルオロメチル基であることがより好ましい。
【0019】
上記R1b、R1c、R2b及びR2cは水素原子であることが好ましく、R1a及びR2aは、式
【化7】

で表される位置で置換されていることが好ましい。このような位置で置換されているR1a及びR2aのうち、どちらか一方は水素原子であることがより好ましい。
【0020】
さらに好ましいR1a及びR2aの組合せとしては、以下の式で表される組合せが挙げられる。
【化8】

【0021】
上記R及びRは、共に水素原子であるか、或いは共にメチル基であることが好ましく、上記Xは、単結合であることが好ましく、上記Zは−CH−であることが好ましい。
【0022】
上記Y−Yのうち、
【化9】

で表される基は、E型であることが好ましい。
【0023】
上記Y−Yは式
【化10】

で表される基であることが好ましく、式
【化11】

で表される基であることがより好ましい。
【0024】
本発明の化合物の塩は、本発明の化合物と薬学上許容できる塩基(例えば、無機又は有機塩基)又は酸(例えば、無機又は有機酸)との塩を意味し、好ましくは酸との塩である。
【0025】
薬学上許容できる無機塩基から誘導される塩としては、例えば、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅、第一鉄、第二鉄、リチウム、マグネシウム、マンガン、亜マンガン酸、カリウム及びナトリウム等の無機塩基との塩(特に好ましくは、アンモニウム、カルシウム、マンガン、カリウム及びナトリウム塩)が挙げられる。
【0026】
薬学上許容できる有機塩基から誘導される塩としては、例えば、第一、第二、第三アミン、置換アミン(例えば天然に存在する置換アミン)、環状アミン並びに塩基性イオン交換樹脂等の有機塩基(例えば、アルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチルモルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リジン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トロメタミン等)との塩が挙げられる。
【0027】
薬学上許容できる無機酸から誘導される塩としては、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸等の無機酸との塩が挙げられる。
【0028】
薬学上許容できる有機酸から誘導される塩としては、例えば、酢酸、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、サリチル酸、ステアリン酸、パルミチン酸等の有機酸との塩が挙げられる。
【0029】
さらに、本発明の化合物及びその塩は、水和物又は溶媒和物として存在することもある。上述の好ましい化合物を含めて、上記一般式(1)で表される環状アミン誘導体及びその塩が形成する任意の水和物及び溶媒和物は、いずれも本発明の範囲に含まれる。溶媒和物を形成し得る溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、酢酸エチル、ジクロロメタン、ジイソプロピルエーテル等が挙げられる。
【0030】
本発明の化合物又はその塩は、種々の合成法によって製造することができる。以下、代表的な製造法(A法、B法、C法、D法、E法及びG法)について説明する。
【0031】
(A法)
【化12】

(上記スキーム中、R1a、R1b、R1c、R2a、R2b、R2c及びZは上記定義と同じであり、nは1〜3の整数を示す。)
【0032】
(第一工程)
本工程は、化合物(1)と化合物(2)とから化合物(3)を製造する工程である。本工程は、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)等の有機塩基又は炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸セシウム、酢酸ナトリウム等の無機塩基の存在下又は非存在下で、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、キシレン、メシチレン、ピリジン、キノリン、ジクロロメタン等の溶媒中で−20〜150℃で30分〜48時間処理することにより実施することができる。
【0033】
(第二工程)
本工程は、化合物(3)のニトロ基を還元して、化合物(4)を製造する工程である。本工程は、例えば化合物(3)に対して1〜20当量の鉄を用いて、酢酸中で常温〜100℃で1〜24時間処理することにより実施することができる。また、パラジウムやラネーニッケルを用いて、常温〜100℃で1〜24時間処理することにより実施することができる。
【0034】
(第三工程)
本工程は、化合物(4)をアシル化して化合物(6)を製造する工程である。本工程は適当な塩基の存在下に行うことが好ましい。本工程に用いる塩基としては、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N−メチルモルホリン、ピリジン、ルチジン、コリジン等の有機塩基又は炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸セシウム、リン酸三カリウム等の無機塩基が例示できる。本工程は、反応に関与しない不活性な溶媒を用いて行うことが好ましく、例えばN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジクロロメタン又はトルエン等が例示できる。これらの溶媒は単独であるいは任意の比で混合して用いられる。本工程は−20〜100℃で30分〜48時間処理することにより実施することができる。
【0035】
(第四工程)
本工程は、化合物(6)と化合物(7)とから化合物(8)を製造する工程である。本工程は、化合物(7)を化合物(6)に対して1〜20当量用いて、塩基の存在下又は非存在下で行うことができる。塩基を用いる場合、適当な塩基としては、例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N−メチルモルホリン、ピリジン、ルチジン、コリジン等の有機塩基又は炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸セシウム、リン酸三カリウム等の無機塩基が挙げられる。溶媒を用いる場合には、反応に関与しない不活性な溶媒、例えばN,N−ジメチルホルムアミド、スルホラン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジクロロメタン、トルエン、エタノール又は水等が用いられる。本工程は−20〜150℃で30分〜48時間処理することにより実施することができる。
【0036】
(B法)
【化13】

(上記スキーム中、R1a、R1b、R1c、R2a、R2b、R2c及びZは上記定義と同じである。)
【0037】
(第一工程)
本工程は、化合物(9)と化合物(2)とから化合物(10)を製造する工程である。本工程は、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、DBU等の有機塩基又は炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸セシウム、酢酸ナトリウム等の無機塩基の存在下又は非存在下で、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、キシレン、メシチレン、ピリジン、キノリン、ジクロロメタン等の溶媒中で−20〜150℃で30分〜48時間処理することにより実施することができる。
【0038】
(第二工程)
本工程は、化合物(10)と化合物(11)とから化合物(12)を製造する工程である。本工程は、例えば、水素化ナトリウム等の無機塩基の存在下で、テトラヒドロフラン、ジオキサン等の溶媒中で−20〜100℃で30分〜48時間処理することにより実施することができる。
【0039】
(第三工程)
本工程は、化合物(12)のエステル基を加水分解することにより化合物(13)を製造する工程である。本工程は、定法に従い、塩基存在下、反応に影響を及ぼさない溶媒中で行われる。塩基としては、例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属塩が挙げられる。反応に影響を及ぼさない溶媒としては、例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテル、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、水等が挙げられる。本工程は、通常、0〜150℃で30分〜48時間処理することにより実施することができる。
【0040】
(第四工程)
本工程は、化合物(13)と化合物(7)との縮合反応によって化合物(14)を製造する工程である。本工程で用いられる縮合剤としては、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、3−エチル−1−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDCI)又はジメチルイミダゾリニウムクロライド(DMC)等が挙げられ、これらは固体状又は適当な溶媒に溶かした溶液として添加される。本縮合反応において塩基を用いる場合には、炭酸水素ナトリウム又は炭酸カリウム等のアルカリ炭酸塩、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N−メチルモルホリン、ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン又は1,8−ビス(ジメチルアミノ)ナフタレン等の3級アミン類が例示できる。本縮合反応に用いる溶媒としては反応に関与しない不活性な溶媒、例えばN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチルエーテル、ジメトキシエタン、酢酸エチル、ジクロロメタン等が用いられる。本縮合反応は−20〜80℃で実施することができる。
また、本工程の縮合反応は、カルボン酸のハライド、カルボン酸のイミダゾリド、カルボン酸の活性エステルを経由して行うこともでき、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン等の有機塩基、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム等の無機塩基の存在下又は非存在下で、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチルエーテル、ジメトキシエタン、酢酸エチル、トルエン、ジクロロメタン等の溶媒中、−20〜80℃で30分〜48時間処理することにより実施することができる。
【0041】
(C法)
【化14】

(上記スキーム中、R1a、R1b、R1c、R2a、R2b及びR2cは上記定義と同じであり、Rはアルキル基等の基を示し、Wは酸素原子又はNHを示し、Yは窒素原子又はメチン基を示し、PGは保護基を示し、nは1〜3の整数を示す。PGで表される保護基としては、例えばアセチル基などのアシル基、tert−ブトキシカルボニル基などの低級アルコキシカルボニル基、及びベンジルオキシカルボニル基などの置換基を有してもよいアリールオキシカルボニル基などが挙げられる。)
【0042】
(第一工程)
本工程は、化合物(10)から化合物(15)を製造する工程である。本工程は、例えば、メタノール溶媒中、シアン化ナトリウムと過マンガン酸カリウムで、0〜100℃で30分〜48時間処理することにより実施することができる。なお、この場合の化合物(15)におけるRはメチル基となる。
【0043】
(第二工程)
本工程は、化合物(15)のエステル基を加水分解することにより化合物(16)を製造する工程である。本工程は、上記B法・第三工程に準じて行うことができる。
【0044】
(第三工程)
本工程は、化合物(16)と化合物(17)とから、Curtius転位反応により化合物(18)を製造する工程である。本工程は、例えば、トルエン溶媒中、トリエチルアミンなどの有機塩基存在下、ジフェニルホスホリルアジドで、0〜100℃で30分〜48時間処理することにより実施することができる。
【0045】
(第四工程)
本工程は、化合物(18)の脱保護を行って化合物(19)を製造する工程である。本工程は、公知の方法、例えば「Protecting Groups in Organic Synthesis (John Wily and Sons刊(1999年))」などに従い、化合物(18)における保護基PGを脱保護することで行うことができる。例えば、酸、塩基、ヒドラジン、テトラブチルアンモニウムフロリド、トリメチルシリルヨージドなどを使用する方法、還元法などが挙げられる。
【0046】
(第五工程)
本工程は、化合物(19)と化合物(20)とを脱水縮合して化合物(21)を製造する工程である。本工程は、通常、トリアセトキシボロハイドライドやシアノボロハイドライド等の還元剤とともに、ジクロロメタン、トルエン等の溶媒を用いて溶媒中で、−20〜100℃で30分〜48時間処理することにより実施することができる。
【0047】
(D法)
【化15】

(上記スキーム中、R1a、R1b、R1c、R2a、R2b、R2c、R、R及びZは上記定義と同じである。)
【0048】
(第一工程)
本工程は、化合物(10)のホルミル基を還元することにより化合物(22)を製造する工程である。本工程に用いる還元剤としては、水素化ホウ素ナトリウム、ジイソブチルアルミニウムハイドライド(DIBAL)、リチウムアルミニウムハイドライド、リチウムボロハイドライド等が挙げられる。本工程に用いる溶媒としては反応に関与しない不活性な溶媒、例えばメタノール、エタノール、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチルエーテル、ジメトキシエタン、酢酸エチル、ジクロロメタン等が用いられる。本工程は0〜100℃で30分〜48時間処理することにより実施することができる。
【0049】
(第二工程)
本工程は、化合物(22)から化合物(23)を製造する工程である。本工程は、化合物(22)とフタルイミドとを、酢酸、活性メチレン化合物などの弱酸、アゾジカルボン酸エチル、アゾジカルボン酸イソプロピルなどのアゾジカルボン酸エステル類、及びトリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィンなどのリン試薬の存在下反応させることにより実施することができる。本工程に用いる溶媒としては、反応に関与しない不活性な溶媒、例えばN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチルエーテル、ジメトキシエタン、ベンゼン、トルエン等が用いられる。本工程は−80〜100℃で30分〜48時間処理することにより実施することができる。
【0050】
(第三工程)
本工程は、化合物(23)からGabriel反応により化合物(24)を製造する工程である。本工程は例えば、エタノール溶媒中、ヒドラジン一水和物で、0〜100℃で30分〜48時間処理することにより実施することができる。
【0051】
(第四工程)
本工程は、化合物(24)と化合物(25)とから化合物(26)を製造する工程である。本工程は、上記A法・第三工程に準じて行うことができる。
【0052】
(第五工程)
本工程は、化合物(26)と化合物(7)とから化合物(27)を製造する工程である。本工程は、上記A法・第四工程に準じて行うことができる。
【0053】
(E法)
【化16】

(上記スキーム中、R1a、R1b、R1c、R2a、R2b、R2c、W、Y、PG及びnは上記C法における定義と同じである。)
【0054】
(第一工程)
本工程は、化合物(24)と化合物(17)とから化合物(28)を製造する工程である。本工程は、例えばカルボニルジイミダゾールを用いて、反応に関与しない不活性な溶媒、例えばテトラヒドロフラン、酢酸エチル、ベンゼン、トルエン、ジエチルエーテル、ジクロロメタンを用いて、必要に応じてピリジン、トリエチルアミンなどの塩基存在下行うことができる。本工程は0〜100℃で30分〜48時間処理することにより実施することができる。
【0055】
(第二工程)
本工程は、化合物(28)の脱保護を行って化合物(29)を製造する工程である。本工程は、上記C法・第四工程に準じて行うことができる。
【0056】
(第三工程)
本工程は、化合物(29)と化合物(20)とから化合物(30)を製造する工程である。本工程は、上記C法・第五工程に準じて行うことができる。
【0057】
(F法)
【化17】

(上記スキーム中、R1a、R1b、R1c、R2a、R2b、R2c及びZは上記定義と同じであり、nは1〜3の整数を示す。)
【0058】
(第一工程)
本工程は、化合物(31)と化合物(32)とから化合物(33)を製造する工程である。本工程は、上記A法・第一工程に準じて行うことができる。
【0059】
(第二工程)
本工程は、化合物(33)と化合物(5)とから化合物(34)を製造する工程である。本工程は、上記A法・第三工程に準じて行うことができる。
【0060】
(第三工程)
本工程は、化合物(34)と化合物(7)とから化合物(35)を製造する工程である。本工程は、上記A法・第四工程に準じて行うことができる。
【0061】
(G法)
【化18】

(上記スキーム中、R1a、R1b、R1c、R2a、R2b、R2c及びZは上記定義と同じである。)
【0062】
(第一工程)
本工程は、化合物(8)のカルボニル基を還元することにより化合物(36)を製造する工程である。本工程に用いる還元剤としては、水素化ホウ素ナトリウム、ボラン、ボラン−ジメチルスルフィド錯体、リチウムアルミニウムハイドライド、リチウムボロハイドライド等が挙げられる。本工程に用いる溶媒としては反応に関与しない不活性な溶媒、例えばN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチルエーテル、ジメトキシエタン、酢酸エチル、ジクロロメタン等が用いられる。本工程は−80〜100℃で30分〜48時間処理することにより実施することができる。
【0063】
(第二工程)
本工程は化合物(36)をアシル化して化合物(38)を製造する工程である。本工程は適当な塩基の存在下に行うことが好ましい。本工程に用いる塩基としては、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N−メチルモルホリン、ピリジン、ルチジン、コリジン等の有機塩基、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸セシウム又はリン酸三カリウム等の無機塩基が例示できる。本工程は、反応に関与しない不活性な溶媒を用いて行うことが好ましく、例えばN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジクロロメタン又はトルエン等が例示できる。これらの溶媒は単独であるいは任意の比で混合して用いられる。本工程は−20〜100℃で30分〜48時間処理することにより実施することができる。
【0064】
上述の方法等により合成される本発明の化合物は、通常の分離手段(例えば抽出、再結晶、蒸留、クロマトグラフィー等)によって単離、精製することができる。また、得られた化合物が塩を形成し得る場合には、通常の方法あるいはそれに準ずる方法(例えば中和等)によって各種の塩を製造することができる。
【0065】
本発明の化合物もしくはその塩は、単独で、又は適宜、薬理学的に許容される賦形剤、希釈剤等と混合し、例えば、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤若しくはシロップ剤等の製剤として経口的に、又は注射剤若しくは座剤等の製剤として非経口的に医薬組成物として投与することができる。
【0066】
これらの製剤は、賦形剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤、安定剤、矯味矯臭剤、希釈剤等の添加剤を用いて周知の方法で製造される。
【0067】
賦形剤は、有機系賦形剤又は無機系賦形剤であり得る。有機系賦形剤は、例えば、乳糖、白糖、葡萄糖、マンニトール、ソルビトールのような糖誘導体;トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、α澱粉、デキストリンのようなデンプン誘導体;結晶セルロースのようなセルロース誘導体;アラビアゴム;デキストラン;又はプルラン等であり得る。無機賦形剤は、例えば、軽質無機ケイ酸、合成ケイ酸アルミニウム、ケイ酸カルシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムのようなケイ酸塩誘導体;リン酸水素カルシウムのようなリン酸塩;炭酸カルシウムのような炭酸塩;又は硫酸カルシウムのような硫酸塩等であり得る。
【0068】
滑沢剤は、例えば、ステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウムのようなステアリン酸金属塩;タルク;コロイドシリカ;ビーガムのようなワックス類;アジピン酸;硫酸ナトリウムのような硫酸塩;グリコール;フマル酸;安息香酸ナトリウム;DL−ロイシン;脂肪酸ナトリウム;ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸マグネシウムのようなラウリル硫酸塩;無水ケイ酸、ケイ酸水和物のようなケイ酸類;又は上記デンプン誘導体であり得る。
【0069】
結合剤は、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシメチルプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、マクロゴール、又は上記賦形剤と同様の化合物であり得る。
【0070】
崩壊剤は、例えば、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、内部架橋カルボキシメチルセルロースナトリウムのようなセルロース誘導体;又はカルボキシメチルスターチ、カルボキシメチルスターチナトリウム、架橋ポリビニルピロリドンのような化学修飾されたデンプン・セルロース類であり得る。
【0071】
安定剤は、例えば、メチルパラベン、プロピルパラベンのようなパラヒドロキシ安息香酸エステル類;クロロブタノール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコールのようなアルコール類;塩化ベンザルコニウム;フェノール、クレゾールのようなクレゾール類;チメロサール;デヒドロ酢酸;又はソルビン酸であり得る。
【0072】
矯味矯臭剤は、例えば、通常使用される、甘味料、酸味料、香料であり得る。
【0073】
希釈剤は、例えば、注射用蒸留水、生理食塩水、ブドウ糖注射液等の通常使用されるものであり得る。
【0074】
本発明の化合物又はその塩の投与量は、その種類、投与ルート、患者の年齢、症状等により異なるが、例えば人を含む哺乳動物に対して、本発明の化合物又はその塩として0.001〜500mg/kg/日である。投与は例えば1日1回又は数回に分割して投与する。
【実施例】
【0075】
以下、参考例、実施例及び試験例に基づいて本発明をより詳細に説明する。参考例は、本発明化合物の製造に用いる原料化合物の製造例を示したものである。ただし、以下の参考例、実施例及び試験例は例示的なものであり、本発明はいかなる場合も以下の具体例に限定されるものではない。
【0076】
(参考例1)
2−(4−クロロフェニルチオ)ニトロベンゼン
【化19】

4−クロロチオフェノール(5.20g)をN−メチル−2−ピロリジノン(50mL)に溶かし、0℃に冷却後、炭酸カリウム(15g)加えた。0℃で15分撹拌した後、2−フルオロニトロベンゼン(5.00g)を滴下した。反応液を常温に戻し、1時間撹拌した。反応液を水にあけ、酢酸エチルで抽出し、有機層を水と飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥後、反応液を濃縮し、残渣をヘキサンに懸濁した。沈殿をろ取し、乾燥し、黄色固体として2−(4−クロロフェニルチオ)ニトロベンゼン(8.86g)を得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 6.86 (1H, dd, J = 7.5, 1.2 Hz), 7.24 (1H, td, J = 7.5, 1.2 Hz), 7.37 (1H, td, J = 7.5, 1.2 Hz), 7.46 (2H, d, J = 8.6 Hz), 7.52 (2H, d, J = 8.6 Hz), 8.23 (1H, dd, J = 7.5, 1.2 Hz).
【0077】
(参考例2)
2−(4−クロロフェニルチオ)アニリン
【化20】

2−(4−クロロフェニルチオ)ニトロベンゼン(参考例1の化合物:200mg)を酢酸(10mL)に溶かし、鉄粉(840mg)を加え、60℃で1.5時間撹拌した。反応液を氷にあけ、炭酸水素ナトリウムで塩基性とした。酢酸エチルで抽出し、有機層を飽和重曹水と飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥後、反応液を濃縮し、無色油状物として2−(4−クロロフェニルチオ)アニリン(181mg)を得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 4.11 (2H, br s), 6.72-6.78 (2H, m), 6.98 (2H, d, J = 8.6 Hz), 7.16 (2H, d, J = 8.6 Hz), 7.23 (1H, td, J = 7.6, 1.5 Hz), 7.42 (1H, dd, J = 7.6, 1.5 Hz).
【0078】
(参考例3)
2−クロロ−2’−(4−クロロフェニルチオ)アセトアニリド
【化21】

2−(4−クロロフェニルチオ)アニリン(参考例2の化合物:180mg)をジクロロメタン(2mL)に溶かし、ピリジン(0.2mL)を加えた。0℃に冷却後、クロロアセチルクロリド(0.06mL,0.75mmol)のジクロロメタン(0.5mL)溶液をゆっくりと滴下した。0℃で1時間撹拌した後、少量の水を加え反応を止めた。反応液を水にあけ酢酸エチルで抽出し、有機層を希塩酸と飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥後、反応液を濃縮し、褐色固体として2−クロロ−2’−(4−クロロフェニルチオ)−アセトアニリド(258mg)を得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 4.10 (2H, s), 7.03 (2H, d, J = 8.6 Hz), 7.17-7.23 (3H, m), 7.48 (1H, td, J = 7.9, 1.2 Hz), 7.62 (1H, dd, J = 7.9, 1.2 Hz), 8.45 (1H, dd, J = 7.9, 1.2 Hz), 9.42 (1H, s).
【0079】
(参考例4)
3−クロロ−2’−(4−クロロフェニルチオ)プロピオアニリド
【化22】

参考例3と同様の方法により、2−(4−クロロフェニルチオ)アニリン(参考例2の化合物:502mg)、及び3−クロロプロピオニルクロリド(0.22mL)から無色粉末として3−クロロ−2’−(4−クロロフェニルチオ)−プロピオアニリド(513mg)を得た。
1H -NMR (400 MHz, CDCl3) δ 2.72(2H, t, J = 6.1 Hz), 3.77(2H, t, J = 6.1 Hz), 6.99(2H, d, J = 8.6 Hz), 7.15(1H, t, J = 7.3 Hz), 7.22(2H, d, J = 8.6 Hz), 7.47(1H, t, J = 7.3 Hz), 7.57(1H, d, J = 7.3 Hz), 8.27(1H, brs), 8.46(1H, d, J = 7.3 Hz).
【0080】
(参考例5)
2−ブロモ−N−[2−(4−クロロフェニルチオ)フェニル]−2−メチルプロピルアミド
【化23】

2−(4−クロロフェニルチオ)アニリン(参考例2の化合物:202mg)をジクロロメタン(5mL)に溶解させ0℃に冷却し、トリエチルアミン(0.24mL)、α―ブロモイソブチリルブロミド(0.115mL)を加え、4時間常温で撹拌した。反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出し、有機層を水、飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥して溶媒を濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(Chromatrex,ヘキサン:酢酸エチル=10:1)により精製し、黄色油状物として2−ブロモ−N−[2−(4−クロロフェニルチオ)フェニル]−2−メチルプロピルアミド(310mg)を得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 1.86(6H, s), 7.01(2H, d, J = 8.6 Hz), 7.14-7.24(3H, m), 7.49(1H, t, J = 7.3 Hz), 7.62(1H, dd, J = 7.3, 1.2 Hz), 9.49(1H, brs).
【0081】
(参考例6)
2−(4−クロロフェニルチオ)ベンズアルデヒド
【化24】

4−クロロベンゼンチオール(3.01g)をN−メチル−2−ピロリジノン(30mL)に溶解し、氷冷下、炭酸カリウム(5.75g)、2−フルオロベンズアルデヒド(2.44g)を加え、80℃で2時間撹拌した。反応液を水にあけ、酢酸エチルで抽出し、有機層を水、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥して溶媒を濃縮した残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル60,0.040〜0.063mm;ヘキサン:酢酸エチル=20:1)で精製し、黄色粉末として2−(4−クロロフェニルチオ)ベンズアルデヒド(4.67g)を得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.08(1H, d, J = 7.9 Hz), 7.30-7.47(6H, m), 7.89(1H, dd, J = 7.9, 1.2 Hz), 10.36(1H, s).
【0082】
(参考例7)
(E)−3−[2−(4−クロロフェニルチオ)フェニル]アクリル酸エチル
【化25】

トリエチルホスホノアセテート(4.50g)をテトラヒドロフラン(30mL)に溶かし、0℃に冷却し、水素化ナトリウム(750mg)を加えた。0℃で15分撹拌した後、2−(4−クロロフェニルチオ)ベンズアルデヒド(参考例6の化合物:3.28g)のテトラヒドロフラン溶液(10mL)を滴下し、滴下後反応液を常温に戻し、2時間撹拌した。その後、少量の水を加えて反応を止めた。反応液を水にあけ、酢酸エチルで抽出し、有機層を水と飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥後、反応液を濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル60,0.040〜0.063mm;ヘキサン:酢酸エチル=100:1)で精製し、無色固体として(E)−3−[2−(4−クロロフェニルチオ)フェニル]アクリル酸エチル(4.19g)を得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 1.32 (3H, t, J = 7.2 Hz), 4.25 (2H, q, J = 7.2 Hz), 6.36 (1H, d, J = 15.9 Hz), 7.16 (2H, d, J = 9.2 Hz), 7.24 (2H, d, J = 9.2 Hz), 7.31-7.38 (3H, m), 7.64 (1H, dd, J = 7.0, 2.1 Hz), 8.21 (1H, d, J = 15.9 Hz).
【0083】
(参考例8)
(E)−3−[2−(4−クロロフェニルチオ)フェニル]アクリル酸
【化26】

(E)−3−[2−(4−クロロフェニルチオ)フェニル]アクリル酸エチル(参考例7の化合物:2.00g)をエタノール(40mL)に溶かし、水酸化ナトリウム水溶液(1mol/L、40mL)を加え、80℃で3時間撹拌した。反応液を氷にあけ、希塩酸で酸性にした。酢酸エチルで抽出し、有機層を水と飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥後、反応液を濃縮し、無色固体として(E)−3−[2−(4−クロロフェニルチオ)フェニル]アクリル酸(1.70g)を得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 6.38 (1H, d, J = 15.9 Hz), 7.17 (2H, d, J = 8.6 Hz), 7.26 (2H, d, J = 8.6 Hz), 7.34-7.39 (3H, m), 7.67 (1H, dd, J = 7.0, 2.1 Hz), 8.32 (1H, d, J = 15.9 Hz).
【0084】
(参考例9)
2−(4−クロロフェニルチオ)安息香酸メチル
【化27】

2−(4−クロロフェニルチオ)ベンズアルデヒド(参考例6の化合物:2.64g)をメタノール(30mL)に溶解させ、シアン化ナトリウム(2.58g)を加え常温で2時間撹拌後、二酸化マンガン(9.20g)を加え、2時間撹拌した。反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えセライトろ過した。濾液を酢酸エチルで抽出し、有機層を水、飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥して溶媒を濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(Chromatrex、ヘキサン:酢酸エチル=10:1)により精製し、無色粉末として2−(4−クロロフェニルチオ)安息香酸メチル(2.61g)を得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 3.95(3H, s), 6.81(1H, d, J = 7.9 Hz), 7.15(1H, t, J = 7.9 Hz), 7.23-7.31(1H, m), 7.40(2H, d, J = 8.6 Hz), 7.48(2H, d, J = 8.6 Hz), 7.98(1H, dd, J = 7.9, 1.2 Hz).
【0085】
(参考例10)
2−(4−クロロフェニルチオ)安息香酸
【化28】

2−(4−クロロフェニルチオ)安息香酸メチル(参考例9の化合物:1.57g)のメタノール(20mL)溶液に水酸化カリウム水溶液(1mol/L、17mL)を加え、2時間加熱還流した。反応液を濃縮し、塩酸(1mol/L)で酸性とした後、結晶をろ取し、水で洗浄後乾燥し無色粉末として2−(4−クロロフェニルチオ)安息香酸(1.44g)を得た。
1H-NMR(400 MHz, DMSO) δ 6.43(1H, dd, J = 7.3, 1.2 Hz), 6.90(1H, td, J = 7.3, 1.2 Hz), 7.06(1H, td, J = 7.3, 1.2 Hz), 7.167.26(4H, m), 7.58(1H, dd, J = 7.3, 1.2 Hz), 12.94(1H, brs).
【0086】
(参考例11)
4−{3−[2−(4−クロロフェニルチオ)フェニル]ウレイド}ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル
【化29】

2−(4−クロロフェニルチオ)安息香酸(参考例10の化合物:150mg)をトルエン(5mL)に溶解させ、ジフェニルホスホリルアジド(0.147mL)とトリエチルアミン(0.080mL)を加え3時間加熱還流した。放冷後、4−アミノ−1−tert−ブトキシカルボニルピペリジン(113mg)を加え、1時間撹拌した。反応液を酢酸エチルで希釈し、有機層を5%クエン酸水溶液、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、水、飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥して溶媒を濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(Chromatrex、ヘキサン:酢酸エチル=4:1)により精製し、無色アモルファスとして4−{3−[2−(4−クロロフェニルチオ)フェニル]ウレイド}ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル(188mg)を得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 1.17-1.32(2H, m), 1.45(9H, s), 1.88(2H, d, J = 9.8 Hz), 2.82(2H, t, J = 12.2 Hz), 3.60-2.76(1H, m), 3.92-4.20(2H, m), 4.46(1H, d, J = 7.3 Hz), 6.81(1H, d, J = 7.9 Hz), 7.15(1H, t, J = 7.9 Hz), 7.23-7.31(1H, m), 7.40(2H, d, J = 8.6 Hz), 7.48(2H, d, J = 8.6 Hz), 7.98(1H, dd, J = 7.9, 1.2 Hz).
【0087】
(参考例12)
4−{[2―(4−クロロフェニルチオ)フェニルカルバモイルオキシ]メチル}ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル
【化30】

参考例11と同様の方法により、2−(4−クロロフェニルチオ)安息香酸(参考例10の化合物:300mg)、及び4−ヒドロキシメチル−1−tert−ブトキシカルボニルピペリジン(292mg)から無色粉末として4−{[2―(4−クロロフェニルチオ)フェニルカルバモイルオキシ]メチル}ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル(450mg)を得た。
1H- NMR (400 MHz, CDCl3) δ 1.08-1.23(2H, m), 1.46(9H, s), 1.63(2H, d, J = 13.5 Hz), 1.73-1.85(1H, m), 2.62-2.73(2H, m), 3.97(2H, d, J = 6.7 Hz), 4.02-4.18(2H, m), 6.99(2H, d, J = 8.6 Hz), 7.08(1H, td, J = 7.3, 1.2 Hz), 7.20(2H, d, J = 8.6 Hz), 7.45(1H, td, J = 7.3, 1.2 Hz), 7.55(1H, dd, J = 7.3, 1.2 Hz), 7.63(1H, brs), 8.20(1H, d, J = 7.9 Hz).
【0088】
(参考例13)
1−[2−(4−クロロフェニルチオ)フェニル]−3−(ピペリジン−4−イル)ウレア
【化31】

4−{3−[2−(4−クロロフェニルチオ)フェニル]ウレイド}ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル(参考例11の化合物:185mg)をジクロロメタン(4mL)に溶解させ、氷冷下トリフルオロ酢酸(0.300mL)を加え、常温で一晩攪拌した。反応液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液によりアルカリ性とし酢酸エチルで抽出し、飽和食塩水で洗浄、硫酸ナトリウムで乾燥後濃縮し、無色アモルファスとして1−[2−(4−クロロフェニルチオ)フェニル]−3−(ピペリジン−4−イル)ウレア(150mg)を得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 1.50-1.68(2H, m), 2.00(2H, d, J = 11.0 Hz), 2.84(2H, t, J = 11.0 Hz), 3.26(2H, d, J = 11.0 Hz), 3.70-3.84(1H, m), 5.58(1H, brs), 6.97-7.07(3H, m), 7.17(2H, d, J = 8.6 Hz), 7.37(1H, t, J = 7.9 Hz), 7.42-7.50(2H, m), 8.09(1H, d, J = 7.9 Hz).
【0089】
(参考例14)
ピペリジン−4−イルメチル2−(4−クロロフェニルチオ)フェニルカーバメイト
【化32】

参考例13と同様の方法により、4−{[2―(4−クロロフェニルチオ)フェニルカルバモイルオキシ]メチル}ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル(参考例12の化合物:210mg)から無色アモルファスとしてピペリジン−4−イルメチル2−(4−クロロフェニルチオ)フェニルカーバメイト(165mg)を得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 1.24-1.39(2H, m), 1.72(2H, d, J = 12.8Hz), 1.75-1.87(1H, m), 2.67(2H, td, J = 12.2, 2.4 Hz), 3.21(2H, d, J = 12.2 Hz), 3.98(2H, d, J = 6.7 Hz), 6.99(2H, d, J = 8.6 Hz), 7.03(1H, td, J = 7.3, 1.8 Hz), 7.20(2H, d, J = 8.6 Hz), 7.45(1H, td, J = 7.3, 1.8 Hz), 7.54(1H, dd, J = 7.3, 1.8 Hz), 7.64(1H, s), 8.20(1H, d, J = 8.6 Hz).
【0090】
(参考例15)
[2−(4−クロロフェニルチオ)フェニル]メタノール
【化33】

2−(4−クロロフェニルチオ)ベンズアルデヒド(参考例6の化合物:1.50g)をメタノール(20mL)に溶解させ、水素化ホウ素ナトリウム(232mg)を加え常温で4時間撹拌した。反応液を水にあけ、酢酸エチルで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥して溶媒を濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(Chromatrex、ヘキサン:酢酸エチル=3:1)により精製し、無色油状物として[2−(4−クロロフェニルチオ)フェニル]メタノール(1.49g)を得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 4.77(2H, d, J = 6.7 Hz), 7.11(2H, d, J = 8.6 Hz), 7.20-7.31(3H, m), 7.34-7.41(2H, m), 7.53(1H, d, J = 7.3 Hz).
【0091】
(参考例16)
2−[2−(4−クロロフェニルチオ)ベンジル]イソインドリン−1,3−ジオン
【化34】

[2−(4−クロロフェニルチオ)フェニル]メタノール(参考例15の化合物:705mg)を無水テトラヒドロフラン(20mL)に溶解させ、フタルイミド(490mg)とトリフェニルホスフィン(880mg)、ジイソプロピルアゾジカルボキシラート(0.83mL)を加え、常温で一晩攪拌した。反応液を濃縮し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(Chromatrex、ヘキサン:酢酸エチル=10:1)により精製し、無色粉末として2−[2−(4−クロロフェニルチオ)ベンジル]イソインドリン−1,3−ジオン(1.01g)を得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 5.04(2H, s), 7.06(2H, d, J = 8.6 Hz), 7.15(2H, d, J = 8.6 Hz), 7.24-7.35(3H, m), 7.43(1H, d, J = 7.3 Hz), 7.67-7.75(2H, m), 7.78-7.84(2H, m).
【0092】
(参考例17)
[2−(4−クロロフェニルチオ)フェニル]メタナミン
【化35】

2−[2−(4−クロロフェニルチオ)ベンジル]イソインドリン−1,3−ジオン(参考例16の化合物:1.01g)をエタノール(10mL)に溶解させ、ヒドラジン一水和物(0.38mL)を加え、2時間加熱還流した。反応液をろ過、酢酸エチルで希釈後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、水、飽和食塩水で順次洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥して溶媒を濃縮し無色油状物として[2−(4−クロロフェニルチオ)フェニル]メタナミン(620mg)を得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 3.94(2H, s), 7.12(2H, d, J = 8.6 Hz), 7.19-7.27(3H, m), 7.30-7.38(2H, m), 7.44(1H, dd, J = 7.3, 1.8 Hz).
【0093】
(参考例18)
2−クロロ−N−[2−(4−クロロフェニルチオ)ベンジル]アセトアミド
【化36】

参考例3と同様の方法により、[2−(4−クロロフェニルチオ)フェニル]メタナミン( 参考例17の化合物:302mg)から無色粉末として2−クロロ−N−[2−(4−クロロフェニルチオ)ベンジル]アセトアミド(283mg)を得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3 ) δ 4.01(2H, s), 4.60(2H, d, J = 5.5 Hz), 6.93(1H, brs), 7.10(2H, d, J = 8.6 Hz), 7.21-7.28(2H, m), 7.30(1H, td, J = 7.3, 1.2 Hz), 7.41(1H, dd, J = 7.3, 1.2 Hz), 7.45(1H, dd, J = 7.3 , 1.2 Hz).
【0094】
(参考例19)
1−tert−ブトキシカルボニル−4−{3−[2−(4−クロロフェニルチオ)ベンジル]ウレイド}ピペリジン
【化37】

[2−(4−クロロフェニルチオ)フェニル]メタナミン(参考例17の化合物:250mg)をテトラヒドロフラン(2mL)に溶解させ、N,N’−カルボニルジイミダゾール(185mg)を加え1時間撹拌した。反応液に、4−アミノ−1−tert−ブトキシカルボニルピペリジン(221mg)を加え、常温で時間撹拌した。反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥して溶媒を濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル60,0.040〜0.063mm;ヘキサン:酢酸エチル=2:1)で精製し、淡黄色アモルファスとして1−tert−ブトキシカルボニル−4−{3−[2−(4−クロロフェニルチオ)ベンジル]ウレイド}ピペリジン(112mg)を得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 1.21-1.28(2H, m), 1.45(9H, s), 1.80-1.92(2H, m), 2.82(2H, t, J = 10.4 Hz), 3.60-3.72(1H, m), 3.90-4.06(3H, m), 4.44(2H, d, J = 6.1 Hz), 4.61(1H, d, J = 6.1 Hz), 7.08(2H, d, J = 8.6 Hz), 7.21-7.41(5H, m), 7.48(1H, d, J = 7.9 Hz).
【0095】
(参考例20)
1−[2−(4−クロロフェニルチオ)ベンジル]−3−(ピペリジン−4−イル)ウレア
【化38】

参考例13と同様の方法により、1−tert−ブトキシカルボニル−4−{3−[2−(4−クロロフェニルチオ)ベンジル]ウレイド}ピペリジン(参考例19の化合物:110mg)から淡黄色粉末として1−[2−(4−クロロフェニルチオ)ベンジル]−3−(ピペリジン−4−イル)ウレア(60.2mg)を得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 1.20-1.32(2H, m), 1.75-1.95(3H, m), 2.60-2.71(2H, m), 2.97-3.10(2H, m), 3.50-3.65(1H, m), 4.10(1H, d, J = 6.1 Hz), 4.44(1H, d, J = 6.1 Hz), 4.60-4.70(1H, m), 7.08(2H, d, J = 8.6 Hz), 7.15-7.40(5H, m), 7.49(1H, d, J = 7.3 Hz).
【0096】
(参考例21)
2−(ベンジルチオ)−5−(トリフルオロメチル)ベンズアルデヒド
【化39】

炭酸カリウム(2.2g)をN−メチル−2−ピロリジノン(5mL)に懸濁し、氷冷下、ベンジルメルカプタン(0.62mL)を加え、その後2−フルオロ−5−(トリフルオロメチル)ベンズアルデヒド(1.00g)を滴下した。常温で1日撹拌後、反応液を水にあけ、酢酸エチルで抽出した。有機層を水と飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル60,0.040〜0.063mm;ヘキサン:酢酸エチル=20:1)で精製し、淡黄色固体として2−(ベンジルチオ)−5−(トリフルオロメチル)ベンズアルデヒド(1.77g)を得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 4.22 (2H, s), 7.27-7.36 (5H, m), 7.53 (1H, d, J = 8.0 Hz), 7.69 (1H, dd, J = 8.0, 2.0 Hz), 8.05 (1H, d, J = 2.0 Hz), 10.25 (1H, s).
【0097】
(参考例22)
[2−(ベンジルチオ)−5−(トリフルオロメチル)フェニル]メタノール
【化40】

参考例15と同様の方法により、2−(ベンジルチオ)−5−(トリフルオロメチル)ベンズアルデヒド(参考例21の化合物:770mg)から、淡黄色固体として[2−(ベンジルチオ)−5−(トリフルオロメチル)フェニル]メタノール(721mg)を得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 1.90 (1H, t, J = 6.3 Hz), 4.17 (2H, s), 4.71 (2H, d, J = 6.3 Hz), 7.25-7.33 (5H, m), 7.41 (1H, d, J = 7.9 Hz), 7.47 (1H, dd, J = 8.3, 1.5 Hz), 7.67 (1H, d, J = 1.5 Hz).
【0098】
(参考例23)
2−[2−(ベンジルチオ)−5−(トリフルオロメチル)ベンジル]イソインドリン−1,3−ジオン
【化41】

参考例16と同様の方法により、[2−(ベンジルチオ)−5−(トリフルオロメチル)フェニル]メタノール(参考例22の化合物:720mg)から、白色固体として2−[2−(ベンジルチオ)−5−(トリフルオロメチル)ベンジル]イソインドリン−1,3−ジオン(617mg)を得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 4.22 (2H, s), 4.97 (2H, s), 7.27-7.34 (6H, m), 7.38-7.41 (2H, m), 7.76 (2H, dd, J = 6.0, 3.0 Hz), 7.90 (2H, dd, J = 6.0, 3.0 Hz).
【0099】
(参考例24)
[2−(ベンジルチオ)−5−(トリフルオロメチル)フェニル]メタナミン
【化42】

参考例17と同様の方法により、2−[2−(ベンジルチオ)−5−(トリフルオロメチル)ベンジル]イソインドリン−1,3−ジオン(参考例23の化合物:300mg)から、無色油状物として[2−(ベンジルチオ)−5−(トリフルオロメチル)フェニル]メタナミン(229mg)を得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 3.90 (2H, s), 4.18 (2H, s), 7.27-7.33 (5H, m), 7.38 (1H, d, J = 7.9 Hz), 7.43 (1H, dd, J = 7.9, 1.5 Hz), 7.59 (1H, d, J = 1.5 Hz).
【0100】
(参考例25)
N−[2−(ベンジルチオ)−5−(トリフルオロメチル)ベンジル]−2−クロロアセトアミド
【化43】

参考例3と同様の方法により、[2−(ベンジルチオ)−5−(トリフルオロメチル)フェニル]メタナミン(参考例24の化合物:229mg)から無色固体としてN−[2−(ベンジルチオ)−5−(トリフルオロメチル)ベンジル]−2−クロロアセトアミド(219mg)を得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 4.07 (2H, s), 4.19 (2H, s), 4.52 (2H, d, J = 6.1 Hz), 6.96 (1H, br s), 7.28-7.34 (5H, m), 7.43 (1H, d, J = 8.3 Hz), 7.48 (1H, dd, J = 8.3, 1.8 Hz), 7.53 (1H, d, J = 1.8 Hz).
【0101】
(参考例26)
2−(ベンジルチオ)−5−(トリフルオロメチル)アニリン
【化44】

2−アミノ−4−(トリフルオロメチル)チオフェノール(2.30g)をN−メチル−2−ピロリジノン(50mL)に溶かし、カリウムエトキシド(850mg)を加えた。常温で30分撹拌した後、反応液を0℃に冷却して、ベンジルブロミド(1.19mL)を加えた。反応液を常温に戻し、3時間撹拌した。反応液を水にあけ、酢酸エチルで抽出した後、有機層を水と飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル60,0.040〜0.063mm;ヘキサン:酢酸エチル=20:1)で精製し、淡黄色固体として2−(ベンジルチオ)−5−(トリフルオロメチル)アニリン(1.41g)を得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 3.94 (2H, s), 4.40 (2H, br s), 6.83 (1H, dd, J = 7.9, 1.2 Hz), 6.90 (1H, d, J = 1.2 Hz), 7.14-7.16 (2H, m), 7.22-7.28 (4H, m).
【0102】
(参考例27)
−ベンジル−4−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イルカルボニル)−3,5−ジメチルピペラジン
【化45】

塩化チオニル(8.0mL)にピペロニル酸(1.67g)を加えて2時間加熱還流した。反応液を減圧留去して黄色残渣が得られた。1−ベンジル−2,6−ジメチルピペラジン(WO2005058327に記載の方法で調製した;2.05g)及びトリエチルアミン(7.0mL)をテトラヒドロフラン(20mL)に溶かし、上記黄色残渣のテトラヒドロフラン(5mL)溶液を氷冷下で加えて、更に1時間撹拌後、常温で2時間撹拌した。反応液を酢酸エチルで希釈して、水及び飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸ナトリウム上乾燥した。溶媒を留去して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル60,0.040〜0.063mm;ヘキサン:酢酸エチル=2:1)で精製し、淡黄色油状物として1−ベンジル−4−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イルカルボニル)−3,5−ジメチルピペラジンを得た(3.00g)。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 1.38 (6H, d, J = 7.3 Hz), 2.18 (2H, dd, J = 11.0 and 4.3 Hz), 2.65 (2H, d, J = 11.0 Hz), 4.20-4.40 (2H, br), 5.98 (2H, s), 6.78-6.86 (3H, m), 7.22-7.38 (5H, s).
【0103】
(参考例28)
1−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イルカルボニル)−2,6−ジメチルピペラジン
【化46】

1−ベンジル−4−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イルカルボニル)−3,5−ジメチルピペラジン(参考例27の化合物:2.95g)をEtOH(200mL)に溶かし、常温で10%Pd−C(800mg)を加えた。反応液を水素ガス雰囲気下、5kgf/cmの圧力で常温で8時間撹拌した。反応液をろ過後、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(Chromatrex;EtOAc)で精製し、無色固体として1−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イルカルボニル)−2,6−ジメチルピペラジンを得た(1.83g)。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 1.35 (6H, d, J = 6.7 Hz), 2.83 (2H, d, J = 12.2 Hz), 2.89 (2H, dd, J = 12.2 and 4.3 Hz), 4.15-4.35 (2H, br), 5.99 (2H, s), 6.80-6.86 (3H, m).
【0104】
(参考例29)
2,6−ジメチル−1−ピペロニルピペラジン
【化47】

1−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イルカルボニル)−2,6−ジメチルピペラジン(参考例28の化合物:1.00g)をTHF(20mL)とEtO(100mL)に溶かし、常温でリチウムアルミニウムハイドライド(300mg)を加えた。反応液を常温で5時間撹拌した後、反応液を水にあけ、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(Chromatrex;EtOAc)で精製し、淡黄色油状物として2,6−ジメチル−1−ピペロニルピペラジンを得た(725mg)。
1H-NMR (400 MHz, 400 MHz, CDCl3) δ 1.00 (6H, d, J = 5.5 Hz), 2.42-2.58 (4H, m), 2.87 (2H, d, J = 8.6 Hz), 3.74 (2H, s), 5.93 (2H, s), 6.74 (1H, d, J = 7.9 Hz), 6.79 (1H, dd, J = 7.9 and 1.2 Hz), 6.92 (1H, d, J = 1.2 Hz).
【0105】
(実施例1)
2−(4−ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イルメチル−ピペラジン−1−イル)−N−[2−(4−クロロフェニルチオ)フェニル]アセトアミド
【化48】

2−クロロ−2’−(4−クロロフェニルチオ)−アセトアニリド(参考例3の化合物:90mg)と1−ピペロニルピペラジン(120mg)とトリエチルアミン(0.3mL)をジクロロメタン(3mL)に溶解し、12時間加熱還流した。反応液を水にあけ、酢酸エチルで抽出し、有機層を水と飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥後、反応液を濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル60,0.040〜0.063mm;ヘキサン:酢酸エチル=2:1→1:1)で精製し、無色油状物として2−(4−ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イルメチル−ピペラジン−1−イル)−N−[2−(4−クロロフェニルチオ)フェニル]アセトアミド(99mg)を得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 2.29 (4H, br s), 2.47 (4H, br s), 3.06 (2H, s), 3.35 (2H, s), 5.94 (2H, s), 6.70-6.77 (2H, m), 6.82 (1H, d, J = 1.4 Hz), 6.91 (2H, d, J = 8.6 Hz), 7.13 (1H, td, J = 7.6, 1.4 Hz), 7.19 (2H, d, J = 8.6 Hz), 7.47 (1H, td, J = 7.6, 1.4 Hz), 7.57 (1H, dd, J = 7.6, 1.4 Hz), 8.58 (1H, dd, J = 8.3, 1.4 Hz), 10.25 (1H, s).
MS(FAB+)m/z:469(M+H+).
HRMS(FAB+) for C25H27ClN3O2S [M+H]+: calcd, 496.1462; found, 496.1488.
【0106】
(実施例2)
3−(4−ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イルメチル−ピペリジン−1−イル)−N−[2−(4−クロロフェニルチオ)フェニル]プロパンアミド
【化49】

実施例1と同様の方法により、3−クロロ−2’−(4−クロロフェニルチオ)−プロピオアニリド(参考例4の化合物:79.5mg)、及び1−ピペロニルピペラジン(109mg)から無色粉末として3−(4−ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イルメチル−ピペリジン−1−イル)−N−[2−(4−クロロフェニルチオ)フェニル]プロパンアミド(90.8mg)を得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 2.25-2.65(12H, m), 3.30(2H, s), 5.94(2H, s), 6.69(1H, d, J = 7.9 Hz), 6.74(1H, d, J = 7.9 Hz), 6.81(1H, d, J = 1.8 Hz), 6.98(2H, d, J = 8.6 Hz), 7.11(1H, td, J = 7.9, 1.2 Hz), 7.22(2H, d, J = 8.6 Hz), 7.42(1H, t, J = 7.9 Hz), 7.46(1H, dd, J = 7.9, 1.2 Hz), 8.28 (1H, d, J = 7.9 Hz), 10.53(1H, brs).
FABMS (M+H): 510
HRMS(FAB+) for C27H29ClN3O2S [M+H]+: calcd, 510.1618; found, 510.1597.
【0107】
(実施例3)
2−(4−ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イルメチル−ピペラジン−1−イル)−N−[2−(4−クロロフェニルチオ)フェニル]−2−メチルプロパンアミド
【化50】

2−ブロモ−N−[2−(4−クロロフェニルチオ)フェニル]−2−メチルプロピルアミド(参考例5の化合物:100mg)をN,N−ジメチルアセトアミド(5mL)に溶解させ、炭酸カリウム(75mg)、1−ピペロニルピペラジン(115mg)を加え、80℃で4時間加熱撹拌した。反応液を水にあけ、酢酸エチルで抽出し、有機層を水、飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥して溶媒を濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル60,0.040〜0.063mm;ヘキサン:酢酸エチル=5:1→1:1)で精製し、無色アモルファスとして2−(4−ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イルメチル−ピペラジン−1−イル)−N−[2−(4−クロロフェニルチオ)フェニル]−2−メチルプロパンアミド(88.0mg)得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 1.11(6H, s), 2.17-2.55(8H, m), 3.34(2H, s), 5.94(2H, s), 6.68-6.76(2H, m), 6.81(1H, s), 6.91(2H, d, J = 8.6 Hz), 7.11(1H, td, J = 7.3, 1.2 Hz), 7.20(2H, d, J = 8.6 Hz), 7.47(1H, t, td, J = 7.3 Hz), 7.57(1H, dd, J = 7.3, 1.2 Hz), 8.60(1H, dd, J = 7.3, 1.2 Hz), 10.37(1H, s).
ESIMS (M+H): 524
HRMS(ESI+) for C28H31ClN3O3S [M+H]+: calcd, 524.17746; found, 524.17527.
【0108】
(実施例4)
(1−[4−(ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イルメチル)ピペラジン−1−イル]−3−[2−(4−クロロフェニルチオ)フェニル]プロペン−1−オン
【化51】

(E)−3−[2−(4−クロロフェニルチオ)フェニル]アクリル酸(参考例8の化合物:100mg)、1−ピペロニルピペラジン(120mg)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(60mg)をジクロロメタン(4mL)に溶かし、N−エチル−N’−3−ジメチルアミノプロピルカルボジイミド塩酸塩(120mg)を加え、常温で一日撹拌した。反応液を水にあけ、酢酸エチルで抽出し、有機層を水と飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥後、反応液を濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル60,0.040〜0.063mm;ヘキサン:酢酸エチル=1:1)で精製し、無色アモルファスとして(1−[4−(ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イルメチル)ピペラジン−1−イル]−3−[2−(4−クロロフェニルチオ)フェニル]プロペン−1−オン(152mg)を得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 2.45 (4H, br s), 3.47 (2H, s), 3.56 (2H, br s), 3.72 (2H, br s), 5.94 (2H, s), 6.70-6.75 (3H, m), 6.85 (1H, s), 7.12 (2H, d, J = 8.6 Hz), 7.21 (2H, d, J = 8.6 Hz), 7.26-7.37 (3H, m), 7.59 (1H, dd, J = 7.3, 1.8 Hz), 8.03 (1H, d, J = 15.3 Hz).
ESIMS (M+H): 493
HRMS(FAB+) for C27H25ClN2O3S [M+H]+: calcd, 493.1353; found, 493.1350.
【0109】
(実施例5)
1−[1−(ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イルメチル)ピペリジン−4−イル]−3−[2−(4−クロロフェニルチオ)フェニル]ウレア
【化52】

1−[2−(4−クロロフェニルチオ)フェニル]−3−(ピペリジン−4−イル)ウレア(参考例13の化合物:70.0mg)をジクロロメタン(2mL)に溶解させ、ピペロナール(30.0mg)、酢酸(0.025mL)、水素化トリアセトキシホウ素ナトリウム(61.0mg)を加え、常温で8時間撹拌した。反応液に水を加え、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で塩基性とした後、酢酸エチルで抽出し、有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥して溶媒を濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(Chromatrex,ヘキサン:酢酸エチル=2:1)により精製し、無色粉末として1−[1−(ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イルメチル)ピペリジン−4−イル]−3−[2−(4−クロロフェニルチオ)フェニル]ウレア(49.2mg)得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 1.32-1.45(2H, m), 1.87(2H, d, J = 11.0 Hz), 2.04(2H, t, J = 11.0 Hz), 2.76(2H, d, J = 11.0 Hz), 3.28(2H, s), 3.46-3.60(1H, m), 4.35(1H, d, J = 7.3 Hz), 5.94(2H, s), 6.68-6.76(2H, m), 6.83(1H, s), 6.97(2H, d, J = 8.6 Hz), 7.04(1H, td, J = 7.3, 1.2 Hz), 7.15(1H, brs), 7.20(2H, d, J = 8.6 Hz), 7.42(1H, t, J = 7.3 Hz), 7.49(1H, dd, J = 7.3, 1.2 Hz), 8.20(1H, d, J = 7.3 Hz).
ESIMS (M+H): 496
HRMS(FAB+) for C26H27ClN3O3S [M+H]+: calcd, 496.14616; found, 496.14541.
【0110】
(実施例6)
[1−(ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イルメチル)ピペリジン−4−イル]メチル2−(4−クロロフェニルチオ)フェニルカーバメイト
【化53】

実施例5と同様の方法により、ピペリジン−4−イルメチル2−(4−クロロフェニルチオ)フェニルカーバメイト(参考例14の化合物:160mg)から無色油状物として[1−(ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イルメチル)ピペリジン−4−イル]メチル2−(4−クロロフェニルチオ)フェニルカーバメイト(123mg)を得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 1.23-1.35(3H, m), 1.55-1.67(2H, m), 1.91(2H, t, J = 11.6 Hz), 2.87(2H, d, J = 11.6 Hz), 3.39(2H, s), 3.97(2H, d, J = 5.5 Hz), 5.93(2H, s), 6.60-6.72(2H, m), 6.84(1H, s), 6.98(2H, d, J = 8.6 Hz), 7.07(1H, td, J = 7.3, 1.2 Hz), 7.19(2H, d, J = 8.6, Hz), 7.44(1H, td, J = 7.3, 1.2 Hz), 7.54(1H, dd, J = 7.3, 1.2 Hz), 7.62(1H, brs), 8.21(1H, d, J = 7.9 Hz).
ESIMS (M+H): 511
HRMS(FAB+) for C27H28ClN2O4S [M+H]+: calcd, 511.14683; found, 511.14564.
【0111】
(実施例7)
2−(4−ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イルメチル−ピペラジン−1−イル)−N−[2−(4−クロロフェニルチオ)ベンジル]アセトアミド
【化54】

実施例1と同様の方法により、2−クロロ−N−[2−(4−クロロフェニルチオ)ベンジル]アセトアミド(参考例18の化合物:80.5mg)から無色粉末として2−(4−ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イルメチル−ピペラジン−1−イル)−N−[2−(4−クロロフェニルチオ)ベンジル]−アセトアミド(116mg)を得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 2.30-2.54(8H, m), 2.98(2H, s), 3.39(2H, s), 4.56(2H, d, J = 6.1 Hz), 5.94(2H, s), 6.69-6.76(2H, m), 6.82(1H, s), 7.10(2H, d, J = 8.6 Hz), 7.22-7.39(5H, m), 7.43(1H, d, J = 7.3 Hz), 7.59(1H, brs).
ESIMS (M+H): 510
HRMS(FAB+) for C27H29ClN3O3S [M+H]+: calcd, 510.16181; found, 510.16131.
元素分析値 found: C, 63.54; H, 5.63; N, 8.02. calcd. for C27H28ClN3O3S: C, 63.58; H, 5.53; N, 8.24.
【0112】
(実施例8)
2−[4−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)ピペラジン−1−イル]−N−[2−(4−クロロフェニルチオ)ベンジル]アセトアミド
【化55】

2−クロロ−N−[2−(4−クロロフェニルチオ)ベンジル]アセトアミド(参考例18の化合物:50.0mg)をジクロロメタン(3mL)に溶かし、1−フェニルピペラジン(60.0mg)とジイソプロピルエチルアミン(0.2mL)を加え、常温で1日撹拌した。反応液を水にあけ、酢酸エチルで抽出し、有機層を水と飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥後、反応液を濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル60,0.040〜0.063mm;ヘキサン:酢酸エチル=2:1)で精製し、無色油状物として2−[4−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)ピペラジン−1−イル]−N−[2−(4−クロロフェニルチオ)ベンジル]アセトアミド(60.0 mg)を得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 2.62 (4H, t, J = 4.9 Hz), 3.01 (4H, t, J = 4.9 Hz), 3.04 (2H, s), 4.57 (2H, d, J = 6.1 Hz), 5.90 (2H, s), 6.32 (1H, dd, J = 8.6, 2.4 Hz), 6.52 (1H, d, J = 2.4 Hz), 6.72 (1H, d, J = 8.6 Hz), 7.06-7.12 (2H, m), 7.20-7.38 (4H, m), 7.45 (1H, dd, J = 7.3, 1.2 Hz), 7.58 (1H, d, J = 5.5 Hz).
【0113】
(実施例9)
2−[4−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イルカルボニル)−3,5−ジメチルピペラジン−1−イル]−N−[2−(4−クロロフェニルチオ)ベンジル]アセトアミド
【化56】

実施例1と同様の方法により、2−クロロ−N−[2−(4−クロロフェニルチオ)ベンジル]アセトアミド(参考例18の化合物:130mg)と、1−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イルカルボニル)−2,6−ジメチルピペラジン(111mg)から、無色アモルファスとして2−[4−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イルカルボニル)−3,5−ジメチルピペラジン−1−イル]−N−[2−(4−クロロフェニルチオ)ベンジル]アセトアミド(220mg)を得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 1.27 (6H, d, J = 7.3 Hz), 2.35 (2H, dd, J = 11.0 and 4.2 Hz), 2.60 (2H, d, J = 11.0 Hz), 3.01 (2H, s), 4.20-4.40 (2H, br), 4.59 (1H, d, J = 6.1 Hz), 5.99 (2H, s), 6.78-6.73 (3H, m), 7.07-7.12 (2H, m), 7.22-7.35 (4H, m), 7.38-7.46 (2H, m).
【0114】
(実施例10)
N−[2−(4−クロロフェニルチオ)ベンジル]−2−(3,5−ジメチル−4−ピペロニルピペラジン−1−イル)アセトアミド
【化57】

実施例1と同様の方法により、2−クロロ−N−[2−(4−クロロフェニルチオ)ベンジル]アセトアミド(参考例18の化合物:130mg)と、2,6−ジメチル−1−ピペロニルピペラジン(105mg)とジイソプロピルエチルアミン(0.28mL)から、無色固体としてN−[2−(4−クロロフェニルチオ)ベンジル]−2−(3,5−ジメチル−4−ピペロニルピペラジン−1−イル)アセトアミド(215mg)を得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 0.98 (6H, d, J = 6.1 Hz), 2.00-2.09 (2H, m), 2.50-2.62 (4H, m), 2.91 (2H, s), 3.70 (2H, s), 4.54 (2H, d, J = 6.7 Hz), 5.93 (2H, s), 6.72-6.80 (2H, m), 6.88 (1H, d, J = 1.2 Hz), 7.03-7.09 (2H, m), 7.20-7.38 (5H, m), 7.43 (1H, dd, J = 7.3 and 1.2 Hz), 7.56 (1H, t, J = 6.1 Hz).
【0115】
(実施例11)
1−[1−(ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イルメチル)ピペリジン−4−イル]−3−[2−(4−クロロフェニルチオ)ベンジル]ウレア
【化58】

実施例5と同様の方法により、1−[2−(4−クロロフェニルチオ)ベンジル]−3−(ピペリジン−4−イル)ウレア(参考例20の化合物:60.0mg)から無色粉末として1−[1−(ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イルメチル)ピペリジン−4−イル]−3−[2−(4−クロロフェニルチオ)ベンジル]ウレア(41.5mg)を得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 1.29-1.43(2H, m), 1.86(2H, d, J = 11.0 Hz), 2.04(2H, t, J = 11.0 Hz), 2.74(2H, d, J = 11.0 Hz), 3.37(2H, s), 3.42-3.55(1H, m), 4.00(1H, d, J = 7.9 Hz), 4.44(2H, d, J = 6.1 Hz), 4.59(1H, brt, J = 6.1 Hz), 5.93(2H, s), 6.67-6.77(2H, m), 6.83(1H, s), 7.07(2H, d, J = 8.6 Hz), 7.20-7.29(3H, m), 7.30-7.40(2H, m), 7.49(1H, d, J = 9.2 Hz).
ESIMS (M+H): 510
HRMS(FAB+) for C27H29ClN3O3S [M+H]+: calcd, 510.16181; found, 510.16167.
元素分析値 found: C, 63.48; H, 5.55; N, 8.08. calcd. for C27H28ClN3O3S: C, 63.58; H, 5.53; N, 8.24.
【0116】
(実施例12)
N−{3−[4−(ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イルメチル)ピペラジン−1−イル]プロピル}−2−(4−クロロフェニルチオ)アニリン
【化59】

3−(4−ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イルメチル−ピペリジン−1−イル)−N−[2−(4−クロロフェニルチオ)フェニル]プロパンアミド(実施例2の化合物:209mg)を無水テトラヒドロフラン(5mL)に溶解させ、ボラン−硫化ジメチル(0.08mL)を加え、1時間加熱還流した。放冷後、反応液に水を滴下し、塩酸水溶液(2mL、2mol/L)を加え1時間加熱還流した。放冷後、水酸化ナトリウム水溶液(1mol/L)を加えアルカリ性とし、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥して溶媒を濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル60,0.040〜0.063mm;ヘキサン:酢酸エチル=3:1)で精製し、無色油状物としてN−{3−[4−(ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イルメチル)ピペラジン−1−イル]プロピル}−2−(4−クロロフェニルチオ)アニリン(190mg)を得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 1.71(2H, qui, J = 6.7 Hz), 2.24-2.54(10H, m), 3.17(2H, q, J = 6.7 Hz), 3.39(2H, s), 5.19(1H, brs), 6.63-6.70(2H, m), 6.84(1H, s), 6.96(2H, d, J = 8.6 Hz), 7.16(2H, d, J = 8.6 Hz), 7.31(1H, t, J = 7.3 Hz), 7.43(1H, dd, J = 7.3, 1.2 Hz).
ESIMS (M+H): 496
HRMS(ESI+) for C27H30ClN3O2S [M+H]+: calcd, 496.18255; found, 496.17824.
【0117】
(実施例13)
N−{3−[4−(ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イルメチル)ピペラジン−1−イル]プロピル}−N−[2−(4−クロロフェニルチオ)フェニル]アセトアミド
【化60】

N−{3−[4−(ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イルメチル)ピペラジン−1−イル]プロピル}−2−(4−クロロフェニルチオ)アニリン(実施例12の化合物:70.5mg)をジクロロメタン(2mL)に溶解させ0℃に冷却し、トリエチルアミン(0.06mL)、アセチルクロリド(0.020mL)を加え、4時間常温で撹拌した。反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出し、有機層を飽和炭酸水素ナトリウム溶液、水、飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥して溶媒を濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル60,0.040〜0.063mm;ヘキサン:酢酸エチル=2:1)で精製し、淡黄色油状物としてN−{3−[4−(ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イルメチル)ピペラジン−1−イル]プロピル}−N−[2−(4−クロロフェニルチオ)フェニル]アセトアミド(25.0mg)得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 1.65-1.83(5H, m), 2.25-2.60(10H, m), 3.22-3.32(1H, m), 3.40(2H, s), 4.05-4.16(1H, m), 5.95(2H, s), 6.68-6.76(2H, m), 6.83(1H, s), 6.92-7.00(1H, m), 7.10-7.23(3H, m), 7.30-7.40(4H, m).
ESIMS (M+H): 538
HRMS(FAB+) for C29H30ClN3O3S [M+H]+: calcd, 538.19311; found, 538.19232.
【0118】
(実施例14)
2−[4−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イルメチル)ピペラジン−1−イル]−N−[2−(ベンジルチオ)−5−(トリフルオロメチル)フェニル]アセトアミド
【化61】

2−(ベンジルチオ)−5−(トリフルオロメチル)アニリン(参考例26の化合物:90.0mg)、4−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イルメチル)−1−ピペラジン酢酸 2塩酸塩(100mg)、をジクロロメタン(5mL)に溶かし、N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド塩酸塩(WSC−HCl)(65.5mg,0.342mmol)を加え、常温で一日撹拌した。反応液を水にあけ、酢酸エチルで抽出し、有機層を水と飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥後、反応液を濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル60,0.040〜0.063mm;酢酸エチル)で精製し、無色アモルファスとして2−[4−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イルメチル)ピペラジン−1−イル]−N−[2−(ベンジルチオ)−5−(トリフルオロメチル)フェニル]アセトアミド(59.7mg)を得た。
1H -NMR (400 MHz, CDCl3) δ 2.52 (4H, brs), 2.62 (4H, brs), 3.10 (2H, s), 3.40 (2H, s), 3.99 (2H, s), 5.94 (2H, s), 6.70-6.78 (2H, m), 6.84 (1H, s), 7.08-7.13 (2H, m), 7.00-7.28 (4H, m), 7.44 (1H, d, J = 7.9 Hz), 8.77 (1H, d, J = 1.8 Hz), 10.31 (1H, s).
【0119】
(試験例1)
本発明の化合物のIL−6阻害作用を以下の試験例で確認した。
IL−6によるSTAT3リン酸化作用試験
Simi T. Ahmed and Lionel B. Ivashkiv J. Immunol.,165,5227−5237(2000)を参考に、一部改変して行った。牛胎児血清を1%添加した培地(RPMI−1640に100U/mlペニシリンG、100μg/ml 硫酸ストレプトマイシン、10mM HEPES(pH7.4)、1mM ピルビン酸ナトリウム及び4.5mg/ml グルコースを添加)にて4×10cells/mlに調製したU266細胞(ATCCより入手)を12ウェルプレートに1ml/ウェルずつ添加し、37℃、5%CO下で22時間培養した。次に、被検化合物をDMSOで希釈し3μl/ウェルずつ添加し(最終濃度:1、3及び10μM)、30分間インキュベーションした。その後IL−6(Roche)をリン酸緩衝液(以下PBSと称する)で希釈し10μl/ウェルずつ添加し(最終濃度:1ng/ml)、15分間刺激した。その後PBS 3mlに細胞培養液を加え、4℃、1000rpm、5分間遠心し、上清を捨てた。沈殿した細胞にcell wash buffer(cell lysis kit,Bio−Rad)を1ml加え懸濁した後4℃、1000rpm、5分間遠心し、上清を捨てた。沈殿した細胞にcell lysis buffer(cell lysis kit,Bio−Rad)を40μl加え懸濁した後4℃、15000rpm、15分間遠心し上清を回収し、サンプルとした。各サンプルのタンパク質濃度をBCA(登録商標)Protein Assay Kit(PIERCE)を用いて測定し、cell lysis bufferを用いてタンパク質濃度を900μg/mlに調製した後、Bio−Plex(登録商標)System(Bio−Rad)を用いてSTAT3のリン酸化量を測定した。被検化合物のSTAT3リン酸化阻害率は以下の計算式を用いて算出した。
阻害率(%)=(IL−6刺激時のSTAT3リン酸化値−被検化合物存在下のIL−6刺激時のSTAT3リン酸化値)/(IL−6刺激時のSTAT3リン酸化値−IL−6刺激無しのSTAT3リン酸化値)×100
このようにして算出した被験化合物の各濃度(1、3及び10μg/ml)に於ける阻害率を表1に示す。
【0120】
【表1】

【0121】
表1から明らかなように、本発明の化合物及びその塩は優れたIL−6シグナル伝達阻害作用を示す。
【産業上の利用可能性】
【0122】
本発明の化合物及びその塩は、優れたIL−6シグナル伝達阻害作用を有し、かつ毒性も低い。従って、本発明の化合物及びその塩は、IL−6の異常産生に伴う疾患(関節リウマチ、血管炎症候群、二次性アミロイドーシス、キャッスルマン病、間質性肺炎、増殖性糸球体腎炎、炎症性腸疾患(クローン病等)、腎移植に伴う拒絶、骨粗鬆症、エイズ、IL−6産生腫瘍(多発性骨髄腫、腎癌、子宮頸癌、肺癌及び心房粘液腫等)及び悪液質等)の治療、予防又は抑制に対して有効な、有用性の高い医薬である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表される化合物又はその塩。
【化1】

(式中、
Xは、単結合又は−CH−を示し、
−Yは、式
【化2】

で表される基を示し、
Zは、単結合、−CH−又は−C(O)−を示し、
1a、R1b、R1c、R2a、R2b及びR2cは、同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子又はハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cアルキル基を示し、ただし、R1a及びR2aは同時に水素原子を示すことはなく、
及びRは、同一又は異なって、水素原子又はC〜Cアルキル基を示す。)
【請求項2】
Zが−CH−である、請求項1記載の化合物又はその塩。
【請求項3】
Zが−CH−であり、R1aがハロゲン原子であり、R2aが水素原子である、請求項1記載の化合物又はその塩。
【請求項4】
Zが−CH−であり、Xが単結合であり、R1aがハロゲン原子であり、R2aが水素原子であり、
−Yが式
【化3】

で表される基である、請求項1記載の化合物又はその塩。
【請求項5】
Zが−CH−であり、Xが単結合であり、R1aがハロゲン原子であり、R2aが水素原子であり、
−Yが式
【化4】

で表される基である、請求項1記載の化合物又はその塩。

【公開番号】特開2008−266236(P2008−266236A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−113318(P2007−113318)
【出願日】平成19年4月23日(2007.4.23)
【出願人】(000001395)杏林製薬株式会社 (120)
【Fターム(参考)】