説明

生きていない有機材料の帯電防止処理と導電性改善に適した添加剤組成物

(A)オレフィン−二酸化硫黄コポリマー1〜50質量%、(B)塩基性窒素原子を含み、少なくとも4つの炭素原子、または生きていない有機材料での(B)の溶解性を保証する等価の構成元素を有する比較的長鎖の炭化水素基を有する化合物1〜50質量%、(C)油溶性の酸0.1〜30質量%、および(D)高沸点性の有機溶媒1〜80質量%から成る、生きていない有機材料の帯電防止処理と導電性の改善のための添加剤組成物(この際、分子タイプの少なくとも80質量%が常圧で150℃以上の沸点を有する)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生きていない有機材料の帯電防止処理、導電性改善、ならびに化学的、および物理的な方法の際に静電気の帯電を防止するために適している、新規かつ改善された添加剤組成物に関する。本発明はさらに、この添加剤組成物の製造方法に関する。本発明はさらに、この添加剤組成物の使用、および該組成物で帯電防止処理をした、生きていない有機材料に関する。本発明はさらに、この添加剤組成物中の成分として有利に使用可能な、オレフィン残分が低いオレフィン−二酸化硫黄コポリマーの製造方法に関する。
【0002】
生きていない有機材料、例えば燃料は、一般的に導電性が非常に低い。従ってそのような有機材料において、帯電は局所的に蓄積し、そして制御不能にスパークとして放出され、このことにより、通常可燃性であり、かつしばしば非常に引火しやすい有機材料が空気もしくは酸素と接触する際に爆発または火災が起こる。適切な帯電防止剤添加により、生きていない有機材料の導電性を上昇させて、帯電が起こらず、爆発と火災の危険性を減少させることができる。
【0003】
US−A3917466(1)より、オレフィン−二酸化硫黄コポリマー、エピクロロヒドリンと脂肪族のモノアミンもしくはポリアミン、例えばN−獣脂−1,3−ジアミノプロパンとの反応により得られるポリマーのポリアミン、油溶性のスルホン酸、および低沸点性溶媒、例えばトルエン、および/またはイソプロパノールから成る、帯電防止処理と導電性改善のための添加剤組成物が公知である。
【0004】
US−A4416668(2)には、有機の液体、例えば燃料のための帯電防止剤としてα−オレフィン−マレイン酸イミドコポリマーとオレフィン−二酸化硫黄コポリマーとから成る混合物が記載されている。これらの混合物は、溶媒、例えばベンゼン、トルエン、またはキシレンを含んでいてよい。
【0005】
しかしながら従来技術に記載されている帯電防止剤の効果は、未だ充分ではない。生きていない有機材料中でさらに効果、および持続性の向上に対する需要が存在する。その上、帯電防止剤はさらにより高い熱的安定性を有しているのが望ましい。もちろん、毒性と環境的な理由から、帯電防止剤はできる限り金属不含、かつハロゲン不含であるのが望ましい。殊に、製造の際、その輸送の際、および生きていない有機材料での使用前に安全に取り扱うため、すなわち爆発と火災の危険をなくすために、帯電防止剤は少しでも高い引火点を有するのが望ましい。
【0006】
従って本発明の課題は、毒性と環境的観点を考慮せずにすむ、生きていない有機材料、とりわけ燃料と鉱油製品における導電性を向上させるための、効果的な作用、高い熱的安定性、および可能な限り高い引火点を有する帯電防止剤を提供することである。
【0007】
これに従って、基本的に
(A)オレフィン−二酸化硫黄コポリマー 1〜50質量%、
(B)1またはそれ以上の塩基性窒素原子を含み、かつ少なくとも4つの炭素原子、または生きていない有機材料への成分(B)の溶解性を保証する等価の構成元素を有する少なくとも1の比較的長鎖の鎖状または分枝状の炭化水素基を有する化合物 1〜50質量%、
(C)油溶性の酸 0.1〜30質量%、および
(D)1またはそれ以上の分子タイプから成る高沸点性の有機溶媒(この際、これらの分子タイプの少なくとも80質量%は、常圧で150℃以上の沸点を有する) 1〜80質量%、
(この際、すべての成分の合計は(場合により存在する二次成分、および/または妨害にならない不純物を含んで)100質量%である)
から成る、生きていない有機材料の帯電防止処理と導電性改善に適した添加剤組成物が判明した。
【0008】
本発明による添加剤組成物は、通常は製造条件によって、二次成分、および/または妨害にならない不純物として、さらなる成分を最大10質量%、とりわけ最大5質量%、特に最大2質量%含んでいてよい。
【0009】
好ましい実施態様においては、本発明による添加剤組成物は基本的に、
(A) 成分(A)10〜30質量%、とりわけ13〜25質量%
(B) 成分(B)10〜30質量%、とりわけ13〜25質量%
(C) 成分(C)2〜15質量%、とりわけ4〜10質量%、および
(D) 成分(D)40〜78質量%、とりわけ50〜70質量%
から成る。
【0010】
記載する本発明による添加剤組成物は、安全な輸送、および製品の安全な貯蔵に非常に適した高沸点性の有機溶媒(D)中の実際の作用成分(A)、(B)、および(C)の濃縮物である。
【0011】
文献(1)と(2)には、成分(A)のオレフィン−二酸化硫黄コポリマーの構造と公知の製造方法が記載されている。成分(A)は好ましくは、二酸化硫黄と、2〜24の炭素原子を有する1またはそれ以上の線状の、または分枝状の1−オレフィンとのコポリマーである。典型的には成分(A)のコポリマー(ポリスルホン)は、通常1つのスルホン単位が1つのオレフィン単位に続く、1:1の交互共重合体である。2またはそれ以上のオレフィン単位の連続体が、少量で存在することも可能である。オレフィンモノマーの一部は、エチレン不飽和カルボン酸(例えばアクリル酸、メタクリル酸、または酢酸ビニル)、またはエチレン不飽和ジカルボン酸(例えばマレイン酸、またはフマル酸)、またはこれらの誘導体(例えばマレイン酸無水物)により置き換えられていてよく、その結果、とりわけ二酸化硫黄もしくはスルホン単位50mol%、オレフィン単位40〜50mol%、および前記エチレン不飽和カルボン酸、エチレン不飽和ジカルボン酸、もしくはこれらの誘導体から成る単位0〜10mol%、から成る成分(A)のコポリマーが形成されている。
【0012】
成分(A)を調製するための2〜24の炭素原子を有する、分枝状の、およびとりわけ線状の1−オレフィンとして考慮されるのは例えば、エテン、プロペン、1−ブテン、2−ブテン、イソブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセン、1−ノナデセン、1−エイコセン、1−ヘンエイコセン、1−ドコセン、トリコセン、1−テトラコセン、またはこれらの混合物である。特に好ましいのは、6〜16の、とりわけ8〜14の炭素原子を有する線状の1−オレフィン、または12〜22の、とりわけ14〜20の炭素原子を有する線状の1−オレフィン、ならびにこれらの混合物、例えば1−ドデセンと1−テトラデセンとの混合物である。成分(A)を調製するために有利には、低分子量と高分子量の1−オレフィンの混合物、すなわち複峰性分布を有する1−オレフィンの混合物、例えば6〜13の炭素原子を有する1−オレフィンの混合物と、14〜20の炭素原子を有する1−オレフィンとの混合物、または6〜10の炭素原子を有する1−オレフィンと11〜15の炭素原子を有する1−オレフィンとの混合物、または2〜24の炭素原子を有する1−オレフィンと、4〜10の炭素原子を有する唯一の1−オレフィンとの混合物を使用することができる。工業用の、またはその他の1−オレフィン混合物を使用する場合、上記の範囲内にある炭素原子の記載は、これらの混合物の平均炭素原子数に基づき、この際平均炭素原子数は、質量フラクションと、混合物中に存在するすべての1−オレフィンの相応する炭素原子数との積である。
【0013】
成分(A)のオレフィン−二酸化硫黄コポリマーは典型的に、平均分子量Mnが2,000〜1,000,000、特に4,000〜100,000、とりわけ6,000〜25,000である。多分散性(PDI=Mw/Mn)は、一般的に1.1〜30、特に1.5〜20、とりわけ2〜10、殊に2.3〜5である。
【0014】
文献(1)には、0〜50℃の温度範囲での適切なラジカル重合法によるオレフィン−二酸化硫黄コポリマーの製造方法が推奨されており、使用可能な溶媒はベンゼン、トルエン、またはキシレンが挙げられる;二酸化硫黄の僅かなモル過剰量(1.5倍のモル量の最大値)で行う;ラジカル開始剤としては例えば、過酸化物、またはアゾ化合物、および化学線による付加的な照射が推奨される。文献(2)によればオレフィン−二酸化硫黄コポリマーは、水性媒体中でのエマルション重合法により製造することができる。しかしながらいずれの製造法も改善の必要があり、こうして得られたオレフィン−二酸化硫黄コポリマーを本発明による添加剤組成物で用いることは、取り扱いと作用の点で不利になる。とりわけ易揮発性の、および燃焼性の出発オレフィンの含分がなお高すぎるため、生成する帯電防止性添加剤組成物の引火点が低すぎる。従って本発明による添加剤組成物において問題なく使用するため、オレフィン−二酸化硫黄コポリマーの改善された製造方法に対する需要があった。
【0015】
従って本発明の範囲においては、少なくとも1.4倍の、特に1.6倍のモル過剰量で二酸化硫黄を用い、1またはそれ以上の分子タイプ(この際、これらの分子タイプの少なくとも50質量%が8以上の炭素原子を有する)から成る高沸点性の不活性有機溶媒中で重合を行うことを特徴とする、15mol%未満、好ましくは10mol%未満、特に7mol%未満、とりわけ5mol%未満のオレフィンが二酸化硫黄との共重合で未反応のオレフィン−二酸化硫黄コポリマーの製造方法が判明した。好ましくは二酸化硫黄を少なくとも1.8倍の、特に1.8〜2.5倍のモル過剰量で使用し、1またはそれ以上の分子タイプ(これらの分子タイプの少なくとも80質量%が9〜30の炭素原子を有する)から成る高沸点性の不活性有機溶媒中で重合を行う。この際有利には、高沸点性の有機溶媒、特に9〜30の炭素原子を有する高沸点性の芳香族炭化水素、または本発明に対して成分(D)として定義されたこのような高沸点性芳香族炭化水素から成る混合物を使用する。好ましくはこの反応を10〜40℃、特に15〜29℃で、0.5〜24時間にわたって行う。
【0016】
従って本発明の範囲においては、少なくとも1.1倍のモル過剰量で二酸化硫黄を用い、かつ原圧下15〜38℃、特に20〜30℃で重合を行うことを特徴とする、15mol%未満、好ましくは10mol%未満、特に7mol%未満、とりわけ5mol%未満のオレフィンが二酸化硫黄との共重合で未反応のオレフィン−二酸化硫黄コポリマーのさらなる製造方法が判明した。この際に好ましくは、少なくとも1.4倍の、特に少なくとも1.6倍の、とりわけ少なくとも1.8倍の、殊に1.8〜2.5倍の、または1.4〜2.5倍のモル過剰量で二酸化硫黄を使用し、1またはそれ以上の分子タイプ(これらの分子タイプの少なくとも80質量%が9〜30の炭素原子を有する)から成る高沸点性の不活性有機溶媒中で重合を行う。この際有利には、高沸点性の有機溶媒、特に9〜30の炭素原子を有する高沸点性の芳香族炭化水素、または本発明に対して成分(D)として定義されたこのような高沸点性芳香族炭化水素の混合物を使用する。
【0017】
後者のオレフィン−二酸化硫黄コポリマーの製造方法の好ましい実施態様では、第一工程で原圧下0.5〜5時間にわたって30〜38℃で重合を行い、そしてその後第二工程で1〜5時間の間、原圧下20〜29℃で重合を行う。
【0018】
多くの場合、前者の、または後者のオレフィン−二酸化硫黄コポリマーの代替的な製造方法は、該方法の所望の改善を達成するため、特に生成する帯電防止添加剤組成物の引火点を上昇させる点では充分である。しかしながらまた、二つの方法を組み合わせること、すなわち二酸化硫黄を少なくとも1.6倍のモル過剰量で使用し、かつ1またはそれ以上の分子タイプから成る高沸点性不活性有機溶媒(この際、これらの分子タイプの少なくとも50質量%が、8以上の炭素原子を有する)中で原圧下、15〜38℃で重合を行うことも可能である。前述の代替的なすべての方法においては、とりわけ工業的なレベルでは稼働に大きなコストがかかる、化学線による照射を用いないことも可能である。
【0019】
前述の二酸化硫黄とオレフィンとの重合は一般的に、ラジカル重合メカニズムにより進む。このようなラジカル重合は、慣用の方法により行う。このために慣用のラジカル開始剤、特に過酸化物またはアゾ化合物ベースのもの、例えばt−ジブチルペルオキシド、t−ブチルペルオキシピバラート、またはアゾビスイソブチロニトリルを使用する。達成されるべき分子量を制御するために、制御剤、例えばメルカプタン、例えばドデシルメルカプタンを併用することができる。
【0020】
上記のオレフィン−二酸化硫黄コポリマーの改善された製造方法により、オレフィンのほぼ完全な反応が達成される。
【0021】
1またはそれ以上の窒素原子を含む成分(B)の化合物は、本発明による添加剤組成物で処理すべき生きていない有機材料中に溶解性(少なくとも均質に分散可能)でなければならない。成分(B)は多くの場合、同様にポリマーである。生きていない有機材料への溶解度が等価の構成元素により保証されていないという条件で、このポリマーは、少なくとも4の、好ましくは少なくとも8の、特に少なくとも12の、殊に12〜30の炭素原子を有する少なくとも1つの比較的長鎖の分枝状の、または特に線状の炭化水素基を有する。成分(B)の化合物は好ましくは、遊離ヒドロキシ基を含まない。なぜならば遊離ヒドロキシ基は、一定の条件下で本発明による添加剤組成物の効果を損なうことがあるからである。
【0022】
成分(B)の化合物において、前記の比較的長鎖の分枝状の、または線状の炭化水素基は、塩基性窒素原子、または塩基性窒素原子の1つ、または炭素原子、特にポリマー構造中のポリマー主鎖の炭素原子上に存在する。典型的な比較的長鎖の分枝状の、または線状の炭化水素基は例えば、脂肪酸に見られるような線状アルキル基、およびポリイソブチル基、特に20〜150の、とりわけ35〜100の炭素原子を有するポリイソブチル基である。
【0023】
このような比較的長鎖の炭化水素基を有する、成分(B)に適したオリゴマー構造タイプもしくはポリマー構造タイプは例えば、オリゴエチレンアミンまたはオリゴエチレンイミンとハロゲン化アルキルとの反応生成物、ポリエチレンイミンとポリイソブテニルコハク酸無水物との反応生成物、エチレン−酢酸ビニル−アミノ−(メタ)アクリラートターポリマー、および特にアミンもしくはポリアミンにより誘導されるオレフィン−マレイン酸無水物コポリマー、とりわけ少なくとも1の塩基性窒素原子を有するα−オレフィン−マレイン酸イミドコポリマーである。
【0024】
オリゴエチレンアミンとハロゲン化アルキルとの反応生成物の典型例は、デカエチレンウンデカミンと、数倍のn−ヘキサデシルクロリドのモル過剰量とから成る櫛状構造の反応生成物である。
【0025】
成分(B)に適した、このような比較的長鎖の炭化水素基を有する非ポリマー構造タイプは例えば、トリアルキルアンモニウム脂肪酸塩、例えばトリアルキルアンモニウムオレアート、およびポリイソブテニルコハク酸イミドである。
【0026】
成分(B)に適した、比較的長鎖の炭化水素基を持たない構造タイプは例えば、特定の、通常は架橋されたポリマー骨格により、所望の溶解特性が得られるポリエチレンイミン、およびポリビニルアミンである。
【0027】
成分(B)の少なくとも1の塩基性窒素原子を有するとりわけ好ましいα−オレフィンマレイン酸イミドコポリマーの構造と製造法は、基本的に文献(2)に記載されている。好ましい実施態様においては、これらのα−オレフィン−マレイン酸イミドコポリマーは、6〜50の炭素原子を有する1またはそれ以上の線状、または分枝状のα−オレフィンと、マレイン酸無水物とのラジカル重合により、および引き続いた1またはそれ以上の脂肪族ポリアミンとの反応により得られる。α−オレフィン−マレイン酸無水物コポリマー、および該コポリマーから製造したα−オレフィン−マレイン酸イミドコポリマーは典型的に、1つのマレイン酸単位が常に1つのα−オレフィン単位に続く、主鎖中で1:1の交互共重合体である。比較的長鎖の分枝状の、または線状の炭化水素基により、一般的に櫛状構造が生じる。
【0028】
成分(B)のα−オレフィン−マレイン酸イミドコポリマーを製造するために有用な、6〜50の炭素原子を有する分枝状の、および特に線状の1−オレフィンとして考慮されるのは例えば、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセン、1−ノナデセン、1−エイコセン、1−ヘンエイコセン、1−ドコセン、1−トリコセン、1−テトラコセン、1−トリアコンテン、1−テトラコンテン、1−ペンタコンテン、またはこれらの混合物である。とりわけ好ましいのは、12〜30の、特に16〜24の炭素原子を有する線状の1−オレフィン、ならびにこれらの混合物である。
【0029】
1−オレフィンとマレイン酸無水物とのラジカル重合は、慣用の方法で行う。このために慣用のラジカル開始剤、特に過酸化物またはアゾ化合物ベースのもの、例えばt−ジブチルペルオキシド、t−ブチルペルオキシピバラート、またはアゾビスイソブチロニトリルを使用し、慣用の温度と圧力範囲、例えば常圧で50〜150℃で調製し、反応は慣用の溶媒、例えば芳香族炭化水素中で行う。溶媒として好ましくは、本発明の成分(D)から成る高沸点性の有機溶媒を使用する。
【0030】
重合を行った後、生成するα−オレフィンマレイン酸無水物コポリマーを1またはそれ以上の脂肪族ポリアミンと反応させて、相応するイミドにする。イミド形成には第一級アミノ基を有するポリアミンが必要であり、塩基性窒素原子には少なくとも1のさらなる第一級、第二級、または第三級アミノ基が必要である。この場合の適切な例は例えば、比較的短鎖のジアミン、例えばエチレンジアミン、1,3−プロピレンジアミン、3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピルアミン("DMAPA")、またはビス[3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピル]アミン("ビス−DMAPA")、または比較的長鎖のジアミン、例えばN−獣脂−1,3−ジアミノプロパンである。このイミド形成のための慣用の反応条件は、当業者に公知である。このイミド形成のために溶媒を併用する場合、好ましくは本発明による成分(D)の高沸点性の有機溶媒を使用する。
【0031】
脂肪族ポリアミンと反応させたα−オレフィン−マレイン酸無水物コポリマーの典型的な例は、C20/24−α−オレフィン−マレイン酸無水物コポリマーと、3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピルアミン("DMAPA")もしくはビス[3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピル]アミン("ビス−DMAPA")とから成る櫛状構造の反応生成物である。
【0032】
成分(B)の少なくとも1の塩基性窒素原子を有する上記α−オレフィン−マレイン酸イミドコポリマーは、典型的に500〜50,000の、特に1,000〜10,000の質量平均分子量Mwを有する。典型的なα−オレフィン−マレイン酸イミドコポリマーは、N−獣脂−1,3−ジアミノプロパンと反応させてイミドが生じる、質量平均分子量Mwが1,000〜10,000の範囲のα−オレフィン−マレイン酸無水物コポリマーである。
【0033】
成分(C)の油溶性酸は好ましくは、油溶性を得るために適切には特に6〜40の、とりわけ8〜32の、殊に10〜24の炭素原子を有する比較的長鎖の、または比較的かさ高いヒドロカルビル基を有する有機スルホン酸である。このようなヒドロカルビル基として適しているのは、線状の、または分枝状のアルキル基またはアルケニル基、例えばn−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、n−ノニル、n−デシル、2−プロピルヘプチル、n−ウンデシル、n−ドデシル、n−トリデシル、イソトリデシル、n−テトラデシル、n−ペンタデシル、n−ヘキサデシル、n−ヘプタデシル、n−オクタデシル、n−ノナデシル、n−エイコシル、n−ヘンエイコシル、n−ドコシル、n−トリコシル、n−テトラコシル、オレイル、リノリルまたはリノレニル、シクロアルキル基、例えばシクロヘキシル、メチルシクロヘキシル、またはジメチルシクロヘキシル、アリール基、例えばフェニルまたはナフチル、アラルキル基、例えばベンジルまたは2−フェニルエチル、またはより好ましくはアルカリール基、特に線状の、または分枝状のC1〜C18アルキル基で置換されたフェニルまたはナフチル、例えばトルイル、キシリル、n−ノニルフェニル、n−デシルフェニル、n−ドデシルフェニル、イソトリデシルフェニル、n−ノニルナフチル、n−ジノニルナフチル、n−デシルナフチル、n−ジデシルナフチル、n−ドデシルナフチル、n−ジドデシルナフチル、イソトリデシルナフチル、またはジイソトリデシルナフチルである。後者のモノ置換されたフェニル基は、スルホン酸基に対してオルト位、メタ位、パラ位で存在するアルキル基であってよく、この際パラ位であるのが好ましい。従って成分(C)の典型的な例は、n−ノニルベンゼンスルホン酸、n−デシルベンゼンスルホン酸、n−ドデシルベンゼンスルホン酸、イソトリデシルベンゼンスルホン酸、n−ノニルナフチルスルホン酸、n−ジノニルナフチルスルホン酸、n−デシルナフチルスルホン酸、n−ジデシルナフチルスルホン酸、n−ドデシルナフチルスルホン酸、n−ジドデシルナフチルスルホン酸、イソトリデシルナフチルスルホン酸、およびジイソトリデシルナフチルスルホン酸である。
【0034】
上記の有機スルホン酸に加え、基本的に成分(C)としては例えば、同様に適切には比較的長鎖の、または比較的かさ高いヒドロカルビル基を有する、特に6〜40の、とりわけ8〜32の、殊に10〜24の炭素原子を有する油溶性有機スルフィン酸、または有機ホスホン酸を使用することができる。
【0035】
成分(D)の高沸点性有機溶媒は、生きていない有機材料の帯電防止処理と導電性改善のための、本発明による添加剤組成物における実際の作用成分ではないが、成分(A)、(B)、および(C)との相互作用によってその作用を支持、促進し、組成物の熱的安定性に貢献し、かつ高い引火点を保証する。さらに成分(D)はまた、本発明による添加剤組成物の所望の粘性のよりよい調整に役立ち、この粘性がこの組成物の適用可能性に対する重要な基準となる。
【0036】
好ましい実施態様において成分(D)は、少なくとも80質量%、とりわけ少なくとも90質量%が9〜30の炭素原子を有する高沸点性の芳香族炭化水素、またはこのような高沸点性の芳香族炭化水素の混合物から成る。成分(D)は殊に、少なくとも80質量%、特に少なくとも90質量%、とりわけ100質量%が、9〜20の、特に9〜14の炭素原子を有する高沸点性の芳香族炭化水素である。このような芳香族炭化水素はとりわけ、二環式の、三環式の、または多環式の芳香族化合物、例えばナフタレン、ジフェニル、アントラセン、もしくはフェナントレン、または脂肪族側鎖を有する単環式の、二環式の、三環式の、または多環式の芳香族化合物、例えばC7〜C14の、特にC7〜C12のアルキル側鎖で置換されたベンゼン、例えばn−ドデシルベンゼン、またはn−テトラデシルベンゼン、しかしながら特にC1〜C6アルキル側鎖を有するもの、例えばn−プロピルベンゼン、イソプロピルベンゼン、エチルメチルベンゼン、トリメチルベンゼン、エチルジメチルベンゼン、ジエチルベンゼン、n−ブチルベンゼン、イソブチルベンゼン、s−ブチルベンゼン、t−ブチルベンゼン、n−ペンチルベンゼン、t−ペンチルベンゼン、n−ヘキシルベンゼン、メチルナフタレン、ジメチルナフタレン、またはC2〜C6アルキルナフタレンである。上記のすべての芳香族炭化水素は、常圧で150℃以上の沸点、一般的には常圧で150℃〜330℃を有する。
【0037】
9またはそれ以上の炭素原子を有する上記芳香族炭化水素の混合物は、工業用溶媒フラクションとして市販で手に入り、その例は例えばExxonMobil Chemical社製のSolvesso(登録商標)100(C9〜C10芳香族化合物フラクション)、Solvesso(登録商標)150(C10〜C11芳香族化合物フラクション)、およびSolvesso(登録商標)200(C10〜C14芳香族化合物フラクション)であり、このような10〜C11の芳香族化合物フラクションは、"Solvent Naphtha Heavy"(重質ナフサ溶媒)とも呼ばれる。
【0038】
9またはそれ以上の炭素原子を有する上記の芳香族炭化水素に加え、上記の好ましい実施例における成分(D)は、非芳香族の有機溶媒成分を0〜20質量%未満(例えば、その都度100℃以上の、とりわけ130℃以上の沸点を有する長鎖のパラフィン、および/または脂環式化合物、および/またはヘテロ環式化合物)、および/または9未満の炭素原子を有する芳香族溶媒成分(例えばトルエンまたはキシレン)を含んでいてよい。
【0039】
本発明による添加剤組成物は適切には、成分(A)、(B)、(C)、および(D)から混合により製造する。基本的には、想定可能なあらゆる混合順で本発明による添加剤組成物が得られる。しかしながら、混合の現実的な実施可能性の点で、少なくとも1の高沸点性有機溶媒(D)の部分量の存在下でまず成分(A)と(C)とを相互に均質に混合し、その後に成分(B)を添加混合して製造することが好ましい。やや上昇させた温度、例えば20〜80℃、とりわけ25〜50℃で混合工程を行うこともまた有利であり得る。特に好ましい実施態様では、少なくとも1の高沸点性有機溶媒(D)の部分量の存在下で30℃〜60℃、特に40〜55℃で成分(A)と(C)とをまず相互に均質に混合し、その後成分(B)を添加混合するのだが、この際成分(B)を添加混合する前に成分(A)と(C)との混合物と高沸点性有機溶媒(D)の一部を好ましくは少なくとも1分、特に1〜120分、とりわけ1〜30分間、先に述べた温度範囲に保つ。また、混合工程を完全に、または部分的に真空中で、適切には100mbar〜1bar未満、とりわけ10mbar〜1bar未満で行うことも有利であり得る。慣用のあらゆる混合技術と混合装置を用いることができる。
【0040】
本発明による添加剤組成物は、本発明の意味においては生きていない有機材料の帯電防止処理と導電性改善のため、および化学的、物理的方法の間に静電気の帯電を防止するために使用する。
【0041】
このために本発明による添加剤組成物を、帯電防止処理すべき、従ってその製造の間、または製造後に導電性が高められるべき生きていない有機材料に添加混合するか、または混合し、かつ可能な限り均質に分散させる。生きていない有機材料中の本発明による添加剤組成物の濃度は、生きていない有機材料に対して一般的に0.01〜2000質量ppm、好ましくは0.1〜1000質量ppm、とりわけ0.5〜500質量ppm、特に1〜350質量ppmである。特に燃料中で使用する場合は、本発明による添加剤組成物の濃度はより低くなり、典型的な添加量はこの場合燃料に対して0.01〜1000質量ppm、好ましくは0.1〜500ppm、とりわけ0.5〜100ppm、特に1〜10ppmである。
【0042】
生きていない有機材料と理解されるのは特に、化粧品調製物、例えばクリームとローション、医薬組成物、例えば錠剤と座薬、写真記録材料、例えば写真用エマルション、塗料、プラスチック、ワックス、溶媒、ならびに鉱油製品と燃料、特にディーゼル燃料、暖房用オイル、ガソリン燃料、航空機用ガソリン、およびタービン燃料、ならびに潤滑剤、すなわちモーター油、潤滑油、油圧油、タービン油、レギュレータオイル、トランスミッションオイル、マニュアルオイルおよびオートマオイル、圧延油、熱媒油、金属加工油、ショックアブソーバオイル、および潤滑グリースである。
【0043】
本発明による添加剤組成物で帯電防止処理可能なプラスチックとして挙げられるのは:
モノオレフィンの、もしくはジオレフィンのポリマー、例えば低密度の、もしくは高密度のポリエチレン、ポリプロピレン、線状ポリブテン−1、ポリイソプレン、ポリブタジエン、ならびにモノオレフィンの、またはジオレフィンのコポリマー、または上記ポリマーの混合物;
ポリスチレン、ならびにスチレンもしくはα−メチルスチレンとジエンおよび/またはアクリル誘導体とのコポリマー、例えばスチレン−ブタジエン、スチレン−アクリロニトリル(SAN)、スチレン−エチルメタクリラート、スチレン−ブタジエン−エチルアクリラート、スチレン−アクリロニトリルメタクリラート、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)、またはメチルメタクリラート−ブタジエン−スチレン(MBS);ハロゲン化されたポリマー、例えばポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ならびにこれらのコポリマー;
α,β−不飽和酸から、およびこれらの誘導体から誘導されるポリマー、例えばポリアクリラート、ポリメタクリラート、ポリアクリルアミド、およびポリアクリロニトリル;
不飽和のアルコールおよびアミンから、もしくはこれらのアクリル誘導体またはアセタールから誘導されるポリマー、例えばポリビニルアルコールとポリ酢酸ビニル;
ポリウレタン(例えば、靴底の材料として)、特に熱可塑性ポリウレタン、ポリアミド、ポリ尿素、ポリフェニレンエーテル、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ならびにエチレン−酢酸ビニルコポリマー(例えば靴底の材料として)
である。
【0044】
本発明による添加剤組成物で帯電防止処理可能な塗料として考慮されるのはとりわけ、塗料、例えばアルキド樹脂塗料、分散液塗料、エポキシ樹脂塗料、ポリウレタン塗料、アクリル樹脂塗料、および硝酸セルロース塗料、またはラッカー、例えば木材保護用ラッカーである。
【0045】
本発明による添加剤組成物で帯電防止処理可能なワックスとして考慮されるのはとりわけ、エチレン−酢酸ビニルコポリマーのワックスである。
【0046】
本発明による添加剤組成物で帯電防止処理可能な、ひいては導電性を向上させることができる溶媒として挙げられるのは例えば:アルカン、例えばn−ペンタン、n−ヘキサン、またはn−ヘプタン、アルケン、例えばヘキセン、ヘプテン、オクテン、ノネン、デセン、ウンデセン、またはドデセン、芳香族化合物、例えばトルエンまたはキシレン、ナフテン、アルコール、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、またはt−ブタノール、アルデヒド、例えばアセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、またはブチルアルデヒド、ケトン、例えばアセトンまたはブタノン、カルボン酸、例えばギ酸、酢酸、またはプロピオン酸、カルボン酸エステル、例えば酢酸メチルエステル、または酢酸エチルエステル、カルボン酸アミド、例えばN,N−ジメチルホルムアミド、ならびにこれらの混合物である。
【0047】
本発明による添加剤組成物はとりわけ有利には、タービン燃料(ジェット燃料)の帯電防止処理と導電性改善に適している。タービン燃料はとりわけ、航空機タービンの稼働のために用いられる。
【0048】
慣用のタービン燃料組成物は、例えば民間機または軍用機で慣用のタービン燃料である液体状タービン燃料を主に含む。これに該当するのは例えば、Jet Fuel A、Jet Fuel A−1、Jet Fuel B、Jet Fuel JP−4、JP−5、JP−7、JP−8、およびJP−8+100という呼称の燃料である。Jet AとJet−A1は、市販で手に入るケロシンベースのタービン燃料規格である。対応する基準は、ASTM D 1655、およびDEF STAN 91−91である。Jet Bは、ナフサフラクションとケロシンフラクションをベースとするより狭い留分燃料である。JP−4はJet Bと等価のものである。JP−5、JP−7、JP−8、およびJP−8+100は軍用のタービン燃料であり、例えば海軍や空軍で使用される。これらの規格のいくつかは、既にさらなる添加剤、例えば腐蝕防止剤、凍結防止剤、さらなる帯電防止剤、例えば静電気散逸剤などを含む組成物を示す。
【0049】
本発明による添加剤組成物は、それ自体公知のさらなる添加剤と組み合わせてタービン燃料に、またはタービン燃料組成物に添加することができる。タービン燃料組成物中に存在していてよい適切な添加剤は典型的に、清浄剤、腐蝕防止剤、酸化防止剤、例えば立体障害性のt−ブチルフェノール、N−ブチルフェニレンジアミン、またはN,N−ジフェニルアミン、およびこれらの誘導体、金属不活性化剤、例えばN,N’−ジサリシリデン−1,2−ジアミノプロパン、可溶化剤、市場で慣用のさらなる帯電防止剤、例えばStadis(登録商標)450、殺生剤、凍結防止剤、例えばジエチレングリコールメチルエーテル、ならびに上記添加剤の混合物である。
【0050】
タービン燃料、またはタービン燃料組成物に好ましい添加剤は、以下に記載する特定の化合物類(E)、(F)、および(G)である:
好ましい添加剤(E)は、コハク酸無水物から誘導され、かつ一般的に15〜700の、とりわけ30〜200の炭素原子を有する長鎖の炭化水素基を有する化合物である。これらの化合物は、好ましくはヒドロキシ基、アミノ基、アミド基、および/またはイミド基から選択されているさらなる官能基を有していてもよい。好ましい添加剤は、例えば熱経路により、または塩化炭化水素を経由してポリアルケンとマレイン酸無水物とを反応させることにより得られるポリアルケニルコハク酸無水物の相応する誘導体である。長鎖の炭化水素の数平均分子量は好ましくは、約200〜10,000、より好ましくは400〜5000、とりわけ600〜3000、および特に650〜2000の範囲内である。これらの長鎖の炭化水素基は好ましくは、慣用のポリイソブテンから、およびとりわけ前述の反応性ポリイソブテンから誘導される。添加剤(E)として特に重要なのは、アンモニア、ポリアミン、モノアルコール、およびポリオールを有するポリアルケニルコハク酸無水物の誘導体である。誘導に好ましいポリアミンに含まれるのは、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミン、テトラエチレンペンタアミン、プロピレンジアミンなどである。適切なアルコールは、一価のアルコール、例えばエタノール、アリルアルコール、ドデカノール、およびベンジルアルコール、多価のアルコール、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、エリトリット、ペンタエリトリット、マンニトール、およびソルビトールである。
【0051】
添加剤として適しているコハク酸無水物誘導体(E)は例えば、US3522179、US4849572、US4234435、US4904401、US5569644、およびUS6165235に記載されており、これらは参照により完全に援用される。
【0052】
好ましい添加剤(F)は、ポリアルケニルチオホスホナートエステルである。これらのエステルのポリアルケニル基は、数平均分子量が300〜5000、より好ましくは400〜2000、および特に500〜1500の範囲である。ポリアルケニル基は好ましくは、成分(E)に対して長鎖の炭化水素基として既に記載したポリオレフィンから誘導される。これらは特に、慣用の、または反応性のポリイソブテンから誘導されるポリアルケニル基である。ポリオレフィンとチオホスホリル化剤との反応による適切なポリアルケニルチオホスホン酸エステルの適切な製造方法は例えば、US5725611に記載されており、これについては参照により援用する。
【0053】
好ましい添加剤(G)は、マニッヒ反応による付加物である。このような付加物は基本的に、芳香族ヒドロキシ化合物、特にフェノールおよびフェノール誘導体と、アルデヒドおよびモノアミンもしくはポリアミンとのマニッヒ反応により得られる。これらは好ましくは、ポリイソブテンで置換したフェノールと、ホルムアルデヒドおよびモノアミンもしくはポリアミン、例えばエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミン、テトラエチレンペンタアミン、ジメチルアミノプロピルアミンなどとの反応生成物である。マニッヒ反応による適切な付加物、およびその製造方法は例えば、US5876468、EP−A831141、EP−A1233990、およびEP−A1226188に記載されており、これらを参照により完全に援用する。
【0054】
タービン燃料またはタービン燃料組成物のためのさらなる添加剤として可能なのは、WO2007/012580に記載されたテトラヒドロベンゾオキサジン安定剤、および/または国際特許出願PCT/EP2007/051632に記載されている多核フェノール安定化剤であり、これらは参照により完全に援用する。
【0055】
添加剤(E)〜(G)、および上記のさらなる添加剤は、典型的にはその都度、タービン燃料組成物の全量に対して0.0001〜1質量%、好ましくは0.001〜0.6質量%、およびとりわけ0.0015〜0.4質量%の量で使用してよい。
【0056】
本発明による添加剤組成物は、タービン燃料(ジェット燃料)に対して添加剤濃縮物の成分であってよく、本発明による添加剤組成物の他に少なくとも1の希釈剤、および前述の添加剤から選択されている少なくとも1のさらなる添加剤を含む。この添加剤濃縮物、および従って添加されたタービン燃料組成物も、(E)、(F)、および(G)の群、特にまた(E)+(F)、(E)+(G)、(F)+(G)、および(E)+(F)+(G)のようなこれらの混合物、好ましくは1またはそれ以上の添加剤を含む。
【0057】
適切な希釈剤は例えば、石油加工で得られるフラクション、例えばケロシン、ナフサ、または無機質の基油である。これらに加えて適しているのは芳香族、および脂肪族の炭化水素、例えば重質ナフサ溶媒、Solvesso(登録商標)、またはShellsol(登録商標)、ならびにこれらの溶媒と希釈剤との混合物である。
【0058】
本発明による添加剤組成物は、タービン燃料に対する上記の添加剤濃縮物中に、濃縮物の全質量に対して0.01〜70質量%、より好ましくは0.05〜25質量%、および特に0.1〜5質量%存在する。
【0059】
記載する本発明による添加剤組成物はさらに有利には、航空用ガソリン、ガソリン燃料、および中質留分燃料、ここでは特にディーゼル燃料、および暖房用オイルの帯電防止処理と導電性の改善に適している。
【0060】
航空用ガソリンは、航空機エンジン、とりわけプロペラ飛行機のためのガソリンエンジンに特化させた燃料であり、自動車を稼働させるための市販のガソリン燃料に似ている。
【0061】
ガソリン燃料としては、あらゆる市販のガソリン燃料組成物が考慮される。この際言及すべき典型的な代表例は、市場で一般的なEN228準拠のEurosuper基本燃料である。さらには、WO00/47698に記載の規格のガソリン燃料組成物もまた、本発明の使用範囲である。前述のガソリン燃料は、さらにバイオエタノオールも含んでいてよい。
【0062】
中質留分燃料としては、あらゆる市販のディーゼル燃料と、暖房用オイル組成物が考慮される。この際に言及されるべき典型的な代表例として挙げられるのは、市場で一般的なEN590準拠のヨーロッパ製ディーゼル燃料である。ディーゼル燃料は典型的には、一般的に100〜400℃の範囲の沸点を有する石油ラフィネートである。これらは通常、最大360℃の、またはそれ以上の95%留出点を有する留出油である。これらはまた、いわゆる"超低硫黄ディーゼル"、または"シティディーゼル"とも呼ばれ、例えば最大345℃の95%留出点、および最大0.005質量%の硫黄含分により、または例えば285℃の95%留出点、および最大0.001質量%の硫黄含分により特徴付けられる。ラフィネート化により得られるディーゼル燃料(その主成分は長鎖のパラフィンである)の他に、石炭ガス化["coal to liquid(CTL)燃料]、または気体の液体化["gas to liquid"(GTL)燃料]により得られるものが適している。前述のディーゼル燃料と、再生可能な燃料、例えばバイオディーゼルとの混合物もまた、適している。さらには、バイオマスから生成するディーゼル燃料["biomass to liquid"(BTL)燃料]も適している。特に重要なのは、硫黄含分の低い、すなわち硫黄含分が0.05質量%未満の、好適には0.02質量%未満の、とりわけ0.005質量%未満の、および殊に0.001質量%未満の、現代のディーゼル燃料である。ディーゼル燃料はまた、水を例えば最大20質量%の量で、例えばディーゼル−水マイクロエマルションの形で、またはいわゆる"ホワイトディーゼル(White Diesel)"として含んでいてよい。
【0063】
暖房用オイルとは例えば、低硫黄の、または硫黄の多い石油ラフィネート、または150〜400℃の沸点範囲を有する石炭留出油、または褐炭留出油である。暖房用オイルとは、DIN51603−1準拠の、硫黄含分が0.005〜0.2質量%である標準的な暖房用オイルであるか、または硫黄含分が0〜0.005質量%の、低硫黄暖房用オイルである。暖房用オイルの例としてはとりわけ、家庭用石油ストーブのための暖房用オイル、またはELと呼ばれる暖房用オイルが挙げられる。
【0064】
本発明による添加組成物は、その都度基本燃料、とりわけガソリン燃料またはディーゼル燃料に単独で添加するか、または燃料添加剤パッケージの形で、例えばいわゆるガソリンもしくはディーゼル性能パッケージに添加することができる。このようなパッケージは燃料添加剤濃縮物であり、かつ通常溶媒の他に、添加助剤としてさらなる群の成分、例えばキャリアオイル、低温流動性改善剤、腐蝕防止剤、抗乳化剤、消泡剤、セタン価改善剤、助燃剤、酸化防止剤、または安定化剤、さらなる帯電防止剤、メタロセン、金属不活性化剤、可溶化剤、識別剤、および/または染料を含む。
【0065】
好ましい実施態様では、添加したガソリンまたはディーゼル燃料は、本発明による添加剤組成物の他に、さらなる燃料添加剤として、以下に成分(H)として挙げる少なくとも1の清浄剤を含む。
【0066】
清浄剤、または清浄添加剤(H)とは、典型的には燃料用の沈着防止剤である。これらの清浄剤は好ましくは、数平均分子量(Mn)が85〜20,000、特に300〜5000、とりわけ500〜2500であり、かつ
(Ha)最大6の窒素原子を有するモノアミノ基またはポリアミノ基(この際、少なくとも1の窒素原子が塩基特性を有する)
(Hb)ニトロ基(場合によりヒドロキシ基と組み合わせて);
(Hc)モノアミノ基またはポリアミノ基と組み合わせたヒドロキシ基(この際少なくとも1の窒素原子が塩基特性を有する)
(Hd)カルボキシ基、またはこれらのアルカリ金属塩、またはアルカリ土類金属塩;
(He)スルホン酸基、またはこれらのアルカリ金属塩、またはアルカリ土類金属塩;
(Hf)ヒドロキシ基、モノアミノ基、またはポリアミノ基(この際少なくとも1の窒素原子が塩基特性を有する)、またはカルバマート基が末端にあるポリオキシC2〜C4アルキレン基、
(Hg)カルボン酸エステル基;
(Hh)コハク酸無水物から誘導される、およびヒドロキシ基、および/またはアミノ基、および/またはアミド基、および/またはイミド基を有する基:および/または
(Hi)置換されたフェノールと、アルデヒドおよびモノアミンもしくはポリアミンとのマニッヒ反応により生成する基
から選択されている少なくとも1の極性基を有する少なくとも1の疎水性炭化水素基を有する両親媒性物質である。
【0067】
上記洗浄添加剤中の疎水性炭化水素基は、燃料油組成物内で適切な溶解性を保証し、その数平均分子量(Mn)が85〜20,000、特に300〜5000、とりわけ500〜2500である。極性基(Ha)、(Hc)、(Hh)、および(Hi)と特に関連している典型的な疎水性炭化水素基として考慮されるのは、その都度Mn=300〜5000、特に500〜2500、とりわけ700〜2300の、比較的長鎖のアルキル基またはアルケニル基、特にポリプロペニル基、ポリブテニル基、およびポリイソブテニル基である。
【0068】
洗浄添加剤の上記の基の例として挙げられるのは以下のものである:
モノアミノ基もしくはポリアミノ基(Ha)を含む添加剤は好ましくは、Mn=300〜5000のポリプロピレンまたは通常の(すなわち主に中位に二重結合を有する)ポリブテン、またはポリイソブテンをベースとする、ポリアルケンモノアミン、またはポリアルケンポリアミンである。最大20質量%n−ブテン単位を含んでいてよいポリイソブテンから、ヒドロホルミル化と、アンモニア、モノアミン、またはポリアミン、例えば3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピルアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミン、またはテトラエチレンペンタアミンによる還元アミノ化により製造可能な、このような高反応性ポリイソブテンベースの添加剤は、とりわけEP−A244616より公知である。添加物の製造の際に主に中位に二重結合を有する(通常はβ位とγ位に)ポリブテンまたはポリイソブテンから出発する場合、製造ルートとしては塩素化、および引き続いたアミノ化、または酸素もしくはオゾンによる二重結合の酸化によりカルボニル化合物、またはカルボキシ化合物が得られ、そして還元性(水素化)条件下、引き続いたアミノ化によるものが考えられる。この際アミノ化のために、アミン、例えば、アンモニア、モノアミン、またはポリアミン、例えばジメチルアミノプロピレンアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミン、またはテトラエチレンペンタアミンを使用することができる。ポリプロペンベースの相応する添加剤は、とりわけWO−A−94/24231に記載されている。
【0069】
モノアミノ基(Ha)を含むさらなる好ましい添加剤は、平均重合度Pが5〜100のポリイソブテンと、窒素酸化物もしくは窒素酸化物と酸素との混合物との反応生成物の水素化生成物であり、これらはとりわけWO−A−97/03946に記載されている。
【0070】
モノアミノ基(Ha)を含むさらなる好ましい添加剤は、ポリイソブテンエポキシドから、アミンとの反応により、そしてその後の脱水、およびアミノアルコールの還元により得られる化合物であり、該化合物はとりわけDE−A−19620262に記載されている。
【0071】
ニトロ基(Hb)を(場合によりヒドロキシ基と組み合わせて)含む添加剤は好ましくは、平均重合度Pが5〜100、または10〜100のポリイソブテンと、窒素酸化物もしくは窒素酸化物と酸素との混合物との反応生成物であり、これらはとりわけWO−A−96/03367、およびWO−A−96/03479に記載されている。これらの反応生成物は一般的に、純粋なニトロポリイソブテンから成る混合物(例えばα,β−ジニトロポリイソブテン)、およびヒドロキシニトロポリイソブテン混合体(例えばα−ニトロ−β−ヒドロキシポリイソブテン)である。
【0072】
モノアミノ基もしくはポリアミノ基(Hc)と組み合わせてヒドロキシ基を含む添加剤はとりわけ、好ましくは主に末端に二重結合を有し、かつMn=300〜5,000のポリイソブテンから得られるポリイソブテンエポキシドと、アンモニア、モノアミンもしくはポリアミンとの反応生成物であり、該生成物はとりわけEP−A476485に記載されている。
【0073】
カルボキシ基、またはこれらのアルカリ金属塩、もしくはアルカリ土類金属塩(Hd)を含む添加剤は好ましくは、C2〜C40オレフィンと、総モル質量が500〜20,000の、かつこれらのカルボキシ基の一部、またはすべてがアルカリ金属塩もしくはアルカリ土類金属塩に反応しており、かつカルボキシ基のあらゆる残分がアルコールまたはアミンと反応しているマレイン酸無水物とのコポリマーである。このような添加剤はとりわけ、EP−A−307815に記載されている。このような添加剤は主に、弁座が摩耗するのを防止し、かつWO−A−87/01126に記載されているように、有利には慣用の燃料清浄剤、例えばポリ(イソ)ブテンアミンまたはポリエーテルアミンと組み合わせて使用することができる。
【0074】
スルホン酸基、またはこれらのアルカリ金属塩もしくはアルカリ土類金属塩(He)を含む添加剤は好ましくは、EP−A639632に記載されているような、スルホコハク酸アルキルエステルのアルカリ金属塩もしくはアルカリ土類金属塩である。このような添加剤は主に、弁座が摩耗するのを防止し、かつ有利には慣用の燃料清浄剤、例えばポリ(イソ)ブテンアミンまたはポリエーテルアミンと組み合わせて使用することができる。
【0075】
ポリオキシC2〜C4アルキレン基(Hf)を含む添加剤は好ましくは、C2〜C60アルカノール、C6〜C30アルカンジオール、C2〜C30モノアルキルアミン、C2〜C30ジアルキルアミン、C1〜C30アルキルシクロヘキサノール、またはC1〜C30アルキルフェノールと、ヒドロキシ基もしくはアミノ基1つあたり1〜30molのエチレンオキシド、および/またはプロピレンオキシド、および/またはブチレンオキシドとの反応より(ポリエーテルアミンの場合には、引き続きアンモニア、モノアミンもしくはポリアミンによる還元アミノ化により)得られるポリエーテルまたはポリエーテルアミンである。このような生成物はとりわけ、EP−A−310875、EP−A−356725、EP−A−700985、およびUS−A−4877416に記載されている。ポリエーテルの場合、このような生成物はキャリアオイル特性も有する。これらの典型例は、トリデカノールブトキシラート、イソトリデカノールブトキシラート、イソノニルフェノールブトキシラート、ならびにポリイソブテノールブトキシラート、およびポリイソブテノールプロポキシラート、ならびにアンモニアとの相応する反応生成物である。
【0076】
カルボン酸エステル基(Hg)を含む添加剤は好ましくは、とりわけDE−A−3838918に記載されているようなモノカルボン酸、ジカルボン酸、またはトリカルボン酸と長鎖のアルカノールまたはポリオールとから成るエステル、とりわけ100℃で2mm2/秒の最少粘度を有するものである。モノカルボン酸、ジカルボン酸、またはトリカルボン酸としては、脂肪族の、または芳香族の酸を使用することができ、エステルアルコール、もしくはエステルポリオールとして適しているのは、例えば6〜24の炭素原子を有する長鎖の代表的なものである。これらのエステルの典型的な代表例は、イソオクタノール、イソノナノール、イソデカノール、およびイソトリデカノールの、アジピン酸エステル、フタル酸エステル、イソフタル酸エステル、テレフタル酸エステル、およびトリメリット酸エステルである。このような生成物は、キャリアオイル特性も満たす。
【0077】
コハク酸無水物から誘導され、かつヒドロキシ基、および/またはアミノ基、および/またはアミド基、および/またはイミド基(Hh)を有する基を含む添加剤は好ましくは、アルキルもしくはアルケニル置換されたコハク酸無水物の相応する誘導体、および特に熱経路により、または塩化されたポリイソブテンを経由して、Mn=300〜5000の慣用のもしくは高反応性のポリイソブテンを、マレイン酸無水物と反応させることにより得られるポリイソブテニルコハク酸無水物の相応する誘導体である。この際にとりわけ重要なのは、脂肪族ポリアミンを有する誘導体、例えばエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミン、またはテトラエチレンペンタアミンである。ヒドロキシ基、および/またはアミノ基、および/またはアミド基、および/またはイミド基を有する基は例えば、カルボン酸基、モノアミンの酸アミド、ジアミンもしくはポリアミンの酸アミド(これらはアミド官能基に加えて遊離アミン基を有する)、酸官能基およびアミド官能基を有するコハク酸誘導体、モノアミンを有するカルボン酸イミド、イミド官能基に加えて遊離アミン基も有するジアミンもしくはポリアミンを有するカルボン酸イミド、またはジアミンもしくはポリアミンと2つコハク酸誘導体との反応により形成されるジイミドである。このような燃料添加剤はとりわけ、US−A−4849572に記載されている。
【0078】
基(Hh)から成る洗浄添加剤は好ましくは、アルキルもしくはアルケニル置換されたコハク酸無水物、特にポリイソブテニルコハク酸無水物と、アミン、および/またはアルコールとの反応生成物である。従ってこれらの誘導体は、アルキルコハク酸無水物、アルケニルコハク酸無水物、もしくはポリイソブテニルコハク酸無水物から誘導され、アミノ基、および/またはアミド基、および/またはイミド基、および/またはヒドロキシ基を有する誘導体である。当然これらの反応生成物は、置換されたコハク酸無水物を使用する場合だけではなく、置換されたコハク酸、もしくは適切な酸誘導体、例えばコハク酸ハロゲン化物、またはコハク酸エステルを使用する場合にも得られることがわかる。
【0079】
添加された燃料が、ポリイソブテニル置換されたコハク酸イミドベースの清浄剤を含む場合、脂肪族ポリアミンを有するイミドが特に重要である。とりわけ好ましいポリアミンはこの際、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミン、ペンタエチレンヘキサアミン、およびとりわけテトラエチレンペンタアミンである。ポリイソブテニル基は、数平均分子量Mnが好ましくは500〜5000、より好ましくは500〜2000、およびとりわけ約1000である。
【0080】
置換されたフェノールとアルデヒド、およびモノアミンもしくはポリアミンとのマニッヒ反応により得られる基(Hi)を含む添加剤は好ましくは、ポリイソブテン置換されたフェノールとホルムアルデヒド、およびモノアミンもしくはポリアミンとの反応生成物、例えばエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミン、テトラエチレンペンタアミン、またはジメチルアミノプロピルアミンである。ポリイソブテニル置換されたフェノールは、Mn=300〜5000の慣用の、または高反応性のポリイソブテンに由来する。"ポリイソブテン−マニッヒ基剤"は、EP−A−831141に記載されている。
【0081】
好ましくは上記の洗浄添加剤(H)を、少なくとも1のキャリアオイルと組み合わせて本発明による添加剤組成物とともに使用する。
【0082】
適切な無機質キャリアオイルは、石油加工の際に生じるフラクション、例えばブライトストック、または粘度のある基油、例えばSN500〜2000クラスから成るもの;また、芳香族炭化水素、パラフィン炭化水素、およびアルコキシアルカノールである。同様に有用なのは、鉱油ラフィネートの際に生じるフラクションであり、これは"ハイドロクラッキングオイル"とも呼ばれる(約360℃〜500℃の沸点範囲を有する真空蒸留画分、高圧下で接触水素化させ、イソマー化、ならびに脱パラフィン化させた天然の鉱油から得られる)。同様に適しているのは、上記の無機質キャリアオイルの混合物である。
【0083】
適切な合成キャリアオイルの例は、ポリオレフィン(α−ポリオレフィン、または中位のポリオレフィン)、(ポリ)エステル、(ポリ)アルコキシラート、ポリエーテル、脂肪族ポリエーテルアミン、アルキルフェノールから出発するポリエーテル、アルキルフェノールから出発するポリエーテルアミン、および長鎖のアルカノールのカルボン酸エステルから選択されている。
【0084】
適切なポリオレフィンの例は、とりわけポリブテンまたはポリイソブテン(水素化された、または水素化されていない)をベースとする、Mn=400〜1800のオレフィンポリマーである。
【0085】
適切なポリエーテルまたはポリエーテルアミンの例は好ましくは、C2〜C60アルカノール、C6〜C30アルカンジオール、C2〜C30モノアルキルアミン、またはC2〜C30ジアルキルアミン、C1〜C30アルキルシクロヘキサノール、またはC1〜C30アルキルフェノールと、ヒドロキシ基もしくはアミノ基1つあたり1〜30molのエチレンオキシド、および/またはプロピレンオキシド、および/またはブチレンオキシドとの反応により(ポリエーテルアミンの場合は、アンモニア、モノアミン、またはポリアミンにより引き続いた還元アミノ化による)得られるポリオキシC2〜C4アルキレン基を含む化合物である。このような生成物はとりわけ、EP−A−310875、EP−A−356725、EP−A−700985、およびUS−A−4,877,416に記載されている。ポリエーテルアミンとしては例えば、C2〜C6ポリアルキレンオキシドアミン、またはこれらの官能性誘導体を使用することができる。これらの典型的な例は、トリデカノールブトキシラート、またはイソトリデカノールブトキシラート、イソノニルフェノールブトキシラート、ならびにポリイソブテノールブトキシラート、およびポリイソブテノールプロポキシラート、ならびにアンモニアとの相応する反応生成物である。
【0086】
長鎖のアルカノールのカルボン酸エステルの例はとりわけ、モノカルボン酸、ジカルボン酸、またはトリカルボン酸と長鎖のアルカノールまたはポリオールとから成るエステルであり、これらはとりわけDE−A−3838918に記載されている。モノカルボン酸、ジカルボン酸、またはトリカルボン酸としては、脂肪族または芳香族の酸を使用することができ、エステルアルコールもしくはエステルポリオールとして適しているのはとりわけ、例えば6〜24の炭素原子を有する長鎖の代表的なものである。このようなエステルの典型的な代表例は、イソオクタノール、イソノナノール、イソデカノール、およびイソトリデカノールの、アジピン酸エステル、フタル酸エステル、イソフタル酸エステル、テレフタル酸エステル、およびトリメリット酸エステル、例えばジ(n−トリデシルまたはイソトリデシル)フタル酸エステルである。
【0087】
さらに適切なキャリアオイルシステムは例えば、DE−A−3826608、DE−A−4142241、DE−A−4309074、EP−A−0452328、およびEP−A−0548617に記載されている。
【0088】
とりわけ適切な合成キャリアオイルの例は、例えばプロピレンオキシド単位、n−ブチレンオキシド単位、およびイソブチレンオキシド単位から選択されている約5〜35の、例えば約5〜30のC3〜C6アルキレンオキシド単位を有する、アルコールから出発するポリエーテル、またはこれらの混合物である。適切な開始アルコールの非限定的な例は、長鎖のアルカノール、または長鎖のアルキルで置換されたフェノール(この際長鎖のアルキル基はとりわけ直鎖の、または分枝状のC6〜C18アルキル基である)である。好ましい例として挙げられるのは、トリデカノールとノニルフェノールである。
【0089】
さらなる適切な合成キャリアオイルは、アルコキシ化されたアルキルフェノールであり、これはDE−A−10102913に記載されている。
【0090】
好ましいキャリアオイルは、合成キャリアオイル、とりわけ好ましいのはポリエーテルである。
【0091】
添加される燃料に、洗浄添加剤(H)、またはこのような異なる添加剤の混合物を、10〜2000質量ppm、より好ましくは20〜1000質量ppm、さらにより好ましくは50〜500質量ppm、およびとりわけ50〜200質量ppm、例えば70〜150質量ppmの全量で添加する。
【0092】
キャリアオイルを併用する場合、本発明により添加する燃料に、好ましくは1〜1000質量ppm、より好ましくは10〜500質量ppm、およびとりわけ20〜100質量ppmの量でこのキャリアオイルを加える。
【0093】
さらなる添加助剤として適している低温流動性向上剤は例えば、エチレンと少なくとも1のさらなる不飽和モノマーとのコポリマー、例えばエチレン−酢酸ビニルコポリマーである。
【0094】
さらなる添加助剤として適している腐蝕防止剤は例えば、とりわけポリオール、脂肪酸誘導体、例えばオレイン酸エステル、オリゴマー化された脂肪酸、および置換されたエタノールアミンを有するコハク酸エステルである。
【0095】
さらなる添加助剤として適している抗乳化剤は例えば、アルキル置換されたフェノールスルホン酸エステルの、およびアルキル置換されたナフタリンスルホン酸エステルの、アルカリ金属塩とアルカリ土類金属塩、脂肪酸のアルカリ金属塩、および脂肪酸のアルカリ土類金属塩、さらにアルコールアルコキシラート、例えばアルコールエトキシラート、フェノールアルコキシラート、例えばt−ブチルフェノールエトキシラート、またはt−ペンチルフェノールエトキシラート、脂肪酸、アルキルフェノール、エチレンオキシドとプロピレンオキシドの縮合生成物、例えばエチレンオキシド−プロピレンオキシドのブロックコポリマー、ポリエチレンイミン、およびポリシロキサンである。
【0096】
さらなる添加助剤として適している曇り防止剤は例えば、アルコキシ化されたフェノール−ホルムアルデヒド縮合体である。
【0097】
さらなる添加助剤として適している消泡剤は例えば、ポリエーテルで変性されたポリシロキサンである。
【0098】
さらなる添加助剤として適しているセタン価向上剤、および助燃剤は例えば、硝酸アルキル、例えば硝酸シクロヘキシル、および特に2−エチルヘキシル硝酸エステル、および過酸化物、例えばt−ジブチルペルオキシドである。
【0099】
さらなる添加助剤として適している酸化防止剤は例えば、置換されたフェノール、例えば2,6−t−ジブチルフェノール、および2,6−t−ブチル−3−メチルフェノール、ならびにフェニレンジアミン、例えばN,N’−s−ジブチル−p−フェニレンジアミンである。
【0100】
さらなる添加助剤として適している金属不活性化剤は例えば、サリチル酸誘導体、例えばN,N’−ジサリシリデン−1,2−プロパンジアミンである。
【0101】
特に燃料添加剤パッケージに適している溶媒は例えば、非極性有機溶媒、特に芳香族と脂肪族の炭化水素、例えばトルエン、キシレン、"ホワイトスピリット"、ならびにShellsol(登録商標)(製造者:Royal Dutsch/Shell Group)、Exxol(登録商標)(製造者:ExxonMobil)、およびSolvant Naphthaという名称の工業的な溶媒混合物である。この際さらに、特に上記の非極性有機溶媒との混合物において考慮されるのは、極性有機溶媒、とりわけアルコール、例えば2−エチルヘキサノール、2−プロピルヘプタノール、デカノール、およびイソトリデカノールである。
【0102】
上記の添加助剤、および/または溶媒をガソリン燃料、またはディーゼル燃料中で併用する場合、これらはこのために慣用の量で使用する。
【0103】
記載する本発明による添加剤組成物はさらにまた、有利には潤滑剤の帯電防止処理と導電性改善に適している。この際潤滑剤、または潤滑剤組成物とは、モーター油、潤滑油、油圧油、タービンオイル、レギュレータオイル、トランスミッションオイル、マニュアルオイル、およびオートマオイル)、圧延油、熱媒油、金属加工油、ショックアブソーバオイル、および通常金属製の機械駆動部品の潤滑に役立つ類似の液体組成物である。さらには、潤滑グリースも潤滑剤に該当する。
【0104】
商業的に最も重要な潤滑剤組成物は、モーター油、ならびにトランスミッションオイル、マニュアルオイルとオートマオイルである。モーター油は典型的に、主にパラフィン成分を含む無機質の基油(コストがかかる後処理、および精製工程により精油所で製造される)から成り、作用物質含分に対して約2〜10質量%の添加剤含分を有する。特定の適用、例えば高温の使用に対しては、無機質の基油は部分的に、または完全に合成成分、例えば有機エステル、合成炭化水素、例えばオレフィンオリゴマー、α−ポリオレフィンもしくはポリオレフィン、またはハイドロクラッキングオイルで置き換えることができる。モーター油はまた、完璧な潤滑効果、およびシリンダーとピストン間の良好な封止を保証するために高温で充分に高い粘性を有していてよい。さらに、モーター油の流動特性は、低温でも問題なくモーターを起動できる必要がある。モーター油は酸化安定性でなければならず、液体または固体状での分解生成物、ならびに堆積物を厳しい作業条件であっても少量しか生成させない必要がある。モーター油は固体を分散させ(分散作用)、堆積を防ぎ(清浄作用)、酸性反応生成物を中和し、耐摩耗性保護膜をエンジン中の金属表面上に形成する。モーター油は典型的には、粘度クラス(SAEクラス)により特徴付けられる。
【0105】
基本成分と添加剤に関して、トランスミッションオイル、マニュアルオイル、およびオートマオイルは、モーター油に似た組成を有する。駆動部の歯車システムにおける力の伝達は、歯の間のトランスミッションオイルにおける液圧により高率で行われる。従ってトランスミッションオイルは長期間にわたり分解することなく高圧に耐えなければならない。この際決定的に重要なのは、粘度特性に加えて、摩耗性、耐圧性、摩擦力、剪断安定性、トラクション、およびすりあわせ運転特性である。
【0106】
本発明の意味で使用する本発明による添加剤組成物に加えて、モーター油とトランスミッションオイル、マニュアルオイル、およびオートマオイルは一般的に、以下に挙げる添加剤を少なくとも1つ、通常はそのうち幾つか、またはすべて通常は慣用の量(全潤滑剤組成物に対して質量%で、括弧中に記載)で含む:
(a)酸化防止剤(0.1〜5%):
硫黄化合物、例えばテルペン(α−ピネン)、樹脂油、または低分子量のポリブテンと、硫黄、ジアルキルスルフィド、ジアルキルトリスルフィド、ポリスルフィド、ジアリールスルフィド、変性チオール、メルカプトベンズイミダゾール、メルカプトトリアジン、チオフェン誘導体、キサントゲン酸エステル、ジアルキルジチオカルバミン酸亜鉛、チオグリコール、チオアルデヒド、ジベンジルジスルフィド、アルキルフェノールスルフィド、ジアルキルフェノールスルフィド、または硫黄含有カルボン酸との反応生成物、
リン化合物、例えばトリアリールホスフィット、およびトリアルキルホスフィット、3,5−t−ジブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸−ジアルキルエステル、またはホスホン酸ピペラジン、
硫黄−リン化合物、例えばジアルキルジチオリン酸亜鉛(ジアルキルジチオリン酸金属塩はまた、潤滑油中で腐蝕防止剤、および極圧添加剤として作用する)、または五硫化リンとテルペン(α−ピネン、ジペンテン)と、ポリブテン、オレフィン、または不飽和エステルとの反応生成物、
フェノール誘導体、例えば立体障害性のモノフェノール、ビスフェノール、またはトリフェノール、立体障害性の多核フェノール、ポリアルキルフェノール、2,6−t−ジブチル−4−メチルフェノール、またはメチレン−4,4’−ビス(2,6−t−ジブチルフェノール)(フェノール誘導体はしばしば、硫黄ベースの、またはアミンベースの酸化防止剤と組み合わせて使用する)、
アミン、例えばアリールアミン、例えばジフェニルアミン、フェニル−α−ナフチルアミン、または4,4’−テトラメチルジアミノジフェニルメタン、
狭義の金属不活性剤、例えばN−サリシリデンエチルアミン、N,N’−ジサリシリデンエチレンジアミン、N,N’−ジサリシリデン−1,2−プロパンジアミン、トリエチレンジアミン、エチレンジアミンテトラ酢酸、リン酸、クエン酸、グリコール酸、レシチン、チアジアゾール、イミダゾール、またはピラゾール誘導体、
(b)粘度指数向上剤(0.05〜10%)、例えば:典型的には分子量が10,000〜45,000のポリイソブテン、典型的には分子量が15,000〜100,000のポリメタクリラート、1,3−ジエン、例えば典型的には分子量が80,000〜100,000のブタジエンの、またはイソプレンのホモポリマーおよびコポリマー、典型的には分子量が60,000〜120,000のエステル化された形のマレイン酸無水物−スチレンポリマー、共役ジエンと典型的には分子量が200,000〜500,000の芳香族モノマーとから成る単位によりブロック状構造を有する星型ポリマー、典型的には分子量が80,000〜150,000のポリアルキルスチレン、エチレンとプロピレンとから成るポリオレフィン、または典型的には分子量が60,000〜140,000のスチレン−シクロペンタジエン−ノルボルネンのターポリマー、
(c)流動点降下剤(低温流動性向上剤)(0.03〜1%)、例えば二環式の芳香族化合物、例えば異なる長鎖のアルキル基を有するナフタレン、アルコール基に12〜18の炭素原子を有する、分枝度が10〜30mol%の、平均分子量が5,000〜500,000のポリメタクリラート、長鎖のアルキルフェノール、およびジアルキルアリールフタル酸エステル、または異なるオレフィンのコポリマー、
(d)清浄剤(HD添加剤)(0.2〜4%)、例えばナフテン酸カルシウム、ナフテン酸鉛、ナフテン酸亜鉛、およびナフテン酸マンガン、ジクロロステアリン酸カルシウム、フェニルステアリン酸カルシウム、クロロフェニルステアリン酸カルシウム、アルキル芳香族化合物、例えばドデシルベンゼンのスルホン化生成物、石油スルホン酸塩、スルホン酸ナトリウム、スルホン酸カルシウム、スルホン酸バリウム、またはスルホン酸マグネシウム、中性の、塩基性の、および過塩基性のスルホン酸塩、フェナート、およびカルボン酸塩、サリチル酸塩、アルキルフェノールの、およびアルキルフェノール硫化物の金属塩、リン酸塩、チオリン酸塩、またはアルケニルホスホン酸誘導体、
(e)無灰分散剤(0.5〜10%)、例えばマニッヒ反応による、アルキルフェノール、ホルムアルデヒド、およびポリアルキレンポリアミンから成る縮合物、ポリイソブテニルコハク酸無水物とポリヒドロキシ化合物もしくはポリアミンとの反応生成物、アルキルメタクリラートと、ジエチルアミノエチルメタクリラート、N−ビニルピロリドン、N−ビニルピリジン、または2−ヒドロキシエチルメタクリラートとのコポリマー、または酢酸ビニル−フマル酸エステルのコポリマーである。
(f)極圧添加剤(extrem pressure additive)(0.2〜2.5質量%)、例えば40〜70質量%の塩素含分で塩化されたパラフィン、塩化された脂肪酸(特にトリクロロメチル末端基を有するもの)、ジアルキルヒドロゲンホスフィット、トリアリールホスフィット、アリールホスファート、例えばトリクレシルホスファート、ジアルキルホスファート、トリアルキルホスファート、例えばトリブチルホスファート、トリアルキルホスフィン、二リン酸エステル、芳香族ニトロ化合物、ナフテン酸のアミノフェノール誘導体、カルバミン酸エステル、ジチオカルバミン酸誘導体、置換された1,2,3−トリアゾール、ベンゾトリアゾールとアルキルコハク酸無水物もしくはアルキルマレイン酸無水物との混合物、1,2,4−チアジアゾールポリマー、モルホリンベンゾチアジアゾールジスルフィド、塩化されたアルキルスルフィド、硫化されたオレフィン、硫化されたクロロナフタレン、塩化されたアルキルチオカルボン酸エステル、有機硫化物、およびポリスルフィド、例えばビス(4−クロロベンジル)ジスルフィド、およびテトラクロロジフェニルスルフィド、トリクロロアクロレインメルカプタル、または特にジアルキルジチオリン酸亜鉛(ZDDP)、
(g)摩擦調整剤(Friction Modifier)(0.05〜0.1%)、吸着により摩擦表面上に薄層を生成する特に油溶性の極性化合物、例えば脂肪族アルコール、脂肪族アミド、脂肪酸塩、脂肪酸アルキルエステル、または脂肪酸グリセリド、
(h)消泡添加剤(0.0001〜2%)、例えば液体状シリコーン、例えばポリジメチルシロキサン、またはポリエチレングリコールエーテル、およびポリエチレングリコールスルフィド、
(i)抗乳化剤(0.1〜1%)、例えばアルカリ金属塩の、およびアルカリ土類金属塩の形でのジノニルナフタレンスルホナート、
(j)腐蝕防止剤(金属不活性化剤とも呼ぶ)(0.01〜2%)、例えば第三級アミン、およびこれらの塩、イミノエステル、アミドオキシム、ジアミノメタン、アルカノールアミンを有する飽和もしくは不飽和脂肪酸の誘導体、アルキルアミン、サルコシン、イミダゾリン、アルキルベンゾトリアゾール、ジメルカプトチアジアゾール誘導体、ジアリールホスファート、チオリン酸エステル、第一級n−C8〜C18アルキルアミンもしくはシクロアルキルアミンと、分枝状のC5〜C12アルキル基を有するジアルキルホスファートとの中性塩、中性の、または塩基性のスルホン酸アルカリ土類金属塩、ナフテン酸亜鉛、モノ−およびジアルキルアリールスルホナート、バリウムジノニルナフタレンスルホナート、ラノリン(ウールグリース)、ナフテン酸の重金属塩、ジカルボン酸、不飽和脂肪酸、ヒドロキシ脂肪酸、脂肪酸エステル、ペンタエリトリットモノオレアート、およびソルビタンモノオレアート、O−ステアロイルアルカノールアミン、ポリイソブテニルコハク酸誘導体、またはジアルキルジチオリン酸亜鉛、およびジアルキルジチオカルバミン酸亜鉛、
(k)乳化剤(0.01〜1%)、例えば長鎖の不飽和の、天然に生成するカルボン酸、ナフテン酸、合成カルボン酸、スルホンアミド、N−オレイルサルコシン、アルカンスルファミド酢酸、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、長鎖のアルキル化されたアンモニウム塩、例えばジメチルドデシルベンジルアンモニウムクロリド、イミダゾリン塩、アルキルポリグリコール、アルキルアリールポリグリコール、アシルポリグリコール、アシルアミノポリグリコール、または長鎖のアシル化されたモノアミン、およびジエタノールアミン、
(l)染料、および蛍光添加剤(0.001〜0.2%)、
(m)防腐剤(0.001〜0.5%)
(n)臭気改善剤(0.001〜0.2%)。
【0107】
典型的な完成モーターオイル組成物、もしくはトランスミッションオイル組成物、マニュアルオイル組成物、およびオートマオイル組成物は本発明の範囲で以下の組成を有し、この際作用物質含分に関する添加剤の記載、およびすべての成分の合計は、常に100質量%である:
・モーター油基礎体、トランスミッションオイル基礎体、マニュアルオイル基礎体、およびオートマオイル基礎体(無機質の基油、および/または合成成分)が、溶媒の含分、および添加剤のための希釈剤を含めて80〜99.3質量%、とりわけ90〜98質量%、
・本発明による添加剤組成物が、0.01〜2000質量ppm、好ましくは0.1〜1000質量ppm、とりわけ0.5〜500質量ppm、特に1〜350質量ppm、
・群(d)の清浄剤が0.2〜4質量%、とりわけ1.3〜2.5質量%、
・群(e)の分散剤が0.5〜10質量%、とりわけ1.3〜6.5質量%、
・群(a)の酸化防止剤、および/または群(f)の極圧添加剤、および/または群(g)の摩擦調整剤が0.1〜5質量%、とりわけ0.4〜2.0質量%、
・群(b)の粘度指数向上剤が0.05〜10質量%、とりわけ0.2〜1.0質量%、
・群(c)、および(h)〜(n)のその他の添加剤が0〜2質量%。
【0108】
帯電を防止するために本発明による添加剤組成物が使用可能な化学的、または物理的な工程の例としては、ポリエチレン気相流動床法が挙げられる。この方法では、エチレン、またはエチレンとコモノマー、例えば1−ブテン、1−ヘキセン、または1−オクテンとの混合物を配位的に重合させる。生じるポリエチレンの密度は、組み込まれたコモノマーの量とタイプに大きく左右される。従って高密度のHDPEは、好ましくはエチレンからコモノマー無しで得られ、そして低密度のLLDPEは、上記のコモノマーの有意な量の存在下で得られる。触媒としては好ましくは、二酸化ケイ素に担持させたチーグラー触媒、またはメタロセン触媒を用いる。あらゆる場合において重合は、流動床内でポリエチレンの融点以下の温度で行い、このことが理由で固体の生成物粒子が塔型の流動床反応器の内壁と摩擦を起こす。本発明による添加剤組成物は、すべての反応器システム内で静電気の帯電防止に役立ち、従って反応器内壁への、および熱交換器へのポリマー堆積物の形成を妨げる。
【0109】
本発明の対象はまた、本発明による添加剤組成物を0.01〜2000質量ppm、好ましくは0.1〜1000質量ppm、とりわけ0.5〜500質量ppm、特に1〜350ppm含み、帯電防止処理されて改善された導電性を有する、化粧品調製物、医薬組成物、写真記録材料、塗料、プラスチック、ワックス、溶媒、鉱油製品、および燃料から選択されている、生きていない有機材料を提供する。
【0110】
公知の材料に比較して本発明による添加剤組成物により、生きていない有機材料、特に鉱油製品、および燃料、とりわけタービン燃料、ガソリン燃料、およびディーゼル燃料、ならびに潤滑剤においてさらに効果的かつ持続的な導電性の上昇が得られる。多くの場合、導電性は貯蔵後であっても一定の高水準を保つ一方、相応する従来技術の添加剤組成物では貯蔵の間に明らかな値の減少が観察できる。数質量ppmの範囲のごく少量であっても、燃料中で通常少なくとも50〜100pS/mの導電性が得られる。
【0111】
本発明による添加剤組成物は高い熱的安定性を有する。該組成物は、金属不含、かつハロゲン不含である。引火点は高く、従ってその製造、輸送、および使用前の生きていない有機材料中での貯蔵の間、安全である、すなわち、爆発と火災の危険なく取り扱える。
【0112】
本発明を以下の実施例により詳しく説明するが、この実施例に限定されることはない。
【0113】
実施例1:25℃での1−デセン−二酸化硫黄コポリマーの製造
5lのオートクレーブに、1−デセン1122g(7.90mol)およびSolvent Naphtha Heavy(Solvesso(登録商標)150)350g中のドデシルメルカプタン28gを装入した。10〜20℃で、二酸化硫黄950g(14.84mol)を導入した。その後、反応混合物を25℃に調整し、そしてこの温度で3時間の間、Solvent Naphtha Heavy700g中のt−ブチルペルオキシピバラート72gの溶液(75質量%)を供給した。引き続きこの混合物を20℃で5時間、後撹拌した。後処理のためにオートクレーブを放圧し、そしてまず脱ガスを常圧で、そしてその後真空中(200〜10mbar)で行った。透明な粘性のポリマー溶液が2.4kg得られた。反応率は95%だった(1HNMR分光分析により、5.8ppm/4.9ppmでの残留オレフィンの3オレフィンプロトンと、4.3〜3.0ppmでのポリマー主鎖内の3つのプロトンとの積分比に基づいて測定)。こうして得られる1−デセン−二酸化硫黄コポリマーは、数平均分子量Mnが19,600であり、かつ多分散性PDIが3.2であった。
【0114】
実施例2:35℃での1−デセン−二酸化硫黄コポリマーの製造
5lのオートクレーブに、1−デセン1122g(7.90mol)およびSolvent Naphtha Heavy(Solvesso(登録商標)150)350g中のドデシルメルカプタン28gを装入した。10〜20℃で、二酸化硫黄950g(14.84mol)を導入した。その後、反応混合物を35℃に調整し、そしてこの温度で2時間の間、Solvent Naphtha Heavy700g中のt−ブチルペルオキシピバラート72gの溶液(75質量%)を供給した。引き続きこの混合物を20℃で4時間、後撹拌した。後処理のためにオートクレーブを放圧し、そしてまず脱ガスを常圧で、そしてその後減圧下(200〜10mbar)で行った。透明な粘性のポリマー溶液が2.5kg得られた。反応率は97%だった(1HNMR分光分析により、5.8ppm/4.9ppmでの残留オレフィンの3オレフィンプロトンと、4.3〜3.0ppmでのポリマー主鎖内の3つのプロトンとの積分比に基づいて測定)。こうして得られる1−デセン−二酸化硫黄コポリマーは、数平均分子量Mnが13,400であり、かつ多分散性PDIが2.9であった。
【0115】
実施例3:33℃での1−デセン二酸化硫黄コポリマーの製造
5lのオートクレーブに、1−デセン1122g(7.90mol)およびSolvent Naphtha Heavy(Solvesso(登録商標)150)630g中のドデシルメルカプタン28gを装入した。10〜20℃で、二酸化硫黄720g(11.25mol)を導入した。その後、反応混合物を33℃に調整し、そしてこの温度で2時間の間、Solvent Naphtha Heavy420g中のt−ブチルペルオキシピバラート88gの溶液(75質量%)を供給した。引き続き、この混合物を20℃で4時間、後撹拌した。後処理のためにオートクレーブを放圧し、そしてまず脱ガスを常圧で、そしてその後減圧下(200〜10mbar)で行った。透明な粘性のポリマー溶液が2.5kg得られた。反応率は92%だった(1HNMR分光分析により、5.8ppm/4.9ppmでの残留オレフィンの3オレフィンプロトンと、4.3〜3.0ppmでのポリマー主鎖内の3つのプロトンとの積分比に基づいて測定)。こうして得られる1−デセン−二酸化硫黄コポリマーは、数平均分子量Mnが12,500であり、かつ多分散性PDIが2.5であった。
【0116】
実施例4:1−デセン二酸化硫黄コポリマー、C20/24オレフィン−マレイン酸イミドコポリマー、ドデシルベンゼンスルホン酸、およびSolvent Naphtha Heavyからの添加剤組成物の製造
実施例2から得た1−デセン−二酸化硫黄コポリマー溶液[成分(A)](Solvent Naphtha Heavy中で50質量%)1kgを、25〜35℃で撹拌しながらさらなるSolvent Naphtha Heavyと混合した。その後、ドデシルベンゼンスルホン酸[成分(C)]160gを同じ温度で撹拌しながら加え、均質に混合した。この混合物を40〜50℃で10分間撹拌した。引き続き、N−獣脂−1,3−ジアミノプロパンと反応させてイミドにした、質量平均分子量Mwが2,000〜5,000の範囲のC20/24オレフィン−マレイン酸無水物コポリマー[成分(B)]の溶液1kg(Solvent Naphtha Heavy中で50質量%)を40〜50℃の温度で添加し、そして均質に混合した。得られる添加剤組成物は、(A)が15.3質量%、(B)が15.3質量%、(C)が4.9質量%、およびSolvent Naphtha Heavy[成分(D)]が64.4質量%であった。
【0117】
実施例5:1−デセン−二酸化硫黄コポリマー、C20/24オレフィン−マレイン酸イミドコポリマー、ドデシルベンゼンスルホン酸、およびSolvent Naphtha Heavyからの添加剤組成物の製造
同様の成分(A)、(B)、(C)、および(D)を、実施例4に記載の組成と同様に、(A)が21質量%、(B)が18質量%、(C)が7質量%、および(D)が54質量%の組成になる量比で混合した。
実施例6:1−デセン−二酸化硫黄コポリマー、C20/24オレフィン−マレイン酸イミドコポリマー、ドデシルベンゼンスルホン酸、およびSolvent Naphtha Heavyからの添加剤組成物の製造
同様の成分(A)、(B)、(C)、および(D)を、実施例4に記載の組成と同様に、(A)が14質量%、(B)が13質量%、(C)が5質量%、および(D)が68質量%の組成になる量比で混合した。
【0118】
実施例7(比較例):1−デセン−二酸化硫黄コポリマー、N−獣脂アミン/1,3−ジアミノプロパン−エピクロロヒドリン反応生成物、ドデシルベンゼンスルホン酸、およびSolvent Naphtha Heavyからの添加剤組成物の製造
実施例6の組成物のための4成分の量比で同様に組成物を製造したのだが、唯一違うのは、C20/24オレフィン−マレイン酸イミドコポリマー溶液50質量%の代わりに、市販で手に入るN−獣脂アミン−1,3−ジアミノプロパンと芳香族炭化水素混合物中のエピクロロヒドリンとの重縮合生成物を同量で文献(1)に従って使用した。
【0119】
実施例8:添加剤組成物の導電性の測定
導電性の測定は、DIN標準51412−2(フィールド法)に従って行った。このために浸漬測定セルを、測定すべき液体に浸漬させた。pS/mでの導電性値はその都度、同一の液体温度、特に25℃で浸漬測定セルの表示から読み取った。測定すべき液体としては、事前にその都度一定量の添加剤組成物を導電性向上剤として加えておいた市販の石油、市販のディーゼル燃料、市販の暖房用オイル、市販のタービン燃料、および市販の油圧油を使用した。
a)市販の石油(添加量はその都度、1リットルあたり3mg):
実施例5の添加剤組成物(本発明によるもの)は、890pS/m;
実施例6の添加剤組成物(本発明によるもの)は、750pS/m;
実施例7の添加剤組成物(比較例)は、540pS/m;
市販の帯電防止組成物(AF1)は、760pS/m;
b)市販のディーゼル燃料(添加量はその都度、1リットルあたり3mg):
実施例5の添加剤組成物(本発明によるもの)は、670pS/m;
実施例6の添加剤組成物(本発明によるもの)は、440pS/m;
市販の帯電防止組成物(AF1)415pS/m;
c)市販の暖房用オイル(添加量はその都度、1リットルあたり3mg):
実施例5の添加剤組成物(本発明によるもの)は、690pS/m;
実施例6の添加剤組成物(本発明によるもの)は、520pS/m;
市販の帯電防止組成物(AF1)505pS/m;
d)市販のタービン燃料(添加量はその都度、1リットルあたり1mg、3mg、または5mg):
実施例5(本発明によるもの)の添加剤組成物は、1リットルあたり1mgで174pS/m、1リットルあたり3mgで750pS/m、および1リットルあたり5mgで1275pS/mであった;その都度四日の貯蔵期間後に導電性測定を繰り返し、そしてこの際230pS/m(1リットルあたり1mgの場合)、735pS/m(1リットルあたり3mgの場合)、および1205pS/m(1リットルあたり5mgの場合)という値が得られた;
市販の帯電防止組成物(AF2)は、1リットルあたり1mgで205pS/m、1リットルあたり3mgで723pS/m、および1リットルあたり5mgで1230pS/mであった;その都度四日の貯蔵時間後に導電性測定を繰り返し、そしてこの際150pS/m(1リットルあたり1mg)、677pS/m(1リットルあたり3mg)、および1034pS/m(1リットルあたり5mg)という値が得られた;
e)市販の油圧油(添加量はその都度、1リットルあたり130mg):
実施例5の添加剤組成物(本発明によるもの)は167pS/m;
市販の帯電防止組成物(AF1)は、120pS/mであった。
【0120】
有機液体中での導電性向上のための市販の帯電防止組成物(AF1およびAF2)に対しては、文献(1)の記載に従った組成物を用いる。
【0121】
この測定結果により、本発明による添加剤組成物が、相応する従来技術の添加剤組成物と少なくとも同等であることがわかる(経験則によりこの測定精度は、約±10〜20pS/m以内である);しかしながらたいていの場合、本発明による組成物は従来の組成物を上回り、かつ明らかにより高い(特に比較例7と直接比較して)所望の導電性をもたらす。このことはまた、溶媒含分(D)が相対的に高い、すなわち相対的により希釈されている本発明による実施例6にもあてはまるが、それにもかかわらず市販の帯電防止剤よりも充分に高い導電性が達成される。タービン燃料での測定において本発明による添加剤組成物のさらなる利点として注記すべきは、一定の貯蔵時間後であってもタービン燃料の導電性が一定の高水準で保たれることであり、これと異なり市販の帯電防止組成物で処理したタービン燃料は同じ貯蔵時間後に導電性が明らかに減少してしまう。
【0122】
実施例9:添加剤組成物の貯蔵安定性と、引火点の試験
実施例5と6の本発明による添加剤組成物の貯蔵安定性、ならびに市販の帯電防止組成物(AF1とAF2)の貯蔵安定性を40℃という一定の温度での比較的長い貯蔵期間後、視覚試験により曇り度と、場合により存在する沈殿物の形成について評価した。すべての場合において、試料は3ヶ月の貯蔵期間後、曇りも沈殿物もなかった。使用した試料の引火点は、EN ISO標準2719:2002を用いて事前に測定した(ペンスキーマルテンス密閉式試験器での測定):本発明による試料の場合、引火点は62℃(実施例5)、もしくは63℃(実施例6)であるが、市販の帯電防止組成物では21℃(AF1)、もしくは<20℃(AF2)と、明らかにより低い温度である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生きていない有機材料の帯電防止処理と導電性の改善に適した添加剤組成物であって、基本的に
(A)オレフィン−二酸化硫黄コポリマー 1〜50質量%、
(B)1またはそれ以上の塩基性窒素原子を含み、少なくとも4つの炭素原子、または生きていない有機材料での成分(B)の溶解性を保証する等価の構成元素を有する少なくとも1の比較的長鎖の線状または分枝状の炭化水素基を有する化合物 1〜50質量%、
(C)油溶性の酸 0.1〜30質量%、および
(D)1またはそれ以上の分子タイプから成る高沸点性の有機溶媒(この際、これらの分子タイプの少なくとも80質量%は、常圧で150℃以上の沸点を有する) 1〜80質量%、(この際、すべての成分の合計は100質量%である)
から成る添加剤組成物。
【請求項2】
基本的に、
(A) 成分(A)10〜30質量%、
(B) 成分(B)10〜30質量%、
(C) 成分(C)2〜15質量%、および
(D) 成分(D)40〜78質量%
から成る、請求項1に記載の添加剤組成物。
【請求項3】
成分(A)が、二酸化硫黄と2〜24の炭素原子を有する1またはそれ以上の線状または分枝状の1−オレフィンとのコポリマーである、請求項1または2に記載の添加剤組成物。
【請求項4】
成分(A)が2,000〜1,000,000の数平均分子量Mnを有する、請求項1から3までのいずれか1項に記載の添加剤組成物。
【請求項5】
成分(A)が、二酸化硫黄との共重合の際に未反応のオレフィンを15mol%未満含む、請求項1から4までのいずれか1項に記載の添加剤組成物。
【請求項6】
成分(B)が、少なくとも1つの塩基性窒素原子を有するα−オレフィン−マレイン酸イミドコポリマーである、請求項1から5までのいずれか1項に記載の添加剤組成物。
【請求項7】
6〜50の炭素元素を有する1またはそれ以上の線状、または分枝状のα−オレフィンと、マレイン酸無水物とのラジカル重合により、および引き続いた1またはそれ以上の脂肪族ポリアミンとの反応により成分(B)を得る、請求項6に記載の添加剤組成物。
【請求項8】
成分(B)が、500〜50,000の質量平均分子量Mwを有する、請求項6または7に記載の添加剤組成物。
【請求項9】
成分(C)が、6〜40の炭素原子を有するヒドロカルビル基を有する有機スルホン酸である、請求項1から8までのいずれか1項に記載の添加剤組成物。
【請求項10】
成分(D)が少なくとも80質量%、9〜30の炭素原子を有する高沸点性の芳香族炭化水素、またはそのような高沸点性芳香族炭化水素から成る混合物から成る、請求項1から9までのいずれか1項に記載の添加剤組成物。
【請求項11】
成分(D)が、9〜20の炭素原子を有する高沸点性の芳香族炭化水素から成る混合物である、請求項10に記載の添加混合物。
【請求項12】
高沸点性有機溶媒(D)の少なくとも一部の存在下で、まず成分(A)と(C)とを相互に均質に混合し、そしてその後に成分(B)を添加混合することを特徴とする、請求項1から11までのいずれか1項に記載の添加剤組成物の製造方法。
【請求項13】
生きていない有機材料の帯電防止処理と導電性改善のための、および化学的、および物理的方法の際に静電気の帯電を防止するための、請求項1から11までのいずれか1項に記載の添加剤組成物の使用。
【請求項14】
化粧品調製物、医薬組成物、写真記録材料、塗料、プラスチック、ワックス、溶媒、鉱油製品、および燃料の帯電防止処理と導電性改善のための、請求項13に記載の使用。
【請求項15】
請求項1から11までのいずれか1項に記載の添加剤組成物を0.01〜2000質量ppm含み、帯電防止処理されて改善された導電性を有する、化粧品調製物、医薬組成物、写真記録材料、塗料、プラスチック、ワックス、溶媒、鉱油製品、および燃料から選択された生きていない有機材料。
【請求項16】
二酸化硫黄との共重合の際に未反応のオレフィンを15mol%未満含むオレフィン−二酸化硫黄コポリマーの製造方法において、少なくとも1.4倍のモル過剰量で二酸化硫黄を使用し、かつ1またはそれ以上の分子タイプ(この際、これらの分子タイプの少なくとも50質量%が8以上の炭素原子を有する)から成る高沸点性の不活性有機溶媒中で重合を行うことを特徴とする、オレフィン−二酸化硫黄コポリマーの製造方法。
【請求項17】
二酸化硫黄との共重合の際に未反応のオレフィンを15mol%未満含むオレフィン−二酸化硫黄コポリマーの製造方法において、少なくとも1.1倍のモル過剰量で二酸化硫黄を使用し、かつ原圧下15〜38℃で、とりわけ20〜30℃で重合を行うことを特徴とする、製造方法。
【請求項18】
第一工程で0.5〜5時間にわたって原圧下30〜38℃で重合を行い、その後第二工程で1〜5時間にわたって原圧下20〜29℃で重合を行うことを特徴とする、請求項17に記載のオレフィン−二酸化硫黄コポリマーの製造方法。

【公表番号】特表2010−520343(P2010−520343A)
【公表日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−552178(P2009−552178)
【出願日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際出願番号】PCT/EP2008/052451
【国際公開番号】WO2008/107371
【国際公開日】平成20年9月12日(2008.9.12)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】