説明

生ごみ処理装置

【課題】台所に臭気が漏れず、脱臭材の脱臭性能を長期に渡って維持できる生ごみ処理装置を提供する。
【解決手段】生ごみ投入用の生ごみ投入口4の下方に設けられ生ごみを減量処理する生ごみ処理室9と、生ごみ投入口4の周囲に設けられ少なくとも生ごみの投入時に生ごみ投入口4と連通する吸気ダクト58と、この吸気ダクト58とそれに連通した吸引手段62との間に設けたハイブリッド脱臭材63とを備え、ハイブリッド脱臭材63の再生を行うために、生ごみ処理室9内の空気とは異なる空気をハイブリッド脱臭材63に流すもので、生ごみ投入時は、吸気ダクト58から臭気が吸引されハイブリッド脱臭材63で脱臭されるので、臭気が外部に流出せず、また、生ごみ処理室9内の臭気に富んだ空気とは異なる空気をハイブリッド脱臭材63に流すことにより、それを効率よく再生できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に家庭の流し台にビルトインされた生ごみ処理装置またはセットフリーの生ごみ処理装置に関するもので、特に、投入口から下方の生ごみ処理室に生ごみを投入できるようにした生ごみ処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の生ごみ処理装置は、流し台ユニット内に内装されてあり、この生ごみ処理装置の生ごみ処理槽内には撹拌羽根を設けている。この生ごみ処理槽内には、生ごみ処理材を充填してあり、生ごみ処理材に生息するバクテリアのような微生物の働きで生ごみを分解処理するようにしている。流し台の上面であるシンク天板に生ごみ投入用の投入口を設けていて、その投入口には、開閉自在の蓋を設けている。投入口と生ごみ処理槽内をダクトで連通している。
【0003】
また、建物の屋外壁の外には屋外排気口を設けてあり、この屋外排気口と生ごみ処理槽とを排気経路により連通している。排気経路の途中には、排気のための送風ファンと触媒加熱方式の脱臭器とを配置している。蓋を開いて、投入口から生ごみを投入するとき、ダクトと投入口を介して台所内に臭気が逆流しないようにするため、投入口の開放時には、送風ファンの風量を上げ、投入口から吸気される風量を大きくすることで流速を上げて、臭気が逆流しないようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、従来の他の生ごみ処理装置では、排気系に分解ガス中の臭気を吸着脱臭する脱臭手段を配設し、加熱手段による脱臭手段の加熱再生動作を、分解が盛んな時間帯を除いて、臭気発生の少ない時に行うようにしている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−66500号公報
【特許文献2】特開平9−47744号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記従来の生ごみ処理装置の構成では、送風ファンを駆動すると、生ごみ処理槽のオーバーフロー容器の空気吸入口を介して、外気が吸い込まれて生ごみ処理槽に新鮮な空気を送り、それを脱臭器で脱臭して外部に排出され、また、脱臭器では、脱臭された排気は、空気吸込口からの空気と混合されて希釈されて屋外に排出されるので、生ごみ処理槽が外部、例えば台所と連通した構成となり、生ごみ処理槽から発生する臭気を確実に遮断することができないという課題を有していた。
【0007】
また、触媒加熱式の脱臭器は、300℃以上の温度で触媒を加熱維持する必要があり、ランニングコストが上昇するという課題を有していた。
【0008】
また、吸着脱臭する脱臭手段を加熱再生動作する時は、臭気が使用者に不快な感じを起こさせない夜間などに行うか、または、別設の酸化触媒等によって分解脱臭させるという課題を有していた。
【0009】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、生ごみを生ごみ投入口から投入するときに室内に臭気が漏れないように吸引し、その吸引した臭気も脱臭材を介して臭気として外
部に排出しないようにすると共に、この脱臭材の脱臭性能を維持するための再生動作を安価に行うことができる生ごみ処理装置を提供することを目的にする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記従来の課題を解決するために、本発明の生ごみ処理装置は、生ごみを投入するための生ごみ投入口と、前記生ごみ投入口の下方に設けられ前記生ごみを減量処理する生ごみ処理室と、前記生ごみ投入口の周囲に設けられ少なくとも前記生ごみの投入時に前記生ごみ投入口と連通する吸気ダクトと、この吸気ダクトに連通した吸引手段と、この吸引手段と前記吸気ダクトの間に設けた脱臭材とを備え、前記脱臭材の再生を行うために、前記生ごみ処理室内の空気とは異なる空気を前記脱臭材に流すようにしたもので、生ごみを投入する時は、生ごみ投入口の周囲に設けた吸気ダクトから臭気が吸引され、この臭気が脱臭材に吸着するので、生ごみの臭気が生ごみ処理室から外部に流出することが無い。また、前記生ごみ処理室内の臭気に富んだ空気とは異なる空気を前記脱臭材に流すことにより、脱臭材を効率よく再生し、脱臭性能を維持することができる。また、脱臭材の再生動作には、加熱するための電力が不要なので、ランニングコストの上昇も防止することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の生ごみ処理装置は、生ごみを生ごみ投入口から生ごみ処理室に投入する時に室内に臭気が発生しないようにすることができ、再生動作によりこの脱臭性能を維持することができる。また、脱臭材の再生動作は、加熱する電力が必要ないのでランニングコストの上昇を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施の形態1における生ごみ処理装置の断面図
【図2】図1のA―A側面図
【図3】同生ごみ処理装置を搭載した流し台の斜視図
【図4】同生ごみ処理装置の生ごみ投入時の断面図
【図5】図4のB―B側面図
【図6】同生ごみ処理装置の生ごみ容器引出し時の部分断面図
【図7】同生ごみ処理装置のハイブリッド脱臭材再生時の断面図
【発明を実施するための形態】
【0013】
第1の発明は、生ごみを投入するための生ごみ投入口と、前記生ごみ投入口の下方に設けられ前記生ごみを減量処理する生ごみ処理室と、前記生ごみ投入口の周囲に設けられ少なくとも前記生ごみの投入時に前記生ごみ投入口と連通する吸気ダクトと、この吸気ダクトに連通した吸引手段と、この吸引手段と前記吸気ダクトの間に設けた脱臭材とを備え、前記脱臭材の再生を行うために、前記生ごみ処理室内の空気とは異なる空気を前記脱臭材に流すようにしたもので、生ごみを投入する時は、生ごみ投入口の周囲に設けた吸気ダクトから臭気が吸引され、この臭気が脱臭材に吸着するので、生ごみの臭気が生ごみ処理室から外部に流出することが無い。また、前記生ごみ処理室内の臭気に富んだ空気とは異なる空気を前記脱臭材に流すことにより、脱臭材を効率よく再生し、脱臭性能を維持することができる。また、脱臭材の再生動作には、加熱するための電力が不要なので、ランニングコストの上昇も防止することができる。
【0014】
第2の発明は、特に、第1の発明の脱臭材は、ハイブリッド脱臭材としたもので、脱臭材の吸着脱臭の性能を維持するために行う再生動作は、脱臭材から吸着した臭気成分を徐々に脱着させるので、作業者が臭気として認識できない状態を作ることができる。また、脱臭材の再生動作は、加熱する電力が必要ないので、ランニングコストの上昇を防止することができる。また、脱臭材から吸着した臭気成分を臭気の含まれない新鮮な空気で徐々
に脱着させる再生動作により、使用者が臭気として認識できない状態を作るようにすることができる。
【0015】
第3の発明は、特に、第1又は第2の発明の脱臭材とは別に、循環経路を介して生ごみ処理室と連通する凝縮脱臭装置を設け、生ごみの減量処理中に前記凝縮脱臭装置で脱臭を行うようしたもので、乾燥処理中に生ごみから発生する多量の水蒸気や臭気は、凝縮脱臭装置で除去するので、生ごみ投入時の脱臭材で吸着させる臭気成分を減少することになり、脱臭材の再生時間を短縮することができる。
【0016】
第4の発明は、特に、第1〜3のいずれか一つの発明の脱臭材を、吸引手段の上流に配置したもので、吸引手段により吸引される空気のすべてが、脱臭材を通過するようになるので、再生動作に必要な空気を常に供給することができる。
【0017】
第5の発明は、特に、第1〜4のいずれか1つの発明の脱臭材を再生するための空気を外部から取り入れるようにしたもので、生ごみ処理室の周囲の空気に含まれる臭気成分を含む可能性のある空気を排除して、脱臭材の再生動作には、新鮮な空気を供給することになり、再生動作を効率よく行うことができる。
【0018】
第6の発明は、特に、第1〜5のいずれか1つの発明の吸気ダクトと脱臭材を連通する吸引ホースを設け、前記脱臭材を再生するための空気を前記吸引ホースに分岐して設けた導入通路から供給するようにしたもので、一つの吸引手段を固定したままで、導入通路から新鮮な空気を供給することになり、再生動作を効率よく行うことができる。
【0019】
第7の発明は、特に、第6の発明の吸引ホースと導入通路の切り替えを行う通路切り替えダンパを設けたもので、導入通路の開放を容易に行えると共に、吸引ホースを閉止して吸引ホース側を密閉状態にして、吸気ダクト内の臭気を含む空気と新鮮な外部の空気を隔離して、再生動作を効率よく行うことができる。
【0020】
第8の発明は、特に、第1〜7のいずれか1つの発明の生ごみ処理装置が内装された流し台内の空気を導入して脱臭材の再生を行うようにしたもので、生ごみの乾燥処理から発生する臭気を含んだ空気ではなく、流し台の内部に蓄積された色々な臭気も脱臭材で吸着され、濃度も微小のため吸着しながら脱着することも可能となり、流し台の引出しや扉を開けたときの臭気を低減することができる。
【0021】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0022】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1における生ごみ処理装置について、図1〜7を用いて説明する。図1は、本実施の形態1における生ごみ処理装置の断面図、図2は、図1のA―A断面図、図3は、同生ごみ処理装置を搭載した流し台の斜視図、図4は、同生ごみ処理装置の生ごみ投入時の断面図、図5は、図4のB―B側面図である。尚、図1〜3は、生ごみの乾燥処理を行っている時の生ごみ処理装置の図である。
【0023】
図1、2、3において、1は、家庭の台所に設置され本実施の形態における生ごみ処理装置が搭載された流し台である。2は、生ごみや水(水道水等)が共に投入されたり、混入したりする排水口3を有した流し台1のシンクである。通常このような排水口3は、ストレーナ(生ごみかご等)を設けている。4は、シンク2の上端の天板5に設けられた生ごみ投入用の生ごみ投入口である。
【0024】
天板5は、ステンレス等(一部樹脂の場合もありうる)の材料によりシンク2と一体に成型され、排水口3がごみ詰まりで閉塞したときに蛇口6からの水が天板5の上端までためられるようになっている。
【0025】
生ごみ投入口4には、投入口フタ7が設けられている。投入口フタ7は、閉止しているときは、天板5の上端と略同一面上になるように構成している。生ごみ投入口4のシンク2に対する配置は、シンク2に向かって手前右側に構成しているので、シンク2では、その部分の造型が突出した形状をしている。
【0026】
生ごみ投入口4の下方には、筒状の投入通路8を設けている。この投入通路8の下部に投入生ごみ10を乾燥させて減量処理する生ごみ処理室9を設けている。投入通路8と生ごみ処理室9は、樹脂成型され、一体の容器に構成されている。投入通路8と生ごみ処理室9は、投入口フタ7を使用して密閉の容器に構成し、投入生ごみ10の蒸気と臭気が外部に漏れないようにしている。投入通路8と生ごみ処理室9の樹脂材料は、投入生ごみ10の乾燥温度(例えば、70〜100℃)に耐えられる耐熱性の樹脂で成型している。
【0027】
生ごみ処理室9は、シンク2の底部11の下方に配置され、その形状は、上部が略平面で下部に曲面を配置した、略半長円断面状に形成され、この略平面部分に投入通路8を結合している。生ごみ処理室9は、使用者がシンク2に向かう方向(流し台の正面の家事作業を行う側)に開口12を設けている。この開口12から、生ごみ処理室9の内部に生ごみ容器13を生ごみ処理室9の曲面形状に合うような形で引出しのように収納するようにしている。
【0028】
生ごみ容器13は、生ごみ処理室9の樹脂材料と同様に、投入生ごみ10の乾燥温度(例えば、70〜100℃)に耐えられる耐熱性の樹脂で成型されている。また、内面には、コーティング処理をして、回収生ごみ16がこびりつかないようにしている。生ごみ容器13内の投入生ごみ10を攪拌する生ごみ撹拌手段14は、生ごみ容器13内に設けた駆動軸15の周囲に構成されている。生ごみ容器13内の駆動軸15は、生ごみ容器13内に回収生ごみ16(投入生ごみ10と乾燥処理した生ごみ等)がたまり、捨てるときに生ごみ容器13を生ごみ処理室9から引き出すときに容易に作業が行えるように、生ごみ撹拌手段14の駆動手段17の駆動軸18と着脱自在に構成されている。
【0029】
駆動手段17は、生ごみ処理室9の外側から駆動軸18を介して駆動軸15に結合されている。駆動手段17は、ギアドモータで構成されている。生ごみ撹拌手段14は、このギアドモータにより一定の間隔で停止時間を設けながら毎分5〜20回転で正転、反転を繰り返しながら回収生ごみ16の撹拌を行うようにしている。
【0030】
生ごみ容器13を生ごみ処理室9に収納すると、駆動軸18と駆動軸15が接触して回転を伝達できるようになっている。生ごみ処理室9への駆動軸18の装着は、ベアリングとメカニカルシールで構成する軸受け部19を用いて密閉性を高めている。また、生ごみ容器13内の駆動軸15に対してもベアリングとメカニカルシールで構成する軸受け部20を用いて密閉性を高めている。この軸受け部20は、駆動手段17と反対側の生ごみ容器13の側壁にも設けられ、駆動軸15の回転を支えている。
【0031】
生ごみ容器13は、略半長円断面状の生ごみ処理室9にあわせて略半長円断面状に構成され、引き出す手前側に、生ごみ処理室9の略半長円断面よりも大きな外形の前板21を設け、この前板21を生ごみ処理室9の壁面にパッキン22(シール材等)を介してレバー等(図示無)で押し付けるようにして密閉性を高めるようにしている。
【0032】
生ごみ容器13は、引出しのように上部が開放され、生ごみ投入口4から投入通路8を
介して投入された投入生ごみ10を受けて貯留するようになっている。生ごみ撹拌手段14は、複数個の棒またはヘラ状の板で構成され、この先端が生ごみ容器13の略半長円の内壁に沿って回転して、回収生ごみ16の撹拌を行うようにしている。撹拌手段14の動作は、一定の停止時間を挟んで連続的に行われ、正転と反転を繰り返しながら、回収生ごみ16を撹拌している。
【0033】
本実施の形態では、流し台1の前板(化粧板)23に生ごみ容器13の前板21を上方から差し込むように構成して、生ごみ容器13を生ごみ処理室9から引き出して回収生ごみ16を廃棄するときは、流し台の前板23を流し台1に設けられている引出し(図示無)の様にレール構造(図示無)を使用して、流し台1の前板23引き出してきて、生ごみ容器13を自在に取り出せるようにしている。24は、生ごみ処理室9の庫内温度を上昇させるために生ごみ処理室9の下部に設けた加熱手段で、一般的なシーズヒータ、マイカヒータを用い一定の温度調節を行うか、または板状のPTCヒータを用いて自動調節を行うようにしている(この板状のPTCは、熱伝導の良いアルミや銅の板に貼り付けて均一に加熱することも可能である)。
【0034】
加熱手段24により、回収生ごみ16を加熱し、生ごみ撹拌手段14により回収生ごみ16を反転させて、乾燥処理を促進するようにしている。25は、生ごみ処理室9内に空気26を送るための空気供給手段で、エアーポンプまたはターボファンやラジアルファン等の高圧型の送風機で構成されている。空気供給手段25は、生ごみ処理室9内に空気26を噴出するようにしている。
【0035】
27は、凝縮脱臭装置で、回収生ごみ16の乾燥処理を行うときに発生する水蒸気と臭気を低減するために、後述の液中での気泡発生手段を用いて構成している。凝縮脱臭装置27と生ごみ処理室9との間に密閉状の循環経路28を構成していて、その間を空気供給手段25により空気26を循環させている。
【0036】
生ごみ処理室9では、空気供給手段25により供給された空気26に押し出されるようにして、生ごみ処理室9内の水蒸気を吸い込んだ排気29が生ごみ処理室9の上部に設けた排気口30から、循環経路28の戻り管31を介して凝縮脱臭装置27に送られるようにしている。戻り管31は、生ごみ処理室9の排気口30から凝縮脱臭装置27の入口までの循環経路28を構成している。
【0037】
凝縮脱臭装置27では、戻り管31の先端に、凝縮脱臭装置27の液槽32に貯留した水33(水33は、水道水と投入生ごみ10の水蒸気が凝縮した水も含まれる)の中に排気29を気泡として噴出させるためのノズル34を設けている。ノズル34では、微細な気泡を作るために多数の微細孔(図示せず)が設けられている。この水33中を、排気29の気泡が通過することで、温度の高い排気29中に含まれる多量の水蒸気が水33により冷却され、凝縮して水33に含水して除去され、絶対湿度の小さな空気26となる。また、排気29に含まれる臭気(例えば、投入生ごみ10を乾燥処理したときに発生する主な悪臭は、硫化水素、トリメチルアミン、メチルメルカプタン、アルデヒド類等がある)は、水溶性のものが多いので、水33に吸収され、脱臭された空気26となる。
【0038】
液槽32の上部には、一定の容積の空間35が設けられていて、この空間35により水33と空気26を分離している。液槽32の水33の量または空間35の容積を管理するため、貯留した水33の水位を検出する水位検出部36を液槽32内に設けている。水位検出部36は、フロート式または電極式等の液面検知スイッチ(図示せず)で構成されている。
【0039】
液槽32の空間35の上部に循環経路28の行き管37の吸引入口38が設けられてい
る。この行き管37の先端は、生ごみ処理室9内に給気口39として開口している。行き管37は、凝縮脱臭装置27の出口から生ごみ処理室9の吸気口39までの循環経路28を構成している。行き管37の途中に空気供給手段25が設けられ、吸引入口38から温度の低下した空気26を吸引するようにしている。この空気供給手段25と給気口39の間の行き管37の途中に上部加熱手段40を設けている。上部加熱手段40は、一般的なシーズヒータ、マイカヒータを用い一定の温度調節を行うか、またはPTCヒータを用いて自動調節を行うようにしている。これにより、給気口39から供給された空気26は、加熱されて相対湿度の低下した乾燥した空気26として形成され、投入生ごみ10からの水蒸気を回収することが容易になる。
【0040】
給気口39は、生ごみ処理室9の駆動手段17側の背面41に開口され、その先端が生ごみ容器13の駆動手段17側の側面42の切り欠き部43を介して生ごみ容器13内の下方に加熱された空気26が向かうように下向きに突出させて設けられている。
【0041】
凝縮脱臭装置27では、生ごみ処理室9内の投入生ごみ10から発生する水蒸気を凝縮させて結露するために、生ごみ処理室9の乾燥温度(例えば70〜100℃)との差を維持するように定期的に給水経路44から新しい水33を液槽32内に注入するようにしている。新しい水33は、その時期の上水温度に低下している。この新しい水33を注入するタイミングを図るために、液槽32内に水温検知部45を設けている。水温検知部45は、熱電対またはサーミスタで構成され、液槽32内の水33の温度が、投入生ごみ10からの水蒸気により上昇して、水蒸気の露点温度の上昇により、凝縮能力(例えば、新しい水の温度が20℃から開始して60℃程度まで上昇するとすれば、凝縮能力が半減する)が低下する温度を検知している。
【0042】
凝縮脱臭装置27の液槽32の水33の入れ替えのための構成は、液槽32の上部に設けた給水経路44と、液槽32の下部に設けた排水経路46で構成している。水温検知部45の信号により、制御器47が、水33の入れ替えの指示を行うようにしている。排水経路46の先端は、シンク2の排水口3に接続された排水管48に連通し、排水管48に連結する直前にトラップ49を設けていて、排水管48からの悪臭や害虫の侵入を防ぐようにしている。
【0043】
排水経路46の途中に、液槽32側から排水弁50と排水逆止弁51を連接している。排水逆止弁51は、配水管48の一部が詰まり、汚水が上昇してトラップ49を逆流しても液槽32と排水弁50に汚水が入り込まないようにしている。排水弁50は、電磁式の開閉バルブで構成され、制御器47の指示で、液槽32の水33の温度が上昇したときに開放して、水33を排水管48を通して下水に排出する。
【0044】
排水の終了は、制御器47に設けたタイマーまたは水位検出部36の検知により行い、排水弁50を再度閉止した後に、給水経路44の途中に設けた給水弁52を開放して液槽32に新しい水33を注入する。
【0045】
液槽32に給水経路44を連結する位置は、液槽32の空間35の上部にしている。これは、液槽32に貯留した水33が逆流して給水経路44に侵入しないようにするためである。給水経路44は、キッチン1の蛇口6のための給水管53の一部から分岐している。給水経路44は、この給水管53側から給水弁52と給水逆止弁54とバキュームブレーカ55を連接している。給水逆止弁54は、配水管48の一部が詰まり、汚水が上昇してトラップ49を逆流しても液槽32から給水経路44の上流に流れ込まないようにしている。更に液槽32と給水逆止弁54との間に、この汚水逆流対策の二重の安全装置としてバキュームブレーカ55を設けることで、給水管53側が何かの理由により負圧になった時に、液槽32側の空間35の空気26や水33が給水経路44に侵入しないようにし
ている。
【0046】
バキュームブレーカ55では、給水管53に負圧が発生した時に空気(この場合は、台所や流し台1の中の空気)を導入して大気圧と等しくして、液槽32側からの逆流を防止するようにしている。また、バキュウームブレーカ55の大気開放された側に排出管56を介して受け容器57を設け、液槽32から大気開放側に一部漏れ出す水33は、この受け容器57に受けて、外部に漏れ出さないようにしている。受け容器57では、漏れ出した水33は、受け容器57内で自然乾燥させるかまたは水33の貯留状態を知らせて廃棄を行う作業を使用者に指示するようにしている。
【0047】
図4は、生ごみを投入している時の生ごみ処理装置の構成を示す断面図、図5は、図4のB−B断面図である。
【0048】
図4、5において、58は、投入通路8の周囲に設けた吸気ダクトである。吸気ダクト58は、生ごみ処理室9の上部を覆うような形で、独立した空間を構成している箱状の吸気通路59に連通している。吸気ダクト58の上部に、投入通路8に向かって開口して生ごみ投入口4と吸気ダクト59と連通する複数個の吸気口60を設けている。この吸気口60は、生ごみ投入口4に投入口フタ7を載せて閉止すると、投入フタ7により閉塞され、吸気ダクト58が密閉された空間になるようにしている。
【0049】
吸気通路59の一部から吸引ホース61を連通させ、その端部には吸引手段62を設けている。吸引手段62は、ターボファンやラジアルファン等の高圧型の送風機で構成されている。吸引手段62の上流の吸引ホース61の途中には、ハイブリッド脱臭材63を設けている。生ごみ投入口4から投入生ごみ10を投入通路8を介して生ごみ容器13に落とす時に、生ごみ処理室9で乾燥処理が行われていると、回収生ごみ16から発生する水蒸気や臭気が投入通路8を上昇してくるので、制御器47の指示により、吸引手段62を作動させ、生ごみ投入口4の近傍に設けた吸気口60からその水蒸気や臭気を吸い込んで、ハイブリッド脱臭材63で脱臭し、排気口64から無臭の空気65として例えば、台所や床下に排出するようにしている。
【0050】
ハイブリッド脱臭材63は、ファイバーセラミックで成型したハニカム体を担持体としている。このハニカム体に、マンガン、銅、コバルトの複合化合物と疎水性の合成ゼオライトを、コロイダルシリカをバインダーとして担持させたものである。ハイブリッド脱臭材63は、金属の複合酸化物を有しており、この金属の複合酸化物による吸着作用により、臭気成分である硫化水素を化学吸着している。また、触媒作用で臭気成分であるメチルメルカプタンを二硫化ジメチルに転化する。
【0051】
また、ハイブリッド脱臭材63を構成している疎水性のゼオライトは、転化した二硫化ジメチルの他にアンモニア等の臭気成分を物理吸着し、これらの複合作用により投入生ごみ10の乾燥処理中に発生する臭気を除去するようにしている。また、ハイブリッド脱臭材63では、硫化水素は化学吸着によって吸着されるので、複合酸化物に吸着サイトが存在すれば、濃度に関係なく吸着が促進される。したがって、ハイブリッド脱臭材63の寿命は、この吸着サイトがなくなるまでということであるため、硫化水素の発生量を投入生ごみ10の量や投入生ごみ10の種類によって想定し、ハイブリッド脱臭材63の交換時期等のタイミングを把握するようにしている。
【0052】
これに対して、二硫化ジメチルやアンモニアは物理吸着なので、濃度によって吸着容量が変化し、数日から数十日で吸着容量に達するものであり、再生操作を行うタイミングや再生時間を把握するようにしている。
【0053】
66は、投入通路8の内部に設けた投入筒である。投入筒66は、投入通路8と同様に、投入生ごみ10の乾燥温度(例えば、70〜100℃)に耐えられる耐熱性の樹脂で成型され、投入通路8の上部に設けられた突起部67に引っ掛ける形で着脱自在に設けられている。
【0054】
また、投入筒66は、投入生ごみ10により内壁が汚れるので、作業者が随時掃除できるように、取っ手(図示無)により、生ごみ投入口4の投入口フタ7を開けて、外部に容易に引き出すことができるようになっている。また、投入筒66の上部を投入口フタ7の下部68で押し付けるようにして投入通路8全体の密閉性を保つようにしている。投入口フタ7の下部68は、弾力性の有る耐熱性の材料(例えば、ゴムやシリコン等)で構成され、シール性を向上させるようにしている。また、投入口フタ7の下部68や投入筒66の内壁の表面は、撥水性の材料をコーティングしてあり、投入生ごみ10の乾燥処理時に発生する臭気が水蒸気に含まれ、内壁の表面に付着して残留しないようにしている。
【0055】
69は、生ごみ投入口4の近傍の天板5上に設けられ、投入生ごみ10の投入指示スイッチや確認ランプ(図示せず)で構成された天板表示部である。70は、キッチン1の前板23を引き出してきて、生ごみ容器13を取り出すときの取り出し指示スイッチ(図示せず)や確認ランプ(図示せず)で構成された前板表示部である。
【0056】
71は、上記構成部品をすべて収納して、生ごみ処理装置72として構成する外装である。
【0057】
また、図6は、生ごみ容器13を生ごみ処理室9の開口12から引き出して回収生ごみ16を廃棄する時の状態を示す図である。
【0058】
図6において、生ごみ容器13は、流し台1の前板(化粧板)23に生ごみ容器13の前板21を上方から差し込むようにして装着されている。流し台の前板23は、一般的に流し台1に設けられている引出しと同様にレール構造(図示無)を使用して、流し台1の前側に引き出すようにしている。この前板23を引き出すことで、生ごみ容器13を自在に取り出せるようにしている。前板23を流し台1に押し入れることにより、生ごみ容器13の前板21に装着したパッキン22を生ごみ処理室9の側壁に押し付けて、生ごみ処理室9内に生ごみ容器13を密閉された状態で収納するようにしている。
【0059】
また、図7は、ハイブリッド脱臭材63の再生動作を行っている時の動作を示す図である。
【0060】
図7において、投入口フタ7を閉止して、吸気通路59の一部から連通させた吸引ホース61の途中に設けた通路切り替えダンパ73により、吸引ホース61を閉止し、吸気ダクト58と吸気通路59を密閉するようにしている。この通路切り替えダンパ73の下流側の吸引ホース61に分岐して導入通路74を設け、外装71の内部や台所内からの外部空気75を、導入通路74と連通する入口76から吸引ホース61に流入させるようにしている。
【0061】
この通路切り替えダンパ73は、板状の稼動部をステッピングモータ(図示せず)やソレノイド(図示せず)を回転させることで、吸引ホース61または導入通路74を開閉するようにしている。吸引された外部空気75は、吸引手段62の動作により、ハイブリッド脱臭材63を通過するようにしている。通路切り替えダンパ73は、投入口フタ7を開けている時は、吸引ホース61を開放し、導入通路74を閉止して、吸気口60から回収生ごみ16の水蒸気や臭気を吸い込んで、ハイブリッド脱臭材63で脱臭するようにしている。入口76には、フィルタ(図示せず)が設けられ、ハイブリッド脱臭材63への塵
やごみの侵入を防止するようにしている。
【0062】
なお、本実施の形態では、生ごみ処理室9との間に循環経路28を介して設けた凝縮脱臭装置27と、投入通路8の周囲に設けた吸気ダクト58と、この吸気ダクト58に吸気通路59を介して連通した吸引手段62と、吸引手段62と前記吸気ダクト58の間に設けたハイブリッド脱臭材63を流し台1に装着したが、それらを、独立した生ごみ処理装置(スタンドアローン型)として構成することも可能である。この場合、凝縮脱臭装置27の液槽32の水33の入れ替え用の水タンク(図示なし)と投入生ごみ10から発生する水分を貯留するタンク(図示なし)を付加することになる。この構成により、作業者は、適当な場所で、臭気を防止した生ごみの乾燥処理を行うことができる。
【0063】
以上のように構成された本実施の形態における生ごみ処理機の動作、作用を説明する。
【0064】
まず台所の流し台1で発生した生ごみを処理するために、作業者は、投入口フタ7の近傍の天板表示部69を見て、現在の生ごみ処理装置72の運転状況を確認する。作業者は、例えば、前日に入れた投入生ごみ10の乾燥処理が終了していれば、それをごみ袋に廃棄するか、または、乾燥終了した投入生ごみ10の上に更に新しい投入生ごみ10を追加して乾燥処理を行うかを判断する。
【0065】
ここで新たに投入生ごみ10を追加して乾燥処理したいときは、投入口フタ7を開けるという指示を天板表示部69の指示スイッチで行う。投入口フタ7を開放しても良いという許可(この場合は、確認ランプの点灯で知らせる)を受けた作業者は、投入口フタ7を開けて生ごみ投入口4から投入筒66の内側に沿って新しい投入生ごみ10を生ごみ容器13内に投入する。
【0066】
この時、投入口フタ7を開けるという指示を天板表示部69の指示スイッチで行うと、制御器47の指示により、吸引手段62が作動し、投入通路8の周囲に設けた吸気ダクト58の複数個の吸気口60から生ごみ処理室9内の空気26を吸引する体制に入る。生ごみ処理室9で乾燥処理を行っているときに、投入口フタ7を開けると、回収生ごみ16から発生する水蒸気や臭気が投入筒66内を上昇してくるので、この上昇してくる空気26と流し台1の近傍の空気が、吸気口60から吸い込まれ、作業者に臭気が届かないようにしている。
【0067】
吸気口60から吸引された水蒸気や臭気は、流し台1の近傍の空気に希釈されながら吸気ダクト58から吸気通路59を通り、吸引手段62の上流の吸引ホース61の途中に設けたハイブリッド脱臭材63で脱臭され、排気口64から無臭の空気65として台所に排出されるようにしている。また、吸引手段62で吸引する水蒸気や臭気を含む流し台1近傍の空気の流量は、略200〜300L/minに設定され、上昇する空気26の流速を超える流速で吸気口60から吸引するようにしていて、臭気を逃がさないようにしている。
【0068】
投入生ごみ10の投入作業が終了し、投入口フタ7を閉めると制御器47の指示により吸引手段62を停止する。作業者が投入口フタ7を閉めることで、生ごみ処理室9での投入生ごみ10の乾燥処理を自動的に開始するか、または天板表示部69に設けられた運転スイッチを入れることで、新しい投入生ごみ10の乾燥処理を開始するようにしている。運転スイッチが入ると、制御器47の指示により、駆動手段17が作動し生ごみ容器13内の生ごみ撹拌手段14が回転し、回収生ごみ16を反転させて撹拌する。
【0069】
また、生ごみ処理室9の下部に設けた加熱手段24が作動し、生ごみ容器13を加熱し内部の回収生ごみ16の温度を上昇させる。また、空気供給手段25が作動し、循環経路
28内を空気26が循環するようになる。
【0070】
空気供給手段25による空気26の循環量は、投入生ごみ10の量で水蒸気量が変わるので、生ごみ容器13に貯留させたい容量で想定する必要がある。例えば、普通の家庭で1日の投入生ごみ10の量を700gとして半日ぐらいの乾燥処理時間を仮定すると、循環量は、略2〜20L/minに設定するようにできる。また、循環経路28の行き管37では、空気供給手段25により押し出された空気26が上部加熱手段40により加熱され、相対湿度の低下した乾燥した空気26として、給気口39から回収生ごみ16に向かって噴出するようにしている。
【0071】
回収生ごみ16の乾燥処理が行われると、回収生ごみ16から水蒸気と臭気が多量に発生してくるので、これを空気26で吸収して最大は、相対湿度100%の飽和蒸気として排気口30から排気29として循環経路28の戻り管31の途中に設けた凝縮脱臭装置27に送る。凝縮脱臭装置27では、排気29を、液槽32に貯留した水33にノズル34を介して気泡として噴出する。排気29の気泡が水33中を通過することで、温度の高い排気29中に含まれる多量の水蒸気が水33により冷却され、凝縮して水33に含水して除去され、絶対湿度の小さな空気26となる。
【0072】
また、排気29に含まれる臭気(例えば、投入生ごみ10を乾燥処理したときに発生する主な悪臭は、硫化水素、トリメチルアミン、メチルメルカプタン、アルデヒド類等がある)は、水溶性のものが多いので、それらは水33に吸収され、脱臭された空気26となる。空気26は、凝縮脱臭装置27の吸引入口38から再び空気供給手段25に吸引され循環経路28内を流通するようになる。
【0073】
凝縮脱臭装置27では、乾燥処理室9での乾燥処理が進むにつれ、液槽32内の水33の温度が上昇する。また、水33内に投入生ごみ10から発生した水蒸気が溶け込み水33の水量も増加してくる。この状態を、液槽32内に設けた水温検知部45でモニターし、水温検知部45の温度が、凝縮能力が低下する温度(例えば、新しい水の温度が、20℃から開始して60℃程度まで上昇するとすれば、凝縮能力が半減する)を検知した時に、制御器47の指示により液槽32内の水33の入れ替えを行うようにしている。
【0074】
水33の入れ替えは、まず、液槽32の下部に設けた排水経路46の排水弁50を開けて液槽32内の水33を排水管48を通して下水に排出する。制御器47に設けたタイマーまたは水位検出部36の検知により、水33の排水終了を確認し、排水弁50を再度閉止した後に、給水経路44の途中に設けた給水弁52を開放して液槽32に新しい水33を注入する。
【0075】
給水する水33の量は、制御器47に設けたタイマーまたは水位検出部36の検知により行い、生ごみ処理室9内の投入生ごみ10から発生する水蒸気を凝縮させて結露するために必要な温度(この場合は、その時期の上水温度)と量の水33が貯留したこと確認した後に、給水弁52を閉じて水33の入れ替え作業を終了し、以後、適宜この作業を繰り返していく。
【0076】
また、作業者は、流し台1の前板23に設けた前板表示部70を見て、現在の生ごみ処理装置72の運転状況を確認する。作業者は、例えば、前日に入れた投入生ごみ10の乾燥処理が終了していれば、それをごみ袋に入れて廃棄するために、前板23を引き出すという指示を前板表示部70の指示スイッチで行う。
【0077】
前板23を引き出しても良いという許可(この場合は、確認ランプの点灯で知らせる)を受けた作業者は、流し台1から前板23を引き出して、前板23にはめ込まれた生ごみ
容器13を引き上げて取り出し、生ごみ容器13内の乾燥処理の終了した回収生ごみ16を廃棄するようにしている。
【0078】
また、ハイブリッド脱臭材63の脱臭機能の再生を行うとき、まず制御器47により、現在の生ごみ処理装置72の運転状況を確認する。制御器47は、例えば、投入生ごみ10の乾燥処理が終了していれば、投入口フタ7が開けられないと判断して、吸引ホース61に設けた通路切り替えダンパ73を動作させて、吸気通路59側の吸気ホース61を遮断する。これにより、導入通路74が開放され、吸引手段62を作動すると、外装71内の外部空気75が、入口76から流入し、導入通路74を通ってハイブリッド脱臭材63を通過する。
【0079】
ハイブリッド脱臭材63では、この外部空気75が通過することにより、物理吸着している二硫化ジメチルやアンモニア、アルデヒド類等を脱着させて、物理吸着の機能を再生するようにしている。また、投入生ごみ10の乾燥処理中であっても、制御器47により、投入口フタ7が所定の時間(例えば、投入生ごみ10を入れてから30分〜1時間経過しても次の投入生ごみ10が入れられない時)、開けられないことを確認した後に、通路切り替えダンパ73を動作させて、導入通路74を開放し、吸引手段62を作動して外装71内の外部空気75を導入通路74を通して、ハイブリッド脱臭材63に送るようにしている。このようにして、投入生ごみ10の乾燥処理中に発生する臭気の多くが物理吸着のため、ハイブリッド脱臭材63の再生操作を頻繁に行うことで、脱臭性能を長期間維持することができる。
【0080】
以上のように、本実施の形態においては、生ごみ投入口4と、この生ごみ投入口4の下部に設けた生ごみ処理室9と、前記生ごみ投入口4の周囲に設けた吸気ダクト58と、この吸気ダクト58に連通した吸引手段62と、この吸引手段62と前記吸気ダクト58の間に設けたハイブリッド脱臭材63とを備え、このハイブリッド脱臭材63の再生を行うために、前記生ごみ処理室9の内の空気26とは異なる外部空気75をハイブリッド脱臭材63に流通するようにしたことにより、生ごみを投入する時は、生ごみ投入口4とそれに連なる投入通路8の周囲に設けた吸気ダクト58から臭気が吸引され、この臭気がハイブリッド脱臭材63に吸着するので、生ごみの臭気が生ごみ処理室9から外部に流出しないようにすることができる。
【0081】
また、ハイブリッド脱臭材63の吸着脱臭の性能を維持するために行う再生動作は、ハイブリッド脱臭材63から吸着した臭気成分を徐々に脱着させるので、作業者が臭気として認識できない状態を作ることができる。また、ハイブリッド脱臭材63の再生動作には、加熱する電力が不要なので、ランニングコストの上昇を防止することができる。
【0082】
また、本実施の形態の生ごみ処理装置72は、ハイブリッド脱臭材63とは別に生ごみ処理室9に循環経路28を介して設けた凝縮脱臭装置27で生ごみ乾燥処理中の脱臭を行うことにより、乾燥処理中に生ごみから発生する多量の水蒸気や臭気は、凝縮脱臭装置27で除去されるので、生ごみ投入時のハイブリッド脱臭材63で吸着させる臭気成分を減少させ、ハイブリッド脱臭材63の再生時間を短縮することができる。
【0083】
また、本実施の形態におけるハイブリッド脱臭材63は、吸引手段62の上流に配置されているので、吸引手段62で吸引される空気のすべてが、ハイブリッド脱臭材63を通過することになり、再生動作に必要な空気を常に供給することができる。
【0084】
また、ハイブリッド脱臭材63の再生を行うための外部空気75を外部から取り入れるようにしたことにより、生ごみ処理室9の周囲の空気に含まれる臭気成分を含む可能性のある空気を排除して、ハイブリッド脱臭材63の再生動作には、常に新鮮な外部空気75
を供給し、再生動作を効率よく行うことができる。
【0085】
また、ハイブリッド脱臭材63の再生を行うための外部空気75を、ハイブリッド脱臭材63の上流の吸気ダクト58に連通する吸引ホース61に分岐して設けた導入通路74から供給するようにしたことにより、一つの吸引手段62を固定したままで、導入通路74から新鮮な外部空気75が供給されるので、再生動作を効率よく行うことができる。
【0086】
また、本実施の形態のハイブリッド脱臭材63の再生動作は、吸引ホース61と導入通路74の切り替えを通路切り替えダンパ73で行うようにしたことにより、導入通路74の開放を容易に行えると共に、吸引ホース61を閉止して吸引ホース61側を密閉状態にして、吸気ダクト58内の臭気を含む空気26と新鮮な外部空気75を隔離することになり、再生動作を効率よく行うことができる。
【0087】
また、本実施の形態のハイブリッド脱臭材63の再生動作は、流し台1内の空気を導入し、流し台1内部の脱臭を行いながら再生動作も行うようにしたことにより、生ごみの乾燥処理から発生する臭気を含んだ空気26ではなく、流し台1の内部に蓄積された色々な臭気をハイブリッド脱臭材63で吸着し、濃度も微小のため吸着しながら脱着することも可能となり、流し台1の引出しや扉を開けたときに漏れ出る臭気を低減することができる。
【0088】
また、本実施の形態の生ごみ処理室9は、生ごみ投入口4に設けた投入口フタ7を閉止しかつ生ごみ容器13を収納した時に循環経路28と密閉の容器を構成し、その循環経路28の途中に凝縮脱臭装置27と空気供給手段25を設けたことにより、生ごみ容器13から発生した水蒸気と臭気のすべてが凝縮脱臭装置27を通過することになり、水蒸気を結露させて回収すると共に臭気成分も液槽32内に溶解または凝縮させて低減することができる。
【0089】
また、本実施の形態の生ごみ処理装置72は、循環経路28の途中に設けた空気供給手段25の上流に凝縮脱臭装置27を設け、生ごみ処理室9から排出される排気29を空気供給手段25の吸引作用で凝縮脱臭装置27の液槽32に導くようにしたことにより、生ごみ処理室9から排出される水蒸気と臭気を外部に漏らすことなく、すべて液槽32内に流入させるので、乾燥処理中の乾燥性能と脱臭性能を向上させることができる。
【0090】
また、本実施の形態の生ごみ処理室9は、循環経路28に上部加熱手段40を設け、この上部加熱手段40で加熱した空気26を生ごみ処理室9に供給するようにしたことにより、凝縮脱臭装置27で絶対湿度を低下させた空気26の相対湿度を低下させるので、生ごみ処理室9で発生した水蒸気の搬送性能を向上させることができる。
【0091】
また、本実施の形態における凝縮脱臭装置27は、生ごみ処理室9の乾燥処理中に発生する水蒸気を液槽32で凝縮除去し、発生する臭気を液槽32に溶解除去し、その溶液を下水に排出するようにしたことにより、投入生ごみ10から発生する水分と乾燥処理中に発生する臭気が排水として下水に流され、台所に悪臭が発生しないようにすることができる。
【0092】
また、本実施の形態における吸引手段62は、投入口フタ7を開けるという指示を受けた時、または投入口フタ7が開いた時に作動を開始し、吸気ダクト58から吸引した空気がハイブリッド脱臭材63を通過するようにしたことにより、生ごみ処理室9から投入通路8を介して上昇した臭気を含んだ水蒸気が生ごみ投入口4から台所に流れ出る前に、生ごみ投入口4近傍の空気と共に吸気ダクト58内に吸込み、ハイブリッド脱臭材63に送るので、生ごみ投入口4からの乾燥処理中の臭気を台所に発生させないようにすることが
できる。
【0093】
また、本実施の形態における生ごみ処理室9から排出される排気29を、空気供給手段25の吸引作用で凝縮脱臭装置27の液槽32に導くようにしたことにより、空気供給手段25には、凝縮脱臭装置27を通過して、絶対湿度が小さく、温度も低下ししかも液槽32内で浄化された空気26が供給されるので、空気供給手段25が臭気を含んだ水蒸気や高温による劣化を防止し、空気供給手段25の耐久性を向上させることができる。
【0094】
また、本実施の形態における生ごみ投入口4は、流し台1の天板5に投入口フタ7を設けて構成したことにより、作業者がシンク2内の生ごみを捨て易くなり、料理の後片付け等の家事時間を短縮することができる。
【0095】
また、本実施の形態における生ごみ処理室9からの排気29を、ノズル34を通して、凝縮脱臭装置27の液槽32に気泡として噴出させることにより、液槽32内の水33と排気29の接触機会が増加し、排気29に含まれる臭気(例えば、投入生ごみを乾燥処理したときに発生する主な悪臭は、硫化水素、トリメチルアミン、メチルメルカプタン、アルデヒド類等がある)の除去を促進することができる。
【0096】
また、本実施の形態の凝縮脱臭装置27は、水温検知部45の温度が凝縮能力が低下する温度(例えば、新しい水の温度が20℃から開始して60℃程度まで上昇するとすれば、凝縮能力が半減する)を検知した時に、制御器47の指示により、液槽32内の水33の入れ替えを行うようにしたことにより、液槽32内の水33の温度を常に低温に保って、生ごみ処理室9からの排気29に含まれる水蒸気を結露させる凝縮能力を向上させることができる。また、沸点の高い臭気成分(例えば、硫化メチルやアルデヒド類等)を結露させることで、液化させたり、溶かし込んだりして発生量を低減することができる。
【産業上の利用可能性】
【0097】
以上のように、本発明にかかる生ごみ処理装置は、生ごみ投入時も生ごみ乾燥処理中も悪臭を台所に出さないようにできるので、家庭用の生ごみ処理装置だけでなく、業務用の生ごみ処理装置等にも適用できる。
【符号の説明】
【0098】
1 流し台
2 シンク
4 生ごみ投入口
7 投入口フタ
8 投入通路
9 生ごみ処理室
13 生ごみ容器
16 回収生ごみ
24 加熱手段
25 空気供給手段
27 凝縮脱臭装置
32 液槽
40 上部加熱手段
58 吸気ダクト
59 吸気通路
61 吸引ホース
62 吸引手段
63 ハイブリッド脱臭材(脱臭材)
73 通路切り替えダンパ
74 導入通路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生ごみを投入するための生ごみ投入口と、前記生ごみ投入口の下方に設けられ前記生ごみを減量処理する生ごみ処理室と、前記生ごみ投入口の周囲に設けられ少なくとも前記生ごみの投入時に前記生ごみ投入口と連通する吸気ダクトと、この吸気ダクトに連通した吸引手段と、この吸引手段と前記吸気ダクトの間に設けた脱臭材とを備え、前記脱臭材の再生を行うために、前記生ごみ処理室内の空気とは異なる空気を前記脱臭材に流すようにした生ごみ処理装置。
【請求項2】
脱臭材は、ハイブリッド脱臭材とした請求項1に記載の生ごみ処理装置。
【請求項3】
脱臭材とは別に、循環経路を介して生ごみ処理室と連通する凝縮脱臭装置を設け、生ごみの減量処理中に前記凝縮脱臭装置で脱臭を行うようした請求項1または2に記載の生ごみ処理装置。
【請求項4】
脱臭材を、吸引手段の上流に配置した請求項1〜3のいずれか1項に記載の生ごみ処理装置。
【請求項5】
脱臭材を再生するための空気を外部から取り入れるようにした請求項1〜4のいずれか1項に記載の生ごみ処理装置。
【請求項6】
吸気ダクトと脱臭材を連通する吸引ホースを設け、前記脱臭材を再生するための空気を前記吸引ホースに分岐して設けた導入通路から供給するようにした請求項1〜5のいずれか1項に記載の生ごみ処理装置。
【請求項7】
吸引ホースと導入通路の切り替えを行う通路切り替えダンパを設けた請求項6に記載の生ごみ処理装置。
【請求項8】
生ごみ処理装置が内装された流し台内の空気を導入して脱臭材の再生を行うようにした請求項1〜7のいずれか1項に記載の生ごみ処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−279929(P2010−279929A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−137072(P2009−137072)
【出願日】平成21年6月8日(2009.6.8)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】