説明

生ごみ処理装置

【課題】乾燥中に生ごみを投入しても室内に臭気が拡散しない生ごみ処理装置を提供。
【解決手段】生ごみを収容する生ごみ処理容器21と、生ごみ処理容器21を開閉し生ごみを投入するための投入蓋32と、生ごみから発生した臭気成分を吸着により取り除く吸着脱臭部36と、生ごみ処理容器21と吸着脱臭部36の上流とを連結する吸引通路39と、吸着脱臭部36の下流と外部とを連結する排気通路41と、排気通路41に設けた外部へ排気する吸引手段44とを備え、投入蓋32の開動作に応じて吸引手段44が生ごみ処理容器21から吸引通路39へ吸引を開始する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は生ごみ処理装置に関し、特に台所や流し台に内蔵した生ごみ処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の生ごみ処理装置は、一般家庭等の流し台で発生する生ごみを乾燥させて減量処理するものであり、流し台に内蔵して使われることが多い(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図9はこの特許文献1に記載された従来の生ごみ処理装置を示すものである。この生ごみ処理装置は、本体1に配置された生ごみ処理容器2と、生ごみ処理容器2内の生ごみを温風で加熱する加熱ヒータ3及び送風ファン4と、生ごみを撹拌する撹拌手段5とを備えている。生ごみを投入するために、開閉自在の蓋6及びパッキン7が生ごみ処理容器2の上部に設けられている。
【0004】
排出ファン8は、生ごみの乾燥減量時に発生する蒸気や臭気成分を含んだ排気を本体1外に排出するためのものであり、生ごみ処理容器2の上方に設けられた排気の出口9、排出経路10及び触媒脱臭装置11を介して生ごみ処理容器2内の排気を本体1外部に排出している。触媒脱臭装置11は、白金等の触媒を担持させたプレートと、そのプレートを加熱する加熱ヒータとを備えており、装置内を通過する排気に含まれた臭気を酸化反応により脱臭する。吸気口12は、外気を生ごみ処理容器2内へ導入するものである。
【0005】
この本体1は、流し台13内の収納部14に収納され、その収納部14内に設けられたスライドレール15に乗せて引き出せる構成となっている。また、流し台13の前面パネル16は、本体1の前面に位置し、収納時には外観部となり、その一部に給気口17が設けられている。また、収納部14には給排気手段18が設けられ、収納部14から屋外に通じる排気通路19が設けられている。
【0006】
以上のように構成された生ごみ処理装置の動作を説明する。
【0007】
従来の生ごみ処理装置は、生ごみ処理容器2内の生ごみを、加熱ヒータ3と送風ファン4によって加熱し、それと同時に撹拌手段5によって撹拌・粉砕しながら乾燥する。生ごみの乾燥工程において発生する蒸気や臭気成分は、排出ファン8により吸引され、排出経路10を通って生ごみ処理容器2から触媒脱臭装置11へ送られる。
【0008】
触媒脱臭装置11は、排気中の臭気成分を触媒反応により脱臭し、脱臭された空気は本体1外に排出される。そして、本体1の排気は、給排気手段18により排気通路19を通って屋外に排出される。この排気動作と同時に、生ごみ処理容器2内が減圧されるため、吸気口12を通って外気を内部へ導入している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特許第4126983号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、前記従来の生ごみ処理装置では、生ごみを投入する時、本体1を流し台
3から引き出して、蓋6を開ける必要がある。この時、乾燥処理中に蓋6を開けると、生ごみ処理容器2に充満している臭気成分を含んだ空気が一気に拡散し、室内に臭気が広まってしまうという課題を有していた。
【0011】
また、給排気手段18は、生ごみ処理容器2内の臭気を排出するために装置内部に設けているが、本体1を流し台13の外へ引き出した時には、排気通路19を経由して生ごみ処理容器2内の臭気を外部へ排出する効果がほとんど期待できなかった。
【0012】
本発明は上記課題を解決するもので、乾燥処理中に生ごみを投入しても室内に臭気が拡散しない生ごみ乾燥処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記従来の課題を解決するために、本発明の生ごみ処理装置は、生ごみを収容する生ごみ処理容器と、前記生ごみ処理容器を開閉し前記生ごみを投入するための投入蓋と、前記生ごみから発生した臭気成分を吸着により取り除く吸着脱臭部と、前記生ごみ処理容器と前記吸着脱臭部の上流とを連結する吸引通路と、前記吸着脱臭部の下流と装置外部とを連結する排気通路と、前記吸引通路または前記排気通路に設けた吸引手段とを備え、前記吸引手段は前記投入蓋の開動作に応じて吸引動作を開始し、前記吸着脱臭部を経由して前記生ごみ処理容器内の空気を装置外部へ排出する。
【0014】
そして、生ごみの投入や乾燥ごみの排出のために、使用者が投入蓋を開くと、投入蓋の開動作に応じて、吸引手段が駆動する。吸引手段は、生ごみ処理容器からの臭気成分を含んだ蒸気と外部の空気を混合して吸引通路に吸引し、吸着脱臭部へと送出する。すると、排気中の臭気成分は吸着脱臭部に吸着され、脱臭した空気は排気通路から排出される。
【発明の効果】
【0015】
以上のように、本発明によれば、使用者が投入蓋を開くと、投入蓋の開動作に応じて、吸引手段が生ごみ処理容器内の臭気を含んだ空気を外部の空気と混合しながら吸引して吸着脱臭部へ送出し、吸着脱臭部によって排気中の臭気を脱臭する。このため、乾燥処理中に生ごみを投入しても、室内に臭気が拡散しない生ごみ処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の形態1から4における生ごみ処理装置を示す正面断面図
【図2】同生ごみ処理装置における生ごみ投入時の状態を示す正面断面図
【図3】図1のB−B右側面断面図
【図4】図1のC−C左側面断面図
【図5】実施の形態1における生ごみ処理装置のタイミングチャート
【図6】同生ごみ処理装置の動作時における温度・濃度の経時変化特性図
【図7】実施の形態2における生ごみ処理装置のタイミングチャート
【図8】実施の形態3における生ごみ処理装置のタイミングチャート
【図9】従来の生ごみ処理装置の断面図
【発明を実施するための形態】
【0017】
第1の発明は、生ごみを収容する生ごみ処理容器と、前記生ごみ処理容器を開閉し前記生ごみを投入するための投入蓋と、前記生ごみから発生した臭気成分を吸着により取り除く吸着脱臭部と、前記生ごみ処理容器と前記吸着脱臭部の上流とを連結する吸引通路と、前記吸着脱臭部の下流と装置外部とを連結する排気通路と、前記吸引通路または前記排気通路に設けた吸引手段とを備え、前記吸引手段は前記投入蓋の開動作に応じて吸引動作を開始し、前記吸着脱臭部を経由して前記生ごみ処理容器内の空気を装置外部へ排出する生
ごみ処理装置である。
【0018】
そして、生ごみの投入や乾燥ごみの排出のために、使用者が投入蓋を開くと、投入蓋の開動作に応じて吸引手段が駆動する。吸引手段は生ごみ処理容器内の臭気成分を含んだ蒸気と外部の空気を生ごみ処理容器から吸引通路に吸引するので、臭気成分を含んだ蒸気は外部の空気に希釈されて吸着脱臭部に流入する。この結果、乾燥処理中に生ごみを投入しても、生ごみ処理容器に充満した臭気成分を含む蒸気が装置外の室内に拡散しない。
【0019】
その一方で、臭気成分は吸着脱臭部で吸着され、脱臭した空気は排気通路から排気される。特に、蒸気は外部の空気で希釈されるので、吸着脱臭部内で凝縮されて水滴に変わり、排気中に含まれる不純物と相まって吸着脱臭部を閉塞することや、また水滴として外部に漏れることを防止できる。
【0020】
第2の発明は、特に、第1の発明の生ごみ処理容器内に収容した生ごみを加熱する加熱手段を備え、前記加熱手段は投入蓋の開動作に応じて加熱動作を停止するものである。
【0021】
これにより、投入蓋が閉まっている状態では、生ごみ処理容器内の生ごみは、加熱手段の過熱によって乾燥が促進される。一方、投入蓋を開けると、加熱手段が停止して、生ごみから発生する蒸気の量が減少し、生ごみ処理容器外に漏れ出す臭気成分を減量できる。また、吸引手段が吸引する蒸気量が減る分、吸着脱臭部で脱臭処理する負荷を低減できる。
【0022】
第3の発明は、特に、第1の発明の生ごみ処理容器内に収容した生ごみを加熱する加熱手段を備え、吸引手段は、前記加熱手段が動作中に、投入蓋の開動作に応じて吸引動作を開始し、吸着脱臭部を経由して前記生ごみ処理容器内の空気を装置外部へ排出するものである。
【0023】
これにより、加熱手段の動作中に使用者が投入蓋を開けると、吸引手段が生ごみ処理容器に充満している臭気成分を含んだ蒸気を外部の空気と一緒に吸引して吸着脱臭部へ導入し、吸着脱臭部が臭気成分を吸着脱臭するので、蒸気が一気に拡散し室内に広まってしまうことはない。
【0024】
第4の発明は、特に、第2または第3の発明の吸引手段は、吸引手段は、加熱手段の動作開始から所定の予熱期間中、投入蓋の開動作に応じて吸引動作しないものである。
【0025】
加熱手段が動作開始した初期は、生ごみ処理容器内の気温が低く、生ごみから発生する蒸気が少なく、排気中の臭気成分が少ないので、生ごみ処理容器から吸引通路へ排気を吸引して吸着脱臭する必要がない。そして、加熱手段の予熱期間中は吸引手段が吸引しないので、生ごみ処理装置の低騒音化が図れると共に、排気中の臭気成分が室内に拡散することを防止できる。
【0026】
第5の発明は、特に、第2または第3の発明の吸引手段は、加熱手段の動作開始から生ごみ処理容器内の気温が所定温度に達するまで、投入蓋の開動作に応じて吸引動作しないものである。
【0027】
これにより、生ごみ処理容器内の気温が所定温度に達するまでは、生ごみから発生する蒸気が少なく、排気中の臭気成分が少ないので、生ごみ処理容器から吸引通路へ排気を吸引して吸着脱臭する必要がない。そして、生ごみ処理容器内の気温が所定温度に達するまで、吸引手段が動作しないので、生ごみ処理装置の低騒音化が図れると共に、排気中の臭気成分が室内に拡散することを防止できる。
【0028】
第6の発明は、特に、第2〜5のいずれか1つの発明の加熱手段は、生ごみ処理容器内の空気を循環させる送風手段と、前記送風手段の空気を加熱する加熱部とから構成され、前記加熱部の動作により前記生ごみ処理容器内の生ごみを乾燥させる乾燥工程を終了後、吸引手段は、投入蓋の開動作に応じて吸引動作しないものである。
【0029】
生ごみから発生する蒸気が極端に少なくなり、生ごみの乾燥を完了すると、生ごみ処理装置の排気中に含まれた臭気成分が無きに等しい状態に抑えられるので、吸着脱臭部によって吸着脱臭する必要がない。従って、使用者が乾燥完了後に投入蓋を開いても、吸引手段は動作しないので、生ごみ処理装置の低騒音化が図れると共に、排気中の臭気成分が室内に拡散することを防止できる。
【0030】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0031】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1に係る生ごみ処理装置について、図1〜図5を用いて説明する。図1は本発明の実施の形態1における生ごみ処理装置の正面断面図であり、後述する図3中のA−A断面構成を示す正面断面図である。図2は同生ごみ処理装置の生ごみ投入時の状態を示す正面断面図、図3は図1中のB−B断面構成を示す右側面断面、図4は図1中のC−C断面構成を示す左側面断面、図5は同生ごみ処理装置のタイミングチャート、図6は同生ごみ処理装置の動作時における温度・濃度の経時変化特性図である。
【0032】
図1、図2に示すように、生ごみ処理容器21は、上部に略四角形状の開口部22を形成し、外装25上面を深く凹ませたU字形状の収納部26内に撹拌手段24を挿脱自在に内蔵している。駆動モータ23(図3を参照)の回転軸と攪拌手段24の回転軸とは接続機構(図示せず)を介して連結され、駆動モータ23の回転駆動により攪拌手段24を回転させることができる。その接続機構の連結は、解除可能な構成になっており、生ごみ処理容器21を収納部26から引き出すことを可能にしている。
【0033】
吸引口27は、略水平方向に長いスリット形状をしており、生ごみ処理容器21の開口部22に対応した位置に設けてあり、開口部22上の収納部26内壁に開口している。そして、吸引口27近傍の吸引通路39は、吸引口27から奥へ進むに連れて上下に屈曲するような構成になっており、生ごみが奥まで入り込まないようにしている。
【0034】
投入蓋32は、生ごみ処理容器21の上部に設けられ、生ごみを投入する際に開閉するものであり、通常は閉めて使用され、生ごみを投入する際に開けられる。ヒンジ33は、収納部26上部の開放端に、かつ吸引口27に対向する一辺に設けられ、投入蓋32を開閉自在にしており、投入蓋32を閉じると、投入蓋32の下方へ突出した端部(自由端)34が吸引口27を塞ぐようになっている。
【0035】
蓋開閉検知部35は、例えば投入蓋32に設けられた磁石35aと、外装25に設けられたリードスイッチ35bとで構成され、投入蓋32の開閉を検知する。なお、磁石35aとリードスイッチ35bの取り付け位置は互いに入れ替えても構わないし、別な検知手段に置き換えても構わない。
【0036】
吸着脱臭部36は、担体(Si,Al等)に複合酸化物(Mn,Co,Cu等)と疎水性ゼオライトを担持した吸着材37を脱臭容器38内に内蔵しており、吸着脱臭部36の上流室40は吸引通路39を介して吸引口27に連通している。
【0037】
図3に示すように、空気入口28と温風噴出口29は互いに離して配置され、同様に凝縮入口30と凝縮出口31も互いに離して配置され、かつ吸引口27に対向するように、収納部26の開口部22上にそれぞれ開口している。
【0038】
案内部52は、温風噴出口29から噴出した温風を生ごみ処理容器21の底部方向へ下降させるためのものであり、温風噴出口29に対向するように投入蓋32から下方へ突出した形状になっている。これにより、生ごみ処理容器21上部の温風噴出口29から噴出した気流は、生ごみ処理容器21の底部へ向けて下降した後、上方に在る空気入口28へ向かって上昇する、すなわち、生ごみ処理容器21内を抉るように流れる。
【0039】
図4に示すように、排気通路41は吸着脱臭部36内の下流室42と排気口43との間を連結し、その排気通路41にはファンからなる吸引手段44が設けられている。そして、吸引手段44は吸着脱臭部36の排気を装置外部へ排出する。
【0040】
図3に示すように、加熱手段45は、生ごみ処理容器21内で温風空気を循環させて生ごみを加熱するものであり、送風手段49と加熱部46から構成されている。送風手段49は、ファンや吸引ポンプ等で構成され、生ごみ処理容器21内の空気を循環させるものである。加熱部46は、加熱ヒータ等によって構成され、生ごみ処理容器21内を循環させる空気を加熱させるものである。
【0041】
往き温風通路47は空気入口28と加熱部46の上流との間を連結し、戻り温風通路48は加熱部46の下流と温風噴出口29との間を連結している。往き温風通路47に設けた送風手段49は、生ごみ処理容器21内の蒸気を含む空気を往き温風通路47から加熱部46を介して戻り温風通路48へと循環させ、その際に通過する空気を加熱部46が加熱する。
【0042】
温風温度検知部50は、加熱された空気温度を検知するものであり、戻り温風通路48に内蔵されている。空気温度検出部51は、生ごみ処理容器21の空気温度を検知するものであり、往き温風通路47の空気入口28近傍に内蔵されている。
【0043】
凝縮脱臭手段53は、生ごみから発生した蒸気に含まれる臭気成分及び熱を取り除くものであり、空冷式多管熱交換器57と、ファン又は吸引ポンプからなる凝縮循環手段60と、冷却用の空気通路61とから構成され、上流側には往き凝縮通路58が接続され、下流側には戻り凝縮通路59が接続されている。空冷式多管熱交換器57は、往きヘッダー54と戻りヘッダー55との間に多数の凝縮管56を連結して構成されている。
【0044】
凝縮管56は空気通路61内に配置され、往き凝縮通路58は生ごみ処理容器21に臨んでいる凝縮入口30と往きヘッダー54とを連結し、戻り凝縮通路59は生ごみ処理容器21に臨んでいる凝縮出口31と戻りヘッダー55とを連結している。そして、戻り凝縮通路59に設けた凝縮循環手段60が気流を発生させ、凝縮管56、往き凝縮通路58および戻り凝縮通路59を経由して、装置内の気流を循環させている。また、空気通路61の空冷入口65は、外装25の内に開口し、通気口66が空冷入口65とは離れた外装25の上部に開口している。
【0045】
図1に示すように、切替え手段64は、吸着脱臭部36を吸引通路39と連絡通路62とのどちらに接続するかを切替えるもので、三方弁からなる開閉手段63と、その開閉手段63を駆動するソレノイド等からなる駆動部(図示せず)とから構成される。ここでは、説明を理解し易くするため、開閉手段63は、吸引通路39に接続された第1開閉手段63aと、連絡通路62に接続された第2開閉手段63bとから構成され、第1開閉手段63aと第2開閉手段63bは互いに逆に開閉動作するものとして説明を行う。
【0046】
連絡通路62は、吸着脱臭部36の上流室40と凝縮脱臭手段57の空気通路61下流側との間を連通しており、その通路を開閉する第2開閉手段63bが設けられている。なお、第2開閉手段63bは、通常は開放状態にして連絡通路62を開通しており、投入蓋32を開くと、その開動作に応じて連絡通路62を閉塞する。
【0047】
排水管67は、戻りヘッダー55の底部と貯水槽68との間を連通し、排水管67を開閉する排水開閉手段69が設けられている。排水開閉手段69は、弁やソレノイドなどの駆動部から構成されている。水位を測定する水位検知部70は戻りヘッダー55内に内蔵され、水位検知部71は挿脱自在の貯水槽68に内蔵されている。
【0048】
そして、装置の制御部は、駆動モータ23、吸引手段44、加熱部46、送風手段49、凝縮循環手段60、および開閉手段63の動作を制御する。
【0049】
以上のように構成された生ごみ処理装置において、図5を参照しながらその動作を説明する。
【0050】
生ごみ処理装置は、投入した生ごみを乾燥させ、乾燥した生ごみが或る程度溜まった時点で廃棄するような使われ方をする。通常、生ごみ処理容器21内に乾燥済みの生ごみがある程度堆積しているが、生ごみが乾燥していれば、生ごみから臭気成分を含んだ蒸気を発しないため、生ごみ処理装置の使用者は臭気を感じない。
【0051】
そして、調理で生じた生ごみを生ごみ処理容器21内に投入するために、使用者が投入蓋32を開けると、蓋開閉検知部35が投入蓋32の開状態を検知する。蓋開閉検知部35の開検知により、制御部が第2開閉手段63bを駆動して連絡通路62を閉塞する一方、第1開閉手段63aで吸引通路39を開放し、吸引手段44の駆動を開始する。
【0052】
吸引手段44が吸引動作を開始すると、生ごみ処理容器21内の空気や外部の空気は、生ごみ処理容器21の開口部22近傍に設けられた吸引口27から吸引され、吸引通路39を経て吸着脱臭部36内の上流室40に至る。そして、上流室40で均一化された空気は、吸着脱臭部36内の吸着材37を通り、図4に示す吸着脱臭部36内の下流室42から排気通路41および排気口43を経て装置外部へ排出される。その際、吸着脱臭部36の吸着材37は、通過する空気中に含まれた臭気成分を物理吸着して空気を清浄化する。
【0053】
従って、生ごみ処理容器21内に溜まった生ごみの乾燥状態が不十分であった場合、臭気を含んだ蒸気がその生ごみから僅かでも発していれば、その蒸気は吸引口27から吸引され、吸着脱臭部36の吸着材37で脱臭され、通常の人が臭気を感じない程度の僅かな臭気レベル(臭気強度1未満)まで臭気を抑えることができる。
【0054】
もしも、生ごみ処理容器21内の生ごみの乾燥状態が完璧な場合、吸引口27からはきれいな空気のみが吸引されるので、吸着脱臭部36には清浄な空気が送り込まれる。この時には、吸着材37を清浄な空気に晒すことで、吸着材37に物理吸着していた二硫化ジメチル、アセトアルデヒドなどの臭気成分を吸着材37から脱着して、吸着材37の吸着機能を再生する。ただし、短時間にできる吸着材37の再生は僅かである。
【0055】
その後、生ごみの投入が終わり、再び使用者が投入蓋32を閉めると、蓋開閉検知部35が投入蓋32の閉動作を検知し、この閉検知に応じて制御部が第1開閉手段63aを駆動して吸引通路39を閉塞する一方、第2開閉手段63bで連絡通路62を開放し、吸引手段44の駆動を継続する。
【0056】
そして、制御部は、開閉手段63の切替え動作と同時に、駆動モータ23、加熱部46、送風手段49および凝縮循環手段60の駆動を開始する。駆動モータ23は、例えば所定の攪拌期間(10〜60秒間)、正転を2回転、逆転を1回転する駆動で撹拌手段24を回転する撹拌動作を行い、以降は所定時間(5〜30分間)の間隔でその撹拌動作を間欠的に繰り返す間欠運転を行う。この間欠的な撹拌動作に伴って次に説明する乾燥動作を行う。
【0057】
図3に示すように、送風手段49の駆動による吸引作用により、生ごみ処理容器21内の空気が空気入口28から往き温風通路47を通って加熱部46へ流入する。その際に、加熱部46は通過する空気を加熱して温風を生成し、その温風は温風噴出口29から案内部52へ向けて噴出される。すると、案内部52に当った温風は案内部52によって下へ向きを変え、生ごみ処理容器21内の生ごみに向かって流れる。
【0058】
この結果、温風が生ごみに衝突して加熱し、温度上昇した生ごみから臭気成分(硫化水素、メチルメルカプタン、トリメチルアミン、アセトアルデヒドなど)を含む蒸気が発生する。そして、温風噴出口29から噴出した温風は、臭気成分を含んだ蒸気と十分に混合され、混合された空気は空気入口28から回収され、再び加熱部46へ流入するように、生ごみ処理容器21内を経由した循環流を形成する。
【0059】
他方、凝縮循環手段60の駆動による吸引作用により、先の蒸気を含む空気の一部は凝縮入口30から往き凝縮通路58を通り、往きヘッダー54へ流入する。その空気は、往きヘッダー54で均一化され多数の凝縮管56に分散して流入する。その空気の流量は、5〜20L/minである。
【0060】
また、図3、図4に示すように、吸引手段44の吸引作用により、外部の空気が通気口66から外装25を通り、続いて外部の空気は収納部26の周囲に沿って流れ、空冷入口65に至る。続いて、外部の空気は空気通路61を通り、連絡通路62から上流室40に流入する。その際に、外部の空気は凝縮管56を冷却するので、凝縮管56内を通過する空気は熱を奪われ、空気中の蒸気が凝縮して凝縮管56の内壁に溜まり、その凝縮水は戻りヘッダー55へと落下して貯まる。これにより、生ごみから発する蒸気の除湿が行われる。
【0061】
そして、凝縮水は硫化水素、トリメチルアミン、メチルメルカプタンなどの臭気成分を溶解するので、生ごみ処理容器21内の空気の脱臭が図れる。この結果、臭気成分が再び乾燥ごみに付着することを抑えられるので、乾燥ごみ自身の臭気成分が少なくなる。また、蒸気および臭気成分の凝縮により、乾燥した空気は、戻りヘッダー55から戻り凝縮通路59を経て、凝縮出口31から生ごみ処理容器21へ戻る。
【0062】
この動作により、臭気成分を含んだ空気は装置外部へ漏れることはなく、生ごみは乾燥される。特に、温風が生ごみ処理容器21内に循環流を形成するので、生ごみから発生した蒸気が生ごみから離れ、効率よく凝縮入口30に流入するので、生ごみを乾燥する乾燥時間を短縮でき、熱効率の向上が図れる。
【0063】
また、吸着脱臭部36の上流室40に流入した外部の空気は、吸着脱臭部36内の吸着材37を通り、吸着脱臭部36内の下流室42から排気通路41、排気口43を経て、装置外部へ排出される。その際、吸着材37は、通過する空気により物理吸着していた二硫化ジメチル、アセトアルデヒドなどの臭気成分を脱着し、僅かであるが吸着力を再生する。
【0064】
何らかの原因で、加熱部46、送風手段49、凝縮循環手段60などから臭気成分が漏
れても、収納部26の周囲に沿って流れる外部の空気が臭気成分を吸着脱臭部36へ搬送するので、吸着材37が臭気成分を吸着して脱臭する。この結果、臭気成分を含んだ蒸気が装置内に漏れても、装置外部に漏れることを防ぐことができる。
【0065】
例えば、凝縮水に含まれた不純物により配管詰りを起こした場合や、凝縮水が戻り凝縮通路59を上昇する場合等の現象により、戻りヘッダー55内の水位が閾値に達したことを、水位検知部70が検知すると、制御部は、水位検知部70の検知動作に応じて戻り凝縮通路59を一定期間開けて、戻りヘッダー55の凝縮水を貯水槽68へ移す。さらに、水位検知部71が貯水槽68の満水を検知すると警報を発し、使用者に貯水槽68を取出して排水することを促す。それに加えて、水位検知部71が貯水槽68の満水を検知すると投入蓋32を開かなくして、生ごみの投入量が追加されることを阻止してもよい。
【0066】
生ごみの乾燥処理中に、再び生ごみを投入するため、使用者が投入蓋32を開けると、吸引口27は投入蓋32の端部34による閉塞状態から開放される。それと同時に蓋開閉検知部35が投入蓋32の開動作を検知し、この開検知により制御部が開閉手段63を駆動して連絡通路62を閉塞する一方、吸引手段44の駆動を継続する。制御部が開閉手段63を閉じると同時に、駆動モータ23、加熱部46、送風手段49、凝縮循環手段60を停止することにより、生ごみへの加熱を停止するので、蒸気の発生が減少する。
【0067】
言い換えると、投入蓋32を開けると、新たな臭気成分の発生が抑えられので、生ごみ処理容器21内に充満している臭気成分を含んだ蒸気を吸引口27から吸引して脱臭するので、臭気成分は装置外部へ拡散しない。
【0068】
図2,図4に示すように、生ごみ処理容器21の臭気成分を含んだ蒸気は、外部の空気と共に吸引手段44の吸引作用により吸引口27から吸引通路39に流入し、吸着脱臭装置36内の上流室40に至る。この結果、臭気成分を含んだ蒸気が開口部22から外部へ漏れることを防止できる。
【0069】
そして、上流室40で均一化された蒸気と空気は吸着材37を通過する際に、臭気成分が吸着材37に吸着されるので、脱臭された空気は下流室42から排気通路41、排気口43を経て装置外部へ排気される。これらの結果、臭気成分が装置外部に拡散することが防止できる。吸着脱臭作用が得られるのは次の三通りある。
【0070】
一つ目は、硫化水素が複合酸化物(Mn、Co,Cu等)に化学吸着する。二つ目は、メチルメルカプタンが複合酸化物(Mn,Co,Cu等)の触媒作用により、二硫化ジメチルに転化後疎水性ゼオライトに物理吸着する。三つ目は、アセトアルデヒド、硫化ジメチルなどが疎水性ゼオライトに物理吸着する。
【0071】
ただし、吸着材37中に空気を通過させることでは、化学吸着した硫化水素を吸着材37から脱着できない。すなわち、吸着材37の寿命は吸着材37に含まれた硫化水素が支配しているのである。また、臭気成分を含んだ蒸気は外部の空気と混合され、吸引口27から吸引通路39や上流室40へ導入されるので、吸着脱臭装置36内へ導入された空気は湿度が大幅に低下する。そのため、吸着脱臭装置36内の吸着材37で凝縮する凝縮水の量を低減することができ、その凝縮水により通路を閉塞することが防止できる。なお、吸着材37を加熱すれば、硫化水素が吸着した吸着材37を脱着再生することは可能である。しかし、吸着材37に残留する硫化水素の濃度が高くなるので、実用化は難しい。
【0072】
次に、生ごみの乾燥処理中に投入蓋32を開けた後、再度閉めると、吸引口27は投入蓋32の端部34に閉塞されると共に、蓋開閉検知部35が投入蓋32の閉動作を検知する。この閉検知により、制御部が開閉手段63を駆動して連絡通路62を開放する一方、
吸引手段44の駆動を継続する。制御部が開閉手段63を開状態にすると同時に駆動モータ23、加熱部46、送風手段49および凝縮循環手段60の駆動を再び開始することにより、生ごみの乾燥と吸着材37の再生、即ち、臭気成分の脱着が再開される。
【0073】
吸着材37は吸引手段44の吸引作用により通気口66に流入し、空気通路61、吸着脱臭部36を通過した空気が、吸着材37に物理吸着していた二硫化ジメチル、アセトアルデヒドなどの臭気成分を僅かずつ脱着し、乾燥処理中の数時間をかけて吸着材37の吸着機能を再生する。
【0074】
その後、生ごみの乾燥が進むと、生ごみから発生する蒸気、およびそれに含まれる臭気成分は次のように変化する現象を示す。図6に示すように、生ごみから発生する蒸気に含まれた臭気成分(アセトアルデヒド濃度N)は、乾燥動作を開始した当初は急上昇するが、時間tの経過に伴って徐々に低下し、動作開始から約7時間経過するとゼロになる。この時点で、生ごみの乾燥は完了しており、生ごみから発生する蒸気もゼロになる。
【0075】
例えば、所定の電力で生ごみを加熱処理していても、生ごみから発生する蒸気が減少するのに従って、蒸発時に奪われる揮発熱が少なくなるで、臭気成分(アセトアルデヒド濃度N)がゼロになり、空気温度検知部51で検知する温度検出出力が70℃以上になると、で生ごみ処理容器21内の空気温度が急上昇する傾向を示す。
【0076】
従って、空気温度検出部51の検出出力Tdが上昇して乾燥終了閾値Ta2を越えると、生ごみの乾燥を完了したと判断することができる。これは、生ごみを乾燥させる実験を予め行うことで、乾燥状態を判定する条件を設定することが可能である。なお、温度の検出方法として、所定温度Ta1以上であって且つ、単位時間当たりの温度変化幅(または温度上昇率)が所定値以上になるポイントを閾値として検出しても構わない。
【0077】
この判断により、制御部は加熱部46を停止して、生ごみ処理容器21の空気は凝縮脱臭手段53により冷却され、続いて冷却された生ごみ処理容器21の空気により加熱部46も冷却される(冷却工程)。
【0078】
この結果、自然乾燥した場合に比べて生ごみ処理容器21内の生ごみを早く、且つ安全に乾燥することができ、乾燥処理した生ごみを逸早く廃棄することができる。また、蒸気の発生が少なくなると、蒸気中に含まれた臭気成分も減少する。それに加えて、凝縮脱臭手段53の脱臭作用が働くので、生ごみ処理容器21内の臭気成分は非常に少なくなる。この時、生ごみを投入するために、再び投入蓋32を開けようとすると、蓋開閉検知部35が投入蓋32の開動作を検知するが、制御部は連絡通路62の開状態を継続する。すなわち、開口部22から拡散する臭気成分は僅かであり、臭気成分、外部の空気を吸引口27へ吸引する必要がなく、吸着材37の再生を継続できる。
【0079】
なお、上述した実施の形態1では、往き温風通路58の空気入口28に設けた空気温度検知部51の出力で温度を検出する事例で説明したが、乾燥終了の検出は、温風噴出口29に設けた温風温度検知部50の出力で行っても良いし、温風温度検知部50との空気温度検出部51の出力差で行っても良い。また、投入蓋52の端部34で吸引通路39を閉塞する代りに、吸引通路39に開閉弁を別途設けてもよい。
【0080】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2に係る生ごみ処理装置について、図1〜図4及び図6を用いて説明する。図1は実施の形態2における生ごみ処理装置の正面断面図であり、後述する図3中のA−A断面構成を示す正面断面図である。図2は同生ごみ処理装置の生ごみ投入時の状態を示す正面断面図、図3は図1中のB−B断面構成を示す右側面断面、図4は図1中
のC−C断面構成を示す左側面断面、図7は実施の形態2における生ごみ処理装置のタイミングチャートである。なお、実施の形態1と同一部分については同一符号を付してその説明を省略する。
【0081】
この実施の形態2は、加熱手段45が動作中の時のみに、投入蓋32の開動作に応じて吸引手段44の動作を開始する点で実施の形態1と異なる。
【0082】
そして、生ごみの乾燥処理中に投入蓋32を開けると、吸引口27は投入蓋32の端部34から開放されると共に、蓋開閉検知部35は投入蓋32の開動作を検知する。蓋開閉検知部35の開検知に応じて、制御部は開閉手段63を駆動して連絡通路62を閉塞すると同時に、吸引手段44の駆動を開始する。
【0083】
すると、吸引手段44の吸引作用により、生ごみ処理容器21内から立ち上る臭気成分を含んだ蒸気は外部空気と共に生ごみ処理容器21上部の吸引口27から吸引されるので、臭気成分を含んだ空気が生ごみ処理容器21の開口部22から外部へ漏れることを防止できる。また、臭気成分を含んだ蒸気と空気は吸着脱臭部36を通過する際に、吸着脱臭部36内の吸着材37が臭気成分を吸着するので、脱臭された空気は吸着脱臭部36の下流室42から排気通路41および排気口43を経て装置外部へ排出される。同時に、駆動モータ23、加熱部46、送風手段49および凝縮循環手段60を停止することにより、生ごみへの加熱がなくなり、発生する蒸気は急激に減少する。
【0084】
例えば、生ごみの乾燥終了後や乾燥ごみを廃棄した後、加熱手段45が停止中に投入蓋32を開けた場合、蓋開閉検知部35は投入蓋32の開動作を検知するが、制御部は吸引手段44を駆動しない。
【0085】
この場合、乾燥処理が完了していれば、生ごみ処理容器21内には生乾きの生ごみが無いので、生ごみ処理容器21内は臭気成分を含んだ蒸気が無い、または非常に少ない状態になっており、その状態で投入蓋32を開閉しても、臭気成分を含んだ蒸気が室内を一気に拡散することはない。また、投入蓋32を開閉しても、加熱手段45や吸引手段44を駆動するモータが停止したままなので、投入蓋32の開閉時の低騒音化が図れる。また更に、外部空気を吸引口27から吸引しない上に、排気口43から外部への排気が無いので、台所の気流感が抑制できる。
【0086】
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3に係る生ごみ処理装置について、図1〜図4及び図7を用いて説明する。図1は本実施の形態3における生ごみ処理装置の正面断面図であり、後述する図3中のA−A断面構成を示す正面断面図である。図2は同生ごみ処理装置の生ごみ投入時の構成を示す正面断面図、図3は図1中のB−B断面構成を示す右側面断面、図4は図1中のC−C断面構成を示す左側面断面、図6は同生ごみ処理装置の温度・濃度の経時変化特性図、図8は同生ごみ処理装置のタイミングチャートである。以下、実施の形態2と同一部分については同一符号を付してその説明を省略する。
【0087】
本実施の形態3は、吸引手段44が、加熱手段45の動作開始後、予熱期間を経過するまで動作しない点で実施の形態1と異なる。
【0088】
そして、加熱手段45の動作開始からの予熱期間(例えば初期の30分間)中に、生ごみを投入するために投入蓋32を開けようとすると、蓋開閉検知部35が投入蓋32の開動作を検知するが、制御部は吸引手段44を駆動させない。
【0089】
しかし、生ごみ処理容器21内があまり温度上昇しておらず、生ごみからの蒸気の発生
が少なく、また臭気の蓄積の時間も短く、生ごみ処理容器21には臭気成分を含んだ蒸気が少ないので、投入蓋32が開いても蒸気が拡散しても、室内に臭気が広がることはない。この結果、吸引手段44が駆動していない分、低騒音化と信頼性向上が図れる。
【0090】
また、生ごみ処理容器21の空気が外部の空気と共に吸引口27に流入しない、すなわち排気通路41から外部への排気がないので、台所の気流感が抑制できる。予熱期間は、例えば加熱手段45の加熱量が約100Wで、生ごみが100g〜1kgの場合、生ごみ処理容器21内の臭気成分濃度は加熱手段45の動作開始から約30分経過までガス検知管の検知限界以下であり、60分を経過あたりから急激に増加するので、予熱期間は長くて50分以内、約30分程度なら臭気の問題がない確実な設定と考えられる。予熱期間は、加熱手段45の加熱量が大きいほど短い設定にするのが好ましい。
【0091】
(実施の形態4)
次に、本発明の実施の形態4に係る生ごみ処理装置について、図1〜図4及び図6を用いて説明する。図1は本実施の形態4における生ごみ処理装置の正面断面図であり、後述する図3中のA−A断面構成を示す正面断面図である。図2は同生ごみ処理装置の生ごみ投入時の状態を示す平面断面図、図3は図1中のB−B断面構成を示す右側面断面、図4は図1中のC−C断面構成を示す左側面断面、図6は同生ごみ処理装置の動作時における温度・濃度の経時変化特性図である。なお、上述した実施の形態2と同一部分については、同一符号を付して説明を省略する。
【0092】
本実施の形態4は、吸引手段44が、加熱手段45の動作開始後、生ごみ処理容器21内の温度を検知する空気温度検出部51が所定温度に達するまで動作しない点で、上述した実施の形態2と異なる。
【0093】
そして、加熱手段45の動作開始後で、空気温度検出部51の出力が所定温度に達していない時に、生ごみを投入するために投入蓋32を開けると、蓋開閉検知部35は投入蓋32の開動作を検知するが、制御部は吸引手段44を駆動させない。空気温度検出部51の出力が所定温度に達していない、すなわち、生ごみの雰囲気温度があまり上昇していない段階では、生ごみから発生する蒸気が少ないので、例え投入蓋32が開いても、臭気成分を含んだ蒸気が室内の空気中に広がって拡散することは殆どない。
【0094】
この結果、吸引手段44が駆動していない分、低騒音化と信頼性向上が図れる。また、吸引手段44が駆動していなければ、吸引口27が外部空気を吸引しないし、排気口43から装置外部へ排気しないので、台所の気流感が抑制できる。
【0095】
なお、本実施の形態4では、雰囲気温度が約60℃を超えると、生ごみから発生する蒸気の発生量が増加するので、所定温度は40〜55℃の範囲に設定するがよく、低騒音化を優先する場合には、50℃前後の温度に設定するとより好ましい。また、実施の形態4は、実施の形態3に比べて実験や経験から割り出される所定予熱期間よりも生ごみの乾燥状態の情報が温度情報として得られるので、吸引、吸着脱臭は必要な時に実施でき低騒音化などの効果が得られる機会が多くできる。
【0096】
また、加熱手段45の加熱量を大きくして、生ごみ処理容器21内の雰囲気温度が100℃を越えるようにすると、約700gの生ごみの場合は2〜4時間という短時間で乾燥を完了するが、トリメチルアミンやメチルメルカプタンの発生量が非常に多くなり、吸着脱臭部36の吸着脱臭では臭気成分を除去しきれない。
【0097】
しかし、生ごみ処理容器21内の雰囲気温度を50〜65℃の範囲にすると、約700gの生ごみの乾燥を完了するまでの所要時間は7〜9時間という長い時間になるが、トリ
メチルアミンやメチルメルカプタンの発生量が抑えられるので、吸着脱臭部36の吸着脱臭では臭気成分をほぼ100%除去できる利点がある。そして、吸着脱臭部36に空気を数時間通気すると、吸着材に付着した臭気成分を脱着して吸着材の吸着能力を再生することができ、700g〜1kgの生ごみから発する臭気成分を再び吸着脱臭することができる。
【0098】
なお、上述した各実施の形態は、例示した通りに実施しても構わないし、これらを組み合わせて実施しても構わない。
【産業上の利用可能性】
【0099】
以上のように、本発明の生ごみ処理装置は、乾燥処理中に生ごみを投入しても室内に臭気が拡散しないので、台所で使用でき、特に家庭用のシステムキッチンやホテルの厨房等の流し台にビルトインすることもできる。
【符号の説明】
【0100】
21 生ごみ処理容器
32 投入蓋
36 吸着脱臭部
39 吸引通路
41 排気通路
44 吸引手段
45 加熱手段
46 加熱部
49 送風手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生ごみを収容する生ごみ処理容器と、前記生ごみ処理容器を開閉し前記生ごみを投入するための投入蓋と、前記生ごみから発生した臭気成分を吸着により取り除く吸着脱臭部と、前記生ごみ処理容器と前記吸着脱臭部の上流とを連結する吸引通路と、前記吸着脱臭部の下流と装置外部とを連結する排気通路と、前記吸引通路または前記排気通路に設けた吸引手段とを備え、前記吸引手段は前記投入蓋の開動作に応じて吸引動作を開始し、前記吸着脱臭部を経由して前記生ごみ処理容器内の空気を装置外部へ排出する生ごみ処理装置。
【請求項2】
生ごみ処理容器内に収容した生ごみを加熱する加熱手段を備え、前記加熱手段は投入蓋の開動作に応じて加熱動作を停止する請求項1に記載の生ごみ処理装置。
【請求項3】
生ごみ処理容器内に収容した生ごみを加熱する加熱手段を備え、吸引手段は、前記加熱手段が動作中に、投入蓋の開動作に応じて吸引動作を開始し、吸着脱臭部を経由して前記生ごみ処理容器内の空気を装置外部へ排出する請求項1に記載の生ごみ処理装置。
【請求項4】
吸引手段は、加熱手段の動作開始から所定の予熱期間中、投入蓋の開動作に応じて吸引動作しない請求項2または3に記載の生ごみ処理装置。
【請求項5】
吸引手段は、加熱手段の動作開始から生ごみ処理容器内の気温が所定温度に達するまで、投入蓋の開動作に応じて吸引動作しない請求項2または3に記載の生ごみ処理装置。
【請求項6】
加熱手段は、生ごみ処理容器内の空気を循環させる送風手段と、前記送風手段の空気を加熱する加熱部とから構成され、前記加熱部の動作により前記生ごみ処理容器内の生ごみを乾燥させる乾燥工程を終了後、吸引手段は、投入蓋の開動作に応じて吸引動作しない請求項2〜5のいずれか1項に記載の生ごみ処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−11147(P2011−11147A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−157613(P2009−157613)
【出願日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】