説明

生ゴミ処理機

【課題】過去の使用状況に基づいて生ゴミの投入量を予測し、効率的な分解処理を行う。
【解決手段】処理槽19の内部に収容した生ゴミとバイオ基材とを撹拌する撹拌部材24と、バイオ基材の処理機能の状態を判断する基材状態判断手段(マイコン64)と、該基材状態判断手段の判断に基づいて撹拌部材24を制御する制御手段(マイコン64)とを備えた生ゴミ処理機において、時間を計測する第1カウント手段(時間計時タイマ68)と、撹拌部材24の動作時間を累積して計測する第2カウント手段(内蔵タイマ)と、24時間毎の累積動作時間を7個記憶する記憶手段65とを設け、制御手段は、7個の累積動作時間T1〜T7を記憶させると、次に第1カウント手段により計測する24時間毎に、記憶手段65に記憶された対応する第1から第7の累積動作時間T1〜T7に基づいて撹拌部材24の制御内容を補正する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に家庭で使用するバイオ方式の生ゴミ処理機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の生ゴミ処理機は、好気性のバイオ菌を基材に担持させたバイオ基材によって生ゴミを発酵させて分解するもので、処理機本体の処理槽内に、回動可能な撹拌手段が配設されるとともに、前記処理槽の外部に、内部を加熱するための加熱手段が配設されている。そして、前記加熱手段によって処理槽の内部を所定温度範囲内に維持しながら、投入した生ゴミを前記撹拌手段によってバイオ基材と撹拌することによって処理を行うものである。
【0003】
本発明の生ゴミ処理機に関連する先行技術文献情報としては次のものがある。
【0004】
【特許文献1】特開2002−1280号公報
【0005】
この特許文献1では、水分センサによってバイオ基材が含有した水分を検出し、その検出値に基づいて生ゴミが投入された量を判断し、その量に基づいて前記撹拌手段の制御を行うようにした生ゴミ処理機が提供されている。また、この特許文献1では、判別した生ゴミの投入量に応じて、最終残渣物を回収トレイの移送する時間を調整する構成としている。
【0006】
しかしながら、前記特許文献1の生ゴミ処理機では、生ゴミが投入される度に、その投入量を判断し、その判断量に基づいて前記撹拌手段の動作を調整するため、投入量が多い場合には分解処理の遅延になり、投入量が少ない場合には無駄な電力を消費するという不都合がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明では、過去の使用状況に基づいて生ゴミの投入量を予測し、効率的な分解処理を行うことができる生ゴミ処理機を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため、本発明の第1の生ゴミ処理機は、処理槽の内部に収容した生ゴミとバイオ基材とを撹拌する撹拌手段と、前記バイオ基材の処理機能の状態を判断する基材状態判断手段と、該基材状態判断手段の判断に基づいて前記撹拌手段を制御する制御手段とを備えた生ゴミ処理機において、前記撹拌手段の動作時間を記憶し、その動作時間に基づいて後の撹拌手段の動作を補正するように構成している。
【0009】
また、本発明の第2の生ゴミ処理機は、処理槽の内部に収容した生ゴミとバイオ基材とを撹拌する撹拌手段と、前記バイオ基材の処理機能の状態を判断する基材状態判断手段と、該基材状態判断手段の判断に基づいて前記撹拌手段を制御する制御手段とを備えた生ゴミ処理機において、商用電源に接続して運転を開始した後の一定期間を生活パターンを判断するための試行期間とし、その試行期間での前記撹拌手段の動作状態を記憶し、その記憶した動作情報に基づいて試行期間終了後の前記撹拌手段の動作を生活パターンに合致するように補正して動作させる構成としている。
【0010】
さらに、本発明の第3の生ゴミ処理機は、処理槽の内部に収容した生ゴミとバイオ基材とを撹拌する撹拌手段と、前記バイオ基材の処理機能の状態を判断する基材状態判断手段と、該基材状態判断手段の判断に基づいて前記撹拌手段を制御する制御手段とを備えた生ゴミ処理機において、時間を計測する第1カウント手段と、前記撹拌手段の動作時間を累積して計測する第2カウント手段と、前記第1カウント手段によって計測した24時間毎に、第2カウント手段により計測した累積動作時間を7個記憶する記憶手段とを設け、前記制御手段は、7個の累積動作時間を記憶させると、次に前記第1カウント手段により計測する24時間毎に、前記記憶手段に記憶された対応する第1から第7の累積動作時間に基づいて前記撹拌手段の制御内容を補正する構成としている。
【0011】
これらの生ゴミ処理機によれば、前記撹拌手段の動作時間を記憶し、その動作時間に基づいて後の撹拌手段の動作を補正する。即ち、記憶した過去の情報に基づいて、ユーザの生活パターンに合致するように撹拌手段の動作を補正する。そのため、生ゴミの分解処理を促進させたり、無駄な電力の消費を抑制することができる。具体的には、撹拌手段が動作した24時間毎の累積動作時間を7個記憶し、その後にカウントする24時間毎に、対応する第1から第7の累積動作時間に基づいて撹拌手段の動作内容を補正する。即ち、生活パターンを判断するための試行期間である1週間分の累積動作時間を曜日毎に記憶し、生活パターンが略同一の1週間前の同一の曜日の撹拌手段の動作状況に応じて、該撹拌手段を動作させる制御内容を変更する。そのため、投入量が多いと予測される日には撹拌手段を動作させる時間を長くし、生ゴミの分解処理を促進させることができる。逆に、投入量が少ないと予測される日には撹拌手段を動作させる時間を短く、無駄な電力の消費を抑制することができる。
【0012】
前記第3の生ゴミ処理機では、前記記憶手段は不揮発性の記憶媒体であり、商用電源との非接続状態で前記第1カウント手段を動作させるバックアップ電源を更に設けることが好ましい。このようにすれば、何らかの理由で電源コードを商用電源から抜かなければならなくなった際に、既に記憶した累積動作時間が消失することを防止できる。しかも、第1カウント手段がバックアップ電源により時間計測を続行するため、異なる曜日の累積動作時間に基づいて誤った周期の変更が行われることを防止できる。
【0013】
この場合、前記記憶手段に記憶した累積動作時間をリセットするリセット手段を更に設けることが好ましい。このようにすれば、使用するユーザが変更された場合や、生活パターンが変わった場合に対応することができる。
【0014】
さらに、前記制御手段は、前記記憶手段に7個の累積動作時間を記憶させると、次に前記第1カウント手段により計測する24時間毎に、更に第2カウント手段により累積動作時間を計測し、その累積動作時間を前記記憶手段に記憶された対応する第1から第7の累積動作時間に更新記憶することが好ましい。このようにすれば、運転状況を記憶する期間に何らかの原因で異常な生ゴミ投入をしたことによる誤った周期の変更が行われることを防止できる。
【0015】
また、前記各生ゴミ処理機では、前記制御手段は、前記基材状態判断手段の判断に基づいて前記撹拌手段の動作時間が異なるように周期的に制御するもので、前記撹拌手段の動作を記憶すると、該撹拌手段を動作させる周期を補正する構成としている。そして、投入量が多いと予測される日には撹拌手段を動作させる周期を短くすることにより、動作時間を長くする一方、投入量が少ないと予測される日には撹拌手段を動作させる周期を長くすることにより、動作時間が短くなるように構成している。
【0016】
また、前記制御手段は、商用電源に接続された運転開始後において、所定時間後に前記撹拌手段の動作の記憶を開始することが好ましい。このようにすれば、バイオ基材に担持させたバイオ菌が活性化していない期間、即ち、ユーザの生ゴミの投入状況を正確に判断できない期間のデータに基づいて誤った周期の変更が行われることを防止できる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の生ゴミ処理機では、記憶した前の生活パターンに合致するように、撹拌手段を動作させる制御内容を変更するため、投入量が多い日には生ゴミの分解処理を促進させ、投入量が少ない日には無駄な電力の消費を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。
【0019】
図1は、本発明の第1実施形態に係る生ゴミ処理機を示す。この生ゴミ処理機は、内部の処理槽19に好気性の酵母菌からなるバイオ菌をおがくずなどの基材に担持させたバイオ基材を収容し、投入した生ゴミをバイオ基材と撹拌することによって処理を行うバイオ方式であり、大略、処理機本体10と、該処理機本体10の上部を開閉可能に閉塞する蓋体47とからなる。
【0020】
前記処理機本体10は、その外装体11の内部に処理槽19を配設することにより、該処理槽19内の処理部と処理槽19外の部品配設部とに区画したものである。
【0021】
前記外装体11は、略四角筒状をなす枠体12の底に底板13が配設されるとともに、上部に蓋枠14が配設されたものである。前記枠体12の後面(図1中右側)には、後述する処理槽19の排出口20から突出した筒部21を露出させる開口部12aが設けられている。そして、この枠体12の前面(図1中左側)と前記開口部12aが設けられた後面には、前カバー15と後カバー16とが着脱可能に配設されている。前記蓋枠14には、その前部に生ゴミの投入口14aが設けられ、その開口縁には下向きに突出するリブが設けられている。また、枠体12の内部には、処理槽19の上端に位置するように仕切板17が配設されている。この仕切板17は、処理槽19の上端前部に位置するように開口部17aが設けられ、該開口部17aと前記蓋枠14の投入口14aとの間にはダクト部材18が配設されている。なお、前記仕切板17と蓋枠14との間の空間は、蓋体47のロック手段および撹拌部材24の駆動手段であるモータ25などを配設する配設部を構成する。
【0022】
前記処理槽19は、その前面19aの上側を前向き傾斜させた上端開口のものである。言い換えれば、この処理槽19は、その前面19aの上端が枠体12の前面に近づくように傾斜するように構成したものである。この処理槽19の背面には、外部に連通する排出口20が設けられ、その開口縁には外向きに突出するとともに、前記枠体12の開口部12a内に配置される筒部21が突設されている。この筒部21の先端には、ネジ締めにより蓋22が着脱可能に取り付けられている。さらに、処理槽19の底面には、下向きに窪んだ受部23が設けられ、この受部23に撹拌手段を構成する撹拌部材24の下端が回転可能に取り付けられる。
【0023】
前記撹拌部材24は金属製であり、その回転軸26の下端を前記受部23に配置するとともに仕切板17を貫通させた上端にモータ25を接続した縦型のもので、前記処理槽19内において後面側に位置し、生ゴミを投入するためのダクト部材18からは上面視で殆ど見えないように構成されている。具体的には、この撹拌部材24は、図2に示すように、垂直方向に延びる回転軸26の中間部分に3個の中間羽根部材27A,27B,27Cを固着するとともに、処理槽19の底に位置するように回転軸26の下部に下羽根部材37を固着したものである。本実施形態では、前記モータ25は、正転(図中反時計回り)および逆転(図中時計回り)が可能なものを使用している。
【0024】
前記中間羽根部材27A,27B,27Cは、前記回転軸26に固着するための略円環状をなす連結部28に対して、略180度の位置に第1羽根部29と第2羽根部33とを対向配置したものである。
【0025】
前記第1羽根部29は、正転時にバイオ基材を押し上げながら回転軸26に向けて掻き込むように撹拌する一方、逆転時にバイオ基材を押し下げながら外向きに押し出すように撹拌するもので、第1連結板30と、第1傾斜板31a,31bと、第1側板32とからなる。前記第1連結板30は、前記連結部28と連続するもので、本実施形態では、該連結部28に対するなす角が約30度となるように回転軸26から外側縁に向けて上向きに傾斜するように屈曲されている。前記第1傾斜板31a,31bは、モータ25による正転方向前側に向けて下向きに傾斜するように、前記第1連結板30に対して約135度の角度で屈曲されている。前記第1側板32は、正転時に後側に位置する前記第1傾斜板31aおよび第1連結板30の外側縁から上向きに突出するように、これら第1傾斜板31aおよび第1連結板30に対して約90度の角度で直交するように第1連結板30に対して屈曲されている。
【0026】
前記第2羽根部33は、正転時にバイオ基材を押し下げながら回転軸26に向けて掻き込むように撹拌する一方、逆転時にバイオ基材を押し上げながら外向きに押し出すように撹拌するもので、第1羽根部29と同様に、第2連結板34と、第2傾斜板35a,35bと、第2側板36とからなる。前記第2連結板34は、前記連結部28と連続するもので、本実施形態では、前記第1連結板30とは逆に、前記連結部28に対するなす角が約30度となるように回転軸26から外側縁に向けて下向きに傾斜するように屈曲されている。前記第2傾斜板35a,35bは、モータ25による正転方向前側に向けて上向きに傾斜するように、前記第2連結板34に対して約135度の角度で屈曲されている。前記第2側板36は、正転時に後側に位置する前記第2傾斜板35aおよび第2連結板34の外側縁から下向きに突出するように、これら第2傾斜板35aおよび第2連結板34に対して約90度の角度で直交するように第2連結板34に対して屈曲されている。
【0027】
前記下羽根部材37は、前記受部23の上端縁に載置される円板部38aと受部23内に回転可能に内嵌される突出部38bとを備え、回転軸26の下端に固着される装着部38に対して、略180度の位置に一対の第3羽根部39を対向配置したものである。
【0028】
前記第3羽根部39は、正転方向および逆転方向のいずれに回転してもバイオ基材を押し上げるように撹拌するもので、第3連結板40と、第3傾斜板41と、第4傾斜板42と、第3側板43a,43b,43cとからなる。前記第3連結板40は、前記装着部38と連続するもので、本実施形態では該装着部38に対して面一に径方向外向きに突出するように構成されている。前記第3傾斜板41は、モータ25による正転方向前側に向けて下向きに傾斜するように、前記第3連結板40に対して約135度の角度で屈曲されている。前記第4傾斜板42は、モータ25による逆転方向前側に向けて下向きに傾斜するように、前記第3連結板40に対して約135度の角度で屈曲されている。前記第3側板43a,43b,43cは、前記第3連結板40、第3傾斜板41および第4傾斜板42の外側縁から上向きに突出するように、これらに対して約90度の角度で交差するように屈曲されている。
【0029】
前記中間羽根部材27A,27B,27Cと下羽根部材37とは、回転軸26に対して所定間隔をもって位置するように固着される。また、上下段に位置する中間羽根部材27A,27B,27Cおよび下羽根部材37は、各羽根部29,33,39が略90度の間隔で周方向に回転した位置に配置されるように固着される。
【0030】
前記処理槽19の下部外周面には、処理槽19内のバイオ基材を所定温度範囲内に維持するための加熱手段として、ヒータ44が配設されている。また、外装体11を構成する枠体12の前面と処理槽19との間には、蓋体47を自動開放するために進入物である人体の足の進入を検出する検出手段である測距センサ45と、該測距センサ45を床面から所定高さに配置するためのケース46とが配設されるとともに、後述する制御基板63が配設されている。
【0031】
前記蓋体47は、図1に示すように、前記処理機本体10を構成する蓋枠14の上面に回動可能に取り付けられるとともに、付勢手段であるヒンジスプリング48により開放方向に付勢されたものである。この蓋体47の前部には、図3に示すように、下向きに突出した係止受部49が設けられ、この係止受部49がロック手段によってロックおよびアンロックされる。
【0032】
前記ロック手段は、前記蓋枠14に回動可能に取り付けられ、前記係止受部49に係止する爪部52aを設けたロック部材50からなる。具体的には、このロック部材50は、蓋体47に軸着する軸受部51より上方に突出するように先端に爪部52aを設けた係止部52が設けられている。また、軸受部51には、略L字形状に突出して下向きに延びる作用部53が設けられている。この作用部53には、前記測距センサ45による人体の検出により蓋体47を自動開放させる蓋体開放手段を構成するソレノイド54のロッド54aがリンク部材55を介して連結されている。また、作用部53の前部に位置するように蓋枠14には、手動式のロック解除操作部56がスプリングによって外向きに付勢された状態で配設されている。さらに、作用部53は、スプリング57によって常にロック部材50によりロック位置である上向きに付勢されている。なお、符号58は、蓋体47を自動および手動のいずれでも開放不可能とする強制ロック部材である。また、図1に示す符号59は、蓋体47が閉塞されたことを検出するためのスイッチである。このスイッチ59は、蓋体47に突設された円弧状の押圧部材47aによりオン、オフされることにより、蓋体47の開放および閉塞を検出できる。
【0033】
このように構成された生ゴミ処理機には、図4に示すように、前記処理槽19内に収容されたバイオ基材によって生ゴミを分解する処理機能の状態を検出するための基材状態検出手段として、処理槽19内の温度Ts、バイオ基材の温度Tk、および、外気の温度Tgを検出する3個の温度センサ60,61,62が配設されている。処理槽用温度センサ60は、処理槽19内におけるバイオ基材の上部の空間温度に配設されている。基材用温度センサ61は、処理槽19内における底に配設されている。外気用温度センサ62は、処理機本体10の外装体11に配設されている。
【0034】
そして、制御基板63に実装された制御手段であるマイコン64は、書換可能な不揮発性のプログラマブルROMであるEEPROMなどの記憶手段65に予め記憶されたプログラム、および、試行期間中に記憶されたデータに従って動作される。ここで、この記憶手段65はマイコン64に内蔵されている。具体的には、このマイコン64は、商用電源からの電力が電源回路部66により直流電圧に変換され、この直流電圧が印加されることにより動作する。そして、蓋体開放制御手段の役割をなし、前記測距センサ45により人体を含む物体が検出可能な範囲内に近づいたことを検出すると、前記ソレノイド54を動作させ、係止部52による係止受部49の係止を解除することにより、ヒンジスプリング48の付勢力によって蓋体47を自動開放させる。また、スイッチ59により蓋体47が閉塞されたことを検出すると、その閉塞時を制御の開始点として前記ヒータ44のオン、オフ、および、撹拌部材24の回転の周期的な制御を開始する。さらに、所定時間毎に基材状態検出手段である前記温度センサ60〜62による検出値に基づいてバイオ基材の処理機能の状態を判断する基材状態判断手段の役割をなし、判断結果に基づいて前記ヒータ44のオン、オフ、および、1周期で撹拌部材24を動作させる時間を変更するとともに、操作パネル67の表示部にバイオ基材の処理機能の状態を表示する。
【0035】
撹拌制御手段としてのマイコン64は、撹拌手段制御処理では、図5に示すように、第1撹拌動作と第2撹拌動作とを予め設定したサイクルで繰り返し実行させる。具体的には、この撹拌制御は、予め設定した動作時間(Tb+Tc+TdまたはTe)撹拌部材24を動作させた後、予め設定した停止時間(Ta)撹拌部材24を停止させる周期を繰り返すように制御する。そして、所定数(3つ)の周期を1つの撹拌サイクルとして纏め、この撹拌サイクルを繰り返して制御する。また、この撹拌サイクルを構成する周期のうち、1つの周期を第1撹拌動作で実行し、他の周期を第2撹拌動作で実行する。前記第1撹拌動作は、動作時間のうち一部の時間Tbは前記撹拌部材24を逆転させ、所定の停止時間Tcを経て、他の時間Tdは正転させて動作させるものである。第2撹拌動作は、撹拌部材24を全ての時間Teを正転させて動作させるものである。
【0036】
本実施形態では、撹拌部材24による撹拌サイクルは、蓋体47の閉塞を検出すると、一番目に実行する周期は、その動作時間Tb+Tc+Tdを第1撹拌動作で行った後、停止時間Taの間は撹拌動作を停止した状態で待機する。その後、二番目に実行する周期は、その動作時間Teを第2撹拌動作で行った後、停止時間Taが経過するまで待機し、停止時間Taが経過すると、三番目に実行する周期は、再び動作時間Teを第2撹拌動作で行った後、停止時間Taが経過するまで待機する。このように、3つの周期を1つの撹拌サイクルとし、一番目の周期は第1撹拌動作を実行し、他の周期は第2撹拌動作を実行する構成としている。
【0037】
また、前記撹拌部材24を動作させる時間(Tb+Tc+TdまたはTe)は、温度センサ60〜62の検出値に基づいて判断したバイオ基材の処理機能の状態に基づいて下記の表1のように変更する構成としている。
【0038】
【表1】

【0039】
表1に示すように、バイオ基材が乾燥状態であると判断した場合には、7分の1周期のうち48秒だけ撹拌部材24を動作させ、水分の発散を抑制するように制御する。また、良好状態であると判断した場合には、7分の1周期のうち60秒だけ撹拌部材24を動作させ、水分が現状を維持するように制御する。また、控えめ(水分が多め)状態であると判断した場合には、7分の1周期のうち72秒だけ撹拌部材24を動作させ、水分の発散を促進するように制御する。また、投入中止(水分過多)状態であると判断した場合には、7分の1周期のうち72秒だけ撹拌部材24を動作させ、水分の発散を促進するように制御する。
【0040】
そして、本実施形態でのマイコン64は、更に運転状況記憶手段の役割をなし、商用電源に接続された運転開始後に、第1カウント手段である時間計時タイマ68により時間を計測する。また、第2カウント手段であるタイマにより、前記撹拌部材24を動作させた時間を計測する。ここで、第1カウント手段の時間計時タイマ68および第2カウント手段のタイマは、いずれもマイコン64に内蔵したものである。そして、図6に示すように、新しいバイオ基材が安定する所定時間(10日)が経過すると、7日(一週)間を生活パターンを判断するための試行期間として、前記時間計時タイマ68により計測した24時間毎に、タイマにより計測した撹拌部材24の動作時間を記憶手段65に7個累積記憶する。そして、この試行期間が終了した後は、時間計時タイマ68によって計測した24時間毎に、前記記憶手段65に記憶された同一曜日に対応する第1から第7の累積動作時間T1〜T7に基づいて下記の表2および表3に示すように、撹拌部材24を動作させる周期を変更(補正)する構成としている。具体的には、図6において、18日目は11日目の累積動作時間T1に基づいて補正し、19日目は12日目の累積動作時間T2に基づいて補正し、20日目は13日目の累積動作時間T3に基づいて補正し、21日目は14日目の累積動作時間T4に基づいて補正し、22日目は15日目の累積動作時間T5に基づいて補正し、23日目は16日目の累積動作時間T6に基づいて補正し、24日目は17日目の累積動作時間T7に基づいて補正し、25日目は再び11日目の累積動作時間T1に基づいて補正する。
【0041】
【表2】

【0042】
この表2に示すように、マイコン64は、累積通電(動作)時間Tが184分未満である場合には、撹拌部材24の動作時間が少なくなるように「弱補正」を行う。また、累積動作時間Tが184分以上で228分以下である場合には、撹拌部材24の動作時間が補正なしの運転状況を維持するように「標準」で動作させる。さらに、累積動作時間が228分より多い場合には、撹拌部材24の動作時間が多くなるように「強補正」を行う。
【0043】
【表3】

【0044】
表3に示すように、累積動作時間に基づいて「弱補正」するように判断し、バイオ基材が乾燥状態である場合には、8分の1周期のうち48秒だけ撹拌部材24を動作させるように抑制制御する。「弱補正」するように判断し、バイオ基材が良好状態である場合には、8分の1周期のうち60秒だけ撹拌部材24を動作させるように抑制制御する。「弱補正」するように判断し、バイオ基材が控えめ状態である場合には、8分の1周期のうち72秒だけ撹拌部材24を動作させるように抑制制御する。「弱補正」するように判断し、バイオ基材が投入中止状態である場合には、8分の1周期のうち72秒だけ撹拌部材24を動作させるように抑制制御する。
【0045】
また、累積動作時間に基づいて「標準」を維持するように判断し、バイオ基材が乾燥状態である場合には、7分の1周期のうち48秒だけ撹拌部材24を動作させるように制御する。「標準」を維持するように判断し、バイオ基材が良好状態である場合には、7分の1周期のうち60秒だけ撹拌部材24を動作させるように制御する。「標準」を維持するように判断し、バイオ基材が控えめ状態である場合には、7分の1周期のうち72秒だけ撹拌部材24を動作させるように制御する。「標準」を維持するように判断し、バイオ基材が投入中止状態である場合には、7分の1周期のうち72秒だけ撹拌部材24を動作させるように制御する。
【0046】
さらに、累積動作時間に基づいて「強補正」するように判断し、バイオ基材が乾燥状態である場合には、6分の1周期のうち48秒だけ撹拌部材24を動作させるように促進制御する。また、「強補正」するように判断し、バイオ基材が良好状態である場合には、6分の1周期のうち60秒だけ撹拌部材24を動作させるように促進制御する。「強補正」するように判断し、バイオ基材が控えめ状態である場合には、6分の1周期のうち72秒だけ撹拌部材24を動作させるように促進制御する。「強補正」するように判断し、バイオ基材が投入中止状態である場合には、6分の1周期のうち72秒だけ撹拌部材24を動作させるように促進制御する。
【0047】
次に、マイコン64による制御について具体的に説明する。
【0048】
電源が投入されると、マイコン64は、図7に示すように、まず、ステップS1で、電源投入後にバイオ基材を安定させるための10日が経過した(=1)か否(=0)かを示す第1フラグfa、ユーザの生活パターンに対応する運転状況を記憶するための7日を計測中である(=1)か否(=0)かを示す第2フラグfb、その7日が経過した(=1)か否(=0)かを示す第3フラグfcをリセット(=0)するとともに、記憶手段65に記憶されている累積動作時間T1〜T7をリセット(消去)する初期化処理を実行する。
【0049】
ついで、ステップS2で、時間計時タイマ68(10日)をリセットしてスタートさせる。その後、ステップS3で、第1フラグfaが0であるか否かを検出し、第1フラグfaが0である場合にはステップS4に進み、第1フラグfaが0でない場合(fa=1)にはステップS6に進む。
【0050】
ステップS4で、設定時間(10日)が経過(カウントアップ)したか否かを検出する。そして、設定時間が経過した場合にはステップS5に進み、第1フラグfaに1を入力してステップS6に進む。また、設定時間が経過していない場合には、後述するステップS15に進む。
【0051】
ステップS6では、第3フラグfcが0であるか否かを検出し、第3フラグfcが0である場合にはステップS7に進み、第3フラグfcが0でない場合(fc=1)にはステップS14に進む。
【0052】
ステップS7では、第2フラグfbが0であるか否かを検出し、第2フラグfbが0である場合にはステップS8に進み、第2フラグfbが0でない場合(fb=1)にはステップS10に進む。
【0053】
ステップS8では、試行期間を計測するための時間計時タイマ68(7日)をリセットしてスタートさせた後、ステップS9で、第2フラグfbに1を入力してステップS10に進む。
【0054】
ステップS10では、試行期間である設定時間(7日)が経過したか否かを検出する。そして、設定時間が経過していない場合にはステップS11に進み、後述する運転状況記憶処理を実行してステップS15に進む。また、設定時間が経過した場合にはステップS12に進み、第3フラグfcに1を入力した後、ステップS12で、時間計時タイマ68(7日)をリセットしてスタートさせてステップS14に進む。
【0055】
ステップS14では、後述する撹拌周期補正処理を実行した後、ステップS15で、生ゴミ処理制御工程を実行してステップS3に戻る。
【0056】
このように、本実施形態では、電源が投入されると、所定時間(10日)は撹拌部材24による制御(周期)を補正することなく、表1に示す予め設定した標準の周期で撹拌動作を実行させる。その後は、同様に、試行期間である所定時間(7日)は撹拌部材24による制御(周期)を補正することなく、表1に示す予め設定した標準の周期で撹拌動作を実行しながら、生ゴミの投入量を意味するユーザの生活パターンに対応する撹拌部材24の動作時間を24時間毎に累積記憶する。そして、その試行期間終了後は、その記憶した7個の累積動作時間T1〜T7に基づいて周期を変更して撹拌部材24を動作させる。
【0057】
次に、ステップS11の運転状況記憶処理について具体的に説明する。なお、この運転状況記憶処理は、後述する撹拌手段制御処理と並行して行われる。
【0058】
この運転状況記憶処理では、マイコン64は、図8に示すように、まず、ステップS11−1で、撹拌部材24の回転(制御)を開始したか否かを検出する。そして、撹拌部材24の回転が開始された場合にはステップS11−2に進み、撹拌部材24の回転が開始されない場合にはリターンする。
【0059】
ステップS11−2では、撹拌部材24の動作時間を計測するための累積タイマをスタートさせた後、ステップS11−3で、撹拌部材24の回転が停止するまで待機する。そして、撹拌部材24の回転が停止すると、ステップS11−4で、累積タイマをストップしてステップS11−5に進む。
【0060】
ステップS11−5では、時間計時タイマ68による計測時間が24H(時間)未満であるか否かを検出する。そして、時間計時タイマ68による計測時間が24H未満である場合にはステップS11−6に進み、記憶手段65における第1の累積動作時間T1に計測した動作時間を加算記憶してステップS11−18に進む。また、時間計時タイマ68による計測時間が24H以上である場合にはステップS11−7に進む。
【0061】
ステップS11−7では、時間計時タイマ68による計測時間が48H未満であるか否かを検出する。そして、時間計時タイマ68による計測時間が48H未満である場合にはステップS11−8に進み、記憶手段65における第2の累積動作時間T2に計測した動作時間を加算記憶してステップS11−18に進む。また、時間計時タイマ68による計測時間が48H以上である場合には図9に示すステップS11−9に進む。
【0062】
図9に示すように、ステップS11−9では、時間計時タイマ68による計測時間が72H未満であるか否かを検出する。そして、時間計時タイマ68による計測時間が72H未満である場合にはステップS11−10に進み、記憶手段65における第3の累積動作時間T3に計測した動作時間を加算記憶して図8のステップS11−18に進む。また、時間計時タイマ68による計測時間が72H以上である場合にはステップS11−11に進む。
【0063】
ステップS11−11では、時間計時タイマ68による計測時間が96H未満であるか否かを検出する。そして、時間計時タイマ68による計測時間が96H未満である場合にはステップS11−12に進み、記憶手段65における第4の累積動作時間T4に計測した動作時間を加算記憶して図8のステップS11−18に進む。また、時間計時タイマ68による計測時間が96H以上である場合にはステップS11−13に進む。
【0064】
ステップS11−13では、時間計時タイマ68による計測時間が120H未満であるか否かを検出する。そして、時間計時タイマ68による計測時間が120H未満である場合にはステップS11−14に進み、記憶手段65における第5の累積動作時間T5に計測した動作時間を加算記憶して図8のステップS11−18に進む。また、時間計時タイマ68による計測時間が120H以上である場合にはステップS11−15に進む。
【0065】
ステップS11−15では、時間計時タイマ68による計測時間が144H未満であるか否かを検出する。そして、時間計時タイマ68による計測時間が144H未満である場合にはステップS11−16に進み、記憶手段65における第6の累積動作時間T6に計測した動作時間を加算記憶して図8のステップS11−18に進む。また、時間計時タイマ68による計測時間が144H以上である場合にはステップS11−17に進み、記憶手段65における第7の累積動作時間T7に計測した動作時間を加算記憶して図8のステップS11−18に進む。
【0066】
図8に示すステップS11−18では、ステップS11−2〜4で計測した撹拌部材24の動作時間をリセットしてリターンする。
【0067】
次に、ステップS14の撹拌周期補正処理について具体的に説明する。
【0068】
この撹拌周期補正処理では、マイコン64は、図10に示すように、まず、ステップS14−1で、ステップS13でリセットスタートした時間計時タイマ68による計測時間が24H(時間)未満であるか否かを検出する。そして、時間計時タイマ68による計測時間が24H未満である場合にはステップS14−2に進み、記憶手段65に記憶した第1累積動作時間T1を読み込んだ後、ステップS14−3で、その第1累積動作時間T1に基づいて周期の時間を変更してリターンする。また、時間計時タイマ68による計測時間が24H以上である場合にはステップS14−4に進む。
【0069】
ステップS14−4では、時間計時タイマ68による計測時間が48H未満であるか否かを検出する。そして、時間計時タイマ68による計測時間が48H未満である場合にはステップS14−5に進み、記憶手段65に記憶した第2累積動作時間T2を読み込んだ後、ステップS14−6で、その第2累積動作時間T2に基づいて周期の時間を変更してリターンする。また、時間計時タイマ68による計測時間が48H以上である場合にはステップS14−7に進む。
【0070】
ステップS14−7では、時間計時タイマ68による計測時間が72H未満であるか否かを検出する。そして、時間計時タイマ68による計測時間が72H未満である場合にはステップS14−8に進み、記憶手段65に記憶した第3累積動作時間T3を読み込んだ後、ステップS14−9で、その第3累積動作時間T3に基づいて周期の時間を変更してリターンする。また、時間計時タイマ68による計測時間が72H以上である場合にはステップS14−10に進む。
【0071】
ステップS14−10では、時間計時タイマ68による計測時間が96H未満であるか否かを検出する。そして、時間計時タイマ68による計測時間が96H未満である場合にはステップS14−11に進み、記憶手段65に記憶した第4累積動作時間T4を読み込んだ後、ステップS14−12で、その第4累積動作時間T4に基づいて周期の時間を変更してリターンする。また、時間計時タイマ68による計測時間が96H以上である場合には図11に示すステップS14−13に進む。
【0072】
図11に示すように、ステップS14−13では、時間計時タイマ68による計測時間が120H未満であるか否かを検出する。そして、時間計時タイマ68による計測時間が120H未満である場合にはステップS14−14に進み、記憶手段65に記憶した第5累積動作時間T5を読み込んだ後、ステップS14−15で、その第5累積動作時間T5に基づいて周期の時間を変更してリターンする。また、時間計時タイマ68による計測時間が120H以上である場合にはステップS14−16に進む。
【0073】
ステップS14−16では、時間計時タイマ68による計測時間が144H未満であるか否かを検出する。そして、時間計時タイマ68による計測時間が144H未満である場合にはステップS14−17に進み、記憶手段65に記憶した第6累積動作時間T6を読み込んだ後、ステップS14−18で、その第6累積動作時間T6に基づいて周期の時間を変更してリターンする。また、時間計時タイマ68による計測時間が144H以上である場合にはステップS14−19に進む。
【0074】
ステップS14−19では、時間計時タイマ68による計測時間が168H未満であるか否かを検出する。そして、時間計時タイマ68による計測時間が168H未満である場合にはステップS14−20に進み、記憶手段65に記憶した第7累積動作時間T7を読み込んだ後、ステップS14−21で、その第7累積動作時間T7に基づいて周期の時間を変更してリターンする。また、時間計時タイマ68による計測時間が168H以上である場合にはステップS14−22に進み、時間計時タイマ68(7日)をリセットして再スタートしてリターンする。
【0075】
次に、ステップS15の生ゴミ処理制御工程について具体的に説明する。
【0076】
この生ゴミ処理制御工程では、マイコン64は、図12に示すように、まず、ステップS15−1で、スイッチ59を介して蓋体47が開放されたか否かを検出する。そして、蓋体47の開放を検出した場合にはステップS15−2に進み、蓋体47の開放を検出しない場合にはステップS15−6に進む。
【0077】
ステップS15−2では、撹拌部材24を停止した後、ステップS15−3で、スイッチ59を介して蓋体47が閉塞されたことを検出するまで待機する。そして、蓋体47の閉塞を検出すると、ステップS15−4で、バイオ基材の処理機能の状態を検出する周期である2時間タイマをリセットしてスタートさせた後、ステップS15−5で、後述する撹拌手段制御処理で撹拌部材24を動作させる撹拌サイクルのデータを記憶手段65から読み込む。具体的には、1つの撹拌サイクルとして纏める周期数(n)、そのうちの何番目に第1撹拌動作を実行させるかを示す周期(m)を読み込むとともに、その周期の時間およびその1周期中の撹拌部材24の動作時間を読み込む。
【0078】
ステップS15−6では、2時間タイマがカウントアップしたか否かを検出し、カウントアップした場合にはステップS15−7に進み、カウントアップしていない場合にはステップS15−12に進む。
【0079】
ステップS15−7では、次にバイオ基材の処理機能の状態を検出するために2時間タイマをリセットしてスタートさせた後、ステップS15−8で、基材状態検出手段である3個の温度センサ60〜62により処理槽19内の温度Ts、バイオ基材の温度Tk、および、外気の温度Tgを検出する。
【0080】
ついで、ステップS15−9で、検出した3カ所の温度Ts,Tk,Tgに基づいてバイオ基材の状態を判断する基材状態判断処理を実行した後、判断したバイオ基材の処理機能の状態に基づいて、ステップS15−10で、撹拌時間である周期の変更処理を実行し、ステップS15−11で、操作パネル67の表示部の変更処理を行ってステップS15−12に進む。
【0081】
ステップS15−12では、モータ25および撹拌部材24からなる撹拌手段の制御処理、および、ヒータ44による加熱手段制御処理からなるバイオ基材調整処理を実行してリターンする。なお、加熱手段制御処理は、判定したバイオ基材の処理機能の状態に基づいてヒータ44による加熱時間を変更するものである。
【0082】
次に、ステップS15−9の基材状態判断処理について具体的に説明する。
【0083】
この基材状態判断処理では、マイコン64は、図13に示すように、まず、ステップS30で、基材用温度センサ61による基材温度Tkから外気用温度センサ62による外気温度Tgを減算した温度差が4℃より高いか否かを検出する。そして、温度差(Tk−Tg)が4℃より高い場合にはステップS31に進み、バイオ基材が良好状態であると判断し、ステップS37で、基材調整情報を更新してリターンする。また、温度差(Tk−Tg)が4℃以下である場合にはステップS32に進む。
【0084】
ステップS32では、処理槽用温度センサ60による槽内温度Tsから基材用温度センサ61による基材温度Tkを減算した温度差が0℃以下であるか否かを検出する。そして、温度差(Ts−Tk)が0℃以下である場合にはステップS33に進み、バイオ基材が乾燥状態であると判断し、ステップS37で、基材調整情報を更新してリターンする。また、温度差(Ts−Tk)が0℃より高い場合にはステップS34に進む。
【0085】
ステップS34では、処理槽用温度センサ60による槽内温度Tsから基材用温度センサ61による基材温度Tkを減算した温度差が1℃より高いか否かを検出する。そして、温度差(Ts−Tk)が1℃より高い場合にはステップS35に進み、バイオ基材が控えめ(水分が多め)状態であると判断し、ステップS37で、基材調整情報を更新してリターンする。また、温度差(Ts−Tk)が1℃以上である場合にはステップS36に進み、バイオ基材が投入中止(水分過多)状態であると判断し、ステップS37で、基材調整情報を更新してリターンする。
【0086】
次に、ステップS15−12のバイオ基材調整処理での撹拌手段制御処理について具体的に説明する。
【0087】
この撹拌手段制御処理では、マイコン64は、図14に示すように、まず、ステップS40で、撹拌部材24を停止する時間である停止タイマ(Ta)がカウントアップしているか否かを検出する。そして、停止タイマ(Ta)がカウントアップしている場合にはステップS41に進み、カウントアップしていない場合にはリターンする。なお、蓋体47が閉塞された直後には、停止タイマはカウントアップした状態であり、必ずステップS41に進む。
【0088】
ステップS41では、撹拌動作の周期(m)が1であるか否かを検出する。そして、mが1である場合にはステップS42に進み、逆転動作を有する第1撹拌動作実行処理を行ってステップS44に進む。一方、mが1でない場合にはステップS43に進み、逆転動作を有していない第2撹拌動作実行処理を行ってステップS44に進む。
【0089】
ステップS44では、撹拌動作の周期(m)に1を加算(m=m+1)する。そして、ステップS45で、周期(m)が撹拌サイクルの周期数(n)以上(m≧n)になったか否かを検出する。そして、周期(m)が周期数(n)回以上である場合にはステップS46に進み、周期(m)をリセット(1)してステップS47に進み、周期(m)が周期数(n)回未満である場合にはそのままステップS47に進む。ステップS47では、停止タイマ(Ta)をリセットしてスタートさせてリターンする。
【0090】
このように、本実施形態の生ゴミ処理機によれば、ユーザの生活パターンを判断するための7日間の試行期間の間に、撹拌部材24が動作した24時間毎の累積動作時間を7個記憶し、その試行期間終了後は、24時間毎に、対応する第1から第7の累積動作時間T1〜T7に基づいて周期を補正(変更)する。即ち、1週間分の累積動作時間を記憶し、生活パターンが略同一の1週間前の同一の曜日の撹拌部材24の動作状況に応じて、該撹拌部材24を動作させる周期(時間)を変更する。そのため、投入量が多いと予測される日には撹拌部材24を動作させる周期を短くすることにより動作時間を長くし、生ゴミの分解処理を促進させることができる。逆に、投入量が少ないと予測される日には撹拌部材24を動作させる周期を長くすることにより動作時間を短くし、無駄な電力の消費を抑制することができる。
【0091】
また、この撹拌部材24を動作させる周期の変更処理は、バイオ基材に担持させたバイオ菌が活性化していない期間、即ち、ユーザの生ゴミの投入状況を基材状態判断手段であるマイコン64によって正確に判断できない期間が経過した後の運転状況に基づいて記憶したデータに基づいて行うため、誤った周期の変更が行われることを防止できる。
【0092】
図15は第2実施形態の生ゴミ処理機の構成を示す。この第2実施形態では、商用電源から電源コードを抜いた非接続状態で第1カウント手段である時間計時タイマ68を動作させるためのバックアップ電源回路69を更に設けるとともに、操作パネル67に所定に記憶手段65に記憶されている累積動作時間T1〜T7を強制的に消去するためのリセットスイッチ(図示せず)を更に設けたものである。
【0093】
また、運転状況記憶手段の役割をなすマイコン64は、第1から第7の累積動作時間T1〜T7を記録した後に、更に運転状況を記録し続け、その累積動作時間T1〜T7を逐次更新するように構成している。即ち、図6において、第1実施形態では、試行期間が終了すると、その後の18日目は11日目の累積動作時間T1に基づいて補正し、19日目は12日目の累積動作時間T2に基づいて補正し、20日目は13日目の累積動作時間T3に基づいて補正し、21日目は14日目の累積動作時間T4に基づいて補正し、22日目は15日目の累積動作時間T5に基づいて補正し、23日目は16日目の累積動作時間T6に基づいて補正し、24日目は17日目の累積動作時間T7に基づいて補正し、25日目は再び11日目の累積動作時間T1に基づいて補正する構成とした。しかし、第2実施形態では、18日目以後も撹拌部材24の動作時間を継続して累積計測し、25日目は18日目の累積動作時間T1’に基づいて補正し、26日目は19日目の累積動作時間T2’に基づいて補正し、27日目は20日目の累積動作時間T3’に基づいて補正し、28日目は21日目の累積動作時間T4’に基づいて補正し、29日目は22日目の累積動作時間T5’に基づいて補正し、30日目は23日目の累積動作時間T6’に基づいて補正し、31日目は24日目の累積動作時間T7’に基づいて補正し、32日目は25日目の累積動作時間T1”に基づいて補正する構成としている。
【0094】
具体的には、第2実施形態のマイコン64は、図16に示すように、電源が投入されると、まず、ステップS100で、最初に電源を投入した後にバイオ基材を安定させるための10日が経過した(=1)か否(=0)かを示す第1フラグfdが0であるか否かを検出する。そして、第1フラグfdが0である場合にはステップS101に進み、fdが0でない(fd=1)場合にはステップS102に進む。
【0095】
ステップS101では、10日を計測するための時間計時タイマ68が動作中である(=1)か否(=0)かを示す第2フラグfeが0であるか否かを検出する。そして、第2フラグfeが0である場合にはステップS103に進み、feが0でない(fe=0)場合にはステップS102に進む。
【0096】
ステップS102では、ユーザが操作パネル67をリセット操作したか否かを検出する。そして、リセット操作を検出した場合にはステップS103に進み、リセット操作を検出しない場合にはステップS109に進む。
【0097】
ステップS103では、第1実施形態と同様に、各フラグfd,feをリセットするとともに、記憶手段65に記憶された累積動作時間T1〜T7をリセットする。
【0098】
ついで、ステップS104で、10日を計測するための時間計時タイマ68をリセットしてスタートした後、ステップS105で、該時間計時タイマ68が動作中であることを示す第2フラグfeに1を入力する。
【0099】
ついで、ステップS106で、時間計時タイマ68がカウントアップしたか否かを検出し、カウントアップした場合にはステップS107に進み、カウントアップしていない場合にはステップS111に進む。
【0100】
ステップS107では、初期化して10日が経過したことを示す第1フラグfdに1を入力した後、ステップS108で、7日を計測するために時間計時タイマ68をリセットしてスタートした後、ステップS109に進む。
【0101】
ステップS109では、撹拌周期補正処理を実行した後、ステップS110で、運転状況記憶処理を実行するとともに、ステップS111で、生ゴミ処理制御工程を実行してステップS100に戻る。なお、これら運転状況記憶処理と生ゴミ処理制御工程とは、第1実施形態と同様に、実際には並行に実行される。
【0102】
なお、ステップS109での撹拌周期補正処理では、図10および図11に示す第1実施形態の撹拌周期補正処理において、ステップS14−2,5,8,11,14,17,20で、累積動作時間T1〜T7を読み込んだ際に、累積動作時間T1〜T7が記憶されていない(0)状態では、7分周期の標準で撹拌部材24を動作させる。また、累積動作時間T1〜T7を読み込んでステップS14−3,6,9,12,15,18,21で周期を変更すると、その読み込んだ累積動作時間T1〜T7のみを消去する。その結果、後に実行される運転状況記憶処理で、既に累積されたデータに加算されることを防止できる。
【0103】
これにより、逐次、7個の累積動作時間T1〜T7を更新記憶し、その更新記憶した累積動作時間T1〜T7に基づいて、第1実施形態と同様に、撹拌部材24を動作させる周期(時間)を変更することができる。その結果、投入量が多いと予測される日には生ゴミの分解処理を促進させ、投入量が少ないと予測される日には無駄な電力の消費を抑制することができる。
【0104】
また、この第2実施形態では、記憶手段65は不揮発性の記憶媒体からなるため、電源コードを商用電源から抜いても、既に記憶した累積動作時間T1〜T7が消失することを防止できる。しかも、バックアップ電源回路69により第1カウント手段である時間計時タイマ68による時間計測を続行するため、異なる曜日の累積動作時間に基づいて誤った周期の変更が行われることを防止できる。
【0105】
また、記憶手段65に記憶した累積動作時間を強制的に消去するリセット手段であるリセットスイッチ設けているため、使用するユーザが変更された場合や、生活パターンが変わった場合にも対応することができ、利便性の向上を図ることができる。さらに、運転状況記憶手段であるマイコン64は、記憶手段65に7個の累積動作時間T1〜T7を記憶した後に、継続して累積動作時間を計測し、対応する第1から第7の累積動作時間を更新記憶するため、運転状況を記憶する期間に何らかの原因で異常な生ゴミ投入をしたことによる誤った判断で、周期が変更されることを防止できる。
【0106】
なお、本発明の生ゴミ処理機は、前記実施形態の構成に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】本発明の第1実施形態に係る生ゴミ処理機の断面図である。
【図2】撹拌手段を構成する撹拌部材を示す斜視図である。
【図3】図1の要部拡大断面図である。
【図4】生ゴミ処理機の構成を示すブロック図である。
【図5】撹拌部材の撹拌サイクルを示すタイムチャートである。
【図6】運転状況の記憶および制御を示すタイムチャートである。
【図7】マイコンによる制御を示すフローチャートである。
【図8】図7の運転状況記憶処理を示すフローチャートである。
【図9】図8の続きのフローチャートである。
【図10】図7の撹拌周期補正処理を示すフローチャートである。
【図11】図10の続きのフローチャートである。
【図12】図7の生ゴミ処理制御工程を示すフローチャートである。
【図13】図12の基材状態判断処理を示すフローチャートである。
【図14】図12のバイオ基材調整処理の1つである撹拌手段制御処理を示すフローチャートである。
【図15】第2実施形態の生ゴミ処理機の構成を示すブロック図である。
【図16】第2実施形態のマイコンによる制御を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0108】
10…処理機本体
14a…投入口
19…処理槽
24…撹拌部材
44…ヒータ
47…蓋体
63…制御基板
64…マイコン(制御手段)
65…記憶手段
68…時間計時タイマ(第1カウント手段)
69…バックアップ電源回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理槽の内部に収容した生ゴミとバイオ基材とを撹拌する撹拌手段と、前記バイオ基材の処理機能の状態を判断する基材状態判断手段と、該基材状態判断手段の判断に基づいて前記撹拌手段を制御する制御手段とを備えた生ゴミ処理機において、
前記撹拌手段の動作時間を記憶し、その動作時間に基づいて後の撹拌手段の動作を補正するようにしたことを特徴とする生ゴミ処理機。
【請求項2】
処理槽の内部に収容した生ゴミとバイオ基材とを撹拌する撹拌手段と、前記バイオ基材の処理機能の状態を判断する基材状態判断手段と、該基材状態判断手段の判断に基づいて前記撹拌手段を制御する制御手段とを備えた生ゴミ処理機において、
商用電源に接続して運転を開始した後の一定期間を生活パターンを判断するための試行期間とし、その試行期間での前記撹拌手段の動作状態を記憶し、その記憶した動作情報に基づいて試行期間終了後の前記撹拌手段の動作を生活パターンに合致するように補正して動作させることを特徴とする生ゴミ処理機。
【請求項3】
処理槽の内部に収容した生ゴミとバイオ基材とを撹拌する撹拌手段と、前記バイオ基材の処理機能の状態を判断する基材状態判断手段と、該基材状態判断手段の判断に基づいて前記撹拌手段を制御する制御手段とを備えた生ゴミ処理機において、
時間を計測する第1カウント手段と、
前記撹拌手段の動作時間を累積して計測する第2カウント手段と、
前記第1カウント手段によって計測した24時間毎に、第2カウント手段により計測した累積動作時間を7個記憶する記憶手段とを設け、
前記制御手段は、7個の累積動作時間を記憶させると、次に前記第1カウント手段により計測する24時間毎に、前記記憶手段に記憶された対応する第1から第7の累積動作時間に基づいて前記撹拌手段の制御内容を補正するようにしたことを特徴とする生ゴミ処理機。
【請求項4】
前記記憶手段は不揮発性の記憶媒体であり、商用電源との非接続状態で前記第1カウント手段を動作させるバックアップ電源を更に設けたことを特徴とする請求項3に記載の生ゴミ処理機。
【請求項5】
前記記憶手段に記憶した累積動作時間をリセットするリセット手段を更に設けたことを特徴とする請求項4に記載の生ゴミ処理機。
【請求項6】
前記制御手段は、前記記憶手段に7個の累積動作時間を記憶させると、次に前記第1カウント手段により計測する24時間毎に、更に第2カウント手段により累積動作時間を計測し、その累積動作時間を前記記憶手段に記憶された対応する第1から第7の累積動作時間に更新記憶するようにしたことを特徴とする請求項3乃至請求項5のいずれか1項に記載の生ゴミ処理機。
【請求項7】
前記制御手段は、前記基材状態判断手段の判断に基づいて前記撹拌手段の動作時間が異なるように周期的に制御するもので、前記撹拌手段の動作を記憶すると、該撹拌手段を動作させる周期を補正することを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の生ゴミ処理機。
【請求項8】
前記制御手段は、商用電源に接続された運転開始後において、所定時間後に前記撹拌手段の動作の記憶を開始することを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の生ゴミ処理機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2006−35032(P2006−35032A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−215788(P2004−215788)
【出願日】平成16年7月23日(2004.7.23)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】