説明

生ゴミ処理機

【課題】 部品点数を少なくして、コストダウンを可能にする。
【解決手段】生ゴミを収納する処理容器Rと、この処理容器内に設けた回転ばねCと、処理容器の外側にあって電磁波を照射する電磁波照射手段Eとを備えている。また、上記回転ばねは、その先端が描く回転軌跡のレベルを相対的に高く保った第1羽根部10と、先端が描く回転軌跡のレベルを第1羽根部よりも低く保った第2羽根部11とを備えている。そして、この第2羽根部11の先端を下向きに折り曲げて粉砕片11aとする一方、処理容器の壁面との間に間隔を保った起立片12を処理容器Rの底面に設け、回転ばねCの回転過程で上記粉砕片11aが起立片12と処理容器の壁面との間を通過する構成にしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、生ゴミに電磁波を照射して乾燥させる生ゴミ処理機に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のものとして特許文献1に記載された処理機が従来から知られている。この特許文献1に記載された生ゴミ処理機は、処理容器の外側に電磁波を照射する電磁波照射手段を設け、この電磁波によって処理容器内の生ゴミを乾燥させるようにしている。
そして、上記処理容器には、その中に入れた生ゴミを粉砕するための回転カッターと、生ゴミをかく拌するためのかく拌羽根とを設けるとともに、上記回転カッターとは別に、処理容器の内面に付着した生ゴミをかき取るためのワイパーを設けている。
そして、上記回転カッターとかく拌羽根には、個別に電動モータを設け、これら両電動モータの駆動力で、回転カッターとかく拌羽根のそれぞれを回転させるようにしている。
【0003】
なお、上記ワイパーは、処理容器の内面にこびり付いた乾燥過程の生ゴミをかき落とすためのものである。つまり、処理容器の内面に乾燥過程の生ゴミがこびり付いた状態を放置しておくと、生ゴミが処理容器の内面に焦げ付き電磁波の照射効率が落ちるので、それを防止するためである。
【0004】
上記のように電磁波の照射効率を保つとともに、生ゴミの焦げ付きおよび処理容器の損傷を防止するために、従来の生ゴミ処理機にはワイパーを設けるようにしていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−234857号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のようにした従来の生ゴミ処理機では、処理容器内に回転要素として、回転カッター、かく拌羽根およびワイパーのそれぞれを必要としていた。しかし、回転カッター、かく拌羽根およびワイパーを必要とすること自体、部品点数が多くなってコストアップの要因になるが、これら回転カッター、かく拌羽根およびワイパーは、すべて回転させなければならないので、それらの回転機構には、例えばシールや軸受等を必要とする。また、その組み付け精度もある程度要求されるので、それらがさらにコストを押し上げることになっていた。
【0007】
この発明の目的は、処理容器内の回転要素を少なくして、大幅なコストダウンを可能にするとともに、処理能力を向上させた生ゴミ処理機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、生ゴミを収納する処理容器と、この処理容器内に設けた回転ばねと、処理容器の外側にあって電磁波を照射する電磁波照射手段とを備えた生ゴミ乾燥装置を前提にする。
上記装置を前提にしつつ、第1の発明は、回転ばねが、その先端が描く回転軌跡のレベルを相対的に高く保った第1羽根部と、先端が描く回転軌跡のレベルを第1羽根部よりも低く保った第2羽根部とを備え、第2羽根部の先端を下向きに折り曲げて粉砕片とする一方、処理容器の壁面との間に間隔を保った起立片を処理容器の底面に設け、回転ばねの回転過程で上記粉砕片が起立片と処理容器の壁面との間を通過する構成にしている。
【0009】
第2の発明は、上記処理容器を、ハウジングに相対回転不能にして取り付けている。
第3の発明は、上記第1羽根部の先端が描く回転軌跡のレベル位置に、電磁照射手段からの電磁波を照射するとともに、電磁波照射位置で回転軌跡を描く第1羽根部の先端を上記処理容器の内面に近接させている。
【発明の効果】
【0010】
第1および2の発明によれば、処理容器内の生ゴミは、第2羽根部の粉砕片と起立片との間に挟まれて粉砕されるので、従来のように回転する部材は回転ばねだけで足りる。このように回転機構を簡素化できるので、シールや軸受等も少なくてすみ、その分、コストを大幅に下げることができる。
第3の発明によれば、電磁波の照射位置に対応する処理容器の内面に付着した生ゴミは、その内面に近接させた第1羽根部でかき取ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1はこの発明の実施形態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1に示した実施形態は、フタ1を開閉可能にしたハウジングHに、処理容器Rを取り外し可能に設けている。すなわち、ハウジングHの底面に支持凸部2を設けるとともに、処理容器Rの底面には凹部3を設け、この凹部3を上記支持凸部2にはめ込むようにして、処理容器Rを取り外し可能にしている。ただし、この状態で処理容器Rは、ハウジングHに対して、相対回転できない構成にしている。
【0013】
また、上記支持凸部2の下方には電動モータMを設けるとともに、この電動モータMの駆動軸4の先端には歯形を形成した連結部材5を設けている。なお、符号6は支持凸部2に設けたベアリングで、上記駆動軸4を回転自在に支持するためのものである。
【0014】
一方、上記処理容器R内には、その底部中央に支柱7を設けるとともに、この支柱7で、回転ばねCの回転軸8を回転自在に支持している。そして、この回転軸8の下端には、上記連結部材5の歯形にかみ合う歯形を形成した連結部材9を設けている。
そして、上記のように処理容器Rの凹部3を支持凸部2にはめ込んだとき、上記連結部材5,9が互いにかみ合うとともに、電動モータMの回転力が駆動軸4及び回転軸8を介して回転ばねCに伝達されるようにしている。
【0015】
上記回転ばねCは、第1羽根部10と第2羽根部11とを備えるとともに、第1羽根部10を第2羽根部11に対して相対的に高い位置を保つようにしている。
また、上記第2羽根部11の先端には、下方に向かってほぼ直角に折り曲げた粉砕片11aを設けている。
【0016】
そして、処理容器Rの底面には、処理容器Rの壁面との間に間隔を保った起立片12を設け、回転ばねCの回転過程で上記粉砕片11aが、起立片12と処理容器Rの壁面との間を通過するようにしている。
【0017】
そして、上記ハウジングH内であって、処理容器Rの側面に対応する位置に電磁波照射手段Eを設けているが、この電磁波照射手段Eは、処理容器Rの側面に向かって電磁波を照射するようにしている。
【0018】
なお、電磁波照射手段Eから照射される電磁波は、上記回転ばねCの第1羽根部10の先端が描く回転軌跡上に照射されるようにしている。言い換えると、電磁波照射手段Eから照射される電磁波の範囲に、回転ばねCの第1羽根部10の先端が描く回転軌跡が位置する構成にしている。
【0019】
上記のようにした生ゴミ処理機は、その処理容器Rに生ゴミを投入するとともに、電磁波照射手段Eから電磁波を照射させならが、電動モータMを駆動して回転ばねCを回転させる。
【0020】
処理容器R内に生ゴミを入れた状態で回転ばねCを回転させれば、第1羽根部10と第2羽根部11とによって生ゴミが粉砕されるとともにかく拌される。そして、上記かく拌過程で、生ゴミは電磁波照射手段Eから照射される電磁波の作用で加熱されるとともに、その熱で生ゴミは乾燥させられる。
【0021】
また、回転ばねCが回転すると、その粉砕片11aが、処理容器Rの壁面と起立片12との間を通過するので、生ゴミは粉砕片11aと起立片12との間にあって、効率よく粉砕される。特に、表面のみが乾燥して中心の部分が十分に乾ききっていない半乾きのゴミは、これら粉砕片11aおよび起立片12によってせん断され、さらに効率的な乾燥が可能になる。
【0022】
さらに、電磁波照射手段Eの電磁波照射範囲に、第1羽根部10の先端が描く回転軌跡のレベルを対応さるとともに、その第1羽根部10の先端を処理容器の内面に近接させている。したがって、少なくとも電磁波の照射位置に付着した生ゴミは、上記第1羽根部10でかき取られることになり、電磁波照射位置において、生ゴミが乾燥した状態でこびり付き、それが焦げ付いたりしないし、生ゴミが焦げ付いたときの熱で処理容器Rに穴が開いたりもしない。
【0023】
このように電磁波の照射位置に付着した生ゴミは、第1羽根部10でかき取られるようにしたので、処理容器Rを回転させなくても、特に問題が発生しない。もし、電磁波の照射位置に付着した生ゴミを除去できない状態で電磁波を照射し続ければ、上記したように生ゴミが焦げ付いてしまうので、処理容器Rを回転させて一箇所だけに電磁波が集中しないようにしなければならない。しかし、この実施形態によれば、電磁波の照射位置に付着した生ゴミは、第1羽根部10でかき取られるので、処理容器Rを回転させる必要がない。
【産業上の利用可能性】
【0024】
この発明は、処理容量が少ない家庭用の生ゴミ処理機として最適である。
【符号の説明】
【0025】
H ハウジング
R 処理容器
M 電動モータ
C 回転ばね
10 第1羽根部
11 第2羽根部
11a 粉砕片
12 起立片
E 電磁波照射手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生ゴミを収納する処理容器と、この処理容器内に設けた回転ばねと、処理容器の外側にあって電磁波を照射する電磁波照射手段とを備え、上記回転ばねは、その先端が描く回転軌跡のレベルを相対的に高く保った第1羽根部と、先端が描く回転軌跡のレベルを第1羽根部よりも低く保った第2羽根部とを備え、この第2羽根部の先端を下向きに折り曲げて粉砕片とする一方、処理容器の壁面との間に間隔を保った起立片を処理容器の底面に設け、回転ばねの回転過程で上記粉砕片が起立片と処理容器の壁面との間を通過する構成にした生ゴミ処理機。
【請求項2】
上記処理容器を、ハウジングに相対回転不能にして取り付けた請求項1記載の生ゴミ処理機。
【請求項3】
上記第1羽根部の先端が描く回転軌跡のレベル位置に、電磁照射手段からの電磁波を照射するとともに、電磁波照射位置で回転軌跡を描く第1羽根部の先端を上記処理容器の内面に近接させた請求項1または2記載の生ゴミ処理機。

【図1】
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【公開番号】特開2011−16078(P2011−16078A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−162791(P2009−162791)
【出願日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【出願人】(301022493)株式会社ジャパン・エンジニアリング・サプライ (5)
【Fターム(参考)】