説明

生ゴミ処理装置

【課題】分解発酵菌を用いた生ゴミ処理装置であって、分解発酵能力を高くして、かつほとんど無臭の生ゴミ処理装置を提供する。
【解決手段】生ゴミ処理装置の本体には複数の細孔を設け、その排気口を吸気ファン付の脱臭筒に接続して負圧を保つ。人体検出可能の物件検出センサを設けて前記排出口から出力するガスを人体検出の場合には脱臭装置側へ放出するよう切換制御する。脱臭装置本体は携帯可能として、その内部にバイオ菌床材料を乾燥して成る乾燥剤Aと活性炭BとゼオライトCの内少なくとも2種の脱臭機能剤を含めて脱臭機能を高め、メンテナンスをも容易とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生ゴミを分解発酵し一昼夜のうちにほとんど消滅させてしまう生ゴミ処理装置に関し、特に装置周りにほとんど臭いを発生しないようにした無臭の生ゴミ処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、生ゴミを分解発酵させ一昼夜の間に消滅させてしまう生ゴミ処理装置が開発され、既に実用化されている。
【0003】
特開2002−177926号公報(生ゴミ消滅装置)は、生ゴミ処理材として天然木材をチッピングして得られるチップ材を主成分として用い、この処理材で培養される大量の細菌に餌を与える形で所要量の生ゴミを投入し、これを一昼夜のうちに消滅させてしまうことができる。
【0004】
特許公開2005−161121号公報(生ごみ処理装置)は、生ゴミを投入できる処理槽を備え、開閉自在の蓋より投入した生ゴミを加熱、撹拌し、適宜の換気を与えて生ゴミを消滅させることができる。これらの処理装置において、消滅能力は処理材としてのバイオ発酵能力によるものであり、その能力は日々向上しつつある。
【0005】
しかしながら、これら従来よりの生ゴミ処理装置は、いずれも生ゴミを一昼夜のうちに消滅させることができ、かつ日々向上しているが、臭気の発生について問題があった。この臭気はバイオ分解発酵能力によるが、処理中の生ゴミの一部腐敗を避けられず、どうしても環境中に臭いを発生し、装置回りに微妙な臭いを漂わせていた。従って、設置の場所に気を配らねばならず、特に生ゴミ投入する際、投入蓋を開けるのに抵抗があった。
【0006】
特許公開平10−249319号公報(悪臭のない生ゴミ処理機)は、これら臭いの問題を解決すべく、発酵槽を負圧に保つブロワーを設け、投入口の蓋を開けると吸引空気が脱臭部材を通って脱臭されると共に、投入者に対して悪臭を放つことがないようにしている。
【0007】
しかしながら、特許公開平10−249319号公報に示される生ゴミ処理装置では、発酵槽の負圧を保つためやみくもにブロワー等で吸引し、脱臭部材で脱臭するという構成であるため、発酵槽の発酵作用に対する影響が考慮されておらず、最適状態での運転ができているか否かに疑問がある。また、吸引ガスを脱臭部材で脱臭するとしているが、活性炭やゼオライトから成る脱臭材に多量のガスを通し続けると、容易に飽和に達し、永続しての使用に耐えることができないという問題点があった。つまり、発酵槽に生ゴミを投入し分解発酵を開始すると、ガス量にしてバイオ菌床材料の体積を上回る多量の蒸気が発生し、数日、長くとも1週間もすると脱臭機能が飽和してしまう。さりとて、脱臭部材の量を増し一月以上持つようにしようとすると、脱臭部材の量を多大な量としなければならず、これでは経済的にも資源的にも実用が困難となる。
【0008】
そもそも、従来の脱臭装置は悪臭を全て脱臭してしまうという考え方が強いが、近年のバイオ菌床材料の改良により、臭いの物質は極めて微量とすることができ、この微量な量の臭い成分を装置に近づいてきたときだけ完全に取り除けば十分であるという点を見過ごしている。
【特許文献1】特開2002−177926号公報、第1頁、図4
【特許文献2】特許公開2005−161121号公報、第1頁、図1
【特許文献3】特許公開平10−249319号公報、第1頁、図1
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記背景技術に鑑みて、好気性分解発酵菌から成るバイオ菌床を有し、生ゴミを分解発酵させて消滅させる生ゴミ処理装置において、高度のバイオ菌床を用いてほとんど臭いの発生しない生ゴミ処理装置を提供することを目的とする。
【0010】
また、処理装置本体に脱臭装置本体を取付け、高度のバイオ菌床を用いていながらも僅かに発生する微臭を無臭と言えるほどに取り除き、臭いのほとんど気にならない生ゴミ処理装置を提供することを目的とする。
【0011】
さらに、脱臭装置を適切に構成することにより、メンテナンスを容易として長期の使用に耐え、かつ付加価値高く実用的なものとすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するための本発明の生ゴミ処理装置は、生ゴミ処理装置本体と、脱臭装置本体及びその付属部材から成る。生ゴミ処理装置本体は、好気性分解発酵菌を収納するバイオ菌床槽を密閉状態で収納する箱形容器と、前記箱形容器の上部に配置され前記バイオ菌床槽に対し生ゴミを投入可能で気密性のある生ゴミ投入蓋と、カッタ機能を備えた複数の撹拌羽根を有して、前記バイオ菌床槽内に配置される中心軸と、前記中心軸を回転駆動し前記撹拌羽根で前記バイオ菌床槽内に投入したバイオ菌床材料を撹拌する回転駆動モータと、前記回転駆動モータを予め定めたシーケンスに基き一定時間を置いて且つ間欠的に正逆方向に回転駆動するモータコントローラと、前記バイオ菌床槽の底部に設けたコンポスト取出口と、前記バイオ菌床槽内の温度を30〜80℃に維持するための温度センサ及びヒータ並びに温度コントローラと、前記バイオ菌床槽の上部で前記箱形容器の一側に設けた排気口と、前記排気口から離れた位置で前記箱形容器の上部に設けられ前記菌床槽と外気とを連通して微量空気の流通を可能とする直径2〜5mmの複数の細孔と、前記細孔の一部を盲にすることができるプラグと、を備えて構成される。脱臭装置本体及び付属部材は、前記箱形容器の一側に立設される吸気ファン付の排気筒と、吸入口及び排気口を有して携帯可能に形成され、前記菌床材料を乾燥して成る乾燥剤A、活性炭B、ゼオライトCの内少なくとも2種の機能剤を独立に交換自在の形で層分けして収納し最終層側からの吸引によりAからB、BからCの順で通気できる構造の脱臭装置本体と、前記箱形容器の前方付近に接近した物件を検出する物件検出センサと、2股部材とホースから成る。前記箱形容器の排気口を2股に分けその内一方を電磁開閉弁を介して前記吸気ファン付排気筒の途中に接続すると共に他方を前記脱臭装置本体の吸入口と接続し、さらに前記脱臭装置本体の排気口を前記排気筒の入力端に接続する接続部材と、前記物件検出センサが物件検出したとき前記電磁開閉弁を閉じ前記箱形容器からの排気の全量を前記脱臭装置本体に対して供給する電磁開閉弁コントローラと、前記物件検出センサが非作動で前記生ゴミ投入蓋を閉じた状態では前記細孔から流入した微量の空気を前記バイオ菌床槽から発生した蒸気と共に前記排気筒に対して供給すると共に、前記物件検出センサが作動した場合には前記電磁開閉弁を閉じて前記細孔から流入した微量の空気を前記バイオ菌床槽から発生した蒸気と共に、あるいは前記生ゴミ投入蓋の開放によって該生ゴミ投入蓋から流入した空気の全量を前記脱臭装置本体に対して供給する構成である。
【0013】
前記箱形容器の負圧度は極微小であり、前記箱形容器の排気口から排気される風量を前記菌床の容積100%に対し、1分間当り夏季で10〜20%前後、冬季で5〜10%前後の容量とし、前記投入蓋を開けた状態では両季共に50〜100%前後の容量となるよう調節する。
【0014】
本発明の生ゴミ処理装置について作用を示すと次の通りである。
【0015】
好気性分解発酵菌としては、腐葉土を用いて培養した特殊菌を用いる。この特殊菌は従来比のない高分解発酵機能を有し、これを用いて作った生ゴミ処理装置は、臭いが少ないと高評のものであるが、本発明はこの好気性分解発酵菌を用いてバイオ菌床を作ることを条件とするのみで、これを特許請求するものではない。
【0016】
箱形容器の内部にはバイオ菌床槽が設けられ、その中心を通る中心軸には撹拌羽根が設けられていて、中心軸をモータコントローラで駆動することにより、一定時間(例えば2時間)を置いて間欠的に正、逆方向に回転駆動される。この間バイオ菌床は30〜80℃(例えば60〜70℃)に保たれる。従って、バイオ菌床槽に投入されたバイオ菌床材料及びその上部に投入された生ゴミは空気を混じえて混合され、生ゴミは効率よく、一昼夜をかけてほとんど完全に分解発酵される。
【0017】
前記箱形容器は密閉構造とされているが、微量空気を流通可能の複数の細孔と、排気口とが設けられ、この排気口を吸気ファン付の排気筒と接続することにより、細孔から流入した空気で酸素補給しつつ、内部で発生した蒸気及び臭気を排気口から排出できる。空気、蒸気、臭気混ざりの気体を以下ガスとも呼ぶ。この間排気筒から吸気ファンによって吸気する方式であるので、箱形容器の内部を常時負圧に保つことができる。この負圧は、例えば0.005MPS程度の極微圧であり、この種負圧は排気筒の頂部に設けたシロッコファンなどの駆動により、容易に達成できる。
【0018】
細孔は複数設けられ、その一部をプラグで盲にすることができるよう構成しているので、例えば5個設け、夏季は3個開けて残り2個を盲とし、あるいは冬季には1個開けて残り4個を盲にするなど、季節に応じて任意の調節が可能である。排気筒から極微圧で空気を引き、箱形容器には直径2〜5mm程度の細孔から空気が流入するので、バイオ菌床材料の容量が例えば30〜200リットルであれば、1分間辺りの空気流入量を1.5リットル〜20リットル等と適切に調節できる。この量はバイオ菌床から最大発生する蒸気量に見合わせて調節すればよいのであって、無闇に大量の蒸気や空気(ガス)を引く必要はない。感覚的な量で示すと、排気筒の出力口に手を触れて、モワーとガスの流通が軽く感じられる程度である。
【0019】
生ゴミ投入口から生ゴミを投入すると、略24時間後に完成消滅する。バイオ菌床材料の耐久年数は商品によって異なるが、本発明で用いた特殊菌であれば、2年間継続使用できる。ただし、生ゴミの種類や投入量によって機能阻害されることがあるので、生ゴミの投入の仕方については別途説明書が添付されねばならない。
【0020】
次に、本発明の生ゴミ処理装置の本体には脱臭装置が付属されている。この脱臭装置は携帯可能の脱臭装置本体と、ホースやチーズ、その他電磁開閉弁の接続部材と、人体の接近を感知可能の物件検出センサを有しており、脱臭装置本体には、前記バイオ菌床と同質の乾燥剤A、活性炭B、ゼオライトCの内少なくとも2種の機能剤が交換自在に層分けして収納され、最終層側からの吸引によりAからB、BからCの順で通気できるようになっている。
【0021】
従って、脱臭装置本体の吸入口を前記箱形容器の排気口と接続し、排気口を前記排気筒の入力端に接続することにより、前記電磁開閉弁が閉じられていることを条件として前記箱形容器からの排気を脱臭装置本体に吸引し、脱臭することができる。少なくとも2種の脱臭剤を通すので、臭気をほとんど完全に消すことができる。
【0022】
さらに本願発明では物件センサを設け、生ゴミ処理装置本体に近づく物、例えば生ゴミ投入者を検出することができ、その検出があったときのみ箱形容器の排気を脱臭装置に通して完全脱臭するので、接近する者に臭いを感じさせることはほとんどない。
【0023】
また、生ゴミ投入口を開けると、負圧の容器内に空気が流入し、臭いと共に内部ガスを排気口から脱臭装置本体へ向けて排出し脱臭するので、生ゴミ投入者に臭いを感じさせることもほとんどない。
【0024】
保守メンテナンスについて示すと、バイオ菌床槽の底部にコンポスト取出口を設けているので、所要のときに、又は1〜2年に1回のバイオ菌床交換のとき、コンポスト取出口を開けてコンポストを取出すことができる。菜園のコンポストを取扱っているのと同一レベルであるので、このときの臭いはほとんど気にならない。従ってこのときに脱臭装置を作動させる必要もない。
【0025】
脱臭装置のメンテナンスはほとんど不要である。誤って機能剤を損傷した場合、或いは任意にA、B、Cの材料を交換したい場合には、個別に交換自在としているので、容易に交換できる。機能剤Aをバイオ菌床材料と同一としているので、バイオ菌床材料の補充にも利用できる。経験則によれば、A、B、C機能剤を収納した脱臭装置本体に箱形容器から連続して多量のガスを供給した場合、100時間以上完全に脱臭できる能力を有するので、仮に毎日の投入によって物件検出センサが毎日5〜10分間作動し、箱形容器から脱臭装置本体へ向けてガスが流入したとしても1ヶ月で約150〜300分、1年で1800〜3600分(30〜60時間)続けて脱臭する能力を有し、1年以上の耐久性を有する。従って、半年〜1年に1度の点検作業で十分である。保守メンテナンスは極めて容易である。
【0026】
細孔及びプラグから成る空気流入量調節手段は、直径2〜5mmの細孔を備えた複数のコックや複数の弁で構成することができる。1個の弁の開度で調節することも可能である。
【発明の効果】
【0027】
以上の通り、本発明は特許請求の範囲の通りの構成を有するので、環境に、また生ゴミ投入者に対して臭いをほとんど感じさせることがない高性能生ゴミ処理装置とすることができる。
【0028】
脱臭装置本体を携帯可能としたので、保守点検の際容易に交換できる。
【0029】
脱臭機能剤を菌床材料を乾燥して成る乾燥剤A、活性炭B、ゼオライトCの内少なくとも2種の機能剤を含めたので、アンモニア臭、アルデヒド臭、その他の臭気を確実に除去できる。交換自在にするので生ゴミ種別によっての適合性が高く、かつ乾燥剤Aとして菌床材料Aを含めているのでバイオ菌床材料の補充にも利用できる。
【0030】
物件検出センサを設け、生ゴミ投入者が近づいたときに脱臭装置が作動するようにしたので、100時間以上継続使用ができる脱臭剤を用いれば、仮に1回5〜10分間作動したとしても、少なくとも1年間は完全な脱臭機能が作用し、生ゴミ処理装置本体からはほとんど一切臭いがしないようにすることができる。
【0031】
排気筒からガスを引いて生ゴミ処理装置を常時負圧に保つといえども、排気筒の吸気ファンとしては小容量のもので良く、省エネ的である。
【0032】
負圧とされた箱形容器に複数の細孔及びプラグ又は複数のコック、あるいは複数の開閉弁を設けて導入空気量を微調節できる構造であるので、夏季又は冬季など季節に併せて導入空気量を最適に調節でき、バイオ菌床を高度に活動させることができ、生ゴミ分解発酵を常時高効率で作用させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、添付図面を参照し、本発明を実施するための最良の形態を説明する。図1は装置全体を示す斜視図で、図1〜図6は装置構成を、図7〜図9はその制御方式を示す説明図である。
【0034】
図1〜図4に示すように、好気性分解発酵菌を収納するバイオ菌床槽1を密閉状態で収納する箱形容器2と、前記箱形容器2の上部に配置され前記バイオ菌床槽1に対し生ゴミを投入可能で気密性のある生ゴミ投入蓋3とを備えている。
【0035】
前記箱形容器2の前面には電気制御盤4が設けられ、その表面には給餌状況を示す報知ランプ5、6、7が設けられている。この報知ランプ5、6、7は投入蓋3を開けた後の時間を計測し、生ゴミ再投入の可能性を報知するものであるが、その作用については図9を用いて説明する。
【0036】
前記生ゴミ投入蓋3には把手8が設けられ、この把手8を持ち上げることにより蓋3を開けて生ゴミを投入することができる。投入蓋3と箱形容器2の傾斜面9に立上げて設けたフランジ部10との間にはシール材11が設けられ、生ゴミ投入蓋3を閉じた状態では箱型容器2の内部を気密に保つことができる。
【0037】
前記フランジ部10の前面には、複数の細孔(本例では3個)12、13、14が設けられ、これを盲とすることができるプラグ15、16、17が準備されている。細孔12、13、14の直径は2〜5mmである。また、箱形容器2の上部側面には排気口18が設けられ、投入蓋3を閉じ、排気口18から内部ガスを吸引する場合には、プラグ15、16、17で盲にされていない細孔12、13、14から箱形容器2の内部に空気を導入可能となっている。
【0038】
前記バイオ菌床槽1には、カッタ機能を備えた複数の撹拌羽根19、20、21、22、23を有して、前記バイオ菌床槽1内に配置される中心軸24が設けられ、この中心軸24を回転駆動して前記撹拌羽根19、20、21、22、23で前記バイオ菌床槽1内に投入したバイオ菌床材料25を撹拌する回転駆動モータ26が設けられている。
【0039】
図5、図6に詳細に示すように、撹拌羽根19、20、21、22、23は、厚み2〜3mm程度の板金を120度の角度で曲げて、その中心に中心軸24を置き、曲げた板金の一方FTを長く、他方BKを短く形成すると共に、短い方の羽根BKの前方に切刃部27を設け、長い方の羽根FTに掬い部28を設けて、切断を行いながら効率よく撹拌できるようになっている。
【0040】
図4に示すように、各撹拌羽根19、20、21、22、23は、中心軸24に72度ずつ角度を変えて取付けられ、槽内全体を万遍に撹拌できるようになっている。回転駆動モータ26と中心軸24はチェーン29で連結されている。
【0041】
前記バイオ菌床槽1の底部には、コンポスト取出口30が設けられ、これに併せて箱形容器2の前面で下方には扉31が設けられている。コンポスト取出口30の気密を保てば対応扉31の気密を保つ必要はない。従って、扇を開け、コンポスト取出口30からコンポストを取出すことができる。前記バイオ菌床槽1内の温度を30〜80℃に維持するため前記バイオ菌床槽1の裏面にはヒータ32が設けられ、バイオ菌床槽1の内部で上方にはバイオ菌床槽1内の温度を検出する温度センサ33が設けられている。従って、槽内温度を例えば60〜70℃の範囲で保温することができる。温度コントローラについては図示を省略する。
【0042】
図2に示すように、脱臭装置本体34には吸入口35と排気口36が設けられ、その内部は仕切り板37、38を介して3層に区分されている。また、蓋39には把手40が設けられ携帯可能となっている。蓋39の下面には仕切り板41、42、43が設けられ、蓋39をしたとき各層の中間部に仕切り板41、42、43を下面近くまで挿して、各層に入れた材料A、B、Cを2分し、吸入口35から入力したガスを矢印44、45、46で示すように材料全体を上下に通すようになっている。脱臭装置本体34の蓋39には蝶番及びフック39F(図1)が設けられ、このフック39Fを外すことにより蓋39を開けることができる。
【0043】
前記箱形容器2の一側で後方には吸気ファン47付の排気筒48が立設されている。また前記箱形容器2の排気口18には2股のチーズ49が設けられ、一方はバタフライ弁方式の電磁開閉弁50を介して前記排気筒48に接続し、他方はホース51を介して前記脱臭装置本体34の吸入口35に接続している。脱臭装置本体34の排気口36は、ホース52を介して排気筒48の下端である入力端に接続している。
【0044】
前記脱臭装置本体34の前面には物件検出センサ53が設けられている。このセンサ53は、人体検出センサとも呼ばれ、箱形容器2に近づく人や物があると反応し、接近物があれば前記電磁開閉弁50を閉じる構成となっている。そのコントローラについては図示を省略する。従って、箱形容器2の排気口18からのガスは、通常は排気筒48に向けて排気されるが、人や物が検出された状態では電磁開閉弁50が閉じられるので、ガスは脱臭装置本体34側へ排出される。人以外に犬が通った場合、或いは荷物を置いたような場合もセンサ反応するが、別に構わない。反応と同時に犬や猫の鳴き声を出して、防犯に使うこともできる。故意に荷物を置いて脱臭機能を長時間実現させることも可能である。
【0045】
図7に示すように、バイオ菌床槽1の温度は60℃から70℃に保温できるようになっている。即ち、温度センサ33が70℃に到達すると、ヒータ32が切れ、60℃に到達する。そこで、2分間程度の時間を置いてヒータ32をオンすると、2時間(120分)程度の時間をかけてゆっくり70℃まで温度上昇する。そこでヒータを切るとゆっくり温度低下するので、60℃まで低下したら再度ヒータ32をオンする。生ゴミを投入するとバイオ菌床材料は発熱するのでヒータ容量は小さくて良い。これらにより、バイオ菌床槽1の温度は60〜70℃に保たれる。
【0046】
図8は中心軸24の回転駆動方式を示すフローチャートである。ステップ801で生ゴミ投入蓋3が開かれると安全スイッチ54が作動し、ステップ802でその場停止するが、蓋3が閉じられると、ステップ803で示したシーケンスによって回転駆動する。即ち、中心軸24は、2分間左回転し、次いで1分間右回転し、これを2時間毎に繰り返す。従って、バイオ菌床槽1は撹拌羽根19、20、21、22、23によって撹拌され、大きな生ゴミを破砕し、混合し、酸素の供給が為され、生ゴミ分解発酵を促進できる。
【0047】
図9は、生ゴミを投入可能か否かを報知することのできる給餌状況報知方式を示すフローチャートである。即ち、生ゴミ分解発酵菌による生ゴミ処理装置は、1回辺り処理できる量に制限があり、通常生ゴミは1日1〜2回投入できる。2回の場合は投入可能量の1/2ずつとする。
【0048】
そこで、ステップ901で時間Tを計測し、ステップ902で生ゴミ投入蓋3の開閉状況を調べ、前に蓋を開いて後、次に開かれるまでの時間Tにより、6時間以内は赤色のランプ5を、6〜12時間以内は黄色のランプ6を、2時間以上経ったら青色ランプ7を点灯し、恰も犬に餌を与えるが如く満腹、間食、空腹状況を報知できるようにしたものである。従って、利用者が家族であったり、従業員であったり、多数の者が取扱う場合、既に生ゴミ投入したか否か等を知るのに便利である。赤色ランプ5や黄色ランプ6が点灯している場合は投入不可と考え、青色ランプであれば長時間蓋3が開いてないのであるから生ゴミ投入可能であると見ることができる。
【0049】
以上の構成の生ゴミ処理装置について、その作用を示すと次の通りである。
【0050】
まず、箱形容器2の内部にはバイオ菌床槽1が設けられ、その中心を通る中心軸24には撹拌羽根19、20、21、22、23が設けられているので、回転駆動を電気制御盤4中に設けたモータコントローラで駆動することにより、一定時間(例えば2時間)を置いて間欠的に正、逆方向に回転駆動できる。この間バイオ菌床は60〜70℃に保たれている。従って、バイオ菌床槽1に投入された生ゴミは空気を交えて混同され、生ゴミは効率よく分解発酵される。
【0051】
箱形容器2は密閉構造とされていて、微量空気を流通可能の複数の細孔12、13、14と、排気口18とが設けられ、この排気口18を吸気ファン47付の排気筒48と接続しているので、細孔12、13、14から流入した空気で酸素補給しつつ、内部で発生した蒸気及び臭気を排気口18から排出できる。排気筒48から吸気ファン47によって吸気する方式であるので、箱形容器2の内部は常時負圧に保たれている。この負圧は、例えば0.005MPS程度である。
【0052】
細孔12、13、14は複数設けられ、その一部をプラグ15、16、17で盲にすることができるので、季節に応じて任意の調節が可能である。排気筒48から極微圧でガスを引き、箱形容器2には直径2〜5mm程度の細孔12、13、14から空気が流入するので、菌床容量が例えば30リットルであれば、1分間辺りの空気流入量を1.5リットル程度にするなど適切に調節できる。
【0053】
生ゴミ投入蓋3を開けて生ゴミを投入すると、略24時間後に完全消滅する。処理能力はバイオ菌床材料30リットルタイプのもので1日2〜4kgで、半量ずつ1日2回に分けて投入するのも構わない。
【0054】
投入可能の生ゴミとしては、野菜の切りクズ、残飯、魚、タマゴ殻、魚の骨、牛乳等であり、食油については水溶性のトイレットペーパーに浸み込ませて投入するのも構わない。
【0055】
投入不可能の生ゴミとしては、石油製品、貝殻、ビン、ガラス、衣類、金属類、不溶の紙、陶器、ゴム等が挙げられている。塩分についてはできる限り洗い流してから投入すべきである。多量に与えると、分解能力が低下する。
【0056】
次に、本発明の生ゴミ処理装置の本体には、脱臭装置が付属されている。電磁開閉弁50が開かれている場合には、ガスを排気筒48に対して流し、細孔12、13、14から所要の空気を流入させ、バイオ菌床材料25に酸素を与え分解発酵を促進できる。一方で、生ゴミ投入に際し、箱形容器2の前面に人が近づいてきた場合には物件検出センサが作動し、電磁開閉弁50を閉じ、ガスを脱臭装置34に供給することができる。従って、前記箱形容器2からの排気を脱臭装置本体34に吸引し、脱臭することができる。ここでは、少なくとも2種の脱臭剤を通すので、臭気をほとんど完全に消すことができる。従って、生ゴミ投入者等、接近する者に臭いを感じさせることはほとんどない。
【0057】
また、生ゴミ投入口3を開けると、負圧の容器内に空気が流入し、臭いと共に内部ガスを排気口から脱臭装置本体へ向けて排出し脱臭するので、生ゴミ投入者自身に臭いを感じさせることもほとんどない。
【0058】
保守メンテナンスについて示すと、バイオ菌床槽1の底部にコンポスト取出口30を設けているので、所要コンポストを取出すことができる。
【0059】
脱臭装置のメンテナンスはほとんど不要である。誤って機能剤を損傷した場合、或いは任意にA、B、Cの材料を交換したい場合には、脱臭装置本体34をそっくり交換することもでき、その蓋39を開けて、一部交換することもできる。
【0060】
機能剤Aにバイオ菌床そのものとしているので、バイオ菌床の補充にも利用できる。脱臭剤A、B、Cは、100時間以上完全に脱臭できる能力を有するので、仮に毎日の投入によって物件検出センサが毎日5〜10分間作動し、箱形容器2から脱臭装置本体34へ向けてガスが流入したとしても、1ヶ月で約150〜300分、1年で1800〜3600分(30〜60時間)続けて脱臭することができ、1年以上の耐久性を有する。従って、半年〜1年に1度の点検作業でよい。
【0061】
以上の実施形態の説明では、生ゴミ処理装置本体2と脱臭装置本体34とを組み合わせて示したが、一般的な生ゴミ処理装置に本発明の脱臭装置を組み合わせて構成できる。この場合、一般的な生ゴミ処理装置に脱臭装置本体34と脱臭筒48を組み合わせる形になるが、一般的な生ゴミ処理装置に細孔12、13、14及びプラグ15、16、17による空気導入量の調節手段を追加設置しなければならない。
【0062】
細孔及びプラグから成る空気流入量調節手段は、直径2〜5mmの細孔を備えたと同等の量の空気を通過できる複数のコックや複数の弁で構成することができる。
【0063】
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、適宜の設計的変更を行うことにより、各種態様で実施できる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の一実施形態に係る生ゴミ処理装置の全体構成を示す斜視図である。
【図2】脱臭装置本体の構造を示す断面説明図である。
【図3】生ゴミ処理装置本体の内部構造を示す横断面説明図である。
【図4】生ゴミ処理装置本体の内部構造を示す縦断面説明図である。
【図5】撹拌羽根の斜視図である。
【図6】図5に示した撹拌羽根の平面図である。
【図7】バイオ菌床材料の制御温度グラフである。
【図8】中心軸の回転制御方式を示すフローチャートである。
【図9】給餌状況を報知するランプの点灯制御の方式を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0065】
1 バイオ菌床槽
2 箱形容器
3 生ゴミ投入蓋
4 電気制御盤
給餌状況報知ランプ
8、40 把手
9 傾斜面
10 フランジ部
11 シール材
12、13、14 細孔
15、16、17 プラグ
18 箱形容器の排気口
19、20、21、22、23 撹拌羽根
24 中心軸
25 バイオ菌床材料
26 回転駆動モータ
27 切刃部
28 掬い部
29 チェーン
30 コンポスト取出口
31 コンポスト取出口対応扉
32 ヒータ
33 温度センサ
34 脱臭装置本体
35 脱臭装置の吸入口
36 脱臭装置の排気口
37、38、41、42、43 仕切り板
39 脱臭装置の蓋
44、45、46 矢印
47 吸気ファン
48 排気筒
49 チーズ
50 電磁開閉弁
51、52 ホース
53 物件検出センサ
54 安全スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
好気性分解発酵菌を収納するバイオ菌床槽を密閉状態で収納する箱形容器と、
前記箱形容器の上部に配置され前記バイオ菌床槽に対し生ゴミを投入可能で気密性のある生ゴミ投入蓋と、
カッタ機能を備えた複数の撹拌羽根を有して、前記バイオ菌床槽内に配置される中心軸と、
前記中心軸を回転駆動し前記撹拌羽根で前記バイオ菌床槽内に投入したバイオ菌床材料を撹拌する回転駆動モータと、
前記回転駆動モータを予め定めたシーケンスに基き一定時間を置いて且つ間欠的に正逆方向に回転駆動するモータコントローラと、
前記バイオ菌床槽の底部に設けたコンポスト取出口と、
前記バイオ菌床槽内の温度を30〜80℃に維持するための温度センサ及びヒータ並びに温度コントローラと、
前記バイオ菌床槽の上部で前記箱形容器の一側に設けた排気口と、
前記排気口から離れた位置で前記箱形容器の上部に設けられ前記バイオ菌床槽と外気とを連通して微量空気の流通を可能とする直径2〜5mmの複数の細孔と、
前記細孔の一部を盲にすることができるプラグと、を備えて構成される生ゴミ処理装置本体と、
前記箱形容器の一側に立設される吸気ファン付の排気筒と、
吸入口及び排気口を有して携帯可能に形成され、前記菌床材料を乾燥して成る乾燥剤A、活性炭B、ゼオライトCの内少なくとも2種の機能剤を独立に交換自在の形で層分けして収納し最終層側からの吸引によりAからB、BからCの順で通気できる構造の脱臭装置本体と、
前記箱形容器の前方付近に接近した物件を検出する物件検出センサと、
2股部材とホースから成り前記箱形容器の排気口を2股に分けその内一方を電磁開閉弁を介して前記吸気ファン付排気筒の途中に接続すると共に他方を前記脱臭装置本体の吸入口と接続し、さらに前記脱臭装置本体の排気口を前記排気筒の入力端に接続する接続部材と、
前記物件検出センサが物件検出したとき前記電磁開閉弁を閉じ前記箱形容器からの排気の全量を前記脱臭装置本体に対して供給する電磁開閉弁コントローラと、
前記物件検出センサが非作動で前記生ゴミ投入蓋を閉じた状態では前記細孔から流入した微量の空気を前記バイオ菌床槽から発生した蒸気と共に前記排気筒に対して供給すると共に、前記物件検出センサが作動した場合には前記電磁開閉弁を閉じて前記細孔から流入した微量の空気を前記バイオ菌床槽から発生した蒸気と共に、あるいは前記生ゴミ投入蓋の開放によって該生ゴミ投入蓋から流入した空気の全量を前記脱臭装置本体に対して供給する構成としたことを特徴とする生ゴミ処理装置。
【請求項2】
前記箱形容器の負圧度は極微小であり、前記箱形容器の排気口から排気される風量を前記バイオ菌床槽内に投入されるバイオ菌床材料の容積100%に対し、1分間当り夏季で10〜20%前後、冬季で5〜10%前後の容量とし、前記投入蓋を開けた状態では両季共に50〜100%前後の容量となるよう調節したことを特徴とする請求項1記載の生ゴミ処理装置。
【請求項3】
前記細孔及びプラグに代えて、複数のコック又は複数の弁とし、これらコック又は弁の開閉で流入空気の量を調節するようにしたことを特徴とする請求項1記載の生ゴミ処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−155090(P2008−155090A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−344447(P2006−344447)
【出願日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【出願人】(501074168)有限会社新日本ゼオライト (1)
【Fターム(参考)】