生体サンプル処理用組成物及び方法
生体サンプルを処理するために有用な方法及び組成物が開示される。1つのアスペクトにおいて、組織片のような生体サンプルを、組織化学的方法を使用して処理し、それが顕微鏡により観察される時にサンプル中に観察可能な細胞及び非細胞質特徴物の鮮明度を強化するために、工程期間中に脂肪族化合物と接触させる。他のアスペクトにおいては、脂肪族化合物を包含するカバースリップ組成物及び、カバースリップ組成物を使用して、サンプルをカバースリップする方法が開示される。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本出願は引用することにより本明細書中に編入されている、2006年、1月13日出願の米国特許仮出願第60/759,240号明細書の優先権を主張する。
【技術分野】
【0002】
本発明は、顕微鏡検査のための細胞及び組織のような生体サンプルを処理するための組成物及び方法を対象にする。更に具体的には、本発明は、染色された細胞又は組織サンプル中に観察可能な細胞の詳細のコントラスト、カラー・バランス及び量を増加することができる組成物及び方法を対象にする。更に、本発明は、それらからの溶媒の蒸発を促進する条件下で、高温で処理される生体サンプルを保存しそして/又は回復することができる組成物及び方法を対象とする。
【背景技術】
【0003】
大部分の細胞及び組織はそれらの形態学の詳細な顕微鏡分析のための十分な固有の色彩及びコントラストが欠乏している。その結果、細胞及び組織は、細胞及び非細胞質間の特徴間のコントラストを高めるために、1種又は複数の着色染色剤で定常的に染色される。染色により示される特徴は、広範な疾患及び状態を診断するために使用される。
【0004】
多数の典型的な染色法に対する随伴物として、細胞又は組織サンプルは種々の溶媒及び溶媒混合物(複数の溶媒)と接触される。溶媒は例えば、パラフィン包埋サンプルを脱パラフィン化し、非極性染色剤で処理するためのサンプルを作製し、又はカバースリップするためのサンプルを作製するために使用される。エタノール、リモネン、キシレン及び洗剤水溶液のような多数の溶媒は細胞膜から脂肪族化合物を抽出する傾向をもつ。その結果、それらが特に溶媒を蒸発させる補助のために高温で処理される場合に、処理期間中に細胞の形態が変化し、細胞が損傷をより受け易くなる可能性がある。従って、処理期間中に細胞及び組織サンプルを損傷から保護する補助をし、そして損傷し又は変化した細胞構造物を回復する補助をすることができる方法及び組成物の需要が存在する。更に、サンプル中に観察可能な細胞の細部のコントラスト、カラー・バランス及び量を増加することにより、組織学的染色サンプルの臨床利用性を増加する方法及び組成物の需要が存在する。
【発明の開示】
【0005】
要約
染色された生体サンプルの観察可能な細胞及び組織の形態の保存、回復及び/又は強化を容易にするための、脂肪族化合物を包含する組成物及び方法が開示される。例えば、当該組成物及び方法は、細胞及び非細胞質構造物の増加された明確度及び鮮明度を提供し、それにより観察者が、より容易に異なる組成物要素を識別し、サンプル中の微細な解剖学的細部を視覚化することができるようにさせる。膜及び核の特徴物のような細胞構造物は、脂肪族化合物と接触されたH&E染色組織片において明白に可視的になることができる。更に、H&E染色サンプルにおけるコントラスト及びカラー・バランスは、本開示に従って改善することができる。詳細の強化並びにコントラスト及びカラー・バランスにおける改善は、染色された生体サンプルからの診断を実施する際の補助になることができる。
【0006】
1つのアスペクトにおいて、細胞及び非細胞質の鮮明度を増加し、そしてサンプルのコントラスト及びカラー・バランスを改善する、生体サンプルを処理するための方法が開示される。特定の態様において、該方法は、染色されたサンプルに、カバースリップ溶媒及び脂肪族化合物を包含するカバースリップ組成物を適用する方法を包含する。一旦カバースリップ組成物が適用されると、カバースリップがサンプル上に配置される。カバースリップ用組成物中に包含される脂肪族化合物により、カバースリップ溶媒単独を使用してカバースリップされる実質的に同様なサンプルに比較して、増加したコントラスト並びに細胞及び非細胞質の鮮明度、増加したコントラスト及び改善したカラー・バランスを認めることができる。染色される各スライドに対して新鮮な試薬を使用する自動化染色法と組み合わせて使用されるので、自動化工程期間(カバースリップ工程におけるような)中のサンプルの脂肪族化合物との接触が、増加した臨床利用性をもつスライドを提供することができる。
【0007】
もう1つのアスペクトにおいて、カバースリップ用溶媒及び脂肪族化合物を包含するカバースリップ用組成物が開示される。カバースリップ用組成物中の脂肪族化合物は洗剤の脂肪族化合物でも又は非洗剤脂肪族化合物であってもよい。有用な非洗剤の脂肪族化合物は、脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪アルコール、脂肪アミン、脂肪エーテル、ポリシロキサン、ポリエーテル及びイソプレノイドの1種又は複数を包含する。
【0008】
まだ更なるアスペクトにおいて、サンプルからの溶媒の蒸発を促進する条件下で、生体サンプルを高温にさらす、顕微鏡スライド上の生体サンプルを処理する方法が開示される。このアスペクトにおいて、該方法は、組織化学的工程によりサンプルを処理して、染色サンプルを提供し、サンプルからの溶媒の蒸発を促進する条件下でサンプルを高温にさらし、そしてサンプルを脂肪族化合物と接触させる方法を包含する。特定の態様において、サンプルは組織化学的工程中に1種又は複数の脂質抽出溶媒にさらされ、生体サンプルは脂肪族化合物で処理されて、工程中に除去されるサンプルの脂質含量の少なくとも一部を置き換える。サンプルの「再脂質化」は、処理期間に見えにくい組織の形態を回復し、そしてサンプルを高温及び蒸発条件に暴露することにより誘発される人口産物及び形態の変化の予防(及び/又は排除)を包含する多数の利点を提供する。脂肪族化合物の添加は更に、明視野顕微鏡により観察可能な細胞及び非細胞質の鮮明度を同時に増加することができる。
【0009】
幾つかの具体的態様の詳細な説明
本発明の更なるアスペクトは、以下の概説後に提供される略語及び用語に関して進行する、以下の、限定しない説明及び実施例により具体的に示される。
【0010】
I.概説
1つのアスペクトにおいて、染色された生体サンプルに観察可能な細胞及び非細胞質の鮮明度を強化し、そして/又は、特にサンプルがまた、サンプルからの溶媒の蒸発を促進条件にさらされる場合に、サンプルを高温に暴露する方法により誘発される人口産物の数を減少させるための方法が開示される。該方法は、サンプルを、洗剤の脂肪族化合物でも又は非洗剤の脂肪族化合物であってもよい脂肪族化合物と接触させる方法を包含する。
【0011】
1つの態様においては、サンプルを1種又は複数の組織学的染色剤と接触させ、そして、サンプルを、本質的に脂肪族化合物及び低級アルカノール又はカバースリップ溶媒(幾つかの染色プロトコールにおいてはカバースリップ工程の代りに、例えば洗浄工程中でも使用することができると考えられる)のいずれかよりなる、脂肪族化合物の組成物と接触させる(カバースリップ工程期間のような)方法を包含する、生体サンプルを染色する方法が開示される。組成物中の脂肪族化合物は、特定の態様においては、約20℃で約1.0g/mL未満の水溶性をもち、そして更に特には非洗剤脂肪族化合物であることができる。他の特定の態様においては、生体サンプルはワックス包埋生体サンプルであってもよく、そしてサンプルを脂肪族化合物組成物と接触させる方法は、サンプルを脱ワックスした後に実施することができる。更に他の特定の態様においては、サンプルを1種又は複数の組織学的染色剤と接触させる方法は本質的には、生体サンプルをヘマトキシリン及びエオシンと接触させる方法よりなる。該方法は手動でも自動化されてもよく、複数のサンプルが染色される場合は、各サンプルに対して新鮮な試薬を使用することができる。脂肪族化合物の有用な群の特定の例は、洗剤、脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪アルコール、脂肪アミン、脂肪エーテル、ポリシロキサン、ポリエーテル及びイソプレノイドを包含する。特定の態様においては、脂肪族化合物は1種又は複数のC8〜C20脂肪アルコール、例えば1種又は複数のC8〜C20不飽和脂肪アルコールであることができる。典型的には、脂肪族化合物組成物は約0.5%〜約35%の脂肪族化合物を包含するであろう。他の特定の態様においては、脂肪族化合物は1種又は複数の脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素又はテルペン(リモネンのような)に溶解される。
【0012】
もう1つの態様において、開示された方法は、サンプルに、強化されたコントラスト並びに細胞及び非細胞質の鮮明度を観察することができるように、顕微鏡スライド上に、染色された生体サンプル(組織学的染色組織又は細胞学的サンプルのような)をカバースリップする方法である。開示された方法の特定の態様においては、脂肪族化合物は1種又は複数の脂肪アルコール、洗剤、脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪アミン、脂肪エーテル、ポリシロキサン、ポリエーテル及びイソプレノイドを含んでなる。特定の態様においては、脂肪族化合物は非洗剤の脂肪族化合物である。
【0013】
開示されたカバースリップの態様は、サンプルにカバースリップ用組成物を適用し、そして組成物が適用されたサンプルをカバースリップする方法を包含する。カバースリップ用組成物はカバースリップ溶媒(脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素及びテルペンの1種又は複数のような)及び脂肪族化合物を含んでなる。この方法により処理されると、カバースリップされたサンプルは、カバースリップ溶媒単独を使用してカバースリップされる実質的に同様なサンプルに比較して、増加したコントラスト並びに細胞及び非細胞質の鮮明度を示す。特定の態様においては、カバースリップ用溶媒はアルカン、アルカン、リモネン、キシレン及びトルエンの1種又は複数の混合物を包含する。脂肪族化合物は約0.5%〜約50%間のいずれの濃度でもカバースリップ用溶媒中に溶解することができるが、典型的には脂肪族化合物は約0.5%〜約35%の濃度で、例えば約1%〜約25%の濃度でカバースリップ溶媒に溶解される。特定の態様においては、脂肪族化合物は約20℃において約1g/L未満の水溶性をもつ脂肪族化合物であることができる。他の特定の態様においては、脂肪族化合物は約200℃を超える沸点をもつことができる。
【0014】
該方法は手動で実施することができ、1つの自動化工程又はそれらのあらゆる組み合わせ物に取り入れることができ、そして該方法は「前以て糊付けされた」カバースリップとともに使用することができるか又はカバースリップ用組成物が更に接着剤を包含することができる。典型的には、カバースリップ用組成物は組織の屈折率に近い屈折率をもつであろう。適したカバースリップ用接着剤はシアノアクリレート糊及び光線硬化性接着性ポリマー(可視光線及びUV−硬化性接着剤のような)を包含する。市販されているカバースリップ糊は例えばTed Pella,Inc.(Redding,CA)から入手することができる。UV−硬化性接着剤はInstrumedics,Inc.(St.Louis,MO)から入手できるCureMountTMを包含し、そして種々のUV−及び可視光線−硬化性ポリマーがHenkel Loctite Corporation(Rocky Hill,CT)から入手できる。
【0015】
もう1つのアスペクトにおいて、それぞれが前記の通りであることができるカバースリップ溶媒及び脂肪族化合物を包含するカバースリップ組成物が開示される。特定の態様において、カバースリップ組成物は本質的にカバースリップ溶媒及び脂肪族化合物よりなる。もう1つの特定の態様において、カバースリップ溶媒はカバースリップ接着剤を包含する。更にもう1つの特定の態様において、カバースリップ組成物は本質的にカバースリップ溶媒、脂肪族化合物及びカバースリップ糊よりなる。
【0016】
もう1つのアスペクトにおいては、組織化学的方法(例えば、H&E染色法のような組織学的染色法)を使用してサンプルを処理して、染色された生体サンプルを提供し、サンプルからの溶媒の蒸発を促進する条件下でサンプルを高温にさらし、そして、サンプルを高温及び蒸発条件下にさらす前、その間又はその後に、サンプルを脂肪族化合物と接触させる方法を包含する、生体サンプルを処理する方法が開示される。サンプルはサンプルの少なくとも一部の上に横たわる溶媒の少なくとも一部を除去するために十分な時間、暴露することができ、そして/又はサンプルは、工程中サンプル中に吸収された溶媒の少なくとも一部を除去するために十分な時間暴露することができる。脂肪族化合物は前記のとおりであり、蒸発工程中の損傷を防止する補助をするためにサンプル上又はサンプル中に実質的に滞留することができるかあるいは、蒸発工程中にサンプルに対して与えられた損傷を修復するために蒸発工程後に添加することができる。脂肪族化合物は、エタノールのような低級アルコールのような揮発性溶媒がサンプルから急速に蒸発される高温において、蒸発工程中又はその後にサンプルを保護又は修復するために使用することができる。
【0017】
サンプルから溶媒の蒸発を促進する高温及び条件は、顕微鏡スライド上に固定されたサンプル上の、ガス交換の受動的(対流空気流のような)又は能動的手段と組み合わせたあらゆるタイプのオーブン又は加熱装置により提供することができる。サンプルから溶媒の蒸発を促進する条件は、蒸発手段を通るサンプル中及び/又はサンプル上の溶媒量の正味の減少を提供する。特定の態様において、サンプルは、場合により蒸発工程に対する補助物として、サンプル表面上にガス流(空気流のような)を能動的に促進するための手段(ファン又は圧縮ガス源のような)と組み合わせて、対流オーブン中でそして/又は輻射ヒーターを使用して乾燥される。
【0018】
典型的には、サンプルからの溶媒の蒸発を促進する条件下でサンプルを高温にさらす方法は、サンプルから少なくとも25%の溶媒、例えば少なくとも50%の溶媒、少なくとも90%の溶媒、又は少なくとも95%の溶媒、を除去する方法を包含する。サンプル上に横たわる液相中の溶媒は実質的に除去することができるが、サンプルにより吸収された溶媒は一部のみが除去される。溶媒が蒸発工程によりサンプル自体から有意に除去される場合に(サンプル及び恐らくは関連人工産物の「乾燥」をもたらす)、サンプルを脂肪族化合物と接触させる方法は、サンプルの細胞及び非細胞質構造物を保護又は回復するために特に有用であることができる。サンプルから一定量の溶媒を除去するために有用な温度及び加熱時間は実証的方法により容易に決定することができる。
【0019】
特定の態様において、蒸発工程中にサンプルから蒸発される溶媒は、低級アルカノール(メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、t−ブタノール又はネオ−ペンタノールのようなC1−C5第一級、第二級又は第三級アルコール)及び/又はテルペン(リモネンのような揮発性テルペンのような)を含んでなることができる。多数の特定の溶媒化合物がサンプル中及び/又は上に存在する時は、それらの相対的揮発性(蒸発圧)に従って、1種又は複数の特定の溶媒を優先的に除去することができ、ここで、より高い揮発性(及び一定の温度における蒸気圧)をもつ溶媒が優先的に除去される。サンプルに含有される水もまた、このような工程により除去することができるが、典型的には、多数のサンプル処理プロトコールにおいては、より揮発性の溶媒が利用されるので、除去される程度は低いであろう。脂肪族化合物自体は典型的には、水より実質的に低い蒸気圧を有し、除去される溶媒及び、従って、蒸発工程中に存在する場合はサンプル上及び/又は中に滞留するであろう。
【0020】
高温及び溶媒の蒸発を促進する条件にさらされるサンプルを保護又は回復するために使用される脂肪族化合物は典型的には、溶液中に、例えば、アルカノール(例えばエタノール)、脂肪族炭化水素(例えばアルカン)、テルペン(リモネンのような)又は芳香族炭化水素(例えばトルエン又はキシレン)のような有機溶媒中の脂肪族化合物の溶液中に適用される。揮発性エーテル及びエステルのような他の有機溶媒は特定の態様に使用することができる。
【0021】
概括的に、種々の理由のために、サンプルの被覆並びに保護、回復及び鮮明度の1種又は複数の強化を提供するが、カバースリップ硬化工程(例えば、カバースリップ用糊が適当に硬化することを妨げることにより)、又はスライド上に望ましくない油状残留物を残すことを妨げない、サンプル上に一定料の脂肪族化合物を残す工程を使用することが望ましい。従って、特定の態様において、本開示に従う方法は、脂肪族化合物がカバースリップの前又はその期間中に添加される工程の場所及びその量にかかわらず、カバースリップ時にスライド上に少なくとも約1μL未満、しかし約30μL未満(例えば、約10μL未満、又は約5μL未満のような約20μL未満)を残すであろう。従って、より大量の脂肪族化合物が染色工程のある地点で添加される場合は、エタノール/水の溶液、界面活性剤溶液、エタノール、リモネン等のような脂肪族化合物が可溶性である溶媒を使用して、1回又は数回のすすぎ工程により、いくらかの脂肪族化合物を除去することが望ましいかも知れない。脱パラフィン化を包含する工程においては、脱パラフィン化溶媒がサンプルから脂肪族化合物を除去する傾向をもつため、脱パラフィン化後にサンプルを脂肪族化合物と接触させることが望ましいかも知れない。同様に、サンプルがエタノールで脱水される工程においては、添加される脂肪族化合物が脱水溶媒により除去されないように、脱水工程後にサンプルを脂肪族化合物と接触させることが望ましいかも知れない。特定の態様において、サンプルに対する脂肪族化合物の適用は、パラフィン包埋サンプルを脱パラフィン化後に、脱パラフィン化サンプルが脱パラフィン化溶媒(洗剤溶液、リモネン、アルカン又はアルカンの混合物によるような)を除去された後に、サンプルを組織化学的方法を使用して染色された後に、カバースリップ直前又はカバースリップ期間中の溶媒交換工程中に、実施することができる。
【0022】
サンプルが蒸発工程中に暴露される高温は典型的には、約35℃〜約140℃の間、より典型的には約45℃〜約100℃、例えば約45℃〜約70℃の間である。脂肪族化合物は典型的には、高温で低い蒸気圧(例えば、約200トール未満の蒸気圧、約100トール未満の蒸気圧又は約50トール未満の蒸気圧)をもつであろう。
【0023】
更にもう1つのアスペクトにおいて、組織サンプルを組織学的染色溶液と接触させ、そしてサンプルを脂肪族化合物と接触させる方法を包含する、脱パラフィン化(以前にパラフィン包埋された)組織サンプルの強化された組織学的染色の方法が開示される。1つの態様において、サンプルを組織学的染色溶液と接触させる方法は、サンプルを本質的にヘマトキシリン染色剤よりなる溶液と接触させ、そしてサンプルを本質的にエオシンよりなる溶液と接触させる方法よりなる。
【0024】
開示された方法のいくつかの態様に認められる増加した鮮明度は、観察者に組織要素をよりよく識別させ、そして微細な微細解剖学的細部を可視化させる。更に、組織特徴物に鮮明な輪郭を与えて、明瞭な視覚的効果を形成する染色のコントラスト及びカラー・バランスにおける全体的改善をもたらすことができる。増加した鮮明度の効果はすべての組織及び細胞タイプで明白であることができるが、特に、H&E染色に対する以下の組織学的背景において特に著しい:
1. 細胞膜:すべての細胞の細胞膜が強調され、明確に鮮明化され、細胞の境界の明白な識別を可能にする。その効果は前立腺細葉及びエクリン汗腺及び胆管上皮細胞の分泌細胞のような上皮細胞で特に顕著である。
診断的適用:パラガングリオン細胞腫及び褐色細胞腫、腎臓色素嫌性癌。
2.核の細部:核特徴物を、微細な詳細を示すクロマチン及びヘテロクロマチンで強化する。核小体は、存在する時は、適当な染色性を伴い鮮明で明白である(例えばホジキンリンパ腫における好酸性の核小体)。有糸分裂は明白に可視であり、顕著である。
診断的適用:高度の前立腺上皮内腫瘍形成(PIN)、前立腺癌、形成不全(食道形成不全及び頸部形成不全)の評価及び等級化、甲状腺乳頭状癌。
3.平滑筋及びコラーゲン繊維:平滑筋及びコラーゲンが個々の繊維(例えば胃腸平滑筋、皮膚の毛嚢周囲の緩いコラーゲン状ストロマ)の明確な可視化を許す光沢をもつ強調を示す。基底膜のコラーゲンが目立って強調され、明確に鮮明にされる(例えばエクリン腺基底膜)。
診断的適用:インサイチューの癌からの微細浸潤癌の分染(differentiation)。
4.ケラチン:ケラチンの好酸球性染色及び視覚化が強化される。染色は早期ケラチン化のより感受性の検出を提供する。
診断的適用:分染の弱い偏平上皮細胞癌の診断。
5.非細胞質構造物:以下の非細胞質構造が強調され、他の細胞成分と明確に識別されて見える:
a.繊毛
診断的適用:ファロピウス管癌、卵管化生性癌。
b.ブラシ縁
診断的適用:十二指腸生検の評価。
c.偏平上皮内細胞ブリッジ
診断的適用:区別の乏しい偏平上皮細胞癌。
d.核溝
診断的適用:乳頭状甲状腺癌及び卵巣顆粒膜細胞腫瘍。
【0025】
II.略語及び用語
H&E−ヘマトキシリン及びエオシン
TNC−多すぎて計数不能
用語「a」、「an」及び「the」は、文脈がそれ以外を明記しない限り、単数及び複数の対象双方を包含する。
【0026】
用語「生体サンプル」は、動物のような生体学的実体から得られる又は由来するあらゆるサンプルを表す。生体サンプルの例は、細胞学的サンプル、組織サンプル及び体液を包含する。生体サンプルの限定しない特定の例は、血液、尿、射精前精液、乳頭吸引物、精液、乳、喀痰、粘液、胸膜液、骨盤液、洞液(sinovial fluids)、腹水、体腔洗浄物、眼の洗浄液、皮膚削り屑、頬内塗抹標本、膣内塗抹標本、パップスメア、直腸塗抹標本、吸引物、針生検、例えば手術又は生検により得られる組織片、血漿、血清、髄液、リンパ液、汗、涙、唾液、腫瘍、器官及びインビトロの細胞又は組織培養物から得たサンプルを包含する。典型的にはサンプルは、固定され、処理されて水を除去され、そして組織片に切断するためのパラフィン又はその他の適切なワックス状物質中に包埋された生検サンプルであろう。
【0027】
用語「カバースリップする方法」は手動の又は自動化された方法のいずれかで顕微鏡のスライドに付着されたサンプル上にカバースリップを配置する動作を表す。
【0028】
用語「カバースリップ用液」は、顕微鏡スライドの表面にカバースリップを接着させるために使用される接着剤を溶解する液体(実質的には非極性の有機液体)を表す。幾つかの態様において、カバースリップ溶媒は更に、カバースリップ接着剤(糊あるいは可視光線−又はUV−硬化性ポリマーの接着剤のような光線硬化性ポリマーのような)を包含して、カバースリップ組成物(特定の態様においては、更に液体の化合物を包含することができる)を形成することができるが、「前以て糊付けされた」カバースリップが使用される場合は、カバースリップ溶媒が前以て糊付けされたカバースリップ上の接着剤を溶解して、インサイチューでカバースリップ用組成物を形成するので、カバースリップ用溶媒中に前以て接着剤を包含する必要はないかも知れない。カバースリップ溶媒の例は、芳香族炭化水素(キシレン及びトルエンのような)、脂肪族炭化水素(例えば、C6〜C10アルカン及びアルケン及びそれらの混合物のようなアルカン及びアルケン)、テルペン(リモネンのような)並びにそれらの組み合わせ物を包含する。有利には、カバースリップ溶媒は揮発性であり、それが室温以上で有意な蒸気圧を有し、そのため、接着剤(それは溶媒中に包含されても、又は前以て糊付けされたカバースリップに接着された接着剤との溶媒の接触時に形成されてもよい)を包含するカバースリップ組成物から蒸発し、その接着剤がカバースリップを基材に接着させるカバースリップ接着剤(及びいくつかの態様においては、脂肪族化合物)を残すであろうことを意味する。カバースリップ溶媒の前記の例はすべて揮発性である。
【0029】
用語「洗剤」は実質的な水溶性(20℃で約0.05g/Lを超える、例えば20℃で約0.5g/Lを超える、又は20℃で約1g/Lを超えるような)を有し、有意な洗浄力(有意な量の、水中の油のような非極性物質を可溶化する洗浄性又は洗浄力)を示すセッケン(脂肪酸のアルカリ金属塩である)以外の界面活性化合物を表す。セッケンと異なり、洗剤は「硬水」中で見られるようなカルシウムイオンの存在下で典型的には沈殿しない。洗剤は非イオン性、カチオン性、アニオン性又は両性イオン性であってもよく、幾つかの洗剤の混合物であってもよい。洗剤の代表的群は、アルコールエーテルスルフェート、アルコールスルフェート、アルカノールアミド、アルキルスルホネート、アミンオキシド、両性洗剤、アニオン洗剤、ベタイン誘導体、カチオン洗剤、ジスルホネート、ドデシルベンゼンスルホン酸、エトキシル化アルコール、エトキシル化アルキルフェノール、エトキシル化脂肪酸、グリセロールエステル屈水性誘発物質、ラウリルスルフェート、モノ及びジグリセリド、非イオン洗剤、ホスフェートエステル、第四級洗剤及びソルビタン誘導体を包含する。代表的非イオン洗剤はBigCHAP(N,N−ビス(3−(D−グルコンアミド)プロピル]コールアミド)、ビス(ポリエチレングリコールビス[イミダゾイルカルボニル])、Brij(R)30(ポリオキシエチレン4ラウリルエーテル)、Brij(R)35(ポリオキシエチレン23ラウリルエーテル)、Brij(R)52(ポリオキシエチレン2セチルエーテル)、Brij(R)56(ポリオキシエチレン10セチルエーテル)、Brij(R)58(ポリオキシエチレン20セチルエーテル)、Brij(R)72(ポリオキシエチレン2ステアリルエーテル)、Brij(R)76(ポリオキシエチレン10ステアリルエーテル)、Brij(R)78(ポリオキシエチレン20ステアリルエーテル)、Brij(R)92(ポリオキシエチレン2オレイルエーテル)、Brij(R)97(ポリオキシエチレン10オレイルエーテル)、Brij(R)98(ポリオキシエチレン20オレイルエーテル)、Brij(R)700(ポリオキシエチレン100ステアリルエーテル)、Cremophor(R)EL(ヒマシ油/エチレンオキシドポリエーテル)、デカエチレングリコールモノドデシルエーテル、オクタノイル−N−メチルグルカミド(MECA−8)、デカノイル−N−メチルグルカミド(MECA−10)、n−オクチルグルコシド、n−ドデシルグルコシド、イソトリデシル−ポリ(エチレングリコールエーテル)n、N−デカノイル−N−メチルグルカミン、n−デシル−α−D−グルコピラノシド、デシル−β−D−マルトピラノシド、n−ドデカノイル−N−メチルグルカミド、n−ドデシル−α−D−マルトシド、n−ドデシル−β−D−マルトシド、ヘプタエチレングリコールモノデシルエーテル、ヘプタエチレングリコールモノテトラデシルエーテル、n−ヘキサデシル−β−D−マルトシド、ヘキサエチレングリコールモノドデシルエーテル、ヘキサエチレングリコールモノヘキサデシルエーテル、ヘキサエチレングリコールモノオクダデシルエーテル、ヘキサエチレングリコールモノテトラデシルエーテル、Igepal(R)CA−630(オクチルフェニル−ポリエチレングリコール)、Igepal(R)CA−210(ポリオキシエチレン(2)イソオクチルフェニルエーテル)、Igepal(R)CA−520(ポリオキシエチレン(5)イソオクチルフェニルエーテル)、Igepal(R)CO−630(ポリオキシエチレン(9)ノニルフェニルエーテル)、Igepal(R)CO−720(ポリオキシエチレン(12)ノニルフェニルエーテル)、Igepal(R)CO−890(ポリオキシエチレン(40)ノニルフェニルエーテル)、Igepal(R)CO−990(ポリオキシエチレン(100)ノニルフェニルエーテル)、Igepal(R)DM−970(ポリオキシエチレン(150)ジノニルフェニルエーテル)、メチル−6−O−(N−ヘプチルカルバモイル−)−.アルファ−.D−グルコピラノシド、ノナエチレングリコールモノドデシルエーテル、N−ノナノイル−N−メチルグルカミン、オクタエチレングリコール・モノデシルエーテル、オクタエチレングリコール・モノドデシルエーテル、オクタエチレングリコール・モノヘキサデシルエーテル、オクタエチレングリコール・モノオクタデシルエーテル、オクタエチレングリコール・モノテトラデシルエーテル、オクチル−.ベータ.−D−グルコピラノシド、ペンタエチレングリコール・モノデシルエーテル、ペンタエチレングリコール・モノドデシルエーテル、ペンタエチレングリコール・モノヘキサデシルエーテル、ペンタエチレングリコール・モノヘキシルエーテル、ペンタエチレングリコール・モノオクダデシルエーテル、ペンタエチレングリコール・モノオクチルエーテル、ポリエチレングリコール・ジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールエーテルW−1、ポリオキシエチレン10トリデシルエーテル、ポリオキシエチレン100ステアレート、ポリオキシエチレン20イソヘキサデシルエーテル、ポリオキシエチレン20オレイルエーテル、ポリオキシエチレン40ステアレート、ポリオキシエチレン50ステアレート、ポリオキシエチレン8ステアレート、ポリオキシエチレンビス(イミダゾリルカルボニル)、ポリオキシエチレン25プロピレングリコールステアレート、サポニン、Span(R)20(ソルビタンモノラウレート)、Span(R)40(ソルビタンモノパルミテート)、Span(R)60(ソルビタンモノステアレート)、Span(R)65(ソルビタントリステアレート)、Span(R)80(ソルビタンモノオレエート)、Span(R)85(ソルビタントリオレエート)、あらゆる形態のTergitol(テルギトール)[15−S−5型、15−S−7、15−S−9、15−S−12、15−S−30、NP−4、NP−7、NP−9、NP−10、NP−40、NPX(Imbentin−N/63)、TMN−3(ポリエチレングリコールトリメチルノニルエーテル)、TMN−6(ポリエチレングリコール・トリメチルノニルエーテル)、TMN−10(ポリエチレングリコールトリメチルノニルエーテル)、MIN FOAM 1x及びMIN FOAM 2xを包含する]、テトラデシル−.ベータ.−D−マルトシド、テトラエチレングリコール・モノデシルエーテル、テトラエチレングリコール・モノドデシルエーテル、テトラエチレングリコール・モノテトラデシルエーテル、トリエチレングリコール・モノデシルエーテル、トリエチレングリコール・モノドデシルエーテル、トリエチレングリコール・モノヘキサデシルエーテル、トリエチレングリコール・モノオクチルエーテル、トリエチレングリコール・モノテトラデシルエーテル、Triton(R)CF−21、Triton(R)CF−32、Triton(R)DF−12、Triton(R)DF−16、Triton(R)GR−5M、Triton(R)N−101(ポリオキシエチレン分枝ノニルフェニルエーテル)、Triton(R)QS−15、Triton(R)QS−44、Triton(R)RW−75(ポリエチレングリコール260モノ(ヘキサデシル/オクタデシル)エーテル及び1−オクタデカノール)、Triton(R)X−100(ポリエチレングリコール・tert−オクチルフェニルエーテル)、Triton(R)X−102、Triton(R)X−15、Triton(R)X−151、Triton(R)X−200、Triton(R)X−207、Triton(R)X−114、Triton(R)X−165、Triton(R)X−305、Triton(R)X−405(ポリオキシエチレン(40)イソオクチルフェニルエーテル)、Triton(R)X−405還元(ポリオキシエチレン(40)イソオクチルシクロヘキシルエーテル)、Triton(R)X−45(ポリエチレングリコール4−tert−オクチルフェニルエーテル)、Triton(R)X−705−70、あらゆる形態のTWEEN(R)(TWEEN(R)20(ポリオキシエチレンソルビタン・モノラウレート)を包含する)、TWEEN(R)21(ポリオキシエチレンソルビタン・モノラウレート)、TWEEN(R)40(ポリオキシエチレン(20)ソルビタン・モノパルミテート)、TWEEN(R)60(ポリエチレングリコールソルビタン・モノステアレート)、TWEEN(R)61(ポリエチレングリコールソルビタン・モノステアレート)、TWEEN(R)65(ポリオキシエチレンソルビタン・トリステアレート)、TWEEN(R)80(ポリオキシエチレンソルビタン・モノオレエート)、TWEEN(R)81(ポリオキシエチレンソルビタン・モノオレエート)並びにTWEEN(R)85(ポリオキシエチレン(20)ソルビタン・トリオレエート)、チロキサポール(ホルムアルデヒド及びオキシランとの4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノールポリマー)並びにn−ウンデシルβ−D−グルコピラノシドを包含する。代表的アニオン洗剤は、ケノデオキシコール酸、コール酸、デヒドロコール酸、デオキシコール酸、ジギトニン、ジギトキシゲニン、N,N−ジメチルドデシルアミンN−オキシド、ドキュセート・ナトリウム、グリコケノデオキシコール酸ナトリウム、グリココール酸、グリコデオキシコール酸、グリコリソコール酸3−スルフェート二ナトリウム塩、グリコリソコール酸エチルエステル、N−ラウロイルサルコシン、リチウムドデシルスルフェート、ルゴール(ヨウ素ヨウ化カリウム)、Niaproof(2−エチルヘキシルスルフェートナトリウム塩)、Niaproof4(7−エチル−2−メチル−4−ウンデシルスルフェーナトリウム塩)、場合により置換されていてもよいアルキルスルホネート塩(1−ブタンスルホネート、ペンタンスルホネート、ヘキサンスルホネート、1−オクタンスルホネート、1−デカンスルホネート、1−ドデカンスルホネート、1−ヘプタンスルホネート、1−ヘプタンスルホネート、1−ノナンスルホネート、1−プロパンスルホネート及び2−ブロモエタンスルホネートの塩、特にナトリウム塩を包含する)、コール酸ナトリウム、デオキシコール酸ナトリウム、場合により置換されていてもよいナトリウムドデシルスルフェート、ナトリウムオクチルスルフェート、ナトリウムタウロコレート、ナトリウムタウロケノデオキシコレート、ナトリウムタウロヒオデオキシコレート、タウロリソコール酸3−スルフェート二ナトリウム塩、タウロウルソデオキシコール酸ナトリウム塩、Trizma(R)ドデシルスルフェート、ウルソデオキシコール酸を包含する。アニオン洗剤は酸又は塩形態あるいは2種の組み合わせ物で提供することができる。代表的なカチオン洗剤は、アルキルトリメチルアンモニウム・ブロミド、ベンズアルコニウム・クロリド、ベンジルジメチルヘキサデシルアンモニウム・クロリド、ベンジルジメチルテトラデシルアンモニウム・クロリド、ベンジルドデシルジメチルアンモニウム・ブロミド、ベンジルトリメチルアンモニウム・テトラクロロヨー
デート、ジメチルジオクタデシルアンモニウム・ブロミド、ドデシルエチルジメチルアンモニウム・ブロミド、ドデシルトリメチルアンモニウム・ブロミド、エチルヘキサデシルジメチルアンモニウム・ブロミド、Girard’s試薬T、ヘキサデシルトリメチルアンモニウム・ブロミド、N,N’,N’−ポリオキシエチレン(10)−N−タロー−1,3−ジアミノプロパン、トンゾニウム・ブロミド及びトリメチル(テトラデシル)アンモニウム・ブロミドを包含する。代表的な両性イオン洗剤はCHAPS(3−{(3−コールアミドプロピル)−ジメチルアンモニオ}−1−プロパン−スルホネート)、CHAPSO(3−{(3−コールアミドプロピル)ジメチル−アンモニオ}−2−ヒドロキシ−1−プロパン−スルホネート)、3−(デシルジメチルアンモニオ)プロパンスルホネート、3−(ドデシルジメチルアンモニオ)プロパンスルホネート、3−(N,N−ジメチルミリスチルアンモニオ)プロパンスルホネート、3−(N,N−ジメチルオクタデシルアンモニオ)プロパンスルホネート、3−(N,N−ジメチルオクチルアンモニオ)プロパンスルホネート及び3−(N,N−ジメチルパルミチルアンモニオ)プロパンスルホネートを包含する。2種以上の洗剤の組み合わせ物並びに1種以上の洗剤及び1種以上の他の脂肪族化合物の組み合わせ物もまた想定される。洗剤は知られた方法を使用して合成することができるか又は例えば、Sigma−Aldrich,St.Louis,Mo.から購入することができる。
【0030】
用語「高温」は約25℃を超える温度、より典型的には約40℃でを超える温度又は約45℃を超える温度すら、のような約35℃を超える温度を表す。特定の態様においては、高温は約35℃〜約140℃の温度、例えば約40℃〜約120℃の温度を表す。特定の態様においては、高温は約40℃〜約90℃の温度である。
【0031】
語句「サンプルからの溶媒の蒸発を促進する条件下でサンプルを高温にさらす方法」は、サンプルからの溶媒の除去を促進する高温及びガス流(例えば、サンプル表面上の強制された又は受動的空気流)の組み合わせを表す。このような条件下でサンプルを高温に暴露する方法はサンプル上に横たわる溶媒の少なくとも一部を除去し、そして/又は処理中サンプル中を貫通した溶媒の少なくとも一部を除去するために十分な時間(特定の高温において)実施することができる。サンプルからの溶媒の蒸発を促進する条件下におけるサンプルの高温への暴露は、例えば輻射ヒーター又は対流オーブンにより達成することができる。サンプルからの溶媒の蒸発を促進するために使用される輻射ヒーター又は対流オーブンはサンプルの表面上の受動的対流ガス流を促進し、そして/又はサンプル上にガス流を強制的に流す手段(ファン又は圧縮ガス源のような)を包含することができる。
【0032】
用語「脂肪酸」は約6〜約35個の炭素原子(酸素又は窒素のような更なるヘテロ原子を伴っても又は伴わなくてもよい線状、分枝及び/又は環状構造物に配列することができる)を有する脂肪族カルボン酸又はその塩(そのうち、アルカリ金属塩がセッケンである)を表す。脂肪酸は、飽和及び不飽和脂肪酸を包含する。不飽和脂肪酸は、モノエン脂肪酸、ポリエン脂肪酸(メチレン−妨害、ポリメチレン−妨害、共役及びアレン酸を包含する)及びアセチレン脂肪酸(タリル酸、ステアロール酸、サンタルビン酸、キシメニン酸、6,9−オクタデセニン酸、ピルリン酸、クレペニン酸及びヘイステリン酸のような)を包含する。脂肪酸の例は、ミリスチン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ラノリン酸、イソステアリン酸、ウンデシレン酸、水素化動物脂肪酸、水素化植物脂肪酸及び三重プレス(triple−press)脂肪酸を包含する。包含脂肪酸の例はオクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸、トリデカン酸、テトラデカン酸、ペンタデカン酸、ヘキサデカン酸、ヘプタデカン酸、オクタデカン酸、ノナデカン酸、エイコサン酸、ドコサン酸、テトラコサン酸、ヘキサコサン酸、ヘプタコサン酸、オクタコサン酸、トリアコンタン酸、ドトリアコンタン酸、トリトリアコンタン酸、テトラトリアコンタン酸及びペンタトリアコンタン酸を包含する。不飽和脂肪酸の例は、オブツシリン酸、リノール酸、γ−リノレン酸、ジホモ−γ−リノレン酸、アラキドン酸、7,10,13,16−ドコサテトラエン酸、4,7,10,13,16−ドコサペンタエン酸、α−リノレン酸、ステアリドン酸、8,11,14,17−エイコサテトラエン酸、EPA、DPA、DHA、Mead酸、カプロレン酸、ラウロレン酸、リンデル酸、ミリトレン酸、フィセテリン酸、ツズ酸、オレイン酸、パルミトレン酸、ペテロセリン酸、バクセン酸、ゴドレン酸、ゴンドイン酸(gondoic acid)、セトレン酸、エルカ酸、ネルボン酸、エライジン酸、t−バクセン酸を包含する。脂肪酸のその他の例は、ヒドロキシ脂肪酸、ジカルボン酸、脂肪酸カルボネート、ジビニルエーテル脂肪酸、硫黄含有脂肪酸、脂肪酸アミド、メトキシ脂肪酸、アルデヒド脂肪酸、ハロゲン化脂肪酸及び硝酸化脂肪酸を包含する。分枝鎖脂肪酸は、モノ又は多分枝鎖脂肪酸(ツベルキュロステアリン酸、フィトモン酸(phytomonoic acid)、レチポリン酸、ミコセラン酸、ミコセロン酸、フチオセラン酸、フィタン酸、プリスタン酸、レチノイン酸のような)、分枝メトキシ脂肪酸(2−メトキシ−14−メチルペンタデカン酸及び2−メトキシ−13−メチルペンタデカン酸のような)及び分枝ヒドロキシ脂肪酸(ミコール酸)を包含する。環含有脂肪酸はシクロプロパン酸(マジュスキュロン酸のような)、シクロプロペン酸(ステルキュリン酸及びマルバリン酸のような)、シクロペンチル酸及びシクロペンテニル酸、フラノイド酸、シクロヘキシル酸、エポキシ酸、環式脂肪過酸化物及びリポ酸を包含する。2種以上の脂肪酸の組み合わせ物並びに1種以上の脂肪酸及び1種以上の他の脂肪族化合物の組み合わせ物もまた、想定される。脂肪酸は合成され、天然原料から単離され、又は購入することができる。典型的には、本明細書で使用される脂肪酸は、その非塩形態が有機溶媒、特にリモネンのような非極性溶媒中でより高い溶解度を有するので、その非塩形態で存在するであろう。
【0033】
用語「脂肪アルコール」は6〜35個の炭素原子(例えば、12〜24個の間の炭素原子のような、8〜30個の間の炭素原子)を有する脂肪族第一級又は第二級アルコールを表し、そのアルコールは飽和でも不飽和でもよく、そして分枝でも又はシクロプロパン環のような環構造物を含有してもよく、そして更に、更なるメチル、アルコキシ、サルフェート及び/又はヒドロキシル基置換物を包含してもよい。飽和脂肪アルコールの特定の例は、n−オクタノール、n−ノナノール、n−デカノール、n−ウンデカノール、n−ドデカノール、n−トリデカノール、n−テトラデカノール、n−ペンタデカノール、n−ヘキサデカノール、n−ヘプタデカノール、n−オクタデカノール、n−ノナデカノール及びn−エイコサノール、ベヘニルアルコール、イソオクタノール、イソノナノール、イソデカノール、イソウンデカノール、イソドデカノール、イソトリデカノール、イソテトラデカノール、イソペンタデカノール、イソヘキサデカノール、イソヘプタデカノール、イソオクタデカノール、イソノナデカノール、イソエイコサノール、イソベヘニルアルコール、2−オクタノール、2−デカノール、2−ドデカノール、2−トリデカノール、2−テトラデカノール、2−ペンタデカノール、2−ヘキサデカノール、2−ヘプタデカノール、2−オクタデカノール、2−ノナデカノール及び2−エイコサノールを包含する。不飽和アルコールの特定の例は、アラキジルアルコール、エルシルアルコール、イソアラキジルアルコール、オレイルアルコール、イソオレイルアルコール、リノレイルアルコール、イソリノレイルアルコール、リノレニルアルコール、イソリノレニルアルコール、オブツシリルアルコール、カプロレイルアルコール、ラウロレイルアルコール、リンデリルアルコール、ミリストレイルアルコール、フィセテリルアルコール、ツズイルアルコール、パルミトレイルアルコール、ペトロセリニルアルコール、バクセニルアルコール、ガドレイルアルコール、ゴンドイルアルコール、セトレイルアルコール、エルシルアルコール、ネルボイルアルコール、エライジルアルコール及びt−バクセニルアルコールを包含する。分枝鎖脂肪アルコールの特定の例は、2−ブチル−1−デカノール、2−ブチル−1−オクタノール、2−デシル−1−テトラデカノール、2−ドデシル−1−ヘキサデカノール、2−ヘキサデシル−1−エイコサノール、2−ヘキサデシル−1−オクタデカノール、2−ヘキシル−1−オクタノール、2−ヘキシル−1−デカノール、2−ヘキシル−1−ドデカノール、2−オクチル−1−デカノール、2−オクチル−ドデカノール、2−テトラデシル−1−エイコサノール及び2−テトラデシル−1−オクタデカノール(例えばJarchem Industries,Inc.,Newark,NJから利用可能な)を包含する。環含有脂肪アルコールの例は、シクロプロパン環、シクロプロペン環又はシクロペンテン環を含有するアルコールを包含する。環含有脂肪アルコールの特定の例はマジュスキュリルアルコール、ステルキュリルアルコール、マルバリルアルコール、ショールムーグリルアルコール及びベルノリルアルコールを包含する。脂肪アルコールは更に、コロナリルアルコール及びベルノリルアルコールのようなエポキシアルコールを包含する。更に、脂肪アルコールはタリリルアルコール、サンタルビルアルコール、ピルリルアルコール、クレペニニルアルコール、ヘイステリルアルコール及びオルフェニルアルコールのようなエチニルアルコールを包含する。脂肪アルコールはモノ−メチル化アルコール(フチオセロール)、ポリイソプレノイドアルコール(プリスタノール及びフィタノールのようなイソプラノールのような)、ポリプレノール(ゲラニノール、ファルネソール、ゲラニルゲラニオール、ゲラニルファルネソール、ソラネソール、カスタプレノール、フィカプレノール、ドリコール及びフィトールのような)並びに芳香族ポリイソプレノイドアルコール(トコフェロール、ステロイド、トリテルペノイド、フラバノイド、カルテノイド及びデラタノイドのような)を包含する。2種以上の脂肪アルコールの組み合わせ物並びに1種以上の脂肪アルコール及び1種以上の他の脂肪族化合物の組み合わせ物もまた想定される。脂肪アルコールは対応する脂肪酸から還元により調製され、天然原料から単離され、又は市販品を購入することができる。
【0034】
用語「脂肪アミン」は6〜35個間の炭素原子を有する脂肪族アミン又はその塩を表す。脂肪アミンは第一級、第二級、第三級及びエトキシル化又はプロポキシル化アミンを包含する。例は、オレイルアミン、1−ドデシルアミン、ジ−n−オクタデシルアミン、トリ(イソデシル)アミン、ジメチル−n−デシルアミン、ビス(2−ヒドロキシエチル)ドデシルアミン、ビス(2−ヒドロキシプロピル)ドデシルアミン、ビス(2−ヒドロキシエチル)タローアミンを包含する。更なる例は、n−オクチルアミン、n−デシルアミン、n−テトラデシルアミン、n−ヘキサデシルアミン、n−オクタデシルアミンを包含する。脂肪アミンの他の例はAkzoのArmeen C、Armeen O、Armeen OL、Armeen T、Armeen HT、Armeen S及びArmeen SDのようなArmeen(R)アミン(Akzo Chemicals,Chicago,Ill.から入手可能)のような市販の脂肪アミンを包含し、そこで文字の記号標記はココ、オレイル、タロー又はステアリル基のような脂肪基に関する。脂肪アミンは、有機合成の技術分野で周知の方法に従って対応する脂肪酸又は脂肪アルコールから調製することができる。従って、他の特別に引用された脂肪アルコール及び脂肪酸から誘導されるアミンが想定される。2種以上の脂肪アミンの組み合わせ並びに1種以上の脂肪アミン及び1種以上の他の脂肪族化合物の組み合わせ物も想定される。典型的には、本明細書において使用される脂肪アミンは、非塩形態が有機溶媒、特にリモネンのような非極性溶媒中でより高い溶解度を有するので、その非塩形態で存在するであろう。
【0035】
用語「脂肪エステル」は、合計約6〜約100個の炭素原子、例えば、約10〜約35個の炭素原子のような約8〜約50個の炭素原子を有するアルコール(脂肪アルコール等)及びカルボン酸(脂肪酸等)のエステルを表す。アルコール部分は第一級又は第二級アルコール、あるいはグリセロール又は糖のようなポリオールであってもよい。脂肪酸部分はモノカルボン酸又は、アジピン酸のようなジカルボン酸のようなポリカルボン酸であってもよい。アルコール及びカルボン酸は双方とも飽和又は不飽和で、線状又は分枝であってもよく、そしてヒドロキシル基及びアルコキシ基(例えばメトキシ又はエトキシ基)のような更なる基で置換されても又は未置換でもよい。本明細書に開示される特定の脂肪アルコールはいずれも酢酸、プロピオン酸、n−ブタン酸、イソブタン酸、n−ぺンタン酸、イソペンタン酸又はネオペンタン酸のようなカルボン酸と合わせて脂肪エステルを提供することができる。同様に、本明細書に開示される特定の脂肪酸はいずれも、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、n−ペンタノール、イソペンタノール又はネオペンタノールのようなアルコールと合わせて、脂肪エステルを提供することができる。このようなエステルを調製する方法は当該技術分野で周知である。特定の態様において、脂肪エステルは直鎖脂肪族第一級アルコール及び式RCOOR’(ここでR及びR’はアルキル又はアルケニル基のような脂肪族基であり、そしてR及びR’は独立して1〜50個の炭素原子、例えば1〜20個の炭素原子のような1〜30個の炭素原子をもつ)を有する直鎖脂肪酸のエステルである。脂肪エステルの特定の例は、アスコルビルパルミテート、セチルラクテート、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、プロピレングリコールジカプリレート/ジカプレート、ミリスチルラクテート、ミリスチルミリステート、ペンタエリスリチルテトラオレエート、ペンタエリスリチルテトラステアレート、イソプロピルミリステート、イソプロピルパルミテート、セチルエステル、ステアリルステアレート、ブチルステアレート、ミレス−3ミリステート、ペンタエリスリチルテトラベヘネート、ジイソプロピルアジペート、ジペンタエリスリチルヘキサカプリレート/ヘキサカプレート、ネオペンチルグリコールジカプリレート/ジカプレート、トリデシルステアレート、トリデシルトリメリテート、PEG−4ジヘプタノエート、ペンタエリスリチル・テトラカプリレート/テトラカプレート、イソセチルステアレート、エチルヘキシルパルミテート、C12〜15アルキルベンゾエート、セチルリチノールエート、グリコールステアレート、グリコールジステアレート、プロピレングリコールステアレート、グリセリルステアレート、グリセリルココエート、トリゲヘニン、トリラウリン、ステアリルアセテート、パルミチルジ−ラクテート、ココイルイソブチレート、オレイルマレエート、オレイルジマレエート、タロウイルプロピオネート、2−エチルヘキシルパルミテート、2−エチルヘキシルステアレート、セチルオクタノエート、ヘキシルラウレート、イソブチルタロウェート、イソステアリルパルミテート、n−ブチルオレエート、n−ブチルステアレート、n−プロピルオレエート、トリデシルステアレート、イソブチルミリステート、イソプロピルパルミテート、イソプロピルステアレート、イソプロピルイソステアレート、イソブチルステアレート、リナリルアセテートを包含する。更なる脂肪エステルはキシリトールモノパルミテート、ペンタエリスリトールモノステアレート、スクロースモノステアレート、グリセロールモノステアレート、エチレングリコールモノステアレート、ソルビタンエステルを包含する。適したソルビタンエステルはソルビタン・モノステアレート、ソルビタン・パルミテート、ソルビタン・モノラウレート、ソルビタン・モノミリステート、ソルビタン・モノベヘネート、ソルビタン・モノオレエート、ソルビタン・ジラウレート、ソルビタン・ジステアレート、ソルビタン・ジベヘネート、ソルビタン・ジオレエート及び更に混合タローアルキルソルビタン・モノ−及びジ−エステルを包含する。2種以上の脂肪エステルの組み合わせ物並びに1種以上の脂肪エステル及び1種以上の他の脂肪族化合物の組み合わせ物も想定される。脂肪エステルは合成しても、天然原料から単離しても又は購入することもできる。Liponate(R)エステルのような皮膚軟化性エステルはLipo Chemicals,Patterson,NJから入手することができる。
【0036】
語句「実質的に同様なサンプルに比較して増加したコントラスト並びに細胞及び非細胞質鮮明度」は、実質的に同様な方法で処理された2種の実質的に同様な生体サンプルが顕微鏡により比較される状況を表す。しかし、サンプルの一方は本開示に従う脂肪族化合物と接触され、そして他方は接触されておらず、そして脂肪族化合物と接触したサンプルが細胞及び非細胞質特徴物のより大きな視覚的鮮明度を示す。幾つかの態様においては、サンプルにおける細胞及び非細胞質特徴物の増加した視覚的鮮明度のみならずまた、脂肪族化合物で処理されたサンプルは全体的により明白なコントラストを示し、観察者により、更に容易に観察されることができる。他の態様においては、鮮明度の増加及び増加したコントラストは特に、離散した局在信号(離散蛍光信号のような)の増加と反対に、サンプルに対する全体的増加を表す。特定の態様において、組織学的染色剤で染色され、脂肪族化合物で処理されたサンプルは明視野顕微鏡で観察されると増加した細胞及び非細胞質鮮明度及びコントラストを示すであろう。1つのアスペクトにおいて、増加した鮮明度は病理学者が診断する際の補助になることができる。もう1つのアスペクトにおいて、増加した鮮明度は、脂肪族化合物で処理されないH&E染色サンプルと比較すると、脂肪族化合物で処理されたH&E染色サンプルにおけるコントラスト及び細胞の鮮明度の程度の全体的増加を包含する。
【0037】
用語「組織化学的」は、組織片又は細胞サンプルのような生体サンプルにおける特定の分子又は構造及び/又はそれらの位置を検出するために使用することができる信号又はパターンを提供するために使用されるあらゆる方法を表す。組織化学的方法は、免疫組織化学的方法、細胞化学的方法、組織学的方法、酵素組織化学的方法、特別染色法及びインサイチューハイブリッド法を包含する。組織化学的方法により提供されるパターン及び信号は、限定せずに、白色光がサンプルを通過し、そして幾らかが吸収される時に形成される補色のパターン、サンプル中の発蛍光団の励起後に検出される蛍光信号、酵素反応により付着される着色物質のパターン並びに抗体のような放射能標識プローブ及び核酸プローブにより形成されるシンチレーション信号を包含する。
【0038】
本明細書で使用される用語「組織学的染色剤」(「組織学的染色」)は、特定のタイプの細胞及び/又は細胞成分に優先的に結合する染色剤又は物質(あるいは染色剤又は物質の適用)を表す。細胞又は細胞成分に対する組織学的染色剤の優先的結合は、抗原抗体結合相互反応(例えば、免疫組織化学的染色における)又は相補的核酸のハイブリッド形成(例えば、インサイチューのハイブリッド形成における)におけるような特定の分子認識事象を伴わない。組織学的染色剤は広域光線がサンプルを通過する(又はサンプルから反射する)時に特定の波長の広域光線(可視白色光のスペクトルのような)を吸収して、それにより検出される補色を残す(例えば、明視界光顕微鏡において視覚的に)ことによりサンプルに色彩を与えることができる。組織学的染色剤は、アクリジン染色剤、アントラキノン染色剤、アリールメタン染色剤、アゾ染色剤、ジアゾニウム染色剤、ニトロ染色剤、フタロシアニン染色剤、キニンイミン染色剤、テトラゾリウム染色剤、チアゾール染色剤及びキサンテン染色剤のような染色剤を包含する。組織学的染色液はヘマトキシリン及びエオシンを包含し、それらは一緒に、一般的目的の組織学的染色剤であり、特定の診断環境に使用される「特定染色剤」である。組織学的染色に有用な染色剤の例は、アセチルイエロー、アシドブラック1、アシドブルー22、アシドブルー93、アシドフクシン、アシドグリーン、アシドグリーン1、アシドグリーン5、アシドマゼンタ、アシドオレンジ10、アシドレッド4、アシドレッド26、アシドレッド29、アシドレッド44、アシドレッド51、アシドレッド66、アシドレッド73、アシドレッド87、アシドレッド91、アシドレッド92、アシドレッド94、アシドレッド101、アシドレッド103、アシドロゼイン、アシドルビン、アシドバイオレット19、アシドイエロー1、アシドイエロー9、アシドイエロー23、アシドイエロー24、アシドイエロー36、アシドイエロー73、アシドイエローS、アシドイエローT、アクリジンオレンジ、アクリフラビン、アルシアンブルー、アルシアンイエロー、アルコール可溶性エオシン、アリザリン、アリザリンブルー、アリザリンブルー2RC、アリザリンカーマイン、アリザリンシアニンBBS、アリザロールシアニンR、アリザリンレッドS、アリザリンパープリン、アルミノン、アミドブラック10B、アミドナフトールレッド、アミドシュワルツ、アニリンブルーWS、アニリンパープル、アントラセンブルーSWR、アントラセンブルーSWX、オーラミンO、アゾ−エオシン、アゾカーマインB、アゾカーマインG、アゾエオシンG、アゾイックジアゾ5、アゾイックジアゾ48、アゾフロキシン、アゾバンブルー、アズレA、アズレB、アズレC、ベーシックブルー8、ベーシックブルー9、ベーシックブルー12、ベーシックブルー15、ベーシックブルー17、ベーシックブルー20、ベーシックブルー26、ベーシックブラウン1、ベーシックフクシン、ベーシックグリーン4、ベーシックグリーン5、ベーシックオレンジ14、ベーシックレッド2、ベーシックレッド5、ベーシックレッド9、ベーシックバイオレット2、ベーシックバイオレット4、ベーシックバイオレット10、ベーシックバイオレット14、ベーシックイエロー1、ベーシックイエロー2、ビーブリッヒ(Biebrich)スカーレット、ビーブリッヒスカーレットR、ビスマルクブラウンY、ブラジレイン、ブラジリン、ブリリアントクロセイン、ブリリアントクリスタルスカーレット6R、カルシウムレッド、カーマイン、カルミン酸カルモイシン6R、セレスチンブルーB、チャイナブルー、クロランチンファストレッド5B、コチニール、コエレスチンブルー、シカゴブルー4B、クロムバイオレットCG、クロモトロープ2R、クロモキサンシアニンR、コンゴコリント、コンゴレッド、コットンブルー、コットンレッド、クロセインスカーレット、クロセインスカーレット3B、クロセインスカーレットMOO、クロシン、クリスタルポンソー6R、クリスタルスカーレット、クリスタルバイオレット、ダーリア、ダイアモンドグリーンB、ダイレクトブルー14、ダイレクトブルー58、ダイレクトレッド、ダイレクトレッド10、ダイレクトレッド28、ダイレクトレッド80、ダイレクトレッド81、ダイレクトイエロー7、ドラゾールブルー4R、ドラゾールブルー8G、エオシンB、エオシンブルーイッシュ、エオシン、エオシンY、エオシンイエローイッシュ、エオシノール、エリーガーネットB、エリオクロムシアニンR、エリスロシンBエチルエオシン、エチルグリーン、エチルバイオレット、エバンズブルー、ファストブルーB、ファストグリーンFCF、ファストレッドB、ファストイエロー、ファストイエローエクトラ、ファストイエローG、ファストブラックHB、フルオレセイン、フードグリーン3、ガレオン、ガラミンブルー、ガロシアニン、ゲンチアンバイオレット、ヘマテイン、ヘマチン、ヘマトキシリン、ヘリオファストルビンBBL、ヘルベチアブルー、ホフマンズバイオレット、ヒドラジンイエロー、インペリアルレッド、イングレインブルー1、イングレインイエロー1、INT、ケルメス、ケルメス酸、ケルネクトロート、Lac、ラッカイン酸(laccaic acid),ラウススバイオレット、ライトグリーン、リッサミンファストイエロー、リッサミングリーンSF、ルクソールファストブルー、マゼンタ0、マゼンタI、マゼンタII、マゼンタIII、マラカイトグリーン、マンチェスターブラウン、マルチウスイエロー、モーブ、モーベイン、メルブロミン、マーキュロクロム、メタニルイエロー、メチレンアズレA、メチレンアズレB、メチレンアズレC、メチレンブルー、メチレングリーン、メチルブルー、メチルグリーン、メチルバイオレット、メチルバイオレット2B、メチルバイオレット10B、ミリングイエロー3G、モルダントブルー3、モルダントブルー10、モルダントブルー14、モルダントブルー23、モルダントブルー32、モルダントブルー45、モルダントレッド3、モルダントレッド11、モルダントバイオレット25、モルダントバイオレット39、ナフタレンブルーブラック、ナフトールブルーブラック、ナフトールグリーンB、ナフトールイエローS、ナチュラルブラック1、ナチュラルレッド、ナチュラルレッド3、ナチュラルレッド4、ナチュラルレッド8、ナチュラルレッド16、ナチュラルレッド24、ナチュラルレッド25、ナチュラルレッド28、ナチュラルイエロー6、NBT、ニュートラルレッド、ニューフクシン、ナイアガラブルー3B、ナイトブルー、ナイルブルー、ナイルブルーA、ナイルブルースルフェート、ナイルレッド、ニトロBT、ニトロブルーテトラゾリウム、ニュクリアファストレッド、オイルレッドO、オレンジG、オルセイン、パラロザニリン(pararosanilin)、パーキンズバイオレット、フロキシンB、ピクリン酸、ポンソー2R、ポンソー6R、ポンソーB、ポンソーデキシリジン、ポンソーS、ポンタミンスカイブルー5B、プリムラ、プリムリン、パープリン、ピロニンB、ピロニンG、ピロニンY、ローダミンB、ロサニリン、ローズベンガル、サフロン、サフラニンO、スカーレットR、スカーレットレッド、シャーラッハ(Scharlach)R、セラック、シリウスレッドF3B、シリウスレッド4B、シリウススプラブルーF3R、ソロクロムシアニンR、ソリュブルブルー、ソルベントブラック3、ソルベントブルー38、ソルベントレッド23、ソルベントレッド24、ソルベントレッド27、ソルベントレッド45、ソルベントイエロー94、スピリットソリュブルエオシン、スダンIII、スダンIV、スダンブラックB、スダンレッドBK、サルファーイエローS、スイスブルー、タートラジン、チオフラビンS、チオフラビンT、チオニン、トルイジンブルー、トルイリンレッド、トロペオリンG、トリパフラビン、トリパンブルー、ウラニン、ビクトリアブルー4R、ビクトリアブルーB、ビクトリアブルーR、ビクトリアグリーンB、ウオーターブルーI、水溶性エオシン、ウッドステインスカーレット、キシリジンポンソー及びイエロイッシュエオシン並びにそれらの組み合わせ物を包含する。ミョウバンに媒染されたヘマトキシリン組織学的染色剤の特定の例は、アンダーソンズ(Anderson’s)、アパシーズ(Apathy’s)、ベーカーズ(Baker’s)、ベネッツ(Bennett’s)、ボーマーズ(Bohmer’s)、ボスマズ(Bosma’s)、バラーズ(Bullard’s)、カラッツィズ(Carazzi’s)、コールズ(Cole’s)、デビデンズ(Debiden’s)、デグルーツ(de Groot’s)、デラフィールズ(Delafield’s)、デュバールズ(Duval’s)、エールリッヒス(Ehrlish’s)、フリードランダーズ(Friedlander’s)、ガズドンズ(Gadsdon’s)、ゲージズ(Gage’s)、ガリヒャーズ(Galigher’s)、ガルベイズ(Garvey’s)、ギルズ(Gill’s)、グラハムズ(Graham’s)、ハミルトンズ(Hamilton’s)、ハリス(Harris’)、ハリス(Harris)&パワーズ(Power’s)、ハウグス(Haug’s)、ホーニーオールズ(Hoeneyold’s)、クライネンベルグズ(Kleinenberg’s)、クラッツェイズ(Krutsay’s)、ランゲロンズ(Langeron’s)、ラウノイズ(Launoy’s)、リーズ(Lee’s)、リリーズ(Lillie’s)、ルゴールズ(Lugol’s)、マクラクランズ(McLachlan’s)、マロリーズ(Mallory’s)、マンズ(Mann’s)、マルチノティズ(Martinotti’s)、マッソンズ(Masson’s)、メヤーズ(Mayer’s)、ミッチェルズ(Mitchell’s)、モルナールズ(Molnar’s)、パパミルティアーデス(Papamiltiades’)、プセイズ(Pusey’s)、ラウイッツ(Rawitz’)、レディーズ(Reddy’s)、サッス(Sass’)、シュモールズ(Schmorl’s)、スリッダーズ(Slidders’)、ウンナズ(Unna’s)、ワトソンズ(Watson’s)及びワイゲルト(Weigert)&ライツ(Wright’s)を包含する。鉄媒染ヘマトキシリン染色剤の特定の例は、アンダーソンズ(Amderson’s)、クレチンズ(Cretin’s)、フォーレズ(Faure’s)、ゴールドマンズ(Goldman’s)、ハンセンズ(Hansen’s)、ハイデンハインズ(Heidenhain’s)、ジャンセンズ(Janssen’s)、ケファラス(Kefalas’)、クラジアンズ(Krajian’s)、クルッツェイズ(Krutsay’s)、ラマンナズ(La Manna’s)、リリーズ、リリー&アールズ(Earle’s)、マッソンズ(Masson’s),モア(More)&バッサルズ(Bassal’s)、ムレイズ(Murray’s)、パクイン(Paquin)&ゴッダルズ(Goddard’s)、ルゴーズ(Regaud’s)、ロザス(Rozas’),セイデリンズ(Seidelin’s)、トマス(Thomas’)、ワイゲルツ(Weigert’s)及びヤスボインズ(Yasboyn’s)を包含する。ビスマス媒染ヘマトキシリンはローチ(Roach)&スミスス(Smith’s)である。銅媒染ヘマトキシリンはベンスレーズ(Bensley’s)、クックス(Cook’s)及びフォーレズを包含する。モリブデン媒染ヘマトキシリンはヘルズ(Held’s)である。バナジウム媒染ヘマトキシリンはヘデンハインズ(Hedenhain’s)及びスミスス(Smith’s)を包含する。ジルコニウム媒染ヘマトキシリンはマックナルティ(McNulty)&スミスス(Smith’s)である。1種又は複数の特定の染
色剤を使用する組織学的染色法の例は、限定せずに、スコットのCEC;ヘール(Hale)のコロイド状鉄;マウリー(Mowry)のコロイド状鉄;リッター(Ritter)&オルソン(Oleson)のコロイド状鉄;スミス&マクナルツィのジルコニルヘマトキシリン;マクファーランド(MacFarland)及びダベンポルト(Davenport)の銀プロテイネート;アキタ&カネコのハムミョウバン(hamalum);レンドルム(Lendrum),スリダース(Slidders)&フレーザー(Fraser)アルシアンブルー;ゲイブ(Gabe)のアルデヒドフクシン;ゴモリ(Gomori)アルデヒドフクシン;ルウエリン(Lewelyn)のアルデヒドトルイジンブルー;カルシウムのためのマギーラッセル(MaGhee Russel)アリザリンレッドS;ショケイア(Shokeir)&エルバゴーリ(Elbagoury)のアロキサンシッフ;ベンホルド(Benhold)のコンゴレッド;バーンズ(Burns),ペンノック(Pennock)&ストワルド(Stoward)のチオフラビンT;イーストウッド(Eastwood)及びコール(Cole)のコンゴレッド;ハイマン(Hifhman)のコンゴレッド;レウエリン(Llewellyn)のシリウスレッド;プフトラー(Puchtler),スウエット(Sweat)及びレビン(Levine)のコンゴレッド;ストローク(Stroke)のコンゴレッド;スウェット(Sweat)及びプフトラーのシリウスレッド;ヴァッサー(Vassar)及びカリング(Culling)のチオフラビンT;ローチ(Roach)&スミスのビスマスヘマトキシリン;アルクシュ(Arkush)&プロエシャーの鉄ミョウバン−セレスチンブルー;ノッチングハム(Nottingham)法;フルキアン−シェンク(Furukian−Schenk)のグラム染色剤;ベーカー(Baker)のミョウバンヘマトキシリン;スミスのバナジウムヘマトキシリン;バウレ(Baure)反応;ベネット(Bennett)のミョウバンヘマトキシリン;ベンホールド(Bennhold)のコンゴレッド;ベンスレイ(Bensley);ブーン(Boone)&ドリジヴェル(Drijver)のトリクロム;ベンスレー(Bensley)のPTAB;ブリルメイヤー(Brillmeyer)のトリクローム;バーンズ(Burns),ペンノック(Pennock)&ストワード(Stoward)のチオフラビンT;CAB;フォンコッサ(Von Kossa);カラッツィズ(Carrazzi’s);リリーのロングPAS;リリーのショートPAS;スタンダードPAS;周期的アシドチオセミカルバジド;ケーソン(Cason)のトリクロム;シフェル(Chiffelle)&パット(Putt);アイナルソン(Einarson);ヘロビチ(Herovici);ピクロ−フクシン;プフトラーズ(Puchtler’s);ファンギーソンズ(van Gieson’s);ホハシ(Hohashi)のトリクロム;モリエル(Mollier)のトリクロム;パクイン(Paqui)&ゴッダルド(Goddard)のトリクロム;パシニ(Pasini)のトリクロム;ワルター(Walter)のトリクロム;ガーベイ(Garvey);ガルベイ−モヴァト(Garvey−Movat)ペンタクロム;ロク(Roque)のトリクロム;シルバーマン−モバト(Silverman−Movat)ペンタクロム;ホランデ(Hololande)のトリクローム;ベンスレイ(Bensley)のトリクロム;ケーソン(Cason)のトリクロム;ゴモリ(Gomori)のトリクロム;ヘデンハイン(Hdenhain)のアザントリクロム;クリチェスキ(Kricheski)のトリクロム;ラデウィッグ(Ladewig)のトリクロム;リーブラウン(Lee−Brown)のトリクロム;リリー(Lillie)のトリクロム;マロリー(Mallory)のトリクロム;マッソン(Masson)のトリクロム及び改変化物;ミリガン(Milligan)のトリクロム;モレンドル(Mollendor)のトリクロム;パテイ(Patay)のトリクロム;シューブリッジ(Shoobridge)のポリクロム;クロスマン(Crossman)のトリクロム;ホウェル(Howell)のルベアン酸;カリング(Culling)&バッサー(Vassar)のチオフラビンT;カニングハム(Cunningham)&エンジェルズ(Engel’s);パパニコロウ(Papanicolou)のアルコール性トリクロム;パパニコロウのトリクロム;ドーズ(Daws)トリクロム;フォイルゲンズ(Feulgen’s);デュプレス(Dupres)マゼンタ;エナルソン(Enarson)のガロシアニンクロム;ハート(Hart)の鉄レソルシンフクシン;ハンバーストン(Humberstone)の鉄レソルシン;テンゼル−ウンナ(Taenzer−Unna)オルセイン;ウンナ(Unna)のオルセイン−アニリンブルー;ワイグヘルト(Weighert)の鉄レソルシンフクシン;コハシ(Kohashi)のトリクロム;パクイン(Paquin)&ゴッダルド(Goddard)のトリクロム;ウォルターズ(Walters)トリクロム;ドー(Dawe)のトリクロム;メーター(Meter)のエオシン;シフェル(Cheffele)&パット(Patt);パールス(Perls)プロシャンブルー;ディルマンシュメルツァーターナル(Dirmann Schmelzer Turnull)のブルーブルー;MSB;マッソン(Masson)44/41;オバディア(Obadia);ピクロ−マロリー(Picro−Mallory);グリズリー(Gridley);ロウェリン(Lewellyn)の二重酸化チオセミカルバジドシュモール(Schmorl);バンダービルト(Vanderbilt);ヘイソーン(Haythorne)のトリクロム;ハイデンハイン(Haidenhain)のアザントリクロム;ルング(Leung)&ギボン(Gibbon)のアルシアンイエロートルイジンブルー;サイード(Sayeed)のPAS−トルイジンブルー;トルイジンブルー;コネフ(Koneff)のトリクロム;コストビエスキー(Kostowiecki)のトリクロム;リー−ブラウン(Lee−Brown)のトリクロム;レンドラム(Lendrum)のフロキシンタルトラジン;ロークス(Roques)のトリクロム;メヤー(Mayer)のムシカルミン;メヤーのムシヘルナテイン;レウェリン(Llewellyn)の媒染ブルー3;ノッチングハム(Nottingham)法;ニュクリアファストレッド対比染色剤;スリダース(Slidders)OFG;プロピレングリコール中のシフェル(Cheffelle)&パット(Putt)オイルレッドO;パルムグレン(Palmgren)の銀含浸物;パテイ(Patay)のトリクロム;ルイス&ミラーのトリクロム;ヴァンギーソン(van Gison);及び前記の特定のヘマトキシリンを利用する方法を包含する。特定の細胞及び細胞成分を染色するために使用される染色プロトコール、染色剤及び染色液は当業者に周知であり、そして更なる例はStainsfile(Bryan Llewellynにより維持される組織工学者のためのインターネット資料);Kiernan,”Histologizal and Histochemical methods:Theory and Practice(「組織学的及び組織化学的方法:理論及び方法」),”3rd Ed.Butterworth Heinemann,Oxford,UK中;そして、本明細書に引用することにより編入されている、Horobin and Kiernan,”Conn’s biological stains:a handbook of dyes,stains and fluorochromes for us in biology and medicine(Connの生物学的染色剤:生物学及び医学者のための染色剤、染色液及びフルオロクロムのハンドブック),”10th ed.,Oxford:BIOS,ISBN1859960995,2002中に認めることができる。染色は前進性にも退行性にも実施することができる。媒染染色剤はオンクロム、メタクロム又はアフタークロムで適用することができる。
【0039】
本明細書で使用される用語「脂肪族化合物」は広義には、有機溶媒(ジエチルエーテル、アセトン、クロロホルム、リモネン、メタノール又はエタノールのような)中で有意な溶解度(約0.1g/Lを超える、20℃で約0.5g/Lを超える、又は20℃で約1.0g/Lを超える20℃における溶解度のような)を有する化合物を表す。更に具体的には、脂肪族化合物は水中におけるより、リモネンのような有機溶媒中により溶解性であることができる。幾つかの態様において、脂肪族化合物は20℃において約5.0g/L未満(20℃において約1.0g/L、20℃において約0.5g/L又は20℃において約0.1g/L未満すらのような)水溶性を有する。特定の態様において、脂肪族化合物は実質的に水中に不溶性である。脂肪族化合物は洗剤の脂肪族化合物又は非洗剤の脂肪族化合物であってもよい。脂肪族化合物は、脂肪アルコール、脂肪アミン(及びそれらの塩)、脂肪酸(及びそれらの塩)、脂肪酸エステル、イソプレノイド(トリテルペン及びテルペノール並びにより高い分子量をもつテルペン及びテルペノールのような、テルペン及びテルペノールを包含する)、膜脂質、糖脂質(ホスファチジルコリンのようなグリセロリン脂質のような)、リン脂質(スフィンゴミエリンのようなスフィンゴ脂質のような)、ステロール(コレステロールのような)、パラフィン(C8〜C20アルカン及びアルケンのような)並びに洗剤(アニオン、カチオン、両性イオン又は非イオン性)を包含する。更なる脂肪族化合物は、アシルグリセロール(モノアシルグリレロール、ジアシルグリセロール、トリアシルグリセロール、脂肪及び油、ポリグリセロールエステル及びそれらの混合物のような)、アシルグリセロール又はリン脂質のプラスマロゲン類似体、アミノ化合物−含有脂質(アミノ酸、カルニチン、ドパミンと組み合わせた脂肪酸又はエタノールアミンのようなアミノアルコールのような)、アミノアルコール、カロテノイド、セラミド、シアノ脂質、フェノール脂質、プロタノイド及び関連化合物、キニン、ステロイド(例えば、コレステロールのようなステロール、ブラシノステロイド、ブファジエノリド、カルデノリド、キューカルビタアシン、エクジステロイド、サポゲニン、ステロイドアルカロイド、ウィタステロイド及び胆汁酸)、ホペノイド、ミコリン酸、エイコサノイド、コーラノイド、エーテル−含有脂質、ビタミンアルコール(ビタミンA、D及びEのような)、ビタミンK、レシチン、炭化水素(C6〜C30アルカン及びアルケンのような)並びにワックスを包含する。特定の脂肪族化合物の例は例えば、Cyberlipid ウェブサイト及びウェブのための脂質バンク上に認めることができる。脂肪族化合物は合成しても、天然原料から単離しても、又は例えばSigma−Aldrich Co.,St.Louis MOから購入してもよい。用語「脂肪族化合物」はまた、2種以上の脂肪族化合物の組み合わせ物を表す。
【0040】
用語「低級アルカノール」はそのRが1〜5個の炭素を有するアルキル基である、構造R−OHを有する化合物を表す。低級アルカノールは第一級、第二級又は第三級アルコールであってもよい。低級アルカノールの例は、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、n−ペンタノール、イソペンタノール及びネオ−ペンタノールを包含する。
【0041】
用語「ポリエーテル」は多数のエーテル結合を含有する化合物、そしてより具体的には、非官能化されることができる(ポリエーテルグリコールのような)、モノ官能化されることができる(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル等のようなアルキル基とともにモノ官能化されてポリエーテルを形成する)あるいは多官能化されることができる(例えば、アルキル基及び、オレエートのような脂肪酸とともに多官能化されて、ポリエーテルエステルを形成する)ポリアルキレンオキシド化合物(ポリエチレングリコール化合物、ポリプロピレングリコール化合物又はポリブチレングリコール化合物又はそれらのコポリマーのような)を表す。従って、幾つかの態様において、ポリエーテルは式R1−(x)y−R2を有し、そこでR1及びR2は独立して水素、アルキル基又は脂肪酸であり、Xは反復ポリアルキレンモノマー単位(エチレングリコール単位、プロピレングリコール単位、ポリブチレングリコール単位又はそれらの組み合わせ物のような)を表し、そしてy=2〜50(例えば、y=3〜20のような、y=2〜30)である。
【0042】
用語「ポリシロキサン」は各ケイ素原子に1種又は複数の有機基を結合された線状、分枝又は環状配列の、交互のケイ素及び酸素原子を含有する種々の化合物のいずれかを表す。ポリシロキサン化合物の例は、ジメチルポリシロキサン、メチル水素ポリシロキサン、メチルアルキルポリシロキサン、メチルアリールポリシロキサン、メチルフルオロアルキルポリシロキサン並びにアミノアルキルメチルポリシロキサン、シアノアルキルメチルポリシロキサン、ハロアルキルメチルポリシロキサン及びビニルメチルポリシロキサンのような有機官能性メチルポリシロキサンを包含する非官能性及び有機官能性ポリシロキサンを包含する。環状ポリシロキサンの例は、ヘキサメチルシクロトリシロキサン(D3)、オクタメチルシクロテトラシロキサン(D4)、デカメチルシクロペンタシロキサン(D5)及びドデカメチルシクロヘキサシロキサン(D6)を包含する。ポリシロキサンの更なる具体的な例は、ヘキサメチルジシロキサン(L2)、オクタメチルトリシロキサン(L3)、デカメチルテトラシロキサン(L4)及びドデカメチルペンタシロキサン(L5)、1,3,5−トリメチル−1,3,5−トリ(3,3,3−トリフルオロプロピル)シクロトリシロキサン及び1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラ(3,3,3−トリフルオロプロピル)シクロテトラシロキサンを包含する。更なる例は、シリコーン油(ジメチルポリシロキサン、メチル水素ポリシロキサン及びメチルフェニルシリコーン油のような)、フッ素改質シリコーン油、アミノ改質シリコーン油、エポキシ改質シリコーン油、アルコール改質シリコーン油及び、アルキル改質シリコーン油のような有機物質改質シリコーン油を包含する。ポリシロキサンは単一のポリシロキサンでも又は2種以上のポリシロキサンの混合物でもよく、そして各ポリシロキサンは線状、環状、分枝状又はそれらの組み合わせのようなシロキサン単位のあらゆる配列をもつことができる。ポリシロキサンは例えば、Sigma−Aldrich Co.,St.Louis MOから市販されている。2種以上のポリシロキサンの組み合わせ物並びに1種以上のポリシロキサン及び1種以上の他の脂肪族化合物の組み合わせ物もまた想定される。
【0043】
用語「ワックス」は例えば、炭化水素(通常の又は分枝アルカン及びアルケン)、ケトン、ジケトン、第一級及び第二級アルコール、アルデヒド、ステロールエステル、アルカン酸、テルペン(スクアレンのような)及びモノエステル(ワックスエステル)及びそれらから誘動される個々の成分を包含する種々の物質からなる非水溶性物質を表す。より具体的には、ワックスはグリセロール(脂肪アルコール、ステロール、ヒドロキシカロテノイド又はビタミンAのような)及び脂肪酸以外のアルコールのエステルであることができる。ワックスの例は、クチン、スベリン、エピキュティクラー(epicuticlar)ワックス、フチオセロールワックス(ジミコセロセートエステルのような)、蜜蝋、チャイニーズワックス、セラックワックス、鯨蝋、ラノリン、カルナバワックス、ウリキュリワックス、ジョジョバ油、カンデリリアワックス、エスパルトワックス、ジャパンワックス、米糠油、オゾセライト、モンタンワックス及び合成ワックス(及び、脂肪エステル及びそれらの混合物のようなワックス成分)を包含する。2種以上のワックスの組み合わせ物並びに1種以上の他のワックス及び1種以上の他の脂質成分の組み合わせ物もまた想定される。
【0044】
与えられるすべての百分率は、室温で固体である物質が液体に溶解される時は重量/容量百分率を、そして、室温で液体である物質がもう1つの液体に溶解される時は容量/容量百分率を表す。成分はサンプルにそれらを適用する前に混合してもよいし、又は別々にサンプルに適用して、次に受動的に又は能動的のいずれでも、それらを混合してもよい。
【0045】
IV.実施例
本明細の比較的一般的な特徴物の幾つかを説明したので、更なる特徴物及びアスペクトが以下の、限定しない実施例に示される。
【実施例1】
【0046】
カバースリップ工程中の脂肪族化合物の包含
本実施例において、自動化H&E工程における脂肪族化合物の使用が示される。顕微鏡スライド上に固定されたパラフィン包埋肝組織サンプルを、カバースリップ溶媒に溶解された脂肪族化合物を取り入れた自動化H&E染色法を使用して染色した。異なる化学群を代表する幾つかの脂肪族化合物を、組織サンプルをカバースリップするために使用されるカバースリップ溶媒に添加した。カバースリップをスライドに添加し、カバースリップがその場に硬化されると、病理学者はスライドを研究し、サンプルに認められる鮮明度を評価した。病理学者はまた、高温でサンプルを乾燥することにより生成される人工産物の存在につきスライドを検査し、評価した。この実施例は、溶媒の蒸発を促進する条件下で高温にさらされる組織サンプルの形態が回復され、視覚的に強化され、そして高温及び蒸発条件により誘動される人工産物が、カバースリップ工程中にサンプルを脂肪族化合物と接触させることにより抑制又は回避することができることを示す。
【0047】
本発明の方法及び組成物は、本実施例においてはあらゆる組織学的染色法(手動又は自動化)又はあらゆるスライド染色装置に適用することができるが、その方法及び組成物は、米国特許出願第20040002163号及び第20050186114号明細書(どちらの出願書も本明細書に引用することにより編入されている)に記載されている高容量スライド処理システム中への使用のために開発された、自動化H&E染色法中に取り入れられる。端的には、前記の出願物に記載される自動化スライド処理システムは、スライド上で種々のスライド処理操作を実施する作業ステーション間を実質的に水平位置(交差汚染を最少にするために)で複数のスライドを保持するトレイを入れ替える高容量スライド処理システムである。処理期間中各スライドに新鮮な試薬を適用することができ、そしてスライドがトレイ中で、空間を明けた方法で別々に処理されるために、試薬によるスライドの交差汚染を実質的に排除することができる。1つの形態において、システムは輻射ヒーター、組み合わせ脱パラフィン装置/染色装置/溶媒交換作業ステーション、対流オーブン及びカバースリップ装置を包含する。パラフィン包埋組織サンプルを担持するスライドのトレイはシステムの輻射ヒーター下で加熱されて、容易に除去するためにサンプル中にパラフィンを広げ、そしてスライドにサンプルを付着させることができる。次にトレイを多機能性脱パラフィン化装置/染色装置/溶媒交換作業ステーションに移動し、そこでスライドを脱パラフィンし、染色し、溶媒を交換することができる。次にカバースリップの準備ができた染色されたスライドのトレイをシステムのカバースリップ装置に移動して、そこでスライドにカバースリップを添加する。次にスライドをカバースリップ後に、トレイを対流オーブンに移動して、染色スライド上のカバースリップを硬化させることができる。
【0048】
今説明された染色システムはあらゆる組織学的染色法を実施するように形成することができるが、本実施例において、システムは退行性H&E染色を実施するように形成された。全体的方法を示すスキームが図1に示され、その方法は、サンプルをスライドに接着させる焼き付け工程、パラフィン包埋サンプルからパラフィンを除去するための脱パラフィン工程、ヘマトキシリン染色工程、pHを上昇させ、ヘマトキシリンをブルーに変えて下流で添加されるエオシンとのより明白なコントラストを提供するブルー化工程、エオシン染色工程、過剰エオシンを除去し、エオシンをより赤くさせる分染化工程、100%エタノールを使用してサンプルから水を除去する脱水工程、高温及び空気流にスライドをさらしてエタノールを除去する工程、サンプルにリモネンを分配する(場合によりそれに脂肪族化合物が添加される)カバースリップ工程並びに硬化工程を包含する。
【0049】
本実施例に使用されるH&E工程において、カバースリップ直前の溶媒交換工程の程度を排除又は減少させるために対流オーブンもまた使用された。トレイを数分間対流オーブンに移して、サンプルから過剰なアルコールを蒸発させ、次にトレイをカバースリップ装置に移して、カバースリップ溶媒(その中に脂肪族化合物を溶解させた又は溶解させない)をスライドに添加して、スライドをカバースリップさせる。
【0050】
図1に示すように、各脂肪族化合物をリモネン中に20%の濃度に溶解させ、リモネン混合物(約30μL/スライド1枚)をカバースリップに使用した。種々の化学物質を代表する幾つかの脂肪族化合物それぞれを、20%濃度で自動化法に使用した。H&E染色スライドの明視野顕微鏡写真を異なる脂肪族化合物それぞれを使用して得て、リモネンに脂肪族化合物を溶解せずに作製された対照スライド(図2A)と一緒に図2B〜Iに示される。特に図2Aは対照スライドを示し、図2Bはリモネン中20%のデカメチルシクロペンタシロキサン(ポリシロキサン)を使用して作製された組織サンプルを示し、図2Cはリモネン中20%ジオクチルエーテル(脂肪エーテル)を使用して作製された組織サンプルを示し、図2Dはリモネン中20%のセダーウッド油[テルペンの混合物;特にセドロール(テルペノール)及びセデレン(テルペン)及びそれらのエステルのようなそれらの誘導体の混合物]を使用して作製された組織サンプルを示し、図2Eはリモネン中20%のオクタン酸(脂肪酸)を使用して作製された組織サンプルを示し、図2Fはリモネン中20%のリナリルアセテート(脂肪エステル)を使用して作製された組織サンプルを示し、図2Gはリモネン中20%のTriton X−100(洗剤)を使用して作製された組織サンプルを示し、図2Hはリモネン中20%のスクアレン(イソプレノイド)を使用して作製された組織サンプルを示し、そして図2Iはリモネン中20%のl−ウンデカノール(脂肪アルコール)を使用して作製された組織サンプルを示す。
【0051】
図2のそれぞれの画像の比較は、図2Aに示した対照スライドに比較して、脂肪族化合物はそれぞれ、細胞及び非細胞質特徴物のコントラスト、カラー・バランス及び鮮明度を増加し、サンプルからエタノールの蒸発を促進した条件下で高温処理することにより誘発される核乾燥人工産物(図2Aにおいて矢印により2種のこのような人工産物が示される)の数を減少させたことを示す。3人の病理学者のパネルにより、脂肪族化合物により処理されなかったサンプルに比較すると、脂肪族化合物により処理されたすべてのサンプルにおいて著明な鮮明度が存在したことに一致された。
【0052】
病理学者はまた、ある脂肪族化合物で処理された数枚のスライドそれぞれの上の核乾燥人工産物の数を測定し、平均を計算した。核乾燥人工産物の数の結果は以下の表1に示される。比較のために、サンプルを脂肪族化合物と接触させずに高温におけるエタノールの蒸発を伴う自動化法を使用して作製された肝組織サンプルに認められた人工産物の数は、多すぎて計測できなかった。概括的に、組織片上に500以上のこのような核乾燥人工産物をもつサンプルは、多すぎて計測できない人工産物を有する。
【0053】
【表1】
【実施例2】
【0054】
H&E染色プロトコールにおけるアルコール及び/又はリモネンに添加された脂肪族化合物
本実施例において、オレイルアルコール(不飽和脂肪アルコール)を100%エタノール及びリモネンのいずれか又は双方中に種々の濃度で溶解し、これらの試薬をそれぞれ、乾燥前、又は自動化H&E染色法のカバースリップ工程中に組織サンプルに適用した。実施例1におけるように、肝組織片を使用し、前記の自動化スライド処理システムを使用して染色した。
【0055】
図3は本実施例のための自動化法のスキームを示し、高温におけるアルコールの蒸発のための対流オーブンにスライドを移動する前にアルコール中で、そして/又はカバースリップのために使用されるリモネン中のいずれかにおいて、オレイルアルコールをスライドに分配する工程の時点を示す。実施例1におけるように、高温に対するサンプルの暴露(この場合は、異なる時点に対して種々の温度)を使用して、カバースリップの前に組織サンプルから過剰アルコールを除去した(アルコール―とりわけエタノール―はオレイルアルコールよりずっと低い沸点を有し、そしてスライドから選択的に除去される、アルコール中に添加されたあらゆるオレイルアルコールは残留する)。
【0056】
核乾燥人工産物の平均数は病理学者により計測された。結果は表2に示される。表2において、100%エタノール中のオレイルアルコールの濃度は「前濃度」として記載され、カバースリップ溶媒(リモネン)中のオレイルアルコールの濃度は「カバースリップ溶媒」として記載される。カバースリップ溶媒の量(オレイルアルコールを含む又は含まない)並びに、サンプルを乾燥するために使用されたオーブンの温度及びカバースリップの前にスライドが乾燥される時間量も与えられる。
【0057】
【表2】
【0058】
表2に示されるように、オレイルアルコールと接触されなかった正の対照に比較して、乾燥前に100%のアルコール中又はカバースリップ期間中にリモネン中のいずれかのオレイルアルコールの使用はすべての例において乾燥人工産物を減少させるのに有効であった。本実施例は、核乾燥人工産物を、工程に対する脂肪族化合物の添加により実質的に減少又は回避することができることを示す。更に、脂肪族化合物は溶媒の蒸発を促進する条件下における高温に対する暴露による損傷から組織サンプルを保護することができ、そして/又は脂肪族化合物が高温でサンプルから溶媒を蒸発させることにより改変されたサンプルを回復する補助をすることができることを示す。
【実施例3】
【0059】
オレイルアルコールによるカバースリップ
本実施例において、リモネンに溶解されたオレイルアルコールの種々の異なる濃度及び量の使用が自動化H&E染色法におけるカバースリップに対して示される。肝臓及び前立腺組織片を、実施例1に記載の自動化スライド処理システムを使用してH&E染色した。本実施例に対する特定の方法は図4にスキームで示される。
【0060】
リモネン中のオレイルアルコールは表3に示す濃度及び量でカバースリップ工程中に適用された。染色肝組織サンプルは病理学者により検査されて、核乾燥人工産物の数を計測され、前立腺組織サンプルは該方法により提供される鮮明度の量につき評価された(0は脂肪族化合物を取り込まない典型的なH&E染色法により生成された鮮明度を表す、0〜3の評価で)。
【0061】
【表3】
【0062】
表3に示すように、カバースリップ期間中のリモネン中オレイルアルコールの使用は、リモネン単独と接触された典型的な正の対照(典型的に、多すぎて計測不可能な核乾燥人工産物を生成する)に比較して、乾燥人工産物数を減少させるのに有効であった。図5において、明視野顕微鏡画像の顕微鏡写真は、30μLの20%リモネンで処理された代表的スライド(図5B)との正の対照スライド(図5A)の比較を示す。観察された鮮明度の増加及び脂肪族化合物により提供される人工産物数の減少が図5Bの顕微鏡写真に示される。核乾燥人工産物は図5A中の矢印により示される。
【実施例4】
【0063】
特殊染色剤
本実施例において、リモネンに溶解されたオレイルアルコールの使用が種々の特殊染色剤を使用して染色されるカバースリップサンプルについて示される。肝組織片を担持するスライドをトリクロムIIIブルー染色剤(Ventana Medical Systems,Inc.,Tucson,AZ)により、NesES(R)自動化スライド染色システム(Ventana Medical Systems,Inc.,Tucson,AZ)に対する標準プロトコールを使用して染色する。同様に、NesES(R)装置及び標準プロトコールを使用して、カビ・真菌を含有する肺組織サンプルを担持するスライドをGMSカビ・真菌染色剤(Ventana Medical Systems,Inc.,Tucson,AZ)で染色し、骨髄サンプルを担持するスライドをGismsa染色剤(Ventana Medical Systems,Inc.,Tucson,AZ)を使用して染色し、そして心臓組織片を担持するスライドをコンゴレッド(Ventana Medical Systems,Inc.,Tucson,AZ)で染色する。
【0064】
肝臓、肺、骨髄及び心臓組織片を担持する染色スライドをトレイ中に充填し、本実施例ではスライドのトレイをカバースリップ装置に直接もたらすようにプログラムされている、実施例1に記載のシステムを使用してカバースリップする。カバースリップ装置において、リモネン溶液中20%のオレイルアルコールがスライドに適用され、前以て糊付けされたカバースリップがスライドの両側に添加される。染色されたサンプルを病理学者により検査される。
【実施例5】
【0065】
自動化H&E染色法に脂肪族化合物を使用する、増加した鮮明度、カラー・バランス及びコントラストの効果
本実施例において、H&E染色スライドの鮮明度、カラー・バランス及びコントラストを増加するための種々の脂肪族化合物の使用が示される。「高い鮮明度」効果は、染色スライドが自動化カバースリップ工程において脂肪族化合物で処理される、実施例1に記載の自動化染色システムの市販の態様を使用して染色されたスライド上で観察された。基底の正の対照として働く、20%のオレイルアルコール/80%のリモネン混合物(実施例3参照)により、合計17種の脂肪族化合物を試験した。各試薬を、高い鮮明度効果を示すために有用な特徴物を包含する組織片を含有する3種の多組織ブロックにつき実験した。これらの多組織ブロックは甲状腺乳頭状癌、前立腺癌、扁平上皮細胞癌、正常な肺及び乳癌を包含した。正の対照により高められる甲状腺乳頭状癌特徴物は「すりガラス」様の核の外観、核の溝及び核の擬性封入体を含む。正の対照で処理された前立腺癌は、基底膜及び基底細胞のよりよい可視化のみならずまた、巨大核小体の改善された可視化を示す。扁平上皮細胞癌における正の対照により高められる特徴物は核の鮮明化、細胞角質化、扁平上皮パール、細胞内ブリッジ及び細胞死細胞と分裂細胞間の識別である。正常な肺においては、正の対照は気管支上皮を裏打ちする繊毛の可視化を改善する。正の対照により促進される乳癌特徴物はクロマチン組織、核小体隆起及び有糸分裂特徴物の鮮明化、乳癌の分類に重要な核詳細を包含する。
【0066】
材料及び方法:
染色システム:
Symphony(R) 染色システム, Ventana Medical Systems, Inc, Tucson, AZ.
使用試薬 (すべてがVentana Medical Systems, Inc, Tucson, AZから市販されている):
Symphony(R) N1 P/N 900−201
Symphony B P/N 900−204
Symphony W P/N 900−203
Symphony C P/N 900−202
Symphony Clear P/N 900−209
Symphony E P/N 900−212
試薬等級アルコール
Optisure(R) カバースリップ P/N 900−501
使用された多組織ブロック:
MTB 1:
甲状腺ブロック# 0204−192−02929 商品 #9
甲状腺ブロック # 0206−341−01309 1−2
甲状腺ブロック# 0104−192−00504 商品 #6
前立腺ブロック# 0205−341−01954 2−2
前立腺ブロック# 0205−341−001954−1−2
前立腺ブロック# 0207−315−01329 商品 #3
MTB 2:
扁平上皮細胞癌A603
扁平上皮細胞癌A395
扁平上皮細胞癌0106−192−01531 商品 #3
扁平上皮細胞癌B603
肺 B763
肺 B750
肺 B666
MTB 3:
乳房 0112−192−01649 商品 #6
乳房 0206−192−02108 商品 #7
乳房 0112−192−1567 商品 #6
乳房 (インサイチュー) 0204−192−02897 商品 #7
乳房 (インサイチュー) 0204−192−02887 商品 #7
乳房 (インサイチュー) 0204−192−02859 商品 #7
試験された試薬 (d−リモネン中に20% v/v 又は w/v 溶解Degussa GmbH, Dusseldorf, Germanyから入手できる化合物Jを除き、すべての試薬成分がSigma−Aldrich, St. Louis, MO から購入できる):
A: デカメチルシクロペンタシロキサン[シロキサン]
B: オクチルエーテル[C16 エーテル]
C: セダーウッド油[必須油/天然油]
D: オレイルアミン[C18 アミン]
E: トコフェロール[フェノール性]
F: オクタン酸[C18 カルボン酸]
G: Triton X−100 [非イオン洗剤]
H: リナリルアセテート[エステル]
I: スクアレン[不飽和脂肪族]
J: ABIL EM90 [シロキサンポリマー]
K: ポリ(プロピレングリコール) [ポリエーテルグリコール]
L: テルギトール[洗剤]
M: トリ(プロピレングリコール) ブチルエーテル[ポリエーテル]
N: メチルオレエート[C18 エステル]
O: オレアミド[C18 アミド]
P: ポリ(エチレングリコール) モノオレエート[ポリエーテルエステル]
正の対照: オレイルアルコール
負の対照: 生の d−リモネン
【0067】
染色法:
本実施例で使用される最適化Symphony(R)法は図6にスキームで示される。前記の通りに、Symphony法は各スライドに新鮮な試薬を使用することができる。各脂肪族化合物は染色工程のカバースリップ工程で試験された。試験の試薬はカバースリップの適用前にスライドに適用された。スライドを、以下に詳述するように、Symphonyシステム上で全染色工程を処理した。
【0068】
スライドをUniversal Slide Tray上に充填し、装置の侵入口に配置する。適当な染色法を選択し(標準核染色、標準細胞染色)、タッチスクリーンインターフェース(Touchscreen Interface)を使用して実験を開始する。Symphony染色システム上で、スライドをUniversal Slide Trayにおけるそれらの位置を決定するためにスキャンする。組織の接着のためにスライド乾燥モジュール(Slide Drying Module)中でスライドを焼き付ける。焼き付け工程後に、脱パラフィン化、染色及び洗浄のために染色モジュールにスライドを移動する。脱パラフィン化はSymphony Clear試薬を使用し、次に過剰な試薬を除去するためにアルコールリンスが続く。脱パラフィン化後の標準核及び細胞染色強化プロトコールの工程は以下に記載される:
1.Symphony W試薬をスライドに適用する。
2.Symphony N1試薬を適用し、次に培養期間が続く。
3.スライドをSymphony W液ですすぐ。
4.Symphony B試薬をスライドに適用し、インキュベートする。
5.スライドをSymphony W液ですすぐ。
6.勾配アルコールをスライド上に付着させる。
7.Symphony C液を分配し、インキュベートする。
8.スライドを勾配アルコール添加物及び試薬等級アルコールの双方ですすぐ。
9.スライドをSymphony Clear試薬により洗浄し、最後の脱水工程のためにSlide作製モジュールに移動する。
10.スライドをOptiSureカバースリップモジュールに移す。
11.Symphony Clearを光学的鮮明化及びカバースリップの付着のためにOptiSureカバースリップの前にスライド上に付着させる。
12.カバースリップを固定するためにスライドをSスライド硬化モジュールに移す。
13.Universalスライドトレイを、冷却期間中そして次のトレイの射出のためにIntelliQue中に配置する。
【0069】
工程11において、カバースリップ工程の一部として、種々の脂肪族化合物組成物を組織サンプルと接触させた。
【0070】
評価法:
すべての評価を二人の委員会に認定された病理学者により実施された。代替化合物それぞれで作製されたスライドを評価した。5種の組織タイプ(扁平上皮細胞癌、正常な肺、前立腺癌、乳頭状甲状腺癌、乳癌)を前記の組織/癌特異的測定基準に従って評価した。すべての測定を以下のようにオレイルアルコールにより作製された正の対照のスライドに比較して実施された:
「>」は測定基準が正の対照に比較して増加されたことを示す。
「<」は測定基準が正の対照に比較して減少されたことを示す。
「0」は測定基準が正の対照と同等であることを示す。
【0071】
二人の病理学者により決定された評価の結果は以下の表4及び表5に別々に示される。
【0072】
【表4】
【0073】
【表5】
【0074】
本発明に従って処理された前立腺癌サンプルの増加したコントラスト及び改善されたカラー・バランスのみならず、膜及び核の詳細の強化を示す代表的な明視野顕微鏡画像(60X)が図7に示される。図7Aは負の対照であり、図7Bは正の対照(オレイルアルコール、脂肪アルコール)であり、図7Cは化合物H(リナリルアセテート、脂肪エステル)であり、そして図7Dは化合物O(オレアミド、脂肪アミド)である。
【0075】
結論:
全体として、正の対照のオレイルアルコールに比較すると、16種の代替化合物はそれぞれ同等な性能を示した。特定の病理学者により個々の組織/癌のタイプに対して幾らかの差異が認められたが、いずれの代替化合物に対してもすべての組織/癌タイプにわたり一定した変化は認めなかった。
【0076】
本発明の原理は幾つかの例示された態様に関連して説明されてきたが、態様の詳細はこのような原理から逸脱せずに修飾することができることは当業者には明白であるにちがいない。例えば、例示された実施例は染色法の特定の工程でサンプルと接触された脂肪族化合物を包含するが、脂肪族化合物は染色法のいずれの工程中にサンプルと接触させてもよい。更に、開示された方法及び組成物は、いずれの自動化染色法又はいずれの手動染色法とともに使用してもよい。特別に例示された染色法の変法は異なるアルコール試薬(イソプロパノールのような)及び他のカバースリップ溶媒(キシレン又はアルカン溶媒のような)を使用することができる。本発明は、以下の請求項の範囲及び精神内に入る、それらのすべての修飾物、改変物及び同等物を包含する。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】カバースリップ工程で脂肪族化合物をとりいれる自動化H&E法を示すスキーム図である。
【図2A−2I】対照用の、脂肪族化合物と接触されなかったH&E染色サンプルと一緒に(2A)、カバースリップ工程中に脂肪族化合物と接触された、自動化H&E染色肝組織サンプルにおける増加された鮮明度及び減少された核乾燥人口産物を示す一連の顕微鏡写真である。
【図3】アルコール又はリモネン溶液のいずれか又は双方中に脂肪族化合物を取り入れる、自動化H&E染色工程を示すスキーム図である。
【図4】カバースリップ液中に脂肪アルコールを取り入れる自動化H&E染色工程を表すスキーム図である。
【図5A−5B】H&E染色サンプルを脂肪アルコールと接触させることにより提供される細胞及び非細胞質特徴物の強化された鮮明度を表す一対の顕微鏡写真である。
【図6】開示された方法の1つの態様における使用のための種々の脂肪族化合物/組成物を評価するために使用される自動化H&E染色工程を表すスキーム図である。
【図7】開示された方法の1つの態様により与えられる強化された鮮明度、コントラスト及びカラー・バランスを表す一連の代表的顕微鏡写真である。
【関連出願】
【0001】
本出願は引用することにより本明細書中に編入されている、2006年、1月13日出願の米国特許仮出願第60/759,240号明細書の優先権を主張する。
【技術分野】
【0002】
本発明は、顕微鏡検査のための細胞及び組織のような生体サンプルを処理するための組成物及び方法を対象にする。更に具体的には、本発明は、染色された細胞又は組織サンプル中に観察可能な細胞の詳細のコントラスト、カラー・バランス及び量を増加することができる組成物及び方法を対象にする。更に、本発明は、それらからの溶媒の蒸発を促進する条件下で、高温で処理される生体サンプルを保存しそして/又は回復することができる組成物及び方法を対象とする。
【背景技術】
【0003】
大部分の細胞及び組織はそれらの形態学の詳細な顕微鏡分析のための十分な固有の色彩及びコントラストが欠乏している。その結果、細胞及び組織は、細胞及び非細胞質間の特徴間のコントラストを高めるために、1種又は複数の着色染色剤で定常的に染色される。染色により示される特徴は、広範な疾患及び状態を診断するために使用される。
【0004】
多数の典型的な染色法に対する随伴物として、細胞又は組織サンプルは種々の溶媒及び溶媒混合物(複数の溶媒)と接触される。溶媒は例えば、パラフィン包埋サンプルを脱パラフィン化し、非極性染色剤で処理するためのサンプルを作製し、又はカバースリップするためのサンプルを作製するために使用される。エタノール、リモネン、キシレン及び洗剤水溶液のような多数の溶媒は細胞膜から脂肪族化合物を抽出する傾向をもつ。その結果、それらが特に溶媒を蒸発させる補助のために高温で処理される場合に、処理期間中に細胞の形態が変化し、細胞が損傷をより受け易くなる可能性がある。従って、処理期間中に細胞及び組織サンプルを損傷から保護する補助をし、そして損傷し又は変化した細胞構造物を回復する補助をすることができる方法及び組成物の需要が存在する。更に、サンプル中に観察可能な細胞の細部のコントラスト、カラー・バランス及び量を増加することにより、組織学的染色サンプルの臨床利用性を増加する方法及び組成物の需要が存在する。
【発明の開示】
【0005】
要約
染色された生体サンプルの観察可能な細胞及び組織の形態の保存、回復及び/又は強化を容易にするための、脂肪族化合物を包含する組成物及び方法が開示される。例えば、当該組成物及び方法は、細胞及び非細胞質構造物の増加された明確度及び鮮明度を提供し、それにより観察者が、より容易に異なる組成物要素を識別し、サンプル中の微細な解剖学的細部を視覚化することができるようにさせる。膜及び核の特徴物のような細胞構造物は、脂肪族化合物と接触されたH&E染色組織片において明白に可視的になることができる。更に、H&E染色サンプルにおけるコントラスト及びカラー・バランスは、本開示に従って改善することができる。詳細の強化並びにコントラスト及びカラー・バランスにおける改善は、染色された生体サンプルからの診断を実施する際の補助になることができる。
【0006】
1つのアスペクトにおいて、細胞及び非細胞質の鮮明度を増加し、そしてサンプルのコントラスト及びカラー・バランスを改善する、生体サンプルを処理するための方法が開示される。特定の態様において、該方法は、染色されたサンプルに、カバースリップ溶媒及び脂肪族化合物を包含するカバースリップ組成物を適用する方法を包含する。一旦カバースリップ組成物が適用されると、カバースリップがサンプル上に配置される。カバースリップ用組成物中に包含される脂肪族化合物により、カバースリップ溶媒単独を使用してカバースリップされる実質的に同様なサンプルに比較して、増加したコントラスト並びに細胞及び非細胞質の鮮明度、増加したコントラスト及び改善したカラー・バランスを認めることができる。染色される各スライドに対して新鮮な試薬を使用する自動化染色法と組み合わせて使用されるので、自動化工程期間(カバースリップ工程におけるような)中のサンプルの脂肪族化合物との接触が、増加した臨床利用性をもつスライドを提供することができる。
【0007】
もう1つのアスペクトにおいて、カバースリップ用溶媒及び脂肪族化合物を包含するカバースリップ用組成物が開示される。カバースリップ用組成物中の脂肪族化合物は洗剤の脂肪族化合物でも又は非洗剤脂肪族化合物であってもよい。有用な非洗剤の脂肪族化合物は、脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪アルコール、脂肪アミン、脂肪エーテル、ポリシロキサン、ポリエーテル及びイソプレノイドの1種又は複数を包含する。
【0008】
まだ更なるアスペクトにおいて、サンプルからの溶媒の蒸発を促進する条件下で、生体サンプルを高温にさらす、顕微鏡スライド上の生体サンプルを処理する方法が開示される。このアスペクトにおいて、該方法は、組織化学的工程によりサンプルを処理して、染色サンプルを提供し、サンプルからの溶媒の蒸発を促進する条件下でサンプルを高温にさらし、そしてサンプルを脂肪族化合物と接触させる方法を包含する。特定の態様において、サンプルは組織化学的工程中に1種又は複数の脂質抽出溶媒にさらされ、生体サンプルは脂肪族化合物で処理されて、工程中に除去されるサンプルの脂質含量の少なくとも一部を置き換える。サンプルの「再脂質化」は、処理期間に見えにくい組織の形態を回復し、そしてサンプルを高温及び蒸発条件に暴露することにより誘発される人口産物及び形態の変化の予防(及び/又は排除)を包含する多数の利点を提供する。脂肪族化合物の添加は更に、明視野顕微鏡により観察可能な細胞及び非細胞質の鮮明度を同時に増加することができる。
【0009】
幾つかの具体的態様の詳細な説明
本発明の更なるアスペクトは、以下の概説後に提供される略語及び用語に関して進行する、以下の、限定しない説明及び実施例により具体的に示される。
【0010】
I.概説
1つのアスペクトにおいて、染色された生体サンプルに観察可能な細胞及び非細胞質の鮮明度を強化し、そして/又は、特にサンプルがまた、サンプルからの溶媒の蒸発を促進条件にさらされる場合に、サンプルを高温に暴露する方法により誘発される人口産物の数を減少させるための方法が開示される。該方法は、サンプルを、洗剤の脂肪族化合物でも又は非洗剤の脂肪族化合物であってもよい脂肪族化合物と接触させる方法を包含する。
【0011】
1つの態様においては、サンプルを1種又は複数の組織学的染色剤と接触させ、そして、サンプルを、本質的に脂肪族化合物及び低級アルカノール又はカバースリップ溶媒(幾つかの染色プロトコールにおいてはカバースリップ工程の代りに、例えば洗浄工程中でも使用することができると考えられる)のいずれかよりなる、脂肪族化合物の組成物と接触させる(カバースリップ工程期間のような)方法を包含する、生体サンプルを染色する方法が開示される。組成物中の脂肪族化合物は、特定の態様においては、約20℃で約1.0g/mL未満の水溶性をもち、そして更に特には非洗剤脂肪族化合物であることができる。他の特定の態様においては、生体サンプルはワックス包埋生体サンプルであってもよく、そしてサンプルを脂肪族化合物組成物と接触させる方法は、サンプルを脱ワックスした後に実施することができる。更に他の特定の態様においては、サンプルを1種又は複数の組織学的染色剤と接触させる方法は本質的には、生体サンプルをヘマトキシリン及びエオシンと接触させる方法よりなる。該方法は手動でも自動化されてもよく、複数のサンプルが染色される場合は、各サンプルに対して新鮮な試薬を使用することができる。脂肪族化合物の有用な群の特定の例は、洗剤、脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪アルコール、脂肪アミン、脂肪エーテル、ポリシロキサン、ポリエーテル及びイソプレノイドを包含する。特定の態様においては、脂肪族化合物は1種又は複数のC8〜C20脂肪アルコール、例えば1種又は複数のC8〜C20不飽和脂肪アルコールであることができる。典型的には、脂肪族化合物組成物は約0.5%〜約35%の脂肪族化合物を包含するであろう。他の特定の態様においては、脂肪族化合物は1種又は複数の脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素又はテルペン(リモネンのような)に溶解される。
【0012】
もう1つの態様において、開示された方法は、サンプルに、強化されたコントラスト並びに細胞及び非細胞質の鮮明度を観察することができるように、顕微鏡スライド上に、染色された生体サンプル(組織学的染色組織又は細胞学的サンプルのような)をカバースリップする方法である。開示された方法の特定の態様においては、脂肪族化合物は1種又は複数の脂肪アルコール、洗剤、脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪アミン、脂肪エーテル、ポリシロキサン、ポリエーテル及びイソプレノイドを含んでなる。特定の態様においては、脂肪族化合物は非洗剤の脂肪族化合物である。
【0013】
開示されたカバースリップの態様は、サンプルにカバースリップ用組成物を適用し、そして組成物が適用されたサンプルをカバースリップする方法を包含する。カバースリップ用組成物はカバースリップ溶媒(脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素及びテルペンの1種又は複数のような)及び脂肪族化合物を含んでなる。この方法により処理されると、カバースリップされたサンプルは、カバースリップ溶媒単独を使用してカバースリップされる実質的に同様なサンプルに比較して、増加したコントラスト並びに細胞及び非細胞質の鮮明度を示す。特定の態様においては、カバースリップ用溶媒はアルカン、アルカン、リモネン、キシレン及びトルエンの1種又は複数の混合物を包含する。脂肪族化合物は約0.5%〜約50%間のいずれの濃度でもカバースリップ用溶媒中に溶解することができるが、典型的には脂肪族化合物は約0.5%〜約35%の濃度で、例えば約1%〜約25%の濃度でカバースリップ溶媒に溶解される。特定の態様においては、脂肪族化合物は約20℃において約1g/L未満の水溶性をもつ脂肪族化合物であることができる。他の特定の態様においては、脂肪族化合物は約200℃を超える沸点をもつことができる。
【0014】
該方法は手動で実施することができ、1つの自動化工程又はそれらのあらゆる組み合わせ物に取り入れることができ、そして該方法は「前以て糊付けされた」カバースリップとともに使用することができるか又はカバースリップ用組成物が更に接着剤を包含することができる。典型的には、カバースリップ用組成物は組織の屈折率に近い屈折率をもつであろう。適したカバースリップ用接着剤はシアノアクリレート糊及び光線硬化性接着性ポリマー(可視光線及びUV−硬化性接着剤のような)を包含する。市販されているカバースリップ糊は例えばTed Pella,Inc.(Redding,CA)から入手することができる。UV−硬化性接着剤はInstrumedics,Inc.(St.Louis,MO)から入手できるCureMountTMを包含し、そして種々のUV−及び可視光線−硬化性ポリマーがHenkel Loctite Corporation(Rocky Hill,CT)から入手できる。
【0015】
もう1つのアスペクトにおいて、それぞれが前記の通りであることができるカバースリップ溶媒及び脂肪族化合物を包含するカバースリップ組成物が開示される。特定の態様において、カバースリップ組成物は本質的にカバースリップ溶媒及び脂肪族化合物よりなる。もう1つの特定の態様において、カバースリップ溶媒はカバースリップ接着剤を包含する。更にもう1つの特定の態様において、カバースリップ組成物は本質的にカバースリップ溶媒、脂肪族化合物及びカバースリップ糊よりなる。
【0016】
もう1つのアスペクトにおいては、組織化学的方法(例えば、H&E染色法のような組織学的染色法)を使用してサンプルを処理して、染色された生体サンプルを提供し、サンプルからの溶媒の蒸発を促進する条件下でサンプルを高温にさらし、そして、サンプルを高温及び蒸発条件下にさらす前、その間又はその後に、サンプルを脂肪族化合物と接触させる方法を包含する、生体サンプルを処理する方法が開示される。サンプルはサンプルの少なくとも一部の上に横たわる溶媒の少なくとも一部を除去するために十分な時間、暴露することができ、そして/又はサンプルは、工程中サンプル中に吸収された溶媒の少なくとも一部を除去するために十分な時間暴露することができる。脂肪族化合物は前記のとおりであり、蒸発工程中の損傷を防止する補助をするためにサンプル上又はサンプル中に実質的に滞留することができるかあるいは、蒸発工程中にサンプルに対して与えられた損傷を修復するために蒸発工程後に添加することができる。脂肪族化合物は、エタノールのような低級アルコールのような揮発性溶媒がサンプルから急速に蒸発される高温において、蒸発工程中又はその後にサンプルを保護又は修復するために使用することができる。
【0017】
サンプルから溶媒の蒸発を促進する高温及び条件は、顕微鏡スライド上に固定されたサンプル上の、ガス交換の受動的(対流空気流のような)又は能動的手段と組み合わせたあらゆるタイプのオーブン又は加熱装置により提供することができる。サンプルから溶媒の蒸発を促進する条件は、蒸発手段を通るサンプル中及び/又はサンプル上の溶媒量の正味の減少を提供する。特定の態様において、サンプルは、場合により蒸発工程に対する補助物として、サンプル表面上にガス流(空気流のような)を能動的に促進するための手段(ファン又は圧縮ガス源のような)と組み合わせて、対流オーブン中でそして/又は輻射ヒーターを使用して乾燥される。
【0018】
典型的には、サンプルからの溶媒の蒸発を促進する条件下でサンプルを高温にさらす方法は、サンプルから少なくとも25%の溶媒、例えば少なくとも50%の溶媒、少なくとも90%の溶媒、又は少なくとも95%の溶媒、を除去する方法を包含する。サンプル上に横たわる液相中の溶媒は実質的に除去することができるが、サンプルにより吸収された溶媒は一部のみが除去される。溶媒が蒸発工程によりサンプル自体から有意に除去される場合に(サンプル及び恐らくは関連人工産物の「乾燥」をもたらす)、サンプルを脂肪族化合物と接触させる方法は、サンプルの細胞及び非細胞質構造物を保護又は回復するために特に有用であることができる。サンプルから一定量の溶媒を除去するために有用な温度及び加熱時間は実証的方法により容易に決定することができる。
【0019】
特定の態様において、蒸発工程中にサンプルから蒸発される溶媒は、低級アルカノール(メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、t−ブタノール又はネオ−ペンタノールのようなC1−C5第一級、第二級又は第三級アルコール)及び/又はテルペン(リモネンのような揮発性テルペンのような)を含んでなることができる。多数の特定の溶媒化合物がサンプル中及び/又は上に存在する時は、それらの相対的揮発性(蒸発圧)に従って、1種又は複数の特定の溶媒を優先的に除去することができ、ここで、より高い揮発性(及び一定の温度における蒸気圧)をもつ溶媒が優先的に除去される。サンプルに含有される水もまた、このような工程により除去することができるが、典型的には、多数のサンプル処理プロトコールにおいては、より揮発性の溶媒が利用されるので、除去される程度は低いであろう。脂肪族化合物自体は典型的には、水より実質的に低い蒸気圧を有し、除去される溶媒及び、従って、蒸発工程中に存在する場合はサンプル上及び/又は中に滞留するであろう。
【0020】
高温及び溶媒の蒸発を促進する条件にさらされるサンプルを保護又は回復するために使用される脂肪族化合物は典型的には、溶液中に、例えば、アルカノール(例えばエタノール)、脂肪族炭化水素(例えばアルカン)、テルペン(リモネンのような)又は芳香族炭化水素(例えばトルエン又はキシレン)のような有機溶媒中の脂肪族化合物の溶液中に適用される。揮発性エーテル及びエステルのような他の有機溶媒は特定の態様に使用することができる。
【0021】
概括的に、種々の理由のために、サンプルの被覆並びに保護、回復及び鮮明度の1種又は複数の強化を提供するが、カバースリップ硬化工程(例えば、カバースリップ用糊が適当に硬化することを妨げることにより)、又はスライド上に望ましくない油状残留物を残すことを妨げない、サンプル上に一定料の脂肪族化合物を残す工程を使用することが望ましい。従って、特定の態様において、本開示に従う方法は、脂肪族化合物がカバースリップの前又はその期間中に添加される工程の場所及びその量にかかわらず、カバースリップ時にスライド上に少なくとも約1μL未満、しかし約30μL未満(例えば、約10μL未満、又は約5μL未満のような約20μL未満)を残すであろう。従って、より大量の脂肪族化合物が染色工程のある地点で添加される場合は、エタノール/水の溶液、界面活性剤溶液、エタノール、リモネン等のような脂肪族化合物が可溶性である溶媒を使用して、1回又は数回のすすぎ工程により、いくらかの脂肪族化合物を除去することが望ましいかも知れない。脱パラフィン化を包含する工程においては、脱パラフィン化溶媒がサンプルから脂肪族化合物を除去する傾向をもつため、脱パラフィン化後にサンプルを脂肪族化合物と接触させることが望ましいかも知れない。同様に、サンプルがエタノールで脱水される工程においては、添加される脂肪族化合物が脱水溶媒により除去されないように、脱水工程後にサンプルを脂肪族化合物と接触させることが望ましいかも知れない。特定の態様において、サンプルに対する脂肪族化合物の適用は、パラフィン包埋サンプルを脱パラフィン化後に、脱パラフィン化サンプルが脱パラフィン化溶媒(洗剤溶液、リモネン、アルカン又はアルカンの混合物によるような)を除去された後に、サンプルを組織化学的方法を使用して染色された後に、カバースリップ直前又はカバースリップ期間中の溶媒交換工程中に、実施することができる。
【0022】
サンプルが蒸発工程中に暴露される高温は典型的には、約35℃〜約140℃の間、より典型的には約45℃〜約100℃、例えば約45℃〜約70℃の間である。脂肪族化合物は典型的には、高温で低い蒸気圧(例えば、約200トール未満の蒸気圧、約100トール未満の蒸気圧又は約50トール未満の蒸気圧)をもつであろう。
【0023】
更にもう1つのアスペクトにおいて、組織サンプルを組織学的染色溶液と接触させ、そしてサンプルを脂肪族化合物と接触させる方法を包含する、脱パラフィン化(以前にパラフィン包埋された)組織サンプルの強化された組織学的染色の方法が開示される。1つの態様において、サンプルを組織学的染色溶液と接触させる方法は、サンプルを本質的にヘマトキシリン染色剤よりなる溶液と接触させ、そしてサンプルを本質的にエオシンよりなる溶液と接触させる方法よりなる。
【0024】
開示された方法のいくつかの態様に認められる増加した鮮明度は、観察者に組織要素をよりよく識別させ、そして微細な微細解剖学的細部を可視化させる。更に、組織特徴物に鮮明な輪郭を与えて、明瞭な視覚的効果を形成する染色のコントラスト及びカラー・バランスにおける全体的改善をもたらすことができる。増加した鮮明度の効果はすべての組織及び細胞タイプで明白であることができるが、特に、H&E染色に対する以下の組織学的背景において特に著しい:
1. 細胞膜:すべての細胞の細胞膜が強調され、明確に鮮明化され、細胞の境界の明白な識別を可能にする。その効果は前立腺細葉及びエクリン汗腺及び胆管上皮細胞の分泌細胞のような上皮細胞で特に顕著である。
診断的適用:パラガングリオン細胞腫及び褐色細胞腫、腎臓色素嫌性癌。
2.核の細部:核特徴物を、微細な詳細を示すクロマチン及びヘテロクロマチンで強化する。核小体は、存在する時は、適当な染色性を伴い鮮明で明白である(例えばホジキンリンパ腫における好酸性の核小体)。有糸分裂は明白に可視であり、顕著である。
診断的適用:高度の前立腺上皮内腫瘍形成(PIN)、前立腺癌、形成不全(食道形成不全及び頸部形成不全)の評価及び等級化、甲状腺乳頭状癌。
3.平滑筋及びコラーゲン繊維:平滑筋及びコラーゲンが個々の繊維(例えば胃腸平滑筋、皮膚の毛嚢周囲の緩いコラーゲン状ストロマ)の明確な可視化を許す光沢をもつ強調を示す。基底膜のコラーゲンが目立って強調され、明確に鮮明にされる(例えばエクリン腺基底膜)。
診断的適用:インサイチューの癌からの微細浸潤癌の分染(differentiation)。
4.ケラチン:ケラチンの好酸球性染色及び視覚化が強化される。染色は早期ケラチン化のより感受性の検出を提供する。
診断的適用:分染の弱い偏平上皮細胞癌の診断。
5.非細胞質構造物:以下の非細胞質構造が強調され、他の細胞成分と明確に識別されて見える:
a.繊毛
診断的適用:ファロピウス管癌、卵管化生性癌。
b.ブラシ縁
診断的適用:十二指腸生検の評価。
c.偏平上皮内細胞ブリッジ
診断的適用:区別の乏しい偏平上皮細胞癌。
d.核溝
診断的適用:乳頭状甲状腺癌及び卵巣顆粒膜細胞腫瘍。
【0025】
II.略語及び用語
H&E−ヘマトキシリン及びエオシン
TNC−多すぎて計数不能
用語「a」、「an」及び「the」は、文脈がそれ以外を明記しない限り、単数及び複数の対象双方を包含する。
【0026】
用語「生体サンプル」は、動物のような生体学的実体から得られる又は由来するあらゆるサンプルを表す。生体サンプルの例は、細胞学的サンプル、組織サンプル及び体液を包含する。生体サンプルの限定しない特定の例は、血液、尿、射精前精液、乳頭吸引物、精液、乳、喀痰、粘液、胸膜液、骨盤液、洞液(sinovial fluids)、腹水、体腔洗浄物、眼の洗浄液、皮膚削り屑、頬内塗抹標本、膣内塗抹標本、パップスメア、直腸塗抹標本、吸引物、針生検、例えば手術又は生検により得られる組織片、血漿、血清、髄液、リンパ液、汗、涙、唾液、腫瘍、器官及びインビトロの細胞又は組織培養物から得たサンプルを包含する。典型的にはサンプルは、固定され、処理されて水を除去され、そして組織片に切断するためのパラフィン又はその他の適切なワックス状物質中に包埋された生検サンプルであろう。
【0027】
用語「カバースリップする方法」は手動の又は自動化された方法のいずれかで顕微鏡のスライドに付着されたサンプル上にカバースリップを配置する動作を表す。
【0028】
用語「カバースリップ用液」は、顕微鏡スライドの表面にカバースリップを接着させるために使用される接着剤を溶解する液体(実質的には非極性の有機液体)を表す。幾つかの態様において、カバースリップ溶媒は更に、カバースリップ接着剤(糊あるいは可視光線−又はUV−硬化性ポリマーの接着剤のような光線硬化性ポリマーのような)を包含して、カバースリップ組成物(特定の態様においては、更に液体の化合物を包含することができる)を形成することができるが、「前以て糊付けされた」カバースリップが使用される場合は、カバースリップ溶媒が前以て糊付けされたカバースリップ上の接着剤を溶解して、インサイチューでカバースリップ用組成物を形成するので、カバースリップ用溶媒中に前以て接着剤を包含する必要はないかも知れない。カバースリップ溶媒の例は、芳香族炭化水素(キシレン及びトルエンのような)、脂肪族炭化水素(例えば、C6〜C10アルカン及びアルケン及びそれらの混合物のようなアルカン及びアルケン)、テルペン(リモネンのような)並びにそれらの組み合わせ物を包含する。有利には、カバースリップ溶媒は揮発性であり、それが室温以上で有意な蒸気圧を有し、そのため、接着剤(それは溶媒中に包含されても、又は前以て糊付けされたカバースリップに接着された接着剤との溶媒の接触時に形成されてもよい)を包含するカバースリップ組成物から蒸発し、その接着剤がカバースリップを基材に接着させるカバースリップ接着剤(及びいくつかの態様においては、脂肪族化合物)を残すであろうことを意味する。カバースリップ溶媒の前記の例はすべて揮発性である。
【0029】
用語「洗剤」は実質的な水溶性(20℃で約0.05g/Lを超える、例えば20℃で約0.5g/Lを超える、又は20℃で約1g/Lを超えるような)を有し、有意な洗浄力(有意な量の、水中の油のような非極性物質を可溶化する洗浄性又は洗浄力)を示すセッケン(脂肪酸のアルカリ金属塩である)以外の界面活性化合物を表す。セッケンと異なり、洗剤は「硬水」中で見られるようなカルシウムイオンの存在下で典型的には沈殿しない。洗剤は非イオン性、カチオン性、アニオン性又は両性イオン性であってもよく、幾つかの洗剤の混合物であってもよい。洗剤の代表的群は、アルコールエーテルスルフェート、アルコールスルフェート、アルカノールアミド、アルキルスルホネート、アミンオキシド、両性洗剤、アニオン洗剤、ベタイン誘導体、カチオン洗剤、ジスルホネート、ドデシルベンゼンスルホン酸、エトキシル化アルコール、エトキシル化アルキルフェノール、エトキシル化脂肪酸、グリセロールエステル屈水性誘発物質、ラウリルスルフェート、モノ及びジグリセリド、非イオン洗剤、ホスフェートエステル、第四級洗剤及びソルビタン誘導体を包含する。代表的非イオン洗剤はBigCHAP(N,N−ビス(3−(D−グルコンアミド)プロピル]コールアミド)、ビス(ポリエチレングリコールビス[イミダゾイルカルボニル])、Brij(R)30(ポリオキシエチレン4ラウリルエーテル)、Brij(R)35(ポリオキシエチレン23ラウリルエーテル)、Brij(R)52(ポリオキシエチレン2セチルエーテル)、Brij(R)56(ポリオキシエチレン10セチルエーテル)、Brij(R)58(ポリオキシエチレン20セチルエーテル)、Brij(R)72(ポリオキシエチレン2ステアリルエーテル)、Brij(R)76(ポリオキシエチレン10ステアリルエーテル)、Brij(R)78(ポリオキシエチレン20ステアリルエーテル)、Brij(R)92(ポリオキシエチレン2オレイルエーテル)、Brij(R)97(ポリオキシエチレン10オレイルエーテル)、Brij(R)98(ポリオキシエチレン20オレイルエーテル)、Brij(R)700(ポリオキシエチレン100ステアリルエーテル)、Cremophor(R)EL(ヒマシ油/エチレンオキシドポリエーテル)、デカエチレングリコールモノドデシルエーテル、オクタノイル−N−メチルグルカミド(MECA−8)、デカノイル−N−メチルグルカミド(MECA−10)、n−オクチルグルコシド、n−ドデシルグルコシド、イソトリデシル−ポリ(エチレングリコールエーテル)n、N−デカノイル−N−メチルグルカミン、n−デシル−α−D−グルコピラノシド、デシル−β−D−マルトピラノシド、n−ドデカノイル−N−メチルグルカミド、n−ドデシル−α−D−マルトシド、n−ドデシル−β−D−マルトシド、ヘプタエチレングリコールモノデシルエーテル、ヘプタエチレングリコールモノテトラデシルエーテル、n−ヘキサデシル−β−D−マルトシド、ヘキサエチレングリコールモノドデシルエーテル、ヘキサエチレングリコールモノヘキサデシルエーテル、ヘキサエチレングリコールモノオクダデシルエーテル、ヘキサエチレングリコールモノテトラデシルエーテル、Igepal(R)CA−630(オクチルフェニル−ポリエチレングリコール)、Igepal(R)CA−210(ポリオキシエチレン(2)イソオクチルフェニルエーテル)、Igepal(R)CA−520(ポリオキシエチレン(5)イソオクチルフェニルエーテル)、Igepal(R)CO−630(ポリオキシエチレン(9)ノニルフェニルエーテル)、Igepal(R)CO−720(ポリオキシエチレン(12)ノニルフェニルエーテル)、Igepal(R)CO−890(ポリオキシエチレン(40)ノニルフェニルエーテル)、Igepal(R)CO−990(ポリオキシエチレン(100)ノニルフェニルエーテル)、Igepal(R)DM−970(ポリオキシエチレン(150)ジノニルフェニルエーテル)、メチル−6−O−(N−ヘプチルカルバモイル−)−.アルファ−.D−グルコピラノシド、ノナエチレングリコールモノドデシルエーテル、N−ノナノイル−N−メチルグルカミン、オクタエチレングリコール・モノデシルエーテル、オクタエチレングリコール・モノドデシルエーテル、オクタエチレングリコール・モノヘキサデシルエーテル、オクタエチレングリコール・モノオクタデシルエーテル、オクタエチレングリコール・モノテトラデシルエーテル、オクチル−.ベータ.−D−グルコピラノシド、ペンタエチレングリコール・モノデシルエーテル、ペンタエチレングリコール・モノドデシルエーテル、ペンタエチレングリコール・モノヘキサデシルエーテル、ペンタエチレングリコール・モノヘキシルエーテル、ペンタエチレングリコール・モノオクダデシルエーテル、ペンタエチレングリコール・モノオクチルエーテル、ポリエチレングリコール・ジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールエーテルW−1、ポリオキシエチレン10トリデシルエーテル、ポリオキシエチレン100ステアレート、ポリオキシエチレン20イソヘキサデシルエーテル、ポリオキシエチレン20オレイルエーテル、ポリオキシエチレン40ステアレート、ポリオキシエチレン50ステアレート、ポリオキシエチレン8ステアレート、ポリオキシエチレンビス(イミダゾリルカルボニル)、ポリオキシエチレン25プロピレングリコールステアレート、サポニン、Span(R)20(ソルビタンモノラウレート)、Span(R)40(ソルビタンモノパルミテート)、Span(R)60(ソルビタンモノステアレート)、Span(R)65(ソルビタントリステアレート)、Span(R)80(ソルビタンモノオレエート)、Span(R)85(ソルビタントリオレエート)、あらゆる形態のTergitol(テルギトール)[15−S−5型、15−S−7、15−S−9、15−S−12、15−S−30、NP−4、NP−7、NP−9、NP−10、NP−40、NPX(Imbentin−N/63)、TMN−3(ポリエチレングリコールトリメチルノニルエーテル)、TMN−6(ポリエチレングリコール・トリメチルノニルエーテル)、TMN−10(ポリエチレングリコールトリメチルノニルエーテル)、MIN FOAM 1x及びMIN FOAM 2xを包含する]、テトラデシル−.ベータ.−D−マルトシド、テトラエチレングリコール・モノデシルエーテル、テトラエチレングリコール・モノドデシルエーテル、テトラエチレングリコール・モノテトラデシルエーテル、トリエチレングリコール・モノデシルエーテル、トリエチレングリコール・モノドデシルエーテル、トリエチレングリコール・モノヘキサデシルエーテル、トリエチレングリコール・モノオクチルエーテル、トリエチレングリコール・モノテトラデシルエーテル、Triton(R)CF−21、Triton(R)CF−32、Triton(R)DF−12、Triton(R)DF−16、Triton(R)GR−5M、Triton(R)N−101(ポリオキシエチレン分枝ノニルフェニルエーテル)、Triton(R)QS−15、Triton(R)QS−44、Triton(R)RW−75(ポリエチレングリコール260モノ(ヘキサデシル/オクタデシル)エーテル及び1−オクタデカノール)、Triton(R)X−100(ポリエチレングリコール・tert−オクチルフェニルエーテル)、Triton(R)X−102、Triton(R)X−15、Triton(R)X−151、Triton(R)X−200、Triton(R)X−207、Triton(R)X−114、Triton(R)X−165、Triton(R)X−305、Triton(R)X−405(ポリオキシエチレン(40)イソオクチルフェニルエーテル)、Triton(R)X−405還元(ポリオキシエチレン(40)イソオクチルシクロヘキシルエーテル)、Triton(R)X−45(ポリエチレングリコール4−tert−オクチルフェニルエーテル)、Triton(R)X−705−70、あらゆる形態のTWEEN(R)(TWEEN(R)20(ポリオキシエチレンソルビタン・モノラウレート)を包含する)、TWEEN(R)21(ポリオキシエチレンソルビタン・モノラウレート)、TWEEN(R)40(ポリオキシエチレン(20)ソルビタン・モノパルミテート)、TWEEN(R)60(ポリエチレングリコールソルビタン・モノステアレート)、TWEEN(R)61(ポリエチレングリコールソルビタン・モノステアレート)、TWEEN(R)65(ポリオキシエチレンソルビタン・トリステアレート)、TWEEN(R)80(ポリオキシエチレンソルビタン・モノオレエート)、TWEEN(R)81(ポリオキシエチレンソルビタン・モノオレエート)並びにTWEEN(R)85(ポリオキシエチレン(20)ソルビタン・トリオレエート)、チロキサポール(ホルムアルデヒド及びオキシランとの4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノールポリマー)並びにn−ウンデシルβ−D−グルコピラノシドを包含する。代表的アニオン洗剤は、ケノデオキシコール酸、コール酸、デヒドロコール酸、デオキシコール酸、ジギトニン、ジギトキシゲニン、N,N−ジメチルドデシルアミンN−オキシド、ドキュセート・ナトリウム、グリコケノデオキシコール酸ナトリウム、グリココール酸、グリコデオキシコール酸、グリコリソコール酸3−スルフェート二ナトリウム塩、グリコリソコール酸エチルエステル、N−ラウロイルサルコシン、リチウムドデシルスルフェート、ルゴール(ヨウ素ヨウ化カリウム)、Niaproof(2−エチルヘキシルスルフェートナトリウム塩)、Niaproof4(7−エチル−2−メチル−4−ウンデシルスルフェーナトリウム塩)、場合により置換されていてもよいアルキルスルホネート塩(1−ブタンスルホネート、ペンタンスルホネート、ヘキサンスルホネート、1−オクタンスルホネート、1−デカンスルホネート、1−ドデカンスルホネート、1−ヘプタンスルホネート、1−ヘプタンスルホネート、1−ノナンスルホネート、1−プロパンスルホネート及び2−ブロモエタンスルホネートの塩、特にナトリウム塩を包含する)、コール酸ナトリウム、デオキシコール酸ナトリウム、場合により置換されていてもよいナトリウムドデシルスルフェート、ナトリウムオクチルスルフェート、ナトリウムタウロコレート、ナトリウムタウロケノデオキシコレート、ナトリウムタウロヒオデオキシコレート、タウロリソコール酸3−スルフェート二ナトリウム塩、タウロウルソデオキシコール酸ナトリウム塩、Trizma(R)ドデシルスルフェート、ウルソデオキシコール酸を包含する。アニオン洗剤は酸又は塩形態あるいは2種の組み合わせ物で提供することができる。代表的なカチオン洗剤は、アルキルトリメチルアンモニウム・ブロミド、ベンズアルコニウム・クロリド、ベンジルジメチルヘキサデシルアンモニウム・クロリド、ベンジルジメチルテトラデシルアンモニウム・クロリド、ベンジルドデシルジメチルアンモニウム・ブロミド、ベンジルトリメチルアンモニウム・テトラクロロヨー
デート、ジメチルジオクタデシルアンモニウム・ブロミド、ドデシルエチルジメチルアンモニウム・ブロミド、ドデシルトリメチルアンモニウム・ブロミド、エチルヘキサデシルジメチルアンモニウム・ブロミド、Girard’s試薬T、ヘキサデシルトリメチルアンモニウム・ブロミド、N,N’,N’−ポリオキシエチレン(10)−N−タロー−1,3−ジアミノプロパン、トンゾニウム・ブロミド及びトリメチル(テトラデシル)アンモニウム・ブロミドを包含する。代表的な両性イオン洗剤はCHAPS(3−{(3−コールアミドプロピル)−ジメチルアンモニオ}−1−プロパン−スルホネート)、CHAPSO(3−{(3−コールアミドプロピル)ジメチル−アンモニオ}−2−ヒドロキシ−1−プロパン−スルホネート)、3−(デシルジメチルアンモニオ)プロパンスルホネート、3−(ドデシルジメチルアンモニオ)プロパンスルホネート、3−(N,N−ジメチルミリスチルアンモニオ)プロパンスルホネート、3−(N,N−ジメチルオクタデシルアンモニオ)プロパンスルホネート、3−(N,N−ジメチルオクチルアンモニオ)プロパンスルホネート及び3−(N,N−ジメチルパルミチルアンモニオ)プロパンスルホネートを包含する。2種以上の洗剤の組み合わせ物並びに1種以上の洗剤及び1種以上の他の脂肪族化合物の組み合わせ物もまた想定される。洗剤は知られた方法を使用して合成することができるか又は例えば、Sigma−Aldrich,St.Louis,Mo.から購入することができる。
【0030】
用語「高温」は約25℃を超える温度、より典型的には約40℃でを超える温度又は約45℃を超える温度すら、のような約35℃を超える温度を表す。特定の態様においては、高温は約35℃〜約140℃の温度、例えば約40℃〜約120℃の温度を表す。特定の態様においては、高温は約40℃〜約90℃の温度である。
【0031】
語句「サンプルからの溶媒の蒸発を促進する条件下でサンプルを高温にさらす方法」は、サンプルからの溶媒の除去を促進する高温及びガス流(例えば、サンプル表面上の強制された又は受動的空気流)の組み合わせを表す。このような条件下でサンプルを高温に暴露する方法はサンプル上に横たわる溶媒の少なくとも一部を除去し、そして/又は処理中サンプル中を貫通した溶媒の少なくとも一部を除去するために十分な時間(特定の高温において)実施することができる。サンプルからの溶媒の蒸発を促進する条件下におけるサンプルの高温への暴露は、例えば輻射ヒーター又は対流オーブンにより達成することができる。サンプルからの溶媒の蒸発を促進するために使用される輻射ヒーター又は対流オーブンはサンプルの表面上の受動的対流ガス流を促進し、そして/又はサンプル上にガス流を強制的に流す手段(ファン又は圧縮ガス源のような)を包含することができる。
【0032】
用語「脂肪酸」は約6〜約35個の炭素原子(酸素又は窒素のような更なるヘテロ原子を伴っても又は伴わなくてもよい線状、分枝及び/又は環状構造物に配列することができる)を有する脂肪族カルボン酸又はその塩(そのうち、アルカリ金属塩がセッケンである)を表す。脂肪酸は、飽和及び不飽和脂肪酸を包含する。不飽和脂肪酸は、モノエン脂肪酸、ポリエン脂肪酸(メチレン−妨害、ポリメチレン−妨害、共役及びアレン酸を包含する)及びアセチレン脂肪酸(タリル酸、ステアロール酸、サンタルビン酸、キシメニン酸、6,9−オクタデセニン酸、ピルリン酸、クレペニン酸及びヘイステリン酸のような)を包含する。脂肪酸の例は、ミリスチン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ラノリン酸、イソステアリン酸、ウンデシレン酸、水素化動物脂肪酸、水素化植物脂肪酸及び三重プレス(triple−press)脂肪酸を包含する。包含脂肪酸の例はオクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸、トリデカン酸、テトラデカン酸、ペンタデカン酸、ヘキサデカン酸、ヘプタデカン酸、オクタデカン酸、ノナデカン酸、エイコサン酸、ドコサン酸、テトラコサン酸、ヘキサコサン酸、ヘプタコサン酸、オクタコサン酸、トリアコンタン酸、ドトリアコンタン酸、トリトリアコンタン酸、テトラトリアコンタン酸及びペンタトリアコンタン酸を包含する。不飽和脂肪酸の例は、オブツシリン酸、リノール酸、γ−リノレン酸、ジホモ−γ−リノレン酸、アラキドン酸、7,10,13,16−ドコサテトラエン酸、4,7,10,13,16−ドコサペンタエン酸、α−リノレン酸、ステアリドン酸、8,11,14,17−エイコサテトラエン酸、EPA、DPA、DHA、Mead酸、カプロレン酸、ラウロレン酸、リンデル酸、ミリトレン酸、フィセテリン酸、ツズ酸、オレイン酸、パルミトレン酸、ペテロセリン酸、バクセン酸、ゴドレン酸、ゴンドイン酸(gondoic acid)、セトレン酸、エルカ酸、ネルボン酸、エライジン酸、t−バクセン酸を包含する。脂肪酸のその他の例は、ヒドロキシ脂肪酸、ジカルボン酸、脂肪酸カルボネート、ジビニルエーテル脂肪酸、硫黄含有脂肪酸、脂肪酸アミド、メトキシ脂肪酸、アルデヒド脂肪酸、ハロゲン化脂肪酸及び硝酸化脂肪酸を包含する。分枝鎖脂肪酸は、モノ又は多分枝鎖脂肪酸(ツベルキュロステアリン酸、フィトモン酸(phytomonoic acid)、レチポリン酸、ミコセラン酸、ミコセロン酸、フチオセラン酸、フィタン酸、プリスタン酸、レチノイン酸のような)、分枝メトキシ脂肪酸(2−メトキシ−14−メチルペンタデカン酸及び2−メトキシ−13−メチルペンタデカン酸のような)及び分枝ヒドロキシ脂肪酸(ミコール酸)を包含する。環含有脂肪酸はシクロプロパン酸(マジュスキュロン酸のような)、シクロプロペン酸(ステルキュリン酸及びマルバリン酸のような)、シクロペンチル酸及びシクロペンテニル酸、フラノイド酸、シクロヘキシル酸、エポキシ酸、環式脂肪過酸化物及びリポ酸を包含する。2種以上の脂肪酸の組み合わせ物並びに1種以上の脂肪酸及び1種以上の他の脂肪族化合物の組み合わせ物もまた、想定される。脂肪酸は合成され、天然原料から単離され、又は購入することができる。典型的には、本明細書で使用される脂肪酸は、その非塩形態が有機溶媒、特にリモネンのような非極性溶媒中でより高い溶解度を有するので、その非塩形態で存在するであろう。
【0033】
用語「脂肪アルコール」は6〜35個の炭素原子(例えば、12〜24個の間の炭素原子のような、8〜30個の間の炭素原子)を有する脂肪族第一級又は第二級アルコールを表し、そのアルコールは飽和でも不飽和でもよく、そして分枝でも又はシクロプロパン環のような環構造物を含有してもよく、そして更に、更なるメチル、アルコキシ、サルフェート及び/又はヒドロキシル基置換物を包含してもよい。飽和脂肪アルコールの特定の例は、n−オクタノール、n−ノナノール、n−デカノール、n−ウンデカノール、n−ドデカノール、n−トリデカノール、n−テトラデカノール、n−ペンタデカノール、n−ヘキサデカノール、n−ヘプタデカノール、n−オクタデカノール、n−ノナデカノール及びn−エイコサノール、ベヘニルアルコール、イソオクタノール、イソノナノール、イソデカノール、イソウンデカノール、イソドデカノール、イソトリデカノール、イソテトラデカノール、イソペンタデカノール、イソヘキサデカノール、イソヘプタデカノール、イソオクタデカノール、イソノナデカノール、イソエイコサノール、イソベヘニルアルコール、2−オクタノール、2−デカノール、2−ドデカノール、2−トリデカノール、2−テトラデカノール、2−ペンタデカノール、2−ヘキサデカノール、2−ヘプタデカノール、2−オクタデカノール、2−ノナデカノール及び2−エイコサノールを包含する。不飽和アルコールの特定の例は、アラキジルアルコール、エルシルアルコール、イソアラキジルアルコール、オレイルアルコール、イソオレイルアルコール、リノレイルアルコール、イソリノレイルアルコール、リノレニルアルコール、イソリノレニルアルコール、オブツシリルアルコール、カプロレイルアルコール、ラウロレイルアルコール、リンデリルアルコール、ミリストレイルアルコール、フィセテリルアルコール、ツズイルアルコール、パルミトレイルアルコール、ペトロセリニルアルコール、バクセニルアルコール、ガドレイルアルコール、ゴンドイルアルコール、セトレイルアルコール、エルシルアルコール、ネルボイルアルコール、エライジルアルコール及びt−バクセニルアルコールを包含する。分枝鎖脂肪アルコールの特定の例は、2−ブチル−1−デカノール、2−ブチル−1−オクタノール、2−デシル−1−テトラデカノール、2−ドデシル−1−ヘキサデカノール、2−ヘキサデシル−1−エイコサノール、2−ヘキサデシル−1−オクタデカノール、2−ヘキシル−1−オクタノール、2−ヘキシル−1−デカノール、2−ヘキシル−1−ドデカノール、2−オクチル−1−デカノール、2−オクチル−ドデカノール、2−テトラデシル−1−エイコサノール及び2−テトラデシル−1−オクタデカノール(例えばJarchem Industries,Inc.,Newark,NJから利用可能な)を包含する。環含有脂肪アルコールの例は、シクロプロパン環、シクロプロペン環又はシクロペンテン環を含有するアルコールを包含する。環含有脂肪アルコールの特定の例はマジュスキュリルアルコール、ステルキュリルアルコール、マルバリルアルコール、ショールムーグリルアルコール及びベルノリルアルコールを包含する。脂肪アルコールは更に、コロナリルアルコール及びベルノリルアルコールのようなエポキシアルコールを包含する。更に、脂肪アルコールはタリリルアルコール、サンタルビルアルコール、ピルリルアルコール、クレペニニルアルコール、ヘイステリルアルコール及びオルフェニルアルコールのようなエチニルアルコールを包含する。脂肪アルコールはモノ−メチル化アルコール(フチオセロール)、ポリイソプレノイドアルコール(プリスタノール及びフィタノールのようなイソプラノールのような)、ポリプレノール(ゲラニノール、ファルネソール、ゲラニルゲラニオール、ゲラニルファルネソール、ソラネソール、カスタプレノール、フィカプレノール、ドリコール及びフィトールのような)並びに芳香族ポリイソプレノイドアルコール(トコフェロール、ステロイド、トリテルペノイド、フラバノイド、カルテノイド及びデラタノイドのような)を包含する。2種以上の脂肪アルコールの組み合わせ物並びに1種以上の脂肪アルコール及び1種以上の他の脂肪族化合物の組み合わせ物もまた想定される。脂肪アルコールは対応する脂肪酸から還元により調製され、天然原料から単離され、又は市販品を購入することができる。
【0034】
用語「脂肪アミン」は6〜35個間の炭素原子を有する脂肪族アミン又はその塩を表す。脂肪アミンは第一級、第二級、第三級及びエトキシル化又はプロポキシル化アミンを包含する。例は、オレイルアミン、1−ドデシルアミン、ジ−n−オクタデシルアミン、トリ(イソデシル)アミン、ジメチル−n−デシルアミン、ビス(2−ヒドロキシエチル)ドデシルアミン、ビス(2−ヒドロキシプロピル)ドデシルアミン、ビス(2−ヒドロキシエチル)タローアミンを包含する。更なる例は、n−オクチルアミン、n−デシルアミン、n−テトラデシルアミン、n−ヘキサデシルアミン、n−オクタデシルアミンを包含する。脂肪アミンの他の例はAkzoのArmeen C、Armeen O、Armeen OL、Armeen T、Armeen HT、Armeen S及びArmeen SDのようなArmeen(R)アミン(Akzo Chemicals,Chicago,Ill.から入手可能)のような市販の脂肪アミンを包含し、そこで文字の記号標記はココ、オレイル、タロー又はステアリル基のような脂肪基に関する。脂肪アミンは、有機合成の技術分野で周知の方法に従って対応する脂肪酸又は脂肪アルコールから調製することができる。従って、他の特別に引用された脂肪アルコール及び脂肪酸から誘導されるアミンが想定される。2種以上の脂肪アミンの組み合わせ並びに1種以上の脂肪アミン及び1種以上の他の脂肪族化合物の組み合わせ物も想定される。典型的には、本明細書において使用される脂肪アミンは、非塩形態が有機溶媒、特にリモネンのような非極性溶媒中でより高い溶解度を有するので、その非塩形態で存在するであろう。
【0035】
用語「脂肪エステル」は、合計約6〜約100個の炭素原子、例えば、約10〜約35個の炭素原子のような約8〜約50個の炭素原子を有するアルコール(脂肪アルコール等)及びカルボン酸(脂肪酸等)のエステルを表す。アルコール部分は第一級又は第二級アルコール、あるいはグリセロール又は糖のようなポリオールであってもよい。脂肪酸部分はモノカルボン酸又は、アジピン酸のようなジカルボン酸のようなポリカルボン酸であってもよい。アルコール及びカルボン酸は双方とも飽和又は不飽和で、線状又は分枝であってもよく、そしてヒドロキシル基及びアルコキシ基(例えばメトキシ又はエトキシ基)のような更なる基で置換されても又は未置換でもよい。本明細書に開示される特定の脂肪アルコールはいずれも酢酸、プロピオン酸、n−ブタン酸、イソブタン酸、n−ぺンタン酸、イソペンタン酸又はネオペンタン酸のようなカルボン酸と合わせて脂肪エステルを提供することができる。同様に、本明細書に開示される特定の脂肪酸はいずれも、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、n−ペンタノール、イソペンタノール又はネオペンタノールのようなアルコールと合わせて、脂肪エステルを提供することができる。このようなエステルを調製する方法は当該技術分野で周知である。特定の態様において、脂肪エステルは直鎖脂肪族第一級アルコール及び式RCOOR’(ここでR及びR’はアルキル又はアルケニル基のような脂肪族基であり、そしてR及びR’は独立して1〜50個の炭素原子、例えば1〜20個の炭素原子のような1〜30個の炭素原子をもつ)を有する直鎖脂肪酸のエステルである。脂肪エステルの特定の例は、アスコルビルパルミテート、セチルラクテート、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、プロピレングリコールジカプリレート/ジカプレート、ミリスチルラクテート、ミリスチルミリステート、ペンタエリスリチルテトラオレエート、ペンタエリスリチルテトラステアレート、イソプロピルミリステート、イソプロピルパルミテート、セチルエステル、ステアリルステアレート、ブチルステアレート、ミレス−3ミリステート、ペンタエリスリチルテトラベヘネート、ジイソプロピルアジペート、ジペンタエリスリチルヘキサカプリレート/ヘキサカプレート、ネオペンチルグリコールジカプリレート/ジカプレート、トリデシルステアレート、トリデシルトリメリテート、PEG−4ジヘプタノエート、ペンタエリスリチル・テトラカプリレート/テトラカプレート、イソセチルステアレート、エチルヘキシルパルミテート、C12〜15アルキルベンゾエート、セチルリチノールエート、グリコールステアレート、グリコールジステアレート、プロピレングリコールステアレート、グリセリルステアレート、グリセリルココエート、トリゲヘニン、トリラウリン、ステアリルアセテート、パルミチルジ−ラクテート、ココイルイソブチレート、オレイルマレエート、オレイルジマレエート、タロウイルプロピオネート、2−エチルヘキシルパルミテート、2−エチルヘキシルステアレート、セチルオクタノエート、ヘキシルラウレート、イソブチルタロウェート、イソステアリルパルミテート、n−ブチルオレエート、n−ブチルステアレート、n−プロピルオレエート、トリデシルステアレート、イソブチルミリステート、イソプロピルパルミテート、イソプロピルステアレート、イソプロピルイソステアレート、イソブチルステアレート、リナリルアセテートを包含する。更なる脂肪エステルはキシリトールモノパルミテート、ペンタエリスリトールモノステアレート、スクロースモノステアレート、グリセロールモノステアレート、エチレングリコールモノステアレート、ソルビタンエステルを包含する。適したソルビタンエステルはソルビタン・モノステアレート、ソルビタン・パルミテート、ソルビタン・モノラウレート、ソルビタン・モノミリステート、ソルビタン・モノベヘネート、ソルビタン・モノオレエート、ソルビタン・ジラウレート、ソルビタン・ジステアレート、ソルビタン・ジベヘネート、ソルビタン・ジオレエート及び更に混合タローアルキルソルビタン・モノ−及びジ−エステルを包含する。2種以上の脂肪エステルの組み合わせ物並びに1種以上の脂肪エステル及び1種以上の他の脂肪族化合物の組み合わせ物も想定される。脂肪エステルは合成しても、天然原料から単離しても又は購入することもできる。Liponate(R)エステルのような皮膚軟化性エステルはLipo Chemicals,Patterson,NJから入手することができる。
【0036】
語句「実質的に同様なサンプルに比較して増加したコントラスト並びに細胞及び非細胞質鮮明度」は、実質的に同様な方法で処理された2種の実質的に同様な生体サンプルが顕微鏡により比較される状況を表す。しかし、サンプルの一方は本開示に従う脂肪族化合物と接触され、そして他方は接触されておらず、そして脂肪族化合物と接触したサンプルが細胞及び非細胞質特徴物のより大きな視覚的鮮明度を示す。幾つかの態様においては、サンプルにおける細胞及び非細胞質特徴物の増加した視覚的鮮明度のみならずまた、脂肪族化合物で処理されたサンプルは全体的により明白なコントラストを示し、観察者により、更に容易に観察されることができる。他の態様においては、鮮明度の増加及び増加したコントラストは特に、離散した局在信号(離散蛍光信号のような)の増加と反対に、サンプルに対する全体的増加を表す。特定の態様において、組織学的染色剤で染色され、脂肪族化合物で処理されたサンプルは明視野顕微鏡で観察されると増加した細胞及び非細胞質鮮明度及びコントラストを示すであろう。1つのアスペクトにおいて、増加した鮮明度は病理学者が診断する際の補助になることができる。もう1つのアスペクトにおいて、増加した鮮明度は、脂肪族化合物で処理されないH&E染色サンプルと比較すると、脂肪族化合物で処理されたH&E染色サンプルにおけるコントラスト及び細胞の鮮明度の程度の全体的増加を包含する。
【0037】
用語「組織化学的」は、組織片又は細胞サンプルのような生体サンプルにおける特定の分子又は構造及び/又はそれらの位置を検出するために使用することができる信号又はパターンを提供するために使用されるあらゆる方法を表す。組織化学的方法は、免疫組織化学的方法、細胞化学的方法、組織学的方法、酵素組織化学的方法、特別染色法及びインサイチューハイブリッド法を包含する。組織化学的方法により提供されるパターン及び信号は、限定せずに、白色光がサンプルを通過し、そして幾らかが吸収される時に形成される補色のパターン、サンプル中の発蛍光団の励起後に検出される蛍光信号、酵素反応により付着される着色物質のパターン並びに抗体のような放射能標識プローブ及び核酸プローブにより形成されるシンチレーション信号を包含する。
【0038】
本明細書で使用される用語「組織学的染色剤」(「組織学的染色」)は、特定のタイプの細胞及び/又は細胞成分に優先的に結合する染色剤又は物質(あるいは染色剤又は物質の適用)を表す。細胞又は細胞成分に対する組織学的染色剤の優先的結合は、抗原抗体結合相互反応(例えば、免疫組織化学的染色における)又は相補的核酸のハイブリッド形成(例えば、インサイチューのハイブリッド形成における)におけるような特定の分子認識事象を伴わない。組織学的染色剤は広域光線がサンプルを通過する(又はサンプルから反射する)時に特定の波長の広域光線(可視白色光のスペクトルのような)を吸収して、それにより検出される補色を残す(例えば、明視界光顕微鏡において視覚的に)ことによりサンプルに色彩を与えることができる。組織学的染色剤は、アクリジン染色剤、アントラキノン染色剤、アリールメタン染色剤、アゾ染色剤、ジアゾニウム染色剤、ニトロ染色剤、フタロシアニン染色剤、キニンイミン染色剤、テトラゾリウム染色剤、チアゾール染色剤及びキサンテン染色剤のような染色剤を包含する。組織学的染色液はヘマトキシリン及びエオシンを包含し、それらは一緒に、一般的目的の組織学的染色剤であり、特定の診断環境に使用される「特定染色剤」である。組織学的染色に有用な染色剤の例は、アセチルイエロー、アシドブラック1、アシドブルー22、アシドブルー93、アシドフクシン、アシドグリーン、アシドグリーン1、アシドグリーン5、アシドマゼンタ、アシドオレンジ10、アシドレッド4、アシドレッド26、アシドレッド29、アシドレッド44、アシドレッド51、アシドレッド66、アシドレッド73、アシドレッド87、アシドレッド91、アシドレッド92、アシドレッド94、アシドレッド101、アシドレッド103、アシドロゼイン、アシドルビン、アシドバイオレット19、アシドイエロー1、アシドイエロー9、アシドイエロー23、アシドイエロー24、アシドイエロー36、アシドイエロー73、アシドイエローS、アシドイエローT、アクリジンオレンジ、アクリフラビン、アルシアンブルー、アルシアンイエロー、アルコール可溶性エオシン、アリザリン、アリザリンブルー、アリザリンブルー2RC、アリザリンカーマイン、アリザリンシアニンBBS、アリザロールシアニンR、アリザリンレッドS、アリザリンパープリン、アルミノン、アミドブラック10B、アミドナフトールレッド、アミドシュワルツ、アニリンブルーWS、アニリンパープル、アントラセンブルーSWR、アントラセンブルーSWX、オーラミンO、アゾ−エオシン、アゾカーマインB、アゾカーマインG、アゾエオシンG、アゾイックジアゾ5、アゾイックジアゾ48、アゾフロキシン、アゾバンブルー、アズレA、アズレB、アズレC、ベーシックブルー8、ベーシックブルー9、ベーシックブルー12、ベーシックブルー15、ベーシックブルー17、ベーシックブルー20、ベーシックブルー26、ベーシックブラウン1、ベーシックフクシン、ベーシックグリーン4、ベーシックグリーン5、ベーシックオレンジ14、ベーシックレッド2、ベーシックレッド5、ベーシックレッド9、ベーシックバイオレット2、ベーシックバイオレット4、ベーシックバイオレット10、ベーシックバイオレット14、ベーシックイエロー1、ベーシックイエロー2、ビーブリッヒ(Biebrich)スカーレット、ビーブリッヒスカーレットR、ビスマルクブラウンY、ブラジレイン、ブラジリン、ブリリアントクロセイン、ブリリアントクリスタルスカーレット6R、カルシウムレッド、カーマイン、カルミン酸カルモイシン6R、セレスチンブルーB、チャイナブルー、クロランチンファストレッド5B、コチニール、コエレスチンブルー、シカゴブルー4B、クロムバイオレットCG、クロモトロープ2R、クロモキサンシアニンR、コンゴコリント、コンゴレッド、コットンブルー、コットンレッド、クロセインスカーレット、クロセインスカーレット3B、クロセインスカーレットMOO、クロシン、クリスタルポンソー6R、クリスタルスカーレット、クリスタルバイオレット、ダーリア、ダイアモンドグリーンB、ダイレクトブルー14、ダイレクトブルー58、ダイレクトレッド、ダイレクトレッド10、ダイレクトレッド28、ダイレクトレッド80、ダイレクトレッド81、ダイレクトイエロー7、ドラゾールブルー4R、ドラゾールブルー8G、エオシンB、エオシンブルーイッシュ、エオシン、エオシンY、エオシンイエローイッシュ、エオシノール、エリーガーネットB、エリオクロムシアニンR、エリスロシンBエチルエオシン、エチルグリーン、エチルバイオレット、エバンズブルー、ファストブルーB、ファストグリーンFCF、ファストレッドB、ファストイエロー、ファストイエローエクトラ、ファストイエローG、ファストブラックHB、フルオレセイン、フードグリーン3、ガレオン、ガラミンブルー、ガロシアニン、ゲンチアンバイオレット、ヘマテイン、ヘマチン、ヘマトキシリン、ヘリオファストルビンBBL、ヘルベチアブルー、ホフマンズバイオレット、ヒドラジンイエロー、インペリアルレッド、イングレインブルー1、イングレインイエロー1、INT、ケルメス、ケルメス酸、ケルネクトロート、Lac、ラッカイン酸(laccaic acid),ラウススバイオレット、ライトグリーン、リッサミンファストイエロー、リッサミングリーンSF、ルクソールファストブルー、マゼンタ0、マゼンタI、マゼンタII、マゼンタIII、マラカイトグリーン、マンチェスターブラウン、マルチウスイエロー、モーブ、モーベイン、メルブロミン、マーキュロクロム、メタニルイエロー、メチレンアズレA、メチレンアズレB、メチレンアズレC、メチレンブルー、メチレングリーン、メチルブルー、メチルグリーン、メチルバイオレット、メチルバイオレット2B、メチルバイオレット10B、ミリングイエロー3G、モルダントブルー3、モルダントブルー10、モルダントブルー14、モルダントブルー23、モルダントブルー32、モルダントブルー45、モルダントレッド3、モルダントレッド11、モルダントバイオレット25、モルダントバイオレット39、ナフタレンブルーブラック、ナフトールブルーブラック、ナフトールグリーンB、ナフトールイエローS、ナチュラルブラック1、ナチュラルレッド、ナチュラルレッド3、ナチュラルレッド4、ナチュラルレッド8、ナチュラルレッド16、ナチュラルレッド24、ナチュラルレッド25、ナチュラルレッド28、ナチュラルイエロー6、NBT、ニュートラルレッド、ニューフクシン、ナイアガラブルー3B、ナイトブルー、ナイルブルー、ナイルブルーA、ナイルブルースルフェート、ナイルレッド、ニトロBT、ニトロブルーテトラゾリウム、ニュクリアファストレッド、オイルレッドO、オレンジG、オルセイン、パラロザニリン(pararosanilin)、パーキンズバイオレット、フロキシンB、ピクリン酸、ポンソー2R、ポンソー6R、ポンソーB、ポンソーデキシリジン、ポンソーS、ポンタミンスカイブルー5B、プリムラ、プリムリン、パープリン、ピロニンB、ピロニンG、ピロニンY、ローダミンB、ロサニリン、ローズベンガル、サフロン、サフラニンO、スカーレットR、スカーレットレッド、シャーラッハ(Scharlach)R、セラック、シリウスレッドF3B、シリウスレッド4B、シリウススプラブルーF3R、ソロクロムシアニンR、ソリュブルブルー、ソルベントブラック3、ソルベントブルー38、ソルベントレッド23、ソルベントレッド24、ソルベントレッド27、ソルベントレッド45、ソルベントイエロー94、スピリットソリュブルエオシン、スダンIII、スダンIV、スダンブラックB、スダンレッドBK、サルファーイエローS、スイスブルー、タートラジン、チオフラビンS、チオフラビンT、チオニン、トルイジンブルー、トルイリンレッド、トロペオリンG、トリパフラビン、トリパンブルー、ウラニン、ビクトリアブルー4R、ビクトリアブルーB、ビクトリアブルーR、ビクトリアグリーンB、ウオーターブルーI、水溶性エオシン、ウッドステインスカーレット、キシリジンポンソー及びイエロイッシュエオシン並びにそれらの組み合わせ物を包含する。ミョウバンに媒染されたヘマトキシリン組織学的染色剤の特定の例は、アンダーソンズ(Anderson’s)、アパシーズ(Apathy’s)、ベーカーズ(Baker’s)、ベネッツ(Bennett’s)、ボーマーズ(Bohmer’s)、ボスマズ(Bosma’s)、バラーズ(Bullard’s)、カラッツィズ(Carazzi’s)、コールズ(Cole’s)、デビデンズ(Debiden’s)、デグルーツ(de Groot’s)、デラフィールズ(Delafield’s)、デュバールズ(Duval’s)、エールリッヒス(Ehrlish’s)、フリードランダーズ(Friedlander’s)、ガズドンズ(Gadsdon’s)、ゲージズ(Gage’s)、ガリヒャーズ(Galigher’s)、ガルベイズ(Garvey’s)、ギルズ(Gill’s)、グラハムズ(Graham’s)、ハミルトンズ(Hamilton’s)、ハリス(Harris’)、ハリス(Harris)&パワーズ(Power’s)、ハウグス(Haug’s)、ホーニーオールズ(Hoeneyold’s)、クライネンベルグズ(Kleinenberg’s)、クラッツェイズ(Krutsay’s)、ランゲロンズ(Langeron’s)、ラウノイズ(Launoy’s)、リーズ(Lee’s)、リリーズ(Lillie’s)、ルゴールズ(Lugol’s)、マクラクランズ(McLachlan’s)、マロリーズ(Mallory’s)、マンズ(Mann’s)、マルチノティズ(Martinotti’s)、マッソンズ(Masson’s)、メヤーズ(Mayer’s)、ミッチェルズ(Mitchell’s)、モルナールズ(Molnar’s)、パパミルティアーデス(Papamiltiades’)、プセイズ(Pusey’s)、ラウイッツ(Rawitz’)、レディーズ(Reddy’s)、サッス(Sass’)、シュモールズ(Schmorl’s)、スリッダーズ(Slidders’)、ウンナズ(Unna’s)、ワトソンズ(Watson’s)及びワイゲルト(Weigert)&ライツ(Wright’s)を包含する。鉄媒染ヘマトキシリン染色剤の特定の例は、アンダーソンズ(Amderson’s)、クレチンズ(Cretin’s)、フォーレズ(Faure’s)、ゴールドマンズ(Goldman’s)、ハンセンズ(Hansen’s)、ハイデンハインズ(Heidenhain’s)、ジャンセンズ(Janssen’s)、ケファラス(Kefalas’)、クラジアンズ(Krajian’s)、クルッツェイズ(Krutsay’s)、ラマンナズ(La Manna’s)、リリーズ、リリー&アールズ(Earle’s)、マッソンズ(Masson’s),モア(More)&バッサルズ(Bassal’s)、ムレイズ(Murray’s)、パクイン(Paquin)&ゴッダルズ(Goddard’s)、ルゴーズ(Regaud’s)、ロザス(Rozas’),セイデリンズ(Seidelin’s)、トマス(Thomas’)、ワイゲルツ(Weigert’s)及びヤスボインズ(Yasboyn’s)を包含する。ビスマス媒染ヘマトキシリンはローチ(Roach)&スミスス(Smith’s)である。銅媒染ヘマトキシリンはベンスレーズ(Bensley’s)、クックス(Cook’s)及びフォーレズを包含する。モリブデン媒染ヘマトキシリンはヘルズ(Held’s)である。バナジウム媒染ヘマトキシリンはヘデンハインズ(Hedenhain’s)及びスミスス(Smith’s)を包含する。ジルコニウム媒染ヘマトキシリンはマックナルティ(McNulty)&スミスス(Smith’s)である。1種又は複数の特定の染
色剤を使用する組織学的染色法の例は、限定せずに、スコットのCEC;ヘール(Hale)のコロイド状鉄;マウリー(Mowry)のコロイド状鉄;リッター(Ritter)&オルソン(Oleson)のコロイド状鉄;スミス&マクナルツィのジルコニルヘマトキシリン;マクファーランド(MacFarland)及びダベンポルト(Davenport)の銀プロテイネート;アキタ&カネコのハムミョウバン(hamalum);レンドルム(Lendrum),スリダース(Slidders)&フレーザー(Fraser)アルシアンブルー;ゲイブ(Gabe)のアルデヒドフクシン;ゴモリ(Gomori)アルデヒドフクシン;ルウエリン(Lewelyn)のアルデヒドトルイジンブルー;カルシウムのためのマギーラッセル(MaGhee Russel)アリザリンレッドS;ショケイア(Shokeir)&エルバゴーリ(Elbagoury)のアロキサンシッフ;ベンホルド(Benhold)のコンゴレッド;バーンズ(Burns),ペンノック(Pennock)&ストワルド(Stoward)のチオフラビンT;イーストウッド(Eastwood)及びコール(Cole)のコンゴレッド;ハイマン(Hifhman)のコンゴレッド;レウエリン(Llewellyn)のシリウスレッド;プフトラー(Puchtler),スウエット(Sweat)及びレビン(Levine)のコンゴレッド;ストローク(Stroke)のコンゴレッド;スウェット(Sweat)及びプフトラーのシリウスレッド;ヴァッサー(Vassar)及びカリング(Culling)のチオフラビンT;ローチ(Roach)&スミスのビスマスヘマトキシリン;アルクシュ(Arkush)&プロエシャーの鉄ミョウバン−セレスチンブルー;ノッチングハム(Nottingham)法;フルキアン−シェンク(Furukian−Schenk)のグラム染色剤;ベーカー(Baker)のミョウバンヘマトキシリン;スミスのバナジウムヘマトキシリン;バウレ(Baure)反応;ベネット(Bennett)のミョウバンヘマトキシリン;ベンホールド(Bennhold)のコンゴレッド;ベンスレイ(Bensley);ブーン(Boone)&ドリジヴェル(Drijver)のトリクロム;ベンスレー(Bensley)のPTAB;ブリルメイヤー(Brillmeyer)のトリクローム;バーンズ(Burns),ペンノック(Pennock)&ストワード(Stoward)のチオフラビンT;CAB;フォンコッサ(Von Kossa);カラッツィズ(Carrazzi’s);リリーのロングPAS;リリーのショートPAS;スタンダードPAS;周期的アシドチオセミカルバジド;ケーソン(Cason)のトリクロム;シフェル(Chiffelle)&パット(Putt);アイナルソン(Einarson);ヘロビチ(Herovici);ピクロ−フクシン;プフトラーズ(Puchtler’s);ファンギーソンズ(van Gieson’s);ホハシ(Hohashi)のトリクロム;モリエル(Mollier)のトリクロム;パクイン(Paqui)&ゴッダルド(Goddard)のトリクロム;パシニ(Pasini)のトリクロム;ワルター(Walter)のトリクロム;ガーベイ(Garvey);ガルベイ−モヴァト(Garvey−Movat)ペンタクロム;ロク(Roque)のトリクロム;シルバーマン−モバト(Silverman−Movat)ペンタクロム;ホランデ(Hololande)のトリクローム;ベンスレイ(Bensley)のトリクロム;ケーソン(Cason)のトリクロム;ゴモリ(Gomori)のトリクロム;ヘデンハイン(Hdenhain)のアザントリクロム;クリチェスキ(Kricheski)のトリクロム;ラデウィッグ(Ladewig)のトリクロム;リーブラウン(Lee−Brown)のトリクロム;リリー(Lillie)のトリクロム;マロリー(Mallory)のトリクロム;マッソン(Masson)のトリクロム及び改変化物;ミリガン(Milligan)のトリクロム;モレンドル(Mollendor)のトリクロム;パテイ(Patay)のトリクロム;シューブリッジ(Shoobridge)のポリクロム;クロスマン(Crossman)のトリクロム;ホウェル(Howell)のルベアン酸;カリング(Culling)&バッサー(Vassar)のチオフラビンT;カニングハム(Cunningham)&エンジェルズ(Engel’s);パパニコロウ(Papanicolou)のアルコール性トリクロム;パパニコロウのトリクロム;ドーズ(Daws)トリクロム;フォイルゲンズ(Feulgen’s);デュプレス(Dupres)マゼンタ;エナルソン(Enarson)のガロシアニンクロム;ハート(Hart)の鉄レソルシンフクシン;ハンバーストン(Humberstone)の鉄レソルシン;テンゼル−ウンナ(Taenzer−Unna)オルセイン;ウンナ(Unna)のオルセイン−アニリンブルー;ワイグヘルト(Weighert)の鉄レソルシンフクシン;コハシ(Kohashi)のトリクロム;パクイン(Paquin)&ゴッダルド(Goddard)のトリクロム;ウォルターズ(Walters)トリクロム;ドー(Dawe)のトリクロム;メーター(Meter)のエオシン;シフェル(Cheffele)&パット(Patt);パールス(Perls)プロシャンブルー;ディルマンシュメルツァーターナル(Dirmann Schmelzer Turnull)のブルーブルー;MSB;マッソン(Masson)44/41;オバディア(Obadia);ピクロ−マロリー(Picro−Mallory);グリズリー(Gridley);ロウェリン(Lewellyn)の二重酸化チオセミカルバジドシュモール(Schmorl);バンダービルト(Vanderbilt);ヘイソーン(Haythorne)のトリクロム;ハイデンハイン(Haidenhain)のアザントリクロム;ルング(Leung)&ギボン(Gibbon)のアルシアンイエロートルイジンブルー;サイード(Sayeed)のPAS−トルイジンブルー;トルイジンブルー;コネフ(Koneff)のトリクロム;コストビエスキー(Kostowiecki)のトリクロム;リー−ブラウン(Lee−Brown)のトリクロム;レンドラム(Lendrum)のフロキシンタルトラジン;ロークス(Roques)のトリクロム;メヤー(Mayer)のムシカルミン;メヤーのムシヘルナテイン;レウェリン(Llewellyn)の媒染ブルー3;ノッチングハム(Nottingham)法;ニュクリアファストレッド対比染色剤;スリダース(Slidders)OFG;プロピレングリコール中のシフェル(Cheffelle)&パット(Putt)オイルレッドO;パルムグレン(Palmgren)の銀含浸物;パテイ(Patay)のトリクロム;ルイス&ミラーのトリクロム;ヴァンギーソン(van Gison);及び前記の特定のヘマトキシリンを利用する方法を包含する。特定の細胞及び細胞成分を染色するために使用される染色プロトコール、染色剤及び染色液は当業者に周知であり、そして更なる例はStainsfile(Bryan Llewellynにより維持される組織工学者のためのインターネット資料);Kiernan,”Histologizal and Histochemical methods:Theory and Practice(「組織学的及び組織化学的方法:理論及び方法」),”3rd Ed.Butterworth Heinemann,Oxford,UK中;そして、本明細書に引用することにより編入されている、Horobin and Kiernan,”Conn’s biological stains:a handbook of dyes,stains and fluorochromes for us in biology and medicine(Connの生物学的染色剤:生物学及び医学者のための染色剤、染色液及びフルオロクロムのハンドブック),”10th ed.,Oxford:BIOS,ISBN1859960995,2002中に認めることができる。染色は前進性にも退行性にも実施することができる。媒染染色剤はオンクロム、メタクロム又はアフタークロムで適用することができる。
【0039】
本明細書で使用される用語「脂肪族化合物」は広義には、有機溶媒(ジエチルエーテル、アセトン、クロロホルム、リモネン、メタノール又はエタノールのような)中で有意な溶解度(約0.1g/Lを超える、20℃で約0.5g/Lを超える、又は20℃で約1.0g/Lを超える20℃における溶解度のような)を有する化合物を表す。更に具体的には、脂肪族化合物は水中におけるより、リモネンのような有機溶媒中により溶解性であることができる。幾つかの態様において、脂肪族化合物は20℃において約5.0g/L未満(20℃において約1.0g/L、20℃において約0.5g/L又は20℃において約0.1g/L未満すらのような)水溶性を有する。特定の態様において、脂肪族化合物は実質的に水中に不溶性である。脂肪族化合物は洗剤の脂肪族化合物又は非洗剤の脂肪族化合物であってもよい。脂肪族化合物は、脂肪アルコール、脂肪アミン(及びそれらの塩)、脂肪酸(及びそれらの塩)、脂肪酸エステル、イソプレノイド(トリテルペン及びテルペノール並びにより高い分子量をもつテルペン及びテルペノールのような、テルペン及びテルペノールを包含する)、膜脂質、糖脂質(ホスファチジルコリンのようなグリセロリン脂質のような)、リン脂質(スフィンゴミエリンのようなスフィンゴ脂質のような)、ステロール(コレステロールのような)、パラフィン(C8〜C20アルカン及びアルケンのような)並びに洗剤(アニオン、カチオン、両性イオン又は非イオン性)を包含する。更なる脂肪族化合物は、アシルグリセロール(モノアシルグリレロール、ジアシルグリセロール、トリアシルグリセロール、脂肪及び油、ポリグリセロールエステル及びそれらの混合物のような)、アシルグリセロール又はリン脂質のプラスマロゲン類似体、アミノ化合物−含有脂質(アミノ酸、カルニチン、ドパミンと組み合わせた脂肪酸又はエタノールアミンのようなアミノアルコールのような)、アミノアルコール、カロテノイド、セラミド、シアノ脂質、フェノール脂質、プロタノイド及び関連化合物、キニン、ステロイド(例えば、コレステロールのようなステロール、ブラシノステロイド、ブファジエノリド、カルデノリド、キューカルビタアシン、エクジステロイド、サポゲニン、ステロイドアルカロイド、ウィタステロイド及び胆汁酸)、ホペノイド、ミコリン酸、エイコサノイド、コーラノイド、エーテル−含有脂質、ビタミンアルコール(ビタミンA、D及びEのような)、ビタミンK、レシチン、炭化水素(C6〜C30アルカン及びアルケンのような)並びにワックスを包含する。特定の脂肪族化合物の例は例えば、Cyberlipid ウェブサイト及びウェブのための脂質バンク上に認めることができる。脂肪族化合物は合成しても、天然原料から単離しても、又は例えばSigma−Aldrich Co.,St.Louis MOから購入してもよい。用語「脂肪族化合物」はまた、2種以上の脂肪族化合物の組み合わせ物を表す。
【0040】
用語「低級アルカノール」はそのRが1〜5個の炭素を有するアルキル基である、構造R−OHを有する化合物を表す。低級アルカノールは第一級、第二級又は第三級アルコールであってもよい。低級アルカノールの例は、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、n−ペンタノール、イソペンタノール及びネオ−ペンタノールを包含する。
【0041】
用語「ポリエーテル」は多数のエーテル結合を含有する化合物、そしてより具体的には、非官能化されることができる(ポリエーテルグリコールのような)、モノ官能化されることができる(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル等のようなアルキル基とともにモノ官能化されてポリエーテルを形成する)あるいは多官能化されることができる(例えば、アルキル基及び、オレエートのような脂肪酸とともに多官能化されて、ポリエーテルエステルを形成する)ポリアルキレンオキシド化合物(ポリエチレングリコール化合物、ポリプロピレングリコール化合物又はポリブチレングリコール化合物又はそれらのコポリマーのような)を表す。従って、幾つかの態様において、ポリエーテルは式R1−(x)y−R2を有し、そこでR1及びR2は独立して水素、アルキル基又は脂肪酸であり、Xは反復ポリアルキレンモノマー単位(エチレングリコール単位、プロピレングリコール単位、ポリブチレングリコール単位又はそれらの組み合わせ物のような)を表し、そしてy=2〜50(例えば、y=3〜20のような、y=2〜30)である。
【0042】
用語「ポリシロキサン」は各ケイ素原子に1種又は複数の有機基を結合された線状、分枝又は環状配列の、交互のケイ素及び酸素原子を含有する種々の化合物のいずれかを表す。ポリシロキサン化合物の例は、ジメチルポリシロキサン、メチル水素ポリシロキサン、メチルアルキルポリシロキサン、メチルアリールポリシロキサン、メチルフルオロアルキルポリシロキサン並びにアミノアルキルメチルポリシロキサン、シアノアルキルメチルポリシロキサン、ハロアルキルメチルポリシロキサン及びビニルメチルポリシロキサンのような有機官能性メチルポリシロキサンを包含する非官能性及び有機官能性ポリシロキサンを包含する。環状ポリシロキサンの例は、ヘキサメチルシクロトリシロキサン(D3)、オクタメチルシクロテトラシロキサン(D4)、デカメチルシクロペンタシロキサン(D5)及びドデカメチルシクロヘキサシロキサン(D6)を包含する。ポリシロキサンの更なる具体的な例は、ヘキサメチルジシロキサン(L2)、オクタメチルトリシロキサン(L3)、デカメチルテトラシロキサン(L4)及びドデカメチルペンタシロキサン(L5)、1,3,5−トリメチル−1,3,5−トリ(3,3,3−トリフルオロプロピル)シクロトリシロキサン及び1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラ(3,3,3−トリフルオロプロピル)シクロテトラシロキサンを包含する。更なる例は、シリコーン油(ジメチルポリシロキサン、メチル水素ポリシロキサン及びメチルフェニルシリコーン油のような)、フッ素改質シリコーン油、アミノ改質シリコーン油、エポキシ改質シリコーン油、アルコール改質シリコーン油及び、アルキル改質シリコーン油のような有機物質改質シリコーン油を包含する。ポリシロキサンは単一のポリシロキサンでも又は2種以上のポリシロキサンの混合物でもよく、そして各ポリシロキサンは線状、環状、分枝状又はそれらの組み合わせのようなシロキサン単位のあらゆる配列をもつことができる。ポリシロキサンは例えば、Sigma−Aldrich Co.,St.Louis MOから市販されている。2種以上のポリシロキサンの組み合わせ物並びに1種以上のポリシロキサン及び1種以上の他の脂肪族化合物の組み合わせ物もまた想定される。
【0043】
用語「ワックス」は例えば、炭化水素(通常の又は分枝アルカン及びアルケン)、ケトン、ジケトン、第一級及び第二級アルコール、アルデヒド、ステロールエステル、アルカン酸、テルペン(スクアレンのような)及びモノエステル(ワックスエステル)及びそれらから誘動される個々の成分を包含する種々の物質からなる非水溶性物質を表す。より具体的には、ワックスはグリセロール(脂肪アルコール、ステロール、ヒドロキシカロテノイド又はビタミンAのような)及び脂肪酸以外のアルコールのエステルであることができる。ワックスの例は、クチン、スベリン、エピキュティクラー(epicuticlar)ワックス、フチオセロールワックス(ジミコセロセートエステルのような)、蜜蝋、チャイニーズワックス、セラックワックス、鯨蝋、ラノリン、カルナバワックス、ウリキュリワックス、ジョジョバ油、カンデリリアワックス、エスパルトワックス、ジャパンワックス、米糠油、オゾセライト、モンタンワックス及び合成ワックス(及び、脂肪エステル及びそれらの混合物のようなワックス成分)を包含する。2種以上のワックスの組み合わせ物並びに1種以上の他のワックス及び1種以上の他の脂質成分の組み合わせ物もまた想定される。
【0044】
与えられるすべての百分率は、室温で固体である物質が液体に溶解される時は重量/容量百分率を、そして、室温で液体である物質がもう1つの液体に溶解される時は容量/容量百分率を表す。成分はサンプルにそれらを適用する前に混合してもよいし、又は別々にサンプルに適用して、次に受動的に又は能動的のいずれでも、それらを混合してもよい。
【0045】
IV.実施例
本明細の比較的一般的な特徴物の幾つかを説明したので、更なる特徴物及びアスペクトが以下の、限定しない実施例に示される。
【実施例1】
【0046】
カバースリップ工程中の脂肪族化合物の包含
本実施例において、自動化H&E工程における脂肪族化合物の使用が示される。顕微鏡スライド上に固定されたパラフィン包埋肝組織サンプルを、カバースリップ溶媒に溶解された脂肪族化合物を取り入れた自動化H&E染色法を使用して染色した。異なる化学群を代表する幾つかの脂肪族化合物を、組織サンプルをカバースリップするために使用されるカバースリップ溶媒に添加した。カバースリップをスライドに添加し、カバースリップがその場に硬化されると、病理学者はスライドを研究し、サンプルに認められる鮮明度を評価した。病理学者はまた、高温でサンプルを乾燥することにより生成される人工産物の存在につきスライドを検査し、評価した。この実施例は、溶媒の蒸発を促進する条件下で高温にさらされる組織サンプルの形態が回復され、視覚的に強化され、そして高温及び蒸発条件により誘動される人工産物が、カバースリップ工程中にサンプルを脂肪族化合物と接触させることにより抑制又は回避することができることを示す。
【0047】
本発明の方法及び組成物は、本実施例においてはあらゆる組織学的染色法(手動又は自動化)又はあらゆるスライド染色装置に適用することができるが、その方法及び組成物は、米国特許出願第20040002163号及び第20050186114号明細書(どちらの出願書も本明細書に引用することにより編入されている)に記載されている高容量スライド処理システム中への使用のために開発された、自動化H&E染色法中に取り入れられる。端的には、前記の出願物に記載される自動化スライド処理システムは、スライド上で種々のスライド処理操作を実施する作業ステーション間を実質的に水平位置(交差汚染を最少にするために)で複数のスライドを保持するトレイを入れ替える高容量スライド処理システムである。処理期間中各スライドに新鮮な試薬を適用することができ、そしてスライドがトレイ中で、空間を明けた方法で別々に処理されるために、試薬によるスライドの交差汚染を実質的に排除することができる。1つの形態において、システムは輻射ヒーター、組み合わせ脱パラフィン装置/染色装置/溶媒交換作業ステーション、対流オーブン及びカバースリップ装置を包含する。パラフィン包埋組織サンプルを担持するスライドのトレイはシステムの輻射ヒーター下で加熱されて、容易に除去するためにサンプル中にパラフィンを広げ、そしてスライドにサンプルを付着させることができる。次にトレイを多機能性脱パラフィン化装置/染色装置/溶媒交換作業ステーションに移動し、そこでスライドを脱パラフィンし、染色し、溶媒を交換することができる。次にカバースリップの準備ができた染色されたスライドのトレイをシステムのカバースリップ装置に移動して、そこでスライドにカバースリップを添加する。次にスライドをカバースリップ後に、トレイを対流オーブンに移動して、染色スライド上のカバースリップを硬化させることができる。
【0048】
今説明された染色システムはあらゆる組織学的染色法を実施するように形成することができるが、本実施例において、システムは退行性H&E染色を実施するように形成された。全体的方法を示すスキームが図1に示され、その方法は、サンプルをスライドに接着させる焼き付け工程、パラフィン包埋サンプルからパラフィンを除去するための脱パラフィン工程、ヘマトキシリン染色工程、pHを上昇させ、ヘマトキシリンをブルーに変えて下流で添加されるエオシンとのより明白なコントラストを提供するブルー化工程、エオシン染色工程、過剰エオシンを除去し、エオシンをより赤くさせる分染化工程、100%エタノールを使用してサンプルから水を除去する脱水工程、高温及び空気流にスライドをさらしてエタノールを除去する工程、サンプルにリモネンを分配する(場合によりそれに脂肪族化合物が添加される)カバースリップ工程並びに硬化工程を包含する。
【0049】
本実施例に使用されるH&E工程において、カバースリップ直前の溶媒交換工程の程度を排除又は減少させるために対流オーブンもまた使用された。トレイを数分間対流オーブンに移して、サンプルから過剰なアルコールを蒸発させ、次にトレイをカバースリップ装置に移して、カバースリップ溶媒(その中に脂肪族化合物を溶解させた又は溶解させない)をスライドに添加して、スライドをカバースリップさせる。
【0050】
図1に示すように、各脂肪族化合物をリモネン中に20%の濃度に溶解させ、リモネン混合物(約30μL/スライド1枚)をカバースリップに使用した。種々の化学物質を代表する幾つかの脂肪族化合物それぞれを、20%濃度で自動化法に使用した。H&E染色スライドの明視野顕微鏡写真を異なる脂肪族化合物それぞれを使用して得て、リモネンに脂肪族化合物を溶解せずに作製された対照スライド(図2A)と一緒に図2B〜Iに示される。特に図2Aは対照スライドを示し、図2Bはリモネン中20%のデカメチルシクロペンタシロキサン(ポリシロキサン)を使用して作製された組織サンプルを示し、図2Cはリモネン中20%ジオクチルエーテル(脂肪エーテル)を使用して作製された組織サンプルを示し、図2Dはリモネン中20%のセダーウッド油[テルペンの混合物;特にセドロール(テルペノール)及びセデレン(テルペン)及びそれらのエステルのようなそれらの誘導体の混合物]を使用して作製された組織サンプルを示し、図2Eはリモネン中20%のオクタン酸(脂肪酸)を使用して作製された組織サンプルを示し、図2Fはリモネン中20%のリナリルアセテート(脂肪エステル)を使用して作製された組織サンプルを示し、図2Gはリモネン中20%のTriton X−100(洗剤)を使用して作製された組織サンプルを示し、図2Hはリモネン中20%のスクアレン(イソプレノイド)を使用して作製された組織サンプルを示し、そして図2Iはリモネン中20%のl−ウンデカノール(脂肪アルコール)を使用して作製された組織サンプルを示す。
【0051】
図2のそれぞれの画像の比較は、図2Aに示した対照スライドに比較して、脂肪族化合物はそれぞれ、細胞及び非細胞質特徴物のコントラスト、カラー・バランス及び鮮明度を増加し、サンプルからエタノールの蒸発を促進した条件下で高温処理することにより誘発される核乾燥人工産物(図2Aにおいて矢印により2種のこのような人工産物が示される)の数を減少させたことを示す。3人の病理学者のパネルにより、脂肪族化合物により処理されなかったサンプルに比較すると、脂肪族化合物により処理されたすべてのサンプルにおいて著明な鮮明度が存在したことに一致された。
【0052】
病理学者はまた、ある脂肪族化合物で処理された数枚のスライドそれぞれの上の核乾燥人工産物の数を測定し、平均を計算した。核乾燥人工産物の数の結果は以下の表1に示される。比較のために、サンプルを脂肪族化合物と接触させずに高温におけるエタノールの蒸発を伴う自動化法を使用して作製された肝組織サンプルに認められた人工産物の数は、多すぎて計測できなかった。概括的に、組織片上に500以上のこのような核乾燥人工産物をもつサンプルは、多すぎて計測できない人工産物を有する。
【0053】
【表1】
【実施例2】
【0054】
H&E染色プロトコールにおけるアルコール及び/又はリモネンに添加された脂肪族化合物
本実施例において、オレイルアルコール(不飽和脂肪アルコール)を100%エタノール及びリモネンのいずれか又は双方中に種々の濃度で溶解し、これらの試薬をそれぞれ、乾燥前、又は自動化H&E染色法のカバースリップ工程中に組織サンプルに適用した。実施例1におけるように、肝組織片を使用し、前記の自動化スライド処理システムを使用して染色した。
【0055】
図3は本実施例のための自動化法のスキームを示し、高温におけるアルコールの蒸発のための対流オーブンにスライドを移動する前にアルコール中で、そして/又はカバースリップのために使用されるリモネン中のいずれかにおいて、オレイルアルコールをスライドに分配する工程の時点を示す。実施例1におけるように、高温に対するサンプルの暴露(この場合は、異なる時点に対して種々の温度)を使用して、カバースリップの前に組織サンプルから過剰アルコールを除去した(アルコール―とりわけエタノール―はオレイルアルコールよりずっと低い沸点を有し、そしてスライドから選択的に除去される、アルコール中に添加されたあらゆるオレイルアルコールは残留する)。
【0056】
核乾燥人工産物の平均数は病理学者により計測された。結果は表2に示される。表2において、100%エタノール中のオレイルアルコールの濃度は「前濃度」として記載され、カバースリップ溶媒(リモネン)中のオレイルアルコールの濃度は「カバースリップ溶媒」として記載される。カバースリップ溶媒の量(オレイルアルコールを含む又は含まない)並びに、サンプルを乾燥するために使用されたオーブンの温度及びカバースリップの前にスライドが乾燥される時間量も与えられる。
【0057】
【表2】
【0058】
表2に示されるように、オレイルアルコールと接触されなかった正の対照に比較して、乾燥前に100%のアルコール中又はカバースリップ期間中にリモネン中のいずれかのオレイルアルコールの使用はすべての例において乾燥人工産物を減少させるのに有効であった。本実施例は、核乾燥人工産物を、工程に対する脂肪族化合物の添加により実質的に減少又は回避することができることを示す。更に、脂肪族化合物は溶媒の蒸発を促進する条件下における高温に対する暴露による損傷から組織サンプルを保護することができ、そして/又は脂肪族化合物が高温でサンプルから溶媒を蒸発させることにより改変されたサンプルを回復する補助をすることができることを示す。
【実施例3】
【0059】
オレイルアルコールによるカバースリップ
本実施例において、リモネンに溶解されたオレイルアルコールの種々の異なる濃度及び量の使用が自動化H&E染色法におけるカバースリップに対して示される。肝臓及び前立腺組織片を、実施例1に記載の自動化スライド処理システムを使用してH&E染色した。本実施例に対する特定の方法は図4にスキームで示される。
【0060】
リモネン中のオレイルアルコールは表3に示す濃度及び量でカバースリップ工程中に適用された。染色肝組織サンプルは病理学者により検査されて、核乾燥人工産物の数を計測され、前立腺組織サンプルは該方法により提供される鮮明度の量につき評価された(0は脂肪族化合物を取り込まない典型的なH&E染色法により生成された鮮明度を表す、0〜3の評価で)。
【0061】
【表3】
【0062】
表3に示すように、カバースリップ期間中のリモネン中オレイルアルコールの使用は、リモネン単独と接触された典型的な正の対照(典型的に、多すぎて計測不可能な核乾燥人工産物を生成する)に比較して、乾燥人工産物数を減少させるのに有効であった。図5において、明視野顕微鏡画像の顕微鏡写真は、30μLの20%リモネンで処理された代表的スライド(図5B)との正の対照スライド(図5A)の比較を示す。観察された鮮明度の増加及び脂肪族化合物により提供される人工産物数の減少が図5Bの顕微鏡写真に示される。核乾燥人工産物は図5A中の矢印により示される。
【実施例4】
【0063】
特殊染色剤
本実施例において、リモネンに溶解されたオレイルアルコールの使用が種々の特殊染色剤を使用して染色されるカバースリップサンプルについて示される。肝組織片を担持するスライドをトリクロムIIIブルー染色剤(Ventana Medical Systems,Inc.,Tucson,AZ)により、NesES(R)自動化スライド染色システム(Ventana Medical Systems,Inc.,Tucson,AZ)に対する標準プロトコールを使用して染色する。同様に、NesES(R)装置及び標準プロトコールを使用して、カビ・真菌を含有する肺組織サンプルを担持するスライドをGMSカビ・真菌染色剤(Ventana Medical Systems,Inc.,Tucson,AZ)で染色し、骨髄サンプルを担持するスライドをGismsa染色剤(Ventana Medical Systems,Inc.,Tucson,AZ)を使用して染色し、そして心臓組織片を担持するスライドをコンゴレッド(Ventana Medical Systems,Inc.,Tucson,AZ)で染色する。
【0064】
肝臓、肺、骨髄及び心臓組織片を担持する染色スライドをトレイ中に充填し、本実施例ではスライドのトレイをカバースリップ装置に直接もたらすようにプログラムされている、実施例1に記載のシステムを使用してカバースリップする。カバースリップ装置において、リモネン溶液中20%のオレイルアルコールがスライドに適用され、前以て糊付けされたカバースリップがスライドの両側に添加される。染色されたサンプルを病理学者により検査される。
【実施例5】
【0065】
自動化H&E染色法に脂肪族化合物を使用する、増加した鮮明度、カラー・バランス及びコントラストの効果
本実施例において、H&E染色スライドの鮮明度、カラー・バランス及びコントラストを増加するための種々の脂肪族化合物の使用が示される。「高い鮮明度」効果は、染色スライドが自動化カバースリップ工程において脂肪族化合物で処理される、実施例1に記載の自動化染色システムの市販の態様を使用して染色されたスライド上で観察された。基底の正の対照として働く、20%のオレイルアルコール/80%のリモネン混合物(実施例3参照)により、合計17種の脂肪族化合物を試験した。各試薬を、高い鮮明度効果を示すために有用な特徴物を包含する組織片を含有する3種の多組織ブロックにつき実験した。これらの多組織ブロックは甲状腺乳頭状癌、前立腺癌、扁平上皮細胞癌、正常な肺及び乳癌を包含した。正の対照により高められる甲状腺乳頭状癌特徴物は「すりガラス」様の核の外観、核の溝及び核の擬性封入体を含む。正の対照で処理された前立腺癌は、基底膜及び基底細胞のよりよい可視化のみならずまた、巨大核小体の改善された可視化を示す。扁平上皮細胞癌における正の対照により高められる特徴物は核の鮮明化、細胞角質化、扁平上皮パール、細胞内ブリッジ及び細胞死細胞と分裂細胞間の識別である。正常な肺においては、正の対照は気管支上皮を裏打ちする繊毛の可視化を改善する。正の対照により促進される乳癌特徴物はクロマチン組織、核小体隆起及び有糸分裂特徴物の鮮明化、乳癌の分類に重要な核詳細を包含する。
【0066】
材料及び方法:
染色システム:
Symphony(R) 染色システム, Ventana Medical Systems, Inc, Tucson, AZ.
使用試薬 (すべてがVentana Medical Systems, Inc, Tucson, AZから市販されている):
Symphony(R) N1 P/N 900−201
Symphony B P/N 900−204
Symphony W P/N 900−203
Symphony C P/N 900−202
Symphony Clear P/N 900−209
Symphony E P/N 900−212
試薬等級アルコール
Optisure(R) カバースリップ P/N 900−501
使用された多組織ブロック:
MTB 1:
甲状腺ブロック# 0204−192−02929 商品 #9
甲状腺ブロック # 0206−341−01309 1−2
甲状腺ブロック# 0104−192−00504 商品 #6
前立腺ブロック# 0205−341−01954 2−2
前立腺ブロック# 0205−341−001954−1−2
前立腺ブロック# 0207−315−01329 商品 #3
MTB 2:
扁平上皮細胞癌A603
扁平上皮細胞癌A395
扁平上皮細胞癌0106−192−01531 商品 #3
扁平上皮細胞癌B603
肺 B763
肺 B750
肺 B666
MTB 3:
乳房 0112−192−01649 商品 #6
乳房 0206−192−02108 商品 #7
乳房 0112−192−1567 商品 #6
乳房 (インサイチュー) 0204−192−02897 商品 #7
乳房 (インサイチュー) 0204−192−02887 商品 #7
乳房 (インサイチュー) 0204−192−02859 商品 #7
試験された試薬 (d−リモネン中に20% v/v 又は w/v 溶解Degussa GmbH, Dusseldorf, Germanyから入手できる化合物Jを除き、すべての試薬成分がSigma−Aldrich, St. Louis, MO から購入できる):
A: デカメチルシクロペンタシロキサン[シロキサン]
B: オクチルエーテル[C16 エーテル]
C: セダーウッド油[必須油/天然油]
D: オレイルアミン[C18 アミン]
E: トコフェロール[フェノール性]
F: オクタン酸[C18 カルボン酸]
G: Triton X−100 [非イオン洗剤]
H: リナリルアセテート[エステル]
I: スクアレン[不飽和脂肪族]
J: ABIL EM90 [シロキサンポリマー]
K: ポリ(プロピレングリコール) [ポリエーテルグリコール]
L: テルギトール[洗剤]
M: トリ(プロピレングリコール) ブチルエーテル[ポリエーテル]
N: メチルオレエート[C18 エステル]
O: オレアミド[C18 アミド]
P: ポリ(エチレングリコール) モノオレエート[ポリエーテルエステル]
正の対照: オレイルアルコール
負の対照: 生の d−リモネン
【0067】
染色法:
本実施例で使用される最適化Symphony(R)法は図6にスキームで示される。前記の通りに、Symphony法は各スライドに新鮮な試薬を使用することができる。各脂肪族化合物は染色工程のカバースリップ工程で試験された。試験の試薬はカバースリップの適用前にスライドに適用された。スライドを、以下に詳述するように、Symphonyシステム上で全染色工程を処理した。
【0068】
スライドをUniversal Slide Tray上に充填し、装置の侵入口に配置する。適当な染色法を選択し(標準核染色、標準細胞染色)、タッチスクリーンインターフェース(Touchscreen Interface)を使用して実験を開始する。Symphony染色システム上で、スライドをUniversal Slide Trayにおけるそれらの位置を決定するためにスキャンする。組織の接着のためにスライド乾燥モジュール(Slide Drying Module)中でスライドを焼き付ける。焼き付け工程後に、脱パラフィン化、染色及び洗浄のために染色モジュールにスライドを移動する。脱パラフィン化はSymphony Clear試薬を使用し、次に過剰な試薬を除去するためにアルコールリンスが続く。脱パラフィン化後の標準核及び細胞染色強化プロトコールの工程は以下に記載される:
1.Symphony W試薬をスライドに適用する。
2.Symphony N1試薬を適用し、次に培養期間が続く。
3.スライドをSymphony W液ですすぐ。
4.Symphony B試薬をスライドに適用し、インキュベートする。
5.スライドをSymphony W液ですすぐ。
6.勾配アルコールをスライド上に付着させる。
7.Symphony C液を分配し、インキュベートする。
8.スライドを勾配アルコール添加物及び試薬等級アルコールの双方ですすぐ。
9.スライドをSymphony Clear試薬により洗浄し、最後の脱水工程のためにSlide作製モジュールに移動する。
10.スライドをOptiSureカバースリップモジュールに移す。
11.Symphony Clearを光学的鮮明化及びカバースリップの付着のためにOptiSureカバースリップの前にスライド上に付着させる。
12.カバースリップを固定するためにスライドをSスライド硬化モジュールに移す。
13.Universalスライドトレイを、冷却期間中そして次のトレイの射出のためにIntelliQue中に配置する。
【0069】
工程11において、カバースリップ工程の一部として、種々の脂肪族化合物組成物を組織サンプルと接触させた。
【0070】
評価法:
すべての評価を二人の委員会に認定された病理学者により実施された。代替化合物それぞれで作製されたスライドを評価した。5種の組織タイプ(扁平上皮細胞癌、正常な肺、前立腺癌、乳頭状甲状腺癌、乳癌)を前記の組織/癌特異的測定基準に従って評価した。すべての測定を以下のようにオレイルアルコールにより作製された正の対照のスライドに比較して実施された:
「>」は測定基準が正の対照に比較して増加されたことを示す。
「<」は測定基準が正の対照に比較して減少されたことを示す。
「0」は測定基準が正の対照と同等であることを示す。
【0071】
二人の病理学者により決定された評価の結果は以下の表4及び表5に別々に示される。
【0072】
【表4】
【0073】
【表5】
【0074】
本発明に従って処理された前立腺癌サンプルの増加したコントラスト及び改善されたカラー・バランスのみならず、膜及び核の詳細の強化を示す代表的な明視野顕微鏡画像(60X)が図7に示される。図7Aは負の対照であり、図7Bは正の対照(オレイルアルコール、脂肪アルコール)であり、図7Cは化合物H(リナリルアセテート、脂肪エステル)であり、そして図7Dは化合物O(オレアミド、脂肪アミド)である。
【0075】
結論:
全体として、正の対照のオレイルアルコールに比較すると、16種の代替化合物はそれぞれ同等な性能を示した。特定の病理学者により個々の組織/癌のタイプに対して幾らかの差異が認められたが、いずれの代替化合物に対してもすべての組織/癌タイプにわたり一定した変化は認めなかった。
【0076】
本発明の原理は幾つかの例示された態様に関連して説明されてきたが、態様の詳細はこのような原理から逸脱せずに修飾することができることは当業者には明白であるにちがいない。例えば、例示された実施例は染色法の特定の工程でサンプルと接触された脂肪族化合物を包含するが、脂肪族化合物は染色法のいずれの工程中にサンプルと接触させてもよい。更に、開示された方法及び組成物は、いずれの自動化染色法又はいずれの手動染色法とともに使用してもよい。特別に例示された染色法の変法は異なるアルコール試薬(イソプロパノールのような)及び他のカバースリップ溶媒(キシレン又はアルカン溶媒のような)を使用することができる。本発明は、以下の請求項の範囲及び精神内に入る、それらのすべての修飾物、改変物及び同等物を包含する。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】カバースリップ工程で脂肪族化合物をとりいれる自動化H&E法を示すスキーム図である。
【図2A−2I】対照用の、脂肪族化合物と接触されなかったH&E染色サンプルと一緒に(2A)、カバースリップ工程中に脂肪族化合物と接触された、自動化H&E染色肝組織サンプルにおける増加された鮮明度及び減少された核乾燥人口産物を示す一連の顕微鏡写真である。
【図3】アルコール又はリモネン溶液のいずれか又は双方中に脂肪族化合物を取り入れる、自動化H&E染色工程を示すスキーム図である。
【図4】カバースリップ液中に脂肪アルコールを取り入れる自動化H&E染色工程を表すスキーム図である。
【図5A−5B】H&E染色サンプルを脂肪アルコールと接触させることにより提供される細胞及び非細胞質特徴物の強化された鮮明度を表す一対の顕微鏡写真である。
【図6】開示された方法の1つの態様における使用のための種々の脂肪族化合物/組成物を評価するために使用される自動化H&E染色工程を表すスキーム図である。
【図7】開示された方法の1つの態様により与えられる強化された鮮明度、コントラスト及びカラー・バランスを表す一連の代表的顕微鏡写真である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプルを1種又は複数の組織学的染色剤と接触させ、そしてサンプルを脂肪族化合物の組成物と接触させる方法を含んでなり、かつ脂肪族化合物の組成物が脂肪族化合物及び低級アルコール又はカバースリップ溶媒のいずれかより本質的になる、生体サンプルを染色する方法。
【請求項2】
脂肪族化合物が約20℃で約1.0g/L未満の水溶性を有する、請求項1の方法。
【請求項3】
脂肪族化合物が非洗剤の脂肪族化合物を含んでなる、請求項1の方法。
【請求項4】
生体サンプルがワックス包埋生体サンプルを含んでなり、そしてサンプルを脂肪族化合物の組成物と接触させる方法が、サンプルが脱ワックスされた後に実施される、請求項1の方法。
【請求項5】
生体サンプルを1種又は複数の組織学的染色剤と接触させる方法が、生体サンプルをヘマトキシリン及びエオシンと接触させる方法より本質的になる、請求項1の方法。
【請求項6】
方法が自動化されている、請求項1の方法。
【請求項7】
複数のサンプルが染色され、そして新鮮な試薬が各サンプルに対して使用される、請求項6の方法。
【請求項8】
脂肪族化合物が洗剤、脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪アルコール、脂肪アミン、脂肪エーテル、ポリシロキサン、ポリエーテル及びイソプレノイドの1種又は複数を含んでなる、請求項1の方法。
【請求項9】
脂肪族化合物が脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪アルコール、脂肪アミン及び脂肪エーテルの1種又は複数を含んでなる、請求項1の方法。
【請求項10】
脂肪族化合物が脂肪エーテル、脂肪アミン、脂肪酸エステル及び脂肪アルコールの1種又は複数を含んでなる、請求項1の方法。
【請求項11】
脂肪族化合物が脂肪アルコール、脂肪エーテル及び脂肪アミンの1種又は複数を含んでなる、請求項1の方法。
【請求項12】
脂肪族化合物が1種又は複数のC8〜C20脂肪アルコールを含んでなる、請求項1の方法。
【請求項13】
脂肪族化合物が1種又は複数のC8〜C20不飽和脂肪アルコールを含んでなる、請求項1の方法。
【請求項14】
脂肪族化合物の組成物が約0.5%〜約35%の脂肪族化合物を含んでなる、請求項1の方法。
【請求項15】
カバースリップ溶媒が脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素又はテルペンの1種又は複数である、請求項1の方法。
【請求項16】
カバースリップ溶媒がリモネンである、請求項1の方法。
【請求項17】
サンプルを脂肪族化合物の組成物で処理する方法がサンプルをカバースリップする方法よりなる、請求項1の方法。
【請求項18】
カバースリップ溶媒、カバースリップ溶媒中に溶解された脂肪族化合物及び、場合により、カバースリップ溶媒中に溶解された接着剤より本質的になるカバースリップ組成物をサンプルに適用し、そして
カバースリップされたサンプルがカバースリップ溶媒単独を使用してカバースリップされる実質的に同様なサンプルに比較して、増加したコントラスト並びに細胞及び非細胞質(sub−cellular)の鮮明度(definition)を示す、カバースリップ組成物が適用されたサンプルをカバースリップする方法を含んでなる、
顕微鏡スライド上の染色された生体サンプルのカバースリップ方法。
【請求項19】
脂肪族化合物が洗剤、脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪アルコール、脂肪アミン、脂肪エーテル、ポリシロキサン、ポリエーテル及びイソプレノイドの1種又は複数を含んでなる、請求項18の方法。
【請求項20】
脂肪族化合物が脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪アルコール、脂肪アミン及び脂肪エーテルの1種又は複数を含んでなる、請求項18の方法。
【請求項21】
脂肪族化合物が脂肪エーテル、脂肪アミン、脂肪酸エステル及び脂肪アルコールの1種又は複数を含んでなる、請求項18の方法。
【請求項22】
脂肪族化合物が脂肪アルコール、脂肪エーテル及び脂肪アミンの1種又は複数を含んでなる、請求項18の方法。
【請求項23】
脂肪族化合物が1種又は複数のC8〜C20脂肪アルコールを含んでなる、請求項18の方法。
【請求項24】
脂肪族化合物が1種又は複数のC8〜C20不飽和脂肪アルコールを含んでなる、請求項18の方法。
【請求項25】
脂肪族化合物が約20℃で約1g/L未満の水溶性を有する、請求項18の方法。
【請求項26】
カバースリップ組成物が約0.5%〜約35%の脂肪族化合物を含んでなる、請求項18の方法。
【請求項27】
カバースリップ溶媒が脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素又はテルペンの1種又は複数を含んでなる、請求項18の方法。
【請求項28】
カバースリップ溶媒がリモネンを含んでなる、請求項18の方法。
【請求項29】
カバースリップの自動化された方法である、請求項18の方法。
【請求項30】
サンプルが組織学的に染色されたサンプルを含んでなる、請求項18の方法。
【請求項31】
カバースリップする方法が前以て接着された(pre−glued)カバースリップでカバースリップする方法を含んでなる、請求項18の方法。
【請求項32】
組成物が更に、本質的にカバースリップ用接着剤よりなる、請求項18の方法。
【請求項33】
増加されたコントラスト並びに細胞及び非細胞質の鮮明度が明視野顕微鏡を使用して観察される、請求項18の方法。
【請求項34】
カバースリップ溶媒及び脂肪族化合物を含んでなる、カバースリップ組成物。
【請求項35】
脂肪族化合物が洗剤、脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪アルコール、脂肪アミン、脂肪エーテル、ポリシロキサン、ポリエーテル及びイソプレノイドの1種又は複数を含んでなる、請求項34の組成物。
【請求項36】
脂肪族化合物が脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪アルコール、脂肪アミン及び脂肪エーテルの1種又は複数を含んでなる、請求項34の組成物。
【請求項37】
脂肪族化合物が脂肪エーテル、脂肪アミン、脂肪酸エステル及び脂肪アルコールの1種又は複数を含んでなる、請求項34の組成物。
【請求項38】
脂肪族化合物が脂肪アルコール、脂肪エーテル及び脂肪アミンのうちの1種又は複数を含んでなる、請求項34の組成物。
【請求項39】
脂肪族化合物が1種又は複数のC8〜C20脂肪アルコールを含んでなる、請求項34の組成物。
【請求項40】
脂肪族化合物が1種又は複数のC8〜C20不飽和脂肪アルコールを含んでなる、請求項34の組成物。
【請求項41】
脂肪族化合物が約20℃で約1g/L未満の水溶性を有する、請求項34の組成物。
【請求項42】
カバースリップ組成物が本質的にカバースリップ溶媒、カバースリップ溶媒中に溶解された脂肪族化合物及び、場合により、カバースリップ溶媒中に溶解されたカバースリップ用接着剤よりなる、請求項34の組成物。
【請求項43】
カバースリップ溶媒がリモネン、キシレン、アルカン及びトルエンの1種又は複数を含んでなる、請求項34の組成物。
【請求項44】
組織化学的技法を使用してサンプルを処理して、染色されたサンプルを提供し、
サンプルからの溶媒の蒸発を促進する条件下でサンプルを高温にさらし、そして
サンプルからの溶媒の蒸発を促進する条件下でサンプルを高温にさらす前、その期間中又はその後に、サンプルを脂肪族化合物と接触させる方法を含んでなる、
顕微鏡スライド上の生体サンプルの処理方法。
【請求項45】
溶媒の蒸発を促進する条件下でサンプルを高温にさらす方法が、対流式オーブンでサンプルを加熱する方法又は輻射ヒーターでサンプルを加熱する方法を含んでなる、請求項44の方法。
【請求項46】
サンプルを脂肪族化合物と接触させる方法が、脂肪族化合物と接触されなかった実質的に同様なサンプルに比較して、サンプルをさらす方法により生成される人口産物(artifacts)を減少させる、請求項44の方法。
【請求項47】
サンプルを脂肪族化合物と接触させる方法がサンプル中に認められる細胞及び非細胞質の鮮明度を増加する、請求項44の方法。
【請求項48】
組織化学的方法が組織学的染色法を含んでなる、請求項44の方法。
【請求項49】
組織学的染色法が本質的に、サンプルをヘマトキシリン及びエオシンと接触させる方法よりなる、請求項31の方法。
【請求項50】
少なくとも25%の溶媒がサンプルから蒸発される、請求項44の方法。
【請求項51】
溶媒が低級アルカノールを含んでなる、請求項44の方法。
【請求項52】
脂肪族化合物の沸点が約200℃を超える、請求項44の方法。
【請求項53】
脂肪族化合物が洗剤、脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪アルコール、脂肪アミン、脂肪エーテル、ポリシロキサン、ポリエーテル及びイソプレノイドの1種又は複数を含んでなる、請求項44の方法。
【請求項54】
脂肪族化合物が脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪アルコール、脂肪アミン及び脂肪エーテルの1種又は複数を含んでなる、請求項44の組成物。
【請求項55】
脂肪族化合物が脂肪エーテル、脂肪アミン、脂肪酸エステル及び脂肪アルコールの1種又は複数を含んでなる、請求項44の組成物。
【請求項56】
脂肪族化合物が脂肪アルコール、脂肪エーテル及び脂肪アミンのうちの1種又は複数を含んでなる、請求項44の方法。
【請求項57】
脂肪族化合物が1種又は複数のC8〜C20脂肪アルコールを含んでなる、請求項44の方法。
【請求項58】
脂肪族化合物が1種又は複数のC8〜C20不飽和脂肪アルコールを含んでなる、請求項44の方法。
【請求項59】
脂肪族化合物が約20℃で約1g/L未満の水溶性を有する、請求項44の方法。
【請求項60】
サンプルを暴露した後に、サンプルを脂肪族化合物と接触させる、請求項44の方法。
【請求項61】
高温が約35℃〜約140℃の間の温度を含んでなる、請求項44の方法。
【請求項62】
脂肪族化合物が有機溶媒中に溶解される、請求項44の方法。
【請求項63】
脂肪族化合物が約0.5%〜約35%の濃度で有機溶媒中に溶解される、請求項62の方法。
【請求項64】
有機溶媒が低級アルカノールを含んでなる、請求項62の方法。
【請求項65】
低級アルカノールがエタノールを含んでなる、請求項64の方法。
【請求項66】
有機溶媒がテルペンである、請求項62の方法。
【請求項67】
テルペンがリモネンを含んでなる、請求項66の方法。
【請求項68】
工程が自動化されている、請求項44の方法。
【請求項69】
複数のサンプルが処理され、そして各サンプルが新鮮な試薬で処理される、請求項68の方法。
【請求項70】
サンプルが脱パラフィン化溶媒を使用して脱パラフィン化された後に、サンプルを脂肪族化合物と接触させる、請求項44の方法。
【請求項71】
脱パラフィン化溶媒がサンプルから実質的に除去された後に、サンプルを脂肪族化合物と接触させる、請求項70の方法。
【請求項72】
サンプルが組織化学的方法で処理された後に、サンプルを脂肪族化合物と接触させる、請求項44の方法。
【請求項73】
組織化学的方法が組織学的染色法を含んでなる、請求項44の方法。
【請求項74】
サンプルがカバースリップされる時にサンプル上に存在する脂肪族化合物の量が約1μL〜約30μLである、請求項44の方法。
【請求項75】
人口産物が、サンプルから溶媒の蒸発を促進する条件下で、サンプルを高温にさらす方法により誘発される核乾燥人口産物を含んでなる、請求項46の方法。
【請求項1】
サンプルを1種又は複数の組織学的染色剤と接触させ、そしてサンプルを脂肪族化合物の組成物と接触させる方法を含んでなり、かつ脂肪族化合物の組成物が脂肪族化合物及び低級アルコール又はカバースリップ溶媒のいずれかより本質的になる、生体サンプルを染色する方法。
【請求項2】
脂肪族化合物が約20℃で約1.0g/L未満の水溶性を有する、請求項1の方法。
【請求項3】
脂肪族化合物が非洗剤の脂肪族化合物を含んでなる、請求項1の方法。
【請求項4】
生体サンプルがワックス包埋生体サンプルを含んでなり、そしてサンプルを脂肪族化合物の組成物と接触させる方法が、サンプルが脱ワックスされた後に実施される、請求項1の方法。
【請求項5】
生体サンプルを1種又は複数の組織学的染色剤と接触させる方法が、生体サンプルをヘマトキシリン及びエオシンと接触させる方法より本質的になる、請求項1の方法。
【請求項6】
方法が自動化されている、請求項1の方法。
【請求項7】
複数のサンプルが染色され、そして新鮮な試薬が各サンプルに対して使用される、請求項6の方法。
【請求項8】
脂肪族化合物が洗剤、脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪アルコール、脂肪アミン、脂肪エーテル、ポリシロキサン、ポリエーテル及びイソプレノイドの1種又は複数を含んでなる、請求項1の方法。
【請求項9】
脂肪族化合物が脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪アルコール、脂肪アミン及び脂肪エーテルの1種又は複数を含んでなる、請求項1の方法。
【請求項10】
脂肪族化合物が脂肪エーテル、脂肪アミン、脂肪酸エステル及び脂肪アルコールの1種又は複数を含んでなる、請求項1の方法。
【請求項11】
脂肪族化合物が脂肪アルコール、脂肪エーテル及び脂肪アミンの1種又は複数を含んでなる、請求項1の方法。
【請求項12】
脂肪族化合物が1種又は複数のC8〜C20脂肪アルコールを含んでなる、請求項1の方法。
【請求項13】
脂肪族化合物が1種又は複数のC8〜C20不飽和脂肪アルコールを含んでなる、請求項1の方法。
【請求項14】
脂肪族化合物の組成物が約0.5%〜約35%の脂肪族化合物を含んでなる、請求項1の方法。
【請求項15】
カバースリップ溶媒が脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素又はテルペンの1種又は複数である、請求項1の方法。
【請求項16】
カバースリップ溶媒がリモネンである、請求項1の方法。
【請求項17】
サンプルを脂肪族化合物の組成物で処理する方法がサンプルをカバースリップする方法よりなる、請求項1の方法。
【請求項18】
カバースリップ溶媒、カバースリップ溶媒中に溶解された脂肪族化合物及び、場合により、カバースリップ溶媒中に溶解された接着剤より本質的になるカバースリップ組成物をサンプルに適用し、そして
カバースリップされたサンプルがカバースリップ溶媒単独を使用してカバースリップされる実質的に同様なサンプルに比較して、増加したコントラスト並びに細胞及び非細胞質(sub−cellular)の鮮明度(definition)を示す、カバースリップ組成物が適用されたサンプルをカバースリップする方法を含んでなる、
顕微鏡スライド上の染色された生体サンプルのカバースリップ方法。
【請求項19】
脂肪族化合物が洗剤、脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪アルコール、脂肪アミン、脂肪エーテル、ポリシロキサン、ポリエーテル及びイソプレノイドの1種又は複数を含んでなる、請求項18の方法。
【請求項20】
脂肪族化合物が脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪アルコール、脂肪アミン及び脂肪エーテルの1種又は複数を含んでなる、請求項18の方法。
【請求項21】
脂肪族化合物が脂肪エーテル、脂肪アミン、脂肪酸エステル及び脂肪アルコールの1種又は複数を含んでなる、請求項18の方法。
【請求項22】
脂肪族化合物が脂肪アルコール、脂肪エーテル及び脂肪アミンの1種又は複数を含んでなる、請求項18の方法。
【請求項23】
脂肪族化合物が1種又は複数のC8〜C20脂肪アルコールを含んでなる、請求項18の方法。
【請求項24】
脂肪族化合物が1種又は複数のC8〜C20不飽和脂肪アルコールを含んでなる、請求項18の方法。
【請求項25】
脂肪族化合物が約20℃で約1g/L未満の水溶性を有する、請求項18の方法。
【請求項26】
カバースリップ組成物が約0.5%〜約35%の脂肪族化合物を含んでなる、請求項18の方法。
【請求項27】
カバースリップ溶媒が脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素又はテルペンの1種又は複数を含んでなる、請求項18の方法。
【請求項28】
カバースリップ溶媒がリモネンを含んでなる、請求項18の方法。
【請求項29】
カバースリップの自動化された方法である、請求項18の方法。
【請求項30】
サンプルが組織学的に染色されたサンプルを含んでなる、請求項18の方法。
【請求項31】
カバースリップする方法が前以て接着された(pre−glued)カバースリップでカバースリップする方法を含んでなる、請求項18の方法。
【請求項32】
組成物が更に、本質的にカバースリップ用接着剤よりなる、請求項18の方法。
【請求項33】
増加されたコントラスト並びに細胞及び非細胞質の鮮明度が明視野顕微鏡を使用して観察される、請求項18の方法。
【請求項34】
カバースリップ溶媒及び脂肪族化合物を含んでなる、カバースリップ組成物。
【請求項35】
脂肪族化合物が洗剤、脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪アルコール、脂肪アミン、脂肪エーテル、ポリシロキサン、ポリエーテル及びイソプレノイドの1種又は複数を含んでなる、請求項34の組成物。
【請求項36】
脂肪族化合物が脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪アルコール、脂肪アミン及び脂肪エーテルの1種又は複数を含んでなる、請求項34の組成物。
【請求項37】
脂肪族化合物が脂肪エーテル、脂肪アミン、脂肪酸エステル及び脂肪アルコールの1種又は複数を含んでなる、請求項34の組成物。
【請求項38】
脂肪族化合物が脂肪アルコール、脂肪エーテル及び脂肪アミンのうちの1種又は複数を含んでなる、請求項34の組成物。
【請求項39】
脂肪族化合物が1種又は複数のC8〜C20脂肪アルコールを含んでなる、請求項34の組成物。
【請求項40】
脂肪族化合物が1種又は複数のC8〜C20不飽和脂肪アルコールを含んでなる、請求項34の組成物。
【請求項41】
脂肪族化合物が約20℃で約1g/L未満の水溶性を有する、請求項34の組成物。
【請求項42】
カバースリップ組成物が本質的にカバースリップ溶媒、カバースリップ溶媒中に溶解された脂肪族化合物及び、場合により、カバースリップ溶媒中に溶解されたカバースリップ用接着剤よりなる、請求項34の組成物。
【請求項43】
カバースリップ溶媒がリモネン、キシレン、アルカン及びトルエンの1種又は複数を含んでなる、請求項34の組成物。
【請求項44】
組織化学的技法を使用してサンプルを処理して、染色されたサンプルを提供し、
サンプルからの溶媒の蒸発を促進する条件下でサンプルを高温にさらし、そして
サンプルからの溶媒の蒸発を促進する条件下でサンプルを高温にさらす前、その期間中又はその後に、サンプルを脂肪族化合物と接触させる方法を含んでなる、
顕微鏡スライド上の生体サンプルの処理方法。
【請求項45】
溶媒の蒸発を促進する条件下でサンプルを高温にさらす方法が、対流式オーブンでサンプルを加熱する方法又は輻射ヒーターでサンプルを加熱する方法を含んでなる、請求項44の方法。
【請求項46】
サンプルを脂肪族化合物と接触させる方法が、脂肪族化合物と接触されなかった実質的に同様なサンプルに比較して、サンプルをさらす方法により生成される人口産物(artifacts)を減少させる、請求項44の方法。
【請求項47】
サンプルを脂肪族化合物と接触させる方法がサンプル中に認められる細胞及び非細胞質の鮮明度を増加する、請求項44の方法。
【請求項48】
組織化学的方法が組織学的染色法を含んでなる、請求項44の方法。
【請求項49】
組織学的染色法が本質的に、サンプルをヘマトキシリン及びエオシンと接触させる方法よりなる、請求項31の方法。
【請求項50】
少なくとも25%の溶媒がサンプルから蒸発される、請求項44の方法。
【請求項51】
溶媒が低級アルカノールを含んでなる、請求項44の方法。
【請求項52】
脂肪族化合物の沸点が約200℃を超える、請求項44の方法。
【請求項53】
脂肪族化合物が洗剤、脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪アルコール、脂肪アミン、脂肪エーテル、ポリシロキサン、ポリエーテル及びイソプレノイドの1種又は複数を含んでなる、請求項44の方法。
【請求項54】
脂肪族化合物が脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪アルコール、脂肪アミン及び脂肪エーテルの1種又は複数を含んでなる、請求項44の組成物。
【請求項55】
脂肪族化合物が脂肪エーテル、脂肪アミン、脂肪酸エステル及び脂肪アルコールの1種又は複数を含んでなる、請求項44の組成物。
【請求項56】
脂肪族化合物が脂肪アルコール、脂肪エーテル及び脂肪アミンのうちの1種又は複数を含んでなる、請求項44の方法。
【請求項57】
脂肪族化合物が1種又は複数のC8〜C20脂肪アルコールを含んでなる、請求項44の方法。
【請求項58】
脂肪族化合物が1種又は複数のC8〜C20不飽和脂肪アルコールを含んでなる、請求項44の方法。
【請求項59】
脂肪族化合物が約20℃で約1g/L未満の水溶性を有する、請求項44の方法。
【請求項60】
サンプルを暴露した後に、サンプルを脂肪族化合物と接触させる、請求項44の方法。
【請求項61】
高温が約35℃〜約140℃の間の温度を含んでなる、請求項44の方法。
【請求項62】
脂肪族化合物が有機溶媒中に溶解される、請求項44の方法。
【請求項63】
脂肪族化合物が約0.5%〜約35%の濃度で有機溶媒中に溶解される、請求項62の方法。
【請求項64】
有機溶媒が低級アルカノールを含んでなる、請求項62の方法。
【請求項65】
低級アルカノールがエタノールを含んでなる、請求項64の方法。
【請求項66】
有機溶媒がテルペンである、請求項62の方法。
【請求項67】
テルペンがリモネンを含んでなる、請求項66の方法。
【請求項68】
工程が自動化されている、請求項44の方法。
【請求項69】
複数のサンプルが処理され、そして各サンプルが新鮮な試薬で処理される、請求項68の方法。
【請求項70】
サンプルが脱パラフィン化溶媒を使用して脱パラフィン化された後に、サンプルを脂肪族化合物と接触させる、請求項44の方法。
【請求項71】
脱パラフィン化溶媒がサンプルから実質的に除去された後に、サンプルを脂肪族化合物と接触させる、請求項70の方法。
【請求項72】
サンプルが組織化学的方法で処理された後に、サンプルを脂肪族化合物と接触させる、請求項44の方法。
【請求項73】
組織化学的方法が組織学的染色法を含んでなる、請求項44の方法。
【請求項74】
サンプルがカバースリップされる時にサンプル上に存在する脂肪族化合物の量が約1μL〜約30μLである、請求項44の方法。
【請求項75】
人口産物が、サンプルから溶媒の蒸発を促進する条件下で、サンプルを高温にさらす方法により誘発される核乾燥人口産物を含んでなる、請求項46の方法。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図2E】
【図2F】
【図2G】
【図2H】
【図2I】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図2E】
【図2F】
【図2G】
【図2H】
【図2I】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【公表番号】特表2009−524020(P2009−524020A)
【公表日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−550452(P2008−550452)
【出願日】平成19年1月12日(2007.1.12)
【国際出願番号】PCT/US2007/000980
【国際公開番号】WO2007/084429
【国際公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【出願人】(599075070)ベンタナ・メデイカル・システムズ・インコーポレーテツド (31)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年1月12日(2007.1.12)
【国際出願番号】PCT/US2007/000980
【国際公開番号】WO2007/084429
【国際公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【出願人】(599075070)ベンタナ・メデイカル・システムズ・インコーポレーテツド (31)
【Fターム(参考)】
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