説明

生体情報を照合することによる個人認証に用いられるデータベースの照合対象母体の縮小化およびシステム応答時間調整のための技術。

【課題】生体特徴を照合することを用いる個人認証において、生体特徴を照合するための照合対象母体の大きさの程度によっては、照合結果を出力するまでに長い時間がかかる。
【解決手段】決済時等の認証を必要とする前に、無線携帯端末の位置を利用して、あらかじめ、生体特徴を照合するための照合対象母体を縮小化する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体情報の照合による個人認証の認証作業に費やす時間の短縮方法、および、生体情報の照合による個人認証システムの応答時間を調整するための技術である。
【背景技術】
【0002】
携帯電話サービス等の無線設備を有するネットワークは、無線端末と無線基地局の間の電波の強弱等による通信状態の情報を用いることにより、無線端末の位置情報を有する。また、その位置情報は、地球上のある特定の範囲として識別される。
【0003】
無線端末の使用者は、通常、その無線端末を使用する権利を有する個人であり、契約の際に、使用者の住所等の個人情報を登録している。
【0004】
個人を識別し、認証するための方法として、生体情報の照合による個人認証がある。
【0005】
無線端末の位置情報と生体情報の照合による個人認証の間には、相関関係がない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
生体特徴の照合による個人識別方法により、特定の生体特徴を持つ個人を高確率で識別できる。しかしながら、生体特徴を照合するための照合対象母体の大きさの程度によっては、照合結果を出力するまでに長い時間がかかり、その認証まで時間の長さが、個人認証によって利益を受ける企業、団体、個人に対し、ほとんどの場合、機会損などの不利益となる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
携帯電話サービス等の無線ネットワークから無線端末の位置情報を、そのまま、または、あらかじめ定義付けされた位置識別情報に変換して、生体個人認証サービス提供者の管理する個人認証システムへ配信する。
【0008】
上記、配信された位置情報を基に、生体情報の照合による個人認証システムは、生体情報の照合対象母体を縮小化する。この動作は、無線端末位置情報の変化により自動的に行われるため、店舗等における生体情報の照合による個人認証をする時点には、生体情報の照合対象母体の縮小化がすでに完了している。
【0009】
生体情報の照合による個人認証をする際に、前述の縮小化された照合対象母体から、そのままで生体情報照合を行うか、または、その前にパスワード等の認証対象個人のみの知っている可能性の高い情報の入力により、さらに照合対象母体を縮小させ、生体情報照合を行う。
【0010】
生体情報の照合方法には、生体情報のデータ自身を照合対象とするか、または、データのCRC(Cyclic Redundancy Check:巡回冗長検査)値を算出し、そのCRC値を照合対象とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、生体情報の照合による個人認証に用いられる生体情報の照合対象母体が、個人認証のための認証要求にかかわらず、あらかじめ無線端末位置情報を基に縮小化されていることにより、個人認証要求時において、個人認証にかかる時間を短縮することに寄与する。また、時間短縮により、ある特定の組織やサービスに対して、会員証などを提示しなくても、その組織への所属や、サービスを受ける権利の有無などの情報を個人情報から参照することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の実施例について図を基に説明する。
【0013】
本特許を実現するにあたり、図1中のF0000からF0007の機能群を定義する。
ただし、論理的に構成および機能を定義するものであり、それらの物理的配置および数は実現環境に依存する。
【0014】
F0000:無線通信ネットワーク概略
無線通信ネットワーク概略にて説明されているネットワークは、無線端末の位置情報を保持している。無線端末の位置情報は、その無線端末の使用している無線通信方式に対応したマクロセル、ミクロセル、フェムトセルを形成するそれぞれの無線基地局のどれかまたは複数から得られた位置情報により確定される。
【0015】
F0001:位置情報配信サーバ
F0000にて得られた無線端末の位置情報は、図1中でF0001と表記されている位置情報配信サーバにて、あらかじめ配信用に定義づけられた形式に変換され、後述のF0002:位置情報ルーティングサーバに配信される。配信情報には、無線端末識別子および無線端末位置情報が含まれる。
【0016】
F0002:位置情報ルーティングサーバ
本機能は、後述のF0006:個人情報およびエリア管理サーバから受け取った情報を基に、無線端末位置情報に対応付けられた位置範囲情報(以後、エリアと呼ぶこととする。)のデータベース(以降、エリアデータベースと呼ぶこととする。)を有する。また、無線端末識別子に対応付けられた後述のF0003:個人情報蓄積サーバの識別子のデータベース(以降、個人情報蓄積サーバデータベースと呼ぶこととする。)を有する。
【0017】
エリアはそれぞれ識別子を持ち、エリアの構成定義(エリア識別子に対応する位置情報区分の組み合わせ)は、生体個人認証サービス提供者により行われ、その者により任意に追加、変更、削除できる。
【0018】
F0002:位置情報ルーティングサーバは、F0001:位置情報配信サーバから無線端末位置情報を受け取った際、個人情報蓄積サーバデータベースを参照し、無線端末識別子に対応付けられたF0003:個人情報蓄積サーバの識別子を抽出する。また、エリアデータベースを参照し、無線端末位置情報からエリア識別子を抽出する。その後、該当するF0003:個人情報蓄積サーバに対し、端末識別子およびエリア識別子を送信する(以降、個人情報コピー要求と呼ぶこととする。)。
【0019】
F0003:個人情報蓄積サーバ
本機能は、後述のF0006:個人情報およびエリア管理サーバから生体特徴データを含めた個人情報を受けとり蓄積する(以降、個人情報データベースと呼ぶこととする)。また、エリア識別子に対応付けられた後述のF0004:生体個人認証サーバの識別子のデータベース(以降、生体個人認証サーバデータベースと呼ぶこととする。)および無線端末識別子に対応付けられた、その無線端末が存在するエリア(以降、現在エリアと呼ぶこととする。)のデータベース(以降、現在エリアデータベースと呼ぶこととする。)を有する。
【0020】
F0003:個人情報蓄積サーバは、F0002:位置情報ルーティングサーバから個人情報コピー要求が送られてきた際、個人情報データベースを参照し、無線端末識別子に対応付けられた個人情報を抽出する。また、生体個人認証サーバデータベースから、個人情報コピー要求内のエリア識別子に対応付けられたF0004:生体個人認証サーバを抽出し、抽出されたF0004:生体個人認証サーバに対し個人情報を送出する。
【0021】
F0003:個人情報蓄積サーバは、前述の配信後に現在エリアデータベースから無線端末識別子に対応付けされているエリア識別子を抽出し、抽出されたエリア識別子を用いて生体個人認証サーバデータベースから、そのエリア識別子に対応付けられている生体個人認証サーバを抽出する。その後、抽出された生体個人認証サーバに対し無線端末識別子を基にした個人情報の削除要求を送出する。
【0022】
削除要求送出後、F0003:個人情報蓄積サーバは、現在エリアデータベース内の無線端末識別子に対応したエリア識別子を更新する。尚、配信対象となるF0004:生体個人認証サーバの数は、生体個人認証サービス提供者によるエリアの定義区分に依存する。
【0023】
F0004:生体個人認証サーバ
本機能は、前述の過程により縮小化された個人情報データベースを有する。また、後述のF0005:生体個人認証装置から送信されてくる個人認証要求に対し、認証結果を返信する。
【0024】
F0004:生体個人認証サーバは、前述のF0003:個人情報蓄積サーバからの個人情の追加、削除要求を受け、個人情報データベース内のエントリを追加、削除する。
【0025】
F0005:生体個人認証装置
本機能は、生体情報の読み取り装置および読み取った生体情報データをそのまま、または近似値化、あるいはCRC値化して、F0004:生体個人認証サーバに対し個人認証要求を送出する。この装置の例として、POSレジや生体認証読取装置を有する自動販売機等の決済機等が上げられる。
【0026】
F0006:個人情報およびエリア管理サーバ
本機能は、各データベースおよび識別子等を管理する機能を有する。
【0027】
F0007:個人情報登録装置
本機能は、生体読取装置を有する個人情報を登録する際に使用される装置である。
【産業上の利用可能性】
本特許を使用により、多数の顧客を有する企業等が生体認証による個人認証を採用しやすくなり、結果、物理的証明書類の発行量を抑制し得る可能性が高く、また、認証を受ける個人に至っても、物理的証明書類の管理を軽減する。
【図1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体情報の照合による個人認証に用いられる個人情報データベースの照合対象母体を、個人認証のための照合要求にかかわらず、あらかじめ、携帯電話等の無線通信ネットワーク事業者からの端末位置情報を基に縮小化すること。
【請求項2】
携帯電話等の無線通信ネットワーク事業者の提供する端末位置情報に関わらず、または複数の無線通信ネットワーク事業者の端末位置情報を複合して、無線端末位置情報を使用して生体情報の照合による個人認証を行うためのサービスの提供者(企業、団体、個人、以降、生体個人認証サービス提供者と呼ぶこととする。)が位置情報区分を任意に定義付けすることにより、個人認証に関わるシステム応答時間を調整する技術。
【請求項3】
生体情報の照合による個人認証用に採取され、数値化されたデータの、または、その近似値化後のデータのCRC(Cyclic Redundancy Check:巡回冗長検査)値を、生体情報の照合による個人認証のための照合対象とすること。

【公開番号】特開2010−15522(P2010−15522A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−194112(P2008−194112)
【出願日】平成20年6月30日(2008.6.30)
【出願人】(508227754)
【Fターム(参考)】