説明

生体情報テレメータシステム

【課題】被検者が動いたり運動している場合においても邪魔にならず十分な動きや運動を行いながら、安定した生体情報の収集を行う。
【解決手段】生体の所要箇所に貼着され、生体に接触するセンサ部により取得された生体信号を無線信号として送信する送信部を備える送信装置100と、送信装置100から送信される無線信号をスペースダイバーシチ受信方式により受信する受信部と、この受信部により受信された信号を無線回線を介して中継送信する中継送信部と、受信部及び中継送信部を保持し生体に装着するための装着手段を備える中継装置200と、生体信号を中継装置200から受信し、生体情報を作成するセンタ装置300とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、 生体情報の収集に用いるための生体情報収集テレメータシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種のテレメータシステムとしては、生体から信号を取り出すための電極を生体に貼着し、電極からリード線を延ばして無線中継器へ生体信号を導き、無線中継器から電波によりセンタ装置へ生体信号を送信するように構成されていた。
【0003】
しかしながら、上記のテレメータシステムにあっては、電極と無線中継器との間をリード線によって接続するものであるから、動いている状態(例えば、運動状態)の被検者の生体情報を得ようとすると、リード線の長さなどにより電極が外れたり、電極の接触が不安定になったりして、安定した生体情報を収集することが困難であった。また、リード線が生体表面を這うように配置されるため、思い切った運動を行うことができず、不十分な生体情報の収集にとどまらざるを得なかった。
【0004】
上記の問題点を解決したシステムとして、特許文献1に記載のものが知られている。この特許文献1に記載のシステムにあっては、センサが検出した生体信号について無線ネットワークを介して中継機に送信し、中継機から無線ネットワークを介してセンタ装置へ送信するものである。
【0005】
しかしながら、上記のシステムは無線ネットワークが必要であり、無線ネットワークが設けられていない屋外などでは生体情報の収集を行うことが出来ない。また、一般的にセンサの厚み(体表面からの厚み)を薄くして小型化軽量化することが望まれるが、このような小型化軽量化を行った場合には、電波が生体に吸収されて上手く生体信号の送信が出来ないという問題がある。
【0006】
また、中継器においても、センサとの位置関係やアンテナと生体の距離によっては、アンテナの感度が無くなるNULL点が発生することがあり、適切に無線信号を受信できない状態が発生し、生体信号を得るために中継器の位置を変更するなどして被検者に何度も同じ動作・運動などを行ってもらう必要が生じるなど、被検者への負担も多いものであった。
【特許文献1】特開2007−143959号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記のような従来の生体情報収集システムが有している問題点を解決せんとしてなされたもので、その目的は、生体に接触する電極を介して生体信号をセンサ部により取得する送信装置の小型化軽量化を図り、被検者が動いたり運動している場合においても邪魔にならず十分な動きや運動を行いながら、安定した生体情報の収集を行うことが可能にする生体情報収集システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る生体情報収集システムは、生体の所要箇所に貼着され、生体に接触するセンサ部により取得された生体信号を無線信号として送信する送信部を備える送信装置と、前記送信装置から送信される無線信号をスペースダイバーシチ受信方式により受信する受信部と、この受信部により受信された信号を無線回線を介して中継送信する中継送信部と、前記受信部及び前記中継送信部を保持し生体に装着するための装着手段を備える中継装置と、中継装置から送信される無線回線の信号を受信するセンタ受信部と、生体信号に基づく生体情報を表示するための表示部と、前記センタ受信部により受信された信号に基づき前記表示部に表示する生体情報を作成するデータ処理部とを備えるセンタ装置とを具備することを特徴とする。
【0009】
本発明に係る生体情報収集システムは、送信装置には、生体に接触する電極及びセンサ部が一体的に具備されていることを特徴とする。
【0010】
本発明に係る生体情報収集システムでは、中継装置には、スペースダイバーシチ受信を行う第1及び第2の受信アンテナと、これら第1及び第2の受信アンテナを生体から離間させて設けるためのスペーサ部材とが備えられていることを特徴とする。
【0011】
本発明に係る生体情報収集システムは、送信装置にはアンテナが備えられ、該アンテナは生体から離れた側にループ形状にされて配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る生体情報収集システムでは、生体に接触するセンサ部により取得された生体信号を無線信号として送信装置から送信し、中継装置において無線信号をスペースダイバーシチ受信方式により受信し、受信された信号を無線回線を介して中継送信するので、中継装置において送信装置から送信された信号を受信する確度が高くなり、適切に生体情報の収集を行うことが可能となる。
【0013】
本発明に係る生体情報収集システムでは、送信装置には、生体に接触する電極及びセンサ部が一体的に具備されているので、電極から得られる生体信号に対するノイズがリード線を介して重畳することがなく、ノイズを低減することができ、安定した生体情報収集を行うことが可能である。
【0014】
本発明に係る生体情報収集システムでは、スペースダイバーシチ受信を行う第1及び第2の受信アンテナと、これら第1及び第2の受信アンテナを生体から離間させて設けるためのスペーサ部材とが備えられているので無線信号の受信が可能となり、安定した生体情報収集を行うことが可能である。
【0015】
本発明に係る生体情報収集システムでは、送信装置に備えられたアンテナが、生体から離れた側にループ形状にされて配置されているので、送信電波が生体に吸収され難く、安定した生体情報収集を行うことが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、添付図面を参照して本発明の実施例に係る生体情報収集システムを説明する。各図において、同一の構成要素には同一の符号を付して重複する説明を省略する。図1に、本発明の実施例に係る生体情報収集システムを示す。生体情報収集システムは、送信装置100と中継装置200とセンタ装置300とにより構成される。
【0017】
図2に示すように、送信装置100は、生体に接触する電極101により生体信号を取り込むセンサ部102を備える。送信装置100が筋電図信号等を検出するものである場合には、電極101は筐体に一体に備えられる。
【0018】
送信装置100は、更に、アンプ103、CPU(Central Processing Unit)104、CPLD(Complex Programmable Logic Device)105、FSK(Frequency Sift keying)トランシーバ106及びリード線により構成されるアンテナ107を備えている。各回路部は、電池を有し充電回路を含む電源部108から電源を得ている。上記のアンプ103は、センサ部102から送出される生体信号を増幅してCPU104へ与える。CPU104は、与えられた生体信号をA/D変換して取り込み、所定のタイミングでFSKトランシーバ106へ送り出す。CPLD105は、中継装置200から送られてくる受信データのプリアンブルパターンからクロックを再生してCPU104へ与え、送信タイミング検出を行わせるものである。ここでは、TDMA(Time Division Multiple Access)が採用されており、予め設定されているタイムスロットにより送信を行う。
【0019】
FSKトランシーバ106は、CPU104から送られる生体信号のサンプリングデータをFSK変調して所定無線周波数(医用無線E帯)へアップコンバートしてアンテナ107から無線送信するものである。また、FSKトランシーバ106は、中継装置200から送られる無線信号をアンテナ107を介して受信し、ダウンコンバートしてCPLD105へ送っている。FSKトランシーバ106が使用可能な周波数は2周波数であり、設定された1周波数により送信が行われる。
【0020】
送信装置100は、図3、図4に示すように四角形に半円形を結合した平面形状の筐体110に各回路等が収納された構成を有し、筐体110内部には、充電可能な電池111が中央部に配置され、使用時に電池111よりも生体側となる部分に、センサ部102やアンプ103及び電源部108などを備えるアナログユニット基板112が配置されている。更に、電池111を挟んでアナログユニット基板112とは反対の側に、CPU104、CPLD105、FSKトランシーバ106などを備えるRF−CPUユニット基板113が配置されている。
【0021】
アナログユニット基板112とRF−CPUユニット基板113との間にはこれらを接続する基板接続コネクタ114が配置され、更に、筐体110の外部に設けられる電極101を接続するための外部接続コネクタ115が設けられている。筐体110のRF−CPUユニット基板113側を開放した平面図である図5に示すように、使用周波数に対し1/4波長の長さを有する2本のアンテナ107が、生体から離れた側であるRF−CPUユニット基板113の上側で筐体110の縁に沿ってループ形状にされて配置され、2本のアンテナ107はホイップアンテナであるが伝送距離を向上させている。2本のアンテナ107は適宜な位置において接着剤116により固定されている。
【0022】
送信装置100としては、筋電図用、心電図用、加速度用(1軸と3軸)、直流(外部信号取り込み)用、角度用、呼吸波用及びSpO2(動脈血酸素飽和度)用等のセンサ機能を有するタイプがあり、それぞれのタイプに対応して電極101とセンサ部102とが変更されている。
【0023】
図3、図4に示す送信装置100は筋電図用のセンサ機能を有するタイプであり、筐体110の裏面110Rに3個の電極101が突出している。使用に際しては、筐体110の裏面110Rと同形状であって3個の電極101に対応する穴が形成された両面テープを裏面110Rに貼着し、生体の所要部をアルコールにて拭き、両面テープにより張り付け固定する。センサ部102は、筋電図用の公知の構成を備えている。
【0024】
心電図用の送信装置100にあっては、図6に示すような3つの電極端子120がそれぞれ個別のリード線121に接続され、各リード線121がプラグ122に接続された電極モジュールを用いる。プラグ122を筐体110の外部接続コネクタ115に結合させて、導電性ゲル層など有する電極(生体電極)101に3電極端子120を取り付けて、この電極101を生体の胸部における所要位置に貼着する。心電図用の送信装置100にあっては、筐体110の裏面110Rに電極101が設けられておらず、図7に示すようにほぼフラットな面を有している。筐体110の裏面110Rと同形状の両面テープを裏面110Rに貼着し、生体の所要部をアルコールにて拭き、両面テープにより生体に張り付け固定する。センサ部102は、心電図用の公知の構成を備えている。
【0025】
加速度用(1軸と3軸)の送信装置100にあっては、筐体110内部に加速度検出の機構を含む公知のセンサ部102を備える。生体に接触する電極は存在しない。この送信装置100においても、筐体110の裏面110Rに電極101が設けられておらず、図7に示すように構成されている。使用に際しては、筐体110の裏面110Rと同形状の両面テープを裏面110Rに貼着し、生体の所要部をアルコールにて拭き、両面テープにより生体に張り付け固定する。
【0026】
直流用の送信装置100にあっては、入力コードにより外部信号を外部接続コネクタ115に導くものであり、センサ部102を備えておらず、また生体に接触する電極は存在しない。筐体110の裏面110Rは図7に示すようである。使用方法は、加速度用(1軸と3軸)の送信装置100と同様である。
【0027】
角度用の送信装置100にあっては、図8に示すような2つの検出部131を有するもので、検出部131からリード線132を介してプラグ133に信号が送出されるセンサが用いられる。プラグ133を筐体110の外部接続コネクタ115に結合させて、2つの検出部131を関節を介して上下或いは左右に貼着することにより測定が行われる。この角度用の送信装置100は、生体に接触する電極を有しない。筐体110の裏面110Rは図7に示すようである。使用に際しては、筐体110の裏面110Rと同形状の両面テープを裏面110Rに貼着し、生体の所要部をアルコールにて拭き、両面テープにより生体に張り付け固定する。
【0028】
呼吸波用の送信装置100にあっては、例えば図9に示すようなサーミスタの検出部141が設けられたもので、検出部141からリード線142を介してプラグ143に信号が送出されるセンサが用いられる。センサ部102では、サーミスタの検出部141により得られる温度変化に対する信号を取り出す。この呼吸波用の送信装置100は、生体に接触する電極を有しない。筐体110の裏面110Rは図7に示すようである。使用に際しては、サーミスタの検出部141を鼻孔の入口部に固定し、必要に応じてリード線142を顔面等に固定する。筐体110については、その裏面110Rと同形状の両面テープを裏面110Rに貼着し、生体の所要部をアルコールにて拭き、両面テープにより生体に張り付け固定する。
【0029】
SpO2用の送信装置100Aにあっては、例えば図10に示すような送信装置100Aの外部接続コネクタ115に対し、プラグ153にリード線152を介して接続した受光素子及び発光素子を有する検出部151を備えたセンサが接続される。送信装置100Aの内部構成は図2に示す通りである。センサ部102は、SpO2用の公知の構成が用いられる。送信装置100Aは、図11に示されるようなヘッドバンド161に取り付けられた収納ケース162に収納されて用いられる。検出部151は額の中央付近に貼着されると共にヘッドバンド161により緊縛される。ヘッドバンド161の両端部から所定の長さにわたって面状ファスナー163が設けられており、収納ケース162に収納された送信装置100Aは例えば後頭部に固定される(図11)。
【0030】
中継装置200は、図12に示されるように生体の腹部や腰部にフィットするようにR状に沿った裏面を有し、図13に示すように表面側中央部はフラットに構成されたボックス状の筐体210に、二つの送信部基板211と、二階層構造の送受無線部基板212と送受・制御基板213とが備えられている。
【0031】
送受無線部基板212と送受・制御基板213の回路構成は図14のようである。この中継装置200においてはスペースダイバーシチ受信のために、第1の受信部220Aと第2の受信部220Bとを備える。第1の受信部220Aと第2の受信部220Bとは、同一の構成であるので、代表して第1の受信部220Aを説明する。リード線により構成されるλ/4ダイポールアンテナである受信アンテナ221Aと低ノイズアンプ222Aとを備え、無線信号を取り込み増幅する構成を採用している。
【0032】
低ノイズアンプ222Aの出力は分配器223AによりBPF(バンドパスフィルタ)224A、225Aに分岐される。BPF224A、225Aは、使用する2の無線周波数に対応するものであり、BPF224A、225Aによりそれぞれ異なる所定周波数成分が通過させられる。
【0033】
BPF224A、225Aの出力は、FSKトランシーバ226A、227Aに与えられ、ダウンコンバート及びFSK復調されて、CPLD228へ送られる。CPLD228は、第1の受信部220Aと第2の受信部220Bとから受信した受信信号の電界強度を比較して、電界強度の強い受信信号を採用する他、受信信号のプリアンブルパターンから受信クロックを再生する等の処理などを行う。
【0034】
CPLD228には、第1のCPU231と第2のCPU232とが接続され、第1のCPU231が各部の動作制御を行い、第2のCPU232は、CPLD228と共働してTDMA受信処理を行う。ここでは、例えば、1周波数について8タイムスロット二分割しており、1周波数について8個の送信装置100から信号受信することができ、2周波数では16個の送信装置100から信号受信することができる。
【0035】
各回路部は、電池235を有する電源部236から電源を得ている。CPLD228からは受信した信号と、プリアンブルパターンにセットする受信機用同期パターン及び装置の状態を示すステータスが二つの送信部基板211へ送られる。二つの送信部基板211に設けられている送信回路は、使用する送信周波数が異なるものの、同一の構成であり、図15に示されているものである。
【0036】
即ち、CPLD228から送られた信号はFSKトランシーバ241へ到り、FSKトランシーバ241をCPU242が制御してTDMA通信により8個の送信装置100から受信した信号を送信するように構成されている。FSKトランシーバ241では、FSK変調及びアップコンバートが行われ、リード線により構成されるλ/4ダイポールアンテナである送信アンテナ243から送信される。
【0037】
中継装置200の上面板には、図12に示されるように電源スイッチ251、チェックLED252、チェックスイッチ253、送信パワー切り換えスイッチ254、マークスイッチ255が備えられている。電源スイッチ251をオンとし、チェックスイッチ253を操作してチェックLED252が緑色に点灯することで、動作可能状態を知ることができる。マークスイッチ255の操作により、動作状態で受信イベントを発生させて受信を行わせることができる。
【0038】
中継装置200における筐体210の両側には、図13に示すベルト装着穴209が形成され、図16〜図18に示すように、ベルト261、262が装着されている。ベルト261、262の先端部には長さ調整部を有する受側止具263と差込側止具264が設けられる。ベルト261、262には、L字状のアンテナポーチ265が設けられている。アンテナポーチ265はL字の角部が入り口である袋であり、袋内部にスポンジなどの弾性材からなるスペーサ266が入れられており、中継装置200の装着時に受信アンテナ221A、221Bがスペーサ266を介して生体表面に向き合うようにされ、生体表面から離間させる機能を有している。スペーサ266の厚みは3cmより厚いと好適な受信が可能となることが実験から確かめられた。
【0039】
ベルト261、262には、受信アンテナ221A、221Bと低ノイズアンプ222A、222Bとを結ぶアンテナコードを固定するベルト掛け267が設けられている。中継装置200における筐体210の両側からは二つの送信部基板211に接続される二つの送信アンテナ243が突き出しており、生体表面から離間する方向へ2次曲線のように湾曲され、先端が生体表面から真っ直ぐ延びるように構成されている。これにより、送信した無線信号が生体に吸収される度合いを低下させて、良好な送信を可能としている。中継装置200における裏面側にはクッション268が貼着されて、中継装置200を装着した場合にフィットし、運動などによっても大きく揺れることがないようにされている。中継装置200は、図13に示すように生体の腹部または腰部に装着して用いることも、また生体から外して図16に示すようにベルト261、262を延ばした状態で用いることもできる。
【0040】
図1に示すようにセンタ装置300は、アンテナ301と無線・受信処理部302とを有し、中央制御部303と表示部304及び入力部305を備えるものである。無線・受信処理部302は中継装置200の送信用の2周波数に対応して受信し、TDMA通信による信号を受信してFSK復調し、各タイムスロットに対応する生体信号を再生して中央制御部303へ与える。
【0041】
中央制御部303は、生体信号のデータをデータ処理して、生体信号に応じて筋電図波形、心電図波形、加速度波形(1軸と3軸)、直流波形、角度波形、呼吸波形及びSpO2波形等を作成して、表示部304へ表示するプロセッサである。入力部305からは中央制御部303に対し与える、表示の切り換えなどのコマンドを入力することができる。アンテナ301と無線・受信処理部302とを除く部分はパーソナルコンピュータなどにより構成することもできる。
【0042】
以上の通り、構成された生体情報収集システムにあっては、送信装置100として筋電図用のものを、例えば16個用意して、これらの内の8個に第1の周波数を使用することを設定し、残りの8個に第2の周波数を使用することを設定する。また、第1の周波数を使用する8個の送信装置100に使用するタイムスロットが重ならないようにタイムスロットの割り当てを行い、第2の周波数を使用する8個の送信装置100に使用するタイムスロットが重ならないようにタイムスロットの割り当てを行う。
【0043】
各送信装置100の電源をオンとして、既に説明した通りにして生体の所要部に貼着する。また、電源をオンとした中継装置200を生体の腹部にセットし、測定を開始する。勿論、センタ装置300についても電源オンとし、動作可能な状態とする。
【0044】
各送信装置100では、中継装置200から送られる送信信号に含まれるプリアンブルパターンからクロックを再生して、8タイムスロットの先頭の同期信号のタイミング(位置)を検出する。同期信号SYNは図19に示されるように再生される。各送信装置100では、タイムスロットの割り当てが設定されているので、同期信号SYNのパルスから所定番目のタイムスロットにおいて、収集した生体信号をFSK変調して送信する。図19のタイムスロット#T1、#T2、・・・、#T8において対応する送信装置100から生体信号が送られる。
【0045】
中継装置200は、到来する無線信号についてダイバーシチ受信を行うと共に、受信信号のプリアンブルパターンから受信クロックを再生して、各タイムスロットの生体信号を取り出し、再び8タイムスロットの1フレームに戻し、受信機用同期パターン及び装置の状態を示すステータスを付加して送信する。
【0046】
センタ装置300は、二つの周波数によりそれぞれ8タイムスロットに配置された生体信号を受け取り、受信機用同期パターンを用いてタイムスロットから取り出し、生体信号とし、更に生体信号のデータをデータ処理して、生体信号に応じて筋電図波形を作成して、表示部304へ表示する。
【0047】
このように、本実施例によれば、送信装置100から無線信号により中継装置200へ生体信号を送信することで、送信装置100と中継装置200とを装着した状態で被検者が自由に運動などを行うことができ、動いている状態の生体情報を収集できる。この場合に、送信装置100の2本のアンテナ107が、生体から離れた側であるRF−CPUユニット基板113の上側で筐体110の縁に沿ってループ形状にされて配置されており、伝送距離を向上させ確実な生体信号の送信に寄与している。
【0048】
また、中継装置200においては、スペースダイバーシチ受信が行われ、受信アンテナ221A、221Bがスペーサ266を介して生体表面に向き合うようにされ、生体表面から離間させて好適な受信が可能とされており、生体情報の確実な収集がなされるものである。更に、TDMA通信方式の採用により複数の送信装置100から一時に生体信号を収集でき、各部位における生体信号或いは複数のパラメータによる生体信号を得て、生体の活動状態を分析可能である。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明に係る生体情報収集システムの構成を示すブロック図。
【図2】本発明に係る生体情報収集システムを構成する送信装置の機能ブロック図。
【図3】本発明に係る生体情報収集システムを構成する送信装置の外観を示す図であり、(a)は正面図、(b)は背面図、(c)は底面図。
【図4】本発明に係る生体情報収集システムを構成する送信装置の側面断面図。
【図5】本発明に係る生体情報収集システムを構成する送信装置の正面側の筐体パネルを剥がした状態の平面図。
【図6】本発明に係る生体情報収集システムを構成する送信装置に接続される心電図用の電極モジュールの平面図。
【図7】本発明に係る生体情報収集システムを構成する送信装置であって、裏面側に電極を備えないタイプの送信装置を示す側面断面図。
【図8】本発明に係る生体情報収集システムを構成する送信装置に接続される角度用のセンサの平面図。
【図9】本発明に係る生体情報収集システムを構成する送信装置に接続される呼吸波用のセンサの平面図。
【図10】本発明に係る生体情報収集システムを構成するSpO2用送信装置及びこれに接続されるSpO2用のセンサの平面図。
【図11】本発明に係る生体情報収集システムを構成するSpO2用送信装置及びこれに接続されるSpO2用のセンサの使用状態を示す斜視図。
【図12】本発明に係る生体情報収集システムを構成する中継装置の平面図。
【図13】本発明に係る生体情報収集システムを構成する中継装置の筐体の正面側パネルを剥がした状態の平面図。
【図14】本発明に係る生体情報収集システムを構成する中継装置の要部機能ブロック図。
【図15】本発明に係る生体情報収集システムを構成する中継装置の要部機能ブロック図。
【図16】本発明に係る生体情報収集システムを構成する中継装置に装着手段を取り付けた状態の正面図。
【図17】本発明に係る生体情報収集システムを構成する中継装置に装着手段を取り付けたものを生体に装着した状態の斜視図。
【図18】本発明に係る生体情報収集システムを構成する中継装置に装着手段を取り付けたものを生体に装着した状態の斜視図。
【図19】本発明に係る生体情報収集システムにより送信される生体信号の送信タイミングを示す図。
【符号の説明】
【0050】
100、100A 送信装置 101 電極
102 センサ部 305 入力部
103 アンプ 106 トランシーバ
107 アンテナ 108 電源部
110 筐体 111 電池
112 アナログユニット基板 113 ユニット基板
114 基板接続コネクタ 115 外部接続コネクタ
116 接着剤 117 ボタンスイッチ
200 中継装置 209 ベルト装着穴
210 筐体 211 送信部基板
212 送受無線部基板 213 送受・制御基板
220A、220B 受信部 221A 受信アンテナ
222A 低ノイズアンプ 223A 分配器
226A トランシーバ 235 電池
236 電源部 241 トランシーバ
243 送信アンテナ 261 ベルト
263 受側止具 264 差込側止具
265 アンテナポーチ 266 スペーサ
268 クッション 300 センタ装置
301 アンテナ 302 無線・受信処理部
303 中央制御部 304 表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体の所要箇所に貼着され、生体に接触するセンサ部により取得された生体信号を無線信号として送信する送信部を備える送信装置と、
前記送信装置から送信される無線信号をスペースダイバーシチ受信方式により受信する受信部と、この受信部により受信された信号を無線回線を介して中継送信する中継送信部と、前記受信部及び前記中継送信部を保持し生体に装着するための装着手段を備える中継装置と、
中継装置から送信される無線回線の信号を受信するセンタ受信部と、生体信号に基づく生体情報を表示するための表示部と、前記センタ受信部により受信された信号に基づき前記表示部に表示する生体情報を作成するデータ処理部とを備えるセンタ装置と
を具備することを特徴とする生体情報収集システム。
【請求項2】
送信装置には、生体に接触する電極及びセンサ部が一体的に具備されていることを特徴とする請求項1に記載の生体情報収集システム。
【請求項3】
中継装置には、
スペースダイバーシチ受信を行う第1及び第2の受信アンテナと、
これら第1及び第2の受信アンテナを生体から離間させて設けるためのスペーサ部材と
が備えられていることを特徴とする請求項1または2に記載の生体情報収集システム。
【請求項4】
送信装置にはアンテナが備えられ、該アンテナは生体から離れた側にループ形状にされて配置されていることを特徴とする請求項1乃至3に記載の生体情報収集システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2009−178381(P2009−178381A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−20805(P2008−20805)
【出願日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願人】(000230962)日本光電工業株式会社 (179)
【Fターム(参考)】