説明

生体情報取得装置

【課題】取得済みのデータを利用して精度よく生体情報を取得する生体情報取得装置を提供し、利用者の満足度を向上させる。
【解決手段】生体情報取得装置としての体組成計100、歩数計505、電子体温計1508、血圧計2100,2200,2300,2301,2400,2500,2600に、生体に関する生体情報を取得する生体情報取得手段と、前記生体情報取得手段により取得する生体情報を別途取得する補正用情報に基づいて補正する補正手段と、該補正後の補正後情報を出力する出力手段とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば生体の情報を取得するような生体情報取得装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、生体情報を取得するものとして、体組成計(体重体組成計を含む)、体温計、歩数計、活動量測定装置(歩数計を含む)、移動姿勢検出装置、血圧計など、様々な生体情報取得装置が提案されている。
これらの生体情報取得装置は、精度を向上させるべく様々な改良が行われている。
しかし、生体情報取得装置は、さらなる精度の向上が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この発明は、上述の問題に鑑み、取得済みのデータを利用して精度よく生体情報を取得する生体情報取得装置を提供し、利用者の満足度を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この発明は、生体に関する生体情報を取得する生体情報取得手段と、前記生体情報取得手段により取得する生体情報を別途取得する補正用情報に基づいて補正する補正手段と、該補正後の補正後情報を出力する出力手段とを備えた生体情報取得装置であることを特徴とする。
これにより、取得済みのデータを利用して精度よく生体情報を取得することができる。
【0005】
またこの発明は、前記生体情報取得装置として機能し、前記生体情報取得手段としてインピーダンス測定手段または/および体重測定手段を備えた体組成計であって、前記補正用情報として、両手間でインピーダンスを測定した部位別インピーダンス情報、食事摂取量に関する食事摂取量情報、または運動量に関する運動量情報の少なくとも1つを取得する情報取得手段を備えた体組成計とすることができる。
これにより、非常に精度の高いインピーダンス測定を実行することができる。
【0006】
またこの発明の態様として、前記情報取得手段により前記補正用情報として前記部位別インピーダンスを取得した場合、前記補正手段は、前記部位別インピーダンスと全身式で測定した全身インピーダンスとの差を測定時間差で除算して日内変動直線の傾きを算出し、該日内変動直線に当てはめてインピーダンスを補正する構成とすることができる。
これにより、利用者自身が過去に測定した両手間インピーダンスを用いるため、その利用者に適した補正を行うことができる。
【0007】
またこの発明の態様として、前記情報取得手段により前記補正用情報として前記食事摂取量情報を取得した場合、前記補正手段は、前記生体情報取得手段としての体重測定手段で取得した体重を前記食事摂取量情報により補正する構成とすることができる。
これにより、食事摂取量に応じて補正した体重を得ることができる。
【0008】
またこの発明の態様として、前記情報取得手段により前記補正用情報として前記運動量に関する運動量情報を取得した場合、前記補正手段は、前記運動量情報に基づいて脂肪燃焼量を算出し、該脂肪燃焼量を減算して体重または/および体組成を補正する構成にすることができる。
これにより、運動量に応じて補正した体重または/および体組成を得ることができる。
【0009】
またこの発明は、前記生体情報取得装置として機能し、前記生体情報取得手段として体重測定手段を備えた体組成計であって、利用者が乗っていない初期状態の出力値の測定を行う初期値測定手段と、測定した初期値を複数記憶する記憶手段と、該複数の初期値のばらつきが所定範囲内にある場合に初期基準値を作成する初期基準値作成手段と、前記体重測定手段により体重測定を行う際に前記初期基準値を用いて測定する初期基準値適用手段とを備えた体組成計とすることができる。
これにより、短時間で精度の良い体重測定を実現することができる。
【0010】
またこの発明は、前記生体情報取得装置として機能し、前記生体情報取得手段として複数の荷重測定部を有する体重測定手段を備えた体組成計であって、前記複数の荷重測定部にそれぞれかかる荷重を取得し、この荷重の分散度合いを測定し、次回の体重測定時に該荷重の分散度合いに応じて前記体重測定手段による測定中心位置を移動させる体組成計とすることができる。
これにより、安定した精度の体重測定を行い利用者の満足度を向上させることができる。
【0011】
またこの発明は、前記生体情報取得装置として機能し、前記生体情報取得手段として体動による振動を検知した振動データを取得する振動データ取得手段を備えた歩数計であって、利用者に指定歩数の移動をさせて該指定歩数分の振動データを取得する調整用振動データ取得手段を備え、前記補正手段は、前記調整用振動データ取得手段で取得した振動データと前記指定歩数に基づいて歩数をカウントする際の判定基準を補正する構成であり、前記出力手段は、前記振動データから前記判定基準に基づいて取得した歩数を出力する構成である歩数計とすることができる。
これにより、個人の特性に合わせた精度のよい歩数カウントを実行できる。
【0012】
この発明の態様として、前記振動データを取得した際のデータ取得環境を入力させるデータ取得環境入力手段を備え、前記補正手段は、前記データ取得環境入力手段で入力されたデータ取得環境を利用した前記判定基準の補正を実行する構成とすることができる。
これにより、データ取得環境を加味してより精度のよい歩数カウントを実行できる。
【0013】
またこの発明は、前記生体情報取得装置として機能し、前記生体情報取得手段として体動による振動を検知した振動データを取得する振動データ取得手段を備えた歩数計であって、利用者に指定歩数の移動をさせて該指定歩数分の振動データを取得する調整用振動データ取得手段を備え、前記補正手段は、前記調整用振動データ取得手段で取得した振動データと前記指定歩数に基づいて歩数をカウントする際の判定基準を補正する構成であり、前記出力手段は、前記振動データから前記判定基準に基づいて取得した歩数を出力する構成であり、前記調整用振動データ取得手段による振動データの取得と前記補正手段による補正を実行開始するトリガとなる装着部位変更入力を受け付ける装着部位変更入力手段を備えた歩数計とすることができる。
これにより、歩数計の装着部位に応じて最適な歩数判定用アルゴリズムを使用でき、精度の高い歩数カウントを実現できる。
【0014】
またこの発明は、前記生体情報取得装置として機能し、前記生体情報取得手段として体動による振動を検知した振動データを取得する振動データ取得手段を備えた歩数計であって、移動種別を判定する移動種別判定基準データを記憶する記憶手段と、該移動種別判定基準データに基づいて前記振動データがどの移動種別に該当するか判定する移動種別判定手段とを備えた歩数計とすることができる。
これにより、移動種別が何であるか精度よく判定することができる。
【0015】
またこの発明は、前記生体情報取得装置として機能し、前記生体情報取得手段として体動による振動を検知した振動データを取得する振動データ取得手段を備えた歩数計であって、所定の振動データを送信し、該振動データに基づく歩数判定基準データを受信する通信手段を備え、前記補正手段は、歩数を判定する歩数判定基準データを前記通信手段により受信した前記歩数判定基準データに更新する構成であり、前記出力手段は、該更新後の歩数判定基準データによって判定した歩数を出力する構成である歩数計とすることができる。
これにより、利用者個人に最適なアルゴリズムを受信して歩数カウントを行うことができる。
【0016】
この発明の態様として、前記所定の振動データの送信をランダムなタイミングに実行する構成にすることができる。
これにより、歩数計の記憶部の容量の大幅な増加なども必要なく、通信量も軽減でき、効率よく最適なアルゴリズムを選定できる。
【0017】
またこの発明は、前記歩数計と、該歩数計と通信可能なサーバとを備えた歩数カウントシステムであって、前記サーバは、前記歩数計と通信する通信手段と、複数種類の特徴波形データを記憶する記憶手段と、各種制御を行う制御手段とを備え、該制御手段は、前記通信手段により前記歩数計から振動データを受信する振動データ受信処理と、受信した振動データが前記特徴波形データのどれに近いかパターンマッチングするパターンマッチング処理と、マッチングにより得たパターンに対応して新しい前記判定基準データを作成する判定基準データ作成処理とを実行する歩数カウントシステムとすることができる。
これにより、利用者の特性に応じた判定基準データを自動的に作成することができる。
【0018】
またこの発明は、前記生体情報取得装置として機能し、前記生体情報取得手段として体動による振動を検知した振動データを取得する振動データ取得手段を備えた活動量測定装置であって、前記振動データに基づいて消費カロリーを計算する消費カロリー計算手段と、他の機器から消費カロリーの算出に関する消費カロリー関連データを取得するデータ取得手段とを備え、前記補正手段は、前記消費カロリー計算手段で消費カロリーを算出する際に前記消費カロリー関連データを用いることで補正する構成であり、前記出力手段は、補正後の消費カロリーを出力する構成である活動量測定装置とすることができる。
これにより、精度の高い消費カロリーの出力を実現することができる。
【0019】
またこの発明は、前記生体情報取得装置として機能し、前記生体情報取得手段として体動による振動を検知した振動データを取得する振動データ取得手段を備えた活動量測定装置と、体重体組成を取得する体重体組成取得手段を備えた体重体組成計とを有する生体情報取得システムであって、前記体重体組成計は、運動開始前に測定した運動前体重体組成データと運動終了後に測定した運動後体重体組成データとを取得する構成であり、前記活動量測定装置は、運動中の振動データを取得する構成であり、前記運動前体重体組成データと前記運動後体重体組成データと前記振動データに基づいて消費カロリー補正係数を取得する消費カロリー補正係数取得手段と、該消費カロリー補正係数を用いて消費カロリーを算出する消費カロリー算出手段を備えた生体情報取得システムとすることができる。
これにより、消費カロリーをより正確に算出することができる。
【0020】
またこの発明の態様として、前記運動前体重体組成データと運動後体重体組成データとの差により変化量を求める変化量算出手段と、利用者が目標とする目標変化量を入力許容する入力手段と、求めた変化量と前記運動中の振動データに基づいて前記目標変化量に到達するために必要な運動を提案する提案手段とを備えることができる。
これにより、利用者に適切な提案を行うことができる。
【0021】
またこの発明は、前記生体情報取得装置として機能し、前記生体情報取得手段として生体の体動による変化を検知した体動関連データを取得する体動関連データ取得手段を備えた移動姿勢検出装置であって、前記体動関連データから移動姿勢を分析する移動姿勢分析手段と、移動姿勢の目標値となる目標値取得手段と、前記移動姿勢分析手段で分析した移動姿勢と前記目標値取得手段で取得した目標値とにより該目標値を達成しているか否かに関する達成関連情報を求める達成関連情報取得手段と、求めた達成関連情報を出力する達成関連情報出力手段とを備えた移動姿勢検出装置とすることができる。
これにより、目標としている移動姿勢に到達しているか否かを出力することができる。
【0022】
この発明の態様として、前記目標値の移動姿勢に近づくためのガイドとなるガイド情報を取得するガイド情報取得手段と、該ガイド情報を出力するガイド情報出力手段とを備えることができる。
これにより、目標を明確に認識して努力することができる。
【0023】
またこの発明は、前記生体情報取得装置として機能し、前記生体情報取得手段として生体の温度を測定する温度測定手段を備えた電子体温計であって、前記温度測定手段により測定した温度に関する温度関連情報を同一の測定部位について複数記憶する記憶手段と、該複数の温度関連情報に基づいて前記測定部位の熱時定数を算出する熱時定数算出手段とを備え、前記補正手段を、前記熱時定数を用いて前記温度測定手段により測定した温度を補正する構成にした電子体温計とすることができる。
これにより、短時間で精度の高い深部温度の測定を実現することができる。
【0024】
この発明の態様として、前記温度測定手段は、前記測定部位に接触する接触部にプローブを有する構成であり、前記生体の同一の測定部位に対する複数回の温度測定により、プローブ初期温度と測定温度とプローブ熱容量と測定部位の熱時定数とに基づいて熱源温度を求める式の連立方程式を作成する連立方程式作成手段と、該連立方程式における測定部位の熱時定数を同一値であるとみなして該連立方程式を解くことで該熱時定数を算出する熱時定数算出手段とを備えることができる。
これにより、測定対象となる生体を実際に測定した値によって補正を行うことができ、精度の高い深部温度を算出することができる。
【0025】
またこの発明は、前記温度測定手段が、前記測定部位に接触する接触部にプローブを有する構成であり、前記熱時定数を、生体の熱時定数である生体熱時定数と、生体表面とプローブ間の熱時定数である接触部熱時定数とで構成し、前記補正手段は、前記接触部熱時定数を、生体表面とプローブとの接触状態に対応して補正する構成にすることができる。
これにより、非常に高精度かつ短時間に深部温度を測定することができる。
【0026】
またこの発明は、前記生体情報取得装置として機能し、前記生体情報取得手段として、血圧測定部位に装着するカフと、カフに加える圧力を調整する加圧・減圧手段と、カフ内の圧力を検出する圧力検出手段と、カフ圧により血圧値を算出する血圧算出手段を備え、血圧値を記録する記録手段と、血圧測定などの操作を行う操作手段を備えた電子血圧計であって、前記補正用情報として、仮決定した血圧値の情報、血圧測定開始前に入力された利用者情報、カフ又は/及び測定部位ごとの測定情報、血圧測定時の弁又はポンプの印加電圧の情報、測定部位の質の情報、血圧測定時の条件に近い測定情報の少なくとも1つを取得する情報取得手段を備えた電子血圧計であることを特徴とする。
【0027】
またこの発明は、前記情報取得手段により前記補正用情報として前記仮決定した血圧値の情報を取得した場合、前記補正手段は、前記仮決定した血圧値に基づいて血圧算出パラメータを補正する構成とすることができる。
【0028】
この発明の態様として、前記仮決定した血圧値は、標準の血圧算出パラメータにより減圧中に仮決定することができる。
【0029】
この発明の態様として、前記仮決定した血圧値は、標準の血圧算出パラメータにより加圧中に仮決定することができる。
【0030】
この発明の態様として、前記仮決定した血圧値は、前記記録手段に記録されている血圧値であることができる。
【0031】
またこの発明は、前記情報取得手段により前記補正用情報として前記血圧測定開始前に入力された利用者情報を取得した場合、前記補正手段は、前記利用者情報に基づいて血圧算出パラメータを補正する構成であることを特徴とする。
【0032】
この発明の態様として、前記利用者情報は、子供や妊婦といった特性情報、年齢、生年月日のうち少なくとも1つとすることができる。
【0033】
またこの発明は、前記情報取得手段により前記補正用情報として前記カフ又は/及び測定部位ごとの測定情報を取得した場合、前記補正手段は、前記カフ又は/及び測定部位ごとの測定情報に基づいて血圧算出パラメータを補正する構成とすることができる。
【0034】
この発明の態様として、前記カフごとの測定情報は、カフの種類ごとの測定情報であり、前記補正手段により前記カフの種類又は前記測定部位ごとに血圧算出パラメータを補正することを特定する特定手段を備え、該特定手段を、前記カフの種類又は/及び前記測定部位の選択を許容する選択ボタンで構成することができる。
【0035】
またこの発明の態様として、前記カフごとの測定情報は、カフの種類ごとの測定情報であり、前記補正手段により前記カフの種類又は前記測定部位ごとに血圧算出パラメータを補正することを特定する特定手段を備え、該特定手段を、カフ加圧時に検知した加圧速度に基づいてカフの種類又は/及び前記測定部位を判断する構成とすることができる。
【0036】
またこの発明は、前記情報取得手段により前記補正用情報として前記血圧測定時の弁又はポンプの印加電圧の情報を取得した場合、前記血圧測定時の弁又はポンプの印加電圧の情報を前記記録手段に記憶し、前記補正手段は、前記血圧測定時の弁又はポンプの印加電圧に基づいて弁又はポンプの制御を行なうよう補正する構成とすることができる
この発明の態様として、前記記録手段に記憶される前記血圧測定時の弁又はポンプの印加電圧は、一定間隔ごとのカフ圧と関連づけて記億することができる。
【0037】
またこの発明の態様として、前記記録手段に記憶される前記血圧測定時の弁又はポンプの印加電圧は、減圧速度と関連づけて記億することができる。
【0038】
またこの発明の態様として、前記記録手段に記憶される前記血圧測定時の弁又はポンプの印加電圧は、加圧速度と関連づけて記億することができる。
【0039】
またこの発明の態様として、前記操作手段に、利用者情報を入力する入力手段を備え、前記記録手段に記憶される前記血圧測定時の弁又はポンプの印加電圧は、前記入力手段により入力された利用者情報と関連づけて前記記録手段に記憶することができる。
【0040】
またこの発明の態様として、前記利用者情報は、測定部位周囲長、又は、測定部位の質を表わす指標であることができる。
【0041】
またこの発明の態様として、前記弁またはポンプの制御は、複数の記録された印加電圧の統計値に基づく制御とすることができる。
【0042】
またこの発明は、前記情報取得手段により前記補正用情報として前記利用者の測定部位の質の情報を取得した場合、前記補正手段は、前記測定部位の質に基づいて血圧算出パラメータを補正する構成とすることができる。
【0043】
この発明の態様として、前記測定部位の質は体脂肪率、皮下脂肪率、又は、BMIとすることができる。
【0044】
またこの発明は、時刻を計時する計時手段を備え、前記情報取得手段により前記補正用情報として前記血圧測定時の条件に近い測定情報を取得した場合、前記補正手段は、前記血圧測定時の条件に近い測定情報に基づいて血圧測定パラメータを補正する構成とすることができる。
【0045】
この発明の態様として、前記血圧測定パラメータは、加圧設定値とすることができる。
【0046】
またこの発明の態様として、前記血圧測定パラメータは、減圧速度とすることができる。
【0047】
またこの発明の態様として、前記血圧測定パラメータは、加圧速度とすることができる。
【0048】
またこの発明の態様として、前記血圧測定時の条件は、測定日時、又は、測定時の気温とすることができる。
【0049】
またこの発明の態様として、前記操作手段に、測定条件を入力する入力手段を設け、測定場所、疾病情報、服薬状況、運動といった測定条件を血圧値とともに前記記録手段に記録することができる。
【0050】
またこの発明の態様として、測定条件を設定する際に使用される測定条件は、現在の測定条件に近い測定記録のうち、最新の記録によることを特徴とすることができる。
【0051】
またこの発明の態様として、測定条件を設定する際に使用される測定条件は、現在の測定条件に近い測定記録のうち、最新より複数個の記録の統計演算結果によることを特徴とすることができる。
【0052】
またこの発明の態様として、測定条件を設定する際に使用される測定条件は、現在の測定条件に近い測定記録のうち、全ての記録の統計演算結果によることを特徴とすることができる。
【発明の効果】
【0053】
この発明により、取得済みのデータを利用して精度よく生体情報を取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】体組成計の外観を示す斜視図。
【図2】体組成計とサーバの構成を示すブロック図。
【図3】演算式の説明図。
【図4】体重とインピーダンスを測定する動作のフローチャート。
【図5】インピーダンス補正の動作を示すフローチャート。
【図6】実施例2の0kg基準値を利用して体重測定する動作を示すフローチャート。
【図7】0kg状態測定処理の詳細な動作のフローチャート。
【図8】実施例3の負荷バランス値をセットする動作のフローチャート。
【図9】表示部の画面イメージ図。
【図10】測定時のバランスをチェックする処理のフローチャート。
【図11】ひずみ度合いと精度向上の説明図。
【図12】実施例4の歩数計の外観を示す正面図。
【図13】生体情報取得システムのシステム構成を示すブロック図。
【図14】判定基準更新処理のフローチャート。
【図15】測定環境の入力部の画面イメージ図。
【図16】加速度データの説明図。
【図17】実施例5のアルゴリズムの変更動作のフローチャート。
【図18】実施例6の歩行/走行判定用の閾値を求める動作のフローチャート。
【図19】歩数をカウントする通常モードの動作のフローチャート。
【図20】実施例7の歩数を測定する動作のフローチャート。
【図21】歩行波形のランダムな保存の動作を示すフローチャート。
【図22】通常歩行波形と特殊歩行波形の説明図。
【図23】実施例8の生体情報取得システムのシステム構成を示すブロック図。
【図24】歩数計の演算部が実行する動作のフローチャート。
【図25】カロリー計算の説明図。
【図26】実施例9の生体情報取得システムの全体動作のフローチャート。
【図27】運動開始スイッチを設けた歩数計の動作のフローチャート。
【図28】運動開始スイッチを設けた歩数計の別の例による動作のフローチャート。
【図29】歩数計の画面イメージの説明図。
【図30】目標値入力から必要な運動量を出力する動作のフローチャート。
【図31】実施例10の歩行姿勢データを送信する動作のフローチャート。
【図32】腰重心軌跡や保存されるデータの説明図。
【図33】公開データを説明する説明図。
【図34】目標達成を判定する動作のフローチャート。
【図35】歩行姿勢改善の指導を行う場合の動作を示すフローチャート。
【図36】実施例11の電子体温計を有する体温測定システムのブロック図。
【図37】パラメータ更新処理のフローチャート。
【図38】実施例12の深部体温を測定する動作のフローチャート。
【図39】実施例13の電子血圧計の構成を示すブロック図。
【図40】実施例13における血圧測定動作の一例を示すフローチャート。
【図41】標準及び仮平均血圧値ごとの血圧算出パラメータ決定用の比率を示すテーブル。
【図42】実施例13における血圧測定動作の別の例を示すフローチャート。
【図43】実施例13における血圧測定動作の別の例を示すフローチャート。
【図44】オシロトリック方式血圧計の血圧算出アルゴリズム例を説明するグラフ。
【図45】カフの特性(カフコンプライアンス)例を示すグラフ。
【図46】一定の脈波振幅を入力したとき血圧計が検出する圧脈波振幅例を示すグラフ。
【図47】実施例14の電子血圧計の構成を示すブロック図。
【図48】実施例14における血圧測定動作の一例を示すフローチャート。テーブル。
【図49】年齢ごとの血圧算出パラメータ決定用の比率を示すテーブル。
【図50】実施例14における血圧測定動作の別の例を示すフローチャート。
【図51】実施例14における血圧測定動作の別の例を示すフローチャート。
【図52】一般、妊婦、子供ごとの血圧算出パラメータ決定用の比率を示すテーブル。
【図53】実施例15の電子血圧計の構成の一例を示すブロック図。
【図54】実施例15における血圧測定動作の一例を示すフローチャート。
【図55】オシロトリック方式血圧計の血圧算出アルゴリズム(カフ別)を示すグラフ。
【図56】実施例15の電子血圧計の構成の別の例を示すブロック図。
【図57】実施例15における血圧測定動作の別の例を示すフローチャート。
【図58】オシロトリック方式血圧計の血圧算出アルゴリズム(測定部位別)を示すグラフ。
【図59】実施例16の電子血圧計の構成の一例を示すブロック図。
【図60】実施例16における血圧測定動作の一例を示すフローチャート。
【図61】実施例16における血圧測定動作の一部を示すフローチャート。
【図62】実施例16における血圧測定動作の一部を示すフローチャート。
【図63】カフの特性(カフコンプライアンス)例を示すグラフ。
【図64】弁の流量特性を示すグラフ。
【図65】ポンプの流量特性を示すグラフ。
【図66】実施例17の電子血圧計の構成の一例を示すブロック図。
【図67】実施例17における血圧測定動作の一例を示すフローチャート。
【図68】体脂肪率ごとの血圧算出パラメータ決定用の比率を示すテーブル。
【図69】実施例18の電子血圧計の構成の一例を示すブロック図。
【図70】実施例18における血圧測定動作の一例を示すフローチャート。
【図71】日時・測定値・測定条件(服薬状況)と関連づけたデータを示すテーブル。
【発明を実施するための形態】
【0055】
この発明の最良の形態は、生体に関する生体情報を取得する生体情報取得手段と、前記生体情報を記憶する記憶手段と、該記憶手段に記憶された生体情報に基づいて前記生体情報取得手段によりさらに取得する生体情報を加工する加工手段とを備えた生体情報取得装置である。
以下、この発明の一実施形態を図面と共に説明する。
【実施例1】
【0056】
まず、生体情報取得装置の一種である体組成計について、過去のデータに基づく測定部位毎の補正を行う実施例1について説明する。
従来、インピーダンスの時間変化の推定式を作っておき、測定時刻に応じた推定式を用いて測定値を補正するものが提案されている(特開2006−223560)。しかし、日内変動は、生体のその日の活動によって様々に変わる。このため、予め定められた計数では正確性に改善の余地がある。
【0057】
これに対し、実施例1の体組成計は、実際の活動内容を考慮した補正にすることで、精度を向上させることを目的としている。以下、図面と共に具体的に説明する。
【0058】
図1は、体組成計100の外観を示す斜視図であり、図2は、体組成計100と、該体組成計100と通信可能なサーバ150の構成を示すブロック図である。図2の図示では1つの体組成計100をサーバ150に接続しているが、種類の異なる複数の体組成計100や、歩数計、活動量計などの生体情報取得装置をサーバ150に接続する。
【0059】
この実施例1では、全身式の体組成計100により、利用者が全身の体重・体組成を一日一回測定する。そして、その日の活動内容を考慮するために、例えば次のデータをサーバ150に記憶させて利用する。
【0060】
(データ1)両手式体組成計で測定した両手間インピーダンス
両手式を用いるのは、測定が手軽なためである。
(データ2)歩数計/活動量計で測定した歩数/活動量
(データ3)食事内容(摂取量)
【0061】
体組成計100は、図1に示すように、利用者が手で持つ第1の筐体である表示操作部110(BFA部:ボディー ファット アナライザー部)、利用者が乗る第2の筐体である体重測定部130(SCALE部)とで主に構成されている。
【0062】
表示操作部110は、図2に示すように通信部111、記憶部112、計時部113、操作部114、表示部115、定電流回路部116、電源部117、制御部118、二重積分AD部119、インピーダンス検知部120、および電極部121が設けられている。
【0063】
通信部111は、制御部118に接続されており、該制御部118の制御信号に従ってサーバ150と通信を行う。なお、この通信部111は、サーバ150に限らず、歩数計などの他の生体情報取得装置と通信する、あるいはパーソナルコンピュータや携帯情報端末(PDAあるいは携帯電話機等)と通信するなど、適宜の装置と通信する構成にしてもよい。
【0064】
記憶部112は、不揮発性のメモリやハードディスクなどの情報を記憶できる装置で構成されており、接続された制御部118の制御信号に従って情報の読み出しや書き込みを行う。
【0065】
計時部113(計時手段)は、現在日時などの時刻を計時する装置であり、必要に応じて時刻を制御部118へ送る。
操作部114は、押下操作される複数のボタン(図1参照)により構成されており、体重や身長といった利用者情報の入力など、利用者に押下操作された入力情報を制御部118へ送る。
【0066】
表示部115は、液晶画面(図1参照)などの表示装置によって構成され、制御部118から送られる画像信号に従って文字や図形といった画像を表示する。
定電流回路部116は、制御部118の制御に基づいて、電源部117から供給される高周波(交流)電流を電流印加用の電極部121に一方向に流す。
【0067】
電源部117は、制御部118を含め各部に動作電力を供給する。
制御部118は、CPUとROMとRAMあるいはマイコン(マイクロコンピュータ)により構成されており、ROM等に記憶されているプログラムに従って各部の制御動作や演算動作を実行する。
【0068】
二重積分AD部119は、二重積分型のAD(アナログ/デジタル)変換部であり、インピーダンス検知部120や荷重検知部133から供給されるアナログ信号をデジタル信号に変換する。
【0069】
インピーダンス検知部120は、体重測定部130に設けられている電極部136と表示操作部110に設けられている電極部121との電位差に基づいてインピーダンスを検出する。
【0070】
電極部121は、利用者が手で持つ表示操作部110のグリップ部分(図1参照)の表面に設けられており、グリップ部分を握っている利用者の手のひらへ電源部117から供給される高周波(交流)電流を印加する。
【0071】
体重測定部130は、操作部131、電池132、荷重検知部133、および電極部136により構成されている。
操作部131は、電源のON/OFFを切り替えるための入力スイッチとして機能し、入力された入力信号を制御部118へ送る。
【0072】
電池132は、電源部117を中心に各部へ電力供給を行う。
荷重検知部133は、ロードセル134を内蔵しており、筐体の上面カバーを兼ね備える上面カバー部135(図1参照)の上に乗った利用者の体重による各ロードセル134の荷重を測定する。このとき測定した体重は、二重積分AD部119へ送られる。
【0073】
電極部136は、利用者が上に乗る体重測定部130の上面部分(図1参照)の表面に設けられており、利用者の足裏から流れてくる電流を受け取る電流測定用の電極である。この電極部136は、利用者の左足指側、左足踵側、右足指側、右足踵側の4つの電極により構成されている。
【0074】
サーバ150は、通信部151、制御部152、操作部153、表示部154、および記憶部155により構成されている。
通信部151は、制御部152の制御に従って体組成計100とデータの送受信を行う。
【0075】
制御部152は、CPUとROMとRAMにより構成されており、ROM等に記憶されているプログラムに従って各部の制御動作や演算動作を実行する。
操作部153は、キーボードやマウスといった操作入力装置で構成されており、操作入力された入力信号を制御部152へ送る。
【0076】
表示部154は、液晶ディスプレイやCRTディスプレイといった表示装置で構成されており、制御部152の制御信号に従って表示を行う。
記憶部155は、ハードディスクなどの記憶装置により構成され、体組成計100で測定した体組成データ(体脂肪データや体重データ)、図示省略する歩数計で測定した歩数データ、図示省略する活動量計で測定した活動量データ、および利用者の氏名や住所といった個人情報など、生体に関する種々のデータが記憶されている。
【0077】
このように構成された体組成計100とサーバ150と図示省略する歩数計や活動量計といった他の生体情報取得装置によって生体情報取得システム101が構成されている。なお、図示省略する歩数計や活動量計といった他の生体情報取得装置は、通信部151を通じてサーバ150とデータ通信し、歩数、歩行波形、活動量といった適宜のデータをサーバ150の記憶部155に記憶する。これにより、多種類の生体情報を取り扱えるようにしている。
【0078】
図3は、この実施例1で用いる演算式の説明図である。
図3(A)は、全身式で体組成を測る場合に用いる変数を示している。全身式で体組成を測る場合、図示するように両手間インピーダンスZ、両足間インピーダンスZ、測定時刻tの変数を用いる。
【0079】
図3(B)は、両手式で体組成を測る場合に用いる変数を示している。両手式で体組成を測る場合、図示するように両手間インピーダンスZ’、測定時刻tの変数を用いる。
【0080】
図3(C)は、両手間インピーダンスの差Zを求める式を示している。
図3(D)は、時刻差tを求める式を示している。
図3(E)は、単位時間あたりのインピーダンス変化Zを求める式を示している。
図3(F)は、任意時刻tのインピーダンスZを求める式を示している。
図3(G)は、両足間インピーダンスZ’を求める式を示している。
【0081】
図4は、体組成計100の制御部118が体重とインピーダンスを測定する動作を示すフローチャートである。
制御部118は、操作部131の操作によって電源ONになると、荷重検知部133による体重測定動作と、インピーダンス検知部120によるインピーダンス測定動作を実行する(ステップS101)。
【0082】
制御部118は、現在時刻を測定時刻として記憶し(ステップS102)、測定データ(体重およびインピーダンス)と時刻データをサーバ150に送信する(ステップS103)。
【0083】
制御部118は、サーバ150に食事内容データが存在していた場合(ステップS104:Yes)、食事摂取量を足して体重値を補正する(ステップS105)。
【0084】
体重値補正後、あるいはサーバ150に食事内容データが存在していなかった場合(ステップS104:No)、制御部118は、サーバ150に両手間インピーダンスのデータがあるか否か判定する(ステップS106)。
【0085】
両手間インピーダンスのデータがあれば(ステップS106:Yes)、制御部118は、日内変動に基づくインピーダンス補正を実行する(ステップS107)。このインピーダンス補正は、両手間インピーダンスと全身式で測定したインピーダンスの差を測定時間差で割ることで日内変動直線の傾きを算出し、この日内変動直線に当てはめることで実行されるものであり、詳しくは後述する。なお、インピーダンスの日内変動は、インピーダンス成分である細胞内液による抵抗、細胞外液による抵抗、細胞膜による容量のうち、特にリンパ液等の細胞外液が1日の中で朝から夕方にかけて下半身に移動することにより発生する。
【0086】
インピーダンス補正完了後、あるいは両手間インピーダンスが無かった場合(ステップS106:No)、制御部118は、歩数計あるいは活動量計のデータがサーバ150に存在しているか否か判定する(ステップS108)。
【0087】
歩数計データまたは活動量計データが存在していれば(ステップS108:Yes)、制御部118は、歩数計データの歩数、あるいは活動量計データの活動量から脂肪燃焼量を算出し(ステップS109)、算出した脂肪燃焼量を減算して体重および体組成を補正する(ステップS110)。
制御部118は、測定したデータや補正後のデータを保存し(ステップS111)、処理を終了する。
【0088】
図5は、インピーダンス補正を行う制御部118の動作を示すフローチャートである。
制御部118は、図3(C)に示したように、両手式体組成計による両手間インピーダンスZ’から全体式体組成計による両手間インピーダンスZを減算して両手間インピーダンスの差Zを計算する(ステップS121)。
【0089】
制御部118は、図3(D)に示したように、両手式体組成計による測定時刻tから全体式体組成計による測定時刻tを減算して時刻差tを計算する(ステップS122)。
【0090】
制御部118は、図3(E)に示したように、両手間インピーダンスの差Zを時刻差tで除算して単位時間あたりのインピーダンス変化Zを算出する(ステップS123)。
【0091】
制御部118は、図3(F)に示したように、測定時刻である任意時刻tのインピーダンスZを、両手間インピーダンスZに当該任意時刻でのインピーダンス変化Zを加算する補正をして算出する(ステップS124)。
【0092】
制御部118は、図3(G)に示したように、任意時刻の両足間インピーダンスZ’を、両手間インピーダンスZから両手間インピーダンスZ’を除算した値を両足間インピーダンスZに乗算して算出する(ステップS125)。この両足間インピーダンスを求める際は、両手の水分減少量が両足の水分増加量に等しいとみなすことで、両手間インピーダンスのデータから両足間インピーダンスを補正している。
【0093】
以上に説明したように、体組成計100は、補正用情報として部位別インピーダンス(両手間インピーダンス)を取得した場合、補正手段(ステップS107を実行する制御部118)は、前記部位別インピーダンスと全身式で測定した全身インピーダンスとの差を測定時間差で除算して日内変動直線の傾きを算出し、該日内変動直線に当てはめてインピーダンスを補正するため、非常に精度の高いインピーダンス測定を実行することができる。この測定は、利用者自身が過去に測定した両手間インピーダンスを用いるため、その利用者に適した補正を行うことができる。
【0094】
また、補正用情報として食事摂取量情報を取得した場合、補正手段(ステップS105を実行する制御部118)は、体重測定手段(荷重検知部133)で取得した体重を前記食事摂取量情報により補正するため、食事摂取量に応じて補正した体重を得ることができる。
【0095】
また、補正用情報として運動量(歩数/活動量)に関する運動量情報を取得した場合、補正手段(ステップS109〜S110を実行する制御部118)は、前記運動量情報に基づいて脂肪燃焼量を算出し、該脂肪燃焼量を減算して体重または/および体組成を補正する構成であるため、運動量に応じて補正した体重または/および体組成を得ることができる。
【0096】
また、ステップS111で説明したように補正後のデータをすぐに保存するため、この最新のデータを用いて次の補正を行うことができ、リアルタイムに補正結果を反映させることができる。
【0097】
また、測定の都度にリアルタイムに補正できるため、実際の活動内容を考慮した補正を行うことができる。
【0098】
また、各機器(複数種類の体組成計100や歩数計や活動量計など)をネットワーク接続し、複数機器のデータを一括管理し、リアルタイムで補正結果を反映することができる。
【0099】
なお、両手式の体組成計100は、歩数計/活動量計と一体化して構成してもよい。この場合でも同じ効果を得ることができる。
【実施例2】
【0100】
次に、実施例2として、複数回の測定を利用して0kgの測定(利用者が乗っていない初期状態の測定)を無くすことができる体組成計について説明する。
【0101】
従来、体組成計には体重計としての機能が含まれている。体重計としての精度を確保するため、体重測定を開始する前に0kgの測定を行う場合、この測定に時間がかかり、すぐに測定を始めることができない。このため、毎回の測定に時間がかかるという問題点が生じる。
【0102】
これに対し、実施例2の体組成計は、0kgの状態を正しく認識し、かつ体重測定に要する時間を短縮することを目的としている。以下、図面と共に具体的に説明する。
【0103】
実施例2では、実施例1にて図1および図2を用いて説明した体組成計100を用いるため、体組成計100の説明を省略する。
実施例2の体組成計100は、記憶部112に過去の0kg状態測定値を記憶し、また0kg基準値を記憶している。
【0104】
図6は、体組成計100の制御部118が0kg基準値を利用して体重測定する動作を示すフローチャートである。
制御部118は、記憶部112に0kg基準値が記憶されているか否か判定し(ステップS201)、記憶されていれば(ステップS201:No)、その0kg基準値を体重測定用0kg値として使用し(ステップS203)、ステップS208へ処理を進める。このとき、使用する0kg基準値を設定するまでに要する時間は、例えば0.1秒未満と非常に短い時間になる。
【0105】
0kg基準値が記憶部112に記憶されていなかった場合(ステップS201:Yes)、制御部118は、荷重検知部133によって0kg状態測定処理を実行して0kg状態測定値を取得する(ステップS202)。この0kg状態測定処理の詳細は後述するが、測定完了までに例えば3〜10秒とある程度の時間がかかる。
【0106】
制御部118は、0kg状態測定が終了して0kg状態測定値を取得すると、過去に記憶部112に蓄積した0kg状態測定値と合わせて規定回数(例えば10回)以上の0kg状態測定を行っているか否か判定する(ステップS204)。
【0107】
制御部118は、規定回数未満であれば(ステップS204:No)、ステップS202で得た0kg状態測定値をそのまま体重測定用0kg値に採用してステップS208へ処理を進める。
【0108】
規定回数以上であれば(ステップS204:Yes)、制御部118は、標準偏差測定を実行する(ステップS205)。この標準偏差測定は、ステップS202で取得した0kg状態測定値も含めて蓄積した0kg状態測定値のばらつきを求める処理であり、このばらつきの標準偏差を求める。このばらつきを求める計算には、例えば0.5秒程度を要する。
【0109】
ばらつきが規定値以内でなければ(ステップS206:No)、制御部118は、ステップS202で得た0kg状態測定値をそのまま体重測定用0kg値に採用してステップS208へ処理を進める。
【0110】
ばらつきが規定値以内であれば(ステップS206:Yes)、制御部118は、テップS202で取得した0kg状態測定値も含めて蓄積した0kg状態測定値の平均値を計算し、この平均値を0kg基準値として記憶部112に保存する(ステップS207)。この計算と保存には、例えば0.5秒程度を要する。このとき、制御部118は、ステップS202で取得した0kg状態測定値、あるいはステップS207で算出した0kg基準値のいずれか一方を体重測定用0kg値とする。どちらを体重測定用0kg値とするかは、予め設定しておくとよい。
【0111】
制御部118は、上面カバー部135に利用者が乗った状態で荷重検知部133が出力する出力値を取得する体重測定を行う(ステップS208)。
【0112】
そして、制御部118は、ステップS208で取得した出力値について体重測定用0kg値との差分をとり、この差分を体重値として出力し(ステップS209)、電源OFF(ステップS210)して終了する。この出力は、表示部115に表示する、記憶部112に記憶する、サーバ150へ送信するなど、適宜の方法により実行することができる。
【0113】
図7は、前述したステップS202の0kg状態測定処理の詳細な動作を示すフローチャートである。
制御部118は、荷重検知部133に設けられた4つのロードセル134(図2参照)のひずみ値を取得する(ステップS221)。このひずみ値は、現在のひずみ値が取得値となる。
【0114】
制御部118は、ひずみ値の取得回数が規定回数以上か否かをチェックする(ステップS222)。規定回数未満であれば(ステップS222:No)、ステップS221へ処理を戻し、再度ひずみ値の取得を実行する。
【0115】
規定回数以上であれば(ステップS222:Yes)、制御部118は、今までの取得値の移動平均(X回移動平均)を計算して移動平均値を求める(ステップS223)。
【0116】
制御部118は、移動平均値の変化をチェックし、変化量が大きければ(ステップS224:変化量大)、ステップS221に処理を戻して再度ひずみ値の取得を実行する。
【0117】
移動平均値の変化量が小さければ(ステップS224:変化量小)、制御部118は、この移動平均値が現在の0kg状態のひずみ度であると定め(ステップS225)、処理を終了する。
体組成計100による体脂肪率の測定は、実施例1と同一であるので、その詳細な説明を省略する。
【0118】
以上に説明したように、体組成計100は、利用者が乗っていない初期状態(0kg状態)の出力値の測定を行う初期値測定手段(ステップS202を実行する制御部118)と、測定した初期値を複数記憶する記憶手段(記憶部112)と、該複数の初期値のばらつきが所定範囲内(規定値以内)にある場合に初期基準値を作成する初期基準値作成手段(ステップS207を実行する制御部118)と、体重測定手段(荷重検知部133)により体重測定を行う際に前記初期基準値を用いて測定する初期基準値適用手段(ステップS209を実行する制御部118)とを備えたため、短時間で精度の良い体重測定を実現することができる。
【0119】
すなわち、仮に体重測定を開始する前に必ず0kgの状態を測定すると、3〜10秒程度の時間が毎回かかることになり、すぐに計測が始めることができない。これに対し、測定開始から10回程度は毎回0kg測定を行い、その測定毎に体組成計の0kg状態を保存し、ばらつきが低ければこの平均値を0kg基準値とすることで、これ以降0kg測定に要する時間を短縮して体重測定ができる。これにより、体組成計100が一旦測定場所に置かれると、該体組成計100の0kg状態はほぼ変わらないことを利用して、測定時間の短縮を図ることができる。
【0120】
また、0kg状態測定値を記憶部112やサーバ150に蓄積することで、次回の0kg状態測定値を予測でき、この0kg状態の測定に要する時間を省略できる。
【実施例3】
【0121】
次に、実施例3として、連続的に偏値(4つのロードセルにかかる負荷のばらつき)を取得して、より精密な体重値の計測を行う体組成計について説明する。
【0122】
従来、例えば4つのロードセルを有する体組成計で体重の測定を行う場合、利用者の乗る位置によって各ロードセルにかかるバランスが異なり、正確な体重測定を行うことができない問題がある。
【0123】
これに対し、実施例3の体組成計は、安定した精度の体重測定を行い利用者の満足度を向上させることを目的としている。以下、図面と共に具体的に説明する。
【0124】
実施例3では、実施例1にて図1および図2を用いて説明した体組成計100を用いるため、体組成計100の説明を省略する。
実施例3の体組成計100は、4つのロードセル134にかかる体重値を各個人について記憶部112に記憶しており、またバランス補正値も記億部112に記憶する。
【0125】
図8は、体組成計100の制御部118が4つのロードセル134の負荷バランス値をセットする動作を示すフローチャートである。
制御部118は、記憶部112に負荷バランス値(バランス補正値)が記憶されているか否か判定し(ステップS301)、記憶されていれば(ステップS301:データ有)、各4つのロードセル134の負荷バランス値を例えば1.1倍や0.9倍といったようにセットし(ステップS303)、ステップS304へ処理を進める。この負荷バランス値のセットは、それぞれのロードセル134でひずみ値を取得するまでの時間のセットを指す。この負荷バランス値のセットは、各ロードセル134で取得するひずみ値が安定するまでの時間が、荷重がかかっているロードセル134ほど遅くなるため、この安定するまでの時間を調整するために実行する。
さらに詳述すると、負荷バランス値が大きいロードセル134については、移動平均値を求める移動平均取得時間を短く補正し、詳細にデータを収集する。すなわち、負荷バランス値が大きいロードセル134は、他のロードセル134よりも荷重がかかっている状態であり、荷重の変化も激しくなる。このため、移動平均取得時間を短く補正することで、多くの移動平均値を取得して精度を向上させる。
また、負荷バランス値が小さいロードセル134については、移動平均値を求める移動平均取得時間を長く補正する。これにより、荷重の変化が少ないロードセル134について、演算量を抑制することができる。
【0126】
記憶部112に負荷バランス値が記憶されていなければ(ステップS301:データ無)、制御部118は、負荷バランス値を等倍でセットする(ステップS302)。ここで、負荷バランス値を等倍でセットするとは、4つのロードセル134がそれぞれ実行する移動平均値の取得単位となる移動平均取得時間を同一時間とすることを指す。
【0127】
制御部118は、ステップS303でセットされた負荷バランス値、またはステップS302でセットされた等倍のバランス値により、4つのロードセル134の制御方法を変更する(ステップS304)。この制御方法の変更は、それぞれのロードセル134において移動平均値を取得する移動平均取得時間を異ならせることを指す。
【0128】
制御部118は、ロードセル134の制御方法の変更による補正を適用した上で測定を開始し(ステップS305)、測定時のバランスをチェックする(ステップS306)。このバランスのチェックは、偏りの大小を判定するものである。このチェックを行う制御部118は、4つのロードセル134により測定した荷重の差により、利用者の重心が測定中心(4つのロードセル134の中心位置)からどの方向へどれだけ離れているか算出する。また、ステップS305の測定は、全てのロードセル134について並列処理により実行する。
【0129】
測定時のバランスの偏りが大きい場合(ステップS306:偏り大)、制御部118は、図9の構成図に示すように、表示部115の画面350に、重心マーク354を光で表示してバランスが偏っていることを利用者に通知する(ステップS307)。この画面350には、左右バランスの偏りを明瞭にする左右中心線351と、前後バランスの偏りを明瞭にする前後中心線352とを直行させて表示しており、この交点353が中心であると利用者が容易に理解できるようになっている。
【0130】
測定時のバランスの偏りが小さい場合(ステップS306:偏り小)、制御部118は、測定を実行する(ステップS308)。このとき制御部118は、ステップS304で設定された制御方法(それぞれの移動平均取得時間)により各ロードセル134による移動平均値を複数回測定し、この移動平均値を当該体重測定部130の全てのロードセル134について複数回測定し、この複数回の測定結果を合計して体重を測定し、この測定した体重を出力する。この出力は、表示部115に表示する、記憶部112に記憶する、サーバ150に送信する、またはこれらの複数を実行するといった形で行う。
【0131】
このようにして各ロードセル134の負荷バランス値がわかると、全てのロードセル134の値について、それぞれの負荷バランス値に対応する移動平均取得時間で移動平均値を多数取得して荷重を算出する。これにより、荷重のかかっているロードセル134の測定値を細かく取得して精度よく荷重を求めることができる。そして、このようにして求めた荷重を全てのロードセル134について合計し、この合計値を体重として出力することができる。
【0132】
制御部118は、測定が規定回数(例えば10回)以上か否か判定し、規定回数未満であれば(ステップS309:回数未満)、そのまま処理を終了する。
回数以上であれば(ステップS309:回数以上)、制御部118は、これまでのバランスゆれを計算する(ステップS310)。この計算で、制御部118は、一番力がかかっていた場所の時間を計測する。
【0133】
制御部118は、計算した結果をもとに4つのロードセル134の負荷バランス値(例えば1.1倍や0.9倍等)をセットし(ステップS311)、処理を終了する。このセットにより、各ロードセル134の負荷バランス値が記憶部112に記憶され、次回以降の体重測定でこの負荷バランス値が使用される。
【0134】
図10は、負荷バランス値を計算する処理のフローチャートである。
負荷バランス値を計算するとき、制御部118は、体重値がある程度安定するまで待機する(ステップS321)。
【0135】
ある程度安定すると、制御部118は、4つのロードセル134のひずみ値を取得する(ステップS322)。このとき、現在のひずみ値が取得値となる。
制御部118は、4つのロードセル134のうち一番ひずみが大きかった場所(その場所のロードセル134)を記憶する(ステップS323)。これにより、体重がかかった位置を取得できる。
【0136】
制御部118は、測定回数が所定回数(例えば10回)以上か否か判定し(ステップS324)、所定回数未満であれば(ステップS324:10回未満)、ステップS321に処理を戻してステップS321〜S323の処理を繰り返す。
【0137】
所定回数以上であれば(ステップS324:10回以上)、制御部118は、いままでのひずみ回数をチェックする(ステップS325)。このチェックでは、4つのロードセル134それぞれについて、最もひずみ値が大きかった回数、すなわちもっとも荷重がかかった回数を求める。図示の例では、右上:3回、左上:1回、右下:6回、左下:0回といったようにひずみ回数を取得している。
【0138】
制御部118は、取得したひずみ回数をもとに、各ロードセル134の負荷バランスを計算する(ステップS326)。この負荷バランスは、荷重がかかっていたロードセル134ほど安定に時間がかかるものとして測定時間(複数の移動平均値を算出し続ける時間)が長くなるように計算する。図示の例では、負荷バランスとして、右上:102%(1.02)、左上:94%(0.94)、右下:114%(1.14)、左下:90%(0.90)を算出している。この計算は、例えば次の負荷バランス計算式により求めることができる。
【0139】
<負荷バランス計算式>
負荷バランス=90+(ひずみ回数/トータル測定回数)×40
【0140】
このように負荷バランスを計算することで、体重測定の精度を向上させることが可能になる。すなわち、図11の説明図の(A)に示すように、ひずみ度合いが大きいところはひずみの変化が激しい。このため、変化が激しい点での移動平均誤差を重点的にとることによって、タイミングタイミングで人が揺れないで測定できていることがよりわかるようになり、精度が向上する。
【0141】
また、図11(B)に示すように、重心を中心移動させることによってすべてのロードセル134に負荷が満遍なく分散し、人のゆれが少なくなり安定度が増して、精度が向上する。
【0142】
以上に説明したように、実施例3の体組成計100は、複数の荷重測定部(ロードセル134)にそれぞれかかる荷重を取得し、この荷重の分散度合いを測定し、次回の体重測定時に該荷重の分散度合いに応じて複数の荷重測定部(ロードセル134)による測定中心位置を移動させることができる。
これにより、安定した精度の体重測定を行い利用者の満足度を向上させることができる。
【0143】
また、測定後に各個人の4つのロードセル134にかかる体重値を保存することで、分散度合いを測ってその人のバランス(右足に体重がかかりやすい等)を測定することができる。そして、この測定を継続的に実行してその人のバランスを理解し、次回に計る際に立ち位置の修正(中心に重心が来るように補正)を行うことで、4つのロードセル134に平均的に負荷がかかり、安定した精度の高い体重測定を行うことができる。
【0144】
また、連続的に偏値をとることで、その人の体のバランスや立ち位置の癖を知ることができる。そして、このバランスや立ち位置の癖のデータを元に、体重測定に最適な測定位置を提供することや、自動で体重の補正をかけて体重測定の精度向上を図ることができる。
【0145】
また、次回から4つのロードセル134にかかる重心を理解することで、最も負荷のかかるロードセル134の測定精度をソフトウェアの処理によって向上させることができ、これにより体重測定の精度を向上することができる。
【実施例4】
【0146】
次に、生体情報取得装置の一種である歩数計について、閾値を学習して最適な歩行検出を行う実施例4について説明する。
従来、加速度センサを用いて歩数を検出する歩数計が提案されている。この歩数計は、加速度波形の極大値や極小値から一歩を検出し、歩数をカウントしている。しかし、例えば怪我等によってすり足で歩行している場合など、歩行特性によっては歩数検出が難しいケースがある。
【0147】
これに対し、実施例4の歩数計は、個人の歩行特性に対応して精度よく歩数を検出することを目的としている。以下、図面と共に具体的に説明する。
【0148】
図12は、歩数計505の外観を示す正面図である。歩数計505は、図示するように筐体の正面に表示部553と操作部557とを有している。
図13は、生体情報取得システム500のシステム構成を示すブロック図である。
【0149】
生体情報取得システム500は、インターネット503に有線または無線により接続されたサーバ502とユーザ端末504、および、ユーザ端末504に有線または無線により接続される歩数計505によって構成されている。
【0150】
サーバ502は、例えばサーバ装置として利用されるような適宜のコンピュータであり、制御部520、記憶部521、操作部522、表示部523、および通信部524等を有している。通信部524は、有線接続するLANボードや無線通信する無線LANボードなど、適宜の通信機器で構成することができる。
【0151】
このサーバ502は、係員による操作部522の操作により、ユーザ端末504を介して歩数計505からデータを受信し、このデータに基づく出力画面を表示部523に表示する。
【0152】
ユーザ端末504は、例えばパーソナルコンピュータで構成され、制御部540、通信部541、操作部542、表示部543、および通信部544を有している。通信部541は、有線接続するLANボードや無線通信する無線LANボードなど、適宜の通信機器で構成することができる。通信部544は、有線接続するUSB(Universal Serial Bus)や無線通信するBluetooth(登録商標)など、適宜の通信インターフェースで構成することができる。
【0153】
このユーザ端末504は、通信部544を介して歩数計505からデータを取得し、このデータに基づくグラフや表を表示する機能、このデータをサーバ502に送信する機能を有している。
【0154】
なお、このユーザ端末504は、パーソナルコンピュータに限らず、PDA(Personal Digital Assistants)や携帯電話といった携帯型情報処理装置で構成するなど、適宜の装置で構成することができる。
【0155】
歩数計505は、通信部551、加速度検知部552、表示部553、演算部554、電源接続部555、記憶部556、操作部557、および電源部558を有している。
通信部551は、有線接続するUSB(Universal Serial Bus)や無線通信するBluetooth(登録商標)など、適宜の通信インターフェースで構成することができる。
【0156】
加速度検知部552は、ユーザの歩行等によって生じる変化の一例として加速度を検知するセンサであり、検知信号を演算部554に送信する。この加速度検知部552は、一方向の加速度を検知する一次元加速度センサ、直交する二方向の加速度を検知する二次元加速度センサ、または、直交する三方向の加速度を検知する三次元加速度センサで構成することができ、情報量の多い三次元加速度センサが最も好ましい。
【0157】
表示部553は、液晶などの表示器機で構成されており、演算部554からの表示制御信号に従って情報を表示する。この表示する情報は、歩数など歩行に関する情報とすることができる。
【0158】
演算部554は、電源部558から電源接続部555を介して受け取る電力によって駆動し、加速度検知部552および操作部557からの検知信号の受信(検出)、通信部551、表示部553、および記憶部556に対する電力供給(電源)と動作制御(表示制御)を実行する。また、加速度検知部552から受信する検知信号に基づいて、記憶部556に記憶している歩行判定基準データや歩行検証基準データ等を参照して演算する処理も実行する。
【0159】
記憶部556は、検知信号のうち歩行による信号部分を検知して歩数をカウントするための歩数カウントプログラム、および、歩数をカウントするための閾値データ等を記憶している。
【0160】
操作部557は、体重や歩幅などのユーザ情報の入力操作、時計を合わせる日時入力操作、表示内容を歩数・消費カロリー・歩行距離といった各種内容に切り替える表示内容切替操作、および、ユーザ端末504へデータ送信するデータ送信操作など、適宜の操作入力を受け付け、この操作入力信号を演算部554に送信する。
【0161】
図14は、歩数計505とサーバ502が実行する判定基準更新処理のフローチャートである。
歩数計505の演算部554は、操作部557により利用者から学習ボタンの押下を受け付け、調整用振動データを取得する学習モードを開始する(ステップS501)。
【0162】
演算部554は、加速度検知部552により振動データとしての加速度データを取得する(ステップS502)。このとき取得する加速度データは、利用者による指定歩数分の加速度データとなる。なお、この加速度データの取得に際して、何歩分の歩行が必要かを表示部553への表示等によって利用者に報知することが好ましい。また、表示部553に「ガクシュウチュウ」などの表示を行い、調整用のデータ取得を行っていることを報知すると良い。
【0163】
演算部554は、指定歩数分の歩行を行った利用者から操作部557による学習ボタンの押下を受付、学習モードを終了する(ステップS503)。この段階で、演算部554は、指定歩数分の加速度データを取得している。
【0164】
演算部554は、表示部553に測定環境入力画面を表示し、図15に示すように測定環境入力部553a,553bによって測定環境を入力させる(ステップS504)。図示の例では、測定環境入力部553aにより、靴の種類として革靴、スニーカー、サンダル・スリッパ、裸足、およびヒールのいずれか1つを選択させ、測定環境入力部553bにより、装着部位として腰、ズボンポケット、上着ポケット、カバン、および首下げのいずれか1つを選択させる。
【0165】
演算部554は、ステップS502で取得した加速度データと、ステップS504で指定された測定環境の設定データと、現在の歩数判定基準となっている閾値データをサーバ502へ送信する(ステップS505)。なお、このデータ送信は、ユーザ端末504を介して実行するが、これに限らず歩数計505がサーバ502へ直接送信する構成にしてもよい。
【0166】
サーバ502は、受信データ(加速度データ、設定データ、閾値データ)のうちを加速度データと設定データをパラメータとして新たな閾値を算出する(ステップS506)。このとき、図16に示すように、加速度データが指定歩数分(図示の例では5歩分)のものであることが解っているため、閾値を精度よく求めることができる。
【0167】
すなわち、仮に5歩分であることが不明な場合、例えば図示する2歩目と4歩目にあるノイズNをピークと捕らえて2歩分のデータと誤判別し、閾値とするピーク値を誤って設定することが考えられる。しかし、指定歩数(5歩分)の加速度データであることが解っているため、均等割する等によって一歩分の周期を取得でき、さらに、突出しているノイズNを除いてピークトゥピーク値を設定することができる。これにより、精度の高い閾値を取得できる。
【0168】
サーバ502の制御部520は、シミュレーションを実行する(ステップS507)。このシミュレーションは、歩数計505から受信した加速度データについて、歩数計505から受信した閾値データを用いて歩数を判定した場合と、ステップS506で算出した閾値データを用いて歩数を判定した場合とを比較し、どちらが指定歩数(この例では5歩)に近いかを判定するものである。ステップS506で算出した閾値データを用いた場合の方が指定歩数に近ければ、精度が向上していると判定できる。
【0169】
制御部520は、精度が向上していなければ(ステップS508:No)、そのまま処理を終了する。
精度が向上していれば(ステップS508:Yes)、制御部520は、ステップS506で算出した新しい閾値データを歩数計505へ送信する(ステップS509)。
【0170】
歩数計505の演算部554は、記憶部556に記憶している閾値データ(旧)を、通信部551で受信した閾値データ(新)に更新し(ステップS510)、処理を終了する。
【0171】
以上に説明したように、歩数計505は、利用者に指定歩数の移動をさせて該指定歩数分の振動データを取得する調整用振動データ取得手段(ステップS502を実行する演算部554)を備え、補正手段(ステップS510を実行する演算部554)は、前記調整用振動データ取得手段で取得した振動データと前記指定歩数に基づいて歩数をカウントする際の判定基準を補正する構成であり、出力手段(表示部553)は、前記振動データから前記判定基準に基づいて取得した歩数を出力する構成により、個人の特性に合わせた精度のよい歩数カウントを実行できる。
【0172】
また、振動データを取得した際のデータ取得環境(靴の種類、装着部位)を入力させるデータ取得環境入力手段(ステップS504を実行する演算部554)を備え、補正手段(ステップS510を実行する演算部554)は、前記データ取得環境入力手段で入力されたデータ取得環境を利用した前記判定基準の補正を実行する構成により、測定環境を加味してより精度のよい歩数カウントを実行できる。
【0173】
また、利用者がすり足で歩く場合、ピーク値が小さくなって歩数カウントが難しくなるが、このような場合でも学習モードでは歩数がわかっているため、適切な周期で適切な閾値を求めることができる。
【0174】
また、歩行カウント時の不感期間(1歩とみなす時間)も適切に設定できる。詳述すると、歩数計505の演算部554は、1歩に一定期間(例えば1秒)以上かかっていると、歩数と判定しない構成になっている。これは、歩行以外の振動を歩数とカウントすることを防止するためである。しかし、非常にゆっくり歩行するお年より等の利用者の場合、従来であれば1歩に要する時間が長すぎて歩数をカウントしないという事態が生じ得る。これに対し、ゆっくり歩行する利用者に対して1歩の周期(不感期間)を長くすることで、その利用者に合った適切な歩行カウントを実行できる。
【実施例5】
【0175】
次に、生体情報取得装置の一種である歩数計について、装着部位別に最適な歩数等の検出を行う実施例5について説明する。
従来、加速度センサを用いて歩数を検出する歩数計が提案されている。この歩数計は、加速度波形の極大値や極小値から一歩を検出し、歩数をカウントしている。しかし、例えば歩数計の装着箇所が、腰、腕、手首、首吊り下げ、胸ポケット内、ズボンポケット内、鞄内など、どの箇所であるかによって得られる加速度波形が異なってくる。
【0176】
これに対し、実施例5の歩数計は、どの装着部位に装着されていても精度よく歩数を検出することを目的としている。以下、図面と共に具体的に説明する。
【0177】
実施例5では、実施例4にて図12および図13を用いて説明した歩数計505を用いるため、歩数計505の詳細な説明を省略する。
歩数計505の記憶部556(図13参照)には、歩数計505の装着部位別の歩数判定アルゴリズムが記憶されている。具体的には、例えば腰装着用歩数判定アルゴリズム、腕装着用歩数判定アルゴリズム、手首装着用歩数判定アルゴリズム、首下げ用歩数判定アルゴリズム、胸ポケット収納用歩数判定アルゴリズム、およびズボンポケット収納用歩数判定アルゴリズム等が記憶されている。
【0178】
図17は、歩数計505の演算部554が、装着部位が変更される毎に歩数測定を行うアルゴリズムを最適なものに変更する動作を示すフローチャートである。
【0179】
演算部554は、歩数測定アルゴリズムを選択する選択モードを開始すると、まず学習用に歩行データを取得する(ステップS541)。この歩行データは、加速度検知部552により取得する加速度データである。このときに学習用として取得する加速度データは、所定歩数分(例えば数歩分)とすることが好ましい。
【0180】
演算部554は、学習用に取得した加速度データから、該加速度データの歩数測定に最適なアルゴリズム(歩行用歩数判定アルゴリズムまたは走行用歩数判定アルゴリズム)を選択する(ステップS542)。
【0181】
演算部554は、選択したアルゴリズムを用いて加速度データから歩数をカウントしてカウント歩数を表示部553に表示する通常モードを実行する(ステップS543)。この通常モードでは、加速度検知部552で検知する加速度データから常に歩数をカウントしている。
【0182】
装着部位が変更されるまで通常モードを継続し(ステップS544:No)、装着部位が変更されると(ステップS544:Yes)、演算部554は、ステップS541に処理を戻して再度アルゴリズムの変更を行う。この装着部位の変更は、加速度データに所定の変化が現れると演算部554が自動的に実行する、あるいは装着部位変更ボタンの入力を操作部557によって受け付け、この入力毎に実行するなど、適宜の方法によって実行することができる。
【0183】
以上に説明したように、歩数計505は、利用者に指定歩数の移動をさせて該指定歩数分の振動データを取得する調整用振動データ取得手段(ステップS541を実行する演算部554)を備え、前記補正手段(ステップS542を実行する演算部554)は、前記調整用振動データ取得手段で取得した振動データと前記指定歩数に基づいて歩数をカウントする際の判定基準(歩数判定用アルゴリズム)を補正する構成であり、前記出力手段(表示部553)は、前記振動データから前記判定基準に基づいて取得した歩数を出力する構成であり、前記調整用振動データ取得手段による振動データの取得と前記補正手段による補正を実行開始するトリガとなる装着部位変更入力(ステップS544)を受け付ける装着部位変更入力手段(ステップS544を実行する演算部554)を備えたことにより、歩数計505の装着部位に応じて最適な歩数判定用アルゴリズムを使用でき、精度の高い歩数カウントを実現できる。
【実施例6】
【0184】
次に、生体情報取得装置の一種である歩数計について、歩行/走行別に最適な歩数等の検出を行う実施例6について説明する。
従来、加速度センサを用いて歩数を検出する歩数計が提案されている。この歩数計は、加速度波形の極大値や極小値から一歩を検出し、歩数をカウントしている。しかし、例えば歩行の場合と走行の場合では、得られる加速度波形が異なってくる。
【0185】
これに対し、実施例6の歩数計は、歩行の場合と走行のどちらであっても精度よく歩数を検出することを目的としている。以下、図面と共に具体的に説明する。
【0186】
実施例6では、実施例4にて図12および図13を用いて説明した歩数計505を用いるため、歩数計505の詳細な説明を省略する。
歩数計505の記憶部556(図13参照)には、検出した歩数が歩行によるものか走行によるものかを判定する歩行/走行判定用の閾値データが記憶されている。また、記憶部556には、歩数をカウントする毎に、走行による歩数と歩行による歩数とが区別可能に記憶される。
【0187】
図18は、歩数計505の演算部554が、歩行か走行かを判定するために最適な閾値を求める動作を示すフローチャートである。
演算部554は、歩行/走行判定用の閾値設定モードを開始し、学習用の加速度データ(歩行データ)を取得する(ステップS571)。このとき取得する加速度データは、所定歩数分とすることが好ましい。
【0188】
演算部554は、学習用に取得した加速度データより、歩幅と歩行ピッチ(周波数)を算出する(ステップS572)。
演算部554は、この歩幅と歩行ピッチ(周波数)に基づいて歩行/走行判定用の閾値を算出し(ステップS573)、処理を終了する。この閾値の算出は、例えば次式(数1)で算出すると良い。
[数1]
閾値=A×振幅÷歩行ピッチ………歩行/走行判定用の閾値の計算式
【0189】
図19は、歩数をカウントする通常モードの動作を示すフローチャートである。
演算部554は、加速度検知部552により加速度データを取得し(ステップS581)、歩数検出を実行する(ステップS582)。ここでの歩数検出では、例えば所定の閾値以上の極大値および極小値が所定個数(1歩分あるいは複数歩分)以上検出できたか否かにより、歩数であるか別の原因による振動であるかを検出するとよい。
【0190】
歩数を検出しなかった場合は(ステップS582:No)、ステップS581へ処理を戻して加速度データの取得を継続する。
【0191】
歩数を検出した場合(ステップS582:Yes)、演算部554は、加速度データの振幅が歩行/走行判定用の閾値以上か否かを判定する(ステップS583)。
【0192】
閾値未満であった場合(ステップS583:No)、演算部554は、歩行による歩数であると判定し、これ以降の歩数カウントが歩行による歩数であるとカウントするように設定変更し(ステップS584)、ステップS581へ処理を戻す。
【0193】
閾値以上であった場合(ステップS583:Yes)、演算部554は、走行による歩数であると判定し、これ以降の歩数カウントが走行による歩数であるとカウントするように設定変更し(ステップS585)、ステップS581へ処理を戻す。
【0194】
以上に説明したように、歩数計505は、移動種別(歩行/走行)を判定する移動種別判定基準データ(閾値)を記憶する記憶手段(記憶部556)と、該移動種別判定基準データに基づいて前記振動データがどの移動種別に該当するか判定する移動種別判定手段(ステップS583を実行する演算部554)とを備えたことにより、移動種別が何であるか精度よく判定することができる。
【0195】
また、利用者自身の歩行による加速度データを用いて歩行/走行判定用の閾値を求めるため、利用者の特性に合わせて歩行/走行の判定基準を作成でき、精度を向上させることができる。
【0196】
また、歩行による歩数か走行による歩数かを精度良く算出できるため、歩行や走行による消費カロリーを計算する際にも精度よく計算することができる。
【実施例7】
【0197】
次に、生体情報取得装置の一種である歩数計について、特徴を学習して最適なアルゴリズムをダウンロードできる実施例7について説明する。
従来、加速度センサを用いて歩数を検出する歩数計が提案されている。この歩数計は、加速度波形の極大値や極小値から一歩を検出し、歩数をカウントしている。しかし、例えば怪我等によってすり足で歩行している場合など、歩行特性によっては歩数検出が難しいケースがある。
【0198】
これに対し、実施例7の歩数計は、個人の歩行特性に対応して精度よく歩数を検出することを目的としている。以下、図面と共に具体的に説明する。
【0199】
実施例7では、実施例4にて図12および図13を用いて説明した歩数計505を用いるため、歩数計505の詳細な説明を省略する。
図20は、歩数計505の演算部554とサーバ502の制御部520が、歩数を測定する動作を示すフローチャートである。
演算部554は、一定区間の歩行波形をランダムに歩数計に保存する(ステップS601)。このランダムな保存の詳細については後述する。
【0200】
演算部554は、保存データをサーバ502へ送信する(ステップS602)。このとき、利用者による操作部557の操作によって通信ボタンがONにされ、これによってデータを送信すればよい。
【0201】
サーバ502の制御部520は、この保存データを受信し(ステップS603)、特徴波形判別処理を実行する(ステップS604)。この特徴波形判別処理は、例えばデータベース(サーバ502の記憶部556)に登録されている複数の特徴波形用アルゴリズムに基づいて特徴を判別することができる。具体的には、データベース(サーバ502の記憶部556)に登録されている複数の特徴波形に対してパターン認識を行い、特徴波形が似ているか(マッチング度合いが一定以上高いものがあるか)を判別するとよい。
【0202】
制御部520は、個人最適アルゴリズムの作成を実行する(ステップS605)。このとき、制御部520は、パラメータの補正とパッチプログラム(更新用プログラム)の提供を実行する。
【0203】
パラメータの補正は、データベースに登録されている特徴波形用アルゴリズム(ステップS604でマッチング度合いが高いと判別したもの)のパラメータ値を提供する。あるいは、歩行波形データとデータベースの特徴波形用アルゴリズムのパラメータ値から、個人用にパラメータを補正する。このとき、最尤推定などの手法によって適切なパラメータを推定するとよい。
【0204】
パッチプログラムの提供は、特定の特徴波形を判断できるアルゴリズムを提供するとよい。例えば、現在歩数計で採用されているものと別の考えのものを提供するようにしてもよい。この別の考えのものは、例えばアルゴリズムに新しい閾値(パラメータ)を追加する、あるいは現行の閾値を一部削減して特徴波形の判別に特化するといったものとすることができる。
【0205】
制御部520は、新しいパラメータおよびパッチプログラムを歩数計505へ送信する(ステップS606)。
【0206】
歩数計505の演算部554は、パラメータおよびパッチプログラムを受信し(ステップS607)、受信したパラメータおよびパッチプログラムを適用して(ステップS608)処理を終了する。
【0207】
図21は、歩行波形のランダムな保存を実行する歩数計505の演算部554の動作を示すフローチャートである。
演算部554は、歩行開始の際に変数Pに1を代入し(ステップS621)、最低歩行周期の2倍の波形をサンプリングする(ステップS622)。
【0208】
演算部554は、確率1/Pでサンプリングデータを保存するか否か判定し(ステップS623)、確率1/Pに該当しなければ(ステップS623:No)、歩行波形を保存せずにステップS622へ処理を戻す。
【0209】
確率1/Pに該当すれば(ステップS623:Yes)、演算部554は、歩行波形を保存し(ステップS624)、変数Pに2を乗算した値を代入し(ステップS625)、ステップS622へ処理を戻して繰り返す。
【0210】
以上に説明したように、歩数計505は、所定の振動データ(ランダムに保存した加速度データ)を送信し、該振動データに基づく歩数判定基準データ(パラメータおよびパッチプログラム)を受信する通信手段(通信部551)を備え、補正手段(ステップS608を実行する演算部554)は、歩数を判定する歩数判定基準データを前記通信手段により受信した前記歩数判定基準データに更新する構成であり、出力手段(表示部553)は、該更新後の歩数判定基準データによって判定した歩数を出力する構成により、利用者個人に最適なアルゴリズムをダウンロードして歩数カウントを行うことができる。
【0211】
また、所定の振動データの送信をランダムなタイミングに実行する構成により、歩数計505のメモリ量の大幅な増加なども必要なく、通信量も軽減でき、効率よく最適なアルゴリズムを選定できる。
【0212】
また、生体情報取得システム500は、サーバ502が、歩数計505と通信する通信手段(通信部551)と、複数種類の特徴波形データを記憶する記憶手段(記憶部521)と、各種制御を行う制御手段(制御部520)とを備え、該制御手段が、前記通信手段により前記歩数計から振動データを受信する振動データ受信処理(ステップS603)と、受信した振動データが前記特徴波形データのどれに近いかパターンマッチングするパターンマッチング処理(ステップS604)と、マッチングにより得たパターンに対応して新しい前記判定基準データを作成する判定基準データ作成処理(ステップS605)とを実行することにより、利用者の特性に応じたアルゴリズム(パラメータ、パッチプログラム)を自動的に作成することができる。これにより、図22に示すように通常歩行波形Aだけでなくすり足やヒールを履いた歩行などの特殊歩行波形Bも精度よく歩行カウントを実行できる。
【0213】
また、保存するか否かを確率値のみによって判断するため、完全にランダム性が保たれる。このため、全ての歩行波形を記憶する必要がなく、保存するデータ量を削減することができる。
また、保存される波形データは、利用者の歩行特徴にあった割合で保存されるため、メモリ容量を削減できる。すなわち、殆ど通常波形の歩行でたまに特徴波形の歩行を行う利用者や、もともとすり足で常に特徴波形の歩行を行う利用者など、特徴波形で歩く割合は利用者によって異なる。これに対し、ランダムに保存されて波形データが更新されることで、特徴波形がたまに現れる利用者に対しては、たまに更新することになり、通常波形と特徴波形が頻繁に入れ替わる利用者に対しては、頻繁に更新することになる。
【実施例8】
【0214】
次に、生体情報取得装置の一種である活動量測定装置としての歩数計について、体組成計(体重体組成計)のデータを下に歩数計の基礎代謝を補正できる実施例8について説明する。
従来、歩数計で消費カロリーを測定するためには、ユーザによる初期設定が必要である。この初期設定では、体重、身長、年齢、性別を入力する必要がある。この入力された体重、身長、年齢、性別に基づき、基礎代謝量を算出し、これに歩行による消費カロリーを加えることで、総消費カロリーを算出できる。しかし、体重は日々変動しているため、最初に入力された体重のままでは総消費カロリーの精度が悪くなるという問題がある。
【0215】
実施例8の歩数計は、体組成計の測定データを用いることで、最新の体重を容易に取得し、精度の高い総消費カロリーを算出することを目的としている。
【0216】
図23は、生体情報取得システム700のシステム構成を示すブロック図である。
【0217】
生体情報取得システム700は、インターネット503に有線または無線により接続されたサーバ502とユーザ端末504と体組成計707、および、ユーザ端末504に有線または無線により接続される歩数計505によって構成されている。
【0218】
体組成計707は、制御部770、通信部771、操作部772、表示部773、および測定部774等により構成されている。
制御部770は、CPUとROMとRAMあるいはマイコン(マイクロコンピュータ)により構成されており、ROM等に記憶されているプログラムに従って各部の制御動作や演算動作を実行する。
【0219】
通信部771は、制御部770に接続されており、該制御部770の制御信号に従ってサーバ502と通信を行う。なお、この通信部771は、サーバ502に限らず、歩数計などの他の生体情報取得装置と通信する、あるいはパーソナルコンピュータや携帯情報端末(PDAあるいは携帯電話機等)と通信するなど、適宜の装置と通信する構成にしてもよい。
【0220】
操作部772は、押下操作される複数のボタンにより構成されており、体重や身長といった利用者情報の入力など、利用者に押下操作された入力情報を制御部770へ送る。
【0221】
表示部773は、液晶画面(図1参照)などの表示装置によって構成され、制御部770から送られる画像信号に従って文字や図形といった画像を表示する。
【0222】
測定部774は、低電流回路とインピーダンス検知部と電極とで構成される体脂肪率測定部、および複数のロードセルで構成される体重測定部により構成されている。
【0223】
その他の構成は、図13と共に説明した実施例4と同一であるので、同一要素に同一符号を付してその詳細な説明を省略する。なお、サーバ502の記憶部521には、体組成計707で計測した基礎代謝や体重、および体組成計707で入力された身長などの測定データが利用者別に蓄積されている。歩数計505は、この測定データにユーザID等を用いてアクセスすることができる。
【0224】
図24は、歩数計505の演算部554が実行する動作のフローチャートであり、図25は、歩数計505の演算部554が実行するカロリー計算の説明を行う説明図である。
【0225】
演算部554は、まずサーバ502に対して必要な測定データの問合せを行い(ステップS701)、サーバ502から測定データを受信する(ステップS702)。このとき、ユーザIDなどの個人識別情報を取得することで、利用者自身についての測定データを取得する。必要な測定データとしては、基礎代謝、体重、身長を取得する。これらの測定データのうち、基礎代謝と体重は体組成計707で測定してサーバ502に記憶されているものであり、身長は体組成計707で入力されたものである。基礎代謝と体重は、毎日のように測定されて随時最新のデータが記憶されている。
【0226】
演算部554は、記憶部556に記憶されている歩数および歩行時間を読み出す(ステップS703)。
【0227】
演算は、図25(A)に示したようにステップS702で取得した身長および体重と、ステップS703で取得した歩数と歩行時間を合わせて演算を行い、運動消費カロリーを求める(ステップS704)。
【0228】
この運動消費カロリーの算出は、図25(B)の第1計算式や、図25(C)の第2計算式など、適宜の計算式を用いて実行する。なお、第1計算式は、身長と演算定数Aと歩数と演算定数Bと歩行時間とを乗算し、これに演算定数Cを加算するものである。また、第2計算式は、身長と演算定数Aと歩数と歩行時間とを乗算し、これに体重と演算定数Cと歩行時加速度を乗算したものを加算するものである。なお、体組成計707による測定データを取得できなかったときは、デフォルト設定した一般値の身長や体重を用いるか、身長、体重を手入力させると良い。
【0229】
演算部554は、求めた運動消費カロリーと、ステップS702で取得した基礎代謝とに基づいて総消費カロリーを算出し(ステップS705)、算出した総消費カロリーを表示部553に表示する(ステップS706)。この総消費カロリーは、図25(D)に示すように、運動消費カロリーと基礎代謝と演算定数Dを加算して算出するものである。なお、体組成計707によって測定された基礎代謝を取得できないときは、デフォルト設定した一般値を用いるとよい。
【0230】
このようにして、歩数計505で測定した歩数による消費カロリーだけでなく、基礎代謝も含めた総消費カロリーを算出することができる。また、体重は日々変動するものであるため、体組成計707で体重測定する毎にサーバ502に測定データを登録しておけば、サーバ502の測定データを歩数計505が随時確認することで、最新の体重を用いた歩行のカロリー計算を行うことができる。従って、非常に利便性が高いと共に精度の良いカロリー計算を実行することができる。
【0231】
この総消費カロリーの演算と表示は、毎分、毎時毎に演算して表示し、進捗状況を確認する構成にすると良いが、これに限らず種々のタイミングで実行することができる。例えば、1日の終了時に演算および表示を行い、達成度を振り返れるようにする、あるいは、一日終了分を翌日に表示して達成度の振り返りと一日の目標を立てられるようにするなど、適宜のタイミングで実行できる。
【0232】
以上に説明したように、歩数計505は、振動データ(加速度データ)に基づいて消費カロリーを計算する消費カロリー計算手段(ステップS704〜S705を実行する演算部554)と、他の機器から消費カロリーの算出に関する消費カロリー関連データ(身長、体重、基礎代謝)を取得するデータ取得手段(通信部551)とを備え、補正手段(ステップS704、S705でデフォルト値の代わりに実測値を用いる演算部554)は、前記消費カロリー計算手段で消費カロリーを算出する際に前記消費カロリー関連データを用いることで補正する構成であり、出力手段(表示部553)は、補正後の消費カロリーを出力する構成により、精度の高い消費カロリーの表示を実現することができる。
【0233】
また、サーバ502に記憶されている基礎代謝や体重は体組成計707によって日々更新されるため、歩数計505は、常に最新のデータを用いて歩行等による総消費カロリーを算出することができる。従って、ダイエット中で体重や基礎代謝が変化している場合でも、常に最新の体重と基礎代謝を用いて総消費カロリーを精度よく算出することができる。
【0234】
また、体組成計707による測定データを用いることで、歩数計505の操作部557で体重や基礎代謝や身長などを手入力する必要がなく、初期設定の手間を削減することができる。
【実施例9】
【0235】
次に、生体情報取得装置の一種である活動量測定装置としての歩数計と体組成計(体重体組成計)とサーバとを用いた生体情報取得システムについて、歩数や歩行強度データと体組成変化データを基に、個人に最適なアルゴリズムを算出し、このアルゴリズムを歩数計にダウンロードできる実施例9について説明する。
従来、消費カロリーは、身長や体重、年齢などの情報から統計的に計算されている。しかし、体組成が異なれば、消費カロリーの値は大きく異なってくる。このため、この統計的な計算では精度がそれほど高くないという問題点を有する。
【0236】
これに対し、実施例9の歩数計は、消費カロリーをより正確に算出するアルゴリズムを提供し、使用者が望む体組成変化を生むために必要な運動量も提案できるようにすることを目的としている。
【0237】
実施例9では、実施例8にて図23を用いて説明した生体情報取得システム700を用いるため、生体情報取得システム700の説明を省略する。
図26は、生体情報取得システム700の全体の動作を示すフローチャートである。
【0238】
まず、体組成計707により体組成データ(体重体組成データ)を測定する(ステップS801)。体組成データとしては、例えば基礎代謝、体重、体脂肪率などを測定するとよい。またこの段階の歩数計505は、図29(D)に示すように、状態表示画面を表示部553に表示し、体組成測定、運動中、および運動後測定完了のすべてを消灯し、何も開始されていないことを示すと良い。また、現在の歩数も同時に表示しておくとよい。
【0239】
体組成計707は、測定した体組成データをサーバ502へ送信する(ステップS802)。
【0240】
サーバ502は、受信した体組成データを運動前体組成データとして記憶部521に記憶する(ステップS803)。
歩数計505は、体組成データをサーバ502から受信し、利用者により装着され(ステップS804)、ワークアウトが実施される(ステップS805)。このとき、歩数計505は、装着されたことやワークアウトが実施されたことを検知しても良いが、特に検知等の動作を行わなくてもよい。また、体組成データを受信した歩数計505の演算部554は、表示部553に図29(E)に示す状態表示画面を表示すると良い。この画面では、「体組成測定有り」を点灯させ、残りの「運動中」および「運動後測定完了」を消灯させるとよい。また、歩数計505で歩行を検出している運動中は、状態表示画面の「運動中」をさらに点灯させるとよい。
【0241】
歩数計505は、ワークアウトによる運動データを記憶部556に保存し(ステップS806)、この運動データをサーバ502へ送信する(ステップS807)。この送信は、随時実行してもよいが、ワークアウトが終了(歩行停止など)して一定時間が経過した際に実行する構成にしてもよい。またこの送信の際、演算部554は、図29(F)に示すように、表示部553に状態表示画面を表示するとよい。この状態表示画面では、「体組成測定有り」「運動中」および「運動後測定完了」の全てを点灯させると良い。
【0242】
サーバ502は、歩数計505から受信した運動データを記憶部521に記憶する(ステップS808)。
体組成計707は、利用者の体組成を測定し(ステップS809)、この体組成データをサーバ502へ送信する(ステップS810)。
サーバ502は、受信した体組成データを運動後体組成データとして記憶部521に記憶する(ステップS811)。
【0243】
サーバ502は、ステップS803で記憶した運動前体組成データとステップS811で記憶した運動後体組成データの差から運動前後の体組成変化を求めてこの変化量を記憶部521に記憶し(ステップS812)、この変化量を運動量と紐付けする(ステップS813)。
【0244】
サーバ502は、消費カロリー補正係数を決定し(ステップS814)、この消費カロリー補正係数を歩数計505へ送信する(ステップS815)。
歩数計505は、受信した補正係数を記憶し(ステップS816)、処理を終了する。この補正係数を受信した歩数計505は、これ以降に消費カロリーを算出する際に、この補正係数を使用する。詳述すると、消費カロリーを算出する歩数計505の演算部554は、まず歩数、ピッチ、歩幅、および身長からEx量(エクササイズ量)を算出し、これを基に消費カロリーを算出する。そして、補正係数として、例えばワークアウトによって体重変化が0.5%未満であれば、通常の正規処理で消費カロリーを算出し、体重変化が0.5%以上であれば、次の割増量算出式(数2)で求めるYだけ割り増しして消費カロリーを算出する。
[数2]
Y=10×(X−0.5)………割増量算出式
すなわち、正規処理で算出した消費カロリーに、上記割増量算出式で求めた割増量を乗算することで補正し、精度の高い消費カロリーを求める。
【0245】
図27は、操作部557に運動開始スイッチを設けた歩数計505の演算部554が実行する動作を示すフローチャートである。この動作は、前記ステップS804の装着の際に実行される
演算部554は、操作部557により運動開始スイッチの押下入力を受付(ステップS821)、体組成計707のデータがあるか否かを判定する(ステップS822)。この判定は、サーバ502にアクセスして体組成計707の測定データがあるか否かを判定する、あるいは、サーバ502から直近の一定時間内に測定データを受信しているか否かを判定するなど、適宜の方法により判定する。
【0246】
測定データが無かった場合(ステップS822:No)、演算部554は、図29(A)に示す警告画面を表示部553に表示する(ステップS823)。この警告画面には、体組成計による測定がされていない旨、このまま測定を行って良いか問い合わせる内容、Yes/Noを選択させる内容、および現在の歩数(図示の例では1020歩)を表示する。
【0247】
演算部554は、Yesが選択されれば、歩数計505による運動測定を開始する(ステップS826)。
【0248】
体組成計707による測定データがあった場合(ステップS822:Yes)、演算部554は、その測定データの測定時刻が現時点から予め定めた所定時間(N時)以内か否か判定する(ステップS824)。
【0249】
所定時間以内でなければ(ステップS824:No)、演算部554は、図29(B)に示す警告画面を表示部553に表示する(ステップS825)。この警告画面では、体組成計による測定が所定時間(○時間)以内にされていない旨、このまま測定を行って良いか問い合わせる内容、Yes/Noを選択させる内容、および現在の歩数(図示の例では1020歩)を表示する。
【0250】
演算部554は、Yesが選択されれば、歩数計505による運動測定を開始する(ステップS826)。なお、Noが選択された場合、図29(C)に示す警告画面を表示部553に表示すると良い。この警告画面では、体組成計で体組成を測定するように促す内容、および現在の歩数(図示の例では1020歩)を表示する。
所定時間以内であれば(ステップS824:Yes)、演算部554は、歩数計505による運動測定を開始する(ステップS826)。
【0251】
図28は、操作部557に運動開始スイッチを設けた歩数計505の演算部554が実行する別の例の動作を示すフローチャートである。この例では、自動で運動を検出する。
【0252】
Met’s、歩数、速度により所定以上の活動量を検出すると(ステップS841)、演算部554は、継続時間が所定時間(図示の例ではM分)以上になるまで(ステップS842:No)、待機する。
【0253】
所定以上の活動量を所定時間以上継続して検出すると(ステップS842:Yes)、演算部554は、体組成計707による測定データがあるか否か判定する(ステップS843)。このステップS843からステップS847までの動作は、上述したステップS822からS826までの動作と同一であるため、その詳細な説明を省略する。
【0254】
図30は、目標値を入力して必要な運動量を利用者が把握する際の動作を示すフローチャートである。
【0255】
歩数計505の演算部554は、利用者による目標値入力を操作部557により受け付ける(ステップS861)。ここでの目標値は、目標項目(皮下脂肪や体重など)と目標数値(パーセントやキログラムなど)を指定させることで入力受付することができ、例えば「皮下脂肪を1%落とす」、あるいは「体重を1kg落とす」など適宜の目標値とすることができる。
【0256】
演算部554は、入力された目標値を通信部551によりサーバ502へ送信する(ステップS862)。
【0257】
サーバ502の制御部520は、記憶部521に記憶しているデータを参照し、歩数計505からデータを送信してきた利用者の過去の運動量と変化量を抽出する(ステップS863)。この運動量と変化量は、上述したステップS812で記憶されたものである。
【0258】
制御部520は、最も直前に記憶した運動量と変化量に基づいて、受信した目標値に到達するために必要な運動量を算出する(ステップS864)。
【0259】
制御部520は、さらに運動量と変化量の過去の履歴から、脂肪燃焼効率に変化がないか確認する(ステップS865)。これは、運動量と変化量の関係から求めることができ、例えば同じ運動量でも変化量が少なくなっているといった変化を確認できる。
【0260】
制御部520は、ステップS864で求めた必要な運動量と、ステップS865で求めた脂肪燃焼効率の変化を歩数計505へデータ送信する(ステップS866)。
【0261】
歩数計505の演算部554は、受信したデータに基づき、目標値を達成するために必要な運動量を表示部553に表示する(ステップS867)。この表示は、例えば内蔵脂肪レベルの高い利用者に対してであれば「3Met’s以上の歩行維持を60分以上行いましょう」、皮下脂肪レベルの高い利用者に対してであれば「4Met’s以上の歩行維持を30分以上行いましょう」、体重を減少させたい利用者であれば「3Met’s以上の歩行を30分と4Met’s以上の歩行を10分行いましょう」といったメッセージとすることができる。
【0262】
演算部554は、サーバ502から受信したデータにより脂肪燃焼効率に変化が確認できれば(ステップS868:Yes)、これに応じたメッセージを表示部553に表示する(ステップS869)。このメッセージは、例えば運動量が減少していないのに体重の減少が止まったか筋肉率が低下している場合であれば、「脂肪燃焼効率が落ちています。運動の質を変化させて、筋力アップを目指しましょう」とする、あるいは運動量が増えているのに体重の減少が止まったか筋肉率が増えている場合であれば、「脂肪燃焼の促進には継続が重要です。あきらめずに頑張りましょう」とするなど、適宜の内容にすることができる。
【0263】
脂肪燃焼効率に変化が無かった場合であれば(ステップS868:No)、ステップS869を実行せずに処理を終了する。
【0264】
以上に説明したように、生体情報取得システム700は、体組成計707が、運動開始前に測定した運動前体組成データと運動終了後に測定した運動後体組成データとを取得する構成であり、歩数計505が、運動中の振動データを取得する構成であり、前記運動前体組成データと前記運動後体組成データと前記振動データに基づいて消費カロリー補正係数を取得する消費カロリー補正係数取得手段(ステップS816を実行する演算部554)と、該消費カロリー補正係数を用いて消費カロリーを算出する消費カロリー算出手段(消費カロリーを算出する演算部554)を備えたことにより、消費カロリーをより正確に算出することができる。
【0265】
また、運動前体組成データと運動後体組成データとの差により変化量を求める変化量算出手段(ステップS812を実行する制御部520)と、利用者が目標とする目標変化量を入力許容する入力手段(操作部557)と、求めた変化量と前記運動中の振動データに基づいて前記目標変化量に到達するために必要な運動を提案する提案手段(ステップS867を実行する演算部554)とを備えたことにより、利用者に適切なアドバイスを行うことができる。
【0266】
また、歩数計505により算出する消費カロリーの精度を、他の装置で測定した測定値を利用して向上することができる。特に、一般家庭に普及している体組成計707を利用することで、利用者の負担する費用を抑えてよりよい測定を行うことができる。
【0267】
また、運動前後で体組成計707による測定を行い、歩数計505を利用者が装着して運動するだけで補正係数を更新することができる。このため、消費カロリーの算出精度を高める補正係数を利用者の現状に合わせたものに容易に更新することができる。
【0268】
また、目標値を入力すれば必要な運動量が得られるため、利用者は目的意識を持って運動を行うことができる。
また、脂肪燃焼効率に変化があった場合に、利用者はその事実を知ることができるため、運動継続のモチベーション維持に役立てることができる。
【実施例10】
【0269】
次に、生体情報取得装置の一種である移動姿勢検出装置として歩数計を利用する例について、移動姿勢を検出してアドバイスや目標値に近づけるためのガイド出力を行う実施例10について説明する。
従来、歩行中の歩数をカウントする種々の歩数計が提供されている。この歩数計は、振り子式、加速度センサなど、適宜の機構によって歩数をカウントしている。しかし、この歩数計のように利用者が身体に装着して利用する携帯型の装置で、歩行中の移動姿勢を検出するものは提供されていなかった。
【0270】
これに対し、実施例10は、移動姿勢を検出してアドバイスや矯正を可能にする移動姿勢検出装置を提供することを目的とする。
【0271】
実施例10では、実施例4にて図13を用いて説明した生体情報取得システム500を用いるため、生体情報取得システム500の説明を省略する。
図31は、歩数計505がサーバ502に歩行姿勢データを送信する際の動作のフローチャートである。
【0272】
歩数計505の演算部554は、操作部557により利用者の歩行姿勢計測ボタンの押下入力を受け付け、歩行姿勢の測定を開始する(ステップS1001)。
演算部554は、取得した歩行姿勢データを、ユーザ端末504を介してサーバ502へ送信する(ステップS1002)。このとき送信するデータは、腰重心軌跡、パラメータ、年齢、身長、体重、職業、歩数またはエクササイズ量に時間を乗算した値など、適宜のデータを送信する。
【0273】
サーバ502の制御部520は、これらのデータを受信し(ステップS1003)。この受信データを群別に管理して記憶部521に記憶する(ステップS1004)。このとき、制御部520は、受信した腰重心軌跡等のデータを、上下運動量、左右運動量、ピッチ、身長、体重の群に分けて記憶部521に記憶する。
【0274】
図32は、このようにして取得される腰重心軌跡や保存されるデータを説明するデータ説明図である。
【0275】
図32(A)に示すように、腰重心軌跡1089は、3次元または2次元の加速度センサで構成した加速度検知部552により検知され、腰重心の移動距離を上下方向と左右方向の二軸で表した軌跡となる。
【0276】
図32(B)に示すように、記憶部521に記憶する群別に管理されたデータは、年齢、体重、身長、歩数、エクササイズ、基礎代謝、BMI、および歩行時間により構成される。
【0277】
図32(C)に示すように、記憶部521に記憶するパラメータは、左右量と上下量とで構成される。このパラメータの左右量は、腰重心軌跡が左右方向に移動した最大の移動量あるいは平均の移動量とすることができ、上下量は、腰重心軌跡が上下方向に移動した最大の移動量あるいは平均の移動量とすることができる。
【0278】
図33は、モデルデータとしてデータを公開する場合の公開データを説明する説明図である。
この例では、モデル分類が年齢28に分類されるユーザBのデータをモデルデータとして公開する。
【0279】
公開するデータとしては、左右量:6.2、および上下量:5.5というパラメータを設定している。これにより、利用者は28歳のモデルデータを確認することができる。すなわち、自分が28歳であれば、28歳の理想的な歩行姿勢をモデルデータにより確認するといったことができる。
【0280】
図34は、このモデルデータを目標とし、目標に達成しているか否かを判定できるようにする歩数計505の演算部554が実行する動作のフローチャートである。
【0281】
演算部554は、ユーザ端末504を介してサーバ502にアクセスし、公開されているモデルデータ(ユーザデータ)の情報(名称やモデル分類など)を取得する(ステップS1011)。
【0282】
演算部554は、表示部553にモデルデータを選択可能に表示して利用者によるモデルデータの選択入力を受け付ける(ステップS1012)。
演算部554は、選択されたモデルデータのパラメータをサーバ502からダウンロードし(ステップS1013)、目標値に設定して記憶部556に記憶する(ステップS1014)。ここで取得するパラメータは、例えば図33で説明した上下量と左右量である。なお、ステップS1012〜S1014までの処理は、歩数計505ではなくユーザ端末504にて実行してもよく、あるいはサーバ502にアクセス可能な他の端末で実行して指定したモデルデータのパラメータを歩数計505へ送信する構成にしてもよい。
【0283】
演算部554は、加速度検知部552により加速度データを取得して姿勢を測定する姿勢測定処理を実行する(ステップS1015)。この姿勢測定処理では、重心位置の移動距離により上下量と左右量を測定する。
【0284】
演算部554は、測定した姿勢(上下量と左右量)と目標値であるモデルデータのパラメータ(上下量と左右量)を比較し、所定範囲内であるか否か判定することにより目標達成か否かを判定する(ステップSS1016)。
【0285】
目標達成していなければ(ステップS1016:No)、演算部554はそのまま処理を終了する。従って、例えば後日に再度測定し、目標に到達するまで続けるといったことができる。
【0286】
目標達成していれば(ステップS1016:Yes)、演算部554は、目標達成を報知する(ステップS1017)。この報知は、例えば表示部553に「目標達成!」などのメッセージを表示する、あるいは図示省略する音声出力装置により音声案内やアラーム音を鳴らすなど、適宜の方法によって実行するとよい。
【0287】
演算部554は、目標歩行の歩数や歩行時間を記憶し(ステップS1018)、処理を終了する。この記憶は、記憶部556に記憶する、サーバ502の記憶部521に記憶する、あるいはこの両方に記憶するなど、適宜の記憶部に記憶するとよい。
【0288】
図35は、医師や補助者、介助者などが利用者の歩行姿勢改善の指導を行う場合の動作を示すフローチャートである。
歩数計505の演算部554は、加速度検知部552により加速度データを取得して歩行姿勢を測定する(ステップS1021)。
【0289】
演算部554は、取得した歩行姿勢のデータを、ユーザ端末504を介してサーバ502へ送信する(ステップS1022)。
サーバ502の制御部520は、歩行姿勢のデータを受信し(ステップS1023)、歩行姿勢を表示部523に画面表示する(ステップS1024)。この画面表示は、上下量や左右量を数字で表示する、あるいは図32(A)に示したように上下量と左右量の二次元グラフ上に点あるいは軌跡で表示する、あるいはその両方を表示するなど、適宜の表示とすることができる。
【0290】
制御部520は、操作部522により医師や補助者や介助者といった指導員によるアドバイスの入力や改善プログラムの指定入力を受け付ける(ステップS1025)。ここで、アドバイスは、例えば左右のいずれかに姿勢が偏っていることを通知するメッセージなど、適宜の内容とすることができる。また、改善プログラムは、例えば歩行ピッチを知らせるための歩行ピッチ音声出力プログラム(例えば1.5Hz等の所定周波数の歩行ピッチ音を鳴らすプログラム)など、適宜のプログラムとすることができる。
【0291】
なお、このステップS1024〜S1025で指導員が歩行姿勢を認識してアドバイスや改善プログラムを決定する処理は、インターネット503を介してサーバ502と通信可能に接続された別途の指導員端末(パーソナルコンピュータなど)によって実行する構成にしてもよい。この場合、指導員は様々な場所で指導を実施することができる。
【0292】
制御部520は、指定されたアドバイスや改善プログラムを歩数計505へ送信する(ステップS1026)。
歩数計505は、このアドバイスや改善プログラムを受信し(ステップS1027)、これを実行する(ステップS1028)。アドバイスを受信した場合であれば、そのアドバイスを表示部553に表示する、あるいは図示省略する音声出力装置によって音声出力するなど、適宜の方法で出力できる。
【0293】
改善プログラムを受信した場合であれば、この改善プログラムを実行する。例えば、歩行ピッチを受信した場合、この歩行ピッチに合わせて図示省略する音声出力装置によって音を鳴らす、あるいは表示部553に歩行ピッチを示すマークを歩行ピッチのタイミングで表示/非表示させるなど、適宜の方法によって実行することができる。
【0294】
以上に説明したように、体動関連データ取得手段(加速度検知部552)を備えた移動姿勢検出装置(歩数計505)は、体動関連データ(加速度データ)から移動姿勢(歩行姿勢)を分析する移動姿勢分析手段(ステップS1015を実行する演算部554)と、移動姿勢の目標値となる目標値取得手段(ステップS1011〜S1014を実行する演算部554)と、前記移動姿勢分析手段で分析した移動姿勢と前記目標値取得手段で取得した目標値とにより該目標値を達成しているか否かに関する達成関連情報(目標達成か否かの情報)を求める達成関連情報取得手段(ステップS1016を実行する演算部554)と、求めた達成関連情報(メッセージ、音声案内、またはアラーム音)を出力する達成関連情報出力手段(ステップS1017を実行する演算部554)とを備えたことにより、目標としている歩行姿勢に到達しているか否かを利用者に知らせることができる。
【0295】
また、前記目標値の移動姿勢に近づくためのガイドとなるガイド情報(歩行ピッチ音)を取得するガイド情報取得手段(ステップS1022,S1027を実行する演算部554)と、該ガイド情報を出力するガイド情報出力手段(ステップS1028を実行する演算部554)とを備えたことにより、目標へ向けてのアドバイスを行うことができる。
【0296】
また、歩行ピッチ音により、利用者は、目標とする歩行ピッチを認識でき、その歩行ピッチで歩行しようと努力することができる。従って、明確な目標に向かって努力することができる。
【0297】
また、歩行姿勢のデータを歩数計505からリアルタイムに送信し、このリアルタイムの歩行姿勢のデータを見つつ指導員がアドバイスや改善プログラムを送信することで、遠隔地にいても適切な指導を行うことができる。
【0298】
また、目標値を利用者自身が選ぶことが可能であるため、例えば自分と同年代の理想値を目標値として選択する、スポーツ選手の歩行姿勢を目標値とするなど、明確な目的を持って目標を定めることができる。
【実施例11】
【0299】
次に、生体情報取得装置の一種である電子体温計について、繰り返し使用することで熱流を利用して補正する実施例11について説明する。
従来、生体の深部温度を測定する方法として、表面温度と深部温度が平衡になるまで水銀式の体温計を腋に挟んでおく方法が提供されている。この方法は時間がかかることから、現在では、表面温度と深部温度が平衡になるまでの温度変化の態様を式に当てはめることで平衡点を予測し、この平衡点を体温と予測するものも提案されている。しかし、この温度変化の態様は、生体の体組成等によって異なるため、生体によって精度が異なってしまうという問題点や、推定までにある程度の時間がかかるという問題点がある。
【0300】
これに対し、実施例11の電子体温計は、過去に測定した体温等のデータを用いることで、短時間で精度よく深部体温を測定することを目的としている。以下、図面と共に具体的に説明する。
【0301】
図36は、電子体温計1508を有する体温測定システム1500の構成を示すブロック図である。
サーバ502は、例えばサーバ装置として利用されるような適宜のコンピュータであり、制御部520、記憶部521、操作部522、表示部523、および通信部524等を有している。通信部524は、有線接続するLANボードや無線通信する無線LANボードなど、適宜の通信機器で構成することができる。
【0302】
このサーバ502は、ユーザ端末504を介して電子体温計1508からデータを受信し、このデータを記憶部521に記憶する処理、このデータと記憶部521に記憶しているデータに基づく演算処理、およびパラメータなどを電子体温計1508へ送信する処理など、適宜の処理を実行する。
【0303】
ユーザ端末504は、例えばパーソナルコンピュータで構成され、制御部540、通信部541、操作部542、表示部543、および通信部544を有している。通信部541は、有線接続するLANボードや無線通信する無線LANボードなど、適宜の通信機器で構成することができる。通信部544は、有線接続するUSB(Universal Serial Bus)や無線通信するBluetooth(登録商標)など、適宜の通信インターフェースで構成することができる。
【0304】
このユーザ端末504は、通信部544を介して電子体温計1508からデータを取得し、このデータをサーバ502に送信する機能、およびサーバ502から受信したデータを電子体温計1508へ送信する機能を有している。
【0305】
なお、このユーザ端末504は、パーソナルコンピュータに限らず、PDA(Personal Digital Assistants)や携帯電話といった携帯型情報処理装置で構成するなど、適宜の装置で構成することができる。
【0306】
電子体温計1508は、通信部1581、温度測定部1582、表示部1583、制御部1584、電源接続部1585、記憶部1586、および電源部1588を有している。
通信部1581は、有線接続するUSB(Universal Serial Bus)や無線通信するBluetooth(登録商標)など、適宜の通信インターフェースで構成することができる。
【0307】
温度測定部1582は、先端のプローブ(図示省略)と温度センサ(図示省略)とによって構成され、温度を測定する。この温度測定部1582は、測定した温度を検知信号として制御部1584へ送る。
【0308】
表示部1583は、液晶などの表示器機で構成されており、制御部1584からの表示制御信号に従って情報を表示する。この表示する情報は、深部体温など測定体温に関する情報とすることができる。
【0309】
制御部1584は、電源部1588から電源接続部1585を介して受け取る電力によって駆動し、温度測定部1582からの検知信号の受信(検出)、通信部1581、表示部1583、および記憶部1586に対する電力供給(電源)と動作制御(表示制御)を実行する。また、温度測定部1582から受信する検知信号と記憶部1586に記憶しているパラメータ等を参照して測定温度を補正して深部温度を算出する処理も実行する。
【0310】
記憶部1586は、測定した温度やプローブ初期温度をサーバ502へ送信するプログラムやパラメータによって測定した温度を補正し深部温度を算出するプログラムやパラメータ等を記憶している。また、温度測定部1582のプローブ熱容量も記憶している。
【0311】
図37は、電子体温計1508とサーバ502が実行するパラメータ更新処理のフローチャートである。
電子体温計1508の制御部1584は、温度測定部1582によりプローブの初期温度を検出し(ステップS1501)、利用者の測定体温を検出し(ステップS1502)、これらのデータを測定部位と共にユーザ端末504を介してサーバ502へ送信する。ここで送信する測定部位は、電子体温計1508の種類に応じて、例えばわき下式、耳式、舌下式などを固定で記憶させておき、この固定の測定部位を示す識別データを送信する構成にすると良い。また、適宜の操作手段を備えて舌下測定かわき下測定かといった測定部位を利用者に入力させ、入力された測定部位を送信する構成にしてもよい。
【0312】
サーバ502の制御部520は、電子体温計1508から受信したデータを記憶部521に記憶し(ステップS1504)、同一の利用者について同一の測定部位で体温測定した過去のデータを参照する(ステップS1504)。この同一利用者の過去のデータの参照は、電子体温計1508に固有のIDを付与しておいてこのIDと共にデータを記憶し、IDが一致するものを同一人物のデータとする、あるいは電子体温計1508やユーザ端末504でユーザ入力を行わせてこのユーザデータをサーバ502へ送信してユーザを識別するなど、適宜の方法で行うとよい。
【0313】
制御部520は、ステップS1504で取得したデータとステップS1505で取得した過去のデータから連立方程式を作成する(ステップS1505)。
ここで作成する連立方程式について詳述すると、まず、電子体温計1508を人体の測定部に固定した場合、検出される温度をT(t)とすると、次式(数3)の通り時間の関数として簡素化表現できる。
【0314】
[数3]
T(t)=(T−T)exp(−t/τ)
※T(t):検出温度,T:熱源温度,T:プローブ初期温度,
τ:プローブ熱容量/測定部位の熱時定数
【0315】
この式(数3)をTについて解くと、次の式(数4)が得られる。
【0316】
[数4]
=T+T(t)/exp(−t/τ)
【0317】
ここで、TおよびT(t)は電子体温計1508で測定可能であり、プローブ熱容量も製品特性上既知として扱うことができる。このため、測定部位の熱時定数さえわかれば、理論的に熱源温度(即ち深部体温)を算出することができる。
【0318】
そこで、同一人物が同一測定部位で複数回の体温測定を実施すると、その温度上昇データから下記連立方程式(数5)が得られる。
【0319】
[数5]
=T+T(t)/exp(−t/τ)
0’=T1’+T(t’)/exp(−t’/τ’)
【0320】
ここでτ=τ’と仮定すると1つの未知数に対しての連立方程式として扱うことができる為、この連立方程式を解くことでその人のτを得ることができる。従って、このステップS1505で、τ=τ’と仮定した連立方程式を作成する。
【0321】
制御部520は、この連立方程式(数5)を解き、熱時定数を算出する(ステップS1506)。
制御部520は、算出した熱時定数に基づいて、電子体温計1508が測定体温を補正するためのパラメータを電子体温計1508へ送信する(ステップS1507)。
【0322】
ユーザ端末504を介してパラメータを受信した電子体温計1508は、記憶部1586に記憶しているパラメータを受信したパラメータに更新する(ステップS1508)。これ以降の体温測定の際、制御部1584は、更新した新しいパラメータを使用して測定体温を補正し、この補正した値を深部体温として表示部1583に表示する。
【0323】
以上に説明したように、電子体温計1508は、温度測定手段(温度測定部1582)により測定した温度に関する温度関連情報(測定体温およびプローブ初期温度)を同一の測定部位について複数記憶する記憶手段(記憶部521)と、該複数の温度関連情報に基づいて前記測定部位の熱時定数を算出する熱時定数算出手段(ステップS1505〜S1506を実行する制御部520)とを備え、前記補正手段(ステップS1508を実行する制御部1584)を、前記熱時定数を用いて前記温度測定手段により測定した温度を補正する構成にしたことにより、短時間で精度の高い深部温度の測定を実現することができる。
【0324】
また、前記温度測定手段(温度測定部1582)は、前記測定部位に接触する接触部にプローブを有する構成であり、前記生体の同一の測定部位に対する複数回の温度測定により、プローブ初期温度と測定温度とプローブ熱容量と測定部位の熱時定数とに基づいて熱源温度を求める式の連立方程式を作成する連立方程式作成手段(ステップS1505を実行する制御部520)と、該連立方程式における測定部位の熱時定数を同一値であるとみなして該連立方程式を解くことで該熱時定数を算出する熱時定数算出手段(ステップS1506を実行する制御部520)とを備えたことにより、測定対象となる生体を実際に測定した値によって補正を行うことができ、精度の高い深部温度を算出することができる。
【0325】
また、測定部位の熱時定数は個人の生理情報(例えば、測定部位の脂肪や筋肉のつき方等)により個体差がでるパラメータであるが、個人の温度を実際に測定して補正用のパラメータを算出することにより、個人の特性に合わせたパラメータを作成でき、非常に精度の高い深部温度の測定を実現できる。
【0326】
また、測定対象者各人において熱時定数を最適化できるため、熱源温度(深部温度)を非常に短時間で測定することができる。
【0327】
また、一度パラメータを更新しておけば、これ以後、その利用者が同一部位で測定する際に、そのτを使用することで、短時間で精度の良い体温測定が可能となる。
【0328】
また、体温測定システム1500のようにサーバ502を用いることで、個人認証を実施し、測定部位を確認した上で計算することを容易に実現できる。
なお、この実施例ではステップS1504〜1508をサーバ520で行っているが、全て電子体温計1508の制御部1584で実行し、電子体温計1508で完結させる構成にしてもよい。このように、温度上昇カーブから体温計機器内部のマイコンで熱時定数を計算し、メモリ内に格納されているパラメータを更新することでも、上述の実施例と同じ機能を実現できる。
【実施例12】
【0329】
次に、生体情報取得装置の一種である電子体温計について、上述した実施例11よりさらに精度を向上させた実施例12について説明する。
この実施例12は、従来技術との関係、体温測定システム1500の構成、および動作のフローチャートが実施例11と同一であるため、その詳細な説明を省略する。
【0330】
実施例12では、実施例11で1つの定数として扱ったτを、2つの要素からなる定数として扱う。
すなわち、次式(数6)に示すようにτを分解する。
【0331】
[数6]
τ=τ+τ
※τ:個人の熱時定数
τ:人体表面とプローブ(体温計熱センサー)間の熱時定数
【0332】
ここで、τ1は短期間での急激な変化は考えにくいことから、この方式で精度を上げるためにはτ2の状態を把握し、その状態に応じて,τを補正することが望ましい。
【0333】
τは、人体表面とプローブ(体温計熱センサ部)の接触状態との関連性が高いため、接触圧力・接触面積またはそれに代替できるパラメータにより指標化することが現実的に可能である。
【0334】
従って、τをこれらのパラメータにより指標化する。具体的には、図36に示した温度測定部1582に、圧力センサや静電容量センサ等の適宜のセンサを設け、このセンサにより接触状態をτに指標化して取得する。
【0335】
そして、この指標化して取得したτを、図37に示したステップS1503にて送信し、ステップS1504にて記憶部521に記憶する。また、ステップS1504〜S1506では、熱時定数「τ」を「τ+τ」に置き換えて処理を行う。
【0336】
このように、利用者(被測定者)の体温測定における温度上昇データと接触状態を指標化したτのデータを蓄積し、これを利用することで、同一人物が同じ部位の体温を測定する際に、プローブの接触状態を自動補正した高精度の測定を可能にしている。
【0337】
図38は、電子体温計1508で利用者の深部体温を測定する動作のフローチャートである。
体温測定システム1500の制御部1584は、温度測定部1582によりプローブ初期温度を検出する(ステップS1601)。そして、制御部1584は、温度測定部1582の適宜のセンサによってプローブと人体との接触状態を検出し(ステップS1602)、この接触状態に対応するパラメータを適用し(ステップS1603)、温度測定を実行する(ステップS1604)。ここで、ステップS1602とS1604は順不動であり、同時または異なる順序で実行してもよい。
【0338】
制御部1584は、ステップS1604で測定した測定温度とステップS1603で適用したパラメータに基づいて深部温度を算出し(ステップS1605)、この深部温度を表示部1583に表示し(ステップS1606)、処理を終了する。
【0339】
以上に説明したように、温度測定手段が、測定部位に接触する接触部にプローブを有する構成であり、熱時定数を、生体の熱時定数である生体熱時定数(τ)と、生体表面とプローブ間の熱時定数である接触部熱時定数(τ)とで構成し、補正手段(ステップS1605を実行する制御部1584)は、前記接触部熱時定数を、生体表面とプローブとの接触状態に対応して補正する構成により、非常に高精度かつ短時間に深部温度を測定することができる。
【実施例13】
【0340】
次に、生体情報取得装置の一種である電子血圧計について、血圧算出パラメータを利用者毎に最適化する実施例13について説明する。
血圧は、循環器系疾患を解析する指標の一つである。血圧に基づいてリスク解析を行うことは、たとえば脳卒中や心不全や心筋梗塞などの心血管系の疾患の予防に有効である。このリスク解析を行うための診断は、従来、通院時や健康診断時などの医療機関で測定される血圧(随時血圧)により行われていた。しかし、近年の研究により、家庭で測定する血圧(家庭血圧)が随時血圧より循環器系疾患の診断に有用であることが判明してきた。それに伴い、家庭で使用する血圧計が普及しており、国内では3000万台以上が各家庭に存在する。
【0341】
現在普及している電子血圧計は、そのほとんどがオシロメトリック方式の血圧算出アルゴリズムを用いている。オシロメトリック方式は、上腕などの測定部位にカフを巻き、所定圧まで加圧したあと、徐々に、あるいは、段階的に減圧していく。このオシロメトリック方式は、その減圧途中に発生する動脈容積変化をカフ圧に重畳する圧変化(圧脈波振幅)として検出し、その圧脈波振幅の変化に対し、所定のアルゴリズムを適用して収縮期血圧・拡張期血圧を決定する方式である。一般的に、減圧中に得られる圧脈波振幅が急に大きくなった点が収縮期血圧、逆に急に小さくなった点が拡張期血圧に近似している。そこで、この点を検出するために様々なアルゴリズムが検討されてきた。
【0342】
例えば、図44、及び、下記[数7]に示すように、圧脈波振幅の最大値に予め設定された所定の比率(第1定数α、第2定数β)を乗じて得られた値を血圧算出パラメータとし、そのパラメータと合致(あるいはもっとも近い)する圧脈波振幅が得られるカフ圧を血圧値として算出するものが提案されている(特公平3−81375号公報)。
[数7]
収縮期血圧算出パラメータ=圧脈波振幅最大値×α
拡張期血圧算出パラメータ=圧脈波振幅最大値×β
しかし、この圧脈波振幅が急変するところが収縮期血圧、拡張期血圧と一致するという理論的根拠は存在しない。このため、上記血圧算出パラメータを決定する比率(α、β)は、多数の血圧値および圧脈波振幅の変化パターン(以下、「包絡線」という。)に基づき経験的あるいは統計的に決定せざるを得なかった。
【0343】
一方、包絡線を形成する圧脈波振幅について、次のような課題がある。
まず、圧脈波振幅は、測定部位に装着したカフに伝達される動脈の容積変化を圧力変化として検出したものである。そのため、圧脈波振幅は、カフの特性に影響を受けることになる。カフの特性の一つとして、図45のグラフに示すように、カフ内の圧力(以下カフ圧)を1mmHg変化させるために必要な空気流量(以下、カフコンプライアンス)がある。図45に示すように、カフ圧が高くなるにつれ、カフコンプライアンスは小さくなる。そのため、このカフに、カフ圧に依存せず一定の脈波振幅を与えると、図46に示すように、その振幅はカフ圧が高くなるにつれ大きく検出されることになる。
【0344】
したがって、例えば同一の包絡線形状となるような圧脈波振幅の変化をもった血圧の異なる2人の利用者を測定した場合、血圧によって血圧計が検出する圧脈波振幅、すなわち、包絡線形状が異なる。このため、血圧によってその測定精度に差が出ることがあった。
【0345】
これに対し、実施例13の電子血圧計2100は、利用者の血圧値ごとに最適な血圧算出パラメータを設定することで、上記問題点を解決することを目的としている。 以下、図面と共に具体的に説明する。
【0346】
実施例13の電子血圧計2100は、図39に示すように、カフ2101、エア管2102、圧力センサ2103、ポンプ2104、弁2105、発振回路2111、ポンプ駆動回路2112、弁駆動回路2113、計時部2115、電源2116、CPU2120、表示部2121、メモリ(処理用)2122、メモリ(記録用)2123、操作部2130、インターフェース2171、外部メモリ2172を備えている。
なお、図39は、実施例13の電子血圧計2100の構成を示すブロック図である。
【0347】
カフ2101は、エア管2102に接続され、空気圧により加圧するために利用者の血圧測定部位に装着される帯状の部材である。
【0348】
圧力センサ2103は、静電容量型の圧力センサであり、カフ内の圧力(カフ圧)に応じて容量値が変化する。
【0349】
ポンプ2104、及び、弁2105は、カフ内に圧力を付与するとともにカフ内の圧力を調節(制御)する。
発振回路2111は、圧力センサ2103の容量値に応じた周波数の信号を出力する。
ポンプ駆動回路2112、及び、弁駆動回路2113は、それぞれポンプ2104、弁2105を駆動する。
【0350】
計時部2115は、現在日時を計時する装置であり、必要に応じて計時した日時をCPU2120へ送信する。
電源2116は、各構成部に電力供給を行なう。
【0351】
CPU2120は、ポンプ2104、弁2105、表示部2121、メモリ2122,2123、操作部2130、インターフェース2171の制御と血圧決定処理と記録値の管理を実行する。
【0352】
表示部2121は、液晶画面などの表示装置によって構成され、CPU2120から送られる信号に従って血圧値を表示する。
【0353】
メモリ(処理用)2122は、血圧算出パラメータ決定用の比率(後述)や血圧計の制御プログラムを格納する。
【0354】
メモリ(記録用)2123は、血圧値を記憶し、必要に応じて日時・利用者・測定値を関連付けて記憶する。
【0355】
操作部2130は、電源スイッチ2131、測定スイッチ2132、停止スイッチ2133、記録呼び出しスイッチ2141、利用者選択スイッチ2142から構成され、血圧計の電源ON/OFF・測定開始などの操作入力を許容し、入力された入力信号をCPU2120へ送る。
インターフェース2171は、CPU2120の制御に従って外部メモリ2172に対し血圧値を記録/読み出しを実行する。
【0356】
このように構成された電子血圧計2100を用いた血圧測定動作について、図40のフローチャートに従い説明する。
なお、図40は、実施例13における血圧測定動作の一つを示すフローチャートである。
【0357】
まず、電源スイッチ2131(電源SW)の操作により電源がONの状態になると(ステップS2101)、CPU2120は、血圧計の作業用メモリの初期化処理を実行し、圧力センサ2103の0mmg調整を行なう(ステップS2102)。
【0358】
初期化処理が終了すると、利用者の測定部位にカフ2101を巻き付け、利用者を選択し(ステップS2103)、測定スイッチ2132(測定SW)が押下されると(ステップS2104)、CPU2120は、ポンプ2104によりカフ圧を所定の圧力まで加圧したあと(ステップS2105〜ステップS2106)、弁2105により徐々にカフ圧を減圧していく(ステップS2107)。
【0359】
CPU2120は、この減圧中に得られるカフ圧に重畳した動脈の容積変化に伴う圧変化成分を抽出し、所定の演算により仮血圧値を算出する(ステップS2108)。仮血圧値を算出した後(ステップS2109)、CPU2120は、弁2105を開放し、カフ内の空気を排気する。CPU2120は、算出した仮血圧値より血圧算出パラメータを最適化し(ステップS2110)、最適化された血圧算出パラメータを用いて血圧値を算出する(ステップS2111)。CPU2120は、算出した血圧値を表示部2121に表示するとともに(ステップS2112)、測定日時・利用者と関連づけてメモリ(記録用)2123に記録する(ステップS2113)。
【0360】
上述した血圧算出パラメータの最適化処理(ステップS2110)を中心にステップS2105からステップS2111までの処理について詳述する。
メモリ(処理用)2122には、図41のテーブルに示すように、標準および仮血圧値ごとの血圧算出パラメータ(収縮期血圧算出パラメータ、拡張期血圧算出パラメータ)決定用の比率α、βを記録しておく。
なお、図41は、標準および仮平均血圧値に応じて分類した血圧算出パラメータ決定用の比率α、βを示すテーブルである。
【0361】
図40中のステップS2108を実行するCPU2120は、圧脈波振幅の最大値に標準の血圧算出パラメータ決定用の比率α、β(第1、第2定数)を乗じて仮収縮期血圧算出パラメータ及び仮拡張期血圧算出パラメータを算出し、これによって仮血圧値(仮拡張期血圧、仮収縮期血圧)を算出する。
[数8]
仮平均血圧値=仮拡張期血圧+(仮収縮期血圧−仮拡張期血圧)/3
ステップS2109〜S2110を実行するCPU2120は、図41をもとに仮平均血圧値に該当する血圧算出パラメータ決定用の比率α、βを決定し、圧脈波振幅の最大値に前記比率α、βを乗じて得た血圧算出パラメータを、最適化された血圧算出パラメータとして決定し、ステップS2111では、最適化された血圧算出パラメータを使用して再度血圧算出を行う。
【0362】
上述では、仮平均血圧値に基づいて前記比率α、βを分類したが、仮収縮期血圧値や仮拡張期血圧値のいずれか、または、2つ以上の複数の仮血圧値に基づいて分類してもよい。
さらに、脈波振幅が最大値となるカフ圧で分類してもよい。
【0363】
さらにまた、仮収縮期血圧、仮拡張期血圧、仮平均血圧、脈波振幅最大値となるカフ圧のいずれかを用いて、次式で血圧算出パラメータを算出してもよい。
[数9]
収縮期血圧算出パラメータ P_SBP = Ψ×P+ω×P+ε
拡張期血圧算出パラメータ P_DBP = δ×P+π×P+ρ
ここで、Pは、仮収縮期血圧、仮拡張期血圧、仮平均血圧、脈波振幅最大値となるカフ圧のいずれかを示し、Ψ,ω,ε,δ,π,ρは、カフコンプライアンスより決定される所定の係数を示す。
【0364】
続いて、血圧測定動作の別の例として前記仮決定した血圧値を、標準の血圧算出パラメータにより加圧中に仮決定することを特徴とする実施例について、図42のフローチャートに従い説明する。
なお、図42は、実施例13における血圧測定動作の一例を示すフローチャートである。
【0365】
まず、血圧計の電源スイッチ2131が押下されると(ステップS2121)、CPU2120は、血圧計の作業用メモリを初期化し、圧力センサ2103の0mmHg調整を行う(ステップS2122)。
次に、血圧を測定する利用者が選択され(ステップS2123)、測定スイッチ2132が押下されると(ステップS2124)、CPU2120は、ポンプ2104によりカフ圧を徐々に加圧していく(ステップS2125)。CPU2120は、加圧中に得られるカフ圧に重畳した動脈の容積変化に伴う圧変化成分を抽出し、所定の演算により仮血圧値を算出する(ステップS2126)。所定の圧力まで加圧したあと(ステップS2127)、CPU2120は、加圧中に算出された仮血圧値により血圧算出パラメータを最適化する(ステップS2128)。
【0366】
次に、CPU2120は、弁2105により徐々にカフ圧を減圧していく(ステップS2129)。CPU2120は、減圧中に得られるカフ圧に重畳した動脈の容積変化に伴う圧変化成分を抽出し、前記最適化された血圧算出パラメータを用いて所定の演算により血圧値を算出する(ステップS2130)。血圧値を算出した後は(ステップS2131)、CPU2120は、弁2105を開放しカフ内の空気を排気する。CPU2120は、算出した血圧値は表示部2121に表示するとともに(ステップS2132)、測定日時・利用者と関連づけてメモリ(記録用)2123に記録する(ステップS2133)。
ここでの血圧算出パラメータの最適化処理は、前述と同様の処理であるため省略する。
【0367】
続いて、血圧測定動作の別の例として、前記仮決定した血圧値が、メモリ(記録用)2123に記録されている血圧値であることを特徴とする実施例について、図43のフローチャートに従い説明する。
なお、図43は、実施例13における血圧測定動作の一例を示すフローチャートである。
【0368】
血圧計の電源スイッチ2131が押下されると(ステップS2141)、CPU2120は、血圧計の作業用メモリを初期化し、圧力センサ2103の0mmHg調整を行う(ステップS2142)。
【0369】
次に、血圧を測定する利用者が選択され(ステップS2143)、測定スイッチ2132が押下されると(ステップS2144)、CPU2120は、選択された利用者の直近の記録値をメモリ(記録用)2123から読み出し(ステップS2145)、その記録値に基づいて血圧算出パラメータを最適化する(ステップS2146)。
次に、CPU2120は、ポンプ2104によりカフ圧を徐々に加圧していく(ステップS2147)。所定の圧力まで加圧した後(ステップS2148)、CPU2120は、弁2105により徐々にカフ圧を減圧していく(ステップS2149)。
【0370】
CPU2120は、減圧中に得られるカフ圧に重畳した動脈の容積変化に伴う圧変化成分を抽出し、前記最適化された血圧算出パラメータを用いて所定の演算により血圧値を算出する(ステップS2150)。血圧値を算出した後は(ステップS2151:YES)、CPU2120は、弁2105を開放しカフ内の空気を排気する。CPU2120は、算出した血圧値は表示部2121に表示するとともに(ステップS2152)、測定日時・利用者と関連づけてメモリ(記録用)2123に記録する(ステップS2153)。
【0371】
ここでの血圧算出パラメータの最適化処理は、前述と同様の処理であるため省略する。
【0372】
また、血圧算出パラメータの最適化に使用する記録値は直近の2個以上の記録値の平均値や代表値であってもよい。
さらに、記録値は外部の記録媒体(USBメモリなどの外部メモリ2172)やパソコン、インターネット等を介したサーバに記録されている値を使用してもよい。
【0373】
以上説明したように、血圧値を測定する生体情報取得手段と、血圧値を記録する記録手段(メモリ2123)と、血圧算出パラメータ決定用の比率や血圧計の制御プログラムを格納する手段(メモリ2122)と、血圧測定などの操作を行う操作手段(操作部2130)と、前記生体情報取得手段により取得する生体情報を別途取得する補正用情報に基づいて補正する補正手段(CPU2120)と、該補正後の補正後情報(血圧値)を出力する出力手段(表示部2121)とを備え、前記生体情報取得手段として、血圧測定部位に装着するカフ2101と、カフ2101に加える圧力を調整する加圧・減圧手段2104,2105と、カフ内の圧力を検出する圧力検出手段(圧力センサ2103)と、カフ圧により血圧値を算出する血圧算出手段(CPU2120)を備えた電子血圧計2100であって、前記補正用情報として、仮決定した血圧値の情報を取得する情報取得手段(ステップS2108,S2126,S2145を実行するCPU2120)を備え、前記補正手段(ステップS2110,S2128,S2146を実行するCPU2120)は、前記仮決定した血圧値に基づいて血圧算出パラメータを補正する構成である。
【0374】
前記構成により、利用者の血圧値ごとに最適な血圧算出パラメータを設定し、測定誤差を低減できるという効果が得られる。
【実施例14】
【0375】
次に、入力された利用者情報に基づいて最適な血圧算出パラメータを設定し、測定誤差を低減することのできる実施例14の血圧計について説明する。
【0376】
実施例13の冒頭で説明したように、カフ圧を血圧値として算出する従来の方法として、図44に示したように、測定条件を設定する際に使用される例えば、圧脈波振幅の最大値に所定の比率を乗じて得られた値を血圧算出パラメータとし、そのパラメータと合致(あるいはもっとも近い)する圧脈波振幅が得られるカフ圧を血圧値として算出するものが提案されている(特公平3−81375号公報)。
[数7]
収縮期血圧算出パラメータ=圧脈波振幅最大値×α
拡張期血圧算出パラメータ=圧脈波振幅最大値×β
しかし、前述したように、上記血圧算出パラメータを決定する比率(α、β)は、多数の血圧値および圧脈波振幅の変化パターン(以後、包絡線)に基づき経験的あるいは統計的に決定せざるを得なかった。
【0377】
一方、妊婦や子供(たとえば18歳以下)の血圧は一般成人と異なる特性を持っている。医療従事者が血圧測定を行う聴診法において、拡張期血圧はカフ圧を減圧していく途中コロトコフ音(以下、K音)が消失する点で決定している。
【0378】
ところが、妊婦や子供では、カフ圧が0mmHg付近になってもK音が聞こえ続けるという特性があり、K音の消失点を拡張期血圧とすると非常に低い値となってしまう。
【0379】
そこで、妊婦や子供の場合、減圧していく途中でK音が変化する点を拡張期血圧として決定している。(「血圧の測定法と臨床評価;栃久保修;メディカル トリビューン;1988年:P.13およびP.24」)
このことに起因して、オシロメトリック法で血圧を算出する場合においても、一般成人の包絡線における特徴点で血圧を算出した場合、測定値に誤差が生じることがあった。
【0380】
これに対し、実施例14の電子血圧計2200は、利用者情報ごとに最適な血圧算出パラメータを設定することで、上述したような測定誤差を低減することを目的としている。以下、図面と共に、具体的に説明する。
【0381】
なお、図47は、実施例14の電子血圧計2200の構成を示すブロック図であるが、電子血圧計2200の構成のうち、上述した実施例13の構成と同様の構成については、同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0382】
実施例14の電子血圧計2200の操作部2230には、図47に示すように、電源スイッチ2131、測定スイッチ2132、停止スイッチ2133、記憶呼び出しスイッチ、利用者選択スイッチ2142の他に、利用者情報入力スイッチ2243を備えている。
前記利用者情報入力スイッチ2243は、例えば、年齢、生年月日、子供や妊婦といった一般成人と異なる特性を示す利用者であることを特定するための利用者情報を入力するスイッチである。
【0383】
このように構成された電子血圧計2200を用いて、例えば、利用者情報として年齢を入力して血圧測定を行なう動作について、図48のフローチャートに従い説明する。
なお、図48は、実施例14における血圧測定動作の一例を示すフローチャートである。
【0384】
まず、電源スイッチ2131の操作により電源がONの状態になると(ステップS2201)、CPU2120は、血圧計のメモリ(処理用)2122の初期化処理を実行し、圧力センサ2103の0mmg調整を行なう(ステップS2202)。
【0385】
初期化処理の終了後、血圧を測定する利用者の年齢が入力されると(ステップS2203)、CPU2120は、後述する血圧算出パラメータの最適化処理によって、その年齢の利用者にとって最適な血圧算出パラメータを決定する(ステップS2204)。
【0386】
次に、利用者の測定部位にカフ2101を巻き付け、測定スイッチ2132が押下されると(ステップS2205)、CPU2120は、ポンプ2104によりカフ圧を所定の圧力まで加圧した後(ステップS2206〜S2207)、弁2105により徐々にカフ圧を減圧していく(ステップS2208)。
CPU2120は、この減圧中に得られるカフ圧に重畳した動脈の容積変化に伴う圧変化成分を抽出し、前記最適化された血圧算出パラメータを用いて所定の演算により血圧値を算出する(ステップS2209)。
CPU2120は、血圧値を算出した後(ステップS2210:YES)、弁2105を開放しカフ内の空気を排気する。CPU2120は、算出した血圧値を表示部2121に表示するとともに(ステップS2211)、測定日時・利用者と関連づけてメモリ(記録用)2123に記録する(ステップS2212)。
【0387】
上述したステップS2204において、血圧算出パラメータの最適化処理は次のようにして行う。メモリ(処理用)2122に、図49に示すように年齢ごとに血圧算出パラメータ決定用の比率α、βを分類したテーブルを記録しておき、図49のテーブルに基づいて入力した年齢に該当する比率α、βを決定し、圧脈波振幅の最大値に前記比率α、βを乗じて得た血圧算出パラメータを、最適化された血圧算出パラメータとして決定する。
【0388】
続いて、実施例14の血圧測定動作の別の例として利用者情報に生年月日を用いて血圧値を測定する実施例について、図50のフローチャートに従い説明する。
【0389】
なお、図50は、実施例14における血圧測定動作の別の例を示すフローチャートである。
【0390】
まず、図48を用いて説明した血圧測定動作と同様に、電源スイッチ2131の操作により電源がONの状態になると(ステップS2221)、圧力センサ2103の0mmg調整を行なう(ステップS2222)。
【0391】
初期化処理が終了すると、利用者が選択され(ステップS2223)、生年月日が未入力である場合、(ステップS2224:未入力)、生年月日が入力されると(ステップS2225)、CPU2120は、これに基づいて計時部2115で計時した現在日時より利用者の年齢を算出する(ステップS2226)。
【0392】
一方、既に利用者情報として生年月日が入力されていれば(ステップS2224:入力済)、CPU2120は、該入力済みの生年月日のデータに基づいて利用者の年齢を算出する(ステップS2226)。
【0393】
以上により、CPU2120は、算出した年齢を基に、上述した血圧算出パラメータの最適化処理によってその年齢の利用者にとって最適な血圧算出パラメータを決定する(ステップS2227)。
【0394】
なお、続くステップS2228以降の処理では、最適化された血圧算出パラメータを用いて血圧測定処理が行なわれるが、それぞれ図48におけるステップS2205以降の処理と同様の処理であるため、その説明を省略する。
【0395】
続いて、実施例14の血圧測定動作の別の例として利用者情報に子供や妊婦といった特性情報を用いて血圧値を測定する実施例について、図51のフローチャートに従い説明する。
なお、図51は、実施例14における血圧測定動作の別の例を示すフローチャートである。
【0396】
まず、図48を用いて説明した血圧測定動作と同様に、電源スイッチ2131の操作により電源がONの状態となり(ステップS2261)、CPU2120は、圧力センサ2103の0mmg調整を行なう(ステップS2262)。
【0397】
初期化処理が終了すると、利用者が選択され(ステップS2263)、利用者の情報(子供、妊婦など)が未入力である場合或いは変更する場合、(ステップS2264:未入力or変更あり)、利用者情報入力スイッチ2243により利用者の情報が入力される(ステップS2265)。
【0398】
一方、利用者の情報(子供、妊婦など)が入力されていれば(ステップS2264:入力済)、CPU2120は、該入力済みの利用者の情報に基づいて以降の処理を実行する。
【0399】
いずれの場合も、CPU2120は、入力指定された利用者の情報を基に、後述する血圧算出パラメータの最適化処理によってその利用者にとって最適な血圧算出パラメータを決定する(ステップS2266)。
【0400】
なお、続くステップS2267以降の処理では、最適化された血圧算出パラメータを用いて血圧測定処理が行なわれるが、それぞれ図48におけるステップS2206以降の処理と同様の処理であるため、その説明を省略する。
【0401】
上述したステップS2266において、CPU2120は、血圧算出パラメータの最適化処理を次のようにして行う。メモリ(処理用)2122に、図52のように利用者の情報ごと、すなわち、一般、妊婦、子供ごとに血圧算出パラメータ決定用の比率α、βを分類したテーブルを記録しておき、図52のテーブルに基づいてCPU2120は、利用者の情報に該当する比率α、βを決定し、圧脈波振幅の最大値に前記比率α、βを乗じて得た血圧算出パラメータを、最適化された血圧算出パラメータとして決定する。
【0402】
また、利用者の情報は、外部の記録媒体(USBメモリなどの外部メモリ2172)やパソコン、インターネット等を介したサーバに記録されている情報を使用してもよい。
さらに、記録値は外部の記録媒体(USBメモリなどの外部メモリ2172)やパソコン、インターネット等を介したサーバに記録されている値を使用してもよい。
【0403】
また、図51中のステップS2264で「入力済」を選択したケースで説明したように、利用者の情報は、例えば、過去の血圧測定の際に入力したものをメモリ(記録部)2123に記録しておき、その利用者情報を呼び出して用いることができる。
この場合、ステップS2264で「未入力or変更あり」を選択したケースで説明したように、利用者の情報が未入力または変更があったときのみ利用者情報を入力するようにすればよい。
【0404】
以上説明したように、血圧値を測定する生体情報取得手段と、血圧値を記録する記録手段(メモリ2123)と、血圧算出パラメータ決定用の比率や血圧計の制御プログラムを格納する手段(メモリ2122)と、血圧測定などの操作を行う操作手段(操作部2230)と、前記生体情報取得手段により取得する生体情報を別途取得する補正用情報に基づいて補正する補正手段(CPU2120)と、該補正後の補正後情報(血圧値)を出力する出力手段(表示部2121)とを備え、前記生体情報取得手段として、血圧測定部位に装着するカフ2101と、カフ2101に加える圧力を調整する加圧・減圧手段2104,2105と、カフ内の圧力を検出する圧力検出手段(圧力センサ2103)と、カフ圧により血圧値を算出する血圧算出手段(CPU2120)を備えた電子血圧計2200であって、前記補正用情報として、血圧測定開始前に入力された利用者情報を取得する情報取得手段(ステップS2203,S2226,S2264,S2265を実行するCPU2120)を備え、前記補正手段(ステップS2204,S2227,S2266を実行するCPU2120)は、前記利用者情報に基づいて血圧算出パラメータを補正する構成である。
【0405】
前記構成により、利用者ごとに異なる特性を有していても、例えば、上述したように、子供や妊婦といった特性情報、年齢、生年月日といった利用者の情報に応じて利用者ごとに最適な血圧算出パラメータを設定し、測定誤差を低減できるという効果が得られる。
【実施例15】
【0406】
次に、入力されたカフ又は/及び利用者の測定部位ごとの測定情報に基づいて最適な血圧算出パラメータを設定し、測定誤差を低減することのできる実施例15の血圧計について説明する。
【0407】
従来より、電子血圧計としては、生体の一部に空気袋を内蔵した腕帯を巻き付け、その空気袋を空気により加減圧することにより、圧迫された動脈血管の容積変化を空気袋圧力(カフ圧)変動の振幅変化として捕らえ、血圧算出するオシロメトリック法を用いたものが一般に使用されている。
【0408】
オシロメトリック方式は、上腕などの測定部位にカフを巻き、所定圧まで加圧したあと、徐々に、あるいは、段階的に減圧していき、その減圧途中に発生する動脈容積変化をカフ圧に重畳する圧変化(圧脈波振幅)として検出し、その圧脈波振幅の変化に対し、所定のアルゴリズムを適用して収縮期血圧・拡張期血圧を決定する方式である。
【0409】
さらにこのオシロメトリック方式は、圧脈波振幅の最大値に所定の比率を乗じて得られた値を血圧算出パラメータとして収縮期血圧および拡張期血圧として算出されており、この算出値に用いる最大値に所定の比率は多数の血圧値および圧脈波振幅の変化パターン(以後、包絡線)に基づき経験的あるいは統計的に決定しているのが一般的な算出方法である。
【0410】
しかしながら、上記、圧脈波振幅は空気袋の材質、厚さ、硬度、サイズによっても変化し、また、その圧脈波振幅の変化率も異なる。したがって、被験者が同じでも巻き付け空気袋(カフ)によってそれぞれの血圧算出パラメータが異なる。また、上記血圧算出パラメータは測定部位によっても異なり、血圧の測定部位は一般的に、上腕と手首、指などがあり、全周に空気袋を内蔵した腕帯を巻き付け固定し測定するが、それぞれ適切な血圧算出パラメータを用いて測定する必要がある。
【0411】
従来の技術として、装着されるカフのサイズを判別し、カフのサイズに応じてカフへの空気供給量を制御する方法があるが(特開平2−307427号公報)、測定時においては同じ血圧算出アルゴを使用しているため、測定精度に劣るという問題がある。
【0412】
これに対し、実施例15の血圧計2300は、カフ又は/及び測定部位ごとの測定情報に基づいて利用者情報ごとに最適な血圧算出パラメータを設定することで、上記問題を解決することを目的としている。以下、図面と共に、具体的に説明する。
【0413】
なお、図53は、実施例15の電子血圧計2300のうち選択したカフの種類に基づいて血圧算出パラメータを設定し、血圧を算出する電子血圧計2300の構成を示すブロック図であるが、上述した実施例13の構成と同様の構成については、同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0414】
カフ2101は、種類に応じて例えば、カフ2101A、カフ2101B,カフ2101Cの3つを備えている。使用者は、自身の測定部位の周囲長などに適切なサイズのカフをカフ2101A、カフ2101B、カフ2101Cより選択し、血圧計2300も接続して血圧測定を行う。
【0415】
操作部2330には、電源スイッチ2131、測定スイッチ2132、停止スイッチ2133、記録憶呼び出しスイッチの他に、カフ選択スイッチ2341を備えている。
カフ選択スイッチ2341は、カフ2101の種類、すなわち、カフ2101A、カフ2101B、カフ2101Cのうちいずれのカフ2101を用いて血圧測定を行なうかの選択を許容する選択ボタンである。
【0416】
アルゴリズムテーブルA,B,Cは、カフ2101の種類ごとに最適な血圧算出パラメータを分類したテーブルが記録されたメモリであり、このアルゴリズムテーブルA,B,C2351は、メモリ2122,2123に含めた構成であってもよい。
【0417】
さらに、図53中には図示しないが、電子血圧計2300には、図39に示すように、計時部2115、インターフェース2171、外部メモリ2172、利用者選択スイッチ2142を適宜備えてもよい。
【0418】
このように構成された電子血圧計を用いた血圧測定動作について、図54のフローチャートに従い説明する。
なお、図54は、実施例15における血圧測定動作の一例を示すフローチャートである。
【0419】
まず、電源スイッチ2131の操作により電源がONの状態となり(ステップS2301)、CPU2120は、圧力センサ2103の0mmg調整を行なう(ステップS2302)。
【0420】
初期化処理が終了すると、カフ選択スイッチ2341により、巻き付けたカフ2101の種類と同じカフの種類情報が入力(選択)される(ステップS2303)。CPU2120は、入力されたカフの種類情報を基に、後述する血圧算出パラメータの最適化処理によってその利用者の特定にとって最適な血圧算出パラメータを決定する(ステップS2304)。
【0421】
なお、続くステップS2305以降の処理では、最適化された血圧算出パラメータを用いて血圧測定処理が行なわれるが、それぞれ図48におけるステップS2205以降の処理と同様の処理であるため、その説明を省略する。
【0422】
上述したステップS2304において、血圧算出パラメータの最適化処理は次のようにして行う。
【0423】
例えば、カフ2101A、カフ2101Bの2種類のカフに着目して説明すると、カフ2101Aとカフ2101Bとは、図55に示すように、それぞれカフ圧と圧脈波振幅との関係において異なる特性を示す。さらに、圧脈波振幅の最大値に所定の比率を乗じて得られる血圧算出パラメータについても異なる特性を示すことから、CPU2120は、この図55をもとに、カフ2101A、カフ2101Bそれぞれの血圧算出パラメータ(圧脈波振幅の最大値に対する所定の比率を乗じて得られる値)を、最適パラメータとして決定する。
【0424】
すなわち、このようにカフ2101の種類が選択されると、CPU2120は、カフ2101の種類ごとの最適な血圧算出パラメータを、アルゴテーブルA,B,Cに記録されたテーブルを用いて決定することができる。
【0425】
また、上述したようにカフ2101の種類に応じて血圧算出パラメータを設定するに限らず、カフ2101のサイズなどに応じて、血圧算出パラメータを設定するもよい。
【0426】
次に、実施例15の電子血圧計2301のうち選択した利用者の測定部位に基づいて血圧算出パラメータを設定し、血圧値を測定する電子血圧計2301を用いた実施例について説明する。以下、図面と共に、具体的に説明する。
【0427】
但し、電子血圧計の構成のうち、上述した実施例と同様の構成については、同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0428】
電子血圧計2301の構成は、図56に示すような構成で構成している。
なお、図56は、電子血圧計2301の構成を示すブロック図である。
【0429】
操作部2330には、図53中に示したカフ選択スイッチ2341に代えて測定部位選択スイッチ2342を備えている。
【0430】
さらに、アルゴリズムテーブルA,B,C2352は、測定部位ごとに最適な血圧算出パラメータを分類したテーブルが記録されたメモリで構成している。
【0431】
このように構成された電子血圧計2301を用いた血圧測定動作について、図57のフローチャートに従い説明する。
なお、図57は、実施例15における血圧測定動作の一例を示すフローチャートである。
【0432】
まず、図48を用いて説明した血圧測定動作と同様に、電源スイッチ2131の操作により電源がONの状態となり(ステップS2321)、CPU2120は、圧力センサ2103の0mmg調整を行なう(ステップS2322)。
【0433】
初期化処理が終了すると、測定部位選択スイッチ2342により、巻き付けた測定部位と同じ測定部位が測定情報として入力(選択)される(ステップS2323)。CPU2120は、入力された測定部位情報を基に、後述する血圧算出パラメータの最適化処理によってその利用者の特定にとって最適な血圧算出パラメータを決定する(ステップS2324)。
【0434】
なお、続くステップS2325以降の処理では、最適化された血圧算出パラメータを用いて血圧測定処理が行なわれるが、それぞれ図48におけるステップS2205以降の処理と同様の処理であるため、その説明を省略する。
【0435】
上述したステップS2324において、CPU2120は、血圧算出パラメータの最適化処理を次のようにして行う。
【0436】
測定部位が例えば、上腕と手首とで異なる場合、カフ2101の種類に着目した上述した場合と同様に、カフ圧と圧脈波振幅との関係を示す図58のように、上腕と手首とでそれぞれ異なる特性を示す。
【0437】
よって、測定部位が異なる場合には、図58を用いて、カフ2101の種類に着目した上述した場合と同じ要領によって、CPU2120は、血圧算出パラメータを、測定部位それぞれにおいて最適化された血圧算出パラメータとして決定することができる。
【0438】
また、実施例15の電子血圧計2301は、上述した構成とは別の構成として、図示しないが、測定部位とカフ2101ごとについて任意の測定情報で測定することを選択を許容し、選択した測定情報に対応するアルゴリズムに切り換えて最適な血圧算出パラメータを設定し、血圧計を測定することができる構成であってもよい。
【0439】
この構成を採る場合は、例えば、図54のステップS2303においてCPU2120は、「使用カフを入力(選択)」の処理に限らず、「測定部位とカフ入力(選択)」の処理をも実行することができるため、一台で複数のカフ2101、測定部位に対応する測定情報を選択して血圧測定できるという効果が得られる。
【0440】
また、実施例15の電子血圧計2301は、上述した構成とは別の構成として図示しないが、上述したように選択ボタン(カフ選択スイッチ2341、測定部位選択スイッチ2342)でカフ2101の種類又は前記測定部位を特定する構成に限らず、カフ加圧時に検知した加圧速度に基づいてカフ2101の種類又は前記測定部位を判断し、判断したカフ2101の種類又は前記測定部位ごとに対応する適切な血圧算出パラメータで血圧測定を行なう構成であってもよい。
【0441】
以上説明したように、血圧値を測定する生体情報取得手段と、血圧値を記録する記録手段(メモリ2122,2123)と、血圧測定などの操作を行う操作手段(操作部2330)と、前記生体情報取得手段により取得する生体情報を別途取得する補正用情報に基づいて補正する補正手段(CPU2120)と、該補正後の補正後情報(血圧値)を出力する出力手段(表示部2121)とを備え、前記生体情報取得手段を、血圧測定部位に装着するカフ2101(2101A,2101B,2101C)と、カフ2101に加える圧力を調整する加圧・減圧手段2104,2105と、カフ内の圧力を検出する圧力検出手段(圧力センサ2103)と、カフ圧により血圧値を算出する血圧算出手段(CPU2120)とで構成した電子血圧計2300,2301において、前記補正用情報として、前記カフ2101又は/及び測定部位ごとの測定情報を取得する情報取得手段(ステップS2303,S2323を実行するCPU2120)を備え、前記補正手段(ステップS2304,2324を実行するCPU2120)は、前記カフ2101又は/及び測定部位ごとの測定情報に基づいて血圧算出パラメータを補正する構成である。
【0442】
前記構成により、利用者のカフ又は/及び測定部位ごとに最適な血圧算出パラメータを設定し、血圧を測定することができるため、カフサイズ、種類、また測定部位を変えても測定誤差を低減できるという効果が得られる。
【0443】
また、上述したように、実施例15の電子血圧計2301は、前記補正手段により前記カフの種類又は前記測定部位ごとに血圧算出パラメータを補正することを特定する特定手段を備え、該特定手段を、前記カフの種類又は/及び前記測定部位の選択を許容する選択ボタン(カフ選択スイッチ2341、測定部位選択スイッチ2342)で構成することができる。
【実施例16】
【0444】
次に、過去の血圧測定時の弁又はポンプの印加電圧に基づいて弁又はポンプの制御を行うよう補正することで、利用者ごとに最適な加減圧制御が可能となり、測定時間の短時間化を図ることができる実施例16の電子血圧計について説明する。
【0445】
現在普及している電子血圧計は、そのほとんどがオシロメトリック方式、または、マイクロホン方式の血圧算出アルゴリズムを用いている。
【0446】
オシロメトリック方式では、カフ圧を所定の圧力(たとえば、収縮期血圧+30mmHg)まで加圧した後、所定の速度(減圧速度)で徐々に減圧していく際に発生する動脈容積変化を圧脈波振幅として検出し、その圧脈波振幅の変化に対し、所定のアルゴリズムを適用して血圧値を算出する。また、カフ圧を所定の速度(加圧速度)で徐々に加圧していく際に発生する動脈容積変化を圧脈波振幅として検出し、その圧脈波振幅の変化に対し、所定のアルゴリズムを適用して血圧値を算出することも可能である。
【0447】
一方、マイクロホン方式では、カフ圧を所定の圧力(たとえば、収縮期血圧+30mmHg)まで加圧した後、所定の速度(減圧速度)で徐々に減圧していく際に発生するコロトコフ音の発生、および、減弱・消滅をカフ内に設けられたマイクロホンで検出することで収縮期血圧・拡張期血圧を決定する。
【0448】
いずれの血圧算出方式においても、前記減圧速度および加圧速度は、圧脈波振幅またはコロトコフ音の情報のとりこぼしがないように設定する必要がある。
具体的には被測定者の脈拍数に応じて減圧速度または加圧速度を設定する必要があった。これまでの血圧計で減圧速度・加圧速度は、
1.圧脈波振幅情報またはコロトコフ音の取りこぼしがないよう、十分に遅い減圧速度または加圧速度(たとえば4mmHg/secなど)を設定する、
2.加圧中に血圧値および脈拍数の内少なくともいずれか1つ以上を推定し、これらの情報に基づいて減圧速度を設定する(特許第3149873号公報)、
3.前回までの測定の脈拍数の平均値に基づいて減圧速度を設定する(特開2005−185681号公報)、
などの方法がとられていた。
【0449】
一方、血圧計における減圧速度または加圧速度はカフの特性の一つである、カフ内の圧力(以下カフ圧)を1mmHg変化させるために必要な空気流量(以下、カフコンプライアンス)(図63)、および、弁(減圧速度)またはポンプ(加圧速度)の流量特性によって決定される(図64、図65)。
【0450】
ここで、カフコンプライアンスをc(ml/mmHg)とすると、減圧速度をv_def(mmHg/sec)でカフ圧を制御するために必要な弁の流量特性Qv(ml/sec)は、
[数10]
Qv(ml/sec)=c(ml/mmHg) / v_def(mmHg/sec)
で定義される。
【0451】
同様に、加圧速度v_inf(mmHg/sec)でカフ圧を制御するために必要なポンプの流量特性Qp(ml/sec)は、
[数11]
Qp(ml/sec)=c(ml/mmHg) / v_inf(mmHg/sec)
で定義される。
【0452】
図63に示すように、カフコンプライアンスはカフ圧、利用者の測定部位の周囲長や質(硬さ)、カフの巻き方によって変化する。したがって、(数10)、(数11)で定義されるQvまたはQpは一定ではなく、カフ圧や利用者に依存して変化させる必要がある。図64、図65に示すように、QvまたはQpは、弁やポンプに印加する電圧によって制御可能である。
【0453】
そこで従来は、減圧中または加圧中に一定時間ごとにカフ圧の変化量を取得し、弁の印加電圧を制御するというフィードバック制御を必要としていた。
【0454】
フィードバック制御を使用する場合、所望の減圧速度または加圧速度に達するまでの時間(以下、初期制御時間)が必要となる。
減圧制御の動作を見ると、カフ圧が所定圧まで加圧された後、あらかじめ設定された電圧で弁を駆動する。このときの弁に印加する電圧は、どのような利用者に対しても設定されうる減圧速度の最低値よりも十分遅い速度となる流量特性の電圧となる。
【0455】
したがって、減圧初期は非常に遅い減圧速度で減圧を開始する。その後、一定時間間隔でカフ圧の変化量を取得しながら、印加電圧を徐々に上げながら所望の減圧速度に達するようフィードバック制御をする。
このときの印加電圧の増加量もフィードバック制御可能なように十分小さい値とする必要があった。
【0456】
また、初期制御時間の間は減圧速度が一様ではないため、この期間に取得される脈波情報は信頼性が低く血圧算出には使用できないことになる。そのため、初期制御時間中に減圧される分のカフ圧を加圧値に加算する必要があった。
【0457】
これらの理由により、フィードバック制御による減圧制御では、その初期時間の必要性により、減圧時間の長時間化および加圧値の増大化が発生し、血圧測定における拘束感の増大につながっていた。加圧制御においても、上記と同様の理由により加圧時間の長時間化が発生し、血圧測定における拘束感の増大につながっていた。
【0458】
これに対し、実施例16の電子血圧計2400は、過去の血圧測定時の弁又はポンプの印加電圧に基づいて弁又はポンプの制御を行うよう補正することで、上記問題点を解決することを目的としている。
以下、図面と共に具体的に説明するが、上述した実施例の構成と同様の構成については、同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0459】
実施例16の電子血圧計2400では、図59に示すように、操作部2430は、電源スイッチ2131、測定スイッチ2132、停止スイッチ2133、利用者選択スイッチ2142に加え、利用者情報入力スイッチ2443を備えている。
【0460】
メモリ(記憶用)2123は、血圧値を記憶し、日時・利用者・測定値(血圧値、カフ圧、減圧速度、加圧速度、測定部位の周囲長さや質)、さらに、測定中のポンプ2104・弁2105の印加電圧を関連付けて記憶する。
【0461】
このように構成された電子血圧計2400を用いた血圧測定動作について、図60のフローチャートに従い説明する。
なお、図60は、実施例16における血圧測定動作の一つを示すフローチャートである。
【0462】
まず、電源スイッチ2131の操作により電源がONの状態となり(ステップS2401)、CPU2120は、圧力センサ2103の0mmg調整を行なう(ステップS2402)。
【0463】
初期化処理が終了すると、血圧を測定する利用者が選択され(ステップS2403)、測定スイッチが押下されると(ステップS2404)、CPU2120は、選択された利用者の測定記録を確認する(ステップS2405)。測定記録がある場合(ステップS2405:YES)、CPU2120は、記録されているポンプ2104・弁2105の印加電圧を読み出し、その電圧で加減圧制御および血圧測定を行う(ステップS2406)。測定記録がない場合(ステップS2405:NO)、CPU2120は、フィードバック制御で加減圧制御および血圧測定を行う(ステップS2408)。
【0464】
血圧測定が完了すると、CPU2120は、血圧値を表示し(ステップS2408)、血圧値・測定日時・利用者・加減圧中のポンプ2104・弁2105への印加電圧をメモリ(記録用)2123に記憶する(ステップS2409)。
【0465】
上述した図60中のステップS2406で実行する「記憶されているポンプ2104・弁2105の印加電圧で測定」する処理について図61のフローチャートを用いて説明する。
CPU2120は、記憶されているポンプ2104の印加電圧でポンプ2104を駆動し(ステップS2411)、カフ圧を所定圧まで加圧する(ステップS2412)。
【0466】
ここで、所定圧はあらかじめ設定されている圧力(たとえば180mmHg)でもよい。また、加圧中に得られる脈波信号より収縮期血圧を推定し、推定した収縮期血圧に一定圧(たとえば40mmHg)を加えた圧力を所定圧としてもよい。
【0467】
また、記憶されている収縮期血圧に一定圧(たとえば40mmHg)を加えた圧力としてもよい。この場合に使用する収縮期血圧は、記憶されている収縮期血圧すべての記憶値あるいは直近に測定された複数回(たとえば5回)の記憶値の、平均値、最大値、中央値などとすればよい。
【0468】
カフ圧を所定圧まで加圧後、CPU2120は、ポンプ2104の駆動を停止し、記憶されている弁2105の印加電圧で弁2105を駆動し、カフ圧を徐々に減圧する(ステップS2413)。CPU2120は、減圧中に得られるカフ圧に重畳した動脈の容積変化に伴う圧変化成分を抽出し、所定の演算により血圧を算出する(ステップS2414〜S2415)。
【0469】
一方、図60中のステップS2407で示したように、最初の測定や利用者が変わった場合などは、フィードバック制御で測定する。
図60中のステップS2407で実行する「フィードバック制御で測定」する処理について図62のフローチャートを用いて説明する。
【0470】
CPU2120は、フィードバック制御でポンプ2104を駆動し(ステップS2421)、カフ圧を所定圧まで加圧する(ステップS2422)。
ここで、所定圧は、予め設定されている圧力(たとえば180mmHg)でもよい。また、加圧中に得られる脈波信号より収縮期血圧を推定し、推定した収縮期血圧に一定圧(たとえば40mmHg)を加えた圧力としてもよい。
【0471】
カフ圧を所定圧まで加圧後、CPU2120は、ポンプ2104の駆動を停止し、フィードバック制御で弁2105を駆動し、カフ圧を徐々に減圧する(ステップS2423)。CPU2120は、減圧中に得られるカフ圧に重畳した動脈の容積変化に伴う圧変化成分を抽出し、所定の演算により血圧を算出する(ステップS2424〜S2425)。
【0472】
記憶されている印加電圧がカフ圧と関連づけて記憶されている場合は、図61中のステップS2411,S2413において、カフ圧の変化に伴い、CPU2120は、カフ圧に関連づけられた印加電圧に基づいてポンプ2104または弁2105を駆動すればよい。
【0473】
次に、実施例16のうち上述とは別の例として、印加電圧が減圧速度や加圧速度と関連づけて記憶されている場合であって、今回の測定において要求される加圧速度や減圧速度が記憶値と異なる場合、CPU2120は、以下に示すような正確な血圧測定を行う上で必要となる所定の演算により印加電圧を調整すればよい。
【0474】
正確な血圧測定を行うには、収縮期血圧と拡張期血圧の圧力範囲(脈圧範囲)に所定数以上の脈波情報を確保する必要があり、特許第3149873号公報にはこの脈波数が5以上であると記載されている(実施例[0020])。
また、4mmHg/拍程度の加減圧速度が最適であるとの考え方もある。
【0475】
いずれの場合も加減圧速度は脈拍数に依存しており、記録されている印加電圧での測定時の脈拍数と現在の脈拍数が異なれば、加減圧速度も調整が必要となる。
脈圧範囲に所定の脈波数を確保する場合の減圧速度は、特許第3149873号公報に記載の式(5)を参照し、以下のようになる。
[数12]
v=(SBP−DBP)×HR÷N
ここでvは減圧速度、SBPは収縮期血圧、DBPは拡張期血圧、HRは脈拍数、Nは確保する脈波数を示す。
【0476】
これより、脈拍数が異なれば、その比によって減圧速度を調整すればよい。減圧速度は印加電圧によって調整可能であり、CPU2120は、次式を用いてその印加電圧を調整する。
[数13]
V_cur=V_m×(HR_cur÷HR_m×α)
ここでV_curは今回の印加電圧、V_mは記録されている印加電圧、HR_curは、今回の脈拍数、HR_mは記録されている脈拍数、αは定数である。
【0477】
このときのHR_curは、加圧中に得られる脈波情報より推定すればよい。当然、加圧中に収縮期血圧、拡張期血圧を併せて推定し、印加電圧を調整してもよい。
加減圧速度が4mmHg/拍の場合も同様に、記録されている脈拍数と今回の脈拍数の比によって(数13)のように印加電圧を調整すればよい。
また、加圧測定の場合は、測定開始前に数秒間の脈波情報を取得し、それより脈拍数を推定すればよい。
【0478】
次に、実施例16のうち上述とは別の例として、印加電圧が測定部位の周囲長や質と関連づけて記憶されている場合、今回の測定において測定部位の周囲長や質が記憶値と異なる場合、以下に示すような所定の演算により印加電圧を調整すればよい。
ここでの測定部位の質とは、体脂肪率、皮下脂肪率、BMIなどの数値を使用すればよい。
【0479】
(数10),(数11)から明らかなように、ポンプおよび弁の流量はカフコンプライアンスにより変化する。また、ポンプおよび弁の流量は印加電圧によって規定されるので、印加電圧はカフコンプライアンスによって変化することになる。このカフコンプライアンスは腕周、測定部位の質に依存して変化するので、印加電圧は(数14)のようにして補正すればよい。
[数14]
V_cur=V_m×(L_cur÷L_m×β)
ここでV_curは今回の印加電圧、V_mは記録されている印加電圧、L_curは今回の周囲長、L_mは記録されている周囲長、βは定数である。
なお、測定部位の質が異なる場合でも同様の式で補正可能である。
また、測定部位の周囲長や質は、血圧測定前に操作部2430や外部メモリ2172などより入力すればよい。
【0480】
次に、実施例16のうち上述とは別の例として、複数の記憶された印加電圧の平均値、最小値、最大値、中央値などの統計値を利用して制御してもよい。
【0481】
この場合、測定記憶が増加するほど、利用者に適した制御が可能になる。
【0482】
またこの場合、利用者への最適化状態を表示するようにしてもよい。
さらに、記録値は外部の記録媒体(USBメモリなど)やパソコン、インターネット等を介したサーバに記録されている値を使用してもよい。
また、測定部位の質は血圧計に接続した体脂肪計などで測定してもよい。
【0483】
以上説明したように、本実施例の電子血圧計2400は、血圧値を測定する生体情報取得手段と、血圧値を記録する記録手段(メモリ2123)と、血圧計の制御プログラムなどを格納する手段(メモリ2122)と、血圧測定などの操作を行う操作手段(操作部2430)と、前記生体情報取得手段により取得する生体情報を別途取得する補正用情報に基づいて補正する補正手段(CPU2120)と、該補正後の補正後情報(血圧値)を出力する出力手段(表示部2121)とを備え、前記生体情報取得手段として、血圧測定部位に装着するカフ2101と、カフ2101に加える圧力を調整する加圧・減圧手段2104,2105と、カフ内の圧力を検出する圧力検出手段(圧力センサ2103)と、カフ圧により血圧値を算出する血圧算出手段(CPU2120)を備えた電子血圧計2400であって、前記補正用情報として、過去の血圧測定時の弁2105又はポンプ2104の印加電圧の情報を取得する情報取得手段(ステップS2405を実行するCPU2120)を備え、前記補正手段(ステップS2406を実行するCPU2120)は、過去の血圧測定時の弁2105又はポンプ2104の印加電圧の情報に基づいて印加電圧を補正する構成である。
【0484】
前記構成により、利用者個々に最適な加減圧制御が可能となり、測定時間の短時間化、不必要な加圧の低減が図られ、血圧測定における拘束感の低減という効果が得られる。
【0485】
また、実施例16の電子血圧計2400は、上述したように利用者情報を入力する入力手段(利用者情報入力手段2443)を備え、前記記録手段(メモリ2123)に記憶される前記血圧測定時の弁2105又はポンプ2104の印加電圧は、前記入力手段(利用者情報入力手段2443)により入力された利用者情報と関連づけて前記記録手段(メモリ2123)に記憶することができる。
【実施例17】
【0486】
次に、利用者の測定部位の質に基づいて血圧算出パラメータを補正することで、測定部位の質ごとに最適な血圧算出パラメータを設定し、測定誤差を低減できる実施例17の血圧計について説明する。
【0487】
実施例16で説明したように、カフの特性であるカフコンプライアンスは測定部位の質(硬さ)によって異なる。従来の血圧測定では、たとえば、包絡線形状(圧脈波振幅の変化パターン形状)が同一となるような圧脈波振幅の変化をもった測定部位の質(硬さ)が異なる2人の利用者を測定した場合、測定部位の質(硬さ)によって血圧計が検出する圧脈波振幅、すなわち、包絡線形状が異なるため、測定精度に差が出るという問題があった。
【0488】
これに対し、実施例17の電子血圧計2500は、利用者の測定部位の質に基づいて最適な血圧算出パラメータを設定することで、上記問題点を解決することを目的としている。
以下、図面と共に具体的に説明するが、上述した実施例の構成と同様の構成については、同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0489】
実施例17の電子血圧計2500では、図66に示すように、操作部2530は、電源スイッチ2131、測定スイッチ2132、停止スイッチ2133、利用者選択スイッチ2142に加え、利用者情報入力スイッチ2543を備えている。
【0490】
利用者情報入力スイッチ2543は、利用者の情報として例えば、体脂肪率、皮下脂肪率、BMIなどを入力することができる。
【0491】
メモリ(記録用)は、血圧値を記憶するとともに、日時・利用者・測定値(血圧値など)に加え、利用者情報も関連付けて記憶する。
【0492】
このように構成された電子血圧計2500を用いた血圧測定動作について、図67のフローチャートに従い説明する。
なお、図67は、実施例17における血圧測定動作の一つを示すフローチャートである。
【0493】
まず、血圧計の電源スイッチが押下されると(ステップS2501)、CPU2120は、血圧計の作業用メモリを初期化し、圧力センサ2103の0mmHg調整を行う(ステップS2502)。
次に、利用者の情報(体脂肪率、皮下脂肪率、BMIなど)が入力されると(ステップS2503)、CPU2120は、利用者情報に最適な血圧算出パラメータを決定する(ステップS2504)。
【0494】
なお、以下のステップS2505では、決定した最適な血圧算出パラメータを用いて血圧測定処理が行なわれるが、それぞれ図48におけるステップS2206以降と同じ処理であるため、以下のその説明を省略する。
【0495】
上述したステップS2504において、血圧算出パラメータの最適化処理は次のようにして行う。
例えば、利用者情報として体脂肪率が入力された場合(ステップS2503)、CPU2120は、メモリ2122,2123に記録された、図68に示すような体脂肪率の値ごとに血圧算出パラメータ決定用の比率α、βを分類したテーブルに基づいて、入力した体脂肪率が含まれる体脂肪率の範囲に該当する比率α、βを決定し、圧脈波振幅の最大値に前記比率α、βを乗じて得た血圧算出パラメータを最適パラメータとして決定する。
CPU2120は、皮下脂肪率、BMIについても同様に、体脂肪率に関して最適パラメータ決定用の比率α、βを分類した図68に示したテーブルに対応するテーブル(図示せず)を用いて血圧算出パラメータを最適パラメータとして決定する。
CPU2120は、このようにしてステップS2503において入力された利用者情報に基づいて最適パラメータを決定する。
【0496】
また、利用者情報は外部の記録媒体(USBメモリなど)やパソコン、インターネット等を介したサーバに記録されている値を使用してもよいし、体脂肪計などを接続し血圧測定の都度に体脂肪率を測定し、その値を使用してもよい。
【0497】
以上説明したように、血圧値を測定する生体情報取得手段と、血圧値を記録する記録手段(メモリ2123)と、血圧算出パラメータ決定用の比率や血圧計の制御プログラムを格納する手段(メモリ2122)と、血圧測定などの操作を行う操作手段(操作部2530)と、前記生体情報取得手段により取得する生体情報を別途取得する補正用情報に基づいて補正する補正手段(CPU2120)と、該補正後の補正後情報(血圧値)を出力する出力手段(表示部2121)とを備え、前記生体情報取得手段として、血圧測定部位に装着するカフ2101と、カフ2101に加える圧力を調整する加圧・減圧手段2104,2105と、カフ内の圧力を検出する圧力検出手段(圧力センサ2103)と、カフ圧により血圧値を算出する血圧算出手段(CPU2120)を備えた電子血圧計2500であって、前記補正用情報として、利用者の測定部位の質(硬さ)の情報を取得する情報取得手段(ステップS2503を実行するCPU2120)を備え、前記補正手段(ステップS2504を実行するCPU2120)は、前記測定部位の質に基づいて血圧算出パラメータを補正する構成である。
【0498】
前記構成により、利用者の測定部位の質(硬さ)ごとに最適な血圧算出パラメータを設定し、測定誤差を低減できるという効果が得られる。
【実施例18】
【0499】
次に、血圧測定時の条件に近い測定記録に基づいて血圧測定パラメータを補正することで、利用者個々に最適な血圧算出パラメータを設定した上で血圧値を測定することができる実施例18の血圧計について説明する。
【0500】
現在普及している電子血圧計は、実施例13の冒頭で説明したように、そのほとんどがオシロメトリック方式、または、マイクロホン方式の血圧算出アルゴリズムを用いている。
いずれの血圧算出方式においても、前記加圧値は収縮期血圧より十分高いカフ圧(たとえば、収縮期血圧+30mmHg)まで加圧する必要がある。また、前記減圧速度および加圧速度は、圧脈波振幅やコロトコフ音の情報のとりこぼしがないように設定する必要がある。具体的には被測定者の脈拍数に応じて減圧速度または加圧速度を設定する必要があった。
【0501】
(加圧値の従来技術)
これまでの血圧計では、(1)測定前に加圧値を切り替えスイッチにより設定する(特開昭62−66835号公報)、(2)加圧中に収縮期血圧を推定し、推定された収縮期血圧に所定圧(たとえば30mmHg)加算した圧を加圧値とする(特許第2842696号公報、特許第3393432号公報)、(3)前回までの測定の収縮期血圧値の平均値に所定圧(たとえば30mmHg)加算した圧を加圧値とする(特開2005−185681号公報)、などの方法がとられていた。ところで血圧は、測定する時間、曜日、季節、環境、ストレス、疾病などの要因によって大きく変化する。
【0502】
そのため、(1)の方法ではあらかじめ自分の収縮期血圧を知っておく必要があるが、前述のとおり測定の度に血圧は大きく変動しているため、前回測定した血圧値に基づいて加圧値を設定しても、必ずしも正しく設定されるとは限らない。
【0503】
また、(3)の方法も同様であり、複数の測定結果の平均値などを用いたとしても、必ずしも正しく設定されるとは限らない。
【0504】
また、カフ圧を減圧していく過程で血圧を算出する場合、正確な血圧測定のためには、カフ圧の加圧をできる限り高速で行う必要がある。
【0505】
これは、加圧を低速で行った場合、動脈が完全に閉塞されるまでに測定部位より末梢側(上腕測定の場合は前腕)に血液が溜まり(鬱血)、正確な測定が不可能になるためである。そのため、加圧速度は可能な限り高速に設定されることになるが、その結果、加圧中に得られる脈波情報が少なくなり、(2)の方法では、推定される収縮期血圧の誤差は大きくなるため、加圧値を正しく設定できないことがあった。
【0506】
これに対し、実施例18の電子血圧計2600は、利用者の血圧値ごとに最適な血圧算出パラメータとして加圧設定値、減圧速度、加圧速度を設定することで、上記問題点を解決することを目的としている。
【0507】
以下、図面と共に具体的に説明するが、上述した実施例の構成と同様の構成については、同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0508】
実施例18の電子血圧計2600では、図69に示すように、操作部2630は、電源スイッチ2131、測定スイッチ2132、停止スイッチ2133、記録呼び出しスイッチ2141に加え、測定条件を入力する測定条件入力スイッチ2641を備えている。
【0509】
前記測定条件入力スイッチ2641は、測定条件として服薬後であるか否かといった服薬状況の入力を許容可能に構成している。
【0510】
メモリ(記憶用)2123は、血圧値を記憶するとともに、日時・測定値・測定条件を関連して記憶する。
【0511】
このように構成された電子血圧計2600を用いた血圧測定動作について、図70のフローチャートに従い説明する。
なお、図70は、実施例18における血圧測定動作の一つを示すフローチャートである。
【0512】
まず、血圧計の電源スイッチが押されると(ステップS2601)、CPU2120は、血圧計の作業用メモリを初期化し、圧力センサ2103の0mmHg調整を行う(ステップS2602)。
【0513】
初期化処理が終了すると、服薬後などの測定条件が入力され(ステップS2603)、測定スイッチが押下されると(ステップS2604)、CPU2120は、計時部2115より現在日時を取得し(ステップS2605)、加圧値・加圧速度・減圧速度などの血圧測定パラメータのいずれか1つ以上を決定する(ステップS2606)。ステップS2606での血圧測定パラメータの決定方法は後述する。
【0514】
次に、ポンプ2104により所定の加圧値までカフ圧を加圧する(ステップS2607〜S2608)。ここでの加圧速度および加圧値は、ステップS2606で決定された加圧速度および加圧値を用いる。
所定の加圧値まで加圧した後、CPU2120は、弁2105により徐々にカフ圧を減圧していく(ステップS2609)。CPU2120は、減圧中に得られるカフ圧に重畳した動脈の容積変化に伴う圧変化成分を抽出し、所定の演算により血圧を算出する(ステップS2610)。血圧を算出した後(ステップS2611:YES)、CPU2120は、弁2105を開放しカフ内の空気を排気する。CPU2120は、算出した血圧値を表示部2121に表示するとともに(ステップS2612)、日時・測定値・測定条件(服薬状況)と関連づけてメモリ(記録用)2123に記録する(ステップS2613)。
【0515】
ステップS2606では、CPU2120は、血圧測定パラメータを次のようにして決定する。
(血圧測定パラメータが加圧値である場合)
加圧値は一般的に収縮期血圧より十分に高いカフ圧に設定する必要がある。具体的には収縮期血圧+30mmHg程度まで加圧する必要がある。
そこで、記録されている測定データをもとに加圧値を設定する。詳しくは、CPU2120は、メモリ(記録用)2123に記録されている図71に示すようなテーブルを呼び出し、このテーブルに記録されている測定データのうち、現在の測定日時に最も近く、また/あるいは、服薬後であるか否かといった服薬状況などを示す測定条件が同一のデータを抽出する。
CPU2120は、上記条件に合致する測定データの内、最新のデータの収縮期血圧に30mmHgを加算した圧力を、加圧値とする。
【0516】
ここで前記測定日時に最も近いとは、たとえば測定月が同一である、同一週の測定である、同一曜日の測定である、同一時間の測定である、などのうち、少なくとも1つ以上の条件が一致することを示す。
【0517】
また、上述したように、上記条件に合致する測定データの内、最新のデータの収縮期血圧を用いるに限らず、上記条件に合致する複数の測定データの収縮期血圧の平均値を用い、該平均値に30mmHgを加算した圧力を加圧値としても良い。
【0518】
もしくは、上記条件に合致する複数の測定データの収縮期血圧の代表値を用い、該代表値に30mmHgを加算した圧力を加圧値としてもよい。
ここでの代表値とは、複数データの最大値、中央値などとすれば良い。
【0519】
さらにまた、血圧計の初回使用時など、測定条件に合致する測定データが存在しない場合は、予め決定されている加圧値(たとえば180mmHg)を設定すればよい。または、特許第2842696号公報、特許第3393432号公報に記載されているように、加圧中に収縮期血圧を推定し、その推定値に30mmHgを加算した圧力値としてもよい。
【0520】
(血圧測定パラメータが減圧速度である場合)
減圧速度は、脈波振幅情報が血圧算出に必要な数だけ過不足なく取得できる速度に設定する必要がある。この脈波振幅情報の必要な数は、特許第3149873号公報に記載されているように、5個以上が妥当である。これを満足する減圧速度も同特許番号に記載されているように、収縮期血圧(SYS)、拡張期血圧(DIA)、脈拍数(PLS)より算出可能である。
【0521】
そこで、加圧値と同様に、記録されている測定データより現在の測定日時に最も近く、また/あるいは、測定条件が同一のデータを抽出し、このデータに記録されている収縮期血圧、拡張期血圧、脈拍数をもとにして減圧速度を算出すればよい。
【0522】
加圧値同様に、血圧計の初回使用時など、測定条件に合致する測定データが存在しない場合は、予め決定されている減圧速度(たとえば5.5mmHg/sec)を設定すればよい。または、特許第3149873号公報に記載されているように、加圧中に収縮期血圧、拡張期血圧、脈拍数を推定し、その推定値より算出した減圧速度としてもよい。
【0523】
本実施例の血圧計は、減圧中に血圧を算出する方式としているが、加圧中に血圧を算出する方式の血圧計にも適用可能である。
その場合、減圧速度ではなく加圧速度を決定すればよい。決定の方法は減圧速度と同様であるため、その説明を省略する。
【0524】
また、前述した電子血圧計では、服薬状況を測定条件として血圧を測定したが、測定条件は、服薬状況に限らず、例えば、服用している薬の種類など服薬に関する情報であってもよく、さらにまた、該服薬情報、測定場所、疾病情報、どのような運動をどの程度行なったかといった運動情報のうち、少なくとも1つを測定条件として用いることができるよう構成してもよい。
【0525】
以上説明したように、血圧値を測定する生体情報取得手段と、血圧値を記録する記録手段(メモリ2123)と、血圧計の制御プログラムなどを格納する手段(メモリ2122)と、血圧測定などの操作を行う操作手段(操作部2630)と、前記生体情報取得手段により取得する生体情報を別途取得する補正用情報に基づいて補正する補正手段(CPU2120)と、該補正後の補正後情報(血圧値)を出力する出力手段(表示部2121)とを備え、前記生体情報取得手段として、血圧測定部位に装着するカフ2101と、カフ2101に加える圧力を調整する加圧・減圧手段2104,2105と、カフ内の圧力を検出する圧力検出手段(圧力センサ2103)と、カフ圧により血圧値を算出する血圧算出手段(CPU2120)を備えた電子血圧計2600であって、前記補正用情報として、血圧測定時の条件に近い測定情報を取得する情報取得手段(ステップS2603を実行するCPU2120)を備え、前記補正手段(ステップS2606を実行するCPU2120)は、血圧測定時の条件に近い測定情報に基づいて血圧測定パラメータを補正する構成である。
【0526】
前記構成により、利用者ごとに最適な血圧測定パラメータを設定可能という効果が得られる。
【0527】
実施例18の電子血圧計2600は、上述したように、前記操作手段(操作部2630)に、測定条件を入力する入力手段(測定条件入力スイッチ2641)を設け、測定場所、疾病情報、服薬状況、運動といった測定条件を血圧値とともに前記記録手段(メモリ2122,2123)に記録することができる。
【0528】
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
【0529】
例えば、上述した実施例の複数をインターネット503により接続してもよい。これにより、体組成計100、歩数計505、電子体温計1508、血圧計2100,2200,2300,2301,2400,2500,2600を適宜連携させることができる。
また、体組成計100、歩数計505、電子体温計1508、血圧計2100,2200,2300,2301,2400,2500,2600は、サーバ150,502から適宜のパラメータ、閾値、アルゴリズムなどをダウンロードして機能を拡張できるように構成してもよい。この場合、ハードウェアはそのままでソフトウェアをバージョンアップすることや、利用者自身に最適化することを容易に実現できる。
【0530】
また、体組成計100、歩数計505、電子体温計1508、血圧計2100,2200,2300,2301,2400,2500,2600の機能拡張は、サーバ150,502を用いず、ユーザ端末504から実行する構成にしてもよい。この場合、CD−ROMなどの記録媒体からパラメータ、閾値、アルゴリズムなどをダウンロードする構成にしてもよい。
【0531】
また、体組成計100、歩数計505、電子体温計1508、血圧計2100,2200,2300,2301,2400,2500,2600は、これらの機器同士を直接無線または有線で通信可能に接続してもよい。この場合も、相互にデータを送受信して個々の精度を向上させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0532】
この発明は、体組成計、体重計、歩数計、活動量計、電子体温計、血圧計など、生体の情報を取得する適宜の装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0533】
100…体組成計、118…制御部、133…荷重検知部、134…ロードセル、500…生体情報取得システム、502…サーバ、505…歩数計、520…制御部、521…記憶部、551…通信部、552…加速度検知部、553…表示部、554…演算部、557…操作部、700…生体情報取得システム、707…体組成計、1508…電子体温計、1582…温度測定部、1584…制御部、2100,2200,2300,2301,2400,2500,2600…電子血圧計、2101…カフ、2101A…カフ(A)、2101B…カフ(B)、2101C…カフ(C)、2103…圧力センサ、2104…ポンプ、2105…弁、2115…計時部、2120…CPU、2121…表示部、2122…メモリ(処理用)、2123…メモリ(記録用)、2130,2230,2330,2430,2530,2630…操作部、2141…記録呼び出しスイッチ、表示部、2142…利用者選択スイッチ、2143,2243,2543…利用者情報入力スイッチ、2341…カフ選択スイッチ、2342…測定部位選択スイッチ、2343…利用者情報入力スイッチ、2251,2352…アルゴリズムテーブルA,B,C、2641…測定条件入力スイッチ(服薬スイッチ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体に関する生体情報を取得する生体情報取得手段と、
前記生体情報取得手段により取得する生体情報を別途取得する補正用情報に基づいて補正する補正手段と、
該補正後の補正後情報を出力する出力手段とを備えた
生体情報取得装置。
【請求項2】
請求項1記載の生体情報取得装置として機能し、前記生体情報取得手段としてインピーダンス測定手段または/および体重測定手段を備えた体組成計であって、
前記補正用情報として、両手間でインピーダンスを測定した部位別インピーダンス情報、食事摂取量に関する食事摂取量情報、または運動量に関する運動量情報の少なくとも1つを取得する情報取得手段を備えた
体組成計。
【請求項3】
請求項1記載の生体情報取得装置として機能し、前記生体情報取得手段として体重測定手段を備えた体組成計であって、
利用者が乗っていない初期状態の出力値の測定を行う初期値測定手段と、
測定した初期値を複数記憶する記憶手段と、
該複数の初期値のばらつきが所定範囲内にある場合に初期基準値を作成する初期基準値作成手段と、
前記体重測定手段により体重測定を行う際に前記初期基準値を用いて測定する初期基準値適用手段とを備えた
体組成計。
【請求項4】
請求項1記載の生体情報取得装置として機能し、前記生体情報取得手段として複数の荷重測定部を有する体重測定手段を備えた体組成計であって、
前記複数の荷重測定部にそれぞれかかる荷重を取得し、この荷重の分散度合いを測定し、次回の体重測定時に該荷重の分散度合いに応じて前記体重測定手段による測定中心位置を移動させる
体組成計。
【請求項5】
請求項1記載の生体情報取得装置として機能し、前記生体情報取得手段として体動による振動を検知した振動データを取得する振動データ取得手段を備えた歩数計であって、
利用者に指定歩数の移動をさせて該指定歩数分の振動データを取得する調整用振動データ取得手段を備え、
前記補正手段は、前記調整用振動データ取得手段で取得した振動データと前記指定歩数に基づいて歩数をカウントする際の判定基準を補正する構成であり、
前記出力手段は、前記振動データから前記判定基準に基づいて取得した歩数を出力する構成である
歩数計。
【請求項6】
請求項1記載の生体情報取得装置として機能し、前記生体情報取得手段として体動による振動を検知した振動データを取得する振動データ取得手段を備えた歩数計であって、
利用者に指定歩数の移動をさせて該指定歩数分の振動データを取得する調整用振動データ取得手段を備え、
前記補正手段は、前記調整用振動データ取得手段で取得した振動データと前記指定歩数に基づいて歩数をカウントする際の判定基準を補正する構成であり、
前記出力手段は、前記振動データから前記判定基準に基づいて取得した歩数を出力する構成であり、
前記調整用振動データ取得手段による振動データの取得と前記補正手段による補正を実行開始するトリガとなる装着部位変更入力を受け付ける装着部位変更入力手段を備えた
歩数計。
【請求項7】
請求項1記載の生体情報取得装置として機能し、前記生体情報取得手段として体動による振動を検知した振動データを取得する振動データ取得手段を備えた歩数計であって、
移動種別を判定する移動種別判定基準データを記憶する記憶手段と、
該移動種別判定基準データに基づいて前記振動データがどの移動種別に該当するか判定する移動種別判定手段とを備えた
歩数計。
【請求項8】
請求項1記載の生体情報取得装置として機能し、前記生体情報取得手段として体動による振動を検知した振動データを取得する振動データ取得手段を備えた歩数計であって、
所定の振動データを送信し、該振動データに基づく歩数判定基準データを受信する通信手段を備え、
前記補正手段は、歩数を判定する歩数判定基準データを前記通信手段により受信した前記歩数判定基準データに更新する構成であり、
前記出力手段は、該更新後の歩数判定基準データによって判定した歩数を出力する構成である
歩数計。
【請求項9】
請求項1記載の生体情報取得装置として機能し、前記生体情報取得手段として体動による振動を検知した振動データを取得する振動データ取得手段を備えた活動量測定装置であって、
前記振動データに基づいて消費カロリーを計算する消費カロリー計算手段と、
他の機器から消費カロリーの算出に関する消費カロリー関連データを取得するデータ取得手段とを備え、
前記補正手段は、前記消費カロリー計算手段で消費カロリーを算出する際に前記消費カロリー関連データを用いることで補正する構成であり、
前記出力手段は、補正後の消費カロリーを出力する構成である
活動量測定装置。
【請求項10】
請求項1記載の生体情報取得装置として機能し、前記生体情報取得手段として体動による振動を検知した振動データを取得する振動データ取得手段を備えた活動量測定装置と、体重体組成を取得する体重体組成取得手段を備えた体重体組成計とを有する生体情報取得システムであって、
前記体重体組成計は、運動開始前に測定した運動前体重体組成データと運動終了後に測定した運動後体重体組成データとを取得する構成であり、
前記活動量測定装置は、運動中の振動データを取得する構成であり、
前記運動前体重体組成データと前記運動後体重体組成データと前記振動データに基づいて消費カロリー補正係数を取得する消費カロリー補正係数取得手段と、
該消費カロリー補正係数を用いて消費カロリーを算出する消費カロリー算出手段を備えた
生体情報取得システム。
【請求項11】
請求項1記載の生体情報取得装置として機能し、前記生体情報取得手段として生体の体動による変化を検知した体動関連データを取得する体動関連データ取得手段を備えた移動姿勢検出装置であって、
前記体動関連データから移動姿勢を分析する移動姿勢分析手段と、
移動姿勢の目標値となる目標値取得手段と、
前記移動姿勢分析手段で分析した移動姿勢と前記目標値取得手段で取得した目標値とにより該目標値を達成しているか否かに関する達成関連情報を求める達成関連情報取得手段と、
求めた達成関連情報を出力する達成関連情報出力手段とを備えた
移動姿勢検出装置。
【請求項12】
請求項1記載の生体情報取得装置として機能し、前記生体情報取得手段として生体の温度を測定する温度測定手段を備えた電子体温計であって、
前記温度測定手段により測定した温度に関する温度関連情報を同一の測定部位について複数記憶する記憶手段と、
該複数の温度関連情報に基づいて前記測定部位の熱時定数を算出する熱時定数算出手段とを備え、
前記補正手段を、前記熱時定数を用いて前記温度測定手段により測定した温度を補正する構成にした
電子体温計。
【請求項13】
前記温度測定手段は、前記測定部位に接触する接触部にプローブを有する構成であり、
前記熱時定数を、生体の熱時定数である生体熱時定数と、生体表面とプローブ間の熱時定数である接触部熱時定数とで構成し、
前記補正手段は、前記接触部熱時定数を、生体表面とプローブとの接触状態に対応して補正する構成である
請求項12記載の電子体温計。
【請求項14】
請求項1記載の生体情報取得装置として機能し、前記生体情報取得手段として、血圧測定部位に装着するカフと、カフに加える圧力を調整する加圧・減圧手段と、カフ内の圧力を検出する圧力検出手段と、カフ圧により血圧値を算出する血圧算出手段を備え、
血圧値を記録する記録手段と、血圧測定などの操作を行う操作手段を備えた電子血圧計であって、
前記補正用情報として、仮決定した血圧値の情報、血圧測定開始前に入力された利用者情報、カフ又は/及び測定部位ごとの測定情報、血圧測定時の弁又はポンプの印加電圧の情報、測定部位の質の情報、血圧測定時の条件に近い測定情報の少なくとも1つを取得する情報取得手段を備えた
電子血圧計。
【請求項15】
前記情報取得手段により前記補正用情報として前記仮決定した血圧値の情報を取得した場合、
前記補正手段は、前記仮決定した血圧値に基づいて血圧算出パラメータを補正する構成である
請求項14記載の電子血圧計。
【請求項16】
前記情報取得手段により前記補正用情報として前記血圧測定開始前に入力された利用者情報を取得した場合、
前記補正手段は、前記利用者情報に基づいて血圧算出パラメータを補正する構成である
請求項14記載の電子血圧計。
【請求項17】
前記情報取得手段により前記補正用情報として前記カフ又は/及び測定部位ごとの測定情報を取得した場合、
前記補正手段は、前記カフ又は/及び測定部位ごとの測定情報に基づいて血圧算出パラメータを補正する構成である
請求項14記載の電子血圧計。
【請求項18】
前記情報取得手段により前記補正用情報として前記血圧測定時の弁又はポンプの印加電圧の情報を取得した場合、
前記血圧測定時の弁又はポンプの印加電圧の情報を前記記録手段に記憶し、
前記補正手段は、前記血圧測定時の弁又はポンプの印加電圧に基づいて弁又はポンプの制御を行なうよう補正する構成である
請求項14記載の電子血圧計。
【請求項19】
前記情報取得手段により前記補正用情報として前記利用者の測定部位の質の情報を取得した場合、
前記補正手段は、前記測定部位の質に基づいて血圧算出パラメータを補正する構成である
請求項14記載の電子血圧計。
【請求項20】
時刻を計時する計時手段を備え、
前記情報取得手段により前記補正用情報として前記血圧測定時の条件に近い測定情報を取得した場合、
前記血圧測定時の条件に近い測定情報を測定記録として前記記録手段に記憶し、
前記補正手段は、前記血圧測定時の条件に近い測定記録に基づいて血圧測定パラメータを補正する構成である
請求項14記載の電子血圧計。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【図51】
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【図52】
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【図53】
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【図54】
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【図55】
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【図56】
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【図57】
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【図58】
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【図59】
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【図60】
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【図61】
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【図62】
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【図63】
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【図64】
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【図65】
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【図66】
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【図67】
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【図68】
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【図69】
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【図70】
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【図71】
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【公開番号】特開2010−167275(P2010−167275A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−293908(P2009−293908)
【出願日】平成21年12月25日(2009.12.25)
【出願人】(503246015)オムロンヘルスケア株式会社 (584)
【Fターム(参考)】